説明

IgE媒介性疾患の処置方法

本明細書において記述される方法および組成物は、IgEに結合してこれを隔離する可溶性CD23(sCD23)のポリペプチドの発見に一部基づいている。したがって、本明細書において記述されるsCD23ペプチド、ポリペプチド、および誘導体は、例えば、アレルギー、アナフィラキシー、炎症、リンパ腫、およびある種の癌などのIgEレベルの増加を伴う状態または障害を処置するのに有用である。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本国際出願は、35 U.S.C. § 119(e)の下で、その全内容が参照により本明細書に組み入れられる、2009年12月1日に提出された米国特許仮出願第61/265,439号の優先権の恩典を主張する。
【0002】
政府の支援
本発明は、米国国立衛生研究所によって与えられた助成金番号AI074843の下で政府の支援を受けて行われた。米国政府は本発明において一定の権利を有する。
【0003】
発明の分野
本発明の分野は、IgE媒介性疾患の処置に関する。
【背景技術】
【0004】
背景
アレルギーは、アレルギー性鼻炎(AR)、湿疹、および喘息を含む広範囲の症状発現を包含する慢性炎症疾患である。米国の人口の25%(7500万人)までの人が何らかの形のアレルギーに罹っていると推定されている。実際に、季節性ARは、白人種の25%に罹患していると推定されており、その40%は小児である。米国での喘息の有病率は9%(2700万人)であると推定される。食物アレルギーは増加しつつあり、幼児はアナフィラキシーショックなどの生命を脅かす状態を発症する傾向があることから、幼児では特に危険である。
【0005】
米国において6000万人のアメリカ人がARに罹っている。ARは、鼻のうっ血、鼻漏(鼻水)、くしゃみ、ならびに鼻および眼の痒みを特徴とする。ARは、不快な状態であると分類することができるが、ARは、それによってしばしば生活の質の低下、情緒の安寧の低下、および生産性の低下が起こる有意な病的状態に関連している。生活の質の低下の多くは、睡眠障害が原因であるとすることができる。ARを有する小児患者の88%が睡眠障害を有することから、小児に対する負担は大きい。
【0006】
実際に、特にARは、患者および保険提供者の双方に対する直接の費用、ならびに長期欠勤および疾病にもかかわらず就業するなどの間接的費用を含む米国のヘルスケアシステムにおいて、かなりの経済的負担となっている。さらに、ARを有する小児は、医師の診察を受ける回数が多くなる可能性があり、そのためヘルスケア費用はさらに増加する。
【発明の概要】
【0007】
本明細書において記述される方法および組成物は、IgEに結合してこれを隔離して抗炎症応答を誘導する可溶性CD23(sCD23)ポリペプチドの発見に一部基づいている。したがって、本明細書において記述されるsCD23ポリペプチド、ペプチド、および誘導体は、例えばアレルギー、アナフィラキシー、炎症、リンパ腫、およびある種の癌などのIgEレベルの増加を伴う状態または障害を処置するのに有用である。
【0008】
1つの局面において、本明細書において、式X1-Rの化合物が提供され、式中RはSEQ ID NO:4を含み、かつX1は配列

の少なくとも3連続のアミノ酸、およびその連続断片を含む。1つの態様において、X1は配列

からなる。1つの態様において、X1は、配列

の少なくとも5連続のヌクレオチドを含む。他の態様において、X1は、配列

の少なくとも7、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも12、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも55、少なくとも60、少なくとも65、少なくとも70、少なくとも75、少なくとも80、少なくとも85、少なくとも90、少なくとも95、少なくとも100、少なくとも105連続のアミノ酸を含むか、またはそれからなる。1つの態様において、断片は、カルボキシ配列LQVSで終わる。1つの態様において、本明細書において記載される保存的アミノ酸置換を作製することができる。
【0009】
この局面の1つの態様において、化合物はIgEに結合する。この局面の別の態様において、化合物はCD21に結合しない。
【0010】
この局面の別の態様において、化合物は、IgEに対する高親和性結合部位を含む。別の態様において、高親和性結合部位は、Rのアミノ酸置換によって生じる。別の態様において、アミノ酸置換はD107Eである。
【0011】
同様に、別の局面において、式R-X2の化合物が本明細書において提供され、式中RはSEQ ID NO:4を含み、かつX2は、SEGSAE、SEGSA、SEGS、SEG、SE、S、L、-COOHを含む。1つの態様において、化合物はR0である。1つの態様において、化合物は式X1-R0-X2を有することができ、式中X1およびX2は本明細書において定義されたとおりである。この局面の1つの態様において、化合物はIgEに結合する。この局面の別の態様において、化合物はCD21に結合しない。
【0012】
この局面の別の態様において、化合物は、IgEに対する高親和性結合部位を含む。別の態様において、高親和性結合部位は、Rのアミノ酸置換によって生じる。別の態様において、アミノ酸置換はD107E(例えば、SEQ ID NO:2)である。
【0013】
1つの態様において、化合物はPEG化されている。
【0014】
本明細書において記述される別の局面は、IgEを隔離するための組成物であって、先に記述した化合物の有効量と、薬学的に許容される担体とを含む組成物に関する。
【0015】
同様に、アレルゲンに対する対象の免疫応答を低下させるための方法であって、式X1-R0-X2、R0-X2、またはX1-R0の化合物の有効量と、薬学的に許容される担体とを含有する薬学的組成物を対象に投与する段階を含む方法が、本明細書において提供される。
【0016】
1つの態様において、薬学的組成物は、アレルゲンに対する免疫応答を有するリスクを有する対象に予防的に投与される。
【0017】
この局面の別の態様において、薬学的組成物は、アレルゲンに対する曝露後に対象に投与される。
【0018】
この局面の別の態様において、方法は、ステロイド治療を施す段階をさらに含む。
【0019】
この局面の別の態様において、方法は、前記個体にアレルギー注射を投与する段階をさらに含む。
【0020】
この局面の別の態様において、アレルゲンは、食物アレルゲン、花粉、植物アレルゲン、チリダニ、動物の鱗屑、昆虫の針、真菌、胞子、カビ、ラテックス、または薬物である。
【0021】
この局面の別の態様において、方法は、アレルゲンに対する免疫応答を有する個体を選択する段階をさらに含む。
【0022】
同様に本明細書において、対象におけるIgE媒介性疾患を処置するための方法であって、式X1-R0-X2、R0-X2、またはX1-R0の化合物の有効量と、薬学的に許容される担体とを含有する薬学的組成物を対象に投与する段階を含む方法が提供される。
【0023】
この局面の1つの態様において、IgE媒介性疾患は、アレルギー、アナフィラキシー、喘息、湿疹、および鼻炎からなる群より選択される。
【0024】
同様に、本明細書において、アレルゲンに対する慢性的な免疫応答の発症を低下させるための方法であって、式X1-R0-X2、R0-X2、またはX1-R0の化合物の有効量と、薬学的に許容される担体とを含有する薬学的組成物を対象に投与する段階を含む方法が提供される。
【0025】
同様に、本明細書において、アレルギー治療またはアナフィラキシー治療の用量を低下させるための方法であって、式X1-R0-X2、R0-X2、またはX1-R0の化合物の有効量と、薬学的に許容される担体とを含有する薬学的組成物を、アレルギー治療またはアナフィラキシー治療によって処置される対象に投与する段階を含む方法が提供される。
【0026】
定義
本明細書の文脈における「対象」は、好ましくは哺乳動物である。哺乳動物は、ヒト、非ヒト霊長類、マウス、ラット、イヌ、ネコ、ウマ、またはウシでありうるが、これらの例に限定されるわけではない。
【0027】
本明細書において用いられる「sCD23ペプチド」または「sCD23ポリペプチド」という用語は、sCD23の156〜292番目のアミノ酸残基を少なくとも含む可溶性CD23の改変ペプチドまたはポリペプチドを指す。「sCD23ペプチド」または「sCD23ポリペプチド」という用語はまた、保存的置換変異、IgE結合活性を増強する変異、および/またはカルシウム結合活性を増強する変異を有するペプチドまたはポリペプチドを包含する。ある態様において、sCD23ペプチドまたはポリペプチドという用語は、SEQ ID NO:1、2、3、4、5、もしくは6のポリペプチドまたはその誘導体を指す。ペプチドおよびポリペプチドという用語は、本明細書において異なる長さのタンパク質断片を示すために用いられ、「ペプチド」という用語は短いアミノ酸配列を指し、およびポリペプチドはより長いアミノ酸配列を指す。sCD23ペプチドおよびポリペプチドの使用は、いずれも本明細書において記述される方法および組成物での使用が企図される。当業者は、「ペプチド」および「ポリペプチド」という用語を理解するであろう。sCD23ペプチドまたはポリペプチドは、いずれも本明細書において記述される方法での使用が企図されることから、それらの正確な長さを知る必要はない。
【0028】
本明細書において用いられる「誘導体」という用語は、例えばユビキチン化、標識、PEG化(ポリエチレングリコールによる誘導体化)、または他の分子の付加によって化学的に改変されているペプチドまたはポリペプチドを指す。分子はまた、通常、その分子の一部分ではない追加の化学部分を含有する場合、別の分子の「誘導体」でもある。そのような部分は、分子の溶解度、吸収、生物学的半減期等を改善することができる。またはその部分は、分子の毒性を減少させる、または分子の望ましくない副作用を消失もしくは減弱等させることができる。そのような効果を媒介することができる部分は、Remington's Pharmaceutical Sciences, 18th edition, A. R. Gennaro, Ed., MackPubl., Easton, PA (1990)に開示されている。sCD23ペプチド/ポリペプチドの誘導体は、ペプチド/ポリペプチドのIgE結合活性を実質的に保持すると考えられ、すなわち誘導体は、例えば本明細書において実施例の章で記述されるインビトロ免疫沈降活性アッセイを用いて測定した場合に、親ペプチド/ポリペプチドのIgE結合活性の少なくとも20%を保持すると考えられる。1つの態様において、ペプチドまたはポリペプチドはPEG化されている。
【0029】
本明細書において用いられる「PEG化された」という用語は、本明細書において記述されるペプチドまたはポリペプチドに付着したポリエチレングリコール誘導体を指す。
【0030】
本明細書において用いられる「IgE結合活性を実質的に保持する」という用語は、誘導体が、それが由来するポリペプチドまたはペプチドのIgE結合活性(本明細書において実施例の章で提供されるインビトロ免疫沈降アッセイによって評価した場合)の少なくとも30%を保持することを意味する。他の態様において、誘導体は、それが由来するペプチド/ポリペプチドのIgE結合活性の少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、または少なくとも100%でさえも保持する。「IgE結合活性を実質的に保持する」という用語はまた、親ペプチド/ポリペプチドの活性と比較した場合に誘導体のIgE結合活性の増加を包含し、例えば誘導体は、それが由来する親ペプチド/ポリペプチドと比較してIgE結合活性の少なくとも2倍増加、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも1000倍、またはそれより多くの増加を有することができる。IgE結合活性を評価するためのIgE結合アッセイは、当技術分野において周知である(例えば、Chen et al. J Immunological Methods 58(1-2):59-71 (1983); Matsuo et al. J Immunology 175:8116-8122 (2005)を参照されたい)。
【0031】
本明細書において用いられる「実質的なCD21結合を欠く」という用語は、例えばインビトロ結合アッセイを用いての、CD21に対するsCD23ポリペプチドの検出可能な結合の欠如を指す。本明細書において用いられる「低下したCD21結合」という用語は、ネイティブsCD23と比較して、改変sCD23ポリペプチドに対するCD21の結合レベルの少なくとも10%(例えばインビトロCD21結合アッセイを用いて測定した場合)の減少を指し;好ましくは、CD21結合レベルは、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、または100%でさえ(すなわち、標準的なCD21結合アッセイを用いて検出可能なレベル未満に)低下される。
【0032】
本明細書において用いられる「アレルゲンに対する免疫応答」という用語は、対象におけるIgEレベルの増加を記述するおよび/または増加したIgEレベルに対する対象の応答を記述するのに用いられ、くしゃみ、咳、副鼻腔のうっ血、副鼻腔(鼻炎)または肺(喘息)の粘液産生などの症状と共に現れうる。
【0033】
本明細書において用いられる「IgEレベルの増加」という用語は、アレルゲン曝露前のIgEレベルと比較してアレルゲン曝露後の対象におけるIgEレベルの少なくとも10%の増加を指す。他の態様において、「IgEレベルの増加」は、アレルゲン曝露前の対象におけるIgEレベルと比較して、アレルゲンに曝露された対象における少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも1倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも100倍、少なくとも500倍、少なくとも1000倍、少なくとも5000倍、少なくとも10,000倍またはそれより多くのIgEの増加を指す。アレルゲンの曝露は、対象が例えば特定の環境で、摂取によって、または特定の季節の際にアレルゲンと接触するようになるという点において、自然発生的でありうる。または、例えば皮膚アレルギー検査などの臨床での状況において、アレルゲンを能動的に送達することができる。
【0034】
本明細書において用いられる「予防的に投与される」という用語は、IgEレベルの増加を促進すると予想されるアレルゲンに対する曝露前に、例えばアレルゲンの曝露前に、対象にペプチドまたはポリペプチドを投与することを指す。投与は、例えば予想される曝露の数分前、または例えば毎日、1週間に1回、2週間に1回、もしくは1ヶ月に1回行うことができる。当業者は、適切な治療レジメンを決定することができる。予防的投与はまた、例えばアレルギー注射、またはステロイド注射などの他の物質との同時投与を包含する。
【0035】
本明細書において用いられる「アレルゲンに対する曝露後」という用語は、対象のアレルゲンに対する曝露後数秒以内、数分以内、もしくは数時間以内を含むアレルゲンに対する曝露後の投与、またはIgE媒介性疾患の少なくとも1つの症状が対象に存在する場合の投与を指す。このように、本明細書において用いられる方法および組成物は、アレルゲンに対する急性の曝露およびアレルゲンに対する慢性的な(例えば季節性の)曝露の双方の処置において有用である。
【0036】
本明細書において用いられる「アレルゲンに対する免疫応答を有する個体を選択すること」とは、改変sCD23ペプチドまたはポリペプチドの投与前に、対象を、アレルゲンに対するIgE媒介性応答を有すると最初に診断することを指す。アレルギー応答の診断は、例えば、中でも皮膚プリックテスト、皮内テスト、皮膚パッチテスト、血液検査(例えば、ELISA、イムノアッセイ捕捉試験、放射性アレルゲン吸着試験)などの、当業者に公知の任意の数の技術を用いて行うことができる。
【0037】
本明細書において用いられる「IgE媒介性疾患」という用語は、その用語が本明細書において用いられるIgEレベルの増加によって少なくとも一部媒介される疾患を指す。
【0038】
本明細書において用いられる「アレルゲンに対する慢性的な免疫応答」という用語は、喘息または湿疹などの慢性的な状態または疾患を発症するIgE媒介性応答を指す。「慢性的な免疫応答」という用語は、アレルゲン、例えば昆虫の針、アメリカツタウルシ(poison oak)等に対する1回の急性の曝露を包含しないと意図される。
【0039】
本明細書において用いられる「含む(comprising)」または「含む(comprises)」という用語は、本発明にとって必須である組成物、方法、およびそのそれぞれの成分に関連して用いられるが、本質的であるか否かによらず、明記されない要素を含めることを容認する。
【0040】
本明細書において用いられる「本質的にからなる」という用語は、所定の態様にとって必要な要素を指す。この用語は、本発明のその態様の基本的および新規または機能的特徴に著しく影響を及ぼさない要素の存在を許容する。
【0041】
「からなる」という用語は、態様のその記述において引用されていないいかなる要素も除外する、本明細書において記述される組成物、方法、およびそのそれぞれの成分を指す。
【0042】
本明細書および添付の特許請求の範囲において用いられる、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、本文が明らかにそれ以外であることを明記している場合を除き、複数形を含む。このように、例えば、「方法」という言及は、本明細書において記述される、および/または本開示を読むことによって当業者に明らかとなるであろう等の1つまたは複数の方法、および/またはそのタイプの段階を含む。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】可溶性CD23の様々なポリペプチドを産生する、細胞結合CD23切断の図示。
【図2】住血吸虫抗原によって処置したB細胞の上清におけるsCD23の特徴付け。2A。約15 kDaのバンドが住血吸虫卵タンパク質(SEA)の存在下でB細胞培養上清に蓄積する。ヒト血清は、多数の大きさのCD23を含有するが、一般的に15 kDaタンパク質を欠く。2B。SEAまたはSWAPによる15 kDaバンドの増加は、sCD21の存在によって減少したが、このことは、sCD21が切断部位を遮断することを示している。2C。SWAP処置は、低分子量sCD23に対する遊離のIgEの結合を増強する。SWAP:住血吸虫の可溶性寄生虫抗原調製物。
【図3】タンパク質が発見された寄生虫疾患における、15 kDaのsCD23タンパク質の生成。住血吸虫は、IgE結合能を保持するがCD21結合能を低下させるようにsCD23を改変する。
【図4】IgEに結合する、住血吸虫によって改変されたsCD23の適用。
【図5−1】アレルギー応答の低下における改変sCD23の長所の図示。5A。粘膜表面(肺または腸管)で感作された肥満細胞は、アレルゲンに対して応答する準備ができた。5B。丸で囲んだ領域は、IgE抗体の抗原特異的領域を示す。5C。細胞結合IgEに抗原が結合すると、IgEを「架橋する」。5D。架橋したIgEは、細胞の脱顆粒を誘導してアレルギー症状を引き起こす。5E。コルチコステロイドは、IgEの産生および他の炎症事象を阻害する。5F。抗ヒスタミン剤、うっ血除去剤、およびロイコトリエン阻害剤は、IgE架橋後の脱顆粒の作用を低下させる。
【図5−2】アレルギー応答の低下における改変sCD23の長所の図示。5G。IgEの非特異的Fc領域に結合して、IgEがその細胞受容体に結合するのを防止するXolairの機序。5H。その結合特性により、Xolairは、細胞結合IgEを全体的に架橋する潜在能力を有する。Xolairは、非特異的領域でIgEに結合することから、これは活性化細胞からの強力なアレルギー応答を全体的に誘導する潜在能力を有する。5I。IgEのFc領域に結合して(低親和性で)、IgE受容体に対するIgEの結合を阻害する改変sCD23の作用機序。その構造により、改変sCD23ポリペプチドは、細胞結合IgEを非特異的に架橋する潜在能力が非常に低く、したがって、アナフィラキシーおよび他の重度の副作用を誘導するリスクが低いことを表す。
【図6】改変sCD23の産生に関係する概略図を示す。画像は、sCD23ペプチドを産生するために用いられる発現ベクターの概略図を示す。選択および発現制御要素を強調する。sCD23配列をpET-28a(+)ベクターにクローニングして、Top10F培地において繁殖させた。発現目的のために、BLR DE3細菌を形質転換させてKanプレート上で選択した。標準的なプロトコールを用いて、タンパク質を産生するコロニーを選択した。
【図7】図7Aおよび7Bは、発現されたタンパク質が正確な予想分子量のタンパク質であることを示すデータを示す。7A。改変sCD23を、図6に記述されるように発現させた。c-mycペプチドタグおよび6-hisアフィニティ精製タグを含有する、SEQ ID NO:1に表されるタンパク質断片を示す。発現後、ニッケルクロマトグラフィーを用いてタンパク質を回収した。次に、タンパク質をSDS-PAGEによって分離して、得られた精製タンパク質をレーン3に示す。7B。抗myc抗体を用いたウェスタンブロット分析により、7Aのレーン3におけるクーマシー染色バンドと同じ分子量のバンドが同定される。全ての画分が予想されたタンパク質を含有することは、注目すべき点である。このように、改変sCD23タンパク質を生成するために用いた配列は、住血吸虫によって生成された断片と非常に類似したタンパク質を生成する。さらに、このことは、sCD23タンパク質断片は容易に発現され、それによって、臨床試験および患者の処置のために規模拡大する際に必要な増大が容易となることを証明している。
【図8】sCD23タンパク質の例示的な改変である高親和性改変sCD23を示す概略図である。
【図9】住血吸虫症を有する患者の血清中に改変sCD23が見出されることを示す顕微鏡写真である。15 kDa sCD23断片は、西部ケニアにおいて感染性住血吸虫に何度も曝露された患者に出現する(上のパネル)。対照的に、曝露されていない/非感染対象が、断片を示すことはまれである(下のパネル)。
【図10】図10Aおよび10Bは、住血吸虫によって改変されたsCD23がIgEに対するデコイ受容体として作用して、IgEがその表面受容体FcεRIαに結合するのを防止することを機序により証明するインビトロデータを示すグラフである。10A。住血吸虫抗原に曝露された組換え完全長CD23は、外因性IgE がIL-10処置THP-1細胞に結合するのを阻害する(左のパネル)。IL-10は、THP-1細胞による、高親和性IgE受容体であるFcεRIα鎖発現を増加させる。IgEなし:灰色部分;1μg/ml IgE;IgE+改変sCD23(1μg/ml)。THP-1細胞をIgEおよびsCD23に曝露して、4℃で2時間旋回培養させた。表面IgEをフローサイトメトリーによって測定した。改変sCD23抗原沈殿物は、完全長および15 kDaタンパク質断片の双方を含有した。10B。非改変rsCD23は、IgE単独と比較してIgE結合を阻害しない。IgEなしを灰色部分として示す。
【発明を実施するための形態】
【0044】
詳細な説明
本明細書において、IgEに結合するが、いくつかの態様において実質的なCD21結合を欠く可溶性CD23の改変ペプチド(またはポリペプチド)を、それを必要とする対象に投与する段階を含む、IgE媒介性状態または疾患を処置するのに有用な方法および組成物を記述する。本発明は、CD23の可溶性ポリペプチドがIgEに結合してこれを隔離し、IgEがその受容体に結合するのを防止して、それによってIgEによって開始される免疫応答を低下させることができるという発見に一部基づいている。本明細書において記述される方法および組成物は、例えばアレルギー疾患、リンパ腫、炎症疾患、およびある種の癌などのIgE媒介性状態または疾患を処置するのに有用である。
【0045】
IgE媒介性疾患
本明細書において記述される方法および組成物は、IgEレベルの増加を特徴とする状態または障害であるいかなるIgE媒介性疾患も処置するのに有用である。そのような障害には、例えば鼻炎、湿疹、食物アレルギー、喘息、およびアナフィラキシーショックなどのアレルギー疾患;リンパ腫;膵臓癌;嚢胞性線維症;セリアック病;および慢性蕁麻疹が挙げられる。
【0046】
当業者は、対象からの生物学的試料(例えば、血液試料)中のIgEレベルを測定することによって、またはアレルゲンに対する曝露後の、とりわけくしゃみ、咳、粘液産生、皮膚刺激、発赤、腫脹、呼吸困難、痒みのような症状を評価することによって、対象がIgE媒介性疾患を有するか否かを容易に決定することができる。
【0047】
1つの態様において、IgE媒介性疾患はアレルギー疾患(例えば、アレルゲンに対する免疫応答)を含む。対象においてアレルギー疾患を生じるいくつかの一般的なアレルゲンには、例えば食物アレルゲン(例えば、ナッツ、大豆、乳製品、グルテン、卵、魚介類)、花粉(例えば、草、木、雑草の)、植物産物アレルゲン(例えば、アメリカツタウルシ、ツタウルシ(poison ivy))、チリダニ排泄物(例えば、糞、キチン)、動物の鱗屑(例えば、ネコ、イヌ、ウサギの体毛)、昆虫の針(例えば、ミツバチ、スズメバチ、アリ、蚊)、真菌、胞子(例えば、キノコの胞子)、カビ、ラテックス、金属、または薬物(例えば、ペニシリン、スルホンアミド)が挙げられる。
【0048】
アレルギー応答の媒介におけるIgEの役割
アレルギーは、対象の免疫系が、花粉、チリダニ、およびナッツなどの無害な分子に対して不適切に反応する場合に起こる。一般的に、アレルギーは、IgE、肥満細胞、好塩基球、および好酸球を含む免疫系の何らかの成分によって主に媒介される。IgEは、B細胞によって産生されて、血液中を循環し、肥満細胞および好塩基球の表面上のIgE特異的受容体(FcεRI)に結合する。アレルゲンは、次に、IgEで覆われた細胞上のIgEに結合することができる。IgEとFc受容体とが架橋すると、細胞を活性化して、脱顆粒を引き起こす。脱顆粒は、ヒスタミン、ならびに白血球およびプロスタグランジンなどの他の炎症性化学メディエーターを放出する。これらのメディエーターは、血管拡張、大量の粘液産生、および平滑筋収縮などのいくつかの全身作用を引き起こす。これによって、アレルギーに関連する、鼻水、痒み、呼吸困難、および場合によってはアナフィラキシーが起こる。個体、アレルゲン、および導入様式に応じて、症状は、全身性(古典的なアナフィラキシー)であることも、または特定の身体システムに限局されることもある。例えば、喘息は呼吸器系に限局され、湿疹は皮膚に限局される。
【0049】
慢性アレルギー疾患の現行の処置および管理
アレルギー疾患の持続的な重い負荷ならびに食物アレルギーおよび喘息の有病率の増加は、多様な薬理学的処置および非薬理学的処置にもかかわらず、疾患の制御が最適ではないことを示している。一般的に、患者が報告するアレルギー治療に対する満足度は低い。鼻腔内コルチコステロイド(INCS)は、ARの最も標準的な処置であると考えられているが、この処置は、骨塩量の喪失、成長遅延、および小児にとってやっかいな副腎抑制に関連している。非処方箋薬(OTC)である抗ヒスタミン剤/うっ血除去剤も同様に、眠気、鼻出血、および灼熱感などの有害作用を有し、労働を中止させる傾向を有する。ヘルスケアに対する負担およびアレルギーに関連する罹病率のため、慢性アレルギーを軽減するために新しい戦略を開発する必要がある。
【0050】
現行の抗IgE治療
オマリズマブ(Xolair)は、エフェクター細胞(肥満細胞および好塩基球)上の高親和性IgE受容体に結合するIgEの領域に対して特異的なヒト化モノクローナル抗体である。皮下投与により、数時間以内に血清中IgEの検出能が低下して、8〜12週間のあいだに高親和性受容体の数が低下する。いくつかのアレルギー疾患は、Xolairに対して良好に応答することが見出されている。コルチコステロイド療法にXolairを併用することにより、喘息発作を19〜75%低下させることができる。さらに、いくつかの試験において、Xolairによって処置した患者は、コルチコステロイドの1日量を低下させるか、または使用を中止することができた。Xolairは、現行の他の喘息治療より薬価が高く、保健および薬剤償還当局(health and reimbursement authorities)は、料金設定および処方明細の根拠となる経済的利益の証拠をますます要求している。このように、その高い費用、診察室で投与される必要があること、および副作用を考慮すると、これは、喘息患者のごく少数にとって適切であるに過ぎない。さらに、この処置の分子相互作用の性質のために、この処置は、患者によっては危険なアレルギー反応であるアナフィラキシーショックを引き起こしうる。本明細書において記述される方法および組成物は、Xolairの機序と類似した機序に基づく、副作用が少なく、有効で、安価で、安全な代替物を提供する。
【0051】
免疫におけるCD23の役割
CD23は、広い細胞分布を有し、B細胞の他にも、単球、休止好酸球、および濾胞性樹状細胞上で発現される。CD23はまた、IgE以外にもCD21およびMac-1を含む多数のリガンドを有する。CD23は、IgEに結合する細胞外領域のC末端端部においてカルシウム依存性レクチンドメインを有するII型膜貫通タンパク質である。N末端領域におけるロイシンジッパーにより、細胞表面上のCD23分子はホモ三量体を形成することができ、これはIgEに対する親和性をFcεRIと同じレベルまで増加させる。球状のレクチン「から垂れ下がっている」C末端テールは、CD21に結合することが示されている。ヒトCD23には2つのアイソフォーム、すなわちCD23aおよびCD23bが存在する。理論に拘束されることを望まないが、いずれのアイソフォームもIL-4によって一部調節されるが、異なる転写部位に作用すると考えられている。CD23aおよびCD23bは、N末端細胞質領域で少数の残基が異なるに過ぎず、同一のC末端細胞外領域を保有する。CD23aは、主にB細胞によって発現されるのに対し、CD23bは、B細胞、好酸球、および単球上でのIL-4および他の刺激によって誘導可能である。
【0052】
可溶性(s)CD23:sCD23は、多数の形状で存在し、免疫系に対して多数の作用を有する。sCD23は、表面上のCD23(aまたはb)がタンパク質分解によって切断されて、細胞外領域を微小環境に放出する場合に生じる。内因性のプロテアーゼは、ストークの基部付近で細胞表面タンパク質を切断して、37 kDa分子を放出し、ヘッドにより近い部位では異なる大きさのいくつかのsCD23断片を生じる。ヒト血清は、単量体CD23の分子量が異なる5つの断片を含有する:37、33、29、25、および16/17 kDa。膜結合型メタロプロテイナーゼであるADAM10は、CD23骨格の別個の2つの部位に由来する断片の切断を触媒して、37および33 kDaペプチドを放出する。好中球は、ヒト白血球エラスターゼおよびカテプシンGを分泌して、これらはいずれもB細胞上のCD23を効率的に切断する。好中球エラスターゼは、37 kDa断片を25 kDa断片へと切断することが示されたが、カテプシンGによって生じる断片の大きさは記述されなかった。続くIgE合成および細胞活性化に及ぼすsCD23の機能は、sCD23がオリゴマーであるか否か、大きい断片であるか小さい断片であるか、およびsCD23がどのリガンド(CD23結合IgE、BCRε、CD21)に結合するかに依存する。
【0053】
異なるように切断されたsCD23の断片は、免疫に影響を及ぼす:細胞表面CD23がN末端の「ストーク」においてADAM10および他のプロテアーゼにより切断されることにより、ホモ三量体形成能を保持する(または細胞表面ホモ三量体構造を保持する)29、33、および37 kDa断片が生成される。より小さい断片、16/17および25 kDaは、他の宿主システインプロテアーゼによるより大きい分子の切断から生じると考えられる。sCD23のレベルはIL-4およびIgEによって一部調節される。このように、B細胞をIL-4によって処置すると、上清中のsCD23濃度は増加するが、IgEを添加すると、sCD23の放出を阻害する。その可溶性型でさえもCD23は、IgE以外にもCD21(補体2受容体)およびMac-1を含む多数のリガンドを有し、多面的機能(pleiotropic function)を有する。B細胞培養に由来するsCD23含有上清は、T細胞およびIL-4の非存在下でIgE産生を誘導する。
【0054】
さらに、sCD23は、CD21と相互作用することによってB細胞をアポトーシスから救出し、CD21との架橋によってB細胞受容体媒介活性化の閾値をおそらく低下させる。sCD23の25 kDa断片は、CD21に結合することによって、胚中心B細胞の分化を促進することが示されている。
【0055】
sCD23三量体クラスターはまた、BCRεに対しても高い親和性を有し、IgE発現を刺激する。より最近の研究において、CD23の3つの組換え断片を、抗CD40/IL-4活性化扁桃B細胞からのIgE合成の刺激能に関して比較した。レクチンヘッドおよびC末端テールの一部分(Derp1によって放出される部分と類似)を含有する単量体「derCD23」は、IgE合成を阻害した。対照的に、三量体形成を可能にするためにロイシンジッパーを保持した「lzCD23」は、IgE合成を刺激した。ロイシンジッパーを欠いたが、完全なC末端テールを保持した単量体「exCD23」は、三量体を形成することができず、IgE産生に影響を及ぼさなかった。著者らは、lzCD23が、細胞表面上で、架橋されたBCRεおよびCD21の大きいネットワークを誘導して(図1)、それによって細胞を活性化することができるという仮説を立てた。
【0056】
sCD23は、他の細胞に対しても同様に作用を有する。25 kDaタンパク質は、炎症誘発性であるようであり、単球からのIL-6、IL-1β、およびTNF-αの分泌を誘導する。好中球のセリンプロテアーゼによって放出される可溶性断片もまた、いかなる共刺激シグナルがなくとも、休止単球を刺激して、酸化的バーストおよび炎症誘発性サイトカインを産生させた。いくつかの特許は、sCD23およびTNF-αの産生の阻害に関連している(例えば、米国特許第6,673,965号および第6,235,753号を参照されたい)。
【0057】
CD23の免疫生物学をさらに複雑にするが、CD21もまた可溶性型で見出され、表面CD23およびsCD23の双方に結合する。可溶性CD21は、分子の細胞外ドメインの脱落時にB細胞から自然に放出される。CD23は、CD21分子上の2つの主なエピトープを認識する。1つの領域は短いコンセンサスリピート配列(SCR)1〜2からなり、他の領域はSCR 5〜8からなるが、免疫応答時の1つまたはいずれかの部位に対するCD23結合の作用については定義されていない。
【0058】
表面CD23の微生物による切断:チリダニアレルゲンDerp1などの微生物プロテアーゼも同様にCD23を切断する。Derp1は、2つの部位(Ser155-Ser156およびGlu298-Ser299)でCD23を切断して、レクチンドメインとC末端テールの一部分(156〜298番目のアミノ酸)とを含有する16/17 kDa断片を産生するシステインプロテアーゼである。この16/17 kDa断片は、IgEとCD21の双方に結合するための最小の構造上の要件を含有するが、ロイシンジッパー部分を欠いており、このためオリゴマーを形成しない。
【0059】
住血吸虫も同様にCD23を切断するようであるが、主要な差は、改変された分子のCD21結合特性において明らかである。住血吸虫によって生成されたsCD23は、IgEに結合するようであるが、CD21に対する結合能を欠く。得られたポリペプチドはおよそ15 kDaである。この住血吸虫によって改変されたCD23は、遊離のIgEに結合して、IgEが肥満細胞などのエフェクター細胞上の高親和性受容体に結合しないようにおそらく隔離する。本明細書において記述される方法および組成物は、これらの知見に一部基づいている。改変sCD23は、FcεRIに対するIgEの結合を防止してこのようにアレルギー応答を防止する、より自然で安全な様式でIgEを隔離する実現可能な治療物質を表す。
【0060】
sCD23ポリペプチドおよびペプチド化合物
本明細書において記述される方法で有用なペプチドまたはポリペプチドは、CD23の可溶性型の改変ペプチド(またはポリペプチド)、および具体的には、レクチンIgE結合ドメインを含むがCD21補体結合ドメインを欠くsCD23ポリペプチドまたはペプチドを含む。IgEは、レクチンヘッド領域(187番目から279番目のアミノ酸残基を含む)に結合するが、CD21は、一次構造および三次構造のいずれにおいても離れている残基(294番目以降の残基)を必要とするようである。このように、156から292番目までの断片は、IgEとの結合にとって重要であるレクチン結合領域を含むが、CD21との相互作用にとって必要な残基を持たない。
【0061】
CD21結合テールは、290から321番目のアミノ酸を包含する。1つの態様において、改変sCD23は、293から321番目のアミノ酸を欠くCD21非結合タンパク質である。CD21補体結合は、少なくとも290から298番目のアミノ酸を必要とする。このタンパク質のバリアントは、290から321番目のいかなるアミノ酸も欠いているsCD23の産生を含む。CD21ドメインは、C末端ドメインであり、少なくともSEQ ID NO:3の290から298番目のアミノ酸からなる。1つの態様において、sCD23ポリペプチドは、SEQ ID NO:1、2、3、4、5、または6を含む。別の態様において、sCD23ポリペプチドは、本質的にSEQ ID NO:1、2、3、4、5、または6からなる。別の態様において、sCD23ポリペプチドは、SEQ ID NO:1、2、3、4、5、または6からなる。
【0062】
以下に示すSEQ ID NO:3は、レクチンIgE結合ドメイン、C-テールCD21結合ドメイン、およびsCD23ポリペプチドの開始部位を図示する。

下線部分=レクチンIgE結合ドメイン
斜体部分=C-テールCD21結合ドメイン
太字部分=共通のsCD23ポリペプチド(172アミノ酸)の開始部分
【0063】
ヒト可溶性CD34は、住血吸虫によって改変され(プロテアーゼ切断事象)、IgEに結合するがCD21には結合しないCD23断片を産生する。この新規CD23断片は、住血吸虫症における不適切なIgE媒介性免疫を制御することにおいて重要な役割を果たし、重要であるのはIgE結合特徴のみである。このように、1つの態様において、本明細書において記述される方法および組成物で有用なsCD23ペプチドまたはポリペプチドは、IgEに結合するが、実質的なCD21結合を欠いていることが本明細書において企図される。
【0064】
CD21結合部位は、いくつかのsCD23ポリペプチドの炎症誘発活性に関与する可能性があることから、好ましいsCD23ペプチドまたはポリペプチドは、CD21結合部位を欠くことに注目することは重要である。例えば、sCD23が完全長のCD23タンパク質の炎症誘発特性を保持して、TNF-α産生を増加させることが、1つの研究グループによって既に報告されている(例えば、Daniels, B. et al., (2005) Cellular Immunity 234(2): 146-153を参照されたい)。Danielsらは、「[sCD23による]炎症誘発性サイトカイン、特に腫瘍壊死因子-αの産生が、喘息、アレルギー、および高IgE症候群の症例において免疫応答を増強するであろう」と結論している。しかし、Danielsらは、CD21結合ドメインを含有する組換えsCD23 150〜321断片を使用している。補体受容体であるCD21の結合は、サイトカイン産生および他の炎症作用のメディエーターである可能性が最も高い。加えて、この断片は、三量体を形成する可能性があり(そのより長いストークにより)、これは細胞表面上でCD21およびCD23結合IgEの大きいネットワークを架橋して、それによって細胞を活性化することができる。さらに、Danielsらによって記述されたsCD23は、低い親和性でIgEに結合する。本明細書において記述される方法のいくつかの態様において、好ましいsCD23断片は、14〜15 kDaであり、三量体形成能および/またはCD21結合能を欠く。本明細書において記述される他の態様においては、高親和性IgE結合sCD23が、本明細書において記述される方法での使用に好ましい(すなわち、sCD23のD258E変異;SEQ ID NO:3)。sCD23のIgEに対するそのような高親和性結合により、非改変sCD23断片と比較してCD23-IgE複合体の半減期は少なくとも10%増大される。本明細書において記述される好ましいsCD23ペプチドまたはポリペプチドは、(例えば、CD21に結合することによる、または三量体もしくは多量体を産生することによる)炎症を引き起こさず、および/またはより炎症性のsCD23断片の結合部位と競合することができ、全体的な結果として炎症を軽減すると企図される。
【0065】
いくつかの態様において、sCD23ポリペプチドに対するCD21結合レベルは低下する。他の態様において、sCD23ポリペプチドはCD21結合活性を実質的に欠く。CD21結合活性は、当業者に公知のあらゆる方法を用いて低下させることができる。例えば、CD21結合部位全体(例えば、294番目以降の残基)をポリペプチド合成の際に省いてもよく、またはsCD23ポリペプチドから切断してもよい。他の態様において、1つまたは複数のアミノ酸欠失、置換、または付加を利用して、sCD23ポリペプチドに対するCD21の結合を妨害することができる。当業者は、例えばインビトロ結合アッセイまたは免疫沈降に基づくアッセイを用いて、CD21結合の妨害に関して容易に試験することができる。
【0066】
1つの局面において、ペプチド化合物は、式X1-R0を有し、式中R0はSEQ ID NO:4(または例えばD107E変異を有するSEQ ID NO:4などのその誘導体)を含み、X1は、

を含む。この局面の別の態様において、X1は、SEQ ID NO:4の少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも22、少なくとも24、少なくとも25、少なくとも27、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも37、少なくとも40、少なくとも42、少なくとも45、少なくとも47、少なくとも50、少なくとも55、少なくとも60、少なくとも65、少なくとも70、少なくとも75、少なくとも80、少なくとも85、少なくとも90、少なくとも95、少なくとも100、少なくとも105、または少なくとも106個のアミノ酸を含む。例えば、X1は、VTKLRM ELQVSを含みうる。この局面の別の態様において、X1はEVTKLRM ELQVSを含む。この局面の別の態様において、X1は、EEVTKLRM ELQVSを含む。この局面の別の態様において、X1は、REEVTKLRM ELQVSを含む。この局面の別の態様において、X1は、LREEVTKLRM ELQVSを含む。この局面の別の態様において、X1は、R LREEVTKLRM ELQVSを含む。この局面の別の態様において、X1は、ER LREEVTKLRM ELQVSを含む。この局面の別の態様において、X1は、LER LREEVTKLRM ELQVSを含む。この局面の別の態様において、X1は、LLER LREEVTKLRM ELQVSを含む。この局面の別の態様において、X1は、DLLER LREEVTKLRM ELQVSを含む。この局面の別の態様において、X1は、SDLLER LREEVTKLRM ELQVSを含む。この局面の別の態様において、X1は、ASDLLER LREEVTKLRM ELQVSを含む。この局面の別の態様において、X1は、EASDLLER LREEVTKLRM ELQVSを含む。この局面の別の態様において、X1は、NEASDLLER LREEVTKLRM ELQVSを含む。この局面の別の態様において、X1は、RNEASDLLER LREEVTKLRM ELQVSを含む。この局面の別の態様において、X1は、E RNEASDLLER LREEVTKLRM ELQVSを含む。この局面の別の態様において、X1は、NE RNEASDLLER LREEVTKLRM ELQVSを含む。この局面の別の態様において、X1は、LNE RNEASDLLER LREEVTKLRM ELQVSを含む。この局面の別の態様において、X1は、ELNE RNEASDLLER LREEVTKLRM ELQVSを含む。この局面の別の態様において、X1は、QELNE RNEASDLLER LREEVTKLRM ELQVSを含む。この局面の別の態様において、X1は、SQELNE RNEASDLLER LREEVTKLRM ELQVSを含む。この局面の別の態様において、X1は、KSQELNE RNEASDLLER LREEVTKLRM ELQVSを含む。この局面の別の態様において、X1は、FKSQELNE RNEASDLLER EEVTKLRM ELQVSを含む。この局面の別の態様において、X1は、SFKSQELNE RNEASDLLER LREEVTKLRM ELQVSを含む。この局面の別の態様において、X1は、SSFKSQELNE RNEASDLLER LREEVTKLRM ELQVSを含む。この局面の別の態様において、X1は、L SSFKSQELNE RNEASDLLER LREEVTKLRM ELQVSを含む。この局面の別の態様において、X1は、DL SSFKSQELNE RNEASDLLER LREEVTKLRM ELQVSを含む。この局面の別の態様において、X1は、ADL SSFKSQELNE RNEASDLLER LREEVTKLRM ELQVSを含む。この局面の別の態様において、X1は、QADL SSFKSQELNE RNEASDLLER LREEVTKLRM ELQVSを含む。この局面の別の態様において、X1は、LQADL SSFKSQELNE RNEASDLLER LREEVTKLRM ELQVSを含む。この局面の別の態様において、X1は、GLQADL SSFKSQELNE RNEASDLLER LREEVTKLRM ELQVSを含む。この局面の別の態様において、X1は、NGLQADL SSFKSQELNE RNEASDLLER LREEVTKLRM ELQVSを含む。この局面の別の態様において、X1は、LNGLQADL SSFKSQELNE RNEASDLLER LREEVTKLRM ELQVSを含む。この局面の別の態様において、X1は、NLNGLQADL SSFKSQELNE RNEASDLLER LREEVTKLRM ELQVSを含む。この局面の別の態様において、X1は、WNLNGLQADL SSFKSQELNE RNEASDLLER LREEVTKLRM ELQVSを含む。この局面の別の態様において、X1は、S WNLNGLQADL SSFKSQELNE RNEASDLLER LREEVTKLRM ELQVSを含む。この局面の別の態様において、X1は、LS WNLNGLQADL SSFKSQELNE RNEASDLLER LREEVTKLRM ELQVSを含む。この局面の別の態様において、X1は、ELS WNLNGLQADL SSFKSQELNE RNEASDLLER LREEVTKLRM ELQVSを含む。この局面の別の態様において、X1は、LELS WNLNGLQADL SSFKSQELNE RNEASDLLER LREEVTKLRM ELQVSを含む。この局面の別の態様において、X1は、DLELS WNLNGLQADL SSFKSQELNE RNEASDLLER LREEVTKLRM ELQVSを含む。この局面の別の態様において、X1は、QDLELS WNLNGLQADL SSFKSQELNE RNEASDLLER LREEVTKLRM ELQVSを含む。この局面の別の態様において、X1は、SQDLELS WNLNGLQADL SSFKSQELNE RNEASDLLER LREEVTKLRM ELQVSを含む。この局面の別の態様において、X1は、KSQDLELS WNLNGLQADL SSFKSQELNE RNEASDLLER LREEVTKLRM ELQVSを含む。この局面の別の態様において、X1は、LKSQDLELS WNLNGLQADL SSFKSQELNE RNEASDLLER LREEVTKLRM ELQVSを含む。この局面の別の態様において、X1は、RLKSQDLELS WNLNGLQADL SSFKSQELNE RNEASDLLER LREEVTKLRM ELQVSを含む。この局面の別の態様において、X1は、Q RLKSQDLELS WNLNGLQADL SSFKSQELNE RNEASDLLER LREEVTKLRM ELQVSを含む。この局面の別の態様において、X1は、QQ RLKSQDLELS WNLNGLQADL SSFKSQELNE RNEASDLLER LREEVTKLRM ELQVSを含む。この局面の別の態様において、X1は、EQQ RLKSQDLELS WNLNGLQADL SSFKSQELNE RNEASDLLER LREEVTKLRM ELQVSを含む。この局面の別の態様において、X1は、AEQQ RLKSQDLELS WNLNGLQADL SSFKSQELNE RNEASDLLER LREEVTKLRM ELQVSを含む。この局面の別の態様において、X1は、RAEQQ RLKSQDLELS WNLNGLQADL SSFKSQELNE RNEASDLLER LREEVTKLRM ELQVSを含む。この局面の別の態様において、X1は、LRAEQQ RLKSQDLELS WNLNGLQADL SSFKSQELNE RNEASDLLER LREEVTKLRM ELQVSを含む。この局面の別の態様において、X1は、ELRAEQQ RLKSQDLELS WNLNGLQADL SSFKSQELNE RNEASDLLER LREEVTKLRM ELQVSを含む。この局面の別の態様において、X1は、EELRAEQQ RLKSQDLELS WNLNGLQADL SSFKSQELNE RNEASDLLER LREEVTKLRM ELQVSを含む。この局面の別の態様において、X1は、LEELRAEQQ RLKSQDLELS WNLNGLQADL SSFKSQELNE RNEASDLLER LREEVTKLRM ELQVSを含む。この局面の別の態様において、X1は、ELEELRAEQQ RLKSQDLELS WNLNGLQADL SSFKSQELNE RNEASDLLER LREEVTKLRM ELQVSを含む。この局面の別の態様において、X1は、Q ELEELRAEQQ RLKSQDLELS WNLNGLQADL SSFKSQELNE RNEASDLLER LREEVTKLRM ELQVSを含む。この局面の別の態様において、X1は、SQ ELEELRAEQQ RLKSQDLELS WNLNGLQADL SSFKSQELNE RNEASDLLER LREEVTKLRM ELQVSを含む。この局面の別の態様において、X1は、ISQ ELEELRAEQQ RLKSQDLELS WNLNGLQADL SSFKSQELNE RNEASDLLER LREEVTKLRM ELQVSを含む。この局面の別の態様において、X1は、QISQ ELEELRAEQQ RLKSQDLELS WNLNGLQADL SSFKSQELNE RNEASDLLER LREEVTKLRM ELQVSを含む。この局面の別の態様において、X1は、TQISQ ELEELRAEQQ RLKSQDLELS WNLNGLQADL SSFKSQELNE RNEASDLLER LREEVTKLRM ELQVSを含む。この局面の別の態様において、X1は、STQISQ ELEELRAEQQ RLKSQDLELS WNLNGLQADL SSFKSQELNE RNEASDLLER LREEVTKLRM ELQVSを含む。この局面の別の態様において、X1は、QSTQISQ ELEELRAEQQ RLKSQDLELS WNLNGLQADL SSFKSQELNE RNEASDLLER LREEVTKLRM ELQVSを含む。この局面の別の態様において、X1は、SQSTQISQ ELEELRAEQQ RLKSQDLELS WNLNGLQADL SSFKSQELNE RNEASDLLER LREEVTKLRM ELQVSを含む。この局面の別の態様において、X1は、KSQSTQISQ ELEELRAEQQ RLKSQDLELS WNLNGLQADL SSFKSQELNE RNEASDLLER LREEVTKLRM ELQVSを含む。この局面の別の態様において、X1は、QKSQSTQISQ ELEELRAEQQ RLKSQDLELS WNLNGLQADL SSFKSQELNE RNEASDLLER LREEVTKLRM ELQVSを含む。この局面の別の態様において、X1は、A QKSQSTQISQ ELEELRAEQQ RLKSQDLELS WNLNGLQADL SSFKSQELNE RNEASDLLER LREEVTKLRM ELQVSを含む。この局面の別の態様において、X1は、MA QKSQSTQISQ ELEELRAEQQ RLKSQDLELS WNLNGLQADL SSFKSQELNE RNEASDLLER LREEVTKLRM ELQVSを含む。この局面の別の態様において、X1は、QMA QKSQSTQISQ ELEELRAEQQ RLKSQDLELS WNLNGLQADL SSFKSQELNE RNEASDLLER LREEVTKLRM ELQVSを含む。この局面の別の態様において、X1は、DQMA QKSQSTQISQ ELEELRAEQQ RLKSQDLELS WNLNGLQADL SSFKSQELNE RNEASDLLER LREEVTKLRM ELQVSを含む。この局面の別の態様において、X1は、GDQMA QKSQSTQISQ ELEELRAEQQ RLKSQDLELS WNLNGLQADL SSFKSQELNE RNEASDLLER LREEVTKLRM ELQVSを含む。この局面の別の態様において、X1は、HGDQMA QKSQSTQISQ ELEELRAEQQ RLKSQDLELS WNLNGLQADL SSFKSQELNE RNEASDLLER LREEVTKLRM ELQVSを含む。この局面の別の態様において、X1は、HHGDQMA QKSQSTQISQ ELEELRAEQQ RLKSQDLELS WNLNGLQADL SSFKSQELNE RNEASDLLER LREEVTKLRM ELQVSを含む。この局面の別の態様において、X1は、SHHGDQMA QKSQSTQISQ ELEELRAEQQ RLKSQDLELS WNLNGLQADL SSFKSQELNE RNEASDLLER LREEVTKLRM ELQVSを含む。この局面の別の態様において、X1は、ESHHGDQMA QKSQSTQISQ ELEELRAEQQ RLKSQDLELS WNLNGLQADL SSFKSQELNE RNEASDLLER LREEVTKLRM ELQVSを含む。この局面の別の態様において、X1は、LESHHGDQMA QKSQSTQISQ ELEELRAEQQ RLKSQDLELS WNLNGLQADL SSFKSQELNE RNEASDLLER LREEVTKLRM ELQVSを含む。
【0067】
この局面の別の態様において、X1は、N LESHHGDQMA QKSQSTQISQ ELEELRAEQQ RLKSQDLELS WNLNGLQADL SSFKSQELNE RNEASDLLER LREEVTKLRM ELQVSを含む。この局面の別の態様において、X1は、KN LESHHGDQMA QKSQSTQISQ ELEELRAEQQ RLKSQDLELS WNLNGLQADL SSFKSQELNE RNEASDLLER LREEVTKLRM ELQVSを含む。この局面の別の態様において、X1は、SKN LESHHGDQMA QKSQSTQISQ ELEELRAEQQ RLKSQDLELS WNLNGLQADL SSFKSQELNE RNEASDLLER LREEVTKLRM ELQVSを含む。この局面の別の態様において、X1は、VSKN LESHHGDQMA QKSQSTQISQ ELEELRAEQQ RLKSQDLELS WNLNGLQADL SSFKSQELNE RNEASDLLER LREEVTKLRM ELQVSを含む。この局面の別の態様において、X1は、QVSKN LESHHGDQMA QKSQSTQISQ ELEELRAEQQ RLKSQDLELS WNLNGLQADL SSFKSQELNE RNEASDLLER LREEVTKLRM ELQVSを含む。この局面の別の態様において、X1は、SQVSKN LESHHGDQMA QKSQSTQISQ ELEELRAEQQ RLKSQDLELS WNLNGLQADL SSFKSQELNE RNEASDLLER LREEVTKLRM ELQVSを含む。この局面の別の態様において、X1は、VSQVSKN LESHHGDQMA QKSQSTQISQ ELEELRAEQQ RLKSQDLELS WNLNGLQADL SSFKSQELNE RNEASDLLER LREEVTKLRM ELQVSを含む。この局面の別の態様において、X1は、NVSQVSKN LESHHGDQMA QKSQSTQISQ ELEELRAEQQ RLKSQDLELS WNLNGLQADL SSFKSQELNE RNEASDLLER LREEVTKLRM ELQVSを含む。この局面の別の態様において、X1は、RNVSQVSKN LESHHGDQMA QKSQSTQISQ ELEELRAEQQ RLKSQDLELS WNLNGLQADL SSFKSQELNE RNEASDLLER LREEVTKLRM ELQVSを含む。この局面の別の態様において、X1は、ARNVSQVSKN LESHHGDQMA QKSQSTQISQ ELEELRAEQQ RLKSQDLELS WNLNGLQADL SSFKSQELNE RNEASDLLER LREEVTKLRM ELQVSを含む。この局面の別の態様において、X1は、A ARNVSQVSKN LESHHGDQMA QKSQSTQISQ ELEELRAEQQ RLKSQDLELS WNLNGLQADL SSFKSQELNE RNEASDLLER LREEVTKLRM ELQVSを含む。この局面の別の態様において、X1は、RA ARNVSQVSKN LESHHGDQMA QKSQSTQISQ ELEELRAEQQ RLKSQDLELS WNLNGLQADL SSFKSQELNE RNEASDLLER LREEVTKLRM ELQVSを含む。この局面の別の態様において、X1は、ERA ARNVSQVSKN LESHHGDQMA QKSQSTQISQ ELEELRAEQQ RLKSQDLELS WNLNGLQADL SSFKSQELNE RNEASDLLER LREEVTKLRM ELQVSを含む。この局面の別の態様において、X1は、EERA ARNVSQVSKN LESHHGDQMA QKSQSTQISQ ELEELRAEQQ RLKSQDLELS WNLNGLQADL SSFKSQELNE RNEASDLLER LREEVTKLRM ELQVSを含む。この局面の別の態様において、X1は、LEERA ARNVSQVSKN LESHHGDQMA QKSQSTQISQ ELEELRAEQQ RLKSQDLELS WNLNGLQADL SSFKSQELNE RNEASDLLER LREEVTKLRM ELQVSを含む。この局面の別の態様において、X1は、QLEERA ARNVSQVSKN LESHHGDQMA QKSQSTQISQ ELEELRAEQQ RLKSQDLELS WNLNGLQADL SSFKSQELNE RNEASDLLER LREEVTKLRM ELQVSを含む。この局面の別の態様において、X1は、KQLEERA ARNVSQVSKN LESHHGDQMA QKSQSTQISQ ELEELRAEQQ RLKSQDLELS WNLNGLQADL SSFKSQELNE RNEASDLLER LREEVTKLRM ELQVSを含む。この局面の別の態様において、X1は、LKQLEERA ARNVSQVSKN LESHHGDQMA QKSQSTQISQ ELEELRAEQQ RLKSQDLELS WNLNGLQADL SSFKSQELNE RNEASDLLER LREEVTKLRM ELQVSを含む。この局面の別の態様において、X1は、SLKQLEERA ARNVSQVSKN LESHHGDQMA QKSQSTQISQ ELEELRAEQQ RLKSQDLELS WNLNGLQADL SSFKSQELNE RNEASDLLER LREEVTKLRM ELQVSを含む。この局面の別の態様において、X1は、QSLKQLEERA ARNVSQVSKN LESHHGDQMA QKSQSTQISQ ELEELRAEQQ RLKSQDLELS WNLNGLQADL SSFKSQELNE RNEASDLLER LREEVTKLRM ELQVSを含む。この局面の別の態様において、X1は、T QSLKQLEERA ARNVSQVSKN LESHHGDQMA QKSQSTQISQ ELEELRAEQQ RLKSQDLELS WNLNGLQADL SSFKSQELNE RNEASDLLER LREEVTKLRM ELQVSを含む。この局面の別の態様において、X1は、TT QSLKQLEERA ARNVSQVSKN LESHHGDQMA QKSQSTQISQ ELEELRAEQQ RLKSQDLELS WNLNGLQADL SSFKSQELNE RNEASDLLER LREEVTKLRM ELQVを含む。この局面の別の態様において、X1は、TT QSLKQLEERA ARNVSQVSKN LESHHGDQMA QKSQSTQISQ ELEELRAEQQ RLKSQDLELS WNLNGLQADL SSFKSQELNE RNEASDLLER LREEVTKLRM ELQを含む。
【0068】
この局面の別の態様において、X1は、TT QSLKQLEERA ARNVSQVSKN LESHHGDQMA QKSQSTQISQ ELEELRAEQQ RLKSQDLELS WNLNGLQADL SSFKSQELNE RNEASDLLER LREEVTKLRM ELを含む。この局面の別の態様において、X1は、TT QSLKQLEERA ARNVSQVSKN LESHHGDQMA QKSQSTQISQ ELEELRAEQQ RLKSQDLELS WNLNGLQADL SSFKSQELNE RNEASDLLER LREEVTKLRM Eを含む。この局面の別の態様において、X1は、TT QSLKQLEERA ARNVSQVSKN LESHHGDQMA QKSQSTQISQ ELEELRAEQQ RLKSQDLELS WNLNGLQADL SSFKSQELNE RNEASDLLER LREEVTKLRMを含む。この局面の別の態様において、X1は、TT QSLKQLEERA ARNVSQVSKN LESHHGDQMA QKSQSTQISQ ELEELRAEQQ RLKSQDLELS WNLNGLQADL SSFKSQELNE RNEASDLLER LREEVTKLRを含む。この局面の別の態様において、X1は、TT QSLKQLEERA ARNVSQVSKN LESHHGDQMA QKSQSTQISQ ELEELRAEQQ RLKSQDLELS WNLNGLQADL SSFKSQELNE RNEASDLLER LREEVTKLを含む。この局面の別の態様において、X1は、TT QSLKQLEERA ARNVSQVSKN LESHHGDQMA QKSQSTQISQ ELEELRAEQQ RLKSQDLELS WNLNGLQADL SSFKSQELNE RNEASDLLER LREEVTKを含む。この局面の別の態様において、X1は、TT QSLKQLEERA ARNVSQVSKN LESHHGDQMA QKSQSTQISQ ELEELRAEQQ RLKSQDLELS WNLNGLQADL SSFKSQELNE RNEASDLLER LREEVTを含む。この局面の別の態様において、X1は、TT QSLKQLEERA ARNVSQVSKN LESHHGDQMA QKSQSTQISQ ELEELRAEQQ RLKSQDLELS WNLNGLQADL SSFKSQELNE RNEASDLLER LREEVを含む。この局面の別の態様において、X1は、TT QSLKQLEERA ARNVSQVSKN LESHHGDQMA QKSQSTQISQ ELEELRAEQQ RLKSQDLELS WNLNGLQADL SSFKSQELNE RNEASDLLER LREEを含む。この局面の別の態様において、X1は、TT QSLKQLEERA ARNVSQVSKN LESHHGDQMA QKSQSTQISQ ELEELRAEQQ RLKSQDLELS WNLNGLQADL SSFKSQELNE RNEASDLLER LREを含む。この局面の別の態様において、X1は、TT QSLKQLEERA ARNVSQVSKN LESHHGDQMA QKSQSTQISQ ELEELRAEQQ RLKSQDLELS WNLNGLQADL SSFKSQELNE RNEASDLLER LRを含む。この局面の別の態様において、X1は、TT QSLKQLEERA ARNVSQVSKN LESHHGDQMA QKSQSTQISQ ELEELRAEQQ RLKSQDLELS WNLNGLQADL SSFKSQELNE RNEASDLLER Lを含む。この局面の別の態様において、X1は、TT QSLKQLEERA ARNVSQVSKN LESHHGDQMA QKSQSTQISQ ELEELRAEQQ RLKSQDLELS WNLNGLQADL SSFKSQELNE RNEASDLLERを含む。この局面の別の態様において、X1は、TT QSLKQLEERA ARNVSQVSKN LESHHGDQMA QKSQSTQISQ ELEELRAEQQ RLKSQDLELS WNLNGLQADL SSFKSQELNE RNEASDLLEを含む。この局面の別の態様において、X1は、TT QSLKQLEERA ARNVSQVSKN LESHHGDQMA QKSQSTQISQ ELEELRAEQQ RLKSQDLELS WNLNGLQADL SSFKSQELNE RNEASDLLを含む。この局面の別の態様において、X1は、TT QSLKQLEERA ARNVSQVSKN LESHHGDQMA QKSQSTQISQ ELEELRAEQQ RLKSQDLELS WNLNGLQADL SSFKSQELNE RNEASDLを含む。この局面の別の態様において、X1は、TT QSLKQLEERA ARNVSQVSKN LESHHGDQMA QKSQSTQISQ ELEELRAEQQ RLKSQDLELS WNLNGLQADL SSFKSQELNE RNEASDを含む。この局面の別の態様において、X1は、TT QSLKQLEERA ARNVSQVSKN LESHHGDQMA QKSQSTQISQ ELEELRAEQQ RLKSQDLELS WNLNGLQADL SSFKSQELNE RNEASを含む。この局面の別の態様において、X1は、TT QSLKQLEERA ARNVSQVSKN LESHHGDQMA QKSQSTQISQ ELEELRAEQQ RLKSQDLELS WNLNGLQADL SSFKSQELNE RNEAを含む。この局面の別の態様において、X1は、TT QSLKQLEERA ARNVSQVSKN LESHHGDQMA QKSQSTQISQ ELEELRAEQQ RLKSQDLELS WNLNGLQADL SSFKSQELNE RNEを含む。この局面の別の態様において、X1は、TT QSLKQLEERA ARNVSQVSKN LESHHGDQMA QKSQSTQISQ ELEELRAEQQ RLKSQDLELS WNLNGLQADL SSFKSQELNE RNを含む。この局面の別の態様において、X1は、TT QSLKQLEERA ARNVSQVSKN LESHHGDQMA QKSQSTQISQ ELEELRAEQQ RLKSQDLELS WNLNGLQADL SSFKSQELNE Rを含む。この局面の別の態様において、X1は、TT QSLKQLEERA ARNVSQVSKN LESHHGDQMA QKSQSTQISQ ELEELRAEQQ RLKSQDLELS WNLNGLQADL SSFKSQELNEを含む。この局面の別の態様において、X1は、TT QSLKQLEERA ARNVSQVSKN LESHHGDQMA QKSQSTQISQ ELEELRAEQQ RLKSQDLELS WNLNGLQADL SSFKSQELNを含む。この局面の別の態様において、X1は、TT QSLKQLEERA ARNVSQVSKN LESHHGDQMA QKSQSTQISQ ELEELRAEQQ RLKSQDLELS WNLNGLQADL SSFKSQELを含む。この局面の別の態様において、X1は、TT QSLKQLEERA ARNVSQVSKN LESHHGDQMA QKSQSTQISQ ELEELRAEQQ RLKSQDLELS WNLNGLQADL SSFKSQEを含む。この局面の別の態様において、X1は、TT QSLKQLEERA ARNVSQVSKN LESHHGDQMA QKSQSTQISQ ELEELRAEQQ RLKSQDLELS WNLNGLQADL SSFKSQを含む。この局面の別の態様において、X1は、TT QSLKQLEERA ARNVSQVSKN LESHHGDQMA QKSQSTQISQ ELEELRAEQQ RLKSQDLELS WNLNGLQADL SSFKSを含む。この局面の別の態様において、X1は、TT QSLKQLEERA ARNVSQVSKN LESHHGDQMA QKSQSTQISQ ELEELRAEQQ RLKSQDLELS WNLNGLQADL SSFKを含む。この局面の別の態様において、X1は、TT QSLKQLEERA ARNVSQVSKN LESHHGDQMA QKSQSTQISQ ELEELRAEQQ RLKSQDLELS WNLNGLQADL SSFを含む。この局面の別の態様において、X1は、TT QSLKQLEERA ARNVSQVSKN LESHHGDQMA QKSQSTQISQ ELEELRAEQQ RLKSQDLELS WNLNGLQADL SSを含む。この局面の別の態様において、X1は、TT QSLKQLEERA ARNVSQVSKN LESHHGDQMA QKSQSTQISQ ELEELRAEQQ RLKSQDLELS WNLNGLQADL Sを含む。この局面の別の態様において、X1は、TT QSLKQLEERA ARNVSQVSKN LESHHGDQMA QKSQSTQISQ ELEELRAEQQ RLKSQDLELS WNLNGLQADLを含む。この局面の別の態様において、X1は、TT QSLKQLEERA ARNVSQVSKN LESHHGDQMA QKSQSTQISQ ELEELRAEQQ RLKSQDLELS WNLNGLQADを含む。この局面の別の態様においてX1は、TT QSLKQLEERA ARNVSQVSKN LESHHGDQMA QKSQSTQISQ ELEELRAEQQ RLKSQDLELS WNLNGLQAを含む。この局面の別の態様において、X1は、TT QSLKQLEERA ARNVSQVSKN LESHHGDQMA QKSQSTQISQ ELEELRAEQQ RLKSQDLELS WNLNGLQを含む。この局面の別の態様において、X1は、TT QSLKQLEERA ARNVSQVSKN LESHHGDQMA QKSQSTQISQ ELEELRAEQQ RLKSQDLELS WNLNGLを含む。この局面の別の態様において、X1は、TT QSLKQLEERA ARNVSQVSKN LESHHGDQMA QKSQSTQISQ ELEELRAEQQ RLKSQDLELS WNLNGを含む。この局面の別の態様において、X1は、TT QSLKQLEERA ARNVSQVSKN LESHHGDQMA QKSQSTQISQ ELEELRAEQQ RLKSQDLELS WNLNを含む。この局面の別の態様において、X1は、TT QSLKQLEERA ARNVSQVSKN LESHHGDQMA QKSQSTQISQ ELEELRAEQQ RLKSQDLELS WNLを含む。この局面の別の態様において、X1は、TT QSLKQLEERA ARNVSQVSKN LESHHGDQMA QKSQSTQISQ ELEELRAEQQ RLKSQDLELS WNを含む。この局面の別の態様において、X1は、TT QSLKQLEERA ARNVSQVSKN LESHHGDQMA QKSQSTQISQ ELEELRAEQQ RLKSQDLELS Wを含む。この局面の別の態様において、X1は、TT QSLKQLEERA ARNVSQVSKN LESHHGDQMA QKSQSTQISQ ELEELRAEQQ RLKSQDLELSを含む。この局面の別の態様において、X1は、TT QSLKQLEERA ARNVSQVSKN LESHHGDQMA QKSQSTQISQ ELEELRAEQQ RLKSQDLELを含む。この局面の別の態様において、X1は、TT QSLKQLEERA ARNVSQVSKN LESHHGDQMA QKSQSTQISQ ELEELRAEQQ RLKSQDLEを含む。この局面の別の態様において、X1は、TT QSLKQLEERA ARNVSQVSKN LESHHGDQMA QKSQSTQISQ ELEELRAEQQ RLKSQDLを含む。この局面の別の態様において、X1は、TT QSLKQLEERA ARNVSQVSKN LESHHGDQMA QKSQSTQISQ ELEELRAEQQ RLKSQDを含む。この局面の別の態様において、X1は、TT QSLKQLEERA ARNVSQVSKN LESHHGDQMA QKSQSTQISQ ELEELRAEQQ RLKSQを含む。この局面の別の態様において、X1は、TT QSLKQLEERA ARNVSQVSKN LESHHGDQMA QKSQSTQISQ ELEELRAEQQ RLKSを含む。この局面の別の態様において、X1は、TT QSLKQLEERA ARNVSQVSKN LESHHGDQMA QKSQSTQISQ ELEELRAEQQ RLKを含む。この局面の別の態様において、X1は、TT QSLKQLEERA ARNVSQVSKN LESHHGDQMA QKSQSTQISQ ELEELRAEQQ RLを含む。この局面の別の態様において、X1は、TT QSLKQLEERA ARNVSQVSKN LESHHGDQMA QKSQSTQISQ ELEELRAEQQ Rを含む。この局面の別の態様において、X1は、TT QSLKQLEERA ARNVSQVSKN LESHHGDQMA QKSQSTQISQ ELEELRAEQQを含む。この局面の別の態様において、X1は、TT QSLKQLEERA ARNVSQVSKN LESHHGDQMA QKSQSTQISQ ELEELRAEQを含む。この局面の別の態様において、X1は、TT QSLKQLEERA ARNVSQVSKN LESHHGDQMA QKSQSTQISQ ELEELRAEを含む。この局面の別の態様において、X1は、TT QSLKQLEERA ARNVSQVSKN LESHHGDQMA QKSQSTQISQ ELEELRAを含む。この局面の別の態様において、X1は、TT QSLKQLEERA ARNVSQVSKN LESHHGDQMA QKSQSTQISQ ELEELRを含む。この局面の別の態様において、X1は、TT QSLKQLEERA ARNVSQVSKN LESHHGDQMA QKSQSTQISQ ELEELを含む。この局面の別の態様において、X1は、TT QSLKQLEERA ARNVSQVSKN LESHHGDQMA QKSQSTQISQ ELEEを含む。この局面の別の態様において、X1は、TT QSLKQLEERA ARNVSQVSKN LESHHGDQMA QKSQSTQISQ ELEを含む。この局面の別の態様において、X1は、TT QSLKQLEERA ARNVSQVSKN LESHHGDQMA QKSQSTQISQ ELを含む。この局面の別の態様において、X1は、TT QSLKQLEERA ARNVSQVSKN LESHHGDQMA QKSQSTQISQ Eを含む。この局面の別の態様において、X1は、TT QSLKQLEERA ARNVSQVSKN LESHHGDQMA QKSQSTQISQを含む。この局面の別の態様において、X1は、TT QSLKQLEERA ARNVSQVSKN LESHHGDQMA QKSQSTQISを含む。この局面の別の態様において、X1は、TT QSLKQLEERA ARNVSQVSKN LESHHGDQMA QKSQSTQIを含む。この局面の別の態様において、X1は、TT QSLKQLEERA ARNVSQVSKN LESHHGDQMA QKSQSTQを含む。この局面の別の態様において、X1は、TT QSLKQLEERA ARNVSQVSKN LESHHGDQMA QKSQSTを含む。この局面の別の態様において、X1は、TT QSLKQLEERA ARNVSQVSKN LESHHGDQMA QKSQSを含む。この局面の別の態様において、X1は、TT QSLKQLEERA ARNVSQVSKN LESHHGDQMA QKSQを含む。この局面の別の態様において、X1は、TT QSLKQLEERA ARNVSQVSKN LESHHGDQMA QKSを含む。この局面の別の態様において、X1は、TT QSLKQLEERA ARNVSQVSKN LESHHGDQMA QKを含む。この局面の別の態様において、X1は、TT QSLKQLEERA ARNVSQVSKN LESHHGDQMA Qを含む。この局面の別の態様において、X1は、TT QSLKQLEERA ARNVSQVSKN LESHHGDQMAを含む。この局面の別の態様において、X1は、TT QSLKQLEERA ARNVSQVSKN LESHHGDQMA Qを含む。この局面の別の態様において、X1は、TT QSLKQLEERA ARNVSQVSKN LESHHGDQMを含む。この局面の別の態様において、X1は、TT QSLKQLEERA ARNVSQVSKN LESHHGDQMA Qを含む。この局面の別の態様において、X1は、TT QSLKQLEERA ARNVSQVSKN LESHHGDQMを含む。この局面の別の態様において、X1は、TT QSLKQLEERA ARNVSQVSKN LESHHGDQを含む。この局面の別の態様において、X1は、TT QSLKQLEERA ARNVSQVSKN LESHHGDを含む。この局面の別の態様において、X1は、TT QSLKQLEERA ARNVSQVSKN LESHHGDQMA Qを含む。この局面の別の態様において、X1は、TT QSLKQLEERA ARNVSQVSKN LESHHGを含む。この局面の別の態様において、X1は、TT QSLKQLEERA ARNVSQVSKN LESHHGDQMA Qを含む。この局面の別の態様において、X1は、TT QSLKQLEERA ARNVSQVSKN LESHHを含む。この局面の別の態様にお
いて、X1は、TT QSLKQLEERA ARNVSQVSKN LESHを含む。この局面の別の態様において、X1は、TT QSLKQLEERA ARNVSQVSKN LESを含む。この局面の別の態様において、X1は、TT QSLKQLEERA ARNVSQVSKN LEを含む。この局面の別の態様において、X1は、TT QSLKQLEERA ARNVSQVSKN Lを含む。この局面の別の態様において、X1は、TT QSLKQLEERA ARNVSQVSKNを含む。この局面の別の態様において、X1は、TT QSLKQLEERA ARNVSQVSKを含む。この局面の別の態様において、X1は、TT QSLKQLEERA ARNVSQVSを含む。この局面の別の態様において、X1は、TT QSLKQLEERA ARNVSQVを含む。この局面の別の態様において、X1は、TT QSLKQLEERA ARNVSQを含む。この局面の別の態様において、X1は、TT QSLKQLEERA ARNVSを含む。この局面の別の態様において、X1は、TT QSLKQLEERA ARNVを含む。この局面の別の態様において、X1は、TT QSLKQLEERA ARNを含む。この局面の別の態様において、X1は、TT QSLKQLEERA ARを含む。この局面の別の態様において、X1は、TT QSLKQLEERA Aを含む。この局面の別の態様において、X1は、TT QSLKQLEERAを含む。この局面の別の態様において、X1は、TT QSLKQLEERを含む。
【0069】
いくつかの態様において、表1に記載される保存的アミノ酸置換が許容される。
【0070】
別の局面において、化合物は式R0-X2を有し、式中R0は、SEQ ID NO:4(または例えばD107E変異を有するSEQ ID NO:4などのその誘導体)を含み、X2は、SEGSAEを含む。この局面の1つの態様において、X2は、アミノ酸配列AEを含む。この局面の別の態様において、X2はEGSAEを含む。この局面の別の態様において、X2はGSAEを含む。この局面の別の態様において、X2はSAEを含む。この局面の別の態様において、X2はEを含む。この局面の他の態様において、X2は、-CONH2、-COOH、NH2、C1-C10アルキルアミノ、ジ(C1-C10アルキル)アミノ、アミノ-C1-C10アルキルアミノ、またはジ(アミノC1-C10アルキル)アミノ、nが1から8であるNH(CH2)nNH、または-OHでありうる。この局面の別の態様において、
【0071】
上記の局面の別の態様において、R0(SEQ ID NO:4)の107番目の位置のDは、Eに改変されている。先に記述した局面の他の態様において、化合物は、X1とR0のあいだまたはX2とR0のあいだに少なくとも1つの追加のRn基(例えば、R1、R2、R3、R4、R5、R6等)を含み、式中Rnはいかなる天然のL-アミノ酸、Pal、αNal、βNal、DpCl、シクロヘキシルであるCHx、CHxAla、またはそのそれぞれのD-異性体;ハロゲン、ジイソブチルアミド、ジプロピルアミド、ブチルアミド、ペンチルアミド、ジペンチルアミド、DPro、DPro-DPro、DVal、またはDTrpを含む。1つの態様において、化合物は、式X1-R0-X2を有し、式中X1、R0、およびX2は、先に記述したとおりである。X1およびX2は、表1に記載される保存的アミノ酸置換を有することができる。R0も同様に、表1に記載される置換を有することができる。化合物はまた、式R0を有することができる。1つの態様において、化合物は、SEQ ID NO:4の107番目/sCD23(SEQ ID NO:3)の258番目でアミノ酸置換を有する式R0、例えば式SEQ ID NO:2のポリペプチドを含む。D残基を、いかなる天然のL-アミノ酸、D-アミノ酸、または当技術分野において公知のアミノ酸アナログの代わりに用いることができる。1つの態様において、SEQ ID NO:3の258番目のD残基(強調された残基)はE残基に置換される。以下に開示されるように、これらの化合物をPEG化することができる。
【0072】
同様に、本明細書において、sCD23ペプチドまたはポリペプチドの保存的アミノ酸置換が企図される。「保存的アミノ酸置換」という用語は、当技術分野において周知であり、これは特定のアミノ酸を類似の特徴(例えば、類似の電荷または疎水性、類似のかさ)を有するアミノ酸に置換することに関連する。例には、グルタミン酸の代わりにアスパラギン酸を用いること、ロイシンの代わりにイソロイシンを用いることが挙げられる。例示的な保存的アミノ酸置換の一覧を以下の表に与える。保存的置換変異体またはバリアントは、1)親配列と比較して保存的アミノ酸置換のみを有する、2)親配列と比較して少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の同一性、96%の同一性、97%の同一性、98%の同一性、または99%もしくはそれより多くの同一性を有する、および3)本明細書においてその用語を定義する通りのsCD23活性(例えば、IgE結合活性)を保持すると考えられる。
【0073】
(表1)保存的アミノ酸置換


【0074】
sCD23ペプチド、ポリペプチド、またはそのバリアントもしくは誘導体は、例えば液相もしくは固相ペプチド合成によって、またはDugas et al (1981)によって記述された、従来の液相法を通して結合させたタンパク質断片で開始する液相中での半合成によって、化学的に産生することができる。または、sCD23ペプチドまたはポリペプチドは、例えば組換え法を用いて合成することができる。
【0075】
sCD23ペプチドまたはポリペプチドは、例えば、Merrifield et al (1964)の固相ペプチド合成によって化学合成することができる。または、ペプチドまたはポリペプチドは、標準的な液相法を用いて合成することができる(例えば、Bodanszky, 1984を参照されたい)。新たに合成されたペプチドは、例えば高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって精製することができ、例えば質量分析またはアミノ酸配列分析を用いて特徴付けすることができる。
【0076】
1つの態様において、sCD23ペプチドまたはポリペプチドは、組換えによって産生される。本明細書において記述される方法および組成物で有用なポリペプチドをクローニングおよび発現させるためのシステムには、組換え技術において周知である様々な微生物および細胞が挙げられる。これらには、例えば大腸菌(E. coli)、バチルス(Bacillus)、ストレプトミセス(Streptomyces)、およびサッカロミセス(Saccharomyces)の様々な株、ならびに哺乳動物、酵母、および昆虫細胞が挙げられる。sCD23ペプチドまたはポリペプチドは、ペプチドまたは融合タンパク質として産生することができる。ペプチドおよびポリペプチドを産生するのに適したベクターは公知であり、私立および公立の研究所、ならびに寄託所および販売元から入手可能である。Sambrook et al, (1989)を参照されたい。次に、遺伝子産物を発現することができるレシピエント細胞をトランスフェクトする。トランスフェクトされたレシピエント細胞を、組換え遺伝子産物の発現を許容する条件下で培養して、これらを培養物から回収する。チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)またはCOS-1細胞などの宿主哺乳動物細胞を用いることができる。これらの宿主は、ワクシニアまたは豚痘などのポックスウイルスベクターに関連して用いることができる。合成遺伝子を宿主の細胞に運ぶように操作することができる適切な非病原性ウイルスには、ワクシニアなどのポックスウイルス、アデノウイルス、レトロウイルス等が挙げられる。そのような多数の非病原性ウイルスが、ヒト遺伝子治療のために、および他のワクチン物質の担体として一般的に用いられ、当業者に公知であり、当業者によって選択可能である。他の適切な宿主細胞、ならびに形質転換法、培養法、増幅法、スクリーニング法、および産物の産生法および精製法の選択は、公知の技術(例えば、Gething et al., 1981を参照されたい)を参照することによって当業者によって行うことができる。
【0077】
ネイティブCD23は、IgEの高親和性結合を可能にするホモ三量体である。いくつかの態様において、本明細書において用いられるsCD23化合物は、ホモ二量体、ホモ三量体、ホモ多量体、ヘテロ二量体、ヘテロ三量体、またはヘテロ多量体であると本明細書において企図される。
【0078】
他の態様において、本明細書において用いられるsCD23化合物は単量体である。
【0079】
1つの態様において、sCD23ペプチドまたはポリペプチドは、単離および/または精製される。タンパク質の精製技術は当業者に周知である。これらの技術は、1つのレベルで細胞、組織または臓器のホモジナイゼーション、ならびにポリペプチドおよび非ポリペプチド画分への粗分画を伴う。関心対象のsCD23ペプチドまたはポリペプチドを、クロマトグラフィーおよび電気泳動技術を用いてさらに精製して、部分的または完全な精製(または均一になるまで精製)を達成してもよい。純粋なペプチドまたはポリペプチドの調製に特にふさわしい分析法は、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル排除クロマトグラフィー、ポリアクリルアミドゲル電気泳動、アフィニティクロマトグラフィー、イムノアフィニティクロマトグラフィー、および等電点電気泳動である。アフィニティクロマトグラフィーによる受容体タンパク質精製の例は、その全内容が参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第5,206,347号に開示されている。ペプチド/ポリペプチドを精製する特に効率的な方法は、高速性能液体クロマトグラフィー(FPLC)、または高速液体クロマトグラフィー(HPLC)である。
【0080】
精製sCD23ペプチド/ポリペプチドとは、他の成分から単離可能な組成物を指すと意図され、sCD23ペプチド/ポリペプチドは、組換えタンパク質を産生する生物またはその天然で得ることができる状態と比較して、任意の程度まで精製される。それゆえに、単離または精製されたペプチドまたはポリペプチドはまた、それが天然に存在しうる環境から離れたペプチド/ポリペプチドも指す。一般的に、「精製された」とは、様々な他の成分を除去するために分画に供されていて、その発現される生物活性を実質的に保持しているsCD23ペプチド/ポリペプチド組成物を指す。「実質的に精製された」という用語を用いる場合、この呼称は、sCD23ペプチド/ポリペプチドが、組成物におけるタンパク質の約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、またはそれより多くを構成するような組成物の主成分を形成する組成物を指す。
【0081】
sCD23ペプチド/ポリペプチドの精製の程度を定量するための様々な方法が当業者に公知であり、これは、例えば活性画分の比活性を決定すること、またはSDS/PAGE分析によって画分内のポリペプチド量を評価することを含む。
【0082】
タンパク質精製において用いるのに適した様々な技術が当業者に公知であり、これには、例えば硫酸アンモニウム、ポリエチレングリコール(PEG)、抗体等による沈殿、または熱変性の後の遠心;イオン交換、ゲル濾過、逆相、ヒドロキシアパタイト、およびアフィニティクロマトグラフィーなどのクロマトグラフィー段階;等電点電気泳動;ゲル電気泳動;ならびにこれらおよび他の技術の組み合わせが挙げられる。当技術分野において一般的に公知であるように、様々な精製段階を行う順序を変更してもよく、またはある段階を省略してもよく、それでもなお実質的に精製されたタンパク質またはペプチドの調製に適した方法が得られると考えられる。
【0083】
sCD23ペプチドまたはポリペプチドが、最も精製された状態で提供されることは、一般的な要件ではない。実際には、あまり精製されていない産物が、ある態様において有用性を有すると企図される。より少ない精製段階を組み合わせて用いて、または同じ一般的な精製スキームの異なる形を利用することによって、部分精製を行ってもよい。例えば、HPLC装置を利用して行われる陽イオン交換カラムクロマトグラフィーは、一般的に、低圧クロマトグラフィーシステムを利用する同じ技術よりも大きい「倍率」の精製が得られると認識される。より低い程度の相対的精製を示す方法は、タンパク質産物の総回収率または発現されるタンパク質の活性の維持という点において長所を有しうる。
【0084】
アフィニティクロマトグラフィーは、単離されるべき物質と、それが特異的に結合することができる(例えば、受容体-リガンド相互作用)分子とのあいだの特異的親和性に依存するクロマトグラフィー技法である。カラム材料は結合パートナーの1つを不溶性のマトリクスに共有結合により結合させることによって合成される。次に、カラム材料は、溶液から物質を特異的に吸着させることができる。溶出は、条件を結合が起こらない条件(例えば、変化させたpH、イオン強度、温度等)に変化させることによって起こる。マトリクスは、それ自身、いかなる有意な程度にも分子を吸着せず、広範囲の化学的、物理的、および熱安定性を有する物質であるべきである。リガンドは、その結合特性に影響を及ぼさないように結合されるべきである。リガンドはまた、比較的堅固な結合を提供すべきである。およびリガンドは、試料またはリガンドを破壊することなく、物質を溶出させることが可能であるべきである。
【0085】
ペプチド、ポリペプチド、およびその改変
IgEを隔離するために機能的なsCD23ペプチド/ポリペプチドを、それを必要とする対象に直接投与することができる。1つのアプローチにおいて、例えば組換えsCD23発現ベクターを有する培養細胞において産生されたsCD23ペプチドまたはポリペプチドを、対象に投与することができる。sCD23化合物は一般的に、対象における過剰なIgEの部位に、静脈内、または直接、例えば吸入によって投与される。このアプローチは、タンパク質を肺に急速に送達して、送達時にタンパク質が無傷のままである機会を最大限にする。本明細書において記述されるsCD23ペプチド/ポリペプチドの送達に関するさらなる選択肢は、本明細書において以下の「薬学的組成物」の章で考察される。
【0086】
1つの態様において、タンパク質またはその断片は、その生物学的利用率を増強するために担体に連結される。そのような担体は当技術分野において公知であり、これにはポリエチレングリコール(PEG)などのポリ(アルキル)グリコールが挙げられる。血清アルブミンとの融合も同様に、治療ポリペプチドの血清半減期を増加させることができる。
【0087】
sCD23コード配列を形質導入するためのベクターは、当技術分野において周知である。CMVプロモーターなどの強い非特異的プロモーターを用いた過剰発現を用いることができるが、発現構築物に組織または細胞タイプ特異的プロモーターを含めることが有益でありえ、例えば免疫細胞特異的プロモーター(例えば、インターロイキンプロモーターまたはTNF-αプロモーター)または他の細胞タイプ特異的プロモーターを用いることは、どの細胞タイプが宿主として用いられるかに応じて有利でありうる。さらに、処置は、感染宿主細胞においてsCD23ペプチドまたはポリペプチドの発現を駆動するウイルスベクターの投与を含むことができる。ウイルスベクターは当業者に周知である。
【0088】
ベクターは、本発明の方法において用いるために容易に適合される。機能的に連結したsCD23コード核酸セグメントを、選択された発現/送達ベクターに挿入するために、組換えDNA/分子生物学技術を用いた適切な操作により、本明細書において記述される方法を実践するための多くの同等のベクターを生成することができる。クローニングされた遺伝子を、タンパク質のアミノ酸配列を変化させるように操作することができることは、当業者によって認識されるであろう。
【0089】
sCD23ペプチドまたはポリペプチドはまた、例えば所望の位置に産物を標的化するポリペプチドと融合された、または例えば望ましければその精製を促進するタグと融合された融合ペプチド/ポリペプチドでありうる。sCD23化合物の安定性を増加させるポリペプチド配列との融合も同様に企図される。例えば、血清タンパク質、例えば血清アルブミンとの融合は、sCD23ペプチドまたはポリペプチドの血液中の半減期を増加させることができる。タグおよび融合パートナーは、望ましければ切断可能であるように設計することができる。具体的に企図される別の改変は、ポリマーとの接着、例えば共有結合による接着である。1つの局面において、ポリエチレングリコール(PEG)またはメトキシポリエチレングリコール(mPEG)などのポリマーは、それとコンジュゲートされるタンパク質のインビボ半減期を増加させることができる。ポリペプチド物質をPEG化する方法は、例えば用いるPEGポリマーがどれほど大きいかの検討と同様に、当業者に周知である。別の局面において、生物学的分解性または吸収性ポリマーは、ポリペプチド物質の持続的な、しばしば限局的な放出を提供することができる。タンパク質を数週間または数ヶ月にわたって放出しうるそのような合成の生物学的吸収性で生物学的適合性のポリマーには、例えばポリ-α-ヒドロキシ酸(例えば、ポリラクチド、ポリグリコリド、およびそれらのコポリマー)、ポリアンヒドリド、ポリオルトエステル、ポリエチレングリコールおよびポリブチレンテレフタレートのセグメント化ブロックコポリマー(POLYACTIVE(商標))、チロシン誘導体ポリマーまたはポリ(エステル-アミド)を挙げることができる。薬物送達材料およびインプラントの製造において用いられる適切な生物学的吸収性のポリマーは、例えば、とりわけ米国特許第4,968,317号;第5,618,563号、および"Biomedical Polymers" edited by S. W. Shalaby, Carl Hanser Verlag, Munich, Vienna, New York, 1994、ならびに上記の刊行物において引用された多くの参考文献において考察されている。選択されるべき特定の生物学的吸収性のポリマーは、処置される特定の対象に依存すると考えられる。
【0090】
1つの態様において、sCD23ペプチド/ポリペプチドは、塩および/または化学誘導体を含めるように改変される。本明細書において用いられる「化学誘導体」という用語は、機能的側鎖基の反応によって化学的に誘導体化された1つまたは複数の残基を有するsCD23ペプチドまたはポリペプチドを指す。そのような誘導体化分子には、例えば遊離のアミノ基が誘導体化されてアミン塩酸塩を形成する分子、p-トルエンスルホニル基、カルボベンゾキシ基、t-ブチルオキシカルボニル基、クロロアセチル基、またはホルミル基を挙げることができる。遊離のカルボキシル基を誘導体化して、塩、メチルおよびエチルエステル、または他のタイプのエステルもしくはヒドラジドを形成してもよい。遊離のヒドロキシル基を誘導体化して、O-アシルまたはO-アルキル誘導体を形成してもよい。同様に、20個の標準的なアミノ酸の1つまたは複数の天然に存在するアミノ酸誘導体を含有するsCD23ペプチドまたはポリペプチドも、化学誘導体として含められる。例えば、4-ヒドロキシプロリンをプロリンの代わりに用いてもよく;5-ヒドロキシリジンをリジンの代わりに用いてもよく;3-メチルヒスチジンをヒスチジンの代わりに用いてもよく;ホモセリンをセリンの代わりに用いてもよく;およびオルニチンをリジンの代わりに用いてもよい。
【0091】
別の態様において、sCD23ペプチドまたはポリペプチドは、溶液中での安定性を増加するように改変され、それゆえに、血中のタンパク質分解活性を遮断することによって、溶液、具体的には血液、血漿、または血清などの生物学的液体中でのペプチド/ポリペプチド阻害剤の半減期を延長するために役立つ。sCD23ペプチド/ポリペプチドは、例えばアミド、アセチル、ベンジル、フェニル、トシル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニル、ベンジルオキシカルボニル等の末端基改変を含む安定化基を1つまたは両方の末端で有することができる。追加の改変には、末端での「D」アミノ酸の代わりに「L」アミノ酸、ペプチド阻害剤の環状化、エキソペプチダーゼ活性を阻害するためにアミノまたはカルボキシ末端よりむしろアミドを用いることが挙げられる。
【0092】
本明細書において用いられるsCD23ペプチド/ポリペプチドは、グリコシル化されてもよく、またはされなくてもよい。sCD23ペプチド/ポリペプチドは、例えば合成技術によって直接産生される場合、または組換えポリヌクレオチドによって形質転換された原核細胞において産生される場合にはグリコシル化されない。真核細胞発現系(例えば、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)に基づく発現系、例えばSf9昆虫細胞を利用するバキュロウイルスに基づく発現系、および哺乳動物発現系などの)において産生されるペプチドまたはポリペプチド分子は、典型的にグリコシル化される。
【0093】
1つの態様において、sCD23ペプチド/ポリペプチドは、拘束された二次コンフォメーションで維持される。「拘束された二次構造」、「安定化された」、および「コンフォメーション的に安定化された」という用語は、ペプチドまたはポリペプチドを含む結合が、自由に回転することはできないが、代わりに相対的に固定された構造で維持されることを示す。新たに合成された直鎖状のペプチドの二次構造を拘束する方法は、当技術分野において周知のあらゆる様々な方法を用いてペプチドを環状化することである。例えば、環状化されたsCD23ペプチドは、例えばSchiller et al. (1985)によって記述されるように非隣接アミノ酸残基のあいだにペプチド結合を形成することによって調製することができる。ペプチドは、Nα-Fmocアミノ酸ならびにBocおよび三級ブチルタンパク質を用いて直鎖状のペプチド鎖を組み立てることによって、Merrifield樹脂上で合成することができる。樹脂からペプチドを放出した後、アミノ末端とカルボキシ末端とのあいだにペプチド結合を形成することができる。
【0094】
新たに合成された直鎖状のペプチドまたはポリペプチドはまた、反応性アミノ酸側鎖のあいだに結合を形成することによって環状化することができる。例えば、システイン対を含有するペプチドを合成することができ、K3Fe(CN)6によってペプチドの希釈水溶液を酸化することによってジスルフィド架橋を形成することができる。または、ε-(γ-グルタミル)リジン結合などのラクタムをリジン残基とグルタミン酸残基のあいだに形成することができ、リジノノルロイシン結合をリジン残基とロイシン残基のあいだに形成することができ、またはジチロシン結合を2つのチロシン残基のあいだに形成することができる。環状ペプチドを、例えば4つのリジン残基を含有するように構築することができ、デスモシンの複素環構造を形成することができる(例えば、Devlin, 1997を参照されたい)。これらおよび他の結合を形成する方法は当技術分野において周知であり、化学反応性の周知の規則に基づく(Morrison et al., 1992)。
【0095】
1つの態様において、sCD23ペプチドまたはポリペプチド(例えば、単離されたペプチド、合成ペプチド、または組換えペプチド)は、高分子複合体に付着する、または封入される、または被覆される。高分子複合体は、ウイルス、バクテリオファージ、細菌、リポソーム、微粒子、標的化配列、ナノ粒子(例えば、金ナノ粒子)、磁気ビーズ、酵母細胞、哺乳動物細胞、細胞、またはマイクロデバイスでありうるが、これらに限定されるわけではない。これらは、代表的な例に過ぎず、本明細書に記述される方法および組成物の範囲に含まれる高分子複合体は、ペプチド/ポリペプチドに付着するまたはそれらを封入することができて、対象に投与することができる実質的にいかなるウイルス複合体も含みうる。
【0096】
望ましければ、単離されたsCD23ペプチド/ポリペプチドを、精製のために、例えば磁気ビーズ、セファロースビーズ、アガロースビーズ、ニトロセルロースメンブレン、ナイロンメンブレン、カラムクロマトグラフィーマトリクス、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)マトリクスまたは高速性能液体クロマトグラフィー(FPLC)マトリクスなどの固相支持体に付着させることができる。1つの態様において、単離されたsCD23ペプチド/ポリペプチドを、アレルギー応答部位にsCD23ペプチドを局所的および/または持続的に送達するために、足場または他のデバイスに付着させることができる。
【0097】
1つの態様において、sCD23ペプチド/ポリペプチドは、融合タンパク質を含む。これらの分子は一般的に、N末端またはC末端で第二のポリペプチドまたはタンパク質の全てまたは一部分に連結された、sCD23ペプチドの全てまたは実質的な部分を有する。例えば、融合体は、異種宿主においてタンパク質を組換え発現させるために、他の種からのリーダー配列を使用してもよい。別の有用な融合体は、融合タンパク質の精製を促進するために、抗体エピトープなどの免疫学的に活性なドメインの付加を含む。融合体接合部またはその付近で切断部位を含めることは、精製後の無関係なポリペプチドの除去を容易にすると考えられる。他の有用な融合体は、例えば酵素の活性部位、グリコシル化ドメイン、細胞標的化シグナル、または膜貫通領域などの機能的ドメインの連結を含む。
【0098】
本明細書において記述される融合タンパク質は、第二の治療タンパク質またはペプチドに連結されたsCD23ペプチドまたはポリペプチドを含みうる。融合タンパク質に組み入れられうるタンパク質またはペプチドの例には、細胞増殖抑制性タンパク質、細胞破壊性タンパク質、アポトーシス促進剤、抗アポトーシス剤、ホルモン、サイトカイン、増殖因子、ペプチド薬、抗体、Fab断片抗体、抗原、受容体タンパク質、酵素、レクチン、MHCタンパク質、細胞接着タンパク質、および結合タンパク質が挙げられるがこれらに限定されるわけではない。これらの例は、限定的であることを意味しておらず、本明細書において、当業者に公知である実質的にいかなるタンパク質またはペプチドも、標的化ペプチドを含む融合タンパク質に組み入れることができると企図される。融合タンパク質を生成する方法は、当業者に周知である。そのようなタンパク質は、例えば二官能架橋試薬を用いる化学的付着によって、完全な融合タンパク質のデノボ合成によって、または標的化ペプチドをコードするDNA配列を第二のペプチドもしくはタンパク質をコードするDNA配列に付着させた後に無傷の融合タンパク質を発現させることによって、産生することができる。
【0099】
タンパク質のPEG化
ポリエチレングリコール(PEG)を、本明細書において記述されるペプチドまたはポリペプチド化合物にコンジュゲートすることができる。PEG化は、PEGの反応性誘導体を標的高分子と共にインキュベートすることによって、達成することができる。PEGとのコンジュゲーションは、酵素的または化学的に行うことができ、その方法は当技術分野において十分に確立されている(Chapman, 2002; Veronese and Pasut, 2005)。PEG化によって、ペプチドの全体の大きさを増加させることができ、これにより腎臓で濾過される機会が低下して、ペプチドの血液中の半減期を増加させることができる。PEG化はさらに、タンパク質分解からペプチドを保護して、血液からのクリアランスを遅らせる。加えて、PEG化は免疫原性を低下させて、高分子(例えば、ペプチド)の溶解度を増加させる。PEGの付加による薬物動態の改善は、いくつかの異なる機序による:分子の大きさの増加、タンパク質分解からの保護、抗原性の低下、および特定の配列の、細胞受容体からのマスキング。例えば、抗体断片(Fab)の場合、PEG化によって血漿中の半減期の20倍の増加が達成されている(Chapman, 2002)。
【0100】
本明細書において記述される組成物および方法で有用なPEG部分には、PEGポリマー、誘導体、およびPEG脂質が挙げられる。PEGポリマーは、例えばとりわけ直線状、分枝、または多数の枝分かれ状でありうる。本発明に従うPEGコンジュゲートは、いかなる分子量のコンジュゲートであってもよく、例えば分子量は、500〜100,000 Da、500〜60,000 Da、1000〜40,000 Da、または5000〜40,000 Daでありうる。分子量10000 Da、20000 Da、30000 Da、または40000 Daを有するPEGを、本明細書において記述されるペプチドまたはポリペプチドと共に用いてもよい。
【0101】
加えて、他のポリマーも同様に、本明細書において記述される方法および組成物での使用のために企図され、これには、ポリ(プロピレングリコール)(「PPG」)、エチレングリコールとプロピレングリコールのコポリマー等などのポリ(アルキレングリコール)、ポリ(オキシエチル化ポリオール)、ポリ(オレフィンアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ヒドロキシアルキルメタクリルアミド)、ポリ(ヒドロキシアルキルメタクリレート)、多糖類、ポリ(α-ヒドロキシ酸)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリホスファゼン、ポリオキサゾリン、ポリ(N-アクリロイルモルフォリン)、および前述のいずれかの組み合わせが挙げられるがこれらに限定されない。これらのポリマーを活性部分にコンジュゲートするための代表的な重合化試薬および方法は、当技術分野において公知であり、さらに、Zalipsky, S., et al., "Use of Functionalized Poly(Ethylene Glycols) for Modification of Polypeptides" in Polyethylene Glycol Chemistry: Biotechnical and Biomedical Applications, J. M. Harris, Plenus Press, New York (1992)、およびZalipsky (1995) Advanced Drug Reviews 6:157-182に記述される。
【0102】
用量および投与
1つの局面において、本明細書において記述される方法は、対象におけるIgE媒介性疾患を処置する方法を提供する。1つの態様において、対象は哺乳動物でありうる。別の態様において、哺乳動物はヒトでありうるが、アプローチは全ての哺乳動物に関して有効である。方法は、薬学的に許容される担体中にsCD23ペプチド/ポリペプチドを含む薬学的組成物の有効量を対象に投与する段階を含む。
【0103】
sCD23化合物の用量範囲は、投与の効力および経路に依存し、所望の効果、例えばアレルギー応答などのIgE媒介性疾患の少なくとも1つの症状の例えば測定可能な減少を生じるのに十分大量な量を含む。用量は、許容できない有害な副作用を引き起こすほど大量であるべきではない。一般的に、用量は、用いられる特定の化合物、ならびに患者の年齢、状態、および性別によって変化すると考えられる。用量は、当業者が決定することができ、何らかの合併症が起こった場合には個々の医師が用量を調節することができる。典型的に、用量は0.001 mg/kg体重から5 g/kg体重の範囲である。いくつかの態様において、用量範囲は、0.001 mg/kg体重から1 g/kg体重、0.001 mg/kg体重から0.5 g/kg体重、0.001 mg/kg体重から0.1 g/kg体重、0.001 mg/kg体重から50 mg/kg体重、0.001 mg/kg体重から25 mg/kg体重、0.001 mg/kg体重から10 mg/kg体重、0.001 mg/kg体重から5 mg/kg体重、0.001 mg/kg体重から1 mg/kg体重、0.001 mg/kg体重から0.1 mg/kg体重、0.001 mg/kg体重から0.005 mg/kg体重である。または、いくつかの態様において、用量範囲は、0.1 g/kg体重から5 g/kg体重、0.5 g/kg体重から5 g/kg体重、1 g/kg体重から5 g/kg体重、1.5 g/kg体重から5 g/kg体重、2 g/kg体重から5 g/kg体重、2.5 g/kg体重から5 g/kg体重、3 g/kg体重から5 g/kg体重、3.5 g/kg体重から5 g/kg体重、4 g/kg体重から5 g/kg体重、4.5 g/kg体重から5 g/kg体重、4.8 g/kg体重から5 g/kg体重である。1つの態様において、用量範囲は、5μg/kg体重から30 μg/kg体重である。または、用量範囲は、血清レベルを5μg/mL〜30μg/mLに維持するように滴定されると考えられる。
【0104】
1つの態様において、本明細書において記述されるsCD23ペプチド/ポリペプチドは、例えば注射、吸入、ポリマーまたは足場を介した送達等によってアレルギー応答部位に直接投与される。
【0105】
先に引用した用量の投与は、必要であれば限定された期間、繰り返すことができる。いくつかの態様において、用量は1日1回、または1日に複数回与えられ、例えば1日3回与えられるがこれに限定されない。好ましい態様において、先に引用した用量は、数週間または数ヶ月のあいだ毎日投与される。処置の期間は、対象の臨床的進行および治療に対する応答性に依存する。初回のより高い治療用量の後に連続的な比較的低い維持用量が企図される。
【0106】
治療的有効量は、炎症疾患の少なくとも1つの症状における統計学的に有意な測定可能な変化を生じるのに十分な物質の量である(以下の「効能の測定」を参照されたい)。そのような有効量は、所定のsCD23ペプチドまたはポリペプチドに関する動物試験のみならず臨床試験において評価することができる。
【0107】
本明細書において記述される方法および組成物において有用な物質を、例えば吸入、表面、直接注射、静脈内(ボーラスまたは持続的注入によって)、経口、腹腔内、腔内に投与することができ、望ましければ蠕動手段によって、または当業者に公知の他の手段によって送達することができる。1つの態様において、組成物は、sCD23ペプチドを局所送達するために足場、ポリマー、ゲル等によって送達される。
【0108】
少なくとも1つの物質を含有する治療組成物を、単位用量で簡便に投与することができる。治療組成物に関連して用いられる場合の「単位用量」という用語は、各単位が必要な生理学的に許容される希釈剤、すなわち担体またはビヒクルに関連して所望の治療効果を生じるように計算された活性材料の既定量を含有する、対象にとっての単位用量として適した物理的に個別の単位を指す。
【0109】
組成物は、用量の処方と適合性の様式で、および治療的有効量で投与される。投与される量および時期は、処置される対象、対象のシステムが活性成分を利用する能力、および所望の治療効果の程度に依存する。物質を、例えば抗体または標的化リポソーム技術などの標的化部分によって標的化することができる。いくつかの態様において、sCD23ペプチドは、例えば抗リガンド抗体(Ab)および特定の標的に向けられるAbとの化学的連結によって産生された二重特異性抗体を用いることによって、特定の組織を標的とする。化学コンジュゲートの限界を回避するため、細胞表面分子でリガンドおよび/またはキメラ阻害剤に対する組換え二重特異性一本鎖Abを産生するために、抗体の分子コンジュゲートを用いることができる。sCD23ペプチドまたはポリペプチドに抗体を付加すると、所望の標的部位で物質を相加的に蓄積するよう付着させることができる。抗体を基本とするまたは抗体を基本としない標的化部分を使用して、標的部位にリガンドまたは阻害剤を送達することができる。好ましくはこの目的のために、未制御の抗原または疾患関連抗原の天然の結合物質が用いられる。
【0110】
薬学的組成物
本発明は、本明細書において記述される治療方法を実践するのに有用な治療組成物を伴う。治療組成物は、活性成分としてその中に溶解または分散される本明細書において記述されるsCD23ペプチドまたはポリペプチドと共に生理学的に認容される担体を含有する。好ましい態様において、治療組成物は、免疫原性であることが望ましい場合を除き、哺乳動物またはヒト患者に治療目的で投与する場合に免疫原性ではない。組成物、担体、希釈剤、および試薬を指す場合の本明細書において用いられる「薬学的に許容される」、「生理学的に認容される」という用語、およびその文法上の変化形は、互換的に用いられ、その材料が、悪心、めまい感、胃のむかつき等などの望ましくない生理学的作用を生じることなく、哺乳動物にまたは哺乳動物に対して投与することができることを表す。薬学的に許容される担体は、免疫原性であることが望ましい場合を除き、混合される物質に対して免疫応答の発生を促進しないと考えられる。その中に溶解または分散される活性成分を含有する薬理学的組成物の調製は、当技術分野において十分に理解されており、処方に基づいて限定される必要はない。典型的に、そのような組成物は、液体溶液または懸濁液のいずれかとしての注射剤として調製されるが、使用直前に液体で投与するための、溶液または懸濁液に適した固体剤形も同様に調製することができる。調製物はまた、乳化することができ、またはリポソーム組成物として表すことができる。活性成分を、薬学的に許容されて活性成分と適合性である賦形剤と、本明細書において記述される治療法において用いるのに適した量で混合することができる。
【0111】
適切な賦形剤は、例えば水、食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノール等、およびそれらの組み合わせである。加えて、望ましければ、組成物は、活性成分の有効性を増強する湿潤剤または乳化剤、pH緩衝剤等の補助物質を微量含有することができる。本発明の治療組成物は、その中に成分の薬学的に許容される塩を含めることができる。薬学的に許容される塩には、例えば塩酸もしくはリン酸などの無機酸、または酢酸、酒石酸、マンデル酸等などの有機酸によって形成される酸付加塩(ポリペプチドの遊離のアミノ基によって形成される)が挙げられる。遊離のカルボキシル基によって形成される塩も同様に、例えばナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、または水酸化第二鉄などの無機塩基、およびイソプロピルアミン、トリメチルアミン、2-エチルアミノエタノール、ヒスチジン、プロカイン等などの有機塩基に由来することができる。生理的に認容される担体は、当技術分野において周知である。例示的な液体担体は、活性成分および水の他に材料を含有しない、または生理的pH値のリン酸ナトリウムなどの緩衝液、生理食塩液またはリン酸緩衝生理食塩液などのその双方を含有する滅菌水溶液である。なおさらに、水溶性担体は、1つより多くの緩衝塩ならびに塩化ナトリウムおよび塩化カリウムなどの塩、デキストロース、ポリエチレングリコール、および他の溶質を含有することができる。液体組成物はまた、水に加えておよび水を除く液相を含有することができる。そのような追加の液相の例は、グリセリン、綿実油などの植物油、および水-油乳剤である。特定の障害または状態の処置において有効である本発明において用いられる活性化合物の量は、障害または状態の性質に依存して、標準的な臨床技術によって決定することができる。
【0112】
処置の効能のモニタリング
IgE媒介性疾患に関する所定の処置の効能は、熟練した臨床医によって決定することができる。しかし、処置は、IgE媒介性疾患の徴候または症状、例えば咳、くしゃみ、粘液産生、鼻炎、眼の痒み、アレルゲンに対するアナフィラキシー応答、皮膚の刺激、発赤、炎症、呼吸困難等などのアレルギー応答のいずれかの1つまたは複数が有益な様式で変化して、疾患の他の臨床的に容認される症状またはマーカーが改善または回復すれば、この用語が本明細書において用いられる「有効な処置」であると見なされる。1つの態様において、改善は、ペプチド/ポリペプチドによる処置の前に個体が経験したことがあるものよりも、抗アレルギー治療(例えば、アレルギー注射、ステロイド等)の必要性がより少なく、入院事例がより少なく、および/または再入院までの期間がより長いこととして認められる。効能はまた、入院によって評価する場合には個体が悪化しなかったこと、または医学的介入の必要性(すなわち、疾患の進行が停止または少なくとも遅くなる)によっても測定することができる。これらの指標を測定する方法は当業者に公知であるか、および/または本明細書において記述される。処置は、個体または動物(いくつかの非限定的な例はヒトまたは哺乳動物を含む)における疾患のいかなる処置も含み、処置は、(1)疾患を阻害する、例えばIgE媒介性疾患もしくは反応の進行を停止させる、または遅らせること;または(2)疾患を軽減する、例えば症状の退縮を引き起こすことを含む。方法はまた、慢性状態(例えば、喘息、湿疹)またはIgE媒介性疾患に関連する合併症が発症する可能性を予防または低下させるためにも用いることができる。
【0113】
IgE媒介性疾患の処置に関する有効量とは、それを必要とする哺乳動物に投与した場合に、本明細書においてその用語を定義する通りの有効な処置が起こるのに十分な量を意味する。ペプチド/ポリペプチド化合物の効能は、IgE媒介性疾患の身体的指標、例えばうっ血、咳、くしゃみ、発赤、痒み、アナフィラキシー、ぜん鳴、腫脹等を評価することによって決定することができる。
【0114】
前述の詳細な記述および以下の実施例は、説明するために限られ、本発明の範囲に対する限定ととるべきではないと理解される。開示の態様に対する様々な変化および改変が当業者に明らかであり、それらも本発明の精神および範囲から逸脱することなく行われうる。さらに、特定された全ての特許、特許出願、および刊行物は、例えば本発明に関連して用いられうるそのような刊行物において記述される方法論を記述および開示する目的のために、参照により明白に本明細書に組み入れられる。これらの刊行物は、本出願の提出日以前にその開示が単になされたために提供される。この点においていかなるものも、本発明者らが、先行発明のためにまたはあらゆる他の理由からそのような開示のなされた日付に先行する権利がないと自認したと解釈すべきではない。これらの文書の日付または内容に関する表現に関する全ての陳述は、出願人にとって入手可能な情報に基づいており、これらの文書の日付または内容の正確性を容認するものではない。
【実施例】
【0115】
本発明者らは、寄生虫に感染した人々に存在する分子であって、アレルギー症状を予防するように免疫系をモジュレートすることに関係する重要な分子を同定した。これらの知見は、この分子が、くしゃみ、咳、副鼻腔のうっ血、副鼻腔(鼻炎)または肺(喘息)における粘液産生を含むほとんどのアレルギー反応を開始する免疫系の成分であるIgEを妨害することによって作用することを示している。
【0116】
実施例1:背景
寄生虫に感染した人々は真のアレルギー応答を欠く
寄生虫感染症は古典的に、アレルギー応答を媒介する主成分である血中の好酸球、活性化肥満細胞およびIgEの高レベルに関連している。逆に考えると、寄生虫に感染した人々は、臨床的アレルギー症状を示さない。この考え方の一部は、寄生虫に対する曝露の欠如により、アレルギーおよび他の慢性炎症疾患に対する感受性が増加すると述べている「衛生仮説」の原因となっている。このように、仮説の根拠は、寄生虫が、花粉またはナッツタンパク質などの無害な抗原に対する大げさなまたは不適切な免疫応答を防止するように免疫系をモジュレートするという考え方に由来する。例えば、炎症性腸疾患は、腸管における通常非病原性の片利共生微生物に対する未制御の免疫応答に由来すると考えられている。実際に、潰瘍性大腸炎患者は、寄生虫の処置によってその疾患を治癒することができる。
【0117】
炎症性腸疾患および他の疾患は、アレルギーを引き起こす、免疫系の正反対の装備によって媒介されると考えられる。しかし、アレルギーは、寄生虫感染症に応答するまさに同じメディエーターによって媒介される。動物モデルにより、アレルギー応答または無害な抗原に対する応答の発生を減弱させうるある種のサイトカインが、ある種の寄生虫抗原に応答してアップレギュレートされうることが証明されている。
【0118】
本明細書において記述される方法および組成物は、アレルギー応答の予防と寄生虫感染症とのあいだの説得力のある関連を提供する。予備的なデータから、世界中で2億700万人を超える人々に感染している寄生性扁虫である住血吸虫が、古典的アレルギー応答の予防に至る特異的様式で宿主タンパク質を改変することが証明されている。このように、本明細書において記述されるデータは、住血吸虫が、低親和性IgE受容体であるCD23を特異的様式で切断するプロテアーゼを産生することを示している。得られた切断された可溶性(sCD23)産物は、宿主によって本来産生されたものとは異なり、これまでに記述されていない。
【0119】
ヒトCD23は、宿主および微生物プロテアーゼによって異なるように切断されうる細胞結合IgE受容体である。切断されたタンパク質は、活性な可溶性受容体として存在し、その効果は、その大きさおよび自己コンジュゲーション形状に依存する。sCD23は、IgE、CD21およびおそらくMac-1を含む多数のリガンドを有する。このように、異なるsCD23アイソフォームの効果は、それが結合する細胞にも同様に依存する(図1)。本明細書において記述される方法および組成物は、臨床試料での観察、ならびにIgEに結合するが(図2)CD21に結合しない約15 kDaの低分子sCD23タンパク質がアレルギーおよび他のIgE媒介性疾患を軽減させることを証明する実験データに一部基づいている。
【0120】
改変sCD23のタンパク質配列は156〜292番目の残基を含む。
【0121】
IgE媒介性疾患を処置するための改変sCD23(SEQ ID NO:1)

【0122】
実施例2:CD23における7価のCa++キレート部位を8価のキレート部位に変化させることによるIgE結合の増加
CD23は、カルシウム結合タンパク質である。カルシウムは、IgEに対するCD23の結合にとって重要であり、カルシウム結合の機序が記述されている。CD23は、ヒトアシアロ糖タンパク質受容体、マンノース結合タンパク質(MBP)、およびDC-SIGNなどの他のカルシウム結合レクチンに対して有意な配列類似性を有する。これらのタンパク質の中で最もよく特徴付けがなされているMBPは、原子8個を用いてカルシウムをキレート化して、四角錐キレート構造を形成することが知られている。対照的に、CD23は、原子7個のみを用いてカルシウムに結合するようである。カルシウムキレート化に関連する領域はまたIgE結合にも関連していることから、この領域が可能な限り安定であることが望ましい。Ca++結合の安定性を促進するために、CD23断片を、それが電子密度を供与することができる追加のカルボキシル基を有するように変異させる。理論に拘束されることを望まないが、この変異により、IgEの結合にとって、リガンドに対するその親和性の増加にとって、および高いカルシウム濃度のあらゆる必要性の減少にとって重要であるL1ループが安定化するという仮説が立てられる。
【0123】
258番目の残基(アスパラギン酸)をグルタミン酸に変異させる。この変異により、カルシウム結合を安定化させて、IgE結合親和性を増加させる8価のキレート部位が形成される。
【0124】
より高いIgE結合能(高親和性)を有する改変sCD23 SEQ ID NO:2(下線:D258からE)

【0125】
この約15 kDのタンパク質は、それがヒト血液中に本来見出されて、副作用を引き起こすことが少ないために、アレルギー疾患にとって有利な処置である。さらに、マウスは、CD21結合部位を欠く類似のタンパク質を発現するが、これはIgE産生を負に調節することが示されている。
【0126】
実施例3:ポリペプチドバリアント
改変sCD23は、IgEに結合するがCD21テールを欠くレクチンヘッドを含有する。CD21結合テールは、290〜321番目のアミノ酸を包含する。Sm-sCD23は、293〜321番目のアミノ酸を欠くCD21非結合タンパク質である。CD21の補体結合は、少なくとも290〜298番目のアミノ酸を必要とする。このタンパク質のバリアントは、290〜321番目のいかなるアミノ酸も欠いているsCD23の産生を含む。

下線部分=レクチンIgE結合ドメイン
斜体部分=C-テールCD21結合ドメイン
太字部分=共通のsCD23ポリペプチド(172アミノ酸)の開始部分
【0127】
改変sCD23の配列(SEQ ID NO:4)

【0128】
ポリペプチドバリアントA(SEQ ID NO:5)
IgE結合特性を保持するがCD21結合能を保持しない単量体タンパク質

【0129】
ポリペプチドバリアントB(SEQ ID NO:6)高親和性改変sCD23

【0130】
実施例4:現行の処置に対する長所
アナフィラキシーショックおよび他の重度の副作用の回避
改変sCD23は、低親和性IgE受容体であり、IgE Fc 1分子のみに結合することができる。対照的に、Xolairは、2つの結合部位を有し、細胞表面上のIgEを架橋する潜在能力を有するモノクローナル抗体である(図5;報告された発生率約2%)。それゆえ、改変sCD23は、Xolairを用いた場合に認められるアナフィラキシーショックの誘導能を有する可能性は低いと考えられる。さらに、その効力により、Xolairはまた、悪性疾患および自己免疫性血管炎であるチャーグ-ストラウス症候群にも関連している。
【0131】
Xolair(登録商標)は、アレルギー疾患の軽減に有効であることが既に示されているが、非常に薬価が高く、潜在的な危険性を有する。しかし、Xolairと同じ作用機序を有する改変sCD23は、理想的な低コストアレルギー治療となる。加えて、抗IgE媒介性治療は、気管支肺アスペルギルス症におけるコルチコステロイド誘発性糖尿病および嚢胞性線維症などの他の疾患において有効であることが証明されており、改変sCD23の他の潜在的な用途を強調する。
【0132】
アレルギーに関連するヘルスケアコストを削減する
改変sCD23は、Xolairと類似の作用機序を有する(アナフィラキシーの誘導能を除き)。Xolairは、その作用機序のために非常に薬価が高く、アナフィラキシーショックを引き起こす可能性がある。それゆえ、この処置は、診察室で投与されなければならない。改変sCD23は、アナフィラキシーショックを誘導する可能性が低く、このため診察室で投与する必要性がなくなると考えられる。この必要がなくなることにより、広い患者集団に対する複雑な多数のアレルギー治療の大きい市場が開かれる。一般的に、患者が報告するアレルギー治療に対する満足度は低い。鼻腔内コルチコステロイド(INCS)は、ARの最も標準的な処置であるが、この処置は、骨塩量の喪失、成長遅延、および小児にとってやっかいな副腎抑制に関連する。改変sCD23は、これらの副作用を引き起こさず、それによってINCS誘発性有害作用を有する患者にとって治療コストが削減される。
【0133】
非処方箋薬(OTC)の抗ヒスタミン/うっ血除去剤も同様に、眠気、鼻出血、および灼熱感などの有害作用を有し、労働を中止させる傾向を有する。対照的に、改変sCD23は、これらの副作用をいずれも誘導しない可能性がある。sCD23は有効な処置であり、患者は、多数の非処方箋薬によって軽減をもたらそうと試みるその費用が削減されると考えられる。
【0134】
広いアレルギー集団に対する処置
現在、Xolairは、喘息患者の小さい集団に対してのみ費用効果が高い。予想される低い生産コストおよび増加した安全性のために、改変sCD23は、アレルギーを含む広範囲のIgE媒介性疾患の有効な処置である。さらに、その天然の化学的性質により、改変sCD23は、小児および妊娠時に用いることができる。
【0135】
安全かつ有効な製品を販売する
改変sCD23は、住血吸虫に感染していない人々においてヒト血清中に低濃度で見出されるようである。対照的に、改変sCD23は、住血吸虫に感染した人では高濃度で見出されるようであり、処置の潜在的な安全性を強調している。
【0136】
実施例5:sCD23ペプチドまたはポリペプチドの結合特性を試験するための方法
本明細書において提供されるデータは、CD23+細胞を住血吸虫抗原と共にインキュベートすると、表面CD23レベルが低下することを示している。多数の宿主および微生物由来プロテアーゼは、CD23を異なるように切断する可能性があることが示されており、それゆえ、住血吸虫抗原によって処置したB細胞の細胞上清を、切断産物の特徴を決定するためにウェスタンブロットによって評価した。住血吸虫抗原によって処置したB細胞の上清を15 〜kDa産物に関して濃縮した(図2)。ある種の切断されたsCD23ペプチドはIgEとCD21の双方に結合することができることから、15 kDaタンパク質の結合特性を試験した。CD23は、CD21の2つの部位においてCD21と相互作用することが知られている。このアッセイにおいて用いられる試薬は、130〜280番目(1092個中)のアミノ酸を有する43 kDaタンパク質であり、短いコンセンサスリピート(SCR)の1〜2に及ぶXpressBioのrhuCD21であった。この領域は、CD23にとって必要な結合を含有するが、これがCD23のIgE結合能にどれほど影響を及ぼすかはわかっていない。15 kDaバンドの強度は、sCD21の存在下で減少して、このことはsCD21が住血吸虫によるCD23の切断を遮断することを示している(図2B)。さらに、CD21は、15 kDa sCD23と共沈殿しないように見えた。対照的に、図2は、IgEがsCD23と免疫共沈殿することができることを証明しており、住血吸虫により生じたsCD23がIgEに結合することを示している。このように、テール上のCD21結合部位は、おそらく消失している。
【0137】
理論に拘束されることを望まないが、住血吸虫によって改変されたsCD23によるIgEの隔離は、寄生を促進するための免疫回避戦略でありうる。寄生の促進はまた、豊富なIgEおよび好酸球の存在下でアナフィラキシーおよび他の重度のアレルギー反応を予防することによって、宿主に恩典を与える可能性があるという仮説が立てられている。
【0138】
ヒト可溶性CD23は、住血吸虫によって改変されて(プロテアーゼ切断事象)、IgEに結合するがCD21には結合しないCD23断片を生じる。この新規CD23断片は、住血吸虫症における不適切なIgE媒介性免疫の制御においておそらく重要な役割を果たし、重要であるのはこの断片のIgEのみに結合する特徴である。住血吸虫切断CD23断片の組換え型が本明細書において提供され、分析を容易にするためにエピトープをタグ付けすることができる。
【0139】
既存のデータから、この断片が適切に折り畳まれると、IgE結合ドメインを含有するがCD21結合ドメインを欠くことが示されていることから、156〜292番目のアミノ酸を含有するCD23のHis6およびMycエピトープタグ断片を選択した。IgEとCD21の双方に結合する可溶性CD23タンパク質のNMR構造は、これらの分子の各々がCD23分子上の構造的に別個の場所で結合することを示している。IgEはレクチンヘッド領域(187〜279番目のアミノ酸残基を含む)に結合するが、CD21は一次構造および三次構造のいずれにおいても離れている残基(294番目およびそれ以上の残基)を必要とするように見える。このように、156〜292の断片は、IgEに対する結合にとって重要であるレクチン結合領域を含むが、CD21相互作用にとって必要な残基を欠いている。
【0140】
組換え断片の設計において、2つの異なるタイプのアフィニティタグを付加するように選んだ。His6配列は、精製のためのアフィニティタグとしての役割を果たす。Hisタグは、分子量全体およびタンパク質断片の構造に対する増加が最小であることから、Hisタグは、他の十分に確立されたタンパク質融合戦略(すなわち、住血吸虫GST、マルトース結合タンパク質)より優れているために選択した。第二のアフィニティタグであるMycエピトープは、融合タンパク質の生化学的(免疫沈降)および免疫学的(FACS)な操作および同定を可能にする高親和性抗体結合領域を提供するために役立つ。
【0141】
これを達成するために、CD23の小さい部分を細菌発現ベクターpET28aにサブクローニングする。このベクターは、翻訳タンパク質配列の開始部分内にHis6タグが設計されているという長所を有する。CD23の156〜292断片を、2つのプライマーを用いてこのベクターの中に入れる。第一のプライマーは、NheI切断部位を含有して、CD23配列の5'にc-Mycエピトープ配列EQKLISEEDLを付加する。第二のプライマーは、それらがCD23の292番目のアミノ酸のコドンに対して3'に存在するように整列される終止コドンおよびHindIII部位を含有する。c-Myc配列のコドンバイアスを、大腸菌での発現を最適化するように変更する(例えば、配列は

でありうる)。CD23を、これらのプライマーを用いて扁桃B細胞の総RNAから増幅して、cDNA断片をpET28aにライゲートする(CD23断片はそれ自身NheI切断部位またはHindIII切断部位を含有しないため、これらの切断部位はプライマーに固有のものである)。得られたプラスミドをシークエンシングして、クローニングが正しいことを確認した後、プラスミドを大腸菌のタンパク質発現株(例えば、BLR pLysSまたは同等のDE3+株)に形質転換する。標準的な技法を用いてCD23断片の発現を最適化する。断片をNi-NTAアガロース上で精製することができ、イミダゾール洗浄またはトロンビンプロテアーゼを用いたペプチドからのHisタグの切断のいずれかによって、アガロースカラムから除去する。
【0142】
実施例6:インビボでアレルギー症状を予防するための改変sCD23の効能を試験する方法
B6.Cg-Fcer1atm1KntTg(FCER1A)1Bhk/Jは、ヒトIgEのFc部分と、IgEに結合するヒトFcεRIα鎖とを発現する。これらのマウスは、アナフィラキシーの実験的誘導に応答することが示されており、アレルギー反応の予防における改変sCD23の効能を試験するための理想的なモデルである。
【0143】
マウスに、NPに対して特異的なヒトIgE(Serotec)20μgを静脈内注射する。24時間後、マウスにNP-BSAを注射して、細胞結合IgEの架橋およびアナフィラキシー様疾患を誘導する。エバンスブルー色素をNP-BSAと共に同時注射して、組織への血管の漏出を追跡する。
【0144】
マウスを、IgE注射の2時間前に改変sCD23 1μg、10μg、50μg、100μg、または200μgによって前処置することができる。24時間後、末梢血および組織FcεR1+細胞を細胞結合IgEのレベルに関して測定する。
【0145】
特定のペプチドまたはポリペプチドの適当な用量を選択した後、IgE注射の2時間前に、マウスをその濃度の改変sCD23によって前処置する。24時間後、NP-BSAをマウスに注射して、IgEを投与されなかったまたは改変sCD23を投与されなかったマウスと比較して、アレルギー症状を以下のように測定する。
【0146】
マウスにおけるアレルギーの測定
全身性アナフィラキシーの症状は15〜30分以内に出現して、最初の症状が現れた後40〜50分でピークに達する。マウスにおけるIgE媒介性応答を決定するために、既に記述された症状のパラメータに従う症状採点システムを用いる。簡単に説明すると、症状が認められない場合、0を割り当て、症状が観察される場合には1から5を割り当てる。1は鼻、頭、または足を軽度にひっかく、こする、またはその両方を表し;2および3は、中間の症状を表し(例えば、眼または口の周囲の浮腫、逆毛、および/または呼吸困難);4は運動性の有意な低下、振せん、および/または有意な呼吸窮迫を表し;ならびに5は死亡を表す。チャレンジの1時間後、血漿中のヒスタミンレベルを得るためにマウスから採血する。24時間後、マウスを安楽死させて、分析のために組織を収集する。
【0147】
血漿中ヒスタミンレベルを、Becton Dickenson(Franklin Lakes, NJ)のEIAキットを用いて、製造元の説明書に従って決定する。
【0148】
血管の漏出を検出するために、色素/抗原投与の30から40分後にマウスの足裏および耳を、血管漏出の徴候(眼に見える青色)に関して調べる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
R0がSEQ ID NO:4を含み、かつX1

または少なくとも15ヌクレオチドの連続断片を含む、式X1-R0の化合物。
【請求項2】
R0がSEQ ID NO:4を含み、かつX2が、SEGSAE、SEGSA、SEGS、SEG、SE、S、L、または-COOHを含む、式R0-X2の化合物。
【請求項3】
R0がSEQ ID NO:4を含み、
X1

の少なくとも15連続のアミノ酸を含み、かつ
X2が、SEGSAE、SEGSA、SEGS、SEG、SE、S、L、または-COOHを含む、
式X1-R0-X2の化合物。
【請求項4】
PEG化されている、請求項1、2、3または4記載の化合物。
【請求項5】
CD21に結合しない、請求項1、2、3または4記載の化合物。
【請求項6】
IgEに対する高親和性結合部位を含む、請求項1〜5のいずれか一項記載の化合物。
【請求項7】
高親和性結合部位が、SEQ ID NO:4のアミノ酸置換D1073によって形成される、請求項1〜6のいずれか一項記載の化合物。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項記載の化合物の有効量と、薬学的に許容される担体とを含む、IgEを隔離するための組成物。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項記載の化合物の有効量と、薬学的に許容される担体とを含有する薬学的組成物を対象に投与する段階を含む、アレルゲンに対する対象の免疫応答を低下させるための方法。
【請求項10】
薬学的組成物が、アレルゲンに対する免疫応答を有するリスクを有する対象に予防的に投与される、請求項9記載の方法。
【請求項11】
薬学的組成物が、アレルゲンに対する曝露後に対象に投与される、請求項9記載の方法。
【請求項12】
ステロイド治療を施す段階をさらに含む、請求項9記載の方法。
【請求項13】
アレルギー注射を前記個体に投与する段階をさらに含む、請求項9記載の方法。
【請求項14】
アレルゲンが、食物アレルゲン、花粉、植物アレルゲン、チリダニ、動物の鱗屑、昆虫の針、真菌、胞子、カビ、ラテックス、または薬物である、請求項9記載の方法。
【請求項15】
アレルゲンに対する免疫応答を有する個体を選択する段階をさらに含む、請求項9記載の方法。
【請求項16】
請求項1〜8のいずれか一項記載の化合物の有効量と、薬学的に許容される担体とを含有する薬学的組成物を対象に投与する段階を含む、対象におけるIgE媒介性疾患を処置するための方法。
【請求項17】
IgE媒介性疾患が、アレルギー、アナフィラキシー、喘息、湿疹、および鼻炎からなる群より選択される、請求項16記載の方法。
【請求項18】
請求項1〜8のいずれか一項記載の化合物の有効量と、薬学的に許容される担体とを含有する薬学的組成物を対象に投与する段階を含む、アレルゲンに対する慢性的な免疫応答の発生を低下させるための方法。
【請求項19】
請求項1〜8のいずれか一項記載の化合物の有効量と、薬学的に許容される担体とを含有する薬学的組成物を、アレルギー治療またはアナフィラキシー治療によって処置される対象に投与する段階を含む、アレルギー治療またはアナフィラキシー治療の用量を低下させるための方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5−1】
image rotate

【図5−2】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公表番号】特表2013−512279(P2013−512279A)
【公表日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−542154(P2012−542154)
【出願日】平成22年12月1日(2010.12.1)
【国際出願番号】PCT/US2010/058531
【国際公開番号】WO2011/068853
【国際公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【出願人】(309020703)ボストン メディカル センター コーポレーション (4)
【出願人】(301069856)トラスティーズ オブ ボストン ユニバーシティ (15)
【Fターム(参考)】