説明

ICカード簡易充填装置

【課題】 ICカードへの入金処理を安価な装置で行えるようにする。
【解決手段】 ICカードの装填、入金の案内、カード残額表示等を行う表示部(11)と、ICカードを装填・保持し、カード残額の読み取り、入金額の書き込みを行うICカード処理部(12)と、挿入された紙幣の識別・収納を行う紙幣処理部(14)と、前記各部の制御を行う制御部(16)とを備え、前記制御部は、ICカードが装填され、入金があるごとにICカードを保持して入金額の書き込みを行い、入金額の書き込みが終了するごとにICカードの保持を解除するようにICカード処理部を制御するようにしたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はICカードへ電子マネーを充填するICカード簡易充填装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ICカードに電子マネーをチャージし、キャッシュレスで物品の購入、決済を行うことのできるサービス機器やシステムが提案され、特に、メンテナンス性や使い易さ等の面から非接触ICカードが注目され、自動改札機や自動券売機、飲料やタバコの自動販売機、スーパーやコンビニエンスストアなどでの決済装置に利用することが提案されている。また、非接触ICカードを使用してカード残高が少なくなった場合に、非接触ICカードへ入金するための入金機も提案されている。
【0003】
ところで、非接触ICカードへ入金する場合、入金処理途中で、利用者がICカードを入金機のアンテナから離してしまったり動かしたりすると、データの読み取りが正常にできなくなる。そこで、カードホールド部とカード受け部を設けておき、非接触ICカードを挿入するとカードホールド部でこれを保持して外部から触れたり動かしたりできないようにして入金処理を行い、入金処理が終わって利用者が終了確認ボタンを押すと非接触ICカードがカードホールド部からカード受け部へ落下し、非接触ICカードを取り出せるようにしたものも提案されている(特許文献1)。
【特許文献1】特開2002−133377号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の入金機では、カードホールド部とカード受け部を設け、入金処理が終わったときに終了確認ボタンを押すという複雑な構成をとっているため、装置が高価になってしまうという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記課題を解決しようとするもので、ICカードへの入金処理を安価な装置で行えるICカード簡易充填装置を提供することを目的とする。
そのために本発明は、ICカードへ電子マネーを充填する装置において、
ICカードの装填、入金の案内、カード残額表示等を行う表示部と、
ICカードを装填・保持し、カード残額の読み取り、入金額の書き込みを行うICカード処理部と、
挿入された紙幣の識別・収納を行う紙幣処理部と、
前記各部の制御を行う制御部とを備え、
前記制御部は、ICカードが装填され、入金があるごとにICカードを保持して入金額の書き込みを行い、入金額の書き込みが終了するごとにICカードの保持を解除するようにICカード処理部を制御することを特徴とする。
また、本発明は、前記ICカード処理部のカード装填・保持部は、ポケット式カードホルダーからなり、入金額の書き込み終了までカードを保持し、書き込み終了後カード保持を解除する保持具を有していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、カードの装填後、入金と書き込みがあるごとにカードの保持、保持解除を繰り返し、カードの抜き取りを検知すると取引を終了するようにしているので、終了確認ボタン等が必要でなく、また、カード保持部とカード受部を保持するような複雑な構成を必要とせず簡易な装置構成とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
図1は本発明のICカード簡易充填装置の正面図、図2は充填装置の制御系を説明するブロック図、図3は制御部による処理フローを説明する図である。
本発明の簡易充填装置は、低価格を目的とした機種であるため、機能を限定し、特に取り扱い可能な金種は1000円紙幣のみとしている。1000円紙幣のみとした場合、利用者が1000円より多い額を積み増し入金したい場合、通常であれば、入金ごとにカードを抜き取って何回も入金処理を実施する必要がある。そこで、本発明においては、装填したカードを抜き取らずに1000円紙幣を連続挿入して積み増し入金できるようにしたことを特徴としている。
【0008】
図1において、ICカード簡易充填装置1は、入金操作の案内や残額表示等を行うための接客表示部11、ICカードを装填し保持する装填部・保持部12、紙幣挿入口・返却口14を有している。ICカード装填部・保持部12はポケット式カードホルダからなり、カード装填後、入金額をカードに書き込むまでは抜き取れないようにカードを保持し、書き込み終了後カード保持を解除する保持具を有している。この保持具は、例えば、カード上部に設けられ、入金と書き込み信号に応じて出入りが制御されるロックピン等から構成することができる。ICカード装填部・保持部12の奥には、ICカードのデータの読み取り/書き込みを行うためのリーダ/ライタ部(アンテナ)13、紙幣挿入口・返却口14の奥には、紙幣識別部・収納部15がそれぞれ設けられている。なお、本実施形態では1000円紙幣のみ対象としているため、紙幣識別部では、1000円紙幣以外の紙幣が挿入された場合は返却する。また、装置全体の処理を制御する制御部16、装置の動作不良が発生した時などに使用する呼び出しボタン17が設けられている。
【0009】
図2において、制御部16は、接客表示部11、ICカード装填部・保持部12及びICカードリーダ/ライタ部13からなるICカード処理部、貨幣挿入口・返却口14及び紙幣識別部・収納部15からなる紙幣処理部と接続されてその制御を行っている。そして、ICカード処理部では、ICカード2の装填、抜き取りを検知し、紙幣処理部では、千円紙幣3の入金を検知し、それらの検知信号は制御部16に取り込まれる。この制御部16による制御内容を図3〜図5の処理フローを参照して説明する。
【0010】
ICカード簡易充填装置のカード接客表示部11においてカードの装填案内を表示する(ステップS1)。次いで、ICカード装填部・保持部12からの信号によりカードが装填されたか否か判断し(ステップS2)、装填されないかぎりステップS1の処理でカードの装填案内を表示する。カードが装填されたことの信号を受け取ると、カードが使えるものか否かの判定を行い(ステップS3)、使用できないカードであればカード使用付加表示、カード抜き取り案内表示を行い(ステップS4)、終了案内表示を行って(ステップS30)処理は終了する。使用可能なカードであれば紙幣の挿入を許可し(ステップS5)、ICカードリーダ/ライタ部13でカード内容の読み取り処理を行い、接客表示部11にカード残額表示と紙幣挿入案内表示を行う(ステップS6)。
【0011】
ここで、ICカード処理部ではカード抜き取りのあり/なしを判断し(ステップS7)、カードが抜き取られると紙幣の挿入を禁止し(ステップS22)、終了案内表示して処理を終了する。カードの抜き取りがないと、紙幣処理部で紙幣の挿入があるか否か判断し(ステップS8)、紙幣の挿入があるまでステップS7、ステップS8の処理を繰り返す。紙幣の挿入があると、カードホルダにおいてカード抜き取りを禁止(ロック)し(ステップS9)、紙幣識別部で紙幣の識別判定を行い、識別判定が正常終了したか否か判断する(ステップS10)。識別判定が正常に終了し、かつ識別した紙幣が正券であると、一旦紙幣の挿入を禁止して紙幣受け付け完了表示と投入金額を表示し、カードにデータを書き込む(積み増し)(ステップS11〜S13)。
【0012】
次いで、書き込みが正常終了したか否か判断し(ステップS14)、正常終了すると、一件明細データと集計データの作成を行い(ステップS15)、紙幣の挿入許可、カード抜き取り許可(ロック解除)し(ステップS16、S17)、チャージ完了の表示、チャージ後の残額表示を行い(ステップS18)、さらに紙幣挿入ありか否か判断する(ステップS19)。紙幣挿入があると、ステップS9に戻って処理を繰り返す。紙幣の挿入がないと、カード抜き取りがあるか否か判断し(ステップS20)、カード抜き取りがなければステップS19に戻って処理を繰り返し、カードが抜き取られると、紙幣の挿入を禁止し(ステップS21)、終了案内表示して(ステップS22)、処理を終了する。
【0013】
ステップS10において、紙幣識別判定が正常に終了し、かつ紙幣が偽券(1000円以外)であった場合には、紙幣を返金し(ステップS23)、次いで紙幣の返金が正常終了か否か判断し(ステップS24)、正常終了の場合はカードの抜き取りを許可(ロック解除)し(ステップS25)、紙幣の返金案内を表示し(ステップS26)、次いで投入金額(積み増し額)があるか否か判断し(ステップS27)、無い場合はステップS7に戻って処理を繰り返す。ステップS27において、投入金額があると紙幣の挿入あるか否か判断し(ステップS19)、紙幣の挿入があるとステップS9に戻って処理を繰り返す。紙幣の挿入がないと、カード抜き取りがあるか否か判断し(ステップS20)、カード抜き取りがなければステップS19に戻って処理を繰り返し、カードが抜き取られると、紙幣の挿入を禁止し(ステップS21)、終了案内表示して(ステップS22)、処理を終了する。
【0014】
ステップS10において、紙幣識別判定が異常(つまり等)である場合、ステップS24において紙幣返金が異常終了した場合には、カード抜き取りを可能とし(ステップS28)、異常案内を表示(ステップS29)し、異常処理係員扱い(ステップS30)として処理を終了する。また、ステップS14において、書き込みが正常に終了しない場合も、異常案内を表示(ステップS29)し、異常処理係員扱い(ステップS30)として処理を終了する。なお、ステップS20において、カード抜き取りがあると取引を終了しているが、これに代えて一定時間経過しても入金がない場合には取引を終了するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0015】
本発明によれば、ICカードの充填装置を簡単な構造で実現し、低価格化を図ることができるので産業上の利用価値は大きい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明のICカード簡易充填装置の正面図である。
【図2】充填装置の制御系を説明するブロック図である。
【図3】制御部による処理フローを説明する図である。
【図4】制御部による処理フローを説明する図である。
【図5】制御部による処理フローを説明する図である。
【符号の説明】
【0017】
1…ICカード簡易充填装置、2…ICカード、3…千円紙幣、11…接客表示部、12…ICカード装填部・保持部、13…紙幣識別部・収納部、14…紙幣挿入口・返却口、15…リーダ/ライタ部(アンテナ)、16…制御部、17…呼び出しボタン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ICカードへ電子マネーを充填する装置において、
ICカードの装填、入金の案内、カード残額表示等を行う表示部と、
ICカードを装填・保持し、カード残額の読み取り、入金額の書き込みを行うICカード処理部と、
挿入された紙幣の識別・収納を行う紙幣処理部と、
前記各部の制御を行う制御部とを備え、
前記制御部は、ICカードが装填され、入金があるごとにICカードを保持して入金額の書き込みを行い、入金額の書き込みが終了するごとにICカードの保持を解除するようにICカード処理部を制御することを特徴とするICカード簡易充填装置。
【請求項2】
前記ICカード処理部のカード装填・保持部は、ポケット式カードホルダーからなり、入金額の書き込み終了までカードを保持し、書き込み終了後カード保持を解除する保持具を有していることを特徴とする請求項1記載のICカード簡易充填装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−268233(P2006−268233A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−83261(P2005−83261)
【出願日】平成17年3月23日(2005.3.23)
【出願人】(593092482)ジェイアール東日本メカトロニクス株式会社 (85)
【Fターム(参考)】