HMGCo−Aレダクターゼ阻害剤による骨および軟骨の強化
過剰の抑制および強化の低下を回避しながら、組織を強化する投薬量で、および組織を強化する継続期間にわたって、強化を必要とする部位をHMG−CoAレダクターゼ阻害剤で処置することによって骨格の網目組織を強化する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は骨および軟骨の強化である。
【背景技術】
【0002】
脊椎動物の骨格は骨および軟骨から構成される。骨を含有する他の身体部分は歯である。骨および軟骨の形成は脊椎動物の維持および修復において大きな役割を果たす。特に注目されるのが霊長類であり、より具体的にはヒトである。骨および軟骨の劣化、骨粗鬆症および抜歯におけるような骨の喪失、骨の破断および骨の圧縮、軟骨の断裂および摩耗などに伴う数多くの問題は、全医療活動の大きな割合を占めることを必要とする良くある事象である。これらの様々な有害事象は、宿主をひどく傷つけること、牽引およびギブスが関与する場合には動かすことができないこと、回復期間中に我慢すべき痛みおよび苦しみ、仕事ができないこと、ならびに、支援デバイスを必要とすることをもたらし得る。これらの手技および出来事は相当の費用および負担を社会および様々な医療支援グループに加える。
【0003】
大きな進歩が、多くの骨傷害を修復する際のピンおよび補綴具の使用においてなされている。しかしながら、非解剖学的材料(例えば、金属およびプラスチックなど)の使用はしばしば、非解剖学的材料と、生来的組織との間における弱い結合をもたらす。様々な技術が、骨伝導性材料(例えば、ヒドロキシアパタイト、無機質除去骨、各種リン酸カルシウムなど)を使用して骨に対する補綴具の結合を改善するために使用されているが、成功の度合いは様々である。
【0004】
骨折はこれまで常に人類にとって問題となっており、治療は何世紀にもわたって本質的には変化していないままである。AAOS統計は、およそ680万人の骨折者が合衆国では毎年発生し、また、生涯を通して、各人が平均して2回の骨折を経験することを示す。900000人を超える入院者が毎年、骨折から生じる。正常な骨折治癒は、局所的因子および全身的因子による影響および調節を受ける様々な細胞事象を伴う複雑な多段階プロセスである。しかしながら、骨折治癒における最も一般的な生物学的失敗では、骨折後の最初の数週間の内における不適切に形成された仮骨が伴う。骨折の場合、人は、修復された骨が荷重に耐えることを可能にするために要する時間を最小限にすることに関心がある。骨の融合が決定される場合、迅速に形成される強い骨は患者の不具合を実質的に減らすことができる。ほとんどの状況において、目的は、新しい軟骨または骨が形成される速度、新しい構造体の強度、処置に由来する副作用がないこと、痛みおよび炎症を最小限に抑えること、ならびに、軟骨または骨の十分な回復を提供することにある。
【0005】
骨形態形成タンパク質(「BMP」)ファミリーのいくつかのメンバーが骨芽細胞および軟骨細胞を活性化し、また、骨芽細胞および軟骨細胞の両方が、BMPファミリーのメンバーに対する受容体を有することが知られている。スタチンがBMP形成を誘導することもまた知られている。例えば、米国特許第6022887号および同第6080779号、ならびに、米国特許第7041309号および同第7108862号を参照のこと(それらの開示のすべてが、骨および軟骨を産生することにおけるスタチンの使用のそれらの開示に関して本明細書中に示されるかのように参考として本明細書中に特に組み込まれる)。記載された方法では、スタチン配合物の経口投与が用いられるか、または、スタチン配合物の直接的な適用に対する解剖学的部位を開けるための切開が伴う。これらの参考文献は様々な他の投与方法を示す一方で、これらは具体的には例示されず、また、それらは、改善された結果を有することが示されていない。
【0006】
骨格部分および歯部分における立証されていない使用を、服用および療法に関して最小限の副作用および投与の容易さとともに可能にするために、骨および軟骨の強化を短縮された期間の内にもたらす治療組成物の効果的な投与方法が求められている。スタチンの広範囲の様々な適用方法が、特許文献において、基本的には、数多くの既知のすべての方法において教示されている一方で、スタチンが骨形成を誘導することについてスタチンを実際に試験するための方法はこれまで非常に限られており、このことは、実際に、他の方法が有望でなかったことを示唆し得る。
【0007】
スタチンは、宿主に対して治療的および有害的の両方で、広範囲の様々な影響を生じさせることが知られている。非常に多くの事例の場合と同様に、望ましい態様が、治療結果に照らして受け入れられ、この場合には、多くの事例において、有害な影響が他の薬剤のさらなる投与によって最小限に抑えられ得る。従って、HMG Co−Aレダクターゼ阻害剤(例えば、スタチンなど)の治療的投薬量を、薬物の副作用を最小限に抑え、また、薬物の効き目のないレベルを回避しながら提供することができることには相当の関心がある。
【0008】
関連文献
米国特許第6022887号および同第6080779号、並びに、米国特許出願公開第2003/0232065号および同第2004/0006125号、ならびに、それらにおける引用参考文献は、骨および軟骨を増進させるためのスタチンの使用を記載する。SkoglundおよびAspenberg(52nd Annual Meeting of the Orthopaedic Research Society、2006/1667、ポスター)は、骨形成を強化するスタチンの投与のためにミニポンプを使用することを記載している。
【0009】
ラットを用いた研究では、ラットにおける骨細胞および骨折におけるBMP、OPおよびそれらの受容体の出現が出現時期およびそれらの持続期間において限定されることが示されている。短時間の発現が細胞のインビボでの骨軟骨の分化のために十分であり、5日〜6日の投薬が最適である(Noel他、2004、Stem Cells、22、74〜85)。骨折におけるBMPおよびOP1ならびにそれらの適切な受容体の発現が、ラットにおいて、第1週、第2週では強く発現し、第4週では低下し、第8週では存在しない(Orishi他、1998、Bone、22、605〜12)。さらなる裏付けが、BMP発現がラットの治癒中の下顎骨において第4週では消失しつつあり、第8週では消失しているという点で見出される(Spector他、2001、Plast Reconstr Surg、107、124〜34)。伸延骨形成術のウサギモデルにおける1週間間隔でのBMP受容体発現の研究において、BMP受容体が第2週では強くアップレギュレーションされ、第4週〜第5週までにダウンレギュレーションされる(Hamdy他、2003、Bobe、33、248〜55)。骨の治癒にはまた、BMP活性阻害剤のNogginの発現が関与する。Nogginがマウスの骨折仮骨において5日目以降に強く発現したことが見出された。BMPが、若いマウスにおいて、0日目、4日目および8日目に骨折部に注入され、その後、22日目に評価されたとき、BMPの早期投与は0日目および4日目において最も効果的であったことが示された(Murnaghan他、2005、J Orthop Res、23、625〜31)。ヒツジの臨界サイズの欠損が、BMP2をコードするアデノウイルスベクターにより処置されるとき、欠損部の治癒が第8週において遅れた。そのデータは、治癒期間全体を通して高いレベルで産生されたBMP2は逆効果であったと解釈された(Egermann他、2006、Gene Ther)。イヌの欠損研究では、高い局所用量が投与された。4週間後、800μg/インプラントは、高すぎて、効果的に働かないことが見出された。3ヶ月齢ラットおよび18ヶ月齢ラットにおいて評価されたラットの癒着不能骨折モデルでは、高齢ラットは、rhBMP7により処置されたとき、若齢ラットよりも遅く治癒し、機械的強度が、若齢ラットでは3週間で無傷の大腿骨の機械的強度に到達し、高齢ラットでは、6週間になるまで到達しなかった。
【0010】
引用された参考文献のすべてが、本明細書においてそれらの全体が示されるように具体的な参照により本明細書中に組み込まれる。
【発明の開示】
【0011】
骨格の網目組織(すなわち、骨組織および軟骨組織)の処置が、組織強化のための部位におけるHMG Co−Aレダクターゼ阻害剤の狭い治療的範囲で達成される。HMG Co−Aレダクターゼ阻害剤を目的とする部位において十分な時間にわたって提供する任意の投与様式を使用することができる一方で、特に注目されるものが、また、好ましい実施形態として、経皮適用および粒子の使用である。治療的レベルを、治療的レベルが達成される前に消散されなければならない過度な量を使用することなく提供することによって、HMG Co−Aレダクターゼ阻害剤を骨格の網目組織の強化のために使用する治療的および経済的な利益が提供される。
【0012】
上記で示されたように、骨および軟骨の強化が、スタチンと、所望されるスタチン血清濃度を短期間でもたらす対象の皮膚を介したスタチンの局所的送達のために好適な医薬的に許容され得るキャリアとを含む、局所適用される医薬組成物を使用して達成される。
【0013】
同様に、上記で示されたように、スタチン活性に応答する骨組織および軟骨組織の強化が、スタチン含有粒子を強化部位の近くで使用して達成される。この場合には、スタチン濃度の治療効果的な範囲が、所望の強化レベルを可能にするために十分な時間にわたってその部位において維持される。粒子の性質に依存して、粒子はスタチン治療剤の100%から約10重量%にまで及ぶ場合があり、放出速度が、物理的性質および/または化学的性質を使用して非機械的に制御される。粒子は、具体的な部位および組織強化活性の性質について適合化される、指示された療法に従って投与される。組織の迅速な回復が達成される。
【0014】
図面の簡単な記述
本明細書では本発明を単に例示し図面を参照して説明する。特に詳細に図面を参照して、示されている詳細が例示として本発明の好ましい実施形態を例示考察することだけを目的としており、本発明の原理や概念の側面の最も有用でかつ容易に理解される説明であると考えられるものを提供するために提示していることを強調するものである。この点について、本発明を基本的に理解するのに必要である以上に詳細に本発明の構造の詳細は示さないが、図面について行う説明によって本発明のいくつもの形態を実施する方法は当業者には明らかになるであろう。
【0015】
図1は、ロバスタチンの経口投与対経皮投与の比較である。血漿中のロバスタチン濃度が単回投薬の後で測定された(a:10mg/kg、または、b:50mg/kg)。血漿を投薬後の指定された時間で集めた。ロバスタチンの濃度が、HMG Co−Aレダクターゼ阻害アッセイを使用して推定された。値は平均±SEM(n=5)である。
【0016】
図2は、Piximus骨密度計を使用して、無傷ラットにおける近位側脛骨でのBMDの評価を例示する。測定値が、5週間が終わったときに得られた。それぞれのデータ点は10匹の動物の平均±SEMである。
【0017】
図3は、経皮ロバスタチン(親水性ワセリン)により5日間だけ処置された(a)無傷ラットおよび(b)OVXラットにおける骨体積(BV/TV%)を例示する。骨が処置終了後4週間で取り出され、組織学のために処理された。棒の中の数字は、賦形剤処置のコントロールに対して比較される増大率を表す。それぞれのデータ点は10匹の動物の平均±SEMである。p<0.05(対無傷またはOVX+賦形剤)。
【0018】
図4は、1mg/kg/日の皮膚ロバスタチンによる5日間の処置の後でのSHAMラットおよびOVXラットにおける近位側脛骨骨幹端の海綿質骨の組織形態計測分析である。棒の中の数字は、それぞれのコントロールからの%変化(すなわち、賦形剤処置されたSHAMラットに対して比較される賦形剤処置されたOVXラット、賦形剤処置されたOVXラットに対して比較される処置されたOVXラット)を表す。b)ファン・ギーソンにより染色された近位側脛骨の代表的な無機質除去前の切片(白黒像)。それぞれのデータ点は10匹の動物の平均±SEMである。p<0.05(対擬似処置またはOVX+賦形剤)。
【0019】
図5は、小柱骨構造の構造的指標を示す、SHAMラットおよびOVXラットにおける組織形態計測結果を例示する。棒の中の数字は、賦形剤処置のOVXラットに対して比較される%増大を表す。a)小柱の厚さ、b)小柱の数およびc)小柱の間隔。それぞれのデータ点は10匹の動物の平均±SEMである。p<0.05(対SHAMまたはOVX+賦形剤)。
【0020】
図6は、SHAMラットおよびOVXラットにおける骨形成速度(BFR)に対する皮膚ロバスタチンの5日間の投与の影響を例示する。棒の中の数字は、賦形剤処置のOVXラットに対して比較される%増大を表す。値は10匹のラットの平均±SEMである。
【0021】
図7は、μCTによるラットの遠位側大腿骨骨幹端の小柱骨分析を例示する。無傷ラットの3つの群(賦形剤処置ラット、ならびに、1mg/kg/日および5mg/kg/日によるロバスタチン(経皮)処置ラット)からの遠位側大腿骨骨幹端における海綿質骨を示す代表的な顕微鏡写真、および、μCT画像との比較。大腿骨が、100kVのx線管電圧を用いるSkyscan1072を使用して走査され、10.13μmのピクセルサイズを得るために拡大された。この分解能において、小柱構造が正確に再構築された。画像は、成長板から1mm〜2mm遠位側の骨幹端領域に対応する。棒の中の数字は、賦形剤処置のラットに対して比較される%増大を表す。
【0022】
図8は、皮膚適用後のロバスタチンの体内分布を示す。親水性ワセリン(HP)対水性アルコールゲル(HAゲル)の比較。ロバスタチンの単回用量を、いずれかの配合物を使用して投与し、AUC0−24hrを、台形法を使用して計算した。a)ロバスタチンの単回皮膚適用:6.25mg/kg。b)ロバスタチンが25mg/kgの単回服用により皮膚に塗布された。
【0023】
図9は、0.01mg/kg/日から0.5mg/kg/日に及ぶ服用スキームにより5日間だけ、水性アルコールゲルにおける皮膚ロバスタチンにより手術後5日目に処置されたOVXラットの骨体積評価を示す。投薬終了後4週間で、動物を屠殺し、骨を組織形態計測分析のために集めた。棒の中の数字は、コントロールに対して比較される%変化を表す。OVXは、(賦形剤処置のSHAM群と比較して)骨体積を59%低下させた。ロバスタチンによる皮膚処置は、賦形剤処置のOVXラットに対して比較されるとき、40%を超える骨体積を増大させた。グラフは、近位側脛骨における海綿質骨体積についての平均値±SEMを示す(n=10/群)。
【0024】
図10は、最初の投薬の26日後に測定されたときの、皮膚ロバスタチンにより5日間処置されたラットにおける血清オステオカルシンを例示する。棒の中の数字は、賦形剤処置のOVXラットに対して比較される%増大を表す。グラフは平均値±SEMを示す(n=8/群)。
【0025】
図11は、水性アルコールゲルにおけるロバスタチンにより5日間処置された擬似処置ラットおよびOVXラットにおける血清クレアチンプロテインキナーゼ(CPK)の定量を例示する。有意な変化が処置群対コントロールの間で観測されなかった。値は10匹のラットの平均±SEMである。
【0026】
図12は、大腿骨骨折モデルを使用して経口投与されたより高いレベルに対して比較されるときの、ロバスタチンの経皮送達を使用する2週間でのX線写真スコアを示す棒グラフである。
【0027】
図13は、大腿骨骨折モデルを使用してロバスタチンの経皮送達および経口送達を使用する破断力の棒グラフである。
【0028】
図14は、大腿骨骨折モデルを使用してロバスタチンの経皮送達および経口送達のより少ない用量を使用する破断力の棒グラフである。
【0029】
図15は、大腿骨骨折モデルを使用してロバスタチンの経皮送達および経口送達を使用する骨折後6週間で測定された堅さの棒グラフである。
【0030】
図16は、経皮送達および経口送達についてのロバスタチン血漿濃度の棒グラフである。
【0031】
図17は、ロバスタチンの量が検出限界未満であることを示す、ロバスタチンナノビーズからのロバスタチン血漿濃度の棒グラフである。
【0032】
図18は、ロバスタチンをロバスタチンの様々な放出レベルで含有するナノビーズを使用するX線写真スコアの棒グラフである。
【0033】
図19は、大腿骨骨折モデルを使用してロバスタチンの様々な放出レベルでのナノビーズによる処置から得られる最大強度の棒グラフである。
【0034】
図20は、大腿骨骨折モデルを使用してロバスタチンの様々な放出レベルでのナノビーズによる処置から得られる、骨折に至るまでに必要とされる負荷の棒グラフである。
【0035】
図21は、ロバスタチンにさらされた後の14日目に見られる新生児マウスの頭蓋冠において見られる軟骨成長を定量する棒グラフである。棒は、左から右への順で、上から下に処置の順である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
HMG Co−Aレダクターゼ阻害剤が、骨組織および軟骨組織の強化のために、具体的には狭い治療的範囲の枠内で投与される。この投与は、骨格組織に対するHMG Co−Aレダクターゼ阻害剤の生物学的利用能を最大にし、一方で、非骨格組織に対する生物学的利用能を最小限に抑えるために設計された体内分布プロフィルをもたらす。さらには、限定された期間にわたる治療的効力の濃度の狭い枠が存在し、この場合、宿主に投与されるそれよりも多い量または少ない量、および、それよりも短い処置期間または長い処置期間は、宿主に対する実質的に損なわれた利益をもたらすか、または、宿主に対する利益を何らもたらさないことが見出される。加えて、そのような治療的枠における投薬量を使用することによって、薬物の副作用が軽減または回避され、より経済的な処置が達成される。加えて、処置の継続期間を制限することによって、長期間の処置の後で生じるHMG Co−Aレダクターゼ阻害剤の負の影響が避けられる。同様に、継続期間を抑制することによって、薬物の副作用がさらに避けられ、かつ、経済的な利益がより短い処置期間で生じる。従って、薬物の投与および投与の継続期間は、目的とする部位(すなわち、骨および/または軟骨をその部位において強化するために処置されている部位)における応答を実質的に最適化するための量および期間である。投与される量は投与様式とともに変化し、一方、投与期間は一般には、処置されている症状および宿主の性質とともに変化する。経口投与以外の投与(主として非経口および吸入)が、肝臓によるHMG Co−Aレダクターゼ阻害剤の著しい取り込みを伴うことなく、HMG Co−Aレダクターゼ阻害剤を宿主の系(具体的には、処置部位)に直接に与えるために用いられる。
【0037】
投与様式は、所望の治療的範囲を、強化の所望される程度を誘導するために十分な時間にわたって提供する経口以外の任意の様式から変化する場合がある。観測された結果の何らかの理論的説明に限定されない一方で、所望される範囲に達しない場合、組織強化がほとんどなく、一方、所望される範囲を超える場合、組織強化における著しい増大が全くなく、実際には、処置期間を通して所望の範囲に対して比較されるとき、強化がそれほど見られないことがあるという点で、結果はガウス分布を有するようである。観測された結果は、骨芽細胞および破骨細胞の両方が骨の回復(すなわち、骨の修復および分解)に関与するという点で合理的に説明される。類似して、軟骨を伴う状況では、軟骨細胞が修復および分解のために関わる。HMG Co−Aレダクターゼ阻害剤は、修復に関与する細胞(例えば、骨芽細胞など)を刺激し、一方で、分解に関与する細胞(例えば、破骨細胞)を阻害することが考えられる。修復および分解が骨格網目組織の適正な再構築に関与する。従って、HMG Co−Aレダクターゼ阻害剤の量および処置の継続期間は、適正な再構築を提供するように選択されなければならないと考えられる。
【0038】
本発明の方法は、処置されている宿主に対する実質的な利益をもたらす、HMG Co−Aレダクターゼ阻害剤の使用法の実質的な最適化を提供する。これまでに使用されているよりも少ない投薬量を使用することにおける様々な経済性が達成されるだけでなく、修復が、より多い投薬量に対して比較されたとき、促進され、患者はより迅速に回復し、薬物の副作用を受けることが少なくなり、また、正常な活動をより迅速に取ることができる。
【0039】
組織強化に関して、その結果は変化する可能性があり、骨折を記載することにおいて最も容易に表すことができる。最短の時間で体重を支えることができ、通常の使用が可能である適切に再構築された骨を有する骨折の場合に関心がある。骨折に関して、骨折が癒合し、機械的な力に耐えることができる程度(例えば、荷重を支えること、および/または、他の機械的ストレスに応答することなど)を測定することができる。加えて、X線写真を用いて、新しい骨形成が起こっている程度、および、処置されている部位の形状を観察することができる。歯科適用の場合には、歯またはインプラントが通常の使用に耐えることができる程度もまた観察することができる。骨融合の場合には、骨の連結、および、融合がストレスに耐えることができるかを観察することができる。他の症状を同様に分析することができる。従って、様々な症状を処置するための指針が提供され得る一方で、本発明を適用することができる非常に様々な状況は、投薬量および/または処置の期間が、処置に対する応答を観察することによって、または、示されたモデルに関する結果を提供している既知の処置様式に対して比較されるような特定の処置様式を評価するために実験の節において記載されるようなモデルを使用することによって、経験的に決定されることが必要であり得る状況が存在することを意味する。
【0040】
投与様式には、非経口的または吸入があり、また、適切な形態および媒体での薬物の注入、ポンプによる投与、経皮投与、利用可能であるならば吸入などが含まれる。HMG Co−Aレダクターゼ阻害剤を、流体媒体、溶媒もしくは非溶媒に存在させることができ、または、溶解することができ、または、粒子として安定に分散させることができ(この場合、粒子は治療剤の10%から100%に及び得る)、または、何も加えることなく、もしくは、ゲル(例えば、ヒドロゲルまたは温度感受性ゲルなど)における粒子として分散させることができ、または、接着性セメントと組み合わせることができ、または、含浸させることができ、または、被覆することができ、または、通常の場合にはキャリアとの併用で、具体的には、ポリマーマトリックスまたは無機マトリックス(具体的には、骨伝導性の無機マトリックス(例えば、アパタイト)など)との併用で、薄膜、メッシュもしくはファイバーとして形成させることができる。
【0041】
HMG−CoAレダクターゼ阻害剤を投与するための一般的検討事項
投与様式は、治療量のHMG Co−Aレダクターゼ阻害剤を、骨格網目組織の所望される強化(具体的には、処置されている構造体の再構築)を提供するための十分な時間にわたって提供しなければならない。大体の同等量として、処置レベルは、マウス、ラットおよびヒトについて1:4:200の比率である。HMG Co−Aレダクターゼ阻害剤の量は生物学的利用可能な量である。これは、目的とする部位に届かない薬物(例えば、器官によって隔離される薬物、または、迅速な分解を受ける薬物)は所望の効果をもたらさないからである。投薬量レベルは一般には約0.01mg/kg/日〜10mg/kg/日の範囲であり、より通常的には0.025mg/kg/日〜5mg/kg/日の範囲であり、好ましくは0.05mg/kg/日〜2.5mg/kg/日の範囲であり、この場合、量は、ヒト宿主を処置するときにはある程度変更することができる。一般に、ラット宿主に送達されるHMG Co−Aレダクターゼ阻害剤の量は約0.1μg/日〜5μg/日の範囲であり、通常的には0.1μg/日〜2μg/日の範囲であり、具体的な投与様式および症状に従って適するように変更される。ヒトについては、範囲は約5μg/日〜250μg/日である。望ましくは、処置の経過期間中、HMG Co−Aレダクターゼ阻害剤の血中濃度は約0.5ng/ml〜5ng/ml(より通常的には1ng/ml〜5ng/ml)の範囲でなければならない。ヒトについての処置継続期間は一般には2日以上、通常的には3日以上、より通常的には約6日以上、望ましくは、10日以内であり、また、約65日以下であり、通常的には約25日以下であり、より通常的には約15日以下であり、一般には10日以下である。処置は、さらなる処置が組織強化を何らもたらさないとき、あるいは、有害な影響、例えば、薬物の副作用、および、薬物に対する低下した正の骨形成応答または負の骨形成応答をもたらすときに止められる。
【0042】
本発明の方法論の実質的な使用がなされるまで、患者のモニターリングは、最適な投薬量および最適な継続期間を確認するために有益である。経験が、特定の配合物に関して、また、具体的には、特定の症状に関して得られると、その経験は、その後、将来の治療において使用することができる。
【0043】
特定の状況において、処置の形態に依存して、効力を、実験の節において記載されるようなラットモデルを使用することによって投薬量および継続期間に関して求めることができる。HMG Co−Aレダクターゼ阻害剤を与えることができるマニホールド形態、用いられる媒体、および、投与法に照らして、具体的な処置様式の効力を確認するために動物モデルを使用したいと考えられる状況が存在し得る。
【0044】
様々なHMG−CoAレダクターゼ阻害剤を使用することができ、また、新しいHMG−CoAレダクターゼ阻害剤またはそれらのアナログが開発されるので、それらもまた含まれる。今日知られている様々なスタチンが、S.E.Harris他(1995)、Mol Cell Differ、3、137;G.Mundy他、Science(1999)、286、1946;ならびに、米国特許第6022887号、同第6080779号および同第6376476号に記載される(スタチンのそれらの開示は参考として本明細書中に特に組み込まれる)。例示的なスタチンには、ロバスタチン、プラバスタチン、ベロスタチン、シンバスタチン、フルバスタチン、セリバスタチン、メバスタチン、ダルバスタチン、フルインドスタチン、ロスバスタチンおよびアトルバスタチンが含まれる。これらのスタチンのプロドラッグ、それらの医薬的に許容され得る塩(例えば、カルシウムなど)もまた含まれる。これらの化合物の調製は、数多くの米国特許(米国特許第3983149号、同第4231938号、同第4346227号、同第4448784号、同第4450171号、同第4681893号、同第4739073号および同第5177080号)に示されるように広く知られている。これらの化合物はまた一般に市販されているので、必要なときには購入することができる。
【0045】
本発明の治療的療法は、HMG Co−Aレダクターゼ阻害剤の投与を必要とする骨格の網目組織障害に苦しむ哺乳動物種宿主(例えば、ヒト)の処置を可能にする。一般に、患者は、骨格(骨または軟骨)の障害の素因を有するヒト、または、骨格(骨または軟骨)の障害に罹患しているヒトであり、そのような骨格(骨または軟骨)障害は、例えば、軟骨無形成症、後天性骨過形成症候群、尖頭合指症、関節炎、若年性リウマチ性関節炎、リウマチ性関節炎、関節拘縮症、関節症、神経原性骨疾患、軟骨疾患、鎖骨頭蓋骨形成不全、内反足、仕切り症候群、頭蓋顔面骨形成不全、頭蓋骨癒合症、小人症、エリス−ファン・クレフェルト症候群、内軟骨腫症、外骨腫、線維性骨形成異常、繊維性異形成症、多骨性、扁平足、足変形、フライバーグ病、漏斗胸、ゴールデンハー症候群、外反母趾、股関節脱臼、疲労骨折、先天性骨化過剰症、椎間板ヘルニア、関節疾患、カブキメイキャップ症候群、クリッペル・フェイユ症候群、ランガー−ギーディオン症候群、レッグ−ペルテス病、脊柱前弯症、下顎顔面骨形成不全、メロレオストーシス、筋骨格異常、骨化性筋炎、変形性骨炎、変形性関節症、骨軟骨炎、骨形成不全症、骨髄炎、骨壊死、大理石骨病、骨粗鬆症、ポーランド症候群、リウマチ性疾患、ラッセルシルバー症候群、ショイエルマン病、脊柱側湾症、シバー病/踵骨骨端炎、脊椎疾患、変形性脊椎症、脊柱管狭窄症、直性脊椎脊椎炎、脊椎すべり症、シュプレンゲル変形、テニス肘、致死性骨異形成、骨欠陥状態、損なわれた骨格治癒、癒着不能骨折、閉鎖骨折または単純骨折、開放骨折または複雑骨折、う歯状態、歯科インプラント固定、補綴固定、脊椎固定、軟骨欠損状態などである。
【0046】
経皮適用
所望される処置を濃度および継続期間に関して提供するための好ましい様式において、長期間の放出が、目的とする部位に対する比較的一定の投薬量を維持しながら達成され得る場合、局所投与を用いることができる。上記で示されたように、粒子を、分散されたHMG−CoAレダクターゼ阻害剤と同様に、下記で記載される局所適用において使用することができる。投与されるHMG−CoAレダクターゼ阻害剤の量は一般には約0.05mg/kg/日〜20mg/kg/日であり、より一般には約0.05mg/kg/日〜10mg/kg/日であり、通常的には約0.1mg/kg/日〜10mg/kg/日であり、好ましくは約0.1mg/kg/日〜2.5mg/kg/日の範囲である。このことは、この量が、目的とする部位にとって生物学的に利用可能であることを意図し、ただし、適用が、目的とする部位から離れている場合、または、大きな表面にわたって適用される場合、より多い量が必要とされることがある。
【0047】
本明細書中で使用される表現「局所適用」は、生物学的表面への適用を表し、従って、生物学的表面には、例えば、皮膚領域(例えば、手、前腕、肘、脚、顔、爪、肛門および生殖領域)または粘膜が含まれる。適切なキャリア、および、必要な場合には、組成物に含めることができる他の成分を選択することによって、本明細書中下記において詳述されるように、本発明の組成物は、局所適用のために典型的に用いられる任意の形態に配合することができる。
【0048】
従って、本発明の医薬組成物は、例えば、クリーム、軟膏、ペースト、ゲル、ローション、乳液、懸濁物、エアロゾル、スプレー、泡、シャンプー、ヘアコンディショナー、漿液、スワブ、綿撒糸、パッド、パッチおよび石けんの形態が可能である。軟膏は、典型的にはワセリンまたは石油誘導体に基づく半固体の調製物である。使用されるための具体的な軟膏基剤が、所与の配合物のために選ばれた活性な薬剤についての最適な送達をもたらし、また、好ましくは、他の所望される特徴(例えば、皮膚軟化)も同様にもたらす軟膏基剤である。他のキャリアまたは賦形剤の場合のように、軟膏基剤は不活性で、安定で、非刺激性で、非感作性でなければならない。Remington:The Science and Practice of Pharmacy(第19版、Easton、Pa.:Mack Publishing Co.(1995)、1399頁〜1404頁)において説明されるように、軟膏基剤は、油性基剤、乳化可能な基剤、乳化基剤および水溶性基剤の4つのクラスに分類することができる。油性の軟膏基剤には、例えば、植物油、動物から得られる脂肪、および、石油から得られる半固体の炭化水素が含まれる。乳化可能な軟膏基剤は、吸収性の軟膏基剤としてもまた知られており、水をほとんど含有せず、これには、例えば、ヒドロキシステアリンスルファート、無水ラノリンおよび親水性ワセリンが含まれる。乳化軟膏基剤は油中水型(W/O)エマルションまたは水中油型(O/W)エマルションのいずれかであり、これには、例えば、セチルアルコール、グリセリルモノステアラート、ラノリンおよびステアリン酸が含まれる。好ましい水溶性軟膏基剤が様々な分子量のポリエチレングリコールから調製される。ローションは、擦ることなく皮膚表面に塗布されることになる調製物である。ローションは典型的には、活性な薬剤を含めて、固体粒子が水基剤またはアルコール基剤に存在する液体または半液体の調製物である。より多くの流体組成物を塗布することの容易さのために、ローションは典型的には、大きい身体面積を処置するために好ましい。ローションは典型的には固体の懸濁物であり、しばしば、水中油型タイプの液体の油状エマルションを含有する。ローションにおける不溶物は細かく分割されることが一般に必要である。ローションは典型的には、より良好な分散物を生じさせるための懸濁化剤、ならびに、活性な薬剤を皮膚との接触で局在化および保持するために有用である化合物(例えば、メチルセルロースおよびナトリウムカルボキシメチルセルロースなど)を含有する。クリームは、水中油型または油中水型のいずれかであっても、粘性の液体または半固体のエマルションである。クリーム基剤は典型的には水洗い可能であり、油相、乳化剤および水相を含有する。油相は「内部」相とも呼ばれ、一般にはワセリンおよび/または脂肪アルコール(例えば、セチルアルコールまたはステアリルアルコールなど)から構成される。水相は典型的には、必ずしも必須ではないが、体積において油相を上回り、一般には保湿剤を含有する。クリーム配合物における乳化剤は一般に、非イオン性、アニオン性、カチオン性または両性の界面活性剤である。さらなる情報については、Remington:The Science and Practice of Pharmacy(上掲)を参照することができる。ペーストは、生物活性な薬剤が好適な基剤に懸濁される半固体の投薬形態物である。基剤の性質に依存して、ペーストは、脂肪ペースト、または、単相水性ゲルから作製されるペーストに分けられる。脂肪ペーストにおける基剤は一般に、ワセリンおよび親水性ワセリンなどである。単相水性ゲルから作製されるペーストは一般に、カルボキシメチルセルロースなどを基剤として取り込む。さらなる情報については、さらに、Remington:The Science and Practice of Pharmacyを参照することができる。ゲル配合物は半固体の懸濁物タイプの系である。単相ゲルは、キャリア液体(これは典型的には水性である)の全体に実質的に均一に分散された有機高分子を含有するが、好ましくは、アルコール、および、必要な場合には、オイルもまた含有する。好ましい有機高分子、すなわち、ゲル化剤は、架橋されたアクリル酸ポリマー、例えば、カルボマーポリマーのファミリーなどであり、例えば、Carbopol(商標)の商品名で市販品を得ることができるカルボキシポリアルキレンである。この関連での好ましいポリマーの他のタイプが、親水性ポリマー、例えば、ポリエチレンオキシド、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンコポリマーおよびポリビニルアルコールなど;修飾セルロース、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタラートおよびメチルセルロースなど;ガム、例えば、トラガカントガムおよびキサンタンガムなど;アルギン酸ナトリウム;およびゼラチンである。均一なゲルを調製するために、分散化剤(例えば、アルコールまたはグリセリンなど)を加えることができ、あるいは、ゲル化剤を、磨砕、機械的混合もしくは撹拌、または、これらの組合せによって分散させることができる。
【0049】
スプレーは、一般には、活性な薬剤を、送達のために皮膚にミストとして吹きかけることができる水性溶液および/またはアルコール性溶液において提供する。そのようなスプレーには、送達後の投与部位において活性薬剤溶液の濃度を提供するために配合されたスプレーが含まれ、例えば、スプレー溶液は、活性な薬剤を溶解することができるアルコールまたは他の同様な揮発性液体から主として構成され得る。皮膚に送達されたとき、キャリアが蒸発し、これにより、濃縮された活性な薬剤が投与部位に残る。泡組成物は典型的には、単相または多相の液体形態で配合され、好適な容器に、場合により、容器からの組成物の放出を容易にし、従って、組成物を適用時に泡に転換する噴射剤と一緒に入れられる。他の泡形成技術には、例えば、「バッグ・イン・ア・カン(Bag−in−a−can)」配合技術が含まれる。このように配合された組成物は典型的には、低沸点の炭化水素(例えば、イソプロパン)を含有する。体温でのそのような組成物の適用および撹拌はイソプロパンを気化させ、加圧されたエアロゾル泡形成システムと類似する様式で泡を生じさせる。泡は水系または水性アルカノール性が可能であるが、典型的には、使用者の皮膚に適用されたとき、迅速に蒸発し、有効成分を、上部の皮膚層を介して処置部位に至らせる高アルコール含有量とともに配合される。皮膚パッチは典型的には、活性な薬剤を含有するリザーバーが取り付けられる支持材を含む。リザーバーは、例えば、活性な薬剤または組成物が分散もしくは浸漬されるパッド、または、液体リザーバーが可能である。パッチは典型的には、接着し、デバイスを処置領域に固定する前面の水透過性接着材をさらに含む。自己接着性を有するシリコーンゴムを代替として使用することができる。両方の場合において、透過性保護層を、その使用前のパッチの接着材側を保護するために使用することができる。皮膚パッチはさらに、皮膚パッチを貯蔵時に保護するために役立つ除去可能な覆いを含むことができる。
【0050】
本発明とともに利用することができるパッチ形態の例には、薬物を、皮膚と接触する接着材の中に直接に含むことによって特徴づけられる単層または多層の薬物/接着材システムが含まれる。そのような経皮パッチ設計において、接着材は、パッチを皮膚に張り付けるために役立つだけでなく、薬物およびすべての賦形剤を1つの支持用薄膜の下に含有する配合物土台としても役立つ。多層の薬物/接着材パッチにおいて、膜が2つの別個の薬物/接着材層の間に配置されるか、または、多数の薬物/接着材層が1つの支持用薄膜の下に取り込まれる。
【0051】
本発明によって使用することができる別のパッチシステム形態が、半透過性の膜および接着材によって放出ライナーから隔てられる、薬物の溶液または懸濁物を含有する液体区画を含むことによって特徴づけられるリザーバー経皮システム設計である。このパッチシステムの接着材成分は、膜と放出ライナーとの間の連続層として取り込むことができ、または、膜の周りでの同心状形態で取り込むことができる。本発明によって利用することができるさらに別のパッチシステム形態が、放出ライナーと直接に接触している、薬物の溶液または懸濁物を含有する半固体マトリックスを含むことによって特徴づけられるマトリックスシステム設計である。皮膚接着に関わる成分が上張りに取り込まれ、半固体マトリックスの周りの同心状形態を形成する。
【0052】
局所適用される医薬組成物のために好適である医薬的に許容され得るキャリアの例には、組成物の最終的形態に依存して、例えば、エマルション、クリーム、水溶液、オイル、軟膏、ペースト、ゲル、ローション、乳液、泡、懸濁物およびエアロゾルなどのための基剤として化粧品分野および医療分野における使用のために広く知られているキャリア物質が含まれる。従って、本発明による好適なキャリアの代表的な例には、限定されないが、水、液状アルコール、液状グリコール、液状ポリアルキレングリコール、液状エステル、液状アミド、液状タンパク質加水分解物、液状アルキル化タンパク質加水分解物、液状のラノリンおよびラノリン誘導体、ならびに、化粧用組成物および医療用組成物において一般に用いられる同様な物質が含まれる。本発明による他の好適なキャリアには、限定されないが、アルコール、例えば、一価アルコールおよび多価アルコール、例えば、エタノール、イソプロパノール、グリセロール、ソルビトール、2−メトキシエタノール、ジエチレングリコール、エチレングリコール、ヘキシレングリコール、マンニトールおよびプロピレングリコールなど;エーテル、例えば、ジエチルエーテルまたはジプロピルエーテルなど;ポリエチレングリコールおよびメトキシポリオキシエチレン(分子量が200〜20000の範囲にあるカルボワックス);ポリオキシエチレングリセロール、ポリオキシエチレンソルビトール、ステアロイルジアセチンなどが含まれる。
【0053】
本発明の局所用組成物は、所望される場合には、有効成分を含有する1つ以上の単位投薬形態物を含有し得る、FDA承認キットなどのパックまたはディスペンサーデバイスで提供され得る。ディスペンサーデバイスは、例えば、チューブを含むことができる。パックまたはディスペンサーデバイスには、投与のための説明書が添付され得る。パックまたはディスペンサーデバイスにはまた、医薬品の製造、使用または販売を規制する政府当局により定められた形式で容器に付けられた通知が伴い得る。この場合、そのような通知は、組成物の形態またはヒトもしくは動物への投与の当局による承認を反映する。そのような通知は、例えば、処方薬物に対する米国食品医薬品局により承認されたラベル書きであり得るか、または承認された製品添付文書であり得る。医薬的に許容される担体に配合された本発明の局所用組成物を含む組成物はまた、示された状態を処置するために、調製され、適切な容器に入れられ、かつ表示され得る。
【0054】
本発明の医薬組成物は、上記で示されるようなHMG Co−Aレダクターゼ阻害剤の示された治療的レベルを提供するために配合される。HMG Co−Aレダクターゼ阻害剤の量は、特定の配合物、処置を必要とする目的の部位に対して比較されるような部位として配合物が適用される部位、配合物が適用される部位およびその他に依存して広範囲に変化し得る。大部分において、医薬組成物の量は、1日あたり生物学的表面の1cm2について約0.1mg〜約10mgの間の範囲にある。
【0055】
クリームまたは軟膏として提供されるとき、本発明の医薬組成物は典型的には、HMG Co−Aレダクターゼ阻害剤と、親水性ワセリン、水性アルカノールゲルまたはプルロニックレシチンオルガノゲル(PLO)とを含む。
【0056】
カルボマーに基づく配合物を伴う水性アルカノールゲルは、例えば、60%のエタノール、40%未満のddH2O、1%のCarbomerポリマー(940または980のいずれか)、0.5%のコレステロール、0.1%のBHA、3%のTTAおよびHMG Co−Aレダクターゼ阻害剤を含有することができる。そのようなゲルは、H2O(1ml)をCarbomer940/H2O/トリエタノールアミン混合物に(撹拌しながら)ゆっくり(滴下しながら)加え、10mlの製造物を作製するための十分なエタノールにおいてゆっくり(滴下して)混合することによって製造することができる。最終的な混合物のpHは4.5を超えなければならない。最終的な製造物は小分けされ、密封され、光から保護される。
【0057】
プルロニックゲルについては、選択された成分が一緒にされ、局所用賦形剤(好ましくは、プルロニックレシチンオルガノゲル(PLO))において送達される。局所適用の方法は、クリーム、ゲル、軟膏、スプレーまたはパッチとしてであり、特に、成分をイオン導入パッチにより送達するイオン導入法によるものである。
【0058】
好ましい組成物は、HMG Co−Aレダクターゼ阻害剤(例えば、ロバスタチンなど)と、局所用ゲル調製物とを含む。選択されたHMG Co−Aレダクターゼ阻害剤は、経皮投与を容易にするためにプルロニックレシチンオルガノゲル(PLO)に取り込まれる。
【0059】
これらの成分は、制御された環境において混合される。予防的措置により、製薬作業者を、空気によって運ばれることがある有効成分、または、局所的に吸収されることがある有効成分から保護しなければならない。合衆国では、OSHA疾病安全手順に従わなければならない。
【0060】
組成物は、表皮を横断して、血管構造物が存在する表層真皮および深部真皮に至る分子的放出のために、レシチンおよびオルガノゲルの二相複合体を含む医薬的に許容され得る液体キャリアを含むことができる。
【0061】
PLOは、経皮薬物投与のために使用されるリン脂質リポソームマイクロエマルションである。PLOは下記の2つの相を有する:
(i)油相:油相はレシチン/パルミチン酸イソプロピルの溶液である。レシチンは皮膚の角質層を再配置させる。パルミチン酸イソプロピルは溶媒であり、また、浸透強化剤である。ソルビン酸が保存剤である。
(ii)水相:水相はプルロニックゲルである。プルロニックf127NFが市販の界面活性剤である。ソルビン酸カリウムNFが保存剤である。精製水が溶媒である。活性な薬剤がPLOゲルに取り込まれ、安定なエマルションが剪断力によって形成される。配合物における活性な薬剤の濃度は、最適な治療的応答を得るように調節することができる。
【0062】
活性な薬剤およびキャリアの組成物が下記の手順に従って調製される。最初に、HMG Co−Aレダクターゼ阻害剤が可溶化される;その後、HMG Co−Aレダクターゼ阻害剤はレシチン/パルミチン酸イソプロピル溶液と一緒にされ、十分に混合される。その後、プルロニックF127が、20%のゲルとして、最終的な所望の体積に少量ずつ加えられる。その後、組成物は、滑らかなクリーム状ゲルを形成するために高速度で電動の臼および杵において混合される。
【0063】
調製されると、本発明の局所用HMG Co−Aレダクターゼ阻害剤配合物は患者または医療提供者のいずれかによって局所投与することができる。投薬形態物が局所用クリーム−ゲル懸濁物または局所用パッチの方法論であるとき、投薬形態物は、必要に応じて、保存剤、安定剤、乳化剤または懸濁化剤、湿潤化剤、浸透圧または緩衝剤のための塩を含有することができる。投薬形態物が、加圧されたスプレーまたはエアロゾルとしてであるとき、溶液は、加圧された容器に液体噴射剤(例えば、ジクロロジフルオロメタンまたはクロロトリフルオロエチレンなど)とともに含有される。ポンプ容器から投与されるならば、溶液は、緩衝剤塩溶液を、必要に応じて、保存剤、安定剤、乳化剤または懸濁化剤、湿潤化剤、および、浸透圧または緩衝剤のための塩とともに含む。
【0064】
組成物が、局所用ゲル−クリーム、スプレー、または、局所用イオン導入ゲルパッチの形態で投与されるとき、反復投与の回数がゲル−クリームおよびスプレーについては6時間毎から12時間毎にまで変化し、局所用のイオン導入ゲルパッチ送達方法については数日にまで変化する。バリア軟膏または物理的バリア(例えば、低アレルギー性膜など)により塞ぐこともまた、医薬品の効力および浸透を増大させるために、ゲル−クリームまたはスプレーを局所適用した後で実施することができる。
【0065】
パッチまたは任意の他の経皮送達デバイスとして提供されるとき、本発明の医薬組成物はHMG Co−Aレダクターゼ阻害剤(例えば、ロバスタチンなど)を含む。好ましいパッチ配合物は、HMG Co−Aレダクターゼ阻害剤が皮膚接触接着材の中に直接に含まれる単層の薬物/接着材システムである。好ましい濃度範囲は、パッチが目的の部位における効果的な濃度のための十分なHMG Co−Aレダクターゼ阻害剤を送達するような範囲である。以前に示された予告に従って、これは一般に、1日あたり0.01mg/kg〜1mg/kgの間に含まれる。
【0066】
エアロゾルまたは他の経粘膜送達デバイスとして提供されるとき、本発明の医薬組成物は典型的には、HMG Co−Aレダクターゼ阻害剤(例えば、ロバスタチンなど)を含む。好ましいエアロゾルまたは他の経粘膜送達デバイスは様々な技術を含み、それらには、例えば、定量吸引器(MDI)(例えば、肺内の深部にではなく、気道を媒介する喘息吸入器など)、微細な液体スプレーを可能にするネブライザー、乾燥粉末吸入器(DPI)または液体微小液滴吸入器などが含まれる。経粘膜送達または口内送達のための代わりの投薬形態物には、様々な送達システムが含まれ、例えば、口腔洗浄薬、侵食性/咀嚼性の口内錠剤、ならびに、薬物が多方向に放出され得る単層デバイスとして、または、口腔内への薬物損失を大きく低下させることができる、不透過性支持層を薬物負荷された生体接着層の上部に有するデバイスとしてそのいずれかで様々な幾何形状を使用して製造されるチューインガム、生体接着性のビューカット(buecut)薄膜/パッチおよび錠剤などが含まれる。別のデバイス形態は一方向放出機構を含むことができ、従って、薬物損失を最小限に抑え、口腔粘膜を介した薬物浸透を高めることができる。
【0067】
HMG Co−Aレダクターゼ阻害剤は、真皮細胞および粘膜細胞を含む様々な細胞の主成分であるコレステロールの産生を低下させるので、HMG Co−Aレダクターゼ阻害剤の局所投与はそのような細胞においてコレステロール枯渇を引き起こすことができ、このことにより、HMG Co−Aレダクターゼ阻害剤の低下した透過性が引き起こされ得る。従って、生物学的表面を通過するHMG Co−Aレダクターゼ阻害剤の浸透を増大させるために、本発明の医薬組成物は好ましくはさらに、コレステロールを0.1重量%〜1重量%の濃度で含む。
【0068】
本発明の医薬組成物はまた、浸透強化剤を含むことができ、例えば、単純なアルキルエステル、リン脂質、テルペン類、過飽和溶液、超音波、有機溶媒、脂肪酸およびアルコール、洗浄剤および界面活性剤、D−リモネン、β−シクロデキストリン、DMSO、ポリソルバート、胆汁酸、N−メチルピロリジン、ポリグリコシル化グリセリド、1−ドデシルアザシクロヘプタン−2−オン(Azone(登録商標)、シクロペンタデカラクトン(CPE−215(登録商標)、アルキル−2−(N,N−二置換アミノ)アルカノアートエステル(NexAct(登録商標)、2−(n−ノニル)−1,3−ジオキソラン(SEPA(登録商標)、Carbomerポリマー、プルロニックゲル、レシチン、トリブロックコポリマー(Pluronic127など)、ならびに、安定剤または中和剤(例えば、BHA、安息香酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、アルカリ形態での他の希釈剤(例えば、水、エタノールなど)などを含むことができる。
【0069】
本発明はさらに、上記で記載される医薬組成物を調製するためのプロセスを包含する。これらのプロセスは一般に、本明細書中上記で記載される有効成分と、医薬的に許容され得るキャリアとを混合することを含む。他の薬剤または活性な薬剤(これらは本明細書中上記で詳述される)が組成物に存在する場合、プロセスは、これらの薬剤を有効成分およびキャリアと一緒に混合することを含む。本発明のプロセスにおいて使用可能である様々な例示的な配合技術が、例えば、Harry’s Cosmeticology(第7版、JB WilkinsonおよびRJ Mooreによる編集、Longmann Scientific&Technical、1982、第13章「化粧品の製造」、757頁〜799頁)に、並びに、経皮薬物送達のための新規なゲル技術の医薬品開発および臨床有効性、Alberti,I.他編、Expert Opinions in Drug Delivery、2:935〜50、2005;粘膜薬物送達:膜、方法論および応用、Song,Y.他、Critical Reviews Therapeutic Drug Carrier Systems、21:195〜256、2004;および、薬物送達システム:過去、現在および未来、Mainardes、R.M.他、Current Drug Targets、5:449〜55、2004に記載される。
【0070】
粒子の投与
特に注目されるHMG Co−Aレダクターゼ阻害剤の1つの形態が、小さい粒子(具体的には、マイクロ粒子またはナノ粒子)の形態においてである。本発明の組成物は、水性媒体におけるスタチンの低い溶解性の結果として、少なくとも1つのHMG−CoAレダクターゼ阻害剤を含む粒子(ナノ粒子またはマイクロ粒子)を時間とともに溶解するか、または、ゆっくり放出する粒子を含む。そのような粒子は、均一なサイズ分布、実質的に均一なサイズ分布または不均一なサイズ分布をもたらすための任意の好都合な様式で形成することができる。大部分において、粒子は、適切な賦形剤において目的とする部位に投与され、組織強化を提供するための十分な時間にわたって目的とする部位に維持される。一般に、粒子はHMG−CoAレダクターゼ阻害剤を約0.5μg/日〜2.5μg/日の範囲での速度で放出し、より通常的には約1μg/日〜2μg/日の範囲での速度で放出する。目的とする部位によって、処置されている組織に関連して直接にHMG−CoAレダクターゼ阻害剤を放出するように、骨組織および/または軟骨組織の強化が存在するに違いない部位、一般には、その部位の約5cm以内であることが意図される。しかしながら、粒子が異なる部位に投与され、効果が粒子からのHMG−CoAレダクターゼ阻害剤の放出に依存する場合があり、この場合には、放出されたHMG−CoAレダクターゼ阻害剤が目的の部位に輸送される場合が存在し得る。
【0071】
粒子は、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤の継続する治療量を指示された処置期間にわたって提供する。投与された粒子はHMG−CoAレダクターゼ阻害剤の比較的均一な放出を所定の処置期間にわたって提供する。投与される粒子組成物および粒子の量を適切に選択することによって、目的とする部位が治療的レベルで薬物にさらされる期間は、制御された組織強化がもたらされる。粒子は、所定の速度でのHMG−CoAレダクターゼ阻害剤のゆっくりした放出を可能にし、その結果、処置期間にわたって、その部位におけるHMG−CoAレダクターゼ阻害剤のレベルが、細胞の活性化および組織の強化をもたらすために十分であるように調製される。粒子は、完全に結晶性のものから、完全に非晶質のものおよび/またはガラス化物に及ぶ、純粋な薬物粒子としての実質的に均一化なHMG−CoAレダクターゼ阻害剤から、キャリア(単一のコア)内に点在する小さい粒子としてのHMG−CoAレダクターゼ阻害剤(速度を制御する表面の膜を含むことができるキャリア(例えば、ヒドロゲルなど)に分散されたHMG−CoAレダクターゼ阻害剤分子)を伴う粒子まで変化し得る。
【0072】
粒子からのHMG−CoAレダクターゼ阻害剤の放出は、非機械的な手段によって、すなわち、物理的および/または化学的な現象によって制御される。これらの現象には、浸透圧、溶解、加水分解、分解、溶媒和、侵食などが含まれ、この場合、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤が目的とする部位の環境にゆっくり放出される。通常、最初は、放出されるHMG−CoAレダクターゼ阻害剤の量が最大にまで増大し、その後、単位時間間隔あたり放出されるHMG−CoAレダクターゼ阻害剤の量がゆっくり低下する曲線が存在し、その後は、しばしば、残留するHMG−CoAレダクターゼ阻害剤が短期間にわたって放出される粒子の崩壊が存在する。平均放出速度は通常、24時間の期間に基づいて、粒子の崩壊に至るまで、約0.5%〜20%の間であり、より通常的には約5%〜20%の間である。望ましくは、崩壊時における残存量はHMG−CoAレダクターゼ阻害剤の最初の量の20%未満であり、好ましくは約15%未満である。
【0073】
粒子の性質およびその形成法に依存して、粒子の実質的に均一なサイズの組成物、または、粒子の不均一なサイズの組成物を得ることができ、この場合、異なるサイズの粒子は、所望される範囲のHMG−CoAレダクターゼ阻害剤濃度を治療的時間間隔にわたって提供するように経時的に異なる放出プロフィルを有する。サイズ分散は、サイズ分画された粒子の2つ以上の群を有することができ、この場合、それぞれの群は、少なくとも約75重量%の粒子がメジアンサイズの50%以内にあるサイズである。代替として、粒子サイズの比較的均一な狭い範囲または広い範囲を得ることができる。
【0074】
キャリアを含む粒子が標準的な状態で生分解性である場合、粒子は生体適合性であり、好都合には生体再吸収性である。そのような粒子は、通常、残渣を全く残さず、また、炎症が存在する場合には最小限の炎症を処置されている部位においてもたらす。少なくとも60重量%(より通常的には少なくとも約70重量%)の粒子が約0.001μm〜100μmのサイズ範囲にあり、一般には、少なくとも約60重量%(より通常的には少なくとも約75重量%)が、均一サイズ組成物についてはメジアンサイズ粒子の約35%以内(好ましくは約20%以内)である。(サイズを示す際には、平均直径が考慮されている)。固体薬物が粉砕または破砕される場合、通常、50重量%超(より通常的には60重量%超)が粒子のメジアンサイズの50%以内である粒子の不均一な混合物が得られる。所望されるならば、粒子は、特定の範囲にある粒子を提供するためのふるい法または他の方法を使用してサイズ分画することができ、この場合、その特定の範囲にある粒子のみが使用されるか、または、異なる範囲の粒子の組合せを使用することができる。不均一な組成物については、狭いサイズ範囲を有する1つ、2つまたは3つの群が存在してもよく、この場合、いずれか1つの群のメジアンサイズは、通常的には、次に小さいメジアンサイズの約100倍を超えず、より通常的には、次に小さいメジアンサイズの約50倍を超えない。群の重量比率は放出プロフィルに依存し、この場合、より小さい粒子は一般に、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤のより多くを早い期間において放出し、一方、より大きい粒子はHMG−CoAレダクターゼ阻害剤をより小さい粒子よりも遅く放出する。
【0075】
キャリアを通常的には伴うナノ粒子またはマイクロ粒子を使用することができる。この場合、これらの粒子群は異なるサイズ範囲に分類される。ナノ粒子は一般には約1nm〜50nmの範囲であり、より通常的には5nm〜25nmの範囲であり、分布は、上記で示された通りである。マイクロ粒子は一般には約1μm〜200μmの範囲であり、より通常的には約5μm〜100nmの範囲であり、分布は、上記で示された通りである。ほんの少数の大きい粒子が重量/サイズ分布を過度に乱し得る。少数の外れた物が存在する場合、示された数字は幾分か外れることがあり、また、そのような外れた物は、一般には組成物の10重量%を超えず、また、その分布に含まれる最大粒子よりも少なくとも1.5倍大きいので、分布において考慮されるべきでないことを理解しなければならない。
【0076】
粒子組成物は、処置される部位の面積に基づいて、約10−5mg/mm2・日〜10−3mg/mm2・日の、目的とする部位におけるHMG−CoAレダクターゼ阻害剤の連続したレベルを提供するために選ばれる。2回以上の注入が伴う場合があり、その結果、粒子組成物により、所定の継続期間が提供される。総日数は以前に示されている。連続した注入が用いられる場合、重なり期間が存在することがあり、この場合には、短い期間(一般には約12時間未満、より通常的には約6時間未満)にわたって放出されているHMG−CoAレダクターゼ阻害剤の総量が、上記で示された量を超えている。治療的レベルを維持しながら、より長い期間を達成するために、粒子の1回又は複数回の投与が、通常的には多くても毎日、好ましくは多くても約3日の間隔で、より通常的には多くても約7日の間隔で、望ましくは多くても約10日の間隔で必要とされる場合があり、また、30日またはそれ以上の間隔での単回服用である場合がある。
【0077】
HMG−CoAレダクターゼ阻害剤は、ガラス状または結晶性の粒子として、何も加えることなく調製することができる。粒子は、サイズが上記で記載されているようにマイクロまたはナノのいずれかが可能であり、また、非晶質または結晶性であってもよく、この場合、結晶性は約0%から100%まで変化し得る。より遅い放出のために、少なくとも実質的には結晶性の粒子が使用され、これに対して、より迅速な放出のためには、非晶質性薬物がより多く存在する。純粋な薬物が所定のサイズ分布に粉砕または破砕される粉末もまた使用することができる。様々な機械的方法を、所望の粉末サイズ分布を提供するために用いることができる。一般に、大きな塊は避けられ、その結果、比較的狭いサイズ分布が得られ、そのようなサイズ分布は、好都合にはナノ粒子またはマイクロ粒子のサイズ範囲に含まれるが、そのような範囲から外れ得る微粉もまた含むことができる。そのような微粉は、一般には組成物の約20重量%未満であり、通常的には組成物の約10重量%未満である。
【0078】
広範囲の様々な粒子組成物を、処置される部位の性質、所望される放出プロフィル、処置のために必要とされるHMG−CoAレダクターゼ阻害剤の量、治療的レベルのHMG−CoAレダクターゼ阻害剤を提供するための時間間隔、および、目的とする部位における粒子の許容される体積に依存して用いることができる。
【0079】
1つ以上の組成物を粒子マトリックスにおいて使用することができ、この場合、1つの組成物を他方の組成物に分散することができ、あるいは、1つの組成物が他方の組成物の部分的または完全な被覆などを形成することができ、また、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤は、所望される遅い放出プロフィルを提供するために内部の粒子(例えば、コア)とすることができ、あるいは、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤を組成物の1つ以上に分散させることができる。使用が見出されるポリマーには、付加ポリマーおよび縮合ポリマーの両方が含まれる。使用が見出されるポリマー組成物は、通常の場合には再吸収可能であり、具体的には生分解性である生体適合性ポリマーであり、そのような生分解性ポリマーには、水溶性ヒドロキシ脂肪族酸(具体的には、α−ヒドロキシ脂肪族酸)、各種オキシラン、ビニル化合物、ウレア誘導体、糖類、オルトエステル、無水物、ヒドロゲルなどのポリマーが含まれる。使用が見出され得る組成物には、ポリ乳酸(PLA)(純粋な光学異性物または異性体の混合物のいずれでも)、ポリグリコール酸(PGA)、乳酸およびその光学活性形態およびグリコール酸のコポリマー(PGLA)、乳酸およびカプロラクトンのコポリマー、グリコール酸およびカプロラクトンのコポリマー、乳酸、グリコール酸およびカプロラクトンのターポリマー、ポリカプロラクトン;ポリヒドロキシ酪酸−ポリヒドロキシ吉草酸コポリマー;ポリ(ラクチド−co−カプロラクトン);ポリエステルアミド;ポリオルトエステル;ポリω−ヒドロキシ酪酸;および、ポリ無水物、前記と、ポリ(エチレングリコール)とのブロックコポリマー、または、前記ポリマーの任意の組合せのコポリマーが含まれる。
【0080】
一般には生体適合性であるが、生分解性ではないポリマーには、下記の様々ポリマーが含まれる:例えば、ポリジエン(例えば、ポリブタジエンなど)、ポリアルケン(例えば、ポリエチレンまたはポリプロピレンなど)、ポリメタクリル酸系(例えば、ポリメタクリル酸メチルまたはポリメタクリル酸ヒドロキシエチルなど)、ポリビニルエーテル、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルエステル(例えば、ポリ酢酸ビニルなど)、ポリスチレン、ポリカーボナート、ポリエステル、セルロースエーテル(例えば、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースまたはヒドロキシプロピルメチルセルロースなど)、セルロースエステル(例えば、酢酸セルロースまたは酢酸酪酸セルロースなど)、多糖およびデンプン、シアノアクリル酸アルキル、ポリウレタンなど。
【0081】
架橋された、生体適合性であるが、生分解性ではないポリマーには、ポリ酢酸ビニル(PVA)、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール(xi−PValc)、ポリアルキレンオキシド(具体的には、ポリエチレンオキシド(PEG))などから調製されるヒドロゲルが含まれ、この場合、ポリマーは架橋され得るか、または、様々な基(例えば、2個〜18個の炭素原子を含む脂肪族酸、および、2個〜3個の炭素原子を含むアルキレンオキシ基など)により修飾され得る。ポリマーは、ホモポリマー、コポリマー、ブロックまたはランダムであってもよく、また、デンドリマーなどを含むことができる。
【0082】
特に注目されるのが、2個〜3個の炭素原子を含むα−ヒドロキシ脂肪族カルボン酸のポリマーまたはコポリマーである。薬物送達配合物のためのラクチド/グリコリドポリマーが、典型的には、ラクチドモノマーおよびグリコリドモノマーの開環による溶融重合によって作製される。いくつかのポリマーは、カルボン酸末端基を伴って、または、カルボン酸末端基を伴うことなく利用することができる。ポリ(ラクチド−co−グリコリド)、ポリ(ラクチド)またはポリ(グリコリド)の末端基がカルボン酸でないとき(例えば、エステルであるとき)、得られるポリマーは、封止処理またはキャップ処理されたとして本明細書中では示される。逆に、封止処理されていないポリマーは末端のカルボキシル基を有する。本明細書中における生分解性ポリマーは封止型または非封止型が可能である。さらなる態様において、線状のラクチド/グリコリドポリマーが使用される。しかしながら、星形ポリマーを同様に使用することができる。低分子量ポリマーまたは中分子量ポリマーが、材料の強度ではなく、ポリマーの再吸収時間が重要である薬物送達のために使用される。ポリマーのラクチド部分が不斉炭素を有する。市販のラセミ型DL−ポリマー、L−ポリマーおよびD−ポリマーを利用することができる。L−ポリマーは、DL−ポリマーよりも大きい結晶性を有し、ゆっくり再吸収される。グリコリドおよびDL−ラクチドまたはL−ラクチドを含むコポリマーに加えて、L−ラクチドおよびDL−ラクチドのコポリマーを利用することができる。加えて、ラクチドまたはグリコリドのホモポリマーを利用することができる。
【0083】
生分解性ポリマーが、ポリ(ラクチド)、ポリ(グリコリド)またはポリ(ラクチド−co−グリコリド)である場合、後者においては、ポリマーにおけるラクチドおよびグリコリドの量が変化し得る。さらなる態様において、生分解性ポリマーは、0モル%〜100モル%、40モル%〜100モル%、50モル%〜100モル%、60モル%〜100モル%、70モル%〜100モル%、または、80モル%〜100モル%のラクチドと、0モル%〜100モル%、0モル%〜60モル%、10モル%〜40モル%、20モル%〜40モル%、または、30モル%〜40モル%のグリコリドとを含有し、ただし、ラクチドおよびグリコリドの量が100モル%である。さらなる態様において、生分解性ポリマーは、ポリ(ラクチド)、95:5のポリ(ラクチド−co−グリコリド)、85:15のポリ(ラクチド−co−グリコリド)、75:25のポリ(ラクチド−co−グリコリド)、65:35のポリ(ラクチド−co−グリコリド)、または、50:50のポリ(ラクチド−co−グリコリド)が可能であり、この場合、比率はモル比である。
【0084】
本発明のために有用であるポリマーは、0.5g/dLの濃度で30℃でクロロホルム中で測定されたとき、0.15dL/g〜2.0dL/g、0.15dL/g〜1.5dL/g、0.25dL/g〜1.5dL/g、0.25dL/g〜1.0dL/g、0.25dL/g〜0.8dL/g、0.25dL/g〜0.6dL/g、または、0.25dL/g〜0.4dL/gの固有粘度を有するポリマーである。さらなる態様において、生分解性ポリマーが、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)、ポリ(ラクチド)またはポリ(グリコリド)であるとき、ポリマーは、0.5g/dLの濃度で30℃でクロロホルム中で測定されたとき、0.15dL/g〜2.0dL/g、0.15dL/g〜1.5dL/g、0.25dL/g〜1.5dL/g、0.25dL/g〜1.0dL/g、0.25dL/g〜0.8dL/g、0.25dL/g〜0.6dL/g、または、0.25dL/g〜0.4dL/gの固有粘度を有する。
【0085】
粒子の他の形態を使用することができる(例えば、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤と、接着性マトリックスまたは他のポリマーマトリックスとの混合物により被覆されたコアなど)。例えば、無機コアを使用することができ(例えば、リン酸カルシウム(例えば、リン酸三カルシウム)、あるいは、他の骨伝導性材料または骨誘導性材料など)、または、有機コアを使用することができる(例えば、ファイバー、メッシュなどの形態でのコラーゲンまたは他のタンパク質、有機ポリマーなど)。ゲルの中で、特に注目されるのが、より低い温度では、容易に流動可能で、注入可能であり、一方、高温では、より堅くなる熱可逆性ゲルである。これは、例えば、HMG−CoAレダクターゼを、具体的には熱感受性物質(例えば、Pluronic F−127など)と組み合わせて粘膜接着性組成物(例えば、Noveonなど)に分散することにより達成することができる。例示的な組成物が、TirnaksizおよびRobinson、Pharmazie、2005、60(7):518〜23に記載される(この参考文献はその全体を参照として特に組み込まれる)。
【0086】
HMG−CoAレダクターゼ阻害剤がマトリックスと混合されるとき、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤の量は通常的には95重量%を超えず、頻繁には60%を超えず、より通常的には50重量%を超えず、また、通常的には約10重量%以上であり、より通常的には約20重量%以上である(これらの重量パーセントがちょうどこれら2つの成分(HMG Co−Aレダクターゼ阻害剤およびマトリックス)に基づくように、粒子は他の成分を有することができる)。2つ以上のポリマーが使用されるとき、それぞれのポリマーが粒子の少なくとも1重量%で存在し、より通常的には、粒子の少なくとも約5重量%で存在する。当然のことではあるが、数多くの異なる理由のために適用され得るポリマー被覆が1%未満であってもよく、この場合には、ポリマー被覆は、粒子の機械的一体性を高めるために、摩耗を低下させるために、潮解もしくは風解を低下させるために、取り扱いおよび流動を容易にするために、または、薬物が粒子から放出される速度を制御するためなどに役立つ。
【0087】
HMG−CoAレダクターゼ阻害剤対ポリマーの重量比率は約0.1〜20:1の範囲であり、より通常的には約0.25〜1.5:1の範囲であり、これは、上記で示された百分率と一致している。
【0088】
粒子組成物および粒子の調製方法は多数である。例示的な特許および特許出願には、米国特許第4687660号、同第5128798号、同第5427798号および同第6510430号、ならびに、米国特許出願公開第2005/0165203号、同第0208134号、同第0255165号、同第0287114号、同第0287196号および同第2006/0057222号、ならびに、それらにおける引用参考文献が含まれる。組成物を選択すること、および、粒子を調製することにおける検討事項を記載する教本には、Organic Chemistry of Drug Design and Drug Action(Richard B.Silverman、1992);Drug Delivery:Engineering Principles for Drug Therapy(W.Mark Salzman、2001);およびPharmacokinetics and Metabolism in Drug Design(Methods and Principles in Medicinal Chemistry)(Dennis A.Smith他、2001)が含まれる。
大部分において、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤およびポリマーマトリックスは、通常的には溶媒の存在下において、一緒に混合される。マトリックス物質へのHMG−CoAレダクターゼ阻害剤の滴下による添加を使用することができる。溶媒を除いた後、粒子は洗浄およびサイズ分画することができる。粒子の調製において使用することができる他の添加剤には、界面活性剤(具体的には、ポリマー界面活性剤、例えば、ポリ(ビニルアルコール)の部分的加水分解物(例えば、4モルパーセント〜90モルパーセント)など)が含まれる。
【0089】
粒子は低粘度の媒体における流動可能な混合物として使用することができ、あるいは、粒子が適用されることになる部位に依存してさらに形成することができる多孔性の塊または形態にするために焼結または塊状化することができ、あるいは、骨セメント物質に導入することなどができる。粒子は、様々な様式で、多孔性の塊または形態にするために結合させることができる。粒子マトリックスを軟らかくし、これにより、粒子が結合することをもたらす部分的溶媒または柔軟化剤を使用することができる。好都合なことに、粒子は、所望の形態を提供する入れ物または容器に詰めることができ、あるいは、さらに改変することができる形態を提供することができ、また、部分的溶媒を、粒子の表面を軟らかくするために詰め物に通すことができる。その後、粒子は、部分的溶媒が、部分的溶媒を除き、かつ、粒子の固体表面を再形成するために可溶性である非溶媒により繰り返し洗浄される。代替として、粒子は、穏やかな温度で、一般には60℃未満の温度で焼結することができ、それにより、表面が軟らかくなり、粒子が結合する。
【0090】
粒子は、自身によって、または、他の物質との併用で多孔性の塊にすることができ、この場合、そのような他の物質は、好都合には、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤粒子について示されたサイズ範囲であり、また、多孔性の塊を形成するための適切な性質を有しており、例えば、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤を含有する粒子と同じ組成またはポリマーマトリックスを有するか、あるいは、処置に対して、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤を含有する粒子と同じ様式で応答する。これらの他の粒子には、骨誘導性および/または骨伝導性の物質、例えば、リン酸カルシウム、ヒドロキシアパタイトまたは他の望ましい添加剤などが含まれ得る。焼結条件は、多孔性の所望される程度、粒子を作製するために使用される物質、および、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤の放出に対する焼結の影響などに実質的に依存する。
【0091】
粒子が、構造を提供するマトリックスまたは形態に存在する場合、粒子は適切な位置に機械的に固定することができる。好都合には、粒子を処置されている部位の近くに並置して保持する骨固定または腱固定を使用することができる。
【0092】
HMG−CoAレダクターゼ阻害剤が粒子に存在するか、または、分子的に分散されるか、または、構造体において提供される様々な形成された構造体を使用することができ、この場合、構造体は含浸され、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤が構造材料に埋め込まれるか、または、構造材料上に被覆される。これらの構造体は、処置のための目的とする部位に合致するように形成することができる。構造体は、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤が構造体または被覆と関係する様式による所望の速度でのHMG−CoAレダクターゼ阻害剤の放出を可能にし、あるいは、他の手段を、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤の放出速度を制御するために使用することができる。
【0093】
他の活性な成分を粒子に、または、粒子が分散される媒体に含ませることができる。注目されるのが、組織の成長または浸潤を促進させるそのような薬剤(例えば、増殖因子など)である。この目的のための例示的な増殖因子には、上皮増殖因子(EGF)、線維芽細胞増殖因子(FGF)、血小板由来増殖因子(PDGF)、トランスフォーミング増殖因子(TGF)、副甲状腺ホルモン(PTH)、白血病阻害因子(LIF)およびインスリン様増殖因子(IGF)などが含まれる。骨の成長を促進させる薬剤、例えば、骨形態形成タンパク質(米国特許第4761471号;PCT国際特許出願公開WO90/11366)、オステオゲニン(Sampath他、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1987)、84:7109〜13)およびNaF(Tencer他、J.Biomed.Mat.Res.(1989)、23:571〜89)などもまた意図される。しかしながら、大部分において、これらのタンパク質は様々な困難を配合およびそれらの放出の制御においてもたらすので、これらの化合物は粒子に含まれない。
【0094】
含めることができる他の活性な成分が、自家移植片および同種移植片と同様に、骨伝導性および骨誘導性である成分、例えば、アロプラスト、無機質除去骨、ヒドロキシアパタイト、リン酸カルシウム、セラミック、リン酸三カルシウム、コラーゲン、プロテオグリカン、キトサンなどである。これらの組成物は、組織のモデリングにおける足場として役立ち得る。これらが使用される限りにおいては、それらは、一次処置に対する補助的薬剤として使用される。これらの補助的薬剤は、対象となる粒子とは別個に投与することができ、または、対象となる粒子とともに一緒に混合することができる。
【0095】
粒子の投与方法には、注入、手術による設置(この場合、手術による据え付けは、事前に形成されたディスクまたは形状化された材料であり得る)、注入可能な液体から半固体または固体の構造体への転換を、温度、pH、イオン強度、水または溶媒の浸透圧喪失などにおける変化によって受けることができる凝固系の注入が含まれる。これらの補助的物質の使用される量は従来的であり得るか、または、対象となる粒子の活性に照らして半分以下に減らすことができる。
【0096】
加えて、粒子との併用において、粒子を投与部位に維持する接着剤を使用することができる。場合により、粒子マトリックスの組成物が、粒子を部位に結合するために役立つ場合があり、その結果、さらなる接着性材料が必要でなくなる。部位の性質(例えば、骨折、補綴物の導入、虫歯などなど)に依存して、生物学的接着剤が有用な補助剤として役立ち得る。バイオ接着剤には、Bioglue、シアノアクリラート、フィブリン、トランスグルタミナーゼ、コラーゲン、ヒアルロン酸、フィブリンなどが含まれる。バイオ接着剤の量は、目的とする具体的な部位に依存し、従来の様式で使用され、一般にはポリマーについて上記で示された範囲で使用される。バイオ接着剤はポリマーマトリックスとして使用することができ、または、上記で示されたポリマーマトリックスとの組合せで使用することができる。
【0097】
媒体および/または粒子に含めることができる補助的な物質には、酸化防止剤、抗生物質、抗炎症剤、免疫抑制剤、保存剤、鎮痛剤、他の治療剤および賦形剤が含まれる。
【0098】
一般に、粒子は、粒子含有媒体の粘度が従来の様式による目的とする部位へのその適用を可能にする場合、流動可能な媒体、分散物、スラリーなどに分散される。液体媒体については、生理的食塩水、リン酸塩緩衝化生理的食塩水、グリコール、ポリアルキレンオキシ化合物、これらの組合せ、または、他の医薬的に許容され得るキャリアで、粒子の劣化を引き起こさないものを用いることができる。望ましくは、粒子は、媒体における少なくとも約1重量%未満の溶解性を有しなければならず、より望ましくは、少なくとも約0.5重量%未満の溶解性を有しなければならない。他の状況では、チキソトロピー性ゲル、分散物、ペースト、キトサン、コラーゲンゲル、プロテオグリカン、フィブリンおよびフィブリン塊を用いることができる。増粘剤には、セルロース系ポリマーおよびその誘導体(例えば、メチルセルロースなど)、キサンタンガムおよびその誘導体、ポリアクリアミド、アルギン酸塩、コラーゲン、シアノアクリラート、ヒアルロン酸、ムチンおよび他のポリペプチド生体ポリマー、コンドロイチン硫酸、グルコサミン、プルロニックポリマー、ケラチン硫酸、デルマタン硫酸などが含まれる。
【0099】
粒子の注入については、注入体積は通常的には20μl〜2000μlの範囲であり、より通常的には約100μl〜1000μlの範囲である。粒子の濃度は一般には約0.01mg/ml〜50mg/mlの範囲であり、より通常的には約0.1mg/ml〜25mg/mlの範囲である。構造化された形態物の設置については、形態物は、この分野では知られているようにその部位について適切に形状化されるので、目的とする部位と一緒になる。
【0100】
粒子の様々な投与様式を、目的とする部位、皮膚が破れ、その結果、部位が直接に処置可能であるかどうか、処置の性質などに依存して使用することができる。皮膚が無傷であり、目的とする部位を覆っている場合、通常的には、組成物が、粒子の容易な通過を可能にするための十分なサイズのニードルを使用して注入によって投与される。部位が処置可能である場合、対象となる粒子組成物を、シリンジ、手術による埋め込みを使用して部位に直接に適用することができ、また、乾燥粉末、ポンプ、エアロゾル注入、局所適用などとして適用することができる。
【0101】
下記の実施例は例示として提供され、限定としては提供されない。
【実施例】
【0102】
材料および方法
経皮的
経皮研究1
化学物質
ロバスタチンをStason Pharmaceuticals Incorporated(Irvine、CA)から得た。HMG−CoA、トリエタノールアミン(TEA)、デメクロサイクリン、ジメチルスルホキシド(DMSO)およびカルセインをSigma−Aldrich(St.Louis、MO)から得た。グルタリル−3−[14C]HMG−CoAをAmersham Biosceinces(Piscataway、NJ)から購入し、NADPHおよびジチオスレイトール(DTT)をCalbiochem(San Diego、CA)から得た。メチルセルロースをICN(Aurora、OH)から得た。親水性ワセリンをAmbix Laboratories(East Rutherford、NJ)から得た。Carbomer940をNoveon,Inc.(Cleveland、OH)から得た。コレステロールNFおよびブチル化ヒドロキシアニソールNF(BHA)をPCCA(Houston、TX)から得た。AG1−X8樹脂およびPoly PrepカラムをBio−Rad Laboratories(Hercules、CA)から得た。ケタミンをFort Dodge Animal Health,Wyeth(Madison、NJ)から得た。DomitorおよびAntisedanをPfizer(New York、NY)から得た。オステオカルシンキットをBiomedical Technologies Inc.(Stoughton、MA)から得た。
【0103】
HMG−CoAレダクターゼ活性の測定
単回服用の後でのロバスタチン等価物の血漿濃度を、広く記載されるHMG−CoAレダクターゼ阻害アッセイ[Germershausen JI、Hunt VM、Bostedor RG、Bailey PJ、Karkas JD、Alberts AW(1989)、インビボでのラットにおけるコレステロール低下薬剤(ロバスタチン、シンバスタチンおよびプラバスタチン)の組織選択性、Biochem Biophys Res Commun、158:667〜675]の改変を使用していくつかの時点で測定した。このアッセイで使用された可溶性のラット肝臓HMG−CoAレダクターゼをラットの肝臓ミクロソームから調製した[Heller RA、Gould RG(1973)、肝臓の3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル補酵素、レダクターゼの可溶化および実用的精製、Biochem Biophys Res Commun、50:859〜865]。血漿を、経口投与または経皮投与でのロバスタチンの単回服用の後、1時間、3時間、6時間および24時間でラットから抜き取った。薬物の濃度を、処置されたラットの血漿における阻害活性の量を、ロバスタチンの活性な開環形態を正常なラット血漿に加えることにより作製された標準曲線に対して比較することによって求めた。これは、ロバスタチンの薬物動態学/薬力学を研究する標準的な方法である。何故なら、この薬物は、報告によれば、いくつかの活性な代謝物を有するからである[14〜16]。ロバスタチン同等物の血漿濃度−時間曲線の曲線下面積(AUC0−24hr)を、ロバスタチンの経口適用および皮膚適用の両方について台形法を使用して計算した。経口投与については、ロバスタチンの懸濁物を0.5%メチルセルロースにおいて調製し、胃管投与によって投与した。経皮投与については、ロバスタチンを最初に100%DMSOと混合し、続く実験では、親水性ワセリンと混合し、剃毛後の動物の背中に塗布した(塗布面積=6.45cm2)。その後の実験では、皮膚配合物を改変し、水、エタノール、Carbomer940、コレステロール、BHAおよびTEAを含有するカルボマーに基づいた配合物を含む水性アルカノールゲルを使用した。
【0104】
血清生化学
血液サンプルを、肝臓酵素および筋肉酵素(アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、アルカリホスファターゼ(AP)および乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH))を放射性免疫アッセイ(Esoterix、San Antonio、TX)によって求めるために、5日間の処置が終了したときに得た。血清中のクレアチンプロテインキナーゼ(CPK)の速度論的定量測定を、Stanbio Laboratory(Boerne、Texas)から得られるキットを使用して推定した。オステオカルシンの濃度を、Biomedical Technologies Inc.によって供給されるサンドイッチELISAアッセイを使用して測定した。
【0105】
骨に対するスタチンの影響の評価
3ヶ月齢の未交尾のメスSprague DawleyラットをHarlan Laboratories、LTD(Indianapolis、IN)から得た。実験を、無傷のラット、両側卵巣摘出(OVX)ラットまたは偽手術(SHAM)ラットのいずれかを使用して行い、処置を後者の群では手術後5日で開始した。ラットを体重一致させ、処置群(n=10)に分けた。化合物を毎日の経皮適用によって5日間だけ投与し、または、屠殺されるときには、5日/週で5週間にわたって投与した。動物は実験期間を通してペアフィードにより飼育され、毎週、体重が測定され、投薬量がそれに従って調節された。実験が完了したとき、動物を100mg/kg体重の用量でケタミン(10mg/ml)により麻酔し、頸椎脱臼によって安楽死させた。研究プロトコルはテキサス大学健康科学センター(San Antonio、Texas)の動物管理使用委員会によって承認された。
【0106】
屠殺後、大腿骨および脛骨の両方を取り出し、軟組織を取り除き、10%ホルマリンにおいて48時間、固定処理し、その後、70%ETOHに保存し、組織学のために調製した。組織形態計測分析を、半自動式のOsteomeasure System(Osteometrics,Inc.、Atlanta、GA)およびデジタル化パッドを使用して、また、標準的な組織形態計測技術に従うことによって行った。骨体積、小柱の数、厚さおよび間隔、細胞数、ならびに、動的パラメーターを、Parfitt他[Parfitt AM(1988)、骨組織形態学:命名法、記号および単位の標準化。提案されたシステムの概要、J Bone Miner Res、4:1〜5]によって以前に記載されたように求めた。骨形成速度(BFR)および無機質付着速度(MAR)を、屠殺の10日前および4日前に腹腔内に与えられたデメクロサイクリン注射およびカルセイン注射(それぞれ、15mg/kg/体重および20mg/kg/体重)の後でプラスチック包埋切片において測定した。MARについての値は海綿質骨における切片面の傾斜度について補正された。ラットはマウスデンシトメーターPiximus(GE Medical Systems)により評価され、骨無機質密度(BMD)(これは、骨無機質含有量(g)を突き出た骨面積(cm2)により除算することによって計算された)が、時間0および5週間で脛骨の近位側の1/3について評価された。ラットの遠位側大腿骨のマイクロコンピューター断層撮影法(μ−CT)分析が、依頼に応じて、Phil Salmon(Skyscan、ベルギー)によって行われた。骨が、100kVのx線管電圧を用いるSkyscan Model 1072を使用して走査され、10.13μmのピクセルサイズを得るために拡大された。データは平均標準誤差(SEM)として表される。群間の統計学的差異を一元配置分散分析(ANOVA)により評価した。すべての群に関して行われた分散分析が群の間で有意に異なったときには、2つの群の間における統計学的差異を、続いて、Tukey多重比較検定を使用して分析した。0.05未満のpを有意であると見なした。
【0107】
大腿骨の生化学的検査
3ヶ月齢のラットに賦形剤または経皮ロバスタチンを与えた(1mg/kg/日、5日間)。投薬後4週間で、ラットを安楽死させ、大腿骨を取り出し、凍結保存した。サンプルを検査当日に室温に解凍し、残っている軟組織を取り除いた。機械的特性を得るために、大腿骨を、Endura TEC機械的試験システム(Elf3300、Bose Corporation、Minnetonka、MN)による三点曲げに供した。それぞれのラット大腿骨を(12mm離れた)支持ローラーの上に水平に設置し、その結果、垂直の円形インデンターが大腿骨に負荷を加え、中間側が前に出て、頭部側が下がるようにした(すなわち、曲げが中間−側方の軸の周りで生じた)。力−変位曲線を、インデンターが3mm/秒の速度で大腿骨の中央骨幹内に移動したときに記録した。構造的特性を負荷変形曲線から直接に得た。
【0108】
結果
図1は、経口投与または経皮投与されたロバスタチンの単回服用の後、1時間、3時間、6時間および24時間での無傷ラットの血漿ロバスタチンレベルを示す。薬物のレベルを、材料および方法において記載されるように求めた。経口ロバスタチンが0.5%メチルセルロースにおいて胃管投与によって投与された。比較のために、ロバスタチンが、100%DMSOを賦形剤として使用して、剃毛後のラットの背中への塗布により経皮投与された。ロバスタチンの2つの異なる用量が、パネルaおよびパネルbに示されるように投与された。ロバスタチンの皮膚適用は、薬物が経口投与されたときよりも大きく、変動が少なく、また、長く持続したロバスタチンの血漿濃度をもたらした。類似する結果が、親水性ワセリンが賦形剤としてのDMSOに代わって使用されたとき、ロバスタチンの皮膚適用により得られた(データは示されず)。皮膚適用されたときのロバスタチンの骨影響を明らかにするために、実験を3ヶ月齢の無傷ラットおよびovx/shamラットにおいて行った。ロバスタチンを親水性ワセリンと混合し、1mg/kg/日および5mg/kg/日の用量で、最初の5日間、剃毛後の動物の背中に適用した。コントロール群は親水性ワセリンのみを受けた。5日間の処置が終了したとき、血清を、肝臓酵素および筋肉酵素(ALT、AST、AP、LDHおよびCPK)を測定するために得た。ロバスタチン処置群と、賦形剤処置群との間における変化は何ら観測されなかった(下記の表1)。
【0109】
すべての動物を、処置が中断された4週間後に屠殺し、骨を、材料および方法において記載されるように、無機質除去切片および無機質非除去切片における定量的な骨組織形態計測のために集めた。無傷ラットにおける皮膚ロバスタチンの毎週の投与は、賦形剤処置のコントロールに対して、BMDにおける8%の増大(p<0.05)をもたらした(図2)。骨の組織形態計測結果が図3に示される。近位側脛骨骨幹端における骨体積が、図3aに例示されるように、無傷ラットが1mg/kg/日および5mg/kg/日により5日間だけ処置されたときには著しく増大した(それぞれ、17%および33%)。皮膚ロバスタチンによる5日間のOVXラットの処置は、骨体積を、最も低い用量でさえ、賦形剤処置のOVXラットに対して比較されたとき、50%を超えて増大させた(図3b)。図4に示されるように、OVX後4週間で、海綿質骨量が、予想されたように、賦形剤処置のSHAMコントロールと比較して、賦形剤処置のOVXラットの近位側脛骨では著しく低下した(32%)。OVXラットが皮膚ロバスタチン(1mg/kg/日)により処置されたとき、賦形剤により処置されたOVXラットに対して比較される骨体積における50%の増大が認められた。卵巣摘出は、小柱の厚さ、小柱の数および小柱の間隔における著しい変化によって明白に示されるように、小柱骨構造の構造的指標の低下をもたらした(SHAMコントロールに対して比較されたとき)。皮膚ロバスタチンによるOVX動物の処置はこれらの変化を部分的に防止した(図5)。
【0110】
ロバスタチンの経皮投与の後での小柱骨の体積における増大には、図6において明らかにされるように、OVXラットにおいてさえ、骨形成速度(BFR)における著しい増大が伴った。BFRにおける増大は、主として、わずかに強化された無機質付着速度を伴う活性な無機質化表面の実質的な増大のためであった。骨形成速度もまた、無傷ラットでは著しく増大した(5mg/kg/日において166%、データは示されず)。μCTによって測定された小柱構造は、コントロールに対して、ロバスタチン処置された無傷ラットの遠位側大腿骨骨幹端におけるより大きい海綿質骨体積を示した(図7)。骨体積におけるこの増大には、小柱の厚さおよび数における増大、ならびに、低下した小柱間隔が伴った。まとめると、これらのデータは、この動物モデルにおける皮膚ロバスタチンの実質的な同化作用を示唆する。
【0111】
ロバスタチンについての皮膚配合物の特性および特徴を改善するために、カルボマー940に基づく水性アルカノールゲルを開発し、体内分布研究を行って、このゲルを親水性ワセリンと比較した。親水性ワセリンまたは水性アルカノールゲルのいずれかでのロバスタチンによる皮膚処置の単回服用の1時間後、3時間後、6時間後および24時間後での血漿薬物レベルを、以前に記載されたような膜結合HMG−CoAレダクターゼアッセイの阻害によって評価した。結果が図8に示される。このゲル配合物は、親水性ワセリンにより得られる血漿レベルよりも大きい血漿レベルを伴ってロバスタチンの皮膚吸収を増大させた。ピーク血漿レベルが、親水性ワセリンを使用して3時間以内に達成され、また、水性アルカノールゲルにより最初の1時間以内に達成された。水性アルカノールゲルについての血漿濃度曲線下面積(AUC0−24hr)は、試験された両方の用量においてワセリン配合物の血漿濃度曲線下面積(AUC0−24hr)の2倍を超えていた。水性アルカノールゲルは、ロバスタチンの生物学的利用能を改善するようであったので、sham/ovxラットにおける全身的実験を、骨における薬物の効力が改善され得るかを明らかにするために、このゲルを賦形剤として使用して行った。水性アルカノールゲルにおいて皮膚に適用されたとき、ロバスタチンは骨体積を試験されたすべての用量(0.01mg/kg/日〜0.5mg/kg/日)で増大させ、これは、骨組織形態計測によって評価されたとき、0.01mg/kg/日において著しかった(図9)。試験された最も低い用量では、小柱の数における著しい増大および小柱の間隔における著しい減少もまた認められた(データは示されず)。26日目に、血清をオステオカルシン測定のために集めた。図10に示されるように、オステオカルシンレベルにおける著しい増大が、試験されたより低い用量(0.01mg/kg/日)において認められた。処置が終了したとき、著しい変化が肝臓および筋肉骨格組織の酵素(AST、ALT、AP、LDHおよびCPK)において検出されなかった。CPK測定の結果が図11に示される。
【0112】
骨に対する経皮ロバスタチンの影響をさらに評価するために、無傷大腿骨の生化学的特性を、改善された配合物を使用するロバスタチンによる5日間の処置の後で評価した。生化学的特性を、材料および方法において記載されるような三点曲げを使用して求めた。生化学的データが下記の表2に示される。
【0113】
著しい増大が、皮膚ロバスタチンにより処置されたラットの大腿骨の曲げ強度において認められた(コントロールに対して19%の増大)。このことは、処置されたラットが、非処置群よりも大きい強度を有する骨を有し、従って、処置されたラットはより大きい力に耐えることができたことを示している。有意ではないが、ロバスタチン誘導による変化についての傾向が、得られた生化学的パラメーターのすべてにおいて存在した。
【0114】
この研究の結果は、経皮投与されたロバスタチンが、経口投与後のHMG−CoAレダクターゼ阻害剤活性の血漿濃度よりも大きく、長く維持され、また、変動が少ないHMG−CoAレダクターゼ阻害剤活性の血漿濃度をもたらすことを示す(図1および図8)。そのうえ、データはまた、骨形成速度が、0.01mg/kg体重の用量を使用する経皮ロバスタチンに5日間だけさらされた後で顕著に増大することを示唆する。この用量は、薬物が経口投与されるときに骨形成に対する生物学的影響を生じさせるために要求される用量のおよそ1/1000であることに気付くことは重要である[Mundy GR、Garrett IR、Harris SE、Chan J、Chen D、Rossini G、Boyce BF、Zhao M、Gutierrez G(1999)、スタチンによるインビトロおよび齧歯類における骨形成の刺激、Science、286:1946〜1949]。これらのラットは依然として、30日後も、コントロールラットの骨形成速度を150%以上超えたままであった[Parfitt AM(1988)、骨組織形態学:命名法、記号および単位の標準化。提案されたシステムの概要、J Bone Miner Res、4:1〜5]。骨形成速度における増大はまた、骨無機質密度測定または定量的組織形態計測のいずれかによって測定されるとき、小柱骨体積における実質的な増大に関連する。経皮ロバスタチンはまた、小柱の厚さ、数および間隔、骨髄スター(star)体積、フラクタル次元、小柱骨パターン因子、ならびに、構造分析によって評価されるとき、海綿質骨の結合性を増大させた。これらの影響のいくつかは平坦な用量応答曲線を呈する(図3および図9)。この挙動は、非常に小さい用量までもが、骨形成を生じさせる事象のカスケードを開始させるために十分である誘因現象の結果であるかもしれない(下記参照)。代わりとして、作用部位への取り込みが低い薬物濃度で飽和するかもしれない。機構が何であれ、平坦な濃度−影響が、ベンゾジアゼピン系薬剤(すなわち、無呼吸の継続期間)およびベータ遮断剤(すなわち、血圧低下作用の強さ)を含めて、多くの薬物について報告されている(Reves JG、Fragen RJ、Vinik HR、Greenblatt DJ(1985)、ミダゾラム:薬理学および使用、Anesthesiology、62:310〜24;Love JN(1994)、ベータ遮断剤の毒性:臨床診断、Am J Emerg Med、12:356〜7)。スタチンの一部は、骨形成をインビトロで、また、卵巣摘出(OVX)ラットおよび無傷ラットにおいてインビボで高めることが示されている[Love JN(1994)、ベータ遮断剤の毒性:臨床診断、Am J Emerg Med、12:356〜7;Frans J、Maritz Maria M、Conradie Philippa A、Hulley Razeen Gopal、Stephan Hough(2001)、齧歯類における骨無機質密度および骨組織形態計測に対するスタチンの影響、Arterioscler,Thromb Vasc Biol、21:1636;Oxlund H、Dalstra M、Andreassen TT(2001)、成体の16匹のラットに経口投与されたスタチンは海綿質骨量および圧縮強度を増大させる、Calcif Tissue Int、69:299〜304;Oxlund H、Andreassen TT(2004)、シンバスタチン処置は、皮質骨形成を増大させながら、卵巣摘出誘導による骨喪失を部分的に防止する、Bone、34:609〜18]。しかしながら、齧歯類における骨関連のインビボ活性のために要求される用量は、mg/kgに基づいてヒトに対して外挿されるならば、コレステロールを低下させるために使用される用量よりも何倍も大きい(10mg/kg対0.1mg/kg)。このことは、骨粗鬆症の成功した処置および/または防止のためのスタチンの経口投与のために要求される用量は大きすぎて、受け入れられない毒性を伴うことを示している。実際、スタチンが骨から抽出され、HMG−CoAレダクターゼ阻害アッセイによって測定されたとき、極めて低いスタチンレベルが、過度に大きい経口投薬(50mg/kg/日)による場合でさえ、骨格において検出された(未発表データ)。末梢分布を、経皮投与を使用することによって改善することにより、より高い血漿スタチンレベルおよび高まった骨同化作用がもたらされた。これらの作用が、投与された薬剤の著しくより低い用量において、また、5日間だけで達成された。
【0115】
ロバスタチンの経皮適用の1つの大きな関心事は、骨形成を刺激するために要求される用量において筋毒性が出現することの可能性であった。しかしながら、筋毒性は、骨格筋のCPK測定および形態学的検査によって評価されるように、50mg/kg/日までの用量を使用して観測されなかった(データは示されず)。50mg/kg/日の投薬量レベルは、骨形成を刺激することにおいて効果的であることが見出された0.01mg/kgの実験的投薬量レベルからの5000倍の増大に相当する。経口投与後の筋毒性に関わる機構は依然として不明のままであり、さらなる研究を必要とする。現在の結果は、筋毒性が、骨形成を刺激するために使用される用量で経皮投与により生じないことを示す。
【0116】
スタチンは非常に安全な薬物であるが、希に、悲劇的な2つの毒性作用、具体的には、急性腎不全を伴う肝壊死および横紋筋融解を伴う。経口投与後、吸収された薬物の多くが肝臓に分配され、その後、(肝静脈/大静脈を介して)全身循環に到達する。従って、肝臓は、肝臓が経皮投与または非経口投与の後で受けるよりもはるかに大きい、経口投与された薬物に対する初期暴露を受ける。さらには、予備的結果では、骨に対する肯定的な作用を生じさせたロバスタチンの総経皮用量が、同じ作用を生じさせるために必要とされた経口用量よりもはるかに低いことが示唆された。得られる証拠では、重大なスタチン毒性および軽微なスタチン毒性の両方(例えば、上昇した肝臓酵素)が用量依存的であることが示唆されるので、この薬物の経皮送達は、有益な結果を依然として達成しながら、肝毒性および筋毒性を最小限に抑えるための機構を提供するに違いない。チトクロームP450 3A酵素が、ロバスタチンの経口投与の後でヒトの胆汁に存在する薬理学的に不活性な代謝物のほとんどの形成に関与することもまた示されている[Wang RW、Kari PH、Lu AYH、Thomas PE、Guengerich FPおよびVyas KP(1991)、ロバスタチンの生物転換:IV.ラットおよびヒトの肝臓ミクロソームにおけるロバスタチンの酸化的代謝に関わる主要な酵素としてのチトクロームP450 3Aタンパク質の特定、Arch Biochem Biophys、290:355〜361]。この薬物の代謝物のみが胆汁において検出され、ロバスタチンまたはその開環形態の証拠は何らない[Wang RW、Kari PH、Lu AYH、Thomas PE、Guengerich FPおよびVyas KP(1991)、ロバスタチンの生物転換:IV.ラットおよびヒトの肝臓ミクロソームにおけるロバスタチンの酸化的代謝に関わる主要な酵素としてのチトクロームP450 3Aタンパク質の特定、Arch Biochem Biophys、290:355〜361]。肝臓による代謝の後におけるロバスタチンの2つの主生成物が6’−ヒドロキシロバスタチンおよび6’−エキソメチレンロバスタチンである。肝臓における6’−ヒドロキシロバスタチン形成が、特異的なCYP3A阻害剤のシクロスポリン、ケトコナゾールおよびトロレアンドマイシンによって、また、潜在的には、チトクロームP450 3Aに対する多くの他の基質によって阻害される[Jacobsen W、Kirchner G、Hallensleben K、Mancinell L、Deters M、Hackbarth I、Benet LZ、Sewing KF、Christians U(1999)、肝臓における3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル−CoAレダクターゼ阻害剤(ロバスタチンおよびプラバスタチン)のチトクロームP450依存的代謝および薬物相互作用の比較、Drug Metab Dispos、27:173〜9]。これらの相互作用は通常、初回通過代謝(肝臓および/または腸壁)の程度の実質的な低下、および、全身クリアランスのいくらかの低下を伴う。経皮投与では、当然のことながら、これらの相互作用の初回通過成分が除かれる。さらには、皮膚過敏の可能性、または、適用部位における皮膚の下部で直接に組織に対する毒性の可能性は別にすれば、同一用量の経皮投与がどのように、経口投与された薬物と同じくらい毒性であり得るかを仮定することは困難である。
【0117】
従って、効力が、経口による活性のために要求される用量の小さい割合である経皮用量において認められた。また、薬理学的理論および得られる臨床での観測結果[Chen HS、Gross JF(1980)、抗ガン薬物の動脈内注入:薬物送達の理論的側面および応答の概説、Cancer Treat Rep、64:31〜40;Bland LB、Garzotto M、DeLoughery TG、Ryan CW、Schuff KG、Wersinger EM、Lemmon D、Beer TM(2005)、アンドロゲン非依存性前立腺ガンにおける経皮エストラジオールの第II相研究、Cancer、103:717〜23;Utian WH(1987)、経皮エストラジオールの全体的安全性プロフィル、Am J Obstet Gynecol、156:1335〜8;Werne H、Pohlenz J、Schonberger W(1995)、ウルリッヒ・ターナー症候群の患者における肝臓酵素に対するエストロゲン/ゲスタゲン置換治療響、Eur J Pediatr、154:807〜10]は、少なくとも肝毒性に関してはより大きい固有的安全性を示唆する。
実験1−全身投与
(PO−経口胃管投与;TD−経皮)
この研究は5つ群(n=12)からなった。
群1. 賦形剤
群2. ロバスタチンPO 10mg/kg/日
群3. ロバスタチンPO 25mg/kg/日
群4. ロバスタチンTD 1mg/kg/日
群5. ロバスタチンTD 2.5mg/kg/日
実験2−全身投与
この研究は5つ群(n=12)からなった。
群1. 賦形剤
群2. ロバスタチンTD 0.1mg/kg/日
群3. ロバスタチンTD 1mg/kg/日
群4. ロバスタチンTD 5mg/kg/日
群5. ロバスタチンPO 5mg/kg/日
【0118】
X線写真
実験1−全身投与のロバスタチン
2週間でのX線写真が、皮質の再架橋および治癒の促進に基づいた、究者の1人により考案されたスコア化尺度を使用して、2名の研究者によって、何も知らされることなく評価された(図12)。スコア化は、何も知らされていない観測者が皮質の再架橋化を下記の尺度に基づいて評価することに基づいた:
【0119】
まとめると、経皮ロバスタチンは2週間で両方の用量において際立った効果を引き起こし、一方、経口ロバスタチン処置は賦形剤処置のコントロールからの違いを何ら示さなかった。経皮ロバスタチンを受けているラットの放射線学的評価は、高まった骨折修復を示し、その結果、完全な治癒が6週目までに認められた(図12)。しかしながら、1mg/kg/日と、2.5mg/kg/日との間には違いがなかった。高用量(10mg/kgおよび25mg/kg)での経口処置は、6週間において、処置群と、コントロール群との間に違いを何ら示さなかった。これらの結果は、経口では大きい用量において、骨折修復の強化が何ら認められず、より低い経皮用量において、骨折修復の強化が認められるが、最大が5日間にわたる2.5mg/kg/日での服用のときに達成されたことを示唆する。このことは、ロバスタチンの経皮送達のために要求される最大用量が2.5mg/kg/日であること、および、10mg/kg/日の経口投薬は効果がないことを示している。経皮投薬について、最も効果的な用量が5日間の0.1mg/kg/日であることが明らかである。
【0120】
実験1−全身送達のロバスタチン
6週間において、経皮ロバスタチンにより処置されたラットの大腿骨はコントロールよりも著しく強くなっていた。骨を折るために要求された力は、賦形剤処置のコントロールよりも42%大きかった。しかしながら、2.5mg/kgの5日間の経皮用量は、骨を折るために、1mg/kg/日の用量よりも低い最大力をもたらしたことが明らかである。これらの結果は、より大きい用量は必ずしもより良好でなく、有害であると考えられることを示している。経口ロバスタチンは10mg/kg/日および25mg/kg/日で効果を何ら有しなかった。このことは、経口用量が、これらの大きい用量においてさえ効果的でないことを示している。図13を参照のこと。
【0121】
実験2−全身送達のロバスタチン
6週間において、経皮ロバスタチンにより処置されたラットの大腿骨はコントロールよりも著しく強くなっていた。骨を折るために要求された力は、0.1mg/kg/日のTDロバスタチンを使用するとき、賦形剤処置のコントロールよりも42%大きかった。このデータから、この実験についてX線写真により見られる結果が確認される−0.1mg/kg/日よりも大きい用量は、骨を折るための低下した最大力をもたらした。経口ロバスタチンは5mg/kg/日において効果を全く有しなかった。図14を参照のこと。
【0122】
経口ロバスタチンは、より大きい用量が試験された以前の実験において堅さにおける増大を示した一方で、5mg/kg/日でのこの実験では効果が何らなかった。このデータから、この実験についてX線写真および最大力より見られる結果が確認される−0.1mg/kg/日よりも大きい用量は、これらの骨を折るための低下した最大力をもたらした。図15を参照のこと。
【0123】
血漿ロバスタチンレベル
実験2−全身送達のロバスタチン
血漿を最後の服用の3時間後にラットから採取し、ロバスタチンを質量分析法によって測定した。図16−最後の服用の3時間後、5mg/kg/日での経口投薬は10ng/mlとして現れ、これに対して、最も効果的な経皮用量(0.1mg/kg/日および1mg/kg/日)は、ほんの2ng/ml〜3ng/mlにすぎない血漿ロバスタチンレベルを示した。経皮投与からの効果的な血漿レベルは2ng/ml〜3ng/mlの程度である。
【0124】
ナノ粒子
ナノ粒子研究1
ナノ粒子の調製:
下記の成分を混合する:
ストック溶液(これはDurect Corporation(Cat#100D040A)から得られる)からアセトンに溶解された100mg/mlのポリ(DL−ラクチド)(DLPLA、η:0.26〜0.54)の1ml
アセトンにおける50mg/mlのロバスタチンの0.4ml
8.6mlのアセトン(Fisher、Cat#A949−1)
PLA−ロバスタチンの比率、1:5。10mlのアセトン最終体積
最終的な10mlの溶液を3リットルの水に対して10KDカセット(Cat#66807)において透析する。透析を、ダイアルにおいて5で設定された撹拌子混合を用いて、室温で3時間毎に5回交換する。200μlの上清を採取し、ロバスタチンレベルをHPLCによって測定し、さらに200μlを採取して、総重量を求める。この情報を使用して、総ロバスタチン負荷を決定する。ナノ粒子を10000rpmでの遠心分離により集め、長期間の貯蔵のために凍結乾燥する。
【0125】
用いられたラットは、開始時に8週齢〜10週齢である3ヶ月齢のSprague−Dawleyの未交尾のメスラット(200g〜250g)である。動物をHarlan laboratoriesから購入し、テキサス大学健康科学センター(San Antonio)の実験動物施設で飼育する。
【0126】
界面活性剤を伴うミクロスフェア調製。
5グラムのポリマー85/15 DLPLGA(DL−乳酸−グリコール酸、Durect)を、1:5の重量/体積比を得るために25mlの塩化メチレンに溶解した。ポリ(ビニルアルコール)(PVA mw=25kdal、88モル%加水分解物(Sigma、Inc.))の1%溶液を界面活性剤として使用した。DLPLGA溶液を1%のPVA溶液に滴下して加え、一晩撹拌(300rpm)した。これは溶媒の完全な蒸発を可能にした。ミクロスフェアを真空ろ過によって単離し、脱イオン水により洗浄し、2時間風乾し、その後、一晩真空乾燥した。ミクロスフェアをさらなる使用までデシケーターに保った。その後、易流動性のミクロスフェアを、ミクロンサイズのふるいを使用して下記のサイズ範囲にふるい分けした:150μm、250μm、500μmおよび1mm。
集塊化のために、下記の方法の1つを使用することができる:
1.ビーズを規定の形状に詰めることによって。様々な直径のプラスチックチューブまたは金属チューブが使用され、エタノールが、ビーズから流れ出ることによって、詰められたビーズに加えられる。これは、ビーズをわずかに融解し、それにより、ビーズが融合して一緒になることを可能にするという効果がある。その後、洗浄を繰り返す。
2.代わりの方法は、ビーズを詰め、50℃での加熱を1時間使用して、ビーズをわずかに融解し、これにより、ビーズが融合して一緒になることを可能にすることであった。
【0127】
実験方法論
研究が、ラットにおける骨折修復の強化を評価することによって例示される、制御放出される局所ロバスタチンの影響を明らかにするために行われる。この研究の目的は、単回注入によって局所投与された制御放出されるロバスタチンが仮骨形成を強化することができること、および、機械的安定性の加速された回復を引き起こす骨折修復を明らかにすることである。試験材料は、上記で記載されるように調製されたナノ粒子におけるロバスタチンである。調製物は少なくとも99%の純度であり、白色〜灰白色の粉末である。試験品は、ロバスタチンを含むナノ粒子、および、ロバスタチンを含まないナノ粒子である。賦形剤における粒子が、10.5μg、52.5μg、75.7μgまたは378μgの総ロバスタチンを与えるように50μlの体積で骨折部位において注入される。ロバスタチンレベルがHPLCによって求められ、放出曲線が実験期間中を通して追跡される。
【0128】
この研究によれば、臨床上の焦点は、選ばれたピン固定の閉じた横方向のラット大腿骨モデルを利用して、均一で、再現可能な骨折欠損を生じさせることを伴う。これは、このモデルが十分に定義されており、また、機械的方法および組織学的方法によって完全に特徴づけられているからである。このモデルの利点には、再現性、欠損の均一性、および、臨床上の癒合治癒段階に至る迅速な5週間が含まれる。生物活性被覆の特性が、インビトロでの予備的研究において、また、外植された頭蓋冠培養物、ならびに、薬物放出速度論、分解および安定性を含む局所的頭蓋冠注入モデルを使用するインビボでの予備的研究で調べられる。この研究の目的は下記の通りである:(1)制御放出される経口投与されたロバスタチンの、仮骨形成、進行および骨折治癒に対する影響を、骨折治癒のX線分析を使用して評価すること。実験が終了したとき、骨折の肢を切除し、安定化のためのピンを除いた後でX線撮影する。これらのX線写真を骨折の治癒の証拠について評価する。X線写真は、骨折の治癒について3名の独立した観測者によってスコア化される。(2)制御放出されるロバスタチンの、生化学的パラメーターに対する影響を、三点曲げおよびマイクロコンピューター断層撮影法(uCT)によって評価すること;および(3)仮骨部位における骨微細構造および骨治癒をuCTによって評価すること。
【0129】
実験設計は、整形外科分野におけるこれらの化合物の適用に照らしてラットの長骨モデルを使用することである。3ヶ月齢のメスのSprague−Dawleyラットが使用される:すべての動物が、大腿骨のピン固定、その後、横方向の骨折を生じさせるための中央骨幹の閉鎖骨折を受ける。ロバスタチンのナノ粒子が骨折部位において注入される(PIXIおよびx線写真によって評価される)。動物は手術後3週間飼育され、それぞれの研究期間が終了したときに安楽死させられる。
【0130】
メスのラットは、術後感染を防止するために、0.25ccのPen B+6により手術前に処置される。ラットを注入麻酔剤(ドルミトール(dormitor)およびケタミン)により麻酔し、大腿骨の中間側を切り取り、無菌手術のために準備する。穴を中央粗面に作製し、20gのニードルを使用して、髄腔をその遠位域までリーマーによって掃除する。被覆されたプローブを髄管の下方に設置し、遠位側大腿骨に固定し、ワイヤを、骨と端を合わせて切断し、皮膚を整復して、ピンを覆う。ラットを、大腿骨が外側の2つの支持体に対して支えられる骨折デバイスに置く。500gmの重りを、アンビルを動かし、骨を折るために40cm落とす。脚を、骨折および固定を調べるためにX線撮影する。横方向の骨折を有する動物のみが研究において受け入れられる。さらなるX線写真をスケジュールに従って得る。骨折が確認されると、ナノ粒子が骨折部位に注入される(50μlのPBS)。ロバスタチンについての放出速度は1日あたり約2%である。
【0131】
制限のない活動が、麻酔から回復した後で許される。動物は骨折手術後6週間で屠殺され、大腿骨が集められる。髄内ワイヤを抜き出し、大腿骨を、軟組織を含むことなく解剖する。
【0132】
データを実験群の間で比較するために、ペアードスチューデントt検定が使用される。2つ以上のデータ群(例えば、因子処置の異なる濃度など)の間における多重比較のために、一元配置分散分析(ANOVA)が使用され、その後、ダネット検定が使用される。0.05未満のpが見出されるとき、有意な違いであると見なされる。
【0133】
適用されたナノビーズの量に基づく1日あたりの、ビーズから放出されるロバスタチンが、X線写真スコアをロバスタチンの異なる量とともに示す図18においてグラフに示される。最大のX線写真スコアが1.5ug/日の放出において達成される。X線写真スコアにおける著しい増大をもたらした、試験された最も低いロバスタチン量は、0.2ug/日、すなわち、200ng/日の1日あたりの放出に等しかった。
【0134】
全身暴露は下記の通りである:
0.2ugの用量=0.0008mg/kg/日
1.0ugの用量=0.004mg/kg/日
1.5ugの用量=0.006mg/kg/日
7.5ugの用量=0.03mg/kg/日
全身暴露のための仮定は下記の通りである:インビボでの局所的放出がインビトロでの放出と同じであった(1%〜2%);2週間を通しての一定した放出;骨折内に直接に注入されたナノビーズ;実験期間を通してナノビーズにおいて安定であるロバスタチン;および、ラットの体重が250gであった。用量は上記のラットデータに基づいた。
【0135】
骨折表面によるスケール化(scaling)を、下記の仮定を使用して下記のように計算した:骨折は大腿骨の断面積である−ラット大腿骨の直径=5mm(面積=20mm2)、ヒト大腿骨の直径=30mm(面積=700mm2)、ヒト体重:70kg。断面(骨折)面積によるロバスタチン用量=0.00001mg/mm2/日〜0.000375mg/mm2/日。1日あたりのロバスタチンの総ヒト用量は700mm2の骨折面積について0.007mg/日〜0.26mg/日である;処置期間=10日;10日間にわたる総暴露量=0.07mg〜2.6mg。ヒトの70kgの体重に基づいて、1日あたりのスタチンの全身暴露量は0.0001mg/kg/日〜0.0037mg/kg/日に等しいと考えられる。
【0136】
実験A−局所投与
この研究は5つの群(n=12)からなった。
群1. 賦形剤PBS
群2. 賦形剤−ナノビーズ 0ug/日
群3. ロバスタチン ナノビーズ 0.2ug/日
群4. ロバスタチン ナノビーズ 1.0ug/日
群5. ロバスタチン ナノビーズ 1.5ug/日
群6. ロバスタチン ナノビーズ 7.5ug/日
【0137】
結果
中間骨幹の横方向の骨折をすべての動物において誘導した。骨折は、手術の合併症を伴うことなく、許容され、不動化されたままであった。動物は、麻酔から回復した後は自由に動くことができた。仮骨の形成がすべての動物において2週間までにX線写真検査で観測された。
【0138】
測定されたパラメーター1.2週間でのX線評価および生化学的検査。結果が図19および図20に示される。血液を血漿ロバスタチン評価のために採取した。図17を参照のこと。
【0139】
ロバスタチンを含有するナノビーズの単回注入により局所送達されたロバスタチンは、用量依存的な様式で2週間でX線写真のスコア化を顕著に改善し、最大の効果が1.5ugの1日あたりの放出ロバスタチンで生じた。この用量を超えると、骨折修復の何らかのさらなる強化があるようには思われなかった。
【0140】
実験A−局所送達のロバスタチン
2週間でのX線写真が、皮質の再架橋および治癒の促進に基づいて、0〜7の基準のスコア化尺度(下記参照)を使用して2名の研究者によって、何も知らされることなく評価された。スコア化は、何も知らされていない観測者が皮質の再架橋化を下記の尺度に基づいて評価することに基づいた:
【0141】
実験A−局所送達のロバスタチン
血漿を最後の服用の3時間後にラットから採取し、ロバスタチンを質量分析法によって測定した。図17−実験が終了したとき、局所投与の血漿ロバスタチンは、ロバスタチンが投薬された群のいずれにおいても検出することができず、このことは、これが局所的効果であることを示している。
【0142】
ナノ粒子研究2
実験方法論
オスのSwiss ICRマウスが使用される(25gm〜28gm)。動物には、通常の規定餌が与えられ、動物は、水を自由に飲むことが許され、適切なケージに収容される。制限のない活動が実験期間中を通して許される。注入前に、頭を剃毛し、頭蓋冠の厚さ(左右)を、PalmScan AP2000を使用して記録する。すべての注入が頭蓋冠の右側に行われる。左側はコントロールとして使用される。
【0143】
薬物の調製
固体のロバスタチンを重量測定し、乳鉢および乳棒を使用して小さい粒子に砕く。25%のPG−400および75%のPBSを含有する溶液を乳鉢に加え、分散物を十分に混合し、その後、ピペットにより微量遠心分離チューブに移す。分散物を絶えず撹拌して、注入のための均一な分散物を得る。
【0144】
下記の表は試験およびそれらの特性のための3つの組成物を示す。
【0145】
実験設計
4週齢〜5週齢のオスのSwiss ICR白マウスが使用される。
【0146】
動物を下記の処置群に分ける。注入体積:50ul。
賦形剤群 3〜7:25%PG400−75%PBS
群1. 1〜5−賦形剤コントロール 25%/75%のPG400/PBS 3週間後に屠殺。
群2. 6〜10−賦形剤コントロール 25%/75%のPG400/PBS 7週間後に屠殺。
群3. 11〜15−ロバスタチン 125ug/50ul 1回 3週間後に屠殺。
群4. 16〜20−ロバスタチン 125ug/50ul 1回 7週間後に屠殺。
群5. 21〜25−ロバスタチン 250ug/50ul 1回 3週間後に屠殺。
群6. 26〜30−ロバスタチン 250ug/50ul 1回 7週間後に屠殺。
群7. 31〜35−ロバスタチン 1250ug/50ul 1回 3週間後に屠殺。
群8. 36〜40−ロバスタチン 1250ug/50ul 1回 7週間後に屠殺。
賦形剤群 9〜12:0.1%BSA/PBS
群9. 41〜45−賦形剤コントロール 0.1%BSA/PBS 3回/日を3日間 3週間後に屠殺。
群10. 46〜50−賦形剤コントロール 0.1%BSA/PBS 3回/日を3日間 7週間後に屠殺。
群11. 51〜55−aFGF 104ug/50ul 3回/日を3日間 3週間後に屠殺。
群12. 56〜60−aFGF 104ug/50ul 3回/日を3日間 7週間後に屠殺。
n=5/群
【0147】
標準的な組織学的測定
右側頭蓋冠における総骨面積、骨幅および骨様表面を測定する。毒性の影響もまた調べられる。
【0148】
統計学分析および検出力分析
データを実験群の間で比較するために、ペアードスチューデントt検定が使用される。2つ以上のデータ群(例えば、因子処置の異なる濃度など)の間における多重比較のために、一元配置分散分析(ANOVA)が使用され、その後、ダネット検定が使用される。0.05未満のpが見出されるとき、有意な違いであると見なされる。
【0149】
上記の手順に従って、骨の強化が、以前の研究から予想されるように得られる。
【0150】
結論:
ラットにおける骨折修復の十分に確立されたモデルを使用して、本発明者らは、経皮ロバスタチンが骨折の治癒を促進させることを示している。このことがX線写真検査ならびに生化学的負荷の両方によって示された。2つの骨折研究では、強度および堅さの両方における増大が、5日間のみの0.1mg/kg/日のより低い用量においてさえ、経皮ロバスタチンにより処置されたとき、骨折した骨で示される。
【0151】
すべての評価における最も効果的な局所用量は1.5ug/日であった。これらのナノビーズの放出プロフィルはよくても、1日あたり2%であることが推定された。これは、50日を通した全放出に等しく、本質的には、実験期間を通した連続放出送達に等しい。7.5ug/日の送達(これは30ug/kg/日と等価である)による場合でさえ、ロバスタチンの循環レベルを検出することができなかった。このことから、骨折の治癒を改善することにおけるロバスタチンナノビーズの送達は局所的効果であって、全身的効果でなかったことが強く示唆される。
1.ロバスタチンの大きい用量での経口投薬は骨折修復を強化しなかった。
2.ロバスタチンの全身的経皮投薬は実際に骨折修復を強化した。
【0152】
骨粗鬆症の分野における大きな治療上の必要性は、最小限の副作用とともに、骨形成を増大させ、かつ、骨格に対する同化作用を引き起こす薬剤である。副甲状腺ホルモン、フッ化物およびペプチド系骨増殖因子は骨形成を刺激するが、どれも、臨床環境において理想的ではない。副甲状腺ホルモンは今や、骨粗鬆症の処置のためにFDAによって承認されているが[Arnaud,CD(2001)、2年間の副甲状腺ホルモン1〜34およびエストロゲンは、エストロゲン単独による処置の3年目の期間中にほんのわずかに消散する閉経後の17名の骨粗鬆症女性における劇的な骨密度増大をもたらす:プラセボ対照無作為化試験からの結果、Bone、28:S77]、副甲状腺ホルモンは、注射によって与えなければならないペプチドであり、高齢者の慢性疾患のための理想的な治療ではない。フッ化物には、骨の無機化における障害、および、依然として骨折を受けやすい骨をもたらす骨の脆弱性が伴う[Inkovaara J他(1975)、予防的なフッ化物処置および加齢骨、Br Med J、3:73〜74;Gerster JC他(1983)、脊椎骨粗鬆症のためのフッ化物を受けている中程度の腎不全の患者における大腿頸部の両側骨折、Br Med J、287(6394):723〜5;Dambacher MA他(1986)、閉経後骨粗鬆症の長期間フッ化物治療、Bone、7:199〜205]。ペプチド系増殖因子はまた、他の組織に対する成長作用を有しており、このことが、慢性疾患(例えば、骨粗鬆症など)のためのそれらの投与を問題となるものにしている。そのうえ、これらの組換え分子もまた、頻繁な注射によって与えなければならない。
【0153】
従って、許容され得る毒性を有し、非経口経路による投与を必要としない骨粗鬆症のための有効な治療が依然として非常に求められている。ラットにおける現在の前臨床データは、経皮ロバスタチンが、これらの要求を満たす可能性を有することを示唆する。
【0154】
以前に報告されたように、スタチンはBMP−2の発現を高める[Mundy GR、Garrett IR、Harris SE、Chan J、Chen D、Rossini G、Boyce BF、Zhao M、Gutierrez G(1999)、スタチンによるインビトロおよび齧歯類における骨形成の刺激、Science、286:1946〜1949]。様々なBMPは骨芽細胞分化の最も強力な誘導因子であり、また、刺激因子である。それらは、成熟した骨芽細胞に分化するように前骨芽細胞を刺激し、並びに、骨芽細胞系譜の細胞に分化するように非骨形成原細胞を誘導する[Wozney JM、Rosen V(1998)、Physiology and Pharmacology of Bone(Mundy JR、Martin TJ編、Springer−Verlag)、第20章、725〜748]。本発明者らは、経口投与されたときの骨におけるスタチンの影響について以前に報告している[Mundy GR、Garrett IR、Harris SE、Chan J、Chen D、Rossini G、Boyce BF、Zhao M、Gutierrez G(1999)、スタチンによるインビトロおよび齧歯類における骨形成の刺激、Science、286:1946〜1949]。本研究は、経皮投与されたとき、および、徐放性粒子によるロバスタチンの骨における影響を示す。観測された作用の程度は、経皮投与後に図に示されるように、前例がないものである。5日間だけ投与した後で、5週間後も依然として明らかであった骨形成速度に対する大きい作用が認められた。この長く作用する作用についての原因は調べられてはいないが、骨形成を、BMP−2の発現を高めることによって誘引することにより、いくつかの二次的作用が引き起こされる可能性が最も高い。このような二次的作用には、細胞増殖の刺激、および、骨形態形成タンパク質−4をはじめとする、増殖中の骨細胞によるいくつかの他の増殖因子の産生が含まれる。結果として、骨形成プロセスがスタチンによって開始されると、骨形成プロセスがしばらくの間持続し得る。実際、この機構はまた、今回報告された幾分か通常的でない用量応答データに関わり得る。
【0155】
経皮投与により観測された類似する結果が、実質的に純粋な形態でのロバスタチンとしての徐放性粒子、または、キャリアに含浸されるような徐放性粒子の注入により観測された。
【0156】
軟骨研究
実験の概要:軟骨形成に対するロバスタチン足場の様々な用量の有効性を、マウスの頭蓋冠培養物を使用して明らかにする。4日齢の頭蓋冠外植培養物を、0μg/日、0.4μg/日または8μg/日を放出する足場物質を含有する培地とインキュベーションした。その後、新しい軟骨の範囲を画像化分析によって定量する。
【0157】
実験設計:4日齢のSwiss白マウスの子が用いられた。これは、それらが一般に健康なマウス系統であるからである。4日齢のSwiss白マウスの子マウスから得られる頭蓋冠を解剖し、半分に切断した。切除された半分の頭蓋冠を、0.1%のBSAをグルタミンとともに含有するFitton−Jackson改変BGJ培地(Sigma)による1mlのBGJ培地において金属グリッド(表面)に置いた。骨を5%加湿インキュベーターにおいて37℃で24時間インキュベーションし、その後、1mlの培地を試験化合物とともに含有するウエルに移し、上記条件のもとで72時間〜96時間さらにインキュベーションする。その後、骨を取り出し、10%緩衝化ホルマリンにおいて24時間固定処理し、14%EDTAにおいて一晩脱灰し、パラフィンに包埋し、4μmの厚さの切片を切断し、H&Eにより染色する。
【0158】
投薬。ロバスタチン足場物質(2.5mgのロバスタチンが含浸されたLPGAポリマー足場、5mg片、推定される放出は0.4μg/24時間である)を最初の48時間にわたって適用し、その後、除く。頭蓋冠を7日目および14日目に取り出す。培地を3日毎に交換する。軟骨形成を組織学的に評価する。
【0159】
結果が棒グラフとして図21に示される。観測されることは、ロバスタチンが暴露後7日で新生児マウスの頭蓋冠の培養物において骨形成を刺激し、暴露後14日で軟骨形成を刺激することである。BMPは、暴露後7日で新生児マウスの頭蓋冠の培養物において骨形成を刺激する。ロバスタチンは、軟骨形成を新生児マウスの頭蓋冠の培養物において用量依存的様式で刺激することが示される。
【0160】
明確にするため別個の実施態様で説明されている本発明の特定の特徴は単一の実施態様に組み合わせて提供することもできることは分かるであろう。逆に、簡潔にするため単一の実施態様で説明されている本発明の各種の特徴は別個にまたは適切なサブコンビネーションで提供することもできる。
【0161】
本発明はその特定の実施態様によって説明してきたが、多くの別法、変更および変形があることは当業者には明らかであることは明白である。従って、本発明は、本願の請求項の精神と広い範囲の中に入るこのような別法、変更および変形すべてを包含するものである。本願で挙げた刊行物、特許および特許願はすべて、個々の刊行物、特許および特許願が各々あたかも具体的にかつ個々に引用提示されているのと同程度に、全体を本明細書に援用するものである。さらに、本願で引用または確認したことは本発明の先行技術として利用できるという自白とみなすべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0162】
【図1】ロバスタチンの経口投与対経皮投与の比較である。
【図2】Piximus骨密度計を使用して、無傷ラットにおける近位側脛骨でのBMDの評価を例示する。
【図3】経皮ロバスタチン(親水性ワセリン)により5日間だけ処置された(a)無傷ラットおよび(b)OVXラットにおける骨体積(BV/TV%)を例示する。
【図4】1mg/kg/日の皮膚ロバスタチンによる5日間の処置の後でのSHAMラットおよびOVXラットにおける近位側脛骨骨幹端の海綿質骨の組織形態計測分析である。
【図5】小柱骨構造の構造的指標を示す、SHAMラットおよびOVXラットにおける組織形態計測結果を例示する。
【図6】SHAMラットおよびOVXラットにおける骨形成速度(BFR)に対する皮膚ロバスタチンの5日間の投与の影響を例示する。
【図7】μCTによるラットの遠位側大腿骨骨幹端の小柱骨分析を例示する。
【図8】皮膚適用後のロバスタチンの体内分布を示す。
【図9】0.01mg/kg/日から0.5mg/kg/日に及ぶ服用スキームにより5日間だけ、水性アルコールゲルにおける皮膚ロバスタチンにより手術後5日目に処置されたOVXラットの骨体積評価を示す。
【図10】最初の投薬の26日後に測定されたときの、皮膚ロバスタチンにより5日間処置されたラットにおける血清オステオカルシンを例示する。
【図11】水性アルコールゲルにおけるロバスタチンにより5日間処置された擬似処置ラットおよびOVXラットにおける血清クレアチンプロテインキナーゼ(CPK)の定量を例示する。
【図12】大腿骨骨折モデルを使用して経口投与されたより高いレベルに対して比較されるときの、ロバスタチンの経皮送達を使用する2週間でのX線写真スコアを示す棒グラフである。
【図13】大腿骨骨折モデルを使用してロバスタチンの経皮送達および経口送達を使用する破断力の棒グラフである。
【図14】大腿骨骨折モデルを使用してロバスタチンの経皮送達および経口送達のより少ない用量を使用する破断力の棒グラフである。
【図15】大腿骨骨折モデルを使用してロバスタチンの経皮送達および経口送達を使用する骨折後6週間で測定された堅さの棒グラフである。
【図16】経皮送達および経口送達についてのロバスタチン血漿濃度の棒グラフである。
【図17】ロバスタチンの量が検出限界未満であることを示す、ロバスタチンナノビーズからのロバスタチン血漿濃度の棒グラフである。
【図18】ロバスタチンをロバスタチンの様々な放出レベルで含有するナノビーズを使用するX線写真スコアの棒グラフである。
【図19】大腿骨骨折モデルを使用してロバスタチンの様々な放出レベルでのナノビーズによる処置から得られる最大強度の棒グラフである。
【図20】大腿骨骨折モデルを使用してロバスタチンの様々な放出レベルでのナノビーズによる処置から得られる、骨折に至るまでに必要とされる負荷の棒グラフである。
【図21】ロバスタチンにさらされた後の14日目に見られる新生児マウスの頭蓋冠において見られる軟骨成長を定量する棒グラフである。
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は骨および軟骨の強化である。
【背景技術】
【0002】
脊椎動物の骨格は骨および軟骨から構成される。骨を含有する他の身体部分は歯である。骨および軟骨の形成は脊椎動物の維持および修復において大きな役割を果たす。特に注目されるのが霊長類であり、より具体的にはヒトである。骨および軟骨の劣化、骨粗鬆症および抜歯におけるような骨の喪失、骨の破断および骨の圧縮、軟骨の断裂および摩耗などに伴う数多くの問題は、全医療活動の大きな割合を占めることを必要とする良くある事象である。これらの様々な有害事象は、宿主をひどく傷つけること、牽引およびギブスが関与する場合には動かすことができないこと、回復期間中に我慢すべき痛みおよび苦しみ、仕事ができないこと、ならびに、支援デバイスを必要とすることをもたらし得る。これらの手技および出来事は相当の費用および負担を社会および様々な医療支援グループに加える。
【0003】
大きな進歩が、多くの骨傷害を修復する際のピンおよび補綴具の使用においてなされている。しかしながら、非解剖学的材料(例えば、金属およびプラスチックなど)の使用はしばしば、非解剖学的材料と、生来的組織との間における弱い結合をもたらす。様々な技術が、骨伝導性材料(例えば、ヒドロキシアパタイト、無機質除去骨、各種リン酸カルシウムなど)を使用して骨に対する補綴具の結合を改善するために使用されているが、成功の度合いは様々である。
【0004】
骨折はこれまで常に人類にとって問題となっており、治療は何世紀にもわたって本質的には変化していないままである。AAOS統計は、およそ680万人の骨折者が合衆国では毎年発生し、また、生涯を通して、各人が平均して2回の骨折を経験することを示す。900000人を超える入院者が毎年、骨折から生じる。正常な骨折治癒は、局所的因子および全身的因子による影響および調節を受ける様々な細胞事象を伴う複雑な多段階プロセスである。しかしながら、骨折治癒における最も一般的な生物学的失敗では、骨折後の最初の数週間の内における不適切に形成された仮骨が伴う。骨折の場合、人は、修復された骨が荷重に耐えることを可能にするために要する時間を最小限にすることに関心がある。骨の融合が決定される場合、迅速に形成される強い骨は患者の不具合を実質的に減らすことができる。ほとんどの状況において、目的は、新しい軟骨または骨が形成される速度、新しい構造体の強度、処置に由来する副作用がないこと、痛みおよび炎症を最小限に抑えること、ならびに、軟骨または骨の十分な回復を提供することにある。
【0005】
骨形態形成タンパク質(「BMP」)ファミリーのいくつかのメンバーが骨芽細胞および軟骨細胞を活性化し、また、骨芽細胞および軟骨細胞の両方が、BMPファミリーのメンバーに対する受容体を有することが知られている。スタチンがBMP形成を誘導することもまた知られている。例えば、米国特許第6022887号および同第6080779号、ならびに、米国特許第7041309号および同第7108862号を参照のこと(それらの開示のすべてが、骨および軟骨を産生することにおけるスタチンの使用のそれらの開示に関して本明細書中に示されるかのように参考として本明細書中に特に組み込まれる)。記載された方法では、スタチン配合物の経口投与が用いられるか、または、スタチン配合物の直接的な適用に対する解剖学的部位を開けるための切開が伴う。これらの参考文献は様々な他の投与方法を示す一方で、これらは具体的には例示されず、また、それらは、改善された結果を有することが示されていない。
【0006】
骨格部分および歯部分における立証されていない使用を、服用および療法に関して最小限の副作用および投与の容易さとともに可能にするために、骨および軟骨の強化を短縮された期間の内にもたらす治療組成物の効果的な投与方法が求められている。スタチンの広範囲の様々な適用方法が、特許文献において、基本的には、数多くの既知のすべての方法において教示されている一方で、スタチンが骨形成を誘導することについてスタチンを実際に試験するための方法はこれまで非常に限られており、このことは、実際に、他の方法が有望でなかったことを示唆し得る。
【0007】
スタチンは、宿主に対して治療的および有害的の両方で、広範囲の様々な影響を生じさせることが知られている。非常に多くの事例の場合と同様に、望ましい態様が、治療結果に照らして受け入れられ、この場合には、多くの事例において、有害な影響が他の薬剤のさらなる投与によって最小限に抑えられ得る。従って、HMG Co−Aレダクターゼ阻害剤(例えば、スタチンなど)の治療的投薬量を、薬物の副作用を最小限に抑え、また、薬物の効き目のないレベルを回避しながら提供することができることには相当の関心がある。
【0008】
関連文献
米国特許第6022887号および同第6080779号、並びに、米国特許出願公開第2003/0232065号および同第2004/0006125号、ならびに、それらにおける引用参考文献は、骨および軟骨を増進させるためのスタチンの使用を記載する。SkoglundおよびAspenberg(52nd Annual Meeting of the Orthopaedic Research Society、2006/1667、ポスター)は、骨形成を強化するスタチンの投与のためにミニポンプを使用することを記載している。
【0009】
ラットを用いた研究では、ラットにおける骨細胞および骨折におけるBMP、OPおよびそれらの受容体の出現が出現時期およびそれらの持続期間において限定されることが示されている。短時間の発現が細胞のインビボでの骨軟骨の分化のために十分であり、5日〜6日の投薬が最適である(Noel他、2004、Stem Cells、22、74〜85)。骨折におけるBMPおよびOP1ならびにそれらの適切な受容体の発現が、ラットにおいて、第1週、第2週では強く発現し、第4週では低下し、第8週では存在しない(Orishi他、1998、Bone、22、605〜12)。さらなる裏付けが、BMP発現がラットの治癒中の下顎骨において第4週では消失しつつあり、第8週では消失しているという点で見出される(Spector他、2001、Plast Reconstr Surg、107、124〜34)。伸延骨形成術のウサギモデルにおける1週間間隔でのBMP受容体発現の研究において、BMP受容体が第2週では強くアップレギュレーションされ、第4週〜第5週までにダウンレギュレーションされる(Hamdy他、2003、Bobe、33、248〜55)。骨の治癒にはまた、BMP活性阻害剤のNogginの発現が関与する。Nogginがマウスの骨折仮骨において5日目以降に強く発現したことが見出された。BMPが、若いマウスにおいて、0日目、4日目および8日目に骨折部に注入され、その後、22日目に評価されたとき、BMPの早期投与は0日目および4日目において最も効果的であったことが示された(Murnaghan他、2005、J Orthop Res、23、625〜31)。ヒツジの臨界サイズの欠損が、BMP2をコードするアデノウイルスベクターにより処置されるとき、欠損部の治癒が第8週において遅れた。そのデータは、治癒期間全体を通して高いレベルで産生されたBMP2は逆効果であったと解釈された(Egermann他、2006、Gene Ther)。イヌの欠損研究では、高い局所用量が投与された。4週間後、800μg/インプラントは、高すぎて、効果的に働かないことが見出された。3ヶ月齢ラットおよび18ヶ月齢ラットにおいて評価されたラットの癒着不能骨折モデルでは、高齢ラットは、rhBMP7により処置されたとき、若齢ラットよりも遅く治癒し、機械的強度が、若齢ラットでは3週間で無傷の大腿骨の機械的強度に到達し、高齢ラットでは、6週間になるまで到達しなかった。
【0010】
引用された参考文献のすべてが、本明細書においてそれらの全体が示されるように具体的な参照により本明細書中に組み込まれる。
【発明の開示】
【0011】
骨格の網目組織(すなわち、骨組織および軟骨組織)の処置が、組織強化のための部位におけるHMG Co−Aレダクターゼ阻害剤の狭い治療的範囲で達成される。HMG Co−Aレダクターゼ阻害剤を目的とする部位において十分な時間にわたって提供する任意の投与様式を使用することができる一方で、特に注目されるものが、また、好ましい実施形態として、経皮適用および粒子の使用である。治療的レベルを、治療的レベルが達成される前に消散されなければならない過度な量を使用することなく提供することによって、HMG Co−Aレダクターゼ阻害剤を骨格の網目組織の強化のために使用する治療的および経済的な利益が提供される。
【0012】
上記で示されたように、骨および軟骨の強化が、スタチンと、所望されるスタチン血清濃度を短期間でもたらす対象の皮膚を介したスタチンの局所的送達のために好適な医薬的に許容され得るキャリアとを含む、局所適用される医薬組成物を使用して達成される。
【0013】
同様に、上記で示されたように、スタチン活性に応答する骨組織および軟骨組織の強化が、スタチン含有粒子を強化部位の近くで使用して達成される。この場合には、スタチン濃度の治療効果的な範囲が、所望の強化レベルを可能にするために十分な時間にわたってその部位において維持される。粒子の性質に依存して、粒子はスタチン治療剤の100%から約10重量%にまで及ぶ場合があり、放出速度が、物理的性質および/または化学的性質を使用して非機械的に制御される。粒子は、具体的な部位および組織強化活性の性質について適合化される、指示された療法に従って投与される。組織の迅速な回復が達成される。
【0014】
図面の簡単な記述
本明細書では本発明を単に例示し図面を参照して説明する。特に詳細に図面を参照して、示されている詳細が例示として本発明の好ましい実施形態を例示考察することだけを目的としており、本発明の原理や概念の側面の最も有用でかつ容易に理解される説明であると考えられるものを提供するために提示していることを強調するものである。この点について、本発明を基本的に理解するのに必要である以上に詳細に本発明の構造の詳細は示さないが、図面について行う説明によって本発明のいくつもの形態を実施する方法は当業者には明らかになるであろう。
【0015】
図1は、ロバスタチンの経口投与対経皮投与の比較である。血漿中のロバスタチン濃度が単回投薬の後で測定された(a:10mg/kg、または、b:50mg/kg)。血漿を投薬後の指定された時間で集めた。ロバスタチンの濃度が、HMG Co−Aレダクターゼ阻害アッセイを使用して推定された。値は平均±SEM(n=5)である。
【0016】
図2は、Piximus骨密度計を使用して、無傷ラットにおける近位側脛骨でのBMDの評価を例示する。測定値が、5週間が終わったときに得られた。それぞれのデータ点は10匹の動物の平均±SEMである。
【0017】
図3は、経皮ロバスタチン(親水性ワセリン)により5日間だけ処置された(a)無傷ラットおよび(b)OVXラットにおける骨体積(BV/TV%)を例示する。骨が処置終了後4週間で取り出され、組織学のために処理された。棒の中の数字は、賦形剤処置のコントロールに対して比較される増大率を表す。それぞれのデータ点は10匹の動物の平均±SEMである。p<0.05(対無傷またはOVX+賦形剤)。
【0018】
図4は、1mg/kg/日の皮膚ロバスタチンによる5日間の処置の後でのSHAMラットおよびOVXラットにおける近位側脛骨骨幹端の海綿質骨の組織形態計測分析である。棒の中の数字は、それぞれのコントロールからの%変化(すなわち、賦形剤処置されたSHAMラットに対して比較される賦形剤処置されたOVXラット、賦形剤処置されたOVXラットに対して比較される処置されたOVXラット)を表す。b)ファン・ギーソンにより染色された近位側脛骨の代表的な無機質除去前の切片(白黒像)。それぞれのデータ点は10匹の動物の平均±SEMである。p<0.05(対擬似処置またはOVX+賦形剤)。
【0019】
図5は、小柱骨構造の構造的指標を示す、SHAMラットおよびOVXラットにおける組織形態計測結果を例示する。棒の中の数字は、賦形剤処置のOVXラットに対して比較される%増大を表す。a)小柱の厚さ、b)小柱の数およびc)小柱の間隔。それぞれのデータ点は10匹の動物の平均±SEMである。p<0.05(対SHAMまたはOVX+賦形剤)。
【0020】
図6は、SHAMラットおよびOVXラットにおける骨形成速度(BFR)に対する皮膚ロバスタチンの5日間の投与の影響を例示する。棒の中の数字は、賦形剤処置のOVXラットに対して比較される%増大を表す。値は10匹のラットの平均±SEMである。
【0021】
図7は、μCTによるラットの遠位側大腿骨骨幹端の小柱骨分析を例示する。無傷ラットの3つの群(賦形剤処置ラット、ならびに、1mg/kg/日および5mg/kg/日によるロバスタチン(経皮)処置ラット)からの遠位側大腿骨骨幹端における海綿質骨を示す代表的な顕微鏡写真、および、μCT画像との比較。大腿骨が、100kVのx線管電圧を用いるSkyscan1072を使用して走査され、10.13μmのピクセルサイズを得るために拡大された。この分解能において、小柱構造が正確に再構築された。画像は、成長板から1mm〜2mm遠位側の骨幹端領域に対応する。棒の中の数字は、賦形剤処置のラットに対して比較される%増大を表す。
【0022】
図8は、皮膚適用後のロバスタチンの体内分布を示す。親水性ワセリン(HP)対水性アルコールゲル(HAゲル)の比較。ロバスタチンの単回用量を、いずれかの配合物を使用して投与し、AUC0−24hrを、台形法を使用して計算した。a)ロバスタチンの単回皮膚適用:6.25mg/kg。b)ロバスタチンが25mg/kgの単回服用により皮膚に塗布された。
【0023】
図9は、0.01mg/kg/日から0.5mg/kg/日に及ぶ服用スキームにより5日間だけ、水性アルコールゲルにおける皮膚ロバスタチンにより手術後5日目に処置されたOVXラットの骨体積評価を示す。投薬終了後4週間で、動物を屠殺し、骨を組織形態計測分析のために集めた。棒の中の数字は、コントロールに対して比較される%変化を表す。OVXは、(賦形剤処置のSHAM群と比較して)骨体積を59%低下させた。ロバスタチンによる皮膚処置は、賦形剤処置のOVXラットに対して比較されるとき、40%を超える骨体積を増大させた。グラフは、近位側脛骨における海綿質骨体積についての平均値±SEMを示す(n=10/群)。
【0024】
図10は、最初の投薬の26日後に測定されたときの、皮膚ロバスタチンにより5日間処置されたラットにおける血清オステオカルシンを例示する。棒の中の数字は、賦形剤処置のOVXラットに対して比較される%増大を表す。グラフは平均値±SEMを示す(n=8/群)。
【0025】
図11は、水性アルコールゲルにおけるロバスタチンにより5日間処置された擬似処置ラットおよびOVXラットにおける血清クレアチンプロテインキナーゼ(CPK)の定量を例示する。有意な変化が処置群対コントロールの間で観測されなかった。値は10匹のラットの平均±SEMである。
【0026】
図12は、大腿骨骨折モデルを使用して経口投与されたより高いレベルに対して比較されるときの、ロバスタチンの経皮送達を使用する2週間でのX線写真スコアを示す棒グラフである。
【0027】
図13は、大腿骨骨折モデルを使用してロバスタチンの経皮送達および経口送達を使用する破断力の棒グラフである。
【0028】
図14は、大腿骨骨折モデルを使用してロバスタチンの経皮送達および経口送達のより少ない用量を使用する破断力の棒グラフである。
【0029】
図15は、大腿骨骨折モデルを使用してロバスタチンの経皮送達および経口送達を使用する骨折後6週間で測定された堅さの棒グラフである。
【0030】
図16は、経皮送達および経口送達についてのロバスタチン血漿濃度の棒グラフである。
【0031】
図17は、ロバスタチンの量が検出限界未満であることを示す、ロバスタチンナノビーズからのロバスタチン血漿濃度の棒グラフである。
【0032】
図18は、ロバスタチンをロバスタチンの様々な放出レベルで含有するナノビーズを使用するX線写真スコアの棒グラフである。
【0033】
図19は、大腿骨骨折モデルを使用してロバスタチンの様々な放出レベルでのナノビーズによる処置から得られる最大強度の棒グラフである。
【0034】
図20は、大腿骨骨折モデルを使用してロバスタチンの様々な放出レベルでのナノビーズによる処置から得られる、骨折に至るまでに必要とされる負荷の棒グラフである。
【0035】
図21は、ロバスタチンにさらされた後の14日目に見られる新生児マウスの頭蓋冠において見られる軟骨成長を定量する棒グラフである。棒は、左から右への順で、上から下に処置の順である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
HMG Co−Aレダクターゼ阻害剤が、骨組織および軟骨組織の強化のために、具体的には狭い治療的範囲の枠内で投与される。この投与は、骨格組織に対するHMG Co−Aレダクターゼ阻害剤の生物学的利用能を最大にし、一方で、非骨格組織に対する生物学的利用能を最小限に抑えるために設計された体内分布プロフィルをもたらす。さらには、限定された期間にわたる治療的効力の濃度の狭い枠が存在し、この場合、宿主に投与されるそれよりも多い量または少ない量、および、それよりも短い処置期間または長い処置期間は、宿主に対する実質的に損なわれた利益をもたらすか、または、宿主に対する利益を何らもたらさないことが見出される。加えて、そのような治療的枠における投薬量を使用することによって、薬物の副作用が軽減または回避され、より経済的な処置が達成される。加えて、処置の継続期間を制限することによって、長期間の処置の後で生じるHMG Co−Aレダクターゼ阻害剤の負の影響が避けられる。同様に、継続期間を抑制することによって、薬物の副作用がさらに避けられ、かつ、経済的な利益がより短い処置期間で生じる。従って、薬物の投与および投与の継続期間は、目的とする部位(すなわち、骨および/または軟骨をその部位において強化するために処置されている部位)における応答を実質的に最適化するための量および期間である。投与される量は投与様式とともに変化し、一方、投与期間は一般には、処置されている症状および宿主の性質とともに変化する。経口投与以外の投与(主として非経口および吸入)が、肝臓によるHMG Co−Aレダクターゼ阻害剤の著しい取り込みを伴うことなく、HMG Co−Aレダクターゼ阻害剤を宿主の系(具体的には、処置部位)に直接に与えるために用いられる。
【0037】
投与様式は、所望の治療的範囲を、強化の所望される程度を誘導するために十分な時間にわたって提供する経口以外の任意の様式から変化する場合がある。観測された結果の何らかの理論的説明に限定されない一方で、所望される範囲に達しない場合、組織強化がほとんどなく、一方、所望される範囲を超える場合、組織強化における著しい増大が全くなく、実際には、処置期間を通して所望の範囲に対して比較されるとき、強化がそれほど見られないことがあるという点で、結果はガウス分布を有するようである。観測された結果は、骨芽細胞および破骨細胞の両方が骨の回復(すなわち、骨の修復および分解)に関与するという点で合理的に説明される。類似して、軟骨を伴う状況では、軟骨細胞が修復および分解のために関わる。HMG Co−Aレダクターゼ阻害剤は、修復に関与する細胞(例えば、骨芽細胞など)を刺激し、一方で、分解に関与する細胞(例えば、破骨細胞)を阻害することが考えられる。修復および分解が骨格網目組織の適正な再構築に関与する。従って、HMG Co−Aレダクターゼ阻害剤の量および処置の継続期間は、適正な再構築を提供するように選択されなければならないと考えられる。
【0038】
本発明の方法は、処置されている宿主に対する実質的な利益をもたらす、HMG Co−Aレダクターゼ阻害剤の使用法の実質的な最適化を提供する。これまでに使用されているよりも少ない投薬量を使用することにおける様々な経済性が達成されるだけでなく、修復が、より多い投薬量に対して比較されたとき、促進され、患者はより迅速に回復し、薬物の副作用を受けることが少なくなり、また、正常な活動をより迅速に取ることができる。
【0039】
組織強化に関して、その結果は変化する可能性があり、骨折を記載することにおいて最も容易に表すことができる。最短の時間で体重を支えることができ、通常の使用が可能である適切に再構築された骨を有する骨折の場合に関心がある。骨折に関して、骨折が癒合し、機械的な力に耐えることができる程度(例えば、荷重を支えること、および/または、他の機械的ストレスに応答することなど)を測定することができる。加えて、X線写真を用いて、新しい骨形成が起こっている程度、および、処置されている部位の形状を観察することができる。歯科適用の場合には、歯またはインプラントが通常の使用に耐えることができる程度もまた観察することができる。骨融合の場合には、骨の連結、および、融合がストレスに耐えることができるかを観察することができる。他の症状を同様に分析することができる。従って、様々な症状を処置するための指針が提供され得る一方で、本発明を適用することができる非常に様々な状況は、投薬量および/または処置の期間が、処置に対する応答を観察することによって、または、示されたモデルに関する結果を提供している既知の処置様式に対して比較されるような特定の処置様式を評価するために実験の節において記載されるようなモデルを使用することによって、経験的に決定されることが必要であり得る状況が存在することを意味する。
【0040】
投与様式には、非経口的または吸入があり、また、適切な形態および媒体での薬物の注入、ポンプによる投与、経皮投与、利用可能であるならば吸入などが含まれる。HMG Co−Aレダクターゼ阻害剤を、流体媒体、溶媒もしくは非溶媒に存在させることができ、または、溶解することができ、または、粒子として安定に分散させることができ(この場合、粒子は治療剤の10%から100%に及び得る)、または、何も加えることなく、もしくは、ゲル(例えば、ヒドロゲルまたは温度感受性ゲルなど)における粒子として分散させることができ、または、接着性セメントと組み合わせることができ、または、含浸させることができ、または、被覆することができ、または、通常の場合にはキャリアとの併用で、具体的には、ポリマーマトリックスまたは無機マトリックス(具体的には、骨伝導性の無機マトリックス(例えば、アパタイト)など)との併用で、薄膜、メッシュもしくはファイバーとして形成させることができる。
【0041】
HMG−CoAレダクターゼ阻害剤を投与するための一般的検討事項
投与様式は、治療量のHMG Co−Aレダクターゼ阻害剤を、骨格網目組織の所望される強化(具体的には、処置されている構造体の再構築)を提供するための十分な時間にわたって提供しなければならない。大体の同等量として、処置レベルは、マウス、ラットおよびヒトについて1:4:200の比率である。HMG Co−Aレダクターゼ阻害剤の量は生物学的利用可能な量である。これは、目的とする部位に届かない薬物(例えば、器官によって隔離される薬物、または、迅速な分解を受ける薬物)は所望の効果をもたらさないからである。投薬量レベルは一般には約0.01mg/kg/日〜10mg/kg/日の範囲であり、より通常的には0.025mg/kg/日〜5mg/kg/日の範囲であり、好ましくは0.05mg/kg/日〜2.5mg/kg/日の範囲であり、この場合、量は、ヒト宿主を処置するときにはある程度変更することができる。一般に、ラット宿主に送達されるHMG Co−Aレダクターゼ阻害剤の量は約0.1μg/日〜5μg/日の範囲であり、通常的には0.1μg/日〜2μg/日の範囲であり、具体的な投与様式および症状に従って適するように変更される。ヒトについては、範囲は約5μg/日〜250μg/日である。望ましくは、処置の経過期間中、HMG Co−Aレダクターゼ阻害剤の血中濃度は約0.5ng/ml〜5ng/ml(より通常的には1ng/ml〜5ng/ml)の範囲でなければならない。ヒトについての処置継続期間は一般には2日以上、通常的には3日以上、より通常的には約6日以上、望ましくは、10日以内であり、また、約65日以下であり、通常的には約25日以下であり、より通常的には約15日以下であり、一般には10日以下である。処置は、さらなる処置が組織強化を何らもたらさないとき、あるいは、有害な影響、例えば、薬物の副作用、および、薬物に対する低下した正の骨形成応答または負の骨形成応答をもたらすときに止められる。
【0042】
本発明の方法論の実質的な使用がなされるまで、患者のモニターリングは、最適な投薬量および最適な継続期間を確認するために有益である。経験が、特定の配合物に関して、また、具体的には、特定の症状に関して得られると、その経験は、その後、将来の治療において使用することができる。
【0043】
特定の状況において、処置の形態に依存して、効力を、実験の節において記載されるようなラットモデルを使用することによって投薬量および継続期間に関して求めることができる。HMG Co−Aレダクターゼ阻害剤を与えることができるマニホールド形態、用いられる媒体、および、投与法に照らして、具体的な処置様式の効力を確認するために動物モデルを使用したいと考えられる状況が存在し得る。
【0044】
様々なHMG−CoAレダクターゼ阻害剤を使用することができ、また、新しいHMG−CoAレダクターゼ阻害剤またはそれらのアナログが開発されるので、それらもまた含まれる。今日知られている様々なスタチンが、S.E.Harris他(1995)、Mol Cell Differ、3、137;G.Mundy他、Science(1999)、286、1946;ならびに、米国特許第6022887号、同第6080779号および同第6376476号に記載される(スタチンのそれらの開示は参考として本明細書中に特に組み込まれる)。例示的なスタチンには、ロバスタチン、プラバスタチン、ベロスタチン、シンバスタチン、フルバスタチン、セリバスタチン、メバスタチン、ダルバスタチン、フルインドスタチン、ロスバスタチンおよびアトルバスタチンが含まれる。これらのスタチンのプロドラッグ、それらの医薬的に許容され得る塩(例えば、カルシウムなど)もまた含まれる。これらの化合物の調製は、数多くの米国特許(米国特許第3983149号、同第4231938号、同第4346227号、同第4448784号、同第4450171号、同第4681893号、同第4739073号および同第5177080号)に示されるように広く知られている。これらの化合物はまた一般に市販されているので、必要なときには購入することができる。
【0045】
本発明の治療的療法は、HMG Co−Aレダクターゼ阻害剤の投与を必要とする骨格の網目組織障害に苦しむ哺乳動物種宿主(例えば、ヒト)の処置を可能にする。一般に、患者は、骨格(骨または軟骨)の障害の素因を有するヒト、または、骨格(骨または軟骨)の障害に罹患しているヒトであり、そのような骨格(骨または軟骨)障害は、例えば、軟骨無形成症、後天性骨過形成症候群、尖頭合指症、関節炎、若年性リウマチ性関節炎、リウマチ性関節炎、関節拘縮症、関節症、神経原性骨疾患、軟骨疾患、鎖骨頭蓋骨形成不全、内反足、仕切り症候群、頭蓋顔面骨形成不全、頭蓋骨癒合症、小人症、エリス−ファン・クレフェルト症候群、内軟骨腫症、外骨腫、線維性骨形成異常、繊維性異形成症、多骨性、扁平足、足変形、フライバーグ病、漏斗胸、ゴールデンハー症候群、外反母趾、股関節脱臼、疲労骨折、先天性骨化過剰症、椎間板ヘルニア、関節疾患、カブキメイキャップ症候群、クリッペル・フェイユ症候群、ランガー−ギーディオン症候群、レッグ−ペルテス病、脊柱前弯症、下顎顔面骨形成不全、メロレオストーシス、筋骨格異常、骨化性筋炎、変形性骨炎、変形性関節症、骨軟骨炎、骨形成不全症、骨髄炎、骨壊死、大理石骨病、骨粗鬆症、ポーランド症候群、リウマチ性疾患、ラッセルシルバー症候群、ショイエルマン病、脊柱側湾症、シバー病/踵骨骨端炎、脊椎疾患、変形性脊椎症、脊柱管狭窄症、直性脊椎脊椎炎、脊椎すべり症、シュプレンゲル変形、テニス肘、致死性骨異形成、骨欠陥状態、損なわれた骨格治癒、癒着不能骨折、閉鎖骨折または単純骨折、開放骨折または複雑骨折、う歯状態、歯科インプラント固定、補綴固定、脊椎固定、軟骨欠損状態などである。
【0046】
経皮適用
所望される処置を濃度および継続期間に関して提供するための好ましい様式において、長期間の放出が、目的とする部位に対する比較的一定の投薬量を維持しながら達成され得る場合、局所投与を用いることができる。上記で示されたように、粒子を、分散されたHMG−CoAレダクターゼ阻害剤と同様に、下記で記載される局所適用において使用することができる。投与されるHMG−CoAレダクターゼ阻害剤の量は一般には約0.05mg/kg/日〜20mg/kg/日であり、より一般には約0.05mg/kg/日〜10mg/kg/日であり、通常的には約0.1mg/kg/日〜10mg/kg/日であり、好ましくは約0.1mg/kg/日〜2.5mg/kg/日の範囲である。このことは、この量が、目的とする部位にとって生物学的に利用可能であることを意図し、ただし、適用が、目的とする部位から離れている場合、または、大きな表面にわたって適用される場合、より多い量が必要とされることがある。
【0047】
本明細書中で使用される表現「局所適用」は、生物学的表面への適用を表し、従って、生物学的表面には、例えば、皮膚領域(例えば、手、前腕、肘、脚、顔、爪、肛門および生殖領域)または粘膜が含まれる。適切なキャリア、および、必要な場合には、組成物に含めることができる他の成分を選択することによって、本明細書中下記において詳述されるように、本発明の組成物は、局所適用のために典型的に用いられる任意の形態に配合することができる。
【0048】
従って、本発明の医薬組成物は、例えば、クリーム、軟膏、ペースト、ゲル、ローション、乳液、懸濁物、エアロゾル、スプレー、泡、シャンプー、ヘアコンディショナー、漿液、スワブ、綿撒糸、パッド、パッチおよび石けんの形態が可能である。軟膏は、典型的にはワセリンまたは石油誘導体に基づく半固体の調製物である。使用されるための具体的な軟膏基剤が、所与の配合物のために選ばれた活性な薬剤についての最適な送達をもたらし、また、好ましくは、他の所望される特徴(例えば、皮膚軟化)も同様にもたらす軟膏基剤である。他のキャリアまたは賦形剤の場合のように、軟膏基剤は不活性で、安定で、非刺激性で、非感作性でなければならない。Remington:The Science and Practice of Pharmacy(第19版、Easton、Pa.:Mack Publishing Co.(1995)、1399頁〜1404頁)において説明されるように、軟膏基剤は、油性基剤、乳化可能な基剤、乳化基剤および水溶性基剤の4つのクラスに分類することができる。油性の軟膏基剤には、例えば、植物油、動物から得られる脂肪、および、石油から得られる半固体の炭化水素が含まれる。乳化可能な軟膏基剤は、吸収性の軟膏基剤としてもまた知られており、水をほとんど含有せず、これには、例えば、ヒドロキシステアリンスルファート、無水ラノリンおよび親水性ワセリンが含まれる。乳化軟膏基剤は油中水型(W/O)エマルションまたは水中油型(O/W)エマルションのいずれかであり、これには、例えば、セチルアルコール、グリセリルモノステアラート、ラノリンおよびステアリン酸が含まれる。好ましい水溶性軟膏基剤が様々な分子量のポリエチレングリコールから調製される。ローションは、擦ることなく皮膚表面に塗布されることになる調製物である。ローションは典型的には、活性な薬剤を含めて、固体粒子が水基剤またはアルコール基剤に存在する液体または半液体の調製物である。より多くの流体組成物を塗布することの容易さのために、ローションは典型的には、大きい身体面積を処置するために好ましい。ローションは典型的には固体の懸濁物であり、しばしば、水中油型タイプの液体の油状エマルションを含有する。ローションにおける不溶物は細かく分割されることが一般に必要である。ローションは典型的には、より良好な分散物を生じさせるための懸濁化剤、ならびに、活性な薬剤を皮膚との接触で局在化および保持するために有用である化合物(例えば、メチルセルロースおよびナトリウムカルボキシメチルセルロースなど)を含有する。クリームは、水中油型または油中水型のいずれかであっても、粘性の液体または半固体のエマルションである。クリーム基剤は典型的には水洗い可能であり、油相、乳化剤および水相を含有する。油相は「内部」相とも呼ばれ、一般にはワセリンおよび/または脂肪アルコール(例えば、セチルアルコールまたはステアリルアルコールなど)から構成される。水相は典型的には、必ずしも必須ではないが、体積において油相を上回り、一般には保湿剤を含有する。クリーム配合物における乳化剤は一般に、非イオン性、アニオン性、カチオン性または両性の界面活性剤である。さらなる情報については、Remington:The Science and Practice of Pharmacy(上掲)を参照することができる。ペーストは、生物活性な薬剤が好適な基剤に懸濁される半固体の投薬形態物である。基剤の性質に依存して、ペーストは、脂肪ペースト、または、単相水性ゲルから作製されるペーストに分けられる。脂肪ペーストにおける基剤は一般に、ワセリンおよび親水性ワセリンなどである。単相水性ゲルから作製されるペーストは一般に、カルボキシメチルセルロースなどを基剤として取り込む。さらなる情報については、さらに、Remington:The Science and Practice of Pharmacyを参照することができる。ゲル配合物は半固体の懸濁物タイプの系である。単相ゲルは、キャリア液体(これは典型的には水性である)の全体に実質的に均一に分散された有機高分子を含有するが、好ましくは、アルコール、および、必要な場合には、オイルもまた含有する。好ましい有機高分子、すなわち、ゲル化剤は、架橋されたアクリル酸ポリマー、例えば、カルボマーポリマーのファミリーなどであり、例えば、Carbopol(商標)の商品名で市販品を得ることができるカルボキシポリアルキレンである。この関連での好ましいポリマーの他のタイプが、親水性ポリマー、例えば、ポリエチレンオキシド、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンコポリマーおよびポリビニルアルコールなど;修飾セルロース、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタラートおよびメチルセルロースなど;ガム、例えば、トラガカントガムおよびキサンタンガムなど;アルギン酸ナトリウム;およびゼラチンである。均一なゲルを調製するために、分散化剤(例えば、アルコールまたはグリセリンなど)を加えることができ、あるいは、ゲル化剤を、磨砕、機械的混合もしくは撹拌、または、これらの組合せによって分散させることができる。
【0049】
スプレーは、一般には、活性な薬剤を、送達のために皮膚にミストとして吹きかけることができる水性溶液および/またはアルコール性溶液において提供する。そのようなスプレーには、送達後の投与部位において活性薬剤溶液の濃度を提供するために配合されたスプレーが含まれ、例えば、スプレー溶液は、活性な薬剤を溶解することができるアルコールまたは他の同様な揮発性液体から主として構成され得る。皮膚に送達されたとき、キャリアが蒸発し、これにより、濃縮された活性な薬剤が投与部位に残る。泡組成物は典型的には、単相または多相の液体形態で配合され、好適な容器に、場合により、容器からの組成物の放出を容易にし、従って、組成物を適用時に泡に転換する噴射剤と一緒に入れられる。他の泡形成技術には、例えば、「バッグ・イン・ア・カン(Bag−in−a−can)」配合技術が含まれる。このように配合された組成物は典型的には、低沸点の炭化水素(例えば、イソプロパン)を含有する。体温でのそのような組成物の適用および撹拌はイソプロパンを気化させ、加圧されたエアロゾル泡形成システムと類似する様式で泡を生じさせる。泡は水系または水性アルカノール性が可能であるが、典型的には、使用者の皮膚に適用されたとき、迅速に蒸発し、有効成分を、上部の皮膚層を介して処置部位に至らせる高アルコール含有量とともに配合される。皮膚パッチは典型的には、活性な薬剤を含有するリザーバーが取り付けられる支持材を含む。リザーバーは、例えば、活性な薬剤または組成物が分散もしくは浸漬されるパッド、または、液体リザーバーが可能である。パッチは典型的には、接着し、デバイスを処置領域に固定する前面の水透過性接着材をさらに含む。自己接着性を有するシリコーンゴムを代替として使用することができる。両方の場合において、透過性保護層を、その使用前のパッチの接着材側を保護するために使用することができる。皮膚パッチはさらに、皮膚パッチを貯蔵時に保護するために役立つ除去可能な覆いを含むことができる。
【0050】
本発明とともに利用することができるパッチ形態の例には、薬物を、皮膚と接触する接着材の中に直接に含むことによって特徴づけられる単層または多層の薬物/接着材システムが含まれる。そのような経皮パッチ設計において、接着材は、パッチを皮膚に張り付けるために役立つだけでなく、薬物およびすべての賦形剤を1つの支持用薄膜の下に含有する配合物土台としても役立つ。多層の薬物/接着材パッチにおいて、膜が2つの別個の薬物/接着材層の間に配置されるか、または、多数の薬物/接着材層が1つの支持用薄膜の下に取り込まれる。
【0051】
本発明によって使用することができる別のパッチシステム形態が、半透過性の膜および接着材によって放出ライナーから隔てられる、薬物の溶液または懸濁物を含有する液体区画を含むことによって特徴づけられるリザーバー経皮システム設計である。このパッチシステムの接着材成分は、膜と放出ライナーとの間の連続層として取り込むことができ、または、膜の周りでの同心状形態で取り込むことができる。本発明によって利用することができるさらに別のパッチシステム形態が、放出ライナーと直接に接触している、薬物の溶液または懸濁物を含有する半固体マトリックスを含むことによって特徴づけられるマトリックスシステム設計である。皮膚接着に関わる成分が上張りに取り込まれ、半固体マトリックスの周りの同心状形態を形成する。
【0052】
局所適用される医薬組成物のために好適である医薬的に許容され得るキャリアの例には、組成物の最終的形態に依存して、例えば、エマルション、クリーム、水溶液、オイル、軟膏、ペースト、ゲル、ローション、乳液、泡、懸濁物およびエアロゾルなどのための基剤として化粧品分野および医療分野における使用のために広く知られているキャリア物質が含まれる。従って、本発明による好適なキャリアの代表的な例には、限定されないが、水、液状アルコール、液状グリコール、液状ポリアルキレングリコール、液状エステル、液状アミド、液状タンパク質加水分解物、液状アルキル化タンパク質加水分解物、液状のラノリンおよびラノリン誘導体、ならびに、化粧用組成物および医療用組成物において一般に用いられる同様な物質が含まれる。本発明による他の好適なキャリアには、限定されないが、アルコール、例えば、一価アルコールおよび多価アルコール、例えば、エタノール、イソプロパノール、グリセロール、ソルビトール、2−メトキシエタノール、ジエチレングリコール、エチレングリコール、ヘキシレングリコール、マンニトールおよびプロピレングリコールなど;エーテル、例えば、ジエチルエーテルまたはジプロピルエーテルなど;ポリエチレングリコールおよびメトキシポリオキシエチレン(分子量が200〜20000の範囲にあるカルボワックス);ポリオキシエチレングリセロール、ポリオキシエチレンソルビトール、ステアロイルジアセチンなどが含まれる。
【0053】
本発明の局所用組成物は、所望される場合には、有効成分を含有する1つ以上の単位投薬形態物を含有し得る、FDA承認キットなどのパックまたはディスペンサーデバイスで提供され得る。ディスペンサーデバイスは、例えば、チューブを含むことができる。パックまたはディスペンサーデバイスには、投与のための説明書が添付され得る。パックまたはディスペンサーデバイスにはまた、医薬品の製造、使用または販売を規制する政府当局により定められた形式で容器に付けられた通知が伴い得る。この場合、そのような通知は、組成物の形態またはヒトもしくは動物への投与の当局による承認を反映する。そのような通知は、例えば、処方薬物に対する米国食品医薬品局により承認されたラベル書きであり得るか、または承認された製品添付文書であり得る。医薬的に許容される担体に配合された本発明の局所用組成物を含む組成物はまた、示された状態を処置するために、調製され、適切な容器に入れられ、かつ表示され得る。
【0054】
本発明の医薬組成物は、上記で示されるようなHMG Co−Aレダクターゼ阻害剤の示された治療的レベルを提供するために配合される。HMG Co−Aレダクターゼ阻害剤の量は、特定の配合物、処置を必要とする目的の部位に対して比較されるような部位として配合物が適用される部位、配合物が適用される部位およびその他に依存して広範囲に変化し得る。大部分において、医薬組成物の量は、1日あたり生物学的表面の1cm2について約0.1mg〜約10mgの間の範囲にある。
【0055】
クリームまたは軟膏として提供されるとき、本発明の医薬組成物は典型的には、HMG Co−Aレダクターゼ阻害剤と、親水性ワセリン、水性アルカノールゲルまたはプルロニックレシチンオルガノゲル(PLO)とを含む。
【0056】
カルボマーに基づく配合物を伴う水性アルカノールゲルは、例えば、60%のエタノール、40%未満のddH2O、1%のCarbomerポリマー(940または980のいずれか)、0.5%のコレステロール、0.1%のBHA、3%のTTAおよびHMG Co−Aレダクターゼ阻害剤を含有することができる。そのようなゲルは、H2O(1ml)をCarbomer940/H2O/トリエタノールアミン混合物に(撹拌しながら)ゆっくり(滴下しながら)加え、10mlの製造物を作製するための十分なエタノールにおいてゆっくり(滴下して)混合することによって製造することができる。最終的な混合物のpHは4.5を超えなければならない。最終的な製造物は小分けされ、密封され、光から保護される。
【0057】
プルロニックゲルについては、選択された成分が一緒にされ、局所用賦形剤(好ましくは、プルロニックレシチンオルガノゲル(PLO))において送達される。局所適用の方法は、クリーム、ゲル、軟膏、スプレーまたはパッチとしてであり、特に、成分をイオン導入パッチにより送達するイオン導入法によるものである。
【0058】
好ましい組成物は、HMG Co−Aレダクターゼ阻害剤(例えば、ロバスタチンなど)と、局所用ゲル調製物とを含む。選択されたHMG Co−Aレダクターゼ阻害剤は、経皮投与を容易にするためにプルロニックレシチンオルガノゲル(PLO)に取り込まれる。
【0059】
これらの成分は、制御された環境において混合される。予防的措置により、製薬作業者を、空気によって運ばれることがある有効成分、または、局所的に吸収されることがある有効成分から保護しなければならない。合衆国では、OSHA疾病安全手順に従わなければならない。
【0060】
組成物は、表皮を横断して、血管構造物が存在する表層真皮および深部真皮に至る分子的放出のために、レシチンおよびオルガノゲルの二相複合体を含む医薬的に許容され得る液体キャリアを含むことができる。
【0061】
PLOは、経皮薬物投与のために使用されるリン脂質リポソームマイクロエマルションである。PLOは下記の2つの相を有する:
(i)油相:油相はレシチン/パルミチン酸イソプロピルの溶液である。レシチンは皮膚の角質層を再配置させる。パルミチン酸イソプロピルは溶媒であり、また、浸透強化剤である。ソルビン酸が保存剤である。
(ii)水相:水相はプルロニックゲルである。プルロニックf127NFが市販の界面活性剤である。ソルビン酸カリウムNFが保存剤である。精製水が溶媒である。活性な薬剤がPLOゲルに取り込まれ、安定なエマルションが剪断力によって形成される。配合物における活性な薬剤の濃度は、最適な治療的応答を得るように調節することができる。
【0062】
活性な薬剤およびキャリアの組成物が下記の手順に従って調製される。最初に、HMG Co−Aレダクターゼ阻害剤が可溶化される;その後、HMG Co−Aレダクターゼ阻害剤はレシチン/パルミチン酸イソプロピル溶液と一緒にされ、十分に混合される。その後、プルロニックF127が、20%のゲルとして、最終的な所望の体積に少量ずつ加えられる。その後、組成物は、滑らかなクリーム状ゲルを形成するために高速度で電動の臼および杵において混合される。
【0063】
調製されると、本発明の局所用HMG Co−Aレダクターゼ阻害剤配合物は患者または医療提供者のいずれかによって局所投与することができる。投薬形態物が局所用クリーム−ゲル懸濁物または局所用パッチの方法論であるとき、投薬形態物は、必要に応じて、保存剤、安定剤、乳化剤または懸濁化剤、湿潤化剤、浸透圧または緩衝剤のための塩を含有することができる。投薬形態物が、加圧されたスプレーまたはエアロゾルとしてであるとき、溶液は、加圧された容器に液体噴射剤(例えば、ジクロロジフルオロメタンまたはクロロトリフルオロエチレンなど)とともに含有される。ポンプ容器から投与されるならば、溶液は、緩衝剤塩溶液を、必要に応じて、保存剤、安定剤、乳化剤または懸濁化剤、湿潤化剤、および、浸透圧または緩衝剤のための塩とともに含む。
【0064】
組成物が、局所用ゲル−クリーム、スプレー、または、局所用イオン導入ゲルパッチの形態で投与されるとき、反復投与の回数がゲル−クリームおよびスプレーについては6時間毎から12時間毎にまで変化し、局所用のイオン導入ゲルパッチ送達方法については数日にまで変化する。バリア軟膏または物理的バリア(例えば、低アレルギー性膜など)により塞ぐこともまた、医薬品の効力および浸透を増大させるために、ゲル−クリームまたはスプレーを局所適用した後で実施することができる。
【0065】
パッチまたは任意の他の経皮送達デバイスとして提供されるとき、本発明の医薬組成物はHMG Co−Aレダクターゼ阻害剤(例えば、ロバスタチンなど)を含む。好ましいパッチ配合物は、HMG Co−Aレダクターゼ阻害剤が皮膚接触接着材の中に直接に含まれる単層の薬物/接着材システムである。好ましい濃度範囲は、パッチが目的の部位における効果的な濃度のための十分なHMG Co−Aレダクターゼ阻害剤を送達するような範囲である。以前に示された予告に従って、これは一般に、1日あたり0.01mg/kg〜1mg/kgの間に含まれる。
【0066】
エアロゾルまたは他の経粘膜送達デバイスとして提供されるとき、本発明の医薬組成物は典型的には、HMG Co−Aレダクターゼ阻害剤(例えば、ロバスタチンなど)を含む。好ましいエアロゾルまたは他の経粘膜送達デバイスは様々な技術を含み、それらには、例えば、定量吸引器(MDI)(例えば、肺内の深部にではなく、気道を媒介する喘息吸入器など)、微細な液体スプレーを可能にするネブライザー、乾燥粉末吸入器(DPI)または液体微小液滴吸入器などが含まれる。経粘膜送達または口内送達のための代わりの投薬形態物には、様々な送達システムが含まれ、例えば、口腔洗浄薬、侵食性/咀嚼性の口内錠剤、ならびに、薬物が多方向に放出され得る単層デバイスとして、または、口腔内への薬物損失を大きく低下させることができる、不透過性支持層を薬物負荷された生体接着層の上部に有するデバイスとしてそのいずれかで様々な幾何形状を使用して製造されるチューインガム、生体接着性のビューカット(buecut)薄膜/パッチおよび錠剤などが含まれる。別のデバイス形態は一方向放出機構を含むことができ、従って、薬物損失を最小限に抑え、口腔粘膜を介した薬物浸透を高めることができる。
【0067】
HMG Co−Aレダクターゼ阻害剤は、真皮細胞および粘膜細胞を含む様々な細胞の主成分であるコレステロールの産生を低下させるので、HMG Co−Aレダクターゼ阻害剤の局所投与はそのような細胞においてコレステロール枯渇を引き起こすことができ、このことにより、HMG Co−Aレダクターゼ阻害剤の低下した透過性が引き起こされ得る。従って、生物学的表面を通過するHMG Co−Aレダクターゼ阻害剤の浸透を増大させるために、本発明の医薬組成物は好ましくはさらに、コレステロールを0.1重量%〜1重量%の濃度で含む。
【0068】
本発明の医薬組成物はまた、浸透強化剤を含むことができ、例えば、単純なアルキルエステル、リン脂質、テルペン類、過飽和溶液、超音波、有機溶媒、脂肪酸およびアルコール、洗浄剤および界面活性剤、D−リモネン、β−シクロデキストリン、DMSO、ポリソルバート、胆汁酸、N−メチルピロリジン、ポリグリコシル化グリセリド、1−ドデシルアザシクロヘプタン−2−オン(Azone(登録商標)、シクロペンタデカラクトン(CPE−215(登録商標)、アルキル−2−(N,N−二置換アミノ)アルカノアートエステル(NexAct(登録商標)、2−(n−ノニル)−1,3−ジオキソラン(SEPA(登録商標)、Carbomerポリマー、プルロニックゲル、レシチン、トリブロックコポリマー(Pluronic127など)、ならびに、安定剤または中和剤(例えば、BHA、安息香酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、アルカリ形態での他の希釈剤(例えば、水、エタノールなど)などを含むことができる。
【0069】
本発明はさらに、上記で記載される医薬組成物を調製するためのプロセスを包含する。これらのプロセスは一般に、本明細書中上記で記載される有効成分と、医薬的に許容され得るキャリアとを混合することを含む。他の薬剤または活性な薬剤(これらは本明細書中上記で詳述される)が組成物に存在する場合、プロセスは、これらの薬剤を有効成分およびキャリアと一緒に混合することを含む。本発明のプロセスにおいて使用可能である様々な例示的な配合技術が、例えば、Harry’s Cosmeticology(第7版、JB WilkinsonおよびRJ Mooreによる編集、Longmann Scientific&Technical、1982、第13章「化粧品の製造」、757頁〜799頁)に、並びに、経皮薬物送達のための新規なゲル技術の医薬品開発および臨床有効性、Alberti,I.他編、Expert Opinions in Drug Delivery、2:935〜50、2005;粘膜薬物送達:膜、方法論および応用、Song,Y.他、Critical Reviews Therapeutic Drug Carrier Systems、21:195〜256、2004;および、薬物送達システム:過去、現在および未来、Mainardes、R.M.他、Current Drug Targets、5:449〜55、2004に記載される。
【0070】
粒子の投与
特に注目されるHMG Co−Aレダクターゼ阻害剤の1つの形態が、小さい粒子(具体的には、マイクロ粒子またはナノ粒子)の形態においてである。本発明の組成物は、水性媒体におけるスタチンの低い溶解性の結果として、少なくとも1つのHMG−CoAレダクターゼ阻害剤を含む粒子(ナノ粒子またはマイクロ粒子)を時間とともに溶解するか、または、ゆっくり放出する粒子を含む。そのような粒子は、均一なサイズ分布、実質的に均一なサイズ分布または不均一なサイズ分布をもたらすための任意の好都合な様式で形成することができる。大部分において、粒子は、適切な賦形剤において目的とする部位に投与され、組織強化を提供するための十分な時間にわたって目的とする部位に維持される。一般に、粒子はHMG−CoAレダクターゼ阻害剤を約0.5μg/日〜2.5μg/日の範囲での速度で放出し、より通常的には約1μg/日〜2μg/日の範囲での速度で放出する。目的とする部位によって、処置されている組織に関連して直接にHMG−CoAレダクターゼ阻害剤を放出するように、骨組織および/または軟骨組織の強化が存在するに違いない部位、一般には、その部位の約5cm以内であることが意図される。しかしながら、粒子が異なる部位に投与され、効果が粒子からのHMG−CoAレダクターゼ阻害剤の放出に依存する場合があり、この場合には、放出されたHMG−CoAレダクターゼ阻害剤が目的の部位に輸送される場合が存在し得る。
【0071】
粒子は、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤の継続する治療量を指示された処置期間にわたって提供する。投与された粒子はHMG−CoAレダクターゼ阻害剤の比較的均一な放出を所定の処置期間にわたって提供する。投与される粒子組成物および粒子の量を適切に選択することによって、目的とする部位が治療的レベルで薬物にさらされる期間は、制御された組織強化がもたらされる。粒子は、所定の速度でのHMG−CoAレダクターゼ阻害剤のゆっくりした放出を可能にし、その結果、処置期間にわたって、その部位におけるHMG−CoAレダクターゼ阻害剤のレベルが、細胞の活性化および組織の強化をもたらすために十分であるように調製される。粒子は、完全に結晶性のものから、完全に非晶質のものおよび/またはガラス化物に及ぶ、純粋な薬物粒子としての実質的に均一化なHMG−CoAレダクターゼ阻害剤から、キャリア(単一のコア)内に点在する小さい粒子としてのHMG−CoAレダクターゼ阻害剤(速度を制御する表面の膜を含むことができるキャリア(例えば、ヒドロゲルなど)に分散されたHMG−CoAレダクターゼ阻害剤分子)を伴う粒子まで変化し得る。
【0072】
粒子からのHMG−CoAレダクターゼ阻害剤の放出は、非機械的な手段によって、すなわち、物理的および/または化学的な現象によって制御される。これらの現象には、浸透圧、溶解、加水分解、分解、溶媒和、侵食などが含まれ、この場合、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤が目的とする部位の環境にゆっくり放出される。通常、最初は、放出されるHMG−CoAレダクターゼ阻害剤の量が最大にまで増大し、その後、単位時間間隔あたり放出されるHMG−CoAレダクターゼ阻害剤の量がゆっくり低下する曲線が存在し、その後は、しばしば、残留するHMG−CoAレダクターゼ阻害剤が短期間にわたって放出される粒子の崩壊が存在する。平均放出速度は通常、24時間の期間に基づいて、粒子の崩壊に至るまで、約0.5%〜20%の間であり、より通常的には約5%〜20%の間である。望ましくは、崩壊時における残存量はHMG−CoAレダクターゼ阻害剤の最初の量の20%未満であり、好ましくは約15%未満である。
【0073】
粒子の性質およびその形成法に依存して、粒子の実質的に均一なサイズの組成物、または、粒子の不均一なサイズの組成物を得ることができ、この場合、異なるサイズの粒子は、所望される範囲のHMG−CoAレダクターゼ阻害剤濃度を治療的時間間隔にわたって提供するように経時的に異なる放出プロフィルを有する。サイズ分散は、サイズ分画された粒子の2つ以上の群を有することができ、この場合、それぞれの群は、少なくとも約75重量%の粒子がメジアンサイズの50%以内にあるサイズである。代替として、粒子サイズの比較的均一な狭い範囲または広い範囲を得ることができる。
【0074】
キャリアを含む粒子が標準的な状態で生分解性である場合、粒子は生体適合性であり、好都合には生体再吸収性である。そのような粒子は、通常、残渣を全く残さず、また、炎症が存在する場合には最小限の炎症を処置されている部位においてもたらす。少なくとも60重量%(より通常的には少なくとも約70重量%)の粒子が約0.001μm〜100μmのサイズ範囲にあり、一般には、少なくとも約60重量%(より通常的には少なくとも約75重量%)が、均一サイズ組成物についてはメジアンサイズ粒子の約35%以内(好ましくは約20%以内)である。(サイズを示す際には、平均直径が考慮されている)。固体薬物が粉砕または破砕される場合、通常、50重量%超(より通常的には60重量%超)が粒子のメジアンサイズの50%以内である粒子の不均一な混合物が得られる。所望されるならば、粒子は、特定の範囲にある粒子を提供するためのふるい法または他の方法を使用してサイズ分画することができ、この場合、その特定の範囲にある粒子のみが使用されるか、または、異なる範囲の粒子の組合せを使用することができる。不均一な組成物については、狭いサイズ範囲を有する1つ、2つまたは3つの群が存在してもよく、この場合、いずれか1つの群のメジアンサイズは、通常的には、次に小さいメジアンサイズの約100倍を超えず、より通常的には、次に小さいメジアンサイズの約50倍を超えない。群の重量比率は放出プロフィルに依存し、この場合、より小さい粒子は一般に、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤のより多くを早い期間において放出し、一方、より大きい粒子はHMG−CoAレダクターゼ阻害剤をより小さい粒子よりも遅く放出する。
【0075】
キャリアを通常的には伴うナノ粒子またはマイクロ粒子を使用することができる。この場合、これらの粒子群は異なるサイズ範囲に分類される。ナノ粒子は一般には約1nm〜50nmの範囲であり、より通常的には5nm〜25nmの範囲であり、分布は、上記で示された通りである。マイクロ粒子は一般には約1μm〜200μmの範囲であり、より通常的には約5μm〜100nmの範囲であり、分布は、上記で示された通りである。ほんの少数の大きい粒子が重量/サイズ分布を過度に乱し得る。少数の外れた物が存在する場合、示された数字は幾分か外れることがあり、また、そのような外れた物は、一般には組成物の10重量%を超えず、また、その分布に含まれる最大粒子よりも少なくとも1.5倍大きいので、分布において考慮されるべきでないことを理解しなければならない。
【0076】
粒子組成物は、処置される部位の面積に基づいて、約10−5mg/mm2・日〜10−3mg/mm2・日の、目的とする部位におけるHMG−CoAレダクターゼ阻害剤の連続したレベルを提供するために選ばれる。2回以上の注入が伴う場合があり、その結果、粒子組成物により、所定の継続期間が提供される。総日数は以前に示されている。連続した注入が用いられる場合、重なり期間が存在することがあり、この場合には、短い期間(一般には約12時間未満、より通常的には約6時間未満)にわたって放出されているHMG−CoAレダクターゼ阻害剤の総量が、上記で示された量を超えている。治療的レベルを維持しながら、より長い期間を達成するために、粒子の1回又は複数回の投与が、通常的には多くても毎日、好ましくは多くても約3日の間隔で、より通常的には多くても約7日の間隔で、望ましくは多くても約10日の間隔で必要とされる場合があり、また、30日またはそれ以上の間隔での単回服用である場合がある。
【0077】
HMG−CoAレダクターゼ阻害剤は、ガラス状または結晶性の粒子として、何も加えることなく調製することができる。粒子は、サイズが上記で記載されているようにマイクロまたはナノのいずれかが可能であり、また、非晶質または結晶性であってもよく、この場合、結晶性は約0%から100%まで変化し得る。より遅い放出のために、少なくとも実質的には結晶性の粒子が使用され、これに対して、より迅速な放出のためには、非晶質性薬物がより多く存在する。純粋な薬物が所定のサイズ分布に粉砕または破砕される粉末もまた使用することができる。様々な機械的方法を、所望の粉末サイズ分布を提供するために用いることができる。一般に、大きな塊は避けられ、その結果、比較的狭いサイズ分布が得られ、そのようなサイズ分布は、好都合にはナノ粒子またはマイクロ粒子のサイズ範囲に含まれるが、そのような範囲から外れ得る微粉もまた含むことができる。そのような微粉は、一般には組成物の約20重量%未満であり、通常的には組成物の約10重量%未満である。
【0078】
広範囲の様々な粒子組成物を、処置される部位の性質、所望される放出プロフィル、処置のために必要とされるHMG−CoAレダクターゼ阻害剤の量、治療的レベルのHMG−CoAレダクターゼ阻害剤を提供するための時間間隔、および、目的とする部位における粒子の許容される体積に依存して用いることができる。
【0079】
1つ以上の組成物を粒子マトリックスにおいて使用することができ、この場合、1つの組成物を他方の組成物に分散することができ、あるいは、1つの組成物が他方の組成物の部分的または完全な被覆などを形成することができ、また、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤は、所望される遅い放出プロフィルを提供するために内部の粒子(例えば、コア)とすることができ、あるいは、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤を組成物の1つ以上に分散させることができる。使用が見出されるポリマーには、付加ポリマーおよび縮合ポリマーの両方が含まれる。使用が見出されるポリマー組成物は、通常の場合には再吸収可能であり、具体的には生分解性である生体適合性ポリマーであり、そのような生分解性ポリマーには、水溶性ヒドロキシ脂肪族酸(具体的には、α−ヒドロキシ脂肪族酸)、各種オキシラン、ビニル化合物、ウレア誘導体、糖類、オルトエステル、無水物、ヒドロゲルなどのポリマーが含まれる。使用が見出され得る組成物には、ポリ乳酸(PLA)(純粋な光学異性物または異性体の混合物のいずれでも)、ポリグリコール酸(PGA)、乳酸およびその光学活性形態およびグリコール酸のコポリマー(PGLA)、乳酸およびカプロラクトンのコポリマー、グリコール酸およびカプロラクトンのコポリマー、乳酸、グリコール酸およびカプロラクトンのターポリマー、ポリカプロラクトン;ポリヒドロキシ酪酸−ポリヒドロキシ吉草酸コポリマー;ポリ(ラクチド−co−カプロラクトン);ポリエステルアミド;ポリオルトエステル;ポリω−ヒドロキシ酪酸;および、ポリ無水物、前記と、ポリ(エチレングリコール)とのブロックコポリマー、または、前記ポリマーの任意の組合せのコポリマーが含まれる。
【0080】
一般には生体適合性であるが、生分解性ではないポリマーには、下記の様々ポリマーが含まれる:例えば、ポリジエン(例えば、ポリブタジエンなど)、ポリアルケン(例えば、ポリエチレンまたはポリプロピレンなど)、ポリメタクリル酸系(例えば、ポリメタクリル酸メチルまたはポリメタクリル酸ヒドロキシエチルなど)、ポリビニルエーテル、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルエステル(例えば、ポリ酢酸ビニルなど)、ポリスチレン、ポリカーボナート、ポリエステル、セルロースエーテル(例えば、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースまたはヒドロキシプロピルメチルセルロースなど)、セルロースエステル(例えば、酢酸セルロースまたは酢酸酪酸セルロースなど)、多糖およびデンプン、シアノアクリル酸アルキル、ポリウレタンなど。
【0081】
架橋された、生体適合性であるが、生分解性ではないポリマーには、ポリ酢酸ビニル(PVA)、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール(xi−PValc)、ポリアルキレンオキシド(具体的には、ポリエチレンオキシド(PEG))などから調製されるヒドロゲルが含まれ、この場合、ポリマーは架橋され得るか、または、様々な基(例えば、2個〜18個の炭素原子を含む脂肪族酸、および、2個〜3個の炭素原子を含むアルキレンオキシ基など)により修飾され得る。ポリマーは、ホモポリマー、コポリマー、ブロックまたはランダムであってもよく、また、デンドリマーなどを含むことができる。
【0082】
特に注目されるのが、2個〜3個の炭素原子を含むα−ヒドロキシ脂肪族カルボン酸のポリマーまたはコポリマーである。薬物送達配合物のためのラクチド/グリコリドポリマーが、典型的には、ラクチドモノマーおよびグリコリドモノマーの開環による溶融重合によって作製される。いくつかのポリマーは、カルボン酸末端基を伴って、または、カルボン酸末端基を伴うことなく利用することができる。ポリ(ラクチド−co−グリコリド)、ポリ(ラクチド)またはポリ(グリコリド)の末端基がカルボン酸でないとき(例えば、エステルであるとき)、得られるポリマーは、封止処理またはキャップ処理されたとして本明細書中では示される。逆に、封止処理されていないポリマーは末端のカルボキシル基を有する。本明細書中における生分解性ポリマーは封止型または非封止型が可能である。さらなる態様において、線状のラクチド/グリコリドポリマーが使用される。しかしながら、星形ポリマーを同様に使用することができる。低分子量ポリマーまたは中分子量ポリマーが、材料の強度ではなく、ポリマーの再吸収時間が重要である薬物送達のために使用される。ポリマーのラクチド部分が不斉炭素を有する。市販のラセミ型DL−ポリマー、L−ポリマーおよびD−ポリマーを利用することができる。L−ポリマーは、DL−ポリマーよりも大きい結晶性を有し、ゆっくり再吸収される。グリコリドおよびDL−ラクチドまたはL−ラクチドを含むコポリマーに加えて、L−ラクチドおよびDL−ラクチドのコポリマーを利用することができる。加えて、ラクチドまたはグリコリドのホモポリマーを利用することができる。
【0083】
生分解性ポリマーが、ポリ(ラクチド)、ポリ(グリコリド)またはポリ(ラクチド−co−グリコリド)である場合、後者においては、ポリマーにおけるラクチドおよびグリコリドの量が変化し得る。さらなる態様において、生分解性ポリマーは、0モル%〜100モル%、40モル%〜100モル%、50モル%〜100モル%、60モル%〜100モル%、70モル%〜100モル%、または、80モル%〜100モル%のラクチドと、0モル%〜100モル%、0モル%〜60モル%、10モル%〜40モル%、20モル%〜40モル%、または、30モル%〜40モル%のグリコリドとを含有し、ただし、ラクチドおよびグリコリドの量が100モル%である。さらなる態様において、生分解性ポリマーは、ポリ(ラクチド)、95:5のポリ(ラクチド−co−グリコリド)、85:15のポリ(ラクチド−co−グリコリド)、75:25のポリ(ラクチド−co−グリコリド)、65:35のポリ(ラクチド−co−グリコリド)、または、50:50のポリ(ラクチド−co−グリコリド)が可能であり、この場合、比率はモル比である。
【0084】
本発明のために有用であるポリマーは、0.5g/dLの濃度で30℃でクロロホルム中で測定されたとき、0.15dL/g〜2.0dL/g、0.15dL/g〜1.5dL/g、0.25dL/g〜1.5dL/g、0.25dL/g〜1.0dL/g、0.25dL/g〜0.8dL/g、0.25dL/g〜0.6dL/g、または、0.25dL/g〜0.4dL/gの固有粘度を有するポリマーである。さらなる態様において、生分解性ポリマーが、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)、ポリ(ラクチド)またはポリ(グリコリド)であるとき、ポリマーは、0.5g/dLの濃度で30℃でクロロホルム中で測定されたとき、0.15dL/g〜2.0dL/g、0.15dL/g〜1.5dL/g、0.25dL/g〜1.5dL/g、0.25dL/g〜1.0dL/g、0.25dL/g〜0.8dL/g、0.25dL/g〜0.6dL/g、または、0.25dL/g〜0.4dL/gの固有粘度を有する。
【0085】
粒子の他の形態を使用することができる(例えば、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤と、接着性マトリックスまたは他のポリマーマトリックスとの混合物により被覆されたコアなど)。例えば、無機コアを使用することができ(例えば、リン酸カルシウム(例えば、リン酸三カルシウム)、あるいは、他の骨伝導性材料または骨誘導性材料など)、または、有機コアを使用することができる(例えば、ファイバー、メッシュなどの形態でのコラーゲンまたは他のタンパク質、有機ポリマーなど)。ゲルの中で、特に注目されるのが、より低い温度では、容易に流動可能で、注入可能であり、一方、高温では、より堅くなる熱可逆性ゲルである。これは、例えば、HMG−CoAレダクターゼを、具体的には熱感受性物質(例えば、Pluronic F−127など)と組み合わせて粘膜接着性組成物(例えば、Noveonなど)に分散することにより達成することができる。例示的な組成物が、TirnaksizおよびRobinson、Pharmazie、2005、60(7):518〜23に記載される(この参考文献はその全体を参照として特に組み込まれる)。
【0086】
HMG−CoAレダクターゼ阻害剤がマトリックスと混合されるとき、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤の量は通常的には95重量%を超えず、頻繁には60%を超えず、より通常的には50重量%を超えず、また、通常的には約10重量%以上であり、より通常的には約20重量%以上である(これらの重量パーセントがちょうどこれら2つの成分(HMG Co−Aレダクターゼ阻害剤およびマトリックス)に基づくように、粒子は他の成分を有することができる)。2つ以上のポリマーが使用されるとき、それぞれのポリマーが粒子の少なくとも1重量%で存在し、より通常的には、粒子の少なくとも約5重量%で存在する。当然のことではあるが、数多くの異なる理由のために適用され得るポリマー被覆が1%未満であってもよく、この場合には、ポリマー被覆は、粒子の機械的一体性を高めるために、摩耗を低下させるために、潮解もしくは風解を低下させるために、取り扱いおよび流動を容易にするために、または、薬物が粒子から放出される速度を制御するためなどに役立つ。
【0087】
HMG−CoAレダクターゼ阻害剤対ポリマーの重量比率は約0.1〜20:1の範囲であり、より通常的には約0.25〜1.5:1の範囲であり、これは、上記で示された百分率と一致している。
【0088】
粒子組成物および粒子の調製方法は多数である。例示的な特許および特許出願には、米国特許第4687660号、同第5128798号、同第5427798号および同第6510430号、ならびに、米国特許出願公開第2005/0165203号、同第0208134号、同第0255165号、同第0287114号、同第0287196号および同第2006/0057222号、ならびに、それらにおける引用参考文献が含まれる。組成物を選択すること、および、粒子を調製することにおける検討事項を記載する教本には、Organic Chemistry of Drug Design and Drug Action(Richard B.Silverman、1992);Drug Delivery:Engineering Principles for Drug Therapy(W.Mark Salzman、2001);およびPharmacokinetics and Metabolism in Drug Design(Methods and Principles in Medicinal Chemistry)(Dennis A.Smith他、2001)が含まれる。
大部分において、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤およびポリマーマトリックスは、通常的には溶媒の存在下において、一緒に混合される。マトリックス物質へのHMG−CoAレダクターゼ阻害剤の滴下による添加を使用することができる。溶媒を除いた後、粒子は洗浄およびサイズ分画することができる。粒子の調製において使用することができる他の添加剤には、界面活性剤(具体的には、ポリマー界面活性剤、例えば、ポリ(ビニルアルコール)の部分的加水分解物(例えば、4モルパーセント〜90モルパーセント)など)が含まれる。
【0089】
粒子は低粘度の媒体における流動可能な混合物として使用することができ、あるいは、粒子が適用されることになる部位に依存してさらに形成することができる多孔性の塊または形態にするために焼結または塊状化することができ、あるいは、骨セメント物質に導入することなどができる。粒子は、様々な様式で、多孔性の塊または形態にするために結合させることができる。粒子マトリックスを軟らかくし、これにより、粒子が結合することをもたらす部分的溶媒または柔軟化剤を使用することができる。好都合なことに、粒子は、所望の形態を提供する入れ物または容器に詰めることができ、あるいは、さらに改変することができる形態を提供することができ、また、部分的溶媒を、粒子の表面を軟らかくするために詰め物に通すことができる。その後、粒子は、部分的溶媒が、部分的溶媒を除き、かつ、粒子の固体表面を再形成するために可溶性である非溶媒により繰り返し洗浄される。代替として、粒子は、穏やかな温度で、一般には60℃未満の温度で焼結することができ、それにより、表面が軟らかくなり、粒子が結合する。
【0090】
粒子は、自身によって、または、他の物質との併用で多孔性の塊にすることができ、この場合、そのような他の物質は、好都合には、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤粒子について示されたサイズ範囲であり、また、多孔性の塊を形成するための適切な性質を有しており、例えば、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤を含有する粒子と同じ組成またはポリマーマトリックスを有するか、あるいは、処置に対して、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤を含有する粒子と同じ様式で応答する。これらの他の粒子には、骨誘導性および/または骨伝導性の物質、例えば、リン酸カルシウム、ヒドロキシアパタイトまたは他の望ましい添加剤などが含まれ得る。焼結条件は、多孔性の所望される程度、粒子を作製するために使用される物質、および、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤の放出に対する焼結の影響などに実質的に依存する。
【0091】
粒子が、構造を提供するマトリックスまたは形態に存在する場合、粒子は適切な位置に機械的に固定することができる。好都合には、粒子を処置されている部位の近くに並置して保持する骨固定または腱固定を使用することができる。
【0092】
HMG−CoAレダクターゼ阻害剤が粒子に存在するか、または、分子的に分散されるか、または、構造体において提供される様々な形成された構造体を使用することができ、この場合、構造体は含浸され、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤が構造材料に埋め込まれるか、または、構造材料上に被覆される。これらの構造体は、処置のための目的とする部位に合致するように形成することができる。構造体は、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤が構造体または被覆と関係する様式による所望の速度でのHMG−CoAレダクターゼ阻害剤の放出を可能にし、あるいは、他の手段を、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤の放出速度を制御するために使用することができる。
【0093】
他の活性な成分を粒子に、または、粒子が分散される媒体に含ませることができる。注目されるのが、組織の成長または浸潤を促進させるそのような薬剤(例えば、増殖因子など)である。この目的のための例示的な増殖因子には、上皮増殖因子(EGF)、線維芽細胞増殖因子(FGF)、血小板由来増殖因子(PDGF)、トランスフォーミング増殖因子(TGF)、副甲状腺ホルモン(PTH)、白血病阻害因子(LIF)およびインスリン様増殖因子(IGF)などが含まれる。骨の成長を促進させる薬剤、例えば、骨形態形成タンパク質(米国特許第4761471号;PCT国際特許出願公開WO90/11366)、オステオゲニン(Sampath他、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1987)、84:7109〜13)およびNaF(Tencer他、J.Biomed.Mat.Res.(1989)、23:571〜89)などもまた意図される。しかしながら、大部分において、これらのタンパク質は様々な困難を配合およびそれらの放出の制御においてもたらすので、これらの化合物は粒子に含まれない。
【0094】
含めることができる他の活性な成分が、自家移植片および同種移植片と同様に、骨伝導性および骨誘導性である成分、例えば、アロプラスト、無機質除去骨、ヒドロキシアパタイト、リン酸カルシウム、セラミック、リン酸三カルシウム、コラーゲン、プロテオグリカン、キトサンなどである。これらの組成物は、組織のモデリングにおける足場として役立ち得る。これらが使用される限りにおいては、それらは、一次処置に対する補助的薬剤として使用される。これらの補助的薬剤は、対象となる粒子とは別個に投与することができ、または、対象となる粒子とともに一緒に混合することができる。
【0095】
粒子の投与方法には、注入、手術による設置(この場合、手術による据え付けは、事前に形成されたディスクまたは形状化された材料であり得る)、注入可能な液体から半固体または固体の構造体への転換を、温度、pH、イオン強度、水または溶媒の浸透圧喪失などにおける変化によって受けることができる凝固系の注入が含まれる。これらの補助的物質の使用される量は従来的であり得るか、または、対象となる粒子の活性に照らして半分以下に減らすことができる。
【0096】
加えて、粒子との併用において、粒子を投与部位に維持する接着剤を使用することができる。場合により、粒子マトリックスの組成物が、粒子を部位に結合するために役立つ場合があり、その結果、さらなる接着性材料が必要でなくなる。部位の性質(例えば、骨折、補綴物の導入、虫歯などなど)に依存して、生物学的接着剤が有用な補助剤として役立ち得る。バイオ接着剤には、Bioglue、シアノアクリラート、フィブリン、トランスグルタミナーゼ、コラーゲン、ヒアルロン酸、フィブリンなどが含まれる。バイオ接着剤の量は、目的とする具体的な部位に依存し、従来の様式で使用され、一般にはポリマーについて上記で示された範囲で使用される。バイオ接着剤はポリマーマトリックスとして使用することができ、または、上記で示されたポリマーマトリックスとの組合せで使用することができる。
【0097】
媒体および/または粒子に含めることができる補助的な物質には、酸化防止剤、抗生物質、抗炎症剤、免疫抑制剤、保存剤、鎮痛剤、他の治療剤および賦形剤が含まれる。
【0098】
一般に、粒子は、粒子含有媒体の粘度が従来の様式による目的とする部位へのその適用を可能にする場合、流動可能な媒体、分散物、スラリーなどに分散される。液体媒体については、生理的食塩水、リン酸塩緩衝化生理的食塩水、グリコール、ポリアルキレンオキシ化合物、これらの組合せ、または、他の医薬的に許容され得るキャリアで、粒子の劣化を引き起こさないものを用いることができる。望ましくは、粒子は、媒体における少なくとも約1重量%未満の溶解性を有しなければならず、より望ましくは、少なくとも約0.5重量%未満の溶解性を有しなければならない。他の状況では、チキソトロピー性ゲル、分散物、ペースト、キトサン、コラーゲンゲル、プロテオグリカン、フィブリンおよびフィブリン塊を用いることができる。増粘剤には、セルロース系ポリマーおよびその誘導体(例えば、メチルセルロースなど)、キサンタンガムおよびその誘導体、ポリアクリアミド、アルギン酸塩、コラーゲン、シアノアクリラート、ヒアルロン酸、ムチンおよび他のポリペプチド生体ポリマー、コンドロイチン硫酸、グルコサミン、プルロニックポリマー、ケラチン硫酸、デルマタン硫酸などが含まれる。
【0099】
粒子の注入については、注入体積は通常的には20μl〜2000μlの範囲であり、より通常的には約100μl〜1000μlの範囲である。粒子の濃度は一般には約0.01mg/ml〜50mg/mlの範囲であり、より通常的には約0.1mg/ml〜25mg/mlの範囲である。構造化された形態物の設置については、形態物は、この分野では知られているようにその部位について適切に形状化されるので、目的とする部位と一緒になる。
【0100】
粒子の様々な投与様式を、目的とする部位、皮膚が破れ、その結果、部位が直接に処置可能であるかどうか、処置の性質などに依存して使用することができる。皮膚が無傷であり、目的とする部位を覆っている場合、通常的には、組成物が、粒子の容易な通過を可能にするための十分なサイズのニードルを使用して注入によって投与される。部位が処置可能である場合、対象となる粒子組成物を、シリンジ、手術による埋め込みを使用して部位に直接に適用することができ、また、乾燥粉末、ポンプ、エアロゾル注入、局所適用などとして適用することができる。
【0101】
下記の実施例は例示として提供され、限定としては提供されない。
【実施例】
【0102】
材料および方法
経皮的
経皮研究1
化学物質
ロバスタチンをStason Pharmaceuticals Incorporated(Irvine、CA)から得た。HMG−CoA、トリエタノールアミン(TEA)、デメクロサイクリン、ジメチルスルホキシド(DMSO)およびカルセインをSigma−Aldrich(St.Louis、MO)から得た。グルタリル−3−[14C]HMG−CoAをAmersham Biosceinces(Piscataway、NJ)から購入し、NADPHおよびジチオスレイトール(DTT)をCalbiochem(San Diego、CA)から得た。メチルセルロースをICN(Aurora、OH)から得た。親水性ワセリンをAmbix Laboratories(East Rutherford、NJ)から得た。Carbomer940をNoveon,Inc.(Cleveland、OH)から得た。コレステロールNFおよびブチル化ヒドロキシアニソールNF(BHA)をPCCA(Houston、TX)から得た。AG1−X8樹脂およびPoly PrepカラムをBio−Rad Laboratories(Hercules、CA)から得た。ケタミンをFort Dodge Animal Health,Wyeth(Madison、NJ)から得た。DomitorおよびAntisedanをPfizer(New York、NY)から得た。オステオカルシンキットをBiomedical Technologies Inc.(Stoughton、MA)から得た。
【0103】
HMG−CoAレダクターゼ活性の測定
単回服用の後でのロバスタチン等価物の血漿濃度を、広く記載されるHMG−CoAレダクターゼ阻害アッセイ[Germershausen JI、Hunt VM、Bostedor RG、Bailey PJ、Karkas JD、Alberts AW(1989)、インビボでのラットにおけるコレステロール低下薬剤(ロバスタチン、シンバスタチンおよびプラバスタチン)の組織選択性、Biochem Biophys Res Commun、158:667〜675]の改変を使用していくつかの時点で測定した。このアッセイで使用された可溶性のラット肝臓HMG−CoAレダクターゼをラットの肝臓ミクロソームから調製した[Heller RA、Gould RG(1973)、肝臓の3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル補酵素、レダクターゼの可溶化および実用的精製、Biochem Biophys Res Commun、50:859〜865]。血漿を、経口投与または経皮投与でのロバスタチンの単回服用の後、1時間、3時間、6時間および24時間でラットから抜き取った。薬物の濃度を、処置されたラットの血漿における阻害活性の量を、ロバスタチンの活性な開環形態を正常なラット血漿に加えることにより作製された標準曲線に対して比較することによって求めた。これは、ロバスタチンの薬物動態学/薬力学を研究する標準的な方法である。何故なら、この薬物は、報告によれば、いくつかの活性な代謝物を有するからである[14〜16]。ロバスタチン同等物の血漿濃度−時間曲線の曲線下面積(AUC0−24hr)を、ロバスタチンの経口適用および皮膚適用の両方について台形法を使用して計算した。経口投与については、ロバスタチンの懸濁物を0.5%メチルセルロースにおいて調製し、胃管投与によって投与した。経皮投与については、ロバスタチンを最初に100%DMSOと混合し、続く実験では、親水性ワセリンと混合し、剃毛後の動物の背中に塗布した(塗布面積=6.45cm2)。その後の実験では、皮膚配合物を改変し、水、エタノール、Carbomer940、コレステロール、BHAおよびTEAを含有するカルボマーに基づいた配合物を含む水性アルカノールゲルを使用した。
【0104】
血清生化学
血液サンプルを、肝臓酵素および筋肉酵素(アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、アルカリホスファターゼ(AP)および乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH))を放射性免疫アッセイ(Esoterix、San Antonio、TX)によって求めるために、5日間の処置が終了したときに得た。血清中のクレアチンプロテインキナーゼ(CPK)の速度論的定量測定を、Stanbio Laboratory(Boerne、Texas)から得られるキットを使用して推定した。オステオカルシンの濃度を、Biomedical Technologies Inc.によって供給されるサンドイッチELISAアッセイを使用して測定した。
【0105】
骨に対するスタチンの影響の評価
3ヶ月齢の未交尾のメスSprague DawleyラットをHarlan Laboratories、LTD(Indianapolis、IN)から得た。実験を、無傷のラット、両側卵巣摘出(OVX)ラットまたは偽手術(SHAM)ラットのいずれかを使用して行い、処置を後者の群では手術後5日で開始した。ラットを体重一致させ、処置群(n=10)に分けた。化合物を毎日の経皮適用によって5日間だけ投与し、または、屠殺されるときには、5日/週で5週間にわたって投与した。動物は実験期間を通してペアフィードにより飼育され、毎週、体重が測定され、投薬量がそれに従って調節された。実験が完了したとき、動物を100mg/kg体重の用量でケタミン(10mg/ml)により麻酔し、頸椎脱臼によって安楽死させた。研究プロトコルはテキサス大学健康科学センター(San Antonio、Texas)の動物管理使用委員会によって承認された。
【0106】
屠殺後、大腿骨および脛骨の両方を取り出し、軟組織を取り除き、10%ホルマリンにおいて48時間、固定処理し、その後、70%ETOHに保存し、組織学のために調製した。組織形態計測分析を、半自動式のOsteomeasure System(Osteometrics,Inc.、Atlanta、GA)およびデジタル化パッドを使用して、また、標準的な組織形態計測技術に従うことによって行った。骨体積、小柱の数、厚さおよび間隔、細胞数、ならびに、動的パラメーターを、Parfitt他[Parfitt AM(1988)、骨組織形態学:命名法、記号および単位の標準化。提案されたシステムの概要、J Bone Miner Res、4:1〜5]によって以前に記載されたように求めた。骨形成速度(BFR)および無機質付着速度(MAR)を、屠殺の10日前および4日前に腹腔内に与えられたデメクロサイクリン注射およびカルセイン注射(それぞれ、15mg/kg/体重および20mg/kg/体重)の後でプラスチック包埋切片において測定した。MARについての値は海綿質骨における切片面の傾斜度について補正された。ラットはマウスデンシトメーターPiximus(GE Medical Systems)により評価され、骨無機質密度(BMD)(これは、骨無機質含有量(g)を突き出た骨面積(cm2)により除算することによって計算された)が、時間0および5週間で脛骨の近位側の1/3について評価された。ラットの遠位側大腿骨のマイクロコンピューター断層撮影法(μ−CT)分析が、依頼に応じて、Phil Salmon(Skyscan、ベルギー)によって行われた。骨が、100kVのx線管電圧を用いるSkyscan Model 1072を使用して走査され、10.13μmのピクセルサイズを得るために拡大された。データは平均標準誤差(SEM)として表される。群間の統計学的差異を一元配置分散分析(ANOVA)により評価した。すべての群に関して行われた分散分析が群の間で有意に異なったときには、2つの群の間における統計学的差異を、続いて、Tukey多重比較検定を使用して分析した。0.05未満のpを有意であると見なした。
【0107】
大腿骨の生化学的検査
3ヶ月齢のラットに賦形剤または経皮ロバスタチンを与えた(1mg/kg/日、5日間)。投薬後4週間で、ラットを安楽死させ、大腿骨を取り出し、凍結保存した。サンプルを検査当日に室温に解凍し、残っている軟組織を取り除いた。機械的特性を得るために、大腿骨を、Endura TEC機械的試験システム(Elf3300、Bose Corporation、Minnetonka、MN)による三点曲げに供した。それぞれのラット大腿骨を(12mm離れた)支持ローラーの上に水平に設置し、その結果、垂直の円形インデンターが大腿骨に負荷を加え、中間側が前に出て、頭部側が下がるようにした(すなわち、曲げが中間−側方の軸の周りで生じた)。力−変位曲線を、インデンターが3mm/秒の速度で大腿骨の中央骨幹内に移動したときに記録した。構造的特性を負荷変形曲線から直接に得た。
【0108】
結果
図1は、経口投与または経皮投与されたロバスタチンの単回服用の後、1時間、3時間、6時間および24時間での無傷ラットの血漿ロバスタチンレベルを示す。薬物のレベルを、材料および方法において記載されるように求めた。経口ロバスタチンが0.5%メチルセルロースにおいて胃管投与によって投与された。比較のために、ロバスタチンが、100%DMSOを賦形剤として使用して、剃毛後のラットの背中への塗布により経皮投与された。ロバスタチンの2つの異なる用量が、パネルaおよびパネルbに示されるように投与された。ロバスタチンの皮膚適用は、薬物が経口投与されたときよりも大きく、変動が少なく、また、長く持続したロバスタチンの血漿濃度をもたらした。類似する結果が、親水性ワセリンが賦形剤としてのDMSOに代わって使用されたとき、ロバスタチンの皮膚適用により得られた(データは示されず)。皮膚適用されたときのロバスタチンの骨影響を明らかにするために、実験を3ヶ月齢の無傷ラットおよびovx/shamラットにおいて行った。ロバスタチンを親水性ワセリンと混合し、1mg/kg/日および5mg/kg/日の用量で、最初の5日間、剃毛後の動物の背中に適用した。コントロール群は親水性ワセリンのみを受けた。5日間の処置が終了したとき、血清を、肝臓酵素および筋肉酵素(ALT、AST、AP、LDHおよびCPK)を測定するために得た。ロバスタチン処置群と、賦形剤処置群との間における変化は何ら観測されなかった(下記の表1)。
【0109】
すべての動物を、処置が中断された4週間後に屠殺し、骨を、材料および方法において記載されるように、無機質除去切片および無機質非除去切片における定量的な骨組織形態計測のために集めた。無傷ラットにおける皮膚ロバスタチンの毎週の投与は、賦形剤処置のコントロールに対して、BMDにおける8%の増大(p<0.05)をもたらした(図2)。骨の組織形態計測結果が図3に示される。近位側脛骨骨幹端における骨体積が、図3aに例示されるように、無傷ラットが1mg/kg/日および5mg/kg/日により5日間だけ処置されたときには著しく増大した(それぞれ、17%および33%)。皮膚ロバスタチンによる5日間のOVXラットの処置は、骨体積を、最も低い用量でさえ、賦形剤処置のOVXラットに対して比較されたとき、50%を超えて増大させた(図3b)。図4に示されるように、OVX後4週間で、海綿質骨量が、予想されたように、賦形剤処置のSHAMコントロールと比較して、賦形剤処置のOVXラットの近位側脛骨では著しく低下した(32%)。OVXラットが皮膚ロバスタチン(1mg/kg/日)により処置されたとき、賦形剤により処置されたOVXラットに対して比較される骨体積における50%の増大が認められた。卵巣摘出は、小柱の厚さ、小柱の数および小柱の間隔における著しい変化によって明白に示されるように、小柱骨構造の構造的指標の低下をもたらした(SHAMコントロールに対して比較されたとき)。皮膚ロバスタチンによるOVX動物の処置はこれらの変化を部分的に防止した(図5)。
【0110】
ロバスタチンの経皮投与の後での小柱骨の体積における増大には、図6において明らかにされるように、OVXラットにおいてさえ、骨形成速度(BFR)における著しい増大が伴った。BFRにおける増大は、主として、わずかに強化された無機質付着速度を伴う活性な無機質化表面の実質的な増大のためであった。骨形成速度もまた、無傷ラットでは著しく増大した(5mg/kg/日において166%、データは示されず)。μCTによって測定された小柱構造は、コントロールに対して、ロバスタチン処置された無傷ラットの遠位側大腿骨骨幹端におけるより大きい海綿質骨体積を示した(図7)。骨体積におけるこの増大には、小柱の厚さおよび数における増大、ならびに、低下した小柱間隔が伴った。まとめると、これらのデータは、この動物モデルにおける皮膚ロバスタチンの実質的な同化作用を示唆する。
【0111】
ロバスタチンについての皮膚配合物の特性および特徴を改善するために、カルボマー940に基づく水性アルカノールゲルを開発し、体内分布研究を行って、このゲルを親水性ワセリンと比較した。親水性ワセリンまたは水性アルカノールゲルのいずれかでのロバスタチンによる皮膚処置の単回服用の1時間後、3時間後、6時間後および24時間後での血漿薬物レベルを、以前に記載されたような膜結合HMG−CoAレダクターゼアッセイの阻害によって評価した。結果が図8に示される。このゲル配合物は、親水性ワセリンにより得られる血漿レベルよりも大きい血漿レベルを伴ってロバスタチンの皮膚吸収を増大させた。ピーク血漿レベルが、親水性ワセリンを使用して3時間以内に達成され、また、水性アルカノールゲルにより最初の1時間以内に達成された。水性アルカノールゲルについての血漿濃度曲線下面積(AUC0−24hr)は、試験された両方の用量においてワセリン配合物の血漿濃度曲線下面積(AUC0−24hr)の2倍を超えていた。水性アルカノールゲルは、ロバスタチンの生物学的利用能を改善するようであったので、sham/ovxラットにおける全身的実験を、骨における薬物の効力が改善され得るかを明らかにするために、このゲルを賦形剤として使用して行った。水性アルカノールゲルにおいて皮膚に適用されたとき、ロバスタチンは骨体積を試験されたすべての用量(0.01mg/kg/日〜0.5mg/kg/日)で増大させ、これは、骨組織形態計測によって評価されたとき、0.01mg/kg/日において著しかった(図9)。試験された最も低い用量では、小柱の数における著しい増大および小柱の間隔における著しい減少もまた認められた(データは示されず)。26日目に、血清をオステオカルシン測定のために集めた。図10に示されるように、オステオカルシンレベルにおける著しい増大が、試験されたより低い用量(0.01mg/kg/日)において認められた。処置が終了したとき、著しい変化が肝臓および筋肉骨格組織の酵素(AST、ALT、AP、LDHおよびCPK)において検出されなかった。CPK測定の結果が図11に示される。
【0112】
骨に対する経皮ロバスタチンの影響をさらに評価するために、無傷大腿骨の生化学的特性を、改善された配合物を使用するロバスタチンによる5日間の処置の後で評価した。生化学的特性を、材料および方法において記載されるような三点曲げを使用して求めた。生化学的データが下記の表2に示される。
【0113】
著しい増大が、皮膚ロバスタチンにより処置されたラットの大腿骨の曲げ強度において認められた(コントロールに対して19%の増大)。このことは、処置されたラットが、非処置群よりも大きい強度を有する骨を有し、従って、処置されたラットはより大きい力に耐えることができたことを示している。有意ではないが、ロバスタチン誘導による変化についての傾向が、得られた生化学的パラメーターのすべてにおいて存在した。
【0114】
この研究の結果は、経皮投与されたロバスタチンが、経口投与後のHMG−CoAレダクターゼ阻害剤活性の血漿濃度よりも大きく、長く維持され、また、変動が少ないHMG−CoAレダクターゼ阻害剤活性の血漿濃度をもたらすことを示す(図1および図8)。そのうえ、データはまた、骨形成速度が、0.01mg/kg体重の用量を使用する経皮ロバスタチンに5日間だけさらされた後で顕著に増大することを示唆する。この用量は、薬物が経口投与されるときに骨形成に対する生物学的影響を生じさせるために要求される用量のおよそ1/1000であることに気付くことは重要である[Mundy GR、Garrett IR、Harris SE、Chan J、Chen D、Rossini G、Boyce BF、Zhao M、Gutierrez G(1999)、スタチンによるインビトロおよび齧歯類における骨形成の刺激、Science、286:1946〜1949]。これらのラットは依然として、30日後も、コントロールラットの骨形成速度を150%以上超えたままであった[Parfitt AM(1988)、骨組織形態学:命名法、記号および単位の標準化。提案されたシステムの概要、J Bone Miner Res、4:1〜5]。骨形成速度における増大はまた、骨無機質密度測定または定量的組織形態計測のいずれかによって測定されるとき、小柱骨体積における実質的な増大に関連する。経皮ロバスタチンはまた、小柱の厚さ、数および間隔、骨髄スター(star)体積、フラクタル次元、小柱骨パターン因子、ならびに、構造分析によって評価されるとき、海綿質骨の結合性を増大させた。これらの影響のいくつかは平坦な用量応答曲線を呈する(図3および図9)。この挙動は、非常に小さい用量までもが、骨形成を生じさせる事象のカスケードを開始させるために十分である誘因現象の結果であるかもしれない(下記参照)。代わりとして、作用部位への取り込みが低い薬物濃度で飽和するかもしれない。機構が何であれ、平坦な濃度−影響が、ベンゾジアゼピン系薬剤(すなわち、無呼吸の継続期間)およびベータ遮断剤(すなわち、血圧低下作用の強さ)を含めて、多くの薬物について報告されている(Reves JG、Fragen RJ、Vinik HR、Greenblatt DJ(1985)、ミダゾラム:薬理学および使用、Anesthesiology、62:310〜24;Love JN(1994)、ベータ遮断剤の毒性:臨床診断、Am J Emerg Med、12:356〜7)。スタチンの一部は、骨形成をインビトロで、また、卵巣摘出(OVX)ラットおよび無傷ラットにおいてインビボで高めることが示されている[Love JN(1994)、ベータ遮断剤の毒性:臨床診断、Am J Emerg Med、12:356〜7;Frans J、Maritz Maria M、Conradie Philippa A、Hulley Razeen Gopal、Stephan Hough(2001)、齧歯類における骨無機質密度および骨組織形態計測に対するスタチンの影響、Arterioscler,Thromb Vasc Biol、21:1636;Oxlund H、Dalstra M、Andreassen TT(2001)、成体の16匹のラットに経口投与されたスタチンは海綿質骨量および圧縮強度を増大させる、Calcif Tissue Int、69:299〜304;Oxlund H、Andreassen TT(2004)、シンバスタチン処置は、皮質骨形成を増大させながら、卵巣摘出誘導による骨喪失を部分的に防止する、Bone、34:609〜18]。しかしながら、齧歯類における骨関連のインビボ活性のために要求される用量は、mg/kgに基づいてヒトに対して外挿されるならば、コレステロールを低下させるために使用される用量よりも何倍も大きい(10mg/kg対0.1mg/kg)。このことは、骨粗鬆症の成功した処置および/または防止のためのスタチンの経口投与のために要求される用量は大きすぎて、受け入れられない毒性を伴うことを示している。実際、スタチンが骨から抽出され、HMG−CoAレダクターゼ阻害アッセイによって測定されたとき、極めて低いスタチンレベルが、過度に大きい経口投薬(50mg/kg/日)による場合でさえ、骨格において検出された(未発表データ)。末梢分布を、経皮投与を使用することによって改善することにより、より高い血漿スタチンレベルおよび高まった骨同化作用がもたらされた。これらの作用が、投与された薬剤の著しくより低い用量において、また、5日間だけで達成された。
【0115】
ロバスタチンの経皮適用の1つの大きな関心事は、骨形成を刺激するために要求される用量において筋毒性が出現することの可能性であった。しかしながら、筋毒性は、骨格筋のCPK測定および形態学的検査によって評価されるように、50mg/kg/日までの用量を使用して観測されなかった(データは示されず)。50mg/kg/日の投薬量レベルは、骨形成を刺激することにおいて効果的であることが見出された0.01mg/kgの実験的投薬量レベルからの5000倍の増大に相当する。経口投与後の筋毒性に関わる機構は依然として不明のままであり、さらなる研究を必要とする。現在の結果は、筋毒性が、骨形成を刺激するために使用される用量で経皮投与により生じないことを示す。
【0116】
スタチンは非常に安全な薬物であるが、希に、悲劇的な2つの毒性作用、具体的には、急性腎不全を伴う肝壊死および横紋筋融解を伴う。経口投与後、吸収された薬物の多くが肝臓に分配され、その後、(肝静脈/大静脈を介して)全身循環に到達する。従って、肝臓は、肝臓が経皮投与または非経口投与の後で受けるよりもはるかに大きい、経口投与された薬物に対する初期暴露を受ける。さらには、予備的結果では、骨に対する肯定的な作用を生じさせたロバスタチンの総経皮用量が、同じ作用を生じさせるために必要とされた経口用量よりもはるかに低いことが示唆された。得られる証拠では、重大なスタチン毒性および軽微なスタチン毒性の両方(例えば、上昇した肝臓酵素)が用量依存的であることが示唆されるので、この薬物の経皮送達は、有益な結果を依然として達成しながら、肝毒性および筋毒性を最小限に抑えるための機構を提供するに違いない。チトクロームP450 3A酵素が、ロバスタチンの経口投与の後でヒトの胆汁に存在する薬理学的に不活性な代謝物のほとんどの形成に関与することもまた示されている[Wang RW、Kari PH、Lu AYH、Thomas PE、Guengerich FPおよびVyas KP(1991)、ロバスタチンの生物転換:IV.ラットおよびヒトの肝臓ミクロソームにおけるロバスタチンの酸化的代謝に関わる主要な酵素としてのチトクロームP450 3Aタンパク質の特定、Arch Biochem Biophys、290:355〜361]。この薬物の代謝物のみが胆汁において検出され、ロバスタチンまたはその開環形態の証拠は何らない[Wang RW、Kari PH、Lu AYH、Thomas PE、Guengerich FPおよびVyas KP(1991)、ロバスタチンの生物転換:IV.ラットおよびヒトの肝臓ミクロソームにおけるロバスタチンの酸化的代謝に関わる主要な酵素としてのチトクロームP450 3Aタンパク質の特定、Arch Biochem Biophys、290:355〜361]。肝臓による代謝の後におけるロバスタチンの2つの主生成物が6’−ヒドロキシロバスタチンおよび6’−エキソメチレンロバスタチンである。肝臓における6’−ヒドロキシロバスタチン形成が、特異的なCYP3A阻害剤のシクロスポリン、ケトコナゾールおよびトロレアンドマイシンによって、また、潜在的には、チトクロームP450 3Aに対する多くの他の基質によって阻害される[Jacobsen W、Kirchner G、Hallensleben K、Mancinell L、Deters M、Hackbarth I、Benet LZ、Sewing KF、Christians U(1999)、肝臓における3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル−CoAレダクターゼ阻害剤(ロバスタチンおよびプラバスタチン)のチトクロームP450依存的代謝および薬物相互作用の比較、Drug Metab Dispos、27:173〜9]。これらの相互作用は通常、初回通過代謝(肝臓および/または腸壁)の程度の実質的な低下、および、全身クリアランスのいくらかの低下を伴う。経皮投与では、当然のことながら、これらの相互作用の初回通過成分が除かれる。さらには、皮膚過敏の可能性、または、適用部位における皮膚の下部で直接に組織に対する毒性の可能性は別にすれば、同一用量の経皮投与がどのように、経口投与された薬物と同じくらい毒性であり得るかを仮定することは困難である。
【0117】
従って、効力が、経口による活性のために要求される用量の小さい割合である経皮用量において認められた。また、薬理学的理論および得られる臨床での観測結果[Chen HS、Gross JF(1980)、抗ガン薬物の動脈内注入:薬物送達の理論的側面および応答の概説、Cancer Treat Rep、64:31〜40;Bland LB、Garzotto M、DeLoughery TG、Ryan CW、Schuff KG、Wersinger EM、Lemmon D、Beer TM(2005)、アンドロゲン非依存性前立腺ガンにおける経皮エストラジオールの第II相研究、Cancer、103:717〜23;Utian WH(1987)、経皮エストラジオールの全体的安全性プロフィル、Am J Obstet Gynecol、156:1335〜8;Werne H、Pohlenz J、Schonberger W(1995)、ウルリッヒ・ターナー症候群の患者における肝臓酵素に対するエストロゲン/ゲスタゲン置換治療響、Eur J Pediatr、154:807〜10]は、少なくとも肝毒性に関してはより大きい固有的安全性を示唆する。
実験1−全身投与
(PO−経口胃管投与;TD−経皮)
この研究は5つ群(n=12)からなった。
群1. 賦形剤
群2. ロバスタチンPO 10mg/kg/日
群3. ロバスタチンPO 25mg/kg/日
群4. ロバスタチンTD 1mg/kg/日
群5. ロバスタチンTD 2.5mg/kg/日
実験2−全身投与
この研究は5つ群(n=12)からなった。
群1. 賦形剤
群2. ロバスタチンTD 0.1mg/kg/日
群3. ロバスタチンTD 1mg/kg/日
群4. ロバスタチンTD 5mg/kg/日
群5. ロバスタチンPO 5mg/kg/日
【0118】
X線写真
実験1−全身投与のロバスタチン
2週間でのX線写真が、皮質の再架橋および治癒の促進に基づいた、究者の1人により考案されたスコア化尺度を使用して、2名の研究者によって、何も知らされることなく評価された(図12)。スコア化は、何も知らされていない観測者が皮質の再架橋化を下記の尺度に基づいて評価することに基づいた:
【0119】
まとめると、経皮ロバスタチンは2週間で両方の用量において際立った効果を引き起こし、一方、経口ロバスタチン処置は賦形剤処置のコントロールからの違いを何ら示さなかった。経皮ロバスタチンを受けているラットの放射線学的評価は、高まった骨折修復を示し、その結果、完全な治癒が6週目までに認められた(図12)。しかしながら、1mg/kg/日と、2.5mg/kg/日との間には違いがなかった。高用量(10mg/kgおよび25mg/kg)での経口処置は、6週間において、処置群と、コントロール群との間に違いを何ら示さなかった。これらの結果は、経口では大きい用量において、骨折修復の強化が何ら認められず、より低い経皮用量において、骨折修復の強化が認められるが、最大が5日間にわたる2.5mg/kg/日での服用のときに達成されたことを示唆する。このことは、ロバスタチンの経皮送達のために要求される最大用量が2.5mg/kg/日であること、および、10mg/kg/日の経口投薬は効果がないことを示している。経皮投薬について、最も効果的な用量が5日間の0.1mg/kg/日であることが明らかである。
【0120】
実験1−全身送達のロバスタチン
6週間において、経皮ロバスタチンにより処置されたラットの大腿骨はコントロールよりも著しく強くなっていた。骨を折るために要求された力は、賦形剤処置のコントロールよりも42%大きかった。しかしながら、2.5mg/kgの5日間の経皮用量は、骨を折るために、1mg/kg/日の用量よりも低い最大力をもたらしたことが明らかである。これらの結果は、より大きい用量は必ずしもより良好でなく、有害であると考えられることを示している。経口ロバスタチンは10mg/kg/日および25mg/kg/日で効果を何ら有しなかった。このことは、経口用量が、これらの大きい用量においてさえ効果的でないことを示している。図13を参照のこと。
【0121】
実験2−全身送達のロバスタチン
6週間において、経皮ロバスタチンにより処置されたラットの大腿骨はコントロールよりも著しく強くなっていた。骨を折るために要求された力は、0.1mg/kg/日のTDロバスタチンを使用するとき、賦形剤処置のコントロールよりも42%大きかった。このデータから、この実験についてX線写真により見られる結果が確認される−0.1mg/kg/日よりも大きい用量は、骨を折るための低下した最大力をもたらした。経口ロバスタチンは5mg/kg/日において効果を全く有しなかった。図14を参照のこと。
【0122】
経口ロバスタチンは、より大きい用量が試験された以前の実験において堅さにおける増大を示した一方で、5mg/kg/日でのこの実験では効果が何らなかった。このデータから、この実験についてX線写真および最大力より見られる結果が確認される−0.1mg/kg/日よりも大きい用量は、これらの骨を折るための低下した最大力をもたらした。図15を参照のこと。
【0123】
血漿ロバスタチンレベル
実験2−全身送達のロバスタチン
血漿を最後の服用の3時間後にラットから採取し、ロバスタチンを質量分析法によって測定した。図16−最後の服用の3時間後、5mg/kg/日での経口投薬は10ng/mlとして現れ、これに対して、最も効果的な経皮用量(0.1mg/kg/日および1mg/kg/日)は、ほんの2ng/ml〜3ng/mlにすぎない血漿ロバスタチンレベルを示した。経皮投与からの効果的な血漿レベルは2ng/ml〜3ng/mlの程度である。
【0124】
ナノ粒子
ナノ粒子研究1
ナノ粒子の調製:
下記の成分を混合する:
ストック溶液(これはDurect Corporation(Cat#100D040A)から得られる)からアセトンに溶解された100mg/mlのポリ(DL−ラクチド)(DLPLA、η:0.26〜0.54)の1ml
アセトンにおける50mg/mlのロバスタチンの0.4ml
8.6mlのアセトン(Fisher、Cat#A949−1)
PLA−ロバスタチンの比率、1:5。10mlのアセトン最終体積
最終的な10mlの溶液を3リットルの水に対して10KDカセット(Cat#66807)において透析する。透析を、ダイアルにおいて5で設定された撹拌子混合を用いて、室温で3時間毎に5回交換する。200μlの上清を採取し、ロバスタチンレベルをHPLCによって測定し、さらに200μlを採取して、総重量を求める。この情報を使用して、総ロバスタチン負荷を決定する。ナノ粒子を10000rpmでの遠心分離により集め、長期間の貯蔵のために凍結乾燥する。
【0125】
用いられたラットは、開始時に8週齢〜10週齢である3ヶ月齢のSprague−Dawleyの未交尾のメスラット(200g〜250g)である。動物をHarlan laboratoriesから購入し、テキサス大学健康科学センター(San Antonio)の実験動物施設で飼育する。
【0126】
界面活性剤を伴うミクロスフェア調製。
5グラムのポリマー85/15 DLPLGA(DL−乳酸−グリコール酸、Durect)を、1:5の重量/体積比を得るために25mlの塩化メチレンに溶解した。ポリ(ビニルアルコール)(PVA mw=25kdal、88モル%加水分解物(Sigma、Inc.))の1%溶液を界面活性剤として使用した。DLPLGA溶液を1%のPVA溶液に滴下して加え、一晩撹拌(300rpm)した。これは溶媒の完全な蒸発を可能にした。ミクロスフェアを真空ろ過によって単離し、脱イオン水により洗浄し、2時間風乾し、その後、一晩真空乾燥した。ミクロスフェアをさらなる使用までデシケーターに保った。その後、易流動性のミクロスフェアを、ミクロンサイズのふるいを使用して下記のサイズ範囲にふるい分けした:150μm、250μm、500μmおよび1mm。
集塊化のために、下記の方法の1つを使用することができる:
1.ビーズを規定の形状に詰めることによって。様々な直径のプラスチックチューブまたは金属チューブが使用され、エタノールが、ビーズから流れ出ることによって、詰められたビーズに加えられる。これは、ビーズをわずかに融解し、それにより、ビーズが融合して一緒になることを可能にするという効果がある。その後、洗浄を繰り返す。
2.代わりの方法は、ビーズを詰め、50℃での加熱を1時間使用して、ビーズをわずかに融解し、これにより、ビーズが融合して一緒になることを可能にすることであった。
【0127】
実験方法論
研究が、ラットにおける骨折修復の強化を評価することによって例示される、制御放出される局所ロバスタチンの影響を明らかにするために行われる。この研究の目的は、単回注入によって局所投与された制御放出されるロバスタチンが仮骨形成を強化することができること、および、機械的安定性の加速された回復を引き起こす骨折修復を明らかにすることである。試験材料は、上記で記載されるように調製されたナノ粒子におけるロバスタチンである。調製物は少なくとも99%の純度であり、白色〜灰白色の粉末である。試験品は、ロバスタチンを含むナノ粒子、および、ロバスタチンを含まないナノ粒子である。賦形剤における粒子が、10.5μg、52.5μg、75.7μgまたは378μgの総ロバスタチンを与えるように50μlの体積で骨折部位において注入される。ロバスタチンレベルがHPLCによって求められ、放出曲線が実験期間中を通して追跡される。
【0128】
この研究によれば、臨床上の焦点は、選ばれたピン固定の閉じた横方向のラット大腿骨モデルを利用して、均一で、再現可能な骨折欠損を生じさせることを伴う。これは、このモデルが十分に定義されており、また、機械的方法および組織学的方法によって完全に特徴づけられているからである。このモデルの利点には、再現性、欠損の均一性、および、臨床上の癒合治癒段階に至る迅速な5週間が含まれる。生物活性被覆の特性が、インビトロでの予備的研究において、また、外植された頭蓋冠培養物、ならびに、薬物放出速度論、分解および安定性を含む局所的頭蓋冠注入モデルを使用するインビボでの予備的研究で調べられる。この研究の目的は下記の通りである:(1)制御放出される経口投与されたロバスタチンの、仮骨形成、進行および骨折治癒に対する影響を、骨折治癒のX線分析を使用して評価すること。実験が終了したとき、骨折の肢を切除し、安定化のためのピンを除いた後でX線撮影する。これらのX線写真を骨折の治癒の証拠について評価する。X線写真は、骨折の治癒について3名の独立した観測者によってスコア化される。(2)制御放出されるロバスタチンの、生化学的パラメーターに対する影響を、三点曲げおよびマイクロコンピューター断層撮影法(uCT)によって評価すること;および(3)仮骨部位における骨微細構造および骨治癒をuCTによって評価すること。
【0129】
実験設計は、整形外科分野におけるこれらの化合物の適用に照らしてラットの長骨モデルを使用することである。3ヶ月齢のメスのSprague−Dawleyラットが使用される:すべての動物が、大腿骨のピン固定、その後、横方向の骨折を生じさせるための中央骨幹の閉鎖骨折を受ける。ロバスタチンのナノ粒子が骨折部位において注入される(PIXIおよびx線写真によって評価される)。動物は手術後3週間飼育され、それぞれの研究期間が終了したときに安楽死させられる。
【0130】
メスのラットは、術後感染を防止するために、0.25ccのPen B+6により手術前に処置される。ラットを注入麻酔剤(ドルミトール(dormitor)およびケタミン)により麻酔し、大腿骨の中間側を切り取り、無菌手術のために準備する。穴を中央粗面に作製し、20gのニードルを使用して、髄腔をその遠位域までリーマーによって掃除する。被覆されたプローブを髄管の下方に設置し、遠位側大腿骨に固定し、ワイヤを、骨と端を合わせて切断し、皮膚を整復して、ピンを覆う。ラットを、大腿骨が外側の2つの支持体に対して支えられる骨折デバイスに置く。500gmの重りを、アンビルを動かし、骨を折るために40cm落とす。脚を、骨折および固定を調べるためにX線撮影する。横方向の骨折を有する動物のみが研究において受け入れられる。さらなるX線写真をスケジュールに従って得る。骨折が確認されると、ナノ粒子が骨折部位に注入される(50μlのPBS)。ロバスタチンについての放出速度は1日あたり約2%である。
【0131】
制限のない活動が、麻酔から回復した後で許される。動物は骨折手術後6週間で屠殺され、大腿骨が集められる。髄内ワイヤを抜き出し、大腿骨を、軟組織を含むことなく解剖する。
【0132】
データを実験群の間で比較するために、ペアードスチューデントt検定が使用される。2つ以上のデータ群(例えば、因子処置の異なる濃度など)の間における多重比較のために、一元配置分散分析(ANOVA)が使用され、その後、ダネット検定が使用される。0.05未満のpが見出されるとき、有意な違いであると見なされる。
【0133】
適用されたナノビーズの量に基づく1日あたりの、ビーズから放出されるロバスタチンが、X線写真スコアをロバスタチンの異なる量とともに示す図18においてグラフに示される。最大のX線写真スコアが1.5ug/日の放出において達成される。X線写真スコアにおける著しい増大をもたらした、試験された最も低いロバスタチン量は、0.2ug/日、すなわち、200ng/日の1日あたりの放出に等しかった。
【0134】
全身暴露は下記の通りである:
0.2ugの用量=0.0008mg/kg/日
1.0ugの用量=0.004mg/kg/日
1.5ugの用量=0.006mg/kg/日
7.5ugの用量=0.03mg/kg/日
全身暴露のための仮定は下記の通りである:インビボでの局所的放出がインビトロでの放出と同じであった(1%〜2%);2週間を通しての一定した放出;骨折内に直接に注入されたナノビーズ;実験期間を通してナノビーズにおいて安定であるロバスタチン;および、ラットの体重が250gであった。用量は上記のラットデータに基づいた。
【0135】
骨折表面によるスケール化(scaling)を、下記の仮定を使用して下記のように計算した:骨折は大腿骨の断面積である−ラット大腿骨の直径=5mm(面積=20mm2)、ヒト大腿骨の直径=30mm(面積=700mm2)、ヒト体重:70kg。断面(骨折)面積によるロバスタチン用量=0.00001mg/mm2/日〜0.000375mg/mm2/日。1日あたりのロバスタチンの総ヒト用量は700mm2の骨折面積について0.007mg/日〜0.26mg/日である;処置期間=10日;10日間にわたる総暴露量=0.07mg〜2.6mg。ヒトの70kgの体重に基づいて、1日あたりのスタチンの全身暴露量は0.0001mg/kg/日〜0.0037mg/kg/日に等しいと考えられる。
【0136】
実験A−局所投与
この研究は5つの群(n=12)からなった。
群1. 賦形剤PBS
群2. 賦形剤−ナノビーズ 0ug/日
群3. ロバスタチン ナノビーズ 0.2ug/日
群4. ロバスタチン ナノビーズ 1.0ug/日
群5. ロバスタチン ナノビーズ 1.5ug/日
群6. ロバスタチン ナノビーズ 7.5ug/日
【0137】
結果
中間骨幹の横方向の骨折をすべての動物において誘導した。骨折は、手術の合併症を伴うことなく、許容され、不動化されたままであった。動物は、麻酔から回復した後は自由に動くことができた。仮骨の形成がすべての動物において2週間までにX線写真検査で観測された。
【0138】
測定されたパラメーター1.2週間でのX線評価および生化学的検査。結果が図19および図20に示される。血液を血漿ロバスタチン評価のために採取した。図17を参照のこと。
【0139】
ロバスタチンを含有するナノビーズの単回注入により局所送達されたロバスタチンは、用量依存的な様式で2週間でX線写真のスコア化を顕著に改善し、最大の効果が1.5ugの1日あたりの放出ロバスタチンで生じた。この用量を超えると、骨折修復の何らかのさらなる強化があるようには思われなかった。
【0140】
実験A−局所送達のロバスタチン
2週間でのX線写真が、皮質の再架橋および治癒の促進に基づいて、0〜7の基準のスコア化尺度(下記参照)を使用して2名の研究者によって、何も知らされることなく評価された。スコア化は、何も知らされていない観測者が皮質の再架橋化を下記の尺度に基づいて評価することに基づいた:
【0141】
実験A−局所送達のロバスタチン
血漿を最後の服用の3時間後にラットから採取し、ロバスタチンを質量分析法によって測定した。図17−実験が終了したとき、局所投与の血漿ロバスタチンは、ロバスタチンが投薬された群のいずれにおいても検出することができず、このことは、これが局所的効果であることを示している。
【0142】
ナノ粒子研究2
実験方法論
オスのSwiss ICRマウスが使用される(25gm〜28gm)。動物には、通常の規定餌が与えられ、動物は、水を自由に飲むことが許され、適切なケージに収容される。制限のない活動が実験期間中を通して許される。注入前に、頭を剃毛し、頭蓋冠の厚さ(左右)を、PalmScan AP2000を使用して記録する。すべての注入が頭蓋冠の右側に行われる。左側はコントロールとして使用される。
【0143】
薬物の調製
固体のロバスタチンを重量測定し、乳鉢および乳棒を使用して小さい粒子に砕く。25%のPG−400および75%のPBSを含有する溶液を乳鉢に加え、分散物を十分に混合し、その後、ピペットにより微量遠心分離チューブに移す。分散物を絶えず撹拌して、注入のための均一な分散物を得る。
【0144】
下記の表は試験およびそれらの特性のための3つの組成物を示す。
【0145】
実験設計
4週齢〜5週齢のオスのSwiss ICR白マウスが使用される。
【0146】
動物を下記の処置群に分ける。注入体積:50ul。
賦形剤群 3〜7:25%PG400−75%PBS
群1. 1〜5−賦形剤コントロール 25%/75%のPG400/PBS 3週間後に屠殺。
群2. 6〜10−賦形剤コントロール 25%/75%のPG400/PBS 7週間後に屠殺。
群3. 11〜15−ロバスタチン 125ug/50ul 1回 3週間後に屠殺。
群4. 16〜20−ロバスタチン 125ug/50ul 1回 7週間後に屠殺。
群5. 21〜25−ロバスタチン 250ug/50ul 1回 3週間後に屠殺。
群6. 26〜30−ロバスタチン 250ug/50ul 1回 7週間後に屠殺。
群7. 31〜35−ロバスタチン 1250ug/50ul 1回 3週間後に屠殺。
群8. 36〜40−ロバスタチン 1250ug/50ul 1回 7週間後に屠殺。
賦形剤群 9〜12:0.1%BSA/PBS
群9. 41〜45−賦形剤コントロール 0.1%BSA/PBS 3回/日を3日間 3週間後に屠殺。
群10. 46〜50−賦形剤コントロール 0.1%BSA/PBS 3回/日を3日間 7週間後に屠殺。
群11. 51〜55−aFGF 104ug/50ul 3回/日を3日間 3週間後に屠殺。
群12. 56〜60−aFGF 104ug/50ul 3回/日を3日間 7週間後に屠殺。
n=5/群
【0147】
標準的な組織学的測定
右側頭蓋冠における総骨面積、骨幅および骨様表面を測定する。毒性の影響もまた調べられる。
【0148】
統計学分析および検出力分析
データを実験群の間で比較するために、ペアードスチューデントt検定が使用される。2つ以上のデータ群(例えば、因子処置の異なる濃度など)の間における多重比較のために、一元配置分散分析(ANOVA)が使用され、その後、ダネット検定が使用される。0.05未満のpが見出されるとき、有意な違いであると見なされる。
【0149】
上記の手順に従って、骨の強化が、以前の研究から予想されるように得られる。
【0150】
結論:
ラットにおける骨折修復の十分に確立されたモデルを使用して、本発明者らは、経皮ロバスタチンが骨折の治癒を促進させることを示している。このことがX線写真検査ならびに生化学的負荷の両方によって示された。2つの骨折研究では、強度および堅さの両方における増大が、5日間のみの0.1mg/kg/日のより低い用量においてさえ、経皮ロバスタチンにより処置されたとき、骨折した骨で示される。
【0151】
すべての評価における最も効果的な局所用量は1.5ug/日であった。これらのナノビーズの放出プロフィルはよくても、1日あたり2%であることが推定された。これは、50日を通した全放出に等しく、本質的には、実験期間を通した連続放出送達に等しい。7.5ug/日の送達(これは30ug/kg/日と等価である)による場合でさえ、ロバスタチンの循環レベルを検出することができなかった。このことから、骨折の治癒を改善することにおけるロバスタチンナノビーズの送達は局所的効果であって、全身的効果でなかったことが強く示唆される。
1.ロバスタチンの大きい用量での経口投薬は骨折修復を強化しなかった。
2.ロバスタチンの全身的経皮投薬は実際に骨折修復を強化した。
【0152】
骨粗鬆症の分野における大きな治療上の必要性は、最小限の副作用とともに、骨形成を増大させ、かつ、骨格に対する同化作用を引き起こす薬剤である。副甲状腺ホルモン、フッ化物およびペプチド系骨増殖因子は骨形成を刺激するが、どれも、臨床環境において理想的ではない。副甲状腺ホルモンは今や、骨粗鬆症の処置のためにFDAによって承認されているが[Arnaud,CD(2001)、2年間の副甲状腺ホルモン1〜34およびエストロゲンは、エストロゲン単独による処置の3年目の期間中にほんのわずかに消散する閉経後の17名の骨粗鬆症女性における劇的な骨密度増大をもたらす:プラセボ対照無作為化試験からの結果、Bone、28:S77]、副甲状腺ホルモンは、注射によって与えなければならないペプチドであり、高齢者の慢性疾患のための理想的な治療ではない。フッ化物には、骨の無機化における障害、および、依然として骨折を受けやすい骨をもたらす骨の脆弱性が伴う[Inkovaara J他(1975)、予防的なフッ化物処置および加齢骨、Br Med J、3:73〜74;Gerster JC他(1983)、脊椎骨粗鬆症のためのフッ化物を受けている中程度の腎不全の患者における大腿頸部の両側骨折、Br Med J、287(6394):723〜5;Dambacher MA他(1986)、閉経後骨粗鬆症の長期間フッ化物治療、Bone、7:199〜205]。ペプチド系増殖因子はまた、他の組織に対する成長作用を有しており、このことが、慢性疾患(例えば、骨粗鬆症など)のためのそれらの投与を問題となるものにしている。そのうえ、これらの組換え分子もまた、頻繁な注射によって与えなければならない。
【0153】
従って、許容され得る毒性を有し、非経口経路による投与を必要としない骨粗鬆症のための有効な治療が依然として非常に求められている。ラットにおける現在の前臨床データは、経皮ロバスタチンが、これらの要求を満たす可能性を有することを示唆する。
【0154】
以前に報告されたように、スタチンはBMP−2の発現を高める[Mundy GR、Garrett IR、Harris SE、Chan J、Chen D、Rossini G、Boyce BF、Zhao M、Gutierrez G(1999)、スタチンによるインビトロおよび齧歯類における骨形成の刺激、Science、286:1946〜1949]。様々なBMPは骨芽細胞分化の最も強力な誘導因子であり、また、刺激因子である。それらは、成熟した骨芽細胞に分化するように前骨芽細胞を刺激し、並びに、骨芽細胞系譜の細胞に分化するように非骨形成原細胞を誘導する[Wozney JM、Rosen V(1998)、Physiology and Pharmacology of Bone(Mundy JR、Martin TJ編、Springer−Verlag)、第20章、725〜748]。本発明者らは、経口投与されたときの骨におけるスタチンの影響について以前に報告している[Mundy GR、Garrett IR、Harris SE、Chan J、Chen D、Rossini G、Boyce BF、Zhao M、Gutierrez G(1999)、スタチンによるインビトロおよび齧歯類における骨形成の刺激、Science、286:1946〜1949]。本研究は、経皮投与されたとき、および、徐放性粒子によるロバスタチンの骨における影響を示す。観測された作用の程度は、経皮投与後に図に示されるように、前例がないものである。5日間だけ投与した後で、5週間後も依然として明らかであった骨形成速度に対する大きい作用が認められた。この長く作用する作用についての原因は調べられてはいないが、骨形成を、BMP−2の発現を高めることによって誘引することにより、いくつかの二次的作用が引き起こされる可能性が最も高い。このような二次的作用には、細胞増殖の刺激、および、骨形態形成タンパク質−4をはじめとする、増殖中の骨細胞によるいくつかの他の増殖因子の産生が含まれる。結果として、骨形成プロセスがスタチンによって開始されると、骨形成プロセスがしばらくの間持続し得る。実際、この機構はまた、今回報告された幾分か通常的でない用量応答データに関わり得る。
【0155】
経皮投与により観測された類似する結果が、実質的に純粋な形態でのロバスタチンとしての徐放性粒子、または、キャリアに含浸されるような徐放性粒子の注入により観測された。
【0156】
軟骨研究
実験の概要:軟骨形成に対するロバスタチン足場の様々な用量の有効性を、マウスの頭蓋冠培養物を使用して明らかにする。4日齢の頭蓋冠外植培養物を、0μg/日、0.4μg/日または8μg/日を放出する足場物質を含有する培地とインキュベーションした。その後、新しい軟骨の範囲を画像化分析によって定量する。
【0157】
実験設計:4日齢のSwiss白マウスの子が用いられた。これは、それらが一般に健康なマウス系統であるからである。4日齢のSwiss白マウスの子マウスから得られる頭蓋冠を解剖し、半分に切断した。切除された半分の頭蓋冠を、0.1%のBSAをグルタミンとともに含有するFitton−Jackson改変BGJ培地(Sigma)による1mlのBGJ培地において金属グリッド(表面)に置いた。骨を5%加湿インキュベーターにおいて37℃で24時間インキュベーションし、その後、1mlの培地を試験化合物とともに含有するウエルに移し、上記条件のもとで72時間〜96時間さらにインキュベーションする。その後、骨を取り出し、10%緩衝化ホルマリンにおいて24時間固定処理し、14%EDTAにおいて一晩脱灰し、パラフィンに包埋し、4μmの厚さの切片を切断し、H&Eにより染色する。
【0158】
投薬。ロバスタチン足場物質(2.5mgのロバスタチンが含浸されたLPGAポリマー足場、5mg片、推定される放出は0.4μg/24時間である)を最初の48時間にわたって適用し、その後、除く。頭蓋冠を7日目および14日目に取り出す。培地を3日毎に交換する。軟骨形成を組織学的に評価する。
【0159】
結果が棒グラフとして図21に示される。観測されることは、ロバスタチンが暴露後7日で新生児マウスの頭蓋冠の培養物において骨形成を刺激し、暴露後14日で軟骨形成を刺激することである。BMPは、暴露後7日で新生児マウスの頭蓋冠の培養物において骨形成を刺激する。ロバスタチンは、軟骨形成を新生児マウスの頭蓋冠の培養物において用量依存的様式で刺激することが示される。
【0160】
明確にするため別個の実施態様で説明されている本発明の特定の特徴は単一の実施態様に組み合わせて提供することもできることは分かるであろう。逆に、簡潔にするため単一の実施態様で説明されている本発明の各種の特徴は別個にまたは適切なサブコンビネーションで提供することもできる。
【0161】
本発明はその特定の実施態様によって説明してきたが、多くの別法、変更および変形があることは当業者には明らかであることは明白である。従って、本発明は、本願の請求項の精神と広い範囲の中に入るこのような別法、変更および変形すべてを包含するものである。本願で挙げた刊行物、特許および特許願はすべて、個々の刊行物、特許および特許願が各々あたかも具体的にかつ個々に引用提示されているのと同程度に、全体を本明細書に援用するものである。さらに、本願で引用または確認したことは本発明の先行技術として利用できるという自白とみなすべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0162】
【図1】ロバスタチンの経口投与対経皮投与の比較である。
【図2】Piximus骨密度計を使用して、無傷ラットにおける近位側脛骨でのBMDの評価を例示する。
【図3】経皮ロバスタチン(親水性ワセリン)により5日間だけ処置された(a)無傷ラットおよび(b)OVXラットにおける骨体積(BV/TV%)を例示する。
【図4】1mg/kg/日の皮膚ロバスタチンによる5日間の処置の後でのSHAMラットおよびOVXラットにおける近位側脛骨骨幹端の海綿質骨の組織形態計測分析である。
【図5】小柱骨構造の構造的指標を示す、SHAMラットおよびOVXラットにおける組織形態計測結果を例示する。
【図6】SHAMラットおよびOVXラットにおける骨形成速度(BFR)に対する皮膚ロバスタチンの5日間の投与の影響を例示する。
【図7】μCTによるラットの遠位側大腿骨骨幹端の小柱骨分析を例示する。
【図8】皮膚適用後のロバスタチンの体内分布を示す。
【図9】0.01mg/kg/日から0.5mg/kg/日に及ぶ服用スキームにより5日間だけ、水性アルコールゲルにおける皮膚ロバスタチンにより手術後5日目に処置されたOVXラットの骨体積評価を示す。
【図10】最初の投薬の26日後に測定されたときの、皮膚ロバスタチンにより5日間処置されたラットにおける血清オステオカルシンを例示する。
【図11】水性アルコールゲルにおけるロバスタチンにより5日間処置された擬似処置ラットおよびOVXラットにおける血清クレアチンプロテインキナーゼ(CPK)の定量を例示する。
【図12】大腿骨骨折モデルを使用して経口投与されたより高いレベルに対して比較されるときの、ロバスタチンの経皮送達を使用する2週間でのX線写真スコアを示す棒グラフである。
【図13】大腿骨骨折モデルを使用してロバスタチンの経皮送達および経口送達を使用する破断力の棒グラフである。
【図14】大腿骨骨折モデルを使用してロバスタチンの経皮送達および経口送達のより少ない用量を使用する破断力の棒グラフである。
【図15】大腿骨骨折モデルを使用してロバスタチンの経皮送達および経口送達を使用する骨折後6週間で測定された堅さの棒グラフである。
【図16】経皮送達および経口送達についてのロバスタチン血漿濃度の棒グラフである。
【図17】ロバスタチンの量が検出限界未満であることを示す、ロバスタチンナノビーズからのロバスタチン血漿濃度の棒グラフである。
【図18】ロバスタチンをロバスタチンの様々な放出レベルで含有するナノビーズを使用するX線写真スコアの棒グラフである。
【図19】大腿骨骨折モデルを使用してロバスタチンの様々な放出レベルでのナノビーズによる処置から得られる最大強度の棒グラフである。
【図20】大腿骨骨折モデルを使用してロバスタチンの様々な放出レベルでのナノビーズによる処置から得られる、骨折に至るまでに必要とされる負荷の棒グラフである。
【図21】ロバスタチンにさらされた後の14日目に見られる新生児マウスの頭蓋冠において見られる軟骨成長を定量する棒グラフである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳動物の骨格の網目組織を強化するための方法であって、この方法は、
前記骨格の網目組織を強化するのに十分な時間にわたって前記組織に生物学的に利用可能な投薬量を提供する体内分布プロフィルで、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤を哺乳動物宿主に投与することを含み、投薬量は、非骨格組織に対する前記HMG−CoAレダクターゼ阻害剤の生物学的利用能を最小限に抑えながら前記組織の強化を提供し、前記時間は、前記強化の低下を実質的に最小限に抑えるように選択される、方法。
【請求項2】
前記投与することは、前記HMG−CoAレダクターゼ阻害剤を含む粒子を使用することである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記生物学的に利用可能な投薬量は、ラットについては約0.1〜5μg/日、ヒトについては約5〜250μg/日であり、継続期間は、1日より長く、65日より短い範囲である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記投与することは、局所適用を使用することである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記投薬量は、0.01〜10mg/kg/日である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
哺乳動物宿主において目的の部位で骨および/または軟骨を強化するための方法であって、前記方法は、
前記骨格の網目組織を強化するのに十分な時間にわたって、約0.5〜5ng/mlの血中レベルを提供する生物学的に利用可能な投薬量で、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤を含む約0.001〜100μmの範囲のサイズの徐放性生体適合性粒子を前記目的の部位に投与することを含み、投薬量は、非骨格組織に対する前記HMG−CoAレダクターゼ阻害剤の生物学的利用能を最小限に抑えながら強化を提供するように選択され、前記時間は、前記強化の低下を実質的に最小限に抑えるように選択される、方法。
【請求項7】
前記HMG−CoAレダクターゼ阻害剤はスタチンであり、前記粒子は約0.1〜100nmの範囲の平均直径のナノ粒子であり、前記時間は約1日より長く、約25日より短い、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記HMG−CoAレダクターゼ阻害剤はスタチンであり、前記粒子は約1〜200μmの範囲の平均直径のマイクロ粒子である、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記HMG−CoAレダクターゼ阻害剤は、前記粒子の10〜100%の量である、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記HMG−CoAレダクターゼ阻害剤は、ポリマーマトリックスと混合されている、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
哺乳動物宿主において目的の部位で骨および/または軟骨を強化するための方法であって、前記方法は、
前記骨格の網目組織を強化するのに十分な時間にわたって処置過程の間約0.5〜5ng/mlの平均血中レベルを提供する生物学的に利用可能な投薬量で、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤を生物学的表面での局所適用によって前記哺乳動物宿主に投与することを含み、投薬量は、非骨格組織に対する前記HMG−CoAレダクターゼ阻害剤の生物学的利用能を最小限に抑えながら強化を提供するように選択され、前記時間は、前記強化の低下を実質的に最小限に抑えるように選択される、方法。
【請求項12】
前記投薬量は、約0.1〜5mg/kg/日の範囲である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
対象の前記生物学的表面上への医薬組成物の適用は、前記対象における前記HMG−CoAレダクターゼ阻害剤の血清濃度を1〜2時間以内に1〜40ng/mlまで上昇することができる、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
対象の前記生物学的表面の表面積は、4〜8cm2である、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記HMG−CoAレダクターゼ阻害剤は、前記生物学的表面1cm2当たり約0.1〜約10mgの量で存在する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記生物学的表面は、皮膚または粘膜である、請求項15に記載の方法。
【請求項1】
哺乳動物の骨格の網目組織を強化するための方法であって、この方法は、
前記骨格の網目組織を強化するのに十分な時間にわたって前記組織に生物学的に利用可能な投薬量を提供する体内分布プロフィルで、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤を哺乳動物宿主に投与することを含み、投薬量は、非骨格組織に対する前記HMG−CoAレダクターゼ阻害剤の生物学的利用能を最小限に抑えながら前記組織の強化を提供し、前記時間は、前記強化の低下を実質的に最小限に抑えるように選択される、方法。
【請求項2】
前記投与することは、前記HMG−CoAレダクターゼ阻害剤を含む粒子を使用することである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記生物学的に利用可能な投薬量は、ラットについては約0.1〜5μg/日、ヒトについては約5〜250μg/日であり、継続期間は、1日より長く、65日より短い範囲である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記投与することは、局所適用を使用することである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記投薬量は、0.01〜10mg/kg/日である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
哺乳動物宿主において目的の部位で骨および/または軟骨を強化するための方法であって、前記方法は、
前記骨格の網目組織を強化するのに十分な時間にわたって、約0.5〜5ng/mlの血中レベルを提供する生物学的に利用可能な投薬量で、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤を含む約0.001〜100μmの範囲のサイズの徐放性生体適合性粒子を前記目的の部位に投与することを含み、投薬量は、非骨格組織に対する前記HMG−CoAレダクターゼ阻害剤の生物学的利用能を最小限に抑えながら強化を提供するように選択され、前記時間は、前記強化の低下を実質的に最小限に抑えるように選択される、方法。
【請求項7】
前記HMG−CoAレダクターゼ阻害剤はスタチンであり、前記粒子は約0.1〜100nmの範囲の平均直径のナノ粒子であり、前記時間は約1日より長く、約25日より短い、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記HMG−CoAレダクターゼ阻害剤はスタチンであり、前記粒子は約1〜200μmの範囲の平均直径のマイクロ粒子である、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記HMG−CoAレダクターゼ阻害剤は、前記粒子の10〜100%の量である、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記HMG−CoAレダクターゼ阻害剤は、ポリマーマトリックスと混合されている、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
哺乳動物宿主において目的の部位で骨および/または軟骨を強化するための方法であって、前記方法は、
前記骨格の網目組織を強化するのに十分な時間にわたって処置過程の間約0.5〜5ng/mlの平均血中レベルを提供する生物学的に利用可能な投薬量で、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤を生物学的表面での局所適用によって前記哺乳動物宿主に投与することを含み、投薬量は、非骨格組織に対する前記HMG−CoAレダクターゼ阻害剤の生物学的利用能を最小限に抑えながら強化を提供するように選択され、前記時間は、前記強化の低下を実質的に最小限に抑えるように選択される、方法。
【請求項12】
前記投薬量は、約0.1〜5mg/kg/日の範囲である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
対象の前記生物学的表面上への医薬組成物の適用は、前記対象における前記HMG−CoAレダクターゼ阻害剤の血清濃度を1〜2時間以内に1〜40ng/mlまで上昇することができる、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
対象の前記生物学的表面の表面積は、4〜8cm2である、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記HMG−CoAレダクターゼ阻害剤は、前記生物学的表面1cm2当たり約0.1〜約10mgの量で存在する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記生物学的表面は、皮膚または粘膜である、請求項15に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公表番号】特表2009−529051(P2009−529051A)
【公表日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−558353(P2008−558353)
【出願日】平成19年3月6日(2007.3.6)
【国際出願番号】PCT/US2007/005684
【国際公開番号】WO2007/103366
【国際公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【出願人】(508270679)オステオスクリーン アイピー, エルエルシー (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月6日(2007.3.6)
【国際出願番号】PCT/US2007/005684
【国際公開番号】WO2007/103366
【国際公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【出願人】(508270679)オステオスクリーン アイピー, エルエルシー (1)
【Fターム(参考)】
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