説明

IL−21およびモノクローナル抗体治療を用いる癌を処置する方法

【課題】モノクローナル抗体治療単独か、または他の処置療法と組み合わせても応答しない患者において、モノクローナル抗体治療の抗腫瘍活性を増強するための方法の提供。
【解決手段】リツキシマブやトラスツツマブ(trastuzumab)などの治療用モノクローナル抗体の治療的有効量とインターロイキン-21ポリペプチドの治療的有効量を同時投与することにより癌を処置する方法。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
発明の背景
サイトカインは、一般的に、造血系統の細胞の増殖もしくは分化を刺激する、または身体の免疫および炎症応答機構に関与する。インターロイキンは、免疫学的応答を媒介するサイトカインのファミリーである。免疫応答の中心となるのは、T細胞であり、それは多くのサイトカインを産生し、抗原に対する適応免疫をもたらす。T細胞により産生されたサイトカインは、TH1およびTH2として分類されている(Kelso, A. Immun. Cell Biol. 76:300-317, 1998)(非特許文献1)。1型サイトカインは、IL-2、IFN-γ、LT-αを含み、炎症応答、ウイルス性免疫、細胞内寄生体免疫、および同種移植拒絶反応に関与している。2型サイトカインは、IL-4、IL-5、IL-6、IL-10およびIL-13を含み、体液性応答、蠕虫免疫およびアレルギー応答に関与している。1型と2型の間の共通のサイトカインは、IL-3、GM-CSFおよびTNF-αを含む。1型および2型産生T細胞集団は、選択的に炎症性組織の異なる型へ遊走することを示唆しうるいくつかの証拠がある。
【0002】
ナチュラルキラー(NK)細胞は、T細胞およびB細胞と共通の前駆細胞を有し、免疫監視において役割を果たす。NK細胞は、血液リンパ球の15%までを占めるのだが、抗原受容体を発現させず、生得免疫の成分である。NK細胞は、腫瘍細胞およびウイルス性感染細胞の認識ならびに殺害に関与する。インビボでは、NK細胞は、活性化を必要とすると考えられているが、インビトロでは、NK細胞は、活性化なしに腫瘍細胞のいくつかの型を殺すことが示されている。
【0003】
IL-21は、細胞傷害性T細胞およびNK細胞の強力なモジュレーターであることが示されている。(Parrish-Novak, et al. Nature 408:57-63, 2000(非特許文献2); Parrish-Novak, et al., J. Leuk. Bio. 72:856-863, 2002(非特許文献3); Collins et al., Immunol. Res. 28:131-140, 2003(非特許文献4); Brady, et al., J. Immunol.:2048-58, 2004(非特許文献5))IL-21は、NK細胞の増殖を同時刺激することが示されており、これらの細胞のエフェクター機能を増強することが実証されている。T細胞応答は、メモリーT細胞機能の調節のような一次抗原応答の増強を含む(Kasaian et al., Immunity 16:559-569, 2002)(非特許文献6)。
【0004】
抗体治療は、特定の細胞型上に選択的に発現される抗原を利用する。抗体治療は、特定の腫瘍は固有の抗原、系譜特異的抗原、または正常細胞と比較して過剰量で存在する抗原のいずれかを示すため、癌処置において特に成功している。モノクローナル抗体(MAb)治療の開発は、マウスハイブリドーマテクノロジー(Kohler et al., Nature 256:495-497, 1975)(非特許文献7)から発展しており、それがヒト免疫エフェクター細胞活性を刺激することができないこと、およびヒト抗マウス抗体(HAMA;Khazaeli et al., J. Immunother. 15:42-52, 1994)(非特許文献8)の産生のために治療的有用性が制限されている。より抗原性が少ない設計されたキメラ抗体は、ヒト定常領域およびマウス可変領域を用いて達成された。これらの抗体は、エフェクター機能を増加させ、HAMA応答を低減した(Boulianne et al., Nature 312:643-646, 1984)(非特許文献9)。ヒトモノクローナル抗体は、ファージディスプレイテクノロジーを用いて開発されており(McCafferty et al., Nature 348:552-554, 1990)(非特許文献10)、つい最近、ヒトIg遺伝子座を有するトランスジェニックマウスが完全にヒトモノクローナル抗体を産生するために用いられた(Green, J. Immunol. Methods 231:11-23, 1999)(非特許文献11)。モノクローナル抗体治療の概説として、Brekke et al., Nat. Rev. Drug Discov. 2:52-62, 2002(非特許文献12)を参照されたい。
【0005】
本発明は、IL-21でモノクローナル抗体治療の抗腫瘍活性を増強するための方法を提供する。IL-21および治療用モノクローナル抗体の組み合わせは、特にモノクローナル抗体治療単独か、または他の処置療法と組み合わせても応答しない患者について、モノクローナル抗体治療単独を超える改善を与える。これらを始めとする使用は、本明細書での教示から当業者にとって明らかであるはずである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Kelso, A. Immun. Cell Biol. 76:300-317, 1998
【非特許文献2】Parrish-Novak, et al. Nature 408:57-63, 2000
【非特許文献3】Parrish-Novak, et al., J. Leuk. Bio. 72:856-863, 2002
【非特許文献4】Collins et al., Immunol. Res. 28:131-140, 2003
【非特許文献5】Brady, et al., J. Immunol.:2048-58, 2004
【非特許文献6】Kasaian et al., Immunity 16:559-569, 2002
【非特許文献7】Kohler et al., Nature 256:495-497, 1975
【非特許文献8】Khazaeli et al., J. Immunother. 15:42-52, 1994
【非特許文献9】Boulianne et al., Nature 312:643-646, 1984
【非特許文献10】McCafferty et al., Nature 348:552-554, 1990
【非特許文献11】Green, J. Immunol. Methods 231:11-23, 1999
【非特許文献12】Brekke et al., Nat. Rev. Drug Discov. 2:52-62, 2002
【発明の概要】
【0007】
本発明は、モノクローナル抗体の治療的有効量およびIL-21ポリペプチドまたはSEQ ID NO:2のアミノ酸残基30位から残基162位に示されているようなIL-21のポリペプチドの断片の治療的有効量を同時投与する段階を含む、被験体、特にヒト被験体、において癌を処置する方法を提供する。一つの態様において、モノクローナル抗体は抗CD20モノクローナル抗体である。もう一つの態様において、モノクローナル抗体はリツキシマブである。もう一つの態様において、本発明の方法は、非ホジキンリンパ腫を処置する。本発明のさらなる態様は、モノクローナル抗体リツキシマブおよびIL-21ポリペプチドが、最長で連続した8週間、週に1回投与される、方法を提供する。本発明のもう一つの態様は、IL-21ポリペプチド用量が10 μg/kg/用量から500 μg/kg/用量までであることを提供する。本発明の特定の態様において、患者は、以前にリツキシマブで処置されて、感知できる腫瘍寛解または退縮を示さなかった。他の態様において、患者は、リツキシマブ治療を受けた後に再発した。
【0008】
もう一つの局面において、本発明は、抗CD20モノクローナル抗体の治療的有効量およびIL-21ポリペプチドまたはSEQ ID NO:2のアミノ酸残基30位から残基162位に示されているようなIL-21のポリペプチドの断片の治療的有効量を同時投与する段階を含む、被験体において癌を処置する方法であって、IL-21を投与する段階が最適な免疫学的応答をもたらす方法を提供する。
【0009】
もう一つの局面において、本発明は、Her-2/neu受容体に結合するモノクローナル抗体およびIL-21ポリペプチドまたはSEQ ID NO:2のアミノ酸残基30位から残基162位に示されているようなIL-21のポリペプチドの断片を同時投与する段階を含む、被験体において癌を処置する方法を提供する。一つの態様において、被験体はヒト患者である。もう一つの態様において、モノクローナル抗体はトラスツツマブ(trastuzumab)である。
【0010】
本発明の一つの局面は、細胞傷害性Tリンパ球関連抗原4(CTLA-4)に結合するモノクローナル抗体およびIL-21ポリペプチドまたはSEQ ID NO:2のアミノ酸残基30位から残基162位に示されているようなIL-21のポリペプチドの断片を同時投与する段階を含む、被験体において癌を処置する方法を提供する。特定の態様において、被験体はヒト患者である。本発明のもう一つの態様において、抗CTLA-4モノクローナル抗体は、3週間ごとに3 mg/kgの用量で4サイクル、投与され、IL-21ポリペプチドまたは断片は、週に1回〜5回、最長で8週間投与される。本発明はまた、IL-21ポリペプチド用量が10 μg/kg/用量から500 μg/kg/用量までである、態様を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】マクロファージ枯渇化マウスについての生存曲線が、非枯渇化マウスと有意に異なったことを示す。
【図2】顆粒球が抗Gr-1 MAb注射により枯渇しているマウスが、非枯渇化マウスと比較した場合、生存の低下を示すことを示す。
【図3】抗CTLA4+IL21の組み合わせは、RENCaモデルにおいて抗腫瘍効果を生じることを示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
発明の説明
本発明を詳細に示す前に、以下の用語を定義することが、その理解にとって役に立ちうる。
【0013】
用語「親和性タグ」は、第二ポリペプチドの精製もしくは検出を提供する、または第二ポリペプチドの基板への付着のための部位を提供するために、第二ポリペプチドへ付着されうるポリペプチドセグメントを表すために本明細書に用いられる。原理上は、抗体もしくは他の特異的結合作用物質が利用できる任意のペプチドまたはタンパク質が、親和性タグとして用いられうる。親和性タグは、ポリヒスチジン管、プロテインA(Nilsson et al., EMBO J. 4:1075, 1985; Nilsson et al., Methods Enzymol. 198:3,1991)、グルタチオンSトランスフェラーゼ(Smith and Johnson, Gene 67:31, 1988)、Glu-Glu親和性タグ(Grussenmeyer et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82:7952-4, 1985)、サブスタンスP、Flag(商標)ペプチド(Hopp et al., Biotechnology 6:1204-10, 1988)、ストレプトアビジン結合ペプチド、または他の抗原性エピトープもしくは結合ドメインを含む。一般的に、Ford et al., Protein Expression and Purification 2:95-107, 1991を参照されたい。親和性タグをコードするDNAは、商業的供給業者(例えば、Pharmacia Biotech, Piscataway, NJ)から入手できる。
【0014】
用語「対立遺伝子変異体」は、同じ染色体座を占める遺伝子の2つまたは複数の代替型のいずれかを表すために本明細書で用いられる。対立遺伝子変異は、自然に突然変異を通して起こり、結果として、集団内に表現型多型を生じうる。遺伝子突然変異は、サイレント(コードされたポリペプチドにおいて変化なし)でありうるか、または変化したアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードしうる。対立遺伝子変異体という用語はまた、遺伝子の対立遺伝子変異体によりコードされるタンパク質を表すために本明細書に用いられる。
【0015】
用語「アミノ末端」および「カルボキシル末端」は、ポリペプチド内の位置を表すために本明細書で用いられる。文脈が許す場合、これらの用語は、近接または相対位置を表すために、ポリペプチドの特定の配列または部分に関して用いられる。例えば、ポリペプチド内の参照配列に対するカルボキシル末端に位置した特定の配列は、参照配列のカルボキシル末端の近位に位置するが、必ずしも完全ポリペプチドのカルボキシル末端にあるとは限らない。
【0016】
用語「癌」または「癌細胞」は、それと正常組織または組織細胞と区別する特徴を有する新生物に見出される組織または細胞を表すために本明細書で用いられる。そのような特徴は、限定されるわけではないが、以下を含む:退生の程度、形の不規則さ、細胞輪郭の不明瞭さ、核のサイズ、核または細胞質の構造における変化、他の表現型変化、癌性または前癌性状態を示す細胞タンパク質の存在、有糸分裂の数の増加、および転移しうる能力。「癌」に属する言葉は、癌腫、肉腫、腫瘍、上皮腫、白血病、リンパ腫、ポリープ、および硬性癌、悪性転換、新生物などを含む。
【0017】
用語「同時投与」は、IL-21ポリペプチドまたはタンパク質および治療用モノクローナル抗体が、同時にまたは異なる時間に与えられうることを表すために本明細書で用いられる。同時投与は、IL-21およびモノクローナル抗体の両方の単回の同時投与、または同時投与の複数サイクルでありうる。同時投与は、IL-21またはモノクローナル抗体のいずれかが患者へ投与される時だけである必要はなく、いずれかの作用物質が単独かまたはIL-21以外の治療剤と組み合わせて投与されてもよい。
【0018】
用語「併用療法」は、被験体が、IL-21組成物(「IL-21」)および治療用モノクローナル抗体の少なくとも1つの治療的有効量を投与されることを表すために本明細書で用いられる。IL-21組成物は、IL-21生物活性を実証する成熟ポリペプチド、その断片、融合体または結合体でありうる。
【0019】
用語「単離された」とは、ポリヌクレオチドに適用される場合、ポリヌクレオチドが、それの自然の遺伝的環境から取り出されており、それに従って、他の外来性または不必要なコード配列を含まず、遺伝子改変タンパク質産生系内で用いるのに適した形をとる。そのような単離された分子は、それらの天然の環境から分離されているものであり、cDNAおよびゲノムクローンを含む。本発明の単離されたDNA分子は、通常には付随している他の遺伝子を含まないが、プロモーターおよびターミネーターのような天然に存在する5'および3'非翻訳領域を含みうる。付随した領域の同定は、当業者にとって明らかであると思われる(例えば、Dynan and Tijan, Nature 316:774-78, 1985を参照されたい)。
【0020】
「単離された」ポリペプチドまたはタンパク質は、血液および動物組織と離れているような、それの天然の環境以外の状態で見出されるポリペプチドまたはタンパク質である。好ましい形において、単離されたポリペプチドは、他のポリペプチド、特に動物起源の他のポリペプチドを実質的に含まない。高度に精製された形をとる、すなわち、95%より高く純粋な、より好ましくは99%より高く純粋な、ポリペプチドを提供することが好ましい。これに関連して用いられる場合、用語「単離された」は、二量体、または代わりとして、グリコシル化もしくは誘導体化された形のような、代替の物理的形をとる同じポリペプチドの存在を排除しない。
【0021】
NK細胞、T細胞、特に細胞傷害性T細胞、B細胞などのような免疫細胞に言及する場合の用語「レベル」で、レベルの増加は、細胞数の増加かまたは細胞機能の活性の増強かのいずれかである。
【0022】
ウイルス感染に言及する場合の用語「レベル」は、ウイルス感染のレベルにおける変化を指し、限定されるわけではないが、(上記のような)CTLまたはNK細胞のレベルにおける変化、ウイルス量における減少、抗ウイルス抗体力価の増加、アラニンアミノトランスフェラーゼの血清学的レベルにおける減少、または標的組織もしくは器官の組織学的検査により決定されるような改善を含む。これらのレベルにおける変化が有意な差または変化であるかどうかの決定は、十分、当業者の技量範囲内である。
【0023】
細胞に言及する場合の用語「新生物の」は、新しくかつ異常な増殖を起こす細胞、特に増殖が制御されておらず、進行性であり、結果として、新生物を生じる組織における、細胞を指す。新生物細胞は、悪性、すなわち、浸潤性および転移性、または良性のいずれかでありうる。
【0024】
用語「最適な免疫学的用量」とは、最適な免疫学的応答を達成する、IL-21、またはモノクローナル抗体と組み合わせたIL-21の用量と定義される。
【0025】
用語「最適な免疫学的応答」は、MAb単独が投与された場合に見られるものを超えるIL-21またはIL-21+MAb組み合わせの投与後の免疫学的応答における変化を指し、(1)活性化または腫瘍特異的CD8 T細胞の数における増加、(2)より高いレベルのグランザイムBもしくはパーフォリンもしくはIFNγを発現する活性化または腫瘍特異的CD8 T細胞の数における増加、(3)NK細胞、単球または好中球上のFcγ受容体(CD16、CD32またはCD64)の上方制御、(4)血清中の可溶性CD25における増加、(5)腫瘍細胞により遊離されるタンパク質、例えば、癌胎児抗原(CEA)、IgG、CA-19-9、または卵巣癌抗原(CA125)の血清レベルにおける低下(Taro et al., J. Cell Physiol. 203(1):1-5, 2005を参照されたい)、(6)より高いレベルのグランザイムB、パーフォリン、またはIFNγを発現するNK細胞の数における増加、(7)IL-18、IL-15、IFNγのような活性化サイトカイン、およびIP-10、RANTES、IL-8、MIP1aまたはMIP1bのようなエフェクター細胞の腫瘍へのホーミングを可能にするケモカインのレベルにおける増加、(8)活性化が、増加したMHCクラスIまたはクラスIIの発現、IL-15、IL-18、IFNγ、またはIL-21の産生により検出されうる場合、末梢における、または腫瘍部位における活性化マクロファージの数における増加、または(9)赤血球計数(貧血の重症度)における低下により示されるようなマクロファージ活性でありうる。
【0026】
「ポリヌクレオチド」は、5'末端から3'末端までを読み取られたデオキシリボヌクレオチドもしくはリボヌクレオチドの一本鎖または二本鎖ポリマーである。ポリヌクレオチドは、RNAおよびDNAを含み、天然源から単離されうる、インビトロで合成されうる、または天然および合成の分子の組み合わせから調製されうる。ポリヌクレオチドのサイズは、塩基対(略記された「bp」)、ヌクレオチド(「nt」)、またはキロベース(「kb」)として表される。文脈が許す場合、後者の2つの用語は、一本鎖または二本鎖であるポリヌクレオチドを記載しうる。その用語が二本鎖分子に適用される場合、それは、全体の長さを表示するために用いられ、用語「塩基対」と等価であると理解されているものと思われる。二本鎖ポリヌクレオチドの2つの鎖は長さがわずかに異なる場合があること、およびそれらの末端は酵素的切断の結果として食い違いうること;従って、二本鎖ポリヌクレオチド分子内のすべてのヌクレオチドが対を形成されるとは限らないことは当業者により認識されている。
【0027】
「ポリペプチド」は、天然で産生されようと合成で作製されようとに関わらず、ペプチド結合により連結されたアミノ酸残基のポリマーである。約10個未満のアミノ酸残基のポリペプチドは、一般的に、「ペプチド」と呼ばれる。
【0028】
「タンパク質」は、1つまたは複数のポリペプチド鎖を含む高分子である。タンパク質はまた、炭化水素基のような非ペプチド性成分を含みうる。炭化水素および他の非ペプチド性置換基は、タンパク質が産生される細胞によりタンパク質へ付加されうり、細胞の型で異なるものである。タンパク質は、それらのアミノ酸バックボーン構造によって本明細書で定義される;炭化水素基のような置換基は、一般的に明記されないが、それでも存在する場合がある。
【0029】
用語「受容体」は、生物活性分子(すなわち、リガンド)に結合し、リガンドの細胞への効果を媒介する、細胞関連タンパク質を表す。膜結合型受容体は、典型的には、シグナル伝達に関与する、細胞外リガンド結合ドメインおよび細胞内エフェクタードメインを含む多ペプチド構造により特徴付けられる。リガンドの受容体への結合は、結果として、細胞においてエフェクタードメインと他の分子との間の相互作用を引き起こす受容体における高次構造的変化を生じる。この相互作用は、次に、細胞の代謝における変化へと導く。受容体-リガンド相互作用に結びつけられる代謝事象は、遺伝子転写、リン酸化、脱リン酸、サイクリックAMP産生における増加、細胞性カルシウムの動員、膜脂質の動員、細胞接着、イノシトール脂質の加水分解、およびリン脂質の加水分解を含む。一般的に、受容体は、膜結合型、サイトゾル性、または核性;単量体(例えば、甲状腺刺激ホルモン受容体、β-アドレナリン受容体)または多量体(例えば、PDGF受容体、成長ホルモン受容体、IL-3受容体、GM-CSF受容体、G-CSF受容体、エリスロポエチン受容体、およびIL-6受容体)でありうる。
【0030】
用語「治療的有効量」とは、結果として、完全な応答、部分的応答、またはIL-21無しのモノクローナル抗体治療についての応答継続時間中央値を超える、進行までに増加した時間を有する安定した疾患を生じる、IL-21組成物、またはモノクローナル抗体と組み合わせたIL-21組成物の量として定義される。
【0031】
用語「腫瘍関連抗原」は、非腫瘍細胞上に見出される抗原とは異なる発現プロファイルをもつペプチドもしくはポリペプチド、またはペプチド複合体を指す。例えば、非腫瘍抗原は、非腫瘍細胞によるよりも腫瘍細胞により、より高い頻度または密度で発現されうる。腫瘍抗原は、構造的に非腫瘍抗原とは異なりうる、例えば、抗原は、切り詰められたポリペプチドとして発現されうるか、抗原をコードするアミノ酸配列またはポリヌクレオチド配列にいくらかの突然変異をもちうるか、誤って折り畳まれうるか、または不適切に翻訳後に修飾されうる。宿主生物体における正常な、非腫瘍細胞上に存在する抗原との類似は、腫瘍細胞が宿主免疫監視機構を免れることを可能にする。
【0032】
不正確な分析方法(例えば、ゲル電気泳動)により測定されたポリマーの分子量および長さは、近似値であると理解される。そのような値は、「約」Xまたは「およそ」Xとして表される場合、Xの表示値は、±10%で正確であると理解されるものである。
【0033】
本明細書に引用されたすべての参照文献は、それら全体として参照により組み入れられている。
【0034】
本発明は、治療用モノクローナル抗体と組み合わせたIL-21の投与が、結果として、モノクローナル抗体単独の投与より強力である抗腫瘍活性を生じるという発見に基づいている。
【0035】
A. IL-21の説明
ヒトIL-21(SEQ ID NO:1およびSEQ ID NO:2)は、最初は、ザルファ11(zalpha11)リガンドと呼ばれ、参照により本明細書に組み入れられている、公有の米国特許第6,307,024号および第6,686,178号に記載されている。(以前はザルファ11と呼ばれていたが)、今、IL-21Rと呼ばれているIL-21受容体(SEQ ID NO:5およびSEQ ID NO:6)、およびヘテロ二量体の受容体IL-21R/IL-2Rγは、参照により本明細書に組み入れられている、公有のWIPO公報WO 0/17235およびWO 01/77171に記載されている。これらの刊行物に記載されているように、IL-21は、CD3について選択された、活性化ヒト末梢血細胞(hPBC)から作製されたcDNAライブラリーから単離された。CD3は、リンパ系起源の細胞、特にT細胞に固有の細胞表面マーカーである。
【0036】
IL-21Rのアミノ酸配列は、コードされた受容体が、限定されるわけではないが、IL-2、IL-4、IL-7、IL-15、EPO、TPO、GM-CSFおよびG-CSFについての受容体を含むクラスIサイトカイン受容体サブファミリーに属することを示した(概説として、Cosman, "The Hematopoietin Receptor Superfamily", Cytokine 5(2):95-106, 1993を参照されたい)。IL-21受容体は、NK細胞、T細胞およびB細胞上に同定されており、IL-21が、造血系統細胞、特にリンパ系前駆細胞およびリンパ系細胞、に作用することを示している。リンパ系細胞に作用する他の既知の4-ヘリックス束サイトカインは、IL-2、IL-4、IL-7およびIL-15を含む。4-ヘリックス束サイトカインについて、Nicola et al., Advances in Protein Chemistry 52:1-65, 1999およびKelso, A., Immunol. Cell Biol. 76:300-317, 1998を参照されたい。
【0037】
IL-21について、分泌性シグナル配列は、アミノ酸残基1位(Met)〜29位(Ser)で構成され、成熟ポリペプチドは、アミノ酸残基30位(Gln)〜162位(Ser)で構成される(SEQ ID NO:2に示されているように)。対応するポリヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:1に示されている。SEQ ID NO:1に開示された配列は、ヒトIL-21のただ1つの対立遺伝子を代表していること、および対立遺伝子変異および選択的スプライシングが起こることが予想されることを当業者は認識している。
【0038】
本発明はまた、SEQ ID NO:2のポリペプチドまたはそれらのオーソログと実質的に類似した配列同一性を有する単離されたIL-21ポリペプチドを提供する。用語「実質的に類似した配列同一性」は、SEQ ID NO:2に示された配列またはそれらのオーソログと少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または95%より大きい配列同一性を含むポリペプチドを表すために本明細書で用いられる。本発明はまた、SEQ ID NO:2のアミノ酸残基1位〜162位または30位〜162位の配列と少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または95%より大きい配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む。本発明はさらに、そのようなポリペプチドをコードする核酸分子を含む。パーセント同一性を決定するための方法は、当業者に公知である。
【0039】
一般的に、分子への改変を設計するまたは特定の断片を同定する場合、構造の決定は、改変された分子の活性を評価することを伴うものである。IL-21ポリヌクレオチドおよびポリペプチドへの改変の広範な考察について、参照により本明細書に組み入れられている、米国特許第6,307,024号および第6,686,178号を参照されたい。
【0040】
本発明はまた、IL-21の機能活性を有する分子の投与を含む。それゆえに、IL-21ポリペプチドの機能性断片および機能性改変ポリペプチド、ならびにそのような機能性断片および改変ポリペプチドをコードする核酸分子の投与が本発明に含まれる。本明細書に定義されているような「機能性」IL-21またはその断片は、それの増殖活性または分化活性により、特にNK細胞、T細胞、B細胞および樹状細胞のような免疫エフェクター細胞について特定化された細胞機能を誘導または阻害しうるそれの能力により、特徴付けられる。機能性IL-21はまた、インビトロもしくはインビボで抗癌および抗ウイルス効果を示す能力を含む、または抗IL-21抗体もしくはIL-21受容体(可溶性または固定化されたかのいずれか)へ特異的に結合しうるそれの能力により特徴付けられる。
【0041】
様々なポリペプチド融合体(および1つまたは複数のポリペプチド融合体を含む関連多量体タンパク質)もまた用いられる。例えば、IL-21ポリペプチドは、米国特許第5,155,027号および第5,567,584号に開示されているような二量体化タンパク質への融合体として調製されうる。この事についての好ましい二量体化タンパク質は、免疫グロブリン定常領域ドメインを含む。免疫グロブリン-IL-21ポリペプチド融合体は、遺伝子改変の細胞(様々な多量体IL-21類似体を産生するための)において発現されうる。補助的なドメインは、それらが特定の細胞、組織または高分子を標的にするように、IL-21ポリペプチドに融合されうる。例えば、IL-21ポリペプチドまたはタンパク質は、IL-21ポリペプチドをその標的細胞の表面上の受容体へ特異的に結合するリガンドまたはモノクローナル抗体に融合することにより、所定の細胞型を標的にしうる。このようにして、ポリペプチドおよびタンパク質は、治療または診断を目的として標的にしうる。IL-21ポリペプチドは、精製のための親和性タグおよび標的化ドメインのような2つまたはそれ以上の部分に融合されうる。ポリペプチド融合体はまた、1つまたは複数の切断部位を、特にドメイン間に含みうる。Tuan et al., Connective Tissue Research 34:1-9, 1996を参照されたい。
【0042】
変異体IL-21ポリヌクレオチドの特定のヌクレオチド配列にもかかわらず、ポリヌクレオチドは、それの増殖性活性もしくは分化活性、特定化された細胞機能を誘導もしくは阻害しうるそれの能力により、または抗IL-21抗体もしくはIL-21受容体へ特異的に結合しうる能力により、特徴付けられるポリペプチドをコードする。より具体的には、変異体IL-21ポリヌクレオチドは、SEQ ID NO:2に示されているようなポリペプチドの活性の少なくとも50%、および特定の態様において、70%、80%、または90%より多くを示すポリペプチドをコードする。
【0043】
変異体および融合タンパク質を含む任意のIL-21ポリペプチドについて、当業者は、遺伝暗号および当技術分野において公知の方法を用いてその変異体をコードする完全に縮重したポリヌクレオチド配列を容易に作製することができる。
【0044】
本発明に用いられるIL-21ポリペプチドは、通常の技術に従って遺伝子改変の宿主細胞において産生されうる。適した宿主細胞は、外因性DNAで形質転換またはトランスフェクションされて、培養で増殖されうるそれらの細胞型であり、細菌、真菌細胞、および培養された高等真核細胞を含む。真核細胞、特に多細胞生物体の培養細胞が好ましい。クローン化DNA分子を操作することおよび外因性DNAを様々な宿主細胞へ導入することについての技術は、Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 第2版, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY, 1989およびAusubel et al., eds., Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley and Sons, Inc., NY, 1987により開示されている。IL-21を産生するための発現構築物および方法は、参照により本明細書に組み入れられている、米国特許第6,686,178号およびPCT US03/39764に記載されている。
【0045】
治療に用いられるIL-21結合体は、薬学的に許容される水溶性ポリマー部分を含みうる。適した水溶性ポリマーは、ポリエチレングリコール(PEG)、モノメトキシ-PEG、モノ-(C1-C10)アルコキシ-PEG、アリールオキシ-PEG、ポリ-(N-ビニルピロリドン)PEG、トレシルモノメトキシPEG、PEGプロピオンアルデヒド、ビス-スクシニミジルカルボネートPEG、プロピレングリコールホモポリマー、ポリプロピレンオキシド/エチレンオキシドコポリマー、ポリオキシエチレン化ポリオール(例えば、グリセロール)、ポリビニルアルコール、デキストラン、セルロース、または他の炭化水素に基づいたポリマーを含む。適したPEGは、例えば、5,000、12,000、20,000および25,000を含む、約600から約60,000までの分子量をもちうる。IL-21結合体はまた、そのような水溶性ポリマーの混合物を含みうる。
【0046】
B. 併用療法におけるIL-21およびモノクローナル抗体の使用
モノクローナル抗体治療の抗腫瘍活性に関連した機構の一つは、抗体依存性細胞傷害(ADCC)である。ADCCにおいて、モノクローナル抗体は、標的細胞(例えば、癌細胞)に結合し、モノクローナル抗体についての受容体を発現させる特定のエフェクター細胞(例えば、NK細胞、単球および顆粒球)は、モノクローナル抗体/標的細胞複合体を結合し、結果として、標的細胞死を生じる。IL-21はエフェクター細胞機能を増強し、それにより、モノクローナル抗体治療効力を増加させる。MAbと組み合わせたIL-21投与の用量およびスケジュールは、限定されるわけではないが、NK細胞、マクロファージおよび好中球を含むADCCを媒介する細胞集団の分化ならびに機能活性に関連したパラメーターを上昇させうるIL-21の能力に基づいている。これらのパラメーターは、NK、マクロファージおよび好中球細胞傷害、ADCC(NK細胞画分もしくは全単核細胞、またはADCCを実行する細胞の能力に必須のエフェクター分子(例えば、FasL、グランザイムおよびパーフォリン))のアッセイを用いて評価されうる。IL-21はまた、MAbプラス腫瘍細胞と組み合わされた場合、NK細胞によるサイトカインおよびケモカイン産生を増加させる(例えば、IFNγ)。リツキシマブ-コーティング化B細胞の「クリアランス」のためのクッパー細胞の重要性もまた実証されている(Gong et al., J. Immunol. 174:817-826, 2005)。抗腫瘍活性に関連したもう一つの機構は、MAbコーティング化腫瘍細胞の食作用である。これはまた、Fc受容体依存性であり、抗CD20抗体によるB枯渇に影響することが示されている(Uchida et al., J. Exp. Med. 199(12):1659-69, 2004)。MAbの用量およびスケジュールは、同時投与される特定の抗体に帰するとされている薬物動態学的および毒物動態学的性質に基づいており、IL-21投与に関連しうるどんな毒性をも最小限にすると同時に、これらの効果を最適化するべきである。
【0047】
本明細書で詳細に記載されたリツキシマブおよびトラスツツマブでの結果に基づいて、抗腫瘍活性について免疫エフェクター細胞媒介型機構を利用する他のモノクローナル抗体もまた、IL-21が抗体と組み合わせて用いられる場合、増強されるだろう。さらに、IL-21は免疫エフェクター細胞媒介型抗腫瘍活性を増強するため、単独で用いられる場合に抗腫瘍効力が限られていた特定のモノクローナル抗体は、IL-21との併用療法についての良い候補であると思われる。
【0048】
IL-21およびモノクローナル抗体での併用療法は、第一次処置が失敗した場合に指示されうり、第二次処置として考えられうる。しかしながら、モノクローナル抗体と組み合わせたIL-21の抗腫瘍活性の増強に基づいて、本発明はまた、新しく診断されて、かつ以前に抗癌剤で処置されたことがない患者集団「新規の患者」、および以前にどんなモノクローナル抗体治療も受けたことがない患者「未処置患者」における第一次処置としてその組み合わせを用いることを提供する。
【0049】
IL-21はまた、腫瘍細胞のいずれの直接的な抗体媒介型ADCCも存在しない下でのモノクローナル抗体との併用療法に有用でありうる。免疫系において阻害性シグナルを遮断する抗体は、免疫応答の増大をもたらしうる。例には、(1)細胞傷害性Tリンパ球関連抗原4(CTLA-4)、プログラムドデス(programmed death)-1(PD-1)、Bリンパ球およびTリンパ球アテニュエータ(BTLA)のような阻害性機能をもつB7Rファミリーの分子に対する抗体;(2)IL-10、TGFβのような阻害性サイトカインに対する抗体;ならびに(3)抗CD25またはCTLA-4のような抑制細胞の機能を枯渇させるまたは阻害する抗体が含まれる。例えば、マウスおよびヒトの両方における抗CTLA4 mAbは、免疫抑制性の制御性T細胞(Treg)の機能を抑制するか、またはT細胞上のCTLA-4の、APCもしくは腫瘍細胞上のB7-1もしくはB7-2分子への結合を通して伝達される阻害性シグナルを阻害するかのいずれかであると考えられる。CTLA-4は、活性化T細胞の表面上に一過性に発現され、Treg細胞上に恒常的に発現される。架橋結合CTLA-4は、活性化T細胞上での阻害性シグナルへと導き、CTLA-4に対する抗体は、T細胞上での阻害性シグナルを遮断し、持続性のT細胞活性化へ導く(Phan et al., PNAS, 100:8372-8377, 2003)。マウスモデルにおいて、抗CTLA4処置は、結果として強力な抗腫瘍応答を生じる、活性化腫瘍特異的CD8 T細胞およびNK細胞の数における増加へと導く。IL-21の受容体(IL-21R)は、これらのエフェクター細胞上で発現され、IL-21は、IL-21Rを通してこれらの細胞を活性化することによりそれらのエフェクター機能をさらに増大させうる。これは、より強力な抗腫瘍活性へと導きうる。CTLA-4に対する阻止抗体が患者へ投与される臨床試験が、黒色腫、卵巣癌および前立腺癌において進行中である。しかしながら、効力は、重篤な有害事象と相関しており(US 2004/0241169を参照されたい)、より毒性の少ない処置をもたらす併用療法が有利であると思われる。
【0050】
表1は、IL-21との併用療法可能である、認可されたまたは試験されることになっているモノクローナル抗体の非排他的リストである。
【0051】
(表1)

【0052】
1. IL-21および抗CD20モノクローナル抗体
CD20は、ヒトBリンパ球限定分化抗原であり、35 kDのタンパク質であるB細胞表面抗原Bp35として発現される。CD20は、末梢B細胞上に見出され、形質細胞期までの成熟B細胞上で同定されうる(Reff et al., Blood 83:435-445, 1994)。抗CD20モノクローナル抗体(MAb)は、診療所で試験されており、少なくとも1つのヒト化抗CD20 MAb、リツキシマブ、が非ホジキンリンパ腫(NHL)の処置として認可されている。リツキシマブ(RITUXAN(登録商標))は、リンパ腫細胞に結合し、インビトロで直接的にアポトーシスを誘導することができるが、補体依存性細胞傷害および抗体依存性細胞媒介型細胞傷害のような様々なエフェクター機構を誘導することもできる(Shan et al., Blood 91:1644-1652, 1998)。リツキシマブは、一般的に、NHLについての第一次処置として用いられる(Maloney et al., Blood 90:2188-2195, 1997; 米国特許第5,736,137号)。
【0053】
リツキシマブは、マウス軽鎖および重鎖可変領域ならびにヒトγI重鎖およびκ軽鎖定常領域を含む遺伝子改変のMAbである(米国特許第6,455,043号)。キメラ抗体は、451アミノ酸の2つの重鎖および213アミノ酸の2つの軽鎖から構成され、およそ145 kDの分子量をもつ。前臨床実験において、抗体は、用量依存性様式で、B細胞系FL-18、RamosおよびRajiにおいて細胞増殖を阻害し、DHL-4ヒトB細胞リンパ腫系においてアポトーシスを誘導した(Demidem et al., Cancer Biotherapy & Radiopharmaceuticals 12:177-186, 1997)。MAbは、血清において相対的に長い半減期を有することが示されており、毒性プロフィールは相対的に低い。
【0054】
しかしながら、顕著な患者集団は、骨髄または幹細胞移植、放射線治療および化学療法のような他の処置と組み合わされた場合でさえも、抗CD20抗体での処置に対して、不応性であるか、または時間と共に抵抗性になる。これらの患者は、一般的に、抗CD20抗体の投与後、感知できる腫瘍寛解または退縮を示さず、抗体に対する応答性を増強する新しい治療から恩恵を受けるものと思われる。さらに、抗腫瘍活性の増強はまた、新しく診断されて、かつ以前に抗癌剤で処置されたことがない患者集団「新規の患者」、および以前にどんなモノクローナル抗体治療も受けたことがない患者「未処置患者」に恩恵をもたらすと思われる。
【0055】
前に述べたように、IL-21は、NK細胞数を拡大させること、ならびにNK細胞およびT細胞の細胞傷害性効果を増強することが示されている。さらに、IL-21の受容体は、単球、樹状細胞、B細胞、T細胞およびNK細胞上で同定されている(Parrish-Novak et al., J. Leuk. Biol. 72:856-863, 2002)。追加の証拠により、IL-21がインビボでT細胞およびB細胞の増殖ならびに/または分化に影響を及ぼすことが実証された。多くのヒトB細胞腫瘍系は、SCIDマウスへ移植されて、局在性または散在性様式で成長することができる。これらのモデルにおいて、腫瘍成長または宿主マウスの生存時間の測定は、B細胞癌に対する潜在的な治療効力を評価するための手段を提供する(Bonnefoix et al., Leukemia and Lymphoma 25:169-178, 1997)。
【0056】
抗体が、免疫に基づいた細胞(NK細胞、マクロファージおよび好中球を含む)によるADCCを通して抗腫瘍効果を媒介する場合、抗体複合体により結合された癌細胞は、免疫エフェクター細胞により殺される。IL-21は、一部、それの免疫調節活性により、抗体治療の効果を増強するために用いられうる。リツキシマブおよびサイトカインの併用療法は、ホジキンおよび非ホジキンリンパ腫の処置についてIL-2、IL-12またはIFN-αを用いて調べられた(Keilholz et al., Leuk. Lymphoma 35:641-2, 1999; Ansell et al., Blood 99:67-74, 2002; Carson et al., Eur. J. Immunol. 31:3016-25, 2001; およびSacchi et al., Haematologica 86:951-8, 2001)。
【0057】
ADCCのエフェクター、特にNK細胞を活性化し、かつ分化させるIL-21の能力に基づいて、IL-21を抗体と組み合わせて、サイトカイン産生、細胞傷害および腫瘍クリアランスを評価する、インビトロおよびインビボの研究が行われた。インビトロ研究は、IL-21および抗体への曝露後、ヒトNK細胞による、サイトカイン産生および腫瘍細胞溶解をアッセイした。例えば、腫瘍細胞溶解は、末梢血白血球から単離されたNK細胞を用いて評価されうる。DOHH2、RajiまたはRamosのようなヒトB細胞リンパ腫細胞系は、カルセイン(calcein)-AMまたは51Crを負荷され、1〜7日間、IL-21に曝されて、NK細胞媒介型細胞溶解が測定される。もう一つのアッセイは、サイトカイン産生を測定する。典型的には、これらのアッセイにおいて、精製されたNK細胞がIL-21に曝され、プレートに付着されたIgGと共にインビトロで培養される。IFN-γ、TNF-αおよびIL-10のようなサイトカインの存在が測定される。これらの型のアッセイ法の詳細な説明は実施例セクションに見出されうる。腫瘍負荷後のマウスの生存をモニターするインビボ研究は本明細書に教示されている。インビボ研究についての他の可能な評価項目は、体重減少、腫瘤または後肢麻痺(HLP)における低減を含みうる。実施例セクションに詳細に示されているように、これらの結果は、CD20+ B細胞腫瘍に対する抗腫瘍活性が、リツキシマブかまたはIL-21のいずれかの単独についてよりもリツキシマブおよびIL-21の組み合わせについて、有意により高かったことを実証した。霊長類を含む追加の動物モデルにおけるさらなる実験は、リツキシマブ媒介型効力のIL-21増強についてのさらなる証拠を提供し、リンパ腫患者においてその組み合わせを試験することの根拠である。
【0058】
B細胞、T細胞、NK細胞および樹状細胞ならびにそれらの前駆体を含むリンパ球は、様々なリンパ系および非リンパ系組織の往復の移動を含む生活環をもつ。すべてのリンパ球は、骨髄に存在する多分化能リンパ系前駆体から成熟すると考えられている。ナイーブリンパ球は、血液と二次リンパ系組織の間を細胞が死ぬまで循環するか、または抗原により活性化される。B細胞またはT細胞リンパ球が抗原により活性化される場合、活性化された細胞は血液へ再循環する。ケモカインがリンパ球の輸送に重要な役割を果たすことを示唆しうる証拠がある。CXCR3のような特定のケモカインの発現は、悪性B細胞の1つの部位から別の部位への輸送を促進し、B細胞リンパ腫の末梢血、リンパ節、骨髄および他の器官への遊走において役割を果たしていると考えられている(Trentin et al., J. of Clinical Invest. 104:115-121, 1999)。リツキシマブは、末梢血および末梢リンパ節に存在するB細胞を枯渇させることが示されており(Reff et al. Blood 83:435-445, 1994)、CD20+細胞をこれらの組織へ動かす作用物質の投与が、前は到達できなかった悪性細胞をリツキシマブ媒介型殺害に対して感受性をより高くさせうる機構を提供する。IL-21は、B細胞への直接的および間接的の両方の効果をもつことが示されており(Parrish-Novak et al., J. Leukoc. Biol. 72:856-863, 2002; Mehta et al., J. Immunol. 170:4111-4118, 2003; Ozaki et al., J. Immunol. 173:5361-5371, 2004)、特定の免疫細胞において成熟過程に影響を及ぼすことが知られている(Sivakumar et al., Immunol. 112:177-182, 2004)。
【0059】
本明細書に開示された実験は、IL-21の投与が、最初は、循環B細胞、T細胞およびNK細胞を低減させ、続いて、次の投与サイクルの前に持続性増加および回復を生じるという本発明者らの発見を説明する。リンパ球減少およびリンパ濾胞枯渇の迅速な逆転は、リンパ系組織から血液への再循環の増加と組み合わさった活性化リンパ球の一過性辺縁趨向と理解されうる。末梢B細胞における増加は、IL-21およびリツキシマブが投与された場合、軽減され、IL-21かまたはリツキシマブのいずれかが単独で投与された場合に見られるものより、一貫してより低いB細胞最下点が観察された。従って、IL-21は、リツキシマブによるB細胞枯渇についての潜在力を増強し、枯渇に感受性の高いB細胞の再循環を促進する。さらに、IL-21の投与は、ADCCアッセイが行われた場合、FcγRIおよびFcγRIIIを発現するNK細胞ならびに食細胞の存在する数の増加を伴う、ADCC活性の増強をもたらした。
【0060】
好中球は、異種Bリンパ腫モデルにおいてリツキシマブの抗腫瘍活性にとって重要であることが示されている(Hernandez-Ilizaliturri Clin. Cancer Res. 9(16 Pt. 1):5866-73, 2003)。mIL-21+リツキシマブの抗腫瘍活性における顆粒球の役割は、抗GR-1 MAbで枯渇させることにより示される。実施例10に記載されているように、顆粒球枯渇化および非枯渇化SCIDマウスの群が、Raji細胞を負荷され、その後、リツキシマブ単独またはリツキシマブ+mIL-21で処置された。顆粒球枯渇は、リツキシマブ単独で、およびリツキシマブ+mIL-21で処置されたSCIDマウスの生存を低下させた。併用療法で処置された群を比較すると、125日後に生存している割合は、顆粒球枯渇した動物について0.67から0.0まで低下した。しかしながら、顆粒球枯渇は、媒体対照群に対する死までの平均時間(TTD)における有意な遅れが明らかであるため、IL-21+リツキシマブの生存恩恵を全体として排除しなかった。
【0061】
マクロファージは、最近、IL-21受容体を発現させること(Pelletier et al., J. Immunol. 173(12):7521-30, 2004)、および抗CD20 MabによるB細胞枯渇に役割を果たしていること(Uchida et al., J. Exp. Med. 199(12):1659-69, 2004)が示された。マクロファージは、クロドロネートリポソームを用いてSCIDマウスにおいて枯渇させられ、IL-21+リツキシマブが散在性Rajiリンパ腫モデルにおいて試験された。クロドロネートリポソームでの枯渇は、肝臓におけるF4/80+細胞の95%、および脾赤色髄におけるF4/80+細胞の90%を除去した。マクロファージは、Raji細胞を注射してから3日後に枯渇し、マクロファージ枯渇は、繰り返されるクロドロネートリポソーム注射により、腫瘍細胞注射後少なくとも27日間までは維持された。マクロファージ枯渇もまた、mIL-21+リツキシマブの効力を低下させた。平均TTDは、クロドロネートリポソーム処置群について有意に低下した。また、非枯渇化マウスの対応する群と比較して、リツキシマブ単独で処置されたマクロファージ枯渇化SCIDマウスについて平均生存時間において劇的下落があった。
【0062】
抗Gr-1での好中球の枯渇は、他者により報告されているように(Hernandez-Ilizaliturri, 前記, 2003)、リツキシマブ単独の効力を劇的に低下させ、実験は、それが、IL-21+リツキシマブでの処置後生存しているマウスの割合を0.67から0.0まで低下させたことを示した。IL-21は、次に腫瘍細胞を貧食しうるマウス好中球に影響を及ぼすか、ADCCをもたらすか、または細胞傷害性酸素中間体を生成するように直接的に作用しうる。しかし、IL-21の好中球への直接的作用は、IL-21Rαが検出されないヒト好中球の研究(Pelletier, 前記)により支持されず、IL-21は、スーパーオキシド生成、食作用、走化作用およびサイトカイン産生を含む好中球応答を調節しなかった。その代わりとして、これらの著者らは、IL-21が、好中球走化作用および活性化へと導きうるヒトマクロファージによるIL-8産生を誘導することを見出した。しかしながら、本発明を支持する実験が行われた時、クロドロネートリポソームを用いるマクロファージ枯渇は、結果として、IL-21およびリツキシマブにより示された相乗的抗腫瘍活性の部分的損失のみを生じた。これらの結果は、SCIDマウスにおいて、好中球およびマクロファージの両方が、併用療法で生存を延ばすことにおいて役割を果たしていることを示唆した。抗CD20 MAbでの正常B細胞枯渇の最近の研究(Uchida et al., 前記)はまた、マウスマクロファージが、必要とされる主要なエフェクター細胞であること、およびNK細胞は必須ではないことを示しているが、好中球は、その研究において調べられなかった。
【0063】
これらの発見は、リツキシマブと組み合わせたIL-21が異種Bリンパ腫モデルにおいて相乗的抗腫瘍活性をもつこと、および生得的な免疫エフェクター細胞は、IL-21およびリツキシマブの相乗効果を媒介するのを助けることを実証している。これらの結果は、SCIDマウスにおいて、好中球およびマクロファージの両方が、併用療法で生存を延ばすことにおいて役割を果たしていることを示唆する。IL-21は、リツキシマブのNHLへの抗腫瘍活性を促進し、IL-21のマクロファージ、NK細胞、T細胞およびリンパ腫腫瘍それ自身への作用は、リツキシマブ治療に対する応答を向上させる。
【0064】
本発明は、それゆえに、悪性細胞の組織からの遊離がリツキシマブ媒介型抗腫瘍活性に必要とされる患者において、リツキシマブと組み合わせてIL-21を投与することによりリンパ腫をもつ患者を処置する方法を提供する。さらに、リツキシマブが患者の末梢血に存在すると同時にIL-21レベルを維持する投与計画は、有利であり、本発明に含まれる。特定の態様において、本発明は、必要としている患者においてリンパ腫を処置する方法であって、リツキシマブが患者の末梢血に存在することが測定されるところにおいて、処置期間中にIL-21を投与する段階を含む方法を提供する。他の態様において、本発明は、患者がリツキシマブ治療を受けると同時に、週に1〜3回、IL-21を投与する段階を含む、それを必要としている患者においてリンパ腫を処置する方法を提供する。
【0065】
最も一般的に用いられる非ホジキンリンパ腫の分類は、REAL分類システムである(Ottensmeier, Chemico-Biological Interactions 135-136:653-664, 2001)。特定の免疫学的マーカーは、リンパ腫の分類のために同定されている。例えば、濾胞性リンパ腫マーカーは、CD20+、CD3-、CD10+、CD5-を含み;小リンパ球性リンパ腫マーカーはCD20+、CD3-、CD10-、CD5+、CD23+を含み;辺縁帯B細胞リンパ腫マーカーはCD20+、CD3-、CD10-、CD23-を含み;びまん性大細胞型B細胞リンパ腫マーカーはCD20+、CD3-を含み;マントル細胞リンパ腫マーカーはCD20+、CD3-、CD10-、CD5+、CD23+を含み;末梢T細胞リンパ腫マーカーはCD20-、CD3+を含み;縦隔原発大細胞型B細胞リンパ腫マーカーはCD20+、CD3-を含み;リンパ芽球性リンパ腫マーカーはCD20-、CD3+、Tdt+を含み;かつバーキットリンパ腫マーカーはCD20+、CD3-、CD10+、CD5-を含む(Decision Resourses, Non-Hodgkins Lymphoma, Waltham, MA., Feb. 2002)。
【0066】
国際ワーキングフォーミュレーション(International Working Formulation)による非ホジキンリンパ腫(NHL)の臨床的分類は、疾患を以下のサブタイプへ分ける:(1)慢性リンパ球性白血病(SC)と一致する小リンパ球型;濾胞性、小開裂細胞優位型(FSC);濾胞性、小開裂細胞大細胞混合型(FM)を含む低悪性度(緩慢性)疾患;(2)濾胞性、大細胞優位型(FL);びまん性、小開裂細胞型(DSC);びまん性混合型、小細胞および大細胞型(DM);びまん性、大細胞開裂型または非開裂細胞型(DL)を含む中悪性度疾患;ならびに(3)免疫芽球性、大細胞型(IBL);リンパ芽球性、回旋細胞型または非回旋細胞型(LL);および小型非開裂細胞性、バーキット型または非バーキット型(SNC)を含む高悪性度疾患(The Non-Hodgkin's Lymphoma Pathologic Classification Project, Cancer 49(10):2112-35, 1982)。アナーバー病期分類(Ann Arbor Staging)システムは、NHLをもつ患者の病期を決定するために一般的に用いられる。病期Iは、単一のリンパ節領域の病変または単一のリンパ節外器官もしくは部位の局在性病変を意味する。病期IIは、隔膜の同じ側の2つまたはそれ以上のリンパ節領域の病変、またはリンパ節外部位もしくは器官および隔膜の同じ側の1つまたは複数のリンパ節領域の局在性病変を意味する。病期IIIは、場合によりリンパ節外器官または部位の局在性病変を伴う、隔膜の両側のリンパ節領域の病変を意味する。病期IVは、関連したリンパ節病変の有無にかかわらず、1つまたは複数の遠位のリンパ節外器官のびまん性または散在性病変を意味する(「Lymphoid neoplasms」, American Joint Committee on Cancer: AJCC Cancer Staging Manual. 第6版, New York, NY: Springer, 2002, pp 393-406)。リツキシマブは、緩慢性および濾胞性リンパ腫を処置するにおいて有効であることが示されている(Boye et al., Annals of Oncol. 14:520-535, 2003)。
【0067】
ヒト血液学的悪性疾患由来の腫瘍細胞の成長および散在への抗CD20抗体と組み合わせたIL-21の活性は、インビボで測定されうる。ヒト腫瘍細胞が免疫不全マウスへ移植されているいくつかのマウスモデル(総称して異種移植モデルと呼ばれる)が開発された;例えば、Cattan et al., Leuk. Res. 18:513-22, 1994およびFlavell, Hematological Oncology 14:67-82, 1996を参照されたい。疾患モデルの特徴は、マウスへ与えられた細胞の型および量によって異なり、いくつかの疾患モデルが当技術分野において公知である。例えば、SCIDマウスにおいて成長しかつ散在したヒトB細胞リンパ腫(例えば、RL、Raji、TU2C)は、当業者に公知のモデルを用いて生存を延ばすためにMAbおよびIL-21で処置されうる。例示的モデルについて、Funakoshi et al., J. Immunotherapy 19:93-101, 1996; Funakoshi et al., Blood 83:2787-94, 1994; Cattan et al., Leukemia Res. 18:513-522, 1994を参照されたい。または、マウスB細胞リンパ腫細胞系(A20、BCL、A31)は、移植され、生存を延ばすためにMAbおよびIL-21で処置されうる(French et al., Nat. Medicine 5:548-553, 1999; Tutt et al., J. Immunol. 161:3176-3183, 1998)。一つのモデルにおいて、腫瘍細胞(例えば、Raji細胞(ATCC No. CCL-86)は、培養で継代され、約1X106個の細胞が重症複合免疫不全(SCID)マウスへ静脈内へ注射された。そのような腫瘍細胞は、動物内で急速に増殖し、血液で循環し、かつ多数の器官系に存在するのが見出されうる。IL-21および抗CD20 MAbを用いて腫瘍細胞の成長を殺すまたは低下させるように設計された治療は、腫瘍細胞を有するマウスへのIL-21およびMAbの投与により試験される。処置の効力は、ゆっくり時間をかけて、処置された集団内の生存の増加として、測定され、かつ統計学的に評価される。全身腫瘍組織量もまた、末梢血の試料に存在する腫瘍細胞の数を定量化しうるフローサイトメトリー(またはPCR)のような周知の方法を用いて、長い期間をかけてモニターされうる。
【0068】
IL-21および抗CD20 MAbを用いる併用療法の効力を実証するために用いられうる動物モデルは、B細胞枯渇の非ヒト霊長類モデルを含む。例えば、カニクイザル(Cynomolgus monkey)を媒体、0.05 mg/kgまたは10.0 mg/kgのいずれかのリツキシマブで処置することにより、様々なB細胞CD20、CD40およびCD21集団が、抗CD20治療法を研究するにおいて有用と確認された(Vugmeyster et al., Internat. Immunol. 3:1477-1481, 2003)。
【0069】
緩慢性疾患についてのリツキシマブ治療は、一般的に、375 mg/m2の4回の週1回の注入からなる。最初の注入速度は、50 mg/hrであり、30分間ごと50 mgの増分で最大400 mg/hrまで段階的に増やされる(McLaughlin et al., Clinical Oncol. 16:2825-2833, 1998)。しかしながら、8週間の延長した処置は、不応性もしくは再発した低悪性度または濾胞性NHLについての処置において何らかの効力を示した(Piro et al., Ann. Oncol. 10:619-621, 1999)。
【0070】
IL-21および抗CD20 MAb併用療法について、最適な用量レベルを確立することおよびスケジュールを立てることは、その組み合わせの薬物動態学および薬物動力学、インビトロでのIL-21および抗CD20 MAbの組み合わせに対するヒトB細胞リンパ腫系および原発性リンパ腫検体の感受性、動物モデルにおける有効量、ならびにその組み合わせの毒性を含む、多数の手段を用いて行われる。直接的な薬物動態学的測定は、霊長類において行われうる。加えて、IL-21および抗CD20 MAbは、臨床効果が正常な動物モデルにおいて測定されうるように、正常なリンパ球において様々な応答を刺激する。さらに、代理マーカーが、IL-21および抗CD20 MAbの組み合わせの患者におけるエフェクター細胞への生物活性を測定するために用いられうる。代理マーカーは、限定されるわけではないが、B細胞集団の有意な減少、NK細胞集団の増加、単球/マクロファージの活性化、FcRIII増加、抗CD20抗体の存在下におけるCD20+細胞へのNK細胞またはT細胞の細胞傷害における増加を含む。代理は、生存率の増加のような治療的腫瘍応答を決定するのには数ヶ月から数年間も必要とする可能性があるため、効力の指標として価値がある。
【0071】
IL-21およびリツキシマブの組み合わせを用いる、NHLまたは慢性リンパ球性白血病(CLL)のようなリンパ腫の処置は、安全性および効力が調べられる臨床試験を用いて実証される。最初に、安全性が、最大耐量(MTD)かまたは最適免疫学的用量のいずれかが同定されるまで段階的に増加する用量の非盲検試験である第I相試験において実証される。最適免疫学的用量は、最適免疫学的応答を達成する、用量IL-21またはモノクローナル抗体と組み合わせたIL-21として同定される。最適免疫学的応答は、MAb単独が投与される場合に見られるものを超える、IL-21またはIL-21+MAb組み合わせの投与後の免疫学的応答における変化を指し、本明細書に記載されているように測定されうる。
【0072】
最初の第I相試験における参加者は、再発したかまたは不応性CD20+ NHLをもつ被験体である。用量段階的増加は、標準3プラス3の用量段階的増加スキームにおいて、3〜6個体の被験体のコホートで評価される。3被験体のコホートは、第4週目の終わりまでに生じる任意の用量規定毒性(DLT)について評価される。DLTの非存在下で、用量段階的増加が行われる。3被験体のうちの1個体が観察される用量規定毒性をもつ場合には、追加の3被験体が、その用量レベルで登録される。所与のコホートにおいて>1個体の被験体が用量規定毒性を経験する場合には、次いで用量段階的減少が行われ、3被験体は、Safety Monitoring Committee(SMC)により指定される中間用量で処置される。この用量は、DLTを誘発した用量と次のより低い用量の間である。3被験体のうちの0個体が中間用量においてDLTを経験する場合には、登録は停止され、中間用量がMTDと明言される。3被験体のうちの≧1個体が中間用量においてDLTを経験する場合には、登録は停止され、それより低い用量レベルがMTDと明言される。
【0073】
被験体は、リツキシマブを、週に1回、375 mg/m2で静脈内に(IV)投与され、連続して4週間かまたは8週間のいずれかの間、投与される。IL-21は、IV、筋肉内(IM)または皮下(SC)投与経路のいずれかによる注射により与えられる。第1コホートは、少なくとも1 μg/kgを与えられ、用量は、MTDまたは最適免疫学的用量まで段階的様式で増加し、例えば、週に1回から5回まで、3〜10、10〜100、100〜300、300〜500、500〜900 μg/kgから1000 μg/kgまで増加する。本発明は、各用量が約1 μg/kg〜1000 μg/kgの範囲にあるIL-21組成物を提供する。特定の態様において、IL-21用量は、10〜300 μg/kgの範囲である。
【0074】
腫瘍応答は、一次臨床活性を評価するために用いられる。抗腫瘍応答を評価するために、再病期診断が、例えば、非ホジキンリンパ腫について応答基準を標準化するための国際ワークショップ(International Workshop to Standardize Response Criteria for Non-Hodgkin's Lymphomas)(Cheson et al., J. Clin. Oncol. 17:1244-1253, 1999)を用いて、4週間目、8週間目および12週間目において行われる。IL-21の薬力学的マーカーは、臨床活性の二次指標として用いられる。
【0075】
有害事象および標準的な安全性実験室評価を用いて、安全性を評価する。IL-21に対する抗体についての血清の分析は、免疫原性を評価するために行われる。
【0076】
用量規定毒性は、以下のいずれかのような、2003年12月12日付けの有害事象共通用語規準(Common Terminology Criteria for Adverse Events)(CTCAE)バージョン3を用いて定義される:
・おそらくまたは確実に研究物質に関連した任意のグレード4または5の有害事象
・臨床的に有意ではない、≦7日間のリンパ球減少、腫瘍フレア、発熱、倦怠感、またはグレード3の非致死的な検査所見の異常に関連したものを除く、おそらくまたは確実に研究物質に関連した非血液学的グレード3有害事象。
【0077】
効力および安全性はさらに、第II相および第III相臨床試験において評価される。これらの試験において、追加の薬物動態学、薬物動力学、薬理遺伝学、薬理ゲノミクス、免疫原性が特徴付けられうる。主要評価項目は、非ホジキンリンパ腫について応答基準を標準化するための国際ワークショップ(International Workshop to Standardize Response Criteria for Non-Hodgkin's Lymphomas)(Cheson et al., 前記)に従い、かつ規制ガイダンスを踏まえて、同定される。副次的評価項目は、有害事象の発生率および重症度、無進行期間、完全寛解者についての無再発期間、全生存率、ならびにIL-21に対する任意の抗体発生の出現率を含みうる。試験は、化学療法に耐えることができない、または化学療法を受けないことを選択した患者においてリツキシマブ単剤療法をIL-21と組み合わせたリツキシマブと比較する、無作為化された2群試験でありうる。被験体は、リツキシマブを、週に1回、375 mg/m2でIV投与され、連続して4週間かまたは8週間のいずれかの間、投与される。IL-21は、同日に連続的注入として、連続して5日間まで、IVまたはSC投与され、IL-21用量は、1〜3、3〜10、10〜100、100〜300、300〜500、500〜900 μg/kg、および1000 μg/kgまでの範囲である。または、無作為化された3群試験が、試験設計として類似した基準を用いて、リツキシマブと組み合わせたIL-21対IL-21単独対リツキシマブ単独の安全性および効力を評価するために開始されうる。治験設計は、当業者に周知であり、ガイドラインは、Food and Drug Administration(FDA)により、例えば、FDA Oncology Toolsウェブサイトにおいて、提供されている。
【0078】
IL-21およびIL-15またはIL-2は、IFN-γ産生細胞傷害および増殖に関して、インビトロでのNK細胞へのそれらの効果において相乗作用を示す(Parrish-Novak et al., J. Leuk. Biol. 72:856-863, 2002)。しかしながら、高用量IL-2治療は、毒性が高く、長い入院を必要とする。多くのIL-2の低用量計画が試験され、耐容性がより良いが、抗腫瘍効力の徴候がほとんどないことが見出された(Atkins, Semin. Oncol. 29(3 Suppl. 7):12, 2002)。IL-2およびリツキシマブ併用療法は、WO 03/049694に記載されているが、IL-2は、より高い「負荷」用量で投与され、その後、1回または複数のより低い「維持」用量が続いている。IL-2の投与を続ける必要性は、正常レベルより高くNK細胞レベルを維持することに基づいているが、IL-2の毒性のために、IL-2が投与されない休止期間が必要とされる場合がある。抗CD20 MAbに加えてのIL-2およびIL-21の組み合わせの投与は、NK細胞を維持し、IL-2でのより低いまたはより少ない頻度の投与を可能にする。高用量IL-2で見られる特定の副作用は、IL-21が投与された場合、示されなかった。例えば、IL-21が、マウスにおいて血管漏出症候群を引き起こすと報告されているIL-2の用量およびスケジュールでマウスに投与された場合、血管漏出症候群は存在しなかった。その結果は、明らかに、IL-21が、マウスにおいて、rIL-2の等価質量に基づいた用量と関連したサイトカイン放出および脈管炎を誘発しないことを示している(Heipel et al., Blood 102(11):No. 2845, 2003)。低用量IL-2のIL-21および抗CD20 MAbとの組み合わせは、それゆえに、より高いIL-2用量により引き起こされる特定の副作用なしに低用量IL-2の免疫系刺激を増大させることにより臨床的に有用でありうる。
【0079】
本発明の方法を用いる、リツキシマブのような抗CD20 MAbと組み合わせたIL-21の投与は、結果として、腫瘍応答とも呼ばれる、抗腫瘍効果を生じる。NHLについての治療に対する応答の評価のための標準化ガイドラインは当業者に公知である。一定の基準の例示的セットは、Cheson et al., J. of Clinical Oncol. 17:1244-1253, 1999に記載されている。国際ワーキンググループ(International Working Group)は、応答測定の提言および定義を示している。表2はその応答基準を要約している。
【0080】
(表2)

【0081】
同様に、代理マーカーが、増強した抗腫瘍活性を示すために用いられうる。例えば、血清酵素および生検における変化は、全身腫瘍組織量における減少を示すことができる。
【0082】
抗腫瘍効果についての代理として用いられうる生物活性の一つの測定は、抗CD20 MAbの抗腫瘍効果を増強するレベルにおけるNK細胞レベルの維持である(Friedberg et al., Br. J. Hematol. 117:828-834, 2002)。もう一つの代理は、T細胞数の増加である(Parrish-Novak et al., 前記, 2002)。特に、T細胞のサブセットについての細胞数の増加は、細胞傷害活性または抗腫瘍効果の増加と相関していた。抗腫瘍効果についての代理として用いられうる生物活性のもう一つの測定は、B細胞の枯渇である(Reff et al., Blood 83:435-445, 1994)。
【0083】
2. 併用療法におけるIL-21および抗Her-2/neuモノクローナル抗体の使用
Her-2/neu遺伝子産物は、上皮成長因子受容体と関連している185 kDaのリン糖タンパク質である。Her-2/neuは、成長因子受容体として機能し、しばしば、乳癌、卵巣癌および肺癌のような腫瘍により発現される。Her-2/neu受容体は、ヒト乳癌の25〜30%において過剰発現されており(Slamon et al., Science 235:177-182, 1987; Slamon et al., Science 244:707-712, 1989)、これらの患者における不良な予後と関連している。
【0084】
Her-2/neuを標的にするいくつかのモノクローナル抗体があるが、トラスツツマブの商標名(Genentech, Inc., San Francisco, CA)である、HERCEPTIN(登録商標)は現在、Her-2/neu陽性癌患者の処置のための唯一認可された治療用物質である。少量のHer-2/neuは、多くの正常細胞型上に見出されうり、癌細胞は、癌細胞表現型と関連した過剰発現、細胞増殖の増加、および分化をもたらす変化した発現を有する。しかしながら、トラスツツマブでの処置の成功は、Her-2/neu発現が高度に過剰発現されていることを必要とする。Her-2/neu発現レベルは、固定され、かつ免疫組織学的に染色された生検試料を用いて測定されうる。これらのアッセイの型は当技術分野において周知であり、4D5モノクローナル抗体(LabCorp, Research Triangle Park, NC)、HerceptTest(登録商標)(DAKO, Glostrup, Denmark)およびVysis PathVysion(商標)HER-2 DNA Probe Kit(Fujisawa Healthcare, Inc., North Deerfield, IL)を用いる免疫組織化学的評価を含む。Her-2/neuレベルは、一般的に、0(正常)〜3+であり、トラスツツマブ治療は、2+またはそれ以上の発現レベルをもつ患者において効力があることが示されている。
【0085】
IL-21は、Her-2/neu受容体の高レベルかまたはより低いレベルのいずれかを発現させるヒト乳癌細胞系をもつインビトロおよびインビボの両方のモデルにおいて、免疫エフェクターT細胞およびNK細胞における溶解活性を促進することが実証されている(例えば、実施例6)。IL-21に媒介されたエフェクター機能の増強は、癌細胞がより低いレベルのHer-2/neu受容体を発現させている場合でさえも、トラスツツマブ治療に効力をもたらす。例えば、以前には処置されなかった患者集団にとって価値のある治療であるならば、IL-21およびトラスツツマブで処置される1+または2+過剰発現レベルをもつ患者は、処置の候補である。Her-2/neuを発現するマウス癌腫を有するマウスは、抗Her-2/neu MAbと組み合わせたIL-21を試験するために用いられうる(Penichet, et al., Lab Anim. Sci. 49:179-188, 1999)。
【0086】
各プロトコールは腫瘍応答評価を異なって定義している場合もあるが、例示的なガイドラインは、Clinical Research Associates Manual, Southwest Oncology Group, CRAB, Seattle, WA, 1998年10月6日, 1999年8月更新に見出されうる。CRA Manual(7章「Response Accessment」を参照されたい)に従って、腫瘍応答は、すべての測定可能な病変または転移の縮小または消失を意味する。疾患は、一般的に、それが、医学的写真またはX線、コンピュータ断層写真(CT)、磁気共鳴画像(MRI)または触診により明らかに確定される縁をもつ二次元的に測定可能な病変を含む場合には、測定可能とみなされる。評価可能な疾患とは、疾患が、一次元的に測定可能な病変、明らかには確定されない縁をもつ腫瘤、両方とも0.5 cm未満の直径をもつ病変、カット間の距離より短いいずれかの直径をもつスキャン上の病変、2 cm未満の直径をもつ触診できる病変、または骨疾患を含むことを意味する。評価不可能な疾患は、胸膜滲出、腹水症、および間接的徴候により実証される疾患を含む。進行していない、以前に照射された病変もまた、一般的に、評価不可能とみなされる。
【0087】
客観的状態についての基準が、固形腫瘍応答を評価しうるプロトコールに必要となる。代表的基準は以下を含む:(1)すべての測定可能および評価可能な疾患の完全な消失として定義される完全寛解(CR)。新しい病変なし。疾患関連症状なし。評価不可能な疾患の徴候なし;(2)すべての測定可能な病変の垂直直径の積和においてベースラインから50%以上の減少として定義される部分寛解(PR)。評価可能な疾患の進行なし。新しい病変なし。少なくとも1つの測定可能な病変をもつ患者へ適用する;(3)ベースラインと同じ技術を用いて観察される最小和に対して測定可能な病変の積和における50%もしくは10 cm2の増加として定義される進行、または任意の評価可能な疾患の明らかな悪化、消失していた任意の病変の再出現、または任意の新しい病変の出現、または死もしくは状態の悪化のために評価に対して返答せず(この癌と無関係である場合を除く);(4)CR、PRまたは進行に該当しないとして定義される不変または無効。(Clinical Research Associates Manual, 前記を参照。)
【0088】
本発明は以下の非限定的な実施例によりさらに示される。
【実施例】
【0089】
実施例1
IL-21は抗体依存性NK細胞活性を増強する
A.
末梢血が採取され、単核細胞(MNC)がフィコール遠心分離により調製された。ナチュラルキラー(NK)細胞は、StemSep(商標)Human NK Cell Stem Cell Technologies(Vancouver, British Columbia)ヒトNK細胞ネガティブ濃縮キットを用いるネガティブ濃縮により、MNC集団から精製された。簡単には、MNCは、系譜特異的抗体(NK系譜を除く)で標識され、次に、磁気によって標識された。標識されたMNCは、標識細胞が保持され、非標識NK細胞が通過する磁気カラムを通して流された。
【0090】
NK細胞は、5x105細胞/mLの密度で蒔かれ、0、1、10もしくは100 ng/mL hIL-21 (A794F)または10 ng/mL IL-12(陽性対照)を含むαMEM/10%自己血清/50 μM β-メルカプトエタノール中で、すべて、Fc刺激の存在下または非存在下において、3日間、培養された。Fc刺激は、PBS中の100 μg/mL hIgGをプラスチック上へ37℃で1時間蒔くことにより提供され、その後、PBS/抗体溶液が除去され、NKはその表面上で培養された。3日間の培養期間後、上清が収集された。上清におけるIFN-γは、BD OptEIAヒトIFN-γ ELISAキット(BD Biosciences, San Jose, CA)を用いて定量された。結果は、試料あたりのng/mL IFN-γを表す棒グラフ形式でプロットされた。
【0091】
Fc刺激の存在下において、IL-21は、IFN-γ産生において用量依存性増加を引き起こした。この実験で試験されたIL-21の最大用量において(100 ng/mL)、バックグランドに対しておおよそ18倍の増加があった。Fc刺激の非存在下において、IL-21の存在下でのIFN-γ産生における増加はなかった。
【0092】
B.
末梢血白血球は、ドナープログラムから白血球瀉血により採取された。単核細胞(MNC)は、フィコール遠心分離により血漿交換された血液から調製された。ナチュラルキラー(NK)細胞は、Stem Cell TechnologiesヒトNK細胞ネガティブ濃縮キットを利用するネガティブ濃縮により、MNC集団から精製された。簡単には、MNCは、系譜特異的抗体(NK系譜を除く)で標識され、次に、磁気によって標識された。標識されたMNCは、標識細胞が保持され、非標識NK細胞が通過する磁気カラムを通して流された。
【0093】
NK細胞は、1x106/mLの密度で蒔かれ、αMEM/10%加熱不活性化ヒトAB血清/50 μM β-メルカプトエタノール/ITS(Invitrogen GibcoBRL, Carlsbad, CA)/150 μg/ml添加のトランスフェリン/5 mg/mL BSA中で、0.2、1、5、25、もしくは100 ng/mLヒトIL-21の存在下または非存在下において、1、2、3、4、6または7日間、培養された。各培養期間の終わりに、NK細胞が収集され、洗浄され、計数され、細胞溶解の標的としてリンパ腫細胞系(Ramos, CRL 1596, American Type Culture Collection, Manassas, VA)を利用する抗体依存性細胞傷害性細胞溶解(ADCC)アッセイにかけられた。標的細胞は、アッセイの前に、5% FBS(HBSSF)および10 μM カルセインAM(Molecular Probes, カタログ番号C1430)を含むハンクス緩衝食塩水(Hank's Buffered Salt Solution)(CaまたはMgを含まない)において37Cで60分間、インキュベートすることにより標識された。標的細胞は、蛍光色素(カルセインAM)を取り込み、細胞質内でそれを活性蛍光色素へと変換するが、それは溶解に際してのみ細胞から放出される。溶解された細胞は、蛍光色素を上清へ放出し、その後、それは採集され、蛍光量が蛍光光度計で定量化される。パーセント細胞溶解が、様々な量のNK細胞(エフェクター)の存在下または非存在下における3時間のインキュベーション後、上清に存在する蛍光量から計算された。ADCCアッセイについて、標的は、添加される抗体なし、1 μg/mL無関係のIgG、または1 μg/mLリツキシマブと共に用いられた。
【0094】
2人のドナーが試験された。ドナーAのNK細胞は、0、1、5、25または100 ng/mLヒトIL-21中で培養され、1日目、2日目、3日目、4日目および7日目の時点を有した。ドナーBのNK細胞は、0、0.2、1、5、または25 ng/mLヒトIL-21中で培養され、1日目、2日目、3日目、4日目、6日目および7日目の時点を有した。両方のドナーにおいて、無関係のIgG対照と比較した場合、リツキシマブの存在下において標的細胞に対する細胞溶解活性の増強(3〜10倍)が存在した。この細胞溶解活性における増強は、NK細胞がアッセイの前にIL-21の存在下で培養された場合、さらに増加した(2〜10倍)。
【0095】
ドナーA培養物は、1 ng/mL IL-21 NK培養物が他の用量より有意に少ないADCC増強活性を有した7日目を除いて、試験されたIL-21の用量(1、5、25または100 ng/mL)の間でADCCの増強において有意差を示さなかった。ドナーB培養物は、0.2 ng/mL IL-21を含む培養物が、試験された他のIL-21用量より有意に少ないADCC増強活性を示した4日目(および残りの時点まで連続する)まで、試験されたIL-21の用量(0.2、1、5または25 ng/mL)の間でADCCの増強において有意差を示さなかった。両方のドナーは、試験されたすべての時点においてIL-21 ADCC増強を示し、無関係なIgGに対する最大増強は、6日目または7日目において、明らかであった。
【0096】
C.
末梢血は、実施例1Aに記載されているように、ドナープログラムから採取された。NK細胞は、8.1〜11 x105/mLの密度で蒔かれ、20 ng/mLヒトIL-21の存在下または非存在下において、αMEM/10%自己血清/50 μM β-メルカプトエタノール中で、3日間、培養された。培養期間の終わりに、NK細胞が収集され、洗浄され、計数され、細胞溶解の標的としてリンパ腫細胞系DOHH2(Kluin-Nelemans, H.C. et al., Leukemia 5:221-224, 1991; Drexler, H.G. et al., DSMZ Catalogue of Cell Lines, 第7版, Braunschweig, Germany, 1999)を利用する抗体依存性細胞傷害性細胞溶解(ADCC)アッセイにかけられた。DOHH2細胞は、アッセイの前に、25 μM カルセインAM(Molecular Probes)と共に5% FBS(HBSSF)を含むハンクス緩衝食塩水において30分間、インキュベートすることにより標識された。標的は、蛍光色素(カルセインAM)を取り込み、細胞質内でそれを活性蛍光色素へと変換するが、それは溶解に際してのみ細胞から放出される。溶解された細胞は、蛍光色素を上清へ放出し、その後、それは採集され、蛍光量が蛍光光度計で定量化される。%細胞溶解が、様々な量のNK細胞(エフェクター)の存在下または非存在下における3時間のインキュベーション後、上清に存在する蛍光量から計算された。ADCCアッセイについて、標的は、添加される抗体なし、2 □g/mLの無関係のIgG、または0.002、0.02、0.2、もしくは2 μg/mLリツキシマブと共に用いられた。
【0097】
結果は、2人のドナーから作成され、エフェクター:標的(E:T)比対パーセント溶解として表された。両方のドナーにおいて、添加される抗体なしまたは無関係のIgG対照と比較した場合、2 μg/mLリツキシマブの存在下においてDOHH2細胞に対する細胞溶解活性の明らかな増強(E:T=3において6〜11倍)があった。リツキシマブ増強は、2 μg/mLおよび0.2 μg/mLにおいて同じであり、0.02 μg/mLにおいて試験された最高E:T(4または6)で下降し始め、0.002 μg/mLにおいて試験されたすべてのE:Tで明らかにより低かった。リツキシマブ依存性細胞溶解活性における増強は、NK細胞が細胞溶解アッセイの前にIL-21の存在下で3日間培養された場合、試験されたすべてのリツキシマブ用量で増加した(E:T=3におけるリツキシマブ増強活性に対して1.5〜3倍)。
【0098】
実施例2
IL-21はヒトNK細胞においてグランザイムB発現を上方制御する
ヒトNK細胞は、磁気ビーズ分離キット(Miltenyi Biotech, CA)を用いるネガティブ選択によりFicoll-Paque精製された単核細胞から単離された。精製されたNK細胞は、その後、培地のみかまたは20 ng/mLヒトIL-21かのいずれかにおいて48時間、培養された。細胞は収集され、洗浄され、その後、表面マーカーで染色された。表面マーカー染色後、細胞は洗浄され、その後、Cytofix/Cytoperm(商標)緩衝液(BD Biosciences, San Jose, CA)で20分間、透過処理された。細胞は、その後、Perm/Wash緩衝液においてAPC標識抗ヒトグランザイムBまたはアイソタイプ対照抗体(Caltag, Burlingame, CA)で染色された。細胞は洗浄され、その後、FACSCalibur(商標)フローサイトメーター上で読み取られた。データは、Cellquest(商標)ソフトウェア(BD Biosciences)を用いて解析された。
【0099】
図1は、IL-21の存在下においてヒトNKをインキュベートすることが、NK細胞殺害の重要な媒介物であるグランザイムB発現において大きな増加を引き起こすことを示している。これは、グランザイムBを上方制御することにより、IL-21が、NK細胞の、それらの標的細胞を殺す能力を増強することを示唆している。
【0100】
実施例3
IL-21+リツキシマブは、HSサルタン(Sultan)リンパ腫細胞を注射されたマウスの生存を増加させる
研究は、腫瘍成長が、リツキシマブ、マウスIL-21(mIL-21)、またはmIL-21およびリツキシマブの組み合わせで処置された、HS-サルタン細胞を注射されたCB-17 SCIDマウスにおいて遅れるかどうかを評価するために行われた。研究は、様々な処置群においてHS-サルタンを有するマウスの生存を特徴付けるように設計された。
【0101】
プロトコールは、当技術分野において公知のものと類似していた(Cattan et al., Leuk Res. 18(7):513-522, 1994; Ozaki et al., Blood 90(8):3179-86, 1997を参照されたい)。CD17-SCIDマウスは、20 μgのリツキシマブ(合計5回の注射として4日間ごとに投与される)、100 μgのmIL-21(5日間投与される)、またはリツキシマブおよびmIL-21の組み合わせのいずれかをIP注射により与えられた(各処置について5回投与される)。
【0102】
マウスは、麻痺または急速な体重減少のような瀕死のまたは生存できない状態についてモニターされた。体重は、研究の期間中、週に2回、収集された。生存時間は、すべてのマウスについて記録され、カプラン-マイヤー生存曲線をプロットし、ログランク統計値を計算する(Statview, SAS Institute, Cary, NC)ことにより、処置群間で比較された。
【0103】
以下の群が用いられた:
群1(n=10)、1日目に開始する合計5回の注射として、4日間ごとに20 μgリツキシマブ。
群2(n=10)、3日目に開始する合計5回の注射として、4日間ごとに20 μgリツキシマブ。
群3(n=10)、6日目に開始する合計5回の注射として、4日間ごとに20 μgリツキシマブ。
群4(n=10)、媒体対照(PBS)の1日目〜5日目におけるIP投与。
群5(n=10)、1日目に開始する5日間毎日、100 μg mIL-21、IP。
群6(n=10)、1日目に開始する5日間、100 μg mIL-21 + 3日目に開始する合計5回の注射として、4日間ごとに20 μgリツキシマブ。
【0104】
マウス(雌、C.B-17 SCID、9週齢;Harlan, Madison, WI)は6群へ分けられた。0日目において、HS-サルタン細胞(ATCC No. CRL-1484)が培養から収集され、すべてのマウスへ尾静脈を通して静脈内に注射された(マウスあたり1,000,000細胞)。マウスは、その後、上の処置群説明に記載された用量およびスケジュールを用いて、リツキシマブ、mIL-21、またはその2つの作用物質の組み合わせで処置された。すべての処置は、0.1 mLの容量での腹腔内注射により投与された。
【0105】
リツキシマブで処置されたマウスの群において、有意な生存効果は、投与が1日目または3日目に開始された場合に観察されたが、6日目においては観察されなかった。マウスIL-21単独は、腫瘍を有するマウスへ生存便益を提供しなかった。mIL-21(100 ug/日、1日目〜5日目)およびリツキシマブ(20 ug/日、3日目、7日目、11日目、15日目、19日目)の組み合わせで処置されたマウスは、非常に有意な生存便益を有した(媒体対照と比較してP<0.0001、3日目に開始するリツキシマブと比較してP<0.02;ログランク検定)。研究の120日目において、mIL-21+リツキシマブ群における累積生存は、リツキシマブのみの群における20%と比較して70%であった。
【0106】
実施例4
IL-21+リツキシマブはRaji腫瘍細胞を注射されたマウスの生存を増加させる
研究は、腫瘍成長が、リツキシマブ、mIL-21、またはmIL-21およびリツキシマブの組み合わせで処置された、Raji細胞を注射されたCD-17 SCIDマウスにおいて遅れるかどうかを評価するために行われた。研究は、様々な処置群においてRajiを有するマウスの生存を特徴付けるように設計された。
【0107】
プロトコールは実施例3において記載されている。
【0108】
以下の群が用いられた:
群1(n=8)、3日目〜7日目、IPによる媒体対照PBS。
群2(n=8)、1日目に開始する5日間毎日、100 μg mIL-21、IP。
群3(n=8)、3日目に開始する5日間、100 μg mIL-21。
群4(n=9)、3日目に開始する合計5回の注射として、4日間ごとに20 μgリツキシマブ。
群5(n=9)、5日目に開始する合計5回の注射として、4日間ごとに20 μgリツキシマブ。
群6(n=9)、1日目に開始する5日間毎日、100 μg mIL-21、IP + 3日目に開始する合計5回の注射として、4日間ごとに20 μgリツキシマブ。
群7(n=9)、3日目に開始する5日間毎日、100 μg mIL-21、IP + 5日目に開始する合計5回の注射として、4日間ごとに20 μgリツキシマブ。
【0109】
マウス(雌、C.B-17 SCID、9週齢;Harlan, Madison, WI)は7群へ分けられた。0日目において、Raji細胞(ATCC No. CCL-86)が培養から収集され、すべてのマウスへ尾静脈を通して静脈内に注射された(マウスあたり1,000,000細胞)。マウスは、その後、上の処置群説明に記載された用量およびスケジュールを用いて、リツキシマブ、mIL-21、またはその2つの作用物質の組み合わせで処置された。すべての処置は、0.1 mLの容量での腹腔内注射により投与された。
【0110】
リツキシマブで処置されたマウスの群において、有意な生存効果は、投与が3日目または5日目に開始された場合に観察された。マウスIL-21単独は、腫瘍を有するマウスへ生存効果を与えなかった。mIL-21(100 ug/日、3日目〜7日目)およびリツキシマブ(20 ug/日、5日目、9日目、13日目、17日目、21日目)の組み合わせで処置されたマウスは、非常に有意な生存効果をもった(媒体対照と比較してP<0.0001、5日目に開始するリツキシマブと比較してP<0.03;ログランク検定)。研究の100日目において、mIL-21+リツキシマブ群における累積生存は、リツキシマブのみの群における10%と比較して55%であった。
【0111】
実施例5
非ヒト霊長類におけるIL-21+リツキシマブ研究
リツキシマブおよびrIL-21は、3匹の雄カニクイザルからなる群へ、投与期間あたり1週間からなる3つの投与期間に、静脈内に同時投与された。投与の第2週と第3週の間に投与なしの1週間があった。リツキシマブは、各投与期間の第1日目に投与され、rIL-21は、各投与期間の第1日目に開始する3日間、投与された。投与例外は、対照物0.9%塩化ナトリウムを投与される対照群、リツキシマブのみを投与される群3、およびrIL-21のみを受ける群2であった。群5は、各投与期間の第1日目のみにrIL-21を投与されたが、合計の週用量は、rIL-21を受けた他の群と同等であった。群7は、静脈内よりむしろ、皮下にrIL-21を投与された。群4は第3投与期間中に投与されず;最終投与は10日目に受けられた。すべての他の群についての最終投与は24日目であった。動物は、橈側皮静脈、伏在静脈または他の適した静脈への静脈注射;肩甲骨内領域または他の適した部位への皮下注射を用いて投与された。
【0112】
(表3)研究スケジュールおよび群

a rIL-21およびRituxan同時投与を有する群において、RituxanはrIL-21の前に投与された。
b 個々の動物投与容量(ml)は、最新の体重に基づいて計算された。投与容量は、次の読み取り可能なシリンジ増分まで切り上げられた。
c Rituxan投与の後に3.0 ml/kgの生理食塩水洗浄が続いた。
【0113】
末梢血細胞サブセットは、フローサイトメトリーを用いて分析された。収集された血液のおよそ1.3 mlが、投与前の-8日目の順化中に1回、ならびに1日目、8日目および22日目において投与から6時間後に、EDTA-2Kで処置されたチューブに入れられた。投与前試料は、3日目、10日目および24日目に採取された。試料は、7日目、14日目、17日目および42日目に1回、採取された。試料のおよそ0.5 mlが血液学分析のために分注され、残りの試料は、フローサイトメトリー分析を処理するまで、室温で保たれた。
【0114】
全血のおよそ2.0 mlが、-8日目および-4日目における順化中に、リチウムヘパリンを含むチューブへ収集された。それはまた、3日目、10日目、22日目および24日目において投与前に、ならびに7日目および14日目において1回、収集された。試料は、フローサイトメトリー分析およびADCC活性アッセイについて処理するまで、室温で保存された。
【0115】
(表4)

【0116】
IL-21処置は、循環白血球の表現型および数へ顕著な効果を生じた。IL-21での処置後間もなく、すべてのリンパ球集団が減少した。B細胞は、T細胞およびNK細胞より速く回復した。T細胞は、投与後4〜6日間目までにベースラインレベルまで回復し、Tヘルパー細胞は、IL-21処置の第2サイクルから4〜6日後、わずかに上昇した。NK細胞は、すべての群において減少し、投与サイクル間の部分的回復のみがあった。循環単球の数は、IL-21処置後増加し、単球および顆粒球の両方は、Fc受容体発現を増加させた。
【0117】
A. リンパ球効果
リツキシマブの準臨床的用量は、循環B細胞の数を投与の6時間内にベースラインより70%下の最下点まで低減させた。rIL-21単独での処置は、最初は、循環B細胞、T細胞およびNK細胞を低減させ、その後、次の投与サイクル前に持続的増加および回復が続いた。リンパ球減少の急速な逆転およびrIL-21でのリンパ濾胞枯渇の以前の観察に基づいて、この効果は、リンパ系組織から血液への再循環の増加と組み合わされた活性化リンパ球の一過性辺縁趨向と解釈された。末梢B細胞における増加は、rIL-21およびリツキシマブの両方で処置された動物において大いに緩和され、リツキシマブまたはrIL-21単独で処置された群に対して、一貫してより低いB細胞最下点が観察された。rIL-21により引き起こされる他のリンパ球サブセットにおける変化は、リツキシマブ処置によって変化しなかった。
【0118】
(表5)末梢血におけるCD20低 B細胞(1 ulあたりの計数)

【0119】
(表6)末梢血におけるCD20高 B細胞(1 ulあたりの計数)

【0120】
(表7)末梢血における細胞傷害性T細胞(CTL)(1 ulあたりの計数)

【0121】
(表8)末梢血におけるTヘルパー細胞(1 ulあたりの計数)

【0122】
B. ADCC効果
MNC調製物は、フィコール密度勾配で作製された。すべての処置された動物からのMNC調製物は、免疫表現型およびこの研究の経過中のエクスビボADCC活性について特徴付けられた。標的細胞は、アッセイ前に、カルセインAMを負荷され、アッセイ評価項目としての3時間のインキュベーション中の細胞内染色の特異的放出があった。
【0123】
rIL-21でのカニクイザルの処置は、結果として、末梢血におけるNK細胞計数およびMNC調製物におけるNK細胞のパーセンテージの変化を生じた。最初は、NK細胞は処置後、減少したが、投与サイクルの間にベースライン値への傾向があった。
【0124】
rIL-21またはrIL-21と組み合わせたリツキシマブで処置されたカニクイザルからのMNCは、媒体対照およびリツキシマブのみで処置された動物からのMNCと比較して、エクスビボADCC活性の増加を示した。溶解活性は、3日目において低く、MNC調製物におけるほんのわずかのNK細胞と相関している。7日目および10日目に、ADCCは、rIL-21処置された動物においてベースラインを超えて増加し、同様の傾向は、rIL-21+リツキシマブで処置された動物において見られた。NK細胞あたりの溶解活性は、MNC調製物におけるNK細胞の少ない数にもかかわらず、14日目において維持された。
【0125】
(表9)末梢血におけるNK細胞数(計数/ul)

【0126】
(表10)MNC調製物全体に占めるパーセンテージとしてのNK細胞

【0127】
(表11)rIL-21で処置されたカニクイザルにおけるADCC。25のE:T比におけるMNC調製物全体からのパーセント溶解。

【0128】
(表12)rIL-21で処置されたカニクイザルにおけるADCCを用いて測定されるパーセント特異的溶解。2のE:T比についてのNK調整ADCC。

【0129】
C. 追加の評価項目
可溶性IL-2Rα(sCD25)、免疫活性化マーカーはrIL-21投与で急速に増加し、細胞内パーフォリン、溶解性顆粒酵素は、よりゆっくりと増加し、第2の投与間隔後に最高発現があった。FcγRI(CD64)およびFcγRIII(CD16)は、単球および顆粒球の両方において上方制御された。
【0130】
パーフォリンは、MNC調製物においてフローサイトメトリーにより測定された。sCD25の測定について、血液は、-8日目の順化中に1回、ならびに17日目、29日目、37日目および42日目に1回、収集された。それはまた、1日目、8日目、および22日目において、投与前、投与から5分後、30分後、2時間後、および6時間後に収集された。3日目、10日目、および24日目において、血液は投与から30分後に収集された。
【0131】
血液のおよそ0.75 mlがSSTクロットチューブへ移動された。試料は、およそ40〜60分間、室温で凝固させられた。血清は、遠心分離(2000 x g、2〜8℃でおよそ15分間)により得られ、-70℃でのフリーザーに保存された。血清に存在する可溶性CD25は、マウスモノクローナル抗sCD25抗体を用いて捕獲され、ビオチン化ヤギポリクローナル抗sCD25抗体で検出された。ストレプトアビジン-HRPおよび基質TMBは、試料および標準に存在するsCD25の比色定量化を可能にした。
【0132】
(表13)

【0133】
(表14)

【0134】
(表15)

【0135】
(表16)顆粒球−CD64 MFIにおけるベースラインからのパーセンテージ変化

【0136】
(表17)単球−CD64 MFIにおけるベースラインからのパーセンテージ変化

【0137】
実施例6
Her-2/neu発現乳癌細胞系のIL-21およびトラスツツマブ媒介性殺害
A.
200 mLのヒト血液は、ドナープログラムから得られた。血液の180 mLが酸性クエン酸デキストロースチューブに収集され、同じドナーからの20 mLがクロットチューブ(BD Biosciences)に収集された。クロットチューブにおける血液は、2800 rpmで30分間、遠心分離された。血清は上面から採取され、培地に用いられた(下記参照)。ACDチューブにおける血液の180 mLはプールされ、リン酸緩衝食塩水(PBS)、2%ウシ胎児血清(FBS)に1:2に希釈された。血液の30 mLアリコートは、50 mLチューブへ入れられた。12 mL Ficoll-Paque PLUS(Amersham Biosciences)は、血液の50 mLチューブのそれぞれの底に層にされた。血液のチューブは、1800 rpmで30分間、遠心分離された。軟膜界面は、各50 mLチューブから収集され、プールされた。プールは、合計100x細胞容量のPBS、2%FBSで2〜3回、洗浄された。最終の洗浄されたペレットは、2 mL PBS、2%FBSに再懸濁された。細胞は血球計算器で数えられた。
【0138】
上記のように精製されたMNC細胞は、4%自己血清を含むSF Complete(ヌクレオシド、50 μM B-メルカプトエタノール、1:100インスリン、トランスフェリン、セレニウムストック(Invitrogen)、150 μg/mL追加のトランスフェリン、5 mg/mLウシ血清アルブミンを含むαMEM)において、20 ng/mLヒトIL-21の添加有りまたは無しで、37℃で4日間、.5x106細胞/mLで培養された。4日目において、細胞は収集され、血球計算器で数えられ、ここでHBSSFと呼ばれている、5%ウシ胎児血清(FBS)を含むハンクス緩衝食塩水(CaまたはMgを含まないHBSS)中で洗浄された。細胞ペレットは、HBSSFに.5x106細胞/mLへと再懸濁された。
【0139】
BT-474(ATCC No. HTB-20)、SK-BR-3(ATCC No. HTB-30)、またはMCF-7(ATCC No. HTB-22)を含む乳癌標的細胞系は、HBSSF中、37℃で1時間、10 μM カルセインで標識された。標的は、その後、10容量のHBSSF中で、1100 rpmで8分間、洗浄された。細胞ペレットは、HBSSFに50,000細胞/mLへと再懸濁された。上記のようにヒトIL-21有りまたは無しで4日間、前処置されたMNCエフェクター細胞は、1100 rpmで8分間、遠心分離され、細胞ペレットは、HBSSFに約.5x106細胞/mLへと再懸濁された。エフェクターは、二つ組で、96ウェルの丸底プレートにおいて1:3段階希釈された。100 μl 標的は、2 μg/mLヒトIgGかまたは2.5 μg/mLトラスツツマブのいずれかの存在下における各ウェルへ添加された。96ウェルのプレートは、500 rpmで3分間、遠心分離された。プレートは、37℃で3時間、インキュベートされ、その後、1000 rpmで5分間、遠心分離された。各ウェルからの100 μl 上清は、96ウェル平底プレートへ移動され、Wallac蛍光光度計(Wallac)において485/535で1秒間の間隔で読み取られた。
【0140】
MCF-7乳癌細胞系は、Her-2/neu抗原を、この抗原を高レベルで発現するBT-474細胞系と比較して、低レベルで発現する。上記のADCCアッセイ法において、MCF-7標的が3のエフェクター:標的(E:T)で用いられる場合、トラスツツマブの存在下における未処置のエフェクターは、そのアッセイにおいてIgG存在下の未処置のエフェクターより細胞溶解活性は多くない。トラスツツマブの存在下において、10のE:Tで、IL-21前処置されたエフェクターは、未処置のエフェクターより4倍多い細胞溶解活性をもつ。10のE:Tで、IgGの存在下において、IL-21前処置されたエフェクターは、未処置のエフェクターに対して、細胞溶解活性に0.5倍の増加があった。BT-474細胞が標的である場合、トラスツツマブの存在下において、10のE:Tで、未処置でかつアッセイにIgGと共に存在するものに対して、未処置のエフェクターからの細胞溶解活性に7倍増加がある。10のE:Tで、IL-21前処置は、この細胞溶解活性を2倍、増加させる。これらの結果は、MCF-7細胞系が、トラスツツマブ単独がこの細胞系でエフェクター細胞溶解活性を増強するにあたって効果がないので、低い抗原発現物であるという事実を支持している。トラスツツマブ単独は、BT-474標的でエフェクターの細胞溶解活性を増強することにおいて効果がある。IL-21前処置は、これらの細胞系の両方においてエフェクターの細胞溶解活性をさらに増加させる。
【0141】
(表18)乳癌標的に対するヒトNK細胞からのADCC活性。評価項目は3のE:T比において溶解されるパーセンテージである。

【0142】
B.
200 mLのヒト血液は、ドナープログラムから得られた。血液の180 mLが酸性クエン酸デキストロースチューブに収集され、同じドナーからの20 mLがクロットチューブ(BD Biosciences)に収集された。クロットチューブにおける血液は、2800 rpmで30分間、遠心分離された。血清は上面から採取され、培地に用いられた(下記参照)。ACDチューブにおける血液の180 mLはプールされ、リン酸緩衝食塩水(PBS)、2%ウシ胎児血清(FBS)に1:2に希釈された。血液の30 mLアリコートは、50 mLチューブへ入れられた。12 mL Ficoll-Paque PLUS(Amersham Biosciences)は、血液の50 mLチューブのそれぞれの底に層にされた。血液のチューブは、1800 rpmで30分間、遠心分離された。軟膜界面は、各50 mLチューブから収集され、プールされた。プールは、合計100x細胞容量のPBS、2%FBSで2〜3回、洗浄された。最終の洗浄されたペレットは、2 mL PBS、2%FBSに再懸濁された。細胞は血球計算器で数えられた。
【0143】
MNCは、PBS、2%FBSに5〜10x107細胞/mLへと希釈された。NK細胞は、StemCell Technologies Enrichment of Human NK Cellキットを用いて精製された。NK細胞は、1100 rmpで8分間、遠心分離され、.5 mL PBS、2%FBSに再懸濁され、血球計算器で数えられた。
【0144】
BT-474細胞(ATCC No. HTB-20)は、12ウェルのプレートに、DMEM(Gibco)、10%FBS中.125x106細胞/mLで蒔かれ、3時間、接着させられた。上記のように精製されたNK細胞は、SF Complete(ヌクレオシド、50 μM β-メルカプトエタノール、1:100インスリン、トランスフェリン、セレニウムストック(Invitrogen)、150 μg/mL追加のトランスフェリン、5 mg/mLウシ血清アルブミンを含むαMEM)プラス4%加熱不活性化ヒトAB血清に1〜2x106細胞/mLへと希釈された。培地はBT-474細胞から吸引され、2 mL希釈NK細胞がBT-474細胞へ添加され、共培養を設定した。無し、2 μg/mlトラスツツマブ、20 ng/mlヒトIL-21、または2 μg/mL+20 ng/mlヒトIL-21が共培養に添加された。共培養は、37℃で一晩、インキュベートされた。一晩の共培養後、細胞は収集され、血球計算器で数えられた。細胞はHBSSF(下記参照)中で洗浄され、細胞ペレットは1 mL HBSSFに再懸濁された。
【0145】
20 μg/mlマウスγグロブリン(Jackson ImmunoResearch Laboratories, Inc. West Grove, PA)および1:100コンジュゲート抗体が、100 μL HBSSFにおける100,000〜200,000個のNK細胞へ添加された。抗体組み合わせは、CD25FITC、CD56PE、CD16Cychrome、およびCD8APCを含んだ(BD Pharmingen)。アイソタイプ対照は、各コンジュゲート抗体単独とのNK共培養物からの100,000〜200,000個のプールされた細胞を含んだ。細胞は、暗闇において4℃で30分間、インキュベートされた。細胞は、PBS、2%FBS中で1回、洗浄され、200 μL PBS、2%FBS中に放置された。パラホルムアルデヒドが、細胞を固定するために0.2%まで添加され、細胞は、FACS分析を行う直前まで4℃で保たれた。FACS分析は、固定後3〜4日以内に、Becton Dickinson FACS Caliburで行われた。Cellquestソフトウェアは、フローデータを解析するために用いられた。総細胞数は、1 mLあたりの細胞数に培養物容量を掛けることにより計算された。
【0146】
試験されたすべての4人のドナーにおいて、トラスツツマブおよびIL-21が、NK細胞および乳癌細胞系、BT-474の共培養にある場合、細胞のCD56+/CD25+集団において増加があった。具体的には、培地のみ(上で記載された)での共培養と比較した場合、トラスツツマブ単独は結果として2〜20倍増加を生じ、IL-21単独は結果として2〜4倍増加を生じ、IL-21およびトラスツツマブが存在する場合、CD56+/CD25+集団において4〜50倍増加があった。すべてのドナーにおいて、IL-21およびトラスツツマブの存在下で、すべての他の共培養条件を超える、CD56+/CD25+集団の増加があった。
【0147】
C.
200 mLのヒト血液は、社内ドナープログラムから得られた。血液の180 mLがACDチューブに収集され、同じドナーからの20 mLがクロットチューブに収集された。クロットチューブにおける血液は、2800 rpmで30分間、遠心分離された。血清は上面から採取され、培地に用いられた(下記参照)。ACDチューブにおける血液の180 mLはプールされ、リン酸緩衝食塩水(PBS)、2%ウシ胎児血清(FBS)に1:2に希釈された。血液の30 mLアリコートは、50 mLチューブへ入れられた。12 mL Ficoll-Paque PLUS(Amersham Biosciencesカタログ番号17-1440-03)は、血液の50 mLチューブのそれぞれの底に層にされた。血液のチューブは、1800 rpmで30分間、遠心分離された。軟膜界面は、各50 mLチューブから収集され、プールされた。プールは、合計100x細胞容量のPBS、2%FBSで2〜3回、洗浄された。最終の洗浄されたペレットは、2 mL PBS、2%FBSに再懸濁された。細胞は血球計算器で数えられた。
【0148】
上記のように精製されたMNC細胞は、4%自己血清を含むSF Complete(ヌクレオシド、50 μM B-メルカプトエタノール、1:100インスリン、トランスフェリン、セレニウムストック(Gibco)、150 μg/mL追加のトランスフェリン、5 mg/mLウシ血清アルブミンを含むαMEM)において、20 ng/mLヒトIL-21の添加有りまたは無しで、37℃で4日間、0.5x106細胞/mLで培養された。4日目において、細胞は収集され、血球計算器で数えられ、ここでHBSSFと呼ばれている、5%ウシ胎児血清(FBS)を含むハンクス緩衝食塩水(CaまたはMgを含まないHBSS)中で洗浄された。細胞ペレットは、HBSSFに.5x106細胞/mLへと再懸濁された。
【0149】
BT-474またはMCF-7を含む乳癌標的細胞系は、HBSSF中、37℃で1時間、10 μM カルセインで標識された。標的は、その後、10容量のHBSSF中、1100 rpmで8分間、洗浄された。細胞ペレットは、HBSSFに50,000細胞/mLへと再懸濁された。上記のようにヒトIL-21有りまたは無しで4日間、前処置されたMNCエフェクター細胞は、1100 rpmで8分間、遠心分離され、細胞ペレットは、HBSSFに約0.5x106細胞/mLへと再懸濁された。標的は、二つ組で、96ウェルの丸底プレートにおいて1:3段階希釈された。100 μl標的は、2 μg/mLヒトIgGかまたは10、5、2.5、1.25、.62、.31 μg/mL herceptinのいずれかの存在下における各ウェルへ添加された。96ウェルのプレートは、500 rpmで3分間、遠心分離された。プレートは、37℃で3時間、インキュベートされ、その後、1000 rpmで5分間、遠心分離された。各ウェルからの100 μl 上清は、96ウェル平底プレートへ移動され、Wallac蛍光光度計において485/535で1秒間の間隔で読み取られた。
【0150】
ADCCアッセイにおいて標的としてBT-474かまたはMCF-7細胞のいずれかを用いて、IL-21で前処置されたMNCは、未処置のMNCまたはアッセイにIgGが存在する場合より、試験されたトラスツツマブのすべての濃度において、高い活性を有する。3のエフェクター:標的(E:T)において、細胞溶解活性は、BT-474が用いられる場合、5 μg/mLトラスツツマブにおいて最大である。3のE:Tにおいて、細胞溶解活性は、MCF-7が用いられる場合、1.25 μg/mLにおいて最大である。
【0151】
D.
末梢血は、カニクイザルからリチウムヘパリンを含む5 mlチューブへ収集され、試料処理まで室温で保存された。試料は、1 mM EDTAを含むPBSで希釈され、単核細胞(MNC)画分は、95%フィコールに対する遠心分離により収集された。洗浄後、細胞は、rIL-21 20 ng/mlを含む増殖培地または対照培地において3日間、培養された。インキュベーション後、細胞は洗浄されて、数えられ、アリコートが、フローサイトメトリーによる免疫表現型分類のために染色された。細胞のアリコートは、以下のように抗体依存性細胞傷害アッセイを行うために用いられた。BT-474乳癌標的細胞は、37℃で60分間、カルセイン-AMを負荷され、洗浄され、1000個の標的細胞が、2 μg/ml Herceptinおよび50,000個、25,000個、12,500個、6250個、3125個、1563個、または781個の任意のMNCを含むウェルへ置かれた。アッセイは、37℃での暗闇において3時間、インキュベートされた。このインキュベーション後、カルセイン-AMの上清への放出が測定され、特異的溶解は、全(界面活性剤)溶解による放出および任意のMNCエフェクター細胞の非存在下における非特異的放出に基づいて計算された。実験は、8匹のカニクイザルドナーのそれぞれについて2回、繰り返された。データは、25のE:T比におけるMNCあたりのパーセンテージ特異的溶解として示された、またはデータは、フローサイトメトリー分析に基づいて、MNC調製物における実際のNK細胞数を反映するように標準化された。NK補正されたデータについて、E:T比は、4パラメーターS字形曲線を用いて溶解されたパーセンテージに対して適合されており、ヒル方程式(Hill equation)を用いて、BT-474標的あたり3NKのE:T比において溶解されたパーセンテージが決定された。
【0152】
カニクイザルMNCのrIL-21でのインビトロでの処置は、BT-474乳癌標的を用いるHerceptin媒介型ADCCアッセイにおいて活性を増加させた。いくつかの動物は、他のものよりrIL-21に対して大きい応答をもち、この多様な応答は、反復実験において動物により一貫性があった。混合効果モデルは、SAS(登録商標)におけるProc MIXED(Littell et al. SAS System for Mixed Models; SAS Institute, 1996)を用いて、ドナーについての固定効果および変量効果としての処置ならびにドナー相互作用による処置に適合させた。SAS(登録商標)におけるKenward Rogerオプションを用いて、処置についてのP値の計算のための分母自由度を決定した。処置期間は高度に有意であった。
【0153】
(表19)BT-474乳癌標的に対するカニクイザルMNC調製物からのADCC活性。評価項目は、25のE:T比における溶解されたパーセンテージである。

【0154】
(表20)BT-474乳癌標的に対するカニクイザルMNC調製物からのADCC活性。評価項目は、3のNK補正E:T比における溶解されたパーセンテージである。

【0155】
実施例7
CD4/CD8枯渇マウスモデル
細胞表面受容体に対する抗体を用いる細胞の枯渇は、免疫機構におけるこれらの細胞についての特定の役割を理解するために長年、用いられてきた。マウスへ注射された場合、Tリンパ球上のCD4およびCD8抗原に対する抗体は、ADCCおよび補体を含む機構により特定のT細胞サブセットを枯渇させる。低用量の抗体が、CD4またはCD8 T細胞の20〜50%を枯渇させるためにマウスへ注射される。マウスの群は、IL-21を与えられ、枯渇を促進するそれの能力は、フローサイトメトリーによりT細胞を追跡することにより研究される。IL-21でのT細胞の枯渇の増加は、インビボの細胞の抗体媒介型枯渇を促進するIL-21の能力を示している。
【0156】
ラット抗マウスCD4(クローンGK1.5、ATCC)またはラット抗マウスCD8(クローン53-6.72、ATCC)が枯渇研究に用いられる。8〜12週齢のC57BL/6マウス(Charles River Laboratories)の群は、0日目に、対照抗体、5〜50 μgの抗CD4または抗CD8 mAbを腹腔内に注射される。マウスの群は、腹腔内に、採血の2日前から開始し、1日目まで、PBSかまたは25 μg mIL-21のいずれかを受ける。マウスは、1日目、4日目、および7日目に採血される。血液CD4およびCD8 T細胞数は、フローサイトメトリーによりアッセイされる。
【0157】
IL-21でのT細胞の枯渇の増加は、細胞の抗体媒介性枯渇をインビボで増強するIL-21の能力を示し、IL-21が抗体媒介性効果を増強することができることを示唆している。
【0158】
実施例8
肺クリアランスアッセイ
肺クリアランスアッセイは、インビボでNK細胞の機能を研究するために用いられている。クロム-51(51Cr)標識RAJI細胞は、マウスへ静脈注射される。マウスの群は、PBS、mIL-21、リツキシマブ単独、またはリツキシマブ+IL-21を受ける。マウスは、静脈注射から5〜8時間後、屠殺され、肺が、ガンマカウンターを用いて放射能量をアッセイされる。肺における放射能の減少は、NK細胞による腫瘍細胞のクリアランス(殺害)の増加の指標である。リツキシマブの存在下における腫瘍細胞のクリアランスを増強するIL-21の能力は、インビボでの抗体媒介性溶解活性を増強するIL-21の能力の指標である。
【0159】
RAJI細胞は、37℃で2時間、100 μCi 51Crで標識される。細胞はPBSで2回、洗浄され、滅菌PBS、PH 7.2に再懸濁される。マウスは、0時間目(t=0)に1千万個の標識RAJI細胞を静脈注射される。マウスの群は、t=10 minにおいて、20 μg対照抗体またはリツキシマブを腹腔内に受ける。マウスの群は、t=-24 hrs、t=0 hrs、t=4 hrsにおいて、PBSまたは25 μg mIL-21を受ける。マウスは、腫瘍注射後5〜8時間の間に屠殺され、肺が単離されて、ガンマカウンターで計数される。放射能は、対照注射(標識細胞のみ)に占める割合としてプロットされる。
【0160】
肺における放射能の減少は、NK細胞による腫瘍細胞のクリアランス(殺害)の増加の指標である。リツキシマブの存在下における腫瘍細胞のクリアランスを増強するIL-21の能力は、インビボでの抗体媒介性溶解活性を増強するそれの能力を示している。
【0161】
実施例9
Raji/SCIDマクロファージ枯渇研究
IL-21+リツキシマブ(リツキシマブ)の組み合わせは、散在性Raji/SCID腫瘍モデルにおいて相乗的抗腫瘍活性をもつ。ADCCは、インビボで、リツキシマブの抗腫瘍活性において重要な役割を果たしていると考えられ、マクロファージは、この過程における重要なエフェクター細胞である。IL-21は、マウスにおいてマクロファージのADCC活性に影響を及ぼして、リツキシマブとの相乗作用へと導きうる。IL21+リツキシマブの抗腫瘍効果におけるマクロファージの重要性を試験するために、マクロファージは、クロドロネートリポソーム(Sigma, St. Louis, MO)を用いて、マウスにおいて枯渇させられる。実験は、この細胞集団を枯渇したマウスが枯渇していないマウスに対して短縮した生存率をもつことを実証することにより、マクロファージが、IL21+リツキシマブの相乗的抗腫瘍活性にとって重大な意味をもつことを実証している。
【0162】
SCIDマウスにおいてRaji細胞に対するIL21+リツキシマブの抗腫瘍活性におけるマクロファージの重要性を研究するために、以下の実験が行われた。リツキシマブでの処置は、それの効力を低下させるために遅延され(Funakoshi, Longo et al., Blood, 83(10):2787-94, 1994)、最初のリツキシマブ注射を挟む連続した5日間、mIL-21を注射された。HS-サルタンおよびRaji細胞は、それらがSTAT1またはSTAT3を経由してシグナルを伝達せず、かつそれらがインビトロまたはインビボでIL-21により成長阻害されないため、用いられた。

研究の0日目における1x106個のRaji細胞の静脈注射
3〜7日目における100 μg IL-21のIP経路による投与
5日目、9日目、13日目、17日目および21日目における20 μgリツキシマブのIP経路による投与
リポソームの静脈注射:
3日目 − 0.2 ml 100%リポソーム
9日目 − 0.2 ml 50%リポソーム
15日目 − 0.2 ml 50%リポソーム
21日目 − 0.2 ml 50%リポソーム
【0163】
図1は、クロドロネートリポソームでのマクロファージ枯渇(例えば、Clod.IL21+R)が、PBSリポソームを注射されたマウスと比較した場合、Rajiリンパ腫細胞を有するSCIDマウスについての生存効果を劇的に低下させたことを示している。IL-21+リツキシマブ(Clod.IL21+R)またはリツキシマブ(Clod.R)で処置されたマクロファージ枯渇化マウスは、非枯渇化マウス(それぞれ、PBS.IL21+RおよびPBS.R)と比較して、有意により短い生存(死までの平均時間)をもった。
【0164】
実施例10
顆粒球が枯渇したSCIDマウスにおけるIL-21+リツキシマブ後の腫瘍クリアランス
リツキシマブと共のIL-21は、リツキシマブ単独より良く効率的にインビボでRAJI腫瘍細胞をクリアランスすることができる。RAJI細胞は、顆粒球が枯渇しているCB17 SCIDマウスへ注射される。単独またはIL-21と組み合わせてのリツキシマブの効果が研究された。
【0165】
CB17-scidマウスは、1x106個のRaji細胞を静脈注射された。さらに、マウスの一部は、モノクローナル抗体Gr-1(BD Bioscience, Palo Alto, CA)を注射された。マウスは、腹腔内注射を通して、20 μgのRituxan、100 μg mIL-21、またはRituxanおよびmIL-21の組み合わせで処置される。
【0166】
マウスは、1)20%の一貫したまたは急速な体重減少、2)麻痺または立位を維持するもしくは移動する能力の喪失、3)苦しい呼吸 − 特に鼻汁またはチアノーゼを伴う場合、4)嗜眠状態または穏やかな刺激に応答することができないことについてモニターされた。上の基準を満たすマウスは、安楽死させられた。
【0167】
抗体処置は、5、9、13、17および21日目において群1〜6について投与された。群7〜10は、12、19、26、33および40日目において処置された。タンパク質は、群1〜6について3〜7日目において、および群7〜10について10〜14日目において、投与された。

【0168】
図2は、IL-21+リツキシマブの相乗的抗腫瘍活性が、抗Gr-1 MAbでの顆粒球枯渇により損なわれることを示す。Rajiを有するSCIDマウスの生存(100日目において生存している率)は、非枯渇化マウス(実線)と比較した場合、顆粒球枯渇化SCIDマウス(破線)について有意に低下している。
【0169】
実施例11
抗CTLA4抗体と組み合わせたIL-21
A. RENCA細胞腫瘍モデル
抗CTLA4モノクローナル抗体と組み合わせたIL-21は、マウスにおいて腫瘍成長に影響を及ぼすかどうかを試験するために、RENCA細胞腫瘍モデルが用いられた。Renca細胞注射を用いる腎細胞癌マウスモデルは、IL-12およびIL-2のような免疫治療用物質での処置に応答性である腎細胞転移腫瘍を確立したことを示された(Wigginton et al., J. of Nat. Cancer Inst. 88:38-43, 1996)。マウスの群は、0日目においてRENCA腫瘍を皮下注射された。マウスは、その後、媒体単独、50 ugもしくは100 ugの抗CTLA4 MAb(クローン9H10、eBiosciences, San Diego, CA)、25 ug mIL-21単独、または25 ug mIL-21と組み合わせた50 ugもしくは100 ugの抗CTLA4を注射された。このモデルにおいて通常には強力な抗腫瘍効果をもたない25 ug mIL-21の低用量が用いられた。
【0170】
10週齢の雌のBALB/cマウス(Charles River Laboratories)は、0日目において0.1x106個のRENCA細胞を右側腹部に皮下注射された。マウスの群は、5〜9日目、19〜23日目において、媒体単独(PBS、pH 7.2)または25 ug mIL-21を受けた。別の群は、0日目、4日目および8日目における50 ugかもしくは100 ugのいずれかの抗CTLA-4 MAb単独を受けたか、または5〜9日目、19〜23日目における25 ug mIL-21と組み合わせて、0日目、4日目および8日目における抗CTLA4 MAb(50 ugまたは100ug)を受けた。すべての注射は、腹腔内に施された。腫瘍成長は、カリパス測定値を用いて3X/週で5週間、モニターされた。腫瘍容積は、式1/2*(B)2*L(mm3)を用いて計算された。
【0171】
mIL-21単独、または2つの濃度の抗CTLA4 MAb単独の注射は、腫瘍成長に実質的な影響は及ぼさなかった。対照的に、mIL21の、いずれかの濃度の抗CTLA4 MAbとの組み合わせでも、対照と比較して腫瘍容積において有意な減少を示した(図1)。これらのデータは、IL-21の抗CTLA4 MAbとの組み合わせが、相乗的抗腫瘍活性をもち、癌についての可能性のある併用療法であることを示唆している。
【0172】
B. 抗マウスCTLA4と組み合わせたマウスIL-21の治療的投与は、RENCAモデルにおいて腫瘍成長を阻害する
IL-21を抗CTLA4 mAbと組み合わせることが、治療計画を用いて投与される場合、マウスにおいて腫瘍成長に影響を及ぼすかどうかを試験するために、マウスの群は、0日目においてRENCA腫瘍を皮下注射される。マウスは、その後、60〜80 mm3の腫瘍容積から開始して、媒体単独、50 ugもしくは100 ugの抗CTLA4 mAb(クローン9H10、eBiosciences)、25 ug mIL-21単独、または25 ug mIL-21と組み合わせた50 ugもしくは100 ugの抗CTLA4を注射される。このモデルにおいて通常には強力な抗腫瘍効果をもたない25 ug mIL-21の低用量が用いられた。抗CTLA4 mAbは、60〜80 mm3の腫瘍容積に達した後、1日目、5日目、9日目および13日目において投与される。mIL-21は、腫瘍容積が60〜80 mm3に達した後、5〜9日目、19〜23日目において、または1日目から10日目まで、注射される。mIL-21および抗CTLA4 MAbを組み合わせた群に見られた抗腫瘍効果は、治療計画において投与された場合のこのモデルにおける相乗的抗腫瘍効果を示唆している。
【0173】
10週齢の雌のBALB/cマウス(Charles River Laboratories)は、0日目において0.1x106個のRENCA細胞を右側腹部に皮下注射される。マウスの群は、腫瘍容積が60〜80 mm3に達した後、5〜9日目、19〜23日目において、または1〜10日目において、媒体単独(PBS、pH 7.2)または25 ug mIL-21を受けた。別の群は、腫瘍容積が60〜80 mm3に達した後、1日目、5日目、9日目および13日目における50 ugかもしくは100 ugのいずれかの抗CTLA MAb単独を受けるか、または5〜9日目、19〜23日目における、もしくは1〜10日目における25 ug mIL-21と組み合わせて、1日目、5日目、9日目および13日目における抗CTLA4 MAb(50 ugまたは100ug)を受ける。すべての注射は、腹腔内に施される。腫瘍成長は、カリパス測定値を用いて3X/週で5週間、モニターされる。腫瘍容積は、式1/2*(B)2*L(mm3)を用いて計算される。
【0174】
mIL-21および抗CTLA4 MAbを組み合わせた群に見られた抗腫瘍効果は、治療計画において投与された場合のこのモデルにおける相乗的抗腫瘍効果を示唆している。これらのデータは、IL-21の抗CTLA4 mAbとの組み合わせが、相乗的抗腫瘍活性をもち、癌についての可能性のある併用療法であることを示唆している。
【0175】
C. mIL-21および抗マウスCTLA4での併用処置はE.G7胸腺腫モデルにおいて腫瘍成長を阻害する
mIL-21および抗CTLA4 MAbの組み合わせが抗腫瘍活性を引き起こすかどうかを試験するために、マウスの群は、0日目においてE.G7腫瘍を皮下注射される(Shrikant, P and Mescher, M., J. Immunology 162:2858-2866, 1999)。マウスは、その後、媒体単独、50 ugもしくは100 ugの抗CTLA4 mAb(クローン9H10、eBiosciences)、25 ug mIL-21単独、または25 ug mIL-21と組み合わせた50 ugもしくは100 ugの抗CTLA4を注射される。このモデルにおいて通常には強力な抗腫瘍効果をもたない25 ug mIL-21の低用量が用いられる。抗CTLA4 mAbは、0日目、4日目、および8日目において投与される。mIL-21は、5〜9日目、19〜23日目において、または2〜20日目の隔日(EOD)において、注射される。mIL-21およびCTLA4を組み合わせた群に見られた抗腫瘍効果は、このモデルにおける相乗的抗腫瘍効果を示唆している。
【0176】
10週齢の雌のC57BL/6マウス(Charles River Laboratories)は、0日目において0.4x106個のE.G7細胞(ATCC番号CRL-2113)を右側腹部に皮下注射される。マウスは、その後、媒体単独、50 ugもしくは100 ugの抗CTLA4 mAb(クローン9H10、eBiosciences)、25 ug mIL-21単独、または25 ug mIL-21と組み合わせた50 ugもしくは100 ugの抗CTLA4を注射される。このモデルにおいて通常には強力な抗腫瘍効果をもたない25 ug mIL-21の低用量が用いられる。抗CTLA4 mAbは、0日目、4日目、および8日目において投与される。mIL-21は、5〜9日目、19〜23日目において、または2〜20日目の隔日(EOD)において、注射される。腹腔内注射は、200 ulの全容量で与えられた。すべての試薬は腹腔内注射により与えられる。腫瘍成長は、カリパス測定値を用いて3X/週で4週間、モニターされる。腫瘍容積は、式1/2*(B)2*L(mm3)を用いて計算された。
【0177】
mIL-21および抗CTLA4 MAbを組み合わせた群に見られた抗腫瘍効果は、このモデルにおける相乗的抗腫瘍効果を示唆している。これらのデータは、IL-21の抗CTLA4 mAbとの組み合わせが、相乗的抗腫瘍活性をもち、癌についての可能性のある併用療法であることを示唆している。
【0178】
D. mIL-21および抗マウスCTLA4 MAbでの併用処置はB16黒色腫モデルにおいて腫瘍成長を阻害する
mIL-21および抗CTLA4 MAbの組み合わせが他の腫瘍において抗腫瘍活性を引き起こすかどうかを試験するために、マウスの群は、0日目においてB16-F10黒色腫(ATCC番号CRL-6475)を皮下注射される。マウスは、その後、媒体単独、50 ugもしくは100 ugの抗CTLA4 mAb(クローン9H10、eBiosciences)、25 ug mIL-21単独、または25 ug mIL-21と組み合わせた50 ugもしくは100 ugの抗CTLA4 MAbを注射される。抗CTLA4 mAbは、0日目、4日目、および8日目において投与される。mIL-21は、5〜9日目、19〜23日目において、または2〜20日目の隔日(EOD)において、注射される。mIL-21および抗CTLA4 mAbを組み合わせた群に見られた抗腫瘍効果は、このモデルにおける相乗的抗腫瘍効果を示唆している。
【0179】
10週齢の雌のC57BL/6マウス(Charles River Laboratories)は、0日目において0.5x106個のB16黒色腫細胞を右側腹部に皮下注射される。マウスは、その後、媒体単独、50 ugもしくは100 ugの抗CTLA4 mAb(クローン9H10、eBiosciences)、25 ug mIL-21単独、または25 ug mIL-21と組み合わせた50 ugもしくは100 ugの抗CTLA4 mAbを注射される。抗CTLA4 mAbは、0日目、4日目、および8日目において投与される。mIL-21は、5〜9日目、19〜23日目において、または2〜20日目の隔日(EOD)において、注射される。腹腔内注射は、200 ulの全容量で与えられた。すべての試薬は腹腔内注射により与えられる。腫瘍成長は、カリパス測定値を用いて3X/週で4週間、モニターされる。腫瘍容積は、式1/2*(B)2*L(mm3)を用いて計算された。
【0180】
mIL-21および抗CTLA4 MAbを組み合わせた群に見られた抗腫瘍効果は、このモデルにおける相乗的抗腫瘍効果を示唆している。これらのデータは、IL-21の抗CTLA4 mAbとの組み合わせが、相乗的抗腫瘍活性をもち、癌についての可能性のある併用療法であることを示唆している。
【0181】
本発明の特定の態様が例証を目的として本明細書に記載されているが、様々な改変が、本発明の真意および範囲から逸脱することなく、なされうることは、前記から、認識されるものと思われる。従って、本発明は、添付された特許請求の範囲による場合を除き、限定されない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モノクローナル抗体の治療的有効量、およびIL-21ポリペプチドまたはSEQ ID NO:2においてアミノ酸残基30位から残基162位までに示されているようなIL-21ポリペプチドの断片の治療的有効量を同時投与する段階を含む、被験体において癌を処置する方法。
【請求項2】
抗CD20モノクローナル抗体の治療的有効量、およびIL-21ポリペプチドまたはSEQ ID NO:2においてアミノ酸残基30位から残基162位までに示されているようなIL-21ポリペプチドの断片の治療的有効量を同時投与する段階を含む、被験体において癌を処置する方法。
【請求項3】
モノクローナル抗体がリツキシマブである、請求項2記載の方法。
【請求項4】
癌が非ホジキンリンパ腫である、請求項2記載の方法。
【請求項5】
被験体がヒト患者である、請求項2記載の方法。
【請求項6】
リツキシマブおよびIL-21ポリペプチドが、最長で連続した8週間、週に1回、投与される、請求項3記載の方法。
【請求項7】
最長で連続した8週間、リツキシマブが週に1回投与され、かつIL-21ポリペプチドが週に5回まで投与される、請求項3記載の方法。
【請求項8】
IL-21ポリペプチド用量が10 μg/kg/用量から500 μg/kg/用量までである、請求項3記載の方法。
【請求項9】
患者が以前にリツキシマブで処置され、感知できる腫瘍寛解または退縮を示さなかった、請求項5記載の方法。
【請求項10】
患者がリツキシマブ治療を受けた後再発した、請求項5記載の方法。
【請求項11】
抗CD20モノクローナル抗体の治療的有効量、およびIL-21ポリペプチドまたはSEQ ID NO:2においてアミノ酸残基30位から残基162位までに示されているようなIL-21ポリペプチドの断片の治療的有効量を同時投与する段階を含む、被験体において癌を処置する方法であって、IL-21を投与する段階が最適な免疫学的応答をもたらす、方法。
【請求項12】
Her-2/neu受容体に結合するモノクローナル抗体、およびIL-21ポリペプチドまたはSEQ ID NO:2においてアミノ酸残基30位から残基162位までに示されているようなIL-21ポリペプチドの断片を同時投与する段階を含む、被験体において癌を処置する方法。
【請求項13】
被験体がヒト患者である、請求項12記載の方法。
【請求項14】
モノクローナル抗体がトラスツツマブ(trastuzumab)である、請求項13記載の方法。
【請求項15】
細胞傷害性Tリンパ球関連抗原4(CTLA-4)に結合するモノクローナル抗体、およびIL-21ポリペプチドまたはSEQ ID NO:2においてアミノ酸残基30位から残基162位までに示されているようなIL-21ポリペプチドの断片を同時投与する段階を含む、被験体において癌を処置する方法。
【請求項16】
被験体がヒト患者である、請求項15記載の方法。
【請求項17】
抗CTLA-4モノクローナル抗体が、3週間ごとに4サイクル間、3 mg/kgの用量で投与され、かつIL-21ポリペプチドまたは断片が、最長で8週間、週に1回から5回投与される、請求項16記載の方法。
【請求項18】
IL-21ポリペプチド用量が10 μg/kg/用量から500 μg/kg/用量までである、請求項17記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−102122(P2012−102122A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−284589(P2011−284589)
【出願日】平成23年12月27日(2011.12.27)
【分割の表示】特願2007−527588(P2007−527588)の分割
【原出願日】平成17年5月20日(2005.5.20)
【出願人】(505222646)ザイモジェネティクス, インコーポレイテッド (72)
【Fターム(参考)】