説明

IL−25に対する抗体

本発明は、IL−25抗体VHドメイン、およびそのような抗体VHドメインを含み、IL−25と結合する標的結合メンバー(例えば、抗体)に関する。本発明はまた、IL−25と結合する標的結合メンバー(例えば、抗体)を含む組成物、そのような標的結合メンバーを作製する方法、ならびに疾患および状態(例えば、喘息、炎症性腸疾患)の処置または予防のためのそのような標的結合メンバーの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、2008年9月30日に出願された米国仮特許出願第61/101,293号明細書の利益を主張し、米国特許法第119条または第365条に基づき、2008年9月30日に出願された英国特許出願第0817891.5号明細書への優先権を主張している。上記出願の教示全体が、参照により本明細書に援用される。
【0002】
発明の技術分野
本発明は、インターロイキン25(IL−25)に対する抗体(その結合フラグメントを包含する)に関する。
【背景技術】
【0003】
喘息
喘息は、一般的な気道の慢性炎症性障害である。この数十年の間に罹患者数は著しく増加し、世界保健機関は、世界中で約3億人が喘息に罹患していると推定している。アレルギー性喘息は、種々の誘発刺激によって誘発される制御困難な気道過敏性(AHR)により特徴づけられ、肺への2型炎症性浸潤と関連する。
【0004】
2型サイトカインは、寄生虫性蠕虫感染に対する防御免疫を媒介し、エフェクター機能(例えば、B細胞増殖およびIgE分泌)の調節、杯細胞過形成および関連する粘液生成、好酸球増加、肥満細胞症ならびに線維症の誘発に重要な役割を果たす(1)。これらのエフェクター機能の調節において、このサイトカインは中心的な役割を担っており、喘息における重要な治療標的となっている。実際、このサイトカインを過剰発現させたマウスモデルは、顕著な喘息の特徴を示す。そして驚くことに、特定の2型サイトカインを阻止することにより実験的喘息を改善しようとする取り組みは、IL−13の阻害を除いて成功しないことが分かった。
【0005】
IL−13の阻害は、その機序は依然として不明ではあるが、AHRおよび気道炎症の両方を抑制する(2,3)。しかしながら、喘息の病態生理学が複雑であること、および病因が十分に理解されていないことを考慮すると、個々の経路を標的化することで、最終的に治療が成功するか否かは不確かである。
【0006】
近年、構造的に関連するIL−17サイトカインファミリーのメンバーであるIL−25/IL−17E(8)の過剰発現が、インビボで2型応答を誘発し(4〜6)、気道アゴニストへの応答性を増大させる(7)ことが示された。Il25−/−マウスは、蠕虫寄生虫を効率よく駆逐することができず、これは効果的な2型応答がないことの重要な指標である(9,10)。また、IL−25が、喘息患者からの試料においてアップレギュレートされることも示された。
【0007】
炎症性腸疾患
炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease:IBD)は、大腸または結腸の粘膜層を冒す慢性炎症であり、典型的に、潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis:UC)およびクローン病(Crohn’s disease:CD)からなる群より選択される1種以上の疾患状態を含む。UCはTh2媒介性疾患と考えられており、代表的なマウスモデルは消化管炎症の発症への2型サイトカインの関与を示す(16)。IL−25産生が、慢性大腸炎のマウスモデルにおいてTh1からTh2型応答への転換に関連して観察され(17)、IL−25mRNAの高発現が、マウスにおける胃腸管の全体にわたって報告された(18)。さらに、IL−25遺伝子は、そのクローン病との潜在的な関連は今後調査されなければならないが、染色体14上のクローン病感受性領域内に位置している(19)。また、IBDは、コラーゲン蓄積大腸炎、リンパ球性大腸炎、虚血性結腸炎、空置結腸炎、ベーチェット症候群、感染性大腸炎(infective colitis)、および分類不能大腸炎からなる群より選択される1種以上の疾患状態を含み得る。
【0008】
IBDの処置のための従来の治療は、抗生物質またはステロイド由来薬物のいずれかを伴う;しかしながら、これらは現在のところ、患者における臨床的寛解の誘導または維持に成功していない(20)。抗TNF−α薬を伴う治療もまた、十分な効果を示さないが、現在利用可能である(21,22)。このことは、炎症性腸疾患の処置において、新規のより有効な治療への明確な必要性があることを示している。
【0009】
抗体
抗体の基本構造は、当該技術分野において周知である。天然に存在する抗体は、通常、4本のポリペプチド鎖:ジスルフィド結合により連結された、2本の同一の重鎖および2本の同一の軽鎖を有する。重鎖(VH)および軽鎖(LH)は、それぞれが定常領域および可変領域(またはドメイン)を有する。可変領域は、主として抗原結合を担っている。各可変領域内の、相補性決定領域(CDR)として知られる3つの部分領域(subregion)が、抗原と接触する。各可変ドメインのCDRは、N末端からC末端に向けて、CDR1、CDR2およびCDR3と番号が付けられている。CDRの間ならびにN末端およびC末端からCDRまでは、抗原との接触がたとえあったとしてもわずかしかない、4つの所謂フレームワーク領域である。抗体の構造に関するさらに多くの詳細は、参照により本明細書に援用される以下に挙げられる文献の多くに説明されている。
【0010】
標的抗原に対する抗体を生成し得る方法は数多くある。ハイブリドーマ技術を用いたモノクローナル抗体の生成は、そのような方法の1つである。抗体は、通常、マウスまたは他の齧歯動物において生成される。これは、高親和性の抗体を生成する有用な方法であり得る。しかしながら、そのような抗体がさらにヒト治療においても有用であるためには、通常、その抗体のCDRをヒトフレームワークに移入する必要がある。これは、患者におけるヒト抗マウス抗体応答を回避しようとする試みである。
【0011】
CDR移植の一般原則については、JonesらおよびRiechmanら(11,12)により記載された。明確に言えば、マウス抗体のCDRが、レシピエントヒト抗体のフレームワーク領域中に移植される。実際には、結果として生ずる抗体は、元のドナーマウス抗体と同じ標的抗原に結合することになるが、移植された抗体の親和性は、通常大きく減少する。
【0012】
また、移植された抗体の熱安定性は、多くの場合、損なわれ得る。
【0013】
元の抗体の特性を回復し最適化しようと試みる様々な方法が、当該技術分野において公知である。例えば、フレームワーク領域内には、特定の生殖細胞系CDRと関連する特定の「カノニカル構造(canonical structure)」残基(Chothia & Lesk(13))がある。さらに、Foote & Winter(14)は、抗原結合ループコンホメーションおよびそれらの相対的配置を支持し、したがって、抗原への抗体の適合の微調整に重要な役割を果たすことが示唆された「バーニア(Vernier)ゾーン」残基(そのうちのいくつかはカノニカル構造残基でもある)を同定した。また、フレームワーク内のさらなる残基が、VH/VLインターフェースを安定化し、維持するものと考えられる。したがって、抗体をヒト化しようとする当業者は、多くの場合、バーニアゾーン、カノニカルおよびインターフェース(「VCI」)残基が元のドナー抗体のものと可能な限り厳密に対応するヒトフレームワークを探す。
【0014】
しかしながら、当業者にとって抗体は、その各々が唯一無二の課題であり、CDR移植のためのどんな一般的に知られた方法論であっても各場合に直接適用し得るという確信は全くない。
【0015】
本発明者らおよび同僚ら(Ballantyneら(15))は、IL−25に結合し、インビボでアレルギー性喘息における気道過敏性を阻止し得る、マウスモノクローナル抗体2C3の作製を報告する。現在までのところ、この抗体の配列は、一般に公開されていない。
【0016】
2008年10月30日に国際公開第2008/129263号パンフレットとして公開された国際出願PCT/GB2008/001365号明細書は、2C3抗体の配列および気道過敏性の阻止におけるその使用を報告している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は、その2C3配列に基づくヒト化(CDR移植)抗体に関する。この抗体を作製する際に、数多くの課題を克服しなければならなかった。
【0018】
本発明者らは、第一に、最大のVCI相同性(言い換えれば、22個のVCI残基のうち20個)を有するレシピエントヒト抗体VH鎖を選択した。しかしながら、結果として生ずる抗体(「RHA」)は、2C3自体よりも顕著に少ない程度にIL−25と結合することが見出された。抗体に対する多くのさらなる改変(VCIと称されるアミノ酸および稀な体細胞変異の結果であると思われる残基に対する変更を含む)にもかかわらず、抗体結合への改善はほとんど達成されなかった。
【0019】
抗体ヒト化へのVCI相同性アプローチの失敗を克服しようとして、VCI残基適合性はより低い(17/22)が、全体の相同性はほんの僅かではあるがより高い、異なるヒトVHフレームワークが選択された。結果として生ずる抗体は「RHA」抗体よりも高い結合性を提供したが、これは依然として親2C3抗体ほどには高くなかった。
【0020】
結合を最大にし、抗体応答を惹起する恐れのある非ヒト残基を極力減らすために、さらなるフレームワークおよびCDRの変更を行った。結果として生ずる抗体は、2C3と比較して向上した結合性を有することが見出され、気道過敏性のインビボ抑制試験において、2C3よりも有意に大きな効力があることが見出された。この抗体はまた、優れた熱安定性も示した。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明は、2C3に由来するヒト化VH鎖に関する。一部の態様において、本発明は、この鎖を含む抗体に関する。この抗体は、2C3 VL CDRを含むヒト化VL鎖を含み得る。
【0022】
したがって、一態様において、本発明は、配列番号1:
【化1】


を含む抗体VHドメインを提供し、ここで:
Xa1は、SerまたはThrであり;
Xa2は、Gly、Asp、Ala、Ser、Val、Asn、Lys、TyrまたはMetであり;
Xa3は、MetまたはIleであり;
Xa4は、ValまたはArgであり;そして
Xa5は、Asp、AsnまたはGlyである。
【0023】
一態様において、残基Xa1〜Xa5は、以下の組み合わせ:
Xa1は、SerまたはThrであり;
Xa2は、GlyまたはAspであり;
Xa3は、MetまたはIleであり;
Xa4は、ValまたはArgであり;そして
Xa5は、Asp、AsnまたはGlyである
から選択され得る。
【0024】
一部の実施形態において、Xa2はGlyであり、Xa5はAspまたはAsn、好ましくはAspである。
【0025】
一部の実施形態(Xa2がGlyであり、Xa5がAspまたはAsn、好ましくはAspである実施形態を含む)において、Xa1はSerである。
【0026】
一部の実施形態(Xa2がGlyであり、Xa5がAspまたはAsn、好ましくはAspである実施形態を含む)において、Xa1はThrである。
【0027】
一部の実施形態(Xa2、Xa5およびXa1の上記の組み合わせを全て含む)において、Xa3はMetである。
【0028】
一部の実施形態(Xa2、Xa5およびXa1の上記の組み合わせを全て含む)において、Xa3はIleである。
【0029】
上記の実施形態は全て、Xa4の値のいずれか(すなわち、ValまたはArg)と組み合わされ得る。
【0030】
上記残基の特定の組み合わせを、以下の表に示す。当業者に好都合なように、そして付随する実施例との一貫性のために、表には、Kabatの残基番号付けが載せてある。場合により、これは、配列表の番号付けと異なる。
【0031】
【表1】

【0032】
このVHドメインは、軽鎖可変ドメインと組み合わされて、IL−25と結合する特異的な標的結合メンバーを与え得る。
【0033】
適切な軽鎖ドメインは、2C3抗体のCDR残基を含む軽鎖ドメインである。好ましくは、軽鎖は、ヒト化軽鎖であり、すなわち、ヒトフレームワーク配列および2C3のCDR領域を含む。2C3の軽鎖ドメインは、配列番号15として示される。CDR領域1〜3は、残基30〜34を含み得、例えば、それぞれ、残基24〜34(配列番号29);50〜56(配列番号30)および89〜97(配列番号31)を含み得る。
【0034】
CDR残基は、天然2C3抗体軽鎖中にある場合も、ヒト化軽鎖分子に移入されている場合もある。
【0035】
残基35〜38は、CDRを構成しないが、マウスおよびヒトの軽鎖配列の間で高度に保存されており、これもまた移入され得る。
【0036】
ヒト化VL鎖の一例は、配列番号25の残基21〜127を含む。しかしながら、配列番号15の3つのCDR領域を含む他のヒトフレームワークもまた使用され得る。さらに、以下に指摘されるように、VL鎖の非天然抗体リーダー配列以外の抗体リーダー配列が使用され得る。したがって、一実施形態において、VL鎖は、配列番号25を含む。別の実施形態において、VL鎖は、抗体リーダー配列(例えば、本明細書において以下に記載される、配列番号25の残基21〜127に融合された抗体リーダー配列)を含み得る。
【0037】
本発明は、さらに、本発明の標的結合メンバーの、例えば、薬学的組成物の形態での、疾患(炎症状態(例えば、喘息(アレルギー性喘息を含む)、クローン病および潰瘍性大腸炎)を含む)の処置のための使用を提供する。
【0038】
本発明のこれらの態様およびさらなる態様を、以下にさらに詳細に、付随する実施例を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】2c3マウス抗体のκ軽鎖ヌクレオチド(配列番号16)およびアミノ酸(配列番号15)の配列を示している。陰影はCDRであることを示している。
【図2】2c3マウス抗体の重鎖ヌクレオチド(配列番号18)およびアミノ酸(配列番号17)の配列を示している。陰影はCDRであることを示している。
【図3】AY393094のDNA(配列番号20)およびアミノ酸(配列番号19)の配列を示している。
【図4】ヒト化2c3RHAのDNA(配列番号22)およびアミノ酸(配列番号21)の配列を示している。
【図5】AY510106のDNA(配列番号24)およびアミノ酸(配列番号23)の配列を示している。
【図6】ヒト化κ軽鎖2c3RKAのDNA(配列番号26)およびアミノ酸(配列番号25)の配列を示している。
【図7】図7A〜Cは、ヒト化抗体2c3RHA/RKAおよび変異体とキメラ2c3との結合活性の比較を示している。
【図8】ヒト化2c3−RH2の設計において使用されたフレームワークAJ399823のDNA(配列番号28)およびアミノ酸(配列番号27)の配列を示している。
【図9】図9AおよびBは、IL−25に結合する2c3RH2bcdefへの特異的CDR変異の効果を示している。
【図10】CDR変異D31GとG96Dとを組み合わせることによるIL−25結合に対する効果を示している。
【図11】IL−25に結合する2c3RH2.5_S30Tと2c3RH2.5_R71Vとの比較を示している。
【図12】AHRのインビボマウスモデルのプロトコルである。
【図13】図13AおよびBは、メタコリンに応答する肺抵抗に対する2c3RH2.5_R71V投与の効果を示している。
【図14】図14AおよびBは、大腸炎モデルにおけるマウスの結腸の長さおよび体重を示している。
【発明を実施するための形態】
【0040】
標的結合メンバー
これは、互いに結合特異性を有する分子対のメンバーを記載している。特異的結合対のメンバーは、天然に由来するか、または全部もしくは一部が合成により作製され得る。分子対の一方のメンバーは、分子対の他方のメンバーの特定の空間的極性構造に対し、特異的に結合し、したがって、相補的である、表面上の領域すなわち空隙を有する。したがって、その対のメンバーは、互いに特異的に結合するという特性を有する。特異的結合対の種類の例には、抗原−抗体、ビオチン−アビジン、ホルモン−ホルモンレセプター、レセプター−リガンド、および酵素−基質がある。
【0041】
本願は、抗原−抗体型の反応に関するものである。したがって、本発明の標的結合メンバーは、抗体分子の少なくとも一部、より好ましくは、そのような分子の抗原結合ドメインの少なくとも一部を含む。
【0042】
一般的に、抗体の重鎖可変領域(VHドメイン)は、抗体の抗原への結合において重要な役割を果たす。したがって、本発明の標的結合メンバーは、配列番号1を含むVHドメインを含んだものを基礎として作製されている。
【0043】
本発明のVHドメインを作製する際に、2C3抗体CDR領域が、CDR1およびCDR3の配列を変更することによって改善されることが見出された。したがって、本明細書に記載される本発明の好ましい実施形態は、Xa2がGlyであり、Xa5がAspである配列番号1のVHドメインを企図するが、本発明はまた、それぞれ配列番号34、配列番号35および配列番号36であるCDR1〜3領域を有したヒトフレームワーク領域を有するヒト化VHドメインも企図する。
【0044】
したがって、さらなる態様において、本発明は、H1重鎖相補性決定領域(CDR)が配列番号34のアミノ酸配列を有する、IL−25と結合する標的結合メンバーを提供する。別の態様において、本発明は、H2重鎖相補性決定領域(CDR)が配列番号35のアミノ酸配列を有する、IL−25と結合する標的結合メンバーを提供する。別の態様において、本発明は、H3重鎖相補性決定領域(CDR)が配列番号36のアミノ酸配列を有する、IL−25と結合する標的結合メンバーを提供する。
【0045】
さらなる態様において、本発明は、L1軽鎖相補性決定領域(CDR)が配列番号29のアミノ酸配列を有する、IL−25と結合する標的結合メンバーを提供する。別の態様において、本発明は、L2軽鎖相補性決定領域(CDR)が配列番号30のアミノ酸配列を有する、IL−25と結合する標的結合メンバーを提供する。別の態様において、本発明は、L3軽鎖相補性決定領域(CDR)が配列番号31のアミノ酸配列を有する、IL−25と結合する標的結合メンバーを提供する。
【0046】
さらなる態様において、本発明は、H1重鎖相補性決定領域(CDR)が配列番号34のアミノ酸配列を有し、H2重鎖CDRが配列番号35のアミノ酸配列を有し、そしてH3重鎖CDRが配列番号36のアミノ酸配列を有する、IL−25と結合する標的結合メンバーを提供する。一実施形態において、そのような標的結合メンバーは、配列番号29のアミノ酸配列を有するL1軽鎖CDR、配列番号30のL2軽鎖CDRおよび配列番号31のL3軽鎖CDRを有する。
【0047】
そのような標的結合メンバーのフレームワークは、ヒトのみであるか、マウスのみであるか、または本発明によれば、主としてヒトであるが、結合親和性を向上させるために1個以上のマウス残基を保持するフレームワークであり得る。
【0048】
したがって、前記CDRを含む標的結合メンバーは、本発明のさらなる態様を形成し、本明細書に記載されるように、配列番号1を含むVHドメインを有する標的結合メンバーに使用され得る。
【0049】
一般的に、標的結合メンバーは、抗体抗原結合ドメインを提供するために、VLドメインと対をなしたVHドメインを含む。一実施形態において、VHドメインは、CDRと、必要に応じ、ヒトとマウスとの間で保存された任意のフレームワーク残基とが2C3抗体由来のものである、VLドメインと対をなす。
【0050】
しかしながら、軽鎖混雑(light−chain promiscuity)が、本明細書でさらに検討されるように、当該技術分野において十分に確立されており、したがって、VHは、2C3由来のVL以外のVLドメインと対をなし得る。そのようなVLは、本明細書において以下に検討されるように選択され得る。
【0051】
免疫グロブリン可変ドメインの構造および位置は、Kabat,E.A.et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest.4th Edition.US Department of Health and Human Services.1987、およびその最新版を参照することにより決定され得る。数多くの学術的および商業的オンライン情報源が、このデータベースを検索するために利用され得る。例えば、Martin,A.C.R.Accessing the Kabat Antibody Sequence Database by Computer PROTEINS:Structure,Function and Genetics,25(1996),130−133および現在ウェブアドレスhttp://www.bioinf.org.uk/abs/simkab.html.にある関連するオンライン情報源を参照されたい。
【0052】
本発明に従う標的結合メンバーは、下記のRHA2.5 R71V抗体と実質的に類似した親和性(例えば、+10%)でIL−25と結合し得る。標的結合メンバーは、概してIL−25に対して特異的である。したがって、標的結合メンバーは、その1種または複数種の特異的結合パートナー以外の分子への有意な結合を何ら示さない。例えば、本発明の抗体が由来する2C3抗体は、IL−4、IL−5およびIL−13と交差反応せず、したがって、喘息および類似の過程に関与する他のサイトカインへのそうした交差反応性の回避が、本発明の標的結合メンバーの望ましい特徴であることが見出された。
【0053】
典型的に、特異性は、抗原のパネルを用いた結合アッセイ(例えば、ELISA)により決定され得る。本発明に従う標的結合メンバーはIL−25を認識し得て、IL−17ファミリーの他のメンバー、特にIL−17A、IL−17BおよびIL−17Cのいずれか1種、より好ましくはIL−17A、IL−17BおよびIL−17Cの3種全てを認識し得ない。本発明に従う標的結合メンバーのIL−25への結合は、組換えIL−25との競合により無効にされ得る。
【0054】
異なる標的結合メンバーの結合親和性および中和能力は、適切な条件下で比較され得る。
【0055】
抗体分子
これは、天然であるかまたは一部もしくは全部が合成により作製されたかにかかわらず、免疫グロブリンを記載している。完全抗体のフラグメントが、抗原と結合する機能を果たし得ることが示された。したがって、抗体についての言及は、抗体結合フラグメントを含む任意のポリペプチドまたはタンパク質も対象として含む。
【0056】
結合フラグメントの例には、(i)VL、VH、CLおよびCH1ドメインからなるFabフラグメント;(ii)VHおよびCH1ドメインからなるFdフラグメント;(iii)単一抗体のVLおよびVHドメインからなるFvフラグメント;(iv)VHドメインからなるdAbフラグメント(Ward,E.S.et al.,Nature 341,544−546(1989));(v)2つの連結されたFabフラグメントを含む二価フラグメントであるF(ab’)2フラグメント;(vi)VHドメインおよびVLドメインがその2つのドメインを結合して抗原結合部位を形成させるペプチドリンカーにより連結されている単鎖Fv分子(scFv)(Bird et al.,Science,242,423−426,1988;Huston et al.,PNAS USA,85,5879−5883,1988);(vii)双特異性単鎖Fvダイマー(国際出願PCT/US92/09965号明細書)、ならびに(viii)遺伝子融合により構築される多価または多特異性フラグメントである「ダイアボディ」(国際公開第94/13804号パンフレット;P.Holliger et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90 6444−6448,1993)がある。Fv、scFvまたはダイアボディ分子は、VHおよびVLドメインを連結するジスルフィド架橋の組み込みにより安定化され得る(Y.Reiter et al.,Nature Biotech,14,1239−1245,1996)。CH3ドメインに繋がれたscFvを含むミニボディもまた作製され得る(S.Hu et al.,Cancer Res.,56,3055−3061,1996)。
【0057】
双特異性抗体が使用されるべき場合には、これらは、種々の方法で製造され得る(Holliger,P.and Winter G.Current Opinion Biotechnol.4,446−449(1993))(例えば、化学的にまたはハイブリッドハイブリドーマから調製され得る)か、または上述の双特異性抗体フラグメントのいずれかであり得る、従来の双特異性抗体であり得る。ダイアボディおよびscFvは、Fc領域を含まずに可変ドメインのみを使用して構築され得、潜在的に抗イディオタイプ反応の影響を軽減し得る。
【0058】
双特異性完全抗体とは対照的に、双特異性ダイアボディはまた、それらが容易に構築され、大腸菌(E.coli)において発現され得ることから特に有用であり得る。適切な結合特異性を有するダイアボディ(および多くの他のポリペプチド(例えば、抗体フラグメント))は、ファージディスプレイ法(国際公開第94/13804号パンフレット)を用いてライブラリーから容易に選択され得る。ダイアボディの一方のアームが、例えば特異性がIL−25に対して向けられたまま、一定に保たれるべき場合は、他方のアームが様々に異なるライブラリーが作製され得、適切な特異性を有する抗体が選択され得る。双特異性完全抗体は、ノブズ・イントゥ・ホールズ(knobs−into−holes)技術により作製され得る(J.B.B.Ridgeway et al.,Protein Eng.,9,616−621,1996)。
【0059】
モノクローナル抗体および他の抗体を使用し、組換えDNA技術の方法を用いて、元の抗体の特異性を保持する他の抗体またはキメラ分子を作製することが可能である。そうした方法は、抗体の免疫グロブリン可変領域または相補性決定領域(CDR)をコードするDNAを、異なる免疫グロブリンの定常領域または定常領域とフレームワーク領域に導入することを含み得る。例えば、欧州特許出願公開第A−184187号明細書、英国特許出願公開第2188638A号明細書、または欧州特許出願公開A−239400号明細書を参照されたい。
【0060】
好ましくは、2C3のVL鎖のCDR領域が、ヒトフレームワーク領域に移植される。ヒトフレームワーク領域は、多くの方法により(例えば、マウスフレームワーク領域またはマウスVL領域の配列を公知のヒトフレームワークまたはVL領域の配列と比較し、最高度のアミノ酸類似性もしくは同一性、または最高度のアミノ酸類似性もしくは同一性のうちの1つを有するヒトフレームワーク領域を選択することにより)選択され得る。結果として生ずるCDR移植抗体をさらに最適化するために、天然ヒト配列のフレームワーク領域に改変を加え得る。
【0061】
本発明の好ましい態様においては1対のVHおよびVLドメインを含む抗体分子が好ましいが、VHまたはVLドメイン配列のいずれかに基づく単一の結合ドメインが本発明のさらなる態様を形成する。単一の免疫グロブリンドメイン、特にVHドメインは、特異的な様式で標的抗原と結合し得ることが知られている。
【0062】
単鎖結合ドメインのうちのいずれかである場合、本明細書において以下でさらに検討されるように、これらのドメインを使用して、IL−25と結合し得る2ドメイン標的結合メンバーを形成する能力がある相補的ドメインをスクリーニングし得る。
【0063】
本発明の抗体分子は、抗体定常領域またはその一部をさらに含み得る。例えば、VLドメインが、そのC末端で、ヒトCκまたはCλ鎖、好ましくはCκ鎖を含む抗体軽鎖定常ドメインに結合され得る。同様に、VHドメインに基づく標的結合メンバーは、そのC末端で、任意の抗体アイソタイプ(例えば、IgG、IgA、IgEおよびIgM)およびアイソタイプサブクラスのいずれか(特に、IgG1およびIgG4)に由来する免疫グロブリン重鎖の全部または一部に結合し得る。IgG4が好ましい。国際公開第99/58572号パンフレットに開示されるようなFc領域(例えば、ΔnabおよびΔnac)が使用され得る。
【0064】
したがって、別のポリペプチドに融合した標的結合ドメインまたは等価物を含むキメラ分子が包含される。キメラ抗体のクローニングおよび発現については、欧州特許出願公開第A−0120694号明細書および欧州特許出願公開第A0125023号明細書に記載されている。
【0065】
本発明の抗体分子のフレームワーク領域はまた、1つ以上のグリコシル化部位を含むグリコシル化配列も含み得る。標的結合メンバーを発現させる宿主細胞によって、グリコシル化のパターンは異なり得る。したがって、グリコシル化部位をコードする核酸構築物を改変してその部位を除去する場合もあるし、あるいはそのような部位をタンパク質に導入する場合もある。例えば、真核生物タンパク質中のN−グリコシル化部位は、アミノ酸トリプレットAsn−X−Y(ここで、XはPro以外の任意のアミノ酸であり、そしてYはSerまたはThrである)により特徴づけられる。これらのトリプレットをコードするヌクレオチド配列に対する適切な置換、付加または欠失は、Asn側鎖での炭水化物残基の結合の防止となる。例えばAsnが異なるアミノ酸で置換されるように選択される単一ヌクレオチドの変更は、N−グリコシル化部位を不活性化するのに十分である。タンパク質中のN−グリコシル化部位を不活性化するための公知の手順としては、米国特許第5,071,972号明細書および欧州特許出願公開第276,846号明細書に記載されている手順が挙げられる。
【0066】
抗原結合ドメイン
これは、抗原の一部または全部に対して特異的に結合し、相補的である領域を含む抗体分子の部分を記載している。抗原が大きい場合、抗体は、エピトープと称される抗原の特定の部分にしか結合し得ない。抗原結合ドメインは、1つ以上の抗体可変ドメイン(例えば、VHドメインからなる所謂Fd抗体フラグメント)により提供され得る。好ましくは、抗原結合ドメインは、抗体軽鎖可変領域(VL)の少なくとも実質的部分、および抗体重鎖可変領域(VH)の少なくとも実質的部分を含む。
【0067】
免疫グロブリン可変ドメインの実質的部分は、少なくとも3つのCDR領域を、その介在フレームワーク領域と一緒に含む。好ましくは、この部分はまた、少なくとも約50%の第1および第4フレームワーク領域のいずれかまたは両方を含み、この50%は、第1フレームワーク領域の場合はC末端の50%であり、第4フレームワーク領域の場合はN末端の50%である。可変ドメインの実質的部分のN末端またはC末端のさらなる残基は、天然に存在する可変ドメイン領域と通常は関連しない残基であり得る。例えば、組換えDNA技術による本発明の標的結合メンバーの構築は、クローニングまたは他の操作工程を容易にするために導入されるリンカーによってコードされるNまたはC末端残基の導入をもたらし得る。他の操作工程としては、本発明の可変ドメインを、さらなるタンパク質配列(免疫グロブリン重鎖、他の可変ドメイン(例えば、ダイアボディの作製において)または以下により詳細に検討されるタンパク質標識を含む)と繋げるためのリンカーの導入が挙げられる。
【0068】
含む(comprise)
これは、概して、含有する(include)の意味、すなわち、1つ以上の特徴または成分の存在を可能にする意味で使用される。
【0069】
単離(された)
これは、本発明の標的結合メンバーであるVHドメイン、またはそのような結合メンバーをコードする核酸が、概して本発明に従っている状態をいう。メンバーおよび核酸は、それらが本来関連する物質(例えば、それらの天然環境、またはインビトロもしくはインビボで実施される組換えDNA技術により調製される時にそれらが調製される環境(例えば、細胞培養)において一緒に見出される他のポリペプチドまたは核酸)を含まない、または実質的に含まない。
【0070】
標的結合メンバーおよび核酸は、希釈剤またはアジュバントと共に配合され得るが、それでもやはり実用上は単離され得る(例えば、メンバーは、イムノアッセイにおける使用のためのマイクロタイタープレートをコーティングするために使用される場合は、通常ゼラチンまたは他のキャリアと混合され、診断または治療において使用される場合は、薬学的に受容可能なキャリアまたは希釈剤と混合される)。標的結合メンバーは、天然に、または異種真核生物細胞(例えば、CHOまたはNS0(ECACC 85110503)細胞)の系によってのいずれかでグリコシル化される場合もあるし、(例えば、原核生物細胞において発現により産生される場合は)グリコシル化されない場合もある。
【0071】
標的結合メンバーのさらなる特徴
抗体配列に加え、本発明に従う標的結合メンバーは、他のアミノ酸(例えば、ペプチドまたはポリペプチド(例えば、折りたたまれたドメイン)を形成するアミノ酸、または当該分子に抗原と結合する能力に加えて別の機能特性を付与するためのアミノ酸)を含み得る。本発明の標的結合メンバーは、検出可能な標識を有し得るし、または毒素もしくは酵素と(例えば、ペプチジル結合またはリンカーを介して)結合され得る。
【0072】
検出可能な標識としては、抗体イメージングの技術分野において公知の従来化学を用いて本発明の抗体に結合され得る放射能標識(例えば、131Iまたは99Tc)が挙げられる。標識はまた、酵素標識(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ)も包含する。標識は、さらに、化学的部分(例えば、特異的な同系の検出可能部分(例えば、標識化アビジン)への結合により検出され得るビオチン)を包含する。
【0073】
さらなる特徴がポリペプチドドメインまたは標識である場合は、標的結合メンバーは、組換え技術により、すなわち、標的結合メンバーとさらなるドメインとの融合体(fusion)をコードする核酸の発現により作製され得る。
【0074】
チェーンシャッフリング(Chain Shuffling)
本発明のさらなる態様は、IL−25に対する抗体抗原結合ドメインを得るための方法を提供し、この方法は、本発明の標的結合メンバーのVHドメインを提供する工程、そのVHドメインを1種以上のVLドメインと組み合わせる工程、およびそのVH/VLの1つまたは複数の組み合わせをIL−25に対する抗体−抗原結合ドメインについて試験する工程を包含する。
【0075】
前記VLドメインは、実質的に本明細書に示される通りであるアミノ酸配列を有し得る。
【0076】
本明細書に開示されるVLドメインの1種以上の配列変異体が1種以上のVHドメインと組み合わされる、類似の方法が使用され得る。
【0077】
これは、国際公開第92/01047号パンフレットに開示されている所謂階層的二重コンビナトリアルアプローチを用いるファージディスプレイスクリーニング方法により達成され得る。この方法において、HまたはL鎖のクローンのいずれかを含有する個々のコロニーが、他方の鎖(LまたはH)をコードするクローンの完全ライブラリーを感染させるのに使用され、結果として生ずる二本鎖の標的結合メンバーが、ファージディスプレイ技術(例えば、その参考文献に記載される技術)に従って選択される。
【0078】
したがって、本発明は、IL−25に対する抗体分子の選択方法を提供し、この方法は、
(a)IL−25と結合し、本発明の抗体VHドメインを含む標的結合メンバーを含むVHドメインを提供する工程;
(b)前記VHドメインを複数の抗体VLドメインと組み合わせて抗体分子を提供する工程;
(c)前記抗体分子をIL−25への結合についてスクリーニングする工程;および
(d)IL−25と結合する抗体分子を選択する工程
を包含する。
【0079】
そのような方法において、VHおよびVLドメインは、組換えDNAにより、特にファージまたはファージミドDNAにより発現されたタンパク質の形態で提供され得る。
【0080】
上記複数のVLドメインは、104個より多くの別個のドメイン、例えば、106個〜108個または1010個までのドメインのいずれかであり得る。
【0081】
抗体分子およびそのような分子をコードする核酸が、本発明のさらなる部分を形成し得る。
【0082】
IL−25
Il−25は、当該技術分野においてIL−17Eとも称され、商業的供給源(例えば、R&D Systems,(MN,USA))から入手し得るか、当該技術分野において利用可能なIL−25の配列を参照することによりクローニングまたは合成され得る。マウスIL−25(NCBI Protein NP_542767)は、Hurst et al.,2002(下記参考文献7)により記載されている。ヒトIL−25(NCBI Protein Q9H293)は、Fort et al.(下記参考文献4)により記載されている。抗体の作製またはイムノアッセイにおける使用については、組換えIL−25のフラグメント、特にN−末端で切断されたフラグメントが使用され得る。例えば、市販の組換えヒトIL−25(IL−17E)は、受託番号Q9H293のTyr33〜Gly177の成熟タンパク質配列を含み、市販のマウスIL−25は、マウスIL−17E(受託番号NP_542767)の残基Val17〜Ala169を含む。
【0083】
核酸およびベクター
さらなる態様において、本発明は、本発明に従う標的結合メンバー、VHドメインまたはVLドメインをコードする配列を含む単離核酸を提供し、そして本発明の標的結合メンバー、VHドメインまたはVLドメインを調製する方法であって、前記標的結合メンバー、VHドメインまたはVLドメインの産生をもたらす条件下で前記核酸を発現させる工程、およびそれを回収する工程を包含する方法を提供する。
【0084】
本発明の核酸は、配列番号40(重鎖)もしくは配列番号26(軽鎖)の配列、またはその関連部分(例えば、CDRコード領域)、または例えば本発明の他のVHおよびVLドメインをコードするように部位特異的変異誘発によって改変されたこれらの配列の変異体を含み得る。さらに、コドン利用が、例えば所望の宿主細胞における配列の発現を最適化するように、変更され得る。
【0085】
本発明は、さらに、本発明の標的結合メンバーをコードする単離核酸を提供する。核酸は、DNAおよびRNAを包含する。
【0086】
本発明に従う核酸は、DNAまたはRNAを包含し得、全部または一部が合成であり得る。本明細書に示されるヌクレオチド配列についての言及は、文脈上別段の要求のない限り、特定の配列を有するDNA分子を包含し、かつTがUに置換された特定の配列を有するRNA分子を包含する。
【0087】
本発明はまた、少なくとも1つの上記の核酸を含む、例えばプラスミド、ウイルス(例えば、ファージまたはファージミド)、コスミド、転写カセット、または発現カセットの形態の、ベクターを提供する。
【0088】
適切な調節配列(適宜、プロモーター配列、ターミネーター配列、ポリアデニル化配列、エンハンサー配列、マーカー遺伝子および他の配列を含む)を含有する好適なベクターが選択されるか、または構築され得る。さらなる詳細については、例えば、Molecular Cloning:a Laboratory Manual:2nd edition,Sambrook et al.,1989,Cold Spring Harbor Laboratory Pressを参照されたい。
【0089】
本発明のベクターはまた、インビボでヒト細胞に感染し得るウィルスベクター(例えば、アデノウィルス、レトロウィルスまたはアデノ随伴ウィルスベクター)を包含する。そのようなベクターは、ヒトまたは動物被験体の細胞において本発明の標的結合メンバーを発現させて、標的結合メンバーの産生および前記被験体への送達を提供するのに有用であり得る。
【0090】
本発明の標的結合メンバーをコードする核酸配列は、一態様において、宿主細胞において標的結合メンバーの発現を生じさせるためのプロモーターに作動可能に連結される。この配列は、その5’末端に、宿主細胞におけるおよび/または宿主細胞からの標的結合メンバーの発現および/または分泌を促進するためのリーダー配列を含み得る。数多くの好適なリーダー配列がそのようなものとして当該技術分野において公知であり、宿主細胞を考慮して、当業者により選択され得る。
【0091】
非免疫グロブリン哺乳動物リーダー配列または合成リーダー配列が代わりに使用され得るが、好適なリーダー配列としては、任意のヒトまたは他の哺乳動物の免疫グロブリンリーダー配列が挙げられる。VH鎖の発現には、好ましくは、ヒトVHリーダー配列が使用され得る。VL鎖の発現には、好ましくは、ヒトVLリーダー配列が使用される。
【0092】
本発明のVHドメインの発現に適したリーダー配列は:
MGSTAILGLLLAVLQGVCA(配列番号37)
である。
【0093】
本発明のVLドメインの発現に適したリーダー配列は、ヒトまたはマウスVKリーダー配列である。そのような配列は、2C3リーダー配列:
MRVPAQLLGLLLLWLPDTRC(配列番号38)またはヒトホモログ、例えば、MDMRVPAQLLGLLLLWLPDTRC(配列番号39)
であり得る。
【0094】
付随する実施例において、我々は、抗体リーダー配列で始まるコード配列の前に、HindIII部位およびコンセンサスKozak配列(AAGCTTGCCGCCACC、配列番号41)を含む発現構築物を使用した。これは、哺乳動物宿主細胞における抗体ドメインの発現に好適である。しかしながら、実験者の嗜好および抗体ドメインを発現させることになる宿主細胞によっては、他の構築物が使用され得る。
【0095】
例えば核酸構築物の調製、変異誘発、配列決定、細胞へのDNAの導入および遺伝子発現、ならびにタンパク質の分析における、核酸の操作のための多くの公知の技術ならびにプロトコルが、Current Protocols in Molecular Biology,Second Edition,Ausubel et al.eds.,John Wiley & Sons,1992に詳細に記載されている。SambrookらおよびAusubelらの開示は、参照により本明細書に援用される。
【0096】
宿主細胞および標的結合メンバーの作製
さらなる態様は、本発明の核酸(例えば、ベクターの形態の核酸配列)で形質転換された宿主細胞を提供する。
【0097】
一実施形態において、本発明の核酸は、宿主細胞のゲノム(例えば、染色体)に組み込まれる。組み込みは、ゲノムとの組換えを促進する配列を標準的な技術に従って挿入することにより促進され得る。
【0098】
なおさらなる態様は、本発明の標的結合メンバーの作製方法を提供し、この方法は、コード核酸から発現を生じさせる工程を包含する。そのような方法は、前記標的結合メンバーの産生条件下で宿主細胞を培養する工程を包含し得る。
【0099】
発現による産生に続き、VHもしくはVLドメインまたは標的結合メンバーは、任意の好適な技術を用いて単離および/または精製され得、次いで適宜使用され得る。作製方法は、生成物の単離および/または精製の工程を包含し得る。
【0100】
生成物の精製に続き、標的結合メンバーは、物理的もしくは化学的手段により、例えば、タンパク質の安定性または生物学的半減期を変更(例えば、増大)する保護基を導入するように改変され得る。例えば、そうした効果を達成するためのタンパク質のPEG化が、そのようなものとして当該技術分野において公知であり、本発明の標的結合メンバーは、PEG化された形態であり得る。
【0101】
作製方法は、少なくとも1つの追加の成分(例えば、薬学的に受容可能な賦形剤)を含む組成物に生成物を配合する工程を包含し得る。
【0102】
本発明はまた、1つもしくは複数の上記の核酸またはベクターを含む組換え宿主細胞を提供する。規定されるとおりの任意のCDR、VHもしくはVLドメインまたは標的結合メンバーをコードする核酸自体が、コード核酸から発現させる工程を包含することによるコード産物の作製方法と同様、本発明の一態様を形成する。
【0103】
種々の異なる宿主細胞におけるポリペプチドのクローニングおよび発現のための系が周知である。好適な宿主細胞としては、細菌、哺乳動物細胞、酵母およびバキュロウィルス系が挙げられる。異種ポリペプチドの発現のために当該技術分野において利用可能な哺乳動物細胞株としては、チャイニーズハムスター卵巣細胞、HeLa細胞、ベビーハムスター腎臓細胞、NS0マウス黒色腫細胞、YB2/0ラット骨髄腫細胞、および多くの他の細胞が挙げられる。一般的な好ましい細菌宿主は、大腸菌(E.coli)である。
【0104】
原核生物細胞(例えば、大腸菌(E.coli))における抗体および抗体フラグメントの発現は、当該技術分野において十分に確立されている。概観については、例えば、Pluckthun,A.Bio/Technology 9:545−551(1991)を参照されたい。培養下の真核生物細胞における発現もまた、標的結合メンバーの作製のための選択肢として当業者に利用可能である。最近の概観については、例えば、Ref,M.E.(1993)Curr.Opinion Biotech.4:573−576;Trill J.J.et al.(1995)Curr.Opinion Biotech 6:553−560を参照されたい。
【0105】
組成物
したがって、本発明に従う薬学的組成物および本発明に従う使用のための薬学的組成物は、有効成分に加え、薬学的に受容可能な賦形剤、キャリア、緩衝剤、安定剤、または当業者に周知の他の材料を含み得る。そのような材料は、非毒性であるべきであり、有効成分の効果を妨げるべきではない。キャリアまたは他の材料の厳密な性質は、投与経路によって決まり、その投与経路は、経口、または注射(例えば、静脈内注射)によるものであり得る。
【0106】
標的結合メンバーの治療用配合物は、所望の純度を有する標的結合メンバーと、必要に応じて生理学的に受容可能なキャリア、賦形剤または安定剤(例えば、“Remington:The Science and Practice of Pharmacy”,20th Edition,2000,Lippincott,Williams & Wilkins出版を参照)と混合することにより、凍結乾燥粉末または水溶液の形態で、保存用に調製され得る。受容可能なキャリア、賦形剤または安定剤は、使用される投与量および濃度でレシピエントに対して非毒性であり、緩衝剤(例えば、ホスファート、シトラート、および他の有機酸);酸化防止剤(アスコルビン酸を包含する);低分子量(約10残基未満)のポリペプチド;タンパク質(例えば、血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリン);親水性ポリマー(例えば、ポリビニルピロリドン);アミノ酸(例えば、グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニンまたはリシン);単糖類、二糖類、および他の炭水化物(グルコース、マンノース、またはデキストリンを包含する);キレート剤(例えば、EDTA);糖アルコール(例えば、マンニトールまたはソルビトール);塩形成対イオン(例えば、ナトリウム);ならびに/または非イオン性界面活性剤(例えば、Tween、Pluronicsまたはポリエチレングリコール(PEG))を包含する。
【0107】
インビボ投与に使用される標的結合メンバーについては、無菌でなければならない。これは、凍結乾燥および再構成の前または後の、滅菌濾過膜を通す濾過により容易に実現される。標的結合メンバーは、通常、凍結乾燥形態でまたは溶液中に保存される。
【0108】
経口投与のための薬学的組成物は、錠剤、カプセル剤、散剤または液剤の形態であり得る。錠剤は、固体キャリア(例えば、ゼラチンまたはアジュバント)を含み得る。液体薬学的組成物は、概して、液体キャリア(例えば、水、石油、動物もしくは植物油、鉱油、または合成油)を含む。生理的食塩水、デキストロースもしくは他の糖類溶液、またはグリコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコールまたはポリエチレングリコール)が含まれ得る。
【0109】
静脈内注射または疾病部位への注射のためには、有効成分は、発熱性物質を含まず、好適なpH、等張性および安定性を有する、非経口的に受容可能な水溶液の形態にある。当業者は、例えば等張性ビヒクル(例えば、塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、乳酸加リンゲル注射液)を用いて好適な溶液を十分に調製し得る。保存剤、安定剤、緩衝剤、酸化防止剤および/または他の添加剤が、必要に応じて含まれ得る。
【0110】
本発明の治療的使用
本発明は、IL−25に対する抗体が、喘息の主要な症状である気道過敏性のインビボでの予防または軽減に有効であることの実証を初めて提供する。したがって、一態様において、本発明は、処置を必要としている被験体(例えば、ヒト)における気道過敏性を予防または軽減する方法を提供し、この方法は、IL−25と結合する標的結合メンバー、特に抗体分子を被験体に投与する工程を包含する。別の態様において、本発明は、処置を必要としている被験体において喘息を予防、軽減または処置する方法を提供し、この方法は、IL−25と結合する標的結合メンバー、特に抗体分子を被験体に投与する工程を包含する。喘息は、アレルギー性喘息を包含する。
【0111】
上記方法は、IL−25への結合、および好ましくはIL−25の作用の中和において有用であり、IL−25が役割を果たす種々の疾患および障害において治療的可能性を有する本発明に従う標的結合メンバー(その組成物を包含する)を用いて実施され得る。そうした疾患は、喘息に加え、炎症と関連する他の状態(例えば、クローン病および潰瘍性大腸炎)を包含する。本方法はまた、以下に付随する実施例において記載されるようにして得られ得るIL−25と結合する他の標的結合メンバー(その組成物を包含する)を用いて実施され得る。
【0112】
本発明に従う標的結合メンバー(その組成物を包含する)は、ヒトもしくは動物被験体における処置(予防的処置を包含する)または診断の方法において使用され得る。そのような処置または診断(予防的処置を包含し得る)の方法は、有効量の本発明の標的結合メンバーを前記被験体に投与する工程を包含し得る。例示的な疾患および障害が、以下でさらに検討される。
【0113】
また、ヒトまたは動物被験体への投与のための医薬の製造における本発明の標的結合メンバー(その組成物を包含する)の使用も提供される。
【0114】
治療的利益を提供するために抗IL−25標的結合メンバーが使用され得る臨床適応症は、IL−25が病理学的影響を有するあらゆる状態を包含する。したがって、概して、本発明の標的結合メンバーは、望ましくないTh2応答または2型応答と関連する任意の状態の処置において使用され得る。例えば、本発明の標的結合メンバーは、アレルギーおよび喘息、特に喘息の処置のために使用され得る。
【0115】
抗IL−25処置は、注射により(例えば、静脈内に)または局所送達法により与えられ得る。抗IL−25は、遺伝子媒介技術により送達され得る。別の配合方法により、経口または坐剤経路に適した製剤が提供され得る。投与経路は、疾患への特別な配慮をした上で、効果を最適化するように、または副作用を極力抑えるように、処置の物理化学的性質により決定され得る。
【0116】
本発明によれば、提供される組成物は、個体に投与され得る。投与は、好ましくは「治療有効量」での投与であり、この治療有効量は、患者への利益を示すのに十分な量である。そのような利益は、少なくとも1つの症状の少なくとも改善であり得る。実際の投与量ならびに投与の速度および時間経過は、処置対象の性質および重症度によって決まる。処置の処方(例えば、投与量などの決定)は、一般医および他の医師の責任の範囲内である。抗体の適切な用量は、当該技術分野において周知である;Ledermann J.A.et al.(1991)Int.J.Cancer 47:659−664;Bagshawe K.D.et al.(1991)Antibody,Immunoconjugates and Radiopharmaceuticals 4:915−922を参照されたい。
【0117】
正確な用量は、多くの要因(その抗体が診断のためのものであるのか、それとも処置のためのものであるのか、処置されることになる領域の大きさおよび場所、抗体の厳密な性質(例えば、完全抗体、フラグメントまたはダイアボディ)、ならびに抗体に結合させた任意の検出可能な標識または他の分子の性質を包含する)によって決まる。典型的な抗体用量は、0.5mg〜1.0gの範囲内にあり、これは、適宜、ボーラスとして、または数時間にわたる注入として、必要用量を達成するように、静脈内に投与され得る。投与の他の様式として、同様の総累積用量を達成するような、数時間にわたる静脈内注入が挙げられる。これは、成人患者の単一処置のための用量であり、小児および乳児に見合うように比例して調節され得、また、他の抗体形式に対しても分子量に比例して調節され得る。処置は、医者の判断で、1日1回、週2回、週1回または月1回の間隔で繰り返され得る。
【0118】
さらなる投与様式は、体内留置デバイスへのプレコーティングかまたはさもなければ組み込みを利用するものであり、そのための抗体の最適量は、適切な実験により決定される。
【0119】
本発明の一部の好ましい実施形態における抗体分子は、モノマーフラグメント(例えば、F(ab)またはscFv)である。そのような抗体フラグメントは、半減期が相対的に短いという利点を有し、レセプタークラスター化(receptor clustering)により引き起こされ得る血小板活性化のリスクを低下させ得る。血小板活性化を生じさせるクラスター化は、例えば、IL−25分子のものであるか、またはIL−25とFcγRII分子のものであり得る。
【0120】
完全抗体が使用される場合、その抗体は、好ましくは、血小板を活性化および/または破壊し得ない形態にある。IgG4アイソタイプあるいはIgG1主鎖由来の「デザイナー」アイソタイプ(新規Fc遺伝子構築物、国際公開第99/58572号パンフレット、Clark,Armour,Williamson)が好ましい選択肢である。より小さい抗体フラグメント(例えば、F(ab’)2)が使用され得る。また、二重エピトープ特異性(例えば、scFv 2C3により認識されるエピトープに対する特異性)を有する完全抗体またはフラグメント(例えば、F(ab’)2またはダイアボディ)が使用され得る。そのような実施形態はレセプタークラスター化を促進し得るが、個々のレセプターへの高い結合速度がこの問題の可能性を排除し得る。
【0121】
本発明の標的結合メンバーは、通常、薬学的組成物の形態で投与され、この薬学的組成物は、標的結合メンバーに加えて少なくとも1つの成分を含み得る。
【0122】
本発明の標的結合メンバーは、単独でまたは他の処置と組み合わせて、処置されることになる状態によって同時にまたは逐次的に投与され得る。他の処置としては、適切な用量の鎮痛薬(例えば、非ステロイド性抗炎症薬(例えば、アスピリン、パラセタモール、イブプロフェン、またはケトプロフェン))もしくは麻酔薬(例えば、モルヒネ)の投与;鎮吐薬の投与;または喘息に対して活性を有する少なくとも1つの他の化合物、一般的には、気道弛緩を引き起こすかもしくは粘液クリアランスを向上させる気管支拡張薬(例えば、β−アゴニスト(例えば、サルブタモール、サルメテロール)、クロモグリク酸二ナトリウム、ステロイド、またはPDEIV阻害剤)の投与が挙げられ得る。
【0123】
アッセイ方法
本発明は、本明細書において提供される標的結合メンバーのIL−25への結合を生じさせる、または可能にする工程を包含する方法を提供する。そうした結合は、インビボでも(例えば、標的結合メンバーまたは標的結合メンバーをコードする核酸の投与に続いて)起こり得るし、インビトロでも(例えば、ELISA、ウェスタンブロット法、免疫細胞化学、免疫沈降またはアフィニティークロマトグラフィーにおいて)起こり得ることに留意する。
【0124】
IL−25への標的結合メンバーの結合量が決定され得る。定量は、診断対象であり得る試験試料中の抗原の量と関連付けられ得る。
【0125】
試料に対する抗体の反応性は、任意の適切な手段により決定され得る。ラジオイムノアッセイ(RIA)は1つの実行可能な手段である。放射性標識抗原が非標識抗原(試験試料)と混合され、抗体に結合させられる。結合抗原は、非結合抗原から物理的に分離され、抗体と結合した放射性抗原の量が決定される。試験試料中に存在する抗原が多いほど、より少ない放射性抗原が抗体に結合することになる。レポーター分子に連結された抗原またはアナログを用い、非放射性抗原との競合結合アッセイもまた使用され得る。レポーター分子は、スペクトル上区別される吸収または発光特性を有する蛍光色素、発光体またはレーザー色素であり得る。好適な蛍光色素としては、フルオレセイン、ローダミン、フィコエリトリンおよびTexas Redが挙げられる。好適な色原体色素としては、ジアミノベンジジンが挙げられる。
【0126】
他のレポーターとしては、高分子コロイド粒子または粒状材料(例えば、着色、磁性または常磁性のラテックスビーズ)、および直接的もしくは間接的に、検出可能シグナルを視覚的に観察させ得るか、電子的に検出させ得るか、またはさもなければ記録させ得る、生物学的もしくは化学的に活性な薬剤が挙げられる。これらの分子は、例えば発色もしくは変色する、または電気的性質に変化をもたらす、反応を触媒する酵素であり得る。それらは、エネルギー状態間の電子遷移が特徴的なスペクトル吸収または発光をもたらすように分子的に励起可能であり得る。それらは、バイオセンサーと共に使用される化学的実体を包含し得る。ビオチン/アビジンまたはビオチン/ストレプトアビジンとアルカリホスファターゼとの検出系が使用され得る。
【0127】
個々の抗体−レポーター複合体(conjugate)により生成されるシグナルは、試料(正常および試験)中の関連する抗体結合の定量化可能な絶対または相対データを得るために使用され得る。
【0128】
本発明はまた、競合アッセイにおいて抗原レベルを測定するための上記のような標的結合メンバーの使用、すなわち、本発明により提供されるような標的結合メンバーを競合アッセイにおいて使用することにより試料中の抗原レベルを測定する方法を提供する。これは、非結合抗原からの結合抗原の物理的分離が必要とされない場合であり得る。物理的または光学的変化が結合の際に起こるようにレポーター分子を標的結合メンバーに連結することは、1つの実行可能な手段である。レポーター分子は、検出可能な、かつ好ましくは測定可能なシグナルを、直接的または間接的に生成し得る。レポーター分子の連結は、直接的または間接的に、共有結合による(例えば、ペプチド結合による)か、または非共有結合により得る。ペプチド結合による連結は、抗体およびレポーター分子をコードする遺伝子融合体の組換え発現の結果としてあり得る。
【0129】
本発明はまた、本発明に従う標的結合メンバーを例えばバイオセンサー系において使用することによる、抗原レベルの直接的な測定を提供する。
【0130】
結合の決定様式は本発明の特徴ではなく、当業者は当業者の嗜好および一般的知識に従って好適な様式を選択し得る。
【実施例】
【0131】
次に、本発明の態様および実施形態について、以下の実験を参照しながら例として説明する。
【0132】
比較実施例:
2c3の一次配列
図1に、リーダー配列を除くκ軽鎖配列(配列番号15)、ならびにL1(配列番号29)、L2(配列番号30)およびL3(配列番号31)と称される、Kabatにより定義されるところのCDRループのアミノ酸配列を示す。2c3軽鎖のヒト化のためのドナー配列となったのは、L1、2および3の配列である。図2に重鎖の配列(配列番号17)を示す。この場合もそのCDRを、H1(配列番号32)、H2(配列番号35)およびH3(配列番号33)として特定する。
【0133】
2c3重鎖および軽鎖の分析
ヒト抗体配列のデータベースを、2c3のアクセプターフレームワーク配列を特定するために分析した。ヒト抗体配列のデータベースは、9597種の重鎖配列および2695種の軽鎖配列を含む。好適なアクセプター配列を、第1に最も高いVCIスコア、第2にフレームワーク(FR)スコア、第3に同一性スコアに基づいて、事前に特定した。最後に、H1、H2、L1およびL2について保存されたループ長さを有していない配列をいずれも除いた。その後、上位20種のヒト抗体配列を調べて、ヒト化抗体、重度に変異したscFv抗体およびマウス抗体を排除した。異常な位置にシステインまたはプロリン残基を有するそれらの配列も排除した。
【0134】
2c3の重鎖アクセプターの分析
2c3重鎖のための上位20種の配列を特定した。図3に、2つのVCI残基A67VおよびL69Iしか異ならない最高VCIスコアを有する配列AY393094(配列番号19)を示す。これらは両方とも、保存的変化である。残りのフレームワーク配列を分析すると、87残基のうち59残基が保存されていることが認められる。2c3およびAY393094に見られるインターフェース残基は、我々が提案する軽鎖AY510106に対する同種の重鎖(AY510106)に保存されている。全体的にみて、この分析により、AY393094(配列番号19)が、VCI復帰変異をほとんど必要とし得ない優れた候補となる。
【0135】
しかしながら、AY393094のH3ループ長さは、2c3において見られる13残基ではなく17残基であるが、このH3の長さの違いは、ヒト化の際には珍しいことではなく、VCI残基を保存することほど重要ではないと思われる。
【0136】
2c3の重鎖のヒト化構築物(RHA)
図4にヒト化重鎖構築物を示す。これをRHA(配列番号21)と命名した。リーダー配列およびフレームワーク配列はAY393094に由来し、Kabatにより定義されるところのH1〜3ループは2c3に由来する。5’末端にはコンセンサスコザック配列およびHindIII制限部位を付加し、3’末端にはApaI制限部位を付加した。制限部位は、発現ベクターを補助するものであり、Kozakコンセンサス配列は、タンパク質発現を最大化することが意図される。N結合グリコシル化部位はモチーフNX(S/T)を有するが、ヒト化重鎖においては一つも認められなかった。ペプチド切断部位の性質は、Signal PプログラムをRHAのアミノ末端ペプチド配列に適用することにより評価した。その結果から、VH5aリーダー配列がVCA(シグナルペプチドのC末端)とEVR(FR1のN末端)との間で切断されることが確認された。
【0137】
軽鎖フレームワーク分析
最良のVCIおよびフレームワークスコアを有する多数のヒト軽鎖フレームワークを特定した。しかしながら、高スコアを得た上位3種の配列を検討後、全てを無視した。第1位のものについては、この軽鎖がアミロイド原繊維形成と関連することが示された抗体に由来したためであり、次の2つについては、それらの配列が1位および3位に非保存残基を有するためである。本発明者らの以前のヒト化の経験から、これらの残基は保存されるべきであると考えるに至った。
【0138】
次の最良の配列は、2つのVCI残基V44PおよびY71Fが異なるだけであったが、さらなる分析により、最高フレームワークスコアを有する候補は非常に類似してはいるが、L73FまたはI83Fミスマッチのいずれかを有することが示された。フェニルアラニンは比較的大きな変化であり、これらの2種類の軽鎖において保存されているようである。2c3様軽鎖フレームワークのさらなる分析により、73位のロイシンと合わせて83位にバリンを有し、したがって、83位にPheを有するそれらのフレームワークの代替物を提供するかなりの数のものを見出した。このことを考慮して、本発明者らは、2c3と同じCDRループ長さを有するV83軽鎖である軽鎖AY510106を選択した。図5にAY510106の配列(配列番号23)を示す。
【0139】
2C3の軽鎖のヒト化構築物(RKA)
図6にヒト化κ軽鎖構築物を示す。これをRKA(配列番号25)と命名した。リーダー配列およびフレームワーク配列はAY510106に由来し、L1〜3は2c3に由来する。5’末端にはコンセンサスKozak配列およびHindIII制限部位を付加し、3’末端にはBamHI制限部位およびスプライス部位を付加した。制限部位およびスプライス部位は、pKN100発現ベクター中の構築物のクローニングおよび発現に必要であり、Kozakコンセンサス配列は、タンパク質発現を最大化することが意図される。N結合グリコシル化部位はモチーフNX(S/T)を有するが、ヒト化軽鎖においては一つも認められなかった。ペプチド切断部位の性質は、Signal Pプログラムを2c3RKAのアミノ末端ペプチド配列に適用することにより評価した。その結果から、VK1−A20リーダー配列が残基TRC(シグナルペプチドのC末端にある)とDI(FR1のN末端にある)との間で切断されることが確認された。
【0140】
RHAおよびRKAとキメラ2c3との比較
ヒト化2c3重鎖RHAおよびκ軽鎖RKAのcDNAを合成し(GeneArt AG)、それぞれIgG1重鎖発現ベクターpG1D200および軽鎖発現ベクターpKN100にクローニングした。初めに、キメラ2c3由来の重鎖および軽鎖のcDNA構築物とヒト化抗体とを合わせ、HEK293T細胞を一時的にトランスフェクトするために使用した。トランスフェクトされた細胞からの上清をELISAにおいて使用して、IL−25への抗体結合を測定した。その結果(図7(A))は、キメラ2c3軽鎖をヒト化重鎖RHAと共に含むヒト化抗体は、キメラ2c3の軽鎖および重鎖を含む抗体よりもIL−25への結合が顕著に少ないことを示した。それに対し、IL−25への同等の結合が、キメラ2c3重鎖と結合させたヒト化軽鎖RKAまたはキメラ2c3軽鎖について認められた。
【0141】
ヒト化重鎖の最大結合を回復しようとして、VCI残基A67VおよびI69Lを変異誘発により置換した。軽鎖RKAと合わせた二重変異体RHA_A67V_I69LおよびRHA_I69Lの抗原結合を、キメラ2c3の抗原結合と比較した。HEK 293T細胞を、異なる変異誘発重鎖およびRKAでコトランスフェクトし、上清をIL−25結合ELISAにおいて使用した。図7(B)に示された結果は、IL−25への最大抗体結合がA67VおよびI69Lの両残基の置換により部分的にしか回復されなかったことを示している。
【0142】
さらなる変異誘発をRHAに対して行った。アミノ酸置換R3Q、S82aLを行い、一次的にトランスフェクトさせたHEK293T細胞からの上清をIL−25結合ELISAにおいて使用した。図7(C)中の結果は、これらの置換がIL−25へのヒト化抗体結合の改善に対しほとんどまたは全く効果がなかったことを示している。
【0143】
したがって結論は、軽鎖のヒト化は成功し、さらなる改変を必要としないが、重鎖のさらなる操作をもってしても、明らかに十分に保存されているVCI残基を有する重鎖への、CDRの移入に基づくヒト化は成功しないということであった。
【0144】
実施例1−高親和性ヒト化抗体の設計
フレームワークAY393094は、VCIスコアよりも高配列同一性を優先した抗体フレームワーク領域を与えるバーニアまたはカノニカル残基の置換にもかかわらず、満足の行くヒト化抗体を提供することができなかった。この方法により、異なるクラスのヒトフレームワークが同定された。これらのうち、最高VCIスコアを有するフレームワークを選択した。そのリーダー配列は未知であったため、VH5aリーダー配列のものを代わりとして使用した。図8に、選択されたヒトVHドメインAJ399823の配列(配列番号27)を示す。
【0145】
そのCDRを2c3のCDRで置換し、第2のヒト化抗体をRH2と名付けた。その配列を、配列番号4として示す。RH2は、5つの非保存VCI残基:Ser30;Met48;Val67;Arg71およびThr73(Kabat番号付け)を有する。これらの残基は、以下ではそれぞれb、c、d、eおよびfと呼ぶ。
【0146】
そのVCI置換を全て含むヒト化重鎖をRH2bcdefと名付け、軽鎖RKAと結合させて試験した。一次的にトランスフェクトさせたHEK293T細胞からの上清を、IL−25結合ELISAにおいて使用した。RHAとRH2bcdefとの間の比較は、RHAと比較して改善されたIL−25への結合を示したが、キメラ2c3により示される100%の結合を回復することはできなかった。したがって結論は、2c3の直接的なヒト化に対する代替的アプローチが必要とされるということであった。
【0147】
実施例2−RH2bcdefのCDRの改変
2つのCDR残基がヒト化抗体の効力を改善することが見出された。変異D31GおよびG96DをRH2bcdefに導入し、一次的にトランスフェクトさせたHEK293T細胞に使用した。上清をIL−25結合ELISAにおいて使用した。図9(A)中の結果は、D31G変異がRH2bcdefの効力を2c3のレベルに回復することを示している。しかしながら、G96D変異(図9(B))は、2c3の抗原結合効力を実質的に超えて抗原結合効力を増大させる。
【0148】
これら2つの変異が相加的であるか否かを試験するために、両方をRH2bcdefに組み込んだ。一次的にトランスフェクトさせたHEK293T細胞からの上清を、IL−25結合ELISAにおいて使用した。図10に示された結果は、両方のCDR変異を組み込むことによるヒト化において、わずかではあるが顕著な効力の増大があることを示唆している。
【0149】
我々のデータはまた、抗体の類似した結合特性を維持するために、31位が、GlyまたはAspに加えて、Ala、Ser、Val、Asn、Lys、TyrまたはMetからも選択され得ることを示す。
【0150】
実施例3−残基96(Kabat)の改変
どのアミノ酸が残基96にて許容され得るかをより良く理解するために、代表的なアミノ酸を選択して変異誘発によりグリシンを置換した。RH2bcdefに対し、以下の変異:G96Y、G96N、G96S、G96L、G96KおよびG96Eを作製した。これらの発現構築物をRKAと共にHEK293T細胞にコトランスフェクトし、上清をIL−25結合ELISAにおいて使用した。その結果は、96位のアスパルテートのアスパラギンによる置換のみが、同等の効力のものであり、この位置で試験された他の残基は全てIL−25への結合に悪影響を及ぼすことを示した。驚くことに、効力に対する悪影響は、アスパルテートと同様に負に荷電した残基であるグルタメートによる置換も包含した。効力増大へのアスパルテートの最も重要な貢献が、負電荷ではないと結論付け得る。
【0151】
したがって、本発明のVHドメイン中の残基96(Kabat)は、アスパルテートまたはアスパラギンであり得る。
【0152】
実施例4−RH2へのマウスVCI残基の最低必要要件の決定
ヒト化抗体に対する潜在的な免疫原の影響を極力小さくするために、マウスアミノ酸フレームワーク置換の数を極力少なくすることが望まれる。ヒト化重鎖RH2bcdef_G96Dは、RH2.1と命名され、2c3からの5つのVCI置換を有した。最初に4つを除去して、どの残基が効力に貢献したかを特定した。
【0153】
変異c、d、e、およびfを、単一変異として内因性ヒトフレームワーク残基で置換した。HEK 293T細胞をVCI変異およびRKAでコトランスフェクトし、上清をIL−25結合ELISAにおいて試験した。驚くことに、ヒト残基V67またはT73を再導入すると、予期しないわずかな効力の向上があることが見出された。48位のMetをマウスIleに戻すことに、何ら顕著な効果はなかった。
【0154】
しかしながら、71位におけるヒトアルギニン残基の存在は、IL−25への結合に悪影響を及ぼすようであった。したがって結論は、マウスVCI残基Val71のみがヒト化抗体において非常に望ましいということであった。その他の残基は、マウスまたはヒトのいずれかであり得る。
【0155】
最適な最終ヒト化重鎖を特定するために、マウスVCI残基を全く含まない、RH2.5(配列番号4)と呼ばれる新しいバージョンの重鎖を合成した。さらに、RH2.5の2種の改変バージョンを、VCI変異S30T(配列番号3)またはR71V(配列番号2)のいずれかを用いて作製した。これら3種の新規ヒト化抗体のIL−25への結合を、ELISAにより分析した。その結果を図11に示す。RH2.5との比較において、S30TまたはR71Vの追加は、ヒトIL−25への結合を同程度に向上させることが見出された。
【0156】
したがって、本発明の一部の実施形態において、重鎖の30位および71位が、それぞれSからTおよびRからVに、別個にまたは組み合わせて改変され得る。
【0157】
実施例5−抗体の熱安定性
RH2.5_S30T(配列番号3)およびRH2.5_R71V(配列番号2)の熱安定性を決定した。抗体を様々な温度で10分間維持し、次いで室温まで急冷し、IL−25と結合するそれらの能力をELISAにより測定した。2c3キメラ抗体(コントロール)はより大きな熱安定性を保持し、75℃の温度まで活性であることが分かった。RH2.5_R71Vは65℃まで活性を維持し、RH2.5_S30Tは60℃まで活性であった。
【0158】
実施例6−ヒト化抗体の非B/非T細胞バイオアッセイ
IL−25活性を測定するために利用可能なインビトロバイオアッセイはごく少数しかない。1つの強力なアッセイは、マウスの腸間膜リンパ節から単離された非B/非T(NB/NT)細胞からのIL−13の放出を測定することである。このアッセイにおいて、細胞をIL−25および様々な濃度の抗体と共にインキュベートし、3日間の刺激後、IL−13を測定した。その結果は、マウス2c3抗体がIL−13産生を部分的にしか阻害しないことを示した。それに対し、RH2.5_R71VおよびS30Tは、両方ともIL−13産生を除去(ablate)し、RH2.5は、IL−13産生を顕著に減少させた。興味深いことに、RH2.5_R71VおよびRH2.5_S30Tは、両方とも0.25μg/mLもの低い濃度でなおIL−13産生の完全な阻害を示したが、RH2.5についてはいくらかの低レベルのサイトカイン産生をこの濃度で認め得た。これらのデータは、ヒト化抗体には2c3キメラ抗体よりも大きな効力があり、変異R71VおよびS30Tが抗原結合効力を向上させたという見解と一致する。
【0159】
実施例7−RH2.5_R71Vによる気道過敏性の阻害
さらなる実験において、ヒト化抗体RH2.5_R71Vを、急性気道過敏性(AHR)のマウスモデルにおいて試験した。図12に実験プロトコルを要約する。マウスを最初にオボアルブミンに感作させ、次いで抗IL−25抗体の存在下でチャレンジした。図13(A)中の結果は、AHR応答が、マウス1匹当たり500μg用量の2c3の添加によっては阻止されたが、この用量をマウス1匹当たり50μg用量に低下させた場合には阻止されなかったことを示している。それに対し、図13(B)に示されるように、わずか50μg用量(2.5mg/Kg)のヒト化抗体RH2.5_R71Vを使用して、AHRが阻止された。これらのデータは、ヒト化抗体には2c3抗体よりも顕著に大きな効力があるという見解にさらなる裏付けを与える。
【0160】
実施例8−大腸炎の処置
雌BALB/cマウス(10匹/群)を前感作するために、腹部皮膚の一領域を剃毛し、100%エタノール中オキサゾロンの3%(w/v)溶液を150μL適用した。コントロールマウスを、150μLの100%エタノールの適用により前感作した。前感作の7日後、マウスを、イソフルランによる麻酔下で、150μLの50%エタノール中3%オキサゾロンまたは50%エタノールのみ(コントロール)を用いて直腸内に再チャレンジした。結腸および盲腸内全体へのオキサゾロンの分布を確実にするために、注射後1分間、マウスを直立した姿勢で維持した。ヒトIgG1主鎖中のマウス2C3配列のキメラである抗体(100μg/用量)を、前感作前日およびオキサゾロンの直腸内(i.r.)投与前日の両方に腹腔内(i.p.)に投与した。コントロールマウスには、アイソタイプコントロールヒトIgG4(100μg/用量)を与えた。ここで概説される全ての動物実験は、英国内務省(Home Office)の許可を得て行われた。
【0161】
結腸長さを、50%エタノールとIgG4アイソタイプコントロールi.p.(50%EtOH IgG4);50%エタノールi.r.と抗IL−25i.p.(50%EtOH 抗IL−25);3%オキサゾロンを含む50%エタノールi.r.とIgG1アイソタイプコントロールi.p.(3%オキサゾロン IgG4)および3%オキサゾロンを含む50%エタノールi.r.と抗IL−25i.p.(3%オキサゾロン 抗IL−25)のいずれかの1日3回の投与後に、各マウス群において測定した。
【0162】
動物の体重を、上記の処置後に毎日測定した。
【0163】
図14Aは、オキサゾロンの投与が、大腸炎の指標として結腸長さの減少を引き起こすことを示している。オキサゾロンおよび2C3由来抗IL−25抗体で処置された動物は、オキサゾロンおよびIgG4アイソタイプで処置された動物と比較してより長い結腸(改善された予後)を有する傾向を示す。オキサゾロンでの処置はまた、ビヒクルのみのコントロールと比較して体重減少を引き起こす(図14B)。オキサゾロンおよび抗IL−25で処置された動物も体重を減少させるが、3日目に、オキサゾロン IgG4アイソタイプで処置された群よりも急速に体重を回復する傾向を示す。
【0164】
材料および方法
略語
AHR 気道過敏性
℃ 摂氏度
bp 塩基対
DMEM ダルベッコ変法イーグル培地
DMSO ジメチルスルホキシド
DNA デオキシリボ核酸
ELISA 酵素結合免疫吸着法(Enzyme linked immuno−adsorbent assay)
FCS ウシ胎仔血清
FR フレームワーク
g グラム
HEK 293T SV40ラージT抗原を発現するヒト胚性腎細胞(HEK 293T細胞)
hr 時間
HRP 西洋ワサビペルオキシダーゼ
IgG 免疫グロブリン
mAb モノクローナル抗体
min 分
NB/NT マウス腸間膜リンパ節から単離された非B/非T細胞
NIMR 国立医学研究所(National Institute for Medical Research)(英国)
nm ナノメートル
OD 光学密度
PBS リン酸緩衝化生理食塩水
PCR ポリメラーゼ連鎖反応
RH 組換え重鎖
RK 組換えκ鎖
RT 室温
sec 秒
UV 紫外線
VH 免疫グロブリン重鎖可変領域
VL 免疫グロブリン軽鎖可変領域
VK 免疫グロブリンκ軽鎖可変領域
【0165】
【表2】

【0166】
キメラおよびヒト化抗体可変遺伝子のクローニング
2c3の重鎖および軽鎖可変領域cDNAならびにヒト化抗体の可変領域cDNAを合成した(GeneArt AG)。重鎖V領域を、HindIIIおよびApaI制限酵素部位を介してpG1D200にクローニングした。同様に、軽鎖V領域を、HindIIIおよびBamHI部位を介してpKN100にクローニングした。pG1D200ベクターは、5μgのDNAを、マルチコア(multicore)(Promega)制限消化緩衝液中20単位のHindIIIおよびApaIを用いて37℃にて2時間消化することにより、ライゲーションのために調製された。続いて、1単位のAntarcticアルカリホスファターゼ(NEB)をDNAに加え、製造業者の指示書に従って、15〜30分の間インキュベートした。次いで、このベクター調製物を、製造業者の指示書に従って、Qiaquick(Qiagen)カラムで精製した。このベクターを50μLに溶出させた。同様に、pKN100ベクターは、5μgのDNAを、バッファーE(Promega)中20単位のHindIIIおよびBamHIを用いて37℃にて1時間消化することにより調製された。このDNAをAntarcticアルカリホスファターゼで処理し、上記と同様に精製した。V領域インサートDNA(約4μg)を上記と同様に消化し、重鎖および軽鎖フラグメントを、ゲル電気泳動によりベクターから精製した。適切なバンドをゲルから切り出し、製造業者の指示書に従って、Qiaquickカラム(Qiagen)で精製し、50μLに溶出させた。ライゲーションを、1μLのベクターと1μLまたは3μLのインサートDNAとを1×Quickリガーゼ緩衝液(NEB)および1μLのNEB Quick Ligase中で混合することにより実施し、室温(20℃)にて10分間インキュベートした。この反応物を、50μLの10βコンピテント細胞(NEB)を形質転換するために使用した。ベクター構築物は、DNA配列決定により確認され、GATC Biotech Ltd(Cambridge)により完成された。
【0167】
可変遺伝子合成および部位特異的変異誘発
可変遺伝子はGeneArt AG(Regensburg,Germany)によって合成された。
【0168】
部位特異的変異誘発を、RHA変異R3QおよびL82aSにおいてPhusion(商標)Site−Directed Mutagenesis Kit(NEB)法を製造業者の指示書に従って使用した以外は、QuickChange(登録商標)II XL Site−Directed Mutagenesis Kit(Stratagene)を製造業者の指示書に従って使用して行った。
【0169】
IgG1 ELISA
Maxisorpプレートを0.4μg/mLのヤギ抗ヒトIgG抗体で被覆し、4℃にて1ヶ月間だけ保存した。使用前に、プレートをPBS/0.02%Tween 20(v/v)中で3回洗浄し、次いでPBS/0.02%Tween 20(v/v)/0.2%(w/v)BSA中でブロックした。プレートを前と同様に洗浄し、試料上清を、倍加希釈(doubling dilutions)を用いてある濃度範囲にわたって加え、37℃にて1時間にわたりインキュベートした。プレートを前と同様に洗浄し、1:5000希釈のヤギ抗ヒトκ軽鎖ペルオキシダーゼ複合体(Sigma)と共にインキュベートした。プレートを前と同様に洗浄し、次いで150μLのK Blue One−Step基質(Neogen)を加えた。10分後、50μLのRed Stop溶液(Neogen)を用いて反応を停止させ、光学密度を655nmで測定した。
【0170】
サイトカイン結合アッセイ
Maxisorpプレートを、Carbonate−bicarbonate緩衝液(Sigma)中0.25μg/mLのヒトIL−25(R&D systems)で被覆し、4℃にて1ヶ月間だけ保存した。使用前に、プレートをPBS/0.02%Tween 20(v/v)中で3回洗浄し、次いでPBS/0.02%Tween 20(v/v)/0.5%(w/v)BSA中でブロックした。プレートを前と同様に洗浄し、試料上清を、倍加希釈を用いてある濃度範囲にわたって加え、37℃にて1時間にわたりインキュベートした。プレートを前と同様に洗浄し、1:5000希釈のヤギ抗ヒトκ軽鎖ペルオキシダーゼ複合体(Sigma)と共にインキュベートした。プレートを前と同様に洗浄し、次いで150μLのK Blue One−Step基質(Neogen)を加えた。10分後、50μLのRed Stop溶液(Neogen)を用いて反応を停止させ、光学密度を650nmで測定した。
【0171】
マウス
BALB/cマウスをHarlan UK(Bicester,UK)から入手し、特定の病原体がいない環境下の施設であるSmall Animal Barrier Unit and Central Biomedical Services LMB Cambridgeで維持した。本報告で概説される全ての動物実験は、英国内務省の許可を得て行われた。
【0172】
非B非T細胞アッセイ
非B/非T(NBNT)細胞を腸間膜リンパ節から精製し、10ng/mLのrmIL−25と共にまたは無しに、かつマウスIgG1アイソタイプ(抗c−myc)または抗mIL−25 2c3と共に、ヒトIgG1アイソタイプコントロール(抗マラリア)、抗hIL−25 RH2.5 R71V、抗hIL−25 RH2.5 S30T、または抗hIL−25 RH2.5のいずれかの様々な濃度で、72時間にわたりインキュベートした。IL−13産生を、2つの複製ウェルから出し合った細胞上清からELISAにより評価した。IL−13 ELISAは、Quantikine Murine IL−13 Kit(R&D Systems)を使用して実施した。
【0173】
気道過敏性(AHR)の急性モデルの実験的設計
BALB/cマウス(6〜12週)を、0日目および12日目に、ミョウバンとの複合体としたPBS中オボアルブミン(20μg/注射)またはPBSおよびミョウバンのみ(コントロール)の腹腔内投与により感作した。1%オボアルブミンのエアゾール投与を、19日目、20日目および21日目に、1日20分間行った。コントロール動物には、PBSを与えた。各肺チャレンジの2時間前に、2c3、マウスIgG1コントロール、ヒトIgG1アイソタイプコントロール(抗マラリア)、または抗hIL−25 RH2.5 R71Vのいずれかの腹腔内投与もマウスに与えた。22日目に、これらの動物を拘束プレチスモグラフィを用いて分析して、AHRを評価した。オボアルブミンおよび抗体を内毒素について試験し、1.2EU/mLであったRH2.5_R71V以外は、0.1EU/mLを下回ることが分かった。
【0174】
AHRの測定
動物に麻酔をかけ、気管切開を施し、約150呼吸/分の速度で一回喚起量が0.15mLの人工呼吸器(Minivent 845人工呼吸器,EMMS,UK)を装着した。マウスを拘束全身プレチスモグラフ(EMMS Hants,UK)でモニタリングし、経肺圧をインライン変換器(inline transducer)により評価した。安定なベースライン肺抵抗を記録後、漸増濃度のアセチル−β−メチルコリンクロリド(メタコリン;Sigma,Dorset,(United Kingdom))を、超音波ネブライザーを用いてエアゾールにより10秒間投与し、肺抵抗を3分間にわたり記録した。EDaqソフトウェア(EMMS Hants,UK)を使用して、気道抵抗、コンプライアンス、および標準的な肺パラメータを分析した。
【0175】
参考文献
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【0176】
配列:
配列番号1−ヒト化VHドメイン(人工)
【化2】


ここで:
Xa1は、SerまたはThrであり;
Xa2は、Gly、Asp、Ala、Ser、Val、Asn、Lys、TyrまたはMetであり;
Xa3は、MetまたはIleであり;
Xa4は、ValまたはArgであり;そして
Xa5は、Asp、AsnまたはGlyである。
【0177】
配列番号2−ヒト化VHドメインRH2.5_S30T(人工)
【化3】

【0178】
配列番号3−ヒト化VHドメインRH2.5_R71V(人工)
【化4】

【0179】
配列番号4−ヒト化VHドメインRH2(人工)
【化5】

【0180】
配列番号5−ヒト化VHドメイン(人工)
【化6】

【0181】
配列番号6−ヒト化VHドメイン(人工)
【化7】

【0182】
配列番号7−ヒト化VHドメイン(人工)
【化8】

【0183】
配列番号8−ヒト化VHドメイン(人工)
【化9】

【0184】
配列番号9−ヒト化VHドメイン(人工)
【化10】

【0185】
配列番号10−ヒト化VHドメイン(人工)
【化11】

【0186】
配列番号11−ヒト化VHドメイン(人工)
【化12】

【0187】
配列番号12−ヒト化VHドメイン(人工)
【化13】

【0188】
配列番号13−ヒト化VHドメイン(人工)
【化14】

【0189】
配列番号14−ヒト化VHドメイン(人工)
【化15】

【0190】
配列番号15−2c3のVKドメイン(マウス)
【化16】

【0191】
配列番号16−2c3のVKドメインをコードする核酸
【化17】

【0192】
配列番号17−リーダー配列を含む2c3のVHドメイン(マウス)
【化18】

【0193】
配列番号18−2c3のVHドメインをコードする核酸
【化19】

【0194】
配列番号19−AY393094 VHドメイン(ヒト)
【化20】

【0195】
配列番号20−AY393094 VHドメインをコードする核酸
【化21】

【0196】
配列番号21−RHA VHドメイン(人工)
【化22】

【0197】
配列番号22−RHA VHドメインをコードする核酸(人工)
【化23】

【0198】
配列番号23−AY510106 VKドメイン(ヒト)
【化24】

【0199】
配列番号24−AY510106 VKドメインをコードする核酸
【化25】

【0200】
配列番号25−ヒト化2c3 VKドメイン RKA(人工)
【化26】

【0201】
配列番号26−ヒト化2c3 VKドメイン RKAをコードする核酸
【化27】

【0202】
配列番号27−AJ399823 VHドメイン(ヒト)
【化28】

【0203】
配列番号28−AJ399823 VHドメインをコードする核酸(ヒト)
【化29】

【0204】
配列番号29−軽鎖CDR1(マウス)
SASQGISNYLN
【0205】
配列番号30−軽鎖CDR2(マウス)
YTSSLHS
【0206】
配列番号31−軽鎖CDR3(マウス)
QQYSKLPYT
【0207】
配列番号32−重鎖CDR1(マウス)
DYTMN
【0208】
配列番号33−重鎖CDR3(マウス)
EGYDGYLYFAMDY
【0209】
配列番号34−重鎖CDR1(人工)
GYTMN
【0210】
配列番号35−重鎖CDR2(マウス)
LINPYNGGTSYNQNFKG
【0211】
配列番号36−重鎖CDR3(人工)
EDYDGYLYFAMDY
【0212】
配列番号37−VHドメインリーダー配列:
MGSTAILGLLLAVLQGVCA
【0213】
配列番号38−2C3 VKドメインリーダー配列:
MRVPAQLLGLLLLWLPDTRC
【0214】
配列番号39−ヒトVLリーダー配列:
MDMRVPAQLLGLLLLWLPDTRC
【0215】
配列番号40−RH2.5 R71Vをコードする核酸(人工)
【化30】

【0216】
配列番号41−Kozakコンセンサス配列(人工)
AAGCTTGCCGCCACC
【0217】
本明細書において引用された全ての特許、公開出願および参考文献の教示は、その全体が参照により援用される。
【0218】
本発明を、その例示的実施形態を参照しながら詳細に示し説明してきたが、当業者には、形態および詳細の様々な変更を、添付される特許請求の範囲により包含される発明の範囲から逸脱することなく本発明に加え得ることが理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号:1:
【化1】


を含む抗体VHドメインであって、ここで:
Xa1は、SerまたはThrであり;
Xa2は、Gly、Asp、Ala、Ser、Val、Asn、Lys、TyrまたはMetであり;
Xa3は、MetまたはIleであり;
Xa4は、ValまたはArgであり;そして
Xa5は、Asp、AsnまたはGlyである
抗体VHドメイン。
【請求項2】
Xa2がGlyであり、Xa5がAspまたはAsnである、請求項1に記載のVHドメイン。
【請求項3】
Xa2がGlyであり、Xa5がAspである、請求項2に記載のVHドメイン。
【請求項4】
Xa1がSerである、請求項1に記載のVHドメイン。
【請求項5】
Xa1がThrである、請求項1に記載のVHドメイン。
【請求項6】
Xa3がMetである、請求項1に記載のVHドメイン。
【請求項7】
Xa3がIleである、請求項1に記載のVHドメイン。
【請求項8】
Xa4がValである、請求項1に記載のVHドメイン。
【請求項9】
Xa4がArgである、請求項1に記載のVHドメイン。
【請求項10】
前記残基Xa1〜Xa5が、以下の組み合わせとなっている、請求項1に記載のVHドメイン。
【表1】

【請求項11】
IL−25と結合し、抗体VHドメインを含む標的結合メンバーであって、前記VHドメインは請求項1に記載のVHドメインである、標的結合メンバー。
【請求項12】
前記標的結合メンバーがVLドメインを含み、前記VLドメインのKabat CDR1〜3が、それぞれ配列番号15の、残基24〜34(配列番号29);50〜56(配列番号30)および89〜97(配列番号31)として示される、請求項11に記載の標的結合メンバー。
【請求項13】
前記VLドメインが、CDR1(配列番号29)に隣接する配列番号15の残基35〜38をさらに含む、請求項12に記載の標的結合メンバー。
【請求項14】
配列番号15を含む、請求項12に記載の標的結合メンバー。
【請求項15】
前記VLドメインがヒト化されている、請求項12に記載の標的結合メンバー。
【請求項16】
前記標的結合メンバーの配列が、配列番号25のアミノ酸21〜127を含む、請求項15に記載の標的結合メンバー。
【請求項17】
Fab、F(ab’)、scFv、FvまたはdAb抗体フラグメントである、請求項11に記載の標的結合メンバー。
【請求項18】
抗体定常領域を含む、請求項11に記載の標的結合メンバー。
【請求項19】
前記定常領域が、ヒトIgG1またはIgG4定常領域である、請求項18に記載の標的結合メンバー。
【請求項20】
完全抗体を含む、請求項18に記載の標的結合メンバー。
【請求項21】
請求項1に記載のVHドメインをコードするヌクレオチド配列を含む単離核酸。
【請求項22】
プロモーターに作動可能に連結された請求項21に記載の核酸を含む発現ベクター。
【請求項23】
請求項22に記載の発現ベクターを有する宿主細胞。
【請求項24】
前記標的結合メンバーの産生条件下で請求項23に記載の宿主細胞を培養する工程を包含する、標的結合メンバーを作製する方法。
【請求項25】
前記標的結合メンバーを単離する工程をさらに包含する、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
少なくとも1つのさらなる成分を含む組成物に前記標的結合メンバーを配合する工程をさらに包含する、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
請求項11に記載の標的結合メンバーおよび薬学的に受容可能なキャリアを含む組成物。
【請求項28】
凍結乾燥粉末の形態にある、請求項27に記載の組成物。
【請求項29】
処置を必要としている被験体に有効量の請求項11に記載の標的結合メンバーを投与する工程を包含する、喘息の処置または予防のための方法。
【請求項30】
喘息の処置または予防における使用のための、請求項11に記載の標的結合メンバー。
【請求項31】
処置を必要としている被験体に有効量の請求項11に記載の標的結合メンバーを投与する工程を包含する、炎症性腸疾患の処置または予防のための方法。
【請求項32】
処置を必要としている被験体に有効量の請求項11に記載の標的結合メンバーを投与する工程を包含する、潰瘍性大腸炎の処置または予防のための方法。
【請求項33】
処置を必要としている被験体に有効量の請求項11に記載の標的結合メンバーを投与する工程を包含する、クローン病の処置または予防のための方法。
【請求項34】
炎症性腸疾患の処置または予防における使用のための、請求項11に記載の標的結合メンバー。
【請求項35】
潰瘍性大腸炎の処置または予防における使用のための、請求項11に記載の標的結合メンバー。
【請求項36】
クローン病の処置または予防における使用のための、請求項11に記載の標的結合メンバー。
【請求項37】
IL−25に対する抗体を作製する方法であって、
(a)請求項1に記載の抗体VHドメインを提供する工程;
(b)前記VHドメインを複数の抗体VLドメインと組み合わせて抗体分子を提供する工程;
(c)前記抗体分子をIL−25への結合についてスクリーニングする工程;および
(d)IL−25と結合する抗体分子を選択する工程
を包含する、方法。
【請求項38】
請求項11に記載の標的結合メンバーをコードするヌクレオチド配列を含む単離核酸。





【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2012−503979(P2012−503979A)
【公表日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−528454(P2011−528454)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【国際出願番号】PCT/IB2009/007302
【国際公開番号】WO2010/038155
【国際公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【出願人】(597166578)メディカル リサーチ カウンシル (60)
【Fターム(参考)】