説明

IR反射作用を有する半透明のUV透過性パネル

本発明は、IR−反射型顔料を含有する、UV−吸収剤不含のタンニング補助材に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、UV吸収剤不含のタンニング補助材(Braeununghilfe)に関し、この場合、これは、IR−反射型顔料を含有する。
【0002】
皮膚を褐色にするために、通常はサンプロテクトクリーム等を、タンニング補助材を使用することによって、UV照射による障害から皮膚を保護する。この補助材の欠点は、このようなクリームが敏感な個人においてはアレルギーを引き起こすことにある。さらに、これら物質の多くが耐水性ではないことによる。これは、泳ぐ際において剥がれ、その後、新たに塗布されない。この不注意によって、皮膚は容易にダメージを受ける結果となる。
【0003】
さらに、取り付けられたUV線を用いて皮膚をタンニングするための装置が知られている。これに関連して、さらに、PMMAからなるサンルーム日光浴用ベッド型装置が知られており、この場合、この装置は、多量のUV安定化剤またはUV吸収剤を含み、これによりプラスチックをUV照射による分解から保護する。しかしながら、この装置は、太陽光によるタンニングを可能にするものではない。この装置の欠点は、UV線の高いエネルギー消費量である。さらに、この装置の屋外での操作は意図されておらず、したがって、タンニングは退屈に感じられる。
【0004】
JP 05078544では、熱線反射型メタクリレートシートが記載されており、この場合、これは、被覆された雲母を含有する。雲母は、二酸化チタンで被覆される。このようにして取り付けられたシートは、たとえば、温室中の温度を調整するために使用される。
【0005】
EP-A 0 548 822では、サンプロテクト作用およぶ断熱作用を有する、光透過性の、IR−反射型成形体が記載されており、この場合、これは、たとえばシート、合わせ板または天窓であり、その際、透過率Tは、視認可能な範囲で45〜75%(デイライトに対する光透過率(標準光源D65)τD65)、全エネルギー透過率g30〜60%およびT/gまたはτD65/g比>1.15(DIN 67 507による)であり、この場合、これらは、光透過性プラスチックから成る硬質の非晶質ベース材料と、光透過性被覆材料、その際、板状の担持顔料上の60〜120nmの層厚の二酸化チタンから構成された、20〜40質量%のIR−反射型粒子の含量を有するものから、同時押出によってか、あるいは、たとえばラッカーの被覆によってか、あるいは、リーバース−ロール−コーティングによって製造することができる。その際、IR−反射型粒子は、表面に対して平行に配向され、かつ、5〜40μmの厚さで、ベース材料に接着する被覆層中に存在し、半透明の水不溶性の結合剤を含有する。例において、ルチル型のTiO顔料を使用する。同時押出のために、IR−反射型の層のための結合剤は、ベース材料よりも低い溶融粘度を有するものが選択される。顔料の分解を回避するために、緊密にかみ合う反転スクリューを備えた二軸スクリュー押出機を使用し、かつ顔料を直接的に溶融物中に添加する。
【0006】
商習慣上、たとえば、多重のウェブを有する合わせ板は、EP-A 0 548 822による、同時押出成形されたIR−反射剤を有するポリメチルメタクリレートから構成される。同様に、相当するIR−反射剤を有するポリカーボネートからの、多重のウェブを有する合わせ板が公知であり、その際、耐候性を改善する目的のために、同時押出成形された顔料層上に、さらにUV吸収剤を含有する同時押出成形された他の層が存在する。
【0007】
DE 196 18 569 A1には、透明な担持材料から成る多層の干渉顔料が記載されており、この場合、これは、低いかまたは高い屈折数を有する酸化金属から成る二者択一的な層を用いて被覆されており、その際、屈折数の差は少なくとも0.1である。これらの方法において、たとえば、雲母プレートを、TiO/SiO/TiOから成る二者択一的な層と一緒に備えることができる。顔料、たとえばDE 196 18 569 A1に記載したもの、は、農業用フィルムの着色のために適しており、この場合、これは、太陽の赤外線から保護し、かつたとえば温室における過剰な加熱を回避する。
【0008】
DE 25 44 245には、表面に対して平行に配向された、低反射型粒子の含量を有する、ポリメチルメタクリレートから成る層の使用が記載されている。ここで使用された顔料粒子は、1より大きい選択的な指標により特徴付けられてもよい、赤外線領域中での選択的反射を生じる。IR−反射型顔料は、TiO、鉛カーボネートおよび塩化オキシビスマスを含む。アナターゼ型のTiO顔料の使用は、この場合、雲母プレート上で約120μmの層の形で塗布される場合には、特に有利である。
【0009】
この粒子は、0.01〜1質量%の濃度で、部分的に重合されたメチルメタクリレート中に分散される。引き続いてこの懸濁液を、ガラスプレート間のセル中で、ポリメチルメタクリレートに完全に重合する。これに関して、セルが水平に存在する場合には、存在する顔料−雲母粒子は、沈降により、シート表面に対して平行に増加して配向することができ、その結果、好ましいIR反射効果を、完全に重合した層中で生じる。IR−反射粒子の平行な配向は、さらにセルのガラスプレートを付加的に、互いに数回回転させることにより、改善させることができ、その間、重合材料は依然としてゲル状態で存在する。
【0010】
DE 25 44245は、さらに成形材料中に添加される可能なIR反射型顔料を挙げている。この顔料は、その後に、カレンダー成形、押出成形または射出成形による加工中に、本質的に表面に対して平行に配向されるものでなければならない。
【0011】
しかしながら、これらの方法においてEP-A 0 548 822に相当する作用を達成することはできない。たとえば、均一に分散されたIR−反射顔料を有する、押出成形された成形体から成るプラスチック成形体中での粒子の整列は、同時押出成形されたか、あるいは、ラッカー塗りによる別個の層の場合には、あまり良好ではない。一般に生じる他の問題は相当する粒子が、割れに対して高い可能性を有することにある。割れの比較的高い割合と組合せての表面に対する少ない良好な平行配向は、一般に不十分な結果を生じる。
【0012】
これは、特に、比較的複雑な形状を有するプラスチック成形体のために適しており、この場合、これは、単純なシート形状から導かれ、かつ、その製造の際に、押出成形中で、種々の溶融流の方向および剪断応力を生じ、この場合、この剪断応力は、顔料粒子を種々の配向にし、かつこれによって、総じて、高い機械的荷重にさらされる。
【0013】
JP-OS 08-53555およびJP-OS 08-52335には、IR−反射型顔料を含有する耐衝撃性アクリル−プラスチック材料の押出成形および同時押出成形が記載されている。双方の成分を、乾燥条件下で混合することから、この場合、多量の顔料−割れが不可避である。この結果、使用された顔料と比較して、IR−反射効率が最適化できないことを招き、それというのも、顔料−割れ片が、透過率を減少させるが、IR−波を、不十分にのみ反射するか、あるいは、全く反射しないためである。
【0014】
DE 10122315には、光透過性のIR−反射型プラスチック成形体が記載されており、この場合、これは、IR−反射型顔料を含有する、全部または少なくとも部分的に耐衝撃性熱可塑性プラスチックから成る。この耐衝撃性プラスチックは、耐候性でないという欠点を有する。したがって、屋外での適用のためには、UV吸収剤を使用する必要がある。
【0015】
前記技術水準に鑑み、本発明の課題は、皮膚の自然なタンニングを、皮膚にサンプロテクトクリームを塗布することなく、太陽光により達成することができる、タンニング補助材を提供することである。
【0016】
本発明の課題は、不透明なタンニング補助材により達成することが可能であり、この場合、このタンニング補助材は、耐候性のIR−反射型パール顔料を含有する、UV吸収剤不含のポリメチルメタクリレート−成形体を包含することを特徴とする。
【0017】
本発明の範囲内において、用語「タンニング補助材」は、太陽光と、タンニングすべき皮膚表面との間に配置することができる、少なくとも1種のポリメチルメタクリレート−成形体を包含する装置(Vorrichtung)を意味する。
【0018】
したがって、これに関して特に、透明なルーフ材料、好ましくは建造物、あるいは、スクリーンであり、たとえば永続的に取り付けられるものである。他の適したタンニング補助材は、たとえば船舶、特に水上自転車、電動ボート等の上に取り付けられてもよいルーフに使用することができる。これらは、さらにサンルーム建造および温室建造における適用が可能である。
【0019】
しかしながらさらに、ポリメチルメタクリレート−成形体の厚さにしたがって固定された寸法を有するか、あるいは、さらに一緒に折りたたむことができる、運搬可能なスクリーンであってもよい。
【0020】
驚くべきことに、耐候性IR−反射型パール顔料を添加することによって、UV−吸収剤およびIR−吸収剤の添加を放棄することができることが見出された。これによって、たとえば、材料および材料の背後に位置する空間の加熱を減少させることができ、それというのも、IR線を反射し、かつ吸収しないためである。
【0021】
好ましくは、耐候性IR−反射型パール顔料を使用する。特に好ましくは、IRIODINE(R)の群から選択され、特にIRIODIN(R)870およびIRIODIN(R)875である。
【0022】
本発明による不透明なタンニング補助材は、耐候性である。これにより、UV−吸収剤の添加を放棄することができる。したがって、UV−光を透過することが可能である。同時に、この顔料を添加することによって、IR光を反射させる。さらにこの組合せは、皮膚のタンニングを、好ましい温度で、UV照射によって実施することができ、それというのも、IR線の反射は、タンニング補助材の背後に位置する空間を、強力な加熱から保護するためである。
【0023】
本発明によるタンニング補助材は、ポリメチルメタクリレート成形体を包含する。ポリメチルメタクリレート(PMMA)は、当業者に公知である。好ましくは、ポリメチルメタクリレート−成形体は、ポリメチルメタクリレート−成形体の全量に対して、少なくとも30質量%のポリメチルメタクリレートを包含する。
【0024】
ポリメチルメタクリレートは、一般に、メチルメタクリレートを含有する混合物のラジカル重合により得られる。さらに、ポリメチルメタクリレートを製造するためのこの混合物は、他の(メタ)アクリレートを含有していてもよく、この場合、これらは、メチルメタクリレートと一緒に共重合可能である。用語(メタ)アクリレートは、メタクリレートおよびアクリレートならびにこれらの混合物を包含する。
【0025】
さらにポリメチルメタクリレート−成形体は、性質を改質化する目的で、他のポリマー、好ましくはPMMA−相溶性のポリマーを含有していてもよい。これに関して、特にポリアクリルニトリル、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレートグリコール、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニルが挙げられる。ポリマーは、単独または混合物として使用することができ、その際、コポリマーは、前記ポリマーから導くことができる。
【0026】
ポリメチルメタクリレート−成形体は、熱可塑性の成形プロセス、たとえば射出成形または押出成形によって、さらに加工することができる。さらに、セルキャスティング法は、相当するポリマー混合物を製造するために使用することができる。
【0027】
加工は、成形体の押出成形によって実施することができ、その際、最初に、IR−反射型粒子と低粘度の熱可塑性プラスチックとの予備混合物を製造する。これは、0.25〜25質量%のIR−反射型顔料と、低粘度の熱可塑性プラスチック、好ましくはポリメチルメタクリレートを、少なくとも280℃、好ましくは290〜320℃の温度で、加圧されない二軸スクリュー押出機、好ましくは、共回転二軸スクリュー押出機中の非剪断帯域で混合し、押出し、かつ顆粒形状に変換する。引き続いて、顆粒を直接的に、または溶融物として、ポリメチルメタクリレートの顆粒、場合によっては添加剤および/またはPMMA−相溶性プラスチック材料と一緒に、押出機中で混合し、この場合、プラスチック−混合物を押出成形するか、あるいは、他の熱可塑性プラスチック材料の溶融物と一緒に、好ましい形状に同時押出成形することができる。押出物の冷却後に、好ましいプラスチック成形体が得られ、この場合、これは場合によっては、適した成形プロセスを用いて、さらに加工することができる。
【0028】
IR−反射型粒子を、低粘度の熱可塑性プラスチック材料の溶融物と一緒に、少なくとも280℃の温度で、加圧されない二軸スクリュー押出機の非剪断帯域中で混合する場合には、顆粒形状の顔料は、その後に割れに対して改善された保護を示すことが見出された。
【0029】
IR−反射型顔料の割れの割合は、予備混合前に造粒し、その際、顆粒が、少なくとも50℃、好ましくは60〜90℃の温度または表面温度で、押出物を細断することにより得られる場合において、さらに減少させることができる。この温度範囲で、顆粒がいくらかの柔軟性を維持することが明らかであり、この場合、これは、細断プロセスにおける顔料の割れを極めて低いレベルに維持する。
【0030】
ポリメチルメタクリレート−成形体は、さらに公知の添加剤を含有していてもよく、しかしながら、その量は、本発明によるタンニング補助材の適用目的において制限される。これらに関しては、特に、帯電防止剤、酸化防止剤、離型剤、防炎加工剤、潤滑剤、染料、流動改善剤、充填剤、光安定剤及び有機リン化合物、例えばホスフィット又はホスホナート、顔料、風化保護剤及び可塑剤が属する。
【0031】
好ましい添加剤のために、前記染料は、メチルメタクリレート中に、0.01質量%の濃度で、350nmで、少なくとも30%の透過率を示す程度に溶解されている。このような染料は知られていり、たとえば、商品名(R)Makrolex blau RR、(R)Makrolex violett B、(R)Makrolex violett 3R、(R)Makrolex gruen 5B、(R)Makrolex gruen G(Bayer)、(R)Sandoplast bau 2B、(R)Sandoplast rot BBならびに(R)Sandoplast gruen G(Clariant)、(R)Mikrolitviol B-K(Ciba)として入手可能である。
【0032】
以下に与えられた例は、本発明のより十分な説明のために与えられるが、しかしながら本発明をこれに開示された特徴に限定するためには適したものではない。
【0033】
実施例
例1
低粘度のポリメチルメタクリレート溶融物およびIR反射型顔料からの、顆粒形状の予備混合物の製造
予備混合物は、300℃で、91質量%のメチルメタクリレートおよび9質量%のメチルアクリレートからなるポリマーの溶融物中に、25質量%の顔料Iriodin(R) 870 (製造元 Merck KGaA, Darmstadt, Deutschland)を添加することにより製造された。これに関して、このポリマーは、共回転二軸スクリュー押出機(D=34、Leistritz社モデル)中で溶融され、かつ運搬された。顔料の供給は、側面供給口を介して、加圧されない非剪断押出帯域中で、体積測定的に操作されるらせん状供給系を介して実施された。2.5〜3.5mmの長さおよび2〜3mmの直径を有する顆粒への造粒は、80℃の温度で実施された(表面温度)。
【0034】
例2
不透明なタンニング補助材の製造
加工は、最初に例1で得られた予備混合物を製造することにより、成形体の押出成形によって実施する。得られた造粒は、直接的に、ポリメチルメタクリレートの顆粒と一緒に、押出機中で直接的に混合した。得られたプラスチック-混合物は押出成形するか、あるいは、他の熱可塑性プラスチックの溶融物と一緒にして、望ましい形状に同時押出成形した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
耐候性のIR−反射型パール顔料を含む、UV−吸収剤不含のポリメチルメタクリレート−成形体を包含する、半透明のタンニング補助材。
【請求項2】
ポリメチルメタクリレート−成形体が、少なくとも30%のポリメチルメタクリレートおよび場合によってはPMMA−相溶性プラスチックを含有する、請求項1に記載の半透明のタンニング補助材。
【請求項3】
耐候性のIR−反射型パール顔料を、IRIODINE(R)の群から選択する、請求項1または2に記載の半透明のタンニング補助材。
【請求項4】
IRIODIN(R)870またはIRIODIN(R)875を使用する、請求項1から3までのいずれか1項に記載の半透明のタンニング補助材。
【請求項5】
染料、IR−吸収剤、防炎加工剤および/または帯電防止剤を含有する、請求項1から4までのいずれか1項に記載の半透明のタンニング補助材。
【請求項6】
0.25〜25質量%のIR−反射型パール顔料および75〜99.75質量%のPMMAから成る予備混合物を製造し、引き続いて、少なくとも30%のポリメチルメタクリレートと一緒に押出成形し、かつ場合によっては成形プロセスを用いてさらに加工する、請求項1に記載の半透明のタンニング補助材を製造する方法。
【請求項7】
PMMAおよび染料、IR−吸収剤、防炎加工剤および/または帯電防止剤を含む予備混合物を押出成形する、請求項7に記載の半透明のタンニング補助材を製造する方法。
【請求項8】
屋根葺きのための、請求項1に記載の半透明のタンニング補助材
【請求項9】
建設分野、サンルーム建造、温室建造、ルーフ部材またはファサード部材として、造船における、請求項9に記載の半透明のタンニング補助材。

【公表番号】特表2008−528770(P2008−528770A)
【公表日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−553470(P2007−553470)
【出願日】平成17年11月3日(2005.11.3)
【国際出願番号】PCT/EP2005/011757
【国際公開番号】WO2006/081848
【国際公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【出願人】(390009128)エボニック レーム ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (293)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Roehm GmbH
【住所又は居所原語表記】Kirschenallee,D−64293 Darmstadt,Germany
【Fターム(参考)】