説明

LNG蒸気処理装置および方法

運搬体からのLNGが、装置および方法においてLNG貯蔵タンクに荷卸しされ、そのような装置および方法において、LNG貯蔵タンクから圧縮および凝縮された蒸発損蒸気の膨張が、荷卸し中のLNGを過冷却するために冷却を提供する。最も有利には、そのような装置および方法は、蒸発損蒸気の量を低減し、蒸気戻り管路および関連する圧縮装置の必要性を排除する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2006年4月13日出願の同時係属中の米国特許仮出願第60/792196号明細書に対して優先権を主張する。
【0002】
本発明の分野は、LNG蒸気処理であり、特にLNGの貯蔵中、船からの荷卸し中および移送中の蒸気の処理に関する場合である。
【背景技術】
【0003】
一見、簡単であるにもかかわらず、LNG船からの荷卸しは、複数の経済的かつ技術的な態様において、種々の大きな問題点を有する。たとえば、LNGがLNG船から貯蔵タンクに荷卸しされる場合には、他にも要因はあるが、容積の移動、LNG移送およびポンプ輸送の際の熱利得、貯蔵タンク内の蒸発損および瞬間蒸発(船と貯蔵タンクとの間の圧力差に起因する)に起因して、LNG蒸気が貯蔵タンク内に生成される。大部分の場合には、これらの蒸気は、貯蔵タンクシステムにおけるフレアリングおよび圧力の増大を回避するために、回収される必要がある。
【0004】
さらに、LNG荷卸しドックおよびLNG貯蔵タンクは、比較的大きな距離(たとえば、3から5マイル程度)離隔されることが多く、極低温(すなわち、−255°F以下)で移送管路においてLNGを維持するのに大きな問題を生じることが頻繁にある。さらに悪いことは、船と貯蔵タンクとの間が長距離であるために、船からの荷卸しポンプの輸送馬力が、圧力差を克服するほど比較的高いために、さらなる熱が、移送ポンプによってLNGに導入される。結果として、大量のLNG蒸気が、生成され、さらに処理されなければならない。
【0005】
さらに、LNG貯蔵および荷卸しシステムはまた、安定圧力で維持されなければならない。そのためには、貯蔵タンクから生じる蒸気の一部は一般的に、蒸気戻り圧縮装置によって圧縮され、船に戻されて、移動した容積を補う。そのような装置において、専用の蒸気戻り管路が、必要とされ、LNG受け入れ末端設備に多大な費用を追加する。貯蔵タンクからの過度の蒸気は、蒸気凝縮装置における凝縮のために、蒸発損ガス圧縮装置によって十分に高い圧力まで圧縮され、貯蔵タンクから送出されるLNGから冷却成分を利用する。比較的大量の蒸気が、そのような圧縮装置によって処理されるため、現在知られている圧縮および蒸気吸収システムは、特に、通常の保持作業から船からの荷卸し作業への移行中に、多大なエネルギおよび技師の配慮が必要である。通常の保持作業中、LNG移送管路は一般に、依然として淀んでおり、移送管路における温度および熱応力の増大をもたらす。あるいは、蒸気制御は、往復ポンプを用いて実現され得、Ursanらに付与された米国特許第6,640,556号明細書に記載されているように、流速および蒸気圧が、ポンプによって供給された極低温液体および蒸気の比を制御する。しかし、そのような装置は、しばしば実行不可能であり、LNG受け入れ末端設備における蒸気の再圧縮の必要性を排除することができないことが多い。
【0006】
あるいはまたはさらに、Johnsonらに付与された米国特許第6,460,350号明細書に記載されているように、ターボ膨張器駆動式圧縮装置が、用いられてもよい。ここでは、蒸気再圧縮のためのエネルギの必要量は一般的に、別の供給源からの圧縮気体の膨張によって得られる。しかし、圧縮気体が別の工程から入手可能でない場合には、そのような装置は一般的に、実現されない。さらに他の知られているシステムにおいて、公開された米国特許出願第2003/0158458号明細書に記載されているように、メタンによる生成蒸気が圧縮され、入ってくるLNGストリームに対して凝縮される。そのようなシステムは、他のシステムに比べてエネルギ効率を増大するが、種々の欠点も残っている。たとえば、そのようなシステムにおける蒸気処理は、コストのかかる蒸気圧縮を必要とし、一般的にメタンが豊富なストリームの生成が所望であるプラントに限定される。
【0007】
さらに別のシステムにおいて、米国特許第6,745,576号明細書に記載されているように、混合装置、収集装置、ポンプおよび圧縮装置が、LNGストリームにおける再液化する蒸発損気体のために用いられる。このシステムにおいて、蒸発損蒸気を凝縮することができるように、大気中の蒸発損蒸気が蒸気圧縮装置を用いてより高い圧力に圧縮される。そのようなシステムは一般的に、蒸気凝縮システムにおける制御デバイスおよび混合デバイスにおける改善を提供するにもかかわらず、従来技術である図1において示されているように、知られている装置の欠点の大部分を引き継いでいる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、LNG船の荷卸しおよび再気化のための現在知られている工程および装置の大部分は、蒸気の圧縮および吸収を必要とし、一般的に、エネルギ効率が低い。したがって、LNG船の荷卸し、および再気化の末端設備における蒸気処理に関して改善された装置および方法の需要が依然としてある。
【0009】
本発明は、LNG供給源からLNG貯蔵タンクへのLNG移送の装置および方法に関し、LNG貯蔵タンクからの圧縮、凝縮および膨張された蒸発損の冷却成分が、LNG供給源とLNG貯蔵タンクの中間の位置で、LNGストリームを過冷却するために用いられる。そのような装置および方法は、貯蔵タンクにおける蒸発損の体積を有利に削減し、さらに、特に、LNG供給源がLNG運搬体である場合には、LNG供給源とLNG貯蔵タンクとの間の蒸気戻り管路および圧縮装置の必要性を排除する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の主題の一態様において、LNG運搬体からLNG貯蔵タンクへのLNGの移送のためのシステムは、LNG貯蔵タンクからLNGの一部の冷却成分を用いて、荷卸しされたLNGを過冷却するように構成された交換装置(好ましくは荷卸しドックに位置する)を備える。そのような装置において、分離装置が、減圧された加熱LNGを受け入れて、蒸気相および液相に分離するように構成されることが、一般的には好ましい。戻り管路が次に、蒸気相をLNG運搬体に供給するように構成してもよく、ポンプが、液相をLNG貯蔵タンクにポンプ輸送するために構成されてもよい。一般的に、圧縮装置は、LNG貯蔵タンクから蒸発損を受け入れるように構成される。
【0011】
さらに考案された態様において、バイパスが、送出LNG液体の少なくとも一部を提供し、LNG貯蔵タンクからの圧縮された蒸発損と混合し、凝縮装置または吸収装置が、圧縮された蒸発損蒸気用の接触デバイスとして構成され、LNG貯蔵タンクから送出LNGを受け入れるようにさらに構成され、それによって、LNG貯蔵タンクから凝縮された蒸発損を形成する。
【0012】
本発明の主題の別の態様において、LNG荷卸しプラントは、LNGストリームを提供するように構成され、液体LNGおよびLNG蒸気を提供するように構成されるLNG貯蔵タンクに流体的に結合されるLNG供給源を含む。圧縮装置および凝縮装置/吸収装置は、LNG貯蔵タンクに流体的に結合され、LNG蒸発損蒸気を受け入れて、加圧された送出LNGを生成するように構成される。考案されたプラントはさらに、加圧LNG送出液体の圧力を低下させる圧力低減デバイスと、凝縮装置または吸収装置から減圧されたLNG送出液体を用いて、荷卸しされたLNGストリームを過冷却する熱交換装置とを含む。
【0013】
最も一般的には、圧力低減デバイスは、圧力の低減によって、飽和LNG液体をLNG供給源の温度より低い温度(たとえば、少なくとも1から3°F)に冷却するように構成される。熱交換装置の下流の分離装置は、減圧された加熱飽和LNG液体を受け入れて、蒸気および液体を提供し、最も好ましくは、蒸気戻り管路は、分離装置からLNG供給源に蒸気を供給し、ポンプが、減圧液体をLNG貯蔵タンクにポンプ輸送する。
【0014】
したがって、LNG供給源(たとえば、LNG運搬体)からLNGストリームを移送する方法は、LNG貯蔵タンクの蒸気から加圧飽和LNG液体を形成するステップと、減圧された送出LNG液体からの冷却成分を受け入れる熱交換装置を用いて、荷卸しされたLNGストリームを(たとえば、1°F以下に)冷却する別のステップとを含む。最も一般的には、減圧された送出LNG液体は、熱交換装置において加熱されて、蒸気部分および液体部分に分離され、液体部分は、LNG貯蔵タンクに供給されるか、および/または蒸気部分が、LNG供給源に供給される。そのような方法において、LNG貯蔵タンクは、圧縮される蒸発損を提供し、圧縮された蒸発損は好ましくは、送出する液体LNGと混合され、混合物は、凝縮装置または吸収装置に凝縮され、それによって加圧された飽和LNG液体を形成する。
【0015】
本発明の種々の目的、特徴、態様および利点は、本発明の好ましい実施形態の以下の詳細な説明からより明白となるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明は、LNG受け入れ末端設備のための種々の装置および方法に関し、貯蔵タンクからの送出LNG液体が、荷卸し中のLNGを過冷却するために、冷却剤として用いられる。そのような装置を用いて、タンクからの蒸気生成は、著しい程度まで低減されることと、これまで知られている装置の蒸気戻り圧縮装置およびLNG運搬体への戻り管路を排除可能であることに留意されたい。送出LNG液体用の循環管路およびポンプシステムは、通常の保持作業中に有利に用いられることができ、極低温で、LNG移送管路を維持することをさらに一層認識すべきである。
【0017】
最も好ましくは、LNGは、従来のLNG移送管路および1つまたは複数のポンプを用いて、LNG運搬体容器または他の遠隔供給源から、蒸発損圧縮装置および蒸気凝縮装置または吸収装置に流体的に結合される従来のLNG貯蔵タンクに提供される。蒸気凝縮装置または吸収装置は、高圧で、飽和液体を生成し、その少なくとも一部を好ましくはLNG荷卸しドックに提供する。そこでは、飽和LNG液体は、圧力を降下させ、運搬体容器または他の遠隔供給源から荷卸しされたLNGと熱交換され、それによって荷卸しされたLNGを冷やす。熱交換装置を通過後に飽和LNG液体から導出される蒸気は、輸送容器における圧力を維持するために、船に有利に戻され、瞬間蒸発された液体が、貯蔵タンクへのLNG移送管路にポンプ輸送される。したがって、
荷卸しされたLNGが過冷却され、貯蔵タンクへの蒸気瞬間蒸発を排除するか、または少なくとも実質的に低減することを認識すべきである。したがって、貯蔵タンクからの蒸気放出が低減され、次に、蒸気再圧縮および凝縮装置システムの効率を低減する。さらに、貯蔵タンクからの低減された蒸気放出のために、最も知られている装置に共通の蒸気戻り圧縮装置システムおよび比較的長い蒸気戻り管路を排除することができる。
【0018】
これまでに知られている装置および方法に関する利点を示すために、一般的な従来技術のLNG荷卸し末端設備が、従来技術である図1において示されている。ここで、約−255°Fから約−260°FのLNGが、LNG運搬体船50から荷卸しアーム51および一般的に40,000GPMから60,000GPMの流速で貯蔵タンク54への移送管路1を介して荷卸しされる。荷卸し作業は一般的に、約12から16時間続き、この期間中、平均速度40MMscfdの蒸気が、移送作業中の熱利得(たとえば、船のポンプによって、周囲からの熱利得)、貯蔵タンクからの移動蒸気および運搬体と貯蔵タンクとの間の圧力差に起因する液体の瞬間蒸発の結果として貯蔵タンクから生成される。LNG運搬体船は一般的に、貯蔵タンクの圧力よりわずかに小さい圧力(たとえば、LNG船は16.2psiaから16.7psiaであり、貯蔵タンクは、16.5psiaから17.2psiaである)で動作する。貯蔵タンクからの蒸気ストリーム2は、2つの部分、ストリーム20およびストリーム4に分割される。一般的に20MMscfdの平均流速のストリーム20は、荷卸し工程から移動される体積を補充するために、蒸気戻りアーム52を介してLNG船への蒸気管路3に排出する蒸気戻り圧縮装置64を介してLNG船に戻る。圧縮装置64による電力消費は一般的に、主にタンクの蒸発損流速および圧縮装置排出圧力に応じて、500HPから1,500HPであり、今度は、貯蔵タンク54とLNG運搬体50との間の蒸気戻り管路のサイズおよび距離に左右される。蒸気戻り圧縮装置および蒸気戻り管路は実質的に、そのような船荷卸しシステムの資本コストおよび運転コストに寄与することを認識すべきである。
【0019】
一般的に20MMscfdの平均流速のストリーム4は、約80psigから115psigまで圧縮装置55によって圧縮され、ストリーム5として蒸気吸収装置58に供給される。ここで、蒸気は、弁56およびストリーム6を介して供給される送出LNGの一部によって緩熱、凝縮および吸収される。圧縮装置55による電力消費は、蒸気流速および圧縮装置排出圧力に応じて、一般的に1,000HPから3,000HPである。貯蔵タンク54からのLNGは、タンク内主要ポンプ53によって、250MMscfdから1,200MMscfdの一般的な送出速度で、約115から150psiaにポンプ輸送される。ストリーム6は、−255°Fから−260°Fに過冷却される液体であり、吸収装置58へと経路指定され、トレイおよびパッキンなどの熱移送接触デバイスを用いて、圧縮装置排出ストリーム5と混合する。蒸気吸収装置および圧縮装置の動作圧力は、LNG送出流速によって決定される。より高い冷却成分を有するより高いLNG送出速度は、吸収装置の圧力を降下し、したがって、より小さな圧縮装置を必要とする。しかし、吸収装置設計はまた、蒸気速度が低速であり、液体速度が最小まで減速される可能性がある場合には、通常の保持作業下で動作するように設計される。
【0020】
ストリーム6およびバイパスストリーム8の流速は、蒸気凝縮工程を制御するために必要に応じて、それぞれの制御弁56および57を用いて制御される。蒸気凝縮装置は、一般的に約−200°Fから−220°Fである下方飽和液体ストリーム7を生成し、次に、ストリーム8と混合されて、ストリーミング10を形成する。ストリーム10は、一般的に1000psigから1500psigに高圧ポンプ59によってポンプ輸送されて、ストリーム11を形成する。ストリーム11は、LNG気化装置60で加熱され、パイプラインの要件を満たすように約40°Fから60F°でストリーム9を形成する。LNG気化装置は一般的に、海水、燃料燃焼気化装置または熱移送流体を用いた気化装置を用いたオーブンラック型交換装置である。
【0021】
したがって、従来技術の装置および方法は、蒸気凝縮およびLNG供給源(一般的に、LNG運搬体)への戻りの両方のために、貯蔵タンクから来る蒸気の圧縮に多大なエネルギを必要とすることを認識すべきである。さらに、特に運搬体とタンクとの間の比較的長い距離において、タンクからの蒸気放出の処理は、きわめてコストがかかる。
【0022】
対照的に、考案された装置および方法は、膨張した送出LNG液体および/または圧縮した貯蔵タンク蒸気凝縮物の冷却成分を用いてLNG運搬体とLNG貯蔵タンクとの間のLNGフローを過冷却することによって、蒸気の問題を解決する。したがって、好ましい装置は、LNGストリームを供給するように構成され、液体LNGおよびLNG蒸気を供給するように構成されるLNG貯蔵タンクに流体的に結合されるLNG供給源を含む。圧縮装置および凝縮装置または吸収装置は、LNG貯蔵タンクに流体的に結合され、LNG蒸気を受け入れるように構成され、したがって加圧された飽和LNG液体を供給する。圧力低減デバイス(たとえば、JT弁、膨張タービンなど)は、加圧された送出LNG液体の少なくとも一部の圧力を低減するように構成され、熱交換装置は、LNG供給源の温度より低い温度まで荷卸しされたLNGストリームを過冷却するために、膨張した送出LNGの冷却成分を用いる。
【0023】
最も好ましくは、分離装置は、熱交換装置の下流に流体的に結合されて位置し、減圧された加熱飽和LNG液体を受け入れるように構成される。分離装置は、蒸気および液体を提供し、戻りアームは、蒸気をLNG供給源に供給するように構成される。減圧された液体は、ポンプを用いてLNG貯蔵タンクに供給される。
【0024】
本発明の主題による1つの例示の装置が、図2に示されており、LNG船荷卸しシステムが、LNG循環システムに結合されている。そのような循環システムにおいて、送出LNGの一部である蒸気凝縮装置からの飽和液体が、LNGドッキング領域に供給され、圧力が低下され、それにより、荷卸しされたLNGを冷やす。瞬間蒸発された空気が、船に蒸気を供給するために用いられ、蒸気戻り圧縮装置および長い蒸気戻り管路の必要性を排除する。瞬間蒸発された液体は、貯蔵タンクに戻される。他にも利点はあるが、考案された装置および方法は、蒸気再圧縮および凝縮システムにおける蒸気負荷を低減し、資本およびエネルギの要件もまた実質的に低減することを認識すべきである。
【0025】
ここで、船50からのLNGは、液体荷卸しアーム51を介して荷卸しされ、バイパス(たとえば、弁56が閉鎖される場合、図2には図示せず)を介して、蒸気凝縮装置58の下部または送出LNGストリーム8から飽和液体の一部(ストリーム13)を用いて、熱交換装置61において冷却される。ストリーム13は、約80psigから115psigの圧力および約−220°Fから−250°Fの温度で、循環管路を介してLNG船荷卸し領域に約600から1200gpmの速度で供給される。ストリーム13は、減圧弁64において、約1から2psigまで減圧され、−257°Fから−259°Fに冷却されたストリーム21を形成する。この冷却液体は次に、LNG荷卸しアーム51から荷卸しされたLNGを−254°Fから−255°Fに冷却するために用いられる。LNGが貯蔵タンク54に荷卸しされる場合には、荷卸しされたLNG温度におけるわずかな減少(一般的には1から2°F以下)であっても、主に40,000gpmから60,000gpmの大きな荷卸し流速のために、蒸気負荷を著しく低減することを認識すべきである。熱交換装置61を出る2相ストリーム14は、分離装置62において分離される。分離された蒸気ストリーム17は、蒸気戻りアーム52を介してLNG船に戻され、船の圧力を維持する。瞬間蒸発された液体15は、ストリーム16を形成するポンプによってポンプ輸送され、好ましくは、LNG移送管路1内の荷卸しされたLNGと結合されて、貯蔵タンク54に戻される。そのような循環を用いると、従来技術である図1のプラントの蒸気戻り圧縮装置64および蒸気戻り管路3がもはや必要ではないことを認識すべきである。その上、熱交換装置61が荷卸しされたLNGを過冷却するため、貯蔵タンク54においてLNGから生成される蒸気が削減され、今度は、蒸発損気体圧縮装置55における蒸気負荷を著しい程度まで低減する。
【0026】
貯蔵タンク54からの蒸気ストリーム2は、一般的に、10から20MMscfdの流速であり、ストリーム4として圧縮装置55に経路指定され、約80psigから115psigに圧縮され、ストリーム5として蒸気吸収装置58に供給される。知られている装置の場合のように、圧縮蒸気は、弁56およびストリーム6を介して供給される送出LNGの一部によって緩熱、凝縮および吸収される。ストリーム6およびバイパスストリーム8の流速は、蒸気凝縮工程を制御するのに適しているようなそれぞれの制御弁56および57を用いて制御される。蒸気凝縮装置は、一般的に約−200°Fから−250°Fである下方飽和液体ストリーム7を生成する。ストリーム7の一方の部分、すなわちストリーム12は次に、ストリーム8と混合されて、ストリーミング10を形成する。ストリーム10は、一般的に1000psigから1500psigで高圧ポンプ59によってポンプ輸送されて、ストリーム11を形成する。ストリーム11は、LNG気化装置60で加熱され、パイプラインの要件を満たすように約40°Fから60F°でストリーム9を形成する。LNG気化装置は一般的に、海水、燃料燃焼気化装置または熱移送流体を用いた気化装置を用いたオーブンラック型交換装置である。ストリーム7の他方の部分、すなわちストリーム13は、上述したように、圧力低減デバイス64に供給される。さらなる装置、方法および考えは、本出願人らの同時係属中の国際公開第2005/045337号パンフレットにおいて提示され、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0027】
したがって、LNG運搬体からLNG貯蔵タンクへのLNGの移送のためのシステムは、送出LNGの冷却成分およびLNG貯蔵タンクからの凝縮および膨張される蒸発損を用いて、運搬体から荷卸しされたLNGを受け入れて過冷却するように構成された交換装置を備える。最も好ましくは、考案された装置はまた、交換装置の下流で2相のLNGを受け入れて、蒸気相および液相に分離する分離装置を含む。分離装置からの蒸気は次に、戻りアームを介してLNG運搬体に経路指定されてもよい。しかし、別の実施形態において、蒸気はまた、凝縮され、他の工程における冷却剤として用いられてもよい。分離装置からの液体は好ましくは、分離ストリームまたは運搬体から荷卸しされている際のLNGとの結合ストリームとして、LNG貯蔵タンクにポンプ輸送される。あるいは、液体はまた、分離して貯蔵されてもよく、または別なふうに(たとえば、熱結合工程における冷却剤として)用いられてもよい。知られている装置と同様に、考案された荷卸し末端設備は、好ましくは、LNG貯蔵タンクから蒸発損を受け入れて圧縮する圧縮装置を含む。一般的に、圧力は、蒸気が、たとえば、運搬体から、さらに好ましくは、LNG貯蔵タンクの下流の位置からのLNGストリームとの結合を介して、吸収装置または他の接触デバイスにおいて凝縮され得るように選択される。したがって、好ましい装置において、バイパスは、蒸発損蒸気の凝縮のために、LNG液体をLNG貯蔵タンクからの圧縮された蒸発損に供給するように構成される。そのような装置において、LNG貯蔵タンクからの圧縮された蒸発損を受け入れ、LNG貯蔵タンクからの液体をさらに受け入れて、それにより、LNG貯蔵タンクから凝縮された蒸発損を形成する凝縮装置または吸収装置を含むことが好ましい。圧縮空気およびLNGのそのような結合は、凝縮装置または吸収装置の上流または凝縮装置または吸収装置内部で行われてもよい。
【0028】
したがって、LNG供給源からLNGストリームを移送する方法は、LNG貯蔵タンクの蒸気から加圧された飽和LNG液体を形成するステップと、減圧された送出LNG液体から冷却成分を受け入れる熱交換装置を用いて、LNGストリームを冷却するさらなるステップと、を含むことを認識すべきである。最も好ましくは、減圧された送出LNG液体は、荷卸し中であり、蒸気部分および液体部分に分離されるLNGに対して熱交換装置において加熱される。液体部分は好ましくは、LNG貯蔵タンクに供給され、蒸気部分は好ましくは、LNG供給源(たとえば、LNG運搬体)に供給される。そのような方法において、LNG供給源からの液体ストリームは、少なくとも1°F過冷却され、さらに一般的には、1.1°Fから5.0°F過冷却されることに留意されたい。
【0029】
LNG貯蔵タンクは、従来の圧縮装置(適切であれば、膨張装置とエネルギ的に結合されてもよい)を用いて圧縮される蒸発損を提供し、圧縮された蒸発損蒸気は次に、吸収装置、凝縮装置またはその他の接触デバイスの上流または内部で送出LNGと混合される。したがって、加圧された送出LNG液体が形成され、その一方の部分は貯蔵タンクから出るLNGと結合され、別の部分は、膨張後に冷却剤として用いられる(JT弁または膨張タービンであってもよい)ことを認識すべできある。
【0030】
したがって、LNG蒸気処理装置および方法の特定の実施形態および用途が、開示されている。しかし、既に記載した改変以外の多くのさらなる改変が、本明細書における本発明の概念を逸脱することなく可能であることは当業者にとって、明白であるべきである。したがって、本発明の主題は、本開示の精神を除いて制限されるべきではない。さらに、明細書および考案された請求項を解釈する際に、すべての用語は、内容と一致する最も広汎な可能な態様において解釈されるべきである。特に、「備える」および「備えている」という用語は、包括的な態様における要素、構成要素またはステップを言及するものとして解釈すべきであり、参照される要素、構成要素またはステップが、提示されてもよく、または利用されてもよく、または特に参照されていない要素、構成要素またはステップと組み合わせられてもよいことを意味する。さらに、参照により本明細書に組み込まれる参考文献における用語の定義または使用が、本明細書に提供されるそのような用語の定義に対して不一致であるか、または反している場合には、本明細書に提供される用語の定義および参考文献におけるそのような用語の定義は当てはまらない。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】知られているLNG荷卸しステーションの例示の概略図である。
【図2】本発明の主題によるLNG荷卸しステーションの例示の概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
LNG運搬体からLNG貯蔵タンクへのLNGの移送のためのシステムであって、送出LNGの冷却成分およびLNG貯蔵タンクからの凝縮および膨張される蒸発損を用いて、運搬体から来るLNGを過冷却するように構成される交換装置を備える、システム。
【請求項2】
交換装置に流体的に結合され、交換装置の下流にあり、送出LNGおよびLNG貯蔵タンクからの凝縮および膨張される蒸発損を蒸気相および液相に分離するように構成される分離装置をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
蒸気相をLNG運搬体に供給するように構成される戻り管路をさらに備える、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
液相をLNG貯蔵タンクにポンプ輸送するように構成されるポンプをさらに備える、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
LNG貯蔵タンクから蒸発損を受け入れるように構成される圧縮装置をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
LNG貯蔵タンクからの圧縮された蒸発損にLNG液体に提供するように構成されるバイパスをさらに備える、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
LNG貯蔵タンクから圧縮された蒸発損を受け入れるように構成され、LNG貯蔵タンクからの送出液体を受け入れるようにさらに構成され、それによって、LNG貯蔵タンクから凝縮された蒸発損を形成する凝縮装置または吸収装置をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
LNGストリームを提供するように構成され、送出LNGおよびLNG蒸気を提供するように構成されるLNG貯蔵タンクに流体的に結合されるLNG供給源と、
LNG貯蔵タンクに流体的に結合され、LNG蒸気を受け入れて、加圧された送出LNG液体を提供するように構成される圧縮装置および凝縮装置または吸収装置と、
加圧された送出LNG液体の圧力を低減するように構成される圧力低減デバイスと、
圧力低減デバイスから減圧された送出LNG液体を用いて、荷卸しされたLNGストリームを過冷却するように構成される熱交換装置とを備える、プラント。
【請求項9】
圧力低減デバイスが、圧力の低減によって、荷卸しされたLNG供給源の温度より低い温度に送出LNG液体を冷却するように構成される、請求項8に記載のプラント。
【請求項10】
熱交換装置の下流に位置し、減圧された加圧飽和LNG液体を受け入れて、蒸気および液体を提供するように構成される分離装置をさらに備える、請求項8に記載のプラント。
【請求項11】
分離装置からLNG供給源に蒸気を供給するように構成される戻りアームをさらに備え、減圧された液体をLNG貯蔵タンクにポンプ輸送するように構成されるポンプをさらに備える、請求項10に記載のプラント。
【請求項12】
LNG供給源からLNGストリームを移送するための方法であって、
LNG貯蔵タンクの蒸気から加圧された送出LNG液体を形成するステップと、
加圧された送出LNG液体を減圧するステップと、
減圧された送出LNG液体から冷却成分を受け入れる熱交換装置を用いて、LNGストリームを冷却するステップとを備える、方法。
【請求項13】
減圧されたLNG液体が、熱交換装置において加熱され、蒸気部分および液体部分に分離される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
液体部分が、LNG貯蔵タンクに供給される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
蒸気部分が、LNG供給源に供給される、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
LNGストリームが、少なくとも1°F過冷却される、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
LNG貯蔵タンクの蒸気が、蒸発損蒸気である、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
蒸気が圧縮され、送出LNGと混合され、混合物が凝縮装置または吸収装置において凝縮され、それにより、加圧された送出LNG液体を形成する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
加圧された送出LNG液体の一部が、気化装置の上流で、送出LNGと結合される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
LNG供給源が、LNG運搬体である、請求項12に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−539036(P2009−539036A)
【公表日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−505484(P2009−505484)
【出願日】平成19年4月13日(2007.4.13)
【国際出願番号】PCT/US2007/009056
【国際公開番号】WO2007/120782
【国際公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【出願人】(506354434)フルオー・テクノロジーズ・コーポレイシヨン (35)
【Fターム(参考)】