説明

ITOヒーター及びITOヒーター付液晶表示装置

【課題】ITOヒーター搭載の液晶表示装置に置いて、ITOヒーターの温度を制御するための温度センサーをITOヒーター上に固定する際に、機械的に強く、又耐環境性に強い接続方法を得る
【解決手段】ITOヒーター搭載の液晶表示装置に置いて、ITOヒーターの温度を制御するための温度センサーをITOヒーター上に固定する際に導電性接着剤を使用して温度センサーを固定させる

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ITOヒーター及びITOヒーター付液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、液晶表示装置はさまざまな環境下で使用されている。温度環境としては低温域(例えば−30度)から高温域(例えば60度)の幅広い環境下で使用され、その温度範囲内で正常に動作することが要求されている。
【0003】
液晶表示装置における、液晶の応答速度は使用温度環境に大きく影響を受け、特に低温環境では液晶の応答速度が遅くなる。このため一般的には低温環境下で使用する場合、液晶表示装置を暖める為のITOヒーターなどが使用されている。又ITOヒーターの温度をコントロールする為の温度センサーを液晶表示装置周辺に設置し、常に一定の温度を保てる様に制御をしている。
【0004】
図3は従来技術によるITOヒーターを搭載した液晶表示装置の概要図であり、Aは正面図、Bは側面図、Cは上面図である。液晶パネル1は下基板2と上基板3とで構成され、下基板2と上基板3を貼り合せる面にはそれぞれ液晶を配向させるための配向膜(不図示)が成膜されている。下基板2と上基板3は周辺シール材(不図示)にて所定の位置と隙間で固定され、さらに、その間に液晶(不図示)が配置されている。更にITOヒーター電極膜4と硝子5で構成されたITOヒーター6に温度センサー7を温度センサー搭載用電極膜パターン13上に半田12にて半田付け付けにて固定している。その後温度センサー7を搭載したITOヒーター6を液晶パネル1の上基板3側に接着剤8を介して接続している。更にITOヒーター6を搭載した液晶パネル1を回路基板9へ実装し、液晶パネル1は回路基板9とワイヤー10にて電気的に接続をとり、ITOヒーター6も回路基板9と導電性接着剤11で電気的に接続をとり、更に温度センサー7と回路基板9とも導電性接着剤11を使用して電気的に接続をとり、ITOヒーター付液晶表示装置は完成となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−11689号公報
【発明の概要】
【0006】
本発明はITOヒーターを搭載した液晶表示装置に関して、ITOヒーターの温度制御をする際に使用する温度センサーをITOヒーター上のITO電極膜上に電気的に接続をとりさらに固定する方法として、導電性接着剤にて温度センサーを固定する。導電性接着剤はエポキシ系の熱硬化型接着剤の為、熱を掛け硬化させた際にエポキシ内の分子がITO電極の分子と結合し接着強度が生まれる為、ITO電極膜のような表面が非常にフラットな面でも、機械的に強い温度センサーの固定が出来る。当然導電性接着剤の為、温度センサーとITO電極膜間での電気的結合もとれる。
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし液晶パネルを搭載し、液晶パネルを構成する基板の表面にITOヒーターを接着固定する液晶表示装置において、前記ITOヒーターへ温度センサーを固定する際に現状半田付けにて接続を行っているが、ITOヒーターの電極膜は非常に薄く更に平坦の為、半田付けに必要なアンカー効果が得られず、結果温度センサーが半田付けしにくく、仮に半田付け出来ても機械的接続強度が弱く、衝撃や耐環境性に弱い固定方法となってしまう。また半田付けにて温度センサーを固定した場合、半田からのフラックスや半田ボールなどが付着し、半田付け後、洗浄を実施する必要があり作業工程が増える点や、洗浄に必要な設備が必要となり、コスト的に不利な状況になってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
基板の表面に形成したITO膜表面に温度センサーを搭載するITOヒーターにおいて、ITO膜と温度センサーの電気的接続と機械的接続に熱硬化型導電性接着剤を用いたITOヒーターとする。
【0009】
回路基板に液晶パネルを搭載し、該液晶パネルを構成する基板の表面に前記ITOヒーターを接着固定した液晶表示装置とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によればITOヒーターの電極膜上へ温度センサーを搭載する際に熱硬化型導電性接着剤を用いて温度センサーを固定するので、機械的接続強度が強く又衝撃や耐環境性に強いITOヒーターがえられる。また、半田やフラックスを使用しないので、固定後の洗浄が必要なくなる。
【0011】
前記特性を有するITOヒーターを液晶表示装置に用いたので、低温環境で使用できると共に衝撃や耐環境性に強いITOヒーター付液晶表示装置が得られた。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明により温度センサーを導電性接着剤にてITOヒーターへ搭載したITOヒーターの概要図 (A:正面図 B:側面図 C:上面図)
【図2】本発明により導電性接着剤を使用して温度センサーを固定したITOヒーターを搭載した液晶表示装置の概要図 (A:正面図 B:側面図 C:上面図)
【図3】従来技術によるITOヒーターを搭載した液晶表示装置の概要図(A:正面図 B:側面図 C:上面図)
【発明を実施するための形態】
【0013】
回路基板に液晶パネルを搭載し、該液晶パネルを構成する基板の表面に温度センサーを搭載したITOヒーターを接着固定する液晶表示装置において、前記液晶パネルのITOヒーターへ温度センサーを固定する際に、熱硬化型導電性接着剤を使用した液晶表示装置とする。液晶パネルへのITOヒーター搭載を、液晶パネルを回路基板に搭載する前後のどちらでするかは適宜決めればよい。
【実施例1】
【0014】
図1は、本発明により温度センサーを導電性接着剤にてITOヒーターへ接続した際の概要図であり、Aは正面図、Bは側面図、Cは上面図である。硝子5上にITOヒーター電極膜4が成膜されたITOヒーター6上に温度センサー7を搭載する温度センサー搭載用ITO電極膜パターン13上に温度センサー7を導電性接着剤11にて固定する。導電性接着剤11はエポキシ系の熱硬化型接着剤でり、熱を掛ける事により導電性接着剤11内のエポキシ樹脂の分子と温度センサー搭載用ITO電極膜パターン13の分子が結合し合い非常に強い力で接続される。又導電性の接着剤の為温度センサー搭載用ITO電極膜パターン13と電気的にも導通がとれる。
【0015】
図2は、本発明により熱硬化型導電性接着剤を使用し温度センサーを固定したITOヒーターを搭載した液晶表示装置の概要図であり、Aは正面図、Bは側面図、Cは上面図である。図1と同じ符号の一部は説明を省略する。液晶パネル1は下基板2と上基板3とで構成され、下基板2と上基板3を貼り合せる面にはそれぞれ液晶を配向させるための配向膜(不図示)が成膜されている。下基板2と上基板3は周辺シール材(不図示)にて所定の位置と隙間で固定され、さらに、その間に液晶(不図示)が配置されている。この状態から温度センサー7を搭載したITOヒーター6を液晶パネル1の上基板3側に接着剤8を介して接続している。更にITOヒーター6を搭載した液晶パネル1を回路基板9へ実装し、液晶パネル1は回路基板9とワイヤー10にて電気的に接続をとり、ITOヒーター6も回路基板9と導電性接着剤11で電気的に接続をとる。液晶表示装置は完成となる。
【符号の説明】
【0016】
1 液晶パネル
2 下基板
3 上基板
4 ITOヒーター電極膜
5 硝子
6 ITOヒーター
7 温度センサー
8 接着剤
9 回路基板
10 ワイヤー
11 導電性接着剤
12 半田
13 温度センサー搭載用ITO電極膜パターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の表面に形成したITO膜表面に温度センサーを搭載するITOヒーターにおいて、ITO膜と温度センサーの電気的接続と機械的接続に熱硬化性導電性接着剤を用いたことを特徴とするITOヒーター。
【請求項2】
液晶パネルを構成する基板の表面に前記ITOヒーターを接着固定したことを特徴とする液晶表示装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2010−175867(P2010−175867A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−18873(P2009−18873)
【出願日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【出願人】(000166948)シチズンファインテックミヨタ株式会社 (438)
【出願人】(000001960)シチズンホールディングス株式会社 (1,939)
【Fターム(参考)】