説明

HLA結合性ペプチド及びその用途

【課題】所望の抗原に対する免疫応答を誘導するのに有用なペプチドの提供。
【解決手段】本発明は、特定の MHCアレルに特異的に結合する及び MHCアレルにより限定されるT細胞におけるT細胞活性化を誘発することのできるペプチド組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はウィルス性障害及び癌の如きの数多くの病理的症状を予防、処置又は診断するための組成物及び方法に関する。特に、本発明は特定の主要組織適合性複合体(MHC) 分子に結合することができ、且つ免疫応答を誘発することができる新規ペプチドを提供する。
【背景技術】
【0002】
MHC分子はクラスI又はクラスII分子に分類されている。クラスII MHC分子は免疫応答を開始及び持続することにかかわっている細胞、例えばTリンパ球、Bリンパ球、マクロファージ等の上に主に発現される。クラスII MHC分子はヘルパ−Tリンパ球により認識され、そしてヘルパ−Tリンパ球の繁殖及び表示される特定の免疫原性ペプチドに対する免疫応答の増幅を誘発する。クラスI MHC分子はほとんど全ての有機細胞上で発現され、そして細胞障害性Tリンパ球(CTLs)により認識される。これによりこのTリンパ球はこの抗原担持細胞を破壊する。CTLsは腫瘍拒絶において、及びウィルス感染症との戦いにおいて特に重要である。 CTLは、完全な外来抗原自体よりはむしろ、 MHCクラスI分子に結合したペプチドフラグメントの形態における抗原を認識する。この抗原は通常は細胞により内生的に合成されねばならず、そしてこのタンパク質抗原の一部は細胞質の中で小さなペプチドフラグメントへと分解される。これらの小さなペプチドの一部はプレ−ゴルジ区画に移動し、そしてクラスI重鎖と相互作用して適正な折りたたみ及びβ2ミクログロブリンサブユニットとの会合を助長する。このペプチド− MHCクラスI複合体は次いで発現及び特異的な CTLによる潜在的な認識のために細胞表層へと送られる。
【0003】
ヒト MHCクラスI分子HLA-A2.1の結晶構造の調査は、クラスI重鎖のα1及びα2ドメインの折りたたみによりペプチド結合性溝(groove)が作られることを示唆している(Bjorkmanら、Nature 329 : 506 (1987)) 。しかしながら、これらの調査において、溝に結合するペプチドの種類は決定されていない。
Buusら、Science 242:1065 (1988) は最初に MHCからの結合ペプチドの酸性溶離のための方法を述べている。その後、Rammesee及びその協同研究者は(Falkら、Nature 351:290 (1991)) はクラスI分子に結合した天然プロセスを受けたペプチドを特定する手法を開発した。その他の研究者は、質量分析法によりBタイプ(Jardetzkyら、Nature 353:326 (1991)) 及びA2.1タイプ(Huntら、Science 225 : 1261 (1992))のクラスI分子から溶離させたペプチドの、慣用の自動配列決定による、様々なHPLC画分中のより豊富なペプチドの直接的なアミノ酸配列決定の成功を収めている。 MHCクラスIにおける天然にプロセスを受けたペプチドの特徴の所見についてはRotzschke 及びFalk(Rotzchke and Falk, Immunol. Today 12:447(1991)に紹介されている。
【0004】
Setteら、Proc.Natl.Acad.Sci. USA 86 : 3296 (1989) は、MHC結合性能力を推定するのに MHCアレル特異性モチーフを利用できることを示している。 Schaefferら、Proc.Natl.Acad.Sci. USA 86 : 4649 (1989) は MHC結合が免疫原性に関係していることを示している。幾人かの著者(De Brujinら、Eur.J.Immunol., 21:2963-2970(1991) ; Pamerら、991 Nature 353:852-955 (1991)) は、クラスI結合性モチーフを動物モデルにおける潜在的な免疫原性ペプチドの同定に応用できうる予備的な証拠を提供している。一定のクラスIアイソタイプの多数のヒトアレルに対して特異的なクラスIモチーフはまだ開示されていない。このような異なるアレルの組合せ頻度は、ヒト異系交配集団の大部分又はおそらくは過半数を包括するほど十分に高いべきことが所望される。
当業界における開発にもかかわらず、従来技術はこの研究を基礎とする有用なヒトペプチドベースワクチン又は治療剤を供していない。本発明はこれら及びその他の利点を提供する。
【発明の開示】
【0005】
本発明は MHCクラスI分子に対する結合性モチーフを有する免疫原性ペプチドを含んで成る組成物を提供する。この免疫原性ペプチドは一般に約8〜約11残基数であり、そして適当な MHCアレルによりエンコードされる結合性タンパク質にかかわる保存残基を含んで成る。
例えば、HLA-A3.2に関するモチーフは、N末端からC末端に至るまで、2位においてのL,M,I,V,S,A,T及びFの第一保存残基並びにC末端においてのK,R又はYの第二保存残基を含んで成る。その他の第一保存残基はC,G又はD、そして他にEである。その他の第二保存残基はH又はFである。第一と第二保存残基とは好ましくは6〜7残基離れている。
【0006】
HLA-A1に関するモチーフは、N末端からC末端に至るまで、T,S又はMの第一保存残基、D又はEの第二保存残基、及びYの第三保存残基を含んで成る。その他の第二保存残基はA,S又はTである。第一及び第二保存残基は隣接しており、そして好ましくは6〜7残基で第三保存残基と離れている。第二モチーフはE又はDの第一保存残基及びYの第二保存残基より成り、ここで第一と第二保存残基とは5〜6残基離れている。
【0007】
HLA-A11に関するモチーフは、N末端からC末端に至るまで、2位においてのT又はVの第一保存残基及びKのC末端保存残基を含んで成る。この第一と第二保存残基とは好ましくは6又は7残基離れている。
【0008】
HLA-A24.1に関するモチーフは、N末端からC末端に至るまで、2位においてのY,F又はWの第一保存残基及びF,I,W,M又はLのC末端保存残基を含んで成る。この第一と第二保存残基とは6〜7残基離れている。
【0009】
いくつかの潜在的な標的タンパク質上のエピトープがこの方法で同定されうる。適当な抗原の例には、前立腺特異性抗原(PSA) 、B型肝炎コア及び表層抗原(HBVc, HBVs)、C型肝炎抗原、悪性黒色腫抗原(MAGE-1)、エプスタイン−バーウィルス抗原、ヒト免疫不全1−型ウィルス(HIV1)及びパピロマウィルス抗原が含まれる。これらのペプチドは従って生体内及び生体外の両方における治療及び診断用途にとっての薬理組成物において有用である。
【0010】
定 義
「ペプチド」なる語は、本明細書においては「オリゴペプチド」と同義語で、一連の残基、典型的にはL−アミノ酸であって、互いと、典型的には隣り合うアミノ酸のアルファーアミノ基とカルボニル基との間でのペプチド結合によって連結し合っているものを意味するために用いている。本発明のオリゴペプチドは長さにおいて約15残基未満であり、そして通常は約8〜約11残基、好ましくは9又は10残基より成る。
「免疫原性ペプチド」とは、アレル特異性モチーフを含んで成り、従って MHCアレルと結合し、そして CTL応答を誘発することのできるペプチドである。従って、免疫原性ペプチドは適当なクラスI MHC分子に結合することができ、そして免疫原性ペプチドが起源とする抗原に対する細胞障害性T細胞応答を誘発することができる。
【0011】
「保存残基」とは、ペプチドモチーフ中の特定の位置においてランダム分布により予測されるであろうものよりも有意に高い頻度において認められるアミノ酸である。典型的には、保存残基は、それにおいて免疫原性ペプチドが MHC分子との接点を供しうるものである。規定の長さのペプチド内の1〜3、好ましくは2の保存残基が免疫原性ペプチドについてのモチーフを規定する。これらの残基は典型的にはペプチド結合溝と密着しており、ここでその側鎖は溝自体の特定のポケットの中に埋まっている。典型的には、免疫原性ペプチドは3まで保存残基、より通常には2の保存残基を含んで成るであろう。
【0012】
本明細書において用いている「ネガティブ結合性残基」とは、ペプチド内に適切な保存残基が存在しているにもかかわらず、それが一定の位置にあるとしたならば非結合因子又は弱結合因子であるペプチドをもたらすであろう、換言すれば CTL応答を誘発することのないペプチドをもたらすであろうアミノ酸である。
【0013】
「モチーフ」なる語は、特定の MHCアレルにより認識される、規定の長さ、通常は約8〜約11のアミノ酸のペプチドにおける残基のパターンを意味する。このペプチドモチーフは典型的には各ヒトMHCアレルに関して異なり、そして保存性の高い残基のパターンにおいて相違する。
【0014】
アレルに関する結合性モチーフは精度の度合いの上昇と共に特定されうる。あるケースにおいては、保存残基は全てペプチドの中の適正な位置に存在しており、そしてネガティブな結合性残基はない。
「単離」又は「生物学的に純粋」なる表現は、その天然状態において認められる通常付随している成分を実質的に又は本質的に含まない物質を意味する。従って、本発明のペプチドはインシトウ(insitu)の環境において通常結合している物質、例えば抗原表示細胞上の MHCI分子を含まない。たとえタンパク質が均質又は主要バンドに至るまで単離されても、所望のタンパク質と一緒に精製されてしまう5〜10%の範囲の天然タンパク質の微量夾雑物がある。本発明の単離ペプチドはかかる内生共精製タンパク質を含まない。
「残基」なる語は、アミド結合又は擬アミド結合によりオリゴペプチドの中に組まれたアミノ酸又は擬アミノ酸を意味する。
【0015】
好適な態様の詳細
本発明はヒトクラスI MHC(時折り HLAと呼ぶ)アレルサブタイプに関するアレル特異性ペプチドモチーフの決定に関する。これらのモチーフは任意の所望の抗原、特にヒトウィルス性障害又は癌にかかわるものに由来するT細胞エピトープであって、それに関する潜在的な抗原標的のアミノ酸配列が公知であるものを特定するのに利用できる。
いくつかの潜在的な標的タンパク質上のエピトープがこの方法で同定できうる。適切な抗原の例には、前立腺特異性抗原(PSA) 、B型肝炎コア及び表層抗原(HBVc, HBVs)、C型肝炎抗原、エプスタイン−バーウィルス抗原、黒色腫抗原(例えばMAGE-1)、パピロマウィルス(HPV) 抗原が含まれる。
これらのエピトープを含んで成るペプチドを合成し、次いで適当な MHC分子に対するその結合能力について、例えば、精製クラスI分子及び放射性ヨウ素化ペプチド並びに/又はエンプティー(空の)クラスI分子を用いるアッセイ、例えば免疫蛍光染色及びフローマイクロフルオロリメトリー、ペプチド依存性クラスI集成アッセイ、並びにペプチド競合による CTL認識の阻害で、試験する。クラスI分子に結合するこれらのペプチドを、潜在的な治療剤としての、感染又は免疫化個体に由来するCTLsにとっての標的として働くその能力、及びウィルス感染化標的細胞又は腫瘍細胞と反応することのできる CTL集団を発生せしめうる一次インビトロ又はインビボ CTL応答を誘発するその能力について更に評価する。
【0016】
MHCクラスI抗原はHLA-A, B及びC遺伝子座によりエンコードされる。 HLA-A及びB抗原は細胞表層においてほぼ同等の密度において発現され、一方、 HLA-Cの発現は有意に低い(おそらくは10分の1)。これらの遺伝子座それぞれはいくつかのアレルを有する。
本発明のペプチド結合性モチーフは各アレルのサブタイプに対して相対的に特異性である。
ペプチドベースワクチンに関して、本発明のペプチドは好ましくはヒト集団において幅広い分布を有する MHCI分子により認識されるモチーフを含んで成る。 MHCアレルは異なる人種群及び民族において異なる頻度で認められるため、標的 MHCアレルの選択は標的集団に基づきうる。表1は様々な民族間での HLA-A遺伝子座産物での様々なアレルの頻度を示す。例えば、コーカサス人の集団の過半数は4種の HLA-Aアレルサブタイプ、詳しくはHLA-A2.1, A1, A3.2及び A24.1に結合するペプチドにより包括されうる。同様に、アジア人の集団の過半数は5番目の HLA-A11.2に結合するペプチドの追加で包括されうる。
【0017】
【表1】

【0018】
表はB.DuPont, Immunobiology of HLA, Vol.I, Histocompatibility Testing 1987, Springer-Verlag, New York 1989より集計。
* N−ニグロ人;A=アジア人;C=コーカサス人。かっこ内の数字は分析に含まれる個体数を表わす。
ペプチド化合物を説明するために用いる命名法は慣用の習慣に従っており、それにおいてはアミノ基を各アミノ酸残基の左側(N−末端)、そしてカルボキシル基をその右側(C−末端)に示している。本発明の特定の選ばれた態様を示す式においては、そのアミノ末端基及びカルボキシル末端基は、特に示していないが、何らかのことわりのない限り、生理学的pHにおいてそれらが帯びるであろう形態にある。アミノ酸構造式において、各残基は一般に標準の3文字又は1文字表示により表わしている。L−型のアミノ酸残基は大文字1文字により、又は3文字記号の最初の文字の大文字により表わされ、そしてそのD−型は小文字1文字により、又は3文字記号の最初の文字の小文字により表わされる。グリシンは不斉炭素原子を有さず、そして単に「Gly 」又はGで称している。
本発明のペプチドを同定するために用いる手順は一般に、引用することで本明細書に組入れるFalkらのNature 351:290 (1991)に開示の方法に従う。簡単には、この方法は MHCクラスI分子の、典型的には適当な細胞又は細胞系からの免疫沈殿又はアフィニティークロマトグラフィーによる大量スケール単離を包括する。当業者に同等に知られる所望の MHC分子の単離のためのその他の方法の例にはイオン交換クロマトグラフィー、レクチンクロマトグラフィー、サイズ排除、高性能リガンドクロマトグラフィー、及び上記の技術全ての組合せが含まれる。
【0019】
特定の MHC分子、特に MHCクラスI分子を有する数多くの細胞が知られ、そして容易に入手できる。例えば、ヒト EBV形質転換B細胞系はクラスI及びクラスII MHC分子の分取単離にとっての優れた起源であることが知られている。よく特性化された細胞系が私的及び商業的起源、例えばアメリカン タイプ カルチャー コレクション(「Catalogue of Cell Lines and Hybridomas」第6版(1988)Rockville, Maryland, U.S.A);ナショナル インスティチュート オブ ゼネラル メディカル サイエンス 1990/1991 Catalog of Cell Lines (NIGMS) ;ヒューマン ジェネティック ミュータント セル レポジトリー、Camden, NJ;及びASHIレポジトリー,ビングハム アンド ウォメンズ ホスピタル,75 Francis Street, Boston, MA 02115より入手できる。表2は HLA-Aアレルにとっての起源として利用するのに適当ないくつかのB細胞系を挙げている。これらの細胞系は全て大型バッチの中で増殖でき、それ故 MHC分子の大量生産にとって有用である。当業者は、これらは単なる代表的な細胞系であり、そして数多くのその他の細胞起源が採用されうることを認識しているであろう。 HLA-B及び HLA-Cに対してホモ接合性の類似の EBV B細胞系が HLA-B及び HLA-Cアレルそれぞれにとっての起源として働きうる。
【0020】
【表2】

【0021】
典型的なケースにおいては、免疫沈殿を所望のアレルに単離するために用いる。使用する抗体の特異性に応じて数多くのプロトコールが使用されうる。例えば、アレル−特異性 mAb試薬はHLA-A, HLA-B及び HLA-C分子のアフィニティー精製のために使用できうる。HLA-A分子の単離のためにいくつかの mAb試薬が入手できる(表3)。従って、標的化 HLA-Aアレルそれぞれに関して、 HLA-A分子の直接的な単離のために利用することのできうる試薬が入手できる。標準の技術を用いてこれらの mAbで調製されたアフィニティーカラムは関連の HLA-Aアレル産物を精製するのに効果的に利用される。
アレル特異性 mAbに加えて、広域反応性抗−HLA-A, B, C mAbs、例えばW6/32及び B9.12.1、並びに一の抗−HLA-B, C mAb, B1.23.2が、下記の実施例の章に記載の他のアフィニティー精製プロトコールに利用できうる。
【0022】
【表3】

【0023】
単離 MHC分子のペプチド結合性溝に結合したペプチドは酸処理を利用して一般に溶離される。ペプチドは様々な標準変性手段、例えば熱、pH、清浄剤、塩、カオトロピック剤又はそれらの組合せによりクラスI分子から解離することもできる。
ペプチド画分を逆相高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)により MHC分子から更に分離させ、そして配列決定する。ペプチドは当業者によく知られている様々なその他の標準手段、例えば濾過、限外濾過、電気泳動、サイズクロマトグラフィー、特異的な抗体による沈殿、イオン交換クロマトグラフィー、等電点電気泳動等により分離されうる。
【0024】
単離ペプチドの配列決定は標準の技術、例えばエドマン分解により実施されうる(Hunkapiller, M.W.ら、Methods Enzymol. 91, 399〔1983〕)。配列決定にとって適当なその他の方法には、従来から述べられている個々のペプチドの質量分析配列決定が含まれる(Huntら、Science 225:1261 (1992) 、これは引用することで本明細書に組入れる)。様々なクラスI分子由来のバルクの異種ペプチド(例えばプールしたHPLC画分)のアミノ酸配列決定は典型的には各クラスIアレルにとっての特徴的な配列モチーフを示す。
種々のクラスIアレルに特異的なモチーフの特定は、アミノ酸配列のわかっている抗原性タンパク質由来の潜在的なペプチドエピトープの同定を可能にする。典型的には、潜在的なペプチドエピトープの同定は、まずモチーフの存在について、所望の抗原のアミノ酸配列をスキャンするコンピューターを使用して行われる。エピトープの配列を次に合成する。 MHCクラス分子に結合する能力は様々な異なる方法で測定される。一の手段は下記の実施例10に記載のクラスI分子結合アッセイである。文献に記載されているその他の択一的な方法には、抗原表示(Setteら、J.Immunol. 141:3893 (1991))、インビトロ集成アッセイ(Townsendら、Cell 62 : 285 (1990)) 及び突然変異ellsを用いるFACSベースアッセイ、例えばRMA.S(Meliefら、Eur.J.Immunol. 21 : 2963 (1991))が含まれる。
【0025】
次に、 MHCクラスI結合アッセイにおいて試験陽性であるペプチドを、インビトロで、特異的な CTL応答を誘発するペプチドの能力についてアッセイする。例えば、ペプチドとインキュベートした抗原表示細胞は、応答細胞集団における CTL応答を誘発する能力についてアッセイされうる。抗原表示細胞は正常細胞、例えば末梢血液単核細胞又は樹状細胞(Inabaら、J.Exp.Med. 166:182 (1987);Boog, Eur.J.Immunol. 18 : 219 〔1988〕)でありうる。
他方、クラスI分子に内部プロセスを受けたペプチドを負荷する能力を欠く突然変異哺乳動物細胞系、例えばマウス細胞系 RMA-S (Karreら、Nature 319:675 (1986);Ljunggrenら、Eur.J.Immunol. 21:2963-2970 (1991)) 及び人体T細胞ハイブリドーマ、T−2(Cerundoloら、Nature 345:449-452 (1990)) 、並びに適当なヒトクラスI遺伝子でトランスフェクトされたものが、インビトロで一次 CTL応答を誘発するペプチドの能力について試験するために、それにペプチドを加えるとき、好適に利用される。使用できうるその他の真核細胞系には様々な昆虫細胞系、例えば蚊の幼虫(ATCC細胞系CCL 125, 126, 1660, 1591, 6585, 6586)、蚕(ATCC CRL 8851) 、行列うじ(ATCC CRL 1711) 、蛾(ATCC CCL 80) 及びしょうじょうばえ細胞系、例えばシュナイダー(Schneider) 細胞系(Schneider J.Embryol.Exp.Morphol. 27 : 353-365 (1927)) が含まれる。それらは、適当なヒトクラスI MHCアレルをエンコードする遺伝子及びヒトβ2ミクログロブリン遺伝子でトランスフェクトされている。
【0026】
末梢血液リンパ球は好都合には、正常ドナー又は患者の単純な静脈穿刺又は白血球搬送に従って好適に単離され、そして CTL前駆体の応答細胞起源として使用される。一の態様において、適当な抗原表示細胞を、無血清培地中の10〜100 μMのペプチドと、適当な培養条件下で4時間インキュベートする。このペプチド負荷した抗原表示細胞を次にインビトロで7〜10日間、最適培養条件下で応答細胞集団とインキュベートする。陽性 CTL活性化は、放射性ラベル化標的細胞、即ち、特異的なペプチドをパルスした標的、並びにペプチド配列が由来する関連のウィルス又は腫瘍抗原の内性プロセスを受けた形態を発現する標的細胞の両者を殺障する CTLの存在について培養物をアッセイすることにより決定できうる。
CTLの特異性及び MHC制限は、適切な又は不適切なヒト MHCクラスIを発現する様々なペプチド標的細胞に対して試験することにより決定される。 MHC結合アッセイにおいて試験陽性であり、且つ特異的な CTL応答を発生せしめるペプチドを本明細書において免疫原性ペプチドと呼んでいる。
免疫原性ペプチドは合成的に、もしくは組換 DNA工学的に調製されうるか、又は天然起源、例えば完全ウィルスもしくは腫瘍から単離されうる。このペプチドはその他の天然の宿主細胞タンパク質及びそのフラグメントを実質的に含まないことが好ましいが、しかしながら一部の態様においては、このペプチドは天然フラグメント又は粒子に合成的に抱合されうる。このポリペプチド又はペプチドは様々な長さであってよく、その天然(無帯電)形態又は塩の形態のいづれかでよく、そして改質、例えばグリコシル化、側鎖酸化もしくはリン酸化を含んでいないか、又はこれらの改質を、その改質が本明細書に記載のポリペプチドの生物活性を破壊しないことを条件として含んでいてよい。
【0027】
所望するには、このペプチドは可能な限り小さく、同時に、大型のペプチドの生物活性全てを実質的に保持し続ける。可能ならば、本発明のペプチドを、細胞表層上の MHCクラスI分子に結合している内生プロセスを受けたウィルス性ペプチド又は腫瘍細胞ペプチドとサイズにおいてつり合った9又は10のアミノ酸残基の長さへと最適化することが所望される。
所望の活性を有するペプチドは、一定の所望の性質、例えば向上した薬理的特徴を供し、同時に未改質ペプチドの所望の MHC分子に結合する及び適当なT細胞を活性化させる生理学的活性を高める又は少なくとも実質的にその全てを維持するように必要なだけ改質してよい。例えば、これらのペプチドは様々な改変、例えば置換(保存的又は非保存的)にかけてよく、この場合、かかる改変はその用途において一定の利点、例えば向上した MHC結合性を供しうる。保存的置換とは、あるアミノ酸残基を、生物学的及び/又は化学的に類似の別のものと交換すること、例えばある疎水性残基を別のもの、又はある極性残基を別のものと交換することをいう。この置換には、Gly, Ala;Val, Ile, Leu, Met;Asp, Glu;Asn, Gln;Ser, Thr;Lys, Arg;及びPhe, Tyrの如きの組合せが含まれる。単一のアミノ酸置換はD−アミノ酸を用いて行ってもよい。かかる改質は公知のペプチド手順、例えば引用することで本明細書に組入れる、Merrifield, Science 232:341-347 (1986), BaranyとMerrifield, The Peptides, Gross and Meienhofer編(N.Y. Academic Press) 頁1-284 (1979);及び Stewartと Young, Solid Phase peptide Synthesis, (Rockford, I11., Pierce) 第2版(1984)に記載の手順を用いて行われうる。
【0028】
これらのペプチドはその化合物のアミノ酸配列を伸ばす又は減らすことにより、例えばアミノ酸の付加又は欠失により改質させてもよい。本発明のペプチド又は類似体は一定の残基の順序又は組成を変えることにより改質することもでき、生物学的活性にとって必須の一定のアミノ酸残基、例えば重要な接触部位にあるもの又は保存残基は、生物学的活性に悪影響を及ぼすことなく一般に改変することができないことは容易に理解されるであろう。重要でないアミノ酸はタンパク質中の天然のもの、例えばL−α−アミノ酸又はそのD−異性体に限らず、非天然アミノ酸、例えばβ−γ−δ−アミノ酸、及びL−α−アミノ酸の数多くの誘導体が含まれうる。
典型的には、単一のアミノ酸置換を有する一連のペプチドを、結合に及ぼす静電荷、疎水性等の作用を決定するために採用する。例えば、一連の正帯電した(例えば Lys又はArg)又は負帯電した(例えば Glu)アミノ酸置換を、様々な MHC分子及びT細胞レセプターに対して種々の感受性パターンを示しているペプチド伝いに施す。更に、小さな、比較的中性な成分、例えば Ala, Gly, Pro又は類似の残基を用いる多重置換を採用してよい。これらの置換はホモオリゴマー又はヘテロ−オリゴマーであってよい。置換又は付加する残基の数及び種類は、必須の接点間の間隔及び期待する一定の機能的性質(例えば疎水性、対、親水性)に依存する。親ペプチドの親和性に比しての、 MHC分子又はT細胞レセプターに対する高められた結合親和性も、かかる置換によって達し得る。あらゆる状況において、かかる置換は、結合性を破壊しうる例えば立体及び帯電障害を回避するように選ばれるアミノ酸残基又はその他の分子フラグメントを採用すべきである。
【0029】
アミノ酸置換は典型的には単一残基とする。置換、欠失、挿入又は任意のそれらの組合せを最終ペプチドにおいて現れるように組合せてよい。置換変異体はペプチドのうちの少なくとも一残基が除去され、そしてその場所に別の残基が挿入されているものである。かかる置換は、ペプチドの特徴を適当に調節することを所望するとき、一般には下記の表4に従って行う。
【0030】
【表4】

【0031】
機能(例えば、 MHC分子又はT細胞レセプターに対する親和性)の実質的な変更は、表4におけるものより保存性の低い置換を選ぶ、即ち、(a)置換領域におけるペプチド骨格の構造、例えばシートもしくはヘリックスコンホメーション、(b)標的部位での分子の帯電もしくは疎水性、又は(c)側鎖のかさ高さ、の維持に及ぼすその効果においてより有意に異なる残基を選ぶことによりなされる。一般にはペプチドの特性において最大の変更をもたらすものと予測される置換は、(a)親水性残基、例えばセリルを(により)疎水性残基、例えばロイシル、イソロイシル、フェニルアラニル、バリルもしくはアラニルに(を)置換する;(b)正電側鎖を有する残基、例えばリシル、アルギニルもしくはヒスチジルを(により)、負電側鎖を有する残基、例えばグルタミルもしくはアスパルチルに(を)置換する;又は(c)かさ高い側鎖を有する残基、例えばフェニルアラニンを(により)、側鎖を有さないもの、例えばグリシンに(を)置換する、ものであろう。
【0032】
これらのペプチドは免疫原性ペプチドの中に2以上の残基の同配体(isostere)も含んで成りうる。ここで定義する同配体とは、2以上の残基数の配列であって、第二配列を置換することのできる配列であり、なぜならこの第一の配列の立体コンホメーションが第二配列に特異的な結合部位に整合するからである。この語は特に、当業者によく知られているペプチド骨格改質を含む。かかる改質にはアミド窒素、α−炭素、アミドカルボニルの改質、アミド結合の完全交換、伸長、欠失又は骨格架橋が含まれる。一般にはSpatola, Chemistry and Biochemistry of Amino Acids, peptides and Proteins, Vol.VII (Weinstein編、1983)を参照のこと。
様々な擬アミノ酸又は非天然アミノ酸によるペプチドの改質はインビボでのペプチドの安定性を高めるうえで特に有用である。安定性は数多くの方法でアッセイされうる。例えば、ペプチダーゼ及び様々な生物学的媒体、例えば血漿及び血清が安定性を試験するのに用いられている。例えば、 Verhoefら、Eur.J.Drug Metab Pharmacokin. 11 : 291-302 (1986)を参照のこと。本発明のペプチドの半減期は25%のヒト血清(v/v)アッセイを用いて慣用的に決定される。このプロトコールは一般に下記の通りである。プールしたヒト血清(AB型、非熱不活性化)を使用前に遠心により脱脂する。次にこの血清をRPMI組織培養培地で25%にまで希釈し、そしてペプチドの安定性を試験するために用いる。所定の時間間隔において、少量の反応溶液を取出し、そして6%の水性トリクロロ酢酸又はエタノールに加える。濁った反応サンプルを15分間冷やし(4℃)、次いで沈殿した血清タンパク質をペレットにするために遠心する。次に、ペプチドの存在を逆相HPLCにより、安定−特異的なクロマトグラフィー条件を利用して決定する。
【0033】
本発明のペプチド又は CTL刺激活性を有するその類似体は、向上した半減期以外の所望の性質を供するように改質してよい。例えば、CTL 活性を誘発するペプチドの能力は、Tヘルパー細胞応答を誘発することのできる少なくとも一のエピトープを含む配列への結合によって高めることができうる。特に好適な免疫原性ペプチド/Tヘルパーコンジュゲートはスペーサー分子を介して連結させる。このスペーサーは典型的には比較的小さい天然分子、例えばアミノ酸又は擬アミノ酸であって、生理的条件下で実質的に無帯電であるものを含んで成る。これらのスペーサーは典型的には例えばAla, Gly又はその他の非極性のアミノ酸もしくは中性の極性のアミノ酸の中性スペーサーより選ばれる。任意的に存在しているスペーサーは同一の残基より成っている必要はなく、従ってヘテロ−又はホモ−オリゴマーでありうる。存在しているとき、このスペーサーは通常少なくとも1又は2の残基数、より通常には3〜6の残基数であろう。他方、 CTLペプチドはスペーサー抜きでTヘルパーペプチドに連結されていてよい。
免疫原性ペプチドを、 CTLペプチドのアミノ又はカルボキシ末端のいづれかに直接又はスペーサーを介してTヘルパーペプチドに連結してよい。免疫原性ペプチド又はTヘルパーペプチドのアミノ末端はアシル化してよい。
一定の態様においては、本発明の薬理組成物の中に CTLを感作するのに補助する少なくとも一の成分を含ませることが所望されうる。脂質はウィルス性抗原に対してインビボで CTLを感作することを補助できる因子として同定されている。例えば、パルミチン酸残基をLys 残基のアルファー及びエプシロンアミノ基に付加し、次いで例えば1又は複数の連結残基、例えばGly, Gly-Gly, Ser, Ser-Ser、等を介して免疫原性ペプチドに連結させる。脂質付加ペプチドを次に、ミセル形態で直接的に、リポソームの中に含ませて、又は不完全フロインドアジュバントの如きのアジュバントの中に乳化させて注射してよい。好適な態様において、特に有効な免疫原は、免疫原性ペプチドのアミノ末端に Ser-Serの如きの連結を介して付加されている Lysのアルファー及びエプシロンアミノ基に付加されたパルミチン酸を含んで成る。
【0034】
CTL応答の脂質感作の別の例として、E.コリE. coli)リポタンパク質、例えばトリパルミトイル−S−グリセリルシステインリセリル−セリン(P3CSS) が、適当なペプチドに共有結合させているとき、ウィルス特異性 CTLを感作するのに用いることができうる。引用することで本明細書に組入れる Deresら、Nature 342:561-564 (1989) を参照のこと。例えば本発明のペプチドは P3CSSに複合させてよく、そして標的抗原に対する CTL応答を特異的に感作するために個体にそのリポペプチドを投与してよい。更に、中和用抗体の誘発も適当なエピトープを表示するペプチドに抱合された P3CSSで感作することができるため、これらの2つの組成物を、感染に対する体液及び細胞媒介型応答をより効果的に誘発するように組合せることができる。
更に、追加のアミノ酸をペプチドの末端に付加して、ペプチド同志の連結のし易さ、担体支持体もしくは大型のペプチドへのカップリング、ペプチドもしくはオリゴペプチドの物理的もしくは化学的性質の改質、等を供することができる。アミノ酸、例えばチロシン、システイン、リジン、グルタミン酸又はアスパラギン酸等を、ペプチド又はオリゴペプチドのC−又はN−末端に導入してよい。あるケースにおいてはC末端の改質はペプチドの結合特性を変えてしまいうる。更に、ペプチド又はオリゴペプチドの配列は、天然配列とは、末端 NH2アシル化により、例えばアルカノイル(C1 −C20)又はチオグリコイルアセチル化、末端−カルボキシルアミド化(例えばアンモニア、メチルアミン等)により改質されていることで異なりうる。ある状況において、これらの改質は支持体又はその他の分子に対する連結のための部位を担いうる。
【0035】
本発明のペプチドは様々な方法で調製できうる。その比較的小さなサイズを理由に、これらのペプチドは慣用の技術に従って溶液中又は固相支持体上で合成されうる。様々な自動合成装置が市販され、そして公知のプロトコールに従って利用されうる。例えば Stewartと Young, Solid Phase Peptide Synthesis 、第2版、Pierce Chemical Co. (1984) 前掲を参照のこと。
他方、組換 DNA工学を採用してよく、この場合、課題の免疫原性ペプチドをエンコードするヌクレオチド配列を発現ベクターの中に挿入し、適当な宿主細胞に形質転換又はトランスフェクトし、そして発現にとって適当な条件下で培養する。これらの手順は当業界に一般に知られ、一般には引用することで本明細書に組入れるSambrookら、Molecular Cloning, A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, New York (1982)に記載されている。従って、本発明の1又は複数のペプチド配列を含んで成る融合タンパク質を適当なT細胞エピトープを提供するために使用できうる。
ここで考慮する長さのペプチドについてのコード配列は化学技術、例えば MatteucciらJ.Am.Chem.Soc. 103:3185 (1981) のホスホトリエステル法により合成できうるため、改質は適当な塩基で天然ペプチド配列をエンコードするものを置換することにより簡単に行われうる。次にコード配列に適当なリンカーを施し、そして当業界において一般に入手できる発現ベクターにリゲートし、そしてそのベクターを所望の融合タンパク質を作るために適当な宿主を形質転換するのに使用する。数多くのかかるベクター及び適当な宿主系が現在入手できる。融合タンパク質の発現のためには、コード配列には、作動連結した開始及び終止コドン、プロモーター及びターミネーター領域、並びに通常は所望の細胞性宿主の中での発現のための発現ベクターを供するように複製系が施されている。例えば、細菌宿主と適合性なプロモーター配列を、所望のコード配列の挿入のために好都合な制限部位を含むプラスミドの中に供する。得られる発現ベクターを適当な細菌宿主に形質転換させる。むろん、酵母又は哺乳動物細胞宿主も、適当なベクター及びコントロール配列を採用しながら利用してよい。
【0036】
本発明のペプチド並びにその薬理及びワクチン組成物はウィルス感染症及び癌を処置及び/又は予防するために哺乳動物、特にヒトに投与するのに有用である。本発明の免疫原性ペプチドを利用して処置できうる障害の例には前立腺癌、B型肝炎、C型肝炎、AIDS、腎細胞癌、頸部癌、リンパ腫、 CMV及び尖圭コンジローム症が含まれる。
薬理組成物に関して、本発明の免疫原性ペプチドは癌で既に苦しんでいる、又は課題のウィルスで感染した個体に投与する。感染症の潜伏期又は急性期における者は個別に、又は適宜その他の処置と一緒に免疫原性ペプチドで処置できうる。治療的用途においては、組成物はウィルス又は腫瘍抗原に対する効果的な CTL応答を誘発するのに、並びに症状及び/又は合併症を治癒又は少なくとも軽減するのに十分な量で患者に投与する。これを成し遂げるのに適当な量を「治療的に有効な投与量」と定義する。この用途にとって有効な量は例えばペプチドの組成、投与方法、処置すべき障害の段階及び重症度、患者の体重及び一般的な健康状態、並びにかかりつけの医師の判断に依存するであろうが、しかし一般には、70kgの体重の患者に関して約 1.0μg〜約5000μgのペプチドに範囲する初期免疫(即ち、治療的又は予防的投与)、それに続く患者の血液における比 CTL活性を測定することを介する患者の応答及び状態に依存して数週間から数ヶ月にわたる、ブースト療法に依存して約 1.0μg〜約1000μgのペプチドのブースト投与量に範囲する。本発明のペプチド及び組成物は一般に重症な障害症状、即ち生命を脅やかす又は潜在的に生命を脅やかす状況において採用されうることを念頭に置かねばならない。かかるケースにおいては、外来物質の最少限化、及びこのペプチドの比較的無毒な性質の観点において、実質的に過剰なこれらのペプチド組成物を投与することを処置医師は可能であり、且つ所望すると感じうるであろう。
治療的用途にとっては、投与はウィルス感染症の最初の徴候において、又は腫瘍の検査もしくは外科除去において、又は急性感染症の場合は診断の直後において開始すべきである。これに、症状が少なくとも実質的に和らぐまで、且つその後一定期間までブースト投与を続ける。慢性感染症においては、負荷投与、それに続くブースト投与が必要とされうる。
【0037】
本発明の組成物による感染個体の処置は急性感染個体における感染症の消散を早めうる。慢性感染症に進行し易い(又はかかり易い)個体にとって、この組成物は急性から慢性感染症に至る進行を阻止する方法において特に有用である。感受性の個体が感染前又は感染中に例えばここに記載の通りに同定された場合、この組成物をそれを標的とすることができ、大集団に投与する必要性が最少限となる。
このペプチド組成物は慢性感染症の処置のため及びキャリヤー中のウィルス感染細胞を排除するように免疫系を刺激するためにも利用できうる。細胞障害性T細胞応答を効果的に刺激するのに十分な量の製剤中の免疫相剰化ペプチド及び投与方法を提供することが重要である。従って、慢性感染症の処置にとって、代表的な用量は、70kgの患者にとって一回の投与当り約 1.0μg〜約5000μg、好ましくは約5μg〜1000μgに範囲する。免疫投与、それに続く樹立された間隔、例えば1〜4週間でのブースト投与が、おそらくは個体を有効に免疫するために長期間にわたって必要とされうる。慢性感染症においては、投与は、臨床症状又は実験室検査が、ウィルス感染症が排除されたか又は実質的に緩和されたことを示唆するまで、及びその後の一定期間まで少なくとも続けるべきである。
【0038】
治療的処置のための薬理組成物は非経口、塗布、経口又は局所投与を意図する。好ましくは、この薬理組成物は非経口的に、例えば静脈内的に、皮下的に、皮内的に、又は筋肉内的に投与する。従って、本発明は、許容担体、好ましくは水性担体の中に溶解又は懸濁されている免疫原性ペプチドの溶液を含んで成る非経口投与用組成物を提供する。様々な水性担体、例えば水、緩衝水、 0.9%の食塩水、 0.3%のグリシン、ヒアルロン酸等が使用されうる。これらの組成物は慣用のよく知られた滅菌技術により滅菌されうるか、又は滅菌濾過されうる。得られる水性溶液はそのまま使用するように包装するか、又は凍結乾燥してよく、凍結乾燥調製品は投与前に滅菌溶液と組合せる。この組成物は必要ならば生理条件に近づけるための薬理学的に許容されている補助物質、例えばpH調整剤及び緩衝剤、毒性調節剤、湿潤剤等、例えば酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、ソルビタンモノラウレート、トリエタノールアミンオレエート等を含みうる。
薬理製剤中の本発明の CTL刺激ペプチドの濃度は大幅に変えてよく、即ち、約 0.1重量%未満から、通常は約2重量%以上から、20〜50重量%、又はそれより大に変えてよく、そしてそれは主に流体容量、粘度等により、選ばれた投与の特定の態様に従って選ばれる。
【0039】
本発明のペプチドはリポソームを介して投与してもよく、リポソームはペプチドを特定の組織、例えばリンパ組織に狙い打ちさせるのに働くか、又は感染細胞を特異的に狙い打ちさせ、更にペプチド組成物の半減期を長くする。リポソームにはエマルジョン、フォーム、ミセル、不溶性単層、液晶、リン脂質分散体、ラメラ層等が含まれる。これらの調製品において、輸送すべきペプチドはリポソームの一部として、単独で、又は例えばリンパ球細胞にわたって広がるレセプターに結合する分子と、例えばCD45抗原に結合するモノクローナル抗体と、又はその他の治療的もしくは免疫原性組成物と一緒に組込まれる。即ち、所望の本発明のペプチドの詰まったリポソームは、リンパ球細胞の部位に導かれることができ、そこにリポソームは選ばれた治療的/免疫学的ペプチド組成物を導入する。本発明において利用するリポソームは標準の小胞体形成脂質より形成され、これは一般に中性及び負帯電リン脂質とステロール、例えばコレステロールとを含む。脂質の選択は一般に例えばリポソームのサイズ、酸不安定性及び血液中でのリポソームの安定性を考慮して導かれる。様々な方法がリポソームを調製するのに有用であり、例えば引用することで本明細書に組入れる、Szokaら、Ann.Rev.Biophys.Bioeng. 9:467 (1980)、米国特許第 4,235,871、 4,501,728、4,837,028 及び 5,019,369号に記載されている。
免疫細胞を狙い打ちするため、リポソームの中に組込むリガンドには、例えば所望の免疫系細胞の細胞表層決定基に特異的な抗体又はそのフラグメントが含まれうる。ペプチドを含むリポソーム懸濁物には静脈内的に、局所的に、塗布的に、等により、とりわけ投与の方法、導入すべきペプチド、及び処置すべき障害の段階に従って変わる投与量で投与されうる。
固形組成物に関して、慣用の無毒の固形担体が使用でき、これには例えば薬理級のマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、タルカム、セルロース、グルコース、スクロース、炭酸マグネシウム等が含まれる。経口投与のためには、薬理学的に許容される無毒の組成物は、任意の通常採用されている賦形剤、例えば先に挙げた担体と、一般には10〜95%の、そしてより好ましくは25%〜75%の活性成分、即ち、1又は複数種の本発明のペプチドとを一体化させることにより作られる。
【0040】
エアゾール投与のためには、この免疫原性ペプチドは好ましくは界面活性剤及び噴射剤と一緒に細く分割した形態で供給する。ペプチドの典型的なパーセンテージは0.01〜20重量%、好ましくは1〜10重量%である。むろん界面活性剤は無毒でなくてはならず、そして好ましくは噴射剤中で可溶性である。かかる試薬の代表は6〜22個の炭素原子を含む脂肪酸、例えばカプロン酸、オクタノン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノーレニン酸、オレステリン酸及びオレイン酸と、脂肪式多価アルコール又はその環状無水物とのエステル又は半エステルである。混合エステル、例えば混合又は天然グリセリドを使用してよい。この界面活性剤はこの組成物の 0.1〜20重量%、好ましくは0.25〜5重量%を構成しうる。この組成物の残りを通常は噴射剤とする。所望するならば、経鼻導入のためのレシチンの如き、担体をも含ませてよい。
別の観点において、本発明は、活性成分として本明細書に記載の免疫学的に有効な量の免疫原性ペプチドを含むワクチンに向けられている。このペプチドは宿主、例えばヒトに、それ自体の担体に結合させておいて、又は活性ペプチド単位のホモポリマー又はヘテロポリマーとして導入することができうる。かかるポリマーは免疫反応を高める長所と、そのポリマーを作るのに種々のペプチドを使用しているときは、ウィルス又は腫瘍細胞の種々の抗原決定基と反応する抗体及び/又は CTLを誘発する追加の能力とを有する。有用な担体は当業界によく知られており、そして例えばチログロブリン、アルブミン、例えば牛血清アルブミン、破傷風毒素、ポリアミノ酸、例えばポリ(リジン:グルタミン酸)、B型肝炎ウィルスコアタンパク質、B型肝炎ウィルス組換ワクチン等が含まれる。このワクチンは生理学的に寛容(許容)されている希釈剤、例えば水、リン酸緩衝食塩水、又は食塩水も含み、そして更に典型的にはアジュバントを含む。アジュバント、例えば不完全フロインドアジュバント、リン酸アルミニウム、水酸化アルミニウム又はみょうばんが当業界においてよく知られている物質である。更に、上記した通り、 CTL応答は本発明のペプチドを脂質、例えば P3CSSに抱合させることにより感作させることができうる。本明細書に記載のペプチド組成物による、注射、エアゾール、経口、経皮又はその他のルートを介しての免疫により、宿主の免疫系は所望の抗原に対して特異的な大量の CTLを産生することによりそのワクチンに応答し、そしてその宿主はその後の感染に対して少なくとも部分的に免疫されるか、又は慢性感染症の進行に耐性となる。
【0041】
本発明のペプチドを含むワクチン組成物をウィルス感染症又は癌にかかり易い又はそうでなければその危険性にある患者に投与して、抗原に対する免疫応答を誘発させ、そしてこれによって患者自身の免疫応答能力を高める。かかる量を「免疫学的に有効な量」と定義する。この用途において、ここでもその正確な量は患者の健康状態及び体重、投与態様、製剤の種類等に依存するが、しかしながら一般には70kgの患者当り約 1.0μg〜約5000μg、より通常には70kgの体重当り約10μg〜約 500μg mgに範囲する。
ある状況においては、本発明のペプチドワクチンを、課題のウィルス、特にウィルスエンベロープ抗原に対して応答する中和抗体と組合せることが所望されうる。
【0042】
治療的又は免疫化の目的のためには、本発明のペプチドは弱毒化ウィルス宿主、例えばワクシニア又は伝染性上皮腫ウィルスにより発現させることもできる。この手法は、本発明のペプチドをエンコードするヌクレオチド配列を発現させるためのベクターとしてのワクシニアウィルスの利用を包括する。急性もしくは慢性感染宿主、又は未感染宿主への導入により、組換ワクシニアウィルスは免疫原性ペプチドを発現し、それ故宿主 CTL応答を誘発する。
免疫プロトコールにおいて有用なワクシニアベクター及び方法は、例えば引用することで本明細書に組入れる米国特許第 4,722,848号に記載されている。他のベクターはBCG(Bacille Calmette Guerin)である。 BCGベクターは引用することで本明細書に組入れるStoverら(Nature 351:456-460 (1991)) を参照のこと。本発明のペプチドの治療的投与又は免疫化にとって有用な幅広い様々なその他のベクター、例えばサルモネラ チフィSalmonella typhi)ベクター等は、本明細書より当業者にとって明らかとなるであろう。
抗原性ペプチドは同様に生体外で CTLを誘発するのに使用できうる。得られる CTLは、他の慣用の治療様式では応答しない、又はペプチドワクチン治療手法に応答しないであろう患者の慢性感染症(ウィルス性又は細菌性)又は腫瘍を処置するのに利用できうる。特定の病原体(感染因子又は腫瘍抗原)に対する生体外 CTL応答は、組織培養において患者の CTL前駆細胞(CTLp)を、抗原表示細胞(APC) の起源及び適当な免疫原性ペプチドとインキュベートすることにより誘発させる。CTLpが活性化され、そして成熟し、そしてエフェクター CTLへと増殖する適当なインキュベーション時間後(典型的には1〜4週間)、それらの細胞を患者に戻し注入し、そこでこれらはその特異的な標的細胞(感染細胞又は腫瘍細胞)を破壊するであろう。特異的な細胞障害性T細胞の発生のためのインビトロ条件を最適化するため、刺激細胞の培養物を適当な無血清培地の中に維持する。
【0043】
刺激細胞を、活性化すべき細胞、例えばCD8+ 前駆細胞とインキュベートする前に、抗原性ペプチドを刺激細胞培養物に、刺激細胞の表層上に発現されるヒトクラスI分子の上にそれが負荷されるに十分な量で加える。本発明において、十分な量のペプチドとは、約200 、そして好ましくは 200以上のヒトクラスI MHC分子が、各刺激細胞の表層上に発現されるペプチドで負荷される量をいう。好ましくは、この刺激細胞は>20μg/mlのペプチドとインキュベートする。
休止又は前駆CD8+ 細胞を次に培養物の中で、適当な刺激細胞と、CD8+ 細胞を活性化させるに十分な時間にわたってインキュベートする。好ましくは、CD8+ 細胞は抗原特異的な様式で活性化させる。休止又は前駆CD8+ (エフェクター)細胞、対、刺激細胞の比は、個体間で変わりうるものであり、そして更には培養条件に対するその個体のリンパ球の適合性、並びに障害の症状の種類及び重症度、又は記載の処置様式を使用する条件の如きの変化に依存しうる。しかしながら、好ましくは、リンパ球:刺激細胞の比は約30:1〜300 :1の範囲とする。エフェクター/刺激培養物は、治療的に有用又は有効な数のCD8+ 細胞を刺激するのに必要な時間維持する。
インビトロでの CTLの誘発は、 APC上のアレル特異的 MHCクラスI分子に結合しているペプチドの特異的な認識を必要とする。 APC当りの特異的 MHC/ペプチド複合体の数は、 CTLの刺激、特に一次免疫応答において重要である。細胞当り少量のペプチド/ MHC複合体が細胞を CTLによる溶解を受け易くするのに、又は二次 CTL応答を刺激するのに十分であるが、一次応答中での CTL前駆体(pCTL)の有効な活性化は有意に多量な MHC/ペプチド複合体を必要とする。細胞上のエンプティーな主要組織適合性複合分子のペプチド負荷は一次細胞障害性Tリンパ球応答の誘発をもたらす。細胞上のエンプティーな主要組織適合性複合分子のペプチド負荷は一次細胞障害性Tリンパ球応答の誘発を可能にする。
突然変異細胞系は全てのヒト MHCアレルに存在していないため、APC の表層から内性 MHC結合化ペプチドを除去し、次いで得られるエンプティーな MHC分子に課題の免疫原性ペプチドを負荷する技術を利用するのが好都合である。非形質転換(非腫瘍原性)、非感染細胞、そして好ましくは患者の自己細胞の APCとしての利用が、生体外 CTL療法の開発に向けられている CTL誘発プロトコールのデザイルにとって所望される。本願は APCから内性 MHC結合化ペプチドをストリップ(脱離)し、次いで所望のペプチドを負荷する方法を開示する。
【0044】
安定な MHCクラスI分子は下記の要素より成る三量複合体である:1)通常8〜10残基数のペプチド、2)α1及びα2ドメインにおいてペプチド結合性部位を抱えているトランスメンブラン多形性タンパク質重鎖、並びに3)非共有結合した非多形性軽鎖、β2ミクログロブリン。この複合体から結合ペプチドを除去及び/又はβ2ミクログロブリンを解離することは、 MHCクラスI分子を非機能性に、且つ不安定にし、迅速分解をもたらす。PBMCから単離した MHCクラスI分子全てに内生ペプチドが結合している。従って、第一段階は、 APC上の MHCクラスI分子に結合している全ての内生ペプチドを、外生ペプチドを加える前に、それを壊すことなく除去することにある。
MHCクラスI分子を結合ペプチドから解放する二通りの考えられる方法には、β2ミクログロブリンを不安定化するために培養温度を一夜かけて37℃から26℃に下げること、及び温和な酸処理を利用して細胞から内生ペプチドをストリップすることが含まれる。この方法は既に結合しているペプチドを細胞外環境へと放出させ、新たな外生ペプチドがそのエンプティーなクラスI分子に結合することを可能にする。低温インキュベーション法は外生ペプチドが MHC複合体に効率的に結合することを可能にするが、26℃での一夜のインキュベーションを必要とし、これは細胞の代謝率を遅めうる。勢力的に MHC分子を合成しない細胞(例えば休止PBMC)は低温手順によっては大量のエンプティーな表層 MHC分子を供しないであろう。
【0045】
苛酷な酸ストリップには、トリフルオロ酢酸、pH2によるペプチドの抽出、又は免疫アフィニティー精製したクラスI−ペプチド複合体の酸変性が含まれる。これらの方法は CTL誘発にとっては可能でなく、なぜなら内生ペプチドを除去し、同時に抗原表示にとって重要である APCの生存及び最適な代謝状態を保持することが重要だからである。グリシン又はクエン酸−リン酸バッファーの如きのpH3の温和な酸性溶液が、内生ペプチドを同定するために、及び腫瘍結合化T細胞エピトープを同定するために使用される。この処理は、MHC クラスI分子のみが不安定となり(従って結合ペプチドが遊離する)、一方、 MHCクラスII分子を含むその他の表層抗原が完全のままである点で特に有効である。最も重要には、温和な酸溶液による細胞の処理は細胞の生存率又は代謝状態に影響を及ぼさない。この温和な酸処理は迅速であり、なぜなら内生ペプチドのストリップは4℃で2分において起こり、そして APSは適当なペプチドを負荷した後にその機能を発揮する準備ができているからである。この技術はここでは一次抗原特異的 CTLの発生のためのペプチド特異的CTLを作るのに利用されている。得られる APCはペプチド特異的CD8+ CTL を誘発するうえで有効である。
活性化CD8+ 細胞は様々な公知の方法のどれかを利用して刺激細胞から効率的に分離することができうる。例えば、刺激細胞に対して、刺激細胞上に負荷したペプチドに対して、又はCD8+ 細胞に対して特異的なモノクローナル抗体(又はそのフラグメント)を、その適当な補体リガンドを結合せしめるために利用してよい。次に抗体標識分子を適当な手段を介して、例えばよく知られている免疫沈殿又はイムノアッセイ法を介して、刺激−エフェクター細胞混合物から抽出してよい。
活性化CD8+ 細胞の効果的な細胞障害性の量はインビトロ及びインビボ用途間で、並びにこれらのキラー細胞の究極的な標的である細胞の量及び種類により変わりうる。その量は患者の症状に依存しても変わり、そして医師による全ての適当な要因の考慮を通じて決定されるべきである。しかしながら、好ましくは約1×106 〜約1×1012、より好ましくは約1×108 〜約1×1011、そして更により好ましくは約1×109 〜約1×1010の活性化CD8+ 細胞を成人に利用し、対比してマウスにおいては約5×106 〜5×107 の細胞を利用する。
【0046】
好ましくは、前述の通り、活性化CD8+ 細胞は細胞培養物より、処置すべき個体へのCD8+ 細胞の投与前に回収する。しかしながら、その他の現状の及び提唱されている処置様式と異なり、本法は腫瘍原性でない細胞培養系を使用することを認識しておくことが重要である。従って、もし刺激細胞を活性化CD8+ 細胞の完璧な分離が達せない場合でも、少ない数の刺激細胞の投与に関して知られている。固有の危険性はなく、一方、哺乳動物腫瘍促進性細胞の投与は非常に有害でありうる。
細胞成分の再導入法は当業界に知られ、そして米国特許第4,844,893号Hookら及び米国特許第 4,690,915号 Rosenbergに例示の如きの手順が含まれる。例えば、静脈内点滴を介しての活性化CD8+ 細胞の投与が適当である。
【0047】
本発明の免疫原性ペプチドはモノクローナル抗体を作るのにも利用できうる。かかる抗体は有効な診断又は治療剤として有用でありうる。
これらのペプチドは診断試薬としても有用でありうる。例えば、本発明のペプチドは、このペプチド又は近縁のペプチドを採用する処置療法に対する特定の個体の感受性を決定するのに使用することができ、それ故現存の処置プロトコールを改良するうえで、又は冒されている個体にとっての予後を決定するうえで役立ちうる。更に、このペプチドは慢性感染症に進行する実質的な危険性にあるであろう個体を推測するのに利用されもする。
下記の実施例は例示であって限定のために提示するのではない。
【実施例】
【0048】
実施例1
クラスI抗原の単離
HLA-A抗原精製法の流れ図を図1に示す。簡単には、適当なアレルを抱えている細胞を大量バッチ(6〜8リットル;〜5×109 細胞を生み出す)で増殖させ、遠心により回収し、そして洗った。全ての細胞系を、10%の胎児牛血清(FBS) 及び抗生物質の添加したRPMI 1640 培地の中に維持しておいた。大量スケール培養物のため、細胞を10%の FBS又は10%のウマ血清及び抗生物質を有するRPMI 1640の中でローラーボトル培養で増殖させた。細胞は 259ローターの付いたIEC-CRV 5000遠心機による1500RPM の遠心によって回収し、そしてリン酸緩衝食塩水PBS(0.01MのPO4 、 0.154MのNaCl、pH 7.2)で3回洗った。
細胞をペレットにし、そして−70℃で保管するか、又は清浄剤リゼートを調製するために清浄剤溶解溶液で処理した。細胞リゼートはストック清浄剤溶液〔1%のNP-40 (sigma) 又はRenex 30(Accurate Chem.Sci.Corp., Westbury, NY 11590) 、 150mMのNaCl、50mMのトリス、pH 8.0〕の、細胞ペレット(予めカウント済み)への、清浄剤溶液のml当り50〜 100×106 細胞の比での添加により調製した。プロテアーゼインヒビターのカクテルを予め測量しておいた容量のストック清浄溶液に、細胞ペレットへの添加の直前に加えた。プロテアーゼインヒビターカクテルの添加は下記の最終濃度をもたらした:フェニルメチルスルホニルフルオリド(PMSF)2mM;アプロチニン5μg/ml;ロイペプチン10μg/ml;ペプスタチン10μg/ml;ヨードアセトアミド 100μM;及びEDTA 3ng/ml。細胞溶解は4℃で1時間、定期的に混合して進行させた。通常5〜10×109 の細胞を50〜100ml の清浄剤溶液の中で溶解させた。このリゼートを4℃で15,000×gで30分間の遠心、及び上清画分の 0.2μのフィルターユニット(Nalgene)へのその後の通過によって清澄化した。
【0049】
HLA-A抗原の精製は、 mAb−コンジュゲート化 Sepharoseビーズにより調製したアフィニティーカラムを用いて成し遂げた。抗体製造のため、細胞を大型組織培養フラスコ(Corning 25160-225) の中で10%の FBSを有するRPMI中で増殖させた。抗体を清澄組織培養培地から、硫酸アンモニウム分画、それに続くプロテインA-Sepharose(Sigma) 上でのアフィニティークロマトグラフィーにより精製した。簡単には、飽和硫酸アンモニウムを、撹拌しながらゆっくりとこの組織培養上清液に45%(容量、対、容量)に至るまで加えて4℃で一夜イムノグロブリンを沈殿させた。その沈殿タンパク質を 10000×gで30分の遠心により回収した。次いでこの沈殿物を最少容量のPBS に溶かし、そして透析チューブ(Spectro/Por 2, Mol.wt.カットオフ値12,000〜14,000;Spectum Medical Ind.)に移し入れた。透析は PBS(タンパク質溶液の容量の≧20倍)に対して、4℃で24〜48時間にわたり、4〜6回透析バッファーを交換しながら行った。透析したタンパク質溶液を遠心により(10,000gで30分)清澄化し、そしてその溶液のpHを1NのNaOHでpH 8.0に調整した。プロテイン−A-Sepharose (Sigma) をその製造者の仕様書に従って水和し、そしてプロテイン−A-Sepharose カラムを用意した。10mlベット容量のカラムは一般に50〜100mg のマウス IgGを結合せしめる。
タンパク質サンプルは、大量の装填容量に関してはペリスタルポンプを、又は少容量(<100ml)に関しては重力を利用してプロテイン−A-Sepharose カラムに載せた。そのカラムを数倍容量の PBSで洗い、そして溶出物を光度計によりA280 で基底線に達するまでモニターした。結合抗体は適当なpHの 0.1Mのクエン酸(1NのNaOHで適当なpHに調整)を用いて溶離させた。マウス IgG-1に関しては、pH 6.5を使用し、 IgG2aに関してはpH 4.5を使用し、そしてIgG2b及びIgG3に関してはpH 3.0を使用した。2Mのトリスベースを溶離物を中和するために用いた。抗体を含む画分(A280 によりモニター)をプールし、 PBSに対して透析し、そしてAmicon Stirred Cellシステム(Amicon Model 8050;YM30膜付き)を用いて更に濃縮した。抗−A2 mAb, BB7.2 、及び抗−A3 mAb, GAPA3 がアフィニティー精製にとって特に有用である。
【0050】
HLA-A抗原は mAb−コンジュゲートを Sepharoseビーズで準備したアフィニティーカラムを用いて精製した。このアフィニティーカラムはプロテイン−A-Sepharose ビーズ(Sigma) を上記の通りにアフィニティー精製 mAbとインキュベートすることにより準備した。ビーズのml当り5〜10mgの mAbが好適な比である。 mAb結合ビーズを硼酸バッファー(硼酸バッファー: 100mMの四硼酸ナトリウム、154mM のNaCl、pH 8.2)で、洗浄液がA280 で基底線を示すまで洗った。 200mMのトリエタノールアミン中のジメチルピメリミデート(20mM)を、結合 mAbをプロテイン−A-Sepharose に共有架橋させるために加えた(Schneiderら、J.Biol.Chem. 257:10766(1982))。ローテーター上で室温において45分インキュベートした後、過剰な架橋剤は、そのビーズを10〜20mlの20mMのエタノールアミン、pH8.2で洗うことにより除去した。各洗浄の間、そのスラリーをローテーター上に室温で5分間載せておいた。そのビーズを硼酸バッファー及び PBS+ 0.2%のアジ化ナトリウムで洗った。
【0051】
次いで細胞リゼート(5〜10×109 細胞当量)を5〜10mlのアフィニティーカラムにゆっくり通し(0.1〜0.25ml/分の流速)、固定化抗体にその抗原を組合させた。そのリゼートをカラムに通した後、そのカラムを順に20カラム容量の清浄剤ストック溶液+ 0.1%のドデシル硫酸ナトリウム、20カラム容量の 0.5MのNaCl、20mMのトリス、pH 8.0、及び10カラム容量の20mMのトリス、pH 8.0で洗った。mAb に結合した HLA-A抗原を塩基性バッファー溶液(水中の50mMのジエチルアミン)で溶離させた。別の方法として、酸性溶液、例えば0.15〜0.25Mの酢酸も結合抗原を溶離させるために用いた。溶離物のアリコート(1/50)を、比色アッセイ(BCAアッセイ、Pierce)もしくはSDS-PAGEのいづれか、又は両者を利用するタンパク質定量のために取出した。SDS-PAGE分析はLaemmli (Laemmli, U.K., Nature 227 : 680 (1970)) に記載の通りにして、既知量の牛血清アルブミン(Sigma) をタンパク質標準品として使用して行った。
特異的 MHC分子を精製するためにアレル特異的分子を使用した。HLA-A2及びHLA-A3 mAbの場合、それぞれ BB7.2及び GAPA3を使用した。精製したHLA-A3.2分子のSDS-PAGE分析の例を図2に示す。
【0052】
図2は細胞系 EHMよりアフィニティー精製したHLA-A3.2のSDS-PAGE(12.5%)分析を示す。アフィニティーカラム(10ml)は、HLA-A3に対して特異的なモノクローナル抗体 GAPA3にカップルさせたプロテイン−A-Sepharose ビーズにより準備した。5×109 細胞の清浄剤リゼートをこのカラムに通し、そしてこのカラムをよく洗った。結合したHLA-A3.2分子を0.15Mの酢酸50mlでこのカラムから溶離させた。1mlの溶離物を取出し、そして凍結乾燥してこのサンプルを濃縮させた。このサンプルを Laemmliサンプルバッファーで50μlにし、そして20μlをレーン2に載せた。レーン1は分子量標準品を含む:ミオシン 230kD;β−ガラクトシダーゼ 116kD;ホスホリラーゼB 97.4kD;牛血清アルブミン66.2kD;オブアルブミン45kD;カルボニックアンヒドラーゼ31kD;ダイズトリプシンインヒビター21.5kD;及びリゾチーム14.4kD。牛血清アルブミンの標準の濃度10μgをレーン8に、3μgを9に、そして1μgを10に、タンパク質の収率の評価に役立させるために流した。この特定のHLA-A3.2調製品に関して、推定収量は約 112μgであった。
【0053】
HLA-A11, A24.1及びA1に関しては、抗−HLA-B 及びCモノクローナル抗体を HLA-B及びC分子を枯渇するために用いる別の方法を利用した。残りの HLA-A分子を次にW6/32 mAbを用いて下記の通りに精製した。
免疫蛍光染色分析の結果により示唆されるクラスI発現の密度を基礎に、 EBV B細胞系より単離したクラスI抗原の平均収量は1010細胞当量当り 800〜1200μgに範囲するであろうと期待された。
【0054】
実施例2
クラスIの別の精製プロトコール
HLA-A2.1分子を、 HLA-A抗原によってではなく、 HLA-B及びCアレル分子により現わされるエピトープを検出する mAb B1.23.2を用いて単離した。mAb w6/32は、HLA-A, B及びCを含む全てのヒトクラスI分子を検出する。上記の通り、これらの mAbは HLA-A抗原の起源を担うB細胞系とよく反応する。 B1.23.2 mAbは様々なヒトB細胞系と反応するが、トランスフェクトされたHLA-A2.1タンパク質又はキメラA2.1マウスKb 分子を発現するマウス細胞系とは反応しない。それは、 HLA-A及びB分子の発現性を欠くが、しかし低レベルの HLA-C分子を発現するヒト細胞系CIR (Alexander, J.らImmunogenetics, 29, 380 (1989)) と反応する。この反応性パターンは、 HLA-B及びC分子のB細胞リゼートを枯渇させるのにどのようにして B1.23.2 mAbを使用できるかを示す。
アフィニティーカラムを上記の通りにアフィニティー精製したB1.23.2 及びW6/32 mAbを用いて準備した。このアフィニティーカラムの準備のための手順は上記したアレル−特異的 mAbカラムの準備に関して述べた手順と本質的に同一である。上述のプロトコールを利用し、 HLA-B及びC分子の清浄剤リゼートを枯渇するためにB1.32.2 mAb アフィニティーカラムを使用した。次に HLA-B及びCの枯渇した細胞リゼートをW6/32 mAbアフィニティーカラムに通した。この第二の通過より溶離した MHC分子はAアレル産物である。
この別のアフィニティー精製は任意の HLA-Aアレル産物の精製にとって有用であり、そしてアレル−特異的 mAbについての必要性を頼りとしない。更に、これはトランスフェクトされた細胞系から任意のクラスI分子タイプを単離するためにも使用できうる。
【0055】
実施例3
天然プロセスを受けたペプチドの単離及び配列決定
塩基(50mMのジエチルアミン)溶離プロトコールに由来するHLA-A調製品のため、この溶離物を1Nの酢酸で直ちにpH 7.0〜7.5 に中和した。この中和溶離物をAmicon撹拌セル〔Modol 8050, YM3 膜(Amicon)付き〕中で1〜2mlの容量に濃縮した。10mlの酢酸アンモニウム(0.01M、pH 8.0)をこの濃縮器に加えて非揮発性塩を取除き、そしてこのサンプルを約1mlに濃縮した。少量のサンプル(1/50)を上記したタンパク質定量のために取出した。残りを15mlのポリプロピレン製コニカル遠沈管(Falcon, 2097)(Becton Dickinson)に回収した。氷酢酸を加えて10%の酢酸の最終濃度を得た。酸性にしたサンプルを沸騰湯浴の中に5分間入れて結合ペプチドを解離させた。このサンプルを氷の上で冷やし、濃縮器に戻し、そしてその濾液を集めた。更なる10%の氷酢酸のアリコート(1〜2ml)を濃縮器に加え、そしてその濾液をオリジナルの濾液と一緒にプールした。最後に、1〜2mlの蒸留水を濃縮器に加え、そしてその濾液を同様にプールした。
その抑留物は HLA-A重鎖及びβ2−ミクログロブリンのバルクを含み、一方、その濾液は天然プロセスを受けた結合ペプチドと、約3000未満の分子量を有するその他の成分とを含む。プールした濾液材料を凍結乾燥してペプチド画分を濃縮した。これでこのサンプルは更なる分析のための用意が整った。
ペプチド画分のHPLC(高性能液体クロマトグラフィー)分離のため、凍結乾燥したサンプルを50μlの蒸留水に溶かすか、又は水中の 0.1%のトリフルオロ酢酸(TFA)(Applied Biosystems) に溶かし、そして StoneとWilliams (Stone, K.L. and Williams K.R. のMacromolecular Sequencing and Synthesis ; Selected Methods and Applications, A.R.Liss, New York, 1988、頁7-24)に記載の勾配系を利用して、C18逆相細穴カラム(Beckman C18 Ultrasphere, 10×250mm)に注入した。バッファーAは水中の0.06%のTFA(Burdick-Jackson)とし、そしてバッファーBは80%のアセトニトリル中の0.052 %のTFA (Burdick-Jackson)とした。流速は 0.250ml/分とし、下記の勾配を伴わせた:0〜60min., 2〜37.5%のB;60〜95min., 37.5〜75%のB;95〜105min., 75〜98%のB。Gilson細穴HPLC配置がこの目的にとって特に有用であるが、その他の配置も同等に機能する。
数多くのピークが 214nmでの吸収により検出され、その多くは潤沢性が低いようであった(図3)。一定のピークが単一ペプチドを表わすか、又はペプチドの混合物を表わしているかは決定されなかった。プールした画分を下記の通りに配列決定にかけて各アレルに特異的なモチーフを決定した。
【0056】
上記の通りに調製したプールペプチド画分をApplied Biosystems Model 477A自動シーケンサーを用いて自動エドマン配列決定によって分析した。この配列決定法は構成アミノ酸の配列を決定するためのタンパク質及びペプチドの順次分解に関する1950年代にPehr Edmanにより開発された技術を基礎とする。
配列決定すべきタンパク質又はペプチドを加熱アルゴンパージ反応槽の中で直径12mmの孔質ガラスファイバーフィルターディスクにより保持した。このフィルターは一般にBio Brene Plus(商標)で予備処理し、次いで1又は数回のエドマン反応の反復に循環させて夾雑物を減らし、且つその後のサンプルの配列決定の効率を高める。フィルターの予備処理に続き、サンプルタンパク質又はペプチドの溶液(10pmol〜5nmolの範囲)をガラスフィルターの上に載せ、そして乾燥させる。即ち、サンプルは予備処理したディスクのフィルムの中に包埋させたままとする。フィルターに対するサンプルの共有結合は通常必要とされず、なぜならエドマン化学品は比較的非極性な溶媒を使用し、その中ではタンパク質及びペプチドは可溶性でないからである。
【0057】
簡単に述べると、エドマン分解反応は3工程を有している:カップリング、切断及び転換。カップリング工程においては、フェニルイソチオシアネート(PITC)を加える。PITCは塩基性の環境の中で、タンパク質の自由アミノ末端アミノ酸と定量的に反応してフェニルチオカルバミル−タンパク質を形成する。カップリング工程にとっての一定の時間の後、過剰の化学品を抽出し、そしてタンパク質のアミノ末端からPITC−カップル化アミノ酸残基を切断してアミノ酸のアニリノチアゾリノン(ATZ) 誘導体を生み出すために高揮発性有機酸、トリフルオロ酢酸及び TFAを使用する。残りのタンパク質/ペプチドには新たなアミノ末端が残っており、そして次のエドマンサイクルの用意が整っている。この ATZアミノ酸を抽出し、次いで転換フラスコに移し、ここでは水中の25%の TFAの添加に基づき、ATZ アミノ酸は、分析のためにマイクロボアC-18逆相HPLCカラムを使用するMode 120 PTHアナライザーへの自動注入に従って同定及び定量することのできうるより安定なフェニルチオヒダントイン(PTH)アミノ酸へと転換する。
本手順においては、ペプチド混合物をガラスフィルターの上に載せる。従って、単独のアミノ酸配列は通常得られない。むしろ、異なる収量のアミノ酸の混合物が見い出せる。特定の残基が、配列決定すべきペプチド間で保存されているなら、そのアミノ酸についての高い収量が認められる。
【0058】
実施例4
A3.2特異的モチーフの特定
A3アレルの国際命名法においていくつかのあいまいな点がある。ここでいうA3.2アレルは細胞系EHM, HO301及びGM3107より発現される。この特定のサブタイプは現状 3.2アレル(YangのImmunobiology of HLA、第1巻、Dupont編、Springer-Verlag, New York 頁 43-44及び 54-55, 1989) と呼ばれるか又は A* 0301遺伝子の産物(その配列はStrachanら、EMBO J., 3:887 (1984)により公開されたものに相当する)と呼ばれ、そして EHM細胞系の中で見い出されたA3遺伝子の直接クローニング及び配列決定により確証されている。本明細書で言及している A* 0301遺伝子によりエンコードされるHLA-A3.2は共通に発現されるHLA-A3アレル形態である。
MAT細胞を利用する一のケースにおいて、上記の実施例3に記載の通りにして調製したプール画分をHLA-A3.2ホモ接合細胞系、例えばCM3107より得た。このプールした画分は7%〜19%の CH3CNに相当するHPLC画分である。このクラスI分に関して、クロマトグラフィーのこの領域が最もペプチドに富んでいた。個々の実験由来のデーターを下記の通りに平均した。
4つの個別の実験からのアミノ酸配列分析結果を分析し、そしてその結果を表5に示す。第一位を除く各位置に関して、このデーターは様々な HLAタイプ由来の実験の対比のため、Falkらにより述べられている方法を改良することにより分析した。この改良した手順は定量的、且つ標準化値をもたらしながら、同一の HLAタイプを包括する様々な実験に由来するデーターの平均を可能にする。
生の連続データーを簡単な10列(それぞれ1エドマン分解サイクルを表わす)及び16行(それぞれ20のアミノ酸の1つを表わす;W,C,R及びHは技術的な理由により排除した)の行列に変換した。第1列(第1サイクル)に相当するデーターは考慮せず、なぜならこのサイクルは通常遊離のアミノ酸がかなり夾雑しているからである。各列の値を総計してその特定のサイクルについての総 pmole値を得た。次に各列に関して、各アミノ酸についての値を対応の総収量値で除して、総シグナルのどの画分が各サイクルでの各アミノ酸に帰しているかを決定した。これを行うことにより、「絶対頻度」("Absolute Frequency")表を作成した。この絶対頻度表は各サイクルの傾斜収量(declining yields)についての補正を可能にする。
【0059】
絶対頻度表から出発して、次に様々なアミノ酸間の対比を可能にするために「相対頻度」表を作成した。これを行うため、各行由来のデーターを総計し、次いで平均した。次に、各値を平均行値で除し、相対頻度値を得た。標準化様式においてサイクル当り上昇及び下降するこれらの値は異なる16のアミノ酸のタイプそれぞれについて定量的に表わす。種々の実験由来のデーターから作成した表は従って平均的な相対頻度値(及びその標準偏差)を作成するために合計してよい。全ての標準偏差を次に平均して、各表由来のサンプルに適用できる標準偏差値を評価することができる。1.00を2標準偏差より大で大きい任意の特定の値を有意な上昇に相当すると考える。
HLA-A3.2についての上記の分析結果は下記の通りであった:2位において、バリン(V)の 2.2倍の上昇と、構造的に類似な残基ロイシン(L)及びメチオニン(M)についての低めの上昇(1.5〜1.7)。3位において、チロシン(Y)及びアスパラギン酸(D)は頻度の上昇を示した。7位において、イソロイシン(I)は上昇し、そして8位において、アスパラギン(N)及びグルタミン(Q)が上昇した。9及び10位において、リジン(K)が予測のランダム収量より2倍を越えて上昇した。
システインは修飾されず、従って検出されない。 PTH−トリプトファンはジフェニルウレアと一緒に溶離し、そしてある実験においては、 PTH−アルギニンは PTH−スレオニンの主要誘導体と一緒に溶離した。従って、システイン及びトリプトファンは検出できず、そしてアルギニンはスレオニンの非存在下でのみ検出される。
既に述べられている MHC構造は2位(又は3位)及びC末端(9位又は10位のいづれか)の臨界的保存領域の事実を示している。これらの残基は「保存」残基と呼ばれている。本発明の改良データー分析はN及びC末端での保存位置を考慮した。
即ち、HLA-A3.2モチーフはV,L又はMにより占拠された2位、9又は10のアミノ酸の長さ、及びKにより占拠されたC末端位を有すべきである。
【0060】
【表5】

【0061】
実施例5
HLA-A1−特異的ペプチドモチーフの特定
HLA-A1分子を単離し、そしてその天然プロセスを受けたペプチドを上記の実施例3に記載の通りに特定した。 MAT細胞を利用する一のケースにおいては、19%〜50%の CH3CNに相当するプール画分を使用した。先の実施例のように、第一位を除く任意の一定の位置において、ランダムに予測した収量より少なくとも2標準偏差の上昇を示す残基を同定し、そして表6に示す。これらのデーターを基礎に、セリン(S)及びスレオニン(T)のみ2位において上昇した。3位においては、アスパラギン酸(D)及びグルタミン酸(E)が上昇し、そして9及び10位においてはチロシン(Y)がめざましい上昇を示した。認められたその他の上昇は4位でのプロリン(P)及び7位でのロイシン(L)である。従って、これらのデーターに基づくHLA-A1についてのモチーフは、S又はTにより占拠される2位の残基、9又は10アミノ酸のペプチドの長さ、及びYのC末端残基を有するであろう。他方、別のモチーフは3位のD又はEを、YのC末端残基と共に含んで成るであろう。
【0062】
【表6】

【0063】
実施例6
HLA-A11アレル特異的ペプチドモチーフの特定
HLA-A11モチーフを、プールしたHPLC画分(あるケースにおいては、細胞系 BVRより精製した HLA-A11分子より溶離された7%〜45%の CH3CNの分画ペプチド)のアミノ酸配列分析により特定した。表7に示すデーターに基づき、A11についてのモチーフは、2位のスレオニン(T)又はバリン(V)の保存残基、9又は10アミノ酸のペプチドの長さ、及びリジン(K)のC−末端保存残基より成る。3位において、メチオニン(M)及びフェニルアラニン(F)の上昇も認められ、そして8位においてグルタミン(Q)が上昇していた。
【0064】
【表7】

【0065】
実施例7
HLA-A24.1 特異的ペプチドモチーフの特定
HLA-A24.1 アレル特異的モチーフは、プールした画分(−のケースにおいては、細胞系KT3より精製した HLA-A24.1分子より溶離させた7%〜19%のCH3CN のHPLC分画ペプチドに相当する)のアミノ酸配列分析により特定した。表8に示すデーターを基礎に、HLA-A24.1についてのモチーフは、2位においてチロシン(Y)により占拠されている保存残基、9又は10アミノ酸のペプチドの長さ、及びフェニルアラニン(F)又はロイシン(L)のC−末端保存残基より成る。上昇はいくつかのその他の位置でも認められた:3位でのイソロイシン(I)及びメチオニン(M);4位でのアスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、グリシン(G)、リジン(K)及びプロリン(P);5位でのリジン(K)、メチオニン(M)及びアスパラギン(N);6位でのバリン(V);7位でのアスパラギン(N)及びバリン(V);並びに8位でのアラニン(A)、グルタミン酸(E)、リジン(K)、グルタミン(Q)及びセリン(S)。
【0066】
【表8】

【0067】
実施例8
免疫原性ペプチドの同定
様々な MHCクラスIについての上記のモチーフを利用し、様々なウィルス性及び腫瘍関連タンパク質由来のアレルアミノ酸配列をこれらのモチーフの存在について分析した。全ての標的抗原についての配列を GenBankデーターベース(Release No. 71.0 ; 3/92)より入手した。モチーフの同定は「FINDPATTERNS」プログラム(Devereux, Haeberli and Smithes (1984), Nucleic Acids Research 12(1); 387-395 )を用いて行った。
アミノ酸配列又はヌクレオチド配列エンコード産物は GenBankデーターベースより入手した。ヒトパピロマウィルス(HPV)、前立腺特異的抗原(PSA)、p53癌遺伝子、エプスタイン バー核抗原−1(EBNA-1)及びc-erb2癌遺伝子(HER-2/neuとも呼ばれている)及び黒色腫抗原−1(MAGE-1)においては単核の配列がある。
B型肝炎ウィルス(HBV)、C型肝炎ウィルス(HCV)及びヒト免疫不全ウィルス(HIV)の場合には複数の株/単離体が存在し、そして多くの配列が GenBankに入れられている。
HBV に関して、結合性モチーフをadr, adw及び aywタイプについて同定した。同一配列の複製を避けるため、 adrモチーフの全て、並びに adrにおいて存在していない adw及び aywのみに由来するモチーフをペプチドのリストに加えた。
HCV の場合においては、残基1〜残基 782由来の共通配列を9つのウィルス単離体より誘導した。モチーフは、この9つの単離体間で全く又は極くわずかな(1残基)変動しかない領域上で同定した。5つのウィルス単離体由来の残基 783から3010の配列も分析した。全ての単離体に共通するモチーフを同定し、そしてペプチドリストに加えた。
【0068】
最後に、北米(North American)ウィルス単離体(10〜12のウィルス)について HIVタイプ1に関する共通配列をLos Alamos National Laboratory データーベース(1991年5月リリース)より入手し、そしてほとんどのウィルス単離体間で一定であるモチーフを同定するために分析した。小さな度合いの変動(2形態において1残基)を抱えるモチーフもペプチドリストに加えた。
下記に示している各アレルについてのいくつかのモチーフをいくつかの抗原をスクリーンするために用いた。上記に開示した全てのアレルに由来するモチーフを利用しているヒトパピロマウィルス(HPV)のタンパク質E6を示す(表9)。 HPVタイプ18のタンパク質E7も全てのアレルについて探索した(表9)。黒色腫抗原MAGE1,2及び3を全てのアレルに由来するモチーフについて探索した(表10)。抗原 PSAを全てのアレルに由来するモチーフについて探索した(表11)。最後に、C型肝炎ウィルス由来のコア及びエンベロープタンパク質も探索した(表12)。これらの表及びモチーフの詳細において、各アミノ酸についての慣用の記号文字を使用した。文字「X」は万能札文字(任意のアミノ酸)を表わしている。
【0069】
下記のモチーフを本探索においてスクリーンした:
【表9】

【0070】
【表10】

【0071】
【表11】

【0072】
【表12】

【0073】
実施例9
定量的 HLAクラスI結合アッセイ
モチーフ含有ペプチド配列が本当に適当なクラスI分子に結合できるかを確認するため、特異的結合アッセイを樹立した。HLA-A3.2分子をGM3107 EBV細胞より、A3.2を単離するためのGAPA3mAb(抗−A3)を用いるアフィニティークロマトグラフィーにより精製した。この工程の前に、そのリゼートは一般的に上記の実施例2に記載の通り B1.23.2カラム(この抗体はB,C特異的である)に繰り返し通すことによってHLA B及びC分子が枯渇されている。
放射性ラベルプローブとして、A3.2 モチーフを含むペプチド941.12(KVFPYALINK)を使用した。このペプチドは上記のA3.2 特異的バインダーの結合したアンカー残基V2 及びK10を含む。Y残基を5位に挿入して放射性ヨウ素化を可能にした。ペプチドを、引用することで本明細書に組入れるBuusら Science 235 : 1352(1987)のクロラミンT液の利用によりラベルした。
投与量範囲の精製A3.2 を10nMの941.12と、pH7.0 及び23℃で、プロテアーゼインヒビターカクテル(1mMのPMSF、1.3mM の1.10フェナノスロリン、73μMのペプスタチンA、8mMのEDTA及び 200μMの Nap−トシル−L−リジンクロロメチルケトン(TLCK))及び1μMの精製β2 −ミクログロブリンの存在でインキュベートした。2日後、%結合放射活性を、引用することで本明細書に組入れるSeHeらのSeminars in Immunology、第3巻、Gefter編(W.B.Saunders, Philadelphia, 1991) 、頁 195−202 のクラスIIペプチド結合アッセイについて前記した通りに、TSK 2000カラムでのゲル濾過により測定した(図4参照のこと)。35〜300nM に範囲するA3.2 の濃度に関して良好な結合性(60〜100 %の範囲)が認められた。15nMのA3.2 では30%の結合性が認められた。
【0074】
A3.2 の使用量を最少限にし、且つアッセイの感度を高めるため、5〜10nMのA3.2 の濃度を更なるアッセイのために選んだ。図5に示す実験において、7nMのA3.2 及び等濃度の放射性ラベル化941.12を上記の条件を利用し、且つ投与量範囲の3種のペプチド(HBC 18-27 (924.07)、前立腺特異的抗原ペプチド(939.01)及びHIV nef 73-82 (940.03))の存在下でインキュベートした。ペプチド940.03は22nMの50%阻害濃度(IC50%)で強く阻害され、一方ペプチド939.01では弱い阻害(IC50% 940nM)が観察された。最後に、ペプチド924.07は30μMのレベルに至るまでなんら阻害は示されなかった。即ち、ペプチド940.03及び939.01はそれぞれ高及び中親和性バインダーであり、一方ペプチド924.07は低親和性又はネガティブなバインダーに分類されるものと考えられる。
本明細書にわたり、結果はIC50で表わしている。アッセイを行う条件を一定にすると(即ち、 MHC及びラベル化ペプチド濃度を限定すると)、これらの値はKD 値に近づく。IC50値はアッセイ条件を変えたとき、及び使用した特定の試薬に依存して(例えばクラスI調製品等)しばしば劇的に変動しうることに注目すべきである。例えば、過剰な濃度の MHCは一定のリガンドの見かけ測定されたIC50を高めるであろう。
【0075】
これらの不確定性を回避するための結合性データーを表わす別の様式の対照ペプチドに対する相対値である。対照ペプチドは全アッセイに含ませる。特定のアッセイの感度が高まる又は低くなるにつれ、ペプチドのIC50は若干変動しうる。しかしながら、対照ペプチドに相対する結合性は変動しないであろう。例えば、対照ペプチドのIC50が10倍上昇するような条件下で流すアッセイにおいては、全てのIC50も約10倍シフトするであろう。従って、あいまいさを避けるため、ペプチドが良好か、中程度か、弱いか、又はネガティブなバインダーであるかを決定するために用いる規定値は対応の系数により修正すべきことが理解されうるであろう。例えば、もしA2.1結合アッセイにおいて、A2.1 標準品(941.01)のIC50を5nMの代わりに8nMで測定すると、ペプチドリガンドは、通常の50nMのカットオフ値の代わりに80nM(即ち、8nM×0.1)未満のIC50を有する場合にのみ良好なバインダーと呼ばれるであろう。
ここに記載の実験系は様々な異なる種のクラスI特異性に対する多大な数の合成ペプチドの結合性を試験するのに利用できうる。特異的結合アッセイは下記のようにして実施される。
【0076】
HLA-A11 特異的アッセイ
細胞系 BVRを HLAの起源として用いた。β2 Mの存在下又は非存在下での MHC濃度に及ぼす結合力の依存性を図6に示し、一方図7は過剰非ラベル化リガンドによる阻害の投与量依存性を示す。−6nMの見かけ上のKD の値及び10%の活性レセプターが得られ、そしてA2.1 及びA3.2 について得られた値に対するその類似性がめざましかった。放射性プローブとして用いたペプチドの配列はAVDLYHFLK である。
【0077】
HLA-A1- 特異的アッセイ
本ケースにおいては、 EBV細胞スタインリン(Steinlin)を精製HLA の起源として使用した。他の HLAアレルの精製に予め適用したのと同一のプロトコール(即ち、B1.23.2 mAb カラムによるB,C分子の枯渇、それに続くW632 mAbカラムによるA分子の精製)を利用した。プール配列決定データーを基礎に、共通ペプチドを合成し、直接放射性ラベルし、そして標準のプロトコール(1mMのβ2 M;プロテアーゼインヒビターの存在下で2日間のRTインキュベーション)を利用して HLA結合性について試験した。%結合性とμM仕込みHLA A1との関係を示すグラフを図9に示す。このデーターより、HLA A2, 3 及び11について観察されたものとの類似性において、〜10%の結合性を得るのに30nMほどの少なさで十分であることが考えられる。放射性ラベル化プローブ(944.02)として用いたペプチドの配列は YLEPAIAKYである。次のセットの実験において、樹立したアッセイの特異性を、過剰の未ラベル化ペプチドによるその居住性によって確認した。IC50%は〜20nMと測定された(図10)。更なるスキャッチャード分析(図11)は、相互作用の見かけ上のKD が21nMに相当し、活性レセプターの%が 5.1%に相当することを確証した。
【0078】
HLA-A24 特異的アッセイ
HLA-A24 分子をKT3 EBV細胞系から精製した。このケースにおいて、配列がプール配列決定データーを基礎とする2つの共通ペプチドを合成した。その配列は: 979.01, AYIDNVYKF、及び 979.02, AYIDNYNKF である。仕込み MHCの関数としてのこれらの2種のペプチドの%結合性を測定する実験の結果を図12に示す。両ケースにおいて、10〜15%の結合性が20〜50nMの MHCほどの小ささで得られた。MHC 濃度を限定した低温阻害実験(図13)は、結合が未ラベル化ペプチドにより、それぞれ30及び60nMの見かけ上のKD で容易に阻害性であることを示した。更なるスキャッチャード実験は 136nm及び28nMの値それぞれを確証した。有用なレセプター(活性MHC)の見かけ上の%はそれぞれ 8.3%及び 7.4%であった(図9a及びb)。これらのデーターに基づき、ペプチド979.02をA24アッセイのための標準ラベルインジケーターとして任意的に選んだ。更に、ここに記載のデーターに基づき、A24−特異的結合性アッセイを樹立する目標が達成されたものとも我々は考えた。結果として、5種の主要HLA アレルについての特異的アッセイを述べてきた。
【0079】
実施例10
HLA-A モチーフの展開
インビトロ結合アッセイの樹立は、課題の様々なアレル(HLA A1, A2, A3, A11 及びA24)に対する様々な合成ペプチドの結合能のインビトロ定量を容易にする。このことは、様々なHLA Aモチーフを担持するペプチドを介してのこのモチーフの、精製 HLA分子に結合するその能力についての真偽を確証せしめる。典型的には、アラニン残基のみより成る中性骨格の中にかくれた特異的な HLAモチーフでペプチドを合成する。あるケースにおいては、可溶性を高める目的で、配列の中にK残基も導入する。クラスII分子の場合に適用するかかる「中性」ポリA骨格の利用は例えば Jardetzkyら(Jardetzkyら、EMBO J. 9 (6) : 1797, 1990)に詳細されている。
【0080】
例えば、A3.2 の場合、モチーフは2位の疎水性残基及び9位の正帯電(K)で特定される。即ち、これらの2つのアンカー残基の存在がポリA骨格に関してA3.2 結合を可能にするかを確証するため、配列 AMAAAAAAKを有するポリA類似体を合成した(表13)。
同様に、その他の HLAモチーフを担持するその他のペプチドも合成し、そして HLA結合性について試験した。全てのケースにおいて、特異的な HLAモチーフの存在は、 125〜2.8nM より成る推定KD での対応の HLAアレルに対する結合を誘発することが認められた。ほとんどのケースにおいて、この結合は、無関係なアレルに対する結合が検出されない点で、絶対的に特異的でもある。この一般的な法則に反する2つの例外のみが認められた。一つは、A3とA11ペプチドは互いとかなり交差反応し、それはおそらくこれら2つのアレルについてのモチーフはかなり似ていることにより予測されうる。第二に、一部のA1ペプチドはかかる低めの親和性にもかかわらず、A11及びA3.2 と交差反応した。
ペプチドエピトープと課題の様々なクラスIアレルとの相互作用にとっての構造的な要件を更に特定するため、表13に示す9残基ペプチドの一部の長さ10残基数の類似体を合成した(表14)。これらの類似体はポリA骨格の中に追加の Ala残基を挿入して、そのアンカー残基が2位及び10位に位置しないようにする(先の表における2及び9と異なるようにする)ことにより作った。得られる結果は、10残基数のモチーフもそのやや低めの効率性にかかわらず、対応のクラスIアレルに特異的に結合することができることを示した。
まとめると、これらのデーターは、適当なモチーフを含む9量体及び10量体のペプチドは共に HLAに結合できることを確証した。これらのデーターに基づき、8量体又は11量体のペプチドも、おそらくは低親和性であるかもしれないが結合可能であろう。
【0081】
上記のデーターは、アンカー位置における所定の残基の存在がHLA 結合性を(少なくとも「中性」ポリA骨格において)可能にすることを示す。この重要なアンカー位置においてどの程度その他のアミノ酸(例えば化学的に近縁するアミノ酸)が寛容されうるかを調べるため、表13のポリAペプチドの一部の類似体を合成し、ここでその2位(又は3位)又は9位にある残基を変えておいた。この分析の結果を表15〜19に示す。
A3.2 の場合(表15)、2位におけるL,M,I,V,S,A,T及びFが好ましいことが見い出され(先に特定したアンカー残基に対して結合力≧0.1)、一方、C,G及びDが許容された(先に特定したアンカー残基に対して結合力≧0.01〜0.1)。この位置における、Dとの類似性を理由とするEの置換も寛容されうる。9位においては、K,R及びYが好ましい。性質における類似性を理由に、H及びFも好適であろう。その他の残基はどれもA3結合に関して9位では寛容されなかった。
【0082】
A11の場合(表16)、2位における好適な残基はL,M,I,V,A,S,T,G,N(L及びQは類似性による)である。寛容されたのはC,F,D(及び類似性によりE)であった。9位においては、Kが好ましく、そしてRが寛容された。Hも類似性により寛容されるであろう。
A24の場合(表17)、Y及びF(そして類似性によりW)が好ましく、その他の残基は寛容されなかった。9位においては、F,I及びL(並びに延長によりW及びM)が好ましい。その他の残基は寛容されなかった。
【0083】
A1のケースにおいては、3つの異なるアンカー残基が既に特定されている。先の章に示す結果は、それらが互いに独立して作用することを示している(即ち、3つのアンカーのうちの2つが結合にとって十分であろう)。これは真実である。この理由のため、2つのアンカーを含む類似体を合成してどの残基が各位置において好ましい又は寛容されうるかを特定した。表18に示すデーターは、2位において、T,S及びMが好ましく、そしてその他の残基は寛容されないことを示す。3位においては(表19)、D及びEが好ましく、そしてA,S(及び類似性により)Tが寛容された。最後に、9位においては、Yのみが好ましくは、その他の残基は寛容されなかった(表19)。
従って、このデーターに基づき、2つの好適な残基の任意の組合せを担持するペプチドが結合できると考えられる。「不完全」モチーフを含むペプチド、即ち、一の位置において好適な残基を、そして他方のアンカー位において寛容されているものを担持するものは、若干低めの親和性にかかわらず、結合可能であろう。様々な MHCクラスIアレルについての本発明のモチーフを利用して、様々なウィルス及び腫瘍関連タンパク質由来のアミノ酸配列をモチーフの存在について分析した。このモチーフ分析の結果を表23a〜kに示す。
【0084】
実施例11
HPV16 ペプチドのかたよりのないセットによる HLAペプチド結合性モチーフのバリデーション
ヒトパピロマウィルス(HPVs)は、頸部癌の病因(Pfister, H.(1974) Biology and biochemistry of papillomaviruses, Rev. Physiol. Biochem. 99:111 ; zur Hausen, H. (1991)。Human papillomaviruses in the pathogenesis of anogenital cancer. Virology. 184:9)にかかわり、そして世界中の癌に基づく全死亡数の10%までを占める(zur Hausen, H. (1991) 。Viruses in Human Cancers. Science, 254:1167) 。頸部癌は世界中の女性の癌に関連する死の2番目の最も一般的な原因である(Parkin, D.M., Laara, E.及びMuir, C.S. (1988), Estimates of the worldwide frequency of sixteen major cancers (1980). Int. J. Cancer. 41:184)。HPV DNA は90%より大の頸部癌腫及びほとんどのHPV 16ゲノタイプに存在している(Resnick, R.M., Cornelissen, M.T., Wright, D.K., Eichinger, G.H., Fox, H.S., ter Schegget, J., and Manos, M.M. (1990)。Detection and typing of human papillomavirus in archival cervical cancer specimens by DNA amplification with consensus primers. J. Natl. Cancer Inst; Van den Brule, A.J.C., Walboomers, J.M.M., du Maine, M., Kenemans, P., and Meijer, C.J.L.M. (1991) 。Difference in prevalence of human papillomavirus genotypes in cytomorphologically normal smears is associated with a history of cervical intraepithetal neoplasia. Int. J. Cancer. 48:404) 。HPV 16初期領域6及び7(E6,E7)オープンリーディングフレームの、げっ歯動物細胞(Yasumoto, S., Burkhardt, A.L., Doniger, J., and Dipaolo, J.A. (1986) 。Human Papillomaviruses type 16 DNA induced malignant transformation of NIH3T3 cells. J. Virol. 57:572)及びヒトケラチノサイト(Pirisi. L., Yasumoto, S., Feller, M., Doniger, J., and Dipaolo, J.A. (1987)。Trans-formation of human fibroblasts and keratinocytes with human papillomavirus type 16 DNA. J. Virol, 61:1061) をインビトロで不死する能力並びにヒト線維芽細胞(Smits, H.L., Raadsheer, E., Rood, I., Mehendale, S., Slater, R.M., van der Noordaa, J., and ter Schegget, J.(1988)。Induction of anchorage-independent growth of human embryonic fibroblasts with a deletion in the short arm of chromosome 11. J. Virol. 62:4538) を形質転換する能力は、頸部発癌の多段過程におけるHPV 16の直接的なかかわり合いを示唆する。
【0085】
一般に、T細胞免疫性、特に細胞障害性Tリンパ球(CTL)により媒介されるものがウィルス誘発型腫瘍に対する防御において重要である(Melief, C.J. (1992) 。Tumor eradication by adoptive transfer of cytotoxic T lymphocytes 。Adv. Cancer Res. 58: 143; Melief, C.J., and Kast, W.M. (1992)。Lessons from T cell responses to virus induced tumors for cancer eradication in general. Cancer Surv. 13:81)。近年、マウスのモデルにおいて、HPV 16 E7 発現性腫瘍に対する多少の度合いの防御が、HPV 16 E7発現細胞による免疫を経た CTLより得られることが報告されている(Chen. L., Thomas, E.K., Hu, S.L., Hellstroem, I., and Hellstroem, K.E. (1991)。Human papillomavirus type 16 nucleoprotein E7 is a tumor rejection antigen 。Proc. Natl. Acad. Sci. 88:110; Chen, L., Ashe, S., Brady, W.A., Hellstroem, I., Hellstroem, K.E., Ledbetter, J.A., McGowan, P., and Linsley, P.S. (1992)。Costimulation of Antitumor immunity by the B7 counterreceptor for the T lymphocyte molecules CD28 and CTLA-4. Cell. 71:1093) 。 CTLによるインビボ防御が近年マウスモデルにおいて示され、それにおいては CTLエピトープ含有合成ペプチドがウィルス感染に対するマウスの効果的な感作のために使用されている(Schulz, M., Zinkernagel, R.M., and Hengarter, H. (1991)。Peptide-induced antiviral protection by cytotoxic T cells 。Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:991; Kast, W.M., Roux, L., Curren, J., Blom, H.J.J., Voordouw, A.C., Meleon, R.H., Kolakofski, D., and Melief, C.J.M. (1991) 。Protection against lethal Sendai virus infection by in vivo priming of virus-specific cytotoxic T lymphocytes with an unbound peptide. Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 88:2283)。更に、マウスのモデルにおいて、HPV 16誘発型腫瘍に対する完全な防御はウィルス癌遺伝子E7に由来する CTLエピトープによるペプチド種痘により達せられることが現在示されている。
【0086】
HPV 16 E6 及びE7遺伝子生成物がHPV 16誘発型腫瘍に対する種痘のために最も所望されている標的抗原である。両方ともHPV 16形質転換癌細胞の中で保持され、且つインビボで高く発現され(Baker, C.J., Phelps, W.C., Lindgren, V., Braun, M.J., Gonda, M.A., and Howley, P.M. [1987] 。Structural and transcriptional analysis of human papillomavirus type 16 sequences in cervical carcinoma cell lines 。J. Virol. 61:962; Smotkin, D., and Wettstein, F.O. [1986]。Transcription of human papillomavirus type 16 early genes in a cervical cancer and cancer-derived cell line and identification of the E7 protein 。Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 83:4680)、そしてインビトロでの細胞形質転換の誘発及び維持にかかわっている(Crook, T., Morgenstern, J.P., Crawford, L., and Banks, L. [1989] 。Continued expression of HPV-16 E7 protein is required for maintenance of the transformed phenotype of cells co-transformed by HPV-16 plus EJ ras。EMBO J. 8:513; Hawley-Nelson, P., Vousden, K.H., Hubbert, N.L., Lowy, D.R., and Schiller, J.T. [1989] 。HPV 16 E6 and E7 proteins cooperate to immortalize human foreskin keratinocytes 。EMBO J. 8:3905)。E6及びE7の発現への頸部癌に由来する細胞系のインビトロ増殖の依存性は頸部癌腫細胞系の表現型の維持におけるこれらの癌遺伝子のかかわり合いを強調する(Von Knebel Doeberitz, M., Bauknect, T., Bartch, D., and zur Hausen, H. [1991] 。Influence of chromosomal integration on glucocorticoid-regulated transcription of growth-stimulation papillomavirus genes E6 and E7 in cervical carcinoma cells 。Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 88:1411)。ヒトについての CTLエピトープ及びHPV 16の有能なワクチン候補を決定するため、我々はHPV 16 E6 及びE7タンパク質配列に広がるペプチドを、最も頻度の高いヒト MHC分子、即ち、 HLA-A1, A3.2, A11.2及び A24に対する結合能力についてスクリーンした。組合せたこれら5つのアレルは世界の人口の約90%を占めるであろう(Dupont, B., ed. [1987]. Immunology of HLA Vol. I --Histocompatibility Testing. Springer-Verlag, New York) 。
【0087】
全HPV 16 E6 及びE7癌遺伝子配列を重複してカバーする長さ9aa及び8aaの 240通りの重複合成ペプチドの完全なセットを合成した。これらのペプチドを上記した結合アッセイにおける上記の HLA分子との結合能力について試験した。この分析の結果は、対応 HLAアレルに対する全てのペプチドの相対親和力を示し、そして表20(a)−(d)におけるヒトに対するペプチドベースワクチンにおいて使用するための可能な候補となる CTLエピトープを示した。
この結果は、上記した HLAアレルに対する本発明に記載のペプチド結合性モチーフが、タンパク質のどのペプチドが特定の HLA分子の溝の中に結合する傾向にあるかを推定せしめる。我々は大型、且つかたよりのないペプチドのセットを使用したため、このペプチド結合性分析の結果を、これらのモチーフの、その予測の能力、並びにペプチドにおいて2位(3)及び9位上に特定のアンカーaa残基を有する必要性の両方についての値を評価するために用いた。
【0088】
ペプチド。ペプチドは固相手法により、多重ペプチド合成装置(Abimed AMS422)で、Fmoc保護化アミノ酸のポリスチレンの樹脂への添加をFmoc−脱保護手順で交互に行う繰り返しサイクルによって作った(Gausepohl, H., Kraft, M., Boulin, Ch., and Frank, R.W. [1990] 。Automated multiple peptide synthesis with BOP activation。Proc. of the 11th American peptide symposium。J.E. Rivier and G.R. Marshall, Ed. ESCOM, Leiden. 1003-1004)。C末端においてCOOH基を抱える全てのペプチドを樹脂から切り、そして側鎖保護基を水性 TFAによる処理によって除去した。ペプチドを逆相HPLCにより分析し、凍結乾燥し、そして使用前に3%のDMSO(Sigma, St. Louis, MD 63175)を含むリン酸緩衝食塩水の中で1mg/mlの濃度に溶解した。溶解したら、これらのペプチドを−70℃で保存した。システイン含有ペプチドは合成及び操作中に(空気)酸化を受け易いので、これらのペプチドはシステインの代わりにアラニンで合成した。
【0089】
種々の HLA-Aアレルに結合するHPV 16 E6 及びE7タンパク質に由来するペプチドの同定。全HPV 16 E6 及びE7タンパク質の配列をカバーする長さ9aaであり、そして8aaで重複する 240通りのペプチドの完全なセットを5種の HLA-A分子に対する結合性について試験した。
この分析の結果を表20(a)−(d)に示す。表20(a)にはHLA-A1分子に結合するHPV 16のペプチドが記載されている。全てのペプチドを試験した。リストしているのは≧0.001 の比の値をもたらすペプチドのみである。2 つのペプチドがこの分子に対して高親和性で結合し(>0.1)、6が中程度の親和性(0.1〜0.01)、そして1が低親和性(0.01〜0.001)で結合することがわかった。ペプチドを、様々な実験で得られたデーターとの対比を可能にするため、比の値でランク分けした。50%の阻害投与量(IC50)をもたらすのに必要なペプチドの濃度を計算するため、標準IC50の値をこの比で除しなければならない。例えば、ペプチド E6-80は23nMのIC50を有する(81/3.5)。
【0090】
表20(b)にはHLA-A3.2分子に結合するペプチドが記載されている。7つのペプチドが高親和性バインダーとして、6が中親和性バインダーとして、そして13が低親和性バインダーとして同定された。表20(c)には HLA-A11.2分子に結合するペプチドが記載されている。6の高親和性ペプチド、4の中親和性ペプチド、そして10の低親和性ペプチドが同定された。この高親和性結合ペプチド(E6-59 IVYRDGNPY 及びE6-80 ISEYRHYAY)並びに9位にYを有するこの弱親和性結合性ペプチド(E6-42 QQLLRREVY, E6-69 VADKALKFY)がHLA-A11.2 に関して同定された。最初の2つのペプチドの高結合力及び9位においてYが好適である。 HLA-A11.2モチーフとHLA-A3.2モチーフとの類似性を考え、チロシンが HLA-A11.2モチーフの9位に含まれているべきである。表21(b)と(c)とを対比し、A3.2及びA11.2分子の両者に結合するペプチドの大きな重複があることが明らかである。これらの2つの HLA分子に結合する28のE6及びE7ペプチドのうちの18が重複しており、そして8のペプチドのみがHLA-A3.2にとって、そしてこのペプチドが HLA-A11.2にとって固有であった。
【0091】
最後に、表20(d)には HLA-A24分子に結合するペプチドが記載されている。ここで、2のペプチドが高親和性結合性ペプチドとして、5が中親和性結合性ペプチドとして、そして5が低親和性結合性ペプチドとして同定された。1の高親和性ペプチド(E6-72 KALKFYSKI)及び1の中親和性ペプチド(E7-49 RAHYNIVTF)が同定され、2位のAが HLA-A24モチーフに許容されているべきことを示唆している。これらの関係は全て表20−eに示している。これらの表を分析するうえで、2〜7の高親和性結合性ペプチドが試験したHLA-A 分子の全てに関して同定されることが考えられうる。時折り、いくつかのペプチドはより多くのアレルに結合する。3のペプチド(E6−7,E6−37及びE6−79)がHLA-A2.1, A3.2及び A11.2に結合した。1のペプチド(E6−38)が HLA-A3.2, A11.2及びA24 に、そして2のペプチド(E6−69及びE6−80)がHLA-A1, A3.2及び A11.2に結合した。しかし、これらの交差反応性ペプチドは1又は複数の異なる HLA分子と弱くしか結合しなかった。しかしながら、一般に、HLA-A3.2及び HLA-A11.2分子を除き、ほぼ全てのHLA 分子が固有のペプチドと結合できることが考えられうる。
HPV 16 E6 及びE7ペプチドのかたよりのないセットによる HLA-Aペプチド結合性モチーフのバリデーション。
【0092】
我々は、本明細書に記載のアンカー位置についてのモチーフがペプチドの結合性をどのようによく予測せしめるか、及びその逆、即ちどのようによく結合性ペプチドが同定モチーフに従うかを分析した。このため、ペプチドを強バインダー、中バインダー、弱バインダー及びネガティブバインダーとしてランク分けし、そして多ペプチドに関して、表6のアンカーモチーフの法則を基礎とするモチーフ推定を分析した。2(3)及び9アンカーモチーフの全体的な効率性を計算し、そして表20(e)にまとめた。種々の HLA-A分子について前述したモチーフはかなり正確であるものと考えられうる。100 %のHLA-A1, A3.2及び A24の強バインダー並びに67%のHLA-A11.2 のそれが推定されるであろう。中バインダーについてさえも分析した HLA-A分子に依存して40〜100 %が予測されるであろう。更に、予測されうる弱結合性ペプチドのパーセントは低く、そして結合すると予測されたが実際には結合しなかったペプチドのパーセンテージはこれらアレル全てに関して非常に低かった。
別々に分析したHLA-A1に結合すると予測された12のペプチドは高又は中親和性で結合した。このことは、これらの潜在的な CTLエピトープを見い出すのに数種のペプチドを作るだけでよいことを示唆する。 HLA-A3.2, A11.2及び A24についての数字はそれぞれ10/32,7/26及び4/7であった。このことは、これらのアレル全てについての推定値が良好であることを意味する。先に記載のモチーフにより推定されていない一部のペプチド(表21(a)〜(d)における(−))の他に、2,(3)及び9アンカーモチーフにより推定されたいくつかのペプチドは結合せず、適正なアンカー残基を有することが常に結合のために十分であるのではなく、そして非アンカー残基がペプチドの結合性に負の寄与を及ぼしうることを意味している。
【0093】
実施例12
モチーフの存在は必要であるが、高親和性クラスI結合にとって十分でない
種々のモチーフの存在がどのように、対応の HLAアレルに対する種々のペプチドの結合能力に影響を及ぼしうるかを調べるため、様々な潜在的な標的分子の配列をモチーフ含有ペプチドについてスキャンした。このようにして同定したペプチドを合成し、そして結合について試験した。A3.2 の場合、 205のペプチドのうちの39(19%) のみが1〜50nMの範囲における高親和力で結合することが見い出せた(表20)。そのうちの22.4%が中親和力(50〜100nM の範囲)で結合し、一方、34.6%が弱く結合した(500nM〜50μMの範囲)。最後に、その23.9%が少なくとも50μMのレベルで全く結合しなかった。A11の場合、 100ペプチドのうちの33(33%)が1〜50nMの範囲の高親和力で結合した。そのうちの35%が中親和力(50nMの範囲) で、一方24%が弱く(500nM〜50μMの範囲)で結合した。最後に、その8%が少なくとも50μMのレベルで全く結合しなかった。
類似の結果がA1及びA24の場合においても得られた(データーは示さず)。
【0094】
同タイプの分析をA3.2 及びA11モチーフのいづれかを担持する10量体ペプチドのケースにおいても行った(表22(a)及び(b))。これらのケースにおいて、良好なバインダーの頻度でさえも低かった(それぞれ17.5%及び29.8%)。これらのデーターは、10量体ペプチドを含むモチーフが、一般に低い親和力にもかかわらず実際に結合できうることを確証せしめうる。
まとめると、この章に示すデーターは、適正なアンカー残基の存在は良好な HLA結合を可能にするのに本質的でないことを明確に示す。それ故、2(3)及び9(又は10)以外の位置に含まれている残基の種類が結合に影響を及ぼしうることが明らかである。この所見の最も好適な解釈は、所定の残基の(2及び9以外の位置での)存在はペプチド決定基の結合能力を無効に又は高めることができることにある。
先の章に示したデーターは、モチーフ含有ペプチド内の免疫原性であるペプチドを同定するのにどのようにして結合性アッセイを使用できるかを述べている。我々はまた、別の手法、即ち、モチーフ含有ペプチド内のどのペプチドが良好又は中間的なバインダーであり、そしてそれ故免疫原性でありうるかを推定できるであろう手順を誘導する手法を企立てることを要望する。他の実験においては中間的又は良好なバインダーと示されていないものが免疫原性であると示された。特に、結合にネガティブな影響を及ぼす残基を同定するため、A3.2,A11並びに9量体及び10量体を含む全てのモチーフ含有ペプチドについての全ての分析を行った。A11の場合、非結合性ペプチドの少なさのため、その分析が一方では良好と中間的なバインダーとを、そして他方では弱と結合しないバインダーとを対比するために異なるカットオフ値を利用した。
【0095】
実施例13
免疫原性ペプチドを同定する計算法
上記の実施例13に示す結果を鑑みて、アンカー又は保存残基に加えて、ペプチド配列の各位置においての様々な残基の効果に基づく結合性のより正確な推定因子を供する計算法を開発した。より詳しくは、我々は、ペプチド伝いの各位置においての各アミノ酸についての点数を規定する。各特定のアレルについての計算法を開発するために、A1,3,11又は24モチーフ含有ペプチドの我々のコレクションのスクリーニング中に得られたデーターバンクを利用した。各残基についての点数は、良好及び中間的なバインダーにおけるその残基の頻度、対、非バインダーにおけるその残基の存在頻度の比とした。
本計算法において、残基は類似性によりグループ分けした。このことは、統計学的に有意な比を得るには存在数が少なすぎる稀な残基、例えばトリプトファンにより遭遇する問題を回避する。リスト表は、モチーフを規定する保存残基を含む9量体ペプチド(2/9モチーフ)ついての位置によって20のアミノ酸それぞれについてグループ分けすることによって得られる点数より成る。ペプチドは各残基の点数の積としてこの計算式において点数付けした。
結合力を補正する計算式の力は、良好なバインダーの最も高い存在率を有するペプチドの集団を推定する能力により更に裏付けされる。特定の MHCアレルに結合する9量体ペプチドを推定するために例えば単に2/9モチーフのみを頼りにすると、大量の数のモチーフ含有ペプチドが良好なバインダーと推定されうるであろう。実際にはこれらのペプチドのうちのわずかしか中間的なバインダーでなく、同時にこのモチーフにより推定されるペプチドの大多数は弱結合性又は結合できないペプチドのいづれかである。他方、本発明のグループ分け計算法を用いると、より高いパーセンテージの良好なバインダー、更により高いパーセンテージの中間的なバインダーを有するペプチドの集団が作り上げられ、そしてモチーフ含有ペプチドにより推定されるのより小さいパーセンテージのものは弱及び非バインダーである。
【0096】
本計算式の例はペプチドの各位置の特定の残基の影響を測定するための、バインダー及び非バインダーにおけるアミノ酸の存在頻度の比を利用する。類似の計算式を作り出すのに別の方法があることを当業者は直ちに理解するであろう。例えば、計算表を作成するために、平均結合親和値又はポリアラニン骨格を有するモチーフ含有ペプチドにおける単個アミノ酸置換の相対結合を利用しうる。
平均結合親和力を利用する計算式は、分析において全てのペプチドを含み、そして良好/中間的バインダー及び非バインダーだけでないという利点を有する。更に、これは単純なグループ比計算法より親和力のより定量的な測定値を供する。我々はかかる計算法を、各アミノ酸について、位置により、我々のモチーフ含有ペプチドのセットの中に特定の残基が存在しているときの結合力の平均対数を計算することによって作った。ペプチドについての計算点数は、各残基についての位置による点数の合計とする。
【0097】
実施例14
有効な HLAアレル特異的抗原表示細胞の調製
本例は有効な HLAアレル特異的抗原表示細胞(APC)を調製するための低温インキュベーション又は酸ストリップ/ペプチド負荷方法の利用を実例する。 APCは、抗原特異的細胞障害細胞の開発へと導かれる前駆細胞障害性Tリンパ球を感作するために用いた。これはフィトヘムアルグチニン(PHA)T細胞ブラスト又は末梢血液単核細胞(PBMC)又はスタフィロコッカス アウレウス(Staphylococcus aureus) Cowan I (SAC-I)活性PBMCを APCとして用いることによって行った。これらの結果は他の APC及び他の MHCアレルに適用できる。
【0098】
以下には下記の実施例において使用した材料の起源を記載する:
L−アスコルビン酸、Cat #B582, J.T. Baker, Phillipsburg, NJ。
抗− HLA A2 (BB7.2), Cat #HB82, ATCC, Rockville, MD。
抗− HLA DR (LB3.1), J. Gorga, Children's Hospital, Pittsburgh, PA由来。
抗− HLA アルファー鎖パン ABC (9.12.1), R. DeMars, University of Wisconsin, Madison, Wl由来。
抗−マウス IgG FITC コンジュゲート、Cat #F2883, Sigma, St. Louis, MO。
β2 ミクログロブリン、Cat #MO114, Scripps Labs, San Diego, CA。
BSA 画分V, Cat #A9418, Sigma, St. Louis, MO。
50ccコニカル遠沈管、Cat #2070, Falcon, Lincoln, Park, NJ。
Cryo 1℃凍結用容器、Cat #5100-0001, Nalge, Rochester, NY。
凍結バイアル、Cat #5000-0012, Nalge, Rochester, NY。
ジメチルスルホキシド(DMSO)、Cat #D2650, Sigma, St. Louis, MO。
DNAse, Cat #260912, Calbiochem, San Diego, CA。
Dynabeads M-450 ヤギ抗−マウス IgG, Cat #110.06, Dynal, Great Neck, NY。
EDTA四ナトリウム塩、Cat #ED4SS, Sigma, St. Louis, MO。
FACScan, Becton Dickinson, San Jose, CA。
胎児牛血清(FCS)、Cat #3000, Irvine Scientific, Irvine, CA。
フィコル−パク、Cat #17-0840-03, Pharmacia, Piscataway, NJ。
ジェンタマイシン、Cat #600-5750AD, Gibco, Grand Island, NY。
L−グルタミン、Cat #9317, Irvine Scientific, Irvine, CA。
GS-6KR遠心器、Beckman Instruments, Palo Alto, CA。
ヒトAB血清(HS)、Cat #100-112, Gemini Bioproducts, Calabasas, CA。
ヒト rIL-2, Sandoz, Basel, Switzerland。
ヒト rIL-7, Cat #F1-1587-1, Genzyme, Cambridge, MA。
イソプロパノール、Cat #A464-4, Fisher Scientific, Pittsburgh, PA。
MicroCELLector T-150培養フラスコ(CD4+細胞選別用)、Cat #8030, Applied Immune Sciences, Menlo Park, CA。
Micromedic自動ガンマーカウンター、ICN Micromedics Systems, Huntsville, AL。
OKT4ハイブリドーマ上清液、Cat #CRL 8002, ATCC, Rockville, MD。
パラホルムアルデヒド、Cat #T-353, Fisher, Pittsburgh, PA。
PBS カルシウム及びマグネシウムフリー(CMF)、Cat #17-516B, BioWhittaker, Walkersville, MD。
本研究において使用したペプチドは Cytelで合成し、そして表24aに示す。
フィトヘムアグルチニン(PHA)、Cat #HA-16, Wellcome, Dartford, England。
RPMI 1640 +ヘペス+グルタミン、Cat #12-115B, BioWhittaker, walkersville, MD。
RPMI 1640 +ヘペス+グルタミン、Cat #380-2400AJ, Gibco, Grand Island, NY。
塩化ナトリウム(NaCl)、Cat #3624-05, J.T. Baker, Phillipsburg, NJ。
クロム酸(51Cr)ナトリウム、Cat #NEZ 030, NEN, Wilmington, DE。
リン酸ナトリウムモノベース、Cat #S9638, Sigma, St. Louis, MO。
Triton X-100, Cat #X-100, Sigma, St. Louis, MO。
24穴組織培養プレート、Cat #3047, Falcon, Becton Dickinson, San Jose, CA。
96穴U−底クラスタープレート、Cat #3799, Costar, Cambridge, MA。
【0099】
培養培地。 PHAブラスト及び CTL誘発は、2nMのL−グルタミン(Irvine Scientific)、50μg/mlのゲンタマイシン(Gibco)及び5%の熱不活性化プールヒトAB型血清(Gemini Bioproducts)〔RPMI/5%HS〕の添加されたRPMI 1640 +ヘペス+グルタミン(Gibco)の中で行った。 EBV形質転換リンパ腺維芽細胞系(LCL)を、上記のL−グルタミン及びゲンタマイシン並びに10%の熱不活性化胎児牛血清(Irvine Scientific)〔RPMI/10%の FCS〕の添加されたRPMI 1640 +ヘペス+グルタミン〔Biowhittaker〕の中に維持した。クロム放出アッセイをRPMI/10%の FCSの中で行った。
【0100】
サイトカイン。組換ヒトインターロイキン−2(rIL-2) (Sandoz)を10U/mlの最終濃度で使用した。組換ヒトインターロイキン−7(rIL-7) (Genzyme)を10ng/mlの最終濃度で使用した。
【0101】
末梢血液単核細胞(PBMC)の単離。全血をヘパリン(10U/ml)含有シリンジの中に集め、そして50ccのコニカル遠沈管(Falcon)の中で1600rpm (Beckman GS-6KR) 15min遠心した。その血漿層を除き、そして10mlのバッフィーコートを10mlのピペットで円運動により集めた。そのバッフィーコートを徹底的に混合し、そして等容量の無血清 RPMI 1640で希釈した。希釈したバッフィーコートを次に50ccのコニカルチューブの中の20mlのフィコル−パク(Pharmacia)の上に載せ、そして 400gで室温でブレーキをオフにして遠心した。PBMCを含むそのフィコル−血漿界面を分注ピペットを用いて集め(50ccのチューブ当り2界面)、そして50mlのRPMIで10分3回(1700, 1500及び1300rpm)洗った。
【0102】
PBMCの凍結融解。PBMCを凍結バイアル(Nalge)を用い、1mlのアリコートにおいて、30×106 細胞/1mlの90%の FCS+10%のDMSO (Sigma)において凍結した。凍結バイアルをイソプロパノール(Fisher)を含むCryo1℃凍結用容器(Nalge)の中に入れ、そして−70℃に4hr(最短)〜一夜(最長)置いた。イソプロパノールは5回の使用毎に交換した。凍結バイアルを長期保存のために液体窒素に移し入れた。PBMCは37℃の湯浴の中で最後の結晶がほぼ融解するまで連続振盪しながら融解させた。細胞を直ちに DNAase 30μg/mlを含む無血清RPMI培地(凝集を防ぐため)(Calbiochem)に希釈し、そして2回洗った。
【0103】
リンパ球サブ集団の枯渇。CD4リンパ球枯渇は抗体コート化フラスコを用いて行った:CD4+細胞の選別のための Micro CELLector T-150 フラスコ(Applied Immune Sciences)をその製造者の仕様書に従って、25mlの PBS CMF+1mMのEDTA (Sigma)により、そのフラスコを30秒間攪拌し、それに続いて平らな面の上で室温で1hrインキュベートすることによって洗った。バッファーをアスピレート吸引し、そしてフラスコを2回更に 30sec攪拌し、且つ結合面の被覆を保持することで洗った。洗った各フラスコに、25mlの培養培地+5%のHSを加え、そして平な面の上で室温で 20minインキュベートした。培地が細胞を受け入れる準備が整うまでフラスコの中に放置した。PBMCを30μg/mlの DNAseを含むPRMI/5%のHSの中で融触し、そして2回洗った。洗浄液中のHSは PBMCS上のFcレセプターをブロックする。1本のフラスコ当り最大で12×107 の細胞を25mlの培養培地の中に再懸濁させた。培養培地をフラスコからアスピレートし、次いでその細胞懸濁物を Micro CELLectorに慎重に入れた。細胞を含むフラスコを平らな面の上で室温で1hrインキュベートした。インキュベーションの終了時に、そのフラスコを横にゆっくりと10秒間ゆらして非接着細胞を再懸濁した。非接着CD4枯渇細胞を集約させ、次いでフラスコを PBS CMFで2回洗って非接着細胞を集めた。集めたCD4−枯渇細胞を遠心によりペレット化し、そして完全培養培地(RPMI/5%/HS)の中に再懸濁した。
【0104】
PHA ブラストの作成。PBMCを標準のフィコルーパクプロトコールを用いて単離した。凍結細胞を使用前に2回洗った。細胞を1μg/mlの PHA(Wellcome)及び10U/mlの rIL-2を含むRPMI/5% HS中で2× 106/mlで培養した。 PHAブラストを10U/mlの rIL-2を含む培養培地の中で必要なだけ供給及び分割しながら維持した。PHAブラストは培養6日目に APCとして用いた。エンプティーとなったクラスI分子の作成及びペプチド負荷は、これらの APCを用いたときに酸ストリップ洗によってのみ実施した。
PBMC及び PHAブラストの酸ストリップ/ペプチド負荷。PBMCをフィコルーパクプロトコールを利用して単離した。凍結細胞を利用するとき、PBMCは使用前に2回洗った。細胞を用意したら、それらを低温滅菌 0.9%NaCl(J.T. Baker)+1%の BSAの中で一回洗った。50ccのコニカル遠沈管の中で、これらの細胞を低温滅菌クエン酸−リン酸バッファー〔0〜13MのL−アスコルビン酸(J.T. Baker)、0.06Mのリン酸ナトリウムモノベース(Sigma)、pH3,1%の BSA、3μg/mlのβ2 ミクログロブリン(Scripps Labs)〕の中に 107/mlで再懸濁し、そして氷上で2分インキュベートした。直ちに、5容量の低温滅菌中和バッファー#1〔0.15Mのリン酸ナトリウムモノベース pH7.5,1%の BSA、3μg/mlのβ2 ミクログロブリン、10μg/mlのペプチド〕を加え、そして細胞を 1500rpmで5分、4℃でペレットにした。細胞を1容量の低温滅菌中和バッファー#2〔PBS CMF,1%のBSA, 30lig/mlのDNAase,3μg/mlのβ2 ミクログロブリン、40μg/mlのペプチド〕の中に再懸濁し、そして20℃で4hrインキュベートした。細胞を培養培地で約5×106 /mlに希釈し、そして6000radsで照射した。次に細胞を 1500rpmで5min 室温で遠心し、そして培養培地に再懸濁した。この酸ストリップ/ペプチド負荷細胞を CTL誘発培養(以下)に直ちに使用した。
【0105】
酸ストリップ/ペプチド負荷した自己PBMC又は PHAブラストを刺激因子として使用する一次 CTLの誘発。PBMC及び PHAブラストの酸ストリップ/ペプチド負荷は上記の通りである。刺激細胞とペプチドとの最後の4時間のインキュベーションの際、応答性細胞集団を調製した:応答体はCD4+細胞の枯渇したPBMCである(上記)。応答細胞を培養培地の中に3× 106/mlで再懸濁した。1mlの応答細胞懸濁物を24穴組織培養プレート(Falcon, Becton Dickinson)の各ウェルに分注した。このプレートを37℃,5%の CO2のインキュベーターの中に、刺激集団の用意が整うまで入れておいた。照射を付したら、刺激 APCを、PBMCについては 106/ml、 PHAブラストについては3× 105/mlにおいて20ng/mlの rIL-7を含む培養培地の中に再懸濁した。ウェル当り1mlの刺激細胞懸濁物を応答付含有プレートに加えた。誘発して7日後、 200ng/mlの rIL-7を含む 100μlの培養培地を各ウェルに加えた(最終的には20ng/ウェルのrIL-7)。誘発して10日後、 200U/mlの rIL-2を含む 100μlの培養培地を各ウェルに加えた(最終的には20U/ウェルの rIL-2)。
【0106】
CTL の抗原再刺激。誘発の12〜14日目において、この一次 CTLを接着 APCを用いてペプチドで再刺激した。自己PBMCを融解し、そして上記の通りに洗った。細胞を6000radsで照射に付した。細胞をペレットにし、そして培養培地に4× 106/mlで再懸濁した。24穴組織培養プレートの各ウェルに1mlの細胞懸濁物を加え、そして37℃,5%の CO2で2hrインキュベートした。非接着細胞を各ウェルを無血清RPMIで3回洗うことにより除去した。この工程の後、3μg/mlのβ2 ミクログロブリン及び20μg/mlの全ペプチドを含む 0.5mlの培養培地を各ウェルに加えた。 APCを2hr,37℃で、5%のCO2 下で、このペプチド及びβ2 ミクログロブリンをインキュベートした。ウェルをアスピレートに付し、そして培養培地中の 1.5× 106/mlの応答細胞1mlを各ウェルに加えた。2日後、20U/mlのrIL-2を含む培養培地1mlを各ウェルに加えた。
細胞傷害性クロム放出アッセイ。一次誘発の再刺激の7日後、この培養物の細胞傷害活性を評価した。
【0107】
a.エフェクター細胞の調製:この工程では「エフェクター」と呼ぶ応答細胞を遠心し、そしてRPMI/10%の FCSの中で 107/mlで再懸濁させた。エフェクターの3倍系列希釈を行って 100:1,33:1,11:1及び3:1のエフェクター、対、標的の比を得た。エフェクター細胞をデュプリケートで、96穴U底クラスタープレート(Costar)で 100μl/ウェルに小分けした。
【0108】
b.標的細胞の調製:アッセイの約16〜20hr前に、標的細胞を、3μg/mlのβ2 ミクログロブリン及び10μg/mlの総ペプチドの存在下又は非存在下でRPMI/10%の FCSの中で3× 105/mlにおいて再懸濁した。プレインキュベーション後、標的細胞を遠心し、そしてペレットを 200μl(300μCi)のクロム酸(51Cr)ナトリウム(NEN)の中に再懸濁した。細胞を攪拌しながら37℃で1hrインキュベートした。ラベル化標的細胞をRPMI/10%の FCSで3回洗った。
【0109】
c.アッセイの準備:標的細胞濃度をRPMI/10%の FCSの中で105 /mlに調整し、そして 100μlのアリコートを応答体を含む各ウェルに加えた。K562 細胞(NK及び LAK活性をブロックする寒冷(cold)標的)を洗い、そしてRPMI/10%の FCSの中に 107/mlで再懸濁した。20μlのアリコートを各ウェル当りに加え、20:1の寒冷K562 標的:ラベル化標的を得た。自発性51Cr放出の決定のため、 100μl/ウェルのRPMI/10%の FCSを 100μl/ウェルのラベル化標的細胞及び20μl/ウェルのK562 に加えた。最大51Cr放出のため、 PBS CMF中の 100μlの1%の Triton-X100(Sigma)を 100μl/ウェルのラベル化標的細胞及び20μl/ウェルのK562に加えた。プレートを 1200rpmで2分遠心して細胞抱合形成を加速させた。アッセイを5hr37℃、5%のCO2 でインキュベートした。アッセイをそのプレートを 1200rpmで5min 遠心し、そして 100μl/ウェルの上清液を集めることにより回収した。標準のガンマー計測技術を%比分解を決定するために使用した(Micromedic自動ガンマーカウンター、0.5min/チューブ)。
【0110】
培養細胞系。HLA A2.1発現性ヒト EBV−形質転換B細胞系であるJYをRPMI/10%の FCSの中で増殖させた。NK細胞感受性赤芽球系であるK562 をRPMI/10%の FCSの中で増殖させた。K562 はクロム放出アッセイにおいてNK及び LAK細胞によるバックグランド殺傷を下げるために用いた。
【0111】
ペプチド。これらの研究において用いるペプチドはCytel で合成し、そしてその配列を表24aに記載する。ペプチドを 100%のDMSOの中で20mg/mLで希釈し、小分けし、そして−20℃で保存した。
FACS分析。約106 の細胞を試験すべき各抗体に関して使用した。細胞をPBS CNU +0.1 %の BSAで2回洗った。各サンプルに、 100μlのPBS CMF +0.1 %の BSA+一次抗体2μg/ml(BB7.2, ATCC)又は(9.12.1, Inserm-CNRS, Marseille, France)又は (LB3.1, Childrens's Hospital Pittsburgh) を加えた。ネガティブなコントロールを常に加えておいた。細胞を氷の上で20分インキュベートし、そしてPBS CMF +0.1 %の BSAで2回洗った。細胞を 100μlの抗−マウスIgG FITCコンジュゲート(Sigma)の中に再懸濁し、PBS CMF +0.1 %の BSAの中に1:50で希釈し、そして氷の上で 20minインキュベートした。細胞をPBS CMF +0.1 %の BSAで2回洗い、そしてFACScan (Becton Dickinson)分析のために PBSの中に再懸濁した。分析を後日に延期する必要があるとき、細胞を PBS/1%のパラホルムアルデヒド(Fisher)で固定し、そして1週間以内に分析した。
【0112】
完全細胞及び放射性ラベル化ペプチドを用いる結合性アッセイ。JY細胞をクエン酸−リン酸バッファー及び中和バッファー#1で上記の通りに処理した。JYコントロール細胞は組織培養培地の中で未処理のままとしておいた。処理後、両細胞集団を無血清RPMIで2回洗い、そして 125I−放射性ラベル化941.01(HBC 15-27)ペプチド(標準クロラミンTヨウ素化)を負荷した。結合特異性を決定するため、2×106 の細胞を 125I−941.01 (105 cpms) ± 100μgの未ラベル941.01を含む 200μlの中和バッファー#2(上記)の中に再懸濁した。細胞を20℃で4hrインキュベートし、そして無血清RPMIで2回洗って遊離ペプチドを除去した。細胞を 200μlの無血清RPMIに再懸濁した。マイクロ遠沈管の中で、細胞懸濁物を 800μlの FCSの上に載せ、そして5秒の遠心によりペレットにした。上清液をアスピレート除去し、そしてペレットの中に残っている放射活性を測定した(Micromedic自動ガンマーカウンター、1min /チューブ)。
【0113】
実施例15
温和な酸処理によるクラスI MHC分子ペプチドストリップ/負荷。
グリシン又はクエン酸−リン酸バッファーの如きの温和なpH3の酸性溶液が、内生ペプチドを同定及び腫瘍肉連T細胞エピトープを同定するために様々なグループにより利用されている。この処理は、MHC クラスI分のみが不安定化され(そしてペプチドが放出され)、MHC クラスII分子を含むその他全ての表層抗原は完全のままとなっている点で固有である。最も重要には、本実施例の温和な酸溶液による細胞の処理が細胞の生存性及び代謝状態に影響しないことにある。この温和な処理は迅速であり、なぜなら内生ペプチドのストリップは4℃で2分において起こり、そして APCは適当なペプチドを負荷した後にその機能を発揮する用意が整っているからである。本例においては、我々は一次抗原−特異的 CTLの発生のためにペプチドを APCに対して特異的にする技術を利用する。得られる APCはペプチド特異的CD8+CTL を誘発するのに有効である。
【0114】
FACS分析による測定。 PHA−誘発化T−細胞ブラストを実施例15記載の方法に従って酸ストリップ/ペプチドを負荷した。得られる細胞を抗-HLA-A2 (BB7.2)及び抗−HLA アルファー鎖−特異的(9.12.1)モノクローナル抗体を用いてFACS分析のために染めた。この実験のためのコントロールは、pH3では処理していない(しかしpH7.2 の PBSバッファーで処理した)細胞集団と、クエン酸−リン酸バッファーでは処理したが(MHCを除去するため)、β2 ミクログロブリン及びペプチドの非存在下で中和した細胞とを含む。図15に示す結果は、これらの細胞のクエン酸−リン酸(pH3)バッファーによる処理が、両方の抗−HLA クラスI抗体単独(抗-HLA-A2 及びアルファー鎖特異性)に対する細胞の反応性を有意に下げるが(10分の1)、クラスII MHC分子(抗-HLA-DR)に特異的なモノクローナル抗体に対しての反応性は下げないことを示唆する。最も重要には、β2 ミクログロブリン及びペプチドの存在下での酸ストリップ細胞の中和は蛍光強度において 2.5分の1の低下のみを保って、有意な量のクラスI MHC抗体−反応性部位の保存をもたらすことになる。重要には、この酸処理細胞は、トリパンブルー排出及び前進/後退FACSスキャッター分析により測定される通り、生存し続ける。同様の結果が EBV形質転換B細胞系、新鮮(又は凍結)PBMC)、及びその他のペプチド(HLA-A2.1又はHLA-A1)のいづれかと結合するもの)を用いて得られた(データーは示さず)。
【0115】
エンプティーな MHC分子に対する放射性ラベル化ペプチドの結合。低温インキュベーション又は酸ストリップ/ペプチド負荷プロトコールを利用するペプチド負荷の効率を決定するため、JY細胞(HLA-A2.1 EBV−形質転換B細胞系)を26℃で一夜プレインキュベートするか、又は酸ストリップに付して内性 MHC結合化ペプチドを除去し、そして外生ペプチドの負荷を 125I−放射性ラベル化HLA-A2.1結合性ペプチドを用いて決定した。この反応の特異性を、同じ配列の寒冷ペプチドを用いてラベル化ペプチドの結合の阻害を測定することにより決定した。表24bに示す結果は、細胞の酸処理が、JY細胞に対するラベル化ペプチドの結合量を有意に(約10倍)高めることを示した。更に、ラベル化ペプチドの結合は寒冷ペプチドの添加により完全にブロックされ、特異的な結合を示した(データーは示さず)。
酸ストリップ/ペプチド負荷APCSを用いる一次抗原特異的 CTLのインビトロ誘発。低温インキュベーション及び酸ストリッププロトコールの両者を利用する一次 CTLの誘発のための追加の臨界的なパラメーターは:1)応答細胞集団中のCD8+T−細胞の富化(又はCD4+T−細胞の枯渇)、2)0日目由来の CTL誘発培養に対するrIL-7 の添加、及び3)ペプチドをパルスした自己接着細胞を用いての12〜14日目での抗原によるこの培養物の再刺激;である。図16及び17に示す結果は、PBMC及び PHA−誘発化T細胞ブラストの APCとして用いて行った実験を示している。図18は APCとして PHA誘発化T−細胞ブラストを用いる実験を示し、一方、図19は APCとしてのPBMCの利用を示す。
【0116】
実施例16
CTL エピトープを同定するためのペプチドのスクリーニング
CTL エピトープを同定するために、 CTLを APCとしての SAC-I活性化PBMCにより刺激した。クラスIβ−2ミクログロブリン複合体が不安定である MHCの低温発現を酸ストリップに加えて利用してPBMC APCを作った。
完全培養培地。本研究において用いた組織培養培地は、 RPMI 1640とヘペス及びLーグルタミン(Gibco) とより成り、2mMのL−グルタミン(Irvine Scientific)、 0.5mMのピルビン酸ナトリウム(Gibco)、 100U/ 100μg/mlのペニシリン/ストレプトマイシン(Irvine)及び5%の熱不活性化AB型ヒト血清(RPMI/5%のHS; Gemini Bioproducts)が添加されている。 EBV−形質転換系の増殖に用いる培養培地はヒト血清の代わりに10%の熱不活性化胎児牛血清(RPMI/10%の FCS, Irvine)を含む。
サイトカイン。組換ヒトインターロイキン−2(rIL-2)及びインターロイキン−4(rIL-4)をSandozより入手し、そしてそれぞれ10U/ml及び10ng/mlの最終濃度で使用した。ヒトインターロイキン−2(IFN-2)及び組換ヒトインターロイキン−7(rIL-7) をGenzymeより入手し、そしてそれぞれ20U/ml及び10ng/mlで使用した。
ペプチド。ペプチドは Cytelで合成し、そして表24aに記載してある。ペプチドを 100%のDMSOの中に20mg/mlに通常に希釈し、小分けし、そして使用するまで−70℃で保存した。
細胞系。JY、スタインリン、 EHM、BVR 及びKT3はそれぞれHLA A2.1,A1,A3,A11 及びA24 を発現するホモ接合ヒト EBV−形質転換B細胞系である。これらはRPMI/10%の FCSの中で増殖する。RPMI/10%の FCSの中で増殖させたNK細胞感受性の赤芽球系K562を CTLアッセイにおけるバックグランド殺傷を低下するために使用した。MAGE抗原を発現するmel397及び mel 938、又はMAGE抗原を発現しないmel888のいづれかの黒色腫細胞系もRPMI/10%の FCSの中で増殖させた。
【0117】
末梢血液単核細胞の単離(PBMCs)。全血をヘパリン含有シリンジの中に集め、そして50ccのチューブの中で1600RPM (Beckman GS-6KD)で15分遠心した。次いで血漿層を除去し、そして10mlのバッフィーコートをピペットで円運動を利用して集めた。このバッフィーコートをよく混合し、そして等容量のRPMIで希釈した。次にこのバッフィーコート(30ml)を20mlのフィコルーパク(Pharmacia)の上に載せ、そしてブレーキをオフにして1850RPM (400g)で20分、25℃で遠心した。フィコルもPBMC含有血漿との界面を分注ピペットで回収し(50mlのチューブ当り2界面)、そして50mlのRPMIで3回洗った(1700,1500及び 1300RPMで10分)。細胞を10〜20mlの培養培地に再懸濁し、計測し、そして適当な濃度に調整した。
【0118】
PBMCの凍結。3千万の細胞/チューブ(90%の FCS/10%のDMSO; Sigma)を、イソプロパノール(Fisher)を含むNalgene Cryo 1℃凍結用容器に挿入し、そして−70℃で4hr(最短)〜一夜(最)放置した。イソプロパノールは5回毎に交換した。チューブを液体窒素に長期保存のために移し入れた。融解のため、PBMCを37℃の湯浴の中で最後の結晶がほぼ融解するまで連続振盪した(チューブはそれ以上は湯浴又は室温で放置しなかった)。細胞を30μg/mlのDNase を含む無血清RPMIに希釈して死んだ細胞 DNAによる凝塊を防ぎ、次いで2回洗った。
【0119】
APC としての SAC-I活性化PBMCを用いる一次 CTLの誘発
a.APC の調製:PBMCを標準のフィコル−パク プロトコールを用いて精製し、そして 0.005%のパンソービン(Pansorbin) 細胞(プロテインAを発現する SAC-I細胞;Calbiochem)、20μg/mlの Immunobeads(ウサギ抗−ヒト IgM;Biorad)及び20ng/mlのヒト rIL-4を含むRPMI/5%の FCSの中に1× 106/mlで再懸濁した。ウェル当り2mlの細胞を24穴プレート(Falcon, Becton Dickinson)の中でプレートし、そして37℃で培養した。3日後、培地を除去し、そして細胞を3回洗い、次いでRPMI/10%のHSを加えた。細胞はRPMI/10%のHSの中で更に2日間培養した後に用いた。
【0120】
b.APC の表層上でのエンプティーなクラスI分子の発現及びAPC のペプチド負荷。
1.低温インキュベーション:
a.APC におけるエンプティーな MHCの発現: APCを、10ng/mlの rIL-4,20U/mlのヒト IFN-2及び3μg/mlのβ2 −ミクログロブリン(β2 m;Scripps Lab)を含む完全培養培地の中で2×106 /mlの濃度に調整した。これらの細胞を次に5%のCO2 の存在下で26℃で一夜インキュベートした。これらの細胞はエンプティーな状態でわずかなクラスI分子しか発現しないことに注目すべきである(≒10%)。
【0121】
b.APC 刺激細胞のペプチド負荷:
エンプティーなクラスIを発現するAPC を無血清RPMI(+L−グルタミン及びヘペス)で1〜2回洗い、そして全部で50μg/mlのペプチドプール(即ち、3プールにおいては16.7μg/mlづつのペプチド;2プールにおいては25μg/mlづつのペプチド;単一プールにおいては50μg/mlづつのペプチド)、30μg/mlの DNAse及び3μg/mlのβ2 mを含む無血清RPMIの中に1×107 に再懸濁した。20℃で4時間のインキュベーション後、これらの細胞を6100radsで照射し(5×106 /ml;2千5百万細胞/チューブ)、洗い、そして誘発培養物への添加のために適当な濃度に調整した(下記参照)。
【0122】
2.酸ストリップ:これは APCの表層上にエンプティーな MHCを作り上げるための別の方法として利用した。 SAC-I活性化PBMCを1%の BSAを含む低温の 0.9%の塩化ナトリウム(J.T. Baker)の中で1回洗った。その細胞を1%の BSA及び3μg/mlのβ2 mを含む低温クエン酸−リン酸バッファー(0.13MのL−アスコルビン酸(J.T. Baker)、0.06Mのリン酸ナトリウムモノベース(Sigma),pH3)の中で107 /mlに再懸濁し、そして氷上でインキュベートした。2分後、5容量の1%の BSA、3μg/mlのβ2 m及び10μg/mlのペプチドを含む低温の0.15Mのリン酸ナトリウムモノベースpH7.5 (中和バッファー#1)を加え、そして細胞を 1500RPMで5分4℃で遠心した。その細胞を、1%の BSA、30μg/mlの DNase、3μg/mlのβ2 ミクログロブリン及び50μg/mlのペプチドを含む1mlの低温 PBS(中和バッファー#2)に再懸濁し、そして20℃で4時間インキュベートした。上記の通り、20℃で4時間のインキュベーション後、その細胞を6100radsで照射し(5×106 /ml;2千5百万細胞/チューブ)、洗い、次いで誘発培養物への添加のために適当な濃度に調整した(下記参照)。
【0123】
c.CD4+枯渇PBMC応答細胞集団の調製(AISフラスコを利用するリンパ球サブ集団の枯渇)AIS Micro Cellector T-150 フラスコ(CD4+T細胞の枯渇のために特製;Menlo Park, CA)を25mlのPBS/1mMのEDTAを加えることにより下準備し、全ての表面が湿るように30秒攪拌し、次いで結合面を下にして室温で1時間インキュベートした。このインキュベーション後、フラスコを30秒強く攪拌し、PBS /EDTAで1回、 PBSで更に2回洗い、次いで25mlの培養培地と15分インキュベートした。PBMCを30μg/mlの DNaseを含む無血清RPMI(+L−グルタミン+ヘペス)の中に融解し、1回洗い、そして培養培地の中で15分インキュベートした。フラスコからの培養培地のアスピレーション後、1億8千万個までのPBMCを30μg/mlのDNAse を含む25mlの培養培地に加えた。室温で1時間後、そのフラスコを10秒ゆっくりとゆらして非接着細胞を再懸濁させた。CD8+T細胞を含む非接着細胞懸濁物を集め、そしてそのフラスコを PBSで2回洗った。このCD4+T細胞枯渇PBMCを遠心し、そして誘発培養物への添加のために計測した。CD4+枯渇細胞集団のCD4+及びCD8+表現型をFACS分析により決定した(以下参照)。一般に、この技術はCD8+T細胞の2倍富化をもたらし、CD4+T細胞枯渇を経て約40〜50%のCD8+T細胞及び15〜20%の残留CD4+T細胞となる。CD4+T細胞の枯渇は抗体及び補体又は抗体コート化磁性ビーズ(Dynabeads)によっても成し遂げられうる。CD4+T細胞の枯渇はCTLpを富化する、及び細胞栄養素に関して競合し、且つCTLp増殖を阻害しうる細胞を除去する目的を担う。
【0124】
d.一次 CTLの誘発。刺激 APCの4時間にわたるペプチド負荷の際、応答集団として使用すべきCD4+枯渇PBMCをCD4+T細胞の枯渇にわたる(上記)CD8+T細胞の選別のために AISフラスコを利用して調製した。この応答細胞を1mlの容量において3× 106/mlでプレートし(24穴プレート)、そしてペプチド負荷刺激 APCが調製されるまで37℃に入れておいた。照射したペプチド負荷 APCを無血清RPMI(+L−グルタミン及びヘペス)で1回洗い、完全培地の中で1× 106/mlに調整し、そして24穴プレートに1ml/プレートでプレート培養した。PBMCに関しては、1×106 の刺激細胞(1ml容量)を応答細胞含有ウェルの中でプレート培養した。 SAC-I活性化PBMC及び PHAブラストに関しては、1mlの3× 105/mlの刺激細胞を各ウェルの中でプレート培養した。10μg/mlの最終濃度の追加ペプチドを10ng/mlの最終濃度の rIL-7(2mlの総容量)の他に加えた。7日目にて、更に10μg/mlの rIL-7をこの培養物に加え、そしてその後3日毎に10U/mlの rIL-2を加えた。12日目において、この培養物をペプチドパルスした接着細胞で再刺激し、そして7日後に細胞溶解活性について試験した(以下)。
【0125】
接着 APCを用いる一次 CTLの再刺激のためのプロトコール。PBMCを30μg/mlの DNAseを含む無血清RPMI(+L−グルタミン及びヘペス)の中で融解し、2回洗い、そして DNAseを含む培養培地の中で5× 106/mlに調整した。PBMC(2千5百万細胞/5mlのチューブ)を6100Rで照射した。1回の洗浄後、PBMCを培養培地に再懸濁し、そして4× 106/mlに調整した。1mlの照射PBMCを24穴プレートのウェル当りに加えた。このPBMCを37℃で2時間インキュベートし、非接着細胞を除去するために3回洗い、そして 0.5mlの容量において20μg/mlの全ペプチド及び3μg/mlのβ2 ミクログロブリンを含む培地の中で培養し、そして37℃で2時間インキュベートした。このペプチドをアスピレートし、そして培養培地の中に再懸濁した 1.5×106 の応答細胞を1mlの容量で加えた。2日後、20U/mlの rIL-2を含む1mlの培養培地を加えた。
【0126】
FACS分析。百万の細胞/チューブを遠心し、 100μl/チューブにおいて PBS/0.1 %の BSA/0.02%のアジ化ナトリウム(Sigma)と10μl/チューブの直接コンジュゲート化抗体(Becton Dickinson)の中に再懸濁し、そして氷の上で15〜20分インキュベートした。次いで細胞を PBS/0.1 %の BSA/0.02%のアジ化ナトリウムで2回洗い、そして PBSの中に再懸濁して FACScan(Beckton Dickinson)で分析した。サンプルを1〜2日以内で分析できないとき、細胞を1%のパラホルムアルデヒド(Fisher)を含む PBSで固定し、そして1週間以内に分析した。
細胞障害アッセイ
【0127】
a.標的細胞の調製。 CTLアッセイの約16〜20時間前に、標的細胞(クラスI対合 EBV−形質転換系)を1回洗い、そして10μg/mlの全ペプチドの存在下又は非存在下でRPMI/5%の FCSの中で3× 105/mlにおいて10mlの容量に再懸濁した。
【0128】
b.標的細胞のラベリング:標的細胞を遠心し、そして 200μl/チューブのクロム酸(51Cr)ナトリウム(NEN)の中に再懸濁し、次いで37℃で1時間シェーカー上でインキュベートした。標的をRPMI/10%の FCSで3回洗い(10ml/洗浄)、そして10mlに再懸濁した(ラベリングの効率を決定するため、50μl/標的をMicromedic自動ガンマーカウンターで計測した)。
【0129】
c. CTLアッセイ。標的細胞を2× 105/mlに合わせ、そして50μlの細胞培養物をU底96穴プレート(Costar Corp.)の各ウェルに1× 104/ウェルの最終濃度で加えた。K562 細胞を1回洗い、4× 106/mlに再懸濁し、そして50μl/ウェルを2× 105/ウェルの最終濃度で加えた(寒冷K562 、対、標的の比は20:1)。応答細胞を1回洗い、9× 106/mlで再懸濁し、そして90:1,30:1,10:1及び3:1のエフェクター、対、標的の比のために3倍系列希釈を行った。応答細胞をデュプリケートウェルにおいて 100μlの容量で加えた。自発性放出のため、50μl/ウェルのラベル化標的細胞、50μl/ウェルのK562 及び 100μl/ウェルの培地を加えた。最大放出のため、50μl/ウェルの標的、50μl/ウェルのK562 及び 100μl/ウェルの 0.1%Triton-X100 (Sigma)を加えた。プレートを 1200RPMで5分遠心した。37℃で5時間のインキュベーション後、プレートを再び 1200RPMで5分遠心し、そして 100μl/ウェルの上清液を回収した。標準ガンマー計測技術(Micrmedic 自動ガンマーカウンター; 0.5分/チューブ)を利用し、次式に従ってパーセント比溶解を決定した:%比溶解=実験値 cpm−自発放出 cpm/最大放出 cpm−自発放出 cpm×100。
細胞障害アッセイ(CTLアッセイ)は、最も高い2つのエフェクター、対、標的(E:T)の比での特異的なペプチドで感作した標的の CTLによる溶解がコントロール標的(即ち、ペプチドなしの標的細胞)の溶解より15%大であるときに陽性と考えた。細胞障害アッセイ(CTLアッセイ)は、最も高い2つのエフェクター、対、標的(E:T)の比での特異的なペプチドで感作した標的の CTLによる溶解がコントロール標的(即ち、ペプチドなしの標的細胞)の溶解より6%大であるときボーダーラインにあると考えた。
【0130】
d.結果。表示のアレルに結合するペプチドのうちで、49MAGEペプチドの9、45 HIVペプチドの10、 25HCVペプチドの3及び 20HBVペプチドの2をインビトロでの誘発一次 CTLのデーターのために試験した。様々な免疫原ペプチドに対する CTL応答を示す代表的なグラフをMAGE(図22)、HIV(図23)、HCV(図24)及び HBV(図2)に関して示す。 CTL誘発データーは、適当な MHCに結合し、そしてインビトロで一次 CTLを誘発する免疫原性ペプチドをリストしている表24にまとめた。表示しているのはペプチドの配列、対応の抗原及びそれが結合する HLAアレルである。図20に示す結果は、ペプチド感作標的及び内生標的であって低温及びインキュベーション技術によりMAGE3ペプチド 1044.07を負荷した SAC-I活性化PBMCによる刺激を経たものの溶解を示す。図21は酸ストリップ負荷技術(パネルa)と低温インキュベーション技術(パネルb)との対比を示す。
本発明のわかり易さのために具体例及び実施例により多少詳しく説明してきたが、所定の変更及び改良が本発明の範囲を逸脱することなくなせることが明らかであろう。
【0131】
【表13】

【0132】
【表14】

【0133】
【表15】

【0134】
【表16】

【0135】
【表17】

【0136】
【表18】

【0137】
【表19】

【0138】
【表20】

【0139】
【表21】

【0140】
【表22】

【0141】
【表23】

【0142】
【表24】

【0143】
【表25】

【0144】
【表26】

【0145】
【表27】

【0146】
【表28】

【0147】
【表29】

【0148】
【表30】

【0149】
【表31】

【0150】
【表32】

【0151】
【表33】

【0152】
【表34】

【表35】

【0153】
【表36】

【0154】
【表37】

【0155】
【表38】

【0156】
【表39】

【0157】
【表40】

【0158】
【表41】

【0159】
【表42】

【0160】
【表43】

【0161】
【表44】

【0162】
【表45】

【0163】
【表46】

【0164】
【表47】

【図面の簡単な説明】
【0165】
【図1】HLA-A精製法の流れ図である。
【図2】プロテイン A-Sepharoseに結合させたmAb GAP A3で調製したアフィニティーカラムを用いての細胞系 EHMからのアフィニティー精製したHLA-A3.2のSDS-PAGE分析である。 レーン1−分子量標準品。 レーン2−A3.2酸性溶離物 レーン3−A3.2第二酸性溶離物 レーン4−塩基溶離#1 レーン5−塩基溶離#2 レーン6−濃縮塩基溶離#1 レーン7−濃縮塩基溶離#2 レーン8−BSA −10μg レーン9−BSA −3μg レーン10−BSA −1μg
【図3】HLA-A3酸性溶離ペプチドの逆相高性能液体クロマトグラフィー(RP-HPLC) を示す。
【図4】%結合放射活性により測定した、 MHC分子に対する本発明の放射活性ラベル化ペプチドの結合性を示す。
【図5】3種のペプチド〔HBc 18-27 (924.07)、前立腺特異性抗原ペプチド(939.01)及びHIV nef 73-82 (940.03)〕の存在下でのMHC分子に対する本発明のペプチドの結合の阻害を示す。
【図6】β2ミクログロブリンの存在下又は非存在下での MHC濃度に基づく結合性の依存性を示す。
【図7】未ラベルペプチドの添加を伴う結合性の投与量依存性阻害を示す。
【図8】6nMの見かけ上のKD を確証する、 MHC A11に対する結合性のスキャッチャード分析。
【図9】%結合反応性により測定した、MHC A1に対する本発明の放射活性ラベル化ペプチドの結合性を示す。
【図10】未ラベルペプチドの添加を伴う結合性の投与量依存性阻害を示す。
【図11】21nMの見かけ上のKD を確証する、MHC A1に対する結合性のスキャッチャード分析。
【図12】%結合反応性により測定した、 MHC A24の濃度の関数としての本発明の2つのペプチドの結合性を示す。
【図13】未ラベルペプチドの添加を伴う、 MHC A24に対する結合性の投与量依存性阻害を示す。
【図14】30及び60nMそれぞれを確証する、2つのペプチドのMHC A24に対する結合性のスキャッチャード分析を示す。
【図15】β2ミクログロブリンの MHCクラスI分子に及ぼす作用及び特定のペプチドの酸ストリップ PHAブラストに及ぼす作用を示す。
【図16】777.03-924.07-927.32ペプチドプールの負荷された(loaded) GC43 A2.1応答体及び自己酸ストリップ化 PBMCs又は PHAブラストを用いる CTL誘発を示す。
【図17】1044.04-1044.05-1044.06ペプチドプールを負荷した後のX351又は X355 A2.1応答体及び自己酸ストリップ化 PBMCs又は PHAブラストを用いる CTL誘発を示す。
【図18】939.03ペプチドを負荷した後の刺激因子としてのGC49 A2.1応答体及び自己酸ストリップ化 PHAブラストを用いる CTL誘発を示す。
【図19】ペプチド938.01の負荷後の刺激因子としての GC66 A1応答体及び自己酸性ストリップ化 PBMCsを用いる CTL誘発を示す。
【図20】MAGE3ペプチドを負荷した SAC-I活性化 PBMCsによる刺激を経たペプチド感作化標的及び内因性標的の溶解を示す。
【図21】酸ストリップ負荷と低温インキュベーションとの対比を示す。
【図22】MAGE/A11 に関する免疫原性ペプチドに対する CTL応答を示す。
【図23】HIV/A3に関する免疫原性ペプチドに対する CTL応答を示す。
【図24】HCV/A3に関する免疫原性ペプチドに対する CTL応答を示す。
【図25】HBV/A1に関する免疫原性ペプチドに対する CTL応答を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
HLA−A3構造モチーフを有するエピトープを同定する方法であって:
注目の抗原からアミノ末端及びカルボキシル末端を有するアミノ酸配列を用意し;そして
8〜11個のアミノ酸残基から成るサブ配列を同定し、ここで当該サブ配列はそのアミノ末端から2位の位置にあるL,M,V,I,S,A,T,F,C,G及びDから成る群から選ばれる第一アミノ酸残基及び当該サブ配列のカルボキシル末端にあるK,Y,R,H及びFから成る群から選ばれる第二アミノ酸残基を含んで成り;
かくて前記エピトープを同定する工程を含んで成る方法。
【請求項2】
更に、
前記エピトープを含んで成る HLA−A3モチーフ保有ペプチドを獲得し;
当該ペプチドと HLA−A3分子との複合体の HLA−A3制限細胞障害T細胞により認識され、それ故当該エピトープに対する細胞障害T細胞応答を誘導する能力について試験し;そして
当該エピトープに対する細胞障害T細胞応答を誘導するペプチドを選定する;
工程を含んで成る請求項1記載の方法。
【請求項3】
更に:
前記エピトープを含んで成るモチーフ保有ペプチドの HLA−A3分子に対する結合親和力を決定し;そして
約 500nM未満の HLA−A3分子に対するIC50を有するペプチドを同定する;
工程を含んで成る請求項1記載の方法。
【請求項4】
免疫原性ペプチドを作製する方法であって:
注目の抗原からアミノ末端及びカルボキシル末端を有するアミノ酸配列を用意し;
HLA- A3分子に対するペプチド結合能の備った構造モチーフを含んで成る長さ8〜11アミノ酸残基のエピトープを前記アミノ酸配列内で同定し、ここで当該モチーフは当該エピトープのアミノ末端残基から2位の位置にあるL,M,V,I,S,A,T,F,C,G及びDから成る群から選ばれる第一アミノ酸残基及び当該エピトープのカルボキシル末端アミノ酸にあるK,Y,R,H及びFから成る群から選ばれる第二残基を含んで成り;
前記 HLA−A3構造モチーフを含んで成る前記抗原に由来する少なくとも一のペプチドフラグメントを獲得し;
前記少なくとも一のペプチドフラグメントと HLA−A3分子との複合体の HLA−A3制限細胞障害T細胞により認識され、それ故当該エピトープに対する細胞障害T細胞応答を誘導する能力について試験し;そして
当該エピトープに対する細胞障害T細胞応答を誘導する、前記同定工程の HLA−A3構造モチーフを含んで成る1又は複数のペプチドフラグメントを選定する;
工程を含んで成る方法。
【請求項5】
約 500nM未満のIC50において HLA−A3分子に結合するペプチドを作製する方法であって:
注目の抗原からアミノ末端及びカルボキシル末端を有するアミノ酸配列を用意し;
HLA−A3分子に対するペプチド結合能の備った構造モチーフを含んで成る長さ8〜11アミノ酸残基のエピトープを前記アミノ酸配列内で同定し、ここで当該モチーフは当該エピトープのアミノ末端残基から2位の位置にあるL,M,V,I,S,A,T,F,C,G及びDから成る群から選ばれる第一アミノ酸残基及び当該エピトープのカルボキシル末端アミノ酸にあるK,Y,R,H及びFから成る群から選ばれる第二残基を含んで成り;
前記 HLA−A3構造モチーフを含んで成る前記抗原に由来する少なくとも一のペプチドフラグメントを獲得し;
当該少なくとも一のペプチドの HLA−A3分子に対する結合親和力を決定し;そして
HLA−A3に対して約 500nM未満のIC50を有するペプチドを選定する;
工程を含んで成る方法。
【請求項6】
前記獲得工程が長めのペプチドを占める前記少なくとも一のペプチドフラグメントの獲得を含んで成り、但しこの長めのペプチドは天然抗原全体でないことを条件とする、請求項4又は5記載の方法。
【請求項7】
前記獲得工程が前記少なくとも一のペプチドフラグメントをコードする組換核酸分子の発現を含んで成る、請求項4又は5記載の方法。
【請求項8】
前記注目の抗原が癌関連抗原である、請求項4又は5記載の方法。
【請求項9】
前記癌関連抗原がCEA, HER2 /neu 、p53、MAGE又は前立腺抗原である、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記注目の抗原が病原因子に由来する、請求項4又は5記載の方法。
【請求項11】
前記病原因子がHIV, HBV, HCV 又はマラリア抗原である、請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記獲得工程が8,9,10又は11残基のペプチドフラグメントの獲得を含んで成る、請求項4又は5記載の方法。
【請求項13】
少なくとも二のペプチドフラグメントを獲得する、請求項4又は5記載の方法。
【請求項14】
更に、
HLA−A3分子に対する獲得ペプチドフラグメントの結合親和力を決定する工程を含んで成る、請求項4記載の方法。
【請求項15】
約 500nM未満の HLA−A3分子に対するIC50の結合親和力を有する獲得ペプチドフラグメントを同定する工程を更に含んで成る請求項14記載の方法。
【請求項16】
更に、
HLA−A3制限細胞障害Tリンパ球を前記選定のペプチドと HLA−A3分子との複合体と接触させる工程を含んで成る、請求項5記載の方法。
【請求項17】
HLA−A3制限細胞障害T細胞免疫応答を誘導するための薬理組成物であって、 HLA−A3分子に対するペプチド結合能の備った構造モチーフを含んで成る長さ8〜11アミノ酸残基のエピトープを含んで成るペプチドを含んで成り、ここで当該構造モチーフが当該エピトープのアミノ末端残基から2位に位置にあるL,M,V,I,S,A,T,F,C,G及びDから成る群から選ばれる第一アミノ酸残基及び当該エピトープのカルボキシル末端にあるK,Y,R,H及びFから成る群から選ばれる第二残基を含んで成り;
ここで当該ペプチド又はそのエピトープ含有フラグメントは HLA−A3分子に対して約 500nM未満のIC50を有し、但し当該獲得されたペプチドは天然抗原全体を占めないことを条件とする、薬理組成物。
【請求項18】
前記薬理組成物が前記エピトープをコードする核酸配列を含んで成る、請求項17記載の薬理組成物。
【請求項19】
前記エピトープが癌関連抗原に由来する、請求項17記載の薬理組成物。
【請求項20】
前記エピトープが病原生物に由来する抗原に由来する、請求項17記載の薬理組成物。
【請求項21】
HLA- A11構造モチーフを有するエピトープを同定する方法であって:
注目の抗原からアミノ末端及びカルボキシル末端を有するアミノ酸配列を用意し;そして
8〜11個のアミノ酸残基から成るサブ配列を同定し、ここで当該サブ配列はそのアミノ末端から2位の位置にあるL,M,I,V,A,S,T,G,N,C,F及びDから成る群から選ばれる第一アミノ酸残基及び当該サブ配列のカルボキシル末端にあるK,R及びHから成る群から選ばれる第二アミノ酸残基を含んで成り;
かくて前記エピトープを同定する工程を含んで成る方法。
【請求項22】
更に、
前記エピトープを含んで成る HLA−A11モチーフ保有ペプチドを獲得し;
当該ペプチドと HLA−A11分子との複合体の HLA−A11制限細胞障害T細胞により認識され、それ故当該エピトープに対する細胞障害T細胞応答を誘導する能力について試験し;そして
当該エピトープに対する細胞障害T細胞応答を誘導するペプチドを選定する;
工程を含んで成る請求項21記載の方法。
【請求項23】
更に:
前記エピトープを含んで成るモチーフ保有ペプチドの HLA−A11分子に対する結合親和力を決定し;そして
約 500nM未満の HLA−A11分子に対するIC50を有するペプチドを同定する;
工程を含んで成る請求項21記載の方法。
【請求項24】
免疫原性ペプチドを作製する方法であって:
注目の抗原からアミノ末端及びカルボキシル末端を有するアミノ酸配列を用意し;
HLA- A11分子に対するペプチド結合能の備った構造モチーフを含んで成る長さ8〜11アミノ酸残基のエピトープを前記アミノ酸配列内で同定し、ここで当該モチーフは当該エピトープのアミノ末端残基から2位の位置にあるL,M,I,V,A,S,T,G,N,C,F及びDから成る群から選ばれる第一アミノ酸残基及び当該エピトープのカルボキシル末端アミノ酸にあるK,R及びHから成る群から選ばれる第二残基を含んで成り;
前記 HLA−A11構造モチーフを含んで成る前記抗原に由来する少なくとも一のペプチドフラグメントを獲得し;
前記少なくとも一のペプチドフラグメントと HLA−A11分子との複合体の HLA−A11制限細胞障害T細胞により認識され、それ故当該エピトープに対する細胞障害T細胞応答を誘導する能力について試験し;そして
当該エピトープに対する細胞障害T細胞応答を誘導する、前記同定工程の HLA−A11構造モチーフを含んで成る1又は複数のペプチドフラグメントを選定する;
工程を含んで成る方法。
【請求項25】
約 500nM未満のIC50において HLA−A11分子に結合するペプチドを作製する方法であって:
注目の抗原からアミノ末端及びカルボキシル末端を有するアミノ酸配列を用意し;
HLA−A11分子に対するペプチド結合能の備った構造モチーフを含んで成る長さ8〜11アミノ酸残基のエピトープを前記アミノ酸配列内で同定し、ここで当該モチーフは当該エピトープのアミノ末端残基から2位の位置にあるL,M,I,V,A,S,T,G,N,C,F及びDから成る群から選ばれる第一アミノ酸残基及び当該エピトープのカルボキシル末端アミノ酸にあるK,R及びHから成る群から選ばれる第二残基を含んで成り;
前記 HLA−A11構造モチーフを含んで成る前記抗原に由来する少なくとも一のペプチドフラグメントを獲得し;
当該少なくとも一のペプチドの HLA−A11分子に対する結合親和力を決定し;そして
HLA−A11に対して約 500nM未満のIC50を有するペプチドを選定する;
工程を含んで成る方法。
【請求項26】
前記獲得工程が長めのペプチドを占める前記少なくとも一のペプチドフラグメントの獲得を含んで成り、但しこの長めのペプチドは天然抗原全体でないことを条件とする、請求項24又は25記載の方法。
【請求項27】
前記獲得工程が前記少なくとも一のペプチドフラグメントをコードする組換核酸分子の発現を含んで成る、請求項24又は25記載の方法。
【請求項28】
前記注目の抗原が癌関連抗原である、請求項24又は25記載の方法。
【請求項29】
前記癌関連抗原がCEA, HER2 /neu 、p53、MAGE又は前立腺抗原である、請求項28記載の方法。
【請求項30】
前記注目の抗原が病原因子に由来する、請求項24又は25記載の方法。
【請求項31】
前記病原因子がHIV, HBV, HCV 又はマラリア抗原である、請求項30記載の方法。
【請求項32】
前記獲得工程が8,9,10又は11残基のペプチドフラグメントの獲得を含んで成る、請求項24又は25記載の方法。
【請求項33】
少なくとも二のペプチドフラグメントを獲得する、請求項24又は25記載の方法。
【請求項34】
更に、
HLA−A11分子に対する獲得ペプチドフラグメントの結合親和力を決定する工程を含んで成る、請求項24記載の方法。
【請求項35】
約 500nM未満の HLA−A11分子に対するIC50の結合親和力を有する獲得ペプチドフラグメントを同定する工程を更に含んで成る請求項34記載の方法。
【請求項36】
更に、
HLA−A11制限細胞障害Tリンパ球を前記選定のペプチドと HLA−A11分子との複合体と接触させる工程を含んで成る、請求項25記載の方法。
【請求項37】
HLA−A11制限細胞障害T細胞免疫応答を誘導するための薬理組成物であって、 HLA−A11分子に対するペプチド結合能の備った構造モチーフを含んで成る長さ8〜11アミノ酸残基のエピトープを含んで成るペプチドを含んで成り、ここで当該構造モチーフが当該エピトープのアミノ末端残基から2位に位置にあるL,M,I,V,A,S,T,G,N,C,F及びDから成る群から選ばれる第一アミノ酸残基及び当該エピトープのカルボキシル末端にあるK,R及びHから成る群から選ばれる第二残基を含んで成り;
ここで当該ペプチド又はそのエピトープ含有フラグメントは HLA−A11分子に対して約 500nM未満のIC50を有し、但し当該獲得されたペプチドは天然抗原全体を占めないことを条件とする、薬理組成物。
【請求項38】
前記薬理組成物が前記エピトープをコードする核酸配列を含んで成る、請求項37記載の薬理組成物。
【請求項39】
前記エピトープが癌関連抗原に由来する、請求項37記載の薬理組成物。
【請求項40】
前記エピトープが病原生物に由来する抗原に由来する、請求項37記載の薬理組成物。
【請求項41】
HLA−A24.1構造モチーフを有するエピトープを同定する方法であって:
注目の抗原からアミノ末端及びカルボキシル末端を有するアミノ酸配列を用意し;そして
8〜11個のアミノ酸残基から成るサブ配列を同定し、ここで当該サブ配列はそのアミノ末端から2位の位置にあるY,F及びWから成る群から選ばれる第一アミノ酸残基及び当該サブ配列のカルボキシル末端にあるF,I,L及びWから成る群から選ばれる第二アミノ酸残基を含んで成り;
かくて前記エピトープを同定する工程を含んで成る方法。
【請求項42】
更に、
前記エピトープを含んで成る HLA−A24.1モチーフ保有ペプチドを獲得し;
当該ペプチドと HLA−A24.1分子との複合体の HLA−A24.1制限細胞障害T細胞により認識され、それ故当該エピトープに対する細胞障害T細胞応答を誘導する能力について試験し;そして
当該エピトープに対する細胞障害T細胞応答を誘導するペプチドを選定する;
工程を含んで成る請求項41記載の方法。
【請求項43】
更に:
前記エピトープを含んで成るモチーフ保有ペプチドの HLA−A24.1分子に対する結合親和力を決定し;そして
約 500nM未満の HLA−A24.1分子に対するIC50を有するペプチドを同定する;
工程を含んで成る請求項41記載の方法。
【請求項44】
免疫原性ペプチドを作製する方法であって:
注目の抗原からアミノ末端及びカルボキシル末端を有するアミノ酸配列を用意し;
HLA- A24.1分子に対するペプチド結合能の備った構造モチーフを含んで成る長さ8〜11アミノ酸残基のエピトープを前記アミノ酸配列内で同定し、ここで当該モチーフは当該エピトープのアミノ末端残基から2位の位置にあるY,F及びWから成る群から選ばれる第一アミノ酸残基及び当該エピトープのカルボキシル末端アミノ酸にあるF,I,L及びWから成る群から選ばれる第二残基を含んで成り;
前記 HLA−A24.1構造モチーフを含んで成る前記抗原に由来する少なくとも一のペプチドフラグメントを獲得し;
前記少なくとも一のペプチドフラグメントと HLA−A24.1分子との複合体の HLA−A24.1制限細胞障害T細胞により認識され、それ故当該エピトープに対する細胞障害T細胞応答を誘導する能力について試験し;そして
当該エピトープに対する細胞障害T細胞応答を誘導する、前記同定工程の HLA−A24.1構造モチーフを含んで成る1又は複数のペプチドフラグメントを選定する;
工程を含んで成る方法。
【請求項45】
約 500nM未満のIC50において HLA−A24.1分子に結合するペプチドを作製する方法であって:
注目の抗原からアミノ末端及びカルボキシル末端を有するアミノ酸配列を用意し;
HLA−A24.1分子に対するペプチド結合能の備った構造モチーフを含んで成る長さ8〜11アミノ酸残基のエピトープを前記アミノ酸配列内で同定し、ここで当該モチーフは当該エピトープのアミノ末端残基から2位の位置にあるY,F及びWから成る群から選ばれる第一アミノ酸残基及び当該エピトープのカルボキシル末端アミノ酸にあるF,I,L及びWから成る群から選ばれる第二残基を含んで成り;
前記 HLA−A24.1構造モチーフを含んで成る前記抗原に由来する少なくとも一のペプチドフラグメントを獲得し;
当該少なくとも一のペプチドの HLA−A24.1分子に対する結合親和力を決定し;そして
HLA−A24.1に対して約 500nM未満のIC50を有するペプチドを選定する;
工程を含んで成る方法。
【請求項46】
前記獲得工程が長めのペプチドを占める前記少なくとも一のペプチドフラグメントの獲得を含んで成り、但しこの長めのペプチドは天然抗原全体でないことを条件とする、請求項44又は45記載の方法。
【請求項47】
前記獲得工程が前記少なくとも一のペプチドフラグメントをコードする組換核酸分子の発現を含んで成る、請求項44又は45記載の方法。
【請求項48】
前記注目の抗原が癌関連抗原である、請求項44又は45記載の方法。
【請求項49】
前記癌関連抗原がCEA, HER2 /neu 、p53、MAGE又は前立腺抗原である、請求項48記載の方法。
【請求項50】
前記注目の抗原が病原因子に由来する、請求項44又は45記載の方法。
【請求項51】
前記病原因子がHIV, HBV, HCV 又はマラリア抗原である、請求項50記載の方法。
【請求項52】
前記獲得工程が8,9,10又は11残基のペプチドフラグメントの獲得を含んで成る、請求項44又は45記載の方法。
【請求項53】
少なくとも二のペプチドフラグメントを獲得する、請求項44又は45記載の方法。
【請求項54】
更に、
HLA−A24.1分子に対する獲得ペプチドフラグメントの結合親和力を決定する工程を含んで成る、請求項44記載の方法。
【請求項55】
約 500nM未満の HLA−A24.1分子に対するIC50の結合親和力を有する獲得ペプチドフラグメントを同定する工程を更に含んで成る請求項44記載の方法。
【請求項56】
更に、
HLA−A24.1制限細胞障害Tリンパ球を前記選定のペプチドと HLA−A24.1分子との複合体と接触させる工程を含んで成る、請求項45記載の方法。
【請求項57】
HLA−A24.1制限細胞障害T細胞免疫応答を誘導するための薬理組成物であって、 HLA−A24.1分子に対するペプチド結合能の備った構造モチーフを含んで成る長さ8〜11アミノ酸残基のエピトープを含んで成るペプチドを含んで成り、ここで当該構造モチーフが当該エピトープのアミノ末端残基から2位に位置にあるY,F及びWから成る群から選ばれる第一アミノ酸残基及び当該エピトープのカルボキシル末端にあるF,I,L及びWから成る群から選ばれる第二残基を含んで成り;
ここで当該ペプチド又はそのエピトープ含有フラグメントは HLA−A24.1分子に対して約 500nM未満のIC50を有し、但し当該獲得されたペプチドは天然抗原全体を占めないことを条件とする、薬理組成物。
【請求項58】
前記薬理組成物が前記エピトープをコードする核酸配列を含んで成る、請求項57記載の薬理組成物。
【請求項59】
前記エピトープが癌関連抗原に由来する、請求項57記載の薬理組成物。
【請求項60】
前記エピトープが病原生物に由来する抗原に由来する、請求項57記載の薬理組成物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
HLA−A3構造モチーフを有するエピトープを同定する方法であって:
注目の抗原からアミノ末端及びカルボキシル末端を有するアミノ酸配列を用意し;そして
8〜11個のアミノ酸残基から成るサブ配列を同定し、ここで当該サブ配列はそのアミノ末端から2位の位置にあるL,M,V,I,S,A,T,F,C,G及びDから成る群から選ばれる第一アミノ酸残基及び当該サブ配列のカルボキシル末端にあるK,Y,R,H及びFから成る群から選ばれる第二アミノ酸残基を含んで成り;
かくて前記エピトープを同定する工程を含んで成る方法。
【請求項2】
更に、
前記エピトープを含んで成る HLA−A3モチーフ保有ペプチドを獲得し;
当該ペプチドと HLA−A3分子との複合体の HLA−A3制限細胞障害T細胞により認識され、それ故当該エピトープに対する細胞障害T細胞応答を誘導する能力について試験し;そして
当該エピトープに対する細胞障害T細胞応答を誘導するペプチドを選定する;
工程を含んで成る請求項1記載の方法。
【請求項3】
更に:
前記エピトープを含んで成るモチーフ保有ペプチドの HLA−A3分子に対する結合親和力を決定し;そして
約 500nM未満の HLA−A3分子に対するIC50を有するペプチドを同定する;
工程を含んで成る請求項1記載の方法。
【請求項4】
免疫原性ペプチドを作製する方法であって:
注目の抗原からアミノ末端及びカルボキシル末端を有するアミノ酸配列を用意し;
HLA- A3分子に対するペプチド結合能の備った構造モチーフを含んで成る長さ8〜11アミノ酸残基のエピトープを前記アミノ酸配列内で同定し、ここで当該モチーフは当該エピトープのアミノ末端残基から2位の位置にあるL,M,V,I,S,A,T,F,C,G及びDから成る群から選ばれる第一アミノ酸残基及び当該エピトープのカルボキシル末端アミノ酸にあるK,Y,R,H及びFから成る群から選ばれる第二残基を含んで成り;
前記 HLA−A3構造モチーフを含んで成る前記抗原に由来する少なくとも一のペプチドフラグメントを獲得し;
前記少なくとも一のペプチドフラグメントと HLA−A3分子との複合体の HLA−A3制限細胞障害T細胞により認識され、それ故当該エピトープに対する細胞障害T細胞応答を誘導する能力について試験し;そして
当該エピトープに対する細胞障害T細胞応答を誘導する、前記同定工程の HLA−A3構造モチーフを含んで成る1又は複数のペプチドフラグメントを選定する;
工程を含んで成る方法。
【請求項5】
約 500nM未満のIC50において HLA−A3分子に結合するペプチドを作製する方法であって:
注目の抗原からアミノ末端及びカルボキシル末端を有するアミノ酸配列を用意し;
HLA−A3分子に対するペプチド結合能の備った構造モチーフを含んで成る長さ8〜11アミノ酸残基のエピトープを前記アミノ酸配列内で同定し、ここで当該モチーフは当該エピトープのアミノ末端残基から2位の位置にあるL,M,V,I,S,A,T,F,C,G及びDから成る群から選ばれる第一アミノ酸残基及び当該エピトープのカルボキシル末端アミノ酸にあるK,Y,R,H及びFから成る群から選ばれる第二残基を含んで成り;
前記 HLA−A3構造モチーフを含んで成る前記抗原に由来する少なくとも一のペプチドフラグメントを獲得し;
当該少なくとも一のペプチドの HLA−A3分子に対する結合親和力を決定し;そして
HLA−A3に対して約 500nM未満のIC50を有するペプチドを選定する;
工程を含んで成る方法。
【請求項6】
前記獲得工程が長めのペプチドを占める前記少なくとも一のペプチドフラグメントの獲得を含んで成り、但しこの長めのペプチドは天然抗原全体でないことを条件とする、請求項4又は5記載の方法。
【請求項7】
前記獲得工程が前記少なくとも一のペプチドフラグメントをコードする組換核酸分子の発現を含んで成る、請求項4又は5記載の方法。
【請求項8】
前記注目の抗原が癌関連抗原である、請求項4又は5記載の方法。
【請求項9】
前記癌関連抗原がCEA, HER2 /neu 、p53、MAGE又は前立腺抗原である、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記注目の抗原が病原因子に由来する、請求項4又は5記載の方法。
【請求項11】
前記病原因子がHIV, HBV, HCV 又はマラリア抗原である、請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記獲得工程が8,9,10又は11残基のペプチドフラグメントの獲得を含んで成る、請求項4又は5記載の方法。
【請求項13】
少なくとも二のペプチドフラグメントを獲得する、請求項4又は5記載の方法。
【請求項14】
更に、
HLA−A3分子に対する獲得ペプチドフラグメントの結合親和力を決定する工程を含んで成る、請求項4記載の方法。
【請求項15】
約 500nM未満の HLA−A3分子に対するIC50の結合親和力を有する獲得ペプチドフラグメントを同定する工程を更に含んで成る請求項14記載の方法。
【請求項16】
更に、
HLA−A3制限細胞障害Tリンパ球を前記選定のペプチドと HLA−A3分子との複合体と接触させる工程を含んで成る、請求項5記載の方法。
【請求項17】
HLA−A3制限細胞障害T細胞免疫応答を誘導するための薬理組成物であって、 HLA−A3分子に対するペプチド結合能の備った構造モチーフを含んで成る長さ8〜11アミノ酸残基のエピトープを含んで成るペプチドを含んで成り、ここで当該構造モチーフが当該エピトープのアミノ末端残基から2位に位置にあるL,M,V,I,S,A,T,F,C,G及びDから成る群から選ばれる第一アミノ酸残基及び当該エピトープのカルボキシル末端にあるK,Y,R,H及びFから成る群から選ばれる第二残基を含んで成り;
ここで当該ペプチド又はそのエピトープ含有フラグメントは HLA−A3分子に対して約 500nM未満のIC50を有し、但し当該獲得されたペプチドは天然抗原全体を占めないことを条件とする、薬理組成物。
【請求項18】
前記薬理組成物が前記エピトープをコードする核酸配列を含んで成る、請求項17記載の薬理組成物。
【請求項19】
前記エピトープが癌関連抗原に由来する、請求項17記載の薬理組成物。
【請求項20】
前記エピトープが病原生物に由来する抗原に由来する、請求項17記載の薬理組成物。
【請求項21】
HLA- A11構造モチーフを有するエピトープを同定する方法であって:
注目の抗原からアミノ末端及びカルボキシル末端を有するアミノ酸配列を用意し;そして
8〜11個のアミノ酸残基から成るサブ配列を同定し、ここで当該サブ配列はそのアミノ末端から2位の位置にあるL,M,I,V,A,S,T,G,N,C,F及びDから成る群から選ばれる第一アミノ酸残基及び当該サブ配列のカルボキシル末端にあるK,R及びHから成る群から選ばれる第二アミノ酸残基を含んで成り;
かくて前記エピトープを同定する工程を含んで成る方法。
【請求項22】
HLA−A24.1構造モチーフを有するエピトープを同定する方法であって:
注目の抗原からアミノ末端及びカルボキシル末端を有するアミノ酸配列を用意し;そして
8〜11個のアミノ酸残基から成るサブ配列を同定し、ここで当該サブ配列はそのアミノ末端から2位の位置にあるY,F及びWから成る群から選ばれる第一アミノ酸残基及び当該サブ配列のカルボキシル末端にあるF,I,L及びWから成る群から選ばれる第二アミノ酸残基を含んで成り;
かくて前記エピトープを同定する工程を含んで成る方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate


【公開番号】特開2006−169252(P2006−169252A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−364399(P2005−364399)
【出願日】平成17年12月19日(2005.12.19)
【分割の表示】特願平6−505592の分割
【原出願日】平成5年8月6日(1993.8.6)
【出願人】(500430660)エピミューン,インコーポレイティド (2)
【Fターム(参考)】