ICタグラベル及びその作製方法
【課題】耐洗浄液性、印字特性、つかみやすさに優れたICタグラベルとその作製方法を提供すること。
【解決手段】ICタグラベル100は支持体3上に粘着剤層6、ICインレット200、粘着剤層5、可逆性感熱記録層2を有する支持体1の順に積層されており、粘着剤層5の外周縁側方において、支持体1と支持体3との重ね合わせ内面がホットメルト接着剤層4によって液密に接着されている。この構成により、ICインレット200は支持体1,3とホットメルト接着剤層4によって洗浄液がラベル内部に侵入することを防がれ、耐洗浄液性に優れたICタグラベル100となる。ホットメルト接着剤層4の内側を粘着剤層5にすることによって可逆性感熱記録層2の表面に柔軟性と弾力性とを待たせ、さらにラベル全体に柔軟性を与えることによって印字特性、つかみやすさに優れたICタグラベル100となる。
【解決手段】ICタグラベル100は支持体3上に粘着剤層6、ICインレット200、粘着剤層5、可逆性感熱記録層2を有する支持体1の順に積層されており、粘着剤層5の外周縁側方において、支持体1と支持体3との重ね合わせ内面がホットメルト接着剤層4によって液密に接着されている。この構成により、ICインレット200は支持体1,3とホットメルト接着剤層4によって洗浄液がラベル内部に侵入することを防がれ、耐洗浄液性に優れたICタグラベル100となる。ホットメルト接着剤層4の内側を粘着剤層5にすることによって可逆性感熱記録層2の表面に柔軟性と弾力性とを待たせ、さらにラベル全体に柔軟性を与えることによって印字特性、つかみやすさに優れたICタグラベル100となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は物流の管理等に用いられ、印字するための可逆性感熱記録層と情報を記憶するICインレットとを有するICタグラベル、及びその作製方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、物流の管理等においては、宛先、送り主、品名、数量、ロット番号などの情報を印字したラベルを、段ボール箱やパレットに付けたり或いは紐つけたりすることによって、物流の管理が行われていた。しかし、一旦通常のラベルにインクなどで情報を印字してしまうと、それを消すことができないため、ラベルは一度しか使えない。そこで可逆性の感熱記録層を有するラベルを使用し、専用のサーマルプリンターによってラベルに印字された情報の書き換えを行うことができるようになった。この可逆性感熱記録層は熱エネルギーの負荷によって消色と発色を行うことができるため、一度印字した情報を熱負荷により消して、再び新しい情報を印字することができるため、ラベルの再使用が可能となる。しかし、このような物流管理ラベルは情報を印字する量がラベルの大きさに限られてしまう。
【0003】
一方、近年においてはICタグと呼ばれる、書き換え可能な記憶装置を備えた無線通信用ICチップを使用したタグが注目されている。このICタグは内部に電子的な情報を保持することができ、従来のバーコード等と比較して、保持する情報量が多い、ICタグ内部の電子情報を書き換えることができるなどの特徴を持つ。ICタグにはこのような特徴があるが、専用の読取り装置を用いなければICチップに記憶された情報を確認することができない。そこで、ICタグに上記のような可逆性感熱記録材を用いた書き換え可能な可視情報記録機能を備えることができれば、ICタグの利便性はよりいっそう向上する。そこで特許文献1に、可逆性感熱記録層を有するラベルとICタグとを組み合わせたICタグラベルが提案されている。このICタグラベルは可逆性感熱記録層を有するものであり、さらにメモリ機能を持つICチップ(ICモジュール)及びアンテナを含む平板上のICインレットを内蔵している。このICタグラベルのICチップにはラベル表面に印字された情報の他に、そこに書ききれない多量の情報を書き込むことができる。
【0004】
また、特許文献1の他にもICタグと可逆性感熱記録材を組み合わせたICタグが提案されている。例えば特許文献2においては、ICインレットを内蔵したICタグラベルが提案されている。この特許文献2に提案されているICタグラベルにおいては表面に感熱記録材(可逆、不可逆どちらでも可)を有した支持体の上に粘着剤層、ICインレット、粘着剤層、剥離シートの順に積層されたものが提案されており、剥離シートをはがすことにより、粘着剤層が表面に現れるため、この粘着剤層によってダンボール箱などに貼り付けることができる。特許文献3においては、表面に可逆性感熱記録層を持つICカードが提案されている。このICカードにおいては、可逆性感熱記録層を有する支持体と、対向して貼り合わされるもう一つの支持体との間にICインレットを挟み込み、接着剤層によってICインレットを包み込むように2つの支持体を接着しているものである。このICカードにおいては、ICチップに書き込まれた情報の一部を利用者が目視によって確認できるように、カード表面に書き換え可能な可逆性感熱記録層が設けられている。
【0005】
【特許文献1】特開2007−80162号公報
【特許文献2】特開2002−99888号公報
【特許文献3】特開2002−163623号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
可逆性感熱記録層を有するICタグラベルは、可逆性感熱記録層に一度情報を印字すると再利用するために、洗浄液によって一旦洗浄して汚れを落とし、新たな情報をサーマルプリンタによって印字し、さらにICチップに情報を書き込む。このようなICタグラベルには優れた洗浄性、印字特性が要求される。洗浄性の向上のためには耐洗浄液性が高いことが望まれ、ICタグラベルの液密性が高く洗浄液が内部に侵入しないようにする必要がある。印字特性を向上させるためには、サーマルプリンタのヘッドとラベルの可逆性感熱記録面との間で接触性を向上させる必要がある。そのためには、ラベル表面の記録面においては適度な柔軟性と弾力性とがあることが良い。また、このようなICタグラベルは、床等に落ちた時につかみやすい方が望ましい。ICタグラベルのつかみやすさを良くするためには、手で上から摘み上げたときに曲がりやすいことが要求されるため、ICタグラベル全体に柔軟性があることが要求される。
【0007】
ICタグラベルを作製するには、可逆性感熱記録層を有する支持体と貼り合わせられる他の支持体との間にICインレットを挟みこみ、2つの支持体を接着しなければならない。支持体上に粘着剤層、ICインレット、粘着剤層、可逆性感熱記録層を有する支持体の順に積層するように、粘着剤によって2つの支持体を貼り合わせてICタグラベルを作製する(例えば特許文献2)と、柔軟性及び弾力性を有するラベルになる。これは、粘着剤には柔軟性と弾力性とがあるためである。しかし、この粘着剤を用いて構成したICタグラベルであると、洗浄したときに洗浄液が粘着剤層と支持体との接着面側方部分から当該接着面へ進入してきてしまい、ラベルがはがれたり、内蔵されているICチップが故障したりしてしまう原因になる。また、2つの支持体の間において、ICインレットを接着剤層によって包むようにICタグラベルを作製する(例えば特許文献3)と、液密性がよく、ラベルの耐洗浄液性は向上する。しかし、接着剤は硬くなってしまうため、ICタグラベルの柔軟性及び弾力性が悪くなり、印字特性、つかみやすさが悪化してしまう。
【0008】
そこで、本発明においては、優れた耐洗浄液性と印字特性と柔軟性とを有するICタグラベル及びその作製方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るICタグラベルは、
樹脂によって成形された第1の支持体上に、第1の粘着剤層、ICインレット、第2の粘着剤層、樹脂によって成形された第2の支持体の順に積層されたICタグラベルであって、
前記第2の支持体は外側表面に可逆性感熱記録層を有し、
前記第1の粘着剤層と前記ICインレットと前記第2の粘着剤層とによって構成された層構成の外周縁側方において、前記第1の支持体と前記第2の支持体との重ね合わせ内面が接着剤層によって接着されていることを特徴とする。
【0010】
この構成により、ICインレットの上下に第1の粘着剤層と第2の粘着剤層とが積層され、さらにその層構成の上下に、樹脂製の第1の支持体と第2の支持体とがそれぞれ積層されている。第1の粘着剤層とICインレットと第2の粘着剤層とによって構成される層の外周縁側方は、第1の支持体と第2の支持体との重ね合わせ内面において接着剤層によって液密に接着されている。また、第2の支持体は外側表面に可逆性感熱記録層を有しており、第1及び第2の支持体は樹脂によって成形されている。これにより、ICインレットの上下は樹脂製の第1及び第2の支持体によって、洗浄液の侵入が防止され、ICインレットの側方においても、第1の支持体と第2の支持体との重ね合わせ内面を液密に接着した接着剤層によって、洗浄液の侵入を防ぐことができる。よって、ICタグラベルの液密性を向上させることができる。さらに、本ICタグラベルの接着剤層の内側には、第1及び第2の粘着剤層が存在する。粘着剤は柔軟性と弾力性とを有する材料であるため、ICタグラベルの表面に粘着剤層による弾力性と柔軟性とを持たせることができる。これにより、プリンタヘッドとの接触性が良くなるため、ICタグラベルの印字特性が向上する。また、ICタグラベルが床等に落ちてしまった場合、ラベルの上から摘み上げて拾う必要がある。このためにはラベル全体に柔軟性があり、曲がりやすいラベルである必要がある。本ICタグラベルは粘着剤層の存在によりICタグラベル全体に柔軟性を与えることができるため、ICタグラベルが曲がりやすくなり、つかみやすさが向上する。
【0011】
また上記ICタグラベルは、可逆性感熱記録層を有する前記第2の支持体において、前記可逆性感熱記録層の印字領域が前記第1の粘着剤層、又は第2の粘着剤層の直上に位置するように構成するとよい。粘着剤層の直上を印字領域とすることによって、印字領域表面に柔軟性と弾力性とを与えることができる。印字領域表面に柔軟性と弾力性とがあると、プリンタヘッドの当たる部分が柔軟性によって適度に変形し、弾力性によって適度に密着するので、印字領域の表面とプリンタヘッドとの接触性が向上する。これによりプリンタヘッドから可逆性感熱記録層への熱の伝わり方が良くなるので、ICタグラベルの印字特性が向上する。
【0012】
さらに上記ICタグラベルにおいて、前記第1および/または第2の粘着剤層に代えて、中心基材の両表面に粘着剤層を塗布させた両面粘着性テープを用いても良い。ICタグラベルにこの両面粘着性テープによる柔軟性と弾力性とを持たせることができる。これにより、ICタグラベルの印字特性、つかみやすさが向上する。
【0013】
また、この上記両面粘着性テープには、ウレタン系樹脂によって成形された中心基材の両表面にアクリル系粘着剤を塗布したものを用いると良い。ウレタン系樹脂及びアクリル系粘着剤は柔軟性と弾力性のある材料であるため、ICタグラベルの印字特性、つかみやすさが向上する。
【0014】
上記ICタグラベルにおいて、接着剤層には、ポリアミド系樹脂接着剤、ポリエステル系樹脂接着剤、ポリウレタン系樹脂接着剤、エチレン酢酸ビニル系樹脂接着剤のいずれかを使用するとよい。これにより、樹脂によって成形された第1の支持体と第2の支持体とを液密に接着することができる。したがって、ICタグラベル側面における洗浄液の内部への侵入を防ぐことができ、ICタグラベルの液密性を向上させ、良好な耐洗浄液性を得ることができる。
【0015】
また、本発明に係るICタグラベル作製方法は、
第1の粘着剤層によってICインレットを貼り付けた樹脂製の第1の支持体と、外側表面に可逆性感熱記録層を有し、裏面に第2の粘着剤層が塗布された樹脂製の第2の支持体とを、枠状のホットメルト接着剤層によって接着してICタグラベルを作製するICタグラベル作製方法において、
前記第1の支持体に貼り付けられている前記ICインレットと、前記第2の支持体に塗布された前記第2の粘着剤層とを対向させ、前記枠状のホットメルト接着剤層の枠内に前記第1の粘着剤層と前記ICインレットと前記第2の粘着剤層とを収容するように、前記第1の支持体と前記第2の支持体とを重ねる工程と、
前記第1及び第2の支持体の外側から前記枠状のホットメルト接着剤層を加熱圧着して貼り合わせる工程と
を有することを特徴とする。
【0016】
この作製方法によれば、第1の粘着剤層によってICインレットを貼り付けた樹脂製の第1の支持体と、可逆性感熱記録層の反対側の面に第2の粘着剤層を塗布した樹脂製の第2の支持体とを、枠状のホットメルト接着剤層を用いて貼り合わせる。ここで、枠状のホットメルト接着剤層は第1の粘着剤層、ICインレット及び第2の粘着剤層が枠内に納まるように加工しておく。そして、第1及び第2の支持体を貼り合わせる段階において、第2の粘着剤層とICインレットとを向かい合わせて、ホットメルト接着剤層の枠内に、第1の粘着剤層とICインレットと第2の粘着剤層とを収容するようにして重ねて、外側より加熱圧着し貼り合わせる。この場合、ホットメルト接着剤は常温で固形であるため、液状の接着剤と比較して流動したりすることがないため、第1の粘着剤層とICインレットと第2の粘着剤層とを枠内に収容するにあたって、ホットメルト接着剤層の位置決めを行いやすい。
【0017】
また、この方法によって作製されたICタグラベルは、ICインレットの上下に第1の粘着剤層と第2の粘着剤層とが積層され、さらにその層構成の上下に、樹脂製の第1の支持体と第2の支持体とがそれぞれ積層される構成となる。第1の粘着剤層とICインレットと第2の粘着剤層とによって構成される層の外周縁側方は、前記第1の支持体と前記第2の支持体との重ね合わせ内面において枠状のホットメルト接着剤層によって液密に接着されている。これにより、ICインレットの上下は樹脂製の第1及び第2の支持体によって、洗浄液の侵入が防止され、ICインレットの側方においても、樹脂製の第1の支持体と第2の支持体とを液密に接着したホットメルト接着剤層によって、洗浄液の侵入を防ぐことができる。よって、液密性に優れたICタグラベルを作製することができる。さらに、本ICタグラベル作製法によって作製されたICタグラベルは、ホットメルト接着剤層の内側において、粘着剤層が存在する。粘着剤は柔軟性と弾力性とを有する材料であるため、ICタグラベルの表面に粘着剤層による弾力性と柔軟性とを持たせることができる。これにより、プリンタヘッドとの接触性が良くなるため、印字特性の優れたICタグラベルを作製することができる。また、ICタグラベルが床等に落ちてしまった場合、ラベルを上から摘み上げて拾う。このためにはラベル全体に柔軟性があり、曲がりやすいことが必要である。上記ICタグラベルは粘着剤層の存在によりICタグラベル全体に柔軟性を与えることができるため、ICタグラベルが曲がりやすくなり、つかみやすいICタグラベルを作製することができる。
【0018】
上記ICタグラベル作製方法では、前記第2の支持体の可逆性感熱記録層において、前記第1の粘着剤層、又は第2の粘着剤層の直上における領域に情報を印字する工程をさらに含ませると良い。これにより粘着剤層の上に印字領域が位置することになる。粘着剤は柔軟性と弾力性とを有する材料であるため、印字領域表面に適度な柔軟性と弾力性とを与えることができる。印字領域表面に柔軟性と弾力性とがあると、プリンタヘッドが当接したときに、その当接部が柔軟性によって適度に変形し、弾力性によって適度に密着するので、この印字領域表面とプリンタヘッドとの接触性が向上する。これにより、プリンタヘッドから可逆性感熱記録層への熱の伝わり方が良くなるため、良好な印字特性が得られるICタグラベルを作製することができる。
【0019】
上記ICタグラベル作製方法において、前記第1の粘着剤層によってICインレットを貼り付けた樹脂製の第1の支持体に代えて、中心基材の両表面に粘着剤を塗布させた両面粘着性テープによってICインレットを貼り付けた樹脂製の第1の支持体を使用しても良い。両面粘着性テープを使用すると、粘着剤を塗布する必要が無く、両面粘着性テープを貼り付ければよいため、粘着剤単体で使用するよりも取り扱いやすい。
【0020】
上記ICタグラベル作製方法において、前記外側表面に可逆性感熱記録層を有し、裏面に第2の粘着剤層が塗布された樹脂製の第2の支持体に代えて、外側表面に可逆性感熱記録層を有し、裏面に中心基材の両表面に粘着剤を塗布させた両面粘着性テープを貼り付けた樹脂製の支持体を使用しても良い。両面粘着性テープを使用すると、粘着剤を塗布する必要が無いので、取り扱いが容易である。
【0021】
また上記ICタグラベル作製方法において、両面粘着性テープはウレタン系樹脂からなる中心基材の両表面にアクリル系両面粘着性テープを塗布したものを使用しても良い。このような両面粘着性テープを使用することにより、第2の支持体やICインレットに粘着剤を直接塗布するよりも、容易にICタグラベルを作製することができる。
【0022】
上記ICタグラベル作製方法において、ホットメルト接着剤層として、ポリアミド系樹脂接着剤、ポリエステル系樹脂接着剤、ポリウレタン系樹脂接着剤、エチレン酢酸ビニル系樹脂接着剤のうちいずれかを使用すると良い。これらの接着剤は揮発性の有機溶剤などを含まず、接着剤の乾燥工程が不要であるため、ICタグラベルの生産性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、優れた耐洗浄液性と印字特性と柔軟性とを有するICタグラベル及びその作製方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明に係るICタグラベル及びその作製方法の好適な実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0025】
<第1実施形態>
[ICタグラベル]
図1は第1実施形態におけるICタグラベル100の平面図である。また、図2は図1に示すICタグラベル100のII−II断面図である。図1及び図2に示すようにICタグラベル100は、片方の面に、保護層20で被覆された書き換え可能な可逆性感熱記録層2を有している。ICタグラベル100の中央部にはICインレット200が内蔵されている。このICタグラベル100は支持体(第2の支持体)1と支持体(第1の支持体)3の間にICインレット200を挟みこむ構造をもつ。支持体1と支持体3の接着には粘着剤とホットメルト接着剤とが用いられる。すなわち、支持体1と支持体3とは、ICタグラベル100の中央において粘着剤層(第2の粘着剤層)5によって接着され、粘着剤層5の外周縁側方においては枠状のホットメルト接着剤層4によって接着されている。ICタグラベル100の大きさは縦×横が約90mm×150mmとなっており、全体の平均厚さは350μm程度である。ICタグラベル100の3つの角は丸められているが、他の角は斜めにカットされている。これは、可逆性感熱記録層2は片面にあるため、印字する面を確認するために一つだけ角を斜めにカットし、カットされた角の位置によってどちらが印字面であるか判別できるようにするためである。支持体1及び支持体3は、厚さ約100μmの白色PET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂によって成形される。
【0026】
支持体3の中央には粘着剤層6(第1の粘着剤層)によってICインレット200が貼り付けられている(図2参照)。このICインレット200は、絶縁性シート7上にアルミ等の導電性物質でアンテナパターン8が形成され、そのアンテナパターン8にICチップ9が接続されているものである。支持体1には可逆性感熱記録層2が形成されており、この面に情報を印字することができる。さらに、可逆性感熱記録層2の上には保護層20が形成されている。この保護層20は物理的接触等によって可逆性感熱記録層2が削れたり、はがれてしまったりすることを防ぐものである。この保護層20は、プリンタヘッドから可逆性感熱記録層2への熱伝導に対して、特に影響するものではない。この保護層20はアクリル樹脂によって厚さ3〜5μm程度に成形される。
【0027】
ICインレット200は粘着剤層5と粘着剤層6とに挟まれ、さらにその外側を樹脂製の支持体1と支持体3とによって挟まれている。ICインレット200の上下においては、樹脂製の支持体1と支持体3とによって洗浄液の進入を防止することができる。また、ICタグラベル100の側面においても、ホットメルト接着剤層4によって支持体1と支持体3とが液密に接着されているため、ICタグラベル100の側方においても内部に洗浄液が侵入することを防ぐことができる。ホットメルト接着剤層4は、粘着剤層5,6を囲んでいるため、粘着剤層がICタグラベル100の外側に露出していない。このためICタグラベル100を洗浄したときに、洗浄液が粘着剤層5と支持体1との接着面側方から当該接着面へと進入してしまうことが無い。また、洗浄液が粘着剤層5と支持体3との接着面側方から当該接着面へと進入してしまうことも無いため、支持体1,3同士がはがれることはない。
【0028】
図1で示すように、粘着剤層5がICタグラベル100全体に占める面積はホットメルト接着剤層4よりも大きくなっている。これによりICタグラベル100は粘着剤層5による柔軟性と弾力性とを持たせることができる。粘着剤層5によってICタグラベル100の表面に柔軟性と弾力性とを持たせることができるため、ICタグラベル100は印字特性に優れたラベルとなる。また、粘着剤層5の面積は、ICタグラベル100の多くの部分を占めている。ICインレット200は粘着剤層6によって貼り付けられており、この粘着剤層6も柔軟性を有するものである。さらに、ICインレット200も柔軟性を有する。よって、ICタグラベル100は粘着剤層5、粘着剤層6及びICインレット200の柔軟性により全体をやわらかくすることができる。ゆえに、床等に落ちたとき、ICタグラベル100の中央を上方に曲げながら手でつまみあげやすくなる。
【0029】
図3はICタグラベル100の可逆性感熱記録層2における印字領域300を示す平面図である。この図3においては二点鎖線で囲まれた領域が印字領域300となる。この印字領域300は粘着剤層5の直上の領域である(図2参照)。印字領域300が粘着剤層5の直上に位置することにより、印字領域300の表面に適度な柔軟性と弾力性とを与えることができる。これは、粘着剤は柔軟性と弾力性とを有する材料だからである。印字領域300の表面に柔軟性及び弾力性があると、プリンタヘッドが当接するときに、当接部分がその柔軟性によって適度に変形し、弾力性によって適度にプリンタヘッドに密着するため、プリンタヘッドから可逆性感熱記録層2への熱伝導性が向上する。これによりICタグラベル100に優れた印字特性を与えることができる。
【0030】
[接着剤]
ホットメルト接着剤層4(図2参照)には、ポリアミド系樹脂接着剤、ポリエステル系樹脂接着剤、ポリウレタン系樹脂接着剤、エチレン酢酸ビニル系樹脂接着剤のうちいずれかのホットメルト接着剤を用いる。ホットメルト接着剤は常温では固体であり、熱によって溶け、溶融状態で被着体に貼り付けられ、冷却することにより接着剤が固化する。ホットメルト接着剤層4は常温で枠状の固形物であるが、ホットメルト接着剤層4を支持体1と支持体3との間に介在させた状態で、支持体1と支持体3との外側からラミネータによって加熱圧着することによりホットメルト接着剤層4が溶け、その後、冷やすことによってホットメルト接着剤層4が固化することにより、2つの支持体1と支持体3とが液密に接着される。これによって、ICタグラベル100の洗浄を行ったときに、洗浄液がICタグラベル100内部に進入してくることを防ぐことができる。ホットメルト接着剤層4の厚さは約30μmである。ラミネータによって加熱圧着するときにおける温度は、接着剤の種類により決定されるが、例えばポリエステル系接着剤を使用する場合は、ラミロールの温度は120〜150℃程度に設定する。ホットメルト接着剤層4は硬いため、ICタグラベル100全体における柔軟性確保のためには、ホットメルト接着剤層4のラベル全体に占める面積をできるだけ小さくする事が望ましいが、液密性確保のため、少なくとも幅3mm程度を確保すると良い。
【0031】
[粘着剤]
粘着剤層5及び粘着剤層6にはアクリル系粘着剤を使用する。粘着剤層6はICインレット200のアンテナ8及びICチップ9が配置されている面に塗布されて形成され、ICインレット200を支持体3に接着する役割を有する。粘着剤層5は支持体1の下面に、ホットメルト接着剤層4が当接する領域を外して、その内側に塗布されて形成されるものであり、ICインレット200が支持体3に接着された状態で、ICインレット200を覆うように支持体1と支持体3とを接着する役割を有する。ICタグラベル100表面の記録領域300は、粘着剤層5の直上の領域としている。アクリル系粘着剤は柔軟性と弾力性とを有するゲル状物質であるため、ICタグラベル100に柔軟性と弾力性とを持たせることができる。
【0032】
[可逆性感熱記録層]
可逆性感熱記録層2(図2参照)には、ロイコ化合物タイプの感熱記録材を使用する。可逆性感熱記録層2は印刷等によって、感熱記録材を支持体1の表面に塗布することにより形成される。この可逆性感熱記録層2は特に厚さの制限はないが、一般的に4〜20μm程度である。可逆性感熱記録層2の上にはアクリル樹脂等で印刷等を用いて3〜5μm程度、保護層20をコーティングする。可逆性感熱記録層2に使用される感熱記録材は、加熱するときの温度、加熱時の昇温速度及び加熱後の冷却速度によって、発色と消色を行うことができる。ロイコ化合物タイプの感熱記録材は、樹脂母材(マトリックス)中に分散されたロイコ化合物と顕滅色剤の可逆的な発色反応を利用している。ロイコ化合物の具体例としては、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)フタリド、3,3−ビス(1,2−ジメチルインドール−3−イル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−ジメチルアミノ−6−クロロ−7−メチルフルオラン、3,3−ビス(9−エチルカルバゾール−3−イル―5)−ジメチルアミノフタリド、3−ジメチルアミノ−7−ジベンジルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(n−エチル−n−ニトリル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(n−エチル−n−テトラヒドロフリル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオランなどが挙げられ、単独或いはこれらを混合して用いる。
【0033】
顕滅色剤は、熱エネルギーの作用によりプロトンを可逆的に放出してロイコ化合物に対し顕色作用と滅色作用を併せ持つ化合物である。すなわち顕滅色剤は、フェノール性水酸基またはカルボキシル基からなる酸性基とアミノ基からなる塩基性基との双方を有し、熱エネルギーの違いにより酸性または塩基性となって上記ロイコ化合物を発色、消色させるものである。また、酸性基或いは塩基性基のいずれか一方の官能基を有する顕滅色剤として、例えば、アミノ安息香酸、o−アミノ安息香酸、4−アミノ−3−メチル安息香酸、3−アミノ−4−メチル安息香酸、2−アミノ−5−エチル安息香酸、3−アミノ−4−ブチル安息香酸、4−アミノ−3−メトキシ安息香酸、3−アミノ−4−エトキシ安息香酸、2−アミノ−5−クロロ安息香酸、4−アミノ−3−ブロモ安息香酸、2−アミノ−2−ニトロ安息香酸、4−アミノ−3−ニトロ安息香酸、3−アミノ−4−ニトリル安息香酸、アミノサリチル酸、ジアミノ安息香酸、2−メチル−5−アモノナフトエ酸、3−エチル−4−アミノナフトエ酸、ニコチン酸、イソニコチン酸、2−メチルニコチン酸、6−クロロニコチン酸等が挙げられる。また、塩基性基を塩化化合物の一部として有するものには、フェノール性水酸基またはカルボキシル基を有する化合物とアミノ基を有する化合物との塩または錯塩であり、例えばヒドロキシ安息香酸類、ヒドロキシサリチル酸類、没食子酸類、ビスフェノール酢酸等の酸と、脂肪族アミン類、フェニルアルキルアミン類、トリアリルアルキルアミン類等の塩基との塩または錯塩が挙げられる。この具体例としては、p−ヒドロキシ安息香酸−アルキルアミン塩、p−ヒドロキシ安息香酸−フェニルアルキルアミン塩、m−ヒドロキシ安息香酸−アルキルアミン塩、p−ヒドロキシ安息香酸メチル−アルキルアミン塩、p−ヒドロキシ安息香酸ステアリル−アルキルアミン塩、ビスフェノール酢酸−アルキルアミン、ビスフェノール酢酸オクチル−アルキルアミン塩等が挙げられ、単独或いは混合して用いられる。なお、ロイコ化合物及び顕滅色剤はこれらのものに限定されない。
【0034】
樹脂母材としては、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリウレア、メラミン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルブチラール等の樹脂の単独、混合或いは共重合体が用いられる。繰り返し印字消去耐性を向上させるために、樹脂母材に対応した三次元架橋する硬化剤、架橋剤などを樹脂母材に対して0.5〜10重量%添加すると良い。
【0035】
なお、可逆性感熱記録層2には、相変化タイプの感熱記録材を使用しても良い。相変化タイプの感熱記録材は、樹脂母材(マトリクス)に分散された有機低分子物質の結晶状態が変化することによって、白濁もしくは透明に変化するものである。相変化タイプの感熱記録材は、加熱するときの温度、加熱時の昇温速度及び加熱後の冷却速度によって、白濁状態と透明状態とを切り替えることができる。よって、この相変化タイプの可逆性感熱記録材を使用する場合は、可逆性感熱記録層2の下にアルミ等で着色層を設ける必要がある。ICタグラベル100に用いる支持体1は白色PETを使用しており、感熱記録材の白濁・透明状態が切り替わっても、下地が白では見えづらくなってしまうためである。着色層にアルミを用いた場合、透明な部分はアルミの色(銀)が現れ、白濁した部分が白抜き文字などで表現されることになる。相変化タイプの感熱記録材において、樹脂母材に分散される有機低分子物質としては脂肪酸、脂肪酸誘導体又は脂環式有機酸が挙げられる。さらに詳しくは、脂肪酸のうち飽和脂肪酸として、ジカルボン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチル酸、ヘプタデカン酸、ステアリン酸、ナノデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸等が挙げられる。不飽和脂肪酸の具体例としては、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、ソルビン酸、ステアロール酸等が挙げられる。なお、脂肪酸、脂肪酸誘導体又は脂環式有機酸は、これらに限定するものではなく、また、これらの内の2種類以上を混合させて使用することも可能である。
【0036】
また、相変化タイプの感熱記録材に用いられる樹脂母材としては、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロースアセテート系樹脂、ニトロセルロース系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂の単独、混合或いは共重合体などが用いられる。可逆性感熱記録層2の透明化温度範囲を制御するため、樹脂の可塑剤、高沸点溶媒等を樹脂母材に対し、0.1〜20重量%添加すると良い。さらに、可逆性感熱記録層2の繰り返し印字消去耐性を向上するために、樹脂母材に対応した三次元架橋する硬化剤、架橋剤等を樹脂母材に対し、0.5〜10重量%添加すると良い。
【0037】
[ICインレット]
図4はICタグラベル100に内蔵されるICインレット200の平面図であり、図5は図4に示すICインレット200のV−V断面図である。この図4において、ICインレット200は絶縁シート7上の一方の面にアンテナパターン8が形成されており、そのアンテナパターン8にICチップ9が接続されている。ICインレット200の大きさは、縦×横が約25×95mmである。ICチップ9はリーダ/ライタ装置との非接触無線通信機能及びメモリ機能を有する。よって、ICチップ9はリーダ/ライタ装置とアンテナパターン8を介して非接触無線通信ができると共に、各種情報を記憶することができる。絶縁シート7の厚さは約25〜40μmでありPET樹脂によって成形される。また、アンテナパターン8はアルミニウムによって形成され、厚さは約10〜20μmである。ICチップ9は、ICチップ固定用接着剤11によって絶縁シート7に固定されている。ICチップ9はアンテナパターン8と電気的に接続するための二つのバンプ10を有している。ICチップ固定用接着剤11は、二つのバンプ10間におけるICチップ9の裏面と絶縁シート7を接着している。このICチップ固定用接着剤11によってICチップ9が絶縁シート7に固定され、ICチップ9の有する二つのバンプ10とアンテナパターン8の端部が直接接触し、電気的に接続されることになる。ICインレット200の作製方法は、まず、アルミニウムのアンテナパターン8を接着剤層30によって絶縁シート7上に貼着する。このアンテナパターン8の形成はPETシート7にアルミニウム箔を接着剤で貼り合わせたシートにおいて、エッチング処理を行い、アンテナパターン8を形成するようにしてもよい。このようにしてアンテナパターン8を形成させた後、ICチップ固定用接着剤11によってICチップ9を実装する。アンテナパターン8は、アルミで形成する代わりに銅を用いても良い。
【0038】
ICチップ9を絶縁シート7に固定するための接着剤11の接着剤樹脂としては、例えば、天然ゴム(NR)、スチレン/ブタジエン共重合ゴム、ポリイソブチレン、イソブチレン−イソプレン共重合体、イソプレンゴム、ブタジエン重合体、スチレン/ブタジエン共重合体、スチレン/イソプレン共重合体、スチレン/イソプレン/スチレンブロックポリマー、スチレン/ブタジエン/スチレンブロックポリマー、クロロプレンゴム、ブタジエン/アクリロニトリル共重合ゴム、ブチルゴム、アクリル系ポリマー、ビニルエーテルポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体、ジメチルアミノエチル・メタクリル酸/ビニルピロリドン共重合体、ポリビニルカプロラクタム、ポリビニルピロリドン、無水マレイン酸共重合体、シリコーン系粘着剤(ポリビニルシロキサン)、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ゼラチン、シェラック、アラビアゴム、ロジン、ロジンエステル、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、パラフィン、トリステアリン、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル系樹脂、ビニル系樹脂、ポリイソブテン、ポリブタジエン、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル、ポリアミド、シリコーン、ポリスチレン、メラミン樹脂などの1種または2種以上の混合物を挙げることができる。
【0039】
接着剤層30に用いる接着剤としては、高分子有機物、低分子有機物、或いはこれらの複合体樹脂が用いられ、例えばポリエステルポリウレタン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリロニトリル−スチレン樹脂、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸メチル、ポリメチルメタクリレート、酢酸ビニル、ポリビニルアルコールなどである。エポキシ樹脂による接着剤を用いても良い。
【0040】
なお、ICチップ9とアンテナパターン8との接続には、異方導電性接着剤を用いても良い。異方導電性接着剤を用いる場合、ICチップ9の有する二つのバンプ10と、アンテナパターン8の端部にそれぞれ異方導電性接着剤を介して、電気的に接続されることになる。異方導電性接着剤は接着剤樹脂中に導電性粒子を分散させてなるものであり、厚さ方向にのみ導電性を得ることができる。この異方導電性接着剤の接着剤樹脂としては、ポリウレタン樹脂、ポリエステルポリウレタン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン樹脂、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸メチル、ポリメチルメタクリレート、酢酸ビニル、ポリビニルアルコールなどのビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、エポキシ樹脂などを単体あるいはそれらの混合体、複合体が使用できる。また、この接着剤樹脂中に分散させる導電性粒子としては、金(Au)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)、スズ(Sn)、あるいは非導電性の粒子、中空粒子、箔片の表面に導電性処理(Au、Ni、Al、Snなどによる物理的、あるいは化学的処理)をした粒子を用いることができる。また、アンテナパターン8にICチップ9を実装するにあたっては、超音波溶着によってアンテナパターン8とバンプ10との接合を行っても良い。機械的強度を上げるために、超音波溶着とICチップ固定用接着剤11を併用してもよい。この場合、ICチップ固定用接着剤11によって絶縁性シート7にICチップ9を固定した後、バンプ10とアンテナパターン8を超音波溶着によって接合する。
【0041】
[ICタグラベル作製法]
ICタグラベル100は図6〜図11で示すようにして、以下のような工程で作製される。
【0042】
(1)ICインレットシート400への粘着剤層の形成
図6は、ICインレットシート400の平面図、図7は粘着剤層6を形成させた後におけるICインレットシート400の断面図である。ICインレットシート400は図6に示すようにICインレット200が2列に並んでシート状に連なった状態のものである。図7に示すように、ICインレットシート400においてICチップが配置されている面に、アクリル系粘着剤を塗布して粘着剤層6を形成させ、その形成させた粘着剤層6に剥離シート12を貼り付ける加工を行う。この剥離シート12は、PET、発泡PET、ポリプロピレン、ポリプロピレンなどの樹脂フィルムや、ポリエチレンラミネート紙、グラシン紙、クレーコート紙などの片面に、剥離剤を塗布したものである。剥離シート12は、剥離剤が塗布された面と粘着剤層6とを向かい合わせて貼り付けられる。剥離剤としてはシリコーン系のものが好ましく、その他フッ素系、長鎖アルキル基含有カーバイト系等を使用することができる。剥離シートの厚さについては、特に制限はないが通常20〜150μm程度である。
【0043】
(2)ICインレットシート400の切断と支持体3へのICインレット200の貼り付け
図8はICインレット200を貼り付けた状態における支持体3の断面図である。図6及び図7に示す切断線500に沿って、上記(1)の工程で粘着剤層6の形成を行ったICインレットシート400を、粘着剤層6及び剥離シート12と共に切断し、ICインレット200を一つずつに分断する。図8に示すように分断したICインレット200において、粘着剤層6につけられた剥離シート12をはがし、外形を成形加工した支持体3の中央に、ICインレット200を粘着剤層6によって貼着する。
【0044】
(3)支持体1への粘着剤層の形成
図9は粘着剤層5を形成させた支持体1の断面図である。図9に示すように、可逆性感熱記録層2及び保護層20を形成させ外形を成形加工した支持体1において、可逆性感熱記録層2と反対の面にアクリル系粘着剤を塗布し、粘着剤層5を形成させた後、剥離シート13を粘着剤層5に貼り付ける加工を行う。このとき、粘着剤層5は支持体1の周縁部にホットメルト接着剤層4を接着する領域を残して形成させる。剥離シート13は剥離シート12と同様のものである。剥離シート13は剥離剤が塗布された面と粘着剤層5とを向かい合わせて貼り付けられる。
【0045】
(4)ホットメルト接着剤層4の加工
図10はホットメルト接着剤層4の斜視図、図11は、図10に示すホットメルト接着剤層4のXI−XI断面図である。図10及び図11に示すように、ホットメルト接着剤層4の加工を行う。ホットメルト接着剤層4は粘着剤層5の形に合わせて中央部分を型抜きした枠状のものである。ホットメルト接着剤層4の外形は支持体1及び支持体3の大きさに合わせて加工される。
【0046】
(5)支持体1と支持体3の貼り合わせ
図12は支持体1と支持体3とを貼り合わせる様子を示す断面図である。図12に示すように、粘着剤層5を形成させた支持体1において、剥離シート13(参照図9)をはがし、その支持体1に枠状のホットメルト接着剤層4を重ねる。このとき、ホットメルト接着剤層4は枠内にその支持体1の粘着剤層5が収まるように重ねる。粘着剤層5とICインレット200とを向かい合わせ、支持体1と支持体3とが互いにはみ出さないように外形の輪郭に合わせて重ね合わせ、ラミネータによって支持体1,3の外側表面から加熱圧着する。加熱圧着することにより、粘着剤層5によって支持体1と支持体3とを貼り合わせると共に、ホットメルト接着剤層4を溶かして、粘着剤層5の外周縁側方における支持体1と支持体3との重ね合わせ内面を接着する。
【0047】
なお、この貼り合わせ方法に代えて、支持体3をICインレット200が上面となるように配置し、この支持体3上にホットメルト接着剤層4を重ねて、上から支持体1に形成された粘着剤層5がホットメルト接着剤層4の枠内に納まるようにして支持体1と支持体3とを重ね合わせて支持体1,3の外側表面から加熱圧着して貼り合わせるようにしてもよい。
【0048】
(6)完成状態は図1及び図2のようになる。結果的に粘着剤層5、粘着剤層6、ICインレット200は、すべてホットメルト接着剤層4の枠内に収まる。
【0049】
この作製方法によって作製されるICタグラベル100は、粘着剤層5の直上の領域を印字領域300とし、印字領域300に各種情報を印字して使用する。これにより、印字領域300の表面に粘着剤層5による柔軟性と弾力性とを与えることができる。印字領域300の表面に柔軟性と弾力性とを持たせることによってプリンタヘッドの接触性がよくなり、良好な印字特性をもつICタグラベル100を作製することができる。ICタグラベル100は、全体に占める粘着剤層5の面積が大きい。またICインレット200も粘着剤層6によって支持体3に貼り付けられており、この粘着剤層6も柔軟性と弾力性とを有する。さらに、ICインレット200も柔軟性を有するものである。よって、ICタグラベル100にこの粘着剤層5、粘着剤層6及びICインレット200による柔軟性を与えることができる。これによりICタグラベル100が曲がりやすくなるため、床等に落ちたときに上から中央部分を曲げて摘み上げやすいICタグラベル100となる。ICタグラベル100において、粘着剤層5、ICインレット200、粘着剤層6によって構成される層の外周縁側方は、ホットメルト接着剤層4によって液密に接着されることとなる。またICインレット200、粘着剤層5、粘着剤層6の上下は樹脂製の支持体1と支持体3とによって挟まれている。このような構造により、粘着剤層5、粘着剤層6、ICインレット200は外側に露出することがない。これにより、ICタグラベル100を洗浄したときに、洗浄液が粘着剤層5と支持体1との接着面側方から当該接着面へと進入してしまうことが無い。また、洗浄液が粘着剤層5と支持体3との接着面側方から当該接着面へと進入してしまうことも無いため、支持体1,3同士がはがれることはない。
【0050】
このICタグラベル100の作製方法では、ホットメルト接着剤層4を使用して支持体1と支持体3とを接着する。ホットメルト接着剤は常温で固形であるため、液状の接着剤を使用する場合と比較し、流動しないため、粘着剤層5とICインレット200と粘着剤層6とをホットメルト接着剤層4の枠内に収めるにあたって、ホットメルト接着剤層4の位置決めを行いやすい。特にICタグラベル100においては、粘着剤層5が端部にはみ出してしまうと、洗浄液が内部に進入してしまう恐れがあるめ、粘着剤層5の外周縁側方はしっかりとホットメルト接着剤層4によって接着されている必要がある。ホットメルト接着剤層4は有機溶媒を用いないので、接着剤の乾燥工程が必要ない。また、生産工程の自動化が容易である。
【0051】
<第2実施形態>
[ICタグラベル]
第2実施形態について、第1実施形態と異なる点を中心に説明し、第1実施形態と同様の構成については説明を省略する。共通する構成は、同じ符号を付した。第1実施形態におけるICタグラベル100は、粘着剤層5及び粘着剤層6を用いて構成していた。第2実施形態ではこの粘着剤層5及び粘着剤層6に代えて、両面粘着性テープを用いてICタグラベル600を構成したものである。図13〜図18を参照して第2実施形態について説明する。図13は両面粘着性テープ50,60を用いて構成したICタグラベル600の断面図である。ICタグラベル600の平面図は第1実施形態における図1と同様である。第2実施形態では第1実施形態と比較して、粘着剤層5に代えて両面粘着性テープ50を使用し、粘着剤層6に代えて両面粘着性テープ60を使用する。両面粘着性テープ50,60は中心基材の両表面に粘着剤を塗布した構造であるため、三層構造となる。図13において、両面粘着性テープ50は中心基材15の両表面にそれぞれ粘着剤層14及び粘着剤層16を塗布したものである。また、両面粘着性テープ60は中心基材18の両表面にそれぞれ粘着剤層17及び粘着剤層19を塗布したものである。両面粘着性テープ50は支持体1の可逆性感熱記録層2と反対の面に貼られ、支持体1と支持体3とを貼り付けており、さらにこの両面粘着性テープ50の外周縁側方を、ホットメルト接着剤層4によって支持体1と支持体3とは接着されている。ICインレット200は両面粘着性テープ60によって支持体3に貼り付けられている。ホットメルト接着剤層4には30〜50μmの厚さのものを用いることができる。ホットメルト接着剤層4の形状は第1実施形態のものと同様であり、その接着剤も第1実施形態と同様の材料である。
【0052】
[両面粘着性テープ]
両面粘着性テープ50は、中心基材15にウレタン系樹脂を使用し、その両表面にそれぞれアクリル系粘着剤を使用して粘着剤層14及び粘着剤層16を形成させたものを用いている。両面粘着性テープ60においても、中心基材18をウレタン系樹脂とし、その両表面にそれぞれアクリル系粘着剤を使用して粘着剤層17及び粘着剤層19を形成させたものである。ウレタン系樹脂製の中心基材15,18の厚さは12〜25μm、基材15,18の両表面にそれぞれ塗布されるアクリル系粘着剤層14,16,17,19の厚さは15〜25μmである。よって、各両面粘着性テープ50,60の厚さは42〜75μm程度となる。第2実施形態においてはホットメルト接着剤層4の厚さが30〜50μmであるので、その厚さに合う両面粘着性テープを選ぶことになる。第2実施形態におけるICタグラベル600は、両面粘着性テープ50の直上の領域を印字領域300としている(図13参照)。両面粘着性テープ50に使用されるウレタン系樹脂、アクリル系粘着剤は、共に柔軟性と弾力性とを有する材料である。よって、ICタグラベル600の印字領域300の表面に、この両面粘着性テープ50による適度な柔軟性と弾力性とを与えることができ、良好な印字特性を得ることができる。また、両面粘着性テープ50による柔軟性によって、ICタグラベル600は柔軟性が確保された曲がりやすいラベルになるため、ラベルが床等に落ちた場合に上からラベルの中央部分を曲げて手で摘み上げやすいICタグラベル600となる。
【0053】
[ICタグラベル作製方法]
第2実施形態におけるICタグラベル600の作製方法を、図14〜図18を参照して説明する。
【0054】
(1)ICインレットシート400への両面粘着性テープ60の貼り付け
図14は両面粘着性テープ60をICインレットシート400に貼着する様子を図示した断面図である。また、図15は両面粘着性テープ60をICインレットシート400に貼着した状態の断面図である。図14に示すように、上面に剥離シート21がつけられた両面粘着性テープ60の下面側の粘着剤層17とICインレットシート400のICチップ9が配置されている面とを対向させて、両面粘着性テープ60とICインレットシート400とを貼り付ける。この工程に用いるICインレットシート400の平面図は、第1実施形態の図6と同様である。ICインレットシート400に両面粘着性テープ60を貼り付けた後の断面図は図15のようになる。この状態において、ICインレットシート400には両面粘着性テープ60が貼られており、剥離シート21が両面粘着性テープ60の粘着剤層19につけられている。なお、剥離シート21は、第1実施形態に用いられる剥離シート12,13と同様のものであり、剥離剤が塗布された面と粘着剤層19とを向かい合わせて貼り付けられているものである。
【0055】
(2)ICインレットシート400の切断と支持体3へのICインレット200の貼り付け
図16はICインレット200を支持体3に貼着した状態における断面図である。図15に示す、切断線500に沿って両面粘着性テープ60、剥離シート21と共にICインレットシート400の切断を行う。このとき、第1実施形態における作製方法と同様に、ICインレット200を一個ずつに分断する(参照図6)。切断加工を行った後、ICインレット200に貼り付けられた両面粘着性テープ60の剥離シート21をはがし、図16に示すように、外形を成形加工した支持体3の中央に、両面粘着性テープ60を介してICインレット200を貼着する。
【0056】
(3)支持体1への両面粘着性テープ50の貼り付け
図17は支持体1への両面粘着性テープ50の貼り付けを行った後の断面図である。図17に示すように、可逆性感熱記録層2及び保護層20を形成させ外形を成形加工した支持体1において、可逆性感熱記録層2の反対面と、上面に剥離シート22がつけられた両面粘着性テープ50の下面側の粘着剤層14とを向かい合わせるようにして、支持体1に両面粘着性テープ50を貼り付ける。このとき、両面粘着性テープ50は支持体1の周縁部にホットメルト接着剤層4を接着する領域を残して貼り付ける。また、剥離シート22は、第1実施形態における剥離シート12,13と同様のものであり、剥離剤が塗布された面と粘着剤層14とを向かい合わせて貼り付けられているものである。
【0057】
(4)ホットメルト接着剤層4の加工
第1実施形態と同様の、ホットメルト接着剤層4の加工を行う(参照図10、図11)。ホットメルト接着剤層4は両面粘着性テープ50の形に合わせて中央部分を型抜きした枠状のものである。ホットメルト接着剤層4の外形は支持体1及び支持体3の大きさに合わせて加工される。
【0058】
(5)支持体1と支持体3の貼り合わせ
図18は支持体1と支持体3とを貼り合わせる様子を図示した断面図である。図18に示すように、両面粘着性テープ50を貼り付けた支持体1において、剥離シート22(参照図17)をはがし、その支持体1に枠状のホットメルト接着剤層4を重ねる。このとき、ホットメルト接着剤層4は枠内に支持体1の両面粘着性テープ50が収まるように重ねる。両面粘着性テープ50とICインレット200とを向かい合わせ、支持体1と支持体3とが互いにはみ出さないように外形の輪郭に合わせて重ね合わせ、ラミネータによって支持体1,3の外側表面から加熱圧着する。加熱圧着することにより、両面粘着性テープ50によって支持体1と支持体3とを貼り合わせると共に、ホットメルト接着剤層4を溶かして、両面粘着性テープ50の外周縁側方における支持体1と支持体3との重ね合わせ内面を接着する。
【0059】
なお、この貼り合わせ方法に代えて、支持体3をICインレット200が上面となるように配置し、この支持体3上にホットメルト接着剤層4を重ねて、上から支持体1に貼られた両面粘着性テープ50が、ホットメルト接着剤層4の枠内に納まるようにして支持体1と支持体3とを重ね合わせて、支持体1,3の外側表面から加熱圧着して貼り合わせるようにしてもよい。
【0060】
(6)このような作製方法によって図13に示すようなICタグラベル600が完成する。
【0061】
この作製方法によって作製されたICタグラベル600においても、両面粘着性テープ50、ICインレット200、両面粘着性テープ60の上下は樹脂製の支持体1と支持体3とによって挟まれている。また両面粘着性テープ50、ICインレット200、両面粘着性テープ60によって構成される層の外周縁側方はホットメルト接着剤層4によって液密に接着されることになる。このような構造により、両面粘着性テープ50、ICインレット200及び両面粘着性テープ60は外側に露出することがない。ICインレット200はその上下において樹脂製の支持体1と支持体3とに挟まれることによって、洗浄液にさらされることを防ぐことができ、またその側方においてもホットメルト接着剤層4によって洗浄液にさらされることを防止することができる。両面粘着性テープ50は外部に露出しないため、洗浄液が両面粘着性テープ50の粘着剤層16と支持体3との接着面側方から当該接着面へ進入してしまうことが無く、両面粘着性テープ50が支持体3からはがれてしまうことはない。また、洗浄液が両面粘着性テープ50の粘着剤層14と支持体1との接着面側方から当該接着面に進入してしまうことは無いため、両面粘着性テープ50が支持体1からはがれてしまうこともない。このような構成により、ICタグラベル600の耐洗浄液性が向上する。
【0062】
ICタグラベル600においては、両面粘着性テープ50が支持体1における印字領域300の直上に位置する(参照図13)ことによって、印字領域300の表面に両面粘着性テープ50による柔軟性と弾力性とを持たせることができる。これは両面粘着性テープ50を構成する中心基材15と粘着剤層14,16とが柔軟性及び弾力性を有するためである。記録領域300の表面に柔軟性と弾力性とがあると、プリンタヘッドが当接する部分が柔軟性によって適度に変形し、弾力性によって適度にプリンタヘッドに密着するので、当接部分の熱伝導性が良くなり、良好な印字特性をもつICタグラベル600を作製することができる。ICタグラベル600において、両面粘着性テープ50が全体に占める割合は大きい。また、両面粘着性テープ60も柔軟性を有するものであるため、この両面粘着性テープ50,60のもつ柔軟性によって、曲がりやすいICタグラベル600にすることができる。ICタグラベル600が中央で曲がりやすいと、床等に落ちてしまったときに上から中央を曲げて手で摘み上げやすくなる。両面粘着性テープ50,60を使用すると、粘着剤を支持体等に塗布する必要が無い。両面粘着性テープ50,60は中心基材15,18によって、粘着剤層14,16,17,19が固定されているので、両面粘着性テープ50,60を支持体等に貼り付けるだけでよく、粘着剤単体よりも取り扱いやすくなり、容易にICタグラベル600を作製することができる。
【0063】
<ICタグラベル及びその作製方法による作用効果>
上記第1及び第2実施形態におけるICタグラベル100,600は、中央部分に粘着剤層5もしくは両面粘着性テープ50を使用し、その側方をホットメルト接着剤層4によって支持体1と支持体3とを接着する構成にすることで、ICインレット200の上下を支持体1と支持体3とによって挟み込み、その側方をホットメルト接着剤層4によって密封することにより、洗浄液が内部に侵入してくることを防止し、耐洗浄液性の優れたICタグラベルにすることができる。また、ICタグラベル100,600の中央部分を、粘着剤層5または両面粘着性テープ50にすることによって、粘着剤層5または両面粘着性テープ50による柔軟性と弾力性とによる印字特性、つかみやすさに優れたICタグラベルにすることができる。上記第1及び第2実施形態におけるICタグラベル作製方法によって、耐洗浄性、印字特性、つかみやすさに優れたICタグラベル100,600を作製することができる。また、ホットメルト接着剤層4を使用することによって液状の接着剤と比較してホットメルト接着剤層4の位置決めを行いやすくすることができる。
【0064】
なお、本発明は上記実施形態に限られない。
【0065】
上記第1実施形態では、粘着剤層5,6を使用してICタグラベル100を構成しており、第2実施形態においては粘着剤層5,6の両方を両面粘着性テープ50,60に置き換えてICタグラベル600を構成しているが、片方の粘着剤層のみを両面粘着性テープに置き換えても良い。例えば、第1実施形態において粘着剤層5に代えて、両面粘着性テープ50を使用し、粘着剤層6はそのまま使用してICタグラベルを構成しても良い。このようなICタグラベルを作製する場合は、第1実施形態におけるICタグラベル100の作製方法において、「(3)支持体1への粘着剤層の形成」の工程を、第2実施形態の「(3)支持体1への両面粘着性テープ50の貼り付け」工程と置き換えることによって、ICタグラベルを作製することができる。
【0066】
また逆に、第1実施形態においてICタグラベル100の粘着剤層6に代えて、両面粘着性テープ60を使用し、粘着剤層5はそのまま使用してICタグラベルを構成するようにしても良い。この場合におけるICタグラベル作製方法としては、第1実施形態におけるICタグラベル100の作製方法において、「(1)ICインレットシート400への粘着剤層の形成」および「(2)ICインレットシート400の切断と支持体3へのICインレット200の貼り付け」の工程を、第2実施形態の「(1)ICインレットシート400への両面粘着性テープ60の貼り付け」及び「(2)ICインレットシート400の切断と支持体3へのICインレット200の貼り付け」の工程に置き換えることによって作製することができる。
【0067】
また、粘着剤層5,6及び両面粘着性テープ50,60の大きさは、上記実施形態に限られない。図19は、ICタグラベル100に用いられている粘着剤層5,6の大きさを変えた、粘着剤層23,24を用いて構成したICタグラベル700の断面図である。この粘着剤層23,24は、第1実施形態におけるICタグラベル100の粘着剤層5,6とは大小関係が逆転しており、粘着剤層24は粘着剤層23よりも面積が大きい。ICタグラベル700において、粘着剤層(第1の粘着剤層)24はICインレット200を支持体3に貼り付けていると共に、支持体1と支持体3とを貼り合わせている。さらに、ICインレット200は粘着剤層(第2の粘着剤層)23を介して、支持体1に貼り付けられている。ICタグラベル700においては、粘着剤層24の直上を印字領域300としているが、粘着剤層23の直上領域も含んでいる。よって、印字領域300の表面に粘着剤層23,24による柔軟性と弾力性とを与えることができるため、ICタグラベル700は印字特性に優れた物となる。むろん、粘着剤層23,24のいずれか又は両方に代えて両面粘着性テープを使用し、ICタグラベルを構成しても良い。
【0068】
上記実施形態ではホットメルト接着剤層4を用いたが、液状の接着剤を用いても良い。たとえばエチレン酢酸ビニル樹脂エマルジョン接着剤、エポキシ樹脂系接着剤などが使用できる。また、上記第1及び第2実施形態においてはICタグラベル100及びICタグラベル600は長方形のラベルであったが、ラベルの形状は長方形に限らず、三角形、多角形、台形、平行四辺形、円形、楕円形等であってもよい。例えば円形のICタグラベルにする場合は、ホットメルト接着剤層4を輪のような状態に加工し、その内側に粘着剤層5、ICインレット200及び粘着剤層6が配置するように構成すればよい。上記実施形態では、支持体1と支持体3とに白色PETを用いたが、脆性ではないプラスチックであれば任意のプラスチック支持体を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】第1実施形態におけるICタグラベル100の平面図である。
【図2】図1に示すICタグラベル100のII−II断面図である。
【図3】図1及び図2に示すICタグラベル100の印字領域300を表した図である。
【図4】ICインレット200の平面図である。
【図5】図4に示すICインレット200のV−V断面図である。
【図6】ICインレットシート400の平面図である。
【図7】粘着剤層6を形成させたICインレットシート400の断面図である。
【図8】第1実施形態において、支持体3にICインレット200を貼り付けた状態の断面図である。
【図9】第1実施形態において、粘着剤層5を形成させた後の支持体1の断面図である。
【図10】ホットメルト接着剤層4の斜視図である。
【図11】図10に示すホットメルト接着剤層4のXI−XI断面図である。
【図12】第1実施形態において、支持体1と支持体3の貼り合わせの様子を示す断面図である。
【図13】第2実施形態におけるICタグラベル600の断面図である。
【図14】第2実施形態において、ICインレットシート400に両面粘着性テープ60を貼り付ける様子を示す断面図である。
【図15】第2実施形態において、ICインレットシート400に両面粘着性テープ60を貼り付けた状態における断面図である。
【図16】第2実施形態において、支持体3にICインレット200を貼り付けた状態における断面図である。
【図17】第2実施形態において、支持体1に両面粘着性テープ50を貼り付けた後の状態を示す断面図である。
【図18】第2実施形態において、支持体1と支持体3を貼り付ける様子を示す断面図である。
【図19】ICタグラベル700の断面図である。
【符号の説明】
【0070】
1,3…支持体
2…可逆性感熱記録層
4…ホットメルト接着剤層
5,6…粘着剤層
7…絶縁シート
8…アンテナパターン
9…ICチップ
10…バンプ
11…ICチップ固定用接着剤
12,13,21,22…剥離シート
14,16,17,19…粘着剤層
15,18…中心基材
20…保護層
23,24…粘着剤層
30…接着剤層
50,60…両面粘着性テープ
100,600,700…ICタグラベル
200…ICインレット
300…印字領域
400…ICインレットシート
500…切断線
【技術分野】
【0001】
本発明は物流の管理等に用いられ、印字するための可逆性感熱記録層と情報を記憶するICインレットとを有するICタグラベル、及びその作製方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、物流の管理等においては、宛先、送り主、品名、数量、ロット番号などの情報を印字したラベルを、段ボール箱やパレットに付けたり或いは紐つけたりすることによって、物流の管理が行われていた。しかし、一旦通常のラベルにインクなどで情報を印字してしまうと、それを消すことができないため、ラベルは一度しか使えない。そこで可逆性の感熱記録層を有するラベルを使用し、専用のサーマルプリンターによってラベルに印字された情報の書き換えを行うことができるようになった。この可逆性感熱記録層は熱エネルギーの負荷によって消色と発色を行うことができるため、一度印字した情報を熱負荷により消して、再び新しい情報を印字することができるため、ラベルの再使用が可能となる。しかし、このような物流管理ラベルは情報を印字する量がラベルの大きさに限られてしまう。
【0003】
一方、近年においてはICタグと呼ばれる、書き換え可能な記憶装置を備えた無線通信用ICチップを使用したタグが注目されている。このICタグは内部に電子的な情報を保持することができ、従来のバーコード等と比較して、保持する情報量が多い、ICタグ内部の電子情報を書き換えることができるなどの特徴を持つ。ICタグにはこのような特徴があるが、専用の読取り装置を用いなければICチップに記憶された情報を確認することができない。そこで、ICタグに上記のような可逆性感熱記録材を用いた書き換え可能な可視情報記録機能を備えることができれば、ICタグの利便性はよりいっそう向上する。そこで特許文献1に、可逆性感熱記録層を有するラベルとICタグとを組み合わせたICタグラベルが提案されている。このICタグラベルは可逆性感熱記録層を有するものであり、さらにメモリ機能を持つICチップ(ICモジュール)及びアンテナを含む平板上のICインレットを内蔵している。このICタグラベルのICチップにはラベル表面に印字された情報の他に、そこに書ききれない多量の情報を書き込むことができる。
【0004】
また、特許文献1の他にもICタグと可逆性感熱記録材を組み合わせたICタグが提案されている。例えば特許文献2においては、ICインレットを内蔵したICタグラベルが提案されている。この特許文献2に提案されているICタグラベルにおいては表面に感熱記録材(可逆、不可逆どちらでも可)を有した支持体の上に粘着剤層、ICインレット、粘着剤層、剥離シートの順に積層されたものが提案されており、剥離シートをはがすことにより、粘着剤層が表面に現れるため、この粘着剤層によってダンボール箱などに貼り付けることができる。特許文献3においては、表面に可逆性感熱記録層を持つICカードが提案されている。このICカードにおいては、可逆性感熱記録層を有する支持体と、対向して貼り合わされるもう一つの支持体との間にICインレットを挟み込み、接着剤層によってICインレットを包み込むように2つの支持体を接着しているものである。このICカードにおいては、ICチップに書き込まれた情報の一部を利用者が目視によって確認できるように、カード表面に書き換え可能な可逆性感熱記録層が設けられている。
【0005】
【特許文献1】特開2007−80162号公報
【特許文献2】特開2002−99888号公報
【特許文献3】特開2002−163623号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
可逆性感熱記録層を有するICタグラベルは、可逆性感熱記録層に一度情報を印字すると再利用するために、洗浄液によって一旦洗浄して汚れを落とし、新たな情報をサーマルプリンタによって印字し、さらにICチップに情報を書き込む。このようなICタグラベルには優れた洗浄性、印字特性が要求される。洗浄性の向上のためには耐洗浄液性が高いことが望まれ、ICタグラベルの液密性が高く洗浄液が内部に侵入しないようにする必要がある。印字特性を向上させるためには、サーマルプリンタのヘッドとラベルの可逆性感熱記録面との間で接触性を向上させる必要がある。そのためには、ラベル表面の記録面においては適度な柔軟性と弾力性とがあることが良い。また、このようなICタグラベルは、床等に落ちた時につかみやすい方が望ましい。ICタグラベルのつかみやすさを良くするためには、手で上から摘み上げたときに曲がりやすいことが要求されるため、ICタグラベル全体に柔軟性があることが要求される。
【0007】
ICタグラベルを作製するには、可逆性感熱記録層を有する支持体と貼り合わせられる他の支持体との間にICインレットを挟みこみ、2つの支持体を接着しなければならない。支持体上に粘着剤層、ICインレット、粘着剤層、可逆性感熱記録層を有する支持体の順に積層するように、粘着剤によって2つの支持体を貼り合わせてICタグラベルを作製する(例えば特許文献2)と、柔軟性及び弾力性を有するラベルになる。これは、粘着剤には柔軟性と弾力性とがあるためである。しかし、この粘着剤を用いて構成したICタグラベルであると、洗浄したときに洗浄液が粘着剤層と支持体との接着面側方部分から当該接着面へ進入してきてしまい、ラベルがはがれたり、内蔵されているICチップが故障したりしてしまう原因になる。また、2つの支持体の間において、ICインレットを接着剤層によって包むようにICタグラベルを作製する(例えば特許文献3)と、液密性がよく、ラベルの耐洗浄液性は向上する。しかし、接着剤は硬くなってしまうため、ICタグラベルの柔軟性及び弾力性が悪くなり、印字特性、つかみやすさが悪化してしまう。
【0008】
そこで、本発明においては、優れた耐洗浄液性と印字特性と柔軟性とを有するICタグラベル及びその作製方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るICタグラベルは、
樹脂によって成形された第1の支持体上に、第1の粘着剤層、ICインレット、第2の粘着剤層、樹脂によって成形された第2の支持体の順に積層されたICタグラベルであって、
前記第2の支持体は外側表面に可逆性感熱記録層を有し、
前記第1の粘着剤層と前記ICインレットと前記第2の粘着剤層とによって構成された層構成の外周縁側方において、前記第1の支持体と前記第2の支持体との重ね合わせ内面が接着剤層によって接着されていることを特徴とする。
【0010】
この構成により、ICインレットの上下に第1の粘着剤層と第2の粘着剤層とが積層され、さらにその層構成の上下に、樹脂製の第1の支持体と第2の支持体とがそれぞれ積層されている。第1の粘着剤層とICインレットと第2の粘着剤層とによって構成される層の外周縁側方は、第1の支持体と第2の支持体との重ね合わせ内面において接着剤層によって液密に接着されている。また、第2の支持体は外側表面に可逆性感熱記録層を有しており、第1及び第2の支持体は樹脂によって成形されている。これにより、ICインレットの上下は樹脂製の第1及び第2の支持体によって、洗浄液の侵入が防止され、ICインレットの側方においても、第1の支持体と第2の支持体との重ね合わせ内面を液密に接着した接着剤層によって、洗浄液の侵入を防ぐことができる。よって、ICタグラベルの液密性を向上させることができる。さらに、本ICタグラベルの接着剤層の内側には、第1及び第2の粘着剤層が存在する。粘着剤は柔軟性と弾力性とを有する材料であるため、ICタグラベルの表面に粘着剤層による弾力性と柔軟性とを持たせることができる。これにより、プリンタヘッドとの接触性が良くなるため、ICタグラベルの印字特性が向上する。また、ICタグラベルが床等に落ちてしまった場合、ラベルの上から摘み上げて拾う必要がある。このためにはラベル全体に柔軟性があり、曲がりやすいラベルである必要がある。本ICタグラベルは粘着剤層の存在によりICタグラベル全体に柔軟性を与えることができるため、ICタグラベルが曲がりやすくなり、つかみやすさが向上する。
【0011】
また上記ICタグラベルは、可逆性感熱記録層を有する前記第2の支持体において、前記可逆性感熱記録層の印字領域が前記第1の粘着剤層、又は第2の粘着剤層の直上に位置するように構成するとよい。粘着剤層の直上を印字領域とすることによって、印字領域表面に柔軟性と弾力性とを与えることができる。印字領域表面に柔軟性と弾力性とがあると、プリンタヘッドの当たる部分が柔軟性によって適度に変形し、弾力性によって適度に密着するので、印字領域の表面とプリンタヘッドとの接触性が向上する。これによりプリンタヘッドから可逆性感熱記録層への熱の伝わり方が良くなるので、ICタグラベルの印字特性が向上する。
【0012】
さらに上記ICタグラベルにおいて、前記第1および/または第2の粘着剤層に代えて、中心基材の両表面に粘着剤層を塗布させた両面粘着性テープを用いても良い。ICタグラベルにこの両面粘着性テープによる柔軟性と弾力性とを持たせることができる。これにより、ICタグラベルの印字特性、つかみやすさが向上する。
【0013】
また、この上記両面粘着性テープには、ウレタン系樹脂によって成形された中心基材の両表面にアクリル系粘着剤を塗布したものを用いると良い。ウレタン系樹脂及びアクリル系粘着剤は柔軟性と弾力性のある材料であるため、ICタグラベルの印字特性、つかみやすさが向上する。
【0014】
上記ICタグラベルにおいて、接着剤層には、ポリアミド系樹脂接着剤、ポリエステル系樹脂接着剤、ポリウレタン系樹脂接着剤、エチレン酢酸ビニル系樹脂接着剤のいずれかを使用するとよい。これにより、樹脂によって成形された第1の支持体と第2の支持体とを液密に接着することができる。したがって、ICタグラベル側面における洗浄液の内部への侵入を防ぐことができ、ICタグラベルの液密性を向上させ、良好な耐洗浄液性を得ることができる。
【0015】
また、本発明に係るICタグラベル作製方法は、
第1の粘着剤層によってICインレットを貼り付けた樹脂製の第1の支持体と、外側表面に可逆性感熱記録層を有し、裏面に第2の粘着剤層が塗布された樹脂製の第2の支持体とを、枠状のホットメルト接着剤層によって接着してICタグラベルを作製するICタグラベル作製方法において、
前記第1の支持体に貼り付けられている前記ICインレットと、前記第2の支持体に塗布された前記第2の粘着剤層とを対向させ、前記枠状のホットメルト接着剤層の枠内に前記第1の粘着剤層と前記ICインレットと前記第2の粘着剤層とを収容するように、前記第1の支持体と前記第2の支持体とを重ねる工程と、
前記第1及び第2の支持体の外側から前記枠状のホットメルト接着剤層を加熱圧着して貼り合わせる工程と
を有することを特徴とする。
【0016】
この作製方法によれば、第1の粘着剤層によってICインレットを貼り付けた樹脂製の第1の支持体と、可逆性感熱記録層の反対側の面に第2の粘着剤層を塗布した樹脂製の第2の支持体とを、枠状のホットメルト接着剤層を用いて貼り合わせる。ここで、枠状のホットメルト接着剤層は第1の粘着剤層、ICインレット及び第2の粘着剤層が枠内に納まるように加工しておく。そして、第1及び第2の支持体を貼り合わせる段階において、第2の粘着剤層とICインレットとを向かい合わせて、ホットメルト接着剤層の枠内に、第1の粘着剤層とICインレットと第2の粘着剤層とを収容するようにして重ねて、外側より加熱圧着し貼り合わせる。この場合、ホットメルト接着剤は常温で固形であるため、液状の接着剤と比較して流動したりすることがないため、第1の粘着剤層とICインレットと第2の粘着剤層とを枠内に収容するにあたって、ホットメルト接着剤層の位置決めを行いやすい。
【0017】
また、この方法によって作製されたICタグラベルは、ICインレットの上下に第1の粘着剤層と第2の粘着剤層とが積層され、さらにその層構成の上下に、樹脂製の第1の支持体と第2の支持体とがそれぞれ積層される構成となる。第1の粘着剤層とICインレットと第2の粘着剤層とによって構成される層の外周縁側方は、前記第1の支持体と前記第2の支持体との重ね合わせ内面において枠状のホットメルト接着剤層によって液密に接着されている。これにより、ICインレットの上下は樹脂製の第1及び第2の支持体によって、洗浄液の侵入が防止され、ICインレットの側方においても、樹脂製の第1の支持体と第2の支持体とを液密に接着したホットメルト接着剤層によって、洗浄液の侵入を防ぐことができる。よって、液密性に優れたICタグラベルを作製することができる。さらに、本ICタグラベル作製法によって作製されたICタグラベルは、ホットメルト接着剤層の内側において、粘着剤層が存在する。粘着剤は柔軟性と弾力性とを有する材料であるため、ICタグラベルの表面に粘着剤層による弾力性と柔軟性とを持たせることができる。これにより、プリンタヘッドとの接触性が良くなるため、印字特性の優れたICタグラベルを作製することができる。また、ICタグラベルが床等に落ちてしまった場合、ラベルを上から摘み上げて拾う。このためにはラベル全体に柔軟性があり、曲がりやすいことが必要である。上記ICタグラベルは粘着剤層の存在によりICタグラベル全体に柔軟性を与えることができるため、ICタグラベルが曲がりやすくなり、つかみやすいICタグラベルを作製することができる。
【0018】
上記ICタグラベル作製方法では、前記第2の支持体の可逆性感熱記録層において、前記第1の粘着剤層、又は第2の粘着剤層の直上における領域に情報を印字する工程をさらに含ませると良い。これにより粘着剤層の上に印字領域が位置することになる。粘着剤は柔軟性と弾力性とを有する材料であるため、印字領域表面に適度な柔軟性と弾力性とを与えることができる。印字領域表面に柔軟性と弾力性とがあると、プリンタヘッドが当接したときに、その当接部が柔軟性によって適度に変形し、弾力性によって適度に密着するので、この印字領域表面とプリンタヘッドとの接触性が向上する。これにより、プリンタヘッドから可逆性感熱記録層への熱の伝わり方が良くなるため、良好な印字特性が得られるICタグラベルを作製することができる。
【0019】
上記ICタグラベル作製方法において、前記第1の粘着剤層によってICインレットを貼り付けた樹脂製の第1の支持体に代えて、中心基材の両表面に粘着剤を塗布させた両面粘着性テープによってICインレットを貼り付けた樹脂製の第1の支持体を使用しても良い。両面粘着性テープを使用すると、粘着剤を塗布する必要が無く、両面粘着性テープを貼り付ければよいため、粘着剤単体で使用するよりも取り扱いやすい。
【0020】
上記ICタグラベル作製方法において、前記外側表面に可逆性感熱記録層を有し、裏面に第2の粘着剤層が塗布された樹脂製の第2の支持体に代えて、外側表面に可逆性感熱記録層を有し、裏面に中心基材の両表面に粘着剤を塗布させた両面粘着性テープを貼り付けた樹脂製の支持体を使用しても良い。両面粘着性テープを使用すると、粘着剤を塗布する必要が無いので、取り扱いが容易である。
【0021】
また上記ICタグラベル作製方法において、両面粘着性テープはウレタン系樹脂からなる中心基材の両表面にアクリル系両面粘着性テープを塗布したものを使用しても良い。このような両面粘着性テープを使用することにより、第2の支持体やICインレットに粘着剤を直接塗布するよりも、容易にICタグラベルを作製することができる。
【0022】
上記ICタグラベル作製方法において、ホットメルト接着剤層として、ポリアミド系樹脂接着剤、ポリエステル系樹脂接着剤、ポリウレタン系樹脂接着剤、エチレン酢酸ビニル系樹脂接着剤のうちいずれかを使用すると良い。これらの接着剤は揮発性の有機溶剤などを含まず、接着剤の乾燥工程が不要であるため、ICタグラベルの生産性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、優れた耐洗浄液性と印字特性と柔軟性とを有するICタグラベル及びその作製方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明に係るICタグラベル及びその作製方法の好適な実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0025】
<第1実施形態>
[ICタグラベル]
図1は第1実施形態におけるICタグラベル100の平面図である。また、図2は図1に示すICタグラベル100のII−II断面図である。図1及び図2に示すようにICタグラベル100は、片方の面に、保護層20で被覆された書き換え可能な可逆性感熱記録層2を有している。ICタグラベル100の中央部にはICインレット200が内蔵されている。このICタグラベル100は支持体(第2の支持体)1と支持体(第1の支持体)3の間にICインレット200を挟みこむ構造をもつ。支持体1と支持体3の接着には粘着剤とホットメルト接着剤とが用いられる。すなわち、支持体1と支持体3とは、ICタグラベル100の中央において粘着剤層(第2の粘着剤層)5によって接着され、粘着剤層5の外周縁側方においては枠状のホットメルト接着剤層4によって接着されている。ICタグラベル100の大きさは縦×横が約90mm×150mmとなっており、全体の平均厚さは350μm程度である。ICタグラベル100の3つの角は丸められているが、他の角は斜めにカットされている。これは、可逆性感熱記録層2は片面にあるため、印字する面を確認するために一つだけ角を斜めにカットし、カットされた角の位置によってどちらが印字面であるか判別できるようにするためである。支持体1及び支持体3は、厚さ約100μmの白色PET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂によって成形される。
【0026】
支持体3の中央には粘着剤層6(第1の粘着剤層)によってICインレット200が貼り付けられている(図2参照)。このICインレット200は、絶縁性シート7上にアルミ等の導電性物質でアンテナパターン8が形成され、そのアンテナパターン8にICチップ9が接続されているものである。支持体1には可逆性感熱記録層2が形成されており、この面に情報を印字することができる。さらに、可逆性感熱記録層2の上には保護層20が形成されている。この保護層20は物理的接触等によって可逆性感熱記録層2が削れたり、はがれてしまったりすることを防ぐものである。この保護層20は、プリンタヘッドから可逆性感熱記録層2への熱伝導に対して、特に影響するものではない。この保護層20はアクリル樹脂によって厚さ3〜5μm程度に成形される。
【0027】
ICインレット200は粘着剤層5と粘着剤層6とに挟まれ、さらにその外側を樹脂製の支持体1と支持体3とによって挟まれている。ICインレット200の上下においては、樹脂製の支持体1と支持体3とによって洗浄液の進入を防止することができる。また、ICタグラベル100の側面においても、ホットメルト接着剤層4によって支持体1と支持体3とが液密に接着されているため、ICタグラベル100の側方においても内部に洗浄液が侵入することを防ぐことができる。ホットメルト接着剤層4は、粘着剤層5,6を囲んでいるため、粘着剤層がICタグラベル100の外側に露出していない。このためICタグラベル100を洗浄したときに、洗浄液が粘着剤層5と支持体1との接着面側方から当該接着面へと進入してしまうことが無い。また、洗浄液が粘着剤層5と支持体3との接着面側方から当該接着面へと進入してしまうことも無いため、支持体1,3同士がはがれることはない。
【0028】
図1で示すように、粘着剤層5がICタグラベル100全体に占める面積はホットメルト接着剤層4よりも大きくなっている。これによりICタグラベル100は粘着剤層5による柔軟性と弾力性とを持たせることができる。粘着剤層5によってICタグラベル100の表面に柔軟性と弾力性とを持たせることができるため、ICタグラベル100は印字特性に優れたラベルとなる。また、粘着剤層5の面積は、ICタグラベル100の多くの部分を占めている。ICインレット200は粘着剤層6によって貼り付けられており、この粘着剤層6も柔軟性を有するものである。さらに、ICインレット200も柔軟性を有する。よって、ICタグラベル100は粘着剤層5、粘着剤層6及びICインレット200の柔軟性により全体をやわらかくすることができる。ゆえに、床等に落ちたとき、ICタグラベル100の中央を上方に曲げながら手でつまみあげやすくなる。
【0029】
図3はICタグラベル100の可逆性感熱記録層2における印字領域300を示す平面図である。この図3においては二点鎖線で囲まれた領域が印字領域300となる。この印字領域300は粘着剤層5の直上の領域である(図2参照)。印字領域300が粘着剤層5の直上に位置することにより、印字領域300の表面に適度な柔軟性と弾力性とを与えることができる。これは、粘着剤は柔軟性と弾力性とを有する材料だからである。印字領域300の表面に柔軟性及び弾力性があると、プリンタヘッドが当接するときに、当接部分がその柔軟性によって適度に変形し、弾力性によって適度にプリンタヘッドに密着するため、プリンタヘッドから可逆性感熱記録層2への熱伝導性が向上する。これによりICタグラベル100に優れた印字特性を与えることができる。
【0030】
[接着剤]
ホットメルト接着剤層4(図2参照)には、ポリアミド系樹脂接着剤、ポリエステル系樹脂接着剤、ポリウレタン系樹脂接着剤、エチレン酢酸ビニル系樹脂接着剤のうちいずれかのホットメルト接着剤を用いる。ホットメルト接着剤は常温では固体であり、熱によって溶け、溶融状態で被着体に貼り付けられ、冷却することにより接着剤が固化する。ホットメルト接着剤層4は常温で枠状の固形物であるが、ホットメルト接着剤層4を支持体1と支持体3との間に介在させた状態で、支持体1と支持体3との外側からラミネータによって加熱圧着することによりホットメルト接着剤層4が溶け、その後、冷やすことによってホットメルト接着剤層4が固化することにより、2つの支持体1と支持体3とが液密に接着される。これによって、ICタグラベル100の洗浄を行ったときに、洗浄液がICタグラベル100内部に進入してくることを防ぐことができる。ホットメルト接着剤層4の厚さは約30μmである。ラミネータによって加熱圧着するときにおける温度は、接着剤の種類により決定されるが、例えばポリエステル系接着剤を使用する場合は、ラミロールの温度は120〜150℃程度に設定する。ホットメルト接着剤層4は硬いため、ICタグラベル100全体における柔軟性確保のためには、ホットメルト接着剤層4のラベル全体に占める面積をできるだけ小さくする事が望ましいが、液密性確保のため、少なくとも幅3mm程度を確保すると良い。
【0031】
[粘着剤]
粘着剤層5及び粘着剤層6にはアクリル系粘着剤を使用する。粘着剤層6はICインレット200のアンテナ8及びICチップ9が配置されている面に塗布されて形成され、ICインレット200を支持体3に接着する役割を有する。粘着剤層5は支持体1の下面に、ホットメルト接着剤層4が当接する領域を外して、その内側に塗布されて形成されるものであり、ICインレット200が支持体3に接着された状態で、ICインレット200を覆うように支持体1と支持体3とを接着する役割を有する。ICタグラベル100表面の記録領域300は、粘着剤層5の直上の領域としている。アクリル系粘着剤は柔軟性と弾力性とを有するゲル状物質であるため、ICタグラベル100に柔軟性と弾力性とを持たせることができる。
【0032】
[可逆性感熱記録層]
可逆性感熱記録層2(図2参照)には、ロイコ化合物タイプの感熱記録材を使用する。可逆性感熱記録層2は印刷等によって、感熱記録材を支持体1の表面に塗布することにより形成される。この可逆性感熱記録層2は特に厚さの制限はないが、一般的に4〜20μm程度である。可逆性感熱記録層2の上にはアクリル樹脂等で印刷等を用いて3〜5μm程度、保護層20をコーティングする。可逆性感熱記録層2に使用される感熱記録材は、加熱するときの温度、加熱時の昇温速度及び加熱後の冷却速度によって、発色と消色を行うことができる。ロイコ化合物タイプの感熱記録材は、樹脂母材(マトリックス)中に分散されたロイコ化合物と顕滅色剤の可逆的な発色反応を利用している。ロイコ化合物の具体例としては、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)フタリド、3,3−ビス(1,2−ジメチルインドール−3−イル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−ジメチルアミノ−6−クロロ−7−メチルフルオラン、3,3−ビス(9−エチルカルバゾール−3−イル―5)−ジメチルアミノフタリド、3−ジメチルアミノ−7−ジベンジルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(n−エチル−n−ニトリル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(n−エチル−n−テトラヒドロフリル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオランなどが挙げられ、単独或いはこれらを混合して用いる。
【0033】
顕滅色剤は、熱エネルギーの作用によりプロトンを可逆的に放出してロイコ化合物に対し顕色作用と滅色作用を併せ持つ化合物である。すなわち顕滅色剤は、フェノール性水酸基またはカルボキシル基からなる酸性基とアミノ基からなる塩基性基との双方を有し、熱エネルギーの違いにより酸性または塩基性となって上記ロイコ化合物を発色、消色させるものである。また、酸性基或いは塩基性基のいずれか一方の官能基を有する顕滅色剤として、例えば、アミノ安息香酸、o−アミノ安息香酸、4−アミノ−3−メチル安息香酸、3−アミノ−4−メチル安息香酸、2−アミノ−5−エチル安息香酸、3−アミノ−4−ブチル安息香酸、4−アミノ−3−メトキシ安息香酸、3−アミノ−4−エトキシ安息香酸、2−アミノ−5−クロロ安息香酸、4−アミノ−3−ブロモ安息香酸、2−アミノ−2−ニトロ安息香酸、4−アミノ−3−ニトロ安息香酸、3−アミノ−4−ニトリル安息香酸、アミノサリチル酸、ジアミノ安息香酸、2−メチル−5−アモノナフトエ酸、3−エチル−4−アミノナフトエ酸、ニコチン酸、イソニコチン酸、2−メチルニコチン酸、6−クロロニコチン酸等が挙げられる。また、塩基性基を塩化化合物の一部として有するものには、フェノール性水酸基またはカルボキシル基を有する化合物とアミノ基を有する化合物との塩または錯塩であり、例えばヒドロキシ安息香酸類、ヒドロキシサリチル酸類、没食子酸類、ビスフェノール酢酸等の酸と、脂肪族アミン類、フェニルアルキルアミン類、トリアリルアルキルアミン類等の塩基との塩または錯塩が挙げられる。この具体例としては、p−ヒドロキシ安息香酸−アルキルアミン塩、p−ヒドロキシ安息香酸−フェニルアルキルアミン塩、m−ヒドロキシ安息香酸−アルキルアミン塩、p−ヒドロキシ安息香酸メチル−アルキルアミン塩、p−ヒドロキシ安息香酸ステアリル−アルキルアミン塩、ビスフェノール酢酸−アルキルアミン、ビスフェノール酢酸オクチル−アルキルアミン塩等が挙げられ、単独或いは混合して用いられる。なお、ロイコ化合物及び顕滅色剤はこれらのものに限定されない。
【0034】
樹脂母材としては、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリウレア、メラミン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルブチラール等の樹脂の単独、混合或いは共重合体が用いられる。繰り返し印字消去耐性を向上させるために、樹脂母材に対応した三次元架橋する硬化剤、架橋剤などを樹脂母材に対して0.5〜10重量%添加すると良い。
【0035】
なお、可逆性感熱記録層2には、相変化タイプの感熱記録材を使用しても良い。相変化タイプの感熱記録材は、樹脂母材(マトリクス)に分散された有機低分子物質の結晶状態が変化することによって、白濁もしくは透明に変化するものである。相変化タイプの感熱記録材は、加熱するときの温度、加熱時の昇温速度及び加熱後の冷却速度によって、白濁状態と透明状態とを切り替えることができる。よって、この相変化タイプの可逆性感熱記録材を使用する場合は、可逆性感熱記録層2の下にアルミ等で着色層を設ける必要がある。ICタグラベル100に用いる支持体1は白色PETを使用しており、感熱記録材の白濁・透明状態が切り替わっても、下地が白では見えづらくなってしまうためである。着色層にアルミを用いた場合、透明な部分はアルミの色(銀)が現れ、白濁した部分が白抜き文字などで表現されることになる。相変化タイプの感熱記録材において、樹脂母材に分散される有機低分子物質としては脂肪酸、脂肪酸誘導体又は脂環式有機酸が挙げられる。さらに詳しくは、脂肪酸のうち飽和脂肪酸として、ジカルボン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチル酸、ヘプタデカン酸、ステアリン酸、ナノデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸等が挙げられる。不飽和脂肪酸の具体例としては、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、ソルビン酸、ステアロール酸等が挙げられる。なお、脂肪酸、脂肪酸誘導体又は脂環式有機酸は、これらに限定するものではなく、また、これらの内の2種類以上を混合させて使用することも可能である。
【0036】
また、相変化タイプの感熱記録材に用いられる樹脂母材としては、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロースアセテート系樹脂、ニトロセルロース系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂の単独、混合或いは共重合体などが用いられる。可逆性感熱記録層2の透明化温度範囲を制御するため、樹脂の可塑剤、高沸点溶媒等を樹脂母材に対し、0.1〜20重量%添加すると良い。さらに、可逆性感熱記録層2の繰り返し印字消去耐性を向上するために、樹脂母材に対応した三次元架橋する硬化剤、架橋剤等を樹脂母材に対し、0.5〜10重量%添加すると良い。
【0037】
[ICインレット]
図4はICタグラベル100に内蔵されるICインレット200の平面図であり、図5は図4に示すICインレット200のV−V断面図である。この図4において、ICインレット200は絶縁シート7上の一方の面にアンテナパターン8が形成されており、そのアンテナパターン8にICチップ9が接続されている。ICインレット200の大きさは、縦×横が約25×95mmである。ICチップ9はリーダ/ライタ装置との非接触無線通信機能及びメモリ機能を有する。よって、ICチップ9はリーダ/ライタ装置とアンテナパターン8を介して非接触無線通信ができると共に、各種情報を記憶することができる。絶縁シート7の厚さは約25〜40μmでありPET樹脂によって成形される。また、アンテナパターン8はアルミニウムによって形成され、厚さは約10〜20μmである。ICチップ9は、ICチップ固定用接着剤11によって絶縁シート7に固定されている。ICチップ9はアンテナパターン8と電気的に接続するための二つのバンプ10を有している。ICチップ固定用接着剤11は、二つのバンプ10間におけるICチップ9の裏面と絶縁シート7を接着している。このICチップ固定用接着剤11によってICチップ9が絶縁シート7に固定され、ICチップ9の有する二つのバンプ10とアンテナパターン8の端部が直接接触し、電気的に接続されることになる。ICインレット200の作製方法は、まず、アルミニウムのアンテナパターン8を接着剤層30によって絶縁シート7上に貼着する。このアンテナパターン8の形成はPETシート7にアルミニウム箔を接着剤で貼り合わせたシートにおいて、エッチング処理を行い、アンテナパターン8を形成するようにしてもよい。このようにしてアンテナパターン8を形成させた後、ICチップ固定用接着剤11によってICチップ9を実装する。アンテナパターン8は、アルミで形成する代わりに銅を用いても良い。
【0038】
ICチップ9を絶縁シート7に固定するための接着剤11の接着剤樹脂としては、例えば、天然ゴム(NR)、スチレン/ブタジエン共重合ゴム、ポリイソブチレン、イソブチレン−イソプレン共重合体、イソプレンゴム、ブタジエン重合体、スチレン/ブタジエン共重合体、スチレン/イソプレン共重合体、スチレン/イソプレン/スチレンブロックポリマー、スチレン/ブタジエン/スチレンブロックポリマー、クロロプレンゴム、ブタジエン/アクリロニトリル共重合ゴム、ブチルゴム、アクリル系ポリマー、ビニルエーテルポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体、ジメチルアミノエチル・メタクリル酸/ビニルピロリドン共重合体、ポリビニルカプロラクタム、ポリビニルピロリドン、無水マレイン酸共重合体、シリコーン系粘着剤(ポリビニルシロキサン)、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ゼラチン、シェラック、アラビアゴム、ロジン、ロジンエステル、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、パラフィン、トリステアリン、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル系樹脂、ビニル系樹脂、ポリイソブテン、ポリブタジエン、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル、ポリアミド、シリコーン、ポリスチレン、メラミン樹脂などの1種または2種以上の混合物を挙げることができる。
【0039】
接着剤層30に用いる接着剤としては、高分子有機物、低分子有機物、或いはこれらの複合体樹脂が用いられ、例えばポリエステルポリウレタン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリロニトリル−スチレン樹脂、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸メチル、ポリメチルメタクリレート、酢酸ビニル、ポリビニルアルコールなどである。エポキシ樹脂による接着剤を用いても良い。
【0040】
なお、ICチップ9とアンテナパターン8との接続には、異方導電性接着剤を用いても良い。異方導電性接着剤を用いる場合、ICチップ9の有する二つのバンプ10と、アンテナパターン8の端部にそれぞれ異方導電性接着剤を介して、電気的に接続されることになる。異方導電性接着剤は接着剤樹脂中に導電性粒子を分散させてなるものであり、厚さ方向にのみ導電性を得ることができる。この異方導電性接着剤の接着剤樹脂としては、ポリウレタン樹脂、ポリエステルポリウレタン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン樹脂、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸メチル、ポリメチルメタクリレート、酢酸ビニル、ポリビニルアルコールなどのビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、エポキシ樹脂などを単体あるいはそれらの混合体、複合体が使用できる。また、この接着剤樹脂中に分散させる導電性粒子としては、金(Au)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)、スズ(Sn)、あるいは非導電性の粒子、中空粒子、箔片の表面に導電性処理(Au、Ni、Al、Snなどによる物理的、あるいは化学的処理)をした粒子を用いることができる。また、アンテナパターン8にICチップ9を実装するにあたっては、超音波溶着によってアンテナパターン8とバンプ10との接合を行っても良い。機械的強度を上げるために、超音波溶着とICチップ固定用接着剤11を併用してもよい。この場合、ICチップ固定用接着剤11によって絶縁性シート7にICチップ9を固定した後、バンプ10とアンテナパターン8を超音波溶着によって接合する。
【0041】
[ICタグラベル作製法]
ICタグラベル100は図6〜図11で示すようにして、以下のような工程で作製される。
【0042】
(1)ICインレットシート400への粘着剤層の形成
図6は、ICインレットシート400の平面図、図7は粘着剤層6を形成させた後におけるICインレットシート400の断面図である。ICインレットシート400は図6に示すようにICインレット200が2列に並んでシート状に連なった状態のものである。図7に示すように、ICインレットシート400においてICチップが配置されている面に、アクリル系粘着剤を塗布して粘着剤層6を形成させ、その形成させた粘着剤層6に剥離シート12を貼り付ける加工を行う。この剥離シート12は、PET、発泡PET、ポリプロピレン、ポリプロピレンなどの樹脂フィルムや、ポリエチレンラミネート紙、グラシン紙、クレーコート紙などの片面に、剥離剤を塗布したものである。剥離シート12は、剥離剤が塗布された面と粘着剤層6とを向かい合わせて貼り付けられる。剥離剤としてはシリコーン系のものが好ましく、その他フッ素系、長鎖アルキル基含有カーバイト系等を使用することができる。剥離シートの厚さについては、特に制限はないが通常20〜150μm程度である。
【0043】
(2)ICインレットシート400の切断と支持体3へのICインレット200の貼り付け
図8はICインレット200を貼り付けた状態における支持体3の断面図である。図6及び図7に示す切断線500に沿って、上記(1)の工程で粘着剤層6の形成を行ったICインレットシート400を、粘着剤層6及び剥離シート12と共に切断し、ICインレット200を一つずつに分断する。図8に示すように分断したICインレット200において、粘着剤層6につけられた剥離シート12をはがし、外形を成形加工した支持体3の中央に、ICインレット200を粘着剤層6によって貼着する。
【0044】
(3)支持体1への粘着剤層の形成
図9は粘着剤層5を形成させた支持体1の断面図である。図9に示すように、可逆性感熱記録層2及び保護層20を形成させ外形を成形加工した支持体1において、可逆性感熱記録層2と反対の面にアクリル系粘着剤を塗布し、粘着剤層5を形成させた後、剥離シート13を粘着剤層5に貼り付ける加工を行う。このとき、粘着剤層5は支持体1の周縁部にホットメルト接着剤層4を接着する領域を残して形成させる。剥離シート13は剥離シート12と同様のものである。剥離シート13は剥離剤が塗布された面と粘着剤層5とを向かい合わせて貼り付けられる。
【0045】
(4)ホットメルト接着剤層4の加工
図10はホットメルト接着剤層4の斜視図、図11は、図10に示すホットメルト接着剤層4のXI−XI断面図である。図10及び図11に示すように、ホットメルト接着剤層4の加工を行う。ホットメルト接着剤層4は粘着剤層5の形に合わせて中央部分を型抜きした枠状のものである。ホットメルト接着剤層4の外形は支持体1及び支持体3の大きさに合わせて加工される。
【0046】
(5)支持体1と支持体3の貼り合わせ
図12は支持体1と支持体3とを貼り合わせる様子を示す断面図である。図12に示すように、粘着剤層5を形成させた支持体1において、剥離シート13(参照図9)をはがし、その支持体1に枠状のホットメルト接着剤層4を重ねる。このとき、ホットメルト接着剤層4は枠内にその支持体1の粘着剤層5が収まるように重ねる。粘着剤層5とICインレット200とを向かい合わせ、支持体1と支持体3とが互いにはみ出さないように外形の輪郭に合わせて重ね合わせ、ラミネータによって支持体1,3の外側表面から加熱圧着する。加熱圧着することにより、粘着剤層5によって支持体1と支持体3とを貼り合わせると共に、ホットメルト接着剤層4を溶かして、粘着剤層5の外周縁側方における支持体1と支持体3との重ね合わせ内面を接着する。
【0047】
なお、この貼り合わせ方法に代えて、支持体3をICインレット200が上面となるように配置し、この支持体3上にホットメルト接着剤層4を重ねて、上から支持体1に形成された粘着剤層5がホットメルト接着剤層4の枠内に納まるようにして支持体1と支持体3とを重ね合わせて支持体1,3の外側表面から加熱圧着して貼り合わせるようにしてもよい。
【0048】
(6)完成状態は図1及び図2のようになる。結果的に粘着剤層5、粘着剤層6、ICインレット200は、すべてホットメルト接着剤層4の枠内に収まる。
【0049】
この作製方法によって作製されるICタグラベル100は、粘着剤層5の直上の領域を印字領域300とし、印字領域300に各種情報を印字して使用する。これにより、印字領域300の表面に粘着剤層5による柔軟性と弾力性とを与えることができる。印字領域300の表面に柔軟性と弾力性とを持たせることによってプリンタヘッドの接触性がよくなり、良好な印字特性をもつICタグラベル100を作製することができる。ICタグラベル100は、全体に占める粘着剤層5の面積が大きい。またICインレット200も粘着剤層6によって支持体3に貼り付けられており、この粘着剤層6も柔軟性と弾力性とを有する。さらに、ICインレット200も柔軟性を有するものである。よって、ICタグラベル100にこの粘着剤層5、粘着剤層6及びICインレット200による柔軟性を与えることができる。これによりICタグラベル100が曲がりやすくなるため、床等に落ちたときに上から中央部分を曲げて摘み上げやすいICタグラベル100となる。ICタグラベル100において、粘着剤層5、ICインレット200、粘着剤層6によって構成される層の外周縁側方は、ホットメルト接着剤層4によって液密に接着されることとなる。またICインレット200、粘着剤層5、粘着剤層6の上下は樹脂製の支持体1と支持体3とによって挟まれている。このような構造により、粘着剤層5、粘着剤層6、ICインレット200は外側に露出することがない。これにより、ICタグラベル100を洗浄したときに、洗浄液が粘着剤層5と支持体1との接着面側方から当該接着面へと進入してしまうことが無い。また、洗浄液が粘着剤層5と支持体3との接着面側方から当該接着面へと進入してしまうことも無いため、支持体1,3同士がはがれることはない。
【0050】
このICタグラベル100の作製方法では、ホットメルト接着剤層4を使用して支持体1と支持体3とを接着する。ホットメルト接着剤は常温で固形であるため、液状の接着剤を使用する場合と比較し、流動しないため、粘着剤層5とICインレット200と粘着剤層6とをホットメルト接着剤層4の枠内に収めるにあたって、ホットメルト接着剤層4の位置決めを行いやすい。特にICタグラベル100においては、粘着剤層5が端部にはみ出してしまうと、洗浄液が内部に進入してしまう恐れがあるめ、粘着剤層5の外周縁側方はしっかりとホットメルト接着剤層4によって接着されている必要がある。ホットメルト接着剤層4は有機溶媒を用いないので、接着剤の乾燥工程が必要ない。また、生産工程の自動化が容易である。
【0051】
<第2実施形態>
[ICタグラベル]
第2実施形態について、第1実施形態と異なる点を中心に説明し、第1実施形態と同様の構成については説明を省略する。共通する構成は、同じ符号を付した。第1実施形態におけるICタグラベル100は、粘着剤層5及び粘着剤層6を用いて構成していた。第2実施形態ではこの粘着剤層5及び粘着剤層6に代えて、両面粘着性テープを用いてICタグラベル600を構成したものである。図13〜図18を参照して第2実施形態について説明する。図13は両面粘着性テープ50,60を用いて構成したICタグラベル600の断面図である。ICタグラベル600の平面図は第1実施形態における図1と同様である。第2実施形態では第1実施形態と比較して、粘着剤層5に代えて両面粘着性テープ50を使用し、粘着剤層6に代えて両面粘着性テープ60を使用する。両面粘着性テープ50,60は中心基材の両表面に粘着剤を塗布した構造であるため、三層構造となる。図13において、両面粘着性テープ50は中心基材15の両表面にそれぞれ粘着剤層14及び粘着剤層16を塗布したものである。また、両面粘着性テープ60は中心基材18の両表面にそれぞれ粘着剤層17及び粘着剤層19を塗布したものである。両面粘着性テープ50は支持体1の可逆性感熱記録層2と反対の面に貼られ、支持体1と支持体3とを貼り付けており、さらにこの両面粘着性テープ50の外周縁側方を、ホットメルト接着剤層4によって支持体1と支持体3とは接着されている。ICインレット200は両面粘着性テープ60によって支持体3に貼り付けられている。ホットメルト接着剤層4には30〜50μmの厚さのものを用いることができる。ホットメルト接着剤層4の形状は第1実施形態のものと同様であり、その接着剤も第1実施形態と同様の材料である。
【0052】
[両面粘着性テープ]
両面粘着性テープ50は、中心基材15にウレタン系樹脂を使用し、その両表面にそれぞれアクリル系粘着剤を使用して粘着剤層14及び粘着剤層16を形成させたものを用いている。両面粘着性テープ60においても、中心基材18をウレタン系樹脂とし、その両表面にそれぞれアクリル系粘着剤を使用して粘着剤層17及び粘着剤層19を形成させたものである。ウレタン系樹脂製の中心基材15,18の厚さは12〜25μm、基材15,18の両表面にそれぞれ塗布されるアクリル系粘着剤層14,16,17,19の厚さは15〜25μmである。よって、各両面粘着性テープ50,60の厚さは42〜75μm程度となる。第2実施形態においてはホットメルト接着剤層4の厚さが30〜50μmであるので、その厚さに合う両面粘着性テープを選ぶことになる。第2実施形態におけるICタグラベル600は、両面粘着性テープ50の直上の領域を印字領域300としている(図13参照)。両面粘着性テープ50に使用されるウレタン系樹脂、アクリル系粘着剤は、共に柔軟性と弾力性とを有する材料である。よって、ICタグラベル600の印字領域300の表面に、この両面粘着性テープ50による適度な柔軟性と弾力性とを与えることができ、良好な印字特性を得ることができる。また、両面粘着性テープ50による柔軟性によって、ICタグラベル600は柔軟性が確保された曲がりやすいラベルになるため、ラベルが床等に落ちた場合に上からラベルの中央部分を曲げて手で摘み上げやすいICタグラベル600となる。
【0053】
[ICタグラベル作製方法]
第2実施形態におけるICタグラベル600の作製方法を、図14〜図18を参照して説明する。
【0054】
(1)ICインレットシート400への両面粘着性テープ60の貼り付け
図14は両面粘着性テープ60をICインレットシート400に貼着する様子を図示した断面図である。また、図15は両面粘着性テープ60をICインレットシート400に貼着した状態の断面図である。図14に示すように、上面に剥離シート21がつけられた両面粘着性テープ60の下面側の粘着剤層17とICインレットシート400のICチップ9が配置されている面とを対向させて、両面粘着性テープ60とICインレットシート400とを貼り付ける。この工程に用いるICインレットシート400の平面図は、第1実施形態の図6と同様である。ICインレットシート400に両面粘着性テープ60を貼り付けた後の断面図は図15のようになる。この状態において、ICインレットシート400には両面粘着性テープ60が貼られており、剥離シート21が両面粘着性テープ60の粘着剤層19につけられている。なお、剥離シート21は、第1実施形態に用いられる剥離シート12,13と同様のものであり、剥離剤が塗布された面と粘着剤層19とを向かい合わせて貼り付けられているものである。
【0055】
(2)ICインレットシート400の切断と支持体3へのICインレット200の貼り付け
図16はICインレット200を支持体3に貼着した状態における断面図である。図15に示す、切断線500に沿って両面粘着性テープ60、剥離シート21と共にICインレットシート400の切断を行う。このとき、第1実施形態における作製方法と同様に、ICインレット200を一個ずつに分断する(参照図6)。切断加工を行った後、ICインレット200に貼り付けられた両面粘着性テープ60の剥離シート21をはがし、図16に示すように、外形を成形加工した支持体3の中央に、両面粘着性テープ60を介してICインレット200を貼着する。
【0056】
(3)支持体1への両面粘着性テープ50の貼り付け
図17は支持体1への両面粘着性テープ50の貼り付けを行った後の断面図である。図17に示すように、可逆性感熱記録層2及び保護層20を形成させ外形を成形加工した支持体1において、可逆性感熱記録層2の反対面と、上面に剥離シート22がつけられた両面粘着性テープ50の下面側の粘着剤層14とを向かい合わせるようにして、支持体1に両面粘着性テープ50を貼り付ける。このとき、両面粘着性テープ50は支持体1の周縁部にホットメルト接着剤層4を接着する領域を残して貼り付ける。また、剥離シート22は、第1実施形態における剥離シート12,13と同様のものであり、剥離剤が塗布された面と粘着剤層14とを向かい合わせて貼り付けられているものである。
【0057】
(4)ホットメルト接着剤層4の加工
第1実施形態と同様の、ホットメルト接着剤層4の加工を行う(参照図10、図11)。ホットメルト接着剤層4は両面粘着性テープ50の形に合わせて中央部分を型抜きした枠状のものである。ホットメルト接着剤層4の外形は支持体1及び支持体3の大きさに合わせて加工される。
【0058】
(5)支持体1と支持体3の貼り合わせ
図18は支持体1と支持体3とを貼り合わせる様子を図示した断面図である。図18に示すように、両面粘着性テープ50を貼り付けた支持体1において、剥離シート22(参照図17)をはがし、その支持体1に枠状のホットメルト接着剤層4を重ねる。このとき、ホットメルト接着剤層4は枠内に支持体1の両面粘着性テープ50が収まるように重ねる。両面粘着性テープ50とICインレット200とを向かい合わせ、支持体1と支持体3とが互いにはみ出さないように外形の輪郭に合わせて重ね合わせ、ラミネータによって支持体1,3の外側表面から加熱圧着する。加熱圧着することにより、両面粘着性テープ50によって支持体1と支持体3とを貼り合わせると共に、ホットメルト接着剤層4を溶かして、両面粘着性テープ50の外周縁側方における支持体1と支持体3との重ね合わせ内面を接着する。
【0059】
なお、この貼り合わせ方法に代えて、支持体3をICインレット200が上面となるように配置し、この支持体3上にホットメルト接着剤層4を重ねて、上から支持体1に貼られた両面粘着性テープ50が、ホットメルト接着剤層4の枠内に納まるようにして支持体1と支持体3とを重ね合わせて、支持体1,3の外側表面から加熱圧着して貼り合わせるようにしてもよい。
【0060】
(6)このような作製方法によって図13に示すようなICタグラベル600が完成する。
【0061】
この作製方法によって作製されたICタグラベル600においても、両面粘着性テープ50、ICインレット200、両面粘着性テープ60の上下は樹脂製の支持体1と支持体3とによって挟まれている。また両面粘着性テープ50、ICインレット200、両面粘着性テープ60によって構成される層の外周縁側方はホットメルト接着剤層4によって液密に接着されることになる。このような構造により、両面粘着性テープ50、ICインレット200及び両面粘着性テープ60は外側に露出することがない。ICインレット200はその上下において樹脂製の支持体1と支持体3とに挟まれることによって、洗浄液にさらされることを防ぐことができ、またその側方においてもホットメルト接着剤層4によって洗浄液にさらされることを防止することができる。両面粘着性テープ50は外部に露出しないため、洗浄液が両面粘着性テープ50の粘着剤層16と支持体3との接着面側方から当該接着面へ進入してしまうことが無く、両面粘着性テープ50が支持体3からはがれてしまうことはない。また、洗浄液が両面粘着性テープ50の粘着剤層14と支持体1との接着面側方から当該接着面に進入してしまうことは無いため、両面粘着性テープ50が支持体1からはがれてしまうこともない。このような構成により、ICタグラベル600の耐洗浄液性が向上する。
【0062】
ICタグラベル600においては、両面粘着性テープ50が支持体1における印字領域300の直上に位置する(参照図13)ことによって、印字領域300の表面に両面粘着性テープ50による柔軟性と弾力性とを持たせることができる。これは両面粘着性テープ50を構成する中心基材15と粘着剤層14,16とが柔軟性及び弾力性を有するためである。記録領域300の表面に柔軟性と弾力性とがあると、プリンタヘッドが当接する部分が柔軟性によって適度に変形し、弾力性によって適度にプリンタヘッドに密着するので、当接部分の熱伝導性が良くなり、良好な印字特性をもつICタグラベル600を作製することができる。ICタグラベル600において、両面粘着性テープ50が全体に占める割合は大きい。また、両面粘着性テープ60も柔軟性を有するものであるため、この両面粘着性テープ50,60のもつ柔軟性によって、曲がりやすいICタグラベル600にすることができる。ICタグラベル600が中央で曲がりやすいと、床等に落ちてしまったときに上から中央を曲げて手で摘み上げやすくなる。両面粘着性テープ50,60を使用すると、粘着剤を支持体等に塗布する必要が無い。両面粘着性テープ50,60は中心基材15,18によって、粘着剤層14,16,17,19が固定されているので、両面粘着性テープ50,60を支持体等に貼り付けるだけでよく、粘着剤単体よりも取り扱いやすくなり、容易にICタグラベル600を作製することができる。
【0063】
<ICタグラベル及びその作製方法による作用効果>
上記第1及び第2実施形態におけるICタグラベル100,600は、中央部分に粘着剤層5もしくは両面粘着性テープ50を使用し、その側方をホットメルト接着剤層4によって支持体1と支持体3とを接着する構成にすることで、ICインレット200の上下を支持体1と支持体3とによって挟み込み、その側方をホットメルト接着剤層4によって密封することにより、洗浄液が内部に侵入してくることを防止し、耐洗浄液性の優れたICタグラベルにすることができる。また、ICタグラベル100,600の中央部分を、粘着剤層5または両面粘着性テープ50にすることによって、粘着剤層5または両面粘着性テープ50による柔軟性と弾力性とによる印字特性、つかみやすさに優れたICタグラベルにすることができる。上記第1及び第2実施形態におけるICタグラベル作製方法によって、耐洗浄性、印字特性、つかみやすさに優れたICタグラベル100,600を作製することができる。また、ホットメルト接着剤層4を使用することによって液状の接着剤と比較してホットメルト接着剤層4の位置決めを行いやすくすることができる。
【0064】
なお、本発明は上記実施形態に限られない。
【0065】
上記第1実施形態では、粘着剤層5,6を使用してICタグラベル100を構成しており、第2実施形態においては粘着剤層5,6の両方を両面粘着性テープ50,60に置き換えてICタグラベル600を構成しているが、片方の粘着剤層のみを両面粘着性テープに置き換えても良い。例えば、第1実施形態において粘着剤層5に代えて、両面粘着性テープ50を使用し、粘着剤層6はそのまま使用してICタグラベルを構成しても良い。このようなICタグラベルを作製する場合は、第1実施形態におけるICタグラベル100の作製方法において、「(3)支持体1への粘着剤層の形成」の工程を、第2実施形態の「(3)支持体1への両面粘着性テープ50の貼り付け」工程と置き換えることによって、ICタグラベルを作製することができる。
【0066】
また逆に、第1実施形態においてICタグラベル100の粘着剤層6に代えて、両面粘着性テープ60を使用し、粘着剤層5はそのまま使用してICタグラベルを構成するようにしても良い。この場合におけるICタグラベル作製方法としては、第1実施形態におけるICタグラベル100の作製方法において、「(1)ICインレットシート400への粘着剤層の形成」および「(2)ICインレットシート400の切断と支持体3へのICインレット200の貼り付け」の工程を、第2実施形態の「(1)ICインレットシート400への両面粘着性テープ60の貼り付け」及び「(2)ICインレットシート400の切断と支持体3へのICインレット200の貼り付け」の工程に置き換えることによって作製することができる。
【0067】
また、粘着剤層5,6及び両面粘着性テープ50,60の大きさは、上記実施形態に限られない。図19は、ICタグラベル100に用いられている粘着剤層5,6の大きさを変えた、粘着剤層23,24を用いて構成したICタグラベル700の断面図である。この粘着剤層23,24は、第1実施形態におけるICタグラベル100の粘着剤層5,6とは大小関係が逆転しており、粘着剤層24は粘着剤層23よりも面積が大きい。ICタグラベル700において、粘着剤層(第1の粘着剤層)24はICインレット200を支持体3に貼り付けていると共に、支持体1と支持体3とを貼り合わせている。さらに、ICインレット200は粘着剤層(第2の粘着剤層)23を介して、支持体1に貼り付けられている。ICタグラベル700においては、粘着剤層24の直上を印字領域300としているが、粘着剤層23の直上領域も含んでいる。よって、印字領域300の表面に粘着剤層23,24による柔軟性と弾力性とを与えることができるため、ICタグラベル700は印字特性に優れた物となる。むろん、粘着剤層23,24のいずれか又は両方に代えて両面粘着性テープを使用し、ICタグラベルを構成しても良い。
【0068】
上記実施形態ではホットメルト接着剤層4を用いたが、液状の接着剤を用いても良い。たとえばエチレン酢酸ビニル樹脂エマルジョン接着剤、エポキシ樹脂系接着剤などが使用できる。また、上記第1及び第2実施形態においてはICタグラベル100及びICタグラベル600は長方形のラベルであったが、ラベルの形状は長方形に限らず、三角形、多角形、台形、平行四辺形、円形、楕円形等であってもよい。例えば円形のICタグラベルにする場合は、ホットメルト接着剤層4を輪のような状態に加工し、その内側に粘着剤層5、ICインレット200及び粘着剤層6が配置するように構成すればよい。上記実施形態では、支持体1と支持体3とに白色PETを用いたが、脆性ではないプラスチックであれば任意のプラスチック支持体を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】第1実施形態におけるICタグラベル100の平面図である。
【図2】図1に示すICタグラベル100のII−II断面図である。
【図3】図1及び図2に示すICタグラベル100の印字領域300を表した図である。
【図4】ICインレット200の平面図である。
【図5】図4に示すICインレット200のV−V断面図である。
【図6】ICインレットシート400の平面図である。
【図7】粘着剤層6を形成させたICインレットシート400の断面図である。
【図8】第1実施形態において、支持体3にICインレット200を貼り付けた状態の断面図である。
【図9】第1実施形態において、粘着剤層5を形成させた後の支持体1の断面図である。
【図10】ホットメルト接着剤層4の斜視図である。
【図11】図10に示すホットメルト接着剤層4のXI−XI断面図である。
【図12】第1実施形態において、支持体1と支持体3の貼り合わせの様子を示す断面図である。
【図13】第2実施形態におけるICタグラベル600の断面図である。
【図14】第2実施形態において、ICインレットシート400に両面粘着性テープ60を貼り付ける様子を示す断面図である。
【図15】第2実施形態において、ICインレットシート400に両面粘着性テープ60を貼り付けた状態における断面図である。
【図16】第2実施形態において、支持体3にICインレット200を貼り付けた状態における断面図である。
【図17】第2実施形態において、支持体1に両面粘着性テープ50を貼り付けた後の状態を示す断面図である。
【図18】第2実施形態において、支持体1と支持体3を貼り付ける様子を示す断面図である。
【図19】ICタグラベル700の断面図である。
【符号の説明】
【0070】
1,3…支持体
2…可逆性感熱記録層
4…ホットメルト接着剤層
5,6…粘着剤層
7…絶縁シート
8…アンテナパターン
9…ICチップ
10…バンプ
11…ICチップ固定用接着剤
12,13,21,22…剥離シート
14,16,17,19…粘着剤層
15,18…中心基材
20…保護層
23,24…粘着剤層
30…接着剤層
50,60…両面粘着性テープ
100,600,700…ICタグラベル
200…ICインレット
300…印字領域
400…ICインレットシート
500…切断線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂によって成形された第1の支持体上に、第1の粘着剤層、ICインレット、第2の粘着剤層、樹脂によって成形された第2の支持体の順に積層されたICタグラベルであって、
前記第2の支持体は外側表面に可逆性感熱記録層を有し、
前記第1の粘着剤層と前記ICインレットと前記第2の粘着剤層とによって構成された層構成の外周縁側方において、前記第1の支持体と前記第2の支持体との重ね合わせ内面が接着剤層によって接着されていることを特徴とするICタグラベル。
【請求項2】
前記第2の支持体において、前記可逆性感熱記録層の印字領域が前記第1の粘着剤層、又は第2の粘着剤層の直上に位置することを特徴とする請求項1に記載のICタグラベル。
【請求項3】
前記第1および/または第2の粘着剤層に代えて、中心基材の両表面に粘着剤を塗布した両面粘着性テープを用いて構成する請求項1又は2に記載のICタグラベル。
【請求項4】
前記両面粘着性テープは、ウレタン系樹脂によって成形された中心基材の両表面にアクリル系粘着剤が塗布されたものであることを特徴とする請求項3に記載のICタグラベル。
【請求項5】
前記接着剤層は、ポリアミド系樹脂接着剤、ポリエステル系樹脂接着剤、ポリウレタン系樹脂接着剤、エチレン酢酸ビニル系樹脂接着剤のいずれかであることを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか一項に記載のICタグラベル。
【請求項6】
第1の粘着剤層によってICインレットを貼り付けた樹脂製の第1の支持体と、外側表面に可逆性感熱記録層を有し、裏面に第2の粘着剤層が塗布された樹脂製の第2の支持体とを、枠状のホットメルト接着剤層によって接着してICタグラベルを作製するICタグラベル作製方法において、
前記第1の支持体に貼り付けられている前記ICインレットと、前記第2の支持体に塗布された前記第2の粘着剤層とを対向させ、前記枠状のホットメルト接着剤層の枠内に前記第1の粘着剤層と前記ICインレットと前記第2の粘着剤層とを収容するように、前記第1の支持体と前記第2の支持体とを重ねる工程と、
前記第1及び第2の支持体の外側から前記枠状のホットメルト接着剤層を加熱圧着して貼り合わせる工程と
を有することを特徴とするICタグラベル作製方法。
【請求項7】
前記第2の支持体の前記可逆性感熱記録層において、前記第1の粘着剤層、又は第2の粘着剤層の直上における領域に情報を印字する工程をさらに含むことを特徴とする請求項6に記載のICタグラベル作製方法。
【請求項8】
前記第1の粘着剤層によってICインレットを貼り付けた樹脂製の第1の支持体に代えて、中心基材の両表面に粘着剤を塗布された両面粘着性テープによってICインレットを貼り付けた樹脂製の第1の支持体を使用することを特徴とする請求項6又は7に記載のICタグラベル作製方法。
【請求項9】
前記外側表面に可逆性感熱記録層を有し、裏面に第2の粘着剤層が塗布された樹脂製の第2の支持体に代えて、外側表面に可逆性感熱記録層を有し、裏面に中心基材の両表面に粘着剤を塗布させた両面粘着性テープを貼り付けた樹脂製の第2の支持体を使用することを特徴とする請求項6〜8のうちうずれか一項に記載のICタグラベル作製方法。
【請求項10】
前記両面粘着性テープとして、ウレタン系樹脂によって成形された中心基材の両表面にアクリル系粘着剤が塗布された両面粘着性テープを使用することを特徴とする請求項8又は9に記載のICタグラベル作製方法。
【請求項11】
前記ホットメルト接着剤層として、ポリアミド系樹脂接着剤、ポリエステル系樹脂接着剤、ポリウレタン系樹脂接着剤、エチレン酢酸ビニル系樹脂接着剤のうちいずれかを使用することを特徴とする請求項6〜10のうちいずれか一項に記載のICタグラベル作製方法。
【請求項1】
樹脂によって成形された第1の支持体上に、第1の粘着剤層、ICインレット、第2の粘着剤層、樹脂によって成形された第2の支持体の順に積層されたICタグラベルであって、
前記第2の支持体は外側表面に可逆性感熱記録層を有し、
前記第1の粘着剤層と前記ICインレットと前記第2の粘着剤層とによって構成された層構成の外周縁側方において、前記第1の支持体と前記第2の支持体との重ね合わせ内面が接着剤層によって接着されていることを特徴とするICタグラベル。
【請求項2】
前記第2の支持体において、前記可逆性感熱記録層の印字領域が前記第1の粘着剤層、又は第2の粘着剤層の直上に位置することを特徴とする請求項1に記載のICタグラベル。
【請求項3】
前記第1および/または第2の粘着剤層に代えて、中心基材の両表面に粘着剤を塗布した両面粘着性テープを用いて構成する請求項1又は2に記載のICタグラベル。
【請求項4】
前記両面粘着性テープは、ウレタン系樹脂によって成形された中心基材の両表面にアクリル系粘着剤が塗布されたものであることを特徴とする請求項3に記載のICタグラベル。
【請求項5】
前記接着剤層は、ポリアミド系樹脂接着剤、ポリエステル系樹脂接着剤、ポリウレタン系樹脂接着剤、エチレン酢酸ビニル系樹脂接着剤のいずれかであることを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか一項に記載のICタグラベル。
【請求項6】
第1の粘着剤層によってICインレットを貼り付けた樹脂製の第1の支持体と、外側表面に可逆性感熱記録層を有し、裏面に第2の粘着剤層が塗布された樹脂製の第2の支持体とを、枠状のホットメルト接着剤層によって接着してICタグラベルを作製するICタグラベル作製方法において、
前記第1の支持体に貼り付けられている前記ICインレットと、前記第2の支持体に塗布された前記第2の粘着剤層とを対向させ、前記枠状のホットメルト接着剤層の枠内に前記第1の粘着剤層と前記ICインレットと前記第2の粘着剤層とを収容するように、前記第1の支持体と前記第2の支持体とを重ねる工程と、
前記第1及び第2の支持体の外側から前記枠状のホットメルト接着剤層を加熱圧着して貼り合わせる工程と
を有することを特徴とするICタグラベル作製方法。
【請求項7】
前記第2の支持体の前記可逆性感熱記録層において、前記第1の粘着剤層、又は第2の粘着剤層の直上における領域に情報を印字する工程をさらに含むことを特徴とする請求項6に記載のICタグラベル作製方法。
【請求項8】
前記第1の粘着剤層によってICインレットを貼り付けた樹脂製の第1の支持体に代えて、中心基材の両表面に粘着剤を塗布された両面粘着性テープによってICインレットを貼り付けた樹脂製の第1の支持体を使用することを特徴とする請求項6又は7に記載のICタグラベル作製方法。
【請求項9】
前記外側表面に可逆性感熱記録層を有し、裏面に第2の粘着剤層が塗布された樹脂製の第2の支持体に代えて、外側表面に可逆性感熱記録層を有し、裏面に中心基材の両表面に粘着剤を塗布させた両面粘着性テープを貼り付けた樹脂製の第2の支持体を使用することを特徴とする請求項6〜8のうちうずれか一項に記載のICタグラベル作製方法。
【請求項10】
前記両面粘着性テープとして、ウレタン系樹脂によって成形された中心基材の両表面にアクリル系粘着剤が塗布された両面粘着性テープを使用することを特徴とする請求項8又は9に記載のICタグラベル作製方法。
【請求項11】
前記ホットメルト接着剤層として、ポリアミド系樹脂接着剤、ポリエステル系樹脂接着剤、ポリウレタン系樹脂接着剤、エチレン酢酸ビニル系樹脂接着剤のうちいずれかを使用することを特徴とする請求項6〜10のうちいずれか一項に記載のICタグラベル作製方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2009−252193(P2009−252193A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−103065(P2008−103065)
【出願日】平成20年4月11日(2008.4.11)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年4月11日(2008.4.11)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
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