ICカード及び通信装置
【課題】 製品信頼性の高い接触電極を有するICカード及び上記ICカードとの間で接触通信可能な通信装置を提供する。
【解決手段】 ICカードは、カード基材10と、カード基材に収納されるICと、接触電極P1乃至P4とを備えている。接触電極P1乃至P4は、カード基材10に設けられ、カード基材の内部を通ってICに電気的に接続され、カード基材の側面側に露出している。
【解決手段】 ICカードは、カード基材10と、カード基材に収納されるICと、接触電極P1乃至P4とを備えている。接触電極P1乃至P4は、カード基材10に設けられ、カード基材の内部を通ってICに電気的に接続され、カード基材の側面側に露出している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ICカード及び通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ICカードとして、接触通信の機能を有する接触式ICカード、非接触通信(無線通信)の機能を有する非接触式ICカード(無線ICカード)、並びに接触通信及び非接触通信の双方の機能を有するデュアルインターフェイスICカードが知られている。デュアルインターフェイスICカードとしては、接触通信及び非接触通信を1つのICで処理するコンビICカードと、接触通信及び非接触通信を個々のICで処理するハイブリッドICカードとに分類される。
【0003】
接触通信の機能を有するICカードは、収納用凹部を有したカード基材と、IC及び6乃至8個の接触電極を有したICモジュールとを有している。ICモジュールはカード基材の収納用凹部に収納されている。
また、ICモジュールの接触電極とは別に、ICカードの裏面側に裏面側接触電極を設ける技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−250484号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ICカードの表面側や裏面側である主面側に設けられた接触電極は剥がれ易い問題がある。このため、製品信頼性の高いICカードが求められている。
この発明は以上の点に鑑みなされたもので、その目的は、製品信頼性の高いICカード及び上記ICカードとの間で接触通信可能な通信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の態様に係るICカードは、
カード基材と、
前記カード基材に収納されるICと、
前記カード基材に設けられ、前記カード基材の内部を通って前記ICに電気的に接続され、前記カード基材の側面側に露出した側面側接触電極と、を備えている。
【0007】
また、本発明の他の態様に係る通信装置は、
カード基材と、前記カード基材に収納されるICと、前記カード基材に設けられ、前記カード基材の内部を通って前記ICに電気的に接続され、前記カード基材の側面側に露出した側面側接触電極と、を備えたICカードとの間で接触通信可能な通信装置であって、
前記ICカードが挿入される装置本体と、
前記装置本体に設けられ、前記ICカードの側面側接触電極に接触可能な端子部と、を備えている。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、製品信頼性の高い接触電極を有するICカード及び上記ICカードとの間で接触通信可能な通信装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るICカードを示す斜視図である。
【図2】図1に示したICカードの平面図であり、特に、ICモジュールをカード本体に収納する前の状態を示す図である。
【図3】図2に示した線A−Aに沿ったICカードの断面図であり、特に、ICモジュールをカード本体に収納する前の状態を示す図である。
【図4】図3に示したICモジュールがカード本体に収納された状態を示すICカードの断面図である。
【図5】上記ICモジュールを表面側から示す平面図である。
【図6】上記ICモジュールを裏面側から示す平面図である。
【図7】上記第1の実施の形態に係るICカード、リーダライタ及び外部端末を示すブロック図である。
【図8】上記第1の実施の形態に係るリーダライタと、リーダライタに挿入される前の状態のICカードとを示す平面図である。
【図9】図8に示したリーダライタにICカードが挿入され、接触通信が可能な状態のリーダライタ及びICカードを示す平面図である。
【図10】図9に示した線B−Bに沿ったリーダライタ及びICカードの断面図である。
【図11】本発明の第2の実施の形態に係るICカードの平面図であり、特に、ICモジュールをカード本体に収納する前の状態を示す図である。
【図12】図11に示した線C−Cに沿ったICカードの断面図であり、特に、ICモジュールをカード本体に収納する前の状態を示す図である。
【図13】上記第2の実施の形態に係るリーダライタと、リーダライタに挿入される前の状態のICカードとを示す平面図である。
【図14】図13に示したリーダライタにICカードが挿入され、接触通信が可能な状態のリーダライタ及びICカードを示す平面図である。
【図15】図14に示した線D−Dに沿ったリーダライタ及びICカードの断面図である。
【図16】本発明の第3の実施の形態に係るICカードを示す平面図である。
【図17】図16に示した線E−Eに沿ったICカードの断面図である。
【図18】図17に示したアンテナコイルと、図17に示したカード基材を構成する2枚のシートとを示す断面図である。
【図19】上記第3の実施の形態に係るICカードの変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながらこの発明の第1の実施の形態に係るICカード及び通信装置としてのリーダライタについて詳細に説明する。この実施の形態において、ICカードは接触式ICカードである。
【0011】
図1乃至図6に示すように、ICカード1は、カード本体2と、ICモジュール3とを備えている。カード本体2は、カード基材10と、側面側接触電極としての接触電極P1、P2、P3、P4と、配線部16とを有している。接触電極P1乃至P4及び配線部16は、金属等の導電材料にて形成されている。
【0012】
カード基材10は、一主面側に設けられた収納用凹部15を有している。カード基材10は、PVC(ポリ塩化ビニル)、PET(ポリエチレンテレフタレート樹脂)、紙等の絶縁材で形成されている。
【0013】
接触電極P1乃至P4は、カード基材10に設けられ、カード基材10の側面側に露出している。配線部16は、カード基材10の内部に設けられている。配線部16は、それぞれ接触電極P1乃至P4に電気的に接続されている。カード基材10には、配線部16に繋がったコンタクトホール13が形成されている。
【0014】
この実施の形態において、接触電極P1乃至P4は、カード基材10の一側面側に露出している。接触電極P1乃至P4の接触面は、カード基材10の側面と同一平面上に位置している。
【0015】
ICモジュール3は、基板30と、IC31と、一主面側接触電極としての接触電極C1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8と、接続配線T1、T2、T3、T4と、封止材35とを有している。
【0016】
基板30は、厚さ100pmのガラスエポキシ基板で形成されている。ICモジュール3の裏面側において、IC31は基板30上に実装されている。ここでは、IC31の厚みは250μmである。ICモジュール3の表面側において、接触電極C1乃至C8は基板30上に配設されている。接触電極C1乃至C8は、カード基材10の一主面側に露出している。
【0017】
IC31と、接触電極C1、C2、C3、C5、C7とは、基板30に形成された図示しないスルーホールを通って形成された金ワイヤ33にて電気的に接続されている。接触電極C4、C6、C8は、IC31に接続されていない。
【0018】
接触電極C1乃至C8は、接触通信に使用されるが、接触電極C4、C8は通常の接触通信では使用されない。接触電極C1はVCC(供給電圧)、接触電極C2はRST(リセット信号)、接触電極C3はCLK(クロック信号)、接触電極C5はGND(接地)、接触電極C6はVPP(可変供給電圧)、接触電極C7はI/O(データ入出力)用のインターフェースである。接触電極C4、C8はRFU(予備端子)である。
【0019】
ICモジュール3の裏面側において、接続配線T1乃至T4は基板30上に形成されている。IC31と、接続配線T1乃至T4とは、金ワイヤ33にて電気的に接続されている。IC31及び金ワイヤ33は、絶縁材で形成された封止材35で封止されている。ここでは、ICモジュール3の厚みは630μmである。
【0020】
ICモジュール3は、カード基材10の収納用凹部15内に収納されている。ICモジュール3及びカード基材10は、ICモジュール3の周縁部に設けられた接着材により接合されている。
【0021】
接続配線T1乃至T4は、コンタクトホール13に設けられた(充填された)導電性の接着材52を介してそれぞれ配線部16に電気的に接続されている。上記のことから、接触電極P1乃至P4は、配線部16及び導電性の接着材52を介し(カード基材10の内部を通り)、さらに接続配線T1乃至T4及び金ワイヤ33を介してIC31に電気的に接続されている。
【0022】
接触電極P1及び接続配線T1、接触電極P2及び接続配線T2、接触電極P3及び接続配線T3、並びに接触電極P4及び接続配線T4が、それぞれ一対一で電気的に接続されている。
【0023】
この実施の形態において、IC31はLSI(large scale integrated circuit)のICチップであり、ICモジュール3はICチップモジュールである。なお、IC31との接続に、金ワイヤ33を用いたワイヤーボンディング方式を採用したが、この接続方式に限定されるものではなく、他の接続方式を採用しても良い。
【0024】
図7に示すように、上記のICカード1は、インターフェース(接触電極C1乃至C8及び接触電極P1乃至P4)5をリーダライタ70の後述する端子部に接触させる接触通信により、IC31のメモリ7に記憶されたデータを基に、IC31のCPU6と外部端末100との間でデータ通信を行なうことができる。
【0025】
図8乃至図10に示すように、リーダライタ70は、上記ICカード1との間で接触通信可能である。ICカード1は、表向きの状態、即ち、ICモジュール3側を表向きにしてリーダライタ70に挿入される。
【0026】
リーダライタ70は、ICカード1が挿入される装置本体71と、移動機構72と、端子部73と、端子部75とを備えている。移動機構72は装置本体71に設けられている。端子部73は移動機構72に取り付けられている。端子部75は装置本体71に設けられている。端子部73は、ICカード1の接触電極C1乃至C8に接触可能である。
【0027】
移動機構72は、端子部73を上下に移動させるものであり、端子部73をICカード1の接触電極C1乃至C8に接触状態にする接触位置と、端子部73をICカード1の接触電極C1乃至C8に非接触状態にする非接触位置とに切替えることができる。端子部73は8個設けられ、それぞれ接触ピンで形成されている。
【0028】
端子部75は、挿入されるICカード1の側面に対向した個所に設けられている。詳しくは、端子部75はICカード1が挿入される方向に対向して設けられている。端子部75はICカード1の接触電極P1乃至P4に接触可能である。ICカード1がリーダライタ70に挿入され端子部75と接触した状態で、端子部75及び接触電極P1乃至P4は接触状態となる。
【0029】
上記のように構成されたICカード1及びリーダライタ70によれば、ICカード1は、カード基材10と、カード基材10に収納されるIC31と、カード基材10に設けられ、カード基材10の内部を通ってIC31に電気的に接続され、カード基材10の側面側に露出した接触電極P1乃至P4とを備えている。
【0030】
接触電極P1乃至P4は、カード基材10の側面側に露出するように設けられているため、カード基材10の主面側に設けられた場合に比べて破損し難く、特に、剥がれ難い。また、接触電極P1乃至P4は、カード基材10の主面側に設けられた場合に比べて押圧された際の物理強度が高い。これにより、接触電極P1乃至P4の将来的な破損を防止できるため、製品信頼性の高いICカード1を得ることができる。
また、ISO7816に規定される接触電極位置に違反することの無い接触電極P1乃至P4を得ることができる。
【0031】
ICカード1は、カード基材10の収納用凹部15内に収納されたICモジュール3を備えている。接触電極P1乃至P4の接触面は、カード基材10の側面と同一平面上に位置している。接触電極P1乃至P4の接触面は、カード基材10の側面より外側に突出していない。このため、ICカード1における従来のICモジュール3の位置を変更することなく、ISO7816の規定を満たすことができる。
【0032】
ICモジュール3は、IC31と、カード基材10の一主面側に露出し、IC31に電気的に接続された接触電極C1乃至C8とを有している。接触電極C1乃至C8及び接触電極P1乃至P4を用いた接触通信が可能である。上記ICカード1は、接触電極P1乃至P4の分従来の接触式ICカードに比べてインターフェースの個数を増加できるため、多機能化に対応することができる。
【0033】
また、ICモジュール3自体等、カード基材10の主面側にインターフェースの個数を増加させていないため、多機能化に対応することができ、かつ、製品信頼性の高いICカード1を得ることができる。
【0034】
リーダライタ70は、ICカード1が挿入される装置本体71と、ICカード1の接触電極P1乃至P4に接触可能な端子部75とを備えている。このため、リーダライタ70は、端子部75を介してICカード1の側面側の接触電極P1乃至P4と接触通信可能である。
【0035】
リーダライタ70は、ICカード1の接触電極C1乃至C8に接触可能な他の端子部73を備えている。このため、リーダライタ70は、端子部73、75を介してICカード1との間で接触通信可能である。
【0036】
例えば、端子部73及び接触電極P1乃至P4を用いてIC31や接触電極C5を接地させた後、端子部75及び接触電極C1乃至C8を介してデータ通信を行っても良い。この場合、IC31や接触電極C5を始めに接地できるため、安定したデータ通信を行うことができる。
【0037】
次に、この発明の第2の実施の形態に係るICカード及び通信装置としてのリーダライタについて詳細に説明する。この実施の形態において、ICカードは接触式ICカードである。なお、この実施の形態において、他の構成は上述した第1の実施の形態と同一であり、同一の部分には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0038】
図11及び図12に示すように、ICカード1は、カード本体2と、ICモジュール3とを備えている。カード本体2は、カード基材10と、側面側接触電極としての接触電極P1、P2と、貫通孔17とを有している。
【0039】
接触電極P1、P2は、カード基材10に設けられ、カード基材10の側面側に露出している。貫通孔17は、カード基材10に設けられ、カード基材10の側面と接触電極P1、P2とに繋がっている。
この実施の形態において、接触電極P1、P2は、カード基材10の内部に位置し、貫通孔17を通ってカード基材10の一側面側に露出している。
【0040】
ICモジュール3は、基板30と、IC31と、一主面側接触電極としての接触電極C1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8と、接続配線T1、T2と、封止材35とを有している。
【0041】
接続配線T1、T2は、コンタクトホール13に設けられた(充填された)導電性の接着材52を介して接触電極P1、P2に電気的に接続されている。上記のことから、接触電極P1、P2は、導電性の接着材52を介し(カード基材10の内部を通り)、さらに接続配線T1、T2及び金ワイヤ33を介してIC31に電気的に接続されている。
【0042】
図13乃至図15に示すように、リーダライタ70は、上記ICカード1との間で接触通信可能である。ICカード1は、表向きの状態、即ち、ICモジュール3側を表向きにしてリーダライタ70に挿入される。
【0043】
リーダライタ70は、ICカード1が挿入される装置本体71と、移動機構72と、端子部73と、端子部75とを備えている。この実施の形態において、端子部75は、貫通孔17より細く、針状に形成されている。端子部75は、貫通孔17を通って接触電極P1、P2に接触可能である。ICカード1がリーダライタ70に挿入され端子部75と接触電極P1、P2とが接触した状態で、接触通信が可能となる。
【0044】
上記のように構成されたICカード1及びリーダライタ70によれば、ICカード1は、カード基材10と、カード基材10に収納されるIC31と、カード基材10に設けられ、カード基材10の内部を通ってIC31に電気的に接続され、カード基材10の側面側に露出した接触電極P1、P2とを備えている。
【0045】
接触電極P1、P2は、カード基材10の側面側に露出するように設けられているため、カード基材10の主面側に設けられた場合に比べて破損し難く、特に、剥がれ難い。また、接触電極P1、P2は、カード基材10の主面側に設けられた場合に比べて押圧された際の物理強度が高い。これにより、接触電極P1、P2の将来的な破損を防止できるため、製品信頼性の高いICカード1を得ることができる。
また、ISO7816に規定される接触電極位置に違反することの無い接触電極P1、P2を得ることができる。
【0046】
ICカード1は、カード基材10の収納用凹部15内に収納されたICモジュール3を備えている。接触電極P1、P2の接触面は、カード基材10の内部に位置している。接触電極P1、P2の接触面は、カード基材10の側面より外側に突出していない。このため、ICカード1における従来のICモジュール3の位置を変更することなく、ISO7816の規定を満たすことができる。
【0047】
ICモジュール3は、IC31と、接触電極C1乃至C8とを有している。上記ICカード1は、接触電極P1乃至P4の分従来の接触式ICカードに比べてインターフェースの個数を増加できるため、多機能化に対応することができる。
【0048】
また、ICモジュール3自体等、カード基材10の主面側にインターフェースの個数を増加させていないため、多機能化に対応することができ、かつ、製品信頼性の高いICカード1を得ることができる。
【0049】
リーダライタ70は、ICカード1が挿入される装置本体71と、ICカード1の接触電極P1、P2に接触可能な端子部75とを備えている。このため、リーダライタ70は、端子部75を介してICカード1の側面側の接触電極P1、P2と接触通信可能である。
【0050】
リーダライタ70は、ICカード1の接触電極C1乃至C8に接触可能な他の端子部73を備えている。このため、リーダライタ70は、端子部73、75を介してICカード1との間で接触通信可能である。
【0051】
例えば、端子部73及び接触電極P1、P2を用いてIC31や接触電極C5を接地させた後、端子部75及び接触電極C1乃至C8を介してデータ通信を行っても良い。この場合、IC31や接触電極C5を始めに接地できるため、安定したデータ通信を行うことができる。
【0052】
次に、この発明の第3の実施の形態に係るICカードについて詳細に説明する。この実施の形態において、ICカードはコンビICカードである。なお、この実施の形態において、他の構成は上述した第1の実施の形態と同一であり、同一の部分には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0053】
図16乃至図18に示すように、ICカード1は、カード本体2を備えている。カード本体2は、カード基材10と、側面側接触電極としての接触電極P1、P2と、配線部16と、IC31と、封止材35と、無線通信用の電極22、23及びアンテナコイル21とを有している。
【0054】
この実施の形態において、接触電極P1、P2は、カード基材10の一側面側に露出している。接触電極P1、P2の接触面は、カード基材10の側面と同一平面上に位置している。
【0055】
IC31は、カード基材10の内部に設けられている(埋め込まれている)。IC31は、金ワイヤ33にて、配線部16及び電極22、23に電気的に接続されている。電極22、23は、金属等の導電材料で形成されている。IC31及び金ワイヤ33は、絶縁材で形成された封止材35で封止されている。
【0056】
この実施の形態において、IC31はLSI(large scale integrated circuit)のICチップである。なお、IC31との接続に、金ワイヤ33を用いたワイヤーボンディング方式を採用したが、この接続方式に限定されるものではなく、他の接続方式を採用しても良い。
【0057】
アンテナコイル21は、図示しない通信装置との間で無線通信するためのものである。アンテナコイル21は、カード基材10に設けられている。アンテナコイル21の一端は電極22に接続され、他端は電極23に接続されている。
【0058】
ICカード1は、通信装置のアンテナを介して供給される磁力線をアンテナコイル21を介して受信して電力に変換し、この電力によってIC31のCPUを動作させ、残りの電力で通信装置にレスポンスを返す。このように、このICカード1は、非接触により通信装置との間でデータ通信を行なう。
また、ICカード1は、接触電極P1、P2を用いた接触通信により、上記第1の実施の形態で示したようなリーダライタ70との間でデータ通信を行うこともできる。
【0059】
カード基材10は、複数のシートが熱圧着して形成されている。
詳しくは、アンテナコイル21は、印刷工法等、一般に知られた工法により、シート11上に形成されている。シート11及びシート12は熱圧着され、アンテナコイル21は両シート間に挟まれている。アンテナコイル21が形成されたシート11、12と、配線部16等が形成されたシートとは、熱圧着されている。
【0060】
上記のことから、アンテナコイル21及び配線部16は、シート11を挟んで対向している。なお、シート11を含むカード基材10は、PVC、PET、紙等の絶縁材で形成されている。このため、アンテナコイル21及び配線部16は絶縁されている。
【0061】
上記のように構成されたICカード1によれば、ICカード1は、カード基材10と、カード基材10に収納されるIC31と、カード基材10に設けられ、カード基材10の内部を通ってIC31に電気的に接続され、カード基材10の側面側に露出した接触電極P1、P2とを備えている。
【0062】
接触電極P1、P2は、カード基材10の側面側に露出するように設けられているため、カード基材10の主面側に設けられた場合に比べて破損し難く、特に、剥がれ難い。また、接触電極P1、P2は、カード基材10の主面側に設けられた場合に比べて押圧された際の物理強度が高い。これにより、接触電極P1、P2の将来的な破損を防止できるため、製品信頼性の高いICカード1を得ることができる。
また、ISO7816に規定される接触電極位置に違反することの無い接触電極P1、P2を得ることができる。そして、ICカード1は、接触電極P1、P2を用いた接触通信を行うことができる。
ICカード1は、アンテナコイル21を備えている。このため、ICカード1は、アンテナコイル21を用いた無線通信を行うこともできる。
【0063】
アンテナコイル21及び配線部16は絶縁材で形成されたシート11により絶縁されている。このため、ICカード1の側面に接触電極P1、P2を設け、アンテナコイル21及び配線部16が交差している場合であっても、アンテナコイル21及び配線部16の絶縁状態を維持することができる。
【0064】
上記実施の形態の接触電極P1、P2において、図19に示すように、接触電極P1、P2はカード基材10の内部に位置し、貫通孔17を通ってカード基材10の一側面側に露出していても良い。この場合、アンテナコイル21及び貫通孔17は、絶縁材としての上記シート11を挟んで対向している。このため、アンテナコイル21と、貫通孔17に挿入される端子部(75)との絶縁状態を維持することができる。
【0065】
なお、この発明は上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化可能である。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0066】
側面側接触電極としての接触電極P1乃至P4は、カード基材10の何れか一側面側に露出して設けられていれば良く、複数の側面側に露出して設けられていても良い。
通信装置としてのリーダライタ70の端子部73、75は、ICカード1の挿入方向、向きに対応するように設けられていれば良い。
この発明のICカードは、デュアルインターフェイスICカードに適用することも可能である。
【符号の説明】
【0067】
1…ICカード、2…カード本体、3…ICモジュール、10…カード基材、11,12…シート、15…収納用凹部、16…配線部、17…貫通孔、21…アンテナコイル、22,23…電極、30…基板、31…IC、70…リーダライタ、71…装置本体、73,75…端子部、P1,P2,P3,P4…接触電極、C1,C2,C3,C4,C5,C6,C7,C8…接触電極、T1,T2,T3,T4…接続配線。
【技術分野】
【0001】
この発明は、ICカード及び通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ICカードとして、接触通信の機能を有する接触式ICカード、非接触通信(無線通信)の機能を有する非接触式ICカード(無線ICカード)、並びに接触通信及び非接触通信の双方の機能を有するデュアルインターフェイスICカードが知られている。デュアルインターフェイスICカードとしては、接触通信及び非接触通信を1つのICで処理するコンビICカードと、接触通信及び非接触通信を個々のICで処理するハイブリッドICカードとに分類される。
【0003】
接触通信の機能を有するICカードは、収納用凹部を有したカード基材と、IC及び6乃至8個の接触電極を有したICモジュールとを有している。ICモジュールはカード基材の収納用凹部に収納されている。
また、ICモジュールの接触電極とは別に、ICカードの裏面側に裏面側接触電極を設ける技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−250484号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ICカードの表面側や裏面側である主面側に設けられた接触電極は剥がれ易い問題がある。このため、製品信頼性の高いICカードが求められている。
この発明は以上の点に鑑みなされたもので、その目的は、製品信頼性の高いICカード及び上記ICカードとの間で接触通信可能な通信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の態様に係るICカードは、
カード基材と、
前記カード基材に収納されるICと、
前記カード基材に設けられ、前記カード基材の内部を通って前記ICに電気的に接続され、前記カード基材の側面側に露出した側面側接触電極と、を備えている。
【0007】
また、本発明の他の態様に係る通信装置は、
カード基材と、前記カード基材に収納されるICと、前記カード基材に設けられ、前記カード基材の内部を通って前記ICに電気的に接続され、前記カード基材の側面側に露出した側面側接触電極と、を備えたICカードとの間で接触通信可能な通信装置であって、
前記ICカードが挿入される装置本体と、
前記装置本体に設けられ、前記ICカードの側面側接触電極に接触可能な端子部と、を備えている。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、製品信頼性の高い接触電極を有するICカード及び上記ICカードとの間で接触通信可能な通信装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るICカードを示す斜視図である。
【図2】図1に示したICカードの平面図であり、特に、ICモジュールをカード本体に収納する前の状態を示す図である。
【図3】図2に示した線A−Aに沿ったICカードの断面図であり、特に、ICモジュールをカード本体に収納する前の状態を示す図である。
【図4】図3に示したICモジュールがカード本体に収納された状態を示すICカードの断面図である。
【図5】上記ICモジュールを表面側から示す平面図である。
【図6】上記ICモジュールを裏面側から示す平面図である。
【図7】上記第1の実施の形態に係るICカード、リーダライタ及び外部端末を示すブロック図である。
【図8】上記第1の実施の形態に係るリーダライタと、リーダライタに挿入される前の状態のICカードとを示す平面図である。
【図9】図8に示したリーダライタにICカードが挿入され、接触通信が可能な状態のリーダライタ及びICカードを示す平面図である。
【図10】図9に示した線B−Bに沿ったリーダライタ及びICカードの断面図である。
【図11】本発明の第2の実施の形態に係るICカードの平面図であり、特に、ICモジュールをカード本体に収納する前の状態を示す図である。
【図12】図11に示した線C−Cに沿ったICカードの断面図であり、特に、ICモジュールをカード本体に収納する前の状態を示す図である。
【図13】上記第2の実施の形態に係るリーダライタと、リーダライタに挿入される前の状態のICカードとを示す平面図である。
【図14】図13に示したリーダライタにICカードが挿入され、接触通信が可能な状態のリーダライタ及びICカードを示す平面図である。
【図15】図14に示した線D−Dに沿ったリーダライタ及びICカードの断面図である。
【図16】本発明の第3の実施の形態に係るICカードを示す平面図である。
【図17】図16に示した線E−Eに沿ったICカードの断面図である。
【図18】図17に示したアンテナコイルと、図17に示したカード基材を構成する2枚のシートとを示す断面図である。
【図19】上記第3の実施の形態に係るICカードの変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながらこの発明の第1の実施の形態に係るICカード及び通信装置としてのリーダライタについて詳細に説明する。この実施の形態において、ICカードは接触式ICカードである。
【0011】
図1乃至図6に示すように、ICカード1は、カード本体2と、ICモジュール3とを備えている。カード本体2は、カード基材10と、側面側接触電極としての接触電極P1、P2、P3、P4と、配線部16とを有している。接触電極P1乃至P4及び配線部16は、金属等の導電材料にて形成されている。
【0012】
カード基材10は、一主面側に設けられた収納用凹部15を有している。カード基材10は、PVC(ポリ塩化ビニル)、PET(ポリエチレンテレフタレート樹脂)、紙等の絶縁材で形成されている。
【0013】
接触電極P1乃至P4は、カード基材10に設けられ、カード基材10の側面側に露出している。配線部16は、カード基材10の内部に設けられている。配線部16は、それぞれ接触電極P1乃至P4に電気的に接続されている。カード基材10には、配線部16に繋がったコンタクトホール13が形成されている。
【0014】
この実施の形態において、接触電極P1乃至P4は、カード基材10の一側面側に露出している。接触電極P1乃至P4の接触面は、カード基材10の側面と同一平面上に位置している。
【0015】
ICモジュール3は、基板30と、IC31と、一主面側接触電極としての接触電極C1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8と、接続配線T1、T2、T3、T4と、封止材35とを有している。
【0016】
基板30は、厚さ100pmのガラスエポキシ基板で形成されている。ICモジュール3の裏面側において、IC31は基板30上に実装されている。ここでは、IC31の厚みは250μmである。ICモジュール3の表面側において、接触電極C1乃至C8は基板30上に配設されている。接触電極C1乃至C8は、カード基材10の一主面側に露出している。
【0017】
IC31と、接触電極C1、C2、C3、C5、C7とは、基板30に形成された図示しないスルーホールを通って形成された金ワイヤ33にて電気的に接続されている。接触電極C4、C6、C8は、IC31に接続されていない。
【0018】
接触電極C1乃至C8は、接触通信に使用されるが、接触電極C4、C8は通常の接触通信では使用されない。接触電極C1はVCC(供給電圧)、接触電極C2はRST(リセット信号)、接触電極C3はCLK(クロック信号)、接触電極C5はGND(接地)、接触電極C6はVPP(可変供給電圧)、接触電極C7はI/O(データ入出力)用のインターフェースである。接触電極C4、C8はRFU(予備端子)である。
【0019】
ICモジュール3の裏面側において、接続配線T1乃至T4は基板30上に形成されている。IC31と、接続配線T1乃至T4とは、金ワイヤ33にて電気的に接続されている。IC31及び金ワイヤ33は、絶縁材で形成された封止材35で封止されている。ここでは、ICモジュール3の厚みは630μmである。
【0020】
ICモジュール3は、カード基材10の収納用凹部15内に収納されている。ICモジュール3及びカード基材10は、ICモジュール3の周縁部に設けられた接着材により接合されている。
【0021】
接続配線T1乃至T4は、コンタクトホール13に設けられた(充填された)導電性の接着材52を介してそれぞれ配線部16に電気的に接続されている。上記のことから、接触電極P1乃至P4は、配線部16及び導電性の接着材52を介し(カード基材10の内部を通り)、さらに接続配線T1乃至T4及び金ワイヤ33を介してIC31に電気的に接続されている。
【0022】
接触電極P1及び接続配線T1、接触電極P2及び接続配線T2、接触電極P3及び接続配線T3、並びに接触電極P4及び接続配線T4が、それぞれ一対一で電気的に接続されている。
【0023】
この実施の形態において、IC31はLSI(large scale integrated circuit)のICチップであり、ICモジュール3はICチップモジュールである。なお、IC31との接続に、金ワイヤ33を用いたワイヤーボンディング方式を採用したが、この接続方式に限定されるものではなく、他の接続方式を採用しても良い。
【0024】
図7に示すように、上記のICカード1は、インターフェース(接触電極C1乃至C8及び接触電極P1乃至P4)5をリーダライタ70の後述する端子部に接触させる接触通信により、IC31のメモリ7に記憶されたデータを基に、IC31のCPU6と外部端末100との間でデータ通信を行なうことができる。
【0025】
図8乃至図10に示すように、リーダライタ70は、上記ICカード1との間で接触通信可能である。ICカード1は、表向きの状態、即ち、ICモジュール3側を表向きにしてリーダライタ70に挿入される。
【0026】
リーダライタ70は、ICカード1が挿入される装置本体71と、移動機構72と、端子部73と、端子部75とを備えている。移動機構72は装置本体71に設けられている。端子部73は移動機構72に取り付けられている。端子部75は装置本体71に設けられている。端子部73は、ICカード1の接触電極C1乃至C8に接触可能である。
【0027】
移動機構72は、端子部73を上下に移動させるものであり、端子部73をICカード1の接触電極C1乃至C8に接触状態にする接触位置と、端子部73をICカード1の接触電極C1乃至C8に非接触状態にする非接触位置とに切替えることができる。端子部73は8個設けられ、それぞれ接触ピンで形成されている。
【0028】
端子部75は、挿入されるICカード1の側面に対向した個所に設けられている。詳しくは、端子部75はICカード1が挿入される方向に対向して設けられている。端子部75はICカード1の接触電極P1乃至P4に接触可能である。ICカード1がリーダライタ70に挿入され端子部75と接触した状態で、端子部75及び接触電極P1乃至P4は接触状態となる。
【0029】
上記のように構成されたICカード1及びリーダライタ70によれば、ICカード1は、カード基材10と、カード基材10に収納されるIC31と、カード基材10に設けられ、カード基材10の内部を通ってIC31に電気的に接続され、カード基材10の側面側に露出した接触電極P1乃至P4とを備えている。
【0030】
接触電極P1乃至P4は、カード基材10の側面側に露出するように設けられているため、カード基材10の主面側に設けられた場合に比べて破損し難く、特に、剥がれ難い。また、接触電極P1乃至P4は、カード基材10の主面側に設けられた場合に比べて押圧された際の物理強度が高い。これにより、接触電極P1乃至P4の将来的な破損を防止できるため、製品信頼性の高いICカード1を得ることができる。
また、ISO7816に規定される接触電極位置に違反することの無い接触電極P1乃至P4を得ることができる。
【0031】
ICカード1は、カード基材10の収納用凹部15内に収納されたICモジュール3を備えている。接触電極P1乃至P4の接触面は、カード基材10の側面と同一平面上に位置している。接触電極P1乃至P4の接触面は、カード基材10の側面より外側に突出していない。このため、ICカード1における従来のICモジュール3の位置を変更することなく、ISO7816の規定を満たすことができる。
【0032】
ICモジュール3は、IC31と、カード基材10の一主面側に露出し、IC31に電気的に接続された接触電極C1乃至C8とを有している。接触電極C1乃至C8及び接触電極P1乃至P4を用いた接触通信が可能である。上記ICカード1は、接触電極P1乃至P4の分従来の接触式ICカードに比べてインターフェースの個数を増加できるため、多機能化に対応することができる。
【0033】
また、ICモジュール3自体等、カード基材10の主面側にインターフェースの個数を増加させていないため、多機能化に対応することができ、かつ、製品信頼性の高いICカード1を得ることができる。
【0034】
リーダライタ70は、ICカード1が挿入される装置本体71と、ICカード1の接触電極P1乃至P4に接触可能な端子部75とを備えている。このため、リーダライタ70は、端子部75を介してICカード1の側面側の接触電極P1乃至P4と接触通信可能である。
【0035】
リーダライタ70は、ICカード1の接触電極C1乃至C8に接触可能な他の端子部73を備えている。このため、リーダライタ70は、端子部73、75を介してICカード1との間で接触通信可能である。
【0036】
例えば、端子部73及び接触電極P1乃至P4を用いてIC31や接触電極C5を接地させた後、端子部75及び接触電極C1乃至C8を介してデータ通信を行っても良い。この場合、IC31や接触電極C5を始めに接地できるため、安定したデータ通信を行うことができる。
【0037】
次に、この発明の第2の実施の形態に係るICカード及び通信装置としてのリーダライタについて詳細に説明する。この実施の形態において、ICカードは接触式ICカードである。なお、この実施の形態において、他の構成は上述した第1の実施の形態と同一であり、同一の部分には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0038】
図11及び図12に示すように、ICカード1は、カード本体2と、ICモジュール3とを備えている。カード本体2は、カード基材10と、側面側接触電極としての接触電極P1、P2と、貫通孔17とを有している。
【0039】
接触電極P1、P2は、カード基材10に設けられ、カード基材10の側面側に露出している。貫通孔17は、カード基材10に設けられ、カード基材10の側面と接触電極P1、P2とに繋がっている。
この実施の形態において、接触電極P1、P2は、カード基材10の内部に位置し、貫通孔17を通ってカード基材10の一側面側に露出している。
【0040】
ICモジュール3は、基板30と、IC31と、一主面側接触電極としての接触電極C1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8と、接続配線T1、T2と、封止材35とを有している。
【0041】
接続配線T1、T2は、コンタクトホール13に設けられた(充填された)導電性の接着材52を介して接触電極P1、P2に電気的に接続されている。上記のことから、接触電極P1、P2は、導電性の接着材52を介し(カード基材10の内部を通り)、さらに接続配線T1、T2及び金ワイヤ33を介してIC31に電気的に接続されている。
【0042】
図13乃至図15に示すように、リーダライタ70は、上記ICカード1との間で接触通信可能である。ICカード1は、表向きの状態、即ち、ICモジュール3側を表向きにしてリーダライタ70に挿入される。
【0043】
リーダライタ70は、ICカード1が挿入される装置本体71と、移動機構72と、端子部73と、端子部75とを備えている。この実施の形態において、端子部75は、貫通孔17より細く、針状に形成されている。端子部75は、貫通孔17を通って接触電極P1、P2に接触可能である。ICカード1がリーダライタ70に挿入され端子部75と接触電極P1、P2とが接触した状態で、接触通信が可能となる。
【0044】
上記のように構成されたICカード1及びリーダライタ70によれば、ICカード1は、カード基材10と、カード基材10に収納されるIC31と、カード基材10に設けられ、カード基材10の内部を通ってIC31に電気的に接続され、カード基材10の側面側に露出した接触電極P1、P2とを備えている。
【0045】
接触電極P1、P2は、カード基材10の側面側に露出するように設けられているため、カード基材10の主面側に設けられた場合に比べて破損し難く、特に、剥がれ難い。また、接触電極P1、P2は、カード基材10の主面側に設けられた場合に比べて押圧された際の物理強度が高い。これにより、接触電極P1、P2の将来的な破損を防止できるため、製品信頼性の高いICカード1を得ることができる。
また、ISO7816に規定される接触電極位置に違反することの無い接触電極P1、P2を得ることができる。
【0046】
ICカード1は、カード基材10の収納用凹部15内に収納されたICモジュール3を備えている。接触電極P1、P2の接触面は、カード基材10の内部に位置している。接触電極P1、P2の接触面は、カード基材10の側面より外側に突出していない。このため、ICカード1における従来のICモジュール3の位置を変更することなく、ISO7816の規定を満たすことができる。
【0047】
ICモジュール3は、IC31と、接触電極C1乃至C8とを有している。上記ICカード1は、接触電極P1乃至P4の分従来の接触式ICカードに比べてインターフェースの個数を増加できるため、多機能化に対応することができる。
【0048】
また、ICモジュール3自体等、カード基材10の主面側にインターフェースの個数を増加させていないため、多機能化に対応することができ、かつ、製品信頼性の高いICカード1を得ることができる。
【0049】
リーダライタ70は、ICカード1が挿入される装置本体71と、ICカード1の接触電極P1、P2に接触可能な端子部75とを備えている。このため、リーダライタ70は、端子部75を介してICカード1の側面側の接触電極P1、P2と接触通信可能である。
【0050】
リーダライタ70は、ICカード1の接触電極C1乃至C8に接触可能な他の端子部73を備えている。このため、リーダライタ70は、端子部73、75を介してICカード1との間で接触通信可能である。
【0051】
例えば、端子部73及び接触電極P1、P2を用いてIC31や接触電極C5を接地させた後、端子部75及び接触電極C1乃至C8を介してデータ通信を行っても良い。この場合、IC31や接触電極C5を始めに接地できるため、安定したデータ通信を行うことができる。
【0052】
次に、この発明の第3の実施の形態に係るICカードについて詳細に説明する。この実施の形態において、ICカードはコンビICカードである。なお、この実施の形態において、他の構成は上述した第1の実施の形態と同一であり、同一の部分には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0053】
図16乃至図18に示すように、ICカード1は、カード本体2を備えている。カード本体2は、カード基材10と、側面側接触電極としての接触電極P1、P2と、配線部16と、IC31と、封止材35と、無線通信用の電極22、23及びアンテナコイル21とを有している。
【0054】
この実施の形態において、接触電極P1、P2は、カード基材10の一側面側に露出している。接触電極P1、P2の接触面は、カード基材10の側面と同一平面上に位置している。
【0055】
IC31は、カード基材10の内部に設けられている(埋め込まれている)。IC31は、金ワイヤ33にて、配線部16及び電極22、23に電気的に接続されている。電極22、23は、金属等の導電材料で形成されている。IC31及び金ワイヤ33は、絶縁材で形成された封止材35で封止されている。
【0056】
この実施の形態において、IC31はLSI(large scale integrated circuit)のICチップである。なお、IC31との接続に、金ワイヤ33を用いたワイヤーボンディング方式を採用したが、この接続方式に限定されるものではなく、他の接続方式を採用しても良い。
【0057】
アンテナコイル21は、図示しない通信装置との間で無線通信するためのものである。アンテナコイル21は、カード基材10に設けられている。アンテナコイル21の一端は電極22に接続され、他端は電極23に接続されている。
【0058】
ICカード1は、通信装置のアンテナを介して供給される磁力線をアンテナコイル21を介して受信して電力に変換し、この電力によってIC31のCPUを動作させ、残りの電力で通信装置にレスポンスを返す。このように、このICカード1は、非接触により通信装置との間でデータ通信を行なう。
また、ICカード1は、接触電極P1、P2を用いた接触通信により、上記第1の実施の形態で示したようなリーダライタ70との間でデータ通信を行うこともできる。
【0059】
カード基材10は、複数のシートが熱圧着して形成されている。
詳しくは、アンテナコイル21は、印刷工法等、一般に知られた工法により、シート11上に形成されている。シート11及びシート12は熱圧着され、アンテナコイル21は両シート間に挟まれている。アンテナコイル21が形成されたシート11、12と、配線部16等が形成されたシートとは、熱圧着されている。
【0060】
上記のことから、アンテナコイル21及び配線部16は、シート11を挟んで対向している。なお、シート11を含むカード基材10は、PVC、PET、紙等の絶縁材で形成されている。このため、アンテナコイル21及び配線部16は絶縁されている。
【0061】
上記のように構成されたICカード1によれば、ICカード1は、カード基材10と、カード基材10に収納されるIC31と、カード基材10に設けられ、カード基材10の内部を通ってIC31に電気的に接続され、カード基材10の側面側に露出した接触電極P1、P2とを備えている。
【0062】
接触電極P1、P2は、カード基材10の側面側に露出するように設けられているため、カード基材10の主面側に設けられた場合に比べて破損し難く、特に、剥がれ難い。また、接触電極P1、P2は、カード基材10の主面側に設けられた場合に比べて押圧された際の物理強度が高い。これにより、接触電極P1、P2の将来的な破損を防止できるため、製品信頼性の高いICカード1を得ることができる。
また、ISO7816に規定される接触電極位置に違反することの無い接触電極P1、P2を得ることができる。そして、ICカード1は、接触電極P1、P2を用いた接触通信を行うことができる。
ICカード1は、アンテナコイル21を備えている。このため、ICカード1は、アンテナコイル21を用いた無線通信を行うこともできる。
【0063】
アンテナコイル21及び配線部16は絶縁材で形成されたシート11により絶縁されている。このため、ICカード1の側面に接触電極P1、P2を設け、アンテナコイル21及び配線部16が交差している場合であっても、アンテナコイル21及び配線部16の絶縁状態を維持することができる。
【0064】
上記実施の形態の接触電極P1、P2において、図19に示すように、接触電極P1、P2はカード基材10の内部に位置し、貫通孔17を通ってカード基材10の一側面側に露出していても良い。この場合、アンテナコイル21及び貫通孔17は、絶縁材としての上記シート11を挟んで対向している。このため、アンテナコイル21と、貫通孔17に挿入される端子部(75)との絶縁状態を維持することができる。
【0065】
なお、この発明は上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化可能である。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0066】
側面側接触電極としての接触電極P1乃至P4は、カード基材10の何れか一側面側に露出して設けられていれば良く、複数の側面側に露出して設けられていても良い。
通信装置としてのリーダライタ70の端子部73、75は、ICカード1の挿入方向、向きに対応するように設けられていれば良い。
この発明のICカードは、デュアルインターフェイスICカードに適用することも可能である。
【符号の説明】
【0067】
1…ICカード、2…カード本体、3…ICモジュール、10…カード基材、11,12…シート、15…収納用凹部、16…配線部、17…貫通孔、21…アンテナコイル、22,23…電極、30…基板、31…IC、70…リーダライタ、71…装置本体、73,75…端子部、P1,P2,P3,P4…接触電極、C1,C2,C3,C4,C5,C6,C7,C8…接触電極、T1,T2,T3,T4…接続配線。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カード基材と、
前記カード基材に収納されるICと、
前記カード基材に設けられ、前記カード基材の内部を通って前記ICに電気的に接続され、前記カード基材の側面側に露出した側面側接触電極と、を備えたことを特徴とするICカード。
【請求項2】
前記ICと、前記カード基材の一主面側に露出し、前記ICに電気的に接続された一主面側接触電極と、を有したICモジュールをさらに備え、
前記カード基材は、一主面側に設けられた収納用凹部を有し、
前記ICモジュールは、前記カード基材の収納用凹部内に収納されていることを特徴とする請求項1に記載のICカード。
【請求項3】
前記カード基材の内部に設けられ、前記IC及び側面側接触電極間に電気的に接続された配線部をさらに備え、
前記側面側接触電極の接触面は、前記カード基材の側面と同一平面上に位置していることを特徴とする請求項1又は2に記載のICカード。
【請求項4】
前記カード基材は、側面と前記側面側接触電極とに繋がった貫通孔を有し、
前記側面側接触電極は、前記カード基材の内部に位置し、前記貫通孔を通って前記カード基材の側面側に露出していることを特徴とする請求項1又は2に記載のICカード。
【請求項5】
前記カード基材に設けられたアンテナコイルをさらに備え、
前記アンテナコイル及び配線部は、絶縁材を挟んで対向していることを特徴とする請求項3に記載のICカード。
【請求項6】
前記カード基材に設けられたアンテナコイルをさらに備え、
前記アンテナコイル及び貫通孔は、絶縁材を挟んで対向していることを特徴とする請求項4に記載のICカード。
【請求項7】
カード基材と、前記カード基材に収納されるICと、前記カード基材に設けられ、前記カード基材の内部を通って前記ICに電気的に接続され、前記カード基材の側面側に露出した側面側接触電極と、を備えたICカードとの間で接触通信可能な通信装置であって、
前記ICカードが挿入される装置本体と、
前記装置本体に設けられ、前記ICカードの側面側接触電極に接触可能な端子部と、を備えたことを特徴とする通信装置。
【請求項1】
カード基材と、
前記カード基材に収納されるICと、
前記カード基材に設けられ、前記カード基材の内部を通って前記ICに電気的に接続され、前記カード基材の側面側に露出した側面側接触電極と、を備えたことを特徴とするICカード。
【請求項2】
前記ICと、前記カード基材の一主面側に露出し、前記ICに電気的に接続された一主面側接触電極と、を有したICモジュールをさらに備え、
前記カード基材は、一主面側に設けられた収納用凹部を有し、
前記ICモジュールは、前記カード基材の収納用凹部内に収納されていることを特徴とする請求項1に記載のICカード。
【請求項3】
前記カード基材の内部に設けられ、前記IC及び側面側接触電極間に電気的に接続された配線部をさらに備え、
前記側面側接触電極の接触面は、前記カード基材の側面と同一平面上に位置していることを特徴とする請求項1又は2に記載のICカード。
【請求項4】
前記カード基材は、側面と前記側面側接触電極とに繋がった貫通孔を有し、
前記側面側接触電極は、前記カード基材の内部に位置し、前記貫通孔を通って前記カード基材の側面側に露出していることを特徴とする請求項1又は2に記載のICカード。
【請求項5】
前記カード基材に設けられたアンテナコイルをさらに備え、
前記アンテナコイル及び配線部は、絶縁材を挟んで対向していることを特徴とする請求項3に記載のICカード。
【請求項6】
前記カード基材に設けられたアンテナコイルをさらに備え、
前記アンテナコイル及び貫通孔は、絶縁材を挟んで対向していることを特徴とする請求項4に記載のICカード。
【請求項7】
カード基材と、前記カード基材に収納されるICと、前記カード基材に設けられ、前記カード基材の内部を通って前記ICに電気的に接続され、前記カード基材の側面側に露出した側面側接触電極と、を備えたICカードとの間で接触通信可能な通信装置であって、
前記ICカードが挿入される装置本体と、
前記装置本体に設けられ、前記ICカードの側面側接触電極に接触可能な端子部と、を備えたことを特徴とする通信装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
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【図12】
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【図14】
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【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2010−238081(P2010−238081A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−86813(P2009−86813)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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