説明

ICタグ体、ICタグ体を保持するICタグホルダおよびこれらの製造方法

【課題】ICタグ体に埋設されたICタグの劣化を防止すること。
【解決手段】ICタグ12と、ICタグ12を保持するICタグホルダ14と、を有するICタグ体10において、ICタグホルダ14は、頭部24と、ネジ部26とを備える略ボルト形状を有しており、頭部24の外周に、径方向外方に向かって突出すると共に、等間隔に配列された突出部28を3の倍数分設け、頭部24のネジ部26とは反対となる端面24bに、頭部24の中心軸線Cを中心とした真円状に形成された円形凹部22を設け、その円形凹部22に円形状のICタグ12を配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触でデータの読み書きを行うことが可能なICタグ体、およびICタグ体を保持するICタグホルダおよびこれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ICチップを備えたICタグは、土地や建物等の施設管理または工場の生産管理等の様々な分野において利用されている。ICタグはリーダとの間で、信号を送受信することによってデータの交信を行うことが可能である。したがって、リーダがICタグから少し離れた状態でも、リーダとICタグとの間で管理情報等のデータを送受信することが可能である。また、一般的にICタグは、枠等のハウジングを介して、目的とする場所に配置される。
【0003】
特許文献1には、路面上に差し込むための差し込み突端部と、路面から露出するボルト頭とを有し、該ボルト頭の上部に設けられた凹部に記憶媒体が埋設されたピン型標識装置が開示されている。このピン型標識装置では、記憶媒体は凹部の開口上端周縁部を内方側に圧縮成形させることによって、ボルト頭に保持されている。また、特許文献2には、ボルトの頭部に所望の直径と深さの孔を設け、その孔にICタグを埋め込んだタグ付きボルトが開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2001−195022号公報(図2)
【特許文献2】特開2006−39991号公報(図5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されているピン型標識装置では、凹部の開口上端周縁部を内方側に圧縮成形させることによって、記憶媒体をボルト頭に保持している。そのため、凹部の形状を記憶媒体と隙間なく嵌まり合うような形状とすることは困難である。その結果、記憶媒体とボルト頭との間の隙間に異物が混入し、記憶媒体の外側部分を構成する封止材の劣化を招くといった問題がある。また、特許文献2に開示されているタグ付きボルトでは、ボルトの頭部に所望の直径と深さの孔を設けているが、市販のボルトを購入し、該ボルトの頭部にその孔を形成する場合、当該孔を真円状に形成することは、極めて困難である。これは、ボルトの外形が偏心していることによる。このように、市販のボルトに孔を形成し、当該孔にICタグを埋め込むと、頭部とICタグとの間に隙間が生じる。その結果、ICタグと頭部との間の隙間に異物が混入し、ICタグの外側部分を構成する封止材の劣化を招くといった問題がある。
【0006】
本発明は、かかる問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ICタグの劣化を防止することを可能とするICタグ体およびその製造方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、ICタグと、ICタグを保持するICタグホルダと、を有するICタグ体において、ICタグホルダは、頭部と、ネジ部とを備える略ボルト形状を有しており、頭部の外周には、径方向外方に向かって突出すると共に、等間隔に配列された突出部が3のn倍(nは1以上の整数)の数だけ設けられ、頭部のネジ部とは反対となる端面には、頭部の中心軸線を中心とした真円状に形成された円形凹部が設けられ、その円形凹部に円形状のICタグが配置されているものである。
【0008】
このように構成した場合には、円形凹部が真円状に形成されているため、ICタグが円形凹部に隙間なく嵌まる。その結果、頭部とICタグとの間に異物が混入することがなくなり、ICタグが劣化するのを防止できる。また、頭部の外周に、等間隔に配列された突出部が3のn倍(nは1以上の整数)の数だけ設けられているため、ICタグホルダに円形凹部を形成する際、ICタグホルダの元となる部材を、3点、6点または9点等の3のn倍の点で支持することが可能となる。したがって、安定した状態でICタグホルダの元となる部材を支持することが可能となり、その後に、円形凹部を形成する場合、該部材がガタついたり偏心運動したりすることを防止できる。その結果、円形凹部を真円状に形成することが可能となる。さらに、突出部が3点や9点であれば、特殊なものとなり、取り外しが困難となり長期間の固定が可能となる。また、突出部が6点であると、特殊なものとならず、コスト的に有利である。
【0009】
また、他の発明は、上述の発明に加えて更に、突出部の平面形状を、円弧状または台形の形状としたものである。このように構成した場合には、突出部が特殊な形状となるため、ICタグ体の土地や建物等からの取り外しが困難となる。
【0010】
さらに、他の発明は、頭部と、ネジ部とを備えるICタグを保持するICタグホルダにおいて、頭部のネジ部とは反対となる端面には、頭部の中心軸線を中心とした真円状に形成された円形凹部が設けられると共に、頭部の径方向外方に向かって3のn倍(nは1以上の整数)の数だけ突出する突出部を有するものである。
【0011】
このように構成した場合には、円形凹部が真円状に形成されているため、ICタグが円形凹部に隙間なく嵌まる。その結果、頭部とICタグとの間に異物が混入することがなくなり、ICタグが劣化するのを防止できる。また、頭部の外周に、突出部が3のn倍(nは1以上の整数)の数だけ設けられているため、ICタグホルダに円形凹部を形成する際、ICタグホルダの元となる部材を、3点、6点または9点等の3のn倍の点で支持することが可能となる。したがって、安定した状態でICタグホルダの元となる部材を支持することが可能となり、その後に、円形凹部を形成する場合、該部材がガタついたり偏心運動したりすることを防止できる。その結果、円形凹部を真円状に形成することが可能となる。さらに、突出部が3点や9点であれば、特殊なものとなり、取り外しが困難となり長期間の固定が可能となる。また、突出部が6点であると、特殊なものとならず、コスト的に有利である。
【0012】
また、他の発明は、非接触でデータの読み書きを行うことが可能なICタグを有するICタグ体の製造方法において、その径方向外方に向かって突出する突出部を周方向に沿って3のn倍(nは1以上の整数)の数だけ有し、引き抜き工程によって得られた引き抜き材からなる柱状体を、突出部において支持されるようにチャックに取り付ける取り付け工程と、チャックに取り付けられた柱状体をこのチャックと共に回転させ、柱状体の一端側の端面における中央部を、柱状体の中心軸線を中心とする真円状にくり抜くことで円形凹部を形成する中ぐり工程と、柱状体を中心軸線に沿って、一端側に所定の距離だけ送り出す送り工程と、送り出された部分を中心軸線に沿って、柱状体の外径よりも小さな径となる円柱状に削り出す削り工程と、円柱状に削り出された部分となる芯状部の円形凹部とは反対側となる他端側を切断する切断工程と、芯状部にネジ溝を形成するネジ切り工程と、真円状にくり抜かれた円形凹部に円形状のICタグを嵌め込む嵌め込み工程と、を有する。
【0013】
このような製造方法を用いてICタグ体を製造した場合には、外形が真円に形成された引き抜き材からなる柱状体をチャックに取り付けた状態で、円形凹部を形成するため、円形凹部の加工精度が向上する。そのため、円形凹部を柱状体の中心軸線を中心とする真円状に形成することが可能となる。これにより、円形凹部が真円状に形成されるため、ICタグが円形凹部に隙間なく嵌まる。その結果、頭部とICタグとの間に異物が混入することがなくなり、ICタグが劣化するのを防止できる。また、柱状体を送りながら、一連の工程を行うことができるため、各工程をスムーズに行うことが可能となる。したがって、作業効率が向上し、コストの削減を図ることができる。また、一つの柱状体から複数のICタグホルダを製造することができるため、よりコストの削減を図ることが可能となる。
【0014】
さらに、他の発明は、非接触でデータの読み書きを行うことが可能なICタグを収容するためのICタグホルダの製造方法において、その径方向外方に向かって突出する突出部を周方向に沿って3のn倍(nは1以上の整数)の数だけ有し、引き抜き工程によって得られた引き抜き材からなる柱状体を、突出部において支持されるようにチャックに取り付ける取り付け工程と、チャックに取り付けられた柱状体をこのチャックと共に回転させ、柱状体の一端側の端面における中央部を、柱状体の中心軸線を中心とする真円状にくり抜くことで円形凹部を形成する中ぐり工程と、柱状体を中心軸線に沿って、一端側に所定の距離だけ送り出す送り工程と、送り出された部分を上記中心軸線に沿って、柱状体の外径よりも小さな径となる円柱状に削り出す削り工程と、円柱状に削り出された部分となる芯状部の円形凹部とは反対側となる他端側を切断する切断工程と、芯状部にネジ溝を形成するネジ切り工程と、を有する。
【0015】
このような製造方法を用いてICタグホルダを製造した場合には、柱状体をチャックに取り付けた状態で、円形凹部を形成するため、円形凹部の加工精度が向上する。そのため、円形凹部を柱状体の中心軸線を中心とする真円状に形成することが可能となる。これにより、円形凹部が真円状に形成されるため、ICタグが円形凹部に隙間なく嵌まる。その結果、頭部とICタグとの間に異物が混入することがなくなり、ICタグが劣化するのを防止できる。また、柱状体を送りながら、一連の工程を行うことができるため、各工程をスムーズに行うことが可能となる。したがって、作業効率が向上し、コストの削減を図ることができる。また、一つの柱状体から複数のICタグホルダを製造することができるため、よりコストの削減を図ることが可能となる。
【0016】
また、他の発明は、非接触でデータの読み書きを行うことが可能なICタグを有するICタグ体の製造方法において、丸棒を抜き型により引き抜いて、径方向外方に向かって突出すると共に、円周上に3のn倍(nは1以上の整数)の数だけ配列される突出部を形成する引き抜き工程と、引き抜き工程によって得られた柱状体を、所定の長さに切断して柱材を得る切断工程と、柱材の他端側を、その中心軸線に沿って、柱材の外径よりも小さな径となる円柱状の芯状部を削り出す削り工程と、柱材を、突出部において支持されるようにチャックに取り付ける取り付け工程と、柱材を回転させ、当該柱材の一端側の端面における中央部を、柱材の中心軸線を中心とする真円状にくり抜くことで円形凹部を形成する中ぐり工程と、柱材の表面に鋼粒からなるショットを投射して、その表面に微細な凹凸を形成するショット工程と、芯状部に転造によりネジ溝を形成するネジ切り工程と、上記各工程を経た柱材の表面にメッキ層を施すメッキ工程と、円形凹部に円形状のICタグを嵌め込む嵌め込み工程と、を有する。
【0017】
このような製造方法を用いてICタグ体を製造した場合には、外形が真円に形成された引き抜き材を切断した柱材をチャックに取り付けた状態で、円形凹部を形成するため、円形凹部の加工精度が向上する。そのため、円形凹部を柱材の中心軸線を中心とする真円状に形成することが可能となる。これにより、円形凹部が真円状に形成されるため、ICタグが円形凹部に隙間なく嵌まる。その結果、頭部とICタグとの間に異物が混入することがなくなり、ICタグが劣化するのを防止できる。
【0018】
また、他の発明は、非接触でデータの読み書きを行うことが可能なICタグを収容するためのICタグホルダの製造方法において、丸棒を抜き型により引き抜いて、径方向外方に向かって突出すると共に、円周上に3のn倍(nは1以上の整数)の数だけ配列される突出部を形成する引き抜き工程と、引き抜き工程によって得られた柱状体を、所定の長さに切断して柱材を得る切断工程と、柱材の他端側を、その中心軸線に沿って、柱材の外径よりも小さな径となる円柱状の芯状部を削り出す削り工程と、柱材を、突出部において支持されるようにチャックに取り付ける取り付け工程と、柱材を回転させ、当該柱材の一端側の端面における中央部を、柱材の中心軸線を中心とする真円状にくり抜くことで円形凹部を形成する中ぐり工程と、柱材の表面に鋼粒からなるショットを投射して、その表面に微細な凹凸を形成するショット工程と、芯状部に転造によりネジ溝を形成するネジ切り工程と、上記各工程を経た柱材の表面にメッキ層を施すメッキ工程と、を有する。
【0019】
このような製造方法を用いてICタグホルダを製造した場合には、外形が真円に形成された引き抜き材を切断した柱材をチャックに取り付けた状態で、円形凹部を形成するため、円形凹部の加工精度が向上する。そのため、円形凹部を柱材の中心軸線を中心とする真円状に形成することが可能となる。これにより、円形凹部が真円状に形成されるため、ICタグが円形凹部に隙間なく嵌まる。その結果、頭部とICタグとの間に異物が混入することがなくなり、ICタグが劣化するのを防止できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によると、ICタグ体に埋設されたICタグの劣化を防止することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
(第1の実施の形態)
以下、本発明の第1の実施の形態に係るICタグ体10について、図1から図11を参照しながら説明する。
【0022】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るICタグ体10の構成を示す分解斜視図である。図2は、本発明の第1の実施の形態に係るICタグ体10の全体構成を示す斜視図である。図3は、図2中のICタグ体10をA−A線で切断した断面を示す図である。図4は、図2中のICタグ体10を矢示B方向から見た側面図である。図5は、本発明の第1の実施の形態に係るICタグ体10の正面図である。図6は、本発明の第1の実施の形態に係るICタグ体10の底面図である。また、図7から図11は、ICタグ体10の製造方法を説明するための図である。なお、以下の説明において、図1〜図4および図9〜図11に示す、矢示X1方向を上方、矢示X2方向を下方、矢示Y1方向を他端側、および矢示Y2方向を一端側とそれぞれ規定する。
【0023】
図1および図2に示すように、ICタグ体10は、主に、ICタグ12と、ICタグホルダ14とから構成されている。このICタグ体10は、例えば、マンホールや壁などの目的とする場所や設備にネジ穴を設けて、そのネジ穴に螺入する形で配設される。
【0024】
図1に示すように、ICタグ12は、外形において、扁平した円柱体、すなわち円盤形を呈している。そして、図3に示すように、ICタグ12は、ICチップ体16と、その外側を覆う樹脂材からなる保持部材18とを有している。ICタグ12は、後述する円形凹部22に上方が露出した状態で配置される。
【0025】
図3に示すように、ICチップ体16は、その内部にICチップ19と、アンテナ20と、シールド体21を備えている。このICチップ体16は、アンテナ20を介して、図示を省略するICリーダーまたはICライター、あるいはリーダーとライターの両機能を備えるICリーダー・ライター(以下、ICリーダー、ICライターおよびICリーダー・ライターをまとめて指す場合には、単にリーダーと表記する。)に対して、ICチップ19に格納されている情報を出力したり、あるいは、ICリーダー/ライター(図示省略)からの情報が格納できるようになっている。
【0026】
ICチップ19に格納されている情報は、リーダーとの間で電波または電磁波により非接触にて読み書きされる。したがって、土地等に嵌め込まれたICタグ体10のICタグ12にリーダーを近づけて、リーダーから電波または電磁波による信号を無線ICタグとなるICタグ12に送信することにより、ICチップ19に対するデータの読み書きが行われる。ICチップ19とリーダーとの間での通信方式としては磁気結合式あるいはブルートゥースなどが採用される。また、赤外線によってICチップ19とリーダーとの通信を行うようにしても良い。
【0027】
ICチップ体16は、保持部材18の内部に密閉した状態で配設されている。この保持部材18は、電磁波の透過が可能なシリコン樹脂やエポキシ樹脂等の合成樹脂により形成されている。なお、保持部材18の材料は、これらのものに限定されることはなく、電磁波が透過できるものであれば、他の材料としても良い。
【0028】
ICタグホルダ14は、アルミニウムやステンレス等の金属からなっている。また、図1から図4に示すように、ICタグホルダ14は、頭部24とネジ部26とから構成されている。図4に示すように、ネジ部26は、頭部24の下面24aの中心から下方に向かって突出している。ネジ部26は、頭部24の中心軸線Cと同軸上に、かつネジ部26の中心線が中心軸線Cと一致するように設けられている。ネジ部26の外径は、頭部24の外径より小径となっている。また、ネジ部26の周側面にはネジ溝26aが形成されている。
【0029】
頭部24は、径方向外方に向かって円弧状に突出すると共に、円周上に等間隔に配列される合計6つの突出部28を有している。頭部24の外周面において隣接する突出部28同士の境界には、上下方向に沿うような境界線25が形成されている。また、図5に示すように、各突出部28の形状は同様な形態を有しており、隣接する境界線25,25がICタグホルダ14の中心軸線Cとの間に形成する角度αは60度となっている。また、その中心軸線Cと各境界線25までの距離L1は全て同一となっていると共に、中心軸線Cと各突出部28の最外径点28aまでの距離L2も全て同一となっている。突出部28を以上のような構成とすることで、ICタグ体10の正面形状は略花型形状を呈している。また、図1に示すように、頭部24の上面24bの中心には、中心軸線Cを中心とした真円状に形成された円形凹部22が設けられている。円形凹部22は、ICタグホルダ14の上方に向かって開口している。
【0030】
ICタグ12は、真円形状とされており、その外径は円形凹部22の径と同一またはわずかに小さくされている。このICタグ12は、ICタグホルダ14の上方から、円形凹部22に嵌め込まれる。また、ICタグ12は接着剤を介在させることにより円形凹部22の内周面に固定される。接着剤は、ICタグ12を嵌め込む前に、円形凹部22の底面全体に予め塗布されているが、この底面への塗布の代わりにまたは併せてICタグ12の下方面に接着剤を塗布するようにしても良い。また、円形凹部22は、ICタグの外周と同様の形状である真円状に形成されているため、ICタグ12は円形凹部22に隙間なく嵌め込まれる。
【0031】
次に、ICタグ体10の製造方法について説明する。
【0032】
図7は、ICタグ体10の製造方法を示すフローチャートである。図8は、ICタグホルダ14を形成する際の元となる柱状体30の構成を示す斜視図である。図9は、ICタグ体10の製造方法を説明するための図であり、(A)は、柱状体30をチャック32に取り付けた状態を示す図であり、(B)は、チャック32の構成を説明するための図である。図10は、ICタグ体10の製造方法を説明するための図であり、(A)は、中ぐり工程を説明するための図であり、(B)は、送り工程を説明するための図である。図11は、ICタグ体10の製造方法を説明するための図であり、(A)は、削り工程を説明するための図であり、(B)は、削り工程後の柱状体30の構成を説明するための図であり、(C)は、ICタグホルダ14となる直前のホルダ体43の側面図である。
【0033】
まず、図8に示すような、径方向外方に向かって円弧状に突出すると共に、円周上に等間隔に配列される合計6つの突出部29を有する柱形状の柱状体30を引き抜き工程によって得る(引き抜き工程:S100)。この引き抜き材からなる柱状体30は、突出部29がICタグホルダ14の突出部28となり、突出部29の間の境界線がICタグホルダ14の境界線25となる。この柱状体30の最外径点29aは、ICタグホルダ14の最外径点28aとなり、その断面は完全な真円状態となっている。この柱状体30は1〜3m程度となっている。次に、図9(A)に示すように、柱状体30を旋盤に備えられたチャック32に取り付ける(取り付け工程:S101)。柱状体30は、その一端側近傍にてチャック32に固定される。チャック32には、図9(B)に示すように、周方向に沿って60度間隔毎に6つの爪34が設けられている。柱状体30をチャック32に取り付けた状態では、各突出部29の最も突出した部分となる最外径点29aがチャック32の爪34によって支持される。チャック32によって支持されたとき、柱状体30の中心軸線Dは、チャック32の中心軸線Eと一致する。なお、中心軸線Dは、ICタグホルダ14中心軸線Cと一致する。なお、爪34が120度間隔に3つ配置されるものを使用しても良い。
【0034】
次に、中ぐりバイト36を柱状体30の一端側の端面38に当接させる。そして、図10(A)に示すように、柱状体30をチャック32と共に回転させながら、当該柱状体30の一端側の端面38における中央部を、中ぐりバイト36によって、柱状体30の中心軸線Dを中心とする真円状にくり抜く(中ぐり工程:S102)。このとき、柱状体30の中心軸線Dがチャック32の中心軸線Eとずれている場合、チャック32の回転によって柱状体30は偏心運動をし、その結果、円形凹部22とはならず、楕円形の凹部となってしまう。しかし、この実施の形態では、中心軸線Dと中心軸線Eとは一致しているので、真円の円形凹部22が出来上がる。このようにして、中ぐり工程が完了すると、柱状体30の中央部には、中心軸線Dを中心とする真円状に形成された円形凹部22が形成される。
【0035】
次に、図10(B)に示すように、柱状体30を中心軸線Dに沿って、一端側に所定の距離だけ送り出す(送り工程:S103)。次に、図11(A)に示すように、片刃バイト40を柱状体30の周側面に当接させる。そして、柱状体30をチャック32と共に回転させながら、片刃バイト40をわずかづつ切り込ませると共に、他端側に向かって何度も移動させてゆく。この繰り返しによって、送り工程によって送り出された部分が、中心軸線Dに沿って柱状体30の外径よりも小さな径となる円柱状部として削り出される(削り工程:S104)。削り工程により、柱状体30の外径よりも小さな径となる円柱状に削り出された円柱状部は、芯状の形態を有する芯状部42となる(図11(B)参照)。この芯状部42の中心軸線は、柱状体30の中心軸線Dであり、ICタグホルダ14の中心軸線Cともなる。
【0036】
次に、芯状部42の他端側近傍を、柱状体30をチャック32と共に回転させながら、バイト等を用いて切断する(切断工程:S105)。なお、切断工程を、バイト等を用いずに、他の工具を用いて行うようにしても良い。切断工程後、図11(C)に示すような、頭部24と、芯状部42とから構成されるホルダ体43が形成される。次に、タップやダイスもしくはネジフライス等を用いて、ホルダ体43の芯状部42にネジ溝26aを形成する(ネジ切り工程:S106)。以上のような工程を経てICタグホルダ14が得られる。ホルダ体43が切断された後の柱状体30の残りの部分からは、繰り返し、上記の各工程を経ることで、複数のICタグホルダ14が形成される。その後、ICタグホルダ14の円形凹部22にICタグが嵌め込まれ、ICタグ体10が完成する(嵌め込み工程:S107)。
【0037】
以上のように構成されたICタグ体10では、頭部24は、径方向外方に向かって円弧状に突出すると共に、等間隔に配列される合計6つの突出部28を有している。このため、ICタグホルダ14に円形凹部22を形成する際、ICタグホルダ14の元の部材となる柱状体30を、チャック32において6点で支持することが可能となる。したがって、安定した状態で柱状体30を支持することが可能となり、その後に、円形凹部22を形成する場合、該柱状体30がガタついたり偏心運動したりすることを防止できる。しかも、柱状体30の真円性とあいまって、柱状体30の回転は楕円運動となることなく、正確な回転運動となる。その結果、円形凹部22を真円状に形成することが可能となる。また、円形凹部22が真円状に形成されているため、真円状に形成され、かつ円形凹部22と径が同一またはわずかに小さいICタグ12を円形凹部22に隙間なく嵌め込むことができる。したがって、ICタグ12が円形凹部22に嵌めこまれた状態では、頭部24とICタグ12との間に隙間が発生しない。その結果、頭部24とICタグ12との間に異物が混入することがなくなり、ICタグ12が劣化するのを防止できる。
【0038】
また、ICタグ体10では、頭部24は、円弧状に突出した突出部28を有する略花型形状を呈している。したがって、突出部28を手や機械等で保持しながら、ICタグ体10を所望の位置に取り付けたり、取り外したりすることが可能となる。そのため、ICタグ体10の土地や建物等への取り付けおよび取り外しが容易となり、作業効率が向上する。また、通常の六角ボルトとは異形となる形状をしているため、特殊な工具を使用しての取り付け、取り外しとなるので、一般の人が取り外すことは不可能となり、長期に渡って固定状態が維持される。
【0039】
また、第1の実施の形態に係るICタグ体10の製造方法では、引き抜き材となる柱状体30をチャック32に取り付けた状態で、円形凹部22を形成するため、円形凹部22の加工精度が向上する。そのため、円形凹部22を柱状体30の中心軸線Dを中心とする真円状に形成することが可能となる。また、柱状体30を軸方向に送りながら、一連の工程を行うことができるため、各工程をスムーズに行うことが可能となる。したがって、作業効率が向上し、コストの削減を図ることができる。また、一つの柱状体30から複数のICタグホルダ14を製造することができるため、よりコストの削減を図ることが可能となる。また、ICタグホルダ14をプレス加工ではなく引き抜き加工を用いて製造しているため、頭部24が圧延されることがなくなる。したがって、頭部24の厚みが、その中心軸線Cから外周に向かうにつれて小さくなるのを防止できる。その結果、頭部24の厚みを均一にすることが可能となる。また、ICタグホルダ14をプレス加工ではなく引き抜き加工を用いて製造しているため、ICタグホルダ14の表面にバリが発生するのを防止できる。その結果、さらに表面を仕上げるための工程が不要となり、製造工程の削減を図ることが可能となる。
【0040】
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態に係るICタグ体45について、図1、図2および図12〜図14等を参照しながら説明する。また、第1の実施の形態と同一の部材、同一の部分には同一の符号を付すと共に、その説明を省略または簡略化する。なお、第2の実施の形態では、第1の実施の形態と表面加工がなされている点および製造方法が異なるため、その相違部分を主に説明する。なお、以下の説明において、図13および図14に示す、矢示X1方向を上方、矢示X2方向を下方、矢示Y1方向を他端側、および矢示Y2方向を一端側とそれぞれ規定する。
【0041】
図12は、本発明の第2の実施の形態に係るICタグ体45の製造方法を示すフローチャートである。図13は、ICタグ体45の製造方法を説明するための図であり、(A)は、切断工程後に得られた柱材50の斜視図であり、(B)は、削り工程を説明するための図であり、(C)は、ネジ体56の側面図である。図14は、ICタグ体45の製造方法を説明するための図であり、(A)は、中ぐり工程を説明するための図であり、(B)はネジ切り工程を説明するための図である。
【0042】
ICタグ体45は、第1の実施の形態の場合のICタグ体10と同様の形状であり、再度、図1および図2を使用して基本構成を説明する。ICタグ体45は、ICタグ12と、ICタグホルダ47とから構成されている。ICタグホルダ47の形状は、第1の実施の形態に係るICタグ体10を構成するICタグホルダ14の形状と同様である。ICタグホルダ47の表面には、鋼粒からなるショットを投射するショット処理を施すことにより、微細な凹凸が形成されている。また、ショット処理が施された後、その表面には、さらにメッキ処理が施されている。これらの点が、ICタグ体10と異なる。
【0043】
次に、ICタグ体45の製造方法について説明する。
【0044】
まず、丸棒を抜き型により引き抜いて、図8に示すような、径方向外方に向かって円弧状に突出すると共に、円周上に等間隔に配列される合計6つの突出部29を有する柱形状の柱状体30を得る(引き抜き工程:S200)。この引き抜き工程によって得られた柱状体30は、突出部29がICタグホルダ47の突出部28となり、突出部29の間の境界線がICタグホルダ47の境界線25となる。この柱状体30の最外径点29aは、ICタグホルダ47の最外径点28aとなり、その最外径点28aをつないで得られた円は完全な真円状態となっている。
【0045】
次に、柱状体30をICタグホルダ47の軸方向の長さと同じ寸法に切断する(切断工程:201)。すると、図13(A)に示すような柱材50が複数得られる。次に、図13(B)に示すように、柱材50を旋盤に備えられたチャック32に取り付ける(取り付け工程1:S202)。柱材50は、その一端側近傍にてチャック32に固定される(図13(B)では、チャック32を断面にて図示する。)。柱材50をチャック32に取り付けた状態では、各突出部29の最も突出した部分となる最外径点29aがチャック32の爪34によって支持される。チャック32によって支持されたとき、柱材50の中心軸線Fは、チャック32の中心軸線E(図9(B)参照)と一致する。
【0046】
次に、図13(B)に示すように、片刃バイト40を柱材50の他端側の周側面に当接させる。そして、柱材50をチャック32と共に回転させながら、片刃バイト40をわずかづつ切り込ませると共に、一端側に向かって何度も移動させてゆく。この繰り返しによって、柱材50の他端側の部分が、中心軸線Fに沿って柱材50の外径よりも小さな径となる円柱状部として削り出される(削り工程:S203)。削り工程により、柱材50の外径よりも小さな径となる円柱状に削り出された円柱状部は、芯状の形態を有する芯状部42となる(図13(C)参照)。この芯状部42の中心軸線は、柱材50の中心軸線Fと一致し、ICタグホルダ47の中心軸線C(図1参照)ともなる。削り工程後、図13(C)に示すような、芯状部42と、ネジ頭部54とから構成されるネジ体56が形成される。
【0047】
次に、削り工程において削り出されていない部分となるネジ頭部54を旋盤に備えられたチャック32に取り付ける(取り付け工程2:S204)。ネジ頭部54のチャック32への取り付け方法は、取り付け工程1の場合と同様である。
【0048】
次に、中ぐりバイト36をネジ体56の一端側の端面58に当接させる。そして、図14(A)に示すように、ネジ体56をチャック32と共に回転させながら、当該ネジ体56の一端側の端面58における中央部を、中ぐりバイト36によって、ネジ体56の中心軸線Fを中心とする真円状にくり抜く(中ぐり工程:S205)。このようにして、中ぐり工程が完了すると、ネジ体56の中央部には、中心軸線Fを中心とする真円状に形成された円形凹部22が形成される。中ぐり工程後、図11(C)に示すような、頭部24と、芯状部42とから構成されるホルダ体43が形成される。なお、図14(A)においてチャック32の図示は省略するものとする。
【0049】
次に、ホルダ体43の表面に鋼粒からなるショットを投射して、当該ホルダ体43の表面に微細な凹凸を形成する(ショット工程:S206)。各鋼粒の大きさは40〜200μmの範囲であるのが好ましい。また、ショットの投射速度は20〜200m/sの範囲であるのが好ましい。ショット工程後、表面に微細な凹凸を有する凹凸ホルダ体が形成される。
【0050】
次に、転造により、凹凸ホルダ体の芯状部42にネジ溝26aを形成する(ネジ切り工程:S207)。転造によるネジ溝26aの形成方法として、例えば、以下のような方法が挙げられる。図14(B)に示すように、芯状部42を転造盤に設けられたダイス60a,60bの間に挟み込むことでネジ溝26aを形成する。具体的には、芯状部42を、矢示G方向に回転しているダイス60aと矢示H方向に回転しているダイス60bとの間に挟み込む。すると、芯状部42は矢示J方向に回転する。その結果、芯状部42は、ダイス60a,60bに形成されている溝形状に応じて塑性変形し、ネジ溝26aが形成される。
【0051】
次に、ネジ溝26aが形成された凹凸ホルダ体の表面にメッキ層を施す(メッキ工程:S208)。メッキ層の材料としては、金、銀、亜鉛またはアルミニウム等の金属が挙げられるが、これらの金属に限定されるものではない。また、メッキ層を施す方法としては、無電解メッキ、スパッタリング、溶融メッキまたは電気メッキ等の方法が挙げられるが、これらの方法に限定されるものではない。メッキ工程を経た後、ICタグホルダ47が形成される。その後、ICタグホルダ47の円形凹部22にICタグ12が嵌め込まれ、ICタグ体45が完成する(嵌め込み工程:S209)。
【0052】
以上のように構成されたICタグ体45の製造方法では、ショット工程によりホルダ体43の表面にショット処理を行っているため、ICタグホルダ47の疲労強度を向上させることが可能となると共に、表面の滑りを良くし、磨耗を減らすことが可能となる。また、転造によりネジ溝26aを形成しているため、ネジの強度を向上させることができると共に、量産を行うことが可能となる。さらに、ショット工程を経た後、転造によってネジ溝26aを形成しているため、ネジ溝26aが鋭角になりすぎることを防止でき、ネジの加工精度を向上させることが可能となる。また、ショット工程を経た後にメッキ工程を行っているため、メッキ層の密着性を向上させることができる。また、ICタグホルダ47をプレス加工ではなく引き抜き加工を用いて製造しているため、頭部24が圧延されることがなくなる。したがって、頭部24の厚みが、その中心軸線Cから外周に向かうにつれて小さくなるのを防止できる。その結果、頭部24の厚みを均一にすることが可能となる。また、ICタグホルダ47をプレス加工ではなく引き抜き加工を用いて製造しているため、ICタグホルダ47の表面にバリが発生するのを防止できる。その結果、さらに表面を仕上げるための工程が不要となり、製造工程の削減を図ることが可能となる。
【0053】
以上、本発明の一実施の形態について説明したが、本発明は上述の形態に限定されることなく、種々変形した形態にて実施可能である。
【0054】
上述の各実施の形態では、突出部28,29のそれぞれは、頭部24および柱状体30にそれぞれ6つ設けられているが、これに限定されることはなく、3つや9つ等、3のn倍(nは1以上の整数)の数だけ設けるようにしても良い。この場合、柱状体30を保持するチャックの爪の数と突出部29の数とを等しくするのが好ましい。しかし、チャックの爪の数はいずれの場合も3つとしたり、6つとしたり、時には4つとしたりしても良い。
【0055】
また、上述の各実施の形態では、突出部28は円弧状に突出した形状を有しているが、この形状に限定されることなく、その平面形状を、例えば、図15(A)に示すような三角形、図15(B)に示すような花びら形もしくは図16(A)に示すような台形等、他の形状としても良い。また、突出部28の数を6つに限定されることはなく、3つや9つ等、3のn倍(nは1以上の整数)の数だけ設けるようにしても良い。また、図16(B)に示すように、突出部28同士の間に間隔Hを設けるようにしても良い。
【0056】
また、上述の各実施の形態における製造方法では、予め、突出部29が設けられた引き抜き材となる柱状体30を用意したが、引き抜き加工で得られた円柱状の棒材等真円形状の棒材に溝加工を行って突出部29を形成する工程を、取り付け工程(S101)または切断工程(S201)の前に設けるようにしても良い。また、柱状体30や円柱状の棒材を引き抜き加工ではなく、切削加工等、他の加工方法によって得るようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明のICタグ体やICタグホルダは、土地、施設等の管理や位置情報取得等において利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るICタグ体の構成を示す分解斜視図である。
【図2】図1のICタグ体の全体構成を示す斜視図である。
【図3】図2中のICタグ体をA−A線で切断した断面を示す図である。
【図4】図2中のICタグ体を矢示B方向から見た側面図である。
【図5】図2のICタグ体の正面図である。
【図6】図2のICタグ体の底面図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態に係るICタグ体の製造方法を示すフローチャートである。
【図8】本発明の第1の実施の形態に係るICタグ体の製造に用いられる柱状体の構成を示す斜視図である。
【図9】本発明の第1の実施の形態に係るICタグ体の製造方法を説明するための図であり、(A)は、柱状体をチャックに取り付けた状態を示す図であり、(B)は、チャックの構成を説明するための図である。
【図10】本発明の第1の実施の形態に係るICタグ体の製造方法を説明するための図であり、(A)は、中ぐり工程を説明するための図であり、(B)は、送り工程を説明するための図である。
【図11】本発明の第1の実施の形態に係るICタグ体の製造方法を説明するための図であり、(A)は、削り工程を説明するための図であり、(B)は、削り工程後の柱状体の構成を説明するための図であり、(C)は、ホルダ体の側面図である。
【図12】本発明の第2の実施の形態に係るICタグ体の製造方法を示すフローチャートである。
【図13】本発明の第2の実施の形態に係るICタグ体の製造方法を説明するための図であり、(A)は、柱材の斜視図であり、(B)は、削り工程を説明するための図であり、(C)は、ネジ体の側面図である。
【図14】本発明の第2の実施の形態に係るICタグ体の製造方法を説明するための図であり、(A)は、中ぐり工程を説明するための図であり、(B)はネジ切り工程を説明するための図である。
【図15】図1のICタグ体の変形例を示す図で、(A)は、突出部を三角形にした場合を示す図であり、(B)は、突出部を花びら形にした場合を示す図である。
【図16】図1のICタグ体の他の変形例を示す図で、(A)は、突出部を台形にした場合を示す図であり、(B)は、突出部同士の間に間隔を設けた場合を示す図である。
【符号の説明】
【0059】
10,45…ICタグ体
12…ICタグ
14,47…ICタグホルダ
22…円形凹部
24…頭部
24b…下面(端面)
26…ネジ部
28…突出部
C…中心軸線
D…中心軸線
F…中心軸線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ICタグと、
上記ICタグを保持するICタグホルダと、
を有するICタグ体において、
上記ICタグホルダは、頭部と、ネジ部とを備える略ボルト形状を有しており、上記頭部の外周には、径方向外方に向かって突出すると共に、等間隔に配列された突出部が3のn倍(nは1以上の整数)の数だけ設けられ、上記頭部の上記ネジ部とは反対となる端面には、上記頭部の中心軸線を中心とした真円状に形成された円形凹部が設けられ、その円形凹部に円形状の上記ICタグが配置されていることを特徴とするICタグ体。
【請求項2】
前記突出部の平面形状は、円弧状または台形の形状を有していることを特徴とする請求項1記載のICタグ体。
【請求項3】
頭部と、ネジ部とを備えるICタグを保持するICタグホルダにおいて、
上記頭部の上記ネジ部とは反対となる端面には、上記頭部の中心軸線を中心とした真円状に形成された円形凹部が設けられると共に、上記頭部の径方向外方に向かって3のn倍(nは1以上の整数)の数だけ突出する突出部を有することを特徴とするICタグホルダ。
【請求項4】
非接触でデータの読み書きを行うことが可能なICタグを有するICタグ体の製造方法において、
その径方向外方に向かって突出する突出部を周方向に沿って3のn倍(nは1以上の整数)の数だけ有し、引き抜き工程によって得られた引き抜き材からなる柱状体を、上記突出部において支持されるようにチャックに取り付ける取り付け工程と、
上記チャックに取り付けられた柱状体をこのチャックと共に回転させ、上記柱状体の一端側の端面における中央部を、上記柱状体の中心軸線を中心とする真円状にくり抜くことで円形凹部を形成する中ぐり工程と、
上記柱状体を上記中心軸線に沿って、一端側に所定の距離だけ送り出す送り工程と、
上記送り出された部分を上記中心軸線に沿って、上記柱状体の外径よりも小さな径となる円柱状に削り出す削り工程と、
上記円柱状に削り出された部分となる芯状部の上記円形凹部とは反対側となる他端側を切断する切断工程と、
上記芯状部にネジ溝を形成するネジ切り工程と、
上記真円状にくり抜かれた上記円形凹部に円形状の上記ICタグを嵌め込む嵌め込み工程と、
を有することを特徴とするICタグ体の製造方法。
【請求項5】
非接触でデータの読み書きを行うことが可能なICタグを収容するためのICタグホルダの製造方法において、
その径方向外方に向かって突出する突出部を周方向に沿って3のn倍(nは1以上の整数)の数だけ有し、引き抜き工程によって得られた引き抜き材からなる柱状体を、上記突出部において支持されるようにチャックに取り付ける取り付け工程と、
上記チャックに取り付けられた柱状体をこのチャックと共に回転させ、上記柱状体の一端側の端面における中央部を、上記柱状体の中心軸線を中心とする真円状にくり抜くことで円形凹部を形成する中ぐり工程と、
上記柱状体を上記中心軸線に沿って、一端側に所定の距離だけ送り出す送り工程と、
上記送り出された部分を上記中心軸線に沿って、上記柱状体の外径よりも小さな径となる円柱状に削り出す削り工程と、
上記円柱状に削り出された部分となる芯状部の上記円形凹部とは反対側となる他端側を切断する切断工程と、
上記芯状部にネジ溝を形成するネジ切り工程と、
を有することを特徴とするICタグホルダの製造方法。
【請求項6】
非接触でデータの読み書きを行うことが可能なICタグを有するICタグ体の製造方法において、
丸棒を抜き型により引き抜いて、径方向外方に向かって突出すると共に、円周上に3のn倍(nは1以上の整数)の数だけ配列される突出部を形成する引き抜き工程と、
上記引き抜き工程によって得られた柱状体を、所定の長さに切断して柱材を得る切断工程と、
上記柱材の他端側を、その中心軸線に沿って、上記柱材の外径よりも小さな径となる円柱状の芯状部を削り出す削り工程と、
上記柱材を、上記突出部において支持されるようにチャックに取り付ける取り付け工程と、
上記柱材を回転させ、当該柱材の一端側の端面における中央部を、上記柱材の中心軸線を中心とする真円状にくり抜くことで円形凹部を形成する中ぐり工程と、
上記柱材の表面に鋼粒からなるショットを投射して、その表面に微細な凹凸を形成するショット工程と、
上記芯状部に転造によりネジ溝を形成するネジ切り工程と、
上記各工程を経た上記柱材の表面にメッキ層を施すメッキ工程と、
上記円形凹部に円形状の上記ICタグを嵌め込む嵌め込み工程と、
を有することを特徴とするICタグ体の製造方法。
【請求項7】
非接触でデータの読み書きを行うことが可能なICタグを収容するためのICタグホルダの製造方法において、
丸棒を抜き型により引き抜いて、径方向外方に向かって突出すると共に、円周上に3のn倍(nは1以上の整数)の数だけ配列される突出部を形成する引き抜き工程と、
上記引き抜き工程によって得られた柱状体を、所定の長さに切断して柱材を得る切断工程と、
上記柱材の他端側を、その中心軸線に沿って、上記柱材の外径よりも小さな径となる円柱状の芯状部を削り出す削り工程と、
上記柱材を、上記突出部において支持されるようにチャックに取り付ける取り付け工程と、
上記柱材を回転させ、当該柱材の一端側の端面における中央部を、上記柱材の中心軸線を中心とする真円状にくり抜くことで円形凹部を形成する中ぐり工程と、
上記柱材の表面に鋼粒からなるショットを投射して、その表面に微細な凹凸を形成するショット工程と、
上記芯状部に転造によりネジ溝を形成するネジ切り工程と、
上記各工程を経た上記柱材の表面にメッキ層を施すメッキ工程と、
を有することを特徴とするICタグホルダの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2008−84283(P2008−84283A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−290326(P2006−290326)
【出願日】平成18年10月25日(2006.10.25)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 2006年6月1日 株式会社 流通研究社発行の「月刊マテリアルフロー 2006年6月号 第47巻第6号(NO.555)」に発表
【出願人】(506118836)デジタル・インフォメーション・テクノロジー株式会社 (28)
【Fターム(参考)】