説明

IPとセルラーモビリティとの組み合わせ

【課題】複数の種類のモビリティプロトコルを利用可能なネットワークにおいて、接続セッションの処理を改善する。
【解決手段】本発明の実施形態の一例である方法は、モビリティプロトコルを利用する複数の接続セッションタイプに対応可能なゲートウェイを動作させる方法であって、端末との間で接続セッションを確立することと、前記端末に対する前記接続セッションに、少なくとも1つのパラメータを関連付けることと、モバイルIPに関する少なくとも1つのパラメータを、モバイルIPとは別のモビリティプロトコルを介して前記端末に送信することと、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異なる種類の接続セッション制御するためのネットワーク制御ノード、端末、および方法に関する。
【発明の背景】
【0002】
本発明は、多重アクセスおよびモビリティ(Mobility;移動性、移動可能性)に関する。3GPPは、現在、モバイルアクセス(Mobile Access; MA)のモビリティを実装する種々の方法について論じている。
【0003】
現在、モビリティソリューションを使用するにあたって、多数の問題が存在する。
【0004】
各モビリティソリューションは、独自のゲートウェイを有する。一般的に、トラフィックは、多数のゲートウェイ(例えば、GGSNおよびHA)を通過すべきである。
【0005】
各モビリティソリューションは、ある種のトンネリングを使用する。多数のトンネリングを備えることは、特に、セルラーアクセスにおいて最適ではない。
【0006】
各モビリティソリューションは、ゲートウェイを選択するための独自の機構を有する。一般的に、同一のゲートウェイを選択することは困難である。
【0007】
さらに、モバイルIPv4(Mobile IPv4)により、クライアントを構成する方法が必要になる。
【0008】
従って、ネットワークにおける接続セッションの処理を改善する必要がある。
【発明の摘要】
【0009】
従って、本発明の目的は、上述の問題を解決することと、異なるモビリティソリューションがゲートウェイによって提供される場合であっても、モビリティおよびセッションの連続性を提供することにある。
【0010】
本発明のいくつかの実施形態によると、本目的は、複数の接続セッションタイプをサポートするように構成されるサポートユニットと、接続セッションを端末に提供するように構成される提供ユニットと、前記端末に対する前記接続セッションに、パラメータを関連付けるように構成される関連付けユニットと、を備えるゲートウェイによって解決される。
【0011】
あるいは、本発明のいくつかの実施形態によると、本目的は、複数の接続セッションタイプをサポートするように構成されるサポートユニットと、接続セッションをゲートウェイに提供するように構成される提供ユニットと、前記ゲートウェイに関連付けられるパラメータを受信するように構成される受信機と、を備える端末によって解決される。
【0012】
さらなる代替策として、本発明のいくつかの実施形態によると、本目的は、ネットワークにおけるゲートウェイを制御するための方法であって、前記ゲートウェイは、複数の接続セッションタイプに対応可能であり、接続セッションを端末に提供することと、 前記端末に対する前記接続セッションに、パラメータを関連付けることと、を含む方法によって解決される。
【0013】
さらに、本発明のいくつかの実施形態によると、本目的は、端末を制御するための方法であって、前記端末は、複数の接続セッションタイプに対応可能であり、接続セッションをゲートウェイに提供することと、前記ゲートウェイに関連付けられるパラメータを受信することと、を含む方法によって解決される。
【0014】
本発明の例示的実施形態によると、少なくとも2つの異なるモビリティプロトコルを介し、端末にモビリティを提供するためのシステムが提供され、ここで、
モビリティゲートウェイおよび端末は、共通のモビリティセッションを共有し、
前記共通モビリティセッションは、前記複数の異なるモビリティプロトコルのいずれかを通じて更新可能であり、
さらに、各モビリティプロトコルは、登録(Registration;レジストレーション)の最中に、他の全てのモビリティプロトコルに関連する情報を、前記端末に提供する。
従って、端末がネットワーク制御要素の接続タイプを変更する(例えば、WLANからGPRS)場合であっても、前記接続セッションを明確に識別することができる。従って、異なるモビリティソリューション(異なる接続セッションタイプ)が提供される場合であっても、モビリティおよびセッション連続性を提供することができる。
【0015】
つまり、本発明は、多数のモビリティ技術を組み合わせ可能であり、かつこれらの多数のモビリティ技術間におけるセッションの連続性が可能となるモビリティソリューションを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
添付の図面を参照して、本発明について説明する。
【0017】
【図1】統合型モビリティセッションを使用する端末が、第1の実施形態に従う接続セッションタイプとしてGPRSを使用して最初に起動する場合の、信号伝達の流れを示す。
【0018】
【図2A】統合型モビリティセッションを使用する端末が、第1の実施形態に従う接続セッションタイプとしてモバイルIP(モバイルインターネットプロトコル)を使用して最初に起動する場合の、信号伝達の流れを示す。
【0019】
【図2B】端末およびゲートウェイにおける層構造(レイヤ構造;Layer Structure)を示す。
【0020】
【図3】統合型モビリティセッションを使用する端末が、第2の実施形態に従う接続セッションタイプとしてGPRSを使用して最初に起動する場合の、信号伝達の流れを示す。
【0021】
【図4】統合型モビリティセッションを使用する端末が、第2の実施形態に従う接続セッションタイプとしてモバイルIPを使用して最初に起動する場合の、信号伝達の流れを示す。
【0022】
【図5】統合型モビリティセッションを使用する端末が、第3の実施形態に従う接続セッションタイプとしてGPRSを使用して最初に起動する場合の、信号伝達の流れを示す。
【0023】
【図6】統合型モビリティセッションを使用する端末が、第3の実施形態に従う接続セッションタイプとしてモバイルIPを使用して最初に起動する場合の、信号伝達の流れを示す。
【0024】
【図7】図7Aは、実施形態に従うゲートウェイの基本構成を示し、図7Bは、実施形態に従う端末の基本構成を示す。
【好適な実施形態の詳細な説明】
【0025】
本発明の好適な実施形態について、添付の図面を参照して以下に説明する。
【0026】
概して、好適な実施形態は、統合型モビリティソリューションを提案し、この統合型モビリティソリューションでは、同じゲートウェイが、単一のモビリティセッションで複数のモビリティ技術をサポートする。このゲートウェイは、モビリティゲートウェイまたは統合型モビリティゲートウェイとも呼ばれる。また、モビリティ技術を使用する場合に、MNがこの同一のゲートウェイに確実に接続を維持するように、モバイルノード(Mobile Node; MN)構成パラメータまたはセッションパラメータを返送することができる。具体的には、ゲートウェイは、モビリティ技術がセッション中に変更する場合に、同一のホームアドレスをMNに割り当て、モビリティ技術の変更が対応ノードにわからないようにする。
【0027】
さらに、端末(つまり、モバイルノード(Mobile Node; MN))は、単一のモビリティセッションを有し、使用するアクセスに応じて、本モビリティセッションを異なるプロトコル(3GPP機構、モバイルIP、Mobike)を介して更新する手段を有する。さらに、一方のプロトコルによるアクセス後、MNは、構成/セッションパラメータを受信し、そのパラメータを使用して、本モビリティセッションの他方のプロトコル部分を構成するようにする。
【0028】
図1の信号伝達の流れを参照して、第1の実施形態に従う例について以下により詳細に説明する。
【0029】
本例において、上述のゲートウェイは、GGSNとモバイルIPv4ホームエージェント(MIPv4 HA)とを兼ね備えるインテリジェントサービスノード(Intelligent Service Node; ISN)であると想定する。またMSは、最初にGPRSを介して接続すると想定する。
【0030】
信号伝達の流れについて以下に説明する。これは、GPRSネットワークで起動する時に開始し、またGGSNとHA(ホームエージェント)とはコロケーションで運用される。
【0031】
ステップAlにおいて、ユーザエンティティ(User Entity; UE)または移動局(Mobile Station; MS)またはモバイルノード(Mobile Node; MN)は、パケットデータプロトコル(Packet Data Protocol; PDP)コンテクスト要求を送信する。MSは、統合型モバイルIPv4 モビリティをサポートしているという情報を付加することが好ましい。これは、SGSNが透過的に転送するように、プロトコル構成オプション(Protocol Configuration Option)に付加されることが好ましい。図1において、上記情報は、モビリティセッションIDを含む。特定の値(例えば、0000)により、従来のモビリティセッションが存在しないことが示される。
【0032】
その後、ISNにおいて統合型モビリティセッションを作成する(ステップA2)。この統合型モビリティセッションは、以下に説明するように、GPRSまたはモバイルIPを介して更新されうる。この統合型モビリティセッションは、GPRSセッションが非アクティブ化されない限り終了しない。その代わり、モバイルIP更新の可能性のために待機する。
【0033】
ステップA3において、ISNは、PDPコンテクスト受諾(PDP Context Accept)メッセージを返送する。このPDPコンテクスト受諾メッセージは、そのモバイルIPv4ホームエージェント(Home Agent; HA)IPアドレス(および/または例えばRFC3846に既定されるような、任意の論理名であるホームアドレスネットワークアクセス識別子(Home Address Network Access Identifier; HA NAI)、一時的共有秘密(本セッションに有効)、セキュリティパラメータインデックス(Security Parameter Index; SPI)、および任意で、GGSN識別情報(アクセスポイント名(Access Point Name; APN)として符号化されることが好ましい)を含む。任意により、一意的モビリティセッション識別子を含むべきである。これらは、SGSNが透過的に転送するように、プロトコル構成オプションに付加されることが好ましい。PDPコンテクストアクティブ化応答においてMSに返送されたIPアドレスは、モビリティセッション中のMNアドレスであることに留意されたい。従って、このIPアドレスは、モバイルIPホームアドレスでもある。
【0034】
つまり、MSがGPRSにとどまる限り、MSは、自身がそのホームネットワークにあると考え(モバイルIPの観点から)、モバイルIPを使用しない。ISNおよびMSは、GPRSパラメータ、一時的共有秘密(本セッションに有効)、セキュリティパラメータインデックス(Security Parameter Index; SPI)を含むモバイルセッションを有する。アクティブなモバイルIPセッションは存在しないが、PDPコンテクストアクティブ化手続(HAアドレス、ホームアドレス、共有秘密、SPI)から受信したパラメータで、MSは、そのモバイルIPスタックを構成している。
【0035】
ステップA4において、次に、例えば、そのホームWLANなどの、セルラーネットワーックよりも高い優先度を有するWLANを、MNが検出すると想定する。
【0036】
すると、ステップA5において、MSは、モバイルIP登録要求(MIP RRQ)を、ステップA3で受信したHAアドレスに送信する。ステップA3で受信した一時的共有秘密およびSPIを使用して、認証フィールドを計算する。また、上記登録要求は、GGSNによってステップA3において割り当てられたホームアドレスを含む。要求は、ベンダによる拡張として、HA NAI(RFC 3846において提案される)およびモビリティセッションIDも含むことが好ましい。
【0037】
ステップA6において、ISNは、要求を受信し、セッションIDを使用して適切なセッションコンテクストを探知する(重複アドレス対応を想定するため、ホームアドレスは、MSを一意的に識別するには十分でないことに留意したい)。ISNは、MSを認証し、要求を受諾する。つまり、ステップA6において、モビリティセッションIDによってモビリティセッションを識別し、要求を有効にするためにセキュリティ手続を実行し、また、この新しいアクセスによってセッションをルート指定するために、ISNにおいて更新を実行する。
【0038】
ステップA7において、対応する応答(R Resp)がMSに送信される。任意により、受諾メッセージにおいて、同一のモビリティセッション識別子(プロトコルの簡素化のため)ならびにAPNとして符号化されるGGSN識別情報が含まれるべきである。モバイルIPセッションが確立される。例えば、IP-in-IPトンネルが作成され、全トラフィックは、MSの気付アドレスにルート指定される。
【0039】
ISNおよびMSは、GTP(GPRSトンネリングプロトコル(GPRS Tunneling Protocol; GTP)パラメータおよびモバイルIPパラメータを含むモビリティセッションを有する。このモビリティセッションは、一意的モビリティセッションIDによって表される。2つのセッションはまだアクティブである。
【0040】
その後、SGSNは、タイマーに基づき、PDPコンテクストを解放してもよい(SGSNにデータトラフィックは存在しない)。従って、ステップA8において、PDPコンテクストは非アクティブ化される。ISNにおいて、GTPトンネルに関するパラメータは削除される。
【0041】
ISNおよびMSは、モバイルIPパラメータを含むモビリティセッションを有する。このモビリティセッションは、一意的モビリティセッションIDによって表される。また、MSは、APNとして符号化されるGGSN識別情報を含む。GTPセッションはアクティブではない。
【0042】
ステップA9において、MSがセルラー範囲に移動して戻ると想定する。MSは、アクティブモビリティセッションを有するため、そのデフォルトAPNを使用しないが、ステップA3またはA7で受信したもの(GGSN ID)を使用する。標準SGSNは、同一のISNに要求をルート指定する(このAPNに関連付けられるのは1つだけであるため)。MSは、モビリティセッションIDを付加する。これは、SGSNが透過的に転送するように、プロトコル構成オプションに付加することが好ましい。
【0043】
ステップA10において、ISNは、PDPコンテクスト受諾メッセージを返送する。このPDPコンテクスト受諾メッセージは、そのモバイルIPv4 HA IPアドレス(および任意で、RFC3846のような論理名HA NAI)、一時的共有秘密(本セッションに有効である、新しいものである可能性がある)、セキュリティパラメータインデックス(Security Parameter Index; SPI)、およびGGSN識別情報(APNとして符号化されることが好ましい)を含む。任意により、同一のモビリティセッション識別子を含むべきである(プロトコルの簡易化のため)。これらは、SGSNが透過的に転送するように、プロトコル構成オプションに付加することが好ましい。
【0044】
図2Aの信号伝達の流れを参照して、別の例について以下に説明する。本例において、インテリジェントサービスノード(Intelligent Service Node; ISN)(GGSN-モバイルIPv4ホームエージェントの組み合わせ)が想定され、また、MSは、最初にモバイルIP(モバイルIP)を介して接続すると想定される。
【0045】
信号伝達の流れは、以下の通りであり、具体的には、WLANにおける起動、ならびにGGSNおよびHAコロケーションが確保されるGPRSへの移動を示す。
【0046】
ステップB1において、MNは、事前に設定されたHAアドレスにモバイルIP登録要求を送信することによって、例えば、WLANを介して接続する。事前に設定された共有秘密およびSPIを使用して、認証フィールドを計算する。また、RRQは、動的ホームアドレス割り当てを要求するために、MN NAIも含む。また、要求は、0000に設定されるモビリティセッションIDも、ベンダによる拡張として含むことが好ましい。
【0047】
ステップB2において、ISNは要求を受信し、MNを認証し、また、新しいセッションであることを検出し(ステップB1において、セッションIDが000であるため)、ホームアドレスならびに一意的なセッション識別子を動的に割り当てる。ISNは、受諾メッセージにおいて、APNとして符号化されるGGSN識別情報を返送する。モバイルIPセッションは、確立される。例えば、IP-in-IPトンネルは作成され、全トラフィックは、MSの気付アドレスにルート指定される。
【0048】
ステップB3において、MNは、本モビリティセッション中に、受信したAPNで、そのGPRS構成を更新する。また、これは、対応する層構造が示される図2Bにおいても示される。モバイルIP、IP、およびWLANは、設定を強調するために太字で示される。
【0049】
端末およびゲートウェイの層構造は、同じである。
【0050】
さらに、端末は、単一装置(例えば、携帯電話機)であってもよく、あるいは多数の異なる装置を含んでもよい。
【0051】
例えば、共通モビリティ層は、ラップトップ型パソコンに存在してもよく、GPRS層は、データカードに存在してもよい。
【0052】
層構造に関し、共通モビリティ層は、上部に存在することに留意されたい。
【0053】
端末において、本共通モビリティ層は、以下を提供する。
・ アプリケーションに対する仮想インターフェース。
・ モバイルIPおよびGPRS間で共通の単一のホームアドレス。
・ アプリケーションに対して衝撃を与えずに、GPRSおよびモバイルIP間で変更する可能性。
・ セッション開始時または更新中に、共通モビリティ層は、他方のスタック(例えば、モバイルIP)を介して受信した情報(GPRS APN、共通セッションID)で、一方のスタック(例えば、GPRS)を構成する。
【0054】
図2Bと同一のゲートウェイの層構造について以下に説明する。
【0055】
一般的に、ゲートウェイは、多数のモビリティ技術を統合している。
【0056】
ゲートウェイにおける共通モビリティ層は、
・ 登録手続を制御する。
・ 登録手続中にMSに送信する情報(例えば、ホームアドレス…)を生成する。
・ 一意的セッションIDを生成する。
・ モビリティプロトコルを変更する際に、セッションを維持する。
・ いかなる外部対応ノードにも、GPRSとモバイルIPとの間の変更を隠す。
・ セッション開始時または更新中に、共通モビリティ層は、他方のスタック(例えば、モバイルIP)に関連する、端末に送信する情報(MIP HAアドレス(モバイルIPホームエージェントアドレス)、セキュリティパラメータ、HA名、共通セッションID)を、一方のスタック(例えば、GPRS)に提供する。
【0057】
ステップB4において、MNはWLANの接続性を失い、GPRSに移動するとする。
【0058】
したがって、ステップB5において、MNは、ステップB2で受信したモビリティセッションIDを含み、かつステップB2で受信したAPNを使用する、PDP作成要求(Create PDP request)を送信する。SGSNは、通常は、GGSNを選択する(例えば、ドメインネームサーバー(Domain Name Server; DNS)で)。ステップB1で選択したISNを、このAPNが一意的に提示するように、ネットワークは構成される。モビリティセッションIDは、SGSNが透過的に転送するように、プロトコル構成オプションに付加することが好ましい。
【0059】
ステップB6において、ISNは、PDPコンテクスト受諾メッセージを返送する。このPDPコンテクスト受諾メッセージは、そのモバイルIPv4 HA IPアドレス(および任意で、RFC3846のような論理名HA NAI)、一時的共有秘密、セキュリティパラメータインデックス(Security Parameter Index; SPI)を含む。任意により、同一のモビリティセッション識別子を含むべきである(プロトコル簡素化のため)。これらは、SGSNが透過的に転送するように、プロトコル構成オプションに付加することが好ましい。
【0060】
図面におけるステップB7およびB8は、MSがモバイルIP接続に移動して戻る場合に発生する内容を示す。
【0061】
具体的には、ステップB7において、MNは、モビリティセッションID(例えば、この場合は1111であってもよい)を含むモバイルIP RRQをISNに送信する。ステップB8において、ISNは、ISNを規定するベンダ拡張(つまり、APN=「GGSN/HA7」)、ホームエージェントのアドレス(HoA)、およびモビリティセッションIDを含むR Respを、MNに送信する。
【0062】
モバイルノードの実装について以下に説明する。MSを実装する好適な方法は、アプリケーションとGPRSスタック/モバイルIPスタックとの間に組み合わせ型モビリティ層を有することである。アプリケーションは、仮想インターフェースを使用して、この組み合わせ型モビリティ層と接続し、このインターフェースを介して、そのホームアドレスを受信する。組み合わせ型モビリティ層は、コンテクストに、モビリティセッションに関する情報を格納し、アクティブインターフェース(モバイルIPまたはGPRS)を追跡し、また、アクティブなモビリティセッションのために、モバイルIPおよびGPRSプロトコルを適切なパラメータで構成する。モビリティセッションが終了すると、組み合わせ型モビリティ層は、そのモビリティセッションに関するパラメータを削除してもよい。GPRSおよびモバイルIPスタックは、次回の接続が確立される際に、事前に設定されたパラメータを使用する。
【0063】
第1の実施形態によると、モビリティセッションIDは、接続セッション(モビリティセッションなど)を識別するためのパラメータとして使用される。つまり、1つのMNにおいて多数の同時セッションが可能になることが想定される。モビリティセッションIDは、的確なセッションを一意的に識別するための強固な方法である。プライベートアドレスは重複する可能性があるため、セッションの一意的な識別に、IPアドレスを使用することはできない。
【0064】
セッションを一意的に識別するために、MN識別を使用してもよいが、セッションの数がMN毎に1つに制限される。異なるモビリティプロトコルは、一般的に異なる種類の識別を使用するため、これは実用的ではない。これは、UMTSルータ(1つのUMTSモデムで接続される多数のコンピュータを有する)ような概念に対応しないだろう。
【0065】
上述のとおり、組み合わせ型モビリティに対応し、またそれを使用可能であるように本モビリティセッションID(単にセッションIDとも省略される)を使用することができる。これは、000000のみを含むセッションIDによって、ステップA1において示されることができる。
【0066】
セキュリティ考察: 提案された機構は、無線上で暗号化される一時的共有秘密をGPRS上で返送するため、合理的に安全である。より高度なセキュリティのために、この共有秘密は、暗号化形式で返送されてもよい。その他にも多数のセキュリティ強化の可能性があるが、本明細書においてこれは主要な課題ではない。
【0067】
下位互換性: 旧GGSNまたはHAは、新しいフィールドを単に無視する。MSは、それらと相互作用可能であり、また、別々のGPRSおよびモバイルIPセッションを有することが可能であるべきである。
【0068】
最初の接続がモバイルIPである場合、MSは、事前に設定された共有秘密およびモバイルIP HAを有する必要がある。しかしながら、代替として、MSは、常に、最初にGPRSに接続する。別の代替として、MSおよびネットワークは、前回のセッションからのパラメータを格納する。
【0069】
図3および4を参照して、第2の実施形態について以下に説明する。
【0070】
上述の第1の実施形態によると、GPRSの信号はモバイルIPパラメータを含み、また、モバイルIPの信号はGPRSパラメータを含む。つまり、例えば、モビリティセッションIDは、PDPコンテクスト受諾メッセージに含まれる(ステップA3)。
【0071】
しかしながら、第2の実施形態によると、GPRS信号伝達は、モバイルIPパラメータ(モビリティセッションIDを含む)を搬送するモバイルIPメッセージ(エージェント広告)を、GPRS信号伝達内で送信する代わりに、トリガーする。
【0072】
図3において、図1の信号伝達の流れに対応する修正が示される。ここで、ステップC1からC10について、ステップC3およびC10と、副ステップC3およびC10の追加以外は、ステップA1からA10と同一である。
【0073】
ステップC3およびC10において、PDPコンテクスト受諾メッセージのみが、その他のパラメータを含まずに送信される。代わりに、副ステップC3およびC10において、それらのパラメータを含むエージェント広告メッセージ(Agent Advertisement Message)が送信される。
【0074】
図4において、図2の信号伝達の流れに対応する修正が示される。ここで、ステップD1からD8について、ステップD6と、副ステップD6の追加以外は、ステップB1からB8と同一である。
【0075】
図3と同様、ステップD6において、PDPコンテクスト受諾メッセージのみが、その他のパラメータを含まずに送信される。代わりに、副ステップD6において、それらのパラメータを含むエージェント広告メッセージが送信される。
【0076】
識別するためのパラメータが存在する第3の実施形態について以下に説明する。
【0077】
本実施形態によると、ISNを識別するためにHA NAIを使用する。これについては、図5および6に示される。
【0078】
具体的には、1つのIPアドレスにHAの集合がある場合、HA NAIの使用は、有利になる。つまり、HA NAIは、HAのうちの1つを一意的に識別する。Flexi ISNの場合、HA NAIは、的確なサービスカードを一意的に識別することができる。プロトコルは、HA NAI=GGSN APNとなるように設計され、ISNの一意的な識別を提供することに留意されたい。
【0079】
本実施形態に従う好適な実装において、単一の論理名は、ISNに関連付けられる。この論理名は、HA NAI(RFC3846)として、またはGPRS APN(アクセスポイント名)として使用されてもよい。標準のモバイルIP信号伝達を使用可能であることが有益である(APNを返信するための新しいベンダ拡張はなく、HA NAIのみが送信される)。次に、クライアントは、返送された論理名を、GPRS信号伝達のためのAPNとして使用する。
【0080】
これについては、図5および6に示され、ここで、ステップE1からE10およびFlからF8は、ステップE7、E9、F2、F5、およびF8を除き、図1および2のステップA1からA10およびB1からB8のそれぞれと同一である。
【0081】
図5のステップE7において、HA NAIは、R Respメッセージにおいて、GGSN識別情報の代わりに送信される。これは、ステップE9のPDPコンテクスト要求に使用される。
【0082】
図6のステップF2、F5、およびF8において、R Respは、図2のステップB2、B5、およびB8のようなベンダ拡張の代わりに、HA NAIを含む。
【0083】
従って、上述の実施形態によって、接続セッションは、常時、確実に識別可能になる。本実装によって、GPRS上でオーバーヘッドがもたらされることなく、構成は簡易化され、トラフィックは、2つのゲートウェイの代わりに、1つのゲートウェイを通過する。さらに、3GPPの操作者は、加入者の制御を保持するための方法を有する。
【0084】
図7Aは、本実施形態に従うゲートウェイの基本構成を示す。具体的には、ゲートウェイ1は、複数の接続セッションタイプをサポートするように構成されるサポートユニット11と、接続セッションを端末に提供するように構成される提供ユニット12と、端末への接続セッションに、パラメータを関連付けるように構成される関連付け部13と、を備えてもよい。
【0085】
図7Bは、本実施形態に従う端末の基本構成を示す。端末2は、複数の接続セッションタイプをサポートするように構成されるサポートユニット21と、接続セッションをゲートウェイに提供するように構成される提供ユニット22と、ゲートウェイに関連付けられるパラメータを受信するように構成される受信機23と、を備えてもよい。
【0086】
本発明は、上述の実施形態に限定されず、種々の修正が可能である。
【0087】
例えば、本発明は、上述のモビリティプロトコルに限定されず、その他のモビリティプロトコルにも適用可能である。本明細書に記載の原理に従い、組み合わせ型モビリティセッションは、2つを上回る基盤プロトコルを介して接続性に対応してもよい。
【0088】
具体的な該当例として、3GPPロングタームエボルーション(Long Term Evolution; LTE)モビリティ、GPRS、およびMobikeの組み合わせが挙げられる。この場合、IPsec接続が、Mobikeによって確立される際に、Mobikeへの拡張により、ISNの識別子(あるいは、LTEとGPRS毎に1つの2つの識別子が存在してもよい)と、一意的モビリティセッション識別子がMNに提供される。MSが3GPP LTEネットワーク下で移動する際、MSは、同一のゲートウェイに接続されるISNの識別子を送信し、このゲートウェイは、モビリティセッション識別子によってセッションを一意的に識別する。同一のIPアドレスをMSに割り当てるため、外部対応ノードは、いかなる変更も検出しない。
【0089】
同様に、本発明は、モバイルIPv6にも適用可能である。1つの違いとして、セキュリティパラメータが、モバイルIPv6において若干異なることが挙げられる。モバイルIPv6における別の違いとして、ホームIPv6アドレスが一意的であり、場合によっては、セッションIDパラメータを省くことができる。
【0090】
さらに、本発明は、モバイル接続セッションのみに限定されない。つまり、固定ネットワークアクセスポイントも含まれてもよい。例えば、ラップトップ型コンピュータは、WLANを介してアクセスを有するが、ネットワークケーブルを介して接続可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モビリティプロトコルを利用する複数の接続セッションタイプをサポートするように構成されるサポートユニットと、
端末との間で接続セッションを確立するように構成される確立ユニットと、
前記端末に対する前記接続セッションに、少なくとも1つのパラメータを関連付けるように構成される関連付けユニットと、
を備え、モバイルIPに関する少なくとも1つのパラメータを、モバイルIPとは別のモビリティプロトコルを介して前記端末に送信しうるように構成される装置。
【請求項2】
前記関連付けられたパラメータに基づいて、前記接続セッションを識別するように構成される識別ユニットをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記関連付けられたパラメータを、トランスポートプロトコルメッセージに含めるように構成される仕込みユニットをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記トランスポートプロトコルは、パケットデータプロトコル(Packet Data Protocol; PDP)であり、前記トランスポートプロトコルメッセージは、パケットデータプロトコルに関する受諾メッセージである、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記関連付けられたパラメータを、特定のメッセージに含めるための手段をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記特定のメッセージは、エージェント広告メッセージを含む、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
ホームアドレスネットワークアクセス識別子によって、前記装置を指示するための指示ユニットをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記複数の接続セッションタイプは、モバイルIPセッションおよび/または汎用パケット無線サービスセッションを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
モビリティプロトコルを利用する複数の接続セッションタイプをサポートするように構成されるサポートユニットと、
ゲートウェイとの間で接続セッションを確立するように構成される確立ユニットと、
前記ゲートウェイに関連付けられる少なくとも1つのパラメータを受信するように構成される受信機と、
を備え、モバイルIPに関する少なくとも1つのパラメータを、モバイルIPとは別のモビリティプロトコルを介して前記ゲートウェイから受信しうるように構成される、装置。
【請求項10】
前記接続セッションの前記接続セッションタイプを変更するように構成される変更ユニットと、
前記パラメータを使用して、前記ゲートウェイに前記変更を指示するように構成される指示ユニットと、
をさらに備える、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記受信機は、トランスポートプロトコルメッセージ内において前記パラメータを受信するように構成され、
前記トランスポートプロトコルは、パケットデータプロトコルであり、前記トランスポートプロトコルメッセージは、パケットデータプロトコルに関する受諾メッセージである、請求項9に記載の装置。
【請求項12】
前記受信機は、特定のメッセージ内において、前記パラメータを受信するように適合される、請求項9に記載の装置。
【請求項13】
前記特定のメッセージは、エージェント広告メッセージを含む、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
ネットワークにおけるゲートウェイを制御するための方法であって、前記ゲートウェイは、モビリティプロトコルを利用する複数の接続セッションタイプに対応可能であり、
端末との間で接続セッションを確立することと、
前記端末に対する前記接続セッションに、少なくとも1つのパラメータを関連付けることと、
モバイルIPに関する少なくとも1つのパラメータを、モバイルIPとは別のモビリティプロトコルを介して前記端末に送信することと、
を含む、方法。
【請求項15】
前記パラメータを特定のメッセージに含めることをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記特定のメッセージは、エージェント広告メッセージをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記パラメータは、前記端末との前記接続セッションを識別するセッション識別子を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記ゲートウェイは、ホームアドレスネットワークアクセス識別子によって指示される、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
端末を制御するための方法であって、前記端末は、モビリティプロトコルを利用する複数の接続セッションタイプに対応可能であり、
ゲートウェイとの間で接続セッションを確立することと、
前記ゲートウェイに関連付けられる少なくとも1つのパラメータを受信することと、
モバイルIPに関する少なくとも1つのパラメータを、モバイルIPとは別のモビリティプロトコルを介して前記ゲートウェイから受信することと、
を含む、方法。
【請求項20】
前記接続セッションの前記接続セッションタイプを変更することと、
前記パラメータを使用して、前記ゲートウェイに前記変更を指示すること、
をさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記パラメータは、トランスポートプロトコルメッセージ内において受信される、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記トランスポートプロトコルは、パケットデータプロトコルであり、前記トランスポートプロトコルメッセージは、パケットデータプロトコルに関する受諾メッセージである、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記パラメータは、特定のメッセージ内において受信される、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
前記特定のメッセージは、エージェント広告メッセージを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記パラメータは、前記ゲートウェイとの前記接続セッションを識別するセッション識別子を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項26】
プロセッサに実行されることにより、ネットワークにおけるゲートウェイに、
端末との間で、モビリティプロトコルを利用する接続セッションを確立することと;
前記端末に対する前記接続セッションに少なくとも1つのパラメータを関連付けることと;
モバイルIPに関する少なくとも1つのパラメータを、モバイルIPとは別のモビリティプロトコルを介して提供することと;
を実行させるように前記ゲートウェイを制御するように構成されるコンピュータプログラムを格納する、コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項27】
プロセッサに実行されることにより、ネットワークにおける端末に、
ゲートウェイとの間で、モビリティプロトコルを利用する接続セッションを確立することと;
前記ゲートウェイに関連付けられる少なくとも1つのパラメータを受信することと;
モバイルIPに関する少なくとも1つのパラメータを、モバイルIPとは別のモビリティプロトコルを介して前記ゲートウェイから受信することと;
を実行させるように前記端末を制御するように構成されるコンピュータプログラムを格納する、コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項28】
前記少なくとも2つのモビリティプロトコルは、汎用パケット無線サービス(GPRS)とモバイルIP(MIP)である、請求項1に記載の装置。
【請求項29】
パケットデータプロトコルコンテキストを作成する処理の中で、前記端末に、モバイルIP(MIP)に関するパラメータを送信する、請求項1または28に記載の装置。
【請求項30】
前記モバイルIPに関するパラメータは、ホームエージェントIPアドレス,ホームエージェント論理名,セキュリティパラメータの少なくともいずれかを含む、請求項29に記載の装置。
【請求項31】
モバイルIPによる登録処理において、登録受諾メッセージの中で、汎用パケット無線サービス(GPRS)に関するパラメータが送信される、請求項1に記載の装置。
【請求項32】
前記汎用パケット無線サービス(GPRS)に関するパラメータは、汎用パケット無線サービスにおいて使用される汎用パケット無線サービスアクセスポイント名を含む、請求項31に記載の装置。
【請求項33】
パケットデータプロトコルコンテキストを作成する処理の中で、前記ゲートウェイから、モバイルIP(MIP)に関するパラメータを受信する、請求項9または28に記載の装置。
【請求項34】
前記モバイルIPに関するパラメータは、ホームエージェントIPアドレス,ホームエージェント論理名,セキュリティパラメータの少なくともいずれかを含む、請求項33に記載の装置。
【請求項35】
モバイルIPによる登録処理において、登録受諾メッセージの中で、汎用パケット無線サービス(GPRS)に関するパラメータが受信される、請求項9に記載の装置。
【請求項36】
前記汎用パケット無線サービス(GPRS)に関するパラメータは、汎用パケット無線サービスにおいて使用される汎用パケット無線サービスアクセスポイント名を含む、請求項35に記載の装置。
【請求項37】
パケットデータプロトコルコンテキストを作成する処理の中で、前記端末に、モバイルIP(MIP)に関するパラメータを送信することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項38】
前記モバイルIPに関するパラメータは、ホームエージェントIPアドレス,ホームエージェント論理名,セキュリティパラメータの少なくともいずれかを含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
モバイルIPによる登録処理において、登録受諾メッセージの中で、汎用パケット無線サービス(GPRS)に関するパラメータが送信され、
前記汎用パケット無線サービス(GPRS)に関するパラメータは、汎用パケット無線サービスにおいて使用される汎用パケット無線サービスアクセスポイント名を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項40】
前記汎用パケット無線サービスアクセスポイント名は、ホームアドレスネットワークアクセス識別子である、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
パケットデータプロトコルコンテキストを作成する処理の中で、前記ゲートウェイから、モバイルIP(MIP)に関するパラメータを受信することを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項42】
モバイルIPによる登録処理において、登録受諾メッセージの中で、汎用パケット無線サービス(GPRS)に関するパラメータが受信される、請求項19に記載の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−65370(P2012−65370A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−32(P2012−32)
【出願日】平成24年1月4日(2012.1.4)
【分割の表示】特願2008−549965(P2008−549965)の分割
【原出願日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【出願人】(398012616)ノキア コーポレイション (1,359)
【Fターム(参考)】