説明

MACアドレスを有する着脱型デバイスを用いたライセンス認証システム及び方法

【課題】ユーザーの手間を省き、装置継承の利便性を与えることができるMACアドレスを有する着脱型デバイスを用いたライセンス認証システム及び方法を提供する。
【解決手段】ネットワークに接続可能なPC10と、MACアドレスを有しPC10のポートに装着可能なUSBデバイス20と、PC10にプログラムをインストールするCD/DVDドライブ装置と、PC10に認証ライセンスを入力するキーボードとを備え、MACアドレスをライセンス認証に用いるプログラムがインストールされたPC10は、ポートに装着されたUSBデバイス20からそのMACアドレスを取得すると共に、キーボードから入力された認証ライセンスを復号して得られるライセンスデータに含まれるMACアドレスを取得し、両者を比較して一致すればそのプログラムの使用を許可する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、MAC(Media Access Control)アドレスを有する着脱型デバイスを用いてコンピュータ・プログラムのライセンス認証を行うシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンピュータ・プログラムのライセンス認証を行う場合、ユーザーを特定するためにMACアドレス等の装置固有の情報を利用する方法が広く用いられている。
【0003】
また、通信端末とネットワーク管理サーバとが、各通信端末のMACアドレスをキーとする共有鍵を共有して、通信を行うシステムがある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−266516号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、装置に実装されているデバイスのMACアドレスを用いて認証を行う場合、以下の様な問題がある。
【0005】
既に装置に入っているデバイスのMACアドレスを認証用に用いると、承認キーを作成するために事前にユーザーからMACアドレスを聞き出さなくてはならない。
【0006】
既に装置に入っているデバイスのMACアドレスを認証用に用いると、識別情報はユーザーではなく利用するハードウェアに依存して決まるため、そのハードウェアに故障が発生すると、たとえ同じユーザーが使用する場合であっても、新たな識別情報が必要になり、認証キーを作り直さなければならない。
【0007】
別の装置にプログラムを移動させた場合に、その装置のために今までのライセンスをすべて新しいライセンスに変えなければならない。
【0008】
装置間でプログラムのライセンス継承を行うとすると個別認証のために専用の装置(特殊なシリアルコネクタやパラレルコネクタ)が必要になる。
【0009】
そこで本発明は、ユーザーの手間を省き、装置継承の利便性を与えることができるMACアドレスを有する着脱型デバイスを用いたライセンス認証システム及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の課題を解決するため、本発明は、MACアドレスを有する着脱型デバイスを用いたコンピュータ・プログラムのライセンス認証システムであって、ネットワークに接続可能な情報処理装置と、MACアドレスを有し情報処理装置のポートに装着可能な着脱型デバイスと、情報処理装置にプログラムをインストールするインストール手段と、情報処理装置に認証ライセンスを入力する入力手段とを備え、MACアドレスをライセンス認証に用いるプログラムがインストールされた情報処理装置は、ポートに装着された着脱型デバイスからそのMACアドレスを取得すると共に、入力手段から入力された認証ライセンスを復号して得られるライセンスデータに含まれるMACアドレスを取得し、両者を比較して一致すればそのプログラムの使用を許可することを特徴とする。
【0011】
あるいは、MACアドレスを有する着脱型デバイスから取得したMACアドレスからライセンスデータを生成して共通鍵暗号化し、入力された認証ライセンスと比較して一致すればそのプログラムの使用を許可する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、MACアドレスを有する着脱型デバイスを用いてライセンス認証を行うことにより、従来から一般的であるMACを用いたライセンス認証の仕組みをよりユーザーに優しいものにすることができる。
【0013】
また、ライセンスを付与された装置の故障等によりプログラムを別の装置で使用したい場合に、新しい装置にプログラムを継承するためのライセンスを再発行する必要が無い。このため、認証用のMACアドレスを事前にユーザーから聞き出さなくてよい。
【0014】
また、装置認証のために専用の器具(特殊なシリアルコネクタやパラレルコネクタ)を用意する必要が無い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に、本発明の最良の形態について図面を参照して説明する。
【0016】
本発明で使用するコンピュータ・プログラム(CADソフト、IP電話サーバ・ソフト等)は、認証ライセンスを必要とする。これは、不正にコピーされたものでないことを証明し、正常に動作させるためである。この認証ライセンスは、装置に付与されたMACアドレスからライセンスデータを生成し、そのライセンスデータを暗号化して得られたものを用いる。
【実施例1】
【0017】
図1は、本発明に用いるMACアドレスを有する着脱型デバイスをパソコンやワークステーション、サーバ等の情報処理装置に適用する例を示す。例えばパソコン(PC)10のマザーボード1には、USB(Universal Serial Bus)ポート2、IEEE1394ポート3、SD(Secure Digital)カードポート5、PCMCIA(Personal Computer Memory Card International Association)ポート(PCカードスロット)6等が装備されている。これらのポートには、MACアドレスを有する着脱型デバイス20、例えばLANアダプタ等を接続することができる。またパソコンは内蔵LANポート4を有し、その内蔵LANポート用デバイス14にはMACアドレスが付与されている。
【0018】
本発明で使用するコンピュータ・プログラムが記録されたCD−ROMやDVD−ROMをパソコンのドライブ装置8に挿入して、ハードディスク7にプログラムをインストールする。あるいは、ネットワークを介して、そのプログラムをダウンロードしてインストールする。
【0019】
図2は、本発明のシステム構成例を示す。MACアドレスを有するUSBデバイス20(LANアダプタ等)が現用機(PC)10に装着され、そのMACアドレスに対応する認証ライセンス21が付与されている。
【0020】
認証サーバ50は、パソコン等にネットワークを介してMACアドレスに基づく認証ライセンスを発行する。ユーザーは、USBポートにLANアダプタ(着脱型デバイス)20を装着したPC10からネットワークを介して認証サーバ50にアクセスする。認証サーバ50は、PC10のUSBポートに装着されたLANアダプタ20からMACアドレスを取得し、そのMACアドレスからライセンスデータを生成し、そのライセンスデータを共通鍵暗号方式(例えばDES、RC5等)で暗号化してライセンスキーを発行する。ユーザーは、そのライセンスキーを入手して、PC10のキーボード(図時省略)から入力する。
【0021】
従来は、このプログラムを利用するための認証を、パソコンに内蔵されたLANデバイス14のMACアドレスを用いて行っていたため、ユーザーがあらかじめ内蔵LANデバイス14のMACアドレスを入手して認証サーバ50にその番号を通知する必要があった。そのため、認証ライセンス21の発行に時間がかかるとユーザーがそれを待つ必要があった。
【0022】
さらに、現用機10が故障して、別のバックアップ機30にプログラムを移そうとしても、バックアップ機30に内蔵されている内蔵LANデバイス34のMACアドレスから新しい認証ライセンスを作成しなおす必要があった。これを解決するためにパラレルポート等に接続するライセンス認証用の専用器具を用意する方法が考えられるが、一般的に販売されているものではなく、入手性やコストの面で問題がある。
【0023】
そこで、本発明では、USBやIEEE1394といった比較的取り外しの容易なインターフェースに接続されるMACアドレスを有する着脱型デバイス20を用いることで、認証を行う。
【0024】
USBといった比較的取り扱いの容易なポート接続用デバイスを用いるので、認証ライセンス21とペアにしたMACアドレスを有する着脱型デバイス20をユーザーに送付することにより、認証ライセンス発行時間のリードタイムの短縮と故障した場合のバックアップ機30への認証ライセンスの継承が、認証用の専用の器具を用いることなく、一般的に販売されている部品を用いて実現可能となる。
【0025】
図3は、MACアドレスから生成されたライセンスデータの一例を示す。ライセンスデータは40桁程度の数値からなる。このライセンスデータは、要素D1〜D6からなり、要素D1がMACアドレス(ハードウェア識別子)である。このライセンスデータを共通鍵暗号化して認証ライセンスとする。
【0026】
次に図4のフローチャートを参照して、認証ライセンス21を有効にする方法を説明する。現用機10が故障した場合に、プログラムと認証ライセンス21をバックアップ機30に継承して利用する場合の手順も同様である。
【0027】
ユーザーは、利用するプログラムをPC10にインストールすると共に、送付されたUSB・LANアダプタ20をPC10に取り付ける(ステップ1)。さらに、USB・LANアダプタと共に送付されてきた認証ライセンス21をキーボードやバーコードリーダ等からPC10に入力する(ステップ2)。
【0028】
制御部11はUSB・LANアダプタ20からMACアドレスを取得する(ステップ3)。そして、入力された認証ライセンス21を共通鍵復号化して得られるライセンスデータに含まれるMACアドレスとの比較を行う(ステップ4)。あるいは、USB・LANアダプタから取得したMACアドレスからライセンスデータを生成して共通鍵暗号化し、入力された認証ライセンスと比較する。
【0029】
両者の値が一致するか否か判断し(ステップ5)、一致した場合は入力された認証ライセンスを有効として(ステップ6)、特定期間の限定運用を開始し(ステップ7)、ネットワークに繋がり次第、認証サーバ50により最終認証を行い認証ライセンス21が完全に有効となり(ステップ8)、プログラムが無期限で利用できるようになる(ステップ9)。一致しない場合はエラーを表示して(ステップ10)、特定期間の限定運用を開始し(ステップ11)、期限が切れるとプログラムの運用が停止される(ステップ12)。
【0030】
本発明では、例えば汎用の商品であるUSBのLANアダプタのMACアドレスを個人認証用のパラメータに用いることで、装置認証のために専用の器具(特殊なシリアルコネクタやパラレルコネクタ)を用いることなく、どこにでもある汎用の部品で個人認証を行うことができる。
【0031】
また、USBポートに簡単に付け替えが可能なUSBアダプタを用意して装置間を簡単に移動可能にさせることにより、認証対象物である装置間の移動を自由にすることができる。このため、既に装置に入っている内蔵デバイスのMACアドレスを認証用に用いた場合に、故障が発生した際に新たにライセンスを与えなおさなければならないという制約を取り払うことができる。
【0032】
また、ユーザーのコンピュータの空いているUSBポートに簡単にさすことができるので、USBアダプタを事業者側が事前に準備することができる。このため、ユーザーの装置のMACアドレスをあらかじめ聞き出すことなく、すでにMACアドレスが分かっているUSBアダプタをユーザーに送付して、取り付けてもらうことができる。そのため、ユーザーの手間を減らすことができる。
【実施例2】
【0033】
USB・LANアダプタをPCMCIA等のLANカードや、無線LANカード、SDIOカード、その他の簡単に着脱可能なMACアドレスを有する着脱型デバイスと置き換えることができる。また、LANアダプタだけでなく、シリアル番号を内部的に持ったUSBメモリカード等を、MACアドレスを有する着脱型デバイスとして用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明に用いるMACアドレスを有する着脱型デバイスを情報処理装置に適用する例を示す説明図である。
【図2】本発明のシステム構成例を示す図である。
【図3】MACアドレスから生成されたライセンスデータの一例を示す図である。
【図4】本発明による認証ライセンスの有効化を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0035】
1 マザーボード
2 USBポート
3 IEEE1394ポート
4 内蔵LANポート
5 SDカードポート
6 PCMCIAポート
7 ハードディスク
8 CD/DVDドライブ装置
10 現用機(PC)
20 USBデバイス
21 認証ライセンス
30 バックアップ機
50 認証サーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
MACアドレスを有する着脱型デバイスを用いたコンピュータ・プログラムのライセンス認証システムであって、
ネットワークに接続可能な情報処理装置と、
MACアドレスを有し、前記情報処理装置のポートに装着可能な着脱型デバイスと、
前記情報処理装置にプログラムをインストールするインストール手段と、
前記情報処理装置に認証ライセンスを入力する入力手段とを備え、
前記MACアドレスをライセンス認証に用いるプログラムがインストールされた前記情報処理装置は、前記ポートに装着された前記着脱型デバイスからそのMACアドレスを取得すると共に、前記入力手段から入力された認証ライセンスに含まれるMACアドレスを取得し、両者を比較して一致すればそのプログラムの使用を許可することを特徴とするMACアドレスを有する着脱型デバイスを用いたライセンス認証システム。
【請求項2】
前記情報処理装置にネットワークを介してMACアドレスに基づく認証ライセンスを発行する認証サーバをさらに備え、
前記認証サーバは、前記情報処理装置のポートに装着された前記着脱型デバイスからMACアドレスを取得し、そのMACアドレスに基づく認証ライセンスを発行することを特徴とする請求項1記載のMACアドレスを有する着脱型デバイスを用いたライセンス認証システム。
【請求項3】
前記着脱型デバイスを装着可能なポートは、USBポート、IEEE1394ポート、PCMCIAポート、SDカードポートのいずれかであることを特徴とする請求項1又は2記載のMACアドレスを有する着脱型デバイスを用いたライセンス認証システム。
【請求項4】
MACアドレスを有する着脱型デバイスを用いたコンピュータ・プログラムのライセンス認証方法であって、
MACアドレスを有する着脱型デバイスを情報処理装置のポートに装着し、
前記MACアドレスをライセンス認証に用いるプログラムをその情報処理装置にインストールし、
前記MACアドレスから生成されたライセンスデータを暗号化した認証ライセンスを前記情報処理装置に入力し、
前記プログラムがインストールされた前記情報処理装置は、前記ポートに装着された前記着脱型デバイスからそのMACアドレスを取得すると共に、入力された認証ライセンスに含まれるMACアドレスを取得し、両者を比較して一致すればそのプログラムの使用を許可する各ステップを含むことを特徴とするMACアドレスを有する着脱型デバイスを用いたライセンス認証方法。
【請求項5】
認証サーバが、ネットワークを介して前記情報処理装置のポートに装着された前記着脱型デバイスからMACアドレスを取得し、そのMACアドレスに基づく認証ライセンスを発行するステップをさらに含むことを特徴とする請求項4記載のMACアドレスを有する着脱型デバイスを用いたライセンス認証方法。
【請求項6】
前記着脱型デバイスを装着可能なポートは、USBポート、IEEE1394ポート、PCMCIAポート、SDカードポートのいずれかであることを特徴とする請求項4又は5記載のMACアドレスを有する着脱型デバイスを用いたライセンス認証方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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