ICカード用の携帯端末装置
【課題】端末装置の全体を小形化して携行使用するのに好適であり、しかもICカードの表面に表示された顔写真と、ICチップに格納した写真データの画像との照合を行なって、ICカードの真贋を判定できるICカード用の携帯端末装置を提供する。
【解決手段】非接触式のICカードC用のリードライト手段をケース1内に備えている。ケース1の前面にICカードCに格納された情報を表示する表示手段3を設ける。ケース1の後面にICカードC用のカード装填部4を設ける。カード装填部4は、複数のカード保持爪5とカード受面6で構成する。ICカードCをカード装填部4に装着した状態において、ICカードCの一部をケース1の外面にはみ出させて、はみ出し部分のカード面に表示された固有表示と、表示手段3に表示されたカード情報とを並列的に表示し、両者の照合を行なってICカードの真贋を判定する。
【解決手段】非接触式のICカードC用のリードライト手段をケース1内に備えている。ケース1の前面にICカードCに格納された情報を表示する表示手段3を設ける。ケース1の後面にICカードC用のカード装填部4を設ける。カード装填部4は、複数のカード保持爪5とカード受面6で構成する。ICカードCをカード装填部4に装着した状態において、ICカードCの一部をケース1の外面にはみ出させて、はみ出し部分のカード面に表示された固有表示と、表示手段3に表示されたカード情報とを並列的に表示し、両者の照合を行なってICカードの真贋を判定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICカードの真贋を判定するための携帯端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明のICカード用の携帯端末装置に関して、ICチップのデータをリーダライタで読み込み、あるいはICカードの表面に印刷された文字情報や顔写真などの固有情報をスキャナーなどで読み込んで、CRTやLCDなどの表示装置で表示することは、例えば特許文献1に公知である。そこでは、制御部、リーダライタ、表示部、印刷部、スキャナー、記憶部、入力部、およびRAMなどでICカード表示装置を構成している。この表示装置によれば、カードの固有情報を表示装置で表示できる。さらに、キー入力された暗証番号、生年月日などのデータと、ICチップに記録されたデータの比較を行なってICカードの真贋判定を行ない、その結果を表示装置で同時に表示できる。
【0003】
例えば、ICカード免許証では、カードの表面にカード所有者の住所、氏名、年齢、免許証番号などの文字情報が印刷され、さらに顔写真が貼り付けられている。また、カード内のICチップには文字情報と写真データに加えて、本籍地や暗証番号などの個人情報が格納されている。これらの格納データは改ざんするのが困難であり、従来の免許証に比べて偽造が極めて困難である。この種の免許証は、リーダライタの装填部に載置することで、ICチップに格納された固有情報データをディスプレイで表示して、カード表面に印刷された文字情報および顔写真などの固有情報との照合を行なうことができる。したがって写真を貼り換え、あるいは個人情報が書き換えられた偽変造カードを明確に識別して、その不正使用を防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−242455号公報(段落番号0031、図6、図9)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のICカード表示装置は、カードの文字情報や顔写真などの固有情報を表示装置で表示し、さらに、ICカードの真贋判定をも同時に行なうことができる。しかし、ICカード表示装置を制御部、リーダライタ、表示部、印刷部、スキャナー、記憶部、入力部、およびRAMなどで構成するので、全体構造が複雑で大掛かりになるのを避けられず、携帯用の装置として使用することはできない。
【0006】
上記のICカード表示装置を小形化することは不可能ではないが、データ入力用のキー群と、ICカード用の装填部と、ディスプレイとを、ケースの前面に隣接する状態で配置するので、リーダライタの全体を小形するのに限界があり、携帯して使用するのに嵩張る不利がある。
【0007】
本発明の目的は、端末装置の全体を小形化して、携帯して使用するのに好適なICカード用の携帯端末装置を提供することにある。本発明の目的は、ICカードの表面に表示された文字情報や写真などの固有表示と、ICチップに格納したデータとの照合を的確にしかも簡便に行なって、ICカードCの真贋判定を的確に行なうことができるICカード用の携帯端末装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るICカード用の携帯端末装置は、非接触式のICカードC用のリードライト手段をケース1内に備えている。図2に示すように、ケース1の前面にICカードCに格納された情報を表示する表示手段3を設ける。さらに、ケース1の外面にICカードCを装填するためのカード装填部4を設ける。ICカードCをカード装填部4に装着した装填状態において、図1に示すようにICカードCの一部がケース1の外面にはみ出して、はみ出し部分のカード面に表示された固有表示が視認可能となる。装填状態において、リードライト手段によって読み取られて前記表示手段3に表示したICカードCのカード情報と、はみ出し部分のカード面に表示された固有表示とを並列的に表示できることを特徴とする。
【0009】
図3に示すように、カード装填部4は、ケース1の表面に設けたカード保持体5と、カード保持体5と協同してICカードCを挟持状に保持するカード受面6とで構成する。カード受面6の内部に携帯端末装置側のアンテナ10を配置する。
【0010】
ケース1の前面に前記表示手段3を設け、ケース1の後面および上面のいずれかにカード装填部4を設ける。カード装填部4には、カード受面6に沿って突設されて、ICカードCをカード受面6と協同して弾性的に挟持するカード保持体5を設ける。カード装填部4に対するICカードCの装填姿勢を、次のいずれかに選定する。ICカードCの表裏のいずれか一方がケース1の前面側に表示される状態。ICカードCの一部がケース1の左右いずれか一方にはみ出す状態(図4参照)。ICカードCの一部がケース1の上部にはみ出す状態(図8参照)。
【0011】
カード本体13の各辺部に沿って四角形状のアンテナ15を配置する。カード受面6の内部に設けたアンテナ10を四角形状に配置する。図2に示すように、携帯端末装置側のアンテナ10の上下方向のアンテナ幅H1を、ICカードC側のアンテナ15の短辺部側のアンテナ幅H2より大きく設定する。
【0012】
カード装填部4に複数個のカード保持体5を設ける。図10に示すように、複数のカード保持体5の遊端どうしを、ICカードCを装填案内するガイド片34で橋絡する。カード保持体5、およびガイド片34のそれぞれを透明なプラスチック材で形成する。
【0013】
ICカードCがカード装填部4から取り外されたことをリードライト手段が認識したのち、所定時間が経過するまでの間に、リードライト手段を介して取り込んだICカードCの個人データを自動的に消去する。
【0014】
はみ出し部分のカード面に表示された固有表示は顔写真16を含む。リードライト手段で読み取られて表示手段3に表示されたICカードCのカード情報が、顔写真16の画像である。
【0015】
ケース1の後面に設けたカード装填部4は、図14に示すようにICカードCを差し込み装填できるスロット18で構成する。スロット18の左右両側と上側との少なくとも一側に、差し込み口19を開口する。スロット18に面するケース1内に、アンテナ10を配置する。
【発明の効果】
【0016】
本発明の携帯端末装置によれば、ケース1の前面にカード情報を表示する表示手段3を設け、ケース1の後面にカード装填部4を設けるようにした。このように、ケース1の後面側にカード装填部4を設けると、ケース1の前面に、表示手段3とカード装填部4とを隣接して設ける場合に比べて、ケース1の上下寸法を短くでき、その分だけ携帯端末装置を小形化しコンパクト化できる。また、従来のこの種の装置に比べてコンパクト化された携帯端末装置は、軽量で嵩張ることもなく簡便に携行できる。
【0017】
ICカードCをカード装填部4に装填した状態において、ICカードCの一部をケース1の外面にはみ出させ、表示手段3に表示されたカード情報の画像と、はみ出し部分のカード面の固有表示とを並列的に表示するので、画像と固有表示の照合を簡便に行なえる。詳しくは、並列する画像と固有表示を一見するだけで、両者が一致するか否かを確認して、ICカードCの真贋判定を的確にしかも簡便に行なうことができる。これにより、カード所有者の本人確認を的確に行なって、他人によるICカードの不正使用を確実に防止できる。照合すべき事項が多岐にわたる場合であっても、ICカードCの真贋判定を短時間で能率よく行なえる。
【0018】
ケース1の表面に設けたカード保持体5と、カード受面6とでカード装填部4を構成すると、ケース1にカード保持体5を付加するだけで、ICカードCをカード保持体5とカード受面6とで挟持状に保持できる。したがって、カード保持構造を簡素化して、携帯端末装置製造コストを削減でき、携帯端末装置を小形化することにも役立つ。また、ケース1の表面をカード受面6として利用する場合には、カード装填部4に装填したICカードCを確りと安定した状態で保持できるので、携帯端末装置を取り扱う際に、ICカードCがカード装填部4から脱落するのをよく防止できる。カード受面6の内部にアンテナ10を配置すると、ICカードCをカード装填部4に装填するだけで、先のアンテナ10とICカードC側のアンテナ15との位置を合致できるので、両者間の通信を安定した状態で行なえる。
【0019】
ケース1の後面および上面のいずれかにカード装填部4を設ける、携帯端末装置においては、カード装填部4に対するICカードCの装填姿勢を、少なくとも次のいずれかひとつに選定できる。ICカードCの表裏のいずれか一方がケース1の前面側に表示される状態と、ICカードCの一部がケース1の左右いずれか一方にはみ出す状態と、ICカードCの一部がケース1の上部にはみ出す状態である。したがって、ICカードCのカード表面における固有表示のレイアウトの違いや、カード装填部4に装填されたICカードCの装填姿勢が縦横に異なる場合であっても、カード装填部4の構造の一部を変更するだけで、先の状況の違いに支障なく対応できる。
【0020】
携帯端末装置側のアンテナ10の上下方向のアンテナ幅H1を、ICカードC側のアンテナ15の短辺部側のアンテナ幅H2より大きく設定すると、カード装填部4に対するICカードCの装填姿勢を縦横に変更することにより、より確実に通信を確立できる。例えば、ICカードC側のアンテナ15の配置パターンや共振周波数によっては、ICカードCをカード装填部4に横長姿勢で装填した場合(図7参照)に通信を確立できないことがある。その場合には、図8に示すように、ICカードCをカード装填部4に縦長姿勢で装填することにより、両アンテナ10・15が重合する領域を大きくして、横向きにした場合より起電力を大きくできる。因みに、ICカードC側のアンテナ15の配置パターンによっては、ICカードCをカード装填部4に縦長姿勢で装填した場合に通信を確立できないことがある。その場合には、ICカードCをカード装填部4に横長姿勢で装填する。
【0021】
複数のカード保持体5の遊端どうしをガイド片34で橋絡し、カード保持体5およびガイド片34のそれぞれを透明なプラスチック材で形成すると、ICカードCの表面の個人情報を、カード保持爪5とガイド片34を通して視認できる。例えばICカードCをカード装填部4に対して、その表面が後ろ向きになる状態で装填する場合に、ICカードCの装填位置をずらす必要もなく、ICカードCの表面の個人情報をカード保持爪5とガイド片34を通して視認して、表示手段3の画像と照合できる。したがって、ICカードCの真贋判定の手間を省くことができる。
【0022】
ICカードCをカード装填部4から取り外したのち、所定時間が経過するまでの間に、取り込んだICカードCの個人データを自動的に消去すると、個人情報を保護し、携帯端末装置の使用者によって個人情報が悪用されるのを防止できる。さらに、読み込んだ個人データを自動的に消去する機能が携帯端末装置に備えてあることを、予め公開して周知化しておくことにより、カード所有者の懸念を払拭して、携帯端末装置によるデータの読み取りに、安心して協力してもらうことができる。
【0023】
ICカードCの顔写真16と、表示手段3に表示された顔写真16の画像とを並列的に表示する携帯端末装置によれば、液晶表示部3に表示された画像と顔写真16とを照合することで、カード所有者の本人確認を的確かつ迅速に行なえる。したがって、第三者によるICカードCの変造ないしは偽造を防止して、ICカードCの不正使用を確実に防止できる。
【0024】
カード装填部4を、スロット18と、その差し込み口19で構成し、ICカードCをスロット18に対して抜き差しできるようにすると、先に説明した携帯端末装置と同様に、装置全体を小形化しコンパクト化できる。さらに携行時に嵩張ることもない。また、ICカードCをスロット18内に装填してより安定した状態で保持できるので、携帯端末装置を取り扱う際に、ICカードCがカード装填部4から脱落するのをさらに確実に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】実施例1に係る携帯端末装置の使用例を示す要部の正面図である。
【図2】ICカードを分離した状態の携帯端末装置の正面図である。
【図3】カード装填部を示す背面図である。
【図4】ICカードの使用形態を示す正面図である。
【図5】ICカードの別の使用形態を示す正面図である。
【図6】充電状態の携帯端末装置を示す正面図である。
【図7】携帯端末装置によるICカードの照合形態を示す正面図である。
【図8】携帯端末装置によるICカードの別の照合形態を示す正面図である。
【図9】携帯端末装置の別の使用形態を示す背面図である。
【図10】実施例1に係る携帯端末装置の変形例を示す背面図である。
【図11】実施例2に係る携帯端末装置の側面図である。
【図12】実施例2に係る携帯端末装置の正面図である。
【図13】実施例3に係る携帯端末装置の要部の正面図である。
【図14】ICカードを分離した状態の携帯端末装置の正面図である。
【図15】カード装填部とその差し込み口を示す側面図である。
【図16】実施例4に係る携帯端末装置の要部の正面図である。
【図17】実施例4に係る携帯端末装置の要部の側面図である。
【図18】実施例5に係る携帯端末装置の要部の正面図である。
【図19】実施例5に係る携帯端末装置の使用例を示す正面図である。
【図20】実施例6に係る携帯端末装置の要部の正面図である。
【図21】実施例6に係る携帯端末装置の使用例を示す正面図である。
【図22】実施例7に係る携帯端末装置の使用例を示す正面図である。
【図23】実施例8に係る携帯端末装置の使用例を示す正面図である。
【図24】実施例9に係る携帯端末装置の使用例を示す側面図である。
【図25】実施例10に係る携帯端末装置の使用例を示す側面図である。
【図26】実施例11に係る携帯端末装置の使用例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(実施例1) 図1ないし図8は本発明に係るICカード用の携帯端末装置の実施例1を示す。図2において携帯端末装置は、上下に長い長方形状のケース1と、ケース1の前面の下半部に配置される一群のキー群2と、ケース1の前面の上半部に配置される液晶表示部(表示手段)3と、ケース1の後面の上部に設けられるカード装填部4などで構成してある。図示していないが、ケース1の内部には、非接触式のICカードCのデータを読み書きするリードライト手段が設けてある。キー群2は、数字および文字などのデータを入力するためのメインキー群2aと、ファンクションキー群2bと、制御キー群2cなどで構成する。なお、本発明における上下・左右・前後とは、図2に示す交差矢印と、矢印の近傍の上下・左右・前後の各表示に従うものとする。
【0027】
図3に示すように、カード装填部4は、ケース1の後面に設けた左右一対のカード保持爪(カード保持体)5と、カード保持爪5と協同してICカードCを挟持状に保持するカード受面6とで構成する。カード保持爪5は、弾性変形可能なL字状のプラスチック成形品からなり、その基端部がカード受面6の下端の左右両側に配置されて、カード受面6に沿って上向きに突設してある。カード保持爪5の遊端には、カード受面6に外接するガイド部7がく字状に折り曲げてある。カード受面6はケース1の後面壁からなる。
【0028】
左右のカード保持爪5の弾性に抗しながら、ICカードCをガイド部7の側から差し込み装填することにより、ICカードCをカード保持爪5とカード受面6とで弾性的に挟持して装填状態を維持できる。カード受面6の内部には、ICカードCとの通信を確立するための携帯端末装置側のアンテナ10が配置してある。アンテナ10の外形はICカードCのアンテナ15との関係で設定するが、その詳細は後述する。
【0029】
図2に示すようにICカードCは、左右横長の長方形状のカード本体13と、カード本体13の内部に埋設されるICモジュール14、およびアンテナ15などで非接触式のICカードとして構成してある。ICモジュール14は、CPUとデータ格納用のメモリーを含んで構成してある。アンテナ15は、カード本体13の各辺部に沿って長方形状に配置してある。
【0030】
この実施例は、ICカードCがICカード免許証である場合を示しており、カード本体13の長辺部の長さは86mm、短辺部の長さは53mmである。カード本体13の表面には、カード所有者の住所、氏名、生年月日、免許番号、免許条件などの文字情報が印刷され、さらに所有者本人の顔写真16が貼り付けられて、その外面がラミネート層で覆ってある。カード本体13の右半分の領域のうち、右側の短辺部に近い側に顔写真16を配置し、残る領域に文字情報が表示してある。本発明で言う固有表示とは、文字情報および顔写真16などのカード表面に設けられた個人情報の全てを含む概念である。先のメモリーチップには、文字情報や顔写真16のデータ、および、カード表面に表示されていない個人データなどが記録してある。カード本体13は、プラスチックシート、フィルム、または絶縁性の紙などを積層して形成してあり、あるいはプラスチック成形によって形成してある。
【0031】
携帯端末装置を使用するときは、電源スイッチをオン状態に切り換えたのち、図3に示すようにICカードCをカード装填部4に装填する。このときのICカードCは、例えばカードの一部がケース1の右方からはみ出して、その表面がケース1の前面側に表示される状態(図1の状態)で装填する。この装填形態以外に、カードの一部がケース1の左方からはみ出る状態(図5の状態)や、ICカードCの一部がケース1の上部にはみ出る状態(図8の状態)で装填できる。さらに、図示していないが、ICカードCの裏面がケース1の前面側に表示される状態で装填することもできる。
【0032】
次に、起動ボタンをオンすると、認証プログラムが起動し、携帯端末装置側のアンテナ10と、ICカードC側のアンテナ15との間でデータの送受を行なって、装填されたICカードCがICカード免許証であることを認識したのち、暗証番号の入力画面が表示される。入力された暗証番号が適正であれば、例えば図1に示すように、ICモジュール14のメモリーに記録されている写真データの画像を、液晶表示部3に拡大して表示する。
【0033】
顔写真16がケース1の右側面からはみ出るようにICカードCをカード装填部4に装填しておけば、ICカードCの写真データ(カード情報)の画像と、カード面に表示された顔写真16(固有表示)とを左右並列に表示して、ICカードCの真贋を判定できる。また、表示モードを切り換えることにより、図4に示すように、ICモジュール14のメモリーに記録されている個人データを液晶表示部3に拡大した状態で表示できる。さらに図5に示すように、文字情報を表示してある左半部がケース1の左側面からはみ出すように、ICカードCをカード装填部4に沿ってスライド操作することにより、左右並列に表示されたICカードCの文字情報(固有表示)と個人データ(カード情報)とを照合することができる。図4および図5に示す個人データの表示は、次ページボタンを押すことにより切り換えることができる。
【0034】
因みに、ICカード免許証のICモジュール14のメモリーには、個人データ以外に、ICモジュール14内のデータと公安委員会の暗号鍵(秘密鍵)とで生成したチェックコードが記録されている。ICモジュール14内のデータをリーダライト手段で読込み、先の暗号鍵に対応した暗号公開鍵を用いて、チェックコードを検証することにより、ICモジュール14に記録されているデータが改ざんされているか否かを検証できる。
【0035】
上記の検証結果は、画像とともに液晶表示部3の下部に、例えば「チェックコードOK」あるいは「チェックコードNG」と表示される。したがって、たとえ液晶表示部3に表示された画像と、顔写真16とが一致したとしても、「チェックコードNG」が表示された場合には、ICカード免許証が改ざんされ、あるいは偽造されていることを判定できる。また、真正なICカード免許証の顔写真16が、悪意のある第三者の写真と入れ換えてある場合には、液晶表示部3に表示された画像と、顔写真16とが一致しないので、変造ないしは偽造したICカード免許証であることがわかる。
【0036】
以上のように構成した携帯端末装置は、金融機関の窓口や携帯電話の契約窓口などで、個人の認証を行なうことができる。あるいは、例えばレンタカー会社や自動車保険会社で契約手続きを行なう場合などに利用することができる。図5に示すようにICカード免許証には、免許更新時点で、過去5年以内に減点対象となる交通違反がない優良運転者に対して「優良」の表示が付加されている。この優良表示を確認することにより、優良運転者に対して、通常より好条件のサービスを提供し、あるいは同じ条件のサービスであれば、サービスの対価を値引きするなどの付加サービスを提供できる。
【0037】
ICカード免許証には、多くの個人情報が記録されており、携帯端末装置で読み込んだ個人情報が悪用されるおそれがある。例えば、携帯端末装置で読み込んだ個人情報をデータベース化して、名簿業者に転売されるおそれがある。また、データベース化された個人情報が、インターネット上に流出するおそれがある。さらに、悪用を恐れたICカード免許証の所有者が、携帯端末装置によるデータの読み取りを拒否する状況が想定される。
【0038】
このような状況を避けるために、ICカードCをカード装填部4から取り外したのち、所定時間が経過するまでの間に、リードライト手段を介して取り込んだICカードCの個人データを自動的に消去することができる。例えばリードライト手段は、ICカードCと携帯端末装置との通信が途絶したことで、ICカードCがカード装填部4から取り外されたことを認識できる。この時点から、例えば15秒が経過するまでの間に、リードライト手段を介して取り込んだ全ての個人情報を消去する。あるいは、ICカードCがカード装填部4から取り外されるのと同時に、リードライト手段を介して取り込んだ全ての個人情報を消去する。
【0039】
携帯端末装置は、図6に示す充電スタンドに装填した状態で、ケース1に内蔵した2次電池を充電することができる。また、充電スタンド30に装填した状態で、ICカードCをカード装填部4に装填することにより、ICモジュール14内のデータをリーダライト手段で読み込むことができる。さらに、読み込んだデータを充電スタンド30に接続したプリンター32に転送して、必要な個人情報をプリントすることができる。例えば、ICカード免許証をコピー機でコピーしたのと同様に、顔写真16を含む個人情報をプリアウトして、本人確認の証明書類として使用することができる。
【0040】
以上のように構成したICカード用の携帯端末装置によれば、液晶表示部3の裏側にカード装填部4を配置するので、ケース1の上下寸法を短くして、その分だけ携帯端末装置を小形化しコンパクト化できる。また、携帯端末装置をコンパクト化することにより、嵩張ることもなく携帯端末装置を簡便に携行できることとなる。さらに、液晶表示部3に表示された画像やデータと、はみ出し部分のカード面に表示された顔写真16や読み込んだデータとを並列的に表示するので、両者を一見するだけで、ICカードCの真贋判定を的確にしかも簡便に行なうことができる。これにより、カード所有者の本人確認を的確に行なって、他人によるICカードの不正使用を確実に防止できることとなる。
【0041】
ICカードCは、ICカード免許証以外に社員証ICカードや、学生証ICカード、住民基本台帳カードなどとしても使用することができる。その場合には、ICカードCの用途によって、顔写真16の配置形態が、図7や図8に示すように異なることが想定される。図7では、カード装填部4にカード本体13を横長姿勢で装填する場合に、右側の短辺部に近い側に顔写真16を縦姿勢で配置している。また、図8では、カード装填部4にカード本体13を縦長姿勢で装填する場合に、上側の短辺部に近い側に顔写真16を縦姿勢で配置している。いずれの使用形態においても、必要に応じて、ICモジュール14のメモリーに記録されている写真データを液晶表示部3に拡大した状態で表示して、表示された画像と、カードに貼り付けられた顔写真16とを左右並列に表示し、あるいは上下並列に表示してICカードCの真贋を判定できる。
【0042】
例えば、ひとつのビルに複数の企業や組織が入居している場合には、各企業や各組織ごとに、前述のように顔写真16の配置形態が縦横に異なる場合があるが、こうした場合のビルへの出入りの管理を携帯端末装置で行なうことができる。携帯端末装置によるICカードCの真贋判定は、例えば警備会社の社員が行なう。
【0043】
上記のように、ICカードCを横長姿勢でカード装填部4に装填する場合と、ICカードCを縦長姿勢でカード装填部4に装填する場合とで、カード本体13に配置したアンテナ15と、カード受面6に設けたアンテナ10との対向形態が異なる。この違いは、携帯端末装置とICカードCとの間の通信状態を左右することがあり、最悪の場合には、ICカードCのデータを読み込むことができなくなる。
【0044】
一般的に、ICカードC側のアンテナ15は、図2に示すように、カード本体13の外郭線内に収まる範囲内でできるだけ大きく形成する。また、携帯端末装置側のアンテナ10は、ICカードC側のアンテナ15と同等、ないしアンテナ15より大きく形成することが多い。これは、携帯端末装置側のアンテナ10から電波を放射するとき、電磁誘導作用による磁束をICカードC側のアンテナ15に十分に作用させて、ICモジュール14における起電力を大きくするためである。しかし、上記のように、顔写真16をケース1の側面からはみ出させて、ICカードCの写真データの画像と、カード面に表示された顔写真16とを左右並列に表示する場合には、両アンテナ10・15どうしを、ほぼ重なるように対向させることができない。そのため、消費電力が大きなICチップを実装したICカードや、ICカードのアンテナの共振周波数が携帯端末装置側のアンテナ10の共振周波数とずれているような場合には、ICカードの起電力を生起させることができないことがある。
【0045】
上記のような不具合を解消するために、携帯端末装置側のアンテナ10の形状を、ICカードC側のアンテナ15との関係で設定した。具体的には図2に示すように、携帯端末装置側のアンテナ10の上下方向のアンテナ幅H1を、ICカードC側のアンテナ15の短辺部側のアンテナ幅H2より大きく設定するようにした。こうした携帯端末装置によれば、ICカードCのカード装填部4に対する装填姿勢を縦横に変更することで通信を確立できる。例えば、図7に示すように、ICカードCをカード装填部4に横長姿勢で装填した場合に通信を確立できないことがある。その場合には、図8に示すように、ICカードCをカード装填部4に縦長姿勢で装填することにより、ICカードC側のアンテナ15に十分な磁束を作用させて、ICモジュール14における起電力を大きくして通信を確立できる。これは、携帯端末装置側のアンテナ10の上下方向のアンテナ幅H1が、ICカードC側のアンテナ15の短辺部側のアンテナ幅H2より大きいと、ICカードCを縦向きにした場合の両アンテナ10・15が重合する領域を大きくでき、横向きにした場合より起電力を大きくできるからである。
【0046】
図9は携帯端末装置の別の使用形態を示す。そこでは、横長姿勢にしたICカードCをカード装填部4に対して、その表面がケース1の後面側に表示される状態で装填した。この場合には、ICカードCを左右にずらす必要もなく、ICカードCの表面に表示された個人情報の殆どを見ることができる。また、携帯端末装置を表裏に反転することにより、液晶表示部3に表示された個人データの画像と、ICカードCの表面に表示された個人情報とを見比べることができる。この使用形態においては、カード保持爪5を細くすることにより、ICカードCの表面の個人情報がカード保持爪5で隠されるのを極力避けることができる。カード保持爪5は、線径が2mm以下の金属線材、より好ましくは線径が1mm以下の金属線材で形成することができる。このように、線径が小さな金属線材でカード保持爪5を構成すると、カード保持爪5によってICカードCの表面の表示が覆われるのを防止できる。なお、金属線材を素材にして左右のカード保持爪5を一筆書き状に連続させると、左右のカード保持爪5がループ状になって電磁波を吸収するおそれがある。これを避ける必要上、左右のカード保持爪5は独立した爪体として形成することが好ましい。
【0047】
図10は、実施例1に係る携帯端末装置の変形例を示す。そこでは、カード装填部4に左右一対のカード保持爪5を設け、左右のカード保持爪5の遊端どうしをガイド片34で橋絡した。カード保持爪5とガイド片34とは、透明なプラスチック材を素材にして一体に成形してある。ガイド片34は、断面がく字状に折れ曲がっており、カード受面6と協同してICカードCを装填案内できる。ICカードCをカード装填部4に対して、その表面がケース1の後面側に表示される状態で装填する場合には、ICカードCの表面の個人情報を、カード保持爪5とガイド片34を通して視認できるので、ICカードCの装填位置をずらす手間を省くことができる。例えば、ガイド片34で覆われた「優良」の表示を、装填姿勢を変更する必要もなく確認できる。
【0048】
(実施例2) 図11および図12は本発明に係るICカード用の携帯端末装置の実施例2を示す。そこでは、ケース1の上端部にICカードCを装填するためのカード装填部4を設けた。カード装填部4は、ケース1の上端部の後縁中央に設けたカード保持爪(カード保持体)5と、カード保持爪5と協同してICカードCを挟持状に保持するカード受面6とで構成する。カード受面6はケース1の上端面壁からなり、その内面にアンテナ10が配置してある。
【0049】
ケース1の上部は、カード受面6の面積を大きくするために後面側へ膨出するが、この膨出部は、バックアップ用のコイン型リチウム電池の収容部として利用することができる。また、膨出部の後面に配置した電池蓋を着脱することにより、リチウム電池の交換を行なうことができる。携帯端末装置を使用するときは、電源スイッチをオン状態に切り換えたのち、例えば、図12に示すようにICカードCをカード装填部4に装填する。この実施例においても、実施例1と同様に、顔写真16をケース1の側面からはみ出させて、ICカードCの写真データの画像と、カード面に表示された顔写真16とを左右並列に表示して真贋判定を行なえる。他は、先の実施例と同じであるので、同じ部材に同じ符号を付してその説明を省略する。以下の各実施例においても同様に、同じ部材に同じ符号を付してその説明を省略する。
【0050】
以下の実施例3〜11では、カード装填部4をスロット構造にする点が実施例1・2と異なる。
【0051】
(実施例3) 図13ないし図15は本発明に係るICカード用の携帯端末装置の実施例3を示す。そこでは、カード装填部4が、ICカードCを差し込み装填するためのスロット18で構成してあり、スロット18は液晶表示部3に臨むケース1の後面側に設けてある。スロット18はケース1の右側面で開口するように構成してあり、その差し込み口を符号19で示す。図15に示すように、液晶表示部3とスロット18との間には、ICカードCとの通信を確立するための携帯端末装置側のアンテナ10が配置してある。
【0052】
携帯端末装置を使用するときは、電源スイッチをオン状態に切り換えたのち、ICカードCを差し込み口19からスロット18内に差し込む。装填状態におけるICカードCの右半部側はケース1の外面にはみ出しており、はみ出し部分のカード面に表示された顔写真16と、ICカードCから読み込んだ写真データの画像とを左右並列に表示して、真贋判定を行なうことができる。なお、スロット18内に差し込まれたICカードCは、スロット18の内周面との摩擦力によって、抜け出し不能に保持されているので、使用者が明確な意図を持って抜き出し操作しない限りは、ICカードCがカード装填部4から分離し、あるいはスロット18内で移動することはない。
【0053】
(実施例4) 図16および図17は実施例4に係る携帯端末装置を示す。そこでは、ケース1の上端部にICカードを装填するためのカード装填部4を設けて、カード装填部4に装着したICカードCを斜めに支持できるようにした。そのために、ケース1の上部後面に膨出部21を突設し、ケース1の上端面の中途部から膨出部21の後ろ下隅へ向かってスロット18を斜めに傾斜する状態で形成した。また、携帯端末装置側のアンテナ10をスロット18と平行になる状態で配置した。差し込み口19はスロット18の上端に開口してあり、スロット18はその左右側面でも開口している。
【0054】
上記のようにカード装填部4に装着したICカードCを斜めに支持すると、ICカードCの顔写真16を携帯端末装置の使用者の側へ指向させて見やすくすることができる。また、ICカードCの顔写真16が配置してある領域と、カード上縁側のカード表面とが同時にケース12の外へはみ出るので、文字情報の一部を視認可能としてカード情報と照合することができる。ICカードCは、差し込み口19の側からスロット内へ差し込み装填できるが、必要に応じてスロット18の左右側面側の開口から抜き差ししてもよい。なお、ICカードCは、図17に示すようにスロット18に対して横長姿勢で装填する以外に、スロット18に対して縦長姿勢で装填することができ、その場合にはスロット18の左右両側面の開口は省略することができる。
【0055】
(実施例5) 図18および図19は実施例5に係る携帯端末装置を示す。そこでは、実施例3と同様にカード装填部4を液晶表示部3の背部に配置するが、スロット18をケース1の左右側面で開口させて、左右両側に差し込み口19を開口し、カード装填部4に装着したICカードCの装着位置を左右方向へ変更できるようにした。この場合には、ICカードCを左右にスライド操作して、カード本体13のはみ出し部分を右または左に変更することができる。具体的には、図19(a)に示すようにICカードCの右端側がはみ出る状態では、顔写真16を視認可能とし、図19(b)に示すようにICカードCの左端側がはみ出る状態では、カード本体13に印刷した文字情報を視認可能とする。
【0056】
カード本体13のはみ出し部分が右または左であるかを検知するために、右側の差し込み口19の内面に光センサー20を配置している。図19(a)のように光センサー20の光路がカード本体13遮られた場合には、カード本体13の右端側がはみ出していると判定して、ICカードCの写真データの画像を液晶表示部3に表示する。また、図19(b)のように光センサー20の光路が遮らていない場合には、カード本体13の左端側がはみ出していると判定して、ICカードCの文字データの画像を液晶表示部3に表示する。ICカードCをカード装填部4から抜き取った状態では、携帯端末装置側のアンテナ10とICカードC側のアンテナ15との間の通信が途絶するので、ICカードCがカード装填部4に装着されていない状態であると判定して、初期メニューを液晶表示部3に表示する。なお、実施例4で説明した携帯端末装置においても、同様にカード本体13のはみ出し部分が右または左であるかを検知して、実行すべきプログラムを選択することができる。
【0057】
(実施例6) 図20および図21に実施例6に係る携帯端末装置を示す。そこでは、実施例3と同様にカード装填部4を液晶表示部3の背部に配置し、スロット18をケース1の右側面(一側面)と上面との2個所で開口して、差し込み口19を2個所に形成した。このように、ケース1の直交する周側面の2個所に差し込み口19を設けると、ICカードCのカード装填部4に対する装填姿勢を横長姿勢と縦長姿勢とに変更できる。具体的には、図21(a)のように顔写真16の上下縁がカード本体13の長辺部と平行になる場合には、ICカードCを横長姿勢でカード装填部4に装着して、画像と顔写真とを左右並列に視認できる。また、図21(b)のように顔写真16の上下縁がカード本体13の短辺部と平行になる場合には、ICカードCを縦長姿勢でカード装填部4に装着して、画像と顔写真とを上下並列に視認することができる。したがって、いずれの場合にもカード本体13に貼り付けられた顔写真16の向きを、液晶表示部3に表示された画像の向きに一致させて、両者の照合を簡便にしかも的確に行なうことができる。
【0058】
(実施例7) 図22に実施例7に係る携帯端末装置を示す。そこでは、実施例3と同様にケース1の後面にカード装填部4を設ける。カード装填部4は、ケース1の右側面で開口するスロット18と、スロット18に臨む後壁に形成した開口22と、この開口22を塞ぐ透明の窓板23とで構成する。開口22の周囲はケース1の後壁で囲まれている。このように、スロット18の後面(外面)を透明の窓板23で覆うと、ICカードCをカード装填部4に差し込んだ状態において、スロット18内に位置する顔写真16を窓板23を通して視認することができる。
【0059】
この実施例においては、ケース1の前面および後面を交互に使用者と正対させて、液晶表示部3に表示された画像と、窓板23と正対するカード面に表示された固有表示、即ち顔写真16とを交互に視認して両者を照合することができる。また、装填状態において、顔写真16と、ケース1からはみ出した部分のカード表面に表示された文字情報の大半を視認できるので、液晶表示部3の表示を切り換えるだけで、文字情報の照合と顔写真16の照合とを連続して行なえる。
【0060】
(実施例8) 図23に実施例8に係る携帯端末装置を示す。そこでは、実施例3と同様にケース1の後面にカード装填部4を設ける。カード装填部4は、ケース1の右側面で開口するスロット18と、スロット18に装填されたICカードCのカード面に表示された固有表示を露出させる開口25とで構成する。開口25は、差し込み口19からスロット18の内奥にわたって形成してあり、その上下幅はICカードCの上下幅より小さく設定してある。カード装填部4のスロット18の内周面には、ICカードCをガイドし、位置決めするガイド突起26が一定間隔おきに突設してある。
【0061】
この実施例によれば、ケース1の前面および後面を交互に使用者と正対させて、液晶表示部3に表示された画像と、開口25から視認できるカード面に表示された固有表示、即ち顔写真16とを交互に視認して両者を照合することができる。また、装填状態において、顔写真16とカード表面に表示された文字情報の殆どを視認することができるので、液晶表示部3の表示を切り換えるだけで、文字情報の照合と顔写真16の照合とをより確実に行なえる。
【0062】
(実施例9) 図24に実施例9に係る携帯端末装置を示す。そこでは、カード装填部4を独立した部品で構成し、これをケース1の上部後面に固定した。カード装填部4は、スロット18を備えたプラスチック成形品からなる。アンテナ10はスロット18と平行になる状態でケース1の内部に配置してある。この実施例における液晶表示部3の画像と、ICカードCのはみ出し部分の固有表示との表示状態は、実施例1の表示状態と同じであり、画像と顔写真16とを左右に並列する状態で表示できる。
【0063】
(実施例10) 図25に実施例10に係る携帯端末装置を示す。そこでは、カード装填部4を実施例9と同様に独立した部品で構成し、これをケース1の上部後面に固定した。カード装填部4は、装着座27と装填ケース部28とを一体に備えたプラスチック成形品からなり、装填ケース部28にスロット18とアンテナ10とが設けてある。アンテナ10はスロット18と平行に配置する。実施例4の携帯端末装置と同様に、差し込み口19はスロット18の上部で開口しており、さらにスロット18の左右両側でも開口している。この実施例における液晶表示部3の画像とICカードCのはみ出し部分の固有表示との表示状態は、実施例42の表示状態と概ね同じであり、液晶表示部3の画面とICカードCの表面とが非平行な状態で並列的に表示される。
【0064】
(実施例11) 図26に実施例11に係る携帯端末装置を示す。そこでは、カード装填部4を実施例9と同様に独立した部品で構成して、これをケース1の上部後面に固定した。また、カード装填部4に液晶表示部3を設けて、実施例3の表示状態と同様に、液晶表示部3の画像と、ICカードCのはみ出し部分の固有表示とを左右に並列する状態で表示できるようにした。
【0065】
上記の実施例以外に、カード装填部4はケース1の後面の任意の上下位置に設けることができる。カード装填部4は、カード保持爪5や、スロット18で構成する必要はなく、要はカード本体13の対向辺部や、周縁の複数箇所を保持できる構造であればよい。また、カード保持体5は、ゴムやエラストマーに代表される弾性片で構成することができる。液晶表示部3は、ケース1の上下方向の中途部や下部に配置することができる。
【符号の説明】
【0066】
1 ケース
3 表示手段(液晶表示部)
4 カード装填部
5 カード保持爪
6 カード受面
10 アンテナ
C ICカード
13 カード本体
15 アンテナ
16 顔写真(固有表示)
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICカードの真贋を判定するための携帯端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明のICカード用の携帯端末装置に関して、ICチップのデータをリーダライタで読み込み、あるいはICカードの表面に印刷された文字情報や顔写真などの固有情報をスキャナーなどで読み込んで、CRTやLCDなどの表示装置で表示することは、例えば特許文献1に公知である。そこでは、制御部、リーダライタ、表示部、印刷部、スキャナー、記憶部、入力部、およびRAMなどでICカード表示装置を構成している。この表示装置によれば、カードの固有情報を表示装置で表示できる。さらに、キー入力された暗証番号、生年月日などのデータと、ICチップに記録されたデータの比較を行なってICカードの真贋判定を行ない、その結果を表示装置で同時に表示できる。
【0003】
例えば、ICカード免許証では、カードの表面にカード所有者の住所、氏名、年齢、免許証番号などの文字情報が印刷され、さらに顔写真が貼り付けられている。また、カード内のICチップには文字情報と写真データに加えて、本籍地や暗証番号などの個人情報が格納されている。これらの格納データは改ざんするのが困難であり、従来の免許証に比べて偽造が極めて困難である。この種の免許証は、リーダライタの装填部に載置することで、ICチップに格納された固有情報データをディスプレイで表示して、カード表面に印刷された文字情報および顔写真などの固有情報との照合を行なうことができる。したがって写真を貼り換え、あるいは個人情報が書き換えられた偽変造カードを明確に識別して、その不正使用を防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−242455号公報(段落番号0031、図6、図9)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のICカード表示装置は、カードの文字情報や顔写真などの固有情報を表示装置で表示し、さらに、ICカードの真贋判定をも同時に行なうことができる。しかし、ICカード表示装置を制御部、リーダライタ、表示部、印刷部、スキャナー、記憶部、入力部、およびRAMなどで構成するので、全体構造が複雑で大掛かりになるのを避けられず、携帯用の装置として使用することはできない。
【0006】
上記のICカード表示装置を小形化することは不可能ではないが、データ入力用のキー群と、ICカード用の装填部と、ディスプレイとを、ケースの前面に隣接する状態で配置するので、リーダライタの全体を小形するのに限界があり、携帯して使用するのに嵩張る不利がある。
【0007】
本発明の目的は、端末装置の全体を小形化して、携帯して使用するのに好適なICカード用の携帯端末装置を提供することにある。本発明の目的は、ICカードの表面に表示された文字情報や写真などの固有表示と、ICチップに格納したデータとの照合を的確にしかも簡便に行なって、ICカードCの真贋判定を的確に行なうことができるICカード用の携帯端末装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るICカード用の携帯端末装置は、非接触式のICカードC用のリードライト手段をケース1内に備えている。図2に示すように、ケース1の前面にICカードCに格納された情報を表示する表示手段3を設ける。さらに、ケース1の外面にICカードCを装填するためのカード装填部4を設ける。ICカードCをカード装填部4に装着した装填状態において、図1に示すようにICカードCの一部がケース1の外面にはみ出して、はみ出し部分のカード面に表示された固有表示が視認可能となる。装填状態において、リードライト手段によって読み取られて前記表示手段3に表示したICカードCのカード情報と、はみ出し部分のカード面に表示された固有表示とを並列的に表示できることを特徴とする。
【0009】
図3に示すように、カード装填部4は、ケース1の表面に設けたカード保持体5と、カード保持体5と協同してICカードCを挟持状に保持するカード受面6とで構成する。カード受面6の内部に携帯端末装置側のアンテナ10を配置する。
【0010】
ケース1の前面に前記表示手段3を設け、ケース1の後面および上面のいずれかにカード装填部4を設ける。カード装填部4には、カード受面6に沿って突設されて、ICカードCをカード受面6と協同して弾性的に挟持するカード保持体5を設ける。カード装填部4に対するICカードCの装填姿勢を、次のいずれかに選定する。ICカードCの表裏のいずれか一方がケース1の前面側に表示される状態。ICカードCの一部がケース1の左右いずれか一方にはみ出す状態(図4参照)。ICカードCの一部がケース1の上部にはみ出す状態(図8参照)。
【0011】
カード本体13の各辺部に沿って四角形状のアンテナ15を配置する。カード受面6の内部に設けたアンテナ10を四角形状に配置する。図2に示すように、携帯端末装置側のアンテナ10の上下方向のアンテナ幅H1を、ICカードC側のアンテナ15の短辺部側のアンテナ幅H2より大きく設定する。
【0012】
カード装填部4に複数個のカード保持体5を設ける。図10に示すように、複数のカード保持体5の遊端どうしを、ICカードCを装填案内するガイド片34で橋絡する。カード保持体5、およびガイド片34のそれぞれを透明なプラスチック材で形成する。
【0013】
ICカードCがカード装填部4から取り外されたことをリードライト手段が認識したのち、所定時間が経過するまでの間に、リードライト手段を介して取り込んだICカードCの個人データを自動的に消去する。
【0014】
はみ出し部分のカード面に表示された固有表示は顔写真16を含む。リードライト手段で読み取られて表示手段3に表示されたICカードCのカード情報が、顔写真16の画像である。
【0015】
ケース1の後面に設けたカード装填部4は、図14に示すようにICカードCを差し込み装填できるスロット18で構成する。スロット18の左右両側と上側との少なくとも一側に、差し込み口19を開口する。スロット18に面するケース1内に、アンテナ10を配置する。
【発明の効果】
【0016】
本発明の携帯端末装置によれば、ケース1の前面にカード情報を表示する表示手段3を設け、ケース1の後面にカード装填部4を設けるようにした。このように、ケース1の後面側にカード装填部4を設けると、ケース1の前面に、表示手段3とカード装填部4とを隣接して設ける場合に比べて、ケース1の上下寸法を短くでき、その分だけ携帯端末装置を小形化しコンパクト化できる。また、従来のこの種の装置に比べてコンパクト化された携帯端末装置は、軽量で嵩張ることもなく簡便に携行できる。
【0017】
ICカードCをカード装填部4に装填した状態において、ICカードCの一部をケース1の外面にはみ出させ、表示手段3に表示されたカード情報の画像と、はみ出し部分のカード面の固有表示とを並列的に表示するので、画像と固有表示の照合を簡便に行なえる。詳しくは、並列する画像と固有表示を一見するだけで、両者が一致するか否かを確認して、ICカードCの真贋判定を的確にしかも簡便に行なうことができる。これにより、カード所有者の本人確認を的確に行なって、他人によるICカードの不正使用を確実に防止できる。照合すべき事項が多岐にわたる場合であっても、ICカードCの真贋判定を短時間で能率よく行なえる。
【0018】
ケース1の表面に設けたカード保持体5と、カード受面6とでカード装填部4を構成すると、ケース1にカード保持体5を付加するだけで、ICカードCをカード保持体5とカード受面6とで挟持状に保持できる。したがって、カード保持構造を簡素化して、携帯端末装置製造コストを削減でき、携帯端末装置を小形化することにも役立つ。また、ケース1の表面をカード受面6として利用する場合には、カード装填部4に装填したICカードCを確りと安定した状態で保持できるので、携帯端末装置を取り扱う際に、ICカードCがカード装填部4から脱落するのをよく防止できる。カード受面6の内部にアンテナ10を配置すると、ICカードCをカード装填部4に装填するだけで、先のアンテナ10とICカードC側のアンテナ15との位置を合致できるので、両者間の通信を安定した状態で行なえる。
【0019】
ケース1の後面および上面のいずれかにカード装填部4を設ける、携帯端末装置においては、カード装填部4に対するICカードCの装填姿勢を、少なくとも次のいずれかひとつに選定できる。ICカードCの表裏のいずれか一方がケース1の前面側に表示される状態と、ICカードCの一部がケース1の左右いずれか一方にはみ出す状態と、ICカードCの一部がケース1の上部にはみ出す状態である。したがって、ICカードCのカード表面における固有表示のレイアウトの違いや、カード装填部4に装填されたICカードCの装填姿勢が縦横に異なる場合であっても、カード装填部4の構造の一部を変更するだけで、先の状況の違いに支障なく対応できる。
【0020】
携帯端末装置側のアンテナ10の上下方向のアンテナ幅H1を、ICカードC側のアンテナ15の短辺部側のアンテナ幅H2より大きく設定すると、カード装填部4に対するICカードCの装填姿勢を縦横に変更することにより、より確実に通信を確立できる。例えば、ICカードC側のアンテナ15の配置パターンや共振周波数によっては、ICカードCをカード装填部4に横長姿勢で装填した場合(図7参照)に通信を確立できないことがある。その場合には、図8に示すように、ICカードCをカード装填部4に縦長姿勢で装填することにより、両アンテナ10・15が重合する領域を大きくして、横向きにした場合より起電力を大きくできる。因みに、ICカードC側のアンテナ15の配置パターンによっては、ICカードCをカード装填部4に縦長姿勢で装填した場合に通信を確立できないことがある。その場合には、ICカードCをカード装填部4に横長姿勢で装填する。
【0021】
複数のカード保持体5の遊端どうしをガイド片34で橋絡し、カード保持体5およびガイド片34のそれぞれを透明なプラスチック材で形成すると、ICカードCの表面の個人情報を、カード保持爪5とガイド片34を通して視認できる。例えばICカードCをカード装填部4に対して、その表面が後ろ向きになる状態で装填する場合に、ICカードCの装填位置をずらす必要もなく、ICカードCの表面の個人情報をカード保持爪5とガイド片34を通して視認して、表示手段3の画像と照合できる。したがって、ICカードCの真贋判定の手間を省くことができる。
【0022】
ICカードCをカード装填部4から取り外したのち、所定時間が経過するまでの間に、取り込んだICカードCの個人データを自動的に消去すると、個人情報を保護し、携帯端末装置の使用者によって個人情報が悪用されるのを防止できる。さらに、読み込んだ個人データを自動的に消去する機能が携帯端末装置に備えてあることを、予め公開して周知化しておくことにより、カード所有者の懸念を払拭して、携帯端末装置によるデータの読み取りに、安心して協力してもらうことができる。
【0023】
ICカードCの顔写真16と、表示手段3に表示された顔写真16の画像とを並列的に表示する携帯端末装置によれば、液晶表示部3に表示された画像と顔写真16とを照合することで、カード所有者の本人確認を的確かつ迅速に行なえる。したがって、第三者によるICカードCの変造ないしは偽造を防止して、ICカードCの不正使用を確実に防止できる。
【0024】
カード装填部4を、スロット18と、その差し込み口19で構成し、ICカードCをスロット18に対して抜き差しできるようにすると、先に説明した携帯端末装置と同様に、装置全体を小形化しコンパクト化できる。さらに携行時に嵩張ることもない。また、ICカードCをスロット18内に装填してより安定した状態で保持できるので、携帯端末装置を取り扱う際に、ICカードCがカード装填部4から脱落するのをさらに確実に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】実施例1に係る携帯端末装置の使用例を示す要部の正面図である。
【図2】ICカードを分離した状態の携帯端末装置の正面図である。
【図3】カード装填部を示す背面図である。
【図4】ICカードの使用形態を示す正面図である。
【図5】ICカードの別の使用形態を示す正面図である。
【図6】充電状態の携帯端末装置を示す正面図である。
【図7】携帯端末装置によるICカードの照合形態を示す正面図である。
【図8】携帯端末装置によるICカードの別の照合形態を示す正面図である。
【図9】携帯端末装置の別の使用形態を示す背面図である。
【図10】実施例1に係る携帯端末装置の変形例を示す背面図である。
【図11】実施例2に係る携帯端末装置の側面図である。
【図12】実施例2に係る携帯端末装置の正面図である。
【図13】実施例3に係る携帯端末装置の要部の正面図である。
【図14】ICカードを分離した状態の携帯端末装置の正面図である。
【図15】カード装填部とその差し込み口を示す側面図である。
【図16】実施例4に係る携帯端末装置の要部の正面図である。
【図17】実施例4に係る携帯端末装置の要部の側面図である。
【図18】実施例5に係る携帯端末装置の要部の正面図である。
【図19】実施例5に係る携帯端末装置の使用例を示す正面図である。
【図20】実施例6に係る携帯端末装置の要部の正面図である。
【図21】実施例6に係る携帯端末装置の使用例を示す正面図である。
【図22】実施例7に係る携帯端末装置の使用例を示す正面図である。
【図23】実施例8に係る携帯端末装置の使用例を示す正面図である。
【図24】実施例9に係る携帯端末装置の使用例を示す側面図である。
【図25】実施例10に係る携帯端末装置の使用例を示す側面図である。
【図26】実施例11に係る携帯端末装置の使用例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(実施例1) 図1ないし図8は本発明に係るICカード用の携帯端末装置の実施例1を示す。図2において携帯端末装置は、上下に長い長方形状のケース1と、ケース1の前面の下半部に配置される一群のキー群2と、ケース1の前面の上半部に配置される液晶表示部(表示手段)3と、ケース1の後面の上部に設けられるカード装填部4などで構成してある。図示していないが、ケース1の内部には、非接触式のICカードCのデータを読み書きするリードライト手段が設けてある。キー群2は、数字および文字などのデータを入力するためのメインキー群2aと、ファンクションキー群2bと、制御キー群2cなどで構成する。なお、本発明における上下・左右・前後とは、図2に示す交差矢印と、矢印の近傍の上下・左右・前後の各表示に従うものとする。
【0027】
図3に示すように、カード装填部4は、ケース1の後面に設けた左右一対のカード保持爪(カード保持体)5と、カード保持爪5と協同してICカードCを挟持状に保持するカード受面6とで構成する。カード保持爪5は、弾性変形可能なL字状のプラスチック成形品からなり、その基端部がカード受面6の下端の左右両側に配置されて、カード受面6に沿って上向きに突設してある。カード保持爪5の遊端には、カード受面6に外接するガイド部7がく字状に折り曲げてある。カード受面6はケース1の後面壁からなる。
【0028】
左右のカード保持爪5の弾性に抗しながら、ICカードCをガイド部7の側から差し込み装填することにより、ICカードCをカード保持爪5とカード受面6とで弾性的に挟持して装填状態を維持できる。カード受面6の内部には、ICカードCとの通信を確立するための携帯端末装置側のアンテナ10が配置してある。アンテナ10の外形はICカードCのアンテナ15との関係で設定するが、その詳細は後述する。
【0029】
図2に示すようにICカードCは、左右横長の長方形状のカード本体13と、カード本体13の内部に埋設されるICモジュール14、およびアンテナ15などで非接触式のICカードとして構成してある。ICモジュール14は、CPUとデータ格納用のメモリーを含んで構成してある。アンテナ15は、カード本体13の各辺部に沿って長方形状に配置してある。
【0030】
この実施例は、ICカードCがICカード免許証である場合を示しており、カード本体13の長辺部の長さは86mm、短辺部の長さは53mmである。カード本体13の表面には、カード所有者の住所、氏名、生年月日、免許番号、免許条件などの文字情報が印刷され、さらに所有者本人の顔写真16が貼り付けられて、その外面がラミネート層で覆ってある。カード本体13の右半分の領域のうち、右側の短辺部に近い側に顔写真16を配置し、残る領域に文字情報が表示してある。本発明で言う固有表示とは、文字情報および顔写真16などのカード表面に設けられた個人情報の全てを含む概念である。先のメモリーチップには、文字情報や顔写真16のデータ、および、カード表面に表示されていない個人データなどが記録してある。カード本体13は、プラスチックシート、フィルム、または絶縁性の紙などを積層して形成してあり、あるいはプラスチック成形によって形成してある。
【0031】
携帯端末装置を使用するときは、電源スイッチをオン状態に切り換えたのち、図3に示すようにICカードCをカード装填部4に装填する。このときのICカードCは、例えばカードの一部がケース1の右方からはみ出して、その表面がケース1の前面側に表示される状態(図1の状態)で装填する。この装填形態以外に、カードの一部がケース1の左方からはみ出る状態(図5の状態)や、ICカードCの一部がケース1の上部にはみ出る状態(図8の状態)で装填できる。さらに、図示していないが、ICカードCの裏面がケース1の前面側に表示される状態で装填することもできる。
【0032】
次に、起動ボタンをオンすると、認証プログラムが起動し、携帯端末装置側のアンテナ10と、ICカードC側のアンテナ15との間でデータの送受を行なって、装填されたICカードCがICカード免許証であることを認識したのち、暗証番号の入力画面が表示される。入力された暗証番号が適正であれば、例えば図1に示すように、ICモジュール14のメモリーに記録されている写真データの画像を、液晶表示部3に拡大して表示する。
【0033】
顔写真16がケース1の右側面からはみ出るようにICカードCをカード装填部4に装填しておけば、ICカードCの写真データ(カード情報)の画像と、カード面に表示された顔写真16(固有表示)とを左右並列に表示して、ICカードCの真贋を判定できる。また、表示モードを切り換えることにより、図4に示すように、ICモジュール14のメモリーに記録されている個人データを液晶表示部3に拡大した状態で表示できる。さらに図5に示すように、文字情報を表示してある左半部がケース1の左側面からはみ出すように、ICカードCをカード装填部4に沿ってスライド操作することにより、左右並列に表示されたICカードCの文字情報(固有表示)と個人データ(カード情報)とを照合することができる。図4および図5に示す個人データの表示は、次ページボタンを押すことにより切り換えることができる。
【0034】
因みに、ICカード免許証のICモジュール14のメモリーには、個人データ以外に、ICモジュール14内のデータと公安委員会の暗号鍵(秘密鍵)とで生成したチェックコードが記録されている。ICモジュール14内のデータをリーダライト手段で読込み、先の暗号鍵に対応した暗号公開鍵を用いて、チェックコードを検証することにより、ICモジュール14に記録されているデータが改ざんされているか否かを検証できる。
【0035】
上記の検証結果は、画像とともに液晶表示部3の下部に、例えば「チェックコードOK」あるいは「チェックコードNG」と表示される。したがって、たとえ液晶表示部3に表示された画像と、顔写真16とが一致したとしても、「チェックコードNG」が表示された場合には、ICカード免許証が改ざんされ、あるいは偽造されていることを判定できる。また、真正なICカード免許証の顔写真16が、悪意のある第三者の写真と入れ換えてある場合には、液晶表示部3に表示された画像と、顔写真16とが一致しないので、変造ないしは偽造したICカード免許証であることがわかる。
【0036】
以上のように構成した携帯端末装置は、金融機関の窓口や携帯電話の契約窓口などで、個人の認証を行なうことができる。あるいは、例えばレンタカー会社や自動車保険会社で契約手続きを行なう場合などに利用することができる。図5に示すようにICカード免許証には、免許更新時点で、過去5年以内に減点対象となる交通違反がない優良運転者に対して「優良」の表示が付加されている。この優良表示を確認することにより、優良運転者に対して、通常より好条件のサービスを提供し、あるいは同じ条件のサービスであれば、サービスの対価を値引きするなどの付加サービスを提供できる。
【0037】
ICカード免許証には、多くの個人情報が記録されており、携帯端末装置で読み込んだ個人情報が悪用されるおそれがある。例えば、携帯端末装置で読み込んだ個人情報をデータベース化して、名簿業者に転売されるおそれがある。また、データベース化された個人情報が、インターネット上に流出するおそれがある。さらに、悪用を恐れたICカード免許証の所有者が、携帯端末装置によるデータの読み取りを拒否する状況が想定される。
【0038】
このような状況を避けるために、ICカードCをカード装填部4から取り外したのち、所定時間が経過するまでの間に、リードライト手段を介して取り込んだICカードCの個人データを自動的に消去することができる。例えばリードライト手段は、ICカードCと携帯端末装置との通信が途絶したことで、ICカードCがカード装填部4から取り外されたことを認識できる。この時点から、例えば15秒が経過するまでの間に、リードライト手段を介して取り込んだ全ての個人情報を消去する。あるいは、ICカードCがカード装填部4から取り外されるのと同時に、リードライト手段を介して取り込んだ全ての個人情報を消去する。
【0039】
携帯端末装置は、図6に示す充電スタンドに装填した状態で、ケース1に内蔵した2次電池を充電することができる。また、充電スタンド30に装填した状態で、ICカードCをカード装填部4に装填することにより、ICモジュール14内のデータをリーダライト手段で読み込むことができる。さらに、読み込んだデータを充電スタンド30に接続したプリンター32に転送して、必要な個人情報をプリントすることができる。例えば、ICカード免許証をコピー機でコピーしたのと同様に、顔写真16を含む個人情報をプリアウトして、本人確認の証明書類として使用することができる。
【0040】
以上のように構成したICカード用の携帯端末装置によれば、液晶表示部3の裏側にカード装填部4を配置するので、ケース1の上下寸法を短くして、その分だけ携帯端末装置を小形化しコンパクト化できる。また、携帯端末装置をコンパクト化することにより、嵩張ることもなく携帯端末装置を簡便に携行できることとなる。さらに、液晶表示部3に表示された画像やデータと、はみ出し部分のカード面に表示された顔写真16や読み込んだデータとを並列的に表示するので、両者を一見するだけで、ICカードCの真贋判定を的確にしかも簡便に行なうことができる。これにより、カード所有者の本人確認を的確に行なって、他人によるICカードの不正使用を確実に防止できることとなる。
【0041】
ICカードCは、ICカード免許証以外に社員証ICカードや、学生証ICカード、住民基本台帳カードなどとしても使用することができる。その場合には、ICカードCの用途によって、顔写真16の配置形態が、図7や図8に示すように異なることが想定される。図7では、カード装填部4にカード本体13を横長姿勢で装填する場合に、右側の短辺部に近い側に顔写真16を縦姿勢で配置している。また、図8では、カード装填部4にカード本体13を縦長姿勢で装填する場合に、上側の短辺部に近い側に顔写真16を縦姿勢で配置している。いずれの使用形態においても、必要に応じて、ICモジュール14のメモリーに記録されている写真データを液晶表示部3に拡大した状態で表示して、表示された画像と、カードに貼り付けられた顔写真16とを左右並列に表示し、あるいは上下並列に表示してICカードCの真贋を判定できる。
【0042】
例えば、ひとつのビルに複数の企業や組織が入居している場合には、各企業や各組織ごとに、前述のように顔写真16の配置形態が縦横に異なる場合があるが、こうした場合のビルへの出入りの管理を携帯端末装置で行なうことができる。携帯端末装置によるICカードCの真贋判定は、例えば警備会社の社員が行なう。
【0043】
上記のように、ICカードCを横長姿勢でカード装填部4に装填する場合と、ICカードCを縦長姿勢でカード装填部4に装填する場合とで、カード本体13に配置したアンテナ15と、カード受面6に設けたアンテナ10との対向形態が異なる。この違いは、携帯端末装置とICカードCとの間の通信状態を左右することがあり、最悪の場合には、ICカードCのデータを読み込むことができなくなる。
【0044】
一般的に、ICカードC側のアンテナ15は、図2に示すように、カード本体13の外郭線内に収まる範囲内でできるだけ大きく形成する。また、携帯端末装置側のアンテナ10は、ICカードC側のアンテナ15と同等、ないしアンテナ15より大きく形成することが多い。これは、携帯端末装置側のアンテナ10から電波を放射するとき、電磁誘導作用による磁束をICカードC側のアンテナ15に十分に作用させて、ICモジュール14における起電力を大きくするためである。しかし、上記のように、顔写真16をケース1の側面からはみ出させて、ICカードCの写真データの画像と、カード面に表示された顔写真16とを左右並列に表示する場合には、両アンテナ10・15どうしを、ほぼ重なるように対向させることができない。そのため、消費電力が大きなICチップを実装したICカードや、ICカードのアンテナの共振周波数が携帯端末装置側のアンテナ10の共振周波数とずれているような場合には、ICカードの起電力を生起させることができないことがある。
【0045】
上記のような不具合を解消するために、携帯端末装置側のアンテナ10の形状を、ICカードC側のアンテナ15との関係で設定した。具体的には図2に示すように、携帯端末装置側のアンテナ10の上下方向のアンテナ幅H1を、ICカードC側のアンテナ15の短辺部側のアンテナ幅H2より大きく設定するようにした。こうした携帯端末装置によれば、ICカードCのカード装填部4に対する装填姿勢を縦横に変更することで通信を確立できる。例えば、図7に示すように、ICカードCをカード装填部4に横長姿勢で装填した場合に通信を確立できないことがある。その場合には、図8に示すように、ICカードCをカード装填部4に縦長姿勢で装填することにより、ICカードC側のアンテナ15に十分な磁束を作用させて、ICモジュール14における起電力を大きくして通信を確立できる。これは、携帯端末装置側のアンテナ10の上下方向のアンテナ幅H1が、ICカードC側のアンテナ15の短辺部側のアンテナ幅H2より大きいと、ICカードCを縦向きにした場合の両アンテナ10・15が重合する領域を大きくでき、横向きにした場合より起電力を大きくできるからである。
【0046】
図9は携帯端末装置の別の使用形態を示す。そこでは、横長姿勢にしたICカードCをカード装填部4に対して、その表面がケース1の後面側に表示される状態で装填した。この場合には、ICカードCを左右にずらす必要もなく、ICカードCの表面に表示された個人情報の殆どを見ることができる。また、携帯端末装置を表裏に反転することにより、液晶表示部3に表示された個人データの画像と、ICカードCの表面に表示された個人情報とを見比べることができる。この使用形態においては、カード保持爪5を細くすることにより、ICカードCの表面の個人情報がカード保持爪5で隠されるのを極力避けることができる。カード保持爪5は、線径が2mm以下の金属線材、より好ましくは線径が1mm以下の金属線材で形成することができる。このように、線径が小さな金属線材でカード保持爪5を構成すると、カード保持爪5によってICカードCの表面の表示が覆われるのを防止できる。なお、金属線材を素材にして左右のカード保持爪5を一筆書き状に連続させると、左右のカード保持爪5がループ状になって電磁波を吸収するおそれがある。これを避ける必要上、左右のカード保持爪5は独立した爪体として形成することが好ましい。
【0047】
図10は、実施例1に係る携帯端末装置の変形例を示す。そこでは、カード装填部4に左右一対のカード保持爪5を設け、左右のカード保持爪5の遊端どうしをガイド片34で橋絡した。カード保持爪5とガイド片34とは、透明なプラスチック材を素材にして一体に成形してある。ガイド片34は、断面がく字状に折れ曲がっており、カード受面6と協同してICカードCを装填案内できる。ICカードCをカード装填部4に対して、その表面がケース1の後面側に表示される状態で装填する場合には、ICカードCの表面の個人情報を、カード保持爪5とガイド片34を通して視認できるので、ICカードCの装填位置をずらす手間を省くことができる。例えば、ガイド片34で覆われた「優良」の表示を、装填姿勢を変更する必要もなく確認できる。
【0048】
(実施例2) 図11および図12は本発明に係るICカード用の携帯端末装置の実施例2を示す。そこでは、ケース1の上端部にICカードCを装填するためのカード装填部4を設けた。カード装填部4は、ケース1の上端部の後縁中央に設けたカード保持爪(カード保持体)5と、カード保持爪5と協同してICカードCを挟持状に保持するカード受面6とで構成する。カード受面6はケース1の上端面壁からなり、その内面にアンテナ10が配置してある。
【0049】
ケース1の上部は、カード受面6の面積を大きくするために後面側へ膨出するが、この膨出部は、バックアップ用のコイン型リチウム電池の収容部として利用することができる。また、膨出部の後面に配置した電池蓋を着脱することにより、リチウム電池の交換を行なうことができる。携帯端末装置を使用するときは、電源スイッチをオン状態に切り換えたのち、例えば、図12に示すようにICカードCをカード装填部4に装填する。この実施例においても、実施例1と同様に、顔写真16をケース1の側面からはみ出させて、ICカードCの写真データの画像と、カード面に表示された顔写真16とを左右並列に表示して真贋判定を行なえる。他は、先の実施例と同じであるので、同じ部材に同じ符号を付してその説明を省略する。以下の各実施例においても同様に、同じ部材に同じ符号を付してその説明を省略する。
【0050】
以下の実施例3〜11では、カード装填部4をスロット構造にする点が実施例1・2と異なる。
【0051】
(実施例3) 図13ないし図15は本発明に係るICカード用の携帯端末装置の実施例3を示す。そこでは、カード装填部4が、ICカードCを差し込み装填するためのスロット18で構成してあり、スロット18は液晶表示部3に臨むケース1の後面側に設けてある。スロット18はケース1の右側面で開口するように構成してあり、その差し込み口を符号19で示す。図15に示すように、液晶表示部3とスロット18との間には、ICカードCとの通信を確立するための携帯端末装置側のアンテナ10が配置してある。
【0052】
携帯端末装置を使用するときは、電源スイッチをオン状態に切り換えたのち、ICカードCを差し込み口19からスロット18内に差し込む。装填状態におけるICカードCの右半部側はケース1の外面にはみ出しており、はみ出し部分のカード面に表示された顔写真16と、ICカードCから読み込んだ写真データの画像とを左右並列に表示して、真贋判定を行なうことができる。なお、スロット18内に差し込まれたICカードCは、スロット18の内周面との摩擦力によって、抜け出し不能に保持されているので、使用者が明確な意図を持って抜き出し操作しない限りは、ICカードCがカード装填部4から分離し、あるいはスロット18内で移動することはない。
【0053】
(実施例4) 図16および図17は実施例4に係る携帯端末装置を示す。そこでは、ケース1の上端部にICカードを装填するためのカード装填部4を設けて、カード装填部4に装着したICカードCを斜めに支持できるようにした。そのために、ケース1の上部後面に膨出部21を突設し、ケース1の上端面の中途部から膨出部21の後ろ下隅へ向かってスロット18を斜めに傾斜する状態で形成した。また、携帯端末装置側のアンテナ10をスロット18と平行になる状態で配置した。差し込み口19はスロット18の上端に開口してあり、スロット18はその左右側面でも開口している。
【0054】
上記のようにカード装填部4に装着したICカードCを斜めに支持すると、ICカードCの顔写真16を携帯端末装置の使用者の側へ指向させて見やすくすることができる。また、ICカードCの顔写真16が配置してある領域と、カード上縁側のカード表面とが同時にケース12の外へはみ出るので、文字情報の一部を視認可能としてカード情報と照合することができる。ICカードCは、差し込み口19の側からスロット内へ差し込み装填できるが、必要に応じてスロット18の左右側面側の開口から抜き差ししてもよい。なお、ICカードCは、図17に示すようにスロット18に対して横長姿勢で装填する以外に、スロット18に対して縦長姿勢で装填することができ、その場合にはスロット18の左右両側面の開口は省略することができる。
【0055】
(実施例5) 図18および図19は実施例5に係る携帯端末装置を示す。そこでは、実施例3と同様にカード装填部4を液晶表示部3の背部に配置するが、スロット18をケース1の左右側面で開口させて、左右両側に差し込み口19を開口し、カード装填部4に装着したICカードCの装着位置を左右方向へ変更できるようにした。この場合には、ICカードCを左右にスライド操作して、カード本体13のはみ出し部分を右または左に変更することができる。具体的には、図19(a)に示すようにICカードCの右端側がはみ出る状態では、顔写真16を視認可能とし、図19(b)に示すようにICカードCの左端側がはみ出る状態では、カード本体13に印刷した文字情報を視認可能とする。
【0056】
カード本体13のはみ出し部分が右または左であるかを検知するために、右側の差し込み口19の内面に光センサー20を配置している。図19(a)のように光センサー20の光路がカード本体13遮られた場合には、カード本体13の右端側がはみ出していると判定して、ICカードCの写真データの画像を液晶表示部3に表示する。また、図19(b)のように光センサー20の光路が遮らていない場合には、カード本体13の左端側がはみ出していると判定して、ICカードCの文字データの画像を液晶表示部3に表示する。ICカードCをカード装填部4から抜き取った状態では、携帯端末装置側のアンテナ10とICカードC側のアンテナ15との間の通信が途絶するので、ICカードCがカード装填部4に装着されていない状態であると判定して、初期メニューを液晶表示部3に表示する。なお、実施例4で説明した携帯端末装置においても、同様にカード本体13のはみ出し部分が右または左であるかを検知して、実行すべきプログラムを選択することができる。
【0057】
(実施例6) 図20および図21に実施例6に係る携帯端末装置を示す。そこでは、実施例3と同様にカード装填部4を液晶表示部3の背部に配置し、スロット18をケース1の右側面(一側面)と上面との2個所で開口して、差し込み口19を2個所に形成した。このように、ケース1の直交する周側面の2個所に差し込み口19を設けると、ICカードCのカード装填部4に対する装填姿勢を横長姿勢と縦長姿勢とに変更できる。具体的には、図21(a)のように顔写真16の上下縁がカード本体13の長辺部と平行になる場合には、ICカードCを横長姿勢でカード装填部4に装着して、画像と顔写真とを左右並列に視認できる。また、図21(b)のように顔写真16の上下縁がカード本体13の短辺部と平行になる場合には、ICカードCを縦長姿勢でカード装填部4に装着して、画像と顔写真とを上下並列に視認することができる。したがって、いずれの場合にもカード本体13に貼り付けられた顔写真16の向きを、液晶表示部3に表示された画像の向きに一致させて、両者の照合を簡便にしかも的確に行なうことができる。
【0058】
(実施例7) 図22に実施例7に係る携帯端末装置を示す。そこでは、実施例3と同様にケース1の後面にカード装填部4を設ける。カード装填部4は、ケース1の右側面で開口するスロット18と、スロット18に臨む後壁に形成した開口22と、この開口22を塞ぐ透明の窓板23とで構成する。開口22の周囲はケース1の後壁で囲まれている。このように、スロット18の後面(外面)を透明の窓板23で覆うと、ICカードCをカード装填部4に差し込んだ状態において、スロット18内に位置する顔写真16を窓板23を通して視認することができる。
【0059】
この実施例においては、ケース1の前面および後面を交互に使用者と正対させて、液晶表示部3に表示された画像と、窓板23と正対するカード面に表示された固有表示、即ち顔写真16とを交互に視認して両者を照合することができる。また、装填状態において、顔写真16と、ケース1からはみ出した部分のカード表面に表示された文字情報の大半を視認できるので、液晶表示部3の表示を切り換えるだけで、文字情報の照合と顔写真16の照合とを連続して行なえる。
【0060】
(実施例8) 図23に実施例8に係る携帯端末装置を示す。そこでは、実施例3と同様にケース1の後面にカード装填部4を設ける。カード装填部4は、ケース1の右側面で開口するスロット18と、スロット18に装填されたICカードCのカード面に表示された固有表示を露出させる開口25とで構成する。開口25は、差し込み口19からスロット18の内奥にわたって形成してあり、その上下幅はICカードCの上下幅より小さく設定してある。カード装填部4のスロット18の内周面には、ICカードCをガイドし、位置決めするガイド突起26が一定間隔おきに突設してある。
【0061】
この実施例によれば、ケース1の前面および後面を交互に使用者と正対させて、液晶表示部3に表示された画像と、開口25から視認できるカード面に表示された固有表示、即ち顔写真16とを交互に視認して両者を照合することができる。また、装填状態において、顔写真16とカード表面に表示された文字情報の殆どを視認することができるので、液晶表示部3の表示を切り換えるだけで、文字情報の照合と顔写真16の照合とをより確実に行なえる。
【0062】
(実施例9) 図24に実施例9に係る携帯端末装置を示す。そこでは、カード装填部4を独立した部品で構成し、これをケース1の上部後面に固定した。カード装填部4は、スロット18を備えたプラスチック成形品からなる。アンテナ10はスロット18と平行になる状態でケース1の内部に配置してある。この実施例における液晶表示部3の画像と、ICカードCのはみ出し部分の固有表示との表示状態は、実施例1の表示状態と同じであり、画像と顔写真16とを左右に並列する状態で表示できる。
【0063】
(実施例10) 図25に実施例10に係る携帯端末装置を示す。そこでは、カード装填部4を実施例9と同様に独立した部品で構成し、これをケース1の上部後面に固定した。カード装填部4は、装着座27と装填ケース部28とを一体に備えたプラスチック成形品からなり、装填ケース部28にスロット18とアンテナ10とが設けてある。アンテナ10はスロット18と平行に配置する。実施例4の携帯端末装置と同様に、差し込み口19はスロット18の上部で開口しており、さらにスロット18の左右両側でも開口している。この実施例における液晶表示部3の画像とICカードCのはみ出し部分の固有表示との表示状態は、実施例42の表示状態と概ね同じであり、液晶表示部3の画面とICカードCの表面とが非平行な状態で並列的に表示される。
【0064】
(実施例11) 図26に実施例11に係る携帯端末装置を示す。そこでは、カード装填部4を実施例9と同様に独立した部品で構成して、これをケース1の上部後面に固定した。また、カード装填部4に液晶表示部3を設けて、実施例3の表示状態と同様に、液晶表示部3の画像と、ICカードCのはみ出し部分の固有表示とを左右に並列する状態で表示できるようにした。
【0065】
上記の実施例以外に、カード装填部4はケース1の後面の任意の上下位置に設けることができる。カード装填部4は、カード保持爪5や、スロット18で構成する必要はなく、要はカード本体13の対向辺部や、周縁の複数箇所を保持できる構造であればよい。また、カード保持体5は、ゴムやエラストマーに代表される弾性片で構成することができる。液晶表示部3は、ケース1の上下方向の中途部や下部に配置することができる。
【符号の説明】
【0066】
1 ケース
3 表示手段(液晶表示部)
4 カード装填部
5 カード保持爪
6 カード受面
10 アンテナ
C ICカード
13 カード本体
15 アンテナ
16 顔写真(固有表示)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非接触式のICカード(C)用のリードライト手段をケース(1)内に備えている携帯端末装置であって、
前記ケース(1)の前面にICカード(C)に格納された情報を表示する表示手段(3)が設けられ、前記ケース(1)の外面にICカード(C)を装填するためのカード装填部(4)が設けられており、
ICカード(C)を前記カード装填部(4)に装着した装填状態において、ICカード(C)の一部が前記ケース(1)の外面にはみ出して、はみ出し部分のカード面に表示された固有表示が視認可能となっており、
前記装填状態において、前記リードライト手段によって読み取られて前記表示手段(3)に表示されたICカード(C)のカード情報と、前記はみ出し部分のカード面に表示された固有表示とを並列的に表示できることを特徴とするICカード用の携帯端末装置。
【請求項2】
前記カード装填部(4)が、前記ケース(1)の表面に設けたカード保持体(5)と、前記カード保持体(5)と協同してICカード(C)を挟持状に保持するカード受面(6)とで構成されており、
前記カード受面(6)の内部に、携帯端末装置側のアンテナ(10)が配置してある請求項1に記載のICカード用の携帯端末装置。
【請求項3】
前記ケース(1)の前面に前記表示手段(3)が設けられ、前記ケース(1)の後面および上面のいずれかに前記カード装填部(4)が設けられており、
前記カード装填部(4)には、カード受面(6)に沿って突設されて、ICカード(C)をカード受面(6)と協同して弾性的に挟持する前記カード保持体(5)が設けられており、
前記カード装填部(4)に対するICカード(C)の装填姿勢を、
ICカード(C)の表裏のいずれか一方が前記ケース(1)の前面側に表示される状態と、
ICカード(C)の一部が前記ケース(1)の左右いずれか一方にはみ出す状態と、
ICカード(C)の一部が前記ケース(1)の上部にはみ出す状態との、
少なくともいずれかひとつに選定できる請求項2に記載のICカード用の携帯端末装置。
【請求項4】
カード本体13の各辺部に沿って四角形状のアンテナ(15)が配置されており、
前記カード受面(6)の内部に設けたアンテナ(10)が四角形状に配置されており、
前記携帯端末装置側のアンテナ(10)の上下方向のアンテナ幅(H1)が、ICカード(C)側のアンテナ(15)の短辺部側のアンテナ幅(H2)より大きく設定してある請求項2または3に記載のICカード用の携帯端末装置。
【請求項5】
前記カード装填部(4)に複数個の前記カード保持体(5)が設けられており、
複数の前記カード保持体(5)の遊端どうしが、ICカード(C)を装填案内するガイド片(34)で橋絡されており、
前記カード保持体(5)、およびガイド片(34)のそれぞれが透明なプラスチック材で形成してある請求項2、3または4に記載のICカード用の携帯端末装置。
【請求項6】
ICカード(C)が前記カード装填部(4)から取り外されたことをリードライト手段が認識したのち、所定時間が経過するまでの間に、
リードライト手段を介して取り込んだICカード(C)の個人データを自動的に消去することができる請求項1から5のいずれかひとつに記載のICカード用の携帯端末装置。
【請求項7】
前記はみ出し部分のカード面に表示された固有表示が顔写真(16)を含み、
前記リードライト手段によって読み取られて前記表示手段(3)に表示されたICカード(C)のカード情報が前記顔写真(16)の画像である請求項1から6のいずれかひとつに記載のICカード用の携帯端末装置。
【請求項8】
前記ケース(1)の後面に設けたカード装填部(4)が、ICカード(C)を差し込み装填できるスロット(18)で構成されており、
前記スロット(18)の左右両側と上側との少なくとも一側に、差し込み口(19)が開口されており、
スロット(18)に面するケース(1)内に、アンテナ(10)が配置してある請求項1に記載のICカード用の携帯端末装置。
【請求項1】
非接触式のICカード(C)用のリードライト手段をケース(1)内に備えている携帯端末装置であって、
前記ケース(1)の前面にICカード(C)に格納された情報を表示する表示手段(3)が設けられ、前記ケース(1)の外面にICカード(C)を装填するためのカード装填部(4)が設けられており、
ICカード(C)を前記カード装填部(4)に装着した装填状態において、ICカード(C)の一部が前記ケース(1)の外面にはみ出して、はみ出し部分のカード面に表示された固有表示が視認可能となっており、
前記装填状態において、前記リードライト手段によって読み取られて前記表示手段(3)に表示されたICカード(C)のカード情報と、前記はみ出し部分のカード面に表示された固有表示とを並列的に表示できることを特徴とするICカード用の携帯端末装置。
【請求項2】
前記カード装填部(4)が、前記ケース(1)の表面に設けたカード保持体(5)と、前記カード保持体(5)と協同してICカード(C)を挟持状に保持するカード受面(6)とで構成されており、
前記カード受面(6)の内部に、携帯端末装置側のアンテナ(10)が配置してある請求項1に記載のICカード用の携帯端末装置。
【請求項3】
前記ケース(1)の前面に前記表示手段(3)が設けられ、前記ケース(1)の後面および上面のいずれかに前記カード装填部(4)が設けられており、
前記カード装填部(4)には、カード受面(6)に沿って突設されて、ICカード(C)をカード受面(6)と協同して弾性的に挟持する前記カード保持体(5)が設けられており、
前記カード装填部(4)に対するICカード(C)の装填姿勢を、
ICカード(C)の表裏のいずれか一方が前記ケース(1)の前面側に表示される状態と、
ICカード(C)の一部が前記ケース(1)の左右いずれか一方にはみ出す状態と、
ICカード(C)の一部が前記ケース(1)の上部にはみ出す状態との、
少なくともいずれかひとつに選定できる請求項2に記載のICカード用の携帯端末装置。
【請求項4】
カード本体13の各辺部に沿って四角形状のアンテナ(15)が配置されており、
前記カード受面(6)の内部に設けたアンテナ(10)が四角形状に配置されており、
前記携帯端末装置側のアンテナ(10)の上下方向のアンテナ幅(H1)が、ICカード(C)側のアンテナ(15)の短辺部側のアンテナ幅(H2)より大きく設定してある請求項2または3に記載のICカード用の携帯端末装置。
【請求項5】
前記カード装填部(4)に複数個の前記カード保持体(5)が設けられており、
複数の前記カード保持体(5)の遊端どうしが、ICカード(C)を装填案内するガイド片(34)で橋絡されており、
前記カード保持体(5)、およびガイド片(34)のそれぞれが透明なプラスチック材で形成してある請求項2、3または4に記載のICカード用の携帯端末装置。
【請求項6】
ICカード(C)が前記カード装填部(4)から取り外されたことをリードライト手段が認識したのち、所定時間が経過するまでの間に、
リードライト手段を介して取り込んだICカード(C)の個人データを自動的に消去することができる請求項1から5のいずれかひとつに記載のICカード用の携帯端末装置。
【請求項7】
前記はみ出し部分のカード面に表示された固有表示が顔写真(16)を含み、
前記リードライト手段によって読み取られて前記表示手段(3)に表示されたICカード(C)のカード情報が前記顔写真(16)の画像である請求項1から6のいずれかひとつに記載のICカード用の携帯端末装置。
【請求項8】
前記ケース(1)の後面に設けたカード装填部(4)が、ICカード(C)を差し込み装填できるスロット(18)で構成されており、
前記スロット(18)の左右両側と上側との少なくとも一側に、差し込み口(19)が開口されており、
スロット(18)に面するケース(1)内に、アンテナ(10)が配置してある請求項1に記載のICカード用の携帯端末装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図2】
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【図15】
【図16】
【図17】
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【図19】
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【図21】
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【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【公開番号】特開2011−221796(P2011−221796A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−90424(P2010−90424)
【出願日】平成22年4月9日(2010.4.9)
【出願人】(591009093)マクセル精器株式会社 (30)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月9日(2010.4.9)
【出願人】(591009093)マクセル精器株式会社 (30)
【Fターム(参考)】
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