説明

LCDにおけるカラーフィルターのためのフッ素置換されたペリレン

【課題】LCDにおけるカラーフィルターの為のフッ素置換されたペリレンを提供する。
【解決手段】液晶ディスプレイのためのカラーフィルターにおける、下記式(1)に示されるフッ素置換されたペリレンの使用。


[式中、Rは、Hであるか、または任意に置換された有機基であり、そしてR1、R2、R3、及びR4は、互いに独立して、H、F、Cl、Brであるか、または任意に置換された有機基であり、そして、基R、R1、R2、R3、及びR4の内の少なくとも一つが、フッ素であるか、または少なくとも1個のフッ素原子を含む]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LCD(液晶ディスプレイ)のためのカラーフィルターにおけるフッ素含有ペリレンの使用、さらには、そのような着色剤の配合物、カラーフィルターを製造するためのそれらの使用、カラーフィルターそのもの、ならびに新規なペリレンに関する。
【背景技術】
【0002】
今日においては、カラーフィルターは主として、液晶ディスプレイ及びスクリーン、色解像機器ならびにセンサーに採用されている。一つの公知の例は、パソコン、テレビ及びビデオカメラのフラットスクリーンである。カラーフィルターを製造するための各種の方法が存在し、それらは、色をつける方法のみならず、原色の赤、緑及び青さらには黒からの色要素パターンの発生方法においても異なっている。着色は、例えば、可溶性染料もしくは顔料(「染料法」、「染料分散法」)、顔料ペースト、顔料配合物もしくは顔料インキのスクリーン印刷、オフセット印刷もしくはインクジェット印刷、染料もしくは顔料をベースとするフォトレジストの電着の手段によるか、さらに特に、ポリイミド樹脂中に分散させるか(「非感光性ポリイミド法」)もしくはフォトレジスト中に分散させた(「感光性アクリル法」)顔料を使用する顔料分散法の手段によって、基層(例えば、ゼラチン)を着色することにより実施される。上述の方法に関連して、直接的に印刷によって色要素パターンを発生させること、及び間接的にフォトリソグラフィーを生成させることのいずれも重要であるが、上述の顔料分散法に関連しては、特に後者が重要である。「非感光性ポリイミド法」の形態における顔料分散法の技術は、例えば、特開平11−217514号公報(特許文献1)(1998)に開示がある。
【0003】
フォトレジスト法による顔料分散法においては、着色付与顔料が、UV硬化可能なフォトレジストの中に微細に分布された状態にある(分散されている)。この場合、そのフォトレジストは一般的に、顔料と同様に、バインダー樹脂、重合性モノマー、光重合開始剤、任意選択で溶媒の成分からなっている。それを調製するには、例えば、まず濃縮物の形態にある顔料を、溶媒及び任意選択でバインダー樹脂の中に微細に分散させ、塗布する直前にモノマー及び光重合開始剤、さらには他の成分も同様にして加えて分散体を調節する。その顔料着色されたフォトレジストを、例えばスピンコーティング法の手段によって、基材、例えば、ガラスに均質に塗布し、予備乾燥させ、フォトマスクの手段によりUV露光させ、通常は無機アルカリ性溶液の手段によって所望の色要素に現像し、そのコーティングを清浄化して、任意選択で後硬化をさせる。この操作を、それぞれの色に対して繰り返す、すなわち、一般的には、例えば、赤、緑、青の色の三色では3回繰り返す。
【0004】
顔料分散法に関連して、顔料の使用に伴う利点は、染料をベースとする着色系に比較して、そのカラーフィルターの耐光性、耐湿性及び耐熱性が改良されている点にある。その一方で、そのコーティング方法とは無関係に、顔料をベースとするコーティングの透明度及び色純度が依然として満足のいくものではない。複数の顔料を組み合わせて混合物とし、その混合物がフォトレジストにおいて所望の色ローカス値(colour locus value)となるように色彩調節をする(shade)ような場合には特に、輝度及び透明度において望ましくない低下が起こり、その結果、ディスプレイまたはスクリーン(LCD)を動作させるときに、必然的にエネルギーコストの増大を伴う。
【0005】
カラーフィルターの中で、ペリレンテトラカルボン酸ジイミドタイプ、例えばC.I.ピグメントレッド149、またはジケトピロロピロールタイプ、例えばC.I.ピグメントレッド254、またはアントラキノン、例えばC.I.ピグメントレッド177の顔料を使用することは、原理的には公知である。カラーフィルターの中で、他の顔料と共に、例えば、C.I.ピグメントレッド149のようなペリレン顔料を併用することは、例えば欧州特許出願公開第A−1146087号明細書(特許文献2)にすでに記載されている。
【0006】
欧州特許第1004941号明細書(特許文献3)には、キナクリドン、例えばC.I.ピグメントバイオレット19及びC.I.ピグメントレッド122の混晶と、とりわけカラーフィルターにおけるそれらの使用とが記載されている。その単一の混晶と共に、キナクリドン核上でフッ素置換されたキナクリドンについても一般的な言及がなされている。
【0007】
欧州特許第1843407号明細書(特許文献4)には、トランジスター及び太陽電池のための半導体として、ペリレン核上でフッ素により置換された液晶性ペリレンの開示がある。
【0008】
国際公開第2008/128934号(特許文献5)には、特定のフッ素含有ペリレン及びEPD(起電表示)におけるそれらの使用が開示されている。
【0009】
特開2002−348493号公報(特許文献6)には、カラーフィルターのための、場合によってはキナクリドン核上でフッ素により置換されたキナクリドン及びそれらのスルホン化誘導体の混合物が開示されている。それらのタイプの顔料のいくつかはすでに、高い耐光堅牢性と色強度とを特徴としている。透明度と色純度は依然として満足のいくものではない。さらに、混晶(固溶体)の製造においては、多くの場合、品質の面における再現性の問題を伴い、そのために、特に透明度及び色純度のみならず、色強度及び耐光堅牢性にも悪影響を及ぼす可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平11−217514号公報
【特許文献2】欧州特許出願公開第A−1146087号明細書
【特許文献3】欧州特許第1004941号明細書
【特許文献4】欧州特許第1843407号明細書
【特許文献5】国際公開第2008/128934号
【特許文献6】特開2002−348493号公報
【特許文献7】米国特許第6,068,695号明細書
【特許文献8】独国特許第102005033581号明細書
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】『Roempp Lexikon,Lacke und Druckfarben』、Dr.Ulrich Zorll、Thieme Verlag Stuttgart−New York、1998、pp.491/492
【非特許文献2】『Roempp Lexikon,Lacke und Druckfarben』、Dr.Ulrich Zorll、Thieme Verlag Stuttgart−New York、1998、pp.445/446
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、本発明の目的は、それらの欠点を有さない、LCDのためのカラーフィルターにおける赤色有機顔料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
したがって、本発明は、LCDのためのカラーフィルターにおけるフッ素置換されたペリレンの使用を提供する。これは、そのカラーフィルターがフッ素置換されたペリレンを用いて顔料着色されていることを特徴とする、LCDのためのカラーフィルターを顔料着色するための方法と等価である。使用するのに好ましい実施態様はすべて、以下において顔料着色する方法のためにも適用することも意図されている。好ましいフッ素置換されたペリレンは、式(I)のものである。
【化1】

[式中、
Rは、Hであるか、または任意に置換された有機基であり、
、R、R及びRは、互いに独立して、H、F、Cl、もしくはBrであるか、または任意に置換された有機基であり、そして
基R、R、R、R、及びRの内の少なくとも一つは、フッ素であるか、または少なくとも1個のフッ素原子を含む。]
【0014】
特に好ましいのは、式(I)のペリレンであって、
Rが、1個または複数のフッ素原子によって置換された有機基であり、
、R、R、及びRが上述の定義を有するものである。
【0015】
別の言い方をすれば、R〜Rが好ましくはHである。
【0016】
Rの定義における「有機基」は、いずれの場合においても1個または複数のフッ素原子によって置換された、好ましくはC〜C−アルキル、より好ましくはメチル、または、任意選択でC〜C−アルキル、フェノキシ及び/またはC〜C−アルコキシによって置換されたC〜C10−アリールである。
【0017】
特に好ましい式(I)のペリレンは、式(Ia)の形態である。
【化2】

[式中、
Aは、フッ素または1個もしくは複数のフッ素原子によって置換された有機基であり、
Bは、H、F、Cl、もしくはBrであるか、または任意にAと合わさって環を形成していてもよい、任意に置換された有機基であるか、または
基AとBとが、それらが結合しているフェニル環のC原子と共に縮合環を形成し、そして
、R、R、及びRは、上述の定義を有するものである。]
【0018】
A及びBの定義において、フッ素原子によって置換された好ましい有機基は、それぞれが1個または複数のフッ素原子によって置換された、C〜C−アルキル、C〜C−アルコキシ、フェニルまたはフェノキシである。
【0019】
式(Ia)において、R、R、R及びRは好ましくは水素またはフッ素であり、基BはHであるか、または任意にフッ素置換されたC〜C−アルキルより好ましくはメチルまたはトリフルオロメチルであり、Aは、フッ素であるか、またはC〜C−アルキル、より好ましくはメチル、C〜C−アルコキシ、より好ましくはメトキシ、フェニルまたはフェノキシであるが、それらはそれぞれ、1個または複数のフッ素原子によって置換されているのが好ましいか、またはAとBとが合わさって、式−O−CF−O−、−O−CF−CF−O−、−O−CHF−CHF−O−、または−O−CF−CF−CF−O−の橋かけメンバーである。
【0020】
同様にして、AとBとが合わさって、1個または複数のフッ素原子によって置換され、ベンゼン環の二つの隣接するC原子と共に5員、6員または7員環(これは炭素環であっても、あるいは例えば、O、SまたはNのようなヘテロ原子を含んでいてもよい)を形成している橋を形成しているのが好ましい。
【0021】
好適なフッ素置換されたC〜C−アルキル基またはC〜C−アルコキシ基は、少なくとも1個のフッ素原子を担持する例えば、メチル、エチル、または任意に分岐状のプロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシルもしくはオクチル基、またはそれらに相当するアルコキシ基である。例を挙げれば、フルオロメチル、トリフルオロメチル、2−フルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、ペンタフルオロエチル、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル、ペルフルオロブチル、ペルフルオロオクチル、特にペルフルオロ−n−オクチル、ならびにそれらに相当するアルコキシ基である。
【0022】
好適なフッ素置換されたフェニルまたはフェノキシ基は、例えば、2−、3−もしくは4−フルオロフェニルもしくはフェノキシ、2,4−もしくは3,4−ジフルオロフェニルもしくは−フェノキシ、ペンタフルオロフェニルもしくは−フェノキシである。
【0023】
Bにおける可能な定義として好適な任意に置換された有機基は、1個または複数のフッ素原子によって置換された有機基、特に、Aとは独立して基Aと同じ定義を有するものが好ましい。特に好ましいのは、Aとして好ましいとして定義されたもの、特にトリフルオロメチルである。
【0024】
本発明において採用するのに特に好ましいのは、式(II)〜(XII)の顔料である。
【化3】

【化4】

【0025】
本発明において使用される顔料は、好ましくは40〜200m/g、特に60〜140m/g、極めて好ましくは70〜120m/gの比表面積を有する。その表面積は、DIN66131:「Determination of the specific surface area of solids by gas adsorption by the method of Brunauer,Emmett and Teller(B.E.T.)」によって求める。
【0026】
本発明において使用される顔料は、好ましくは10〜500、特には20〜250の分散難度(dispersion harshness)を有するが、それらは、DIN53775、part 7に従い、冷却ロール温度を25℃、加熱ロール温度を150℃として測定したものである。本明細書に記載の分散難度はすべて、この改訂されたDINの記載に従って求めたものである。
【0027】
本発明において使用される顔料は、好ましくは10〜200nm、特には20〜100nmの粒径(透過型電子顕微鏡法における長手方向軸)を有する。本発明において使用される顔料は、<50%、特には<35%、より好ましくは<20%の相対標準偏差(標準偏差/粒径)の狭い粒径分布を有しているのが好ましい。本発明において使用される顔料は、好ましくは(5:1)から(1:1)まで、特には(3:1)から(1:1)まで、より好ましくは(2:1)から(1.2:1)までの長さ対幅の比を有する。
【0028】
本発明において使用される顔料の粒径及び表面積は、自体公知である、例えば、米国特許第6,068,695号明細書(特許文献7)に記載されているような方法によって調節することが可能であり、それでは、例えば、塩混練(salt kneading)またはボールミル粉砕、及び/または任意選択で下流での仕上げ工程、例えば、添加剤を添加するかまたは非添加での、水性または有機溶媒または水/有機溶媒中での熱処理を行う。
【0029】
本発明において使用されるペリレン顔料、特に式(I)のものは、例えばカラーフィルターの光学的性質を最適化させる目的で、他の顔料と組み合わせて採用することも可能である。本発明においては、可能な添加使用のためのその他の顔料の選択には何の制約もない。有機顔料、無機顔料のいずれも適している。
【0030】
好適な有機顔料は、例えば、モノアゾ、ジスアゾ、レーキ化アゾ、β−ナフトール、Napthol AS、ベンズイミダゾロン、キナクリドン、ジスアゾ縮合物、アゾ金属錯体、イソインドリン及びイソインドリノン系のもの、さらには、例えば、フタロシアニン、キナクリドン、ペリレン、ペリノン、チオインジゴ、アントラキノン、ジオキサジン、キノフタロン及びジケトピロロピロール系からの多環式顔料などである。さらに、レーキ化染料、スルホン酸基またはカルボン酸基を含む染料の特にCa、Mg及びAlレーキが挙げられる。特に好ましくは、アゾバルビツル酸のメラミン−インターカーレーテッドニッケル錯体が、併用するための顔料としてあげられる。
【0031】
任意選択で併用することができるその他の有機顔料の例としては、以下のものが挙げられる:
カラーインデックスピグメントイエロー12、13、14、17、20、24、74、83、86、93、94、109、110、117、125、137、138、139、147、148、150、153、154、166、173、185、
カラーインデックスピグメントオレンジ13、31、36、38、40、42、43、51、55、59、61、64、65、71、72、73、
カラーインデックスピグメントレッド9、97、122、123、144、149、166、168、177、179、180、192、215、216、224、254、272、
カラーインデックスピグメントグリーン7、10、36、37、45、58、
カラーインデックスピグメントブルー15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、
カラーインデックスピグメントバイオレット19、23。
【0032】
カラーインデックスには含まれないさらなる顔料には、次式のメラミン−インターカーレーテッドニッケル−アゾバルビツル酸錯体顔料、
【化5】

ならびに、その互変異性体がある〔独国特許第102005033581号明細書(特許文献8)、特に実施例2から公知〕。
【0033】
同様にして、本発明において使用される顔料、特に式(I)のもののスルホン化誘導体も挙げられる。
【0034】
フッ素置換されたペリレン、特に式(I)のもの以外の「その他の顔料」をさらに使用する場合、式(I)で表される先に定義された「顔料」の比率は、使用される全顔料の合計量を規準にして、好ましくは1〜99重量%、特には20〜80重量%である。
【0035】
併用するのに好ましい顔料は、ピグメントレッド122、ピグメントレッド149、ピグメントレッド177、ピグメントレッド179、ピグメントレッド254、ピグメントバイオレット19、ピグメントイエロー138、ピグメントイエロー139、ピグメントイエロー150、またはメラミン−インターカーレーテッドニッケル−アゾバルビツル酸錯体顔料である。
【0036】
LCDのためのカラーフィルターにおいては、少なくとも1種のフッ素置換されたペリレン、特に少なくとも1種の式(I)の顔料に加えて、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド179、C.I.ピグメントレッド254、及びC.I.ピグメントバイオレット19からなる群よりの少なくとも1種のさらなる赤色顔料を含む顔料混合物を使用するのが特に好ましい。
【0037】
好ましい使用のためのこの混合物には、任意選択で、1種または複数の黄色顔料またはオレンジ色顔料をさらに含む。
【0038】
付随的に使用される黄色またはオレンジ色の顔料は、400〜520nmの範囲内に吸収帯を有しているのが好ましい。
【0039】
特に、この好ましい混合物には、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー150からなる群より選択される黄色顔料、及びメラミン−インターカーレーテッドニッケル−アゾバルビツル酸錯体顔料が含まれる。
【0040】
それらの混合物自体も、本発明によって同様にして得られる。
【0041】
好適な混合物には、少なくとも1種のフッ素置換されたペリレン好ましくは式(I)のものに加えて、より好ましくは式(Ia)の顔料に加えて、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド179、C.I.ピグメントレッド254、及びC.I.ピグメントバイオレット19からなる群からの少なくとも1種のさらなる赤色顔料が含まれる。
【0042】
黄色またはオレンジ色顔料を「その他の顔料」として使用する場合、それらの黄色またはオレンジ色の「その他の顔料」は、使用される全顔料の合計量を規準にして、好ましくは1重量%〜50重量%、特には5重量%〜30重量%である。
【0043】
赤色顔料を「その他の顔料」として使用する場合には、それらの赤色の「その他の顔料」は、使用される全顔料の合計量を規準にして、好ましくは1重量%〜99重量%、特には20重量%〜80重量%である。
【0044】
本発明の顔料またはそれらの混合物を用いて製造したカラーフィルターは、特に高い色純度と優れた透明度を特徴とする。
【0045】
同様にして、フッ素置換されたペリレン、特に式(I)のものを、少なくとも1種の黄色顔料をさらに含む混合物の形で使用するのも好ましい。それらの黄色顔料が400〜520nmの範囲内に吸収帯を有しているのが好ましい。特に、この好ましい混合物には、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー150からなる群より選択される黄色顔料、及びメラミン−インターカーレーテッドニッケル−アゾバルビツル酸錯体顔料が含まれる。これらの混合物自体も同様にして、本発明により提供される。
【0046】
本発明はさらに、式(II)、(IV)及び(V)の新規なペリレンも提供するが、式(II)のものが特に好ましい。
【0047】
液晶ディスプレイ用のカラーフィルターを製造するための上述の顔料または顔料混合物の本発明における使用を、フォトレジスト法に従った顔料分散法の例を参照しながら、以下において説明する。
【0048】
カラーフィルターを製造するための、フッ素置換されたペリレン、特に本発明の顔料の本発明の使用が特徴としているのは、例えばその顔料を、任意選択でバインダー樹脂及び有機溶媒と共に、任意選択で分散剤を添加して、均質化させ、次いで連続またはバッチ方式の湿式微粉砕にかけて、(電子顕微鏡測定による)粒径の数の99.5%が<1000nm、好ましくは95%が<500nm、特には90%が<200nmとなるようにすることである。好適な湿式微粉砕法としては、例えば、スターラーもしくはディッソルバー分散法、撹拌ボールミルもしくはビーズミルの手段による摩砕法、ニーダー法、ロールミル法、高圧均質化法、または超音波分散法などが挙げられる。
【0049】
分散処理と同時に、またはその後で、少なくとも1種の光硬化性モノマー及び光重合開始剤の添加を行う。カラーフィルターを製造するための所望の感光性コーティング配合(フォトレジスト)を得るために、分散させた後に、さらなるバインダー樹脂、溶媒、または慣用されるフォトレジスト補助剤を、必要に応じて導入してもよい。本発明の目的においては、フォトレジストは、フッ素置換されたペリレン、特に式(I)のペリレンに加えて、少なくとも1種の光硬化性モノマー及び光重合開始剤を含む配合物である。
【0050】
有用な分散剤としては、一般的に市販されている分散剤、例えばポリカルボン酸またはポリスルホン酸、及びさらにはポリエチレンオキシド−ポリプロピレンオキシドブロックコポリマーをベースとする高分子量のイオン性またはノニオン性分散剤が挙げられる。分散剤または共分散剤として、有機染料の誘導体をさらに使用することも可能である。
【0051】
したがって、カラーフィルターを製造するにはまず、調製法に基づいて下記のものを含む「調製物」を得る:
・本発明の顔料として本明細書の目的とされている、少なくとも1種のフッ素置換されたペリレン、特に式(I)のペリレン、
・任意選択で1種または複数のその他の顔料、
・任意選択でバインダー樹脂、
・少なくとも1種の有機溶媒、及び
・任意選択では分散剤。
【0052】
一つの好ましい実施態様においては、その調製物には(調製物を規準とした量で)以下のものを含む:
- 1〜50重量%の少なくとも1種のフッ素置換されたペリレン、特に式(I)のペリレン、
- 0〜50重量%の1種または複数のその他の顔料、
- 0〜20重量%のバインダー樹脂、
- 0〜20重量%の分散剤、及び
- 10〜94重量%の有機溶媒。
【0053】
着色された画像要素パターンを得るための、プレートの上へのフォトレジストのコーティングは、直接塗布法、間接塗布法のいずれで実施することも可能である。塗布方法の例を挙げるとすれば、インクジェット法、ローラーコーティング法、スピンコーティング法、スプレーコーティング法、ディップコーティング法、及びエアナイフコーティング法などが挙げられる。
【0054】
適切なプレートの例としては、使用方法にもよるが、以下のものが挙げられる:透明なガラス、例えば、白色または青色のガラスプレート、シリケートコーティングされた青色ガラスプレート、例えばポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂もしくは塩化ビニル樹脂をベースとする合成樹脂プレートまたは合成樹脂膜、さらにはアルミニウム、銅、ニッケルもしくは鋼をベースとする金属プレート、さらには、セラミックプレートもしくは光電伝達要素を塗布した半導体プレート。
【0055】
一般的には、得られる感光層が0.1〜10μmの厚みになるように、塗布を調節する。
【0056】
塗布の後に、その層の加熱乾燥を行ってもよい。
【0057】
露光は、好ましくはフォトマスクの手段によって画像パターンの形態となった活性光線にその感光層を暴露させることによって行うのが好ましい。このことによって、露光された領域でその層が硬化される。適切な光源の例としては以下のものが挙げられる:高圧及び超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、メタルハライドランプ、蛍光ランプ、及び可視領域のレーザービーム。
【0058】
露光の後の現像によって、コーティングの非露光部分を除去して、所望の色要素の画像パターンの形態を得る。慣用される現像方法としては、アルカリ性現像水溶液、または無機アルカリ、例えば、水酸化ナトリウムもしくは水酸化カリウム、メタケイ酸ナトリウム、または有機塩基、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミンもしくはそれらの塩を含む有機溶媒をスプレーするかまたはそれらの中に浸漬させることが挙げられる。
【0059】
通常、現像に続けて、その画像パターンを加熱後乾燥/加熱後硬化させる。
【0060】
カラーフィルター中、または例えば顔料分散法によってカラーフィルターを製造するための調製物中の「顔料」またはそれをベースとする顔料配合物(すなわち、バインダー樹脂と式(I)の顔料とを含む)と共に使用することが可能なバインダー樹脂としては、本発明はなんら特定の制限を課するものではないが、特に、慣用される被膜形成性樹脂がカラーフィルター中で適用するのに適している。
【0061】
例を挙げれば、以下の群から選択されるバインダー樹脂が適している:セルロース樹脂、例えば、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース及びヒドロキシエチルセルロース、アクリル樹脂、アルキド樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアミド、ポリアミド−イミン、及びポリイミド。
【0062】
好適なバインダー樹脂としてはさらに、光重合性の不飽和結合を含むものも挙げられる。そのバインダー樹脂は、例えばアクリル樹脂の群からの樹脂であってよい。この場合、以下のような重合性モノマーのホモポリマー及びコポリマーを特にあげることができる:例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、スチレン及びスチレン誘導体、さらには、カルボキシル担持重合性モノマー、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、特に1〜12個の炭素原子のアルキルを有するマレイン酸モノアルキルエステルと、重合性モノマー、例えば、(メタ)アクリル酸、スチレン及びスチレン誘導体、例えば、α−メチルスチレン、m−もしくはp−メトキシスチレン、p−ヒドロキシスチレンとの間のコポリマー。例としては以下のものが挙げられる:カルボキシル含有高分子量化合物と、それぞれの場合においてオキシラン環及び1個のエチレン性不飽和化合物を含む化合物との反応生成物、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、アクリロイルグリシジルエーテル、及びイタコン酸モノアルキルグリシジルエーテルなど;さらには、カルボキシル含有高分子量化合物と、それぞれ1個のヒドロキシル基及びエチレン性不飽和化合物を含む化合物(不飽和アルコール)との反応生成物、例えば、アリルアルコール、2−ブテン−4−オール、オレイルアルコール、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、N−メチロールアクリルアミドなど。このタイプのバインダー樹脂には、遊離のイソシアネート基を含む不飽和化合物もまた含むことができる。
【0063】
十分な光重合性だけではなく膜硬度も与えるためには、一般的には、前記バインダー樹脂の不飽和当量(不飽和あたりのバインダー樹脂の分子量)は、200〜3000、特には230〜1000である。膜を露光させた後に十分なアルカリ現像性を与えるためには、一般的には、酸価は20〜300、特には40〜200である。
【0064】
使用するバインダー樹脂の平均分子量は、1500〜200 000、特には10 000〜50 000g/molの間である。
【0065】
カラーフィルターのための配合物の本発明による使用という概念において使用される有機溶媒とは、例えば、ケトン、アルキレングリコールエーテル、アルコール、及び芳香族化合物である。例としては以下のようなものが挙げられる:ケトンの群、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなど;アルキレングリコールエーテルの群、例えば、メチルセロソルブ(エチレングリコールモノメチルエーテル)、ブチルセロソルブ(エチレングリコールモノブチルエーテル)、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールイソプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールtert−ブチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールエチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールプロピルエーテルアセテート、トリエチレングリコールイソプロピルエーテルアセテート、トリエチレングリコールブチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールtert−ブチルエーテルアセテートなど;アルコールの群、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、3−メチル−3−メトキシブタノールなど;及び、芳香族溶媒の群、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシメチル−2−酢酸エチルなど。
【0066】
その他の溶媒としてはさらに、1,2−プロパンジオールジアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、酢酸エチル、テトラヒドロフランなどが挙げられる。それらの溶媒は単独で使用することもできるし、相互の間の混合物として使用することもできる。
【0067】
本発明はさらに、本発明の先に定義されたような少なくとも1種の顔料もしくは少なくとも1種の顔料配合物と、少なくとも1種の光硬化性モノマーとさらに少なくとも1種の光重合開始剤とを含むフォトレジストも提供する。
【0068】
光硬化性モノマーは、その分子の中に少なくとも1種の反応性二重結合と、任意選択でその他の反応性の基とを含む。
【0069】
この概念においては、光硬化性モノマーとは、特に、例えば、1官能、2官能、3官能及び多官能のアクリレート及びメタクリレート、ビニルエーテル、ならびにグリシジルエーテルの群からの反応性溶媒またはいわゆる反応性希釈剤と解釈してもよい。さらに存在していてもよい好適な反応性基としては、アリル、ヒドロキシル、ホスフェート、ウレタン、二級アミン、及びN−アルコキシメチル基が挙げられる。このタイプのモノマーは当業者には公知であり、例えば、『Roempp Lexikon,Lacke und Druckfarben』、Dr.Ulrich Zorll、Thieme Verlag Stuttgart−New York、1998、pp.491/492(非特許文献1)の中、または「Reactivverdunner」(反応性希釈剤)のタイトルの部分に列記されている。
【0070】
そのモノマーは、特には、使用する露光線の性質と強度、光重合開始剤との希望する反応、及び膜の性質を規準にして選択する。モノマーを組み合わせて使用することも可能である。
【0071】
光反応重合開始剤または光重合開始剤は、可視光または紫外光を吸収することによって、例えば、上述のモノマー及び/またはバインダー樹脂の部分に重合反応を起こさせることが可能な反応性中間体を形成するような化合物と理解してよい。光反応重合開始剤もまた同様に一般的に知られており、同様にして『Roempp Lexikon,Lacke und Druckfarben』、Dr.Ulrich Zorll、Thieme Verlag Stuttgart−New York、1998、pp.445/446(非特許文献2)の中、または「Photoinitiatoren」(光重合開始剤)のタイトルの中に取り上げられている。
【0072】
本発明では、使用される光硬化性モノマーまたは光重合開始剤に関しては、何ら制約を課すものではない。
【0073】
本発明は、好ましくは、以下のものを含むフォトレジストを提供する:
A)本発明が基礎をおく、先に定義された、少なくとも1種の、特にその他の顔料との混合物との形態にある「顔料」または顔料配合物、
B1)少なくとも1種の光硬化性モノマー、
B2)少なくとも1種の光重合開始剤、
C1)任意選択で有機溶媒、
D)任意選択で分散剤、
E)任意選択でバインダー樹脂、
ならびに、任意選択でさらなる添加物。
【0074】
この場合もまた、本発明は、本発明に従って使用するための顔料、または固形顔料配合物をベースとして、着色された画像要素パターンを形成させるための技術に関しては、何ら制約を課すものではない。上述のフォトリソグラフィー法に加えて、その他の方法、例えば、オフセット印刷法、ケミカルミリング法、またはインクジェット印刷法もまた適している。適切なバインダー樹脂及び溶媒または顔料ビヒクル、ならびにさらなる添加物の選択は、その特定の方法に合わせるべきである。サーマルだけではなく、メカニカルまたはピエゾメカニカルなインクジェット印刷も含めたインクジェット法の場合においては、顔料及び任意選択でバインダー樹脂に適したビヒクルとしては、純粋な有機ビヒクルだけではなく、水性有機ビヒクルも挙げられる。実際のところ、水性有機ビヒクルが好ましいが、ここで適切な有機溶媒とは、先に特定されたものである。
【0075】
本発明はさらに、少なくとも1種のフッ素置換されたペリレン顔料、好ましくは式(I)の顔料、より好ましくは式(Ia)の顔料を含んでいることを特徴とする、カラーフィルターも提供する。特に好ましいカラーフィルターには、式(II)、(IV)または(V)の内の少なくとも1種の顔料が含まれる。一般的には、カラーフィルターは、支持体の上で硬化されたフォトレジストであるが、その支持体には、ガラスだけではなく、その他の基材、例えば、ポリマー、金属、もしくはセラミックのプレートも含まれる。
【0076】
本発明はさらに、本発明の少なくとも1種のカラーフィルターを含む液晶ディスプレイも提供する。
【実施例】
【0077】
[実施例1]
a)合成
80℃で、200gのフェノールを導入した。それに、0.1molのペリレンテトラカルボン酸二無水物(ペリアシッド(per acid))及び0.3molのジエタノールアミンを添加してから、その反応バッチを120℃で30分間加熱した。それに、0.225molのp−トリフルオロメトキシアニリンを混合してから、150℃で5時間加熱し、フェノール/水を蒸留により除去した。次いでその反応バッチを間接的に冷却して90℃とし、280gのメタノールを滴下により加えた。それに続けて、冷却により40℃とし、単離した。その反応生成物を、500gのメタノール、次いで500gの水を用いて洗浄した。
【0078】
その湿潤プレスケーキを800mLの5%強度KOH溶液の中に導入し、その系を80℃に加熱して1時間撹拌し、反応生成物を単離し、水を用いて中性になるまで洗浄し、乾燥させた。その反応生成物を20℃で1500gの硫酸の中に溶解させ、約60℃で、2000mLのメタノールの上に徐々に加えた。水を用いてその混合物を希釈し、その反応生成物を濾過により単離し、洗浄し、乾燥させた。
【0079】
収率:式(II)のペリレン、95%
【化6】

BET:44m/g
【0080】
b)色相及び分散難度を測定するためのPVCサンプルの製作
分散難度を測定する目的で、100gのPVCペースト(4.2部のVestolit(登録商標)E7004(エマルション−PVC粉体)、1.8部のフタル酸ジイソオクチル、0.15部のBaerostab(登録商標)UBZ770(液状バリウム−亜鉛安定剤)及び0.125部のMoltopren(登録商標)白色ペーストRUN01(50%TiOを含む顔料配合物)から調製したもの)を、150℃で、Collinラボラトリーミキシングロールミルにかけた。ロール間隙は0.8mmであった。
【0081】
そのサンプル0.1gをPVCシートに適用したが、そのロール間隙は0.12mmに設定した。ロール掛けしたシートを取り出し、再度適用した。この操作を8回繰り返した。ロール間隙を0.8mmに設定し、ロール掛けしたシートを取り出した。そのロール掛けしたシートから60×60mmのサイズの試験片を打ち抜いた。
【0082】
次いで、そのシートの残りのものを、25℃でロールミルにかけた。ロール間隙は0.2mmであった。ロール掛けしたシートを取り出し、再度適用した。このプロセスを15回繰り返した。冷ロール掛けで、もはや滑らかではないそのシートを、150℃で、ロール間隙0.8mmとしてロールにかけた。60後にそのシートを取り出し、60×60mmのサイズの試験片を打ち抜いた。ロールの回転速度を20rpm、摩擦を(1:1.1)の一定に保った。
【0083】
分散難度は、25℃でロール掛けした後の、色強度の増大パーセントである。
分散難度:38
【0084】
透明な試験片を同様にして製作したが、ただし以下のものからなる試験ペーストを使用した:4.2部のVestolit(登録商標)E7004(エマルション−PVC粉体)、1.8部のフタル酸ジイソオクチル、及び0.15部のBaerostab(登録商標)UBZ770(液状バリウム−亜鉛安定剤)。
【0085】
色相は、Gretag Macbeth分光計を使用して測定した。
それらのサンプルについて、観測角度10度、D65光源、光沢トラップなしの条件で測定した:
反射測定値:
:62.18、a:46.96、b:4.63、C:47.19、h゜:5.63
【0086】
実施例1と同様にして、式(III)〜(IX)の顔料を調製した。
【0087】
[使用例]
赤色配合物の調製及び赤色カラーフィルターを製造するためのその使用
使用例1(本発明使用例):
使用顔料:実施例1からの顔料
撹拌容器の中で、酢酸メトキシブチルの774重量部と、メタクリル酸ベンジル(70部)/メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(15部)/メタクリル酸(15部)をベースとし分子量が25 000g/molのアルカリ可溶性コポリマー(バインダー樹脂)のメトキシプロピルアセテート中21%強度溶液の286重量部と、を均質に混合した。これにより「配合物」を得た。
【0088】
次いで、予め70℃で乾燥させて残存水分含量を1重量%未満とした実施例1の顔料の100重量部を、その配合物の中に均質に導入した。
【0089】
その顔料懸濁液を、イットリウム安定化酸化ジルコニウムビーズ(直径0.6〜1.0mm)を用いた、水平密閉ビーズミルの中で摩砕させた。
【0090】
フォトレジストの調製
得られた配合物1000重量部の中に、トリメチロールプロパントリアクリレート(モノマー性反応性希釈剤)34.5重量部、ならびにベンゾフェノン及びN,N’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン(重量比3/1)をベースとする光反応重合開始剤13.8重量部を、撹拌しながら均質に導入した。
【0091】
これによりUV硬化可能なフォトレジストが得られたので、それを透明な基材に塗布し、現像させてカラーフィルターを得た。
【0092】
この目的のためには、そのフォトレジストを、300×350mmのサイズの清澄なホウケイ酸ガラス(Corning(登録商標)7059、Owens Corning Corp.)の切片の上にスピンコーティングし、清浄な条件下でオーブン中、110℃で5分間乾燥させると、厚みが約1.5〜2μmの膜が得られた。
【0093】
次いで、冷却した後に、超高圧水銀ランプを用いて200mJ/cmの線量で、ネガティブマスク(negative mask)の手段によってその膜をUV露光させ、所望の縞状の画像パターンを形成させ、次いで0.06%強度の水酸化カリウム水溶液により室温で現像させ、完全な脱イオン水を用いて洗浄し、乾燥させた。それに続けて、清浄な条件下でオーブン中、235℃で30分間かけて後硬化させた。
【0094】
得られた赤色の、本発明のカラーフィルター1では、使用例2に従って製造された本発明ではないカラーフィルター2に比較して、顕著に改良されたスペクトル的透明度が得られた。カラーフィルター1の色純度及び輝度も優れたものであった。
【0095】
使用例2(本発明ではない使用例):
使用顔料:ピグメントレッド149
使用例1の場合と同様にして、予め70℃で乾燥させて残存水分含量を1重量%未満としたピグメントレッド149の100重量部を、使用例1からの配合物の中に均質に導入した。
【0096】
使用例1の場合と同様にして、得られた顔料懸濁液を、イットリウム安定化酸化ジルコニウムビーズを用いた、水平密閉ビーズミルの中で摩砕させた。
【0097】
使用例1の場合と同様にして、フォトレジストも同様に製作した。
【0098】
使用例3(本発明使用例):
使用顔料:80%:実施例1からの顔料
20%:メラミン−インターカーレーテッドニッケル−アゾバルビツル酸顔料(特許文献8、実施例2に従い調製)
【0099】
使用例1の場合と同様にして、赤色配合物を調製し、赤色カラーフィルターにそれを使用した。
【0100】
使用例1の記載にしたがって製造したフォトレジスト、及びそれを用いて製造した赤色の本発明のカラーフィルターは、極めて良好なスペクトル的透明性ならびに優れた色純度及び輝度を有していた。
【0101】
使用例4(本発明使用例):
使用例1の場合と同様にして、以下の顔料混合物をベースとして、カラーフィルターを製造した。
使用顔料:40%:実施例1からの顔料
40%:C.I.ピグメントレッド254
20%:メラミン−インターカーレーテッドニッケル−アゾバルビツル酸顔料
【0102】
調製されたフォトレジスト、及びそれを用いて製造した赤色の本発明のカラーフィルターは、極めて良好なスペクトル的透明性ならびに優れた色純度及び輝度を有していた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶ディスプレイのためのカラーフィルターにおけるフッ素置換されたペリレンの使用。
【請求項2】
前記フッ素置換されたペリレンが、式(I):
【化1】

[式中、
Rは、Hであるか、または任意に置換された有機基であり、そして
、R、R、及びRは、互いに独立して、H、F、Cl、Brであるか、または任意に置換された有機基であり、そして
基R、R、R、R、及びRの内の少なくとも一つが、フッ素であるか、または少なくとも1個のフッ素原子を含む]
のものであることを特徴とする、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記基Rが、1個または複数のフッ素原子によって置換された基であることを特徴とする、請求項2に記載の使用。
【請求項4】
前記フッ素置換されたペリレンが、式(Ia):
【化2】

[式中、
Aは、フッ素または1個もしくは複数のフッ素原子によって置換された有機基であり、
Bは、H、F、Cl、もしくはBrであるか、または任意にAと合わさって環を形成していてもよい、任意に置換された有機基であるか、または
基AとBとが、それらが結合しているフェニル環のC原子と共に縮合環を形成し、そして
、R、R、及びRは、互いに独立して、H、F、Cl、またはBrであるか、または任意に置換された有機基である]
のものであることを特徴とする、請求項1に記載の使用。
【請求項5】
式(Ia)において、
、R、R、及びRが、好ましくは水素またはフッ素であり、
基Bが、Hであるか、または任意にフッ素置換されたC〜C−アルキル、より好ましくはメチルまたはトリフルオロメチルであり、そして
Aが、フッ素であるか、またはC〜C−アルキル、より好ましくはメチル、C〜C−アルコキシ、より好ましくはメトキシ、フェニル、またはフェノキシであって、それらそれぞれが好ましくは1個または複数のフッ素原子によって置換されるか、または
AとBとが合わさって、式−O−CF−O−、−O−CF−CF−O−、−O−CHF−CHF−O−、または−O−CF−CF−CF−O−の橋かけメンバーであることを特徴とする、請求項4に記載の使用。
【請求項6】
前記フッ素置換されたペリレンが、式(II)〜(XII)の少なくとも1種のペリレンに相当することを特徴とする、請求項1に記載の使用。
【化3】

【化4】

【請求項7】
前記フッ素置換されたペリレン顔料、より好ましくは請求項2に記載の式(I)のそれが、40〜200m/gのB.E.T.表面積を有することを特徴とする、請求項1に記載の使用。
【請求項8】
式(II)、(IV)または(V)の化合物、より好ましくは式(II)の化合物。
【化5】

【請求項9】
少なくとも1種の光硬化性モノマー、少なくとも1種の光重合開始剤、及び少なくとも1種のフッ素置換されたペリレン顔料、より好ましくは請求項2に記載の式(I)のものを含むフォトレジスト。
【請求項10】
少なくとも1種のフッ素置換されたペリレン顔料、より好ましくは請求項2に記載の式(I)のものを含むカラーフィルター。
【請求項11】
請求項10に記載の少なくとも1種のカラーフィルターを含む液晶ディスプレイ。
【請求項12】
少なくとも1種のフッ素置換されたペリレン、より好ましくは請求項2に記載の少なくとも1種の式(I)の顔料に加えて、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド179、C.I.ピグメントレッド254、及びC.I.ピグメントバイオレット19からなる群からの少なくとも1種のさらなる赤色顔料を含む混合物。
【請求項13】
1種または複数の黄色顔料またはオレンジ色顔料、より好ましくは400〜520nmの範囲に吸収帯を有するものをさらに含む、請求項12に記載の混合物。
【請求項14】
少なくとも1種のフッ素置換されたペリレン、より好ましくは請求項2に記載の少なくとも1種の式(I)の顔料に加えて、さらに少なくとも1種の黄色顔料を含む、混合物。
【請求項15】
前記カラーフィルターがフッ素置換されたペリレンを用いて顔料着色されていることを特徴とする、LCDのためのカラーフィルターを顔料着色する方法。

【公開番号】特開2010−248512(P2010−248512A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−92236(P2010−92236)
【出願日】平成22年4月13日(2010.4.13)
【出願人】(505422707)ランクセス・ドイチュランド・ゲーエムベーハー (220)
【Fターム(参考)】