説明

HDD書き込みヘッドの位置の誤差の補正

【課題】HDD書き込みヘッドの位置の誤差の補正を提供する。
【解決手段】電流調整部品を備えたハードディスク駆動装置(HDD)が提供される。電流調整部品は、磁気ヘッドの現在の位置が所望位置におけるものではないという決定に応答して、磁気記録ヘッドにより生成される書き込み磁場の強さの変化を引き起こすために、HDDの磁気記録ヘッドに与えられる電流の量を変更する。例えば磁気記録ヘッドの現在の位置が磁気記録ヘッドの所望位置より、書き込み中の現在のトラックの端からさらに離れているという決定に応答して、電流調整部品は書き込み磁場の強さの増加を引き起こすために磁気記録ヘッドへの電流を増加する。書き込み磁場の強さの変化は、磁気記録ヘッドにより書き込まれるデータが磁気記録ディスク上の所望場所に位置付けられるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的にはハードディスク駆動装置(HDD)の書き込みヘッドの位置の誤差を補正するための手法に関する。
【背景技術】
【0002】
ハードディスク駆動装置(HDD)は、磁気面を有する1つまたは複数のディスク(ディスクはプラッタとも称することがある)上に、ディジタル的に符号化されたデータを格納する不揮発性記憶装置であり、保護筐体内に収容される。HDDの作動中、各磁気記録ディスクはスピンドルシステムにより急速に回転される。アクチュエータによりディスクの特定場所の上方に位置決めされた読み取り/書き込みヘッドを使用することにより、データは磁気記録ディスクから読み取られ、それに書き込まれる。
【0003】
読み取り/書き込みヘッドは、磁気記録ディスクの表面からデータを読み取るおよびそれに書き込むために磁場を利用する。磁気双極子磁場は磁極からの距離とともに急速に低下するので、読み取り/書き込みヘッドと磁気記録ディスクの表面との間の空間は厳重に制御されなければならない。読み取り/書き込みヘッドと磁気記録ディスクの表面との間の一様な距離を設けるために、アクチュエータは、磁気記録ディスクの回転中、読み取り/書き込みヘッドを磁気記録ディスクの表面から離れた適切な距離で支持するハードディスク駆動装置筐体内の空気圧に依存する。したがって読み取り/書き込みヘッドは磁気記録ディスクの表面の上方を「飛行」すると言われる。すなわち、磁気記録ディスクを回転することに伴って引っ張られる空気がヘッドを磁気記録ディスクの表面から離れさせる。磁気記録ディスクが回転を停止すると、読み取り/書き込みヘッドは「着陸」しなければならないかあるいは引き離されなければならない。
【0004】
HDDの書き込みヘッドは一連の同心トラックの磁気記録ディスクの表面上へデータを記録する。書き込みヘッドが磁気記録ディスクの所望トラックにデータを書き込む場合、書き込みヘッドは所望トラックの近くに位置付けられることが重要であり、そのようにしないと結果としてスクィーズ事象(squeeze event)が発生する。これはデータの完全性およびスループットを危険にさらし、極端な場合にはハードエラーとデータ損失をもたらすことがある。隣接トラックが読み取りヘッドにより正しく読み取られるのに十分なだけ離されないほどに隣接トラックにあまりに近くにまたはそれと重なって書き込みヘッドがデータを書き込むと、スクィーズ事象は発生する。
【0005】
基準マーカを磁気記録ディスクの各トラック内に記録することができる。これらの基準マーカはサーボ情報と呼ばれる。データを書き込む際に書き込みヘッドを正しく位置決めするのを支援するために、HDDは磁気記録ディスク上に格納されたサーボ情報を使用することにより書き込みヘッドを正しい位置に維持するようにサーボ機械制御ループを採用する。読み取りヘッドがサーボ情報(読み取られるサーボ情報は位置誤差信号すなわちPES(position−error signal)と呼ばれることがある)を読み取る場合、ヘッドの相対位置は、所望トラックに対するヘッドの位置が必要に応じて調整されるようにするサーボプロセッサにより決定されてよい。
【0006】
通常のハードディスク駆動装置により採用されるサーボ機械制御ループでは、読み取り/書き込みヘッドの位置は高精度であることが通常知られている。しかしながら、読み取り/書き込みヘッドが固定されるヘッドアームアセンブリ(HAA:head−arm assembly)などのHDDの機械部品を動かす際の比較的遅い応答時間は、読み取り/書き込みヘッドの位置の誤差を正確にかつ急速に補正することを困難にする。
【0007】
スクィーズ事象の可能性は、磁気記録ディスク上のトラックの密度の増加とともに増加する。その結果、シングル書き込み(shingle writing)は通常、極めて高いトラック密度を有するシステムにおいてのみ使用されるのでシングル書き込み処理におけるデータの書き込みはスクィーズ事象に特に影響される。シングル書き込みの際、各データトラックはすぐ隣のデータトラックが書き込まれるときに部分的に上書きされる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
ハードディスク駆動装置(HDD)の書き込みヘッド(本明細書では磁気記録ヘッドとも呼ばれる)の位置の誤差を補正するための技術を提供する。本発明の一実施形態によると、ハードディスク駆動装置(HDD)は電流調整部品を含む。電流調整部品は、磁気ヘッドの現在の位置が所望位置におけるものではないという決定に応答して、磁気記録ヘッドにより生成される書き込み磁場の強さの変化を引き起こすためにHDDの磁気記録ヘッドに与えられる電流の量を変更する。例えば、磁気記録ヘッドの現在の位置は、磁気記録ヘッドの所望位置より、書き込み中の現在のトラックの端からさらに離れているという決定に応答して、電流調整部品は書き込み磁場の強さの増加を引き起こすために磁気記録ヘッドへの電流を増加する。書き込み磁場の強さの変化は、磁気記録ヘッドにより書き込まれるデータが磁気記録ディスク上の所望場所に位置付けられるようにする。
【0009】
本発明の別の実施形態では、HDDはレーザーを含む。レーザーは、表面の加熱部分が磁気記録ヘッドにより生成される書き込み磁場の影響にさらに敏感となるようにするために磁気記録ディスクの表面の一部を加熱する目的のために、磁気記録ディスクの表面上にレーザービームを放射するように構成される。磁気記録ヘッドの現在の位置が所望または最適位置におけるものでない(したがって書き込み磁場の強さは所望のものより大きいか小さいかのいずれかである)という決定に応答して、レーザーに供給される電力は調整されてよい。レーザービームへの電力を調整することにより、レーザーにより生じるレーザービームの加熱効果を調整することができ、かつデータの書き込みを意図した位置での磁気記録ディスクの表面の温度を変えることができる。これにより、書き込み磁場に対するディスクの磁気面の感受性が、データが書き込まれるディスクの表面上の所望位置に対する書き込み磁場の電流の強さに従うように構成されることを可能にする。このような実施形態はまた電流調整部品を採用してもよく、レーザーへの電力は、磁気記録ヘッドにより書き込まれるデータが磁気記録ディスク上の所望場所に位置付けられるようにするために、電流調整部品による磁気記録ヘッドへの書き込み電流の調整と併せて調整されてよい。
【0010】
本発明の別の実施形態では、HDDは微小機械アクチュエータ(micro mechanical actuator)を含む。微小機械アクチュエータは、磁気記録ヘッドと磁気記録ディスクの表面との間の一定距離を維持しながら磁気記録ヘッドをヘッドアームアセンブリに対して動かす。このようにして、磁気記録ヘッドの現在の位置は書き込み中の現在のトラックの端からの望ましい距離よりさらに離れているという決定に応答して、微小機械アクチュエータは、データの書き込みが望まれる磁気記録ディスクの表面上の場所に対し書き込み磁場の強さの増加を引き起こすために、磁気記録ヘッドを所望位置のより近くに動かすことができる。書き込み磁場の強さの相対的変化は、磁気記録ヘッドにより書き込まれるデータが磁気記録ディスク上の所望場所に位置付けられるようにする。微小機械アクチュエータは磁気記録ヘッドにより生成される書き込み磁場の強さを変えないが、微小機械アクチュエータが磁気記録ディスクの表面に対し垂直に磁気記録ヘッドを動かすことにより、微小機械アクチュエータは、データの書き込みを意図する磁気記録ディスクの表面上の場所の観点から、書き込み磁場の相対的強さを調整することができるということに留意されたい。一実施形態では、微小機械アクチュエータは、磁気記録ヘッドにより書き込まれるデータが磁気記録ディスク上の所望場所に位置付けられるようにするために電流調整部品と協働することができる。
【0011】
本発明の別の実施形態では、HDDは微小飛行高度(fly height)制御部を含む。微小飛行高度制御部は、磁気記録ディスクの表面に対する書き込み磁場の強さを変更する目的のために、磁気記録ヘッドと磁気記録ディスクの表面との間の距離を変更するように構成される。このようにして、磁気記録ヘッドの現在の位置は書き込み中の現在のトラックの端からの望ましい距離よりさらに離れているという決定に応答して、微小飛行高度制御部は、磁気記録ディスクの表面上の所望位置に対する書き込み磁場の強さの増加を引き起こすために、磁気記録ヘッドを磁気記録ディスクの表面のより近くに動かすことができる。磁気記録ディスクの所望位置における書き込み磁場の相対的強さの変化は、磁気記録ヘッドにより書き込まれるデータが磁気記録ディスク上の所望場所に位置付けられるようにする。一実施形態では、微小飛行高度制御部は、磁気記録ヘッドにより書き込まれるデータが磁気記録ディスク上の所望場所に位置付けられるようにするために電流調整部品と協働することができる。
【0012】
上記考察はいくつかの実施態様を単に例示するに過ぎなく、以下にさらに詳細に説明される本発明のすべての実施形態を列挙するまたは説明するように意図されていない。
【0013】
本発明の実施形態は、添付図面において制限としてではなく一例として示され、図面中の同じ参照符号は同様な要素を指す。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態によるシングル書き込み処理の図である。
【図2】本発明の実施形態による例示的なHDDの平面図である。
【図3】本発明の実施形態によるヘッドアームアセンブリ(HAA)の平面図である。
【図4】本発明の実施形態によるサーボ制御ループの図である。
【図5】本発明の実施形態による、比較的低い電流量と比較的高い電流量を受け取る書き込みヘッドにより生成された書き込み磁場の等高線の図である。
【図6】本発明の実施形態による電流調整部品を含むHDDにより実行される機能工程を例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
ハードディスク駆動装置(HDD)の書き込みヘッド(磁気記録ヘッドとも呼ばれる)の位置の誤差を補正するための手法について説明する。以下の説明では、説明の目的のために、本発明の実施形態を完全に理解できるように多くの特定な詳細が記載される。しかしながら、ここに示された本発明の実施形態はこれらの特定な詳細なしに実行することができることは明らかであろう。他の事例では、ここに示された本発明の実施形態を不必要に曖昧にしないために、よく知られた構造および装置がブロック線図の形式で示される。
【0016】
本発明の実施形態は、ハードディスク駆動装置(HDD)の磁気記録ヘッドの位置の誤差を補正するための様々な手法を採用する。磁気記録ヘッドの位置は、様々な理由のために、書き込み中のデータトラックに対し位置合わせ不良となることがある。例えば、磁気記録ヘッドが磁気記録ディスクにデータを書き込む際にHDDをぶつけたり動かしたりすると、磁気記録ヘッドが位置合わせ状態からずれることがある。別の例として、HDDの通常動作中に、磁気記録ディスクは急速に回転し、これによりHDDの筐体内の空気を循環させることができる。通常動作中の磁気記録ディスクの回転または循環空気流は、磁気記録ヘッドを位置あわせ状態からわずかにずらすことがある。
【0017】
本発明の実施形態は、磁気記録ヘッドの位置が最適ではないにもかかわらず、データが磁気記録ヘッドにより磁気記録ディスクの表面上の所望場所に書き込まれることを保証するように磁気記録ヘッドにより生成される書き込み磁場の強さ、または磁気記録ディスク上の所望書き込み位置からの書き込み磁場の相対的強さ、または書き込み磁場に対する磁気記録ディスクの感受性を調整することができるようにハードディスク駆動装置(HDD)の磁気記録ヘッドの位置の誤差を補正するための様々な手法を採用する。シングル書き込みは通常、極めて高いトラック密度を有するシステムにおいてのみ使用されるので、シングル書き込み処理を使用してデータを書き込むことは特に、意図しない場所にデータを書き込むことを起こし易いと認められる。したがって、シングル書き込み処理を使用してデータを書き込むHDDは、スクィーズ事象を、あるいは意図しない場所にデータを書き込むことを、回避するために本発明の実施形態を採用することができる。
【0018】
シングル書き込み
本実施形態を採用し得る特定の状況の理解を容易にするために、シングル書き込みの考察を次に示す。図1は、本発明の実施形態によるシングル書き込み処理の図100である。シングル書き込みでは、各データトラックはすぐ隣のデータトラックが書き込まれるときに部分的に上書きされる。図1に示すように、シングル書き込みでは、各トラックは比較的大きな幅(例えば、トラック110を参照)でもって最初に書き込まれるが、トラックがすぐ隣のデータトラックにより部分的に一旦上書きされる(例えば、トラック112がトラック110により部分的に上書きされる)と、上書きされたトラックは小さな幅を有する。
【0019】
通常、狭いデータトラックは、狭いデータトラックにデータを書き込む磁気記録ヘッドもまた狭いことを必要とする。しかしながら狭い磁気記録ヘッドは一般的に、弱い書き込み磁場を生成し、したがって強い書き込み磁場に比較して磁気記録ディスクに侵入するまたは影響を与えるのが困難である。
【0020】
この問題はシングル書き込みにより対処され克服される。シングル書き込みでは、磁気記録ヘッドは、各データトラックの幅が暗示し得るものより強い書き込み磁場を生成することができる。シングル書き込みでは各データトラックはすぐ隣のデータトラックにより部分的に上書きされる結果として、データトラックの初期の幅はデータトラックが部分的に上書きされた後の結果の幅より大きいことがある。したがって、シングル書き込みにおいて磁気記録ヘッドにより生成される書き込み磁場の強さは、磁気記録ディスクに侵入して正しく影響を与えるのに十分に強くなり得る。書き込み磁場の強さが、磁気記録ディスクのより大きな表面積(所望のものより)に影響を与えるのに十分であっても、データトラックの幅は、データトラックがすぐ隣のデータトラックにより部分的に上書きされるときに狭い幅を有するように調整されてよい。
【0021】
一実施形態では、磁気記録ヘッドは磁気記録ヘッドの角だけを使用することにより、1つまたは複数のシングルトラック(shingled tracks)の磁気記録ディスクにデータを書き込む。例えば図1には、複数のシングルトラックにデータを書き込む磁気記録ヘッド120を例示する。磁気記録ヘッド120は書き込み磁場を生成するために角だけを使用する。磁気記録ヘッド120により生成される書き込み磁場の等高線の拡大図130を図1に示す。
【0022】
シングル書き込みに関するさらなる詳細は、Kasirajらにより発明された米国特許第6,967,810号明細書で入手可能であり、これを、すべての目的のために十分に論及することにより参照として本明細書に組み入れる。シングル書き込みの処理について説明したので、次に本発明の実施形態による例示的なハードディスク駆動装置(HDD)の物理的な説明に関する考察を示す。
【0023】
本発明の例示的実施形態の物理的説明
図2を参照すると、本発明の実施形態によるHDD200の平面図が示される。図2には、磁気記録ヘッド210aを含むスライダ210bを含むHDDの部品の機能配置を例示する。HDD200は、ヘッド210aと、ヘッド210aに取り付けられたリードサスペンション210cと、スライダ210bに取り付けられたロードビーム210d(スライダ210bの遠端部でヘッド210aを含む)と、を含む少なくとも1つのHGA210を含む。スライダ210bはロードビーム210dの遠端部でロードビーム210dのジンバル部に取り付けられる。HDD200はまた、スピンドル224上に回転自在に搭載された少なくとも1つの磁気記録ディスク220と、ディスク220を回転させるためのスピンドル224に取り付けられた駆動モータ(図示せず)とを含む。ヘッド210aは、HDD200のディスク220上に格納される情報をそれぞれ書き込み、そしてそれを読み出すための書き込み素子(いわゆるライター)と読み取り素子(いわゆるリーダー)とを含む。ディスククランプ228によりディスク220または複数のディスク(図示せず)をスピンドル224に固定することができる。HDD200はさらに、HGA210に取り付けられたアーム232と、キャリッジ234と、キャリッジ234に取り付けられたボイスコイル240を含む電機子236を含むボイスコイルモータ(VCM)と、ボイスコイル磁石(図示せず)を含む固定子244と、を含む。VCMの電機子236はキャリッジ234に取り付けられ、そしてピボット軸248上に搭載されたディスク220のアクセス部分に、アーム232とHGA210を挿入ピボット軸受アセンブリ252により動かすように構成される。
【0024】
本発明の一実施形態による図2をさらに参照すると、電気信号(例えば、VCMのボイスコイル240への電流、PMRヘッド210aに対する書き込み信号と読み取り信号)はフレキシブルケーブル256により与えられる。フレキシブルケーブル256とヘッド210a間の配線は、他の読み取りチャネルおよび書き込みチャネル電子部品だけでなく読み取り信号用内蔵前置増幅器も有することができるアーム電子回路(AE:arm−electronics)モジュール260により設けられてよい。フレキシブルケーブル256は、HDD筐体268により設けられた電気的フィードスルー(図示せず)を介して電気通信を提供する電気的コネクタブロック264に結合される。キャスティングとも称するHDD筐体268は、HDD筐体が成型されるどうかに依存するがHDDカバー(図示せず)と共にHDD200の情報記憶部品のための密閉保護筐体を提供する。
【0025】
本発明の一実施形態による図2をさらに参照すると、ディスクコントローラと、信号処理プロセッサ(DSP)を含むサーボ電子回路と、を含む他の電子部品(図示せず)は、電気信号を駆動モータとVCMのボイスコイル240とHGA210のヘッド210aとに供給する。駆動モータに供給される電気信号は、駆動モータが回転しスピンドル224にトルクを与えることができるようにする。トルクは、ディスククランプ228によりスピンドル224に固定されたディスク220に伝達され、その結果、ディスク220は方向272に回転する。情報が記録されるディスク220の薄い磁気記録媒体に接触することなくディスク220の表面の上方でスライダ210bが飛行するように、回転ディスク220は、スライダ210bの空気軸受表面(ABS:air−bearing surface)が乗る空気軸受として働く空気のクッションを生成する。VCMのボイスコイル240に供給される電気信号は、情報が記録されるトラック276にHGA210のヘッド210aがアクセスできるようにする。こうして、VCMの電機子236は、アーム232により電機子236に取り付けられたHGA210がディスク220上の様々なトラックにアクセスできるようにするアーク280を介して振れる。情報は、ディスク220上のセクター(例えばセクター284)内に配置された複数の同心トラック(図示せず)のディスク220上に格納される。したがって各トラックは複数のセクター化トラック部、例えばセクター化トラック部288からなる。各セクター化トラック部288は、記録データと、サーボバースト信号パターン(例えばABCDサーボバースト信号パターン)と、トラック276を特定する情報と、誤差補正コード情報を含むヘッダーと、からなる。トラック276にアクセスする際、HGA210のヘッド210aの読み取り素子はサーボ電子回路に位置誤差信号(PES:position−error−signal)を与えるサーボバースト信号パターンを読み取る。サーボ電子回路はVCMのボイスコイル240に供給される電気信号を制御してヘッド210aがトラック276に追従できるようにする。トラック276を発見し特定のセクター化トラック部288を特定すると、ヘッド210aは、ディスクコントローラにより外部エージェント(例えばコンピュータシステムのマイクロプロセッサ)から受信された命令に依存してトラック276からデータを読み出すかあるいはトラック276にデータを書き込む。
【0026】
本発明の実施形態はまた、HGA210と、スピンドル224上に回転自在に搭載されたディスク220と、ヘッド210aを含むスライダ210bを含むHGA210に取り付けられたアーム232と、を含むHDD200を包含する。本発明の実施形態はハードディスク駆動装置筐体内の浮遊粒子状物質をろ過するためのフィルタをHDD200の環境内に取り入れてよい。同様に、本発明の実施形態はハードディスク駆動装置筐体内の浮遊粒子状物質をろ過するためのフィルタをHGA210の環境内に取り入れてよい。
【0027】
次に本発明の図3を参照すると、本発明の実施形態によるHGA210を含むヘッドアームアセンブリ(HAA)300の平面図が示される。図3には、HGA210に関するHAAの機能配置を例示する。HAAは、アーム232と、ヘッド210aを含むスライダ210bを含むHGA210と、を含む。HAAはアーム232においてキャリッジ234に取り付けられる。複数ディスク(またはプラッタ、当該技術領域では時にディスクはプラッタと呼ばれる)を有するHDDの場合、キャリッジ234は、櫛の外観を呈するアームの連動アレイ(ganged array of arms)を保持するように配置されるので「E−ブロック」または櫛と呼ばれる。図2に示すように、VCMの電機子236はキャリッジ234に取り付けられ、ボイスコイル240は電機子236に取り付けられる。AE260は、図示のようにキャリッジ234に取り付けられてよい。キャリッジ234は、挿入ピボット軸受アセンブリ252によりピボット軸248上に搭載される。
【0028】
本発明の一実施形態では、HDD200は電流調整部品(図示せず)を含むことができる。電流調整部品は、ヘッド210aにより生成される書き込み磁場の強さの変化を引き起こすためにヘッド210aに供給される電流量を変更することができる電気部品である。書き込みヘッド電流は移動アクチュエータ上に搭載された電子回路(書き込み駆動部)により供給される。書き込み電流を調整する信号は、電子回路カード上に搭載されたハードディスクコントローラ(HDC)から書き込み駆動部により受信されるであろう。その調整は、正確なトラック追随を維持するためにサーボ制御ループを閉じるHDCにおいて計算される。
【0029】
書き込み駆動部はディジタルインタフェースまたはアナログインタフェースを採用することができる。ディジタルインタフェースが採用された場合、一実施形態では、ディジタルインタフェースは高帯域トラック追随に対応するためにしばしば更新されなければならない。あるいはアナログインタフェースが採用された場合、一実施形態では、高帯域トラック追随に対応するために専用アナログ制御線を使用することができる。
【0030】
電流調整部品は、電流調整部品が例えば移動アクチュエータ上に搭載された書き込み駆動部などのヘッド210aに供給される電流量を変更できるようにするために、HDD200内の任意の場所に設置されてよい。
【0031】
本発明の一実施形態では、HDD200は微小機械アクチュエータ(図示せず)を含むことができる。微小機械アクチュエータは、微小機械アクチュエータがヘッド210aと磁気記録ディスクの表面との間の一定距離を維持しつつHAA300に対しヘッド210aを動かすことを可能にするHDD200内の任意の場所に設置されてよい。例えば一実施形態では、微小機械アクチュエータはサスペンション内に一体化されるか、あるいはサスペンションとスライダ210b間に位置決めされてよい。
【0032】
本発明の一実施形態では、HDD200は微小飛行高度制御部(micro fly height control)(図示せず)を含むことができる。微小飛行高度制御部は、微小飛行高度制御部がヘッド210aと磁気記録ディスクの表面との間の距離を変更できるようにするHDD200内の任意の場所に設置されてよい。例えば一実施形態では、微小飛行高度制御部はヘッド210a内に一体化されてよい。一実施形態では、微小飛行高度制御部は、スライダの一部を膨張させてディスク表面にさらに接近させ、これによりヘッド210aと磁気記録ディスクの表面との間の距離を変更するために熱を供給する小さな抵抗器(図示せず)を採用することができる。
【0033】
本発明の一実施形態では、HDD200はレーザー(図示せず)を含むことができる。レーザーは、ヘッド210aが書き込もうとする磁気記録ディスクの表面上の場所にレーザーがレーザービームを放射できるようにするHDD200内の任意の場所に設置されてよい。例えば一実施形態では、レーザーはスライダ210bの後部上に一体化されてよく、追加の電気接続はスライダ210bに対しなされる、あるいはレーザーはアームまたはカード上から遠く離れており光は光ファイバーまたは光導波路を通ってスライダ210bに誘導される。
【0034】
本発明の実施形態による例示的なハードディスク駆動装置(HDD)の物理的な説明を示したので、ヘッド210aの空間位置の誤差を補正する処理についてのさらなる詳細は検討されない。
【0035】
ヘッド位置の誤差に対処するために電流を変動する
図4は、本発明の実施形態によるサーボ制御ループ400の図である。サーボ制御ループ400とは、HDD200内のサーボ機構により実施されるヘッド210aなどの磁気記録ヘッドの位置を補正するために誤差感知帰還を使用する処理を指す。サーボ制御ループ400を使用することにより、本発明の実施形態は、ヘッド210aの現在位置が最適ではないにもかかわらず、データが磁気記録ディスクの所望トラックに依然として書き込まれ得るように、ヘッド210aの空間位置の誤差を補正することができる。
【0036】
図4に例示されるように、サーボコントローラ410は、ヘッド210aにより読み取られた位置誤差信号(PES:position error signal)を処理することによりヘッド210aの現在位置についての情報を受ける。位置誤差信号(PES)を処理することにより、サーボコントローラ410はヘッド210aの空間位置を高精度に決定することができる。外乱は、データを磁気記録ディスクに書き込むための所望のまたは最適な空間位置からヘッド210aを動かすことがある。これが発生すると、サーボコントローラ410は、ヘッド210aにより読み取られた位置誤差信号(PES)を処理することによりヘッド210aは不正確に位置決めされたということを通知されてよい。
【0037】
サーボコントローラ410がヘッド210aの現在位置を調整する必要があると決定した場合、ヘッド210aにより生成される書き込み磁場が磁気記録ディスク上の所望位置に影響を与えることを保証するために、サーボコントローラ410は、電流調整部品420と1つまたは複数の機械的アクチュエータ430と、あるいは電流調整部品420と1つまたは複数の機械的アクチュエータ430の両方と通信することができる。
【0038】
電流調整部品420とは、ヘッド210aに供給される電流を調整することによりヘッド210aにより生成される磁場の強さを調節するための任意の機構を指す。このように、電流調整部品420はヘッド210aにより生成される書き込み磁場の強さをHAA300に対するヘッド210aの物理的移動無しに変更することができる。電流調整部品420を採用する実施形態は、電流調整部品420を使用してヘッド210aに供給される電流を調整することにより、ヘッド210aの位置における高周波数誤差を補正することができる。一実施形態では、電流調整部品420は磁気記録ディスクからのデータの読み取りに影響を与えないがその代りに磁気記録ディスクへのデータ書き込みに影響を与える。
【0039】
機械的アクチュエータ430とは、HAA300に対するまたは磁気記録ディスクの表面に対するヘッド210aの空間位置を再位置決めすることができる任意の機構を指す。機械的アクチュエータ430はヘッド210aにより生成される書き込み磁場の強さを変えない。しかしながらヘッド210aを物理的に動かすことにより、ヘッド210aにより生成される書き込み磁場の相対的強さは磁気記録ディスク上の所望書き込み場所という観点で変化することができる。機械的アクチュエータ430の3つの例は、主要な回転アクチュエータ432、微小機械アクチュエータ434、微小飛行高度制御部436(微小飛行高度制御部436はディスク表面に垂直な垂直調節に影響を与えるということに留意されたい)である。
【0040】
ヘッド210aに供給される電流の調整はHDDの機械部品を動かすより速く行えるので、機械的アクチュエータは一般的には電流調整部品420より遅い。実際、電流はほぼ瞬間的に調整または変更され得るので、電流調整部品420はヘッド210aにより生成される書き込み磁場の強さに対し非常に急速な変更を行うことができる。例えば、一実施形態では、電流調整部品420はヘッド210aへの電流の供給を変更することができ、これによりヘッド210aにより生成される書き込み磁場の強さに数ナノ秒のオーダーで影響を与えるが、機械的アクチュエータ430は数マイクロ秒のオーダーの応答時間を有することがある。
【0041】
本発明の実施形態によると、ヘッド210aは、角部において、シャープな境界、シャープな勾配、シャープな小さな半径を有する書き込み磁場を理想的には生成する。このような書き込み磁場は図1の拡大図130に例示される。これらの特徴を有する書き込み磁場は、磁気記録ディスク上のデータトラックにデータをより効率的に書き込む。
【0042】
ヘッド210aにより生成される書き込み磁場の等高線は部分的には、書き込み磁場を生成するヘッド210aの一部の形状により規定される。さらに、書き込み磁場の等高線はディスクの軟質下層までの距離と軟質下層の特性とにより影響を受ける。書き込み磁場の大きさと強さはヘッド210aに供給される電流量により決定される。ヘッド210aに供給される電流を増加することにより書き込み磁場の等高線は広がり、逆にヘッド210aに供給される電流を減少させることにより書き込み磁場の等高線は狭まる。
【0043】
例えば図5は、本発明の実施形態による比較的低い電流量と比較的高い電流量を受ける書き込みヘッドにより生成された書き込み磁場の等高線の図である。図5が例示するように、角ヘッド磁極先端510には角ヘッド磁極先端520より低い電流量が供給されている。したがって、角ヘッド磁極先端510により生成される書き込み磁場の等高線は角ヘッド磁極先端520により生成される書き込み磁場の等高線より小さな半径を有する。また図5により例示されるように、書き込みヘッドへの電流量を増加することにより、書き込みヘッドにより生成される書き込み磁場によりデータが書き込まれる場所を書き込みヘッドからさらに離れたところに移動させることができる。例えば図5は、角ヘッド磁極先端520により生成される書き込み磁場の図において、データが書き込まれる場所を書き込みヘッドからさらに遠くに離すトラックシフトを示す。
【0044】
一実施形態では、電流調整部品420は、ヘッド210aに供給される電流を最小電流と最大電流との間で調整することができる。ヘッド210aに余りにも多くの電流が供給されると、ヘッド210aは飽和し、書き込み磁場の等高線は余りにも大きく広がりデータを磁気記録ディスクのトラックに効果的に書き込むことができない。一方、ヘッド210aに供給される電流が余りに低いと、ヘッド210aにより生成される書き込み磁場の等高線はヘッド210aの余りに近くに位置しデータを磁気記録ディスクのトラックに効果的に書き込むことができない。結局、本発明の実施形態は、ヘッド210aへの電流をヘッド210aが有効な書き込み磁場を生成できるようにする電流の最小レベルと最大レベルとの間で調節するように電流調整部品420を実装することができる。
【0045】
一実施形態では、電流調整部品420は、ヘッド210aに供給される電流の全体の大きさを変調することができる。例えば、電流調整部品420は、ヘッド210aに供給される電流をおよそ+/−10〜15ミリアンペアの範囲で変調することができる。
【0046】
いくつかの例示的な機械的アクチュエータ430について述べると、本発明の実施形態によるHDDは主要な回転アクチュエータ432を含む。主要な回転アクチュエータ432とは、磁気記録ディスクの所望位置の上方へヘッド210aを位置決めするためにヘッドアームアセンブリ(HAA)300を回転する責任を負う機械的アクチュエータを指す。例えば、主要な回転アクチュエータ432は、ボイスコイルモータ(VCM)(キャリッジ234に取り付けられたボイスコイル240を含む電機子236を含む)と固定子244(ボイスコイル磁石を含む)とに相当してもよいし、あるいはこれらにより実装されてもよい。
【0047】
本発明の実施形態は微小機械アクチュエータ424を随意的に含むことができる。微小機械アクチュエータ424は、ヘッド210aと磁気記録ディスクの表面との間の一定距離を維持しながらヘッド210aをヘッドアームアセンブリ(HAA)300に対し動かす。微小機械アクチュエータ424は、ヘッド210aがデータを書き込み中にヘッド210aをヘッド210aが占めるべき所望位置のより近くに動かし(ヘッド210aと磁気記録ディスクの表面との間の一定距離を維持しつつ)て、データを書き込むべき磁気記録ディスクの表面上の場所にヘッド210aがデータを書き込むときの書き込み磁場の強さの増加を引き起こすことができる。書き込み磁場の強さの相対的変化は、磁気記録ディスクの表面上の所望書き込み場所の観点から、ヘッド210aにより書き込まれるデータが磁気記録ディスク上の所望場所(所望トラックなど)に位置付けられるようにする。
【0048】
本発明の実施形態はまた、随意的に微小飛行高度制御部436を含んでよく、これについては「微小飛行高度制御部」と表題をつけられた章で以下にさらに詳細に述べるものとする。
【0049】
本発明の実施形態は電流調整部品420、主要な回転アクチュエータ432、微小機械アクチュエータ434、微小飛行高度制御部436のうちの1つまたは複数を採用することができる。これらの部品は、ヘッド210aにより書き込まれるデータが磁気記録ディスク上の所望場所に位置付けられるように互いに協働することができる。したがって本発明のいくつかの実施形態は、電流調整部品420、主要な回転アクチュエータ432、微小機械アクチュエータ434、微小飛行高度制御部436のうちの1つまたは複数を含むことができるが、一方、本発明の他の実施形態は、電流調整部品420、微小機械アクチュエータ434、微小飛行高度制御部436のうちの1つまたは複数を含まなくてよい。
【0050】
次に本発明の実施形態の動作について、本発明の実施形態による電流調整部品420を含むHDDにより実行される機能工程を例示するフローチャート600である図6を参照して説明する。工程610では、ヘッド210aの現在位置が所望または最適位置におけるものではないという決定がなされる。一実施形態では、工程610の決定は、HDDにより採用されたサーボ制御ループ内のサーボコントローラ410によりなされてよい。上に検討したように、ヘッド210aの現在位置が所望または最適位置におけるものではない場合、サーボコントローラ410は、ヘッド210aにより読み取られた位置誤差信号(PES)を処理することにより、ヘッド210aは不正確に位置決めされたということを通知されてよい。ヘッド210aの現在位置が所望または最適位置におけるものではないという決定がなされた後、処理は工程620に進む。
【0051】
工程620では、ヘッド210aにより生成された電気的な書き込み磁場の強さまたはインパクトはヘッド210aの現在位置を補償するために変更される。例えば、磁気記録ヘッドの現在の位置が磁気記録ヘッドの所望位置より、書き込み中の現在のトラックの端からさらに離れているという決定に応答して、電流調整部品420は書き込み磁場の強さの増加を引き起こすために磁気記録ヘッド210aに供給される電流を増加する。一方、磁気記録ヘッドの現在の位置は磁気記録ヘッドの所望位置より、書き込み中の現在のトラックの端により近いという決定に応答して、電流調整部品420は書き込み磁場の強さの減少を引き起こすためにヘッド210aに供給される電流を減少させる。書き込み磁場の強さの変化は、磁気記録ヘッドにより書き込まれるデータが磁気記録ディスク上の所望場所(所望トラックなど)に位置付けられるようにする。このようにして、ヘッド210aの現在の場所が最適または望ましいとは言い難い位置にあるにもかかわらず、磁気記録ディスク上の所望場所にデータを依然として書き込むことができる。
【0052】
一実施形態では、工程620は電流調整部品420により実行されてよい。上に説明したように、電流調整部品420は、ヘッド210aの現在位置を補償するためにヘッド210aにより生成される書き込み磁場の強さの変化を引き起こすためにヘッド210aに供給される電流量を調整することができる。
【0053】
別の実施形態では、工程620は、主要な回転アクチュエータ432、微小機械アクチュエータ434、または微小飛行高度制御部436などの機械的アクチュエータと協働する電流調整部品420により実行されてよい。このような実施形態では、主要な回転アクチュエータ432、微小機械アクチュエータ434、または微小飛行高度制御部436のうちの1つまたは複数がヘッド210aの位置を所望または最適位置のより近くに動かす一方で、電流調整部品420はヘッド210aにより生成される書き込み磁場の強さの変化を引き起こすためにヘッド210aに供給される電流量を調整することができる。このように、電流調整部品420と1つまたは複数の機械的アクチュエータは、ヘッド210aの現在位置を補償するために、データの書き込みが望まれる磁気記録ディスク上の所望場所に対しヘッド210aにより生成される書き込み磁場の強さを調整するために協働することができる。
【0054】
別の実施形態では、工程620において、レーザー400は、表面の加熱部分が磁気記録ヘッドにより生成される書き込み磁場の影響にさらに敏感となるようにするために磁気記録ディスクの表面の一部を加熱するように使用されてよい。このような実施形態については、「位置の誤差を補正するためにレーザーを採用する」と表題がつけられた章において以下にさらに詳細に説明される。
【0055】
本発明の実施形態は、1つまたは複数のシングルトラックに対し、ヘッド210aにより生成される書き込み磁場を使用して磁気記録ディスクにデータを書き込むために、電流調整部品420を採用することができる。電流調整部品420を使用してヘッド210aにより書き込まれたデータはサーボ情報を含んでよい(必ずしも含む必要は無いが)。したがって本発明の実施形態は、1つまたは複数のトラック(必ずしもその必要は無いがシングルトラックであってよい)に対し、磁気記録ディスクにサーボ情報ではなくユーザーデータを書き込むために電流調整部品420を使用することができる。
【0056】
本発明のいくつかの実施形態により、データが磁気記録ディスク上の所望場所に書き込まれるようにするためにヘッド210aの現在の空間位置の誤差をどのように克服することができるかを説明したので、次に微小飛行高度制御部436についてのさらなる詳細について検討する。
【0057】
微小飛行高度制御部
本発明の一実施形態では、HDDは微小飛行高度制御部436を含む。微小飛行高度制御部436は、磁気記録ディスクの表面に対する書き込み磁場の強さを変更する目的のために、ヘッド210aと磁気記録ディスクの表面との間の距離を変更するように構成される。一実施形態では、微小飛行高度制御部436は、数ナノメータのオーダーでヘッド210aと磁気記録ディスクの表面との間の距離を変更するだけでよい。
【0058】
ヘッド210aの現在の位置は磁気記録ディスクの表面上の特定の場所へデータを書き込むための望ましいまたは最適な場所におけるものではないという図6の工程610の決定に応答して工程620を実行する場合、微小飛行高度制御部436は、データの書き込みが望まれる磁気記録ディスクの表面上の場所に対する書き込み磁場の強さの変化を引き起こすために、ヘッド210aを磁気記録ディスクの表面のより近くに動かすあるいはそれからから離すことができる。例えば、ヘッド210aの現在位置が所望または最適位置より、データの書き込みが望まれる磁気記録ディスクの表面上の場所からさらに離れている場合、微小飛行高度制御部436は、データの書き込みが望まれる磁気記録ディスクの表面上の場所に対する書き込み磁場の強さの増加を引き起こすためにヘッド210aを磁気記録ディスクの表面のより近くに動かすことができる。一方、ヘッド210aの現在位置が、所望または最適位置より、データの書き込みが望まれる磁気記録ディスクの表面上の場所のより近くにある場合、微小飛行高度制御部436は、データの書き込みが望まれる磁気記録ディスクの表面上の場所に対する書き込み磁場の強さの減少を引き起こすためにヘッド210aを磁気記録ディスクの表面から離すことができる。書き込み磁場の強さの変化は、磁気記録ヘッドにより書き込まれるデータが磁気記録ディスク上の所望場所に位置付けされるようにする。
【0059】
一実施形態では、ヘッド210aの現在位置と磁気記録ディスクの表面との間の距離が既に最適または所望長であっても、微小飛行高度制御部436は、ヘッド210aと磁気記録ディスクの表面との間の距離を変更することによりヘッド210aの位置合わせの誤差を補正するために使用されてよい。このようにして、最適または所望距離がヘッド210aと磁気記録ディスクの表面との間にあるにもかかわらず、ヘッド210aにより生成される書き込み磁場の強さを、データの書き込みが望まれる磁気記録ディスク上の所望場所に対し変更することができる。
【0060】
微小飛行高度制御部436を採用する本発明の実施形態はまた、電流調整部品420を採用してもよい(必ずしもその必要は無いが)。
【0061】
ヘッド位置の誤差に対処するためにレーザーを採用する。
一実施形態では、HDD200はレーザー400を含むことができる。レーザー400は、ヘッド120aが書き込もうとする磁気記録ディスクの表面上の場所にレーザー400がレーザービームを放射できるようにするHDD200内の任意の場所に位置付けられてよい。例えば、一実施形態では、レーザーはスライダ210bの後部上に一体化されてもよく、追加の電気接続はスライダ210bに対してなされてよく、あるいはレーザーはアームからまたはカード上から遠く離れていてもよい。一実施形態では、レーザー400により放射されたレーザービームは、光ファイバーまたは光導波路を通ってスライダ210bに誘導される。
【0062】
一実施形態では、レーザー400は、データの書き込みを意図する磁気書き込みディスクの表面上の場所に向けられる連続的なレーザービームを放射することができる。本発明の実施形態は、磁気記録ディスクの表面の一部が加熱される温度と加熱領域の大きさとについてのHDD200制御を行うことにより磁気記録ディスクにデータを書き込む処理を支援するために、レーザー400を採用することができる。磁気記録ディスクの表面の温度と、磁気記録ディスクの加熱部分に書き込むのに必要な書き込み磁場の強さとの間には明瞭な関係がある。レーザー400への電力を調整することにより、レーザー400により生成されるレーザービームの加熱効果を調整することができる。磁気記録ディスクの表面が加熱される温度を調整することにより、加熱場所へ書き込むのに必要な書き込み磁場の強さを変更することができる。
【0063】
このようにして、ヘッド210aの現在の位置が書き込み中の現在のトラックの端からの望ましい距離よりさらに離れている(したがって書き込み磁場の強さは望ましいものより小さい)という決定に応答して、レーザー400は、ヘッド210aがデータを書き込もうとする場所における磁気記録ディスクの表面上へより強いレーザービームを放射するために決定された量によりレーザー400への電力を増加することができる。レーザー400への電力が増加される量は、ディスク上の所望書き込み場所を所望書き込み場所に対する書き込み磁場の電流の強さに対し敏感にさせるために、レーザー400により生成されるレーザービームの加熱効果を増加するのに必要な電力の量である。このように、磁気記録ディスクの表面の一部を加熱するレーザー400の使用は、意図したものより弱い書き込み磁場を生成する空間位置にあるヘッド210aを補償することができ、これによりデータが磁気記録ディスクの表面上の意図した場所へ書き込まれるようにする。同様に、ヘッド210aの現在の位置が書き込み中の現在のトラックの端からの望ましい距離より近い(したがって書き込み磁場の強さは望ましいものより大きい)という決定に応答して、レーザー400は、ヘッド210aがデータを書き込もうとする場所における磁気記録ディスクの表面上へより弱いレーザービームを放射するために決定された量によりレーザー400への電力を減少させることができる。レーザー400への電力が減少される量は、ディスク上の所望書き込み場所を、所望書き込み場所に対する書き込み磁場の電流の強さに対し適切に敏感にさせるために、レーザー400により生成されるレーザービームの加熱効果を減少させるのに必要な電力の量である。
【0064】
一実施形態ではサーボコントローラ410はレーザー400を作動させる。したがってサーボコントローラ410はレーザー400への電力を制御する能力を有する。例えば、サーボコントローラ410は、レーザー400へ供給される電流または電圧を調整することによりレーザー400への電力を調整することができる。レーザー400へ供給される電力と、レーザー400により生成されるレーザービームにより加熱される領域の結果として生じる大きさとの間には直接的関係がある。このようにして、加熱領域の大きさと加熱領域の温度は、サーボコントローラ410により動的に制御されてよい。レーザーにより加熱される磁気記録ディスクの一部の熱勾配の最終的な大きさと特徴は、磁気記録ディスクの熱伝導率だけでなくレーザービームの強さによっても決定される。
【0065】
レーザーを採用する実施形態はまた電流調整部品を用いてもよい。このような実施形態では、サーボコントローラ410は、電流調整部品420、および/または磁気記録ヘッドにより書き込まれるデータが磁気記録ディスク上の所望場所に位置付けられるようにする機械的アクチュエータ430と併せてレーザーを使用することができる。
【0066】
上述の明細書では、本発明の実施形態は、実施形態毎に変化し得る多数の特定の詳細を参照し説明された。したがって、本発明であり本出願者により発明であることを意図しているものの唯一の指標は、特許請求範囲が由来する特定の形式の本出願に由来する一組の特許請求範囲であって、いかなる以後の補正も含む。このような特許請求範囲に含まれる用語の本明細書において明示的に記載されたいかなる定義も、特許請求の範囲に使用されるような用語の意味を規定するものとする。したがって、請求項内で明示的に記述されない限界、要素、特性、特徴、利点、または属性が、このような請求項の範囲を決して制限してはならない。したがって本明細書と添付図面は限定的ではなく例示的であると解釈するべきである。
【符号の説明】
【0067】
100 シングル書き込み処理
110,112 トラック
120 磁気記録ヘッド
130 等高線の拡大図
200 HDD
210 HGA
210a 磁気記録ヘッド
210b スライダ
210c リードサスペンション
210d ロードビーム
220 磁気記録ディスク
224 スピンドル
228 ディスククランプ
232 アーム
234 キャリッジ
236 電機子
240 ボイスコイル
244 固定子
248 ピボット軸
252 挿入ピボット軸受アセンブリ
256 フレキシブルケーブル
260 アーム電子回路モジュール
264 電気的コネクタブロック
268 HDD筐体
276 トラック
280 アーク
288 セクター化トラック部
300 HAA
400 サーボ制御ループ
410 サーボコントローラ
420 電流調整部品
430 機械的アクチュエータ
432 主要な回転アクチュエータ
434 微小機械アクチュエータ
436 微小飛行高度制御部
510,520 角ヘッド磁極先端
600 フローチャート
610,610 工程。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
磁気記録ヘッドと、
スピンドル上に回転自在に搭載された磁気記録ディスクと、
前記筐体内に搭載され、前記磁気記録ディスクを回転させる前記スピンドルに取り付けられたモータ軸を有する駆動モータと、
前記磁気記録ディスクの一部分にアクセスするために前記磁気記録ヘッドを動かすボイスコイルモータと、
前記磁気記録ヘッドと前記ボイスコイルモータと通信し、前記磁気記録ヘッドに指示して1つまたは複数のシングルトラック内の前記磁気記録ディスクにデータを書き込むディスクコントローラと、
前記磁気ヘッドの現在の位置が所望位置におけるものではないという決定に応答して、前記磁気記録ヘッドにより生成される書き込み磁場の強さの変化を引き起こすために前記磁気記録ヘッドに供給される電流量を制御し、前記書き込み磁場の強さの前記変化は、前記磁気記録ヘッドにより書き込まれるデータが前記磁気記録ディスク上の所望場所に位置付けられるようにする電流調整部品とを備えたハードディスク駆動装置。
【請求項2】
前記磁気記録ヘッドと前記磁気記録ディスクの表面との間の一定距離を維持しつつヘッドアームアセンブリに対し前記磁気記録ヘッドを動かし、前記磁気記録ヘッドにより書き込まれるデータが前記磁気記録ディスク上の前記所望場所に位置付けられるように前記電流調整部品と協働する微小機械アクチュエータを備えた請求項1に記載のハードディスク駆動装置。
【請求項3】
前記磁気記録ヘッドは、前記磁気記録ヘッドの角だけを使用して1つまたは複数のシングルトラック内の前記磁気記録ディスクにデータを書き込む請求項1に記載のハードディスク駆動装置。
【請求項4】
前記電流調整部品は、前記磁気記録ヘッドの前記現在の位置が前記磁気記録ヘッドの前記所望位置より、書き込み中の現在のトラックの端からさらに離れているという決定に応答して、前記書き込み磁場の強さの増加を引き起こすために前記磁気記録ヘッドに供給される前記電流を増加する請求項1に記載のハードディスク駆動装置。
【請求項5】
前記電流調整部品は、前記磁気記録ヘッドの前記現在の位置が前記磁気記録ヘッドの前記所望位置より、書き込み中の現在のトラックの端により近いという決定に応答して、前記書き込み磁場の強さの低下を引き起こすために前記磁気記録ヘッドに供給される前記電流を減少させる請求項1に記載のハードディスク駆動装置。
【請求項6】
1つまたは複数のシングルトラック内において前記磁気記録ヘッドにより書き込まれる前記データは、サーボ情報以外のデータを含む請求項1に記載のハードディスク駆動装置。
【請求項7】
前記磁気記録ディスクの前記表面に対する前記書き込み磁場の強さを変更する目的のために、前記磁気記録ヘッドと磁気記録ディスクの表面との間の距離を変更するように構成された微小飛行高度制御部を備えた請求項1に記載のハードディスク駆動装置。
【請求項8】
前記磁気記録ディスクの前記表面上にレーザービームを放射するレーザーを有し、
前記レーザーに供給される電力は、前記書き込み磁場に対し前記磁気記録ディスクの前記表面の前記加熱部分の感受性を調整するために変更され、
前記レーザーは、磁気記録ヘッドにより書き込まれるデータが前記磁気記録ディスク上の前記所望場所に位置付けられるように前記電流調整部品と協働する請求項1に記載のハードディスク駆動装置。
【請求項9】
筐体と、
磁気記録ヘッドと、
スピンドル上に回転自在に搭載された磁気記録ディスクと、
前記筐体内に搭載され、前記磁気記録ディスクを回転させる前記スピンドルに取り付けられたモータ軸を有する駆動モータと、
前記磁気記録ディスクの一部分にアクセスするために前記磁気記録ヘッドを動かすボイスコイルモータと、
前記磁気記録ヘッドと前記ボイスコイルモータと通信し、前記磁気記録ヘッドに指示して1つまたは複数シングルトラック内の前記磁気記録ディスクへデータを書き込むディスクコントローラと、
前記磁気記録ディスクの前記表面に対する前記磁気記録ヘッドにより生成される前記書き込み磁場の強さを変更する目的のために、前記磁気記録ヘッドと磁気記録ディスクの表面との間の距離を変更するように構成された微小飛行高度制御部であって、前記書き込み磁場の強さの前記変化は、前記磁気記録ヘッドにより書き込まれるデータが前記磁気記録ディスク上の所望場所に位置付けられるようにする微小飛行高度制御部とを備えたハードディスク駆動装置。
【請求項10】
前記ディスクコントローラからの命令の受信に応答して、前記書き込み磁場の強さの変化を引き起こすために前記磁気記録ヘッドに供給される電流量を変更する電流調整部品を備えた請求項9に記載のハードディスク駆動装置。
【請求項11】
前記磁気記録ヘッドと前記磁気記録ディスクの表面との間の一定距離を維持しつつヘッドアームアセンブリに対し前記磁気記録ヘッドを動かす微小機械アクチュエータであって、前記磁気記録ヘッドにより書き込まれるデータが前記磁気記録ディスク上の前記所望場所に位置付けられるように前記微小飛行高度制御部と協働する微小機械アクチュエータを備えた請求項9に記載のハードディスク駆動装置。
【請求項12】
表面の加熱部分が前記書き込み磁場の影響にさらに敏感となるようにするために前記磁気記録ディスクの前記表面の一部を加熱する目的のために、前記磁気記録ディスクの前記表面上にレーザービームを放射するように構成されたレーザーであって、前記レーザーへ供給される電力は、前記書き込み磁場に対し前記磁気記録ディスクの前記表面の前記加熱部分の感受性を調整するために変更されてよく、前記レーザーは前記磁気記録ヘッドにより書き込まれるデータが前記磁気記録ディスク上の前記所望場所に位置付けられるように前記微小飛行高度制御部と協働するレーザーを備えた請求項9に記載のハードディスク駆動装置。
【請求項13】
筐体と、
磁気記録ヘッドと、
スピンドル上に回転自在に搭載された磁気記録ディスクと、
前記筐体内に搭載された駆動モータであって、前記磁気記録ディスクを回転させる前記スピンドルに取り付けられたモータ軸を有する、駆動モータと、
前記磁気記録ディスクの一部分にアクセスするために前記磁気記録ヘッドを動かすように構成されたボイスコイルモータと、
前記磁気記録ヘッドと前記ボイスコイルモータと通信するように構成されたディスクコントローラであって、前記磁気記録ヘッドに指示して1つまたは複数シングルトラックの前記磁気記録ディスクへデータを書き込むように構成されたディスクコントローラと、
表面の加熱部分が前記書き込み磁場の影響にさらに敏感となるようにするために前記磁気記録ディスクの前記表面の一部を加熱する目的のために、前記磁気記録ディスクの前記表面上にレーザービームを放射するように構成されたレーザーであって、前記レーザーへ供給される電力は、前記書き込み磁場に対し前記磁気記録ディスクの前記表面の前記加熱部分の感受性を調整するために変更されてよく、前記書き込み磁場に対する前記磁気記録ディスクの前記表面の前記加熱部分の感受性の前記調整は、前記磁気記録ヘッドにより書き込まれるデータが前記磁気記録ディスク上の前記所望場所に位置付けられるようにするレーザーを備えたハードディスク駆動装置。
【請求項14】
前記磁気記録ヘッドと前記磁気記録ディスクの表面との間の一定距離を維持しつつヘッドアームアセンブリに対し前記磁気記録ヘッドを動かす微小機械アクチュエータであって、前記磁気記録ヘッドにより書き込まれるデータが前記磁気記録ディスク上の前記所望場所に位置付けられるように前記レーザーと協働する、微小機械アクチュエータを備えた請求項13に記載のハードディスク駆動装置。
【請求項15】
前記磁気記録ディスクの前記表面に対する前記磁気記録ヘッドにより生成される前記書き込み磁場の強さを変更する目的のために、前記磁気記録ヘッドと磁気記録ディスクの表面との間の距離を変更するように構成された微小飛行高度制御部であって、前記微小機械アクチュエータは、前記磁気記録ヘッドにより書き込まれるデータが前記磁気記録ディスク上の前記所望場所に位置付けられるように前記レーザーと協働する、微小飛行高度制御部をさらに含む、請求項13に記載のハードディスク駆動装置。
【請求項16】
前記ディスクコントローラからの命令の受信に応答して、前記磁気記録ヘッドにより生成される書き込み磁場の強さの変化を引き起こすために前記磁気記録ヘッドに供給される電流量を変更する電流調整部品であって、前記書き込み磁場の強さの前記変化は、前記磁気記録ヘッドにより書き込まれるデータが前記磁気記録ディスク上の所望場所に位置付けられるようにし、前記レーザーは前記磁気記録ヘッドにより書き込まれるデータが前記磁気記録ディスク上の前記所望場所に位置付けられるように前記電流調整部品と協働する電流調整部品を備えた請求項13に記載のハードディスク駆動装置。
【請求項17】
請求項8または13に記載のハードディスク駆動装置であって、
スライダを備え、
前記レーザーは、前記スライダの後部上に一体化されたハードディスク駆動装置。
【請求項18】
前記レーザーは、前記スライダの外部に位置決めされ、
前記レーザービームは、光ファイバーまたは光導波路を通って所望場所に向けられる請求項8または13に記載のハードディスク駆動装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2010−262728(P2010−262728A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−101871(P2010−101871)
【出願日】平成22年4月27日(2010.4.27)
【出願人】(503116280)ヒタチグローバルストレージテクノロジーズネザーランドビーブイ (1,121)
【Fターム(参考)】