説明

HMI画面イメージの拡大縮小表示方法

【課題】簡単な操作でデザイン変更せずにサイズが相違する他の画面サイズに拡大縮小して表示することができる方法等を提供すること。
【解決手段】第1HMI画面サイズの画面イメージを、画面上に現れるデザイン情報を変更せずに、いったん、その画面サイズに対応した仮想ビデオメモリに表示した上で、ビットマップ化し、このビットマップ化した画面イメージを、第2HMI画面サイズに合わせて拡大または縮小して、第2HMI画面サイズの実ビデオメモリに転送して表示することで、第1HMI画面サイズに作成した画面イメージを第2HMI画面サイズに拡大縮小する際、デザイン変更の必要なく、サイズが相違するHMI画面に表示することができるようにした方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラマブル表示器等のHMI(ヒューマン・マシーン・インターフェース)機器において、HMI画面イメージを拡大表示または縮小表示する方法等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えばVGA規格サイズに作成された画面イメージを、XGA規格サイズの画面に表示する場合では、前者の規格サイズに比べて後者の規格サイズが大きいから、いったんデザインされたHMI部品の位置や、サイズや、フォント情報等を変更し直す必要があり、画面作成者にとり、面倒である。このような変更作業を目的とするツールも開発されているが、ツールがあるとしてもその操作に習熟する必要があり、この事が課題となる。なお、このツールでは、変更し直すサイズによっては、画面イメージが目的とする画面上でずれが微妙に生じてくることが多いが、この微妙なずれは、HMI操作上、大きな課題となりえる。
【0003】
一方、デザインされたHMI部品の位置や、サイズや、フォント情報等を変更し直すことなく、VGA規格サイズに作成された画面イメージを、XGA規格サイズの画面に表示する場合、XGA規格サイズの画面の上下左右に余白が生じるが、この余白はユーザにとり画面サイズを有効活用できないという不具合があり、また、この余白を画面とは違った色で埋めるとしてもユーザには使用勝手が悪いという課題がある。
【0004】
なお、本願の先行特許文献を以下に掲げる。特許文献1には仮想ビデオメモリを用いて画像処理をする技術が開示され、特許文献2にはビットマップ化においてイメージの拡大、縮小の技術が開示されている。
【特許文献1】特開平9−297568号公報
【特許文献2】特開平11−331567号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、任意の画面サイズでデザイン作成したHMI画面イメージを、デザインし直しする必要なく、画面上に微妙なずれなど生じることもなく、かつ、専用ツールを用いないのでその専用ツールの使用上の煩わしさがなく、簡単な操作で、サイズが相違する他の画面サイズに拡大縮小して表示することができる方法、ソフト、装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による方法は、第1HMI画面のサイズ形式に作成された画面イメージを、これとは相違する第2HMI画面のサイズに拡大または縮小させて表示する方法において、第1HMI画面サイズの画面イメージを、画面上に現れるデザイン情報を変更せずに、いったん、その画面サイズに対応した仮想ビデオメモリに表示した上で、ビットマップ化し、このビットマップ化した画面イメージを、第2HMI画面サイズに合わせて拡大または縮小して、第2HMI画面サイズの実ビデオメモリに転送して表示することで、第1HMI画面サイズに作成した画面イメージを第2HMI画面サイズに拡大縮小する際には、デザインし直しする必要なく、サイズが相違するHMI画面に表示することができるようにしたことを特徴とするものである。
【0007】
上記仮想ビデオメモリや実ビデオメモリは、単体としてのビデオメモリに限定するものではなく、ビデオメモリ内の特定の領域をそれぞれ仮想ビデオメモリ、実ビデオメモリとする場合も含む。
【0008】
本発明によると、画面上に現れるデザイン情報を変更せずに、また、専用ツールを用いる必要なく、簡単な操作で画面イメージを拡大縮小することができるようになり、画面作成者は画面上のデザインの再作成の労が解消される。また、ユーザは、例えばVGA規格で作成された画面イメージであっても、XGA規格のディスプレイ画面に余白なく拡大表示されるので、便利である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、画面作成者が作成した任意の規格サイズの画面イメージを、他の規格サイズの画面イメージに拡大したり縮小したりするなど変更する場合、専用ツールを用いることなく、その画面上に現れるHMI部品の配置位置、サイズ、フォント情報等を何等変更する必要なく、簡単な操作で当該他の規格サイズの画面イメージに変更して表示させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施の形態に係るHMI画面イメージを拡大または縮小して表示する方法を説明する。
【0011】
図1は、本実施形態の方法を実施するHMIファームウエアを実装したコンピュータ装置のブロック図を示す。このコンピュータ装置1における外部記憶装置等の図示を略し、実施の形態の説明に必要なブロックを示している。この外部記憶装置には、ハードディスク装置などの磁気ディスクドライブ、CD−ROMドライブなどの光ディスクドライブといった装置を含む。装置本体2のCPU3には、基本OSソフト格納メモリ4、HMIファームウエア格納メモリ5、ビデオメモリ6、通信やその他の目的のためのインターフェース7が接続されている。装置本体2には操作部8、ディスプレイ9、が接続されている。
【0012】
コンピュータ装置1は、実施の形態の方法に関連する処理を可能とした汎用あるいは専用のコンピュータ(デスクトップ型、ノート型、その他の型)、プログラマブル表示器、ワークステーション、据え置き型端末、携帯型端末、携帯型電子機器、装置、その他の電子デバイスを含むことができる。
【0013】
操作部8は、例えばキーボード8aや、マウス8bが図示されているが、スライドパッド、トラックポイント、タブレット、ジョイスティック、コンソール、ジョグダイヤル、デジタイザ、ライトペン、テンキー、タッチパッド、等の各種ポインティングデバイスが挙げられる。操作部8は装置本体2に組み込んだ場合も含む。
【0014】
インターフェース画面を表示するディスプレイ9は、その表示画面9a自体にタッチスクリーンやタッチパネルを利用して、画面9a上をユーザが手で直接触れることにより入力や操作を可能としたり、または、音声入力その他の既存の入力手段を利用、あるいはこれらを併用することもできる。ディスプレイ9は、CRT、LCD、あるいは液晶パネルやELパネルのような平板型等を含むものであり、その形態には限定されない。ディスプレイ9は、装置本体2に組み込んだ場合も含む。
【0015】
基本OSソフト格納メモリ4には、基本OSソフト、例えばマイクロソフト社のWindows(登録商標)シリーズのOSや、Linux等の汎用OSシリーズ 、その他の基本ソフト等が格納されている。このソフトは、コンピュータ装置1における操作部8のキーボード8aやマウス8b等の操作、ディスプレイ9の操作等のコンピュータの基本操作や基本動作のソフトウエアであり、その説明の詳細は略する。
【0016】
HMIファームウエア格納メモリ5には、ディスプレイの画面表示制御ソフト、後述する仮想ビデオメモリ6a上で画面イメージの拡大縮小する画面イメージ拡大縮小制御ソフト、仮想ビデオメモリ6a上で画面イメージ形式をビットマップ形式に変換するビットマップ化ソフト、仮想ビデオメモリ6a上の画面イメージの拡大、縮小ソフト、マウス操作量の比率を拡大縮小するマウス操作比率ソフト、仮想ビデオメモリ6aから実ビデオメモリ6bへの面画イメージを転送制御するための面画イメージ転送制御ソフトが、格納されている。
【0017】
ビデオメモリ6は、仮想ビデオメモリ6aと、実ビデオメモリ(実際のビデオメモリ)6bとを備える。仮想ビデオメモリ6aには、デザインされたHMI画面イメージ(HMIプロジェクト)としてVGA規格サイズでデザインされたHMI画面イメージが格納されている。仮想ビデオメモリ6a上のVGA規格HMI画面イメージは、画面イメージ拡大縮小制御ソフトで、任意の規格サイズのHMI画面イメージに拡大、縮小することができる。実施の形態では、VGA規格サイズからXGA規格のHMI画面イメージに拡大したり、また、XGA規格サイズからVGA規格サイズに縮小したりする例である。仮想ビデオメモリ6aでは画面イメージは、ビットマップ化ソフトでビットマップ化される。ビットマップ化は周知であるのでその詳細は略する。VGA規格は、ディスプレイ画面上で640×480ピクセルの解像度で画面表示を行うグラフィックスシステム規格のことである。XGA規格はディスプレイ画面上で1024×768ピクセルの解像度で画面表示を行うグラフィックスシステム規格のことである。もちろん、他の規格の組み合わせで拡大ないし縮小され、ビットマップ化することができる。仮想ビデオメモリ6a上のHMI画面イメージは面画イメージ転送制御ソフトで実ビデオメモリ6bに転送制御される。実ビデオメモリ6bには、仮想ビデオメモリ6aからディスプレイの画面サイズに対応したXGA規格のビットマップ化HMI画面イメージが転送されて格納される。
【0018】
マウス8bは、マウス操作比率ソフトで、画面イメージの拡大、縮小に合わせてその操作比率が設定される。これにより、例えば、画面イメージをVGA規格サイズからXGA規格に拡大する場合では、その拡大比率に合わせてマウス8bの操作比率を縮小し、画面イメージをXGA規格サイズからVGA規格に縮小する場合では、その縮小比率に合わせてマウス8bの操作比率を拡大する。
【0019】
本実施形態では、仮想ビデオメモリ6aに格納しているVGA規格サイズの画面イメージを、画面上に現れるデザイン情報を変更せずに格納している。そして、この仮想ビデオメモリ6aに格納しているVGA規格HMI画面のサイズ形式に作成された画面イメージを、これとは相違するXGA規格HMI画面のサイズに対応した実ビデオメモリ6bに拡大または縮小させて表示する。
【0020】
以上の構成を有するコンピュータ装置1において、以下、その実施の形態の制御動作を図2ないし図4を参照して説明する。図2は第1HMI画面イメージを第2HMI画面イメージに拡大する例、図3は第1HMI画面イメージを第2HMI画面イメージに縮小する例、図4は画面イメージを拡大も縮小もしない例を示す。
【0021】
図2において、2AはVGA規格サイズに作成されたHMIプロジェクト(HMI画面イメージ)を示す。このHMI画面イメージ2Aをそれに対応するVGA規格サイズの仮想ビデオメモリ6aに上記HMI画面イメージ2Aにおける位置、デザイン、フォント情報等、画面上に現れる情報を変更せずに書込む。2Bは、こうして仮想ビデオメモリ6aに書込んだHMI画面イメージを示す。この仮想ビデオメモリ6a上のVGA規格のHMI画面イメージ2Bをビットマップ化してXGA規格に拡大し、XGA規格の実ビデオメモリ6bに転送し、ディスプレイ画面9aに表示する。2Cは、HMI画面イメージ2Bを拡大した画面イメージを示す。
【0022】
このように実施の形態では、VGA規格のHMI画面サイズでデザインした画面イメージ2Aを仮想ビデオメモリ6a上の画面イメージ2Bからビットマップ化してXGA規格のHMI画面サイズの画面イメージ2Cに拡大する際には、デザインし直しする必要なく、XGA規格のディスプレイ画面9aに表示することができる。
【0023】
図3において、3AはXGA規格サイズに作成されたHMIプロジェクト(HMI画面イメージ)を示す。このHMI画面イメージ3Aをそれに対応するXGA規格サイズの仮想ビデオメモリ6aに上記HMI画面イメージ3Aにおける位置、デザイン、フォント情報等、画面上に現れる情報を変更せずに書込む。3Bは、こうして仮想ビデオメモリ6aに書込んだHMI画面イメージを示す。この仮想ビデオメモリ6a上のXGA規格のHMI画面イメージ3Bをビットマップ化してVGA規格に縮小し、VGA規格の実ビデオメモリ6bに転送し、ディスプレイ画面9aに表示する。3Cは、HMI画面イメージ3Bを縮小した画面イメージを示す。
【0024】
このように実施の形態では、XGA規格のHMI画面サイズでデザインした画面イメージ3Aを画面イメージ3Bからビットマップ化してVGA規格のHMI画面サイズの画面イメージ3Cに縮小する際には、デザインし直しする必要なく、VGA規格のディスプレイ画面9aに表示することができる。
【0025】
図4において、4AはVGA規格サイズに作成されたHMIプロジェクト(HMI画面イメージ)を示す。このHMI画面イメージ4Aをサイズを変更しない場合は、そのままVGA規格サイズの実ビデオメモリ6bに書込む。4Bは、実ビデオメモリ6bに書込んだ画面イメージを示す。
【0026】
なお、画面イメージをビットマップ化し、それをディスプレイ画面9aに表示する場合、その画面イメージに描かれている内容についての情報を持たないため、拡大を行なうとその輪郭にジャギ(ギザギザ)が現れたりするが、実施の形態では、そうしたジャギが発生しないようハーフトーン処理などのアンチエイリアスを行うことで滑らかな表示が得られるようにする。
【0027】
なお、実施の形態ではVGA規格とXGA規格とを例に示したが、もちろん、この規格に限定されるものでないことはもちろんである。
【0028】
以上説明したように本実施の形態では、デザインしたHMI画面イメージを作成し直しする必要なく、サイズが相違するHMI画面イメージにて表示することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】図1は本発明の実施形態に係る方法の実施に用いるコンピュータ装置のブロック図である。
【図2】図2はVGA規格サイズの画面イメージをXGA規格サイズの画面イメージに拡大する例を示す図である。
【図3】図3はXGA規格サイズの画面イメージをVGA規格サイズの画面イメージに縮小する例を示す図である。
【図4】図4はサイズ変更が無い例を示す図である。
【符号の説明】
【0030】
1 コンピュータ装置
2 装置本体
3 CPU
4 基本OSソフト格納メモリ
5 HMIファームウエア格納メモリ
6 ビデオメモリ
6a 仮想ビデオメモリ
6b 実ビデオメモリ
8 操作部
9 ディスプレイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1HMI画面のサイズ形式に作成された画面イメージを、これとは相違する第2HMI画面のサイズに拡大または縮小させて表示する方法において、
第1HMI画面サイズの画面イメージを、画面上に現れるデザイン情報を変更せずに、いったん、その画面サイズに対応した仮想ビデオメモリに表示した上で、ビットマップ化し、
このビットマップ化した画面イメージを、第2HMI画面サイズに合わせて拡大または縮小して、第2HMI画面サイズの実ビデオメモリに転送して表示することで、
第1HMI画面サイズに作成した画面イメージを第2HMI画面サイズに拡大縮小する際には、デザインし直しする必要なく、サイズが相違するHMI画面に表示することができるようにした、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法を実行するソフトである、HMIファームウエア。
【請求項3】
請求項2に記載のHMIファームウエアを搭載してある、装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−251784(P2009−251784A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−96997(P2008−96997)
【出願日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Linux
【出願人】(501088257)株式会社ウィン・システム (37)
【出願人】(000167288)光洋電子工業株式会社 (354)
【Fターム(参考)】