説明

Kv1.5カリウムチャネル阻害剤としての4−イミダゾリジノン

この教示は、心房選択的抗不整脈活性をもたらす、Kv1.5カリウムチャネル阻害剤として有用な式(Ia)または(Ib)の4−イミダゾリジノンに関する。この教示はさらに、心房選択的抗不整脈薬を治療するための組成物および方法に関する。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Kv1.5カリウムチャネル阻害剤として有効な化合物に関する。本発明はまた、特定のKv1.5カリウムチャネル阻害剤を含む組成物、および心不整脈の治療方法に関する。
【背景技術】
【0002】
心房細動(AF)は、臨床現場において頻繁に見受けられる心不整脈である。この疾患は、米国で300万人近くが罹患しており、人口の高齢化と共に罹患率は増大している。AFは、心房と心室の両方のレベルで作用するクラスIII抗不整脈薬で治療がなされることが最も多い。一般に使用され、または処方される抗不整脈薬は、様々なカリウムチャネルを阻害し、心室再分極を長引かせる。心室再分極が長引くと、命を脅かす心室性不整脈、主としてトルサードドポアン(Torsades de Pointes)(TdP)の発生が促進される場合がある。
【0003】
ある種の心房選択的抗不整脈薬は、従来の抗不整脈治療に固有の心不整脈誘発を最小限に抑えることにより、治療上の有効性および安全性を向上させるという一つの可能性を提供する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
有効な心房選択的抗不整脈薬として機能し、心室の律動に影響を及ぼさない、特定の新規化合物を提供するという要求はいまだ対処されていない。さらに、有効な心房選択的抗不整脈薬として機能し、他の心臓デバイス、心臓プロトコール、療法、および投薬と適合性のある、特定の新規化合物を提供するという要求もいまだ対処されていない。Kv1.5カリウムチャネルに関する参考文献としては、Brendel,J.ら、Curr.Med.Chem.2003、1、273〜287;Firth,A.L.ら、2008、33、31〜47;Vidaillet,H.ら、Am.J.Med.2002、113、365〜370;Tsang,T.S.M.ら、Am.J.Med.2002、113、432〜435;Yang,Q.ら、Expert Opin.Ther.Patents 2007、17、1443〜1456;Regan,C.P.ら、J.Cardiovasc.Pharmacol.2007、49、236〜245;Nattel,S.Physiol.Rev.2007、87、425〜456;Tombola,F.ら、Annu.Rev.Cell Dev.Biol.2006、22、23〜52;およびWirth,K.J.ら、J.Cardiovasc.Pharmacol.2007、49、197〜206が挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、式(Ia)もしくは(Ib)の化合物
【0006】
【化1】

または薬学的に許容できるその塩を提供する。
[式中、
Arは、C〜C10アリール環または5〜14員ヘテロアリール環であり、それぞれ、C1〜6アルキル、F、Cl、Br、I、C3〜6シクロアルキルC1〜6アルコキシ、OH、NH、NH(C1〜6アルキル)、N(C1〜6アルキル)、NO、C1〜3ハロアルキル、SH、SC1〜6アルキル、およびCNからそれぞれ独立に選択される1、2、3または4個の置換基で置換されていてもよく、
Arは、C〜C10アリール環または5〜14員ヘテロアリール環であり、それぞれ、C1〜6アルキル、F、Cl、Br、I、C3〜6シクロアルキル、C1〜6アルコキシ、OH、NH、NH(C1〜6アルキル)、N(C1〜6アルキル)、NO、C1〜3ハロアルキル、SH、−SC1〜6アルキル、およびCNからそれぞれ独立に選択される1、2、3または4個の置換基で置換されていてもよく、
各Xは、それぞれ独立に−CR−であり、
各Lは、それぞれ独立に−CR−であり、
、R、R、R、RおよびRはそれぞれ、H;ハロゲン;ならびにC1〜6アルキル、F、Cl、Br、I、C1〜6アルコキシ、OH、NH、NO、C1〜3ハロアルキル、SH、S−C1〜6アルキル、およびCNからそれぞれ独立に選択される1、2、3または4個の置換基で置換されていてもよいC1〜6アルキルからそれぞれ独立に選択され、
およびRはそれぞれ、H;ならびにF、Cl、Br、I、C1〜6アルコキシ、OH、NH、NO、C1〜3ハロアルキル、SH、−SC1〜6アルキル、CN、C3〜10シクロアルキル、3〜10員ヘテロシクリル環、C−、C10−アリール環、および5〜10員ヘテロアリール環からそれぞれ独立に選択される1、2、3または4個の置換基で置換されていてもよいC1〜6アルキルからそれぞれ独立に選択され、
Yは、対イオンであり、
nは、1、2、3、4または5であり、
pは、0、1、2、3または4である]
【0007】
本発明は、1種または複数の有効量の式(Ia)または(Ib)の化合物と、1種または複数の賦形剤とを含む組成物も提供する。
【0008】
本発明は、有効量の本発明による式(Ia)または(Ib)の化合物を対象に投与することを含む、心不整脈、たとえば、心房細動および心房粗動を含めるがこの限りでない心房性不整脈を治療または予防する方法も提供する。
【0009】
本発明は、1種または複数の有効量の本発明による式(Ia)または(Ib)の化合物と1種または複数の賦形剤とを含む組成物を対象に投与することを含む、心不整脈、たとえば、心房細動および心房粗動を含めるがこの限りでない心房性不整脈を治療または予防する方法も提供する。
【0010】
本発明は、血栓塞栓症、発作、および心不全を含めるがこの限りでない、心不整脈に関連する疾患または状態の治療または予防の方法も提供する。ある実施形態では、この方法は、有効量の本発明による式(Ia)または(Ib)の化合物を対象に投与することを含む。
【0011】
本発明はさらに、有効量の1種または複数の本発明による式(Ia)または(Ib)の化合物と1種または複数の賦形剤とを含む組成物を対象に投与することを含む、血栓塞栓症、発作、および心不全を含めるがこの限りでない、心不整脈に関連する疾患または状態の治療または予防の方法も提供する。
【0012】
本発明は、対象に有効量の本発明による式(Ia)または(Ib)の化合物を投与することを含む、心臓除細動を引き起こす方法も提供する。
【0013】
本発明は、対象においてKv1.5カリウムチャネルを阻害する方法であって、その対象に治療有効量の式(Ia)または(Ib)の化合物を投与することを含む方法も提供する。
【0014】
本発明は、対象においてKv1.5カリウムチャネルの阻害に関連する障害を治療または予防する方法であって、その対象に治療有効量の式(Ia)または(Ib)の化合物を投与することを含む方法も提供する。例として、これらの化合物は、心房性不整脈、血栓塞栓症、発作、または心不全の治療において有用である。
【0015】
これらおよび他の目的、特徴、および利点は、以下の詳細な説明および添付の特許請求の範囲を読めば、当業者に明らかとなろう。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明のKv1.5カリウムチャネル阻害剤は、ヒト心臓の心房部分において、または特定の動物の心臓において不整脈を治療または予防することができる。機能Kv1.5カリウムチャネルは、ヒト心房組織で見られるが、ヒト心室筋細胞では見られないことがわかっている。理論に拘泥するものではないが、Kv1.5電位開口型Shaker様カリウム(K)イオンチャネルを阻害すると、心室再分極を長引かせることなく心房細動および心房粗動を寛解し、軽減し、または別な形で制御をもたらすことができると考えられている。
【0017】
定義
本明細書では、本明細書にあるパーセンテージ、比率、および割合はすべて、別段指定しない限り重量である。温度はすべて、別段指定しない限り、セルシウス度(℃)である。引用する文書はすべて、関連の関係にあり、いかなる文書の引用も、それが本発明に関して先行技術であることを容認するとは解釈されない。
【0018】
この記述では終始、組成物が、詳細な構成成分を有する、含有する、もしくは含むと記述される場合、または方法が、詳細な方法ステップを有する、包含する、もしくは含むと記述される場合、本発明の組成物はまた、列挙される構成成分から本質的になる、またはそれらからなること、ならびにその教示の方法もまた、列挙される方法ステップから本質的になる、またはそれらからなることを企図する。
【0019】
本明細書では、要素または構成成分が、列挙される要素または構成成分のリストに含まれるおよび/またはそれから選択されると述べる場合、その要素または構成成分は、その列挙される要素または構成成分のいずれか1つとすることができ、また列挙される要素または構成成分の2つ以上からなる群から選択することができることを理解されたい。
【0020】
本明細書では単数形の使用は、別段記述しない限り、複数形を包含する(そのまた逆もそうである)。さらに、用語「約」が量的な値の前で使用される場合、本発明は、別段記述しない限り、その特定の量的な値自体も包含する。
【0021】
ステップの順序、または特定の行為を行う順序は、その教示が実施可能なままである限り重要でないことを理解されたい。さらに、2つ以上のステップまたは行為が同時に行われてもよい。
【0022】
本明細書では、別段言及しない限り、「アルキル」とは、単独で用いようが置換基の一部として用いようが、1〜20個の炭素原子、またはこの範囲内の任意の数、たとえば、1〜6個の炭素原子または1〜4個の炭素原子を有する飽和した線状および分枝状炭素鎖を指す。示される炭素原子の数(たとえばC1〜6)は、アルキル部分中、またはより大きい含アルキル置換基のアルキル部分中の炭素原子の数をそれぞれ独立に指すものである。アルキル基の非限定的な例としては、メチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、iso−ブチル、tert−ブチルなどが挙げられる。アルキル基は、そのように表記する場合、置換されていてもよい。N(C1〜6アルキル)などの、複数のアルキル基を有する置換基では、アルキル基は同じでも異なるものでもよい。
【0023】
本明細書では、別段言及しない限り、「アルコキシ」とは、式−Oアルキルの基を指す。示される炭素原子の数(たとえば−OC1〜6)は、アルコキシ基中の炭素原子の数をそれぞれ独立に指すものである。アルキル基の非限定的な例としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、iso−プロポキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキシ、iso−ブトキシ、tert−ブトキシなどが挙げられる。アルコキシ基は、そのように表記する場合、置換されていてもよい。
【0024】
本明細書では、用語「アルケニル」基および「アルキニル」基とは、単独で用いようが置換基の一部として用いようが、2個以上、好ましくは2〜20個の炭素原子を有し、かつ少なくとも1個の炭素−炭素二重結合(「アルケニル」)または少なくとも1個の炭素−炭素三重結合(「アルキニル」)を有する線状および分枝状の炭素鎖を指す。アルケニル基およびアルキニル基は、そのように表記する場合、置換されていてもよい。アルケニル基の非限定的な例としては、エテニル、3−プロペニル、1−プロペニル(また2−メチルエテニル)、イソプロペニル(また2−メチルエテン−2−イル)、ブテン−4−イルなどが挙げられる。アルキニル基の非限定的な例としては、エチニル、プロプ−2−イニル(またプロパルギル)、プロピン−1−イル、および2−メチル−ヘキス−4−イン−1−イルが挙げられる。
【0025】
本明細書では、「シクロアルキル」とは、単独で用いようが、別の基の一部として用いようが、非芳香族の炭化水素環を指し、たとえば、3〜14個の環炭素原子、たとえば3〜7個または3〜6個の環炭素原子を有し、1個または複数(たとえば1、2または3個)の二重結合または三重結合を含んでいてもよい、環化したアルキル、アルケニル、またはアルキニル基がこれに含まれる。シクロアルキル基は、単環式(たとえばシクロヘキシル)でも、多環式(たとえば、縮合、架橋、および/またはスピロ環系を含んでいるもの)でもよく、炭素原子は、環系の内側または外側に位置する。シクロアルキル基は、適切などの環位置でも、規定される化学構造に共有結合することができる。シクロアルキル環は、そのように表記する場合、置換されていてもよい。シクロアルキル基の非限定的な例としては、シクロプロピル、シクロプロペニル、シクロブチル、シクロブテニル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロペンタジエニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘプチル、シクロオクタニル、デカリニル、オクタヒドロペンタレニル、オクタヒドロ−1H−インデニル、3a,4,5,6,7,7a−ヘキサヒドロ−3H−インデン−4−イル、デカヒドロアズレニル、ビシクロ[6.2.0]デカニル、デカヒドロナフタレニル、およびドデカヒドロ−1H−フルオレニルが挙げられる。用語「シクロアルキル」は、二環式炭化水素環である炭素環も包含し、その非限定的な例としては、ビシクロ−[2.1.1]ヘキサニル、ビシクロ[2.2.1]ヘプタニル、ビシクロ[3.1.1]ヘプタニル、1,3−ジメチル[2.2.1]ヘプタン−2−イル、ビシクロ[2.2.2]オクタニル、およびビシクロ[3.3.3]ウンデカニルが挙げられる。
【0026】
「ハロアルキル」は、1個または複数のハロゲン原子で置換されている、指定の数の炭素原子を有する分枝状および直鎖状の飽和した脂肪族炭化水素基を包含するものとする。本明細書では、ハロゲンとは、F、Cl、BrおよびIを指す。ハロアルキル基は、アルキル基のすべての水素がハロゲンと交換されているペルハロアルキル基(たとえば−CF、−CFCF)を包含する。ハロゲンは、同じもの(たとえばCHF、−CF)でも異なるもの(たとえばCFCl)でもよい。ハロアルキル基は、そのように表記する場合、ハロゲンに加えて1個または複数の置換基で置換されていてもよい。ハロアルキル基の例として、フルオロメチル、ジクロロエチル、トリフルオロメチル、トリクロロメチル、ペンタフルオロエチル、およびペンタクロロエチル基が挙げられるがこの限りでない。
【0027】
用語「アリール」とは、単独で用いようが別の基の一部として用いようが、本明細書では、6個の炭素の芳香族単環または10〜14個の炭素の芳香族多環であると定義される。アリール基には、たとえば、フェニルまたはナフチル(たとえば、ナフチレン−1−イルまたはナフチレン−2−イル)が含まれるがこの限りでない。アリール基は、そのように表記する場合、1個または複数の置換基で置換されていてもよい。アリール基には、その限りでないが、たとえば、1個または複数の飽和したまたは部分的に飽和した炭素環と縮合したフェニル環またはナフチル環(たとえば、ビシクロ[4.2.0]オクタ−1,3,5−トリエニル、インダニル)も含まれ、これらは、その芳香環および/または飽和したもしくは部分的に飽和した環の1個または複数の炭素原子が置換されていてよい。
【0028】
用語「複素環式」、「ヘテロサイクル」、および「ヘテロシクリル」は、単独で用いようが別の基の一部として用いようが、本明細書では、1個または複数の環(たとえば1、2または3個の環)を備え、3〜20個の原子(たとえば3〜10個の原子、3〜6個の原子)を有しており、少なくとも1個の環中の少なくとも1個の原子が、窒素(N)、酸素(O)、および硫黄(S)から選択されるヘテロ原子であり、またヘテロ原子を含む環が非芳香族である基と定義される。2個以上の縮合した環を含むヘテロシクリル基では、ヘテロ原子を含まない環は、アリール(たとえば、インドリニル、テトラヒドロキノリニル、クロマニル)でよい。好例となるヘテロシクリル基は、3〜14個の環原子を有し、そのうち1〜5個は、窒素(N)、酸素(O)、または硫黄(S)からそれぞれ独立に選択されるヘテロ原子である。ヘテロシクリル基中の1個または複数のNまたはS原子は、酸化されていてよい(たとえばN→O、S(O)、SO)。ヘテロシクリル基は、そのように表記する場合、置換されていてもよい。
【0029】
単環式ヘテロシクリル基の非限定的な例としては、たとえば、ジアジリニル、アジリジニル、ウラゾリル、アゼチジニル、ピラゾリジニル、イミダゾリジニル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリニル、イソオキサゾリル、チアゾリジニル、イソチアゾリル、イソチアゾリニル オキサチアゾリジノニル、オキサゾリジノニル、ヒダントイニル、テトラヒドロフラニル、ピロリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロピラニル、ピペリジン−2−オニル(バレロラクタム)、2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−アゼピニル、2,3−ジヒドロ−1H−インドール、および1,2,3,4−テトラヒドロキノリンが挙げられる。2個以上の環を有する複素環基の非限定的な例としては、たとえば、ヘキサヒドロ−1H−ピロリジニル、3a,4,5,6,7,7a−ヘキサヒドロ−1H−ベンゾ[d]イミダゾリル、3a,4,5,6,7,7a−ヘキサヒドロ−1H−インドリル、1,2,3,4−テトラヒドロキノリニル、クロマニル、イソクロマニル、インドリニル、イソインドリニル、およびデカヒドロ−1H−シクロオクタ[b]ピロリルが挙げられる。
【0030】
用語「ヘテロアリール」は、単独で用いようが別の基の一部として用いようが、本明細書では、5〜20個の原子(たとえば、5〜10個の原子、5〜6個の原子)を有し、少なくとも1個の環中の少なくとも1個の原子が、窒素(N)、酸素(O)、および硫黄(S)から選択されるヘテロ原子であり、ヘテロ原子を含む環のさらに少なくとも1個が芳香族である、単環系または縮合環系であると定義される。2個以上の縮合した環を含むヘテロアリール基では、ヘテロ原子を含まない環は、炭素環(たとえば、6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタピリミジン)またはアリール(たとえば、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、インドリル)でよい。好例となるヘテロアリール基は、5〜14個の環原子を有しており、窒素(N)、酸素(O)、および硫黄(S)からそれぞれ独立に選択される1〜5個の環ヘテロ原子を含んでいる。ヘテロアリール基中の1個または複数のNまたはS原子は、酸化されていてよい(たとえばN→O、S(O)、SO)。ヘテロアリール基は、そのように表記する場合、置換されていてよい。単環式ヘテロアリール環の非限定的な例としては、たとえば、1,2,3,4−テトラゾリル、[1,2,3]トリアゾリル、[1,2,4]トリアゾリル、トリアジニル、チアゾリル、1H−イミダゾリル、オキサゾリル、フラニル、チオフェンイル、ピリミジニル、およびピリジニルが挙げられる。2個以上の縮合した環を含んでいるヘテロアリール環の非限定的な例としては、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、ベンズチアゾリル、ベンズトリアゾリル、シンノリニル、ナフチリジニル、フェナントリジニル、7H−プリニル、9H−プリニル、5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジニル、7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジニル、ピリド[2,3−d]ピリミジニル、2−フェニルベンゾ[d]チアゾリル、1H−インドリル、4,5,6,7−テトラヒドロ−1−H−インドリル、キノキサリニル、5−メチルキノキサリニル、キナゾリニル、キノリニル、およびイソキノリニルが挙げられる。
【0031】
上述のようなヘテロアリール基の非限定的な一例は、1〜5個の炭素環原子と、窒素(N)、酸素(O)、および硫黄(S)からそれぞれ独立に選択されるヘテロ原子である少なくとも1個の追加の環原子(ヘテロ原子である1〜4個の追加の環原子が好ましい)とを有する単環式芳香環である、C〜Cヘテロアリールである。C〜Cヘテロアリールの例として、たとえば、トリアジニル、チアゾール−2−イル、チアゾール−4−イル、イミダゾール−1−イル、1H−イミダゾール−2−イル、1H−イミダゾール−4−イル、イソオキサゾリン−5−イル、フラン−2−イル、フラン−3−イル、チオフェン−2−イル、チオフェン−4−イル、ピリミジン−2−イル、ピリミジン−4−イル、ピリミジン−5−イル、ピリジン−2−イル、ピリジン−3−イル、およびピリジン−4−イルが挙げられるがこの限りでない。
【0032】
本発明の目的では、単一のヘテロ原子を含む縮合環基、スピロ環、二環などは、含ヘテロ原子環に対応する環ファミリーに属するとみなすことになる。たとえば、次式を有する1,2,3,4−テトラヒドロキノリン
【0033】
【化2】

は、本発明の目的ではヘテロシクリル基であるとみなす。次式を有する6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタピリミジン
【0034】
【化3】

は、本発明の目的ではヘテロアリール基であるとみなす。縮合環単位が飽和した環とアリール環の両方にヘテロ原子を含んでいるとき、アリール環が優先され、その環が割り当てられる部門のタイプを決定することになる。たとえば、次式を有する1,2,3,4−テトラヒドロ−[1,8]ナフチリジン
【0035】
【化4】

は、本発明の目的ではヘテロアリール基であるとみなす。
【0036】
用語「治療する」および「治療」とは、本明細書では、患者の罹患が疑われる状態を一部または完全に緩和し、抑制し、寛解させ、および/または解消することを指す。
【0037】
本明細書では、「治療上有効な」とは、望ましい生物活性または効果を引き出す物質または量を指す。
【0038】
特に言及する場合を除き、用語「対象」または「患者」は、区別なく使用し、ヒト患者や非ヒト霊長類などの哺乳動物、ならびにウサギ、ラット、マウスなどの実験動物、および他の動物を指す。したがって、用語「対象」または「患者」は、本明細書では、本発明の化合物を投与することができる任意の哺乳動物患者または対象を意味する。好例となる本発明の実施形態では、本発明の方法に従う治療の対象患者を特定するために、受け入れられているスクリーニング法を使用して、ターゲットとなるもしくは疑われる疾患もしくは状態に関連する危険因子を決定し、または対象に存在する疾患もしくは状態の現状を判定する。こうしたスクリーニング法としては、たとえば、ターゲットとなるまたは疑われる疾患または状態と関連付けることのできる危険因子を決定するための従来の精密検査が挙げられるがこれに限らない。これらおよび他のごく普通の方法によって、本発明の方法および化合物を使用する治療が必要な患者を、臨床医が選択できるようになる。
【0039】
用語「置換(されている)」は、本明細書全体で使用する。用語「置換(されている)」は、本明細書では、非環式であろうと環式であろうと、1個または複数(たとえば1〜10個)の水素原子が、本明細書で以下に定義する置換基によって交換されている部分であると定義される。置換基には、単一部分の1または2個の水素原子と一度で入れ替わることのできる基、また2個の近接した炭素上の2個の水素原子と入れ替わって、前記の置換基を形成することのできる基が含まれる。たとえば、単一の水素原子と入れ替わる置換基として、たとえばハロゲンおよびヒドロキシルなどが挙げられる。2個の水素原子の交換としては、カルボニルおよびオキシミノなどが挙げられる。近接する炭素原子からの2個の水素原子と入れ替わる置換基としては、たとえばエポキシなどが挙げられる。部分を「置換(されている)」と形容するとき、どれだけの数のその水素原子が上述のように交換されていてもよい。たとえば、ジフルオロメチルは置換Cアルキルであり、トリフルオロメチルは置換Cアルキルであり、4−ヒドロキシフェニルは置換アリール環であり、(N,N−ジメチル−5−アミノ)オクタニルは置換Cアルキルであり、3−グアニジノプロピルは置換Cアルキルであり、2−カルボキシピリジニルは置換ヘテロアリールである。
【0040】
本明細書の様々な場で、化合物の置換基を群または範囲にして開示する。特に、その記述は、そのような群および範囲の構成員の個々のどの下位組合せもすべて包含するものとする。たとえば、用語「C1〜6アルキル」は、詳細には、C、C、C、C、C、C、C〜C、C〜C、C〜C、C〜C、C〜C、C〜C、C〜C、C〜C、C〜C、C〜C、C〜C、C〜C、C〜C、C〜C、およびC〜Cアルキルを個々に開示するものとする。
【0041】
一態様では、本発明は、式(Ia)または(Ib)の化合物
【0042】
【化5】

または薬学的に許容できるその塩を提供する。
[式中、
Arは、C〜C10アリール環または5〜14員ヘテロアリール環であり、それぞれ、C1〜6アルキル、F、Cl、Br、I、C3〜6シクロアルキル、C1〜6アルコキシ、OH、NH、NH(C1〜6アルキル)、N(C1〜6アルキル)、NO、C1〜3ハロアルキル、SH、SC1〜6アルキル、およびCNからそれぞれ独立に選択される1、2、3または4個の置換基で置換されていてもよく、
Arは、C〜C10アリール環または5〜14員ヘテロアリール環であり、それぞれ、C1〜6アルキル、F、Cl、Br、I、C3〜6シクロアルキル、C1〜6アルコキシ、OH、NH、NH(C1〜6アルキル)、N(C1〜6アルキル)、NO、C1〜3ハロアルキル、SH、−SC1〜6アルキル、およびCNからそれぞれ独立に選択される1、2、3または4個の置換基で置換されていてもよく、
各Xは、それぞれ独立に−CR−であり、
各Lは、それぞれ独立に−CR−であり、
、R、R、R、RおよびRは、H;ハロゲン;ならびにC1〜6アルキル、F、Cl、Br、I、C1〜6アルコキシ、OH、NH、NO、C1〜3ハロアルキル、SH、S−C1〜6アルキル、およびCNからそれぞれ独立に選択される1、2、3または4個の置換基で置換されていてもよいC1〜6アルキルからそれぞれ独立に選択され、
およびRはそれぞれ、H;ならびにF、Cl、Br、I、C1〜6アルコキシ、OH、NH、NO、C1〜3ハロアルキル、SH、SC1〜6アルキル、CN、C3〜10シクロアルキル、3〜10員ヘテロシクリル環、C−、C10−アリール環、および5〜10員ヘテロアリール環からそれぞれ独立に選択される1、2、3または4個の置換基で置換されていてもよいC1〜6アルキルからそれぞれ独立に選択され、
Yは、対イオンであり、
nは、1、2、3、4または5であり、
pは、0、1、2、3または4である]
【0043】
ある実施形態によれば、Arは、置換C〜C10アリール環または5〜14員ヘテロアリール環であり、それぞれ、C1〜6アルキル、F、Cl、Br、I、C3〜6シクロアルキル、C1〜6アルコキシ、OH、NH、NH(C1〜6アルキル)、N(C1〜6アルキル)、NO、C1〜3ハロアルキル、SH、SC1〜6アルキル、およびCNからそれぞれ独立に選択される少なくとも1個の置換基で置換されている。ある実施形態では、各アリール環またはヘテロアリール環は、C1〜6アルキル、F、Cl、Br、I、C3〜6シクロアルキル、C1〜6アルコキシ、OH、NH、NH(C1〜6アルキル)、N(C1〜6アルキル)、NO、C1〜3ハロアルキル、SH、SC1〜6アルキル、およびCNからそれぞれ独立に選択される1、2、3または4個の置換基でさらに置換されていてもよい。ある実施形態では、Arは、C1〜6アルキル、F、Cl、Br、I、C1〜6アルコキシ、OH、NH、NH(C1〜6アルキル)、N(C1〜6アルキル)、NO、C1〜3ハロアルキル、SH、SC1〜6アルキル、およびCNからそれぞれ独立に選択される少なくとも1個の置換基で置換されているC〜C10アリール環または5〜14員ヘテロアリール環である。ある実施形態では、各アリール環またはヘテロアリール環は、C1〜6アルキル、F、Cl、Br、I、C1〜6アルキル、OH、NH、NH(C1〜6アルキル)、N(C1〜6アルキル)、NO、C1〜3ハロアルキル、SH、−SC1〜6アルキル、およびCNからそれぞれ独立に選択される1、2、3または4個の置換基でさらに置換されていてもよい。ある実施形態では、ArおよびArは両方とも、それぞれ独立に、C1〜6アルキル、F、Cl、Br、I、C1〜6アルコキシ、OH、NH、NH(C1〜6アルキル)、N(C1〜6アルキル)、NO、C1〜3ハロアルキル、SH、SC1〜6アルキル、およびCNからそれぞれ独立に選択される少なくとも1個の置換基で置換されているC〜C10アリール環または5〜14員ヘテロアリール環である。さらに別の実施形態では、各アリール環またはヘテロアリール環は、C1〜6アルキル、F、Cl、Br、I、C1〜6アルキル、OH、NH、NH(C1〜6アルキル)、N(C1〜6アルキル)、NO、C1〜3ハロアルキル、SH、−SC1〜6アルキル、およびCNからそれぞれ独立に選択される1、2、3または4個の置換基でさらに置換されていてもよい。
【0044】
ある実施形態では、各R、R、RおよびRはHである。あるそのような実施形態では、RおよびRはそれぞれHである。
【0045】
ある実施形態では、LはCHである。ある別の実施形態では、pは2である。
【0046】
式(Ia)または(Ib)の化合物のある実施形態では、Arは、C1〜6アルキル、ハロゲン、C1〜6アルコキシ、OH、NH、NH(C1〜6アルキル)、N(C1〜6アルキル)、NO、C1〜3ハロアルキル、SH、SC1〜6アルキル、およびCNからそれぞれ独立に選択される1、2または3個の置換基で置換されていてもよいフェニルである。ある実施形態では、Arは、C1〜6アルキル、ハロゲン、C1〜6アルコキシ、OH、およびCFからそれぞれ独立に選択される1、2または3個の置換基で置換されていてもよいフェニルである。ある実施形態では、Arは、メチル、F、Cl、およびメトキシからそれぞれ独立に選択される1、2または3個の置換基で置換されていてもよいフェニルである。ある実施形態では、Arは、1、2または3個のメトキシ基で置換されていてもよいフェニルである。ある実施形態では、Arは、パラ置換されたフェニルである。ある実施形態では、Arは4−メトキシフェニルである。
【0047】
式(Ia)または(Ib)の化合物のある実施形態では、Arは、C1〜6アルキル、ハロゲン、C3〜6シクロアルキル、C1〜6アルコキシ、OH、NH、NH(C1〜6アルキル)、N(C1〜6アルキル)、NO、C1〜3ハロアルキル、SH、−S−C1〜6アルキル、およびCNからそれぞれ独立に選択される1、2または3個の置換基で置換されていてもよいフェニルである。ある実施形態では、Arは、C1〜6アルキル、ハロゲン、N(C1〜6アルキル)、およびCFからそれぞれ独立に選択される1、2または3個の置換基で置換されていてもよいフェニルである。ある実施形態では、Arは、パラ置換されたフェニルである。ある実施形態では、Arは、4位が、メチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、F、Cl、CF、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、またはジイソプロピルアミノで置換されているフェニルである。
【0048】
式(Ia)または(Ib)の化合物のある実施形態では、Arは、C1〜6アルキル、ハロゲン、C3〜6シクロアルキル、C1〜6アルコキシ、OH、NH、NH(C1〜6アルキル)、N(C1〜6アルキル)、NO、C1〜3ハロアルキル、SH、S−C1〜6アルキル、およびCNからそれぞれ独立に選択される1、2、3または4個の置換基で置換されていてもよい5〜14員ヘテロアリール環である。あるそのような実施形態では、Arは、C1〜6アルキル、ハロゲン、C1〜6アルコキシ、OH、NH、NH(C1〜6アルキル)、N(C1〜6アルキル)、NO、C1〜3ハロアルキル、SH、−S−C1〜6アルキル、およびCNからそれぞれ独立に選択される1、2または3個の置換基で置換されていてもよいピリミジニルである。あるそのような実施形態では、Arは、NH、NH(C1〜3アルキル)、およびN(C1〜3アルキル)からそれぞれ独立に選択される1、2または3個の置換基で置換されていてもよいピリミジニルである。あるそのような実施形態では、Arは、C1〜6アルキル、ハロゲン、C1〜6アルコキシ、OH、NH、NH(C1〜6アルキル)、N(C1〜6アルキル)、NO、C1〜3ハロアルキル、SH、−S−C1〜6アルキル、およびCNから選択される1個の置換基で置換されていてもよいピリミジン−5−イルである。
【0049】
式(Ia)または(Ib)の化合物のある実施形態では、Arは、C1〜6アルキル、ハロゲン、C1〜6アルコキシ、OH、NH、NH(C1〜6アルキル)、N(C1〜6アルキル)(C1〜6アルキル)、NO、C1〜3ハロアルキル、S−C1〜6アルキル、およびCNからそれぞれ独立に選択される1、2、3または4個の置換基で置換されていてもよい5〜14員ヘテロアリールである。ある実施形態では、Arは、C1〜6アルキル、ハロゲン、C1〜6アルコキシ、OH、NH、NH(C1〜6アルキル)、N(C1〜6アルキル)(C1〜6アルキル)、NO、C1〜3ハロアルキル、S−C1〜6アルキル、およびCNからそれぞれ独立に選択される1、2または3個の置換基で;またはC1〜3アルキル、ハロゲン、C1〜3アルコキシ、OH、NH、NH(C1〜3アルキル)、N(C1〜3アルキル)(C1〜3アルキル)、NO、およびC1〜3ハロアルキルからそれぞれ独立に選択される1、2または3個の置換基で;またはC1〜3アルキル、ハロゲン、C1〜2アルコキシ、OH、NH、NH(C1〜6アルキル)、N(C1〜6アルキル)(C1〜6アルキル)、およびCFからそれぞれ独立に選択される1、2または3個の置換基で;またはC1〜3アルキル、ハロゲン、−OC1〜2アルキル、OH、NH、NH(C1〜6アルキル)、N(C1〜3アルキル)(C1〜3アルキル)、およびCFから選択される1個の置換基で置換されていてもよいピリミジニルである。ある実施形態では、Arは、NH、NH(C1〜6アルキル)、またはN(C1〜6アルキル)(C1〜6アルキル)で置換されていてもよいピリミジン−5−イルである。ある実施形態では、Arは、ジエチルアミノで置換されていてもよいピリミジン−5−イルである。ある実施形態では、Arは、NH、NH(C1〜6アルキル)、またはN(C1〜6アルキル)で置換されていてもよいピリミジン−5−イルである。ある実施形態では、Arは、ジエチルアミノで置換されていてもよいピリミジン−5−イルである。
【0050】
式(Ia)または(Ib)の化合物のある実施形態では、Rは、H;ハロゲン、C3〜10シクロアルキル、3〜10員ヘテロシクリル、C〜C10アリール、または5〜10員ヘテロアリールで置換されていてもよいC1〜6アルキルである。あるそのような実施形態では、Rは、H、C1〜6アルキル、またはシクロプロピルメチルである。ある実施形態では、RおよびRは、それぞれ独立に、C1〜6アルキルである。RおよびRは、それぞれメチルである。あるそのような実施形態では、nは、1、2、3または4である。あるそのような実施形態では、Rは、出現する毎にHであり、Rは、出現する毎にHである。
【0051】
式(Ia)または(Ib)の化合物のある実施形態では、pは2であり、各Lは−CH−であり、Arは、C1〜6アルキル、ハロゲン、C1〜6アルコキシ、OH、NH、NH(C1〜6アルキル)、N(C1〜6アルキル)、およびC1〜3ハロアルキルからそれぞれ独立に選択される1、2または3個の置換基で置換されていてもよいフェニルである。あるそのような実施形態では、Arは4−メトキシフェニルであり、Arは、C1〜6アルキル、ハロゲン、C1〜6アルコキシ、OH、NH、NH(C1〜6アルキル)、N(C1〜6アルキル)、NO、C1〜3ハロアルキル、SH、S−C1〜6アルキル、およびCNからそれぞれ独立に選択される1、2、3または4個の置換基で置換されていてもよいフェニルである。あるそのような実施形態では、Arは、4位が、メチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、F、Cl、CF、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、またはジイソプロピルアミノで置換されているフェニルである。ある実施形態では、Arは、C1〜6アルキル、ハロゲン、C1〜6アルコキシ、OH、NH、NH(C1〜6アルキル)、N(C1〜6アルキル)、NO、C1〜3ハロアルキル、SH、−S−C1〜6アルキル、およびCNからそれぞれ独立に選択される1、2、3または4個の置換基で置換されていてもよい5〜14員ヘテロアリール環である。ある実施形態では、Arは、C1〜6アルキル、ハロゲン、C1〜6アルコキシ、OH、NH、NH(C1〜6アルキル)、N(C1〜6アルキル)、NO、C1〜3ハロアルキル、SH、S−C1〜6アルキル、およびCNからそれぞれ独立に選択される1、2または3個の置換基で置換されていてもよいピリミジニルである。ある実施形態では、Rは、H、C1〜6アルキル、またはシクロプロピルメチルである。ある実施形態では、RおよびRは、それぞれ独立にC1〜6アルキルであり、nは、1、2、3または4である。ある実施形態では、Rは、出現する毎にHであり、Rは、出現する毎にHである。
【0052】
本明細書に記載の化合物は、不斉原子(キラル中心とも呼ばれる)を含んでいる場合があり、その化合物の一部は、1個または複数の不斉原子または中心を含んでいる場合もあるが、これはすなわち、光学異性体(鏡像異性体)およびジアステレオ異性体を生じさせることがある。本明細書で開示するこの教示および化合物は、そのような鏡像異性体およびジアステレオ異性体、ならびにラセミ体のRおよびS立体異性体、および鏡像異性体に関して純粋な分割されたRおよびS立体異性体、ならびにRおよびS立体異性体の他の混合物および薬学的に許容できるその塩を包含する。光学異性体は、当業者に知られている標準の手順によって、純粋な形で得ることができるが、そうした手順としては、たとえば、キラルクロマトグラフィー、ジアステレオ異性体塩形成、速度論的光学分割、および不斉合成が挙げられるがこの限りでない。本発明は、アルケニル部分(たとえば、アルケンおよびイミン)を含んでいる式(Ia)または(Ib)の化合物のシスおよびトランス異性体またはE/Z異性体も包含する。この教示は、考えられるすべての位置異性体およびその混合物を包含し、それらは、当業者に知られている標準の分離手順によって純粋な形で得られることも理解されたい。そうした手順としては、カラムクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、および高速液体クロマトグラフィーが挙げられるがこれに限らない。
【0053】
酸性部分をもち得る本発明の化合物の薬学的に許容できる塩は、有機塩基および無機塩基を使用して生成することができる。脱プロトン化に利用できる酸性水素の数に応じて、モノアニオン塩およびポリアニオン塩の両方が企図される。塩基を相手に形成される適切な塩としては、アルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩などの金属塩、たとえば、ナトリウム、カリウム、またはマグネシウム塩;アンモニア塩および有機アミン塩、たとえば、モルホリン、チオモルホリン、ピペリジン、ピロリジン、モノ、ジもしくはトリ低級アルキルアミン(たとえば、エチル−tert−ブチル、ジエチル、ジイソプロピル、トリエチル、トリブチル、もしくはジメチルプロピルアミン)、またはモノ、ジもしくはトリヒドロキシ低級アルキルアミン(たとえば、モノ、ジもしくはトリエタノールアミン)を相手に形成される塩が挙げられる。無機塩基の非限定的な具体例としては、NaHCO、NaCO、KHCO、KCO、CsCO、LiOH、NaOH、KOH、NaHPO、NaHPO、およびNaPOが挙げられる。分子内塩を生成することもできる。同様に、本明細書で開示する化合物が塩基性部分を含んでいるとき、有機酸および無機酸を使用して塩を形成することができる。たとえば、以下の酸から塩を形成することができる。すなわち、酢酸、プロピオン酸、乳酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、酒石酸、コハク酸、ジクロロ酢酸、エタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、馬尿酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、ナフタレンスルホン酸、硝酸、シュウ酸、パモ酸、パントテン酸、リン酸、フタル酸、プロピオン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸、炭酸、ならびに他の知られている薬学的に許容できる酸。
【0054】
いかなる構成物またはいかなる式においても、任意の可変基が2回以上出現するとき、その定義は、出現する毎に、他のすべての出現におけるその定義とは無関係である(たとえば、N(C1〜6アルキル)では、各C1〜6アルキルは、他方と同じでも異なるものでもよい)。置換基および/または可変基の組合せは、その組合せが安定な化合物をもたらす場合に限り許容される。
【0055】
本明細書に記載の化合物は、従来の非毒性の薬学的に許容できる担体、佐剤、および媒体を必要に応じて含有する投与単位製剤にして、ヒトおよび他の動物に、経口投与、非経口投与、舌下投与、エアロゾル生成もしくは吸入スプレーによる投与、直腸投与、大槽内投与、膣内投与、腹腔内投与、頬側投与、くも膜下腔内投与、または局所投与を施すことができる。非経口という用語は、本明細書では、皮下注射、静脈内注射、筋肉内注射、胸骨内注射、または注入技術を包含する。局所投与には、経皮パッチやイオン泳動装置などの経皮投与の使用も含めることができる。
【0056】
製剤の方法は、当技術分野でよく知られており、たとえば、参照により本明細書に援用されるRemington:The Science and Practice of Pharmacy、Mack Publishing Company、ペンシルバニア州イーストン、第21版(2005)で開示されている。
【0057】
本発明で使用する医薬組成物は、無菌の非発熱性液状溶液もしくは懸濁液、コーティングされたカプセル剤、坐剤、凍結乾燥粉末、経皮パッチの形態、または当技術分野で知られている他の形態にすることができる。
【0058】
注射用製剤、たとえば、無菌の注射可能な水性または油性懸濁液は、適切な分散剤もしくは湿潤剤および懸濁化剤を使用して、既知の技術に従って製剤することができる。無菌注射用製剤は、非経口的に許容できる非毒性の希釈剤または溶媒中の、無菌注射可能溶液、懸濁液、または乳濁液でもよい。
【0059】
また、無菌の固定油も、溶媒または懸濁媒質として従来より用いられている。この目的では、合成モノグリセリドまたはジグリセリドを含めて、どんなブレンド固定油を用いてもよい。さらに、オレイン酸などの脂肪酸も注射剤の調製に使用することができる。注射用製剤は、たとえば、細菌保持フィルターでの濾過によって、または使用前に滅菌水もしくは他の無菌注射用媒質に溶解もしくは分散させることのできる無菌固体組成物の形の滅菌剤を混ぜることによって滅菌することができる。
【0060】
皮下注射または筋肉内注射からゆっくりと吸収される、本明細書に記載の組成物の結晶形態を含む製剤がここで提供される。さらに、化合物を油性媒体に溶解または懸濁させることにより、非経口投与された薬物形態の吸収を遅らせることもできる。注射用デポー形態は、ポリラクチド−ポリグリコリドなどの生分解性ポリマー中に薬物のマイクロカプセル化基材を生成することにより製造する。薬物対ポリマーの比、および用いる特定のポリマーの種類に応じて、薬物放出の速度を制御することができる。他の生分解性ポリマーの例として、ポリ(オルトエステル)およびポリ(無水物)が挙げられる。デポー注射用製剤は、薬物を体組織と適合性のあるリポソームまたはマイクロエマルションに閉じ込めて調製することもできる。
【0061】
経口投与用の固体剤形としては、カプセル剤、錠剤、丸剤、粉末、および顆粒剤が挙げられる。そのような固体剤形では、活性化合物は、少なくとも1種の薬学的に許容できる不活性な賦形剤または担体、たとえば、クエン酸ナトリウムやリン酸二カルシウム、および/またはa)充填剤もしくは増量剤、たとえば、デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、ケイ酸、b)結合剤、たとえば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース、アカシア、c)保湿剤、たとえばグリセロール、d)崩壊剤、たとえば、寒天、炭酸カルシウム、バレイショもしくはタピオカデンプン、アルギン酸、特定のケイ酸塩、炭酸ナトリウム、e)溶液緩染剤、たとえばパラフィン、f)吸収促進剤、たとえば第四級アンモニウム化合物、g)湿潤剤、たとえば、アセチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロール、h)吸着剤、たとえば、カオリンおよびベントナイトクレー、ならびにi)潤滑剤、たとえば、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、およびこれらの混合物と混合される。カプセル剤、錠剤、および丸剤の場合では、剤形は緩衝剤も含む場合がある。
【0062】
同様のタイプの固体組成物は、ラクトースや乳糖などの賦形剤、ならびに高分子量ポリエチレングリコールなどを使用して、軟質および硬質充填ゼラチンカプセル中に充填剤として用いることもできる。
【0063】
錠剤、カプセル剤、丸剤、および顆粒剤の固体剤形は、腸溶コーティングや、医薬品製剤の分野でよく知られている他のコーティングなどの、コーティングおよび外皮を施して調製することができる。こうした固体剤形は、場合により乳白剤を含有してもよく、また腸管の特定の部分で、場合により遅れた形で、活性成分を単独または優先的に放出する組成物の剤形にすることもできる。使用することのできる包埋組成物の例として、ポリマー物質およびろうが挙げられる。
【0064】
本明細書に記載の化合物は、上述のような1種または複数の賦形剤を用いてマイクロカプセル化された形態にすることもできる。錠剤、カプセル剤、丸剤、および顆粒剤の固体剤形は、腸溶コーティング、徐放コーティング、および医薬品製剤の分野でよく知られている他のコーティングなどのコーティングおよび外皮を施して調製することができる。そのような固体剤形では、活性化合物を、スクロース、ラクトース、デンプンなどの少なくとも1種の不活性希釈剤と混和することができる。このような剤形は通例、不活性希釈剤以外の追加物質、たとえば、ステアリン酸マグネシウムや微結晶性セルロースといった打錠潤滑剤および他の打錠助剤も含んでよい。カプセル剤、錠剤、および丸剤の場合では、剤形は緩衝剤も含む場合がある。こうした剤形は、場合により乳白剤を含有してもよく、また腸管の特定の部分で、場合により遅れた形で、活性成分を単独または優先的に放出する組成物の剤形にすることもできる。使用することのできる包埋組成物の例として、ポリマー物質およびろうが挙げられる。
【0065】
経口投与用の液体剤形としては、薬学的に許容できる乳濁液、マイクロエマルション、溶液、懸濁液、シロップ、およびエリキシルが挙げられる。液体剤形は、活性化合物に加えて、当技術分野で一般に使用される不活性希釈剤、たとえば水や他の溶媒、可溶化剤および乳化剤、たとえば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチルカルボナート、EtOAc、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油類(特に、綿実油、ラッカセイ油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール、およびソルビタン脂肪酸エステル、およびこれらの混合物も含有してよい。不活性希釈剤のほか、経口組成物は、湿潤剤、乳化剤、懸濁化剤、甘味剤、香味剤、および着香剤などの佐剤も含む場合がある。
【0066】
本発明の化合物の局所または経皮投与用剤形としては、軟膏、泥膏、クリーム、ローション、ゲル、粉末、溶液、スプレー、吸入剤、またはパッチが挙げられる。活性成分は、必要に応じて、無菌条件下で、薬学的に許容できる担体、および必要となる任意の保存剤または緩衝剤と混和される。眼科製剤、点耳剤なども、本発明の範囲内にあると考える。
【0067】
本発明の組成物は、液体エアロゾルまたは吸入可能な乾燥粉末としての送達用に製剤することもできる。液体エアロゾル製剤では、大部分を、終末細気管支および呼吸細気管支に送達され得る粒径の霧状にすることができる。
【0068】
本発明の化合物の有効量には、一般に、Kv1.5カリウムチャネル活性を検出可能な程度に調節するのに、またはKv1.5カリウムチャネル活性に関連し、もしくはKv1.5カリウムチャネル活性の調節に感受性のある疾患の症状を緩和するのに十分な任意の量が含まれる。
【0069】
担体材料と組み合わせて単一剤形を製造することのできる活性成分の量は、治療を受ける受容者および特定の投与方式に応じて様々となる。しかし、任意の特定の対象のための詳細な用量レベルは、用いる特定化合物の活性、年齢、体重、一般健康状態、性別、食事、投与時期、投与経路、排出率、薬物の組合せ、および治療される特定の疾患の重傷度を含めた様々な要素に応じて決まることは理解されよう。所与の状況に合わせた治療有効量は、ごく普通の実験によって容易に決定することができ、一般の臨床医の技量および裁量の範囲内である。
【0070】
本発明の別の態様では、1種または複数の本発明の化合物を含むキットが提供される。典型的なキットは、本明細書に記載の化合物(たとえば、式IaまたはIbの化合物)と、有効量の本発明の化合物を投与することによって心房性不整脈、血栓塞栓症、発作、または心不全を治療または予防することについての説明書などのパッケージ挿入物または他のラベルとを含む。
【0071】
本発明の別の態様では、1種または複数の本発明の化合物を含むキットが提供される。典型的なキットは、本明細書に記載の化合物(たとえば、式IaまたはIbの化合物)と、有効量の本発明の化合物を投与することによってKv1.5カリウムチャネルを阻害することについての説明書などのパッケージ挿入物または他のラベルとを含む。
【0072】
本発明の別の態様では、1種または複数の本発明の化合物を含むキットが提供される。典型的なキットは、本明細書に記載の化合物(たとえば、式IaまたはIbの化合物)と、有効量の本発明の化合物を投与することによって心臓除細動を引き起こすことについての説明書などのパッケージ挿入物または他のラベルとを含む。
【0073】
本発明のKv1.5カリウムチャネル阻害剤は、5−スピロ環式−4−イミダゾリジノンであり、式(Ia)または(Ib)を有する化合物
【0074】
【化6】

のすべての鏡像異性体およびジアステレオ異性体形態ならびに塩を包含するが、コア骨格には、例として式(Ib)について示す、以下のとおり番号を付ける。
【0075】
【化7】

【0076】
本発明の目的では、ラセミの式、たとえば、
【0077】
【化8】

によって示される化合物は、次式の2つの鏡像異性体
【0078】
【化9】

のどちらかまたはその混合物(または第2のキラル中心が存在する場合、そのすべてのジアステレオ異性体および混合物)と同様である。
【0079】
本発明の化合物は、市販の出発材料、文献で知られている化合物、または容易に調製される中間体から、当業者に知られている標準の合成法および手順を用いて、本明細書で概略を述べる手順に従って調製することができる。有機分子の調製ならびに官能基の転位および操作についての標準の合成法および手順は、関連の科学文献またはその分野の標準の教本から容易に入手することができる。典型的または好ましい作業条件(すなわち、反応温度、時間、反応物のモル比、溶媒、圧力など)を示す場合、別段の記載がない限り、他の作業条件も使用してよいことは理解されよう。最適反応条件は、使用する特定の反応物または溶媒によって様々である。当業者ならば、示してある合成ステップの種類および順序は、本明細書に記載の化合物の生成を最適にする目的で様々に変えてよいことも心得ていよう。
【0080】
本明細書に記載の方法は、当技術分野で知られている任意の適切な方法に従ってモニターすることができる。たとえば、生成物の生成は、核磁気共鳴分光法(たとえばHまたは13C)、赤外分光法、分光側光法(たとえばUV−可視)、質量分析などの分光手段によって、または高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、ガスクロマトグラフィー(GC)、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)、薄層クロマトグラフィー(TLC)などのクロマトグラフィーによってモニターすることができる。
【0081】
化合物の調製には、様々な化学基の保護および脱保護が伴う場合がある。保護基の化学は、たとえば、Greeneら、Protective Groups in Organic Synthesis、第4版(John Wiley&Sons、2007)で見ることができ、この開示の全体をすべての目的で参照により本明細書に援用する。
【0082】
本明細書に記載の反応または方法は、有機合成分野の技術者が容易に選択することのできる適切な溶媒中で実施することができる。適切な溶媒は通常、反応を実施する温度、すなわち、溶媒の凝固温度から溶媒の沸騰温度までの範囲となり得る温度において反応物、中間体、および/または生成物と実質的に反応性でない。所与の反応は、1種の溶媒中で、または2種以上の溶媒の混合物中で実施することができる。特定の反応ステップに適する溶媒を、特定の反応ステップに応じて選択することができる。
【0083】
このような教示の化合物は、当技術分野で知られている方法によって調製することができる。このような教示の化合物の調製で使用する試薬は、市販品として入手することもでき、または文献に記載されている標準の手順によって調製することもできる。たとえば、本発明の化合物は、スキーム1で例示する方法に従って調製することができる。
【0084】
【化10】

【0085】
スキームIにおいて、アミン保護されたアミノ酸Aは、−NH−PG基を含んでいる。一般に、アミン保護されたアミノ酸は、式
【0086】
【化11】

を有するものでよく、−Zは、任意の保護されたアミノ基である。スキームIの例では、Zは−NH−PGである。別の例として、Zは、式
【0087】
【化12】

[式中、PGおよびPGはそれぞれ保護基である]
または式
【0088】
【化13】

[式中、PGおよびPGはそれぞれ、例としてカルボニル基でよい保護基官能基である]の保護されたアミノ基でよい。例として、Zはフタルイミド基でもよい。
【0089】
(PGがアミン保護基である)アミン保護されたアミノ酸Aを、アミドカップリング条件下にてアミンAr−(L)−NHで処理する。適切なアミドカップリング条件として、カルボジイミド(たとえば、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDAC)またはジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC))やPyBOPなどのカップリング試薬の使用が挙げられる。場合により、カップリング条件は、カップリング剤およびヒドロキシル化部分(たとえば、N−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、(HOAt)、またはペンタフルオロフェノール)を含む。当技術分野で知られている適切などんなアミドカップリング条件を使用してもよい。保護基PGを除去すると、化合物Bが得られる。適切などんなアミン保護基(たとえば、tert−ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニルなど)および対応する脱保護条件(たとえば、酸(たとえばHCl、TFA)での処理または水素化(たとえば、パラジウムを触媒とする水素化))を使用してもよい(たとえば、T.W.Greene、Protective Groups in Organic Synthesis、第4版(John Wiley and Sons、2007を参照されたい)。化合物Bを、塩基の存在下でアルデヒドAr−CHOと縮合させて、4−イミダゾリジノンCを生成する。Cをアルキル化すると、4−イミダゾリジノンDが得られる。たとえば、適切な溶媒(たとえばTHF、DMF)中にて、ハロゲン化アルキル(たとえば、ヨウ化アルキル、臭化アルキル、塩化アルキル)および塩基(たとえば、NaHなどの金属水素化物)で処理するものを含めて、適切などんなアルキル化条件を使用してもよい。
【0090】
四級化されたN−1窒素を含んでいる式(I)の化合物は、たとえば、スキーム2に従って調製することができる。
【0091】
【化14】

【0092】
化合物Cを、適切な溶媒(たとえばDMF)中にて、少なくとも2当量のアルキル化剤(たとえば、ハロゲン化アルキル、スルホン酸アルキルなど)の存在下、適切な塩基(たとえば水素化ナトリウム)で処理すると、化合物Eを得ることができる。別法として、モノアルキル化された4−イミダゾリジノンDを、適切な溶媒(たとえばDMF)中にて適切な塩基(たとえば水素化ナトリウム)およびアルキル化剤(たとえば、ハロゲン化アルキル、スルホン酸アルキルなど)で処理して、化合物Eを得ることもできる。
【実施例】
【0093】
以下の非限定的な実施例は、単に本発明を例示するのに示すにすぎない。当業者ならば、例示してはいないがそれでもこの教示の一部をなす等価形態および変形形態が数多く存在することは理解されよう。
【0094】
(実施例1)
6−(4−tert−ブチルフェニル)−7−[2−(4−メトキシフェニル)エチル]−5−メチル−5,7−ジアザスピロ[3.4]オクタン−8−オン(表1の化合物番号9)の調製
【0095】
【化15】

ステップ1:860mg(4mmol)のBocアミノ酸1および4−メトキシフェネチルアミン(604mg、4mmol)を10のDMFに室温で溶解させ、2.05g(4mmol)のPyBOPを加えた。反応pHをDIPEAで6.0に調整し、反応液を12時間撹拌した。次いで、反応液をEtOAcおよびHOで希釈した。層を分離し、水層をEtOAcで抽出した。有機層を合わせてNaSOで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。EtOAc/ヘキサン(0%のEtOAc→50%のEtOAc/ヘキサン)を用いるクロマトグラフィーにかけると、1.40gのtert−ブチル1−(4−メトキシフェネチルカルバモイル)シクロブチルカルバマート(95%)が白色の固体として得られた。
【0096】
白色の固体を50mlのCHClに溶解させた。13mlのトリフルオロ酢酸を加え、反応液を室温で3時間撹拌した。溶媒を真空中で除去して、1−アミノ−N−(4−メトキシフェネチル)シクロブタンカルボキサミドトリフルオロアセタート2(2.21g)を淡褐色の油状物として得、これをそれ以上精製せずに使用した。
【0097】
ステップ2:淡褐色の油状物を20mlのメタノールに溶解させ、676mgの4−t−ブチルベンズアルデヒドを加えた後、1.38gのKCOを加え、反応液を加熱還流した。18時間後、反応液を室温に冷まし、溶液を濾過し、得られる溶液から溶媒を除去した。残った油状物をEtOAcに溶解し直し、HOで洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、真空中で溶媒を除去した。EtOAc/ヘキサン(0%のEtOAc→60%のEtOAc/ヘキサン)を用いるクロマトグラフィーにかけると、6−(4−tert−ブチルフェニル)−7−(4−メトキシフェネチル)−5,7−ジアザスピロ[3.4]オクタン−8−オンが白色の固体として得られた。
【0098】
白色の固体の一定量392mg(1mmol)をTHF(20ml)に溶解させ、27mg(1.2mmol)のNaHを加えた後、197mg(1.4mmol)のヨードメタンを加えた。反応液を48時間撹拌し、次いで真空中で溶媒を除去した。残った材料をEtOAcに溶解させ、水で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、溶媒を除去した。EtOAc/ヘキサン(0%のEtOAc→50%のEtOAc/ヘキサン)を用いるクロマトグラフィーにかけると、264mgの所望の6−(4−tert−ブチルフェニル)−7−[2−(4−メトキシフェニル)エチル]−5−メチル−5,7−ジアザスピロ[3.4]オクタン−8−オン3が透明な油状物として得られた。
【0099】
(実施例2)
5−(4−tert−ブチルフェニル)−6−[2−(4−メトキシフェニル)エチル]−4,4−ジメチル−7−オキソ−6−アザ−4−アゾニアスピロ[2.4]ヘプタン(表1の化合物番号25)の調製
【0100】
【化16】

378mg(1mmol)の4(実施例1の手順に従って調製したもの)、35mg(1.5mmol)のNaH、および284mg(2mmol)のヨードメタンをDMFに溶かした溶液を、室温で24時間撹拌した。混合物を100mlのEtOACで希釈し、HO(2×50ml)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、揮散させて油状物とした。CHCN/HO 0.1%TFAを用いる逆相HPLC精製にかけると、304mg(60%)の所望の5−(4−tert−ブチルフェニル)−6−[2−(4−メトキシフェニル)エチル]−4,4−ジメチル−7−オキソ−6−アザ−4−アゾニアスピロ[2.4]ヘプタンが得られた。
【0101】
表Iで一覧にした化合物1〜25は、対応する試薬(たとえば、対応するアミノ酸、アミン、およびアルデヒド試薬)を使用して、上記実施例1および2に記載の手順に従って調製した。高速液体クロマトグラフィー(HPLC)は、カラムAquasil C18(Aquasil C18 HPLCカラム、長さ50mm×内径2mm、5ミクロン粒子)を用い、以下の条件を使用して記録した。すなわち、移動相A:10mMの95%水/5%CAN中NHOAC(6.67mLの7.5M NHOAC溶液をピペットで4743mLのHO中に移し、次いで250mLのACNをその溶液および混合物に加える)。移動相B:10mMの5%水/95%CAN中NHOAC(6.67mLの7.5M NHOAC溶液をピペットで243mLのHO中に移す。次いで4750mLのACNをその溶液および混合物に加える)。流量:0.800mL/分、カラム温度:40℃、注入体積:5mL、UV:214nmおよび254nmをモニター。
勾配一覧:
時間(分) %B
0.0 0
2.5 100
4.0 100
4.1 0
5.5 0
【0102】
質量スペクトルは、Agilent 1200 HPLC/飛行時間型質量分析計3×50mm、1.8ミクロンstable bond C18カラム、T=70C、1.2分かけて70/30(A:B)から5/95(A:B)への線形勾配、A)水(0.1%のギ酸含有)、B)アセトニトリル(0.1%のギ酸含有)を使用して記録した。質量分析計は、m/z100〜1000で走査した。
【0103】
【表1−1】

【0104】
【表1−2】

【0105】
【表1−3】

【0106】
【表1−4】

【0107】
Kv1.5パッチクランプEP
Kv1.5電流は、ホールセルモードのパッチクランプ電気生理によって記録する。Kv1.5は、HEK細胞中で安定に過剰発現される。微小電極は、ホウケイ酸ガラス(TW150)を引っ張り、熱で仕上げを施す(先端抵抗、1.5〜3メガオーム)。外部溶液は、標準のタイロード液である。内部(微小電極)溶液は、110mMのKCl、5mMのKATP、5mMのKBAPTA、1mMのMgCl、および10mMのHEPESを含有したものであり、KOHでpH7.2に調整された。指令電位は、Axonソフトウェア(pClamp 8.1)およびハードウェア(Axopatch 1D, 200B)を使用して、−70mVの保持電位から+60mVまで1秒間適用する。化合物は、10〜20mMのDMSO保存液として調製し、適切な試験濃度に希釈する。安定な電流を得た後、化合物を細胞に潅流させ、所与の化合物濃度で電流にそれ以上の明らかな変化がなくなるまで、細胞を5秒毎にパルスする。阻害は、1秒のパルスの終わりに測定し、対照を基準として示す。Kv1.5阻害は、1μMで実施する一点測定法によって推定する。
【0108】
一般にこの手順に従い、本発明による代表的な化合物についての結果を以下の表IIで一覧にする。
【0109】
【表2−1】

【0110】
【表2−2】

【0111】
本明細書に記載されている事項の変形形態、変更形態、および他の実施態様は、この教示の真意および本質的特徴から逸脱することなく、当業者の知るところとなろう。したがって、この教示の範囲は、前述の例示的な記述によってではなく、それよりも以下の特許請求の範囲によって定義されることになり、特許請求の範囲の等価の意味および範囲に収まるすべての変更がその中に包含されるものとする。
【0112】
本明細書で記述し、参照文献として引用した特許、特許出願、書籍、技術文書、商業刊行物、および雑誌記事を含めるがこの限りでない、出版されている刊行物はそれぞれ、参照により本明細書に援用され、その内容全体が含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(Ia)もしくは(Ib)を有する化合物
【化1】

または薬学的に許容できるその塩
[式中、
Arは、C〜C10アリール環または5〜14員ヘテロアリール環であり、アリールまたはヘテロアリール環はそれぞれ、C1〜6アルキル、F、Cl、Br、I、C3〜6シクロアルキル、C1〜6アルコキシ、OH、NH、NH(C1〜6アルキル)、N(C1〜6アルキル)、NO、C1〜3ハロアルキル、SH、SC1〜6アルキル、およびCNからそれぞれ独立に選択される1、2、3または4個の置換基で置換されていてもよく、
Arは、C〜C10アリール環または5〜14員ヘテロアリール環であり、それぞれ、C1〜6アルキル、F、Cl、Br、I、C3〜6シクロアルキル、C1〜6アルコキシ、OH、NH、NH(C1〜6アルキル)、N(C1〜6アルキル)、NO、C1〜3ハロアルキル、SH、SC1〜6アルキル、およびCNからそれぞれ独立に選択される1、2、3または4個の置換基で置換されていてもよく、
各Xは、それぞれ独立に−CR−であり、
各Lは、それぞれ独立に−CR−であり、
、R、R、R、RおよびRはそれぞれ、H、F、Cl、Br、I;ならびにC1〜6アルキル、F、Cl、Br、I、C1〜6アルコキシ、OH、NH、NO、C1〜3ハロアルキル、SH、S−C1〜6アルキル、およびCNからそれぞれ独立に選択される1、2、3または4個の置換基で置換されていてもよいC1〜6アルキルからそれぞれ独立に選択され、
およびRはそれぞれ、H;ならびにF、Cl、Br、I、C1〜6アルコキシ、OH、NH、NO、C1〜3ハロアルキル、SH、SC1〜6アルキル、CN、C3〜10シクロアルキル、3〜10員ヘテロシクリル、C−、C10−アリール、および5〜10員ヘテロアリール環からそれぞれ独立に選択される1、2、3または4個の置換基で置換されていてもよいC1〜6アルキルからそれぞれ独立に選択され、
Yは、対イオンであり、
nは、1、2、3、4または5であり、
pは、0、1、2、3または4である]。
【請求項2】
、R、RおよびRがそれぞれHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
pが1である、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
pが2である、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項5】
各Lが−CH−である、請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
Arが、C1〜6アルキル、F、Cl、Br、I、C3〜6シクロアルキル、C1〜6アルコキシ、OH、NH、NH(C1〜6アルキル)、N(C1〜6アルキル)、NO、C1〜3ハロアルキル、SH、−SC1〜6アルキル、およびCNからそれぞれ独立に選択される1、2または3個の置換基で置換されていてもよいフェニルである、請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
Arが、C1〜6アルキル、F、Cl、Br、I、C3〜6シクロアルキル、C1〜6アルコキシ、OH、およびCFからそれぞれ独立に選択される1、2または3個の置換基で置換されていてもよいフェニルである、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
Arが、メチル、F、Cl、およびメトキシからそれぞれ独立に選択される1、2または3個の置換基で置換されていてもよいフェニルである、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
Arが、1、2または3個のメトキシ基で置換されていてもよいフェニルである、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
Arが、パラ置換されたフェニルである、請求項1から9のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
Arが4−メトキシフェニルである、請求項1から10のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項12】
Arが、C1〜6アルキル、F、Cl、Br、I、C3〜6シクロアルキル、C1〜6アルコキシ、OH、NH、NH(C1〜6アルキル)、N(C1〜6アルキル)、NO、C1〜3ハロアルキル、SH、−S−C1〜6アルキル、およびCNからそれぞれ独立に選択される1、2または3個の置換基で置換されていてもよいフェニルである、請求項1から11のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項13】
Arが、C1〜6アルキル、ハロゲン、N(C1〜6アルキル)、およびCFからそれぞれ独立に選択される1、2または3個の置換基で置換されていてもよいフェニルである、請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
Arが、パラ置換されたフェニルである、請求項1から請求項13のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項15】
Arが、4位がメチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、F、Cl、CF、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、またはジイソプロピルアミノで置換されているフェニルである、請求項1から14のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項16】
Arが、C1〜6アルキル、F、Cl、Br、I、C3〜6シクロアルキル、C1〜6アルコキシ、OH、NH、NH(C1〜6アルキル)、N(C1〜6アルキル)、NO、C1〜3ハロアルキル、SH、−S−C1〜6アルキル、およびCNからそれぞれ独立に選択される1、2、3または4個の置換基で置換されていてもよい5〜14員ヘテロアリールである、請求項1から11のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項17】
Arが、C1〜6アルキル、F、Cl、Br、I、C3〜6シクロアルキル、C1〜6アルコキシ、OH、NH、NH(C1〜6アルキル)、N(C1〜6アルキル)、NO、C1〜3ハロアルキル、SH、−S−C1〜6アルキル、およびCNからそれぞれ独立に選択される1、2または3個の置換基で置換されていてもよいピリミジニルである、請求項16に記載の化合物。
【請求項18】
Arが、NH、NH(C1〜4アルキル)、およびN(C1〜4アルキル)からそれぞれ独立に選択される1、2または3個の置換基で置換されていてもよいピリミジニルである、請求項17に記載の化合物。
【請求項19】
Arが、C1〜6アルキル、F、Cl、Br、I、C3〜6シクロアルキル、C1〜6アルコキシ、OH、NH、NH(C1〜6アルキル)、N(C1〜6アルキル)、NO、C1〜3ハロアルキル、SH、−S−C1〜6アルキル、およびCNから選択される1個の置換基で置換されていてもよいピリミジン−5−イルである、請求項17に記載の化合物。
【請求項20】
Arが、NH、NH(C1〜6アルキル)、またはN(C1〜6アルキル)で置換されていてもよいピリミジン−5−イルである、請求項19に記載の化合物。
【請求項21】
Arが、ジエチルアミノで置換されていてもよいピリミジン−5−イルである、請求項20に記載の化合物。
【請求項22】
が、H;F、Cl、Br、I、C3〜10シクロアルキル、3〜10員ヘテロサイクル、CもしくはC10アリール、または5〜10員ヘテロアリールで置換されていてもよいC1〜6アルキルである、請求項1から21のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項23】
が、H、C1〜6アルキル、またはシクロプロピルメチルである、請求項22に記載の化合物。
【請求項24】
およびRが、それぞれ独立にC1〜6アルキルである、請求項1から21のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項25】
およびRがそれぞれメチルである、請求項24に記載の化合物。
【請求項26】
nが1である、請求項1から25のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項27】
nが2である、請求項1から25のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項28】
nが3である、請求項1から25のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項29】
nが4である、請求項1から25のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項30】
が、出現する毎にHであり、
が、出現する毎にHである、
請求項26から29のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項31】
各pが2であり、Lが−CH−であり、Arが、C1〜6アルキル、F、Cl、Br、I、C3〜6シクロアルキル、C1〜6アルコキシ、OH、NH、NH(C1〜6アルキル)、N(C1〜6アルキル)、およびC1〜3ハロアルキルからそれぞれ独立に選択される1、2または3個の置換基で置換されていてもよいフェニルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項32】
Arが4−メトキシフェニルである、請求項31に記載の化合物。
【請求項33】
Arが、C1〜6アルキル、F、Cl、Br、I、C3〜6シクロアルキル、C1〜6アルコキシ、OH、NH、NH(C1〜6アルキル)、N(C1〜6アルキル)、NO、C1〜3ハロアルキル、SH、−S−C1〜6アルキル、およびCNからそれぞれ独立に選択される1、2、3または4個の置換基で置換されていてもよいフェニルである、請求項31または32に記載の化合物。
【請求項34】
Arが、4位がメチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、F、Cl、CF、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、またはジイソプロピルアミノで置換されているフェニルである、請求項33に記載の化合物。
【請求項35】
Arが、C1〜6アルキル、ハロゲン、−OC1〜6アルキル、OH、NH、NH(C1〜6アルキル)、N(C1〜6アルキル)、NO、C1〜3ハロアルキル、SH、−S−C1〜6アルキル、およびCNからそれぞれ独立に選択される1、2、3または4個の置換基で置換されていてもよい5〜14員ヘテロアリールである、請求項31または32に記載の化合物。
【請求項36】
Arが、C1〜6アルキル、F、Cl、Br、I、C3〜6シクロアルキル、C1〜6アルコキシ、OH、NH、NH(C1〜6アルキル)、N(C1〜6アルキル)、NO、C1〜3ハロアルキル、SH、−S−C1〜6アルキル、およびCNからそれぞれ独立に選択される1、2または3個の置換基で置換されていてもよいピリミジニルである、請求項35に記載の化合物。
【請求項37】
Arが、NH、NH(C1〜6アルキル)、またはN(C1〜6アルキル)で置換されていてもよいピリミジン−5−イルである、請求項36に記載の化合物。
【請求項38】
が、H、C1〜6アルキル、またはシクロプロピルメチルである、請求項31から37のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項39】
およびRが、それぞれ独立にC1〜6アルキルである、請求項31から37のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項40】
nが1である、請求項31から39のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項41】
nが2である、請求項31から39のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項42】
nが3である、請求項31から39のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項43】
nが4である、請求項31から39のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項44】
が、出現する毎にHであり、
が、出現する毎にHである、
請求項40から43のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項45】
Xが−CR−である、請求項1から44のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項46】
a)5−(4−tert−ブチルフェニル)−6−[2−(4−メトキシフェニル)エチル]−4,6−ジアザスピロ[2.4]ヘプタン−7−オン;
b)5−(4−フルオロフェニル)−6−[2−(4−メトキシフェニル)エチル]−4,6−ジアザスピロ[2.4]ヘプタン−7−オン;
c)5−(4−クロロフェニル)−6−[2−(4−メトキシフェニル)エチル]−4,6−ジアザスピロ[2.4]ヘプタン−7−オン;
d)6−[2−(4−メトキシフェニル)エチル]−5−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−4,6−ジアザスピロ[2.4]ヘプタン−7−オン;
e)5−(4−tert−ブチルフェニル)−6−[2−(4−メトキシフェニル)エチル]−4−メチル−4,6−ジアザスピロ[2.4]ヘプタン−7−オン;
f)5−(4−フルオロフェニル)−6−[2−(4−メトキシフェニル)エチル]−4−メチル−4,6−ジアザスピロ[2.4]ヘプタン−7−オン;
g)6−[2−(4−メトキシフェニル)エチル]−4−メチル−5−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−4,6−ジアザスピロ[2.4]ヘプタン−7−オン;
h)6−(4−tert−ブチルフェニル)−7−[2−(4−メトキシフェニル)エチル]−5,7−ジアザスピロ[3.4]オクタン−8−オン;
i)6−(4−tert−ブチルフェニル)−7−[2−(4−メトキシフェニル)エチル]−5−メチル−5,7−ジアザスピロ[3.4]オクタン−8−オン;
j)2−(4−tert−ブチルフェニル)−3−[2−(4−メトキシフェニル)エチル]−1,3−ジアザスピロ[4.4]ノナン−4−オン;
k)2−(4−tert−ブチルフェニル)−3−[2−(4−メトキシフェニル)エチル]−1−メチル−1,3−ジアザスピロ[4.4]ノナン−4−オン;
l)2−(4−クロロフェニル)−3−[2−(4−メトキシフェニル)エチル]−1−メチル−1,3−ジアザスピロ[4.4]ノナン−4−オン;
m)3−[2−(4−メトキシフェニル)エチル]−1−メチル−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,3−ジアザスピロ[4.4]ノナン−4−オン;
n)2−[4−(ジエチルアミノ)フェニル]−3−[2−(4−メトキシフェニル)エチル]−1−メチル−1,3−ジアザスピロ[4.4]ノナン−4−オン;
o)2−(4−tert−ブチルフェニル)−3−[2−(4−メトキシフェニル)エチル]−1,3−ジアザスピロ[4.5]デカン−4−オン;
p)2−(4−クロロフェニル)−3−[2−(4−メトキシフェニル)エチル]−1,3−ジアザスピロ[4.5]デカン−4−オン;
q)3−[2−(4−メトキシフェニル)エチル]−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,3−ジアザスピロ[4.5]デカン−4−オン;
r)2−(4−tert−ブチルフェニル)−3−[2−(4−メトキシフェニル)エチル]−1−メチル−1,3−ジアザスピロ[4.5]デカン−4−オン;
s)2−(4−クロロフェニル)−3−[2−(4−メトキシフェニル)エチル]−1−メチル−1,3−ジアザスピロ[4.5]デカン−4−オン;
t)3−[2−(4−メトキシフェニル)エチル]−1−メチル−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,3−ジアザスピロ[4.5]デカン−4−オン;
u)2−[4−(ジエチルアミノ)フェニル]−3−[2−(4−メトキシフェニル)エチル]−1−メチル−1,3−ジアザスピロ[4.5]デカン−4−オン;
v)2−[2−(ジエチルアミノ)ピリミジン−5−イル]−3−[2−(4−メトキシフェニル)エチル]−1−メチル−1,3−ジアザスピロ[4.5]デカン−4−オン;
w)1−(シクロプロピルメチル)−2−[4−(ジエチルアミノ)フェニル]−3−[2−(4−メトキシフェニル)エチル]−1,3−ジアザスピロ[4.5]デカン−4−オン;
x)6−(4−tert−ブチルフェニル)−7−[2−(4−メトキシフェニル)エチル]−5,5−ジメチル−8−オキソ−7−アザ−5−アゾニアスピロ[3.4]オクタン;
y)5−(4−tert−ブチルフェニル)−6−[2−(4−メトキシフェニル)エチル]−4,4−ジメチル−7−オキソ−6−アザ−4−アゾニアスピロ[2.4]ヘプタン;
または薬学的に許容できるこれらの塩である、
請求項1に記載の化合物。
【請求項47】
1種または複数の請求項1に記載の化合物と、1種または複数の賦形剤とを含む医薬組成物。
【請求項48】
治療有効量の請求項1に記載の化合物を対象に投与することを含む、心房性不整脈を治療または予防する方法。
【請求項49】
心房性不整脈が、心房細動または心房粗動を含む、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
治療有効量の請求項1に記載の化合物を対象に投与することを含む、血栓塞栓症、発作、または心不全を治療または予防する方法。
【請求項51】
Arが、C〜C10アリール環または5〜14員ヘテロアリール環であり、各アリールまたはヘテロアリール環が、C1〜6アルキル、F、Cl、Br、I、C3〜6シクロアルキル、C1〜6アルコキシC1〜6アルコキシ、OH、NH、NH(C1〜6アルキル)、N(C1〜6アルキル)、NO、C1〜3ハロアルキル、SH、SC1〜6アルキル、およびCNから選択される少なくとも1個の置換基を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項52】
Arが、C〜C10アリール環または5〜14員ヘテロアリール環であり、各アリールまたはヘテロアリール環が、C1〜6アルキル、F、Cl、Br、I、C1〜6アルキル、OH、NH、NH(C1〜6アルキル)、N(C1〜6アルキル)、NO、C1〜3ハロアルキル、SH、−SC1〜6アルキル、およびCNから選択される少なくとも1個の置換基を有する、請求項51に記載の化合物。
【請求項53】
治療有効量の請求項1に記載の化合物または請求項47に記載の医薬組成物を対象に投与することを含む、対象においてKv1.5カリウムチャネルを阻害する方法。
【請求項54】
治療有効量の請求項1に記載の化合物または請求項47に記載の医薬組成物を対象に投与することを含む、対象においてKv1.5カリウムチャネルの阻害に関連する障害を治療または予防する方法。
【請求項55】
障害が、心房性不整脈、血栓塞栓症、発作、および心不全からなる群から選択される、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
治療有効量の請求項1に記載の化合物または請求項47に記載の医薬組成物を対象に投与することを含む、対象において心臓除細動を引き起こす方法。

【公表番号】特表2011−507887(P2011−507887A)
【公表日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−539809(P2010−539809)
【出願日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際出願番号】PCT/US2008/087459
【国際公開番号】WO2009/079630
【国際公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(309040701)ワイス・エルエルシー (181)
【Fターム(参考)】