MECS透析器
【課題】
【解決手段】 本発明は、血液透析に関し、特に、本発明の実施例によるマイクロチャネル分離を用いて透析膜を通る物質移動効率を改善した透析器に関する。一実施例によれば、複数の半透過性膜シートと、複数のフローセパレータを具える透析器が提供されている。この膜シートとフローセパレータは、交互に配置されており、薄膜スタックに連結されて複数の平行マイクロチャネル層を規定する。各マイクロチャネル層は複数の第1のマイクロチャネルと複数の第2のマイクロチャネルを具える。各マイクロチャネル層の第1及び第2のマイクロチャネルは、その間にある複数の膜シートの一つを介して互いに液通している。MECS透析器は、高い表面積対体積比と、高い物質移動係数を有することで特徴付けられる。
【解決手段】 本発明は、血液透析に関し、特に、本発明の実施例によるマイクロチャネル分離を用いて透析膜を通る物質移動効率を改善した透析器に関する。一実施例によれば、複数の半透過性膜シートと、複数のフローセパレータを具える透析器が提供されている。この膜シートとフローセパレータは、交互に配置されており、薄膜スタックに連結されて複数の平行マイクロチャネル層を規定する。各マイクロチャネル層は複数の第1のマイクロチャネルと複数の第2のマイクロチャネルを具える。各マイクロチャネル層の第1及び第2のマイクロチャネルは、その間にある複数の膜シートの一つを介して互いに液通している。MECS透析器は、高い表面積対体積比と、高い物質移動係数を有することで特徴付けられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
この出願は、2004年10月6日に出願された暫定出願第60/616,757号に対して米国特許法(35USC)第119条(e)の利益を請求する非暫定出願である。この暫定出願はここに全体的に引用されている。
【0002】
発明の属する技術分野
本発明は血液透析に関するものであり、特に、マイクロ技術に基づく透析方法及び装置に関する。
【0003】
発明の背景
慢性透析は、1960年代の初めから、腎臓疾患を有する患者に行われてきた。これを可能にしたのは、1930年代および1940年代に始まった技術革新の結果である透析器または「人工腎臓」である。透析器は、血液からの老廃物や溶質及び流体を半透過性膜を通して透析液として知られている透析液に拡散させて対流させるプロセスによる、血液透析を介して血液を浄化する装置である。透析システムは、透析器と、配管やポンプなどの透析器を支持する関連機材とを具えるアッセンブリである。
【0004】
最初に使用された透析システムは、大きな丸い木製のフレームの上に巻きつけたソーセージケーシングを半透過性膜として用いた大きな回転ドラムでできていた。血液は、このケーシングを通して送られ、このケーシングは透析液の中に漬けられていた。1970年代までに、この業界は中空糸透析器を開発した。この装置は、長さ30cm、直径6cmのチューブの中に収納した10,000乃至14,000の中空状半透過性膜ファイバでできており、ファイバ内を流れる血液に最大2平方メートルの表面積を提供して、ファイバの外側周辺を流れる透析液と相互作用させるものである。今日の中空糸透析器はこれより若干効率が良いが、この技術はこのとき以来大きくは変化していない。
【0005】
この中空糸透析器は、個々のファイバ間のスペースにむらがあり、一致性がないため、透析液の流れが偏在する。流れが停滞している領域も、発達したシャントフローである領域も、同様に透析液側の物質移動効率を劇的に低減させる。個々のファイバ間のスペースは一般的に小さく、従って、拡散が、内部ファイバスペース内での物質移動の重要なメカニズムである。拡散の改善、従って、改善した透析液使用効率は、中空糸透析器固有の物理的特性によって制限される。
【0006】
現在は、中空糸透析器は、透析治療を行うために主に水を含む120乃至200リットルの透析液を使用している。透析液の流れはファイバ周囲にでたらめに流れるので、比較的大量の透析液が使用される。このように大量の透析液が必要であるため、透析機械が非常に大きなものでなくてはならない。また、透析に使用される水は、化学的汚染物質および微生物学的汚染物質を取り除いたものでなくてはならず、このことが、機材の量と、透析治療を行うのに必要な技術的ノウハウを増やしている。
【0007】
この複雑な機器の信頼性の結果として、ほとんどの透析治療は、専門家のチームによるスタッフのいる透析センタで行われる。自宅で自身で治療を行っている血液透析患者は1%以下である。センタでは、透析治療は短時間で非常に速く行われる。各患者は1週間に3回治療を受ける。患者によりゆっくり、より長く、より頻繁に透析を行うと、多大な改善があることが研究によってわかっている。患者の結果がより良好であるばかりでなく、投薬および入院費用が少なくなり、この治療の全体のコストがより安くなる。
【0008】
患者がより頻繁に透析治療を受けるために経済的に実行可能な唯一の方法は、自宅で自身の透析治療を行うことである。これを技術的に可能にするためには、技術を改良して、透析機械をより小さくし、より持ち運び可能とし、水の消費を少なくして、世話人の操作をより簡単なものにする必要がある。
【0009】
この技術には、血液を透析液から分離する透析膜を通る物質移動効率が改善された透析器が必要である。
【0010】
発明の概要
本発明は血液透析に関するものであり、特に、本発明の実施例によって提供されるマイクロチャネル分離を用いて透析膜を通る物質移動効率を改善した透析器に関する。一実施例によれば、複数の半透過性膜シートと、複数のフローセパレータを具える透析器が提供されている。これらの膜シートと、フローセパレータは交互に配置されており、複数の平行マイクロチャネル層を規定する薄膜スタックに連結されている。各マイクロチャネル層は、複数の第1のマイクロチャネルと複数の第2のマイクロチャネルを具えている。各マイクロチャネル層の第1及び第2のマイクロチャネルは、その間にある前記複数の膜シートの一つを介して互いに液通している。
【0011】
一の実施例では、各マイクロチャネル層の第1のマイクロチャネルは平行であり、各マイクロチャネル層の第2のマイクロチャネルも平行である。
【0012】
一の実施例では、マイクロチャネル層の第1及び第2のマイクロチャネルが平行である。
【0013】
一の実施例では、マイクロチャネル層の第1及び第2のマイクロチャネルが直交している。
【0014】
一の実施例では、フローセパレータが、複数の第1のマイクロチャネルシートと第2のマイクロチャネルシートを具える。第1のマイクロチャネルシートは、第1の側部と、第1の側部に対向する第2の側部を具え、第2の側部はその中に平行な溝を有している。第2のマイクロチャネルシートは、第1の側部と、第1の側部に対向する第2の側部を具え、第1及び第2の側部はその中に平行な溝を有している。薄膜スタックは、薄膜スタック上側部と、薄膜スタック底側部を具える。各マイクロチャネル層は、その間に膜シートを有し、そこに連結されている第1及び第2のマイクロチャネルシートを各々具える薄膜サブスタックであって、前記対向関係にある溝がこの薄膜スタックの上側部と底側部において膜シートによって分離されている薄膜サブスタックか、あるいはその間に膜シートを有して、そこに連結されており、対向関係にある溝が膜シートによって分離されている2枚の第2のマイクロチャネルシートを具える。
【0015】
一の実施例では、フローセパレータは、複数の第1及び第2のマイクロチャネルシートを具える。第1のマイクロチャネルシートは、第1の側部と、この第1の側部に対向する第2の側部と、第1の端部と、この第1の端部に対向する第2の端部を具え、少なくとも一方の側部が、第1の端部から第2の端部へ延在する平行な溝を有する。第2のマイクロチャネルシートは第1の側部と、この第1の側部に対向する第2の側部と、第1の端部とこの第1の端部に対向する第2の端部とを具え、少なくとも一方の側部が第1の端部から第2の端部へ延在する平行な溝を有する。各マイクロチャネル層は、その間に膜シートを有し、そこに連結されている第1及び第2のマイクロチャネルシートを具える薄膜サブスタックを具え、対向関係にある溝は前記膜シートによって分離されている。
【0016】
一の実施例では、複数の第1のマイクロチャネルシートが更に、第1及び第2の各端部に第1のプレナム溝を具える。第1のプレナム溝は、第1のマイクロチャネルシート上の溝と液通している。複数の第2のマイクロチャネルシートは、更に、第1及び第2の各端部に第2のプレナム溝を具えており、この第2のプレナム溝は第2のマイクロチャネルシート上の溝と液通している。
【0017】
一の実施例によれば、複数の半透過性膜シートと複数のフローセパレータを具える透析器が提供されている。この膜シートとフローセパレータは、交互に配置されており、複数の平行マイクロチャネル層を規定する薄膜スタックに連結されている。各マイクロチャネル層は、複数の第1のマイクロチャネルと複数の第2のマイクロチャネルを具える。各マイクロチャネル層の第1及び第2のマイクロチャネルは、その間の複数の膜シートの一つを介して互いに液通している。各膜シートは、第1の側部と、この第1の側部に対向する第2の側部、及び、第1の端部とこの第1の端部に対向する第2の端部を具える。フローセパレータは、第1及び第2の側部から突出しており、第1の端部から第2の端部へ延在する平行な溝を規定している。各マイクロチャネル層は、少なくとも2枚の膜シートと、対向関係にある溝と、互いに隣接し、そこで連結されて、第1及び第2のマイクロチャネルの交互の層を規定しているフローセパレータとを具える単位薄膜スタックを具える。
【0018】
一の実施例では、透析器は、第1のヘッダおよび第2のヘッダを具える。第1のヘッダは、第1の端部で第1のマイクロチャネルと液通する入口と、第1の端部で第2のマイクロチャネルと液通する出口を具える。第2のヘッダは、第2の端部で第2のマイクロチャネルと液通する入口と、第2の端部で第1のマイクロチャネルと液通する出口を具える。
【0019】
一の実施例では、透析器は、第1のヘッダおよび第2のヘッダを具える。第1のヘッダは、第1の端部で第1のマイクロチャネルと液通する入口と、第1の端部で第2のマイクロチャネルと液通する入口を具える。第2のヘッダは、第2の端部で第1のマイクロチャネルと液通する出口と、第2の端部で第2のマイクロチャネルと液通する出口を具える。
【0020】
一の実施例では、血液取扱い装置、透析液取扱い装置、及び透析器を具える透析システムが提供されている。透析器は、複数の半透過性膜シートと複数のフローセパレータを具える。膜シートとフローセパレータは、交互に配置されており、複数の平行マイクロチャネル層を規定する薄膜スタックに連結されている。各マイクロチャネル層は、複数の第1のマイクロチャネルと、複数の第2のマイクロチャネルを具える。各マイクロチャネル層の第1及び第2のマイクロチャネルは、その間にある複数の膜シートの一つを介して互いに液通している。血液取扱い装置は、第1のマイクロチャネルと液通しており、透析液取扱い装置は第2のマイクロチャネルと液通している。
【0021】
一の実施例では、血液取扱い装置は、第1の端部において第1のマイクロチャネルへ血液を供給し、第2の端部において第2のマイクロチャネルから血液を排出するように構成されている。透析液取扱い装置は、第2の端部において第2のマイクロチャネルへ透析液を供給し、第1の端部において第2のマイクロチャネルから透析液を排出するように構成されている。
【0022】
一の実施例では、血液取扱い装置は、第1の端部において第1のマイクロチャネルへ血液を供給し、第2の端部において第2のマイクロチャネルから血液を排出するように構成されている。透析液取扱い装置は、第1の端部において第2のマイクロチャネルへ透析液を供給し、第2の端部において第2のマイクロチャネルから透析液を排出するように構成されている。
【0023】
一の実施例では、各膜シートは、第1の側部と、この第1の側部に対向する第2の端部、および第1の端部とこの第1の端部に対向する第2の端部を具える。フローセパレータは、第1及び第2の側部から突出しており、第1の端部から第2の端部へ延在する平行溝を規定している。各マイクロチャネル層は、少なくとも3枚の膜シートを具えるスタックと、対向関係にある溝と、互いに隣接しそこに連結されているフローセパレータを具え、第1及び第2のマイクロチャネルの交互の層を規定している。
【0024】
一の実施例によれば、血液透析方法は、複数の半透過性膜シートと複数のフローセパレータを具える透析器を提供するステップを具える。膜シートとフローセパレータは、交互に配置されており、複数の平行マイクロチャネル層を規定する薄膜スタックに連結されている。各マイクロチャネル層は、複数の第1のマイクロチャネルと、複数の第2のマイクロチャネルを具える。各マイクロチャネル層の第1及び第2のマイクロチャネルは、その間にある複数の膜シートの一つを介して互いに液通している。血液取扱い装置は、第1のマイクロチャネルと液通しており、透析液取扱い装置は、第2のマイクロチャネルと液通している。この方法は更に、第1の端部において第1のマイクロチャネルに血液を供給するステップと、第2の端部において第2のマイクロチャネルに透析液を供給するステップと、第2の端部において第1のマイクロチャネルから血液を排出するステップと、第1の端部において第2のマイクロチャネルから透析液を排出するステップとを具える。
【0025】
本発明によって作った透析器は、透析のアプリケーションにおいて物質移動を促進することができる埋め込み型の高密度に平行または垂直であるマイクロチャネルアレイを提供する。マイクロチャネルによって提供される小さいという特徴のサイズは、表面積対体積比が大きいという利点、薄膜フロー条件、および高圧で動作する機会を提供する。
【0026】
マイクロチャネルでは、非常に高速で物質移動を行うことができる。マイクロチャネルジオメトリと、マイクロ薄膜製造技術を組み入れたMECS透析器は、透析アプリケーションにおける物質移動に必要な特性または滞留時間を急進的に低減する。マイクロ技術ベースのデザインは、膜の両側に均等にマイクロスケールの径を維持する。本発明による実施例では、マイクロ技術ベースのMECS透析器に、100ミクロンの透析液フローチャネル径が提供されている。従来の中空糸透析器に比べて、このジオメトリは、同じ動作パラメータについて、10乃至100のファクタ分、透析器のサイズを小さくする。
【0027】
本発明によるMECS透析器の主な利点は、透析液の流れを利用率100%に近づけるように最適化することができる点である。本発明の実施例によるMECS透析器は、固定幅マイクロチャネルを介した透析液の構造化フローを使用している。マイクロチャネルの間隔は、血液を浄化するのに使用する透析液を有効利用するように予め決定されている。透析液溶質が少ないほど、透析機械のサイズが小さくなる。
【0028】
更に、構造化したフロー路は、停滞するフロー面積を最小にし、シャントフローを取り除いて、透析液の流れに晒される全体の膜面積を確実に最大利用する。このことは、溶質の浄化値を大きく改善し、現在入手可能な中空糸透析器に比べて、透析器が所定の性能要求に対してより少ない面積ですむようにしている。低減された膜長と表面積が、血液に対する圧力を低減し、溶血を少なくして、治療中の患者の外側にある回路内の血液量を低減させる。
【0029】
詳細な説明
図に示す実施例と、実施例の説明に用いられる特定の用語を参照する。しかしながら、これは本発明の範囲の限定を意図するものではなく、ここに示す本発明の原理の更なるアプリケーションと同様に、図に示す装置の更なる代替および変形は、本発明が関連する分野の当業者には自明なことである。
【0030】
用語「マイクロチャネル」は、最大約1000ミクロンの幅、または高さの内寸を少なくとも一つ有するチャネルを意味する。
【0031】
用語「非乱流」は、層流または転流であるマイクロチャネルを通る流体の流れを意味する。マイクロチャネルを通る流体の流れのレイノルズ数は、最大約4000である。ここで用いられているレイノルズ数は、マイクロチャネルの実際の形状に基づく水力直径を用いて計算されている。
【0032】
用語「MECS」は、特許協力条約(PCT)の下に公開された国際出願第WO2005/045894 A2号、「装置の大容量マイクロラミネーション製造(High Volume Microlamination Production of Devices)」に提供されているような、マイクロ技術ベースのエネルギィ及び化学システム(Microtechnology-based Energy and Chemical Systems)、及び、MECS装置を製造する方法を意味する。この文献は、全ての目的のためにここに引用されている。
【0033】
膜の意味もある半透過性膜は、限定するものではないが、Mika et al. の米国特許第6,258,276号に開示されている多孔性ポリスルホン及びこれらの膜などの、拡散透析に好適に用いられるあらゆる膜を使用することができる。この文献は、全ての目的のためにここで引用されている。
【0034】
透析液は、血液透析用に好適ないずれかの透析液であっても良い。
【0035】
用語「滞留時間」は、「平均滞留時間」としても良いが、MECS透析器内で膜を通って血液と透析液との間で拡散が行われる時間である。
【0036】
本発明は、MECS技術に基づく超小型透析器を提供する。MECS透析器は、溶質と過剰流体を半透過性膜を介して透析液へ拡散させ、対流させるプロセスによって血液透析を介して血液を浄化する装置である。
【0037】
図1は、本発明による透析システム2の概略図である。血液は、MECS透析器10内で血液入口ライン6を通って一またはそれ以上の第1のマイクロチャネルに流れ、血液出口ライン7と血液バルブ31を通って出てゆく。透析液は、MECS透析器10内で透析液入口ライン8を通って一またはそれ以上の第2のマイクロチャネルに流れ、透析液出口ライン9と血液バルブ32を通って出てゆく。第1のマイクロチャネルと、第2のマイクロチャネルは膜によって互いに分離されている。
【0038】
MECS透析器10では、溶質と過剰流体が第1のマイクロチャネルを通って流れている血液から、膜を通り、第2のマイクロチャネルを流れている透析液へ拡散される。MECS透析器は、膜で二等分されている第1及び第2のマイクロチャネルに対応する複数のマイクロチャネル層を具えている。このマイクロチャネル層は、後述するように、所望のシーケンスで交互に重ねて整列させることができる。
【0039】
図2は、本発明の実施例による並流MECS透析器11の斜視図である。MECS透析器11は、交互に重ねて配置して、マイクロチャネル層20の繰り返しユニット29aを規定している複数のマイクロチャネル層20を具える。マイクロチャネル層20は、血液を流すために提供されている第1の複数のマイクロチャネル21と、透析液を流すために提供されている第2の複数のマイクロチャネル23を具える。第1及び第2のマイクロチャネル21、23は、間にある膜30によって、及び後述するようにマイクロチャネルフローセパレータによって規定される。第1及び第2のマイクロチャネル21、23は、膜30を介して液通している。
【0040】
各マイクロチャネル層20内の第1のマイクロチャネル21の数は、例えば、10、100、1000、といった所望の数であってよく、対応する同じ数の第2のマイクロチャネル23がある。同様に、マイクロチャネル層20の繰り返しユニット29aの数も、例えば、10、100、1000というように所望の数であってよい。
【0041】
各マイクロチャネル層20の第1のマイクロチャネル21は、平行に配置されており、第1の端部32から、第1の端部32に対向する第2の端部34へと、マイクロチャネル層20の長さに沿って延在している。各マイクロチャネル層20の第2のマイクロチャネル23も、平行に配置されており、第1の端部32から第2の端部34へマイクロチャネル層20の長さに沿って延在している。
【0042】
MECS透析器11を含む本発明の実施例による方法では、血液は、第1の端部32から第2の端部34へ第1のマイクロチャネル21を通って流れ、透析液は、第2の端部34から第1の端部32へ第2のマイクロチャネル23を通って流れる。すなわち、この流れは逆方向であり、向流と呼ばれる。向流は、膜30を通る血液と透析液間の拡散特性を改良し、老廃物浄化に必要な膜表面積の量を最小にし、必要な透析液量を最少にする。
【0043】
MECS透析器11を含む本発明の実施例による別の方法では、血液は、第1の端部32から第2の端部34へ第1のマイクロチャネル21を通って流れ、透析液は、第1の端部32から第2の端部34へ第2のマイクロチャネル23を通って流れる。すなわち、この流れは同方向であり、並流と呼ばれる。
【0044】
図3は、本発明の実施例による交流MECS透析器12を示す斜視図である。MECS透析器12は、互いに重ねて配置して、マイクロチャネル層25の繰り返しユニット29bを規定する複数のマイクロチャネル層25を具える。マイクロチャネル層25は、血液を流すために提供されている第1の複数のマイクロチャネル21と、透析液を流すために提供されている第2の複数のマイクロチャネル23を具える。第1及び第2のマイクロチャネル21、23は、間にある膜30によって、及び後述するようにマイクロチャネルフローセパレータによって規定される。第1及び第2のマイクロチャネル21、23は、膜30を介して液通している。
【0045】
各マイクロチャネル層25の第1のマイクロチャネル21は、平行に配置されており、第1の端部32から第1の方向を規定している第2の端部34へと、マイクロチャネル層25の長さに沿って延在している。各マイクロチャネル層25の第2のマイクロチャネル23も、平行に配置されており、第3の端部33から、第2の方向を規定している第3の端部33に対向する第4の端部37へマイクロチャネル層25の長さに沿って延在している。第1及び第2の方向は互いに直交しており、従って、第1のマイクロチャネル21と第2のマイクロチャネル23とが互いに直交している。
【0046】
MECS透析器12を含む本発明の実施例による方法では、血液は、第1の端部32から第2の端部34へ第1のマイクロチャネル21を通って流れ、透析液は、第3の端部33から第4の端部37へ第2のマイクロチャネル23を通って流れ、交流と呼ばれる。
【0047】
図2に示す実施例と同様に、各マイクロチャネル層25内の第1のマイクロチャネル21の数は、例えば、10、100、1000、といった所望の数であってよく、対応する同じ数の第2のマイクロチャネル23がある。同様に、マイクロチャネル層25の繰り返しユニット29aの数も、例えば、10、100、1000というように所望の数であってよい。
【0048】
本発明の実施例によれば、膜で分離されたマイクロチャネル21、23を具えるマイクロチャネル層20、25を製造する方法はいくつもある。
【0049】
図2と、MECS透析器11の分解端面図である図4を参照すると、本発明の一実施例によれば、MECS透析器11は、重ね合わせて配置された複数の第1のマイクロチャネルシート20aと、第2のマイクロチャネルシート20bと、膜シート30を含む薄膜スタックを具える。第1のマイクロチャネルシート20aは、第1の側部36aと、第1の側部に対向する第2の側部38aを有する。第1の側部36aは、比較的滑らかであり、第2の側部38aは、複数の溝22aを具える。溝22aは、平行に配置されており、第1の端部32から第2の端部34へ第1のマイクロチャネルシート20aの長さに沿って延在している。
【0050】
第2のマイクロチャネルシート20bは、第1の側部36bと第2の側部38bを有しており、これらは両方とも複数の溝22aを具える。溝22aは、平行に配置されており、第1の端部32から第2の端部34へ第1のマイクロチャネルシート20bの長さに沿って延在している。
【0051】
第1及び第2のマイクロチャネルシート20a、bが重なると、溝22aは平行フローチャネルを規定し、形成するように構成されている。図2及び4に示す実施例では、異なるマイクロチャネルシート20a、b上の溝22aの対が、互いに平行に整列し、互いに液通するように構成されている。図3に示す実施例では、異なるマイクロチャネルシート20a、b上の溝22aの対は、直交して交差し、互いに部分的に液通するように構成されている。
【0052】
図4に示す実施例では、第1のマイクロチャネルシート20aが、MECS透析器11の上側部42および底側部40に設けられている。複数の第2のマイクロチャネルシート20bは、第1のマイクロチャネルシート20aの間に設けられている。第1及び第2のマイクロチャネルシート20a、20bの間には、膜シートが挟み込まれており、この膜シートは、異なるマイクロチャネルシート20a、b上の溝22aの共通部分を二等分して、第1及び第2のマイクロチャネル21、23を規定している。薄膜スタックは、公知の適当なプロセスのいずれかで、以下に更に述べるように連結されている。
【0053】
図4に示す実施例の第1及び第2のマイクロチャネルシート20a、bの溝22aは、約2のアスペクト比、すなわち、幅と高さ比を有しているように示されている。マイクロチャネルシートの溝のアスペクト比は、特定の目的のために予め決められている。図5は、本発明の一実施例による、アスペクト比が約5の複数の溝22bを具える、第1の側部36cと第1の側部に対向する第2の側部38cを有する第3のマイクロチャネルシート20cの端面図である。アスペクト比の高い溝は、特定の目的に好適にするように、第1及び第2のマイクロチャネル21、23間の膜30の表面積を大きくする。
【0054】
マイクロチャネルシートは、材料が血液適合特性を有している限り、さまざまなもので製造することができる。例として、材料がポリスルホンなどのポリマを具える場合がある。更に、マイクロチャネルシート材料は、溝22a、bを形成するのに使用される製造プロセスに応じて、成形、マイクロマシーニング、型抜き、パターン印刷、あるいは膜表面上へのマイクロ流体スプレイが可能な材料特性を有していなければならない。
【0055】
マイクロチャネルシート20、25内に溝22a、bを製造する製造オプションは公知であり、特に、型抜き、マイクロマシーニング、蒸着、シリコンマイクロ製造技術、Nd:YAGマイクロマシーニングレーザシステムを用いたレーザアブリメーション(laser ablimation)、型押し、粉末射出成形、あるいはマイクロチャネルシートの形成または成形、電気化学マイクロマシーニング、フォトリソグラフィ、およびソフトリソグラフィ、およびこれらの組み合わせを含む。
【0056】
図2乃至図4に示すMECS透析器11、12の実施例の薄膜構造によって、特定の目的に合わせて、マイクロチャネル層からマイクロチャネル層へ、または一端から他端へ延びる溝の異なるアスペクト比を組み合わせることができる。
【0057】
図6Aは、本発明の実施例に係る様々なアスペクト比のマイクロチャネルを有するMECS13透析器の平面図である。図6Bは、MECS透析器13の切断面6B−6Bにおけるマイクロチャネルシート20dの端面図であり、この断面において、マイクロチャネルシート20dは比較的低アスペクト比の溝22aを具えていることを示している。図6Cは、MECS透析器13の切断面6C−6Cにおけるマイクロチャネルシート20dの端面図であり、この断面において、マイクロチャネルシート20dは比較的高アスペクト比の溝22bを具えていることを示している。図6Dは、MECS透析器13の切断面6D−6Dにおけるマイクロチャネルシート20dの端面図であり、この断面において、マイクロチャネルシート20dは、溝22bにわたって膜(図示せず)を支持するように構成された支持ウエブ52を更に具え、その結果フローチャネルを形成している、比較的高アスペクト比の溝22bを具えていることを示している。
【0058】
図2乃至4、及び図6のMECS透析器の実施例の薄膜構造によって、マイクロプレナムまたはマイクロマニフォールドの集合をマイクロチャネルシートに組み込むことができる。マイクロプレナムは、血液及び透析液の各々について単一の入口ポートから、それぞれマイクロチャネルに血液と透析液を分配する。
【0059】
図7は、本発明の実施例による、複数の溝22と、この溝22と液通しているプレナム溝52と、プレナム溝52に液通した入口54を具えるマイクロチャネルシート20eの平面図である。プレナム溝52は、入口54から入ってくる流体を複数の溝22の方向に向ける。同様の構成をマイクロチャネルシート20eの第2の端部に設けて、以下に述べるように溝22から出てゆく流体の出口用プレナムを提供することができる。
【0060】
図8A及び8Bは、本発明の実施例による、複数の溝22と、溝22に液通した二つのプレナム溝56と、第1及び第2の端部51、53の一方と、入口57と、プレナム溝56の一方または他方と液通した出口58とを具えるマイクロチャネルシート20f、20gの平面図である。プレナム溝56は、複数の溝22から/への入口54または出口58から入ってくるまたは出てゆく流体を方向付ける。図8Cは、連結したマイクロチャネルシート20f、20gのスタックの入口57と出口58を示すマイクロチャネルシート20f、20gで作ったMECS透析器14の端面図である。
【0061】
MECS透析器の実施例の薄膜構造によって、連続するマイクロチャネルシートを隣接するマイクロチャネルシートに対して90°回転させて、図3に示すように交流構造に構成した直交する方向に延在する2セットのマイクロチャネルを形成することができる。
【0062】
薄膜スタックは、さまざまな方法を用いて互いに連結または接着することができる。これらの接着方法には、限定するものではないが、接着剤による接着、接着剤を被覆した接着面と熱リフロープロセスにかけたスタック、超音波溶接、高周波溶接、圧力接着、拡散接着、膜またはマイクロチャネルシート材料に加えた接着剤、その他が含まれる。
【0063】
本発明に係る方法の実施例では、薄膜の温度を上げて、薄膜スタックの構成部品を柔軟にする及び/又は選択的に溶かして、隣接する面を接着する。
【0064】
特に有望な熱接着法は、熱膨張接着固定具を用いたものであり、ここでは接着固定具と薄膜を用いて、特許協力条約(PCT)の下に公開された特許出願第WO2005/045894 A2号、装置の大容量マイクロラミネーション製造(High Volume Microlamination Production of Devices)に記載されているような、いわゆる熱強化エッジレジストレーション(thermal-enhanced edge registration:TEER)法で、固定具内で薄膜を自己整合させている。この文献は、全ての目的でここに引用されている。
【0065】
図9Aは、本発明の実施例による並流MECS透析器15の端面図である。MECS透析器15は、第1の側部91と第2の側部92を有する複数の膜シート30を具える。膜シート30は更に、所定のパターンで第1及び第2の側部91と92から突出している複数のフローセパレータ90を具える。図9Bは、図9Aの実施例のMECS透析器16のフローセパレータ90を有する2枚の膜シート30の分解端面図である。図9Cは、図9Aに示す実施例のMECS透析器15のフローセパレータ90を有する膜シート30の平面図である。フローセパレータ90は、平行に配置されており、第1の端部93から第1の端部93に対向する第2の端部95へ膜シート30の長さに沿って延在している。フローセパレータ90は、2枚の隣接する膜シート90が薄膜スタック内に配置されている場合に交差するように構成されている。
【0066】
フローセパレータ90付の膜シート30は、互いに上に積み重ねられマイクロチャネル層120の繰り返しユニット129を提供する。フローセパレータ90と膜シート30は、複数の平行な第1及び第2のマイクロチャネル21、23を規定している。MECS透析器15は、更に、このスタックの上側部42と底側部40上に端部シート94を具えており、隣接するフローセパレータ90を包含して、流体を密封する。
【0067】
マイクロチャネル層120は、血液流用に提供されている複数の第1のマイクロチャネル21と、透析液流用に提供されている第2のマイクロチャネル23とを具える。第1及び第2のマイクロチャネル21、23は、間の膜30によって、およびマイクロチャネルフローセパレータ90によって規定される。第1及び第2のマイクロチャネル21、23は、膜30を介して液通している。薄膜スタックが緻密化する間に、フローセパレータ90は、互いに接合して、限定するものではないが、リフロー接合および接着剤接合を含むいずれかの好適な方法を用いて、液密シールを形成する。
【0068】
図9A−Cに示す実施例では、各第1のマイクロチャネル21は、端部シート94近傍の部分を除いて、膜30を介して二つの第2のマイクロチャネル23に液通しており、従って、ほぼ同じサイズの第1のマイクロチャネル21について、図2−4に示す実施例の約2倍の膜表面積を提供する。
【0069】
フローセパレータ90は、特定の目的に好適な数々の公知のプロセスにおいて膜30の上に設けることができる。本発明の実施例では、フローセパレータ90は、限定するものではないが、ジェット印刷、シルクスクリーン印刷、インサイチュー接合、および蒸着などの方法を用いて膜の上に設けることができる。
【0070】
図10は、本発明の実施例による、MECS透析器16と二つのヘッダ62a、bを具えるMECS透析器ユニット60の分解斜視図である。二つのヘッダ62a、bは各々、入口57、出口58、および血液と透析液回収して、これらの流体をMECS透析器16の適宜のマイクロチャネル21、23へ分配するためのチャネルを具える。第1のヘッダ62aは、体外血液ラインから血液を受け取って、この血液を、血液の流れにおけるせん断を最小限にするために薄膜フローとしてMECS透析器16の第1のマイクロチャネル21へ分配するように構成されている。第1のヘッダ62a内の流れ場は、血球が第1のヘッダ62aを通ってMECS透析器16へ移動するときに血球へのダメージを最小限にするように制御されている。次いで、この血液は、MECS透析器16を離れるときにマイクロチャネル21から第2のヘッダ62bへ回収される。この回収された血液は、次いで、体外血液ラインへ送られ、患者に戻される。第2のヘッダ62bは、流れ場を出る血液中のせん断を低減する特性を具え、出てゆく血球へのダメージを低減する。
【0071】
同様の構成において、第2のヘッダ62bは、透析液処理システムから透析液を受け取って、MECS透析器16の第2のマイクロチャネル23へ分配するように構成されている。透析液は、次いで、MECS透析器16を離れるときに第2のマイクロチャネル23から、第1のヘッダ62aによって回収される。回収された透析液は、次いで、透析液処理システムに送られる。この構成は、血液と透析液の間に向流を提供する。
【0072】
血液と透析液間の並流構造では、第1のヘッダ62aが透析液処理システムから透析液を受け取って、MECS透析器16の第2のマイクロチャネル23に分配するように構成されている。次いで、透析液はMECS透析器16を離れるとき第2のヘッダ62bによって、第2のマイクロチャネル23から回収される。この回収された透析液は、次いで、透析液処理システムに送られる。
【0073】
MECS透析器ユニットの一実施例では、ヘッダはコンプライアントインターフェースと、MECS透析器とヘッダとの間に設けたシールを組み入れている。このシールによって、MECS透析器とヘッダとは、高い製造精度を要することなく液通して連結することができる。
【0074】
第1のマイクロチャネル21は、各々、限定するものではないが、正方形、矩形、あるいは半円形といった、どのような形状の断面を有していても良い。第1のマイクロチャネル21は各々、最大約1000ミクロンの内部高さまたは幅を有していても良く、一の実施例では、高さが約100ミクロン、幅が約200ミクロンである。各第1のマイクロチャネル21の長さは、最大約0.5cmであっても良い。
【0075】
MECS透析器11、12の実施例において、第1のマイクロチャネル21を流れる血流は、層流、転流、あるいは乱流であってもよい。一の実施例では、この血流が第1のマイクロチャネル21を流れる血液のレイノルズ数が約3000未満の層流である。別の実施例では、血流が第1のマイクロチャネル21を流れる血液のレイノルズ数が約4000未満の層流又は転流である。もう一つの実施例では、この血流が第1のマイクロチャネル21を流れる血液のレイノルズ数が約4000以上の乱流である。血液は、非ニュートン流体であり、したがって、不均一であり、血液に適用する場合のレイノルズ数の概念は、血液が所定の粘度のニュートン流体であることを想定して使用されている。例えば、ダメージをあたえる血球や血小板といったいくつかの血液の構成成分の脆弱性によって、及び/又は、乱流の中で生じることがある高いせん断応力への凝固カスケードの開始によって、層流特性が所望され、本発明の実施例によるMECS透析において達成することができる。
【0076】
第2のマイクロチャネル23を流れる透析液流は層流、転流、または乱流であってもよい。第2のマイクロチャネル23は各々、限定するものではないが、正方形、矩形、半円形といったどのような形状の断面を有していても良い。第2のマイクロチャネル23は各々、最大で約1000ミクロンの内部高さまたは幅を有していても良く、一の実施例では、高さが約100ミクロンで、幅が約200ミクロンである。各第1のマイクロチャネル23の長さは、限定するものではないが、長さあたりの滞留時間の関数としての透析液利用率といった、特定の目的のために予め決められた好適な長さであってもよい。一の実施例では、この流れが第2のマイクロチャネル23を通る透析液が約3000未満のレイノルズ数を有する層流である。別の実施例では、この流れは、第2のマイクロチャネル23を通る透析液が約4000未満のレイノルズ数を有する層流又は転流である。もう一つの実施例では、この流れは、第2のマイクロチャネル23を通る透析液が約4000以上のレイノルズ数を有する乱流である。
【0077】
中空糸透析液のほとんどのデザインに現在使用されている膜材料は、ポリスルホンである。多孔率は、製造時に制御されるが、構築方法に制限がある。MECS透析器に使用されている平らなシート膜によれば、膜のデザインに多くの改良を加えることができる。デザインの改良は、脈動流状態にある間に透析器のコンプライアンスを低減するためにより剛性が高く、薄い膜を支持すると共に、血液透析と血液適合性を改善するためにより透過性のある膜を支持するナノ構造の膜の成層を含む。このコンポジット構造は、ナノ粒子を埋め込んで、浄化のために特定の溶質をターゲットにすること、膜内に抗凝結剤を埋め込むこと、膜マトリックス内に腎性たんぱく質及び/又は腎尿細管細胞を埋め込んで、強化された血液溶質浄化値がより良好な合成天然腎臓機能をMECS透析器に提供することを含む、膜性能を強化する能力を提供する。
【0078】
本発明によって作られたMECS透析器は、透析アプリケーションにおける物質移動を促進することができる埋め込み型の高密度に平行または垂直であるマイクロチャネルアレイを提供する。マイクロチャネルによって提供される小さいという特徴のサイズは、表面積対体積比が大きいという利点、薄膜フロー条件、および高圧で動作する機会を提供する。
【0079】
マイクロチャネルでは非常に高速での物質移動が可能である。マイクロチャネルジオメトリとマイクロ薄膜製造技術を組み入れたMECS透析器は、透析アプリケーションにおいて物質移動に必要な特徴または滞留時間を急進的に低減する。従来の透析ユニットと異なり、マイクロ技術ベースのデザインが、膜の両側に均等にマイクロスケールの径を維持する。また、従来の中空糸透析器と異なり、マイクロチャネルジオメトリとマイクロ薄膜技術によって、より良好にまたより容易に、透析膜の両側において正確に特別設計した流れを実現することができる。本発明による実施例では、例えば、マイクロ技術ベースのMECS透析器に、100ミクロン径の透析液フローチャネルが設けられている。中空糸を用いた従来の透析器と比較すると、このジオメトリは、同じ動作パラメータについて10乃至100のファクタ分、透析器のサイズを小さくする。
【0080】
MECS透析器は、最小の膜表面で血液浄化値を最大にするようにデザインされている。血流の場は、透析器内で最小血液滞留時間で血液浄化値を最大にするように特別設計されており、膜にかかる圧力損失を最小にして、血球のダメージを最小に抑える。透析液流の場は、最小の量の透析液で拡散プロセスを最大にするように特別に設計されている。
【0081】
透析は、拡散によって血液から老廃物や、溶質を除去する。透析液は膜に短時間露出するだけであり、溶質分子は、比較的大量の透析液内へ均等に拡散するのに十分な時間がなく、最適でない場合には拡散勾配を大きくする。従って、透析中の効果的な拡散は、膜近くでのみ生じ、膜からの距離が遠くなるにつれて効率が下がる。
【0082】
本発明によるMECS透析器の主な利点は、利用率100%に近づくように、透析液流を最適化する能力である。標準的な中空糸透析器では、例えば、血液側の勾配は、ファイバ内の血液路の比較的小さな径によって相対的に制御される。しかし、透析液側の勾配は、比較的大きなフロー路と透析液の量によって制御できない。膜の透析液側の拡散勾配を制御不可能であることは、透析液流体の利用率が低くなる。標準的透析器を通過する透析液は、ほとんど膜に晒されずに、血液を浄化するのに使用されることなく透析器を離れる。
【0083】
比較すると、本発明の実施例によるMECS透析器は、幅が固定したマイクロチャネルを通る透析液の構造的流れを使用している。マイクロチャネルの間隔は、血液を浄化するのに使用する透析液を効果的に利用するように予め決められている。透析液溶質が少ないほど、透析機械のサイズが小さくなる。
【0084】
更に、構造的フロー路は停滞流の面積を最小にして、シャントフローを取り除き、透析液流に晒される膜の全面積を確実に最大利用する。このことは、溶質の浄化値を大きく改良し、透析器が現在入手可能な中空糸透析器と比較して、所定のパフォーマンス要求に対して少ない表面積を有するようにする。低減した膜長さと表面積が、血液に対する圧力を低減し、溶血を低減し、治療中に患者の外側にある回路内の血液量を低減する。
【0085】
本発明の特定の実施例に関連させて本発明について述べたが、更なる変更が可能であり、この出願は、上述した本質的な特徴に適用可能であり、本発明の範囲内と特許請求の範囲の限定内にあるかぎり、本発明の原理に続く、本発明が関連する分野における公知のあるいは慣習的な実用の範囲内にある本発明からの逸脱を含み、本発明のあらゆる変形、使用、改作をカバーすることを意図していると解される。
【図面の簡単な説明】
【0086】
同じ符号は、一般的に図中の対応する要素を示す。
【図1】図1は、本発明による透析システムの概略図である。
【図2】図2は、本発明の実施例による並流MECS透析器を示す斜視図である。
【図3】図3は、本発明の実施例による交流MECS透析器を示す斜視図である。
【図4】図4は、本発明の実施例による、重ね合わせて構成した複数の第1マイクロチャネルシートと、第2のマイクロチャネルシートと、膜シートを具える薄膜スタックの分解端面図である。
【図5】図5は、本発明の実施例による、第1の側部と、第1の側部に対向する第2の側部を有し、アスペクト比が約5の複数の溝を具える第3のマイクロチャネルシートの端面図である。
【図6】図6Aは、本発明の実施例による、複数のアスペクト比のマイクロチャネルを有するMECS透析器の平面図である。図6Bは、図6Aに示す実施例のMECS透析器の6B−6Bに沿って切った断面図であり、この面においてマイクロチャネルシートは比較的アスペクト比が低い溝を具えている。図6Cは、図6Aに示す実施例のMECS透析器の6C−6Cに沿って切った断面図であり、この面においてマイクロチャネルシートは比較的アスペクト比が高い溝を具えている。図6Dは、図6Aに示す実施例のMECS透析器の6D−6Dに沿って切った断面図であり、この面においてマイクロチャネルシートは比較的アスペクト比が高い溝を具えており、更に、この溝に渡る膜を更に支持してフローチャネルを作るように構成された支持ウエブを具えている。
【図7】図7は、本発明の実施例による、複数の溝と、これらの溝と液通しているプレナム溝と、このプレナム溝と液通している入口を具えるマイクロチャネルシートを示す平面図である。
【図8】図8Aおよび8Bは、本発明の実施例による、複数の溝と、これらの溝と第1又は第2の端部のいずれかで液通している二つのプレナム溝と、この二つのプレナム溝のいずれかと液通している入口および出口を具える2枚のマイクロチャネルシートを示す平面図である。
【図9】図9Aは、本発明の実施例による、並流MECS透析器の端面図であり、図9Bおよび9Cは、それぞれ、図9Aに示す実施例のMECS透析器の分解端面図および平面図である。
【図10】図10は、本発明の実施例による、マイクロチャネルシートのスタックと、二つのヘッダを具えるMECS透析器の分解斜視図である。
【技術分野】
【0001】
関連出願
この出願は、2004年10月6日に出願された暫定出願第60/616,757号に対して米国特許法(35USC)第119条(e)の利益を請求する非暫定出願である。この暫定出願はここに全体的に引用されている。
【0002】
発明の属する技術分野
本発明は血液透析に関するものであり、特に、マイクロ技術に基づく透析方法及び装置に関する。
【0003】
発明の背景
慢性透析は、1960年代の初めから、腎臓疾患を有する患者に行われてきた。これを可能にしたのは、1930年代および1940年代に始まった技術革新の結果である透析器または「人工腎臓」である。透析器は、血液からの老廃物や溶質及び流体を半透過性膜を通して透析液として知られている透析液に拡散させて対流させるプロセスによる、血液透析を介して血液を浄化する装置である。透析システムは、透析器と、配管やポンプなどの透析器を支持する関連機材とを具えるアッセンブリである。
【0004】
最初に使用された透析システムは、大きな丸い木製のフレームの上に巻きつけたソーセージケーシングを半透過性膜として用いた大きな回転ドラムでできていた。血液は、このケーシングを通して送られ、このケーシングは透析液の中に漬けられていた。1970年代までに、この業界は中空糸透析器を開発した。この装置は、長さ30cm、直径6cmのチューブの中に収納した10,000乃至14,000の中空状半透過性膜ファイバでできており、ファイバ内を流れる血液に最大2平方メートルの表面積を提供して、ファイバの外側周辺を流れる透析液と相互作用させるものである。今日の中空糸透析器はこれより若干効率が良いが、この技術はこのとき以来大きくは変化していない。
【0005】
この中空糸透析器は、個々のファイバ間のスペースにむらがあり、一致性がないため、透析液の流れが偏在する。流れが停滞している領域も、発達したシャントフローである領域も、同様に透析液側の物質移動効率を劇的に低減させる。個々のファイバ間のスペースは一般的に小さく、従って、拡散が、内部ファイバスペース内での物質移動の重要なメカニズムである。拡散の改善、従って、改善した透析液使用効率は、中空糸透析器固有の物理的特性によって制限される。
【0006】
現在は、中空糸透析器は、透析治療を行うために主に水を含む120乃至200リットルの透析液を使用している。透析液の流れはファイバ周囲にでたらめに流れるので、比較的大量の透析液が使用される。このように大量の透析液が必要であるため、透析機械が非常に大きなものでなくてはならない。また、透析に使用される水は、化学的汚染物質および微生物学的汚染物質を取り除いたものでなくてはならず、このことが、機材の量と、透析治療を行うのに必要な技術的ノウハウを増やしている。
【0007】
この複雑な機器の信頼性の結果として、ほとんどの透析治療は、専門家のチームによるスタッフのいる透析センタで行われる。自宅で自身で治療を行っている血液透析患者は1%以下である。センタでは、透析治療は短時間で非常に速く行われる。各患者は1週間に3回治療を受ける。患者によりゆっくり、より長く、より頻繁に透析を行うと、多大な改善があることが研究によってわかっている。患者の結果がより良好であるばかりでなく、投薬および入院費用が少なくなり、この治療の全体のコストがより安くなる。
【0008】
患者がより頻繁に透析治療を受けるために経済的に実行可能な唯一の方法は、自宅で自身の透析治療を行うことである。これを技術的に可能にするためには、技術を改良して、透析機械をより小さくし、より持ち運び可能とし、水の消費を少なくして、世話人の操作をより簡単なものにする必要がある。
【0009】
この技術には、血液を透析液から分離する透析膜を通る物質移動効率が改善された透析器が必要である。
【0010】
発明の概要
本発明は血液透析に関するものであり、特に、本発明の実施例によって提供されるマイクロチャネル分離を用いて透析膜を通る物質移動効率を改善した透析器に関する。一実施例によれば、複数の半透過性膜シートと、複数のフローセパレータを具える透析器が提供されている。これらの膜シートと、フローセパレータは交互に配置されており、複数の平行マイクロチャネル層を規定する薄膜スタックに連結されている。各マイクロチャネル層は、複数の第1のマイクロチャネルと複数の第2のマイクロチャネルを具えている。各マイクロチャネル層の第1及び第2のマイクロチャネルは、その間にある前記複数の膜シートの一つを介して互いに液通している。
【0011】
一の実施例では、各マイクロチャネル層の第1のマイクロチャネルは平行であり、各マイクロチャネル層の第2のマイクロチャネルも平行である。
【0012】
一の実施例では、マイクロチャネル層の第1及び第2のマイクロチャネルが平行である。
【0013】
一の実施例では、マイクロチャネル層の第1及び第2のマイクロチャネルが直交している。
【0014】
一の実施例では、フローセパレータが、複数の第1のマイクロチャネルシートと第2のマイクロチャネルシートを具える。第1のマイクロチャネルシートは、第1の側部と、第1の側部に対向する第2の側部を具え、第2の側部はその中に平行な溝を有している。第2のマイクロチャネルシートは、第1の側部と、第1の側部に対向する第2の側部を具え、第1及び第2の側部はその中に平行な溝を有している。薄膜スタックは、薄膜スタック上側部と、薄膜スタック底側部を具える。各マイクロチャネル層は、その間に膜シートを有し、そこに連結されている第1及び第2のマイクロチャネルシートを各々具える薄膜サブスタックであって、前記対向関係にある溝がこの薄膜スタックの上側部と底側部において膜シートによって分離されている薄膜サブスタックか、あるいはその間に膜シートを有して、そこに連結されており、対向関係にある溝が膜シートによって分離されている2枚の第2のマイクロチャネルシートを具える。
【0015】
一の実施例では、フローセパレータは、複数の第1及び第2のマイクロチャネルシートを具える。第1のマイクロチャネルシートは、第1の側部と、この第1の側部に対向する第2の側部と、第1の端部と、この第1の端部に対向する第2の端部を具え、少なくとも一方の側部が、第1の端部から第2の端部へ延在する平行な溝を有する。第2のマイクロチャネルシートは第1の側部と、この第1の側部に対向する第2の側部と、第1の端部とこの第1の端部に対向する第2の端部とを具え、少なくとも一方の側部が第1の端部から第2の端部へ延在する平行な溝を有する。各マイクロチャネル層は、その間に膜シートを有し、そこに連結されている第1及び第2のマイクロチャネルシートを具える薄膜サブスタックを具え、対向関係にある溝は前記膜シートによって分離されている。
【0016】
一の実施例では、複数の第1のマイクロチャネルシートが更に、第1及び第2の各端部に第1のプレナム溝を具える。第1のプレナム溝は、第1のマイクロチャネルシート上の溝と液通している。複数の第2のマイクロチャネルシートは、更に、第1及び第2の各端部に第2のプレナム溝を具えており、この第2のプレナム溝は第2のマイクロチャネルシート上の溝と液通している。
【0017】
一の実施例によれば、複数の半透過性膜シートと複数のフローセパレータを具える透析器が提供されている。この膜シートとフローセパレータは、交互に配置されており、複数の平行マイクロチャネル層を規定する薄膜スタックに連結されている。各マイクロチャネル層は、複数の第1のマイクロチャネルと複数の第2のマイクロチャネルを具える。各マイクロチャネル層の第1及び第2のマイクロチャネルは、その間の複数の膜シートの一つを介して互いに液通している。各膜シートは、第1の側部と、この第1の側部に対向する第2の側部、及び、第1の端部とこの第1の端部に対向する第2の端部を具える。フローセパレータは、第1及び第2の側部から突出しており、第1の端部から第2の端部へ延在する平行な溝を規定している。各マイクロチャネル層は、少なくとも2枚の膜シートと、対向関係にある溝と、互いに隣接し、そこで連結されて、第1及び第2のマイクロチャネルの交互の層を規定しているフローセパレータとを具える単位薄膜スタックを具える。
【0018】
一の実施例では、透析器は、第1のヘッダおよび第2のヘッダを具える。第1のヘッダは、第1の端部で第1のマイクロチャネルと液通する入口と、第1の端部で第2のマイクロチャネルと液通する出口を具える。第2のヘッダは、第2の端部で第2のマイクロチャネルと液通する入口と、第2の端部で第1のマイクロチャネルと液通する出口を具える。
【0019】
一の実施例では、透析器は、第1のヘッダおよび第2のヘッダを具える。第1のヘッダは、第1の端部で第1のマイクロチャネルと液通する入口と、第1の端部で第2のマイクロチャネルと液通する入口を具える。第2のヘッダは、第2の端部で第1のマイクロチャネルと液通する出口と、第2の端部で第2のマイクロチャネルと液通する出口を具える。
【0020】
一の実施例では、血液取扱い装置、透析液取扱い装置、及び透析器を具える透析システムが提供されている。透析器は、複数の半透過性膜シートと複数のフローセパレータを具える。膜シートとフローセパレータは、交互に配置されており、複数の平行マイクロチャネル層を規定する薄膜スタックに連結されている。各マイクロチャネル層は、複数の第1のマイクロチャネルと、複数の第2のマイクロチャネルを具える。各マイクロチャネル層の第1及び第2のマイクロチャネルは、その間にある複数の膜シートの一つを介して互いに液通している。血液取扱い装置は、第1のマイクロチャネルと液通しており、透析液取扱い装置は第2のマイクロチャネルと液通している。
【0021】
一の実施例では、血液取扱い装置は、第1の端部において第1のマイクロチャネルへ血液を供給し、第2の端部において第2のマイクロチャネルから血液を排出するように構成されている。透析液取扱い装置は、第2の端部において第2のマイクロチャネルへ透析液を供給し、第1の端部において第2のマイクロチャネルから透析液を排出するように構成されている。
【0022】
一の実施例では、血液取扱い装置は、第1の端部において第1のマイクロチャネルへ血液を供給し、第2の端部において第2のマイクロチャネルから血液を排出するように構成されている。透析液取扱い装置は、第1の端部において第2のマイクロチャネルへ透析液を供給し、第2の端部において第2のマイクロチャネルから透析液を排出するように構成されている。
【0023】
一の実施例では、各膜シートは、第1の側部と、この第1の側部に対向する第2の端部、および第1の端部とこの第1の端部に対向する第2の端部を具える。フローセパレータは、第1及び第2の側部から突出しており、第1の端部から第2の端部へ延在する平行溝を規定している。各マイクロチャネル層は、少なくとも3枚の膜シートを具えるスタックと、対向関係にある溝と、互いに隣接しそこに連結されているフローセパレータを具え、第1及び第2のマイクロチャネルの交互の層を規定している。
【0024】
一の実施例によれば、血液透析方法は、複数の半透過性膜シートと複数のフローセパレータを具える透析器を提供するステップを具える。膜シートとフローセパレータは、交互に配置されており、複数の平行マイクロチャネル層を規定する薄膜スタックに連結されている。各マイクロチャネル層は、複数の第1のマイクロチャネルと、複数の第2のマイクロチャネルを具える。各マイクロチャネル層の第1及び第2のマイクロチャネルは、その間にある複数の膜シートの一つを介して互いに液通している。血液取扱い装置は、第1のマイクロチャネルと液通しており、透析液取扱い装置は、第2のマイクロチャネルと液通している。この方法は更に、第1の端部において第1のマイクロチャネルに血液を供給するステップと、第2の端部において第2のマイクロチャネルに透析液を供給するステップと、第2の端部において第1のマイクロチャネルから血液を排出するステップと、第1の端部において第2のマイクロチャネルから透析液を排出するステップとを具える。
【0025】
本発明によって作った透析器は、透析のアプリケーションにおいて物質移動を促進することができる埋め込み型の高密度に平行または垂直であるマイクロチャネルアレイを提供する。マイクロチャネルによって提供される小さいという特徴のサイズは、表面積対体積比が大きいという利点、薄膜フロー条件、および高圧で動作する機会を提供する。
【0026】
マイクロチャネルでは、非常に高速で物質移動を行うことができる。マイクロチャネルジオメトリと、マイクロ薄膜製造技術を組み入れたMECS透析器は、透析アプリケーションにおける物質移動に必要な特性または滞留時間を急進的に低減する。マイクロ技術ベースのデザインは、膜の両側に均等にマイクロスケールの径を維持する。本発明による実施例では、マイクロ技術ベースのMECS透析器に、100ミクロンの透析液フローチャネル径が提供されている。従来の中空糸透析器に比べて、このジオメトリは、同じ動作パラメータについて、10乃至100のファクタ分、透析器のサイズを小さくする。
【0027】
本発明によるMECS透析器の主な利点は、透析液の流れを利用率100%に近づけるように最適化することができる点である。本発明の実施例によるMECS透析器は、固定幅マイクロチャネルを介した透析液の構造化フローを使用している。マイクロチャネルの間隔は、血液を浄化するのに使用する透析液を有効利用するように予め決定されている。透析液溶質が少ないほど、透析機械のサイズが小さくなる。
【0028】
更に、構造化したフロー路は、停滞するフロー面積を最小にし、シャントフローを取り除いて、透析液の流れに晒される全体の膜面積を確実に最大利用する。このことは、溶質の浄化値を大きく改善し、現在入手可能な中空糸透析器に比べて、透析器が所定の性能要求に対してより少ない面積ですむようにしている。低減された膜長と表面積が、血液に対する圧力を低減し、溶血を少なくして、治療中の患者の外側にある回路内の血液量を低減させる。
【0029】
詳細な説明
図に示す実施例と、実施例の説明に用いられる特定の用語を参照する。しかしながら、これは本発明の範囲の限定を意図するものではなく、ここに示す本発明の原理の更なるアプリケーションと同様に、図に示す装置の更なる代替および変形は、本発明が関連する分野の当業者には自明なことである。
【0030】
用語「マイクロチャネル」は、最大約1000ミクロンの幅、または高さの内寸を少なくとも一つ有するチャネルを意味する。
【0031】
用語「非乱流」は、層流または転流であるマイクロチャネルを通る流体の流れを意味する。マイクロチャネルを通る流体の流れのレイノルズ数は、最大約4000である。ここで用いられているレイノルズ数は、マイクロチャネルの実際の形状に基づく水力直径を用いて計算されている。
【0032】
用語「MECS」は、特許協力条約(PCT)の下に公開された国際出願第WO2005/045894 A2号、「装置の大容量マイクロラミネーション製造(High Volume Microlamination Production of Devices)」に提供されているような、マイクロ技術ベースのエネルギィ及び化学システム(Microtechnology-based Energy and Chemical Systems)、及び、MECS装置を製造する方法を意味する。この文献は、全ての目的のためにここに引用されている。
【0033】
膜の意味もある半透過性膜は、限定するものではないが、Mika et al. の米国特許第6,258,276号に開示されている多孔性ポリスルホン及びこれらの膜などの、拡散透析に好適に用いられるあらゆる膜を使用することができる。この文献は、全ての目的のためにここで引用されている。
【0034】
透析液は、血液透析用に好適ないずれかの透析液であっても良い。
【0035】
用語「滞留時間」は、「平均滞留時間」としても良いが、MECS透析器内で膜を通って血液と透析液との間で拡散が行われる時間である。
【0036】
本発明は、MECS技術に基づく超小型透析器を提供する。MECS透析器は、溶質と過剰流体を半透過性膜を介して透析液へ拡散させ、対流させるプロセスによって血液透析を介して血液を浄化する装置である。
【0037】
図1は、本発明による透析システム2の概略図である。血液は、MECS透析器10内で血液入口ライン6を通って一またはそれ以上の第1のマイクロチャネルに流れ、血液出口ライン7と血液バルブ31を通って出てゆく。透析液は、MECS透析器10内で透析液入口ライン8を通って一またはそれ以上の第2のマイクロチャネルに流れ、透析液出口ライン9と血液バルブ32を通って出てゆく。第1のマイクロチャネルと、第2のマイクロチャネルは膜によって互いに分離されている。
【0038】
MECS透析器10では、溶質と過剰流体が第1のマイクロチャネルを通って流れている血液から、膜を通り、第2のマイクロチャネルを流れている透析液へ拡散される。MECS透析器は、膜で二等分されている第1及び第2のマイクロチャネルに対応する複数のマイクロチャネル層を具えている。このマイクロチャネル層は、後述するように、所望のシーケンスで交互に重ねて整列させることができる。
【0039】
図2は、本発明の実施例による並流MECS透析器11の斜視図である。MECS透析器11は、交互に重ねて配置して、マイクロチャネル層20の繰り返しユニット29aを規定している複数のマイクロチャネル層20を具える。マイクロチャネル層20は、血液を流すために提供されている第1の複数のマイクロチャネル21と、透析液を流すために提供されている第2の複数のマイクロチャネル23を具える。第1及び第2のマイクロチャネル21、23は、間にある膜30によって、及び後述するようにマイクロチャネルフローセパレータによって規定される。第1及び第2のマイクロチャネル21、23は、膜30を介して液通している。
【0040】
各マイクロチャネル層20内の第1のマイクロチャネル21の数は、例えば、10、100、1000、といった所望の数であってよく、対応する同じ数の第2のマイクロチャネル23がある。同様に、マイクロチャネル層20の繰り返しユニット29aの数も、例えば、10、100、1000というように所望の数であってよい。
【0041】
各マイクロチャネル層20の第1のマイクロチャネル21は、平行に配置されており、第1の端部32から、第1の端部32に対向する第2の端部34へと、マイクロチャネル層20の長さに沿って延在している。各マイクロチャネル層20の第2のマイクロチャネル23も、平行に配置されており、第1の端部32から第2の端部34へマイクロチャネル層20の長さに沿って延在している。
【0042】
MECS透析器11を含む本発明の実施例による方法では、血液は、第1の端部32から第2の端部34へ第1のマイクロチャネル21を通って流れ、透析液は、第2の端部34から第1の端部32へ第2のマイクロチャネル23を通って流れる。すなわち、この流れは逆方向であり、向流と呼ばれる。向流は、膜30を通る血液と透析液間の拡散特性を改良し、老廃物浄化に必要な膜表面積の量を最小にし、必要な透析液量を最少にする。
【0043】
MECS透析器11を含む本発明の実施例による別の方法では、血液は、第1の端部32から第2の端部34へ第1のマイクロチャネル21を通って流れ、透析液は、第1の端部32から第2の端部34へ第2のマイクロチャネル23を通って流れる。すなわち、この流れは同方向であり、並流と呼ばれる。
【0044】
図3は、本発明の実施例による交流MECS透析器12を示す斜視図である。MECS透析器12は、互いに重ねて配置して、マイクロチャネル層25の繰り返しユニット29bを規定する複数のマイクロチャネル層25を具える。マイクロチャネル層25は、血液を流すために提供されている第1の複数のマイクロチャネル21と、透析液を流すために提供されている第2の複数のマイクロチャネル23を具える。第1及び第2のマイクロチャネル21、23は、間にある膜30によって、及び後述するようにマイクロチャネルフローセパレータによって規定される。第1及び第2のマイクロチャネル21、23は、膜30を介して液通している。
【0045】
各マイクロチャネル層25の第1のマイクロチャネル21は、平行に配置されており、第1の端部32から第1の方向を規定している第2の端部34へと、マイクロチャネル層25の長さに沿って延在している。各マイクロチャネル層25の第2のマイクロチャネル23も、平行に配置されており、第3の端部33から、第2の方向を規定している第3の端部33に対向する第4の端部37へマイクロチャネル層25の長さに沿って延在している。第1及び第2の方向は互いに直交しており、従って、第1のマイクロチャネル21と第2のマイクロチャネル23とが互いに直交している。
【0046】
MECS透析器12を含む本発明の実施例による方法では、血液は、第1の端部32から第2の端部34へ第1のマイクロチャネル21を通って流れ、透析液は、第3の端部33から第4の端部37へ第2のマイクロチャネル23を通って流れ、交流と呼ばれる。
【0047】
図2に示す実施例と同様に、各マイクロチャネル層25内の第1のマイクロチャネル21の数は、例えば、10、100、1000、といった所望の数であってよく、対応する同じ数の第2のマイクロチャネル23がある。同様に、マイクロチャネル層25の繰り返しユニット29aの数も、例えば、10、100、1000というように所望の数であってよい。
【0048】
本発明の実施例によれば、膜で分離されたマイクロチャネル21、23を具えるマイクロチャネル層20、25を製造する方法はいくつもある。
【0049】
図2と、MECS透析器11の分解端面図である図4を参照すると、本発明の一実施例によれば、MECS透析器11は、重ね合わせて配置された複数の第1のマイクロチャネルシート20aと、第2のマイクロチャネルシート20bと、膜シート30を含む薄膜スタックを具える。第1のマイクロチャネルシート20aは、第1の側部36aと、第1の側部に対向する第2の側部38aを有する。第1の側部36aは、比較的滑らかであり、第2の側部38aは、複数の溝22aを具える。溝22aは、平行に配置されており、第1の端部32から第2の端部34へ第1のマイクロチャネルシート20aの長さに沿って延在している。
【0050】
第2のマイクロチャネルシート20bは、第1の側部36bと第2の側部38bを有しており、これらは両方とも複数の溝22aを具える。溝22aは、平行に配置されており、第1の端部32から第2の端部34へ第1のマイクロチャネルシート20bの長さに沿って延在している。
【0051】
第1及び第2のマイクロチャネルシート20a、bが重なると、溝22aは平行フローチャネルを規定し、形成するように構成されている。図2及び4に示す実施例では、異なるマイクロチャネルシート20a、b上の溝22aの対が、互いに平行に整列し、互いに液通するように構成されている。図3に示す実施例では、異なるマイクロチャネルシート20a、b上の溝22aの対は、直交して交差し、互いに部分的に液通するように構成されている。
【0052】
図4に示す実施例では、第1のマイクロチャネルシート20aが、MECS透析器11の上側部42および底側部40に設けられている。複数の第2のマイクロチャネルシート20bは、第1のマイクロチャネルシート20aの間に設けられている。第1及び第2のマイクロチャネルシート20a、20bの間には、膜シートが挟み込まれており、この膜シートは、異なるマイクロチャネルシート20a、b上の溝22aの共通部分を二等分して、第1及び第2のマイクロチャネル21、23を規定している。薄膜スタックは、公知の適当なプロセスのいずれかで、以下に更に述べるように連結されている。
【0053】
図4に示す実施例の第1及び第2のマイクロチャネルシート20a、bの溝22aは、約2のアスペクト比、すなわち、幅と高さ比を有しているように示されている。マイクロチャネルシートの溝のアスペクト比は、特定の目的のために予め決められている。図5は、本発明の一実施例による、アスペクト比が約5の複数の溝22bを具える、第1の側部36cと第1の側部に対向する第2の側部38cを有する第3のマイクロチャネルシート20cの端面図である。アスペクト比の高い溝は、特定の目的に好適にするように、第1及び第2のマイクロチャネル21、23間の膜30の表面積を大きくする。
【0054】
マイクロチャネルシートは、材料が血液適合特性を有している限り、さまざまなもので製造することができる。例として、材料がポリスルホンなどのポリマを具える場合がある。更に、マイクロチャネルシート材料は、溝22a、bを形成するのに使用される製造プロセスに応じて、成形、マイクロマシーニング、型抜き、パターン印刷、あるいは膜表面上へのマイクロ流体スプレイが可能な材料特性を有していなければならない。
【0055】
マイクロチャネルシート20、25内に溝22a、bを製造する製造オプションは公知であり、特に、型抜き、マイクロマシーニング、蒸着、シリコンマイクロ製造技術、Nd:YAGマイクロマシーニングレーザシステムを用いたレーザアブリメーション(laser ablimation)、型押し、粉末射出成形、あるいはマイクロチャネルシートの形成または成形、電気化学マイクロマシーニング、フォトリソグラフィ、およびソフトリソグラフィ、およびこれらの組み合わせを含む。
【0056】
図2乃至図4に示すMECS透析器11、12の実施例の薄膜構造によって、特定の目的に合わせて、マイクロチャネル層からマイクロチャネル層へ、または一端から他端へ延びる溝の異なるアスペクト比を組み合わせることができる。
【0057】
図6Aは、本発明の実施例に係る様々なアスペクト比のマイクロチャネルを有するMECS13透析器の平面図である。図6Bは、MECS透析器13の切断面6B−6Bにおけるマイクロチャネルシート20dの端面図であり、この断面において、マイクロチャネルシート20dは比較的低アスペクト比の溝22aを具えていることを示している。図6Cは、MECS透析器13の切断面6C−6Cにおけるマイクロチャネルシート20dの端面図であり、この断面において、マイクロチャネルシート20dは比較的高アスペクト比の溝22bを具えていることを示している。図6Dは、MECS透析器13の切断面6D−6Dにおけるマイクロチャネルシート20dの端面図であり、この断面において、マイクロチャネルシート20dは、溝22bにわたって膜(図示せず)を支持するように構成された支持ウエブ52を更に具え、その結果フローチャネルを形成している、比較的高アスペクト比の溝22bを具えていることを示している。
【0058】
図2乃至4、及び図6のMECS透析器の実施例の薄膜構造によって、マイクロプレナムまたはマイクロマニフォールドの集合をマイクロチャネルシートに組み込むことができる。マイクロプレナムは、血液及び透析液の各々について単一の入口ポートから、それぞれマイクロチャネルに血液と透析液を分配する。
【0059】
図7は、本発明の実施例による、複数の溝22と、この溝22と液通しているプレナム溝52と、プレナム溝52に液通した入口54を具えるマイクロチャネルシート20eの平面図である。プレナム溝52は、入口54から入ってくる流体を複数の溝22の方向に向ける。同様の構成をマイクロチャネルシート20eの第2の端部に設けて、以下に述べるように溝22から出てゆく流体の出口用プレナムを提供することができる。
【0060】
図8A及び8Bは、本発明の実施例による、複数の溝22と、溝22に液通した二つのプレナム溝56と、第1及び第2の端部51、53の一方と、入口57と、プレナム溝56の一方または他方と液通した出口58とを具えるマイクロチャネルシート20f、20gの平面図である。プレナム溝56は、複数の溝22から/への入口54または出口58から入ってくるまたは出てゆく流体を方向付ける。図8Cは、連結したマイクロチャネルシート20f、20gのスタックの入口57と出口58を示すマイクロチャネルシート20f、20gで作ったMECS透析器14の端面図である。
【0061】
MECS透析器の実施例の薄膜構造によって、連続するマイクロチャネルシートを隣接するマイクロチャネルシートに対して90°回転させて、図3に示すように交流構造に構成した直交する方向に延在する2セットのマイクロチャネルを形成することができる。
【0062】
薄膜スタックは、さまざまな方法を用いて互いに連結または接着することができる。これらの接着方法には、限定するものではないが、接着剤による接着、接着剤を被覆した接着面と熱リフロープロセスにかけたスタック、超音波溶接、高周波溶接、圧力接着、拡散接着、膜またはマイクロチャネルシート材料に加えた接着剤、その他が含まれる。
【0063】
本発明に係る方法の実施例では、薄膜の温度を上げて、薄膜スタックの構成部品を柔軟にする及び/又は選択的に溶かして、隣接する面を接着する。
【0064】
特に有望な熱接着法は、熱膨張接着固定具を用いたものであり、ここでは接着固定具と薄膜を用いて、特許協力条約(PCT)の下に公開された特許出願第WO2005/045894 A2号、装置の大容量マイクロラミネーション製造(High Volume Microlamination Production of Devices)に記載されているような、いわゆる熱強化エッジレジストレーション(thermal-enhanced edge registration:TEER)法で、固定具内で薄膜を自己整合させている。この文献は、全ての目的でここに引用されている。
【0065】
図9Aは、本発明の実施例による並流MECS透析器15の端面図である。MECS透析器15は、第1の側部91と第2の側部92を有する複数の膜シート30を具える。膜シート30は更に、所定のパターンで第1及び第2の側部91と92から突出している複数のフローセパレータ90を具える。図9Bは、図9Aの実施例のMECS透析器16のフローセパレータ90を有する2枚の膜シート30の分解端面図である。図9Cは、図9Aに示す実施例のMECS透析器15のフローセパレータ90を有する膜シート30の平面図である。フローセパレータ90は、平行に配置されており、第1の端部93から第1の端部93に対向する第2の端部95へ膜シート30の長さに沿って延在している。フローセパレータ90は、2枚の隣接する膜シート90が薄膜スタック内に配置されている場合に交差するように構成されている。
【0066】
フローセパレータ90付の膜シート30は、互いに上に積み重ねられマイクロチャネル層120の繰り返しユニット129を提供する。フローセパレータ90と膜シート30は、複数の平行な第1及び第2のマイクロチャネル21、23を規定している。MECS透析器15は、更に、このスタックの上側部42と底側部40上に端部シート94を具えており、隣接するフローセパレータ90を包含して、流体を密封する。
【0067】
マイクロチャネル層120は、血液流用に提供されている複数の第1のマイクロチャネル21と、透析液流用に提供されている第2のマイクロチャネル23とを具える。第1及び第2のマイクロチャネル21、23は、間の膜30によって、およびマイクロチャネルフローセパレータ90によって規定される。第1及び第2のマイクロチャネル21、23は、膜30を介して液通している。薄膜スタックが緻密化する間に、フローセパレータ90は、互いに接合して、限定するものではないが、リフロー接合および接着剤接合を含むいずれかの好適な方法を用いて、液密シールを形成する。
【0068】
図9A−Cに示す実施例では、各第1のマイクロチャネル21は、端部シート94近傍の部分を除いて、膜30を介して二つの第2のマイクロチャネル23に液通しており、従って、ほぼ同じサイズの第1のマイクロチャネル21について、図2−4に示す実施例の約2倍の膜表面積を提供する。
【0069】
フローセパレータ90は、特定の目的に好適な数々の公知のプロセスにおいて膜30の上に設けることができる。本発明の実施例では、フローセパレータ90は、限定するものではないが、ジェット印刷、シルクスクリーン印刷、インサイチュー接合、および蒸着などの方法を用いて膜の上に設けることができる。
【0070】
図10は、本発明の実施例による、MECS透析器16と二つのヘッダ62a、bを具えるMECS透析器ユニット60の分解斜視図である。二つのヘッダ62a、bは各々、入口57、出口58、および血液と透析液回収して、これらの流体をMECS透析器16の適宜のマイクロチャネル21、23へ分配するためのチャネルを具える。第1のヘッダ62aは、体外血液ラインから血液を受け取って、この血液を、血液の流れにおけるせん断を最小限にするために薄膜フローとしてMECS透析器16の第1のマイクロチャネル21へ分配するように構成されている。第1のヘッダ62a内の流れ場は、血球が第1のヘッダ62aを通ってMECS透析器16へ移動するときに血球へのダメージを最小限にするように制御されている。次いで、この血液は、MECS透析器16を離れるときにマイクロチャネル21から第2のヘッダ62bへ回収される。この回収された血液は、次いで、体外血液ラインへ送られ、患者に戻される。第2のヘッダ62bは、流れ場を出る血液中のせん断を低減する特性を具え、出てゆく血球へのダメージを低減する。
【0071】
同様の構成において、第2のヘッダ62bは、透析液処理システムから透析液を受け取って、MECS透析器16の第2のマイクロチャネル23へ分配するように構成されている。透析液は、次いで、MECS透析器16を離れるときに第2のマイクロチャネル23から、第1のヘッダ62aによって回収される。回収された透析液は、次いで、透析液処理システムに送られる。この構成は、血液と透析液の間に向流を提供する。
【0072】
血液と透析液間の並流構造では、第1のヘッダ62aが透析液処理システムから透析液を受け取って、MECS透析器16の第2のマイクロチャネル23に分配するように構成されている。次いで、透析液はMECS透析器16を離れるとき第2のヘッダ62bによって、第2のマイクロチャネル23から回収される。この回収された透析液は、次いで、透析液処理システムに送られる。
【0073】
MECS透析器ユニットの一実施例では、ヘッダはコンプライアントインターフェースと、MECS透析器とヘッダとの間に設けたシールを組み入れている。このシールによって、MECS透析器とヘッダとは、高い製造精度を要することなく液通して連結することができる。
【0074】
第1のマイクロチャネル21は、各々、限定するものではないが、正方形、矩形、あるいは半円形といった、どのような形状の断面を有していても良い。第1のマイクロチャネル21は各々、最大約1000ミクロンの内部高さまたは幅を有していても良く、一の実施例では、高さが約100ミクロン、幅が約200ミクロンである。各第1のマイクロチャネル21の長さは、最大約0.5cmであっても良い。
【0075】
MECS透析器11、12の実施例において、第1のマイクロチャネル21を流れる血流は、層流、転流、あるいは乱流であってもよい。一の実施例では、この血流が第1のマイクロチャネル21を流れる血液のレイノルズ数が約3000未満の層流である。別の実施例では、血流が第1のマイクロチャネル21を流れる血液のレイノルズ数が約4000未満の層流又は転流である。もう一つの実施例では、この血流が第1のマイクロチャネル21を流れる血液のレイノルズ数が約4000以上の乱流である。血液は、非ニュートン流体であり、したがって、不均一であり、血液に適用する場合のレイノルズ数の概念は、血液が所定の粘度のニュートン流体であることを想定して使用されている。例えば、ダメージをあたえる血球や血小板といったいくつかの血液の構成成分の脆弱性によって、及び/又は、乱流の中で生じることがある高いせん断応力への凝固カスケードの開始によって、層流特性が所望され、本発明の実施例によるMECS透析において達成することができる。
【0076】
第2のマイクロチャネル23を流れる透析液流は層流、転流、または乱流であってもよい。第2のマイクロチャネル23は各々、限定するものではないが、正方形、矩形、半円形といったどのような形状の断面を有していても良い。第2のマイクロチャネル23は各々、最大で約1000ミクロンの内部高さまたは幅を有していても良く、一の実施例では、高さが約100ミクロンで、幅が約200ミクロンである。各第1のマイクロチャネル23の長さは、限定するものではないが、長さあたりの滞留時間の関数としての透析液利用率といった、特定の目的のために予め決められた好適な長さであってもよい。一の実施例では、この流れが第2のマイクロチャネル23を通る透析液が約3000未満のレイノルズ数を有する層流である。別の実施例では、この流れは、第2のマイクロチャネル23を通る透析液が約4000未満のレイノルズ数を有する層流又は転流である。もう一つの実施例では、この流れは、第2のマイクロチャネル23を通る透析液が約4000以上のレイノルズ数を有する乱流である。
【0077】
中空糸透析液のほとんどのデザインに現在使用されている膜材料は、ポリスルホンである。多孔率は、製造時に制御されるが、構築方法に制限がある。MECS透析器に使用されている平らなシート膜によれば、膜のデザインに多くの改良を加えることができる。デザインの改良は、脈動流状態にある間に透析器のコンプライアンスを低減するためにより剛性が高く、薄い膜を支持すると共に、血液透析と血液適合性を改善するためにより透過性のある膜を支持するナノ構造の膜の成層を含む。このコンポジット構造は、ナノ粒子を埋め込んで、浄化のために特定の溶質をターゲットにすること、膜内に抗凝結剤を埋め込むこと、膜マトリックス内に腎性たんぱく質及び/又は腎尿細管細胞を埋め込んで、強化された血液溶質浄化値がより良好な合成天然腎臓機能をMECS透析器に提供することを含む、膜性能を強化する能力を提供する。
【0078】
本発明によって作られたMECS透析器は、透析アプリケーションにおける物質移動を促進することができる埋め込み型の高密度に平行または垂直であるマイクロチャネルアレイを提供する。マイクロチャネルによって提供される小さいという特徴のサイズは、表面積対体積比が大きいという利点、薄膜フロー条件、および高圧で動作する機会を提供する。
【0079】
マイクロチャネルでは非常に高速での物質移動が可能である。マイクロチャネルジオメトリとマイクロ薄膜製造技術を組み入れたMECS透析器は、透析アプリケーションにおいて物質移動に必要な特徴または滞留時間を急進的に低減する。従来の透析ユニットと異なり、マイクロ技術ベースのデザインが、膜の両側に均等にマイクロスケールの径を維持する。また、従来の中空糸透析器と異なり、マイクロチャネルジオメトリとマイクロ薄膜技術によって、より良好にまたより容易に、透析膜の両側において正確に特別設計した流れを実現することができる。本発明による実施例では、例えば、マイクロ技術ベースのMECS透析器に、100ミクロン径の透析液フローチャネルが設けられている。中空糸を用いた従来の透析器と比較すると、このジオメトリは、同じ動作パラメータについて10乃至100のファクタ分、透析器のサイズを小さくする。
【0080】
MECS透析器は、最小の膜表面で血液浄化値を最大にするようにデザインされている。血流の場は、透析器内で最小血液滞留時間で血液浄化値を最大にするように特別設計されており、膜にかかる圧力損失を最小にして、血球のダメージを最小に抑える。透析液流の場は、最小の量の透析液で拡散プロセスを最大にするように特別に設計されている。
【0081】
透析は、拡散によって血液から老廃物や、溶質を除去する。透析液は膜に短時間露出するだけであり、溶質分子は、比較的大量の透析液内へ均等に拡散するのに十分な時間がなく、最適でない場合には拡散勾配を大きくする。従って、透析中の効果的な拡散は、膜近くでのみ生じ、膜からの距離が遠くなるにつれて効率が下がる。
【0082】
本発明によるMECS透析器の主な利点は、利用率100%に近づくように、透析液流を最適化する能力である。標準的な中空糸透析器では、例えば、血液側の勾配は、ファイバ内の血液路の比較的小さな径によって相対的に制御される。しかし、透析液側の勾配は、比較的大きなフロー路と透析液の量によって制御できない。膜の透析液側の拡散勾配を制御不可能であることは、透析液流体の利用率が低くなる。標準的透析器を通過する透析液は、ほとんど膜に晒されずに、血液を浄化するのに使用されることなく透析器を離れる。
【0083】
比較すると、本発明の実施例によるMECS透析器は、幅が固定したマイクロチャネルを通る透析液の構造的流れを使用している。マイクロチャネルの間隔は、血液を浄化するのに使用する透析液を効果的に利用するように予め決められている。透析液溶質が少ないほど、透析機械のサイズが小さくなる。
【0084】
更に、構造的フロー路は停滞流の面積を最小にして、シャントフローを取り除き、透析液流に晒される膜の全面積を確実に最大利用する。このことは、溶質の浄化値を大きく改良し、透析器が現在入手可能な中空糸透析器と比較して、所定のパフォーマンス要求に対して少ない表面積を有するようにする。低減した膜長さと表面積が、血液に対する圧力を低減し、溶血を低減し、治療中に患者の外側にある回路内の血液量を低減する。
【0085】
本発明の特定の実施例に関連させて本発明について述べたが、更なる変更が可能であり、この出願は、上述した本質的な特徴に適用可能であり、本発明の範囲内と特許請求の範囲の限定内にあるかぎり、本発明の原理に続く、本発明が関連する分野における公知のあるいは慣習的な実用の範囲内にある本発明からの逸脱を含み、本発明のあらゆる変形、使用、改作をカバーすることを意図していると解される。
【図面の簡単な説明】
【0086】
同じ符号は、一般的に図中の対応する要素を示す。
【図1】図1は、本発明による透析システムの概略図である。
【図2】図2は、本発明の実施例による並流MECS透析器を示す斜視図である。
【図3】図3は、本発明の実施例による交流MECS透析器を示す斜視図である。
【図4】図4は、本発明の実施例による、重ね合わせて構成した複数の第1マイクロチャネルシートと、第2のマイクロチャネルシートと、膜シートを具える薄膜スタックの分解端面図である。
【図5】図5は、本発明の実施例による、第1の側部と、第1の側部に対向する第2の側部を有し、アスペクト比が約5の複数の溝を具える第3のマイクロチャネルシートの端面図である。
【図6】図6Aは、本発明の実施例による、複数のアスペクト比のマイクロチャネルを有するMECS透析器の平面図である。図6Bは、図6Aに示す実施例のMECS透析器の6B−6Bに沿って切った断面図であり、この面においてマイクロチャネルシートは比較的アスペクト比が低い溝を具えている。図6Cは、図6Aに示す実施例のMECS透析器の6C−6Cに沿って切った断面図であり、この面においてマイクロチャネルシートは比較的アスペクト比が高い溝を具えている。図6Dは、図6Aに示す実施例のMECS透析器の6D−6Dに沿って切った断面図であり、この面においてマイクロチャネルシートは比較的アスペクト比が高い溝を具えており、更に、この溝に渡る膜を更に支持してフローチャネルを作るように構成された支持ウエブを具えている。
【図7】図7は、本発明の実施例による、複数の溝と、これらの溝と液通しているプレナム溝と、このプレナム溝と液通している入口を具えるマイクロチャネルシートを示す平面図である。
【図8】図8Aおよび8Bは、本発明の実施例による、複数の溝と、これらの溝と第1又は第2の端部のいずれかで液通している二つのプレナム溝と、この二つのプレナム溝のいずれかと液通している入口および出口を具える2枚のマイクロチャネルシートを示す平面図である。
【図9】図9Aは、本発明の実施例による、並流MECS透析器の端面図であり、図9Bおよび9Cは、それぞれ、図9Aに示す実施例のMECS透析器の分解端面図および平面図である。
【図10】図10は、本発明の実施例による、マイクロチャネルシートのスタックと、二つのヘッダを具えるMECS透析器の分解斜視図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透析器において;
複数の半透過性膜シートと;及び
複数のフローセパレータとを具え、前記膜シートとフローセパレータが交互に配置されており、複数の平行マイクロチャネル層を規定する薄膜スタックに連結されており、各マイクロチャネル層が、複数の第1のマイクロチャネルと、複数の第2のマイクロチャネルを具えており、各マイクロチャネル層の前記第1及び第2のマイクロチャネルがその間の前記複数の膜シートの一つを介して互いに液通していることを特徴とする透析器。
【請求項2】
請求項1に記載の透析器において、各マイクロチャネル層の前記第1のマイクロチャネルが平行であり、各マイクロチャネル層の前記第2のマイクロチャネルが平行であることを特徴とする透析器。
【請求項3】
請求項2に記載の透析器において、前記マイクロチャネル層の前記第1及び第2のマイクロチャネルが平行であることを特徴とする透析器。
【請求項4】
請求項2に記載の透析器において、前記マイクロチャネル層の前記第1及び第2のマイクロチャネルが直交していることを特徴とする透析器。
【請求項5】
請求項1に記載の透析器において、前記フローセパレータが:
第1の側部と、当該第1の側部に対向する第2の側部を具え、当該第2の側部がその中に平行な溝を具える複数の第1のマイクロチャネルシートと;
第1の側部と、当該第1の側部に対向する第2の側部を具え、当該第1及び第2の側部がその中に平行な溝を有している複数の第2のマイクロチャネルシートを具え、前記薄膜スタックが、薄膜スタック上側部と薄膜スタック底側部とを具え、各マイクロチャネル層が、間に膜シートを伴い、そこに連結されている第1及び第2のマイクロチャネルシートであって、前記対向関係にある溝が前記薄膜スタック上側部と底側部において前記膜シートによって分離されている第1及び第2のマイクロチャネルシートか、間に膜シートを伴い、そこに連結されている2枚の第2のマイクロチャネルシートであって、前記対向関係にある溝が前記膜シートで分離されている2枚の第2のマイクロチャネルシートのいずれかを具える薄膜サブスタックを具えることを特徴とする透析器。
【請求項6】
請求項1に記載の透析器において、前記フローセパレータが:
第1の側部と、当該第1の側部に対向する第2の側部と、第1の端部と当該第1の端部に対向する第2の端部を具え、少なくとも一方の側部が前記第1の端部から前記第2の端部へ延在する平行な溝を有する複数の第1のマイクロチャネルシートと;
第1の側部と、当該第1の側部に対向する第2の側部と、第1の端部と当該第1の端部に対向する第2の端部を具え、少なくとも一方の側部が前記第1の端部から前記第2の端部へ延在する平行な溝を有する複数の第2のマイクロチャネルシートを具え、各マイクロチャネル層が、間に膜シートを有し、そこに連結されている第1及び第2のマイクロチャネルシートを具える薄膜サブスタックを具え、前記対向関係にある溝が前記膜シートで分離されていることを特徴とする透析器。
【請求項7】
請求項6に記載の透析器において、前記複数の第1のマイクロチャネルシートが更に、前記第1及び第2の各端部に第1のプレナム溝を具え、前記第1のプレナム溝が、前記第1のマイクロチャネルシート上の前記溝と液通しており、前記複数の第2のマイクロチャネルシートが更に、前記第1及び第2の各端部に第2のプレナム溝を具え、前記第2のプレナム溝が前記第2のマイクロチャネルシート上の溝と液通していることを特徴とする透析器。
【請求項8】
請求項1に記載の透析器において、各膜シートが第1の側部と、当該第1の側部に対向する第2の側部、及び第1の端部と前記第1の端部に対向する第2の端部を有し、前記フローセパレータが前記第1及び第2の側部から突出して前記第1の端部から前記第2の端部へ延在する平行な溝を規定しており、各マイクロチャネル層が、少なくとも2枚の膜シートを具える単位薄膜スタックを具え、前記溝が対向関係にあり、前記フローセパレータが互いに隣接してそこに連結して、第1及び第2のマイクロチャネルの交互の層を規定することを特徴とする透析器。
【請求項9】
請求項8に記載の透析器が更に、第1のヘッダと第2のヘッダを具え、前記第1のヘッダが前記第1の端部で前記第1のマイクロチャネルと液通する入口と、前記第1の端部で前記第2のマイクロチャネルと液通する出口とを具え、前記第2のヘッダが、前記第2の端部で前記第2のマイクロチャネルと液通する入口と、前記第2の端部で前記第1のマイクロチャネルと液通する出口と、を具えることを特徴とする透析器。
【請求項10】
請求項8に記載の透析器が更に、第1のヘッダと第2のヘッダを具え、前記第1のヘッダが前記第1の端部で前記第1のマイクロチャネルと液通する第1の入口と、前記第1の端部で前記第2のマイクロチャネルと液通する第2の入口とを具え、前記第2のヘッダが、前記第2の端部で前記第1のマイクロチャネルと液通する第1の出口と、前記第2の端部で前記第2のマイクロチャネルと液通する第2の出口と、を具えることを特徴とする透析器。
【請求項11】
透析システムにおいて:
血液取扱い装置と;
透析液取扱い装置と;
複数の半透過性膜シートを具える透析器と;及び
複数のフローセパレータとを具え、前記膜シートとフローセパレータが交互に配置されており、薄膜スタックに連結されて複数の平行マイクロチャネル層を規定しており、各マイクロチャネル層が複数の第1のマイクロチャネルと、複数の第2のマイクロチャネルを具え、各マイクロチャネル層の前記第1及び第2のマイクロチャネルがその間の前記複数の膜シートの一つを介して互いに液通しており、前記血液取扱い装置が前記第1のマイクロチャネルと液通しており、前記透析液取扱い装置が前記第2のマイクロチャネルと液通していることを特徴とする透析システム。
【請求項12】
請求項11に記載の透析システムにおいて、前記血液取扱い装置が、第1の端部において前記第1のマイクロチャネルへ血液を供給し、第2の端部において前記第2のマイクロチャネルから血液を排出するように構成されており、前記透析液取扱い装置が、前記第2の端部において前記第2のマイクロチャネルへ透析液を供給し、前記第1の端部において前記第2のマイクロチャネルから透析液を排出するように構成されていることを特徴とする透析システム。
【請求項13】
請求項11に記載の透析システムにおいて、前記血液取扱い装置が、第1の端部において前記第1のマイクロチャネルへ血液を供給し、第2の端部において前記第2のマイクロチャネルから血液を排出するように構成されており、前記透析液取扱い装置が、前記第1の端部において前記第2のマイクロチャネルへ透析液を供給し、前記第2の端部において前記第2のマイクロチャネルから透析液を排出するように構成されていることを特徴とする透析システム。
【請求項14】
請求項11に記載の透析システムにおいて、各膜シートが第1の側部と当該第1の側部に対向する第2の側部と、第1の端部と当該第1の端部に対向する第2の端部を有し、前記フローセパレータが前記第1及び第2の側部から突出して前記第1の端部から前記第2の端部へ延在する平行な溝を規定しており、各マイクロチャネル層が、少なくとも2枚の膜シートを具える単位薄膜スタックを具え、前記溝が対向関係にあり、前記フローセパレータが互いに隣接しており、そこに連結されて第1及び第2のマイクロチャネルの交互の層を規定することを特徴とするシステム。
【請求項15】
血液透析方法において:
複数の半透過性膜シートと;
複数のフローセパレータとを具える透析器を提供するステップであって、前記膜シートとフローセパレータが交互に配置されており、複数の平行なマイクロチャネル層を規定する薄膜スタックに連結されて、各マイクロチャネル層が複数の第1のマイクロチャネルと複数の第2のマイクロチャネルを具え、各マイクロチャネル層の前記第1及び第2のマイクロチャネルが、その間にある前記複数の膜シートの一つを介して互いに液通しており、前記血液取扱い装置が前記第1のマイクロチャネルと液通しており、前記透析液取扱い装置が前記第2のマイクロチャネルと液通している透析器を提供するステップと;
第1の端部において前記第1のマイクロチャネルに血液を供給するステップと;
第2の端部において前記第2のマイクロチャネルに透析液を供給するステップと;
第2の端部において前記第1のマイクロチャネルから血液を排出するステップと;
第1の端部において前記第2のマイクロチャネルから透析液を排出するステップと;
を具えることを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法において、前記第1のマイクロチャネルセットを通る血液の流れが非乱流であることを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項15に記載の方法において、前記第1のマイクロチャネルセットを通る血液の流れが層流であることを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項15に記載の方法において、前記第1のマイクロチャネルセットを流れる血液の流れが前記第2のマイクロチャネルセットを流れる透析液の流れに対して向流であることを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項15に記載の方法において、前記第1のマイクロチャネルセットを流れる血液の流れが前記第2のマイクロチャネルセットを流れる透析液の流れに対して並流であることを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項15に記載の方法において、前記第1のマイクロチャネルセットを流れる血液の流れが前記第2のマイクロチャネルセットを流れる透析液の流れに対して交流であることを特徴とする方法。
【請求項21】
請求項15に記載の方法において、前記第1及び第2のマイクロチャネルが最大1000ミクロンの内寸を有することを特徴とする方法。
【請求項1】
透析器において;
複数の半透過性膜シートと;及び
複数のフローセパレータとを具え、前記膜シートとフローセパレータが交互に配置されており、複数の平行マイクロチャネル層を規定する薄膜スタックに連結されており、各マイクロチャネル層が、複数の第1のマイクロチャネルと、複数の第2のマイクロチャネルを具えており、各マイクロチャネル層の前記第1及び第2のマイクロチャネルがその間の前記複数の膜シートの一つを介して互いに液通していることを特徴とする透析器。
【請求項2】
請求項1に記載の透析器において、各マイクロチャネル層の前記第1のマイクロチャネルが平行であり、各マイクロチャネル層の前記第2のマイクロチャネルが平行であることを特徴とする透析器。
【請求項3】
請求項2に記載の透析器において、前記マイクロチャネル層の前記第1及び第2のマイクロチャネルが平行であることを特徴とする透析器。
【請求項4】
請求項2に記載の透析器において、前記マイクロチャネル層の前記第1及び第2のマイクロチャネルが直交していることを特徴とする透析器。
【請求項5】
請求項1に記載の透析器において、前記フローセパレータが:
第1の側部と、当該第1の側部に対向する第2の側部を具え、当該第2の側部がその中に平行な溝を具える複数の第1のマイクロチャネルシートと;
第1の側部と、当該第1の側部に対向する第2の側部を具え、当該第1及び第2の側部がその中に平行な溝を有している複数の第2のマイクロチャネルシートを具え、前記薄膜スタックが、薄膜スタック上側部と薄膜スタック底側部とを具え、各マイクロチャネル層が、間に膜シートを伴い、そこに連結されている第1及び第2のマイクロチャネルシートであって、前記対向関係にある溝が前記薄膜スタック上側部と底側部において前記膜シートによって分離されている第1及び第2のマイクロチャネルシートか、間に膜シートを伴い、そこに連結されている2枚の第2のマイクロチャネルシートであって、前記対向関係にある溝が前記膜シートで分離されている2枚の第2のマイクロチャネルシートのいずれかを具える薄膜サブスタックを具えることを特徴とする透析器。
【請求項6】
請求項1に記載の透析器において、前記フローセパレータが:
第1の側部と、当該第1の側部に対向する第2の側部と、第1の端部と当該第1の端部に対向する第2の端部を具え、少なくとも一方の側部が前記第1の端部から前記第2の端部へ延在する平行な溝を有する複数の第1のマイクロチャネルシートと;
第1の側部と、当該第1の側部に対向する第2の側部と、第1の端部と当該第1の端部に対向する第2の端部を具え、少なくとも一方の側部が前記第1の端部から前記第2の端部へ延在する平行な溝を有する複数の第2のマイクロチャネルシートを具え、各マイクロチャネル層が、間に膜シートを有し、そこに連結されている第1及び第2のマイクロチャネルシートを具える薄膜サブスタックを具え、前記対向関係にある溝が前記膜シートで分離されていることを特徴とする透析器。
【請求項7】
請求項6に記載の透析器において、前記複数の第1のマイクロチャネルシートが更に、前記第1及び第2の各端部に第1のプレナム溝を具え、前記第1のプレナム溝が、前記第1のマイクロチャネルシート上の前記溝と液通しており、前記複数の第2のマイクロチャネルシートが更に、前記第1及び第2の各端部に第2のプレナム溝を具え、前記第2のプレナム溝が前記第2のマイクロチャネルシート上の溝と液通していることを特徴とする透析器。
【請求項8】
請求項1に記載の透析器において、各膜シートが第1の側部と、当該第1の側部に対向する第2の側部、及び第1の端部と前記第1の端部に対向する第2の端部を有し、前記フローセパレータが前記第1及び第2の側部から突出して前記第1の端部から前記第2の端部へ延在する平行な溝を規定しており、各マイクロチャネル層が、少なくとも2枚の膜シートを具える単位薄膜スタックを具え、前記溝が対向関係にあり、前記フローセパレータが互いに隣接してそこに連結して、第1及び第2のマイクロチャネルの交互の層を規定することを特徴とする透析器。
【請求項9】
請求項8に記載の透析器が更に、第1のヘッダと第2のヘッダを具え、前記第1のヘッダが前記第1の端部で前記第1のマイクロチャネルと液通する入口と、前記第1の端部で前記第2のマイクロチャネルと液通する出口とを具え、前記第2のヘッダが、前記第2の端部で前記第2のマイクロチャネルと液通する入口と、前記第2の端部で前記第1のマイクロチャネルと液通する出口と、を具えることを特徴とする透析器。
【請求項10】
請求項8に記載の透析器が更に、第1のヘッダと第2のヘッダを具え、前記第1のヘッダが前記第1の端部で前記第1のマイクロチャネルと液通する第1の入口と、前記第1の端部で前記第2のマイクロチャネルと液通する第2の入口とを具え、前記第2のヘッダが、前記第2の端部で前記第1のマイクロチャネルと液通する第1の出口と、前記第2の端部で前記第2のマイクロチャネルと液通する第2の出口と、を具えることを特徴とする透析器。
【請求項11】
透析システムにおいて:
血液取扱い装置と;
透析液取扱い装置と;
複数の半透過性膜シートを具える透析器と;及び
複数のフローセパレータとを具え、前記膜シートとフローセパレータが交互に配置されており、薄膜スタックに連結されて複数の平行マイクロチャネル層を規定しており、各マイクロチャネル層が複数の第1のマイクロチャネルと、複数の第2のマイクロチャネルを具え、各マイクロチャネル層の前記第1及び第2のマイクロチャネルがその間の前記複数の膜シートの一つを介して互いに液通しており、前記血液取扱い装置が前記第1のマイクロチャネルと液通しており、前記透析液取扱い装置が前記第2のマイクロチャネルと液通していることを特徴とする透析システム。
【請求項12】
請求項11に記載の透析システムにおいて、前記血液取扱い装置が、第1の端部において前記第1のマイクロチャネルへ血液を供給し、第2の端部において前記第2のマイクロチャネルから血液を排出するように構成されており、前記透析液取扱い装置が、前記第2の端部において前記第2のマイクロチャネルへ透析液を供給し、前記第1の端部において前記第2のマイクロチャネルから透析液を排出するように構成されていることを特徴とする透析システム。
【請求項13】
請求項11に記載の透析システムにおいて、前記血液取扱い装置が、第1の端部において前記第1のマイクロチャネルへ血液を供給し、第2の端部において前記第2のマイクロチャネルから血液を排出するように構成されており、前記透析液取扱い装置が、前記第1の端部において前記第2のマイクロチャネルへ透析液を供給し、前記第2の端部において前記第2のマイクロチャネルから透析液を排出するように構成されていることを特徴とする透析システム。
【請求項14】
請求項11に記載の透析システムにおいて、各膜シートが第1の側部と当該第1の側部に対向する第2の側部と、第1の端部と当該第1の端部に対向する第2の端部を有し、前記フローセパレータが前記第1及び第2の側部から突出して前記第1の端部から前記第2の端部へ延在する平行な溝を規定しており、各マイクロチャネル層が、少なくとも2枚の膜シートを具える単位薄膜スタックを具え、前記溝が対向関係にあり、前記フローセパレータが互いに隣接しており、そこに連結されて第1及び第2のマイクロチャネルの交互の層を規定することを特徴とするシステム。
【請求項15】
血液透析方法において:
複数の半透過性膜シートと;
複数のフローセパレータとを具える透析器を提供するステップであって、前記膜シートとフローセパレータが交互に配置されており、複数の平行なマイクロチャネル層を規定する薄膜スタックに連結されて、各マイクロチャネル層が複数の第1のマイクロチャネルと複数の第2のマイクロチャネルを具え、各マイクロチャネル層の前記第1及び第2のマイクロチャネルが、その間にある前記複数の膜シートの一つを介して互いに液通しており、前記血液取扱い装置が前記第1のマイクロチャネルと液通しており、前記透析液取扱い装置が前記第2のマイクロチャネルと液通している透析器を提供するステップと;
第1の端部において前記第1のマイクロチャネルに血液を供給するステップと;
第2の端部において前記第2のマイクロチャネルに透析液を供給するステップと;
第2の端部において前記第1のマイクロチャネルから血液を排出するステップと;
第1の端部において前記第2のマイクロチャネルから透析液を排出するステップと;
を具えることを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法において、前記第1のマイクロチャネルセットを通る血液の流れが非乱流であることを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項15に記載の方法において、前記第1のマイクロチャネルセットを通る血液の流れが層流であることを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項15に記載の方法において、前記第1のマイクロチャネルセットを流れる血液の流れが前記第2のマイクロチャネルセットを流れる透析液の流れに対して向流であることを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項15に記載の方法において、前記第1のマイクロチャネルセットを流れる血液の流れが前記第2のマイクロチャネルセットを流れる透析液の流れに対して並流であることを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項15に記載の方法において、前記第1のマイクロチャネルセットを流れる血液の流れが前記第2のマイクロチャネルセットを流れる透析液の流れに対して交流であることを特徴とする方法。
【請求項21】
請求項15に記載の方法において、前記第1及び第2のマイクロチャネルが最大1000ミクロンの内寸を有することを特徴とする方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図10】
【公表番号】特表2008−515551(P2008−515551A)
【公表日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−535829(P2007−535829)
【出願日】平成17年10月6日(2005.10.6)
【国際出願番号】PCT/US2005/036095
【国際公開番号】WO2006/042079
【国際公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【出願人】(506253388)ステイト オブ オレゴン アクティング バイ アンド スルー ザ ステイト ボード オブ ハイヤー エデュケーション オン ビハーフ オブ オレゴン ステイト ユニバーシティー (9)
【出願人】(507110914)ホーム ダイアリシス プラス,エルティーディー. (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年10月6日(2005.10.6)
【国際出願番号】PCT/US2005/036095
【国際公開番号】WO2006/042079
【国際公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【出願人】(506253388)ステイト オブ オレゴン アクティング バイ アンド スルー ザ ステイト ボード オブ ハイヤー エデュケーション オン ビハーフ オブ オレゴン ステイト ユニバーシティー (9)
【出願人】(507110914)ホーム ダイアリシス プラス,エルティーディー. (1)
【Fターム(参考)】
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