説明

LED電源装置

【課題】商用電源のスイッチをオフした際に、LEDが消灯するまでの時間を一定にするLED電源装置を提供する。
【解決手段】LED電源装置101は、整流回路110から直流電圧を入力し、大きさを変換して出力するDC−DCコンバータ120と、出力の正極に一端が接続し、負極に他端が接続し、DC−DCコンバータ120の出力する直流電圧を平滑し、平滑された直流電圧をLEDユニット20に印加する平滑コンデンサ130と、LEDユニット200に対して並列に接続されると共に、制御を受けてトランジスタQ3がオンになると、LEDユニット200の接続の有無によらず、LEDユニット200に流入するべき電流が流入するバイパス回路150と、DC−DCコンバータ120の動作を監視し、動作停止を検出すると、バイパス回路150のトランジスタQ3をオンに制御する消灯検出回路140−1を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、LEDユニットを点灯させるLED電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
LEDが外された場合、LEDが外されたことを検出して電解コンデンサの電荷を抜く技術がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−55824号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、LED接続を接続したままの状態では、商用電源のスイッチをオフにしても、LEDが消灯するまでの時間には、ばらつきがでるという課題があった。
【0005】
本発明は、LED電源に消灯検出回路を設けることで、商用電源のスイッチをオフした際に、LEDが消灯するまでの時間を一定にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明のLED電源装置は、
直列に接続された複数のLED素子を有するLEDユニットを点灯させるLED電源装置において、
直流電圧を入力し、入力した前記直流電圧の大きさを変換し、大きさ変換後の前記直流電圧を出力する直流電圧変換回路と、
前記直流電圧変換回路によって出力される前記直流電圧を平滑し、平滑された前記直流電圧を前記LEDユニットに印加する平滑コンデンサと、
制御を受けることでオンとなるスイッチング素子を有するダミー回路であって、前記LEDユニットに対して並列に接続されると共に、制御を受けて前記スイッチング素子がオンになると、前記LEDユニットへの流入に向かう流入前の前記平滑コンデンサの印加に基づく電流が流入するダミー回路と、
前記直流電圧変換回路の動作を監視し、前記直流電圧変換回路を動作停止と判定すると、前記ダミー回路の前記スイッチング素子をオンに制御する監視回路と
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、LEDユニットを点灯させるLED電源装置において、商用電源を切った場合に、LEDユニットのLEDを瞬時に消灯することができると共に、LED電源装置の電解コンデンサの電荷を抜くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施の形態1のLED電源装置101の回路図。
【図2】実施の形態1のLED電源装置101が動作したときの入力電圧および平滑コンデンサ130の両端電圧の波形図。
【図3】実施の形態2のLED電源装置102の回路図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1は、本実施の形態を示すLED電源装置101の回路図である。図1において、商用電源1とLEDユニット200以外が、LED電源装置101の構成要素である。なお、LEDユニット200は、LED電源装置101に対して着脱可能である。
LED電源装置101は、
(1)入力される商用電源1(交流電圧)を整流する整流回路110と、
(2)整流回路110に接続され、整流回路110が出力する脈流電圧を降圧するDC−DCコンバータ120−1(直流電圧変換回路)と、
(3)DC−DCコンバータ120−1に接続され、DC−DCコンバータ120−1が出力する電圧を平滑し、接続されるLEDに電力を供給する平滑回路(平滑コンデンサ130)と、
(4)DC−DCコンバータ120−1及び平滑回路に接続され、入力される商用電源1が遮断されると、平滑回路が出力する電力を遮断する消灯検出回路140−1(監視回路)と、
(5)複数のLED素子(LED1〜LED4)の直列接続からなるLEDユニット200に供給される電力(電流)をバイパスするバイパス回路150(ダミー回路)と
を備える。
【0010】
整流回路110は、ダイオードブリッジDBにより構成される。
【0011】
(DC−DCコンバータ120−1)
DC−DCコンバータ120−1は、
(1)整流回路110であるダイオードブリッジDBの出力端子に一端が接続される1次巻き線T1−1、1次巻き線T1−1にコアを介して電磁的に結合され、一端が回路グランドに接続される2次巻き線T1−2ならびに3次巻き線T1−3を有するトランスT1と、
(2)1次巻き線T1−1の他端に接続されるトランジスタQ1と、
(3)トランジスタQ1に接続され、トランジスタQ1のスイッチングを制御するDC−DCコンバータ制御回路121(制御回路)と、
(4)3次巻き線T1−3にアノード端子が接続されるダイオードD1を有する。
【0012】
(平滑回路)
平滑回路は、正極がダイオードD1のカソード端子に接続され、負極が回路グランドに接続される電解コンデンサC1(平滑コンデンサ130ともいう)により構成される。平滑コンデンサ130は、DC−DCコンバータ120−1によって出力される直流電圧を平滑し、平滑された直流電圧をLEDユニットに印加する。
【0013】
(消灯検出回路140−1)
(1)消灯検出回路140−1は、2次巻き線T1−2の他端にアノード端子が接続されるダイオードD2と、
(2)ダイオードD2のカソードに一端が接続され、回路グランドに他端が接続されるコンデンサC2と、
(3)ダイオードD2のカソード端子に一端が接続される抵抗R1と、
(4)抵抗R1の他端に入力端子が接続されるフォトカプラPC1と、
(5)平滑コンデンサ130の正極に一端が接続され、フォトカプラPC1の出力端子に他端が接続される抵抗R2と
を備える。
ダイオードD2は、逆流を防ぐ。コンデンサC2により、ダイオードD2が出力する電圧波形を平滑し、抵抗R1によりフォトカプラPC1のフォトダイオードに流れる電流を制限する。フォトカプラPC1は、抵抗R1とコンデンサC2により電圧波形を鈍らせた信号を、電気的に絶縁した状態で、出力端子に接続されるトランジスタQ3に伝達する。抵抗R2は、トランジスタQ3をオンさせるときに必要なベース電流を供給する素子である。
消灯検出回路140−1は、DC−DCコンバータ120−1の動作を監視し、DC−DCコンバータ120−1を動作停止と判定すると、バイパス回路150のトランジスタQ3をオンに制御する。実施の形態1では、消灯検出回路140−1は、後述のようにトランスT1の2次巻き線T1−2の出力から、DC−DCコンバータ120−1の動作停止を判別する。
【0014】
(バイパス回路150)
放電抵抗R3(抵抗要素)とトランジスタQ3とは、LEDユニット200に並列接続され、LEDユニット200に供給される電流をバイパスするバイパス回路150を構成する。放電抵抗R3は、単一の抵抗器で実現されてもよいし複数の抵抗器で実現されてもよいのはもちろんである。バイパス回路150は、図1のように、制御を受けることでオンとなるトランジスタQ3を有する。バイパス回路150は、トランジスタQ3がオンになると、LEDユニット200への流入に向かう平滑コンデンサ130の印加に基づく電流が流入する。放電抵抗R3は、平滑コンデンサ130の正極に一端が接続される。トランジスタQ3は、放電抵抗R3の他端にコレクタ端子が接続され、フォトカプラPC1の出力端子にベース端子が接続され、回路グランドにエミッタ端子が接続される。
【0015】
次に、LED電源装置101(特に消灯検出回路140−1)の動作を説明する。
図2は、消灯時の平滑コンデンサ130の電圧波形である。具体的には、図2(a),(b)は、消灯時おける入力信号(入力電圧)と、平滑コンデンサ130の電圧波形とを示している。横軸は時間を示し、縦軸は入力信号の値及び平滑コンデンサ130の電圧値を示す。(a)は消灯検出回路140−1なしの場合を示し、(b)は消灯検出回路140−1がある場合を示す。
【0016】
まず、壁スイッチなどをオンにすると、商用電源1がLED電源装置101に供給され、DC−DCコンバータ120−1にて、LEDを点灯するための電力が生成される。このとき、LEDの順方向電圧Vfに相当する電圧が平滑コンデンサ130に印加されている。
【0017】
この状態で商用電源1を壁スイッチなどでオフすると、整流回路110(ダイオードブリッジ)を介してトランスT1の電圧が下がる。それに伴い、トランスT1の2次巻き線T1−2の電圧も下がり、フォトカプラPC1の信号が消える。従って、バイパス回路150のトランジスタQ3のベースがHIになり、トランジスタQ3がオンとなる。トランジスタQ3がオンすると、LEDユニット200と並列に接続されたバイパス回路150に平滑コンデンサ130に溜まっている電荷が抜け、放電抵抗R3で放電を行う。このようにして、商用電源1のスイッチなどをオフした直後に、平滑コンデンサ130の電荷を抜くことで、平滑コンデンサ130の残留電荷がLEDユニット200に流れることないため、瞬時にLEDを消灯することができる。
【0018】
入力電圧が壁スイッチなどにより、オフされた場合、通常は図2(a)に示すように、平滑コンデンサ130の電荷は放物線状に抜けていき、スイッチオフからLEDの消灯までに期間Taを要する。しかし、消灯検出回路140−1を搭載した場合は、入力電圧がオフされたとほぼ同時に、平滑コンデンサ130の電荷がバイパス回路150に流れるため、瞬時に電荷が抜け、LEDも瞬時(オフから期間Tb)に消灯する。
【0019】
また、実施の形態1のLED電源装置101を同じフロアに複数台を使用することで、複数台のLED電源装置101を同時にオンオフする商用電源を切った場合に、それぞれのLED電源装置のLEDをほぼ同時に消灯することができる。また、それぞれのLED電源装置の電解コンデンサの電荷を抜くことができる。
【0020】
また、LED電源装置101からLEDユニット200がはずされた場合、LED電源装置101への商用電源の供給を遮断することで、平滑コンデンサ130の電荷を抜くことができる。
【0021】
実施の形態2.
図3を参照して実施の形態2のLED電源装置102を説明する。本実施の形態2のLED電源装置102は、実施の形態1のLED電源装置101に対して消灯検出の検出箇所が異なる。実施の形態1のLED電源装置101は、トランスT1の2次巻き線T1−2から消灯の検出をしたが、LED電源装置102は、DC−DCコンバータ制御回路121からMOSFET Q1への制御信号の有無から検出する。
【0022】
LED電源装置102は、LED電源装置101に対して、DC−DCコンバータ120−2、消灯検出回路140−2の構成が異なる。このため、LED電源装置101に対して符号を「−2」としている。
【0023】
図3は、LED電源装置102の回路図である。前述のように、LED電源装置102はLED電源装置101に対してDC−DCコンバータ120−2、消灯検出回路140−2の構成が異なる。
【0024】
(DC−DCコンバータ120−2)
DC−DCコンバータ120−2は、
(1)整流回路110のダイオードブリッジDBの出力端子に一端が接続される1次巻き線、2次巻き線を有するトランスT1と、
(2)1次巻き線の他端に接続されるトランジスタQ1と、
(3)トランジスタQ1に接続され、トランジスタQ1のスイッチングを制御するDC−DCコンバータ制御回路121と、
(4)2次巻き線にアノード端子が接続されるダイオードD1を有する。
【0025】
(消灯検出回路140−2)
消灯検出回路140−2は、
(1)MOSFET Q1のゲートに接続されるダイオードD2と、
(2)抵抗R1に一端が接続され、回路グランドに他端が接続されるコンデンサC2と、
(3)ダイオードD2のカソード端子に一端が接続され、他端がコンデンサC2に接続される抵抗R1と、
(4)抵抗R1の他端に入力端子が接続されるツェナーダイオードDZ1と、
(5)ツェナーダイオードDZ1の他端にベースが接続されるトランジスタQ2と、
(6)トランジスタQ2のコレクタ端子に接続される抵抗R8と、
(7)一端がツェナーダイオードDZ1のカソード側に接続され他端が回路グランドに接続される抵抗R2とを備える。
ダイオードD2は、逆流を防ぐ。抵抗R1とコンデンサC2により、ダイオードD2が出力する電圧波形を鈍らせる。ツェナーダイオードDZ1は、上記波形の電圧が一定以上である場合にはトランジスタQ2をオンさせ、トランジスタQ3のベース端子の電位を落とす。
【0026】
(バイパス回路150)
バイパス回路150のトランジスタQ3は、放電抵抗R3の他端にコレクタ端子が接続され、抵抗R8とトランジスタQ2のコレクタ端子に接続され、回路グランドにエミッタ端子が接続される。
【0027】
次に、LED電源装置102(特に消灯検出回路140−2)の動作を説明する。消灯時の平滑コンデンサ130の電圧波形は、実施の形態1と同じである。
【0028】
まず、壁スイッチなどをオンにすると、商用電源1がLED電源装置102に供給され、DC−DCコンバータ120−2にて、LEDを点灯するための電力が生成される。このとき、LEDの順方向電圧Vfに相当する電圧が平滑コンデンサ130に印加されている。
【0029】
この状態で商用電源1を壁スイッチなどでオフすると、整流回路110(ダイオードブリッジ)を介してトランスT1の電圧が下がる。更にDC−DCコンバータ制御回路121の電源電圧も下がり、DC−DCコンバータ120−2の制御が停止する。従ってMOSFETのゲート電圧(DC−DCコンバータ制御回路121による制御信号)が下がり、トランジスタQ2のベースがLOWになり、トランジスタQ2がオフする。それに伴い、トランジスタQ3のベースに抵抗R8を介してVccの電圧がかかり、トランジスタQ3がオンする。トランジスタQ3がオンすると、LEDユニット200と並列に接続されたバイパス回路150に平滑コンデンサ130に溜まっている電荷が抜け、放電抵抗3で放電を行う。
【0030】
このように、DC−DCコンバータ制御回路121がトランジスタQ1を制御する制御信号に基づいて、LEDを消灯させていることを消灯検出回路140−2が検出するようにしたので、実施の形態1と同様の効果が得られるとともに、トランスT1の構造を簡易化することができる。
【符号の説明】
【0031】
1 商用電源、101,102 LED電源装置、110 整流回路、120−1,120−2 DC−DCコンバータ、121 DC−DCコンバータ制御回路、130 平滑コンデンサ、140−1,140−2 消灯検出回路、200 LEDユニット。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
直列に接続された複数のLED素子を有するLEDユニットを点灯させるLED電源装置において、
直流電圧を入力し、入力した前記直流電圧の大きさを変換し、大きさ変換後の前記直流電圧を出力する直流電圧変換回路と、
前記直流電圧変換回路によって出力される前記直流電圧を平滑し、平滑された前記直流電圧を前記LEDユニットに印加する平滑コンデンサと、
制御を受けることでオンとなるスイッチング素子を有するダミー回路であって、前記LEDユニットに対して並列に接続されると共に、制御を受けて前記スイッチング素子がオンになると、前記LEDユニットへの流入に向かう流入前の前記平滑コンデンサの印加に基づく電流が流入するダミー回路と、
前記直流電圧変換回路の動作を監視し、前記直流電圧変換回路を動作停止と判定すると、前記ダミー回路の前記スイッチング素子をオンに制御する監視回路と
を備えたことを特徴とするLED電源装置。
【請求項2】
前記ダミー回路は、
所定の抵抗値を持つ抵抗要素と、前記スイッチング素子との直列接続からなり、制御を受けて前記スイッチング素子がオンになると前記LEDユニットへの流入に向かう電流として前記平滑コンデンサの電荷が流入し、流入した前記電荷を前記抵抗要素により放電することを特徴とする請求項1記載のLED電源装置。
【請求項3】
前記LED電源装置は、さらに、
前記直流電圧変換回路の入力する前記直流電圧を、前記直流電圧変換回路に供給する整流回路を備え、
前記直流電圧変換回路は、
前記整流回路から供給される前記直流電圧を入力する1次巻き線と、2次巻き線と、一方の端部に前記平滑コンデンサの一端がダイオードを介して接続され、他方の端部に前記平滑コンデンサの他端が接続されるトランスを備え、
前記監視回路は、
前記トランスの前記2次巻き線に発生する電圧を監視することにより、前記直流電圧変換回路の動作停止を判定することを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載のLED電源装置。
【請求項4】
前記直流電圧変換回路は、
制御を受けてオンオフするスイッチング素子であるスイッチング素子と、
前記スイッチング素子に制御信号を出力してスイッチングを制御する制御回路と
を備え、
前記監視回路は、
前記制御回路から前記スイッチング素子に出力される前記制御信号を監視することにより、前記直流電圧変換回路の動作停止を判定することを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載のLED電源装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−228076(P2012−228076A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−93911(P2011−93911)
【出願日】平成23年4月20日(2011.4.20)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(390014546)三菱電機照明株式会社 (585)
【Fターム(参考)】