説明

LAG−3タンパク質によるTH1リンパ球を検出、同定、単離並びに選択的に標識およびターゲッティングする方法

【課題】TH1リンパ球を検出、同定、単離、並びに選択的に標識及びターゲッティングする方法及び感染性疾患、癌、Th1−仲介疾患及びTh1及びTh2細胞の不均衡を伴う疾患の治療方法の提供。
【解決手段】リンパ球活性化遺伝子(LAG−3)は、ヒト活性化T及びNK細胞中で選択的に転写される免疫グロブリンスーパーファミリーの一員である。Th1リンパ球の表面上におけるLAG−3の存在をマーカーとして使用して、Th1リンパ球を検出および同定し、それらをTh2リンパ球から判別することができる。LAG−3に対するモノクローナル抗体は、Th1細胞を検出及び単離する方法、並びにTh1仲介疾患の診断方法で使用される。また感染性疾患、癌、及びTh1/Th2不均衡を伴う疾患を治療する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、TH1リンパ球を検出、同定、単離、並びに選択的に標識およびターゲッティングする方法に関し、より詳細には、TH1リンパ球の同定のためのマーカーとしてその表面上のLAG−3タンパク質の存在を使用する前記方法に関する。本発明はまた、感染性疾患、癌、Th1−仲介疾患およびTh1およびTh2細胞の不均衡を伴う疾患の治療方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リンパ球活性化遺伝子(LAG−3)は、ヒト活性化T(CD4+およびCD8+の両方)およびNK細胞において選択的に転写されている免疫グロブリンスーパーファミリーの一員である(Triebel他,1990;WO91−110682も参照)。配列データ、比較したエキソン/イントロンの構成、および染色体における位置決定により、LAG−3はCD4に密接に関連していることが明らかになった(Baixeras他,1992)。LAG−3とCD4との密接な関連はさらに、両者が同一のリガンド、即ちMHCクラスII分子を共有することが証明されたことによって強化された(Baixeras他,1992)。しかしながら、CD4とは対照的に、LAG−3はヒト免疫不全ウイルスgp120には結合しない(Baixeras他,1992)。インビボでのLAG−3の発現は、脾臓、粘膜付着リンパ組織または正常リンパ節などの一次リンパ器官中にはいずれも見られなかった。しかしながら、それは炎症を起こした扁桃腺、または濾胞性過形成を有するリンパ節では容易に検出され、インビボでさえ、LAG−3は活性化後に発現するという考え方が裏付けている(Huard他,1994A)。コードされたLAG−3タンパク質の生理的役割は依然不明である。抗−LAG−3モノクローナル抗体(mAb)の存在下でのT細胞クローンの抗原特異的刺激は、チミジン取り込みの増加、活性化マーカーCD25のより高度の発現、並びにサイトカイン産生の向上をもたらした(Huard他,1994B)。従って、可溶性組み換え体のLAG−3の添加により抗原特異的T細胞増殖は阻害され、CD4+Tリンパ球活性化におけるLAG−3の調節的役割が示唆された(Huard,1995)。
【0003】
マウスおよびヒトの両方のCD4+T細胞クローンの研究により、CD4+Tヘルパー(Th)細胞がそれらのプロフィールまたはサイトカイン産生に基づいて機能的に異種の集団を含むことが示された(Mosmann他,1986;Del Prete他,1991)。Th1細胞はインターロイキン(IL)−2、インターフェロン(IFN)−γおよび腫瘍壊死因子(TNF)−βを産生する一方、Th2細胞はIL−4およびIL−5を産生する。Th1またはTh2細胞の顕著な分化がない場合には、大部分のCD4+T細胞は、Th1−およびTh2−型のサイトカインの両方を産生する(即ち、Th0細胞)(Mosmann他,1996;Del Prete他,1991;Sher他,1992;Romagnani,S.,1994)。近年、本発明者はヒトTh1およびTh2クローンが異なる機能的特性を示すのみならず、TNF受容体ファミリーに属する活性化マーカーである(Smith他,1990)CD30の異なる発現(Del Prete他,1995A)をも示すことを示した。
【0004】
Th1細胞は器官特異的自己免疫疾患の病原に寄与する一方、Th2細胞はそれらを阻止していることが示唆されている(Liblau他,1995)。従って、Th2細胞を除外してTh1細胞を同定および単離するための簡単な方法を有することは有用であると考えられる。
【0005】
本明細書中のいかなる文献の引用も、そのような文献が適切な従来技術であるとか本出願の請求の範囲の特許性に対する材料とみなされることを承認することを意図するものではない。いかなる文献の内容またはその日付に関するどの記載も、出願当時に出願人に入手可能な情報に基づくものであり、そのような記載の正確性に関する承認を意味するものではない。
【発明の開示】
【0006】
LAG−3の発現がTh1型サイトカインの産生に向けられたCD4+T細胞に優先的に付随していることが今回発見された。即ち、LAG−3の発現は、Th1リンパ球を検出および同定し、それらをTh2リンパ球から判別するためのマ一カーとして使用することができる。LAG−3に対するモノクローナル抗体を使用してLAG−3タンパク質を発現するTh1リンパ球を検出し同定することができる。
【0007】
さらに、LAG−3マーカーを使用してTh1細胞をTh2細胞から単離することができる。例えば、Th1細胞は器官特異的自己免疫疾患の病原に寄与する一方、Th2細胞はそれらを阻止することが知られている。即ち、自己免疫疾患患者からの自己由来のT細胞を、ex vivoでTh1およびTh2富裕画分への分離に付し、Th2細胞を再注入し、自己免疫疾患との闘病を助ける。同じことが、Th1細胞によって優先的に仲介される任意の疾患または状態、例えば接触皮膚炎などにも当てはまる。
【0008】
LAG−3がTh1リンパ球に対する選択的マーカーであるという知見を使用するもう一つ別の治療方法は、LAG−3タンパク質の細胞外部分に特異的なモノクローナル抗体を使用するイムノトキシンによるものである。毒成分が当分野で周知の手段によってそのような抗体に付着されれば、Th1リンパ球は破壊のために選択的にターゲッティングすることができる。Th1型からTh2型へCD4+ヘルパーT細胞の均衡をこのように効率的に移動させることによって、Th1仲介疾患を軽減することができる。
【0009】
あるいは、抗−LAG−3モノクローナル抗体を使用して、Th1/Th2細胞集団の均衡を調節して、Th0細胞のTh1細胞への分化の極性を与える。
LAG−3に対する標識モノクローナル抗体を使用してTh1細胞を選択的に標識することができる。即ち、放射活性標識を使用する場合、Th1細胞の位置は適当な可視化手段によって追跡することができる。
本発明のもう一つ別の側面は、固体担体上に固定されているか、または蛍光化合物で標識された抗−LAG−3抗体をTh1細胞に結合して、Th1細胞をTh2細胞から分離することである。
【0010】
本発明のさらに別の側面は、患者へ再注入するために単離または富裕化されたTh1またはTh2細胞を増殖することであり、各々食細胞依存性または食細胞非依存性の宿主防御を増加するために、その患者から上記細胞は得られる。
さらに、本発明はまた、患者からの液体試料中で可溶性LAG−3特異的抗体に結合する可溶性LAG−3の量を測定することによるTh1仲介疾患または異常を診断するための方法を提供する。
従って、本発明は、LAG−3タンパク質がTh1リンパ球に優先的に付随しているという知見を使用する上記方法の全てに関する。
【0011】
図面の簡単な説明
図1は、抗原活性化ヒトT細胞による膜LAG−3またはCD30の発現およびサイトカイン産生の動態を示す。SK(上部)またはDerp1(下部)に特異的なT細胞株は、実施例1に記載されている通りに正常被験者のPBMCから生成された。0日目並びに培養後6、10および14日目に、生存可能なT細胞ブラスト(blasts)を洗浄し、計数し、新しい培地に再懸濁し、実施例1に記載し左側のグラフに示す通りに、フローサイトメトリーによって膜LAG−3(●)とCD30(○)の両方の発現について評価した。同一の時間間隔で、各株からのT細胞(106/ml)もPMA+抗−CD3抗体で24時間再刺激し、培養上清を、実施例1に記載し右側のグラフに示す通りに、適切なELISAによってIFN−γ(●)およびIL−4(○)の含有量について評価した。結果は、3種の異なるドナーからの細胞で得られた平均値±SEを示す。
【0012】
図2は、IL−12による膜LAG−3発現の上昇調節を示す。破傷風毒素(TT)に特異的なT細胞株を、実施例1に記載されている通りに、IL−4およびIL−12の不在下(□)またはIL−4の存在下(目)またはIL−12(■)の存在下で、正常被験者のPBMCから生成した。培養10日目に、生存可能なT細胞ブラストを、 図1に記載する通りに、IFN−γおよびIL−4の産生並びにLAG−3の発現について評価した。コラムは3回の別個の実験で得られた平均値(±SE)を示す。
【0013】
図3は、4種のCD4+T細胞クローンによる膜LAG−3およびCD30発現の動態を示す。CD4+T細胞クローンは実施例1に記載されている通りに、正常ドナーのPBMCから生成した。各クローンのサイトカインプロフィールを評価するために、T細胞ブラスト(108/ml)をPMA(10ng/ml)プラス抗−CD3抗体(100ng/ml)で36時間刺激し、IFN−γおよびIL−4を実施例1に記載する通りに、培養上清中で定量した。IFN−γを産生できるがIL−4を産生できないT細胞クローンをTh1様と分類し;IL−4を産生するがIFN−γを産生しないT細胞クローンをTh2様と分類し;IL−4とIFN−γの両方を産生するT細胞クローンをTh0様と分類した。
【0014】
2つのTh1様および2つのTh2様CD4+T細胞クローンをPHA(1%v/v)プラスIL−2(20U/ml)で刺激し、実施例1に記載されている通りに、フローサイトメトリーによってLAG−3とCD30の両方の発現について24時間間隔で評価した。
【0015】
図4は、84のCD4+T細胞クローン(33のTh1様、33のTh0様、そして18のTh2様)による膜LAG−3の発現を示す。CD4+T細胞クローンを生成し、 図3に記載する通り、Th1様、Th0様そしてTh2様と類別した。値は、PHAプラスIL−2による活性化後4日目に膜LAG−3発現を示す、各クローンからのT細胞ブラストの割合を示す。
【0016】
図5は、PHAプラスIL−2で刺激したCD4+Th1様クローンによる可溶性LAG−3産生の動態を示す。T細胞ブラストによる膜LAG−3(mLAG−3)の発現をフローサイトメトリーによって評価した(図1も参照)。可溶性LAG−3を、実施例1に記載する通り、適切なELISAによって無細胞上清中において測定した。結果は、5種の異なるT細胞クローンからの平均値±SEを示す。
【0017】
図6は、CD4+T細胞クローンによって産生された可溶性LAG−3、IFN−γおよびIL−4の濃度間の相関を示す。全部で146のCD4+T細胞クローンを、PHAプラスIL−2で4日間刺激し、無細胞上清中に放出された可溶性LAG−3、IFN−γおよびIL−4の濃度を 図1および4に記載する通りに測定した。
【0018】
図7Aおよび7Bは、破傷風毒素を皮内に受けたサルの遅延型過敏性(DTH)スコアを示す。最初のDTH(図7A)は、TTのみを受けた3頭の動物の2群を使用して行った。2番目のDTH(図7B)は、抗−LAG−3モノクローナル抗体またはアイソタイプ適合した負のコントロールとして抗−FSH抗体を予め投与した動物で行った。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
LAG−3発現は、CD30と同様に、サイトカイン分泌のTh1表現型に優先的に関係する。試験結果は、LAG−3が抗原刺激T細胞においてIFN−γ産生に相関するが、IL−4産生に相関せず、それがバルク培養においてIL−12の添加によって上昇調節されることを実証した。さらに、大部分のTh1およびTh0クローンは、膜LAG−3を発現し、検出可能な量の可溶性LAG−3を放出する一方、わずかのTh2クローンのみがLAG−3の発現と放出を示す。即ち、LAG−3の発現は、Th1型サイトカインの産生に指向したCD4+T細胞に優先的に付随している。
【0020】
本実施例に記載した結果は、活性化ヒトTおよびNK細胞上で選択的に転写されるIgスーパーファミリーの一員であるLAG−3が(Triebel他,1990)、Th1型サイトカインを産生するCD4+T細胞によって優先的に発現されていることを実証している。まず第一に、短期間培養物でのLAG−3発現は、抗原活性化T細胞がIFN−γを産生する能力に相関していたが、IL−4産生とは相関していなかった。第二に、抗原刺激化T細胞上へのLAG−3の出現は、強力なTh1誘導サイトカインであるIL−12(Manetti他,1993;Manetti他,1994)によって上昇調節される一方、それは、対照的にTh2細胞の発達を促進するIL−4(Maggi,1992)によって影響を受けなかった。最も重要なことに、LAG−3はサイトカイン分泌の確立したTh1またはTh0プロフィールを有するCD4+T細胞クローンの大部分によって発現されていたが、それはTh2クローンにおいては実質的に不在であった。最後に、LAG−3関連可溶性分子は、IFN−γまたはIFN−γとIL−4との両方を産生することができる活性化CD4+T細胞によって放出されたが、IL−4のみの産生を誘導できるCD4+T細胞によっては放出されなかった。
【0021】
LAG−3はCD4と密接な関連を示し、両方の分子が共通する進化上の祖先に由来していることを示唆している(Triebel他,1990)。さらに、LAG−3およびCD4タンパク質は共通のリガンド(即ち、MHCクラスII抗原)を共有する(Baixeras,1992)。即ち、LAG−3は、表面上に多数のMHCクラスII分子を発現することが知られている抗原提示細胞との活性化T細胞の相互作用の調節への貢献において有効であるかもしれない。一方、活性化T細胞もクラスII分子を発現するので、この分子もT細胞/T細胞相互作用を調節するかもしれない。活性化T細胞がIFN−γを産生できる能力、並びにIL−4の選択的産生に指向した活性化T細胞によるその損失とLAG−3発現との強い関係は、LAG−3とIFN−γの両方の遺伝子転写の共通するかまたは交差した調節を示唆している。
【0022】
Th1型サイトカインを産生することができるCD4+T細胞によって、LAG−3が優先的に発現し、その可溶形態が放出されていることの実証によりさらに、Th1またはTh2経路の発達に関与する機構への洞察も可能になるかもしれない。Th1およびTh2細胞は実際に外生の攻撃剤に対する2つの非常に極性化した形態のエフェクター免疫応答を示す(Mosmann他,1986;Del Prete,1991;Sher他,1992;Romagnani,S.,1994)。Th1細胞はマクロファージ活性化(IFN−γを介する)および遅延型過敏性反応に責任があり、そしてマウス系では、食作用のために補体を活性化し、抗原をオプソニン化する際に有効であるIgG2aクラスの抗体の産生を刺激する(Sher他,1992;Romagnani,S.,1994)。即ち、Th1細胞は主に細胞内微生物による感染に対する食細胞仲介宿主防御を開始させ、その細胞内微生物が今度はTh1型応答を誘導する傾向がある(Sher他,1992;Romagnani,S.,1994)。一方、Th2細胞はIgEおよびIgG1抗体の産生を(IL−4およびIL−13を介して)誘導し、マスト細胞の成長(IL−3、IL−4およびIL−10を介して)、好酸球の分化および活性化(IL−5を介して)を促進し、幾つかのマクロファージ作用(IL−4、IL−13およびIL−10を介して)を阻害することができる。従って、Th2細胞は普遍的に、例えば寄生虫に対する食細胞非依存性宿主防御、並びにIgE抗体および好酸球によって仲介される普通の環境アレルゲンに対するアトピー性の人の応答に関与している(Sher他,1992;Romagnani,S.,1994)。Th1またはTh2極性化シグナルの性質は未だ十分には理解されていない。マウスおよびヒトの両方において、マクロファージおよびB細胞によって産生されたIL−12はTh1分化を誘導する一方(Manetti他,1993;Manetti他,1994;Hsieh他,1993)、抗原提示の時点での初期のIL−4産生は、生成したばかりのTh細胞のTh2極性化の可能性を決定する際の最も有力な因子であるように見える(Maggi他,1992;Swain,S.L.,1993;Seder他,1992)。しかしながら、抗原提示細胞およびそれらの同時刺激剤の役割もまた示唆されている(Reiner他,1993)。この点、Th0/Th2細胞の優先的マーカーであるCD30(Del Prete他,1995A)と、T細胞のみならずマクロファージおよびB細胞でも発現しているCD30リガンド(Smith他,1990;Maggi他,1995)との相互作用がTh2型サイトカインを産生するT細胞のインビトロでの優先的な発達を促進することは注目に値する(Del Prete,1995B)。LAG−3発現はTh1型サイトカインを産生するT細胞の選択的分化および/または活性化経路を反映しているので、T細胞による複数の細胞表面分子およびサイトカインの発現の調節におけるLAG−3およびそのリガンドの機能を決定することは興味深いことであろう。
【0023】
表面LAG−3発現の検出および/またはその可溶形態の測定を、異なる疾患の組織および/または生物学的液体中におけるTh1/Th0仲介免疫応答の認識のためのマーカーとして利用することができる。そのようなTh1仲介疾患または異常の非限定的例は、MosmannおよびSad(1996)に概説されている。インビトロでの活性化Th2様細胞の優先的マーカーであるCD30+(Del Prete,1995A)は、インビボの正常な被験体では決して発現していないが、多数のCD4+CD30+T細胞はオメン(Omenn's)症候群(Romagnani,1995;Chilosi他,提出)を伴う子供のリンパ節中、並びにアトピー性皮膚炎を伴う患者の損傷皮膚中に見出すことができる。さらに重要なことに、高レベルの可溶性CD30が、オメン(Omenn's)症候群(Romagnani,1995)または重症のアトピー(Romagnani,1995)を伴う患者の血清中、並びに、HIV感染(Pizzolo,1994)、全身性円板状エリテマトーデス(Cappio他,1995)および麻疹ウイスル感染(Vinante他)などの、Th0/Th2細胞の優勢な活性化が示唆されている(Clerici他,1993;Mills,J.A.,1994;Griffin他,1993)他の病理的状態を伴う被験者の血清中においても存在している。CD30に関しては、LAG−3は正常リンパ器官には一切見られなかったが、炎症を起こした扁桃腺または濾胞性過形成を有するリンパ節では容易に検出され(Huard他,1994)、インビボでさえそれは活性化後にのみ発現していることが示唆される。
【0024】
興味深いことに、最近の実験で、本発明者の実験室は、Th1仲介異常の原型と考えられる(Selmaj他,1991)、多発性硬化症を有する大部分の患者の血清中において可溶性LAG−3のレベルが上昇しているが可溶性CD30のレベルは上昇していないことを見出した。健康な人に対して多発性硬化症の患者の血液中において可溶性LAG−3のレベルが上昇していることは、病状と体中での可溶性LAG−3の産生との間に関係がある可能性を示唆している。逆に、高い割合のTh1LAG−3陽性CD4リンパ球が多発性硬化症の患者の脳脊髄液中に見出された(Annunziato他,1996)。多数のTh1様T細胞クローンは実際、表面LAG−3を一貫して発現し、高濃度の可溶性LAG−3をその上清に放出するこの疾患を有する2人の患者の脳脊髄液から産生され得た。これらの知見に基づいて、可溶性CD30と可溶性LAG−3の測定の組み合わせは、Th2またはTh1プロフィールに向かうエフェクター免疫応答の不均衡を評価するための簡単な実用的な方法を示すものである。
【0025】
LAG−3の表面部分に対するモノクローナル抗体を、WO91−10682および1995年2月24日出願の米国特許出願番号08/394,442に記載された方法によって得ることができ、これらの全内容は引用により本明細書中に取り込まれる。そのようなモノクローナル抗体、あるいはFabまたはF(ab)2画分などのその画分、あるいはその重鎖または軽鎖の可変部分、あるいは一本鎖抗体、あるいはそのような抗体の結合部分を含む任意の他の分子を使用すれば、Th1細胞はLAG−3を優先的に発現するので、Th1細胞を同定、検出、標識および/またはターゲッティングすることができる。本発明は、当分野で周知であるような、免疫検出および標識の全ての既知の手段、例えば、酵素、蛍光、化学発光、生物発光または放射活性を包含することを意図する。そのような技術は、例えば、Harlow他,"Antibodies:A Laboratory Manual",Cold Spring Harbor Laboratory,1988,"Current Protocols in Immunology",Coligan他編.,Wiley & Sons社,1992-1996、および当業者に周知の多数の他の出典から既知である。即ち、Th1細胞を検出し、Th1仲介疾患または異常を診断するためのマーカーとして生物学的試料中でのTh1細胞または可溶性LAG−3の量の測定を利用することは十分に当業者の知識の範囲内である。
【0026】
健康な人と比較して患者の血液中の可溶性LAG−3のレベルが上昇していることを検出することは、Th1仲介疾患または異常、そして特に多発性硬化症の存在を示す。上昇した可溶性LAG−3のレベルがTh1仲介疾患または異常とこのように相関することは、ヒト液体試料中での診断試験として使用することができる。試料を、可溶性LAG−3に特異的な抗体、またはそのフラグメントと反応させ、特異的抗体に結合した可溶性LAG−3の量を当分野で周知の技術によって測定する。
【0027】
モノクローナル抗体の使用に加えて、十分に選択的なLAG−3に対するリガンドが見つかる場合には、そのようなリガンドも、本発明に従ってTh1リンパ球の検出、同定、標識および/またはターゲッティングのために使用することができる。
【0028】
LAG−3に特異的な抗体は、固体担体、好ましくはクロマトグラフィーカラム、磁気または常磁気ビーズ、またはペトリ皿上に固定化することができ(Current Protocols in Immunology,Vol.2,unit 7.3および7.4,Wiley & Sons,Inc.1992-1996)、アフィニティー担体として使用して、固体担体上に固定化した抗LAG−3抗体への結合に基づいてTh1およびTh2細胞を分離することができる。例えば、Th1およびTh2細胞の混合物を含有する試料を、Th1細胞を結合するために固体担体上に固体化した抗LAG−3抗体を有するそのような固体担体と接触させることができる。表面上にLAG−3を有さない試料中のTh2および他の細胞は未結合のままであり、溶出、洗浄等によって容易に除去することができる。あるいは、磁気または常磁気ビーズ上に固体化した抗LAG−3抗体に結合したTh1細胞を代わりに除去して、単離または富裕化されたTh1細胞を得ることができる。固体化した抗LAG−3抗体に結合したTh1細胞を次いで未結合にし、単離できる。同様に、固体化した抗LAG−3抗体に結合していないTh2細胞をTh1細胞から分離し、LAG-−Th2細胞富裕化集団として使用することができる。
【0029】
Th1細胞を、Becton Dickinsonを含む様々な機器供給業者によって市販されている蛍光活性化セルソーター(FACS)装置によってTh2細胞から分離することもできる。蛍光化合物で標識した抗LAG−3抗体またはそのフラグメントをTh1およびTh2細胞を含有する試料と反応させてTh1細胞に結合させる(Current Protocols in Immunology,unit 5,上掲)。標識抗体と反応した試料を通過させると、他の細胞、例えばTh2細胞から、蛍光標識した抗体に結合した標識抗体Th1細胞が分離される。これは、Th1およびTh2細胞を分離して、試料を得た患者への再注入によって患者の食細胞依存性宿主防御(Th1再注入の場合)または食細胞非依存性宿主防御(Th2再注入の場合)を増加させる疾患または異常の治療方法でのex vivo増殖のためにTh1(またはTh2)富裕化集団を得るための別の非限定的例である。
【0030】
さらに、本発明はまた、感染疾患、癌、Th1とTh2細胞の集団の不均衡を伴うTh1仲介疾患および異常の治療方法に関する。MosmannおよびSadは(1996)は、これらの疾患および異常の幾つかを概説している。例えば、自己免疫疾患、例えば、多発性硬化症(MS)、1型糖尿病(IDDM)、リューマチ性関節炎(RA)、および移植拒絶には、Th1/Th2細胞集団の不均衡(過多のTh1)が関与している。従って、不均衡、即ち疾患または異常におけるTh1またはTh2細胞の相対的に低い量に依存して、治療すべき患者に由来するTh1またはTh2細胞の増幅したプールの投与を与えて、Th1またはTh2細胞の不均衡を減少することができる。
【0031】
Th1細胞のレベルを増加させることが所望される疾患および異常のためには、Th1およびTh2細胞を含む治療すべき患者からの液体試料を得て、Th1細胞を、固体化抗−LAG−3抗体に結合し次いで固体担体を回収することによって、あるいは蛍光標識抗−LAG−3抗体に結合してFACS装置に通過させて分別することによって、上記したように単離する。Th2細胞から分離した、これらの単離したTh1細胞を次いで当分野で周知の標準技術、即ちex vivo骨髄原種増殖技術および養子治療用のT細胞のex vivo増殖(Macatonia他,1989;De Bruijn他,1991;Oldstone他,1986;Kast他,1989;Riddell他,1992)によってex vivoで増殖し、次いで同一の患者に再注入してTh1細胞のレベルを増加させることができる。このように、増殖したTh1細胞の再注入は患者の食細胞宿主防御(細胞仲介免疫)を増加させる。
【0032】
同様に、Th2細胞のレベルを増加させることが所望される疾患および異常、即ち、アレルギーのためには、患者から得られTh1およびTh2細胞を含有する液体試料を固体化抗−LAG−3抗体と接触させる。しかし、この場合、exvivo増殖で使用すべきものはTh1細胞から分離した未結合のTh2である。Th2細胞を得た患者への増殖したTh2細胞の再注入は、患者の食細胞非依存性宿主防御(体液性免疫)を増加させる。
【0033】
本発明の方法で使用されるモノクローナル抗体(mAbs)は、細胞毒性剤と結合してイムノトキシンとして使用することができ(例えば、Vitetta他,Science 238,1098-1104(1987)を参照)、あるいは抗T細胞薬剤または毒素を含有するリポソームの表面上に取り込んで、そのような薬剤または毒素をTh1細胞に特異的にターゲッティングすることができる。本明細書で使用する限り、「イムノトキシン」という用語は、抗体と1以上の毒素、薬物、放射核種、または細胞毒性剤との結合体または構築体のことを言う。毒性成分は抗体に化学的に結合することができ、あるいは組み換えDNA技術によって連結することができる。そのような連結の場合、毒性タンパク質またはその活性フラグメントをコードするDNAを、mAb重鎖、軽鎖、またはその両方の完全または一部分をコードするDNAに連結する。そのような遺伝的構築物およびそれらの製造方法は当分野で既知である。本発明の抗体に結合することができる毒素としては、リシン、ジフテリア毒素、シュードモナス毒素、腫瘍壊死因子α、および当分野で既知の他のものが挙げられる。
【0034】
イムノトキシンとして抗−LAG−3mAbsを使用する典型的治療では、抗体を、単独で全細胞に対して毒性であるリシンなどの毒素に結合させる。抗体に細胞毒性剤を結合することによって、高レベルの毒性効率を、抗体が結合しない隣接細胞に影響を与えずに、抗体が毒素を送達する標的Th1細胞に対して、高度に局在化した様式で達成することができる。Th1仲介疾患を、Th1型からTh2型へCD4+ヘルパーT細胞の均衡を効率的に移動させることによって軽減することができる。
【0035】
あるいは、抗−LAG−3mAbを使用してTh1/Th2細胞集団の均衡を調節することができる。この戦略はB7/CTLA4−CD28リガンド受容体系により得られる実験によって例示される。簡単に言うと、Tリンパ球の誘導および活性化は、抗原提示細胞(APC)からの2つのシグナルを必要とし、一つはT細胞受容体/主要組織適合性複合体の相互作用から伝達され、二番目のものは同時刺激性分子の相互作用によって伝達される。後者のシグナルには、APCによって発現され、B7−1およびB7−2と命名される少なくとも2種の分子が含まれ、それらはT細胞によって発現されるそれらの対受容体、即ちCD28とCTLA4と相互作用する。B7−1に対する抗体を使用して、生成したばかりのTh前駆体はTh2経路に駆動される一方、抗−B7−2抗体はTh1の発達を促進することが報告されている(Kuchroo他,1995)。さらに、抗B7−1抗体の投与は、器官特異的自己免疫疾患、例えば、マウス実験系自己免疫脳脊髄炎(EAE、ヒト多発性硬化症の動物モデル)を軽減することを示した一方、抗−B7−2抗体の注入はEAEの臨床兆候を有意に悪化させた。さらに、Th2プロフィールを有するTリンパ球を再注入するとEAEの誘導を阻止できることが示された。
【0036】
同様な方法で、抗−LAG−3抗体、またはそのフラグメントの投与を使用して、Th0前駆体細胞のTh1細胞への分化を極性化することによってTh1仲介免疫応答(食細胞依存性宿主防御)を増加させることができる。
【0037】
本発明の目的のために使用される抗体は無傷な抗体、好ましくはヒトモノクローナル抗体でもよいが、所望の機能を付与するのは抗体のエピトープ結合部位であることは理解されるべきである。即ち、無傷の抗体に加えて、FabまたはF(ab')2フラグメントなどのそれらのタンパク質分解フラグメントを使用することができる。さらに、抗体の可変領域をコードするDNAを他の抗体に挿入してキメラ抗体を作製することができ(例えば、米国特許4,816,567号を参照)、あるいはT細胞受容体に挿入して同一範囲の特異性を有するT細胞を作製することができる(Eshhar,Z.他,Br.J.Cancer Suppl.,10:27-9(1990);Gross,G.他,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,86:10024-8(1989)を参照)。一本鎖抗体も作製し使用できる。一本鎖抗体は、抗原結合能力を有し、免疫グロブリン軽鎖および重鎖の可変領域に相同または類似する一対のアミノ酸配列を含む、一本鎖複合ポリペプチドでもよい(リンクしたVH−VLまたは一本鎖FV)。VHおよびVLは共に、天然のモノクローナル抗体配列をコピーしてもよいし、あるいは鎖の片方または両方は、米国特許5,091,513号(その全内容が引用により本明細書中に取り込まれる)に記載した型のCDR−FR構築体を含んでもよい。軽鎖および重鎖の可変領域に類似する別個のポリペプチドをポリペプチドリンカーによって一緒に保持する。そのような一本鎖抗体の作製方法は、特にVHおよびVL鎖のポリペプチド構造をコードするDNAが既知の場合、例えば米国特許4,946,778号、5,091,513号および5,096,815号に記載された方法に従って達成することができ、これらの各々の全内容は引用により本明細書中に取り込まれる。
【0038】
本明細書および請求の範囲で使用する場合、「抗体の抗原結合部分を含む分子」という用語は、任意のアイソタイプのもので、任意の動物細胞株または微生物から生成した無傷の免疫グロブリン分子のみならず、それらの反応性画分をも包含することが意図され、それらにはFabフラグメント、Fab'フラグメント、F(ab')2フラグメント、それらの重鎖および/または軽鎖の可変部分、およびそのような反応性画分を取り込んでいるキメラまたは一本鎖抗体、並びにそのような抗体反応画分が物理的に挿入された任意の他の型の分子または細胞、例えばキメラT細胞受容体またはそのような受容体を有するT細胞、またはそのような反応性画分を含有する分子の部分によって治療成分を送達するために開発した分子が含まれるが、これらに限定されるわけではない。
【0039】
インビボでのTh1/Th2細胞の均衡を調節するための活性成分として、抗−LAG−3抗体、またはそのフラグメントを含有する医薬組成物において、医薬組成物中における活性成分および薬学的に許容できる賦形剤または担体の量は当業者によって容易に決定できる。
【実施例】
【0040】
実施例1
材料および方法
試薬
破傷風毒素(TT)はIstituto Steroterapico Sclavo(Siena,Italy)から得た。ストレプトキナーゼ(SK)はBehringwerke(Malburg,Germany)から得た。Dermatophagoides pteronyssinusグループ1(Der pl)はLofarma Allergeni(Milano,Italy)から得た。PHAはGIBCOラボラトリー(Grand Island,N.Y.)から購入した。抗CD3モノクローナル抗体(mAb)は、Ortho Pharmaceuticals(Raritan,N.J.)から購入した。抗CD4(Leu 3a,IgG1)、抗CD8(Leu 2a,IgG1)、抗CD56(Leu 19,IgG1)および抗CD14(Leu M1,IgG2b)mAbsはBecton-Dickinson(Mountain View,Ca)から購入した。抗CD20(B1,IgG2a)はKontron Instruments(Zurich,Switzerland)から購入した。抗CD30(Ber-H2)mAbはDakoから購入した。LAG−3分子の3種の異なるエピトープを認識する抗LAG−3mAbs(17B4,IgG1;および11E3,IgG1)(Baixeras他,1992)はAres Serono(Geneve,Switzerland)から得た。ハイブリドーマ細胞株17B4は番号I−1240の下、コレクション・ナショナル・ド・カルチャー・ド・マイクロオーガニズムス(CNCM)に1992年7月10日に寄託され、ハイブリドーマ細胞株11E3も番号I−1612の下1995年7月20日にCNCMに寄託された。組み換えIL−2はEurocetus(Milano,Italy)の寛大な寄贈物である。組み換えIL−12はG.Trinchieri(Wistar Institute;Philadelphia,PA)の親切な寄贈物である。
【0041】
抗原特異的T細胞株およびクローンの作製
抗原特異的T細胞株を以前に記載された技術に従って作製した(Del Prete他,1991;Del Prete,1995A)。簡単に言うと、2mMのL−グルタミン、2×10-5Mの2−メルカプトエタノール、および5%のヒト血清を補充した2mlのRPMI1640培地(完全培地)中の106個の末梢血単核細胞(PBMC)を抗原(SK,100IU/ml;Der p 1,10μg/ml;TT,0.5μg/ml)で5日間24穴平底プレート中で刺激した。ヒトIL−2(20U/ml)を次いで添加し、培養をさらに9日間継続した。生存可能なTブラストを完全培地に再懸濁し、クローニング操作の前に抗原特異性について試験した。T細胞株の抗原特異性を評価するために、2×104個のTブラストをマイクロプレートに接種し、培地単独または好適な抗原(SK,100IU/ml;Der pl,10μg/ml;TT,0.5μg/ml)の存在下で、照射した(6,000rad)自己由来のPBMC(5×104)と共に48時間同時培養した。0.5μCiの3H−TdR(Amersham International)で16時間パルスした後、培養物を採取し、放射活性を液体シンチレーションで測定した。T細胞クローンを作製するために、抗原特異的株から得たTブラストを、他で報告されている通り(Del Prete,1991;Del Prete,1995A)、IL−2(20U/ml)および10%FCS(Hyclone Laboratories Inc.,Logan,UT)を補充した0.2mlの最終容量の完全培地中に、105の照射した(6,000rad)同種PBMC細胞(フィーダー細胞として)およびPHA(1%容量/容量)を含む6個の丸底マイクロウエルプレート中に限界希釈条件下(0.3細胞/ウエル)で接種した。成長するマイクロ培養物に次いで、1週間隔でIL−2(20U/m1)および105の照射フィーダー細胞を補充した。株およびクローンの表現型分布をフローサイトメーター分析によって評価した。クローンの抗原特異性を、MHC制限条件下で適切な抗原で60時間刺激した後3H−TdR取り込みを測定することによって評価した1(Del Prete,1991;Del Prete,1995 A)。刺激インデックス(APCプラス抗原で刺激した培養物中で得られた分当たりの平均カウントと、APC単独による培養物中で得られた分当たりの平均カウントとの間の比率)が10より大きい場合に、応答を陽性とみなした。
【0042】
T細胞株およびクローンによるサイトカイン産生の誘導と定量
サイトカイン産生を誘導するために、各株またはクローンからの106のTブラストをPMA(10ng/ml)プラス抗CD3mAb(100ng/ml)の存在下で培養した。24時間後、培養上清を回収し、濾過し、使用するまで−70℃でアリコートで保存した。IFN−γおよびIL−4の定量的測定は市販のELISAs(Cytoscreen,Biosource International,Camarillo IFN−γ用、Quantikine R & D Systems,Minneapolis IL−4用)によって行った。照射したフィーダー細胞単独の刺激によって得たコントロール上清のものに対して3SDのサイトカイン含有量の値を陽性とみなした。
【0043】
表面LAG−3およびCD30の検出
T細胞株およびクローンの細胞表面マーカーの分析をFITC結合抗−CD3、抗−CD4、抗−CD8および抗−CD30(Ber−H2;Dakopatts,Glostrup,Denmark)を使用することによってCytoron Absoluteサイトフルオリメーター(Ortho Pharmaceutical,Raritan,N.J.)で行った。LAG−3を、未標識抗−LAG−3mAbと、その後にFITC結合抗マウスIgG1ヤギ抗血清(Southern Biotechnology Associates Inc.;Birmingham,AL)を使用する間接アッセイによって検出した。CD30とLAGの同時検出を、FITC結合抗CD−30mAb(Ber−H2;Dako)および抗LAG−3(11E3)mAbと、その後にPE結合抗マウスIgG1ヤギ抗血清(Southern Biotechnology Associates Inc.)を使用することによって行った。
【0044】
LAG−3のmRNAの発現
LAG−3mRNAの発現をPCR技術によってT細胞クローン中で評価した。mRNAを、OligotexMダイレクトmRNAキット(Qiagen Inc.;Chatsworth,CA)によってPHA(1%v/v)およびIL−2(20U/ml)で12時間刺激したT細胞ブラストから抽出した。第1鎖cDNAを100ngのmRNA、逆転写酵素、およびオリゴdTプライマーを使用して37℃で1時間合成した(RT−PCRキット、Strategene;La Jolla,CA)。PCR増幅は2.5UのTaqポリメラーゼ、および100ngの各プライマーを使用して行い、30サイクルの増幅から成り、各サイクルには94℃で1分間の変性、66℃で1分間のアニーリング、および72℃で2分間の伸長が含まれる。前進方向プライマーはTCTCTCAGAGCCTCCGACTGGGTCATTTTG(配列番号1)であり、逆方向プライマーはTCCTGCAGATGGATATGGCAGGTGTAGGTC(配列番号2)であった。増幅産物は1.5%アガロースゲル上で泳動した。
【0045】
ELISAによる可溶性LAG−3産生の評価
T細胞クローンの上清中の可溶性LAG−3の検出を、組み換え可溶性LAG−3由来分子(sLAG−3D1−D2)の使用に基づいた適切なELISAによって行った。sLAG−3D1−D2はLAG−3の2つの最初の免疫グロブリン様ドメインをコードするPCR増幅したDNAフラグメントから得て、pCLH3AXSV2DHFR発現ベクター中にサブクローニングした(Cole他,1993)。構築物を使用してDHFR欠損CHO細胞株(DUKX−B11)をトランスフェクトした(UrlaubおよびChasin,1980)。sLAG−3D1−D2産生CHO細胞をWheatonバイオリアクター中で培養し、sLAG−3D1−D2分子をファーストSP−セファロースカラム上での捕獲工程により精製した後、17B4mAb−PorosEPカラム上で免疫精製した。得られたタンパク質はRP−HPLCおよびSDS−PAGEによって>90%の純度であることが判明した。アッセイのために、プレートのウエルを抗−LAG−3(11E3;0.2Mの炭酸緩衝液(pH9.6)上で10μg/ml)mAbでコートし、次いで試験試料または異なる希釈(0.12から25ng/ml)のsLAG−3D1−D2と共に12時間インキュベートした。洗浄後、ビオチン化した抗−LAG−3(17B4)mAb(0.5μg/ml)をさらに2時間添加し、プレートを基質溶液で染色し、反応を492nmで判読した。
【0046】
遅延型過敏性反応
約2〜3歳で、2.6〜2.9kg付近の重量の6頭の繁殖雌Cynomolgusサルをステンレスケージ中で別々に飼育した。0日目に、これらのサルを≧40IU/サルの破傷風毒素(Tetatox Berna,ロット番号13588)で筋肉内経路で一回ワクチン接種した。最初のDTH反応を、腹部の左側上にTT抗原を含む市販の使い捨てアプリケーターMultitest IMC(Pasteur-Merieux,ロットL0157)を適用することによって28日後に誘導した。サルを20mg/kgのケマチン塩酸塩(Inoketam"500",Vibrac)の筋肉内注入によって麻酔し、それらの腹部を切り取り、洗浄し、乾燥した。製造業者の指示に従って、アプリケーターを少なくとも5秒間皮膚に固く押しつけた。
【0047】
第2のDTH反応は第1のDTHで使用したのと同一の操作を使用して56日目に誘導したが、但し、サルは、腹部の右側上へのMultitest IMCの適用の30分前に、10mg/kg体重の抗LAG−3 11E3mAb(IgG1)または陰性コントロールとしての抗FSHmAb(IgG1)のいずれかを静脈内経路によって受けた。
【0048】
一般的な臨床上の兆候に関する毎日の観察を試験の終了まで行った。DTH誘導後の皮膚の硬化を、カリパスを使用して第1および第2の誘導の両方の後に測定した。最大の長さの皮膚試験反応を測定し、その後最大幅により最初の測定を二分した。陰性の反応が得られるまで、両方の測定を誘導後24時間後に開始して2回繰り返した。
【0049】
結果
SK−およびDerp1活性化T細胞によるLAG−3の示差発現
2種の異なる抗原(SKおよびDer p1)によってインビトロで活性化したT細胞によるLAG−3の発現の動態を調べ、サイトカイン産生のT細胞プロフィールと比較した。これらの抗原を選択した理由は、それらが各々優勢なTh1様またはTh2様プロフィールを有するT細胞を増殖することができるからである(Manetti他,1993;Manetti他,1994;Maggi他,1992)。この終了時に、3個のドナーの各々からのPBMCをSKまたはDer p1で刺激し、誘導した抗原特異的T細胞株を、抗原性刺激後5、10および15日目に、LAG−3発現およびIL−4およびIFN−γ産生能力の両方について試験した。SK特異的およびDer p1特異的T細胞株の両方を同一の時間間隔で、Th2型サイトカインの産生に優先的に関連した活性化抗原である(Smith他,1990)、表面CD30の発現についても試験した。図1に示す通り、SK特異的T細胞は高い量のIFN−γを産生したが、IL−4は全くまたは低量しか産生せず、強いAG−3発現を示したが、CD30の発現は弱かった。対照的に、IFN−γに加えて高い量のIL−4を産生したDer p1特異的T細胞は、SK−特異的T細胞よりも高いCD30の発現と低いLAG−3の発現を示した。二重染色実験により、SK−特異的T細胞株からの大部分のT細胞ブラストはCD30−LAG−3+である一方、Der p1特異的T細胞株からの大部分のT細胞ブラストはCD30+LAG−3−またはCD30+LAG−3+であることが判明した。
【0050】
IL−12によるLAG−3発現の上昇調節
IL−12はTh1型細胞の発達を促進できる(Manetti,1993)。対照的に、IL−4はTh2様細胞の優先的発達を促進する(Maggi,1992)。実験を行って、PBMCバルク培養物中へのIL−12またはIL−4の添加が抗原活性化T細胞によるLAG−3の発現に影響を与えることができるかどうかを測定した。これらの実験では、TTを抗原として使用したが、その理由はサイトカイン産生の混合したプロフィールを有するT細胞(Th0細胞)を優先的に増殖できるからである(Hsieh他,1993)。予期された通り、PBMC培養中へのIL−12の添加は、IL−12の不在下で生成した対応するTT特異的T細胞株よりも高い量のIFN−γと低い量のIL−4を産生することができるTT特異的T細胞の発達を促進した。従って、LAG−3+細胞の割合は、IL−12の不在下で生成した平行する株の場合よりもIL−12条件付けしたTT特異的T細胞株の場合の方が有意に高かった(図2)。一方、IL−4のPBMCバルク培養中への添加は、コントロールTT特異的T細胞株よりも高い量のIL−4と低い量のIFN−γを産生するTT特異的T細胞株の発達をもたらした。しかし、TT特異的T細胞株中におけるLAG−3+細胞の割合はIL−4条件付けによって有意には影響を受けなかった(図2)。
【0051】
Th1型サイトカインを産生するT細胞クローンの膜上での優先的LAG−3発現
サイトカイン産生の既に確立したプロフィールを有する4種のCD4+T細胞クローン(2種のTh1および2種のTh2)による表面LAG−3およびCD30発現の動態を次いで調べた。これらの実験の結果を図3に示す。休止状態で試験した場合(最後の刺激後10日目)、全てのクローンはCD30発現もLAG−3発現も示さなかった。PHAプラスIL−2による刺激後に、Th2クローンからのT細胞ブラストの実質的割合は表面CD30発現を示した一方、Th1クローンからのT細胞ブラストは示さなかった。対照的に、同一の実験条件下で、LAG−3発現は1日目に実質的割合のTh1細胞上で既に検出可能であり、活性化後2日目と6日目の間に最大になった。T細胞クローンを不溶化した抗−CD3抗体またはPMAプラスイオノマイシンで刺激した場合に、同様の結果が得られた。これらの知見に基づいて、確立したサイトカイン分泌プロフィールを有する総数で84種のCD4+T細胞クローン(33種のTh1、33種のTh0、および18種のTh2)を、PHAプラスIL−2で刺激し、4日後に表面LAG−3発現について評価した。これらの実験の結果を図4にまとめる。これらの実験条件下では、LAG−3は大部分のTh1およびTh0クローンによって発現していた一方、大部分のTh2クローンはLAG−3発現を全くまたはわずかしか示さなかった。これらの実験条件下で膜LAG−3を発現しなかったTh2クローンはまた、細胞をPHA(1%v/v)およびIL−2(20U/ml)で24時間刺激した後にPCRによって評価した場合に、LAG−3mRNAの発現も欠いていた。CD4+Th1様およびCD8+T細胞クローンはLAG−3mRNA発現を示した(アガロースゲル上で570bpのバンド)。
【0052】
Th1型サイトカインを産生するT細胞クローンによる可溶性LAG−3分子の放出
LAG−3がT細胞クローン上清中に可溶性分子として放出される可能性も調べた。これは、LAG−3分子の組み換え細胞外部分(D1−D2)を使用する好適なELISAによって行った。図5は、5種の代表的クローン(3種のTh1および2種のTh0)による膜LAG−3の発現および可溶性LAG−3の産生の動態を示す。膜LAG−3は、PHAプラスIL−2による活性化後2日目と4日目の間に細胞膜上に十分に発現した後に衰退した一方、可溶性LAG−3は既に2日目に上清中に見られ、その濃度は4日目と8日目の間に依然高くなった。次いで、可溶性LAG−3の濃度を活性化CD4+T細胞クローンの大きなパネルの上清中で測定し、同一の上清中に存在するIFN−γおよびIL−4の濃度と比較した。可溶性LAG−3とIFN−γ濃度の間には有意の正の相関が存在した一方、可溶性LAG−3とIL−4の産生の間には逆の相関が見られた(図6)。
【0053】
遅延型過敏性(DTH)反応
遅延型過敏性(DTH)反応は、細胞仲介免疫応答を評価する信頼性のある方法である。DTHは、抗原、例えば破傷風毒素の皮膚内注入後最大で24〜28時間後の紅斑性硬化した反応によって皮膚中に現れる。感染生物およびDTH反応の両方の排除は、特異的に感作したリンパ球(特にTh1プロフィールを提示するT細胞)と特異的抗原との相互作用の結果として生じる。これにより細胞内生物を排除して炎症性仲介物質の分泌を生じるマクロファージを直接活性化するリンフォカインの分泌が誘導される。
【0054】
6頭の雌のCynomolgusサルを筋肉内経路による破傷風毒素でワクチン化した。28日後に、ワクチン化の効率を、Multitest CM1 Merieuxを使用してDTH反応を誘導することによって確認した。全動物で、硬化を、抗原投与後1〜7日目に破傷風毒素抗原およびツベルクリン抗原の注入部位で測定した。最初のDTHの28日後に、サルに10mg/kgの抗−LAG−3mAb(11E3、群I)または抗FSHmAb(アイソタイプ陰性コントロールとして使用、群2)のいずれかを静脈内注入した。DTH反応はMultitest CM1 Merieuxを使用して抗体注入後30分後に誘導した。
【0055】
紅斑をほとんどまたは全く有さない(評価できる硬化を有さない)TT注入の部位で陽性に反応した動物が、陰性コントロール、即ちMultitest CM1 Merieux中に存在するグリセリンコントロールの注入部位に観察された(図7A)。最初のDTH後に、全動物の反応は24時間の時点で最大で、次いで衰退し、そして注入の7日後には全て陰性であった。
【0056】
第2のDTH誘導の後に、全動物はTTの注入の部位で陽性に反応した(図7B)。抗FSH抗体を受けたコントロール群では、応答は最初のDTHの間に見られたものと同様であった。抗−LAG−3mAb(11E3)で処理した群では、2日目から5日目のDTHスコアは、コントロール群のものより強く、持統し、即ち、反応がコントロール群で可視できない時点でも(6日目から8日目)依然検出された。
【0057】
このデータは、抗−LAG−3抗体が、生成したばかりのTh細胞がインビボでTh1に向かう分化を極性化でき、Th1細胞に共通して付随するインビボ反応を調節できることを示している。この観察は、抗−LAG−3抗体が抗原特異的T細胞クローンの増幅をインビトロで引き延ばすことができるという観察と一致する(Huard他,1996)。
【0058】
さて本発明を十分に説明してきたが、本発明を本発明の精神および範囲から離れることなく、そして不当な実験なしに、広範囲の均等なパラメーター、濃度および条件の範囲内で実施できることは当業者により理解されるであろう。
【0059】
本発明をその具体的態様に関連して説明したが、さらなる改良も可能であることが理解されるであろう。本出願は、本発明の任意の改変、使用または応用を包含することを意図しており、それらは、一般に本発明の原理に従うものであり、そして本発明が属する技術の範囲内の既知または慣用の習慣の範囲内に入るような、そして添付する請求の範囲の範囲内に以下に記載する本明細書中前記した構成要件に応用できるような本開示からの発展を含んでいる。
【0060】
雑誌記事または要約、公開されたまたは対応する米国または外国特許出願、発行した米国または外国特許、またはいかなる他の文献を含む、本明細書中に引用した全ての文献は、引用文献中に提示された全てのデータ、表、図、および本文を含めて、引用により本明細書中に完全に取り込まれる。従って、本明細書中に引用された文献の中で引用された文献の全内容もまた引用により完全に取り込まれる。
【0061】
既知の方法の工程、慣用の方法の工程、既知の方法または慣用の方法への言及は、本発明のいかなる側面、記載または態様が関連技術中に開示、教示または示唆されていることをいかなる意味においても承認するものではない。
具体的態様の前記説明は、他人が、当分野の知識(本明細書中に引用した文献の内容を含む)の範囲内の知識を適用することによって、不当な実験なしに、そして本発明の一般的概念から離れることなく、多様な応用のためにそのような具体的態様を容易に改良および/または適合することができるように十分に、本発明の一般的性質を明らかにするであろう。従って、そのような適合および改良は本明細書中に提示した教示および案内に基づいて、開示した態様の均等の意味および範囲の中であることが意図される。本明細書中の語句および用語は、説明の目的のためのものであり、限定の目的のためのものではなく、従って、本明細書の語句および用語は当業者の知識と組み合わせて、本明細書中に提示した教示および案内に照らして当業者によって解釈されるべきであることが理解されるべきである。
【0062】
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【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】図1は、抗原活性化ヒトT細胞による膜LAG−3またはCD30の発現およびサイトカイン産生の動態を示す。
【図2】図2は、IL−12による膜LAG−3発現の上昇調節を示す。
【図3】図3は、4種のCD4+T細胞クローンによる膜LAG−3およびCD30発現の動態を示す。
【図4】図4は、84のCD4+T細胞クローン(33のTh1様、33のTh0様、そして18のTh2様)による膜LAG−3の発現を示す。
【図5】図5は、PHAプラスIL−2で刺激したCD4+Th1様クローンによる可溶性LAG−3産生の動態を示す。
【図6】図6は、CD4+T細胞クローンによって産生された可溶性LAG−3、IFN−γおよびIL−4の濃度間の相関を示す。
【図7】図7Aおよび7Bは、破傷風毒素を皮内に受けたサルの遅延型過敏性(DTH)スコアを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療すべき患者からTh1およびTh2細胞を含む試料を得る工程;
治療すべき患者から、下記(1)又は(2)に記載の方法に従って試料からTh1細胞を単離する工程:
(1)Th1およびTh2細胞を含む試料を、Th1細胞を結合するために固体担体上に固体化したLAG−3に特異的な抗体またはそのフラグメントを有する固体担体と接触させる工程;
固体担体上に固体化した抗体またはそのフラグメントに結合したTh1細胞を単離する工程を含む方法;
(2)LAG−3に特異的な抗体またはそのフラグメントを蛍光化合物で標識する工程: Th1およびTh2細胞を含む試料を、Th1細胞に、標識抗体またはそのフラグメントを結合するために、LAG−3に特異的な標識抗体またはそのフラグメントと接触させる工程;
蛍光活性化セルソーティング装置によって標識抗体に結合したTh1細胞を単離する工程を含む方法。;
単離したTh1細胞をex vivoで増殖する工程;および 治療すべき患者に再注入によって増殖したTh1細胞を投与して、患者の食細胞依存性宿主防御を増大する工程を含む、感染性疾患、癌およびTh1およびTh2細胞の集団の不均衡を伴う異常を治療する方法。
【請求項2】
治療すべき患者からTh1およびTh2細胞を含む試料を得る工程;
LAG−3に特異的な抗体またはそのフラグメントを、抗体またはそのフラグメントにTh1細胞を結合するために試料と接触させる工程;
結合したTh1細胞からTh2細胞を分離する工程;
未結合のTh2細胞をex vivoで増殖する工程;
治療すべき患者に再注入によって増殖したTh2細胞を投与して、患者の食細胞非依存性宿主防御を増大する工程を含む、感染性疾患、癌およびTh1およびTh2細胞の集団の不均衡を伴う異常を治療する方法。
【請求項3】
分離工程が蛍光活性化セルソーティング装置によって行われる、請求項2記載の方法。
【請求項4】
上記接触工程において、LAG−3に特異的な抗体またはそのフラグメントが固体担体上に固体化されている、請求項2記載の方法。
【請求項5】
固体担体がアフィニティークロマトグラフィーカラムである、請求項4記載の方法。
【請求項6】
固体担体が磁気または常磁気ビーズである、請求項4記載の方法。
【請求項7】
リンパ球をその表面上でのLAG−3タンパク質の発現についてアッセイすることを含み、それによって上記LAG−3タンパク質の存在の検出がリンパ球がTh1型であることを示す、Th1リンパ球の存在を検出する方法。
【請求項8】
上記アッセイ工程がさらに、 LAG−3に特異的な抗体またはそのフラグメントを蛍光化合物で標識する工程;
標識抗体またはそのフラグメントをTh1細胞に結合するために、リンパ球を含む試料を標識抗体またはそのフラグメントと接触させる工程;
フローサイトメトリーによって試料中のTh1細胞の量を測定する工程を含む、請求項7記載の方法。
【請求項9】
ヒト液体試料を可溶性LAG−3に特異的な抗体またはそのフラグメントと反応させる工程;および Th1仲介疾患または異常の存在を診断するために、可溶性LAG−3特異的抗体またはそのフラグメントに結合するヒト液体試料中の可溶性LAG−3の量を測定する工程を含む、Th1仲介疾患または異常を診断するための方法。
【請求項10】
LAG−3タンパク質をその表面上に発現する細胞に細胞毒性剤を向けて、Th1リンパ球を選択的に殺すことを含む、Th1仲介疾患を治療するための方法。
【請求項11】
上記細胞毒性剤が、LAG−3に特異的な抗体またはそのフラグメントに付着している、請求項10記載の方法。
【請求項12】
Th1仲介免疫応答を増強する方法であって、それを必要とする被験者に、Th0細胞のTh1細胞への分化を極性化するために、LAG−3に特異的な抗体またはそのフラグメントを含む医薬組成物を投与する工程を含む上記の方法。
【請求項13】
Th1仲介疾患の治療のための医薬の製造のための、LAG−3タンパク質をその表面上に発現する細胞に向けられた細胞毒性剤の使用。
【請求項14】
Th1仲介免疫応答を増強するための医薬の製造のための、LAG−3に特異的な抗体またはそのフラグメントの使用。
【請求項15】
感染性疾患、Th1仲介疾患、癌、並びにTh1およびTh2細胞の集団の不均衡を伴う疾患および異常の治療のための医薬の製造のための、ex vivoで増殖したTh1またはTh2細胞の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−150362(P2008−150362A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−289509(P2007−289509)
【出願日】平成19年11月7日(2007.11.7)
【分割の表示】特願平9−506911の分割
【原出願日】平成8年7月19日(1996.7.19)
【出願人】(599001530)アプライド リサーチ システムズ アース ホールディング エヌ.ヴィ. (2)
【出願人】(507369202)インスティテュー ナショナル ドゥ ラ サンテ エ ドゥラ ルシェルシュ メディカル (1)
【出願人】(507369213)
【Fターム(参考)】