ICタグを利用する飲料水ボトルの再利用システム
【課題】飲料水ボトルのリターナブルの仕組みにおいて、飲料水ボトルのロットごとの検査を簡略化し、さらにリターナブルの回数を決め、市場での飲料水漏れ等のトラブルを低減することが本発明課題である。
【解決手段】ICタグを飲料水ボトルに付設し、ホストコンピュータに入力された情報により、飲料水ボトルを、ボトル毎あるいはロット毎に管理し、検査項目を削減させ、また飲料水ボトルの回転数を決定させ、そのリターナブルの仕組みをより簡略させる方法である。
【解決手段】ICタグを飲料水ボトルに付設し、ホストコンピュータに入力された情報により、飲料水ボトルを、ボトル毎あるいはロット毎に管理し、検査項目を削減させ、また飲料水ボトルの回転数を決定させ、そのリターナブルの仕組みをより簡略させる方法である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料水ボトルの再利用の管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
資源の有効活用のため、3Rすなわちリデュース、リサイクル、リユースがある。ペットボトル等は、回収され、粉砕・溶融して新たな資源とするリサイクルが行われ、ビールビン等は、回収したものを洗浄し、充填するリユースがされている。発生するCO2の削減効果としては、リサイクルより、リユースの方が好ましい。プラスチック製の飲料水ボトルでも、リサイクルより、リユースに適しているものもある。例えば、温水あるいは冷却水を供給するサーバーに装着して使用する容量が約10〜20Liter あるガロンビンは、リユースに適し、現在でもリユースされているものも多くある。なお、ビンの業界ではリユースの代わりに、リターナブルと表現する場合もある。しかし、リユースの仕組みを採用する場合、繰り返しの使用により、変型やクラックが生じたりして、リユースできない飲料水ボトルも生じる。そこで、リユースする場合には、再使用に耐えうるか否かの検査も必要になる。また、リユースの回数によっては、市場でのトラブルを避けるため、検査をするまでもなく、再使用を止め、廃棄処分とし、リサイクルに回した方がよい場合もある。
【0003】
ICタグは、電子付け札と訳され、シールラベルやカプセルなどの形にICチップと小型のアンテナを埋め込まれたものであり、情報を記録する媒体として機能する。このICタグを利用するシステムは、ICタグ本体、ICタグの情報を読み又はICタグへ情報を書き込むためのリーダ/ライタ、情報を加工するパソコンから構成されている。ICタグの使用方法等については、多くの書籍に解説されている(非特許文献1)。このICタグを飲料水ボトルのリユースの仕組みに採用すれば、個々のプラスチックボトルの使用履歴や検査結果が明らかとなるだけでなく、使用履歴や検査結果等の各情報をホストコンピュータに記録させ、これに基づき、検査項目の省力化や飲料水充填回数いわゆる回転数の限度も算出でき、リユース作業の軽減が期待できる。
【0004】
ICタグを利用する先行技術文献としては、多くのものが見受けられる。飲料容器等の個人用容器に付設されたICタグと、ICタグからの受信により提携先の通信手段からの無線通信が可能とされた携帯電話とを備え、個人用マイボトル等をユーザ登録し、給茶場所周辺でマイボトル等を持っていたら、携帯電話にて給茶場所の位置および給茶場所の各種情報をユーザに知らせることにより、利便性の向上とステータスの付与を図るとするもの(特許文献1)、給水台に載置するボトルに予めICタグが設けられ、給水台の近傍には前記ボトルが載置された時前記ICタグと通信できる通信部を備え、浄水装置で所定のボトルに給水した場合、給水からの経過時間が確認できるようにし、それにより水の安全管理ができる浄水装置を提供するシステム(特許文献2)、医療具管理システムに、医療に用いる医療具に取り付けられた非接触ICタグの情報を管理する管理サーバにより、遺残事故を防止することができ、使用済みの医療具を滅菌することができる医療具管理システム(特許文献3)等がある。また、ICタグの形状を工夫し、液体の入ったボトルなどの容器に対するICタグの装着個所を工夫することにより、液体の影響を受けない液体ボトル用ICタグ及びICタグを装着する方法がある(特許文献4)。さらに、再利用可能な液体収容容器を流通させる場合に、液体収容容器の流通情報を管理し液体収容容器を再利用すべきかリサイクルすべきかを確実に判断することができる液体収容容器管理システムとして、ガロンボトルを製造するボトル製造工場と、ボトル製造工場から供給されるガロンボトル及び再利用可能なガロンボトルを洗浄して飲料水を充填する飲料水充填工場と、飲料水が充填されたガロンボトル1が出荷される顧客との間で流通されるガロンボトルを管理するための液体収容容器管理システムにおいて、個々のガロンボトルを特定する容器IDが記録されたICタグがガロンボトルに装着され、この容器IDに関連付けて流通履歴をデータベースに保存すると共に、容器IDと関連付けられた流通履歴データをデータベースから読み出す流通履歴データ制御手段と、読み出された流通履歴データに基づき、ガロンボトルの再利用が可能か否かを判定する判定手段3とを備えた液体収容容器管理システムがある。(特許文献5)
【0005】
上記の特許文献1ないし3の先行技術等では、ICタグが付設された対象に対し使用者の利便性を図ったものであるが、ICタグの情報からホストコンピュータが学習し、その利便性を向上させるという記載はない。また、特許文献4は、ICタグの付設方法に関するものである。特許文献4はICタグを使用したガロンビンのリユースに関する管理方法が開示されているが、具体的な管理方法に言及されておらず、さらに、検査等を省力化する方法が記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−000000号公報
【特許文献2】特開2005−169314号公報
【特許文献3】特開2008−305230号公報
【特許文献4】特開2007−168883号公報
【特許文献5】特開2006−39656号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】長浜淳之介、岡崎勝 共著 「ICタグ ビジネスのすべて」 日本能率協会マネジメントセンタ(JMAM)出版
【0008】
数年に渡り、プラスチック製飲料水ボトルの生産を続けている本発明者は、この飲料水ボトルのリユースを円滑にする方法について検討してきた。市場において、クラック等による飲料水漏れ等のトラブルが生じた場合に、その原因が当初の飲料水ボトルの生産時にあるのか、使用途中で何らかの原因で生じたものか、あるいは、すでに使用限度を超えて使用されているか等、原因が何処にあるのか不明であった。さらに、リユースの仕組みを継続していくため、プラスチックボトルの外観検査、リークテスタ検査等多くの検査を標準化しているが、手間がかかりコストアップの要因となっていた。もし、ICタグからの情報をホストコンピュータに入力し、この情報を基に品質管理等の手法を用い、ロットごとの検査項目の簡略化を行い、さらにリユースの回数限度(回転数)を決めることができれば、よりリユースの仕組みを充実できると考えられた。
【0009】
そこで、本発明者は、ICタグを飲料水ボトルに付設し、ホストコンピュータに入力された情報により、飲料水ボトルを、ボトル毎あるいはそのロット毎に管理し、検査項目を削減させ、また、リユースの回数(回転数)を決定し、そのリユースの仕組みをより簡略させる方法を完成させるに至った。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
解決しようとする問題点は、飲料水ボトルのリユースの仕組みにおいて、飲料水ボトルの検査を簡略化し、さらにリユースの回数を決定し、市場での飲料水漏れ等のトラブルを低減することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
すなわち、第1発明は、飲料水ボトルを製造する飲料水ボトル製造工場と、飲料水ボトル製造工場から出荷された飲料水ボトルと再使用するために収集された飲料水ボトルとを洗浄し、飲料水を充填する飲料水充填工場と、飲料水が充填された飲料水入りボトルを使用する顧客との間に流通する飲料水ボトルの管理システムにおいて、ホストコンピュータとICタグとの情報交換を行いつつ、飲料水ボトル製造工場にて飲料水ボトルにICタグを付設し、飲料水ボトル製造時の初期情報をICタグに記録し、飲料水充填工場にて飲料水ボトルの中間情報をICタグに記録し、ホストコンピュータに記録された情報から、飲料水ボトルの再使用が可能か否かを判断する飲料水ボトル管理システムである。
【0012】
図1にICタグとホストコンピュータとの情報伝達の概念図を示す。
ICタグ1には、その製造段階でメーカーがID機能を持たせている。これは書き換えることはできないが、各種の履歴情報は記録し、また削除することができる。製造工場で製造された飲料水ボトル5にICタグ1が付設される。このICタグ1に製造時の初期情報が記録され、この情報はリーダ/ライタ2及びパソコン3を通しホストコンピュータ4に記録される。またホストコンピュータ4からパソコン3、リーダ/ライタ2を通しICタグ1に書き込み等の指示がされる。
【0013】
図2に飲料水ボトルの流れを示す。新たに製造された飲料水ボトル5と再使用のために収集された使用済み飲料水ボトル5は、飲料水を充填する飲料水充填工場に集められ、各種検査を経た後、洗浄され飲料水が充填され、顧客に出荷される。このときに各種検査結果や充填情報等の中間情報がICタグ1に記録され、リーダ/ライタ2及びパソコン3を通しホストコンピュータ4に記録される。ホストコンピュータ4から、パソコン3、リーダ/ライタ2を通し、ICタグ1に情報の書き込みや書き換えの指示がされるのは、初期情報の場合と同様である。「ホストコンピュータとICタグとの情報交換を行いつつ」とは、こうしたリーダ/ライタ及びパソコンを通してホストコンピュータとICタグが情報交換を行うことを表現したものである。端末機であるパソコン3とホストコンピュータ4とは、インターネットを通し相互連絡される。
【0014】
飲料水ボトルは、ガラス、金属、プラスチック等の素材を問わず、飲料水が入る容器であればよい。また飲料水には、ミネラルウォータだけでなく清涼飲料やアルコール類も含まれる。
ホストコンピュータは、管理サーバーと言われることもあるが、ここではホストコンピュータとする。
【0015】
各情報とは、飲料水ボトルの製造工場で記録される初期情報、飲料水充填工場で記録される中間情報及び後述する顧客で記録される顧客情報がある。これらの各情報の内容を図3に示す。
【0016】
ホストコンピュータ5は各情報を記録するデータベース(以下DBとする。)及びDBからの情報を基に集計・計算しICタグ1に情報を送る管理システム等からなり、後述するフローチャートに示す手法によりホストコンピュータに記録され、各飲料水ボトルあるいはロット毎の飲料水ボトルの使用限度が算出される。この結果が、飲料水充填工場に連絡され、ICタグ1の記録と照合し、再使用できない飲料水ボトルは廃棄処分とされ、リサイクルに回される。1の飲料水ボトルに飲料水を充填する回数を回転数とも表現する。
【0017】
続いて、第2発明は、飲料水入りボトルを使用する顧客の顧客情報も付加して、ICタグに記録した第1発明の飲料水ボトル管理システムである。
【0018】
飲料水充填工場から顧客に出荷された飲料水入りボトルは、顧客に所定期間保管され、飲料水が消費されると飲料水充填工場に返却される。顧客によりその保管期間や使用条件が異なり、この条件によっても飲料水ボトルの繰り返し使用回数すなわち回転数が異なってくる。そこで、こうした顧客情報もICタグに記録し、ホストコンピュータに記録するとともに、ホストコンピュータより使用期間等の情報を提供する。顧客に使用期間等の情報を提供し、顧客に飲料水ボトルの適切な管理条件を示しトラブルを未然に防止するためである。
【0019】
続いて、第3発明は、ICタグに記録された情報の内、ホストコンピュータに記録された情報は、ICタグから削除することができる第1発明又は第2発明の飲料水ボトル管理システムである。
【0020】
ICタグは、小容量メモリで安価のものから大容量で比較的高価なものまで各種ある。大量に使用する飲料水ボトルでは、小容量メモリの安価なICタグが望まれる。そこでICタグに記録された情報の内ホストコンピュータに記録された情報は、ホストコンピュータからの指示により除去し、新たな必要な情報をICタグに記録させる。
【0021】
続いて、第4発明は、ICタグに記録する飲料水ボトルの初期情報には、少なくとも、シリアルナンバー、製造ロット、製造日、製造場所の記録が含まれる判別情報と、少なくとも、製造ロットの落下試験、ハンドル引き抜き試験、座屈強度試験結果の製造検査情報が含まれる第1発明ないし第3発明のいずれかの飲料水ボトル管理システムである。
【0022】
新しく製造された飲料水ボトルのICタグには、シリアルナンバー、製造ロット、製造日、製造場所の判別条件が記録される。また、全数検査あるいはロット毎の抜き取り検査において、少なくとも落下試験、ハンドル引き抜き試験、座屈強度試験の初期性能試験が行われ、この判別条件と初期性能試験結果の情報は初期性能情報として、ホストコンピュータに記録される。初期性能試験は、すべての飲料水ボトルに対し行われるものではなく、各ロットについて、抜き取り検査により行われ、その結果は、各ロットのすべての飲料水ボトルのICタグに記録される。
【0023】
続いて、第5発明は、ICタグに記録する飲料水充填工場での飲料水ボトルの中間情報には、少なくとも、プラント情報と飲料水の充填回数である回転数の記録を含む第1発明ないし第4発明のいずれかの飲料水ボトル管理システムである。
【0024】
飲料水充填工場には、新しく製造された飲料水ボトルだけでなく、空となりリターンされた飲料水ボトルも収集される。この空となった飲料水ボトルをリユースし、飲料水を充填し出荷される。飲料水ボトルに飲料水を充填する設備をプラントとする。各プラントは、使用する洗剤、充填温度等の充填条件が異なり、このプラント情報がホストコンピュータに記録され、さらにICタグに記録される。このプラント情報は、飲料水ボトルの回転数を決める要因となる。
【0025】
続いて、第6発明は、飲料水入りボトルを使用する顧客の顧客情報には、少なくとも、飲料水ボトルの保管期間と保管条件の記録を含む第2発明ないし第5発明のいずれかの飲料水ボトル管理システムである。
【0026】
飲料水入りボトルは、顧客に搬送され、所定期間、保管され飲料水が消費された後、飲料水充填工場に戻される。この間の管理状態も飲料水ボトルの回転数を決める要因となるためである。
【0027】
続いて、第7発明は、ICタグからの情報が蓄積されたホストコンピュータの情報を、飲料水充填工場の検査員が閲覧し、検査項目を選択し、あるいは検査項目を変える第1発明ないし第6発明のいずれかの飲料水ボトル管理システムである。
【0028】
飲料水充填工場では、空の飲料水ボトルを検査する。しかし、飲料水ボトルの数は多く、全数検査することは困難である。そこで、各飲料水ボトルのこれまでの履歴を検査員が閲覧し、必要な検査項目を選択し、その選択された検査項目だけを検査するようにして、検査の省力化を行う。例えばあるロットは、履歴等により、外観検査だけを行い、リークテスタによる検査は省くことがでる。但し、回転数は必ず記録させる。
【0029】
続いて、第8発明は、ICタグからの情報が蓄積されたホストコンピュータにおいて、その蓄積された情報をもとに、飲料水ボトルの適正製造量を算出し、飲料水ボトル製造工場にその情報を送る第1発明ないし第7発明のいずれかの飲料水ボトル管理システムである。
【発明の効果】
【0030】
第1発明は、市場の各所に配布された飲料水ボトルを管理することができ、第2発明では、顧客情報も記録されるため、より精度がよい管理が可能となる。さらに、第3発明では、安価なICタグを使用することができる。
【0031】
第4発明から第6発明では、最小限の検査項目に限定して、検査の迅速化を図ることができる。また、第7発明では、検査する前に基準に満たない飲料水ボトルを廃棄処分して、検査員の負荷を軽減することができ、第8発明では、飲料水ボトルの適正数の製造を可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】図1は、ICタグとホストコンピュータとの情報伝達の概念図である。
【図2】図2は、飲料水ボトルの流れを示す図である。
【図3】図3は、初期情報、中間情報、顧客情報の内容である。
【図4】図4は、ICタグの記録までのフローチャートである。
【図5】図5は、製造ロット記録までのフローチャートである。
【図6】図6は、製造検査項目の記録までのフローチャートである。
【図7】図7は、製造検査結果の記録までのフローチャートである。
【図8】図8は、品番の記録までのフローチャートである
【図9】図9は、飲料水充填装置であるプラントの記録までのフローチャートである。
【図10】図10は、リユースの検査の記録までのフローチャートである。
【図11】図11は、図10のリユース検査の続きのフローチャートである。
【図12】図12は、図11図のリユース検査の続きのフローチャートである。
【図13】図13は、同じく図12のリユース検査の続きのフローチャートである。
【図14】図14は、リユース情報を記録するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明の実施方法を以下に示す。
【実施例1】
【0034】
図4にICタグを発行し、製造された飲料水ボトルに付設して、シリアルナンバーと製造ロットナンバーを特定し、パソコンを通し、ICタグに記録するまでの手順を示し、図5には、製造ロットにその品番、製造場所、製造日を記録し、パソコンを通し、ホストコンピュータに記録するまでの手順を示す。IC
タグからパソコンを通し、ホストコンピュータに情報を送り、あるいは、ホストコンピュータからパソコンを通しICタグに情報を送る手順は、以下の手順でも同様に行われる。
【実施例2】
【0035】
図6に製造検査項目を品番とともに記録させるDBを作成する手順を示す。初期性能試験の項目、その結果を記録するDBを作成する。さらに、回転数基準変動値、及び経過日数基準変動値は、飲料水ボトルの製造工程による特性すなわち飲料水ボトルの出来具合から決定する。図7は、製造検査項目による検査を実施しその結果を製造ロット、品番とともにホストコンピュータに記録する手順を示した図である。飲料水ボトルは製造ロット、品番が特定され、その品番の製造検査結果が記録される。図8は、品番に飲料水ボトルの仕様、回転数基準値、経過日数を記録の手順を示した図である。回転数基準値は、これまでの経験上、1の飲料水ボトルの充填回数すなわち回転数を平均化した値である。
【0036】
図9は、飲料水充填工場にある飲料水ボトル充填設備(プラントという。)の特性をホストコンピュータに記録する手順を示した図である。飲料水充填工場は、各所にあり、その有するプラントは、それぞれ異なる特徴を有している。例えば充填温度、充填物、保管期間等である。飲料水ボトルの管理には、どのプラントにより充填されたかを記録させることも重要である。プラントにより飲料水ボトルの耐用期間も変わるからである。そこでプラントの諸条件をホストコンピュータに記録し、さらにICタグにも記録させておく。
【実施例3】
【0037】
図10〜図13は、リユース検査の手順を示す図である。リユース検査では、検査する飲料水ボトルのシリアルナンバーが読み込まれ、これによりその製造ロット、製造検査結果、後述する図14のリユースの情報、品番、製造日等が、プラントの検査員が使用するパソコンに読み込まれる(図10)。次に製造時回転変動値として、製造時変動値が読み込まれ、続いて、検査する飲料水ボトルの充填回数であるいわゆる回転数だけ繰り返されて、プラント回転変動値が読み込まれ、また、製造時経過日数変動値が読み込まれ、同じく回転数だけ繰り返されて、プラント経過変動値が読み込まれる(図11、図12)。上記各変動値は、これまでの経験に基づき定められる。さらに、上記の各数値より、廃棄回転数、廃棄経過日数が定義され、検査する飲料水ボトルの回転数と経過日数が、廃棄回転数あるいは廃棄経過日数より多くなった時には廃棄処分とし、その指示がパソコンに提示される。また、同様に注意回転数と注意経過日数が定義され、検査する飲料水ボトルの回転数と経過日数と比較され、回転数と経過日数が注意回転数と注意経過日数より多くなった場合には要検査画面がパソコン上に提示され、検査員は、これを参考にして検査をすることとなる(図13)。
【0038】
図14は、リユースの情報を記録する手順である。充填工場に持ち込まれた飲料水ボトルはシリアルナンバーが読み込まれ、充填日、回転数等のリユース情報が入力され、この情報もリユース検査に使用される。
【産業上の利用可能性】
【0039】
飲料水ボトルの使用量は、大きく伸びてきている。そのため、リユースさせることが環境面からも重要である。しかしながら、リユースのための検査の手間がかかり、コストアップの原因ともなっている。本発明のようなシステムを用いることにより、リユースを効率的に行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0040】
1ICタグ 11
ICチップ 12 ICタグのアンテナ
2
リーダ/ライタ 21 コントローラ 22 リーダ/ライタのアンテナ
3 端末機(パソコン)
4 ホストコンピュータ
5 飲料水ボトル 51 飲料水のサーバー
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料水ボトルの再利用の管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
資源の有効活用のため、3Rすなわちリデュース、リサイクル、リユースがある。ペットボトル等は、回収され、粉砕・溶融して新たな資源とするリサイクルが行われ、ビールビン等は、回収したものを洗浄し、充填するリユースがされている。発生するCO2の削減効果としては、リサイクルより、リユースの方が好ましい。プラスチック製の飲料水ボトルでも、リサイクルより、リユースに適しているものもある。例えば、温水あるいは冷却水を供給するサーバーに装着して使用する容量が約10〜20Liter あるガロンビンは、リユースに適し、現在でもリユースされているものも多くある。なお、ビンの業界ではリユースの代わりに、リターナブルと表現する場合もある。しかし、リユースの仕組みを採用する場合、繰り返しの使用により、変型やクラックが生じたりして、リユースできない飲料水ボトルも生じる。そこで、リユースする場合には、再使用に耐えうるか否かの検査も必要になる。また、リユースの回数によっては、市場でのトラブルを避けるため、検査をするまでもなく、再使用を止め、廃棄処分とし、リサイクルに回した方がよい場合もある。
【0003】
ICタグは、電子付け札と訳され、シールラベルやカプセルなどの形にICチップと小型のアンテナを埋め込まれたものであり、情報を記録する媒体として機能する。このICタグを利用するシステムは、ICタグ本体、ICタグの情報を読み又はICタグへ情報を書き込むためのリーダ/ライタ、情報を加工するパソコンから構成されている。ICタグの使用方法等については、多くの書籍に解説されている(非特許文献1)。このICタグを飲料水ボトルのリユースの仕組みに採用すれば、個々のプラスチックボトルの使用履歴や検査結果が明らかとなるだけでなく、使用履歴や検査結果等の各情報をホストコンピュータに記録させ、これに基づき、検査項目の省力化や飲料水充填回数いわゆる回転数の限度も算出でき、リユース作業の軽減が期待できる。
【0004】
ICタグを利用する先行技術文献としては、多くのものが見受けられる。飲料容器等の個人用容器に付設されたICタグと、ICタグからの受信により提携先の通信手段からの無線通信が可能とされた携帯電話とを備え、個人用マイボトル等をユーザ登録し、給茶場所周辺でマイボトル等を持っていたら、携帯電話にて給茶場所の位置および給茶場所の各種情報をユーザに知らせることにより、利便性の向上とステータスの付与を図るとするもの(特許文献1)、給水台に載置するボトルに予めICタグが設けられ、給水台の近傍には前記ボトルが載置された時前記ICタグと通信できる通信部を備え、浄水装置で所定のボトルに給水した場合、給水からの経過時間が確認できるようにし、それにより水の安全管理ができる浄水装置を提供するシステム(特許文献2)、医療具管理システムに、医療に用いる医療具に取り付けられた非接触ICタグの情報を管理する管理サーバにより、遺残事故を防止することができ、使用済みの医療具を滅菌することができる医療具管理システム(特許文献3)等がある。また、ICタグの形状を工夫し、液体の入ったボトルなどの容器に対するICタグの装着個所を工夫することにより、液体の影響を受けない液体ボトル用ICタグ及びICタグを装着する方法がある(特許文献4)。さらに、再利用可能な液体収容容器を流通させる場合に、液体収容容器の流通情報を管理し液体収容容器を再利用すべきかリサイクルすべきかを確実に判断することができる液体収容容器管理システムとして、ガロンボトルを製造するボトル製造工場と、ボトル製造工場から供給されるガロンボトル及び再利用可能なガロンボトルを洗浄して飲料水を充填する飲料水充填工場と、飲料水が充填されたガロンボトル1が出荷される顧客との間で流通されるガロンボトルを管理するための液体収容容器管理システムにおいて、個々のガロンボトルを特定する容器IDが記録されたICタグがガロンボトルに装着され、この容器IDに関連付けて流通履歴をデータベースに保存すると共に、容器IDと関連付けられた流通履歴データをデータベースから読み出す流通履歴データ制御手段と、読み出された流通履歴データに基づき、ガロンボトルの再利用が可能か否かを判定する判定手段3とを備えた液体収容容器管理システムがある。(特許文献5)
【0005】
上記の特許文献1ないし3の先行技術等では、ICタグが付設された対象に対し使用者の利便性を図ったものであるが、ICタグの情報からホストコンピュータが学習し、その利便性を向上させるという記載はない。また、特許文献4は、ICタグの付設方法に関するものである。特許文献4はICタグを使用したガロンビンのリユースに関する管理方法が開示されているが、具体的な管理方法に言及されておらず、さらに、検査等を省力化する方法が記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−000000号公報
【特許文献2】特開2005−169314号公報
【特許文献3】特開2008−305230号公報
【特許文献4】特開2007−168883号公報
【特許文献5】特開2006−39656号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】長浜淳之介、岡崎勝 共著 「ICタグ ビジネスのすべて」 日本能率協会マネジメントセンタ(JMAM)出版
【0008】
数年に渡り、プラスチック製飲料水ボトルの生産を続けている本発明者は、この飲料水ボトルのリユースを円滑にする方法について検討してきた。市場において、クラック等による飲料水漏れ等のトラブルが生じた場合に、その原因が当初の飲料水ボトルの生産時にあるのか、使用途中で何らかの原因で生じたものか、あるいは、すでに使用限度を超えて使用されているか等、原因が何処にあるのか不明であった。さらに、リユースの仕組みを継続していくため、プラスチックボトルの外観検査、リークテスタ検査等多くの検査を標準化しているが、手間がかかりコストアップの要因となっていた。もし、ICタグからの情報をホストコンピュータに入力し、この情報を基に品質管理等の手法を用い、ロットごとの検査項目の簡略化を行い、さらにリユースの回数限度(回転数)を決めることができれば、よりリユースの仕組みを充実できると考えられた。
【0009】
そこで、本発明者は、ICタグを飲料水ボトルに付設し、ホストコンピュータに入力された情報により、飲料水ボトルを、ボトル毎あるいはそのロット毎に管理し、検査項目を削減させ、また、リユースの回数(回転数)を決定し、そのリユースの仕組みをより簡略させる方法を完成させるに至った。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
解決しようとする問題点は、飲料水ボトルのリユースの仕組みにおいて、飲料水ボトルの検査を簡略化し、さらにリユースの回数を決定し、市場での飲料水漏れ等のトラブルを低減することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
すなわち、第1発明は、飲料水ボトルを製造する飲料水ボトル製造工場と、飲料水ボトル製造工場から出荷された飲料水ボトルと再使用するために収集された飲料水ボトルとを洗浄し、飲料水を充填する飲料水充填工場と、飲料水が充填された飲料水入りボトルを使用する顧客との間に流通する飲料水ボトルの管理システムにおいて、ホストコンピュータとICタグとの情報交換を行いつつ、飲料水ボトル製造工場にて飲料水ボトルにICタグを付設し、飲料水ボトル製造時の初期情報をICタグに記録し、飲料水充填工場にて飲料水ボトルの中間情報をICタグに記録し、ホストコンピュータに記録された情報から、飲料水ボトルの再使用が可能か否かを判断する飲料水ボトル管理システムである。
【0012】
図1にICタグとホストコンピュータとの情報伝達の概念図を示す。
ICタグ1には、その製造段階でメーカーがID機能を持たせている。これは書き換えることはできないが、各種の履歴情報は記録し、また削除することができる。製造工場で製造された飲料水ボトル5にICタグ1が付設される。このICタグ1に製造時の初期情報が記録され、この情報はリーダ/ライタ2及びパソコン3を通しホストコンピュータ4に記録される。またホストコンピュータ4からパソコン3、リーダ/ライタ2を通しICタグ1に書き込み等の指示がされる。
【0013】
図2に飲料水ボトルの流れを示す。新たに製造された飲料水ボトル5と再使用のために収集された使用済み飲料水ボトル5は、飲料水を充填する飲料水充填工場に集められ、各種検査を経た後、洗浄され飲料水が充填され、顧客に出荷される。このときに各種検査結果や充填情報等の中間情報がICタグ1に記録され、リーダ/ライタ2及びパソコン3を通しホストコンピュータ4に記録される。ホストコンピュータ4から、パソコン3、リーダ/ライタ2を通し、ICタグ1に情報の書き込みや書き換えの指示がされるのは、初期情報の場合と同様である。「ホストコンピュータとICタグとの情報交換を行いつつ」とは、こうしたリーダ/ライタ及びパソコンを通してホストコンピュータとICタグが情報交換を行うことを表現したものである。端末機であるパソコン3とホストコンピュータ4とは、インターネットを通し相互連絡される。
【0014】
飲料水ボトルは、ガラス、金属、プラスチック等の素材を問わず、飲料水が入る容器であればよい。また飲料水には、ミネラルウォータだけでなく清涼飲料やアルコール類も含まれる。
ホストコンピュータは、管理サーバーと言われることもあるが、ここではホストコンピュータとする。
【0015】
各情報とは、飲料水ボトルの製造工場で記録される初期情報、飲料水充填工場で記録される中間情報及び後述する顧客で記録される顧客情報がある。これらの各情報の内容を図3に示す。
【0016】
ホストコンピュータ5は各情報を記録するデータベース(以下DBとする。)及びDBからの情報を基に集計・計算しICタグ1に情報を送る管理システム等からなり、後述するフローチャートに示す手法によりホストコンピュータに記録され、各飲料水ボトルあるいはロット毎の飲料水ボトルの使用限度が算出される。この結果が、飲料水充填工場に連絡され、ICタグ1の記録と照合し、再使用できない飲料水ボトルは廃棄処分とされ、リサイクルに回される。1の飲料水ボトルに飲料水を充填する回数を回転数とも表現する。
【0017】
続いて、第2発明は、飲料水入りボトルを使用する顧客の顧客情報も付加して、ICタグに記録した第1発明の飲料水ボトル管理システムである。
【0018】
飲料水充填工場から顧客に出荷された飲料水入りボトルは、顧客に所定期間保管され、飲料水が消費されると飲料水充填工場に返却される。顧客によりその保管期間や使用条件が異なり、この条件によっても飲料水ボトルの繰り返し使用回数すなわち回転数が異なってくる。そこで、こうした顧客情報もICタグに記録し、ホストコンピュータに記録するとともに、ホストコンピュータより使用期間等の情報を提供する。顧客に使用期間等の情報を提供し、顧客に飲料水ボトルの適切な管理条件を示しトラブルを未然に防止するためである。
【0019】
続いて、第3発明は、ICタグに記録された情報の内、ホストコンピュータに記録された情報は、ICタグから削除することができる第1発明又は第2発明の飲料水ボトル管理システムである。
【0020】
ICタグは、小容量メモリで安価のものから大容量で比較的高価なものまで各種ある。大量に使用する飲料水ボトルでは、小容量メモリの安価なICタグが望まれる。そこでICタグに記録された情報の内ホストコンピュータに記録された情報は、ホストコンピュータからの指示により除去し、新たな必要な情報をICタグに記録させる。
【0021】
続いて、第4発明は、ICタグに記録する飲料水ボトルの初期情報には、少なくとも、シリアルナンバー、製造ロット、製造日、製造場所の記録が含まれる判別情報と、少なくとも、製造ロットの落下試験、ハンドル引き抜き試験、座屈強度試験結果の製造検査情報が含まれる第1発明ないし第3発明のいずれかの飲料水ボトル管理システムである。
【0022】
新しく製造された飲料水ボトルのICタグには、シリアルナンバー、製造ロット、製造日、製造場所の判別条件が記録される。また、全数検査あるいはロット毎の抜き取り検査において、少なくとも落下試験、ハンドル引き抜き試験、座屈強度試験の初期性能試験が行われ、この判別条件と初期性能試験結果の情報は初期性能情報として、ホストコンピュータに記録される。初期性能試験は、すべての飲料水ボトルに対し行われるものではなく、各ロットについて、抜き取り検査により行われ、その結果は、各ロットのすべての飲料水ボトルのICタグに記録される。
【0023】
続いて、第5発明は、ICタグに記録する飲料水充填工場での飲料水ボトルの中間情報には、少なくとも、プラント情報と飲料水の充填回数である回転数の記録を含む第1発明ないし第4発明のいずれかの飲料水ボトル管理システムである。
【0024】
飲料水充填工場には、新しく製造された飲料水ボトルだけでなく、空となりリターンされた飲料水ボトルも収集される。この空となった飲料水ボトルをリユースし、飲料水を充填し出荷される。飲料水ボトルに飲料水を充填する設備をプラントとする。各プラントは、使用する洗剤、充填温度等の充填条件が異なり、このプラント情報がホストコンピュータに記録され、さらにICタグに記録される。このプラント情報は、飲料水ボトルの回転数を決める要因となる。
【0025】
続いて、第6発明は、飲料水入りボトルを使用する顧客の顧客情報には、少なくとも、飲料水ボトルの保管期間と保管条件の記録を含む第2発明ないし第5発明のいずれかの飲料水ボトル管理システムである。
【0026】
飲料水入りボトルは、顧客に搬送され、所定期間、保管され飲料水が消費された後、飲料水充填工場に戻される。この間の管理状態も飲料水ボトルの回転数を決める要因となるためである。
【0027】
続いて、第7発明は、ICタグからの情報が蓄積されたホストコンピュータの情報を、飲料水充填工場の検査員が閲覧し、検査項目を選択し、あるいは検査項目を変える第1発明ないし第6発明のいずれかの飲料水ボトル管理システムである。
【0028】
飲料水充填工場では、空の飲料水ボトルを検査する。しかし、飲料水ボトルの数は多く、全数検査することは困難である。そこで、各飲料水ボトルのこれまでの履歴を検査員が閲覧し、必要な検査項目を選択し、その選択された検査項目だけを検査するようにして、検査の省力化を行う。例えばあるロットは、履歴等により、外観検査だけを行い、リークテスタによる検査は省くことがでる。但し、回転数は必ず記録させる。
【0029】
続いて、第8発明は、ICタグからの情報が蓄積されたホストコンピュータにおいて、その蓄積された情報をもとに、飲料水ボトルの適正製造量を算出し、飲料水ボトル製造工場にその情報を送る第1発明ないし第7発明のいずれかの飲料水ボトル管理システムである。
【発明の効果】
【0030】
第1発明は、市場の各所に配布された飲料水ボトルを管理することができ、第2発明では、顧客情報も記録されるため、より精度がよい管理が可能となる。さらに、第3発明では、安価なICタグを使用することができる。
【0031】
第4発明から第6発明では、最小限の検査項目に限定して、検査の迅速化を図ることができる。また、第7発明では、検査する前に基準に満たない飲料水ボトルを廃棄処分して、検査員の負荷を軽減することができ、第8発明では、飲料水ボトルの適正数の製造を可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】図1は、ICタグとホストコンピュータとの情報伝達の概念図である。
【図2】図2は、飲料水ボトルの流れを示す図である。
【図3】図3は、初期情報、中間情報、顧客情報の内容である。
【図4】図4は、ICタグの記録までのフローチャートである。
【図5】図5は、製造ロット記録までのフローチャートである。
【図6】図6は、製造検査項目の記録までのフローチャートである。
【図7】図7は、製造検査結果の記録までのフローチャートである。
【図8】図8は、品番の記録までのフローチャートである
【図9】図9は、飲料水充填装置であるプラントの記録までのフローチャートである。
【図10】図10は、リユースの検査の記録までのフローチャートである。
【図11】図11は、図10のリユース検査の続きのフローチャートである。
【図12】図12は、図11図のリユース検査の続きのフローチャートである。
【図13】図13は、同じく図12のリユース検査の続きのフローチャートである。
【図14】図14は、リユース情報を記録するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明の実施方法を以下に示す。
【実施例1】
【0034】
図4にICタグを発行し、製造された飲料水ボトルに付設して、シリアルナンバーと製造ロットナンバーを特定し、パソコンを通し、ICタグに記録するまでの手順を示し、図5には、製造ロットにその品番、製造場所、製造日を記録し、パソコンを通し、ホストコンピュータに記録するまでの手順を示す。IC
タグからパソコンを通し、ホストコンピュータに情報を送り、あるいは、ホストコンピュータからパソコンを通しICタグに情報を送る手順は、以下の手順でも同様に行われる。
【実施例2】
【0035】
図6に製造検査項目を品番とともに記録させるDBを作成する手順を示す。初期性能試験の項目、その結果を記録するDBを作成する。さらに、回転数基準変動値、及び経過日数基準変動値は、飲料水ボトルの製造工程による特性すなわち飲料水ボトルの出来具合から決定する。図7は、製造検査項目による検査を実施しその結果を製造ロット、品番とともにホストコンピュータに記録する手順を示した図である。飲料水ボトルは製造ロット、品番が特定され、その品番の製造検査結果が記録される。図8は、品番に飲料水ボトルの仕様、回転数基準値、経過日数を記録の手順を示した図である。回転数基準値は、これまでの経験上、1の飲料水ボトルの充填回数すなわち回転数を平均化した値である。
【0036】
図9は、飲料水充填工場にある飲料水ボトル充填設備(プラントという。)の特性をホストコンピュータに記録する手順を示した図である。飲料水充填工場は、各所にあり、その有するプラントは、それぞれ異なる特徴を有している。例えば充填温度、充填物、保管期間等である。飲料水ボトルの管理には、どのプラントにより充填されたかを記録させることも重要である。プラントにより飲料水ボトルの耐用期間も変わるからである。そこでプラントの諸条件をホストコンピュータに記録し、さらにICタグにも記録させておく。
【実施例3】
【0037】
図10〜図13は、リユース検査の手順を示す図である。リユース検査では、検査する飲料水ボトルのシリアルナンバーが読み込まれ、これによりその製造ロット、製造検査結果、後述する図14のリユースの情報、品番、製造日等が、プラントの検査員が使用するパソコンに読み込まれる(図10)。次に製造時回転変動値として、製造時変動値が読み込まれ、続いて、検査する飲料水ボトルの充填回数であるいわゆる回転数だけ繰り返されて、プラント回転変動値が読み込まれ、また、製造時経過日数変動値が読み込まれ、同じく回転数だけ繰り返されて、プラント経過変動値が読み込まれる(図11、図12)。上記各変動値は、これまでの経験に基づき定められる。さらに、上記の各数値より、廃棄回転数、廃棄経過日数が定義され、検査する飲料水ボトルの回転数と経過日数が、廃棄回転数あるいは廃棄経過日数より多くなった時には廃棄処分とし、その指示がパソコンに提示される。また、同様に注意回転数と注意経過日数が定義され、検査する飲料水ボトルの回転数と経過日数と比較され、回転数と経過日数が注意回転数と注意経過日数より多くなった場合には要検査画面がパソコン上に提示され、検査員は、これを参考にして検査をすることとなる(図13)。
【0038】
図14は、リユースの情報を記録する手順である。充填工場に持ち込まれた飲料水ボトルはシリアルナンバーが読み込まれ、充填日、回転数等のリユース情報が入力され、この情報もリユース検査に使用される。
【産業上の利用可能性】
【0039】
飲料水ボトルの使用量は、大きく伸びてきている。そのため、リユースさせることが環境面からも重要である。しかしながら、リユースのための検査の手間がかかり、コストアップの原因ともなっている。本発明のようなシステムを用いることにより、リユースを効率的に行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0040】
1ICタグ 11
ICチップ 12 ICタグのアンテナ
2
リーダ/ライタ 21 コントローラ 22 リーダ/ライタのアンテナ
3 端末機(パソコン)
4 ホストコンピュータ
5 飲料水ボトル 51 飲料水のサーバー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料水ボトルを製造する飲料水ボトル製造工場と、飲料水ボトル製造工場から出荷された飲料水ボトルと再使用するために収集された飲料水ボトルとを洗浄し、飲料水を充填する飲料水充填工場と、飲料水が充填された飲料水入りボトルを使用する顧客との間に流通する飲料水ボトルの管理システムにおいて、ホストコンピュータとICタグとの情報交換を行いつつ、飲料水ボトル製造工場にて飲料水ボトルにICタグを付設し、飲料水ボトル製造時の初期情報をICタグに記録し、飲料水充填工場にて飲料水ボトルの中間情報をICタグに記録し、ホストコンピュータに記録された情報から、飲料水ボトルの再使用が可能か否かを判断する飲料水ボトル管理システム。
【請求項2】
飲料水入りボトルを使用する顧客の顧客情報も付加して、ICタグに記録した請求項1の飲料水ボトル管理システム。
【請求項3】
ICタグに記録された情報の内、ホストコンピュータに記録された情報は、ICタグから削除することができる請求項1又は請求項2の飲料水ボトル管理システム。
【請求項4】
ICタグに記録する飲料水ボトルの初期情報には、少なくとも、シリアルナンバー、製造ロット、製造日、製造場所の記録が含まれる判別情報と、少なくとも、製造ロットの落下試験、ハンドル引き抜き試験、座屈強度試験結果の製造検査情報が含まれる請求項1ないし請求項3のいずれかの飲料水ボトル管理システム。
【請求項5】
ICタグに記録する飲料水充填工場での飲料水ボトルの中間情報には、少なくとも、プラント情報と飲料水の充填回数である回転数の記録を含む請求項1ないし請求項4のいずれかの飲料水ボトル管理システム。
【請求項6】
飲料水入りボトルを使用する顧客の顧客情報には、少なくとも、飲料水ボトルの保管期間と保管条件の記録を含む請求項2ないし請求項5のいずれかの飲料水ボトル管理システム。
【請求項7】
ICタグからの情報が蓄積されたホストコンピュータの情報を、飲料水充填工場の検査員が閲覧し、検査項目を選択し、あるいは検査項目を変える請求項1ないし請求項6のいずれかの飲料水ボトル管理システム。
【請求項8】
ICタグからの情報が蓄積されたホストコンピュータにおいて、その蓄積された情報をもとに、飲料水ボトルの適正製造量を算出し、飲料水ボトル製造工場にその情報を送る請求項1ないし請求項7のいずれかの飲料水ボトル管理システム。
【請求項1】
飲料水ボトルを製造する飲料水ボトル製造工場と、飲料水ボトル製造工場から出荷された飲料水ボトルと再使用するために収集された飲料水ボトルとを洗浄し、飲料水を充填する飲料水充填工場と、飲料水が充填された飲料水入りボトルを使用する顧客との間に流通する飲料水ボトルの管理システムにおいて、ホストコンピュータとICタグとの情報交換を行いつつ、飲料水ボトル製造工場にて飲料水ボトルにICタグを付設し、飲料水ボトル製造時の初期情報をICタグに記録し、飲料水充填工場にて飲料水ボトルの中間情報をICタグに記録し、ホストコンピュータに記録された情報から、飲料水ボトルの再使用が可能か否かを判断する飲料水ボトル管理システム。
【請求項2】
飲料水入りボトルを使用する顧客の顧客情報も付加して、ICタグに記録した請求項1の飲料水ボトル管理システム。
【請求項3】
ICタグに記録された情報の内、ホストコンピュータに記録された情報は、ICタグから削除することができる請求項1又は請求項2の飲料水ボトル管理システム。
【請求項4】
ICタグに記録する飲料水ボトルの初期情報には、少なくとも、シリアルナンバー、製造ロット、製造日、製造場所の記録が含まれる判別情報と、少なくとも、製造ロットの落下試験、ハンドル引き抜き試験、座屈強度試験結果の製造検査情報が含まれる請求項1ないし請求項3のいずれかの飲料水ボトル管理システム。
【請求項5】
ICタグに記録する飲料水充填工場での飲料水ボトルの中間情報には、少なくとも、プラント情報と飲料水の充填回数である回転数の記録を含む請求項1ないし請求項4のいずれかの飲料水ボトル管理システム。
【請求項6】
飲料水入りボトルを使用する顧客の顧客情報には、少なくとも、飲料水ボトルの保管期間と保管条件の記録を含む請求項2ないし請求項5のいずれかの飲料水ボトル管理システム。
【請求項7】
ICタグからの情報が蓄積されたホストコンピュータの情報を、飲料水充填工場の検査員が閲覧し、検査項目を選択し、あるいは検査項目を変える請求項1ないし請求項6のいずれかの飲料水ボトル管理システム。
【請求項8】
ICタグからの情報が蓄積されたホストコンピュータにおいて、その蓄積された情報をもとに、飲料水ボトルの適正製造量を算出し、飲料水ボトル製造工場にその情報を送る請求項1ないし請求項7のいずれかの飲料水ボトル管理システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−258145(P2011−258145A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−134451(P2010−134451)
【出願日】平成22年6月11日(2010.6.11)
【出願人】(592208079)マガタ富士化成株式会社 (7)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月11日(2010.6.11)
【出願人】(592208079)マガタ富士化成株式会社 (7)
【Fターム(参考)】
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