説明

LED光出力の線形化

LED発光出力に関する平坦化された特徴を創出するためのシステムおよび方法が提供される。このシステムは、1つまたは複数の発光ダイオードを含むアレイと、LEDアレイに接続され、LEDアレイに駆動電流を提供する電源と、コントローラに接続されたタイマーであって、LEDアレイのオンタイムを記録し、LEDアレイのオンタイムをコントローラに通信するタイマーと、電源に接続されたコントローラであって、得られる相対発光出力が最初の相対発光出力とほぼ等しくなるように、タイマーから受け取られたオンタイムデータに基づいて、LEDアレイに提供される駆動電流の強度を調整するコントローラと、を含むことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、一般にはLED照明スキームに関し、より詳細にはLEDの寿命にわたって出力をより一定にするために、LED光の出力を線形化することに関する。
【背景技術】
【0002】
製品ディスペンサは、多くの異なる形状およびサイズをとることができる。各ディスペンサは、通常、何らかの種類の製品照明および/または看板照明を必要とする。寿命が長くなり使用電力が低下することに起因して、発光ダイオード(「LED」)照明は、多くの照明用途において一般的になりつつある。製品ディスペンサの設定における照明に使用される典型的なLEDは、0.5から3ワットで、25から70ルーメン/ワットの範囲となり得る。このようなLEDは、典型的には、故障前に40,000から50,000時間にわたって動作するように定格され得る。出力が全く生成されない時点を故障と定義する多くの光源とは異なり、場合、LEDの故障とは、典型的には、発光出力がLEDの元々の出力の70%未満である時点であると定義される。
【0003】
その他の光源の故障モードと比べてLEDにおける故障モードはより望ましいものではあるが、ある問題が残る。たとえば、多くの製品自動販売機は、LEDを使用して、購買可能な製品選択を照明する。「新しい」LEDアレイを含む自動販売機が「古い」LEDアレイ(故障してはいないが、劣化し、元々望まれるよりも出力が低下したもの)を有する自動販売機の隣に置かれている場合、「古い」LEDアレイで起こった光の劣化に起因する発光出力におけるこの大きな差は、潜在的な消費者に対して直ぐに明らかになる。
【0004】
かすかに照らされたディスペンサ、つまり劣化した光源を備えるディスペンサは、少なくとも、その中の製品が適切に維持されていないような印象を消費者に与える可能性がある。その結果、外観がより視覚的に訴えかけ、消費者の目を引くので、潜在的な消費者は、「より新しい」LEDアレイを備える自動販売機から購買する傾向となる。これらのLEDの問題は、通常、適当な製品マーケティングと関連して対処されることが必要とされる。すなわち、ディスペンサおよびその中の製品を、より視覚的に訴えかけ、消費者の目を引くように、適切に照らさなければならない。
【0005】
したがって、LEDの定格寿命にわたって一定した発光出力を維持する、改良されたLED電源スキームが要望される。この改良されたLED電源スキームは、LEDの実際の寿命にわたって、均一な外観を提供しなければならない。
【発明の概要】
【0006】
したがって、本出願は、LED発光出力に関して平坦化された特性を創出するためのシステムについて記載する。このシステムは、1つまたは複数の発光ダイオードを含むアレイと、LEDアレイに接続され、LEDアレイに駆動電流を提供する電源と、コントローラに接続されたタイマーであって、LEDアレイのオンタイムを記録し、LEDアレイのオンタイムをコントローラに通信するタイマーと、電源に接続されたコントローラであって、得られる相対発光出力が最初の相対発光出力とほぼ等しくなるように、タイマーから受け取られたオンタイムデータに基づいて、LEDアレイに提供される駆動電流の強度を調整するコントローラと、を含む。
【0007】
LEDのアレイは、単純に、互いに関連して動作し、同じ電源によって電力を供給される任意の数のLEDとすることができる。特記すべきは、アレイは、単一のLEDのみを含んでもよいことである。製品ディスペンサの設定における照明に使用される典型的なLEDは、0.5から3ワットで、25から70ルーメン/ワットの範囲となり得る。このようなLEDは、典型的には、故障前に40,000から50,000時間にわたって動作するように定格され得る。製品ディスペンサの環境において典型的なLEDについて論じるが、本発明は任意の環境で使用されるLEDとともに動作し、任意の特定の実施形態に制限されないことを理解されたい。
【0008】
駆動電流を供給する電源は、LEDのアレイに電力を供給するための任意の好適な電源とすることができる。本発明の好ましい実施形態では、電源は、パルス幅変調電源から交流電力を供給することができる。本出願はAC電力の使用について論じるが、本発明は直流電力を使用して動作可能であることを理解されたい。しかしながら、ここでは、AC電力に関連して図面が提供される。電源は、LEDのアレイに電力を供給するための可変駆動電流を供給する。コントローラは、タイマーによって示されるLEDアレイのオンタイムを相対電力出力の強度に対応させる予め設定された命令にしたがって、電源出力の強度を制御するために使用される。
【0009】
コントローラに接続されたタイマーは、LEDのアレイの「オンタイム」を監視するのに適した任意のタイマーとすることができる。適切な駆動電流の強度を供給して、アレイの発光出力を一定レベルに維持するのを確実に補助するために、タイマーによって通信された電流時限利用データに基づいて、駆動電流の調節をトリガするように、コントローラをプログラムすることができる。
【0010】
添付の特許請求の範囲および図面とともに考慮して、以下の詳細な説明を検討すると、当業者には、本出願のこれらのおよびその他の特徴が明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の諸態様による一実施形態の照明を示す図である。
【図2】LED発光出力の典型的な劣化を示すグラフである。
【図3】本発明の諸態様にしたがって求められる相対電力出力のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、添付の図面を参照して、本発明を以下により詳細に記載するが、添付の図面には本発明の全てではないがいくつかの実施形態が示される。実際には、これらの発明を、多くの異なる形態で実施することができ、本明細書に記載される諸実施形態に限定されるものと解釈されるものではない。むしろ、これらの諸実施形態は、本開示が適用可能な法的要件を満たすように提供される。類似する番号は、全体を通して類似する要素を指すものである。
【0013】
図1は、製品ディスペンサ100で使用される本発明の例示的な実施形態を示す。ディスペンサ100は、販売業界で使用される典型的なディスペンサである。しかしながら、本発明はそれに限定されるものではなく、一定した発光出力を要する任意の設定で使用することができることを理解されたい。典型的には、ディスペンサ100は、少なくとも1つの電力バス110を含む。本発明によると、任意のタイプの電源120を電力バス上で使用することができる。電力バス110は、電源120から1つまたは複数のLED130へ電線を介して電気的に連通させることができる。電力バス110は、所望の輝度でLED130を照明するために必要とされる駆動電流を搬送する。
【0014】
電源120は、電流、電圧およびデューティーサイクルに影響を与えて、異なる電流強度レベルを達成することができる。典型的には、単一の電源120で、数多くのLED130に効果的に電力を十分に供給することができる。
【0015】
複数のLED130をLEDアレイ130で使用すると、次いで、それらのLED130を配線でつなぎ、電源120と電気的に接続することができる。また、本明細書で論じられる実施形態は、LEDアレイ130に関するが、本発明は同様に、単一のLED130とも使用され得ることが明らかであることを理解されたい。さらに、本発明にしたがって、LEDアレイ130に電力を供給するその他の形態も使用できる。たとえば、電源120は、交流電源電圧または直流電源電圧のいずれかを供給することができる。さらに、特定の諸実施形態では、フレキシブルプリント回路基板上に電源120を装着することができる。
【0016】
明らかなことに、LEDアレイ130は、DC電力および電流またはパルス電力および電流で動作することができる。この実施形態では、コントローラ140によってパルス幅変調を行って、電流強度変化に影響を与える。
【0017】
タイマー150は、LEDアレイ130の動作時間を記録するように動作する。LEDアレイ130の動作時間が長くなるにつれて、コントローラ140の電源120とインタラクトして、タイマー150から受け取るLEDアレイ130のオンタイム量に対応して、相対電源出力を増加させるように動作する。コントローラ140は、以下に論じられるような保存されたアルゴリズムを使用して、受け取られたオンタイムに関連する相対電源出力の適切な調節を決定し、その結果、一定の発光出力強度が維持される。コントローラ140は、コンピュータ基板、組み込みデバイス、デジタル信号プロセッサ、または当業者に知られる任意のその他の適当なコントローラデバイスとすることができる。
【0018】
本発明の好ましい実施形態では、コントローラ140によってパルス幅変調を行って、LEDアレイ130の所望の相対発光出力が達成される。タイマー150は、LEDアレイ130のオンタイムをコントローラ140に通信する。次いで、コントローラ140は、(もしある場合には)相対電源出力に対して必要とされる変更を計算して、一定の相対発光出力が維持される。相対電源出力への変化を達成するためには、コントローラ140は、入力される電源電流のパルス幅を変調して、その結果、1サイクル毎のLEDのオンタイムをより長くまたはより短くするように動作し、したがってそれに応じて相対発光出力を増減することができる。
【0019】
図2は、典型的には製品コンテナ100内で使用されるようなLEDの発光出力の典型的な劣化を示す。x軸210は、LED130(またはLEDアレイ130)の動作時間を1時間単位で表す。y軸220は、LED130の相対発光出力を表す。この図では、最初に動作するときのLED130の相対発光出力の値を1.0とする。LED130が、最初の時間周期(典型的には、100時間未満)動作した後で、LED寿命発光出力のピーク230に達する。典型的には、このいわゆる「バーンイン」ピーク230は、相対発光出力レベル約1.05に達する。
【0020】
初期の「バーンイン」ピーク230に達した後、相対発光出力は、LED130の寿命の残りの時間にわたって減少する。発光出力は、おおよそ動作時間の対数として劣化する。240と付された動作時間約100時間から動作時間約2,000時間の部分からわかるように、相対発光出力は、かなり一定となる。
【0021】
点250は、LED130の典型的な故障点を示す。先に指摘したように、LED130の故障点は、典型的には、相対発光出力が最初の相対光出力の0.7未満である場合として定義される。典型的なLED130は、40,000から50,000時間の動作後に故障点250に達する。最終的には、点260は、典型的なLED130が、相対発光出力が最初の相対発光出力の0.5未満になる点に達する時点を示す。これは、一般的には、約100,000時間の動作後に起こる。
【0022】
同様に、動作温度は、LED130の劣化パターンを評価する際に影響を与え得る。典型的には、ある特定の市販のLEDにおいては、温度が1℃上昇する毎に約1パーセント(1%)の強度損失が観察される。これは一般的なガイドラインであり、本発明の応用をどのようにも制限することを意味するものではないことを理解されたい。
【0023】
図3は、LED130の典型的な寿命にわたって平坦化された相対発光出力を創出するように、LED130に電力を供給するために使用される所要の電源出力を示す。x軸310は、LED130(またはLEDアレイ)の動作時間を1時間単位で表す。y軸320は、電源120の相対電源出力を示す。この図では、LED130が最初に動作するときの相対電源出力の値を1.0とする。任意の所与の時点で必要とされる相対電源出力のレベルは、簡単な式、(2.0−相対光出力)によって計算することができる。したがって、相対発光出力が約1.05となる「バーンイン」ピーク230において、コントローラ140は、相対電源出力を約0.95になるように調節して、適切にLED輝度の電流強度を増加させる。本発明の目的は、連続する相対発光出力を常に1.0または約1.0にすることである。
【0024】
前述の内容は、本出願の好ましい実施形態にのみ関連し、数多くの変更および修正形態が以下の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される趣旨および範囲から逸脱することなく当業者によってなされ得ることが明らかになろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
LEDのアレイに電流を供給するためのシステムであって、
1つまたは複数の発光ダイオードを含むアレイと、
前記LEDアレイに接続された電源であって、前記LEDアレイに駆動電流を提供する電源と、
コントローラに接続されたタイマーであって、前記LEDアレイのオンタイムを記録し、前記LEDアレイのオンタイムデータを前記コントローラに通信するタイマーと、
前記電源に接続されたコントローラであって、得られる相対発光出力が最初の相対発光出力とほぼ等しくなるように、前記タイマーから受け取られた前記オンタイムデータに基づいて、前記LEDアレイに提供される前記駆動電流の強度を調整するコントローラと、を備えるシステム。
【請求項2】
前記電源が、パルス幅変調スキームを使用して、前記LEDアレイに電流を供給する、請求項1に記載されるシステム。
【請求項3】
前記電源が、交流電源電圧または直流電源電圧のいずれかを供給している、請求項1に記載されるシステム。
【請求項4】
前記電源が、フレキシブルプリント回路基板に装着される、請求項1に記載されるシステム。
【請求項5】
発光ダイオードの前記アレイが、直列接続された1つまたは複数の発光ダイオードを備える、請求項1に記載されるシステム。
【請求項6】
前記発光出力を使用して、製品ディスペンサ内に含まれる製品が照明される、請求項1に記載されるシステム。
【請求項7】
LEDのアレイに電力を供給するための方法であって、
前記LEDアレイに接続された電源を使用して、1つまたは複数の発光ダイオードを含むアレイに電力を供給するステップであって、前記電源が、前記LEDアレイに駆動電流を供給するステップと、
コントローラに接続されたタイマーを使用して、前記LEDアレイのオンタイムを記録するステップと、
前記LEDアレイのオンタイムデータを前記コントローラに通信するステップと、
得られる相対発光出力が最初の相対発光出力とほぼ等しくなるように、前記タイマーから受け取られた前記オンタイムデータに基づいて、前記LEDアレイに供給される前記駆動電流の強度を調節するステップと、を含む方法。
【請求項8】
前記電源が、パルス幅変調スキームを使用して、前記LEDアレイに電流を供給する、請求項7に記載される方法。
【請求項9】
前記電源が、交流電源電圧または直流電源電圧のいずれかを供給する、請求項7に記載される方法。
【請求項10】
前記電源を、フレキシブルプリント回路基板に装着するステップをさらに含む、請求項7に記載される方法。
【請求項11】
発光ダイオードの前記アレイが、直列接続された1つまたは複数の発光ダイオードを備える、請求項7に記載される方法。
【請求項12】
前記発光出力を使用して、製品ディスペンサ内に含まれる製品が照明される、請求項7に記載される方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2011−503881(P2011−503881A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−533271(P2010−533271)
【出願日】平成20年11月7日(2008.11.7)
【国際出願番号】PCT/US2008/082768
【国際公開番号】WO2009/062015
【国際公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【出願人】(391026058)ザ・コカ−コーラ・カンパニー (238)
【氏名又は名称原語表記】THE COCA−COLA COMPANY
【Fターム(参考)】