説明

LED点灯装置及びそれを用いた照明器具

【課題】複数のLEDランプを直列点灯する場合においても確実にLEDランプの異常を検出して出力制御を行う。
【解決手段】短絡故障が生じているLEDランプ110Bの両端電圧が下降して第2の検出電圧VS2が下限値を下回ると、制御部5がLEDランプ110Bの故障と判断して電力変換部2を停止させる。同様に、断線故障が生じているLEDランプ110Aの両端電圧が上昇して第1の検出電圧VS1と第2の検出電圧VS2の差電圧が上限値を超えると、制御部5がLEDランプ110Aの故障と判断して電力変換部2を停止させる。故に、複数のLEDランプ110A,110Bを直列点灯する場合においても確実にLEDランプ110A,110Bの異常を検出して出力制御を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED(発光ダイオード)を点灯するLED点灯装置、及びそれを用いた照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、照明用の光源として蛍光ランプの代わりにLEDが用いられるようになってきている。例えば、特許文献1には従来の直管形の蛍光ランプに近い形状を有するLEDランプが開示されている。このLEDランプは、帯板状の実装基板に多数のLEDが実装されてなる光源ブロックと、光源ブロックを内部に収納する直管形のガラス管と、ガラス管の両端を閉塞する口金と、口金の側面より突出して光源ブロックに給電するための端子ピンとを備えている。このようなLEDランプは、専用の照明器具に設けられているランプソケットに着脱自在に装着され、当該照明器具に搭載されているLED点灯装置からランプソケットを介して電力(直流電力)が供給されることで点灯する。
【0003】
また、LED点灯装置の従来例として、特許文献2に記載されているものがある。特許文献2記載の従来例では、LEDランプ(ランプソケット)に印加される電圧(出力電圧)と、LEDランプに流れる電流(出力電流)とを検出し、出力電流が目標値(例えば、LEDランプの定格電流)に一致するように出力電圧を調整する制御(定電流制御)が行われている。
【0004】
ここで、LEDランプに断線や短絡などの故障が生じた場合、LED点灯装置が定電流制御による電力供給を継続すると出力電圧がLEDランプの定格電圧を上回る異常な電圧まで上昇したり、あるいはLEDランプに過大な電流が流れてしまう虞がある。そのために従来のLED点灯装置においては、LEDランプの定格電圧よりも十分に高い上限電圧及びLEDランプの定格電圧よりも充分に低い下限電圧が設定され、LEDランプに印加される出力電圧が上限電圧を超えるか、若しくは下限電圧を下回ると出力電圧を低減あるいは停止する制御(ランプ異常監視制御)が行われている。
【0005】
つまり、経年劣化等によってLEDランプに断線や短絡などの故障が生じたとき、LED点灯装置がランプ異常監視制御により出力電圧を低減あるいは停止するので、LED点灯装置を構成する回路部品に過大なストレスが加わることなどが回避できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−43447号公報
【特許文献2】特開2006−210271号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、1つのLED点灯装置の出力端間に2つのLEDランプが直列接続される場合、LED点灯装置の出力電圧のみを検出しているとランプ異常監視制御が正常に機能しない虞がある。例えば、一方のLEDランプにおけるLEDチップが故障により開放され、他方のLEDランプにおけるLEDチップが故障により短絡されたとすると、前者のLEDランプのランプ電圧(順方向電圧)が上昇するものの、後者のLEDランプのランプ電圧(順方向電圧)が下降することになる。そのため、2つのLEDランプが双方とも故障しているにも関わらず、LED点灯装置の出力電圧が変化しないためにランプ異常監視制御が機能せず、LED点灯装置の出力電圧が低減あるいは停止されない可能性がある。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みて為されたものであり、複数のLEDランプを直列点灯する場合においても確実にLEDランプの異常を検出して出力制御を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のLED点灯装置は、出力電圧が可変であり且つ2つのLEDランプがそれぞれにランプソケットを介して出力端間に直列接続される電力変換部と、当該電力変換部から出力される出力電流を検出する電流検出部と、前記電力変換部の出力端間の電圧を検出する第1の電圧検出部と、前記2つのLEDランプのうちの一方のLEDランプに印加される電圧を検出する第2の電圧検出部と、前記電流検出部で検出される出力電流を目標値に一致させるように前記電力変換部を制御して前記出力電圧を増減する制御部とを備え、前記制御部は、前記第2の電圧検出部で検出される第2の検出電圧又は前記第1の電圧検出部で検出される第1の検出電圧と前記第2の検出電圧の差電圧の少なくとも何れか一方が所定の正常範囲から外れたときに前記電力変換部を制御して前記出力電圧を減少させることを特徴とする。
【0010】
このLED点灯装置において、前記制御部は、前記LEDランプの累積点灯時間を計時し且つ当該累積点灯時間が所定の切替時間を経過した後は、前記累積点灯時間の経過とともに前記正常範囲の上限値を単調減少させることが好ましい。
【0011】
このLED点灯装置において、前記制御部は、所定のリセット条件が満たされた場合に前記累積点灯時間をゼロにリセットすることが好ましい。
【0012】
このLED点灯装置において、前記制御部は、前記累積点灯時間が前記切替時間よりも後の所定のリセット不動作時間を経過した後は、前記リセット条件が満たされた場合でも前記累積点灯時間をリセットしないことが好ましい。
【0013】
本発明の照明器具は、何れかのLED点灯装置と、前記2組のランプソケットと、前記LED点灯装置並びに前記2組のランプソケットを保持する器具本体とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明のLED点灯装置及びそれを用いた照明器具は、複数のLEDランプを直列点灯する場合においても確実にLEDランプの異常を検出して出力制御を行うができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係るLED点灯装置の実施形態を示す回路ブロック図である。
【図2】(a)〜(c)は同上における累積点灯時間と出力電圧の上限値との関係を説明するための説明図である。
【図3】(a)〜(c)は同上の外観図である。
【図4】本発明に係る照明器具の実施形態を示し、(a)は上面図、(b)は側面図、(c)は側面図、(d)は半断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0017】
図1は本発明に係るLED点灯装置の実施形態を示す回路ブロック図である。
【0018】
本実施形態のLED点灯装置によって点灯される2つのLEDランプ110A,110Bは、特許文献1記載のLEDランプと類似の構成を有している。すなわち、これらのLEDランプ110A,110Bは、並列接続された2個1組の発光ダイオード111が多数組(図示は3組のみ)接続された直列回路と、当該直列回路に並列接続された抵抗Rx1,Rx2と、直管形のガラス管(図4参照)と、ガラス管の両端を閉塞する口金(図示せず)とを備えている。なお、口金には、ランプソケット120A,120Bを介してLED点灯装置の出力端に接続される一対の端子ピン(図示せず)が突設されている。そして、ランプソケット120A,120Bから端子ピンを介して発光ダイオード111に直流電流(出力電流Io)が供給される。
【0019】
本実施形態のLED点灯装置は、AC/DCコンバータ1、電力変換部2、電流検出部3、第1の電圧検出部4A、第2の電圧検出部4B、制御部5、接続判定部6、定電圧源7などを備えている。AC/DCコンバータ1は、商用交流電源100から供給される交流電圧を所望の直流電圧に変換するものであって、例えば、従来周知の昇圧チョッパ回路(力率改善回路)で構成される。
【0020】
電力変換部2は、バイポーラトランジスタや電界効果トランジスタなどの半導体スイッチング素子(以下、スイッチング素子と略す。)20、インダクタL、ダイオードD、コンデンサC2を具備した従来周知の降圧チョッパ回路からなる。電力変換部2の出力端間には、第1コネクタ121Aと第2コネクタ121Bが並列接続され、さらに各コネクタ121A,121Bにランプソケット120A,120Bが直列に接続されている。つまり、ランプソケット120A,120Bに装着される2つのLEDランプ110A,110Bは、コネクタ121A,121B及びランプソケット120A,120Bを介して電力変換部2の出力端間に直列接続されることになる。
【0021】
第1の電圧検出部4Aは、電力変換部2の出力端間(コンデンサC2の両端間)に接続されたツェナーダイオード8及び分圧抵抗R1,R2の直列回路からなる。そして、分圧抵抗R1,R2で分圧された第1検出電圧(出力電圧Voに比例した電圧)VS1が第1の電圧検出部4Aから制御部5に出力される。第2の電圧検出部4Bは、片方のコネクタ121B及びランプソケット120Bを介してLEDランプ110Bに印加される電圧(ランプ電圧)V1を検出し、当該ランプ電圧V1に比例した第2検出電圧VS2を制御部5に出力する。ただし、第2の電圧検出部4Bは第1の電圧検出部4Aと同じ回路構成を有しているので、詳細な回路構成についての図示は省略する。
【0022】
電流検出部3は、電力変換部2の負電位側の出力端とランプソケット120Bの負極側との間に挿入された検出抵抗R3からなる。そして、出力電流Ioによる検出抵抗R3の電圧降下が検出電圧として電流検出部3から制御部5に出力される。
【0023】
制御部5は、制御用集積回路、またはマイクロコントローラとメモリなどで構成され、電流検出部3で検出される出力電流Ioを目標値に一致させるように電力変換部2を制御して出力電圧Voを増減する。制御部5をマイクロコントローラとメモリで構成する場合は、LEDランプ110A,110Bの定格電流値のデータを予めメモリに記憶している。そして、マイクロコントローラ(制御部5)は電流検出部3から受け取る検出電圧を出力電流Ioの大きさ(電流値)に換算し、この電流値がメモリに記憶されている定格電流値(目標値)と一致するようにスイッチング素子20のオンデューティ比を調整して出力電圧Voを増減する。つまり、制御部5はLEDランプ110A,110Bに一定の電流(定格電流)を流す定電流制御を行っている。
【0024】
ここで、LEDランプ110A,110Bの定格電圧は、使用されている発光ダイオード111の順方向電圧Vfに、直列接続されている当該発光ダイオード111の個数nを乗じた値(=Vf×n)となる。例えば、順方向電圧Vfを3.5ボルトとし、発光ダイオード111の直列接続されている個数(組数)nを20とすれば、3.5×20=70ボルトが定格電圧となり、発光ダイオード111の個数nを10とすれば、3.5×10=35ボルトが定格電圧となる。また定格電圧が異なる複数のLEDランプが使用できるように、制御部5が、例えば少なくとも35Vから70Vまでの範囲で定電流制御を行うようにしてもよい。
【0025】
さらに制御部5は、少なくとも何れか一方のLEDランプ110A,110Bに異常が生じているか否かを監視し、異常が生じている場合に電力変換部2の出力を低減又は停止するランプ異常監視制御を行っている。例えば、一方のLEDランプ110Aに故障(発光ダイオード111の開放あるいは短絡)が生じた場合、第1の電圧検出部4Aで検出される第1の検出電圧VS1と第2の検出電圧VS2の差電圧(=VS1-VS2)が定格電圧よりも高い所定の上限値を超えるか、もしくは定格電圧よりも充分に低い下限値を下回ることになる。同様に、他方のLEDランプ110Bに故障が生じた場合、第2の電圧検出部4Bで検出される第2の検出電圧VS2が上限値を超えるか、もしくは下限値を下回ることになる。故に制御部5は、第1の検出電圧VS1と第2の検出電圧VS2の差電圧及び第2の検出電圧VS2が所定の正常範囲(上限値以下且つ下限値以上の範囲)から外れたときに電力変換部2を制御して出力電圧を停止させる。
【0026】
定電圧源7は、AC/DCコンバータ1の高電位側の出力端に一端が接続された抵抗R4と、抵抗R4の他端にカソードが接続されるとともにアノードがランプソケット120Bの負電位側に接続されたツェナーダイオード70とで構成されている。そして、ツェナーダイオード70の両端(カソード−アノード間)に生じる一定電圧(ツェナー電圧Vz)が抵抗R5を介してランプソケット120A,120Bと接続判定部6にそれぞれ印加される。なお、定電圧源7から印加される一定電圧(ツェナー電圧)は、LEDランプ110A,110Bの定格電圧の和よりも低い電圧とする必要がある。定格電圧が異なる複数のLEDランプが使用できるよう構成する場合においては、定格電圧が低いLEDランプを基準として、この定格電圧を下回るように一定電圧(ツェナー電圧)を設定すればよい。さらにLEDランプの定格電圧が危険電圧を上回り、且つ抵抗R5,R6,R7で分圧された電圧が危険電圧を上回る場合においては、定電圧源7から印加される一定電圧(ツェナー電圧)は危険電圧より低い電圧としなければならない。危険電圧の電圧値は、規格によって若干異なるが、一般的には直流では50Vを超える電圧とされている。
【0027】
接続判定部6は、ツェナーダイオード70のカソードとランプソケット120Bの負電位側との間に接続された3つの抵抗R5,R6,R7の直列回路と、抵抗(検出抵抗)R7における電圧降下をしきい値電圧Vrefと比較する比較器60とを具備している。なお、2つの抵抗R5,R6の接続点がランプソケット120Aの正電位側に接続されている。2つのランプソケット120A,120Bの少なくとも何れか一方にLEDランプ110A,110Bが接続されていない状態(無負荷状態)のとき、比較器60の正端子にはツェナー電圧Vzが3つの抵抗R5,R6,R7で分圧された電圧(抵抗R7における電圧降下)が入力される。一方、2つのランプソケット120A,120Bの両方ともにLEDランプ110A,110Bが接続されている状態(有負荷状態)のとき、LEDランプ110A,110Bの抵抗Rx1,Rx2が2つの抵抗R6,R7と並列に接続されることになる。よって、有負荷状態のときの抵抗R7における電圧降下が無負荷状態のときよりも低くなる。ここで、比較器60の負端子に入力されるしきい値電圧Vrefが、有負荷状態のときの抵抗R7における電圧降下と無負荷状態のときの抵抗R7における電圧降下の間に設定されている。従って、比較器60の出力は、無負荷状態のときにHレベルとなり、有負荷状態のときにLレベルとなる。なお、比較器60の出力(接続判定部6の判定結果)は制御部5に入力され、比較器60の出力に応じて、制御部5が電力変換部2を動作、または不動作とする。
【0028】
次に、本実施形態のLED点灯装置の動作を説明する。まず、図示しない電源スイッチが投入されて商用交流電源100からの電源供給が開始されると、AC/DCコンバータ1が動作して直流電圧を出力する。AC/DCコンバータ1から直流電圧が出力されると、定電圧源7から接続判定部6及びランプソケット120A,120Bに一定電圧(ツェナー電圧Vz)が印加される。
【0029】
ここで、ツェナーダイオード8がなければ、電力変換部2の停止中に接続判定部6の2つの抵抗R6,R7の直列回路だけでなく、第1の電圧検出部4Aの2つの分圧抵抗R1,R2の直列回路もAC/DCコンバータ1の出力端間に接続されていることになる。そうすると、AC/DCコンバータ1の出力電圧が起動後に徐々に上昇していく過程において、抵抗R4,R5の接続点の電圧がツェナーダイオード70のツェナー電圧Vzを超えるまでの時間(定電圧源7の出力電圧が安定するまでの時間)が相対的に遅くなってしまう。しかしながら、本実施形態では第1の電圧検出部4Aと電力変換部2の正電位(高電位)側との接続点に、定電圧源7のツェナーダイオード70よりもツェナー電圧の高いツェナーダイオード8が接続されている。そのため、AC/DCコンバータ1の出力電圧が上昇する過程において、抵抗R5,R6の接続点の電圧がツェナーダイオード8のツェナー電圧を超えるまでは、第1の電圧検出部4Aが接続判定部6及び定電流源7と切り離されている。つまり、ツェナーダイオード8が無い場合に比較して、定電圧源7の出力電圧が安定するまでの時間を短縮することができる。さらに第2の電圧検出部4Bは、第1の電圧検出部4Aと同様にツェナーダイオード70よりもツェナー電圧の高いツェナーダイオードを具備している。そのため、LEDランプ110A、110Bの抵抗Rx1,Rx2の接続点の電圧がツェナーダイオード70のツェナー電圧よりも高い前記ツェナー電圧を超えるまでは第2の電圧検出部4Bが切り離されている。
【0030】
そして、定電圧源7の出力電圧が安定すれば、接続判定部6が有負荷状態と無負荷状態の判定を行う。制御部5は、接続判定部6の判定結果が有負荷状態であれば、電力変換部2を動作させて定電流制御を開始する。一方、接続判定部6の判定結果が無負荷状態の場合、制御部5は、電力変換部2を動作させない。
【0031】
ここで、無負荷状態のときに電力変換部2からLEDランプ110A,110Bの定格電圧以上の電圧が出力されていた場合、ランプソケット120A,120BにLEDランプ110A,110Bが接続された直後に定格値を超える過大な電流が流れてしまう虞がある。しかしながら、本実施形態のLED点灯装置では、接続判定部6がLEDランプ110A,110Bの接続の有無を判定するまで制御部5が電力変換部2の動作を停止している。そして、接続判定部6が接続有り(有負荷状態)と判定した後に、制御部5が電力変換部2の動作を開始するので、LEDランプ110A,110Bに定格電圧以上の電圧が印加されることがない。その結果、ランプソケット120A,120BにLEDランプ110A,110Bが装着されたときに流れる電流が抑制されるので、LEDランプ110A,110Bの故障が防止できる。
【0032】
続いて、電力変換部2が動作している状況でLEDランプ110A,110Bに故障が生じた場合について説明する。例えば、一方のLEDランプ110Aにおいて、並列接続されている2個の発光ダイオード111の一方が断線した場合、LEDランプ110A,110Bに流れる電流が減少し、制御部5が定電流制御を継続しているために電力変換部2の出力電圧Voが上昇する。このとき、他方のLEDランプ110Bにおいて、並列接続されている2個の発光ダイオード111の一方が短絡した場合、LEDランプ110A,110Bに流れる電流が増加し、制御部5が定電流制御を継続しているために電力変換部2の出力電圧Voが下降する。結局のところ、断線故障と短絡故障が同時に発生した場合、電力変換部2の出力電圧Voが故障前とほとんど変わらない可能性がある。
【0033】
しかしながら、短絡故障が生じているLEDランプ110Bの両端電圧が下降して第2の検出電圧VS2が下限値を下回ると、制御部5がLEDランプ110Bの故障と判断して電力変換部2を停止させる。同様に、断線故障が生じているLEDランプ110Aの両端電圧が上昇して第1の検出電圧VS1と第2の検出電圧VS2の差電圧が上限値を超えると、制御部5がLEDランプ110Aの故障と判断して電力変換部2を停止させる。
【0034】
上述のように、LEDランプ110A,110Bに断線や短絡などの故障が生じた場合、制御部5が電力変換部2の動作を停止させるので、故障したLEDランプ110A,110Bが使用され続けることを防ぐことができる。しかも、本実施形態では複数のLEDランプ110A,110Aを直列点灯する場合においても確実にLEDランプ110A,110Bの異常を検出して出力制御を行うができるという利点がある。但し、本実施形態では無負荷時や故障時に制御部5が電力変換部2を停止させているが、必ずしも停止させる必要は無い。例えば、無負荷時や故障時には、制御部5が電力変換部2を制御し、出力電圧VoをLEDランプ110A,110Bの定格電圧よりも充分に低い下限値以下に制限しても構わない。また、商用交流電源100からの電源供給が開始された後、まず接続判定部6が有負荷状態と無負荷状態の判定を行い、判定結果が有負荷状態であれば、制御部5がAC/DCコンバータ1と電力変換部2とを動作させるようにしてもよい。
【0035】
ところで、制御部5はマイクロコントローラに内蔵されたタイマでLEDランプ110A,110Bの累積点灯時間を計時し、図2(a)に実線L1で示すように、累積点灯時間(横軸)が所定の切替時間T1を経過した後は累積点灯時間の経過とともに上限値を単調減少させる。但し、図2でハッチングされた領域Sは、個体差を含めたLEDランプ110A,110Bの定格電圧が取り得る範囲を示している。なお、切替時間T1は、LEDランプの定格寿命(光束減退より規定される寿命、若しくはLEDランプを構成する回路部品の定格寿命)やLED点灯装置の定格寿命(LED点灯装置を構成する回路部品の定格寿命)と同程度の時間に設定されることが好ましい。
【0036】
而して、LEDランプ110A,110Bの累積点灯時間が切替時間T1を経過した後においては、検出電圧VS1,VS2と比較される上限値が時間経過とともに単調減少するので、LEDランプ110A,110Bが照明器具(LED点灯装置)の定格寿命を超えるほどの長期間に渡って使用された場合においても、経年劣化によるLEDランプ110A,110Bの故障を早く且つ確実に検出することができる。但し、制御部5は必ずしも上限値を直線的に減少させる必要は無く、例えば、階段状に減少させても構わない。また、図2(a)の実線L1に示すように、制御部5は上限値をLEDランプ110A,110Bの定格電圧(領域S)以下に減少させていないが、図2(b)の実線L1に示すように上限値をLEDランプ110A,110Bの定格電圧(領域S)以下に減少させても構わない。
【0037】
ここで、制御部5は所定のリセット条件が満たされた場合に累積点灯時間をゼロにリセットする。このリセット条件とは、例えば、出力電圧が上限値を超えて電力変換部2が停止した後に再度動作したとき、接続判定部6が無負荷状態と判定した後に有負荷状態と判定すること(LEDランプ110A,110Bの交換)である。但し、制御部5が上限値をLEDランプ110A,110Bの定格電圧(領域S)以下に減少させている場合においては、図2(c)に示すように上限値の実線L1が領域Sと交差した時点(リセット不動作時間)T2を経過した後は、前記リセット条件が満たされた場合でも累積点灯時間をリセットしないことが好ましい。すなわち、LED点灯装置がリセット不動作時間T2を経過するほどの長期間に渡って使用されたのであれば、もはや継続して使用されると種々の不具合を生じる可能性が高くなる。そのため、LEDランプ110A,110Bが交換されたときに制御部5が累積点灯時間をリセットしなければLEDランプ110A,110Bが点灯しなくなるので、利用者にLED点灯装置(照明器具)の交換を促すことができる。また累積点灯時間の経過とともに上限値を単調減少させるため、LEDランプ110A,110Bの経年劣化のばらつきによってLEDランプ110A,110Bが点灯しなくなる時間もばらつきを持ち、複数台の照明器具が使用される一般事務所などにおいても一斉にLEDランプ110A,110Bが点灯しなくなることを防止することができる。
【0038】
ここで、本実施形態のLED点灯装置は、図3に示すように金属製のケース90に収納される。ケース90の長手方向における一端側に、ランプソケット120A,120Bと接続されるコネクタ121A,121Bが設けられている。また、ケース90の長手方向における他端側に、商用交流電源100と接続されるコネクタ121Cが設けられている。
【0039】
そして、上述のようにケース90に収納されたLED点灯装置は、例えば、図4に示す照明器具に搭載される。この照明器具は、天井に直付けされる器具本体130と、器具本体130に設けられた2組のランプソケット120A,120Bとを備えている。ただし、各組の一方のランプソケット120A,120Bは給電用であり、他方のランプソケット120Cは接地用である。
【0040】
器具本体130は長方形状の金属板からなり、長手方向の一端側に給電用のランプソケット120A,120Bが取り付けられ、他端側に接地用のランプソケット120Cが取り付けられ、さらにケース90に収納されたLED点灯装置が下面側に取り付けられている。また、器具本体130の下方には、長手方向から見た側面形状が略三角形である反射板131が取り付けられており、反射板131の下側にLEDランプ110A,110Bが配置される。ここで、給電用のランプソケット120A,120Bは、従来周知である直管形の蛍光ランプ用のランプソケットと同一構造を有しているので、蛍光ランプがランプソケット120A,120Bに誤装着されたときにフィラメント部に直流電流が供給される虞がある。しかしながら、上述のように電圧検出部4で検出される出力電圧が所定値(<定格電圧)を下回ったときに電力変換部2を停止しているため、蛍光ランプが誤装着された場合にも不安全な現象や点灯装置の故障などが生じる虞がない。但し、使用者は蛍光ランプを誤装着して安全か不安全かを見分けることができない。そこで、LEDランプ110A,110Bの口金の電極形状を蛍光ランプと異なる構造として誤装着を防止し、ランプソケット120A,120B,120CはLEDランプ110A,110Bの口金に合致した構造としてもよい。
【0041】
また上述の切替時間T1は、照明器具を構成するランプソケットやLEDランプ口金部などの材料として樹脂材料が使われる場合においては、ランプソケット120A,120B,120CやLEDランプ110A,110Bの樹脂材料が劣化し不安全な現象を生じる虞がない使用時間と同程度の時間に設定してもよい。
【符号の説明】
【0042】
2 電力変換部
3 電流検出部
4A 第1の電圧検出部
4B 第2の電圧検出部
5 制御部
110A,110B LEDランプ
120A,120B ランプソケット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力電圧が可変であり且つ2つのLEDランプがそれぞれにランプソケットを介して出力端間に直列接続される電力変換部と、当該電力変換部から出力される出力電流を検出する電流検出部と、前記電力変換部の出力端間の電圧を検出する第1の電圧検出部と、前記2つのLEDランプのうちの一方のLEDランプに印加される電圧を検出する第2の電圧検出部と、前記電流検出部で検出される出力電流を目標値に一致させるように前記電力変換部を制御して前記出力電圧を増減する制御部とを備え、
前記制御部は、前記第2の電圧検出部で検出される第2の検出電圧又は前記第1の電圧検出部で検出される第1の検出電圧と前記第2の検出電圧の差電圧の少なくとも何れか一方が所定の正常範囲から外れたときに前記電力変換部を制御して前記出力電圧を減少させることを特徴とするLED点灯装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記LEDランプの累積点灯時間を計時し且つ当該累積点灯時間が所定の切替時間を経過した後は、前記累積点灯時間の経過とともに前記正常範囲の上限値を単調減少させることを特徴とする請求項1記載のLED点灯装置。
【請求項3】
前記制御部は、所定のリセット条件が満たされた場合に前記累積点灯時間をゼロにリセットすることを特徴とする請求項2記載のLED点灯装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記累積点灯時間が前記切替時間よりも後の所定のリセット不動作時間を経過した後は、前記リセット条件が満たされた場合でも前記累積点灯時間をリセットしないことを特徴とする請求項3記載のLED点灯装置。
【請求項5】
請求項1〜4の何れかのLED点灯装置と、前記2組のランプソケットと、前記LED点灯装置並びに前記2組のランプソケットを保持する器具本体とを備えたことを特徴とする照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−142358(P2012−142358A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−292761(P2010−292761)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】