説明

LPGおよび熱電併給の構成および方法

少なくとも1個の分留カラムを用いて、高濃度LNGを受容してLPGと、希薄LNGと、エネルギーとを生成するLNGプラントが構成され、プラントの分留部分は、処理された希薄LNGからの残留冷能を用いるエネルギーサイクルと任意選択的に熱的に結合することができる。高濃度LNGの液体部分はポンプ加圧され、加熱されることが最も好ましく、加圧され過熱された部分はカラム中に供給される前に膨張させて電気的エネルギーを生成する。カラムの頂部蒸気は部分的に凝縮されて、NGLの高い回収のためにカラム還流を提供し、残留蒸気は高濃度LNGの冷却容量を用いてさらに凝縮されて希薄LNG生成物を形成し、これはさらにパイプライン圧力までポンプ加圧され、続いてエネルギーサイクルの加熱された作動流体を用いて気化される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2004年9月22日出願の本発明者らの同時係属中の米国特許仮出願第60/612,473号明細書の優先権を主張するものであり、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明の分野はガス処理であり、詳細にはLNG(液化天然ガス)再ガス化中のLPG(液化石油ガス)製造および熱電併給に関する。
【背景技術】
【0003】
最近のLNG液化工程の進歩によってLNGは魅力的なエネルギー源になり、様々な市場の使用者は天然ガス製造以外の用途にLNGを使用するための開発を開始した。しかし、現在知られているLNG再ガス化工程はしばしば加熱のために多量の燃料ガス消費を必要とする。代わりに、また、可能な場合に、オープンラック海水ヒーターを用いて、海水の熱容量をLNGの再ガス化に用いることができる。都合悪く、LNG海水ヒーターは冷たい海水の放出によって海洋生命に環境的な悪影響を与え、海水系はコスト高になり易い。LNGの熱価が輸送ごとに変化し、特定のLNG組成物が特定の市場に適していないという追加の問題が存在する。したがって、LNGはしばしば熱価、ウォッベ指数、および地域の環境規制および燃焼装置の仕様に必要な組成物に適合するように処理しなければならず、それによって製造コストがさらに加わる。
【0004】
参照により本明細書に組み込まれる、本発明者らの同時係属中の国際特許出願番号第PCT/US03/25372号明細書に記載されたように、組成物の変化するLNGに適応する様々な構成が最近提案された。さらに、液化に消費されるエネルギーの一部は、LNGがエネルギー発生のためのヒートシンクとして用いられるとき、および/または発電所の燃料として用いられるとき、受け取り施設で回収可能である。このような構成は、本発明者らの同時係属中の国際特許出願番号第PCT/US03/26805号明細書およびPCT/US05/24973号明細書に記載されており、その全ては参照により本明細書に組み込まれる。
【0005】
それらの改善された構成および方法の全てまたは大部分は従来知られた構成よりも少なくともいくつかの利点を提供するが、やはり様々な欠点が残る。中でも、知られているプラントの大部分はエタンおよび/またはC3+留分のいずれかを製造し、またはLNGの冷却容量を利用する。しかし、輸入LNGを調整するための現在知られている構成は典型的に分解および再圧縮を必要とし、これは非効率的でありコストがかかる。さらに、これらの工程は販売用のエタンとLPG生成物を製造し、熱電併給を行いながら高濃度LNGを処理するには不十分である。したがって、エタン、LPG、およびエネルギーを生成しながら、高濃度LNGを処理する改善されたプラント構成がやはり必要である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は希薄LNG、エタン、LPG、およびエネルギーを生成するLNG処理プラントの構成および方法を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の主題の一態様において、LNG分留プラントは、任意選択的にエネルギーサイクルに結合させることができ、分留カラムに結合されてカラム頂部の蒸気を部分的に凝縮するように構成された熱交換器と分離器を含み、カラムに還流される希薄(メタンに富む)液体と、凝縮されてエネルギーサイクル中の作動液体を冷却するのに十分な温度を有する希薄LNG凝縮生成物を形成する希薄蒸気(大部分メタン)とを分離する。さらに、エネルギー発生器は、高濃度LNGの加圧され加熱された液体部分を膨張させ、それによってエネルギーおよびカラムへの原料流れを生成するように構成された膨張器によって駆動される。希薄LNG凝縮物をパイプライン圧力にポンプ加圧するポンプが構成され、エネルギーサイクル中の作動流体が多成分流体(例えば、窒素、メタン、エタン、プロパン、ブタン、およびペンタンの混合物)を含むことが最も好ましい。高濃度LNGの気化した液体部分をポンプ加圧し、それによって高濃度LNGの加圧された液体部分を形成するさらに他のポンプと、高濃度LNGの加圧された液体部分を加熱し、それによって高濃度LNGの超臨界圧力および過熱された部分を形成する熱源とを含むことができる。好ましいプラントにおいて、熱源は、膨張器が高濃度LNGの加熱された部分を放出することによって、カラムの必要とする分解と加熱の少なくとも一部を提供するように構成されることが有利である。
【0008】
本発明の主題の他の態様において、プラントは、加熱され加圧(超臨界圧力)された高濃度LNGの一部を受容して膨張された原料を形成し、それによって電気的エネルギーを発生する膨張器によって駆動されるエネルギー発生器を含む。分留器は、膨張された原料および高濃度LNGの蒸気部分を受容し、それによってエタンおよび/またはLPGを含む底部生成物とカラム頂部の蒸気を生成するように構成され、カラムの頂部蒸気の少なくとも一部を少なくとも部分的に凝縮してカラムへの液体還流を発生し、希薄蒸気を凝縮して希薄LNG凝縮物を形成するように構成された第1交換器に結合される。典型的に、それらのプラントは、第2熱交換器上流に、希薄LNG凝縮物を受容してパイプライン圧力に加圧するように構成されたポンプをさらに含む。
【0009】
それらの意図されたプラント中の第1熱交換器は、カラム頂部の少なくとも一部を凝縮する冷媒として高濃度LNGを用いるように構成され、および/または第2熱交換器は、エネルギーサイクルからの加熱された混合作動流体を用いて加圧された希薄LNG凝縮物を再ガス化するように構成されることが最も好ましい。高濃度LNGの加圧された液体部分を加熱して、それによって高濃度LNGの加熱され加圧(超臨界圧力)された流体を形成する第3交換器を含むことができる。それらのプラントにおいて、第3熱交換器は、高濃度LNGの加熱され加圧された液体部分から膨張器の放出によって、分留のために必要な加熱の少なくとも一部またはほぼ全てを提供するように構成されるのが特に好ましい。
【0010】
続いて、本発明の主題のさらに他の態様において、プラントの運転方法は、高濃度LNGが加熱され、分離されて、分離器の液体部分が加圧され加熱されるステップと、加圧され加熱された部分が膨張され、それによってエネルギーを発生し、次いで分解蒸気としてカラムに供給されるが、分離器の高濃度LNGの蒸気部分はさらにカラムに供給され、それによってエタンおよび/またはLPG、およびカラム頂部生成物を生成するステップとを含む。次いで、カラム頂部蒸気は高濃度LNGの冷却容量を用いて少なくとも部分的に凝縮され、凝縮物はカラムに還流して戻されるが、蒸気部分は希薄LNG凝縮物として凝縮されてパイプライン圧力までポンプ加圧される。さらに他のステップにおいて、希薄LNG凝縮物はエネルギーサイクルの作動流体を用いて熱交換器中で気化される。
【0011】
意図された方法は、高濃度LNGを蒸気部分と液体部分とに分離し、それによって高濃度LNGの液体部分を形成するステップをさらに含むことが好ましく、カラム蒸気を少なくとも部分的に凝縮するステップは、(1)カラム頂部蒸気を冷却するステップと、(2)冷却された生成物の蒸気部分を液体部分から分離するステップと、(3)エタンおよび/またはLPG回収を改善するために、還流としてカラムへポンプ送給される冷却された生成物の液体部分を分離するステップと、(4)分離された蒸気部分をさらに冷却し、それによって希薄LNG凝縮物を形成するステップ(典型的にステップ(1)、(2)、および(4)は高濃度LNGの冷却容量を利用する)とを含む。高濃度LNGの加圧された液体部分の追加の加熱ステップは、カラムの必要とする分解と加熱の少なくとも一部を提供することがさらに好ましい。
【0012】
本発明の様々な目的、特徴、態様、および利点は、以下の本発明の好ましい実施形態の詳細な説明からさらに明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明者は、プラントが、エタンおよび/またはLPG、付随的な希薄LNGおよびエネルギーを生成しながら、付随的ではない高濃度LNGを処理するように構成することができることを発見した。好ましい構成において、エネルギーは少なくとも2つの位置で発生し、第1の位置は希薄LNG凝縮物の冷能を用いるエネルギーサイクル(例えば、ランキンサイクル)であり、第2の位置はプラントの分留部分内である(典型的に高濃度LNGの加熱され加圧(超臨界圧力)された部分の膨張による)。
【0014】
図1に示すように、意図されたプラントの例示的構成において、表1に示す組成物を有するLNGは、約1,200MMscfdの流量で流れ1としてプラントに供給される。流れ1はLNGポンプP−1によって約500psigに加圧されて流れ2を形成し、LNG分留プラントへ供給される。高濃度LNGの冷却容量は二重機能を有する交換器E−4中で用いられる。第1に、交換器E−4は高濃度LNGの流れ2中の冷却容量を使用してカラム頂部流れ9を凝縮し、それによってカラムV−3への冷たい還流13を生成する。冷たい還流13はカラム頂部流れ10を凝縮することによって形成され、還流分離器V−1中で流れ11と流れ12に分離される。第2に、交換器E−4は蒸気流11を凝縮し、それによって流れ14(少なくとも分離器の凝縮された希薄蒸気を含む)を形成し、これは、ポンプP−5によって液体をポンプ加圧し、それによって典型的に約1400psigのパイプライン圧力に加圧された希薄LNG凝縮物の流れ16を形成することを可能にする。それらの構成は、一般的に非常に高いエネルギー需要を有するパイプライン圧縮機を必要とするポンプ加圧によって、天然ガス生成物の圧力をパイプライン圧力に高めるときのエネルギー効率が非常に良好であることを特に認識すべきである。
【0015】
E−4において熱交換された後、加熱された高濃度LNGの流れ3は約−90°Fの温度を有し、部分的に気化される。2相の流れ3は容器V−2中で分離され、気化された蒸気流4はカラムV−3の上部精留トレーに供給され、気化された液体流5はエネルギー発生と分解に用いられる。気化された液体流5は約2,200gpmの流量でポンプP−4によって約1500〜2000psigにポンプ加圧されて流れ6を形成し、交換器E−5中で約600°Fに加熱されて流れ7を形成する。このようにして発生した高圧および高温の蒸気は膨張器EP−2中で約460psigに膨張され、約8〜12MWのエネルギーを発生する。典型的に300°Fの膨張器放出蒸気流8は、カラム中の分解蒸気として用いられる。分解蒸気は分留器の必要とする加熱と分解の大部分(典型的に少なくとも70%、さらに典型的には少なくとも85%、最も典型的には少なくとも90%である)を供給することに特に留意すべきである。しかし、必要であれば、分留器は底部再沸騰器E−6によって加熱調整を行うことができる。底部生成物15はエタンおよび/またはLPGを含有しこれはさらに処理することも、または商品として販売することもできる。
【0016】
分留器は頂部温度約−65°Fで約450psigで運転するのが好ましい。頂部蒸気流9は交換器E−4中で約−105°Fに冷却され、部分的に凝縮して流れ10を形成する。凝縮した液体流12は還流分離器V−1中で分離され、還流ポンプP−3を用いて還流13としてカラムに戻される。V−1からの分離器の蒸気(流れ11)はE−4の冷却部分でさらに冷却され、凝縮して流れ14を形成し、約−140°Fの希薄LNG凝縮物を形成する。次いで、希薄LNG凝縮物は、ポンプP−5によって約1400psigまでポンプ加圧されて流れ16を形成し、あるいはパイプライン移動に必要な圧力にポンプ加圧される。さらに、約−140°Fの希薄LNG流16は、まだ使用することのできるかなりの量の冷却容量を含有する。希薄LNGは燃料ガスLNG気化器またはオープンラック海水気化器などの従来の再ガス化装置中でさらに加熱することができ、または任意選択的に多成分エネルギー発生サイクルを上述の構成に結合させ、以下に説明する希薄LNG凝縮物からの残留冷却エネルギーを用いてさらにエネルギーを発生することができる。LNG分留とエネルギー発生サイクルは従来のLNG気化器を用いてLNG送給から脱離させ、LNG再ガス化装置はLNG分留およびエネルギー発生プラントとは独立に運転できることに留意すべきである。
【0017】
エネルギーサイクルは閉サイクル(例えば、ランキンサイクル)であり、作動流体は純粋な成分、または好ましくは多成分作動流体であることが一般に好ましい。さらに、エネルギーサイクルはポンプP−5下流のLNG分留プラントに熱的に結合されることが好ましい。図1に示すように、作動流体の流れ30は、ポンプP−2によって典型的に1500psigの超臨界圧力にポンプ加圧され流れ31を形成する。高圧流体は最初に回収熱交換器E−2中で熱膨張放出流34で加熱される。このようにして加熱された高圧流体流32は、ヒーターE−3中で約600°Fにさらに加熱され、流れ33を形成する(例えば、ガスタービン発電機からの廃棄熱または他の適切な熱源を用いて)。次いで、高温の超臨界流体流33は膨張器EP−1中で大気圧まで膨張され、エネルギーを発生する。次いで、低圧蒸気流34は交換器E−2中で冷却されて流れ35を形成し凝縮器E−1中で凝縮して流れ30を形成する。希薄LNG流16は作動流体の凝縮デューティを用いて凝縮器E−1中で気化され、パイプライン移動のための流れ17を形成する。
【0018】
エタンおよび/またはLPG分留工程中にLNG冷却容量を使用することは、従来のNGL回収工程よりも非常に少ない資本および運転コストしか必要としない(例えば、ガス処理、脱水、ターボ膨張器、冷却および残留ガス圧縮が典型的に必要とされない)ことを認識すべきである。さらに、冷却のためにLNG冷却容量を用いることによって、意図される構成および工程は、高濃度LNG中少なくとも90%、さらに典型的には少なくとも95%、最も典型的に少なくとも99%のプロパン回収を達成し、少なくとも60%、さらに典型的には少なくとも75%、最も典型的に少なくとも80%のエタン回収を達成することができる。したがって、特に好ましいプラントおよび方法において、高濃度LNGの気化した液体部分はポンプ加圧され、加熱され、次いで膨張されて、従来の工程のガス再圧縮なしに、オープンサイクル中で作動を行うので、処理された希薄LNG凝縮物はエネルギー発生サイクルのためのヒートシンクを提供する。
【0019】
さらに好ましいプラントにおいて、LNG処理は第2カラムを用いて、C3+成分からのC2の分離を含むことができる。それらの構成において、LNGからのC2+成分は膨張器からの膨張した蒸気を用いて分解媒体として第1カラム中で除去され、両方のカラム頂部の凝縮器の還流デューティは高濃度LNG中の冷却容量によって提供されることが意図されている。上述の構成のように、開放LNG膨張サイクルはLNG再ガス化プラントのエネルギー需要の少なくとも一部を供給することを認識すべきである。
【0020】
それらのプラントにおいて、膨張したガスの少なくとも一部は、希薄ガス(エタンが部分的または完全に乏しい)とカラム底部生成物を生成するための分解ガスとして分留カラムに供給されることが好ましく、希薄ガスは、高濃度LNGの冷却容量の少なくとも一部を用いて再凝縮することができる。次いで、脱メタン器底部の生成物はエタン生成物およびLPG生成物を生成する第2カラムに供給することができる。それらのプラントのさらに好ましい態様において、2つのカラムの還流凝縮器デューティの少なくとも一部は、熱源が液化天然ガスを加熱する前に、高濃度および/または希薄LNGの一部の冷却容量によって提供され、および/または高濃度LNGの第2部分は、第1カラム中で希薄頂部ガスとエタン、および/またはC3底部生成物に分離されることが意図されている。
【0021】
エネルギーサイクルに関しては、知られているエネルギーサイクルの全てが適していると考えられる。しかし、エネルギーサイクルは、多成分作動流体(例えば、メタン0〜20%、エタン20〜40%、プロパン20〜40%、ブタン10〜30%、ペンタン10〜30%)を膨張させ、それによって仕事を行うランキンエネルギーサイクルであることが特に好ましい。特に好ましい作動流体組成物は、残留希薄LNGの再ガス化中に、典型的に約150°F〜約50°FのLNGの極低温を用いるであろう。様々な多成分流体の凝縮温度は、エネルギーサイクルを効率的にするために、緻密な温度手段と最小の仕事損失で様々なLNG再ガス化温度を用いるのが有利であることを認識すべきである。適切なランキンサイクルは、LNGポンプ加圧、膨張器放出による予備加熱、および外部熱源によるLNG加熱(例えば、ガスタービンからの排気ガス、廃棄熱回収ユニット、および/または加熱炉)を含むことが好ましい。LNGは典型的に約50°Fまでの温度でランキンサイクルを出る。
【0022】
例えば、意図されるプラントの好ましい一態様において、多成分エネルギー発生はランキンエネルギーサイクルに基づくが、単一成分作動流体を用いる従来の流体サイクルとは逆に多成分作動流体を利用する。理想的なランキンサイクルの効率(またはカルノーサイクル効率)は(T2−T1)/T2と定義することができ、ここで、T2は熱源の絶対温度であり、T1はヒートシンクの絶対温度である。LNGがヒートシンクとして用いられるとき、温度差(T1−T2)は増加し、発生効率がより高くなる。したがって、本発明者は、高温で熱的に安定であり、冷凍せずに低温で凝縮する作動流体(例えば、プロパン/ブタンまたは炭化水素の混合物)を一般に好む。
【0023】
LNG熱電併給における作動流体として多成分流体を用いるとき、効率的に大きな利点が得られることを認識すべきである。例えば、単一成分としてブタンを用いるエネルギー発生効率は、その高い凝縮温度(ブタンは大気圧で30°Fで凝縮する)のため比較的低い。したがって、非常に低いLNGの温度を効率的に用いることができない。プロパンはより低い温度で凝縮する(例えば、プロパンは大気圧で−44°Fで凝縮する)ので、さらに効率的な作動流体である。エタンまたはエチレンなど、他の低沸点流体は、過剰の過熱なしにLNGを加熱するにはその凝縮温度が低すぎるため、一般にLNG気化には適していない。対照的に、多成分流体は様々な温度で凝縮し、LNG気化曲線の形状に適合するように組成物を調節することができる。緻密な温度手段によって、凝縮曲線をLNG気化曲線に平行に作り、それによってエネルギー発生効率を最大にすることができる。
【0024】
異なる作動流体の熱力学的効率を比較するために、図3で例示的に示すように、LNGの気化曲線を凝縮曲線に対してプロットする。ブタンとプロパンは、その高い凝縮温度のため、交換器の温度不足を避けるために凝縮器の入り口で過熱されなければならない。混合された流体は2相領域(過熱しないで)にあり、したがって、エネルギー効率がより高い(多成分流体は全体的に−220°Fで凝縮する)。各LNG組成物および気化圧力に適合する最適の混合流体組成物があることに留意すべきであり、例示的な最適の混合流体組成物および対応するLNG組成物を表1に示す。
【表1】

【0025】
より希薄なLNG(CとC成分に乏しい)およびより高い運転温度のため、多成分流体の組成物はより希薄なLNGの熱曲線に適合するように調節しなければならない。混合流体のエネルギーサイクルは残留LNGで典型的に約53MWを発生する(この例では、膨張器の入り口条件は600°Fで約1450psigである)。LNGがより高い容量のLPG成分(すなわち、表2に示すCおよびC)を含有する場合、最適の混合流体組成物はより高濃度のLNG組成物に適合するように調節する必要がある。より高濃度のLNG組成物について、他の例示的最適混合流体組成物を表2に示す。
【表2】

【0026】
図2に示すように、LNG分留と混合流体エネルギー発生を組み合わせた工程の複合熱曲線をLNG複合気化熱曲線に対してプロットする(LNG複合曲線は、500psigでのLNG気化と、より希薄な天然ガスの再凝縮と、より高いパイプライン圧力でのより希薄なLNGの気化からなることに留意されたい)。例示的な1,200MMscfdの一体化されたLNG再ガス化/LPG製造プラントについての全体的な収支を表3に示す。場合によって、工程は高濃度LNGから75%を超えるエタン含有量回収で運転することもできる。この場合、追加の生成物としてエタン頂部の流れを第2カラム中で生成することができる。
【表3】

【0027】
1,200MMscfdのLNGプラントは約40,700バレル/日のLPG、および約1,137MMscfdの1050Btu/SCF HHVパイプラインガスを生産する。LPG生成物は汚染物質(H2S、メルカプタンおよびCO2)がなく、ここではより希薄な天然ガスがパイプライン輸送仕様の組成物、熱価およびウォッベ指数に一致するので、LNGよりも割り増しで販売することができる。したがって、エタンおよび/またはLPG製造は、より価値の高い生成物によって、結合された装置の収益性に大きく貢献できることを認識すべきである。
【0028】
さらに他の意図される態様において、エネルギー発生およびLNG再ガス化は、ガスタービン排気からの廃棄熱がLNG気化の熱源として回収されるように(例えば、LNG冷却容量は閉ループエネルギーサイクル中のエネルギー発生のために用いることができる)、熱的に一体化することができることを認識すべきである。代わりに、または追加で、LNGは極低温分離工程の冷却および/または冷媒として使用することもできる。したがって、それらの構成において、輸入LNGからのエタンおよび/またはLPG分留は、特にLNGが冷却工程に用いられるとき、経済的に魅力的である。さらに、LNG中のエタンおよび/またはLPG成分は、望ましくない汚染物質(硫黄成分)および重炭化水素(芳香族、およびより重い炭化水素)の全てまたはほとんど全てが液化工程において予め除去されているので、典型的に価値が高いことを認識すべきである。したがって、このように製造されたLPGは全ての環境要件を満足することができる。
【0029】
さらに、意図される構成および方法はエタン回収にも使用できることを認識すべきである。その場合、エタン製造はC2+NGL生成物からエタンを分留する第2カラムを必要とする(第1カラムは、エタンに乏しいより希薄なガスを製造しながら、エタンおよび重成分を回収する脱メタン器として運転するであろう)。したがって、本発明の主題による構成を用いて多くの利点が獲得できることを認識すべきである。例えば、意図される構成は、分留と再凝縮を用いる熱価制御ユニットと結合することのできる効率の高いLNGエネルギー発生サイクルを提供する。さらに他の特に好ましい態様において、意図される構成は、様々な組成物と熱容量のLNGをパイプライン仕様に適合するように処理する可能性を提供するので、外部エネルギー供給への依存が少ないLNG再ガス化プラントが可能であり、設備はエネルギーを自給充足し、より経済的および柔軟性になり、LNG輸入業者は開放スポット商取引市場で任意のLNGの購入が可能になることを認識すべきである。地球規模のLNG需要が拡大を続けるとき、LNGのスポット取引は近い将来当たり前のことになると考えられる。さらに、意図される構成および方法は、新設および既存プラントの改装の両方に適用可能である。
【0030】
このように、エタンおよび/またはLPGおよび熱電併給の特定の実施形態および用途を開示した。しかし、当業者であれば、本明細書の本発明の概念から逸脱することなく、既に説明したもの以外に多くの修正を加えることが可能であることは明らかなはずである。したがって、本発明の主題は添付の請求項の精神内を除いて制限されるものではない。さらに、明細書および請求項の両方を解釈する上で、全ての用語は文脈に一致する最も広い意味に解釈すべきである。特に、用語「含む」、および「含んでいる」は、要素、成分、またはステップを非排他的に参照するものと解釈すべきであり、参照された要素、成分、またはステップが存在することができ、または用いることができ、または明確には参照されない他の要素、成分、またはステップと結合することができるものと解釈すべきである。さらに、参照により本明細書に組み込まれる参照中の用語の定義または使用が、本明細書に提供される用語の定義と一致せず、または反対である場合、本明細書に提供されるその用語の定義が適用され、参照中のその用語の定義は適用されない。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】輸入LNGでエタンおよび/またはLPG、およびエネルギーを回収するプラントのための本発明の主題による一例示的プラントの概要図である。
【図2】本発明の主題のLNG、および分留およびエネルギー発生工程の複合熱曲線の概要図である。
【図3】LNG熱電併給における、従来の純成分サイクルに対する多成分エネルギーサイクルの複合熱曲線の比較である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
希薄LNGと、エタンおよびLPGの少なくとも1種を製造するためのLNG分留プラントであって、
分留カラムに結合され、カラム頂部を部分的に凝縮して還流を生成し、希薄蒸気を完全に凝縮して希薄LNG凝縮物を形成するように構成された熱交換器と、
気化された高濃度LNGの加圧された超臨界の過熱部分の減衰を用い、それによってエネルギーとカラムへの分解蒸気流を生成する膨張器によって駆動されるエネルギー発生器とを含む、LNG分留プラント。
【請求項2】
希薄LNG凝縮物からの残留冷能を用いてエネルギーサイクルの作動流体を凝縮するランキンエネルギーサイクルに結合される、請求項1に記載のLNG分留プラント。
【請求項3】
希薄LNGをパイプライン圧力にポンプ加圧するように構成されたポンプをさらに含む、請求項1に記載のLNG分留プラント。
【請求項4】
エネルギーサイクル中の作動流体が、窒素、メタン、エタン、プロパン、ブタン、およびペンタンの少なくとも1種を含む、多成分流体を含む、請求項2に記載のLNG分留プラント。
【請求項5】
加熱された高濃度LNGを液体部分と蒸気部分に分離する分離器をさらに含む、請求項1に記載のLNG分留プラント。
【請求項6】
加熱された高濃度LNGの液体部分をポンプ加圧し、それによって気化した高濃度LNGの加圧された超臨界部分を形成するポンプをさらに含む、請求項5に記載のLNG分留プラント。
【請求項7】
加熱された高濃度LNGの加圧された超臨界部分を加熱し、それによって高濃度LNGの加圧された超臨界および過熱された部分を形成する熱源をさらに含む、請求項6に記載のLNG分留プラント。
【請求項8】
熱源が、高濃度LNGの膨張された超臨界の過熱された部分によって、分留器の必要とする分解と加熱の少なくとも一部を提供するように構成される、請求項7に記載のLNG分留プラント。
【請求項9】
高濃度LNGの加熱され加圧された液体部分を受容して膨張された原料を形成し、それによって電気的エネルギーを発生する膨張器によって駆動されるエネルギー発生器と、
膨張された原料および加熱された高濃度LNGの蒸気部分を受容し、それによってエタンおよびLPGの少なくとも1種、および頂部希薄蒸気を生成する分留器と、
頂部希薄蒸気の少なくとも一部を少なくとも部分的に凝縮するように構成された第1熱交換器と、
頂部希薄蒸気から、還流として分留器にポンプ送給される液体部分と、凝縮されて希薄LNG凝縮物を形成する蒸気部分とに分離する還流分離器と、
ポンプが希薄LNG凝縮物を受容しパイプライン圧力に加圧するように構成された第2熱交換器上流のポンプとを含む、プラント。
【請求項10】
第1熱交換器が、頂部希薄蒸気を部分的に凝縮し還流分離器蒸気を完全に凝縮する冷媒として高濃度LNGを用いるように構成される、請求項9に記載のプラント。
【請求項11】
第2熱交換器が、エネルギーサイクルの作動流体からの凝縮デューティを用い、それによって加圧された希薄LNG凝縮物を再ガス化するように構成される、請求項9に記載のプラント。
【請求項12】
加熱された高濃度LNGの加圧された超臨界部分を加熱し、それによって高濃度LNGの加熱され加圧された超臨界部分を形成する第3熱交換器をさらに含む、請求項9に記載のプラント。
【請求項13】
第3熱交換器が、高濃度LNGの加熱され加圧された液体部分によって、分留器の必要とする分解と加熱の少なくとも一部を提供するように構成される、請求項12に記載のプラント。
【請求項14】
高濃度LNGの液体部分を加圧および加熱し、加圧され加熱された部分を膨張させ、それによってエネルギーを発生し、膨張した部分を分留器に供給するステップと、
高濃度LNGの蒸気部分を分留器に送り、それによってエタンおよびLPGの少なくとも1種、および頂部希薄蒸気を生成するステップと、
高濃度LNGの冷却容量を用いて、頂部蒸気を希薄蒸気および希薄液体へ少なくとも部分的に凝縮するステップと、
希薄液体を分留器への還流としてポンプ送給し、希薄蒸気をさらに凝縮して希薄LNG凝縮物を形成するステップと、
希薄LNGをパイプライン圧力までポンプ加圧し、エネルギーサイクルを運転する作動流体の凝縮デューティを用いて熱交換器中で希薄LNG凝縮物を気化するステップとを含む、プラントの運転方法。
【請求項15】
加熱された高濃度LNGを蒸気部分と液体部分に分離し、それによって高濃度LNGの液体部分を形成するステップをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
カラム頂部蒸気を少なくとも部分的に凝縮するステップが、(1)カラム頂部蒸気を冷却するステップと、(2)冷却された生成物の蒸気部分を液体部分から分離するステップと、(3)エタンおよび/またはLPG回収を改善するために、カラムへの還流としてポンプ送給すべき冷却された生成物の液体部分を分離するステップと、(4)分離された蒸気部分をさらに冷却し、それによって希薄LNG凝縮物を形成するステップとを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
ステップ(1)および(2)および(4)が高濃度LNGの冷却容量を利用する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
高濃度LNGの液体部分の加熱ステップが、高濃度LNGの加熱され加圧された超臨界部分によって、分留器の必要とする分解と加熱の少なくとも一部を提供する、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
凝縮されたLNG頂部生成物を気化するステップの前に、凝縮されたLNG頂部生成物をパイプライン圧力まで加圧するステップをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
作動流体が、メタン、エタン、プロパン、ブタン、およびペンタンの少なくとも1種を含む多成分流体を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項21】
少なくとも95%のプロパンが回収される、請求項14に記載の方法。
【請求項22】
少なくとも75%のエタンが回収される、請求項14に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公表番号】特表2008−513726(P2008−513726A)
【公表日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−532355(P2007−532355)
【出願日】平成17年8月30日(2005.8.30)
【国際出願番号】PCT/US2005/031005
【国際公開番号】WO2006/036441
【国際公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【出願人】(506354434)フルオー・テクノロジーズ・コーポレイシヨン (35)
【Fターム(参考)】