説明

HSUPAチャネルのE−TFC制限を最適化する方法および装置

【課題】WTRUは、最大許容送信電力を3GPPで指定されたE−TFC 最大電力低減(MPR)値だけ低減することができる。MPRの導入に伴い、電力制限に基づいたサポートされるE−TFCの選択は、より複雑で時間のかかる手順となる。E−TFC MPR値は、符号の数および使用が許される最小拡散率に依存し、またMPR値は、各E−TFCの必要電力に直接比例しないので、E−TFCテーブルに穴ができる。
【解決手段】 高速ダウンリンクパケットアクセス(HSDPA)システムにおけるトランスポートフォーマット組み合わせ制限のための方法および装置が開示される。拡張トランスポートフォーマット組み合わせ(E−TFC)テーブルが、サブテーブルに分割される。無線送受信ユニットが、サブテーブルの1つを選択し、また探索が行われる選択されたサブテーブル内の窓を選択する。WTRUは次に、探索窓内の先頭要素がブロックされるかどうかに関して判定を下す。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、一般に無線通信システムに関する。
【0002】
ユニバーサル移動体通信システム(UMTS)リリース6では、拡張専用チャネル(E−DCH:enhanced dedicated channel)という新しいチャネルが、アップリンク(UL)に導入された。E−DCHは、拡張パケットデータ物理チャネル(E−PDPCH:enhanced packet data physical channel)にマッピングされるUL限定のトランスポートチャネルである。E−DCHには、制御情報を送信するために使用されるUL物理チャネルである拡張専用物理制御チャネル(E−DPCCH:enhanced dedicated physical control channel)が関連付けられる。E−DCHは、従来の専用チャネル(DCH)と比較した場合、高い容量、高いスループット、および短縮された遅延を提供する。E−DCHは、UMTS地上波無線アクセス(UTRA)周波数分割複信(UTRA FDD)にのみ適用可能である。
【0003】
拡張媒体アクセス制御(MAC−e:enhanced medium access control)は、E−DCHトランスポートチャネルを処理する新しいエンティティである。従来のDCHと同様、E−DCHは、特定のE−DCHトランスポートフォーマット組み合わせ(E−TFC:E−DCH transport format combination)を用いて構成される。しかし、MAC−eは、無線リソース制御(RRC)から1組の許容トランスポートフォーマットを受信するのではなく、予め定義されたテーブル(事前定義テーブル)に基づいた1組のトランスポートフォーマットを使用して構成される。
【0004】
3GPP規格には、上述の参照事前定義テーブルが4つ存在する。2つのテーブルは、2msの送信時間間隔(TTI)用に使用され、2つのテーブルは、10msのTTI用に使用される。無線リソース制御(RRC)は、TTI長を設定し、またトランスポートフォーマットを選択するときにMAC−eが2つのテーブルのどちらを使用すべきかも決定する。表1は、TTIが10msのE−DCHトランスポートブロック(TB)サイズテーブルを示している。
【0005】
【表1】

【0006】
E−DCHトランスポートフォーマットセットと従来のトランスポートフォーマットセットとの間の主な相違点は、(サイズが事前に設定される以外に)各テーブルが120個を超えるTBサイズを含むために、これらのテーブルが非常に大きくなることである。
【0007】
E−TFC選択のための規則が、UMTS規格(例えば、TS25.331)で説明されている。これらの規則によれば、E−TFC選択プロセスの前に、E−TFC制限手順(E−TFC restriction procedure)が常に適用される。E−TFC制限手順が使用される理由は、無線送受信ユニット(WTRU)は、ULチャネルで送信する場合に最大許容UL送信電力を超えることが許されないからである。TTI毎に実行される制限手順の最中に、WTRUは、与えられたE−TFCを送信するために必要とされる電力量を計算する。次に、WTRUは、専用物理データチャネル(DPDCH:dedicated physical data channel)が存在する場合にはTFC選択からの推定電力残余を計算し、また高速専用物理制御チャネル(HS−DPCCH:high−speed dedication physical control channel)送信および高速専用物理共通制御チャネル(DPCCCH:dedicated physical common control channel)送信からの残余電力を計算する。与えられたE−TFCを送信するために必要とされる電力が、WTRUが利用可能な電力よりも大きい場合、それは、大きすぎる電力を必要とするE−TFCが、与えられたTTIではサポートされ得ないことを暗示する。これらのE−TFCは、ブロック状態(blocked state)にあると見なされる。ブロック状態にある個々のE−TFCは、他のULチャネルによる電力消費のレベルに応じてTTI毎に変化し得る。
【0008】
UTRANは、基準E−TFCI電力オフセット(reference E−TFCI power offset)を正しく設定することによって(それらはβedj、βed,Cj、およびβc,Cを計算するためにその後使用される)、拡張トランスポートフォーマット組み合わせインジケータ(E−TFCI:enhanced transport format combination indicator)テーブルの整列順が送信電力の昇順になるよう保証すべきである。これは、E−TFCテーブルの要素が電力の要件の観点から整列されることを保証する。したがって、どのE−TFCがブロックされるかを決定するため、WTRUは、テーブルの終端(最大TBサイズ)から探索を開始し、ブロックされない(すなわち非ブロック)E−TFCを見出すまでテーブルを遡る。非ブロックE−TFCを見出すと、WTRUは、探索を終了することができるが、それは、特定のTBサイズのE−TFCがブロックされなければ、TBサイズがより小さいすべてのE−TFCもブロックされないと仮定することができるからである。同様に、特定のTBサイズのE−TFCがブロックされるならば、WTRUは、TBサイズがより大きいすべてのE−TFCもブロックされると仮定することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、最大電力低減(MPR:Maximum Power Reduction)要素の導入に伴い、問題が発生する。WTRUは、最大許容送信電力を3GPPで指定されたE−TFC MPR値だけ低減することができる。それらの値が、表2に示されている。MPRの導入に伴い、電力制限に基づいたサポートされるE−TFCの選択は、より複雑で時間のかかる手順となる。E−TFC MPR値は、符号の数および使用が許される最小拡散率に依存し、またMPR値は、各E−TFCの必要電力に直接比例しないので、E−TFCテーブルに穴ができる。穴がある場合、与えられたE−TFCがブロックされないとしても、それは必ずしも、TBサイズがより小さいすべてのE−TFCもブロックされないことを意味しない。そのため、E−TFCが送信電力の昇順で列挙されているとしても、最大許容電力(PMax)はE−TFC毎に変化し、その変化は各E−TFCの必要電力に直接比例しないので、特定のTBサイズの与えられたE−TFCがブロックされなければ、TBサイズがより小さいすべてのE−TFCもブロックされないという仮定が必ずしも成り立たない。同様に、与えられたE−TFCがブロックされるとしても、それは必ずしも、TBサイズがより大きいすべてのE−TFCもブロックされることを意味しない。表2は、E−TFC選択のために使用されるE−TFC−MPRの一例を示している。これはテーブルに穴をあけるが、穴があくということは、テーブル内のすべてのE−TFCを検査して、それらがブロック状態にあるかどうかを確認する必要があることを意味する。
【0010】
したがって、テーブル全体を探索する必要のない、より高速/より巧妙な探索を実行することによって、このような穴に対処し、テーブル全体を探索する必要をなくすことが望ましい。
【0011】
【表2】

【課題を解決するための手段】
【0012】
E−TFCテーブルをサブテーブルに分割することによって、高速ダウンリンクパケットアクセス(HSPDA:high speed downlink packet access)システムにおけるE−TFC探索を最適化する方法および装置が提供される。サブテーブル内の特定のE−TFCがブロックされない場合、同じサブテーブル内のTBサイズがより小さいすべてのE−TFCもブロックされないと仮定される。サブテーブル内のあるE−TFCがブロックされる場合、同じサブテーブル内のTBサイズがより大きいすべてのE−TFCもブロックされると仮定することができる。
【0013】
E−TFCテーブルが選択された後、その中で探索が行われるE−TFCテーブル内の窓が選択される。次に、探索窓内の先頭要素がブロックされるかどうかに関して判定が下される。先頭要素がブロックされる場合、探索窓内のすべての要素はブロックされると仮定され、探索は終了する。そうでなければ、探索窓内の最終要素がブロックされるかどうかに関して判定が下される。最終要素がブロックされない場合、探索窓内の最終要素より小さいまたは等しいすべての要素はブロックされないと仮定され、探索窓内の最終要素より大きいすべての要素はブロックされると仮定される。最終要素がブロックされる場合、最終要素がブロックされないと判定されるまで、探索窓のサイズが縮小される。
【0014】
例として与えられ、添付の図面と併せて理解される以下の説明から、より詳細な理解を得ることができるだろう。
【発明の効果】
【0015】
本発明により、E−TFC選択プロセスにおいて、テーブル全体を探索する必要のない、より高速/より巧妙な探索を実行することによって、穴に対処し、テーブル全体を探索する必要をなくすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】E−TFC制限のための、E−TFCテーブルをサブテーブルに分割する手順のフローチャートを示す図である。
【図2】最適化された探索手順のフローチャートを示す図である。
【図3】図1および図2の手順を実行するように構成された、WTRUおよび基地局を含む無線通信システムの図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
これ以降で言及される場合、「無線送受信ユニット(WTRU)」という用語は、ユーザ機器(UE)、移動局、固定もしくは移動加入者ユニット、ページャ、セルラ電話、携帯情報端末(PDA)、コンピュータ、または無線環境で動作可能な他の任意のタイプのユーザ装置を含むが、それらに限定されない。これ以降で言及される場合、「基地局」という用語は、ノードB、サイトコントローラ、アクセスポイント(AP)、または無線環境で動作可能な他の任意のタイプのインタフェース装置を含むが、それらに限定されない。
【0018】
E−TFC MPRの表2は、MPR値が以下のものの関数であること、すなわち、チャネル利得値βhs(TTIにおいてHSDPAチャネルが使用されているかどうかを示す)、チャネル利得値β(TTIにおいてDCHチャネルが使用されているかどうかを示す)、SFmin(E−TFCによって必要とされる最小拡散率)、およびNcodes(E−TFCによって必要とされる符号の数)の関数であることを示している。与えられたTTIにおいてβhsおよびβが固定されている(すなわち、すべてのE−TFCに対して同じ値である)場合、NcodesおよびSFminは、トランスポートブロック(TB)サイズの関数であり、E−TFC毎に変化する。
【0019】
すべてのTTIにおいて、WTRUは、HSDPAおよびDCHが存在するかそれとも存在しないかを決定し、そのシナリオに応じて、MPRの対応する値を表2で調べる。MPR値は次に、最大電力から減算されて、WTRUによって出力される許容電力を決定する。
【0020】
例えば、HSDPAおよびDCHが存在するかそれとも存在しないかに応じて、以下の4通りの異なるケースについて考える。4通りのケースは、以下の通りである。
1)βhs=0かつβ=0(HSDPAなし、DCHなし)
2)βhs>0かつβ=0(HSDPAあり、DCHなし)
3)βhs=0かつβ>0(HSDPAなし、DCHあり)
4)βhs>0かつβ>0(HSDPAあり、DCHあり)
MPRの表2から分かるように、上記のシナリオの各々について、MPRの値は、SFminおよびNcodesの値に基づいて異なる。
【0021】
例えば、SFmin≧4かつNcode=1であるTFCの場合、MPRの値は以下の通りである。
1)βhs=0かつβ=0である場合、MPR=0.25
2)βhs=0かつβ>0である場合、MPR=0.75
3)βhs>0かつβ>0である場合、MPR=1.5
E−TFCはTBサイズの昇順で列挙されることに留意されたい。さらに、UMTS規格によれば、各E−TFCの符号数およびSFは、以下のオーダ、すなわち、{N256,N128,N64,N32,N16,N8,N4,2×N4,2×N2,2×N2+2×N4}に基づいて選択される。これは、E−TFCがSFおよび符号数の昇順で列挙されることを暗示する。
【0022】
上記の観察に基づくと、テーブル内のいずれか2つの連続するE−TFCについてMPR値が異なる場合、E−TFCテーブルに「穴」が存在する。
【0023】
以下の表は、上掲の4通りのケースの各々について、MPR値を列挙している。以下の表は、各ケースのE−TFCテーブル内の穴の数も含んでいる。示された各ケースの穴の数は、Ncodesが増加し、SFが減少する場合の、MPR値の変化の結果として変化する。
【0024】
2つのSF2および2つのSF4が存在するケースである4つの符号が存在するケースを除くすべてのケースで、SFminはSFに等しいことに留意されたい。
【0025】
【表3】

【0026】
【表4】

【0027】
【表5】

【0028】
【表6】

【0029】
本発明の1の実施形態では、E−TFCテーブルは、論理サブテーブルに分割され、各サブテーブルは、同じMPR値を有し、テーブル内で連続しているすべてのE−TFCを含む。
【0030】
したがって、各サブテーブル内では、サブテーブル内のあるE−TFCがブロックされない場合、同じサブテーブル内のTBサイズがより小さいすべてのE−TFCもブロックされない、という規則が適用される。同様に、サブテーブル内のあるE−TFCがブロックされる場合、同じサブテーブル内のTBサイズがより大きいすべてのE−TFCもブロックされる。
【0031】
図1は、第1の実施形態による、探索手順100のフローチャートである。ステップ105において、WTRUは、基地局および/またはRRCから、トランスポートフォーマットを選択するときにMAC−eがどの事前定義テーブルを使用すべきかに関する、TTI長およびE−TFC情報を受信する。ステップ110において、WTRUは、この情報に基づいて、E−TFCテーブルのどのE−TFCが同じMPR値を有し、E−TFCテーブル内で連続しているかを決定する。次にステップ115において、WTRUは、E−TFCテーブルをM個のサブテーブルに分割し、各サブテーブルは、同じMPR値を有し、連続しているE−TFCを含む。ステップ120において、WTRUは、適切なアルゴリズムに従って、M個のサブテーブルを探索する。M個のサブテーブルのうちの1つのE−TFCがブロックされない場合、そのサブテーブル内のTBサイズがより小さいすべてのE−TFCはブロックされない。最後にステップ125において、WTRUは、探索結果に基づいてトランスポートフォーマットを選択する。
【0032】
WTRUが上記の規則を各サブテーブル内で適用できるようにすることによって、探索を各サブテーブル内で独立に実行できるので、探索はより高速に実行される。サブテーブル内での探索をさらに最適化する効率的な探索アルゴリズムが、以下に開示される。
【0033】
与えられたテーブルにおけるサブテーブルの数は、(穴の数+1)によって与えることができることに留意されたい。2つのサブテーブルの間の境界は、サブテーブル境界として知られている。表6に示されるようなテーブル分割が実行されると、サブテーブル境界が自動的に確定される。以下の手順は、ブロックされるE−TFCを探すためにすべてのサブテーブル内で実行される探索を最適化するアルゴリズムであり、したがって、このアルゴリズムの使用によって、探索プロセスをより高速にすることができる。サブテーブル境界は、必要とされる探索の総数を表す。したがって、サブテーブルの数に応じて、探索アルゴリズムは各サブテーブルに反復的に適用され、境界はサブテーブルを区別するために使用される。サブテーブル境界を決定するため、h1、h2、およびh3が以下のように定義される。
h1:1つの符号を必要とするE−TFCテーブル内の最大E−TFC。
h2:SF4を用いる2つの符号を必要とするE−TFCテーブル内の最大E−TFC。
h3:SF2を用いる2つの符号を必要とするE−TFCテーブル内の最大E−TFC。
【0034】
列挙されたいずれのケースでもサブテーブルの最大数は4つである。ケースによっては、いくつかの境界は消滅する。各ケースの境界は以下の通りである。
ケース1:h1、h3に境界を有する3つのサブテーブルが存在する。
ケース2:h3に境界を有する2つのサブテーブルが存在する。
ケース3:h2、h3に境界を有する3つのサブテーブルが存在する。
ケース4:h1、h2、h3に境界を有する4つのサブテーブルが存在する。
【0035】
別の実施形態では、E−TFCテーブル内での探索のための手順が開示される。E−TFCサブテーブルの場合、サブテーブルが個々のE−TFCテーブルであるかのように、アルゴリズムは各サブテーブルに独立に適用されるべきである。以下の手順について考える。
1.T=テーブルのサイズとする。
2.窓サイズWを選択する。
3.最終要素=Tとする。
4.先頭要素=T−Wとする。
5.先頭要素がブロックされ、かつ先頭要素≠1の間、以下を繰り返す。
先頭要素=MAX(先頭要素−W,1)
最終要素=最終要素−W
6.先頭要素がブロックされる場合、すべての要素がブロックされる。
7.それ以外の場合(先頭要素はブロックされない)。
8.最終要素がブロックされる間、以下を繰り返す。最終要素=最終要素−1
9.最終要素より小さいまたは等しいすべての要素はブロックされない。
10.最終要素より大きいすべての要素はブロックされる。
上述の手順は、サブテーブル毎に独立に繰り返されるべきである。すべてのサブテーブルのすべての要素がブロックされる場合、WTRUは、最小許容E−TFCセットを使用すべきである。
【0036】
図2は、最適化探索手順200のフローチャートを示す図である。ステップ205において、WTRUは、E−TFCテーブルを選択する。ステップ210において、WTRUは、その中で探索が行われるE−TFCテーブル内の窓を選択する。各テーブルは昇順に配列される。したがって、先頭要素は最小要素である。ステップ215において、WTRUは、探索窓内の要素がブロックされるかどうかについて判定を下す。先頭要素はテーブル内における最小電力を必要とするE−TFCであるので、ステップ215において先頭要素がブロックされると判定された場合、WTRUは、探索窓内のすべての要素がブロックされると仮定する(ステップ220)。その後、WTRUは、探索を終了するか、または別のE−TFCテーブルを探索することができる。ステップ215において先頭要素がブロックされない(すなわち非ブロック)と判定された場合、WTRUは次に、窓内の最終要素をチェックする(ステップ225)。ステップ225において探索窓の最終要素がブロックされると判定された場合、WTRUは、現在の最終要素を最終要素−1に設定することによって探索窓のサイズを減少させ(ステップ230)、ステップ225を繰り返す。WTRUは、ステップ225およびステップ230を続けて繰り返し、最終要素がブロックされないと判定されるまで、窓のサイズを減少させる。現在の最終要素がブロックされないことを見出すと、WTRUは、窓内の現在の最終要素より小さいまたは等しいすべての要素はブロックされず、現在の最終要素より大きいすべての要素はブロックされると仮定する(ステップ235)。その後、WTRUは、探索を終了するか、または別のE−TFCサブテーブルを探索することができる。上ではMPRを伴わないE−TFCと共に使用される手順が説明されたが、MPRが存在する場合であっても上述の手順を使用することができ、その場合は上述のE−TFCサブテーブルを使用することができる。
【0037】
上述の窓探索手順は、窓内の最上位E−TFC(すなわち、窓内のTBサイズが最小のE−TFC)がブロックされる場合、順次探索よりも性能が優れている。提案のアルゴリズムが順次探索よりも多くの命令を必要とする唯一のケースは、窓内の最上位E−TFCがブロックされない場合であり、その場合、(順次探索と比較した場合に)1つ余分な比較が、窓探索アルゴリズムによって必要とされる。したがって、サブテーブル内の最終N個のE−TFCがブロックされる確率が高くなるように窓サイズNが選択される限り、窓探索アルゴリズムは、順次探索アルゴリズムよりも平均して性能が優れている。
【0038】
窓サイズは、固定の窓サイズまたは動的に調整された窓サイズとすることができる。例えば、テーブルのN個の最終要素のうちにブロックE−TFCを見出す既知の確率が高い場合、窓サイズはNに固定されるべきである。さらに、Nの値は、WTRUロケーション(経路損失)、DCHおよびHSDPAの存在など、いくつかの要因の関数である。結果として、Nの値は、上に挙げた要因または他の要因に従って、TTIに基づいて変化し得る。
【0039】
また別の実施形態では、E−TFCテーブル内でより上位のサブテーブルの場合、サブテーブル内でブロックE−TFCを見出す可能性は小さいので、窓のサイズは与えられた数だけ縮小してもよい。
【0040】
上述の窓技法をサブテーブル技法と組み合わせて実施することによって、ブロックE−TFCを見出し、穴を孤立化させるのに必要とされる探索の数は、テーブル内に存在する128個のE−TFCのすべてを1つずつ比較するよりも高速に実行することができる。
【0041】
図3は、WTRU305および基地局310を含む無線通信システム300を示している。E−TFCおよびMPRテーブルは、UMTS規格において予め定義されている。そのため、WTRU305は、予め定義されおよび予め符号化されたテーブルをメモリ355内に有する。基地局310は、RRC手順を使用して、ある基準値をWTRU305に通知する。この値は、各E−TFCの量子化振幅比(quantized amplitude ratio)を計算するために使用される。WTRU305は、プロセッサ315と、受信機320と、送信機325と、アンテナ330とを含むことができる。基地局310は、プロセッサ335と、受信機340と、送信機345と、アンテナ350とを含むことができる。WTRU305および基地局310は各々、MPR値が使用される場合にE−TFC制限を最適化する方法を実行するように構成される。
【0042】
基地局310内のプロセッサ335は、TTI長とE−TFCテーブルを含むE−TFC情報とを指示する情報を生成する。送信機345は、この情報をアンテナ350を介して送信する。基準値がWTRU305に通知され、電力制限手順で使用される。E−TFCテーブルは、予め定義され、WTRU305のメモリ355内に予め保存される。WTRU305では、情報がアンテナ330を介して受信機320によって受信され、プロセッサ315に転送される。プロセッサ315は、どのE−TFCが同じMPR値を有し、受信したE−TFCテーブル内で連続しているかを決定するように構成される。プロセッサ315は、MPR値に基づいてE−TFCテーブルをサブテーブルに分割するようにさらに構成される。プロセッサ315は、サブテーブルを探索し、WTRU305が基地局310と通信する場合に使用するトランスポートフォーマットを選択するようにも構成される。
【0043】
実施形態
1.テーブル内で拡張専用チャネルトランスポートフォーマット組み合わせ(E−TFC)を探索する、無線送受信ユニット(WTRU)で実施される方法であって、
(a)送信時間間隔(TTI)およびE−TFCデータを受信するステップと、
(b)前記受信したTTIおよびE−TFCデータに基づいて、適切なE−TFCテーブルを選択するステップと、
(c)前記E−TFCテーブルを複数のサブテーブルに分割するステップであって、前記複数のサブテーブルの各々は、同じ最大電力低減値を有し、前記テーブル内で連続しているすべてのE−TFCを含む、分割することと、
(d)前記複数のサブテーブルの各々を探索するステップと
を含むことを特徴とする方法。
【0044】
2.ステップ(d)が、
前記複数のサブテーブルのうちの1つのあるE−TFCがブロックされない場合、そのことは、前記複数のサブテーブルのうちの同じ1つの、トランスポートブロック(TB)サイズがより小さいすべてのE−TFCもブロックされないことを示すと判定するステップと、
前記サブテーブルのあるE−TFCがブロックされる場合、そのことは、前記複数のサブテーブルのうちの同じ1つの、TBサイズがより大きいE−TFCがブロックされることを示すと判定するステップと
をさらに含むことを特徴とする実施形態1に記載の方法。
【0045】
3.(e)前記複数のサブテーブルの各々の前記探索に基づいてトランスポートフォーマットを選択するステップ
をさらに含むことを特徴とする実施形態1に記載の方法。
【0046】
4.(e)複数の送信時間間隔(TTI)の各々においてHSDPAおよび専用チャネルの存在を判定するステップ
をさらに含むことを特徴とする実施形態1に記載の方法。
【0047】
5.(f)無線送受信ユニット(WTRU)のための許容電力を決定するステップ
をさらに含むことを特徴とする実施形態4に記載の方法。
【0048】
6.ステップ(f)が、
HSPDAおよびDCHの前記存在に対応するMPR値を決定し、前記値を最大電力から減算して前記許容電力を計算するステップ
を含むことを特徴とする実施形態5に記載の方法。
【0049】
7.前記探索は、前記複数のサブテーブルの各々において独立に実行されることを特徴とする実施形態1に記載の方法。
【0050】
8.拡張トランスポートフォーマット組み合わせ(E−TFC)テーブルを探索する、無線送受信ユニット(WTRU)で実施される方法であって、
(a)E−TFCテーブルを選択するステップと、
(b)ある探索窓サイズを有する前記テーブル内の探索窓を定義するステップと、
(c)前記探索窓内の先頭要素がブロックされるかどうかを判定するステップと、
(d)前記先頭要素がブロックされない場合、前記探索窓内の最終要素がブロックされるかどうかを判定するステップと
を含むことを特徴とする方法。
【0051】
9.ブロックされる先頭要素は、すべての要素がブロックされることを示すことを特徴とする実施形態8に記載の方法。
【0052】
10.ブロックされない最終要素は、前記最終要素より小さいまたは等しいすべての要素がブロックされないことを示すことを特徴とする実施形態8に記載の方法。
【0053】
11.前記探索窓内の前記最終要素がブロックされると判定するステップと、
前記探索窓において、前記探索窓サイズを前記最終要素だけ縮小するステップと
をさらに含むことを特徴とする実施形態8に記載の方法。
【0054】
12.テーブルを選択するステップは、E−TFCサブテーブルを選択するステップを含むことを特徴とする実施形態8に記載の方法。
【0055】
13.前記探索窓サイズは、固定されることを特徴とする実施形態8に記載の方法。
【0056】
14.前記探索窓サイズは、動的に調整されることを特徴とする実施形態8に記載の方法。
【0057】
15.前記探索窓サイズは、E−TFCテーブル内においてより上位のサブテーブルについては縮小されることを特徴とする実施形態8に記載の方法。
【0058】
16.E−TFCテーブルを保存するよう構成されたメモリと、
前記E−TFCテーブルを複数のサブテーブルに分割するよう構成されたプロセッサであって、各サブテーブルは、同じ最大電力低減値を有し、前記テーブル内で連続しているすべてのE−TFCを含むことと、を備え、
前記プロセッサは、前記複数のサブテーブルの各々を探索するようさらに構成された
ことを特徴とする無線送受信ユニットWTRU。
【0059】
17.サブテーブル内のあるE−TFCがブロックされない場合、そのことは、同じサブテーブル内のトランスポートブロック(TB)サイズがより小さいすべてのE−TFCもブロックされないことを示すと判定するように構成された前記プロセッサと、
前記サブテーブル内のあるE−TFCがブロックされる場合、そのことは、同じサブテーブル内のTBサイズがより大きいE−TFCがブロックされることを示すと判定するように構成された前記プロセッサと、をさらに含むことを特徴とする実施形態16に記載のWTRU。
【0060】
18.前記プロセッサは、前記複数のサブテーブルの各々の前記探索に基づいて、トランスポートフォーマットを選択するように構成されたことを特徴とする実施形態16に記載のWTRU。
【0061】
19.複数の送信時間間隔(TTI)の各々においてHSDPAおよび専用チャネルの存在を判定するよう構成された受信機をさらに含むことを特徴とする実施形態16に記載のWTRU。
【0062】
20.前記WTRUのための許容電力を決定するよう構成されたプロセッサ
をさらに含むことを特徴とする実施形態16に記載のWTRU。
【0063】
21.HSPDAおよびDCHの前記存在に対応するMPR値を決定するように構成される前記プロセッサと、
前記許容電力を計算するために前記値を最大電力から減算するように構成される前記プロセッサとをさらに含むことを特徴とする実施形態16に記載のWTRU。
【0064】
22.E−TFCテーブルを選択するように構成されたプロセッサを備え、
前記プロセッサは、前記テーブル内の探索窓を定義し、
前記プロセッサは、前記探索窓内の先頭要素がブロックされるかどうかを判定するように構成され、前記先頭要素がブロックされない場合、前記プロセッサは、前記探索窓内の最終要素がブロックされるかどうかを判定するようさらに構成されたことを特徴とする無線送受信ユニット(WTRU)。
【0065】
23.前記探索窓内の前記最終要素がブロックされる場合、前記探索窓において前記探索窓サイズを前記最終要素だけ縮小するように構成された前記プロセッサをさらに含むことを特徴とする実施形態22に記載のWTRU。
【0066】
本発明の特徴および要素が特定の組み合わせで説明されたが、各特徴または要素は、他の特徴および要素を伴わずに単独で使用することができる。または他の特徴および要素を伴うもしくは伴わない様々な組み合わせで使用することもできる。提供された方法またはフローチャートは、汎用コンピュータまたはプロセッサによる実行のための、コンピュータ読取り可能記憶媒体内で有形に実施されるコンピュータプログラム、ソフトウェア、またはファームウェアで実施することができる。コンピュータ読取り可能記憶媒体の例は、リードオンリメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、レジスタ、キャッシュメモリ、半導体メモリデバイス、内蔵ハードディスクおよび着脱可能ディスクなどの磁気媒体、光磁気媒体、ならびにCD−ROMディスクおよびデジタル多用途ディスク(DVD)などの光媒体を含む。
【0067】
適切なプロセッサは、一例として、汎用プロセッサ、専用プロセッサ、従来型プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと連携する1つもしくは複数のマイクロプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)回路、他の任意のタイプの集積回路(IC)、および/または状態機械を含む。
【0068】
ソフトウェアと連携するプロセッサは、無線送受信ユニット(WTRU)、ユーザ機器(UE)、端末、基地局、無線ネットワークコントローラ(RNC)、または任意のホストコンピュータで使用される無線周波トランシーバを実装するために使用することができる。WTRUは、カメラ、ビデオカメラモジュール、ビデオフォン、スピーカフォン、バイブレーション装置、スピーカ、マイクロフォン、テレビトランシーバ、ハンズフリーヘッドセット、キーボード、Bluetooth(登録商標)モジュール、FMラジオユニット、液晶表示(LCD)ディスプレイユニット、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイユニット、デジタル音楽プレーヤ、メディアプレーヤ、ビデオゲームプレーヤモジュール、インターネットブラウザ、および/または任意の無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)モジュールなど、ハードウェアおよび/またはソフトウェアで実装されるモジュールと併せて使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、無線通信システムに利用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線送受信ユニット(WTRU)による、拡張専用チャネルトランスポートフォーマット組み合わせ(E−TFC)選択のための方法において、
E−TFCのセットからのE−TFCが、前記WTRUに関連付けられた最大送信電力レベルに基づいてブロックされるかどうかを決定するステップと、
前記E−TFCのセットからのE−TFCが、前記E−TFCに関連付けられた少なくともチャネライゼーションコードの数に基づいてブロックされるかどうかを決定するステップと、
前記E−TFCのセットからのどのE−TFCがブロックされなかったかを決定するステップと、
ブロックされていないE−TFCを選択するステップと、
前記選択されたE−TFCに従って、送信のための拡張専用チャネル(E−DCH)データを処理するステップと
を備えることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記E−TFCのセットは、少なくとも1つのテーブルからであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくともチャネライゼーションコードの数に基づいてブロックされた前記E−TFCは、前記少なくとも1つのテーブルの中で穴を形成することを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つのテーブルからの少なくとも1つの追加のE−TFCは、最大送信電力に基づいてブロックされる前記E−TFCおよびチャネライゼーションコードの数に基づいてブロックされる前記E−TFC以外に選択するのを許可されないことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つの追加のE−TFCは、前記少なくとも1つの追加のE−TFCに関連付けられた拡散率に基づいて選択するのを許可されないことを特徴とする請求項4に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2012−157018(P2012−157018A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−45463(P2012−45463)
【出願日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【分割の表示】特願2009−536260(P2009−536260)の分割
【原出願日】平成19年11月2日(2007.11.2)
【出願人】(596008622)インターデイジタル テクノロジー コーポレーション (871)
【Fターム(参考)】