説明

MEL構造型ゼオライトの調製方法

【課題】MEL構造型ゼオライトの新規な調製方法を提供する。
【解決手段】i)水性媒体中で、少なくとも1種の四価元素の少なくとも1種の源および下記式(I)(式中、nはメチレン基(CH)の数を示し、6または7に等しく、R1およびR2は、2〜7個の炭素原子を有するアルキル基を示す)の少なくとも1種の窒素含有有機種を混合する段階と、ii)MEL構造型ゼオライトが形成されるまで上記混合物を水熱処理する段階とを少なくとも包含する方法が記載される。
【化1】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第四級アンモニウム基を含有するヘテロ環化合物を含む窒素含有有機構造化種の存在下に生じさせられるMEL構造型ゼオライトの新規調製方法に関する。本発明の方法に従って得られる前記MEL構造型ゼオライトは、有利には、触媒、吸着剤または分離剤としてその適用を見出している。
【背景技術】
【0002】
結晶化されたミクロ孔材料、例えば、ゼオライトまたはシリコアルミノリン酸塩は、触媒、触媒担体、吸着剤または分離剤として石油工業において広く用いられている固体である。多くのミクロ孔結晶構造が発見されたが、精油および石油化学の工業は、常時、ガスの精製または分離、炭素含有種の転化等の適用のために特定の性質を有する新しいゼオライト構造を探し求めている。
【0003】
MEL構造型ゼオライトは、従来技術(非特許文献1)に記載されている。MEL構造型ゼオライトは、特に、ZSM−11ゼオライト、ボラライト(Boralite) D、SSZ−46、シリカライト2およびTS−2を含む。これらのゼオライト、特に、ゼオライトZSM−11の多くの合成方法が知られている。例えば、特許文献1からは、テトラブチルホスホニウムクロリド、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムブロミドおよび第5A族の他の第四級カチオンの中から選択される有機構造化剤を用いることによってMEL構造型ゼオライトを合成することが知られている。
【0004】
他の構造化剤も、すでに従来技術においてMEL構造型ゼオライトの調製、特に、ゼオライトZSM−11の調製のために記載されている。こららの構造化剤の中で、7〜12個の炭素原子の主鎖を有するアルキレンジアミン(特許文献2)、オクチルアミン(特許文献3)、二第四級アンモニウム(特許文献4)、1,8−ジアミノオクタンおよび1,9−ジアミノノナン(非特許文献2)、式H2n+1(CH(nは、9、10、11または12に等しくあり得る)を有するカチオン(特許文献5)、3,5−ジメチル−N,N−ジエチルピペリジニウムまたは3,5−ジメチルピペリジニウムの誘導体(特許文献6)、2,2−ジエチルオキシエチル トリメチル アンモニウム(非特許文献3)およびカチオン N−ブチル−N−シクロヘキシルピロリジニウム(非特許文献4)が見出される。
【特許文献1】米国特許第3709979号明細書
【特許文献2】米国特許第4108881号明細書
【特許文献3】米国特許第4894212号明細書
【特許文献4】米国特許第4941963号明細書
【特許文献5】米国特許第5213786号明細書
【特許文献6】国際公開第95/09812号パンフレット
【非特許文献1】シー・エイチ・ベルロチア(Ch. Baerlocher) 、ダブリュー・エム・マイアー(W. M. Meier)、ディー・エイチ・オルソン(D. H. Olson)著、「アトラス・オフ・ゼオライト・フレームワーク・タイプス(Atlas of Zeolite Framework types)」、第5版、2001年
【非特許文献2】ピー・エイ・ジェイコブス(P.A.Jacobs)およびジェイ・エイ・マーテンズ(J.A.Martens)著、「スタディース・イン・サーフェイス・サイエンス・アンド・キャタリシス(Studies in Surface Science and Catalysis)」、1987年、第33巻、p.147-166
【非特許文献3】ピー・エム・ピシオネ(P.M.Piccione)およびエム・イー・デービス(M.E.Davis)著、「ミクロポーラス・アンド・メソポーラス・マテリアルズ(Microporous and Mesoporous Materials)」、2001年、第49巻、p.163-169
【非特許文献4】ジー・サステレ(G.Sastre)ら著、「ジャーナル・オフ・フィジカル・ケミストリー・ビー(Journal of Physical Chemistry B)」、2003年、第107巻、p.5432-5440
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、第四級アンモニウム基を含有するヘテロ環化合物を含む窒素含有有機構造化種の存在下に生じさせられるMEL構造型ゼオライトの調製の新規方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は、MEL構造型ゼオライトの調製方法であって、
i)水性媒体中で、少なくとも1種の四価元素Xの少なくとも1種の源および式(I):
【化1】

【0007】
(式中、nは、メチレン基(CH)の数を示し、6または7に等しく、R1およびR2は、C2a+1の形で提供されるアルキル基を示し、ここでaは2〜7である)
の少なくとも1種の窒素含有有機種を混合する段階と、
ii)前記MEL構造型ゼオライトが形成されるまで上記混合物を水熱処理する段階と
を少なくとも包含するものである。
【0008】
前記式(I)の窒素含有有機種は、N,N−ジプロピルヘキサメチレンイミニウムカチオンおよびN,N−ジブチルヘキサメチレンイミニウムカチオンの中から選択されることが好ましい。
【0009】
四価元素Xは、ケイ素、ゲルマニウム、チタンおよびこれらの四価元素の少なくとも2種の混合物の中から選択されることが好ましい。
【0010】
元素Xはケイ素であることがより好ましい。
【0011】
少なくとも1種の三価元素Yの少なくとも1種の源が、前記段階i)の実施のための混合物に混合されることが好ましい。
【0012】
前記元素Yはアルミニウムであることが好ましい。
【0013】
少なくとも1種のアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属Mが、前記段階i)の実施のための混合物に混合されることが好ましい。
【0014】
前記金属Mはナトリウムであることが好ましい。
【0015】
前記段階i)の実施のための混合物にフルオリドアニオンが混合されることが好ましい。
【0016】
段階(i)において得られる反応混合物は、式:XO:vYO:wM2/mO:xF:yHO:zR(式中、vは0〜0.5であり、wは0〜1であり、xは0〜1であり、yは1〜100であり、zは0.04〜2であり、bは1〜3であり(ここで、bは、整数または有理数である)、mは1または2に等しく、Rは、式(I)の窒素含有の陽イオン性の有機種であり、v、w、x、yおよびzは、それぞれ、YO、M2/mO、F、HOおよびRのモル数を示す)によって表されるモル組成を有することが好ましい。
【0017】
前記段階i)の間に、核が反応混合物に加えられることが好ましい。
【0018】
前記段階ii)による前記水熱処理は、80〜200℃の温度で行われることが好ましい。
【0019】
段階ii)の終了時に得られるMEL構造型ゼオライトによって形成される固体相は、ろ過され、洗浄され、次いで、乾燥させられることが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、MEL構造型ゼオライトの調製方法であって、
i)水性媒体中で、少なくとも1種の四価元素の少なくとも1種の源および式:
【0021】
【化2】

【0022】
(式中、nはメチレン基(CH)の数を示し、6または7に等しく、R1およびR2は、2〜7個の炭素原子を有するアルキル基を示す)
の少なくとも1種の窒素含有有機種を混合する段階と、
ii)MEL構造型ゼオライトが形成されるまで上記混合物を水熱処理する段階と
を少なくとも包含するものであり、本発明により、MEL構造型ゼオライトの新規な調製方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明は、その目的として、MEL構造型ゼオライトの調製方法であって、
i)水性媒体中で、少なくとも1種の四価元素Xの少なくとも1種の源と、式(I):
【0024】
【化3】

【0025】
(式中、nはメチレン基(CH)の数を示し、6または7に等しく、R1およびR2は、2〜7個の炭素原子を有するアルキル基を示す)
の少なくとも1種の窒素含有有機種とを混合する段階と、
ii)前記MEL構造型ゼオライトが形成されるまで前記混合物を水熱処理する段階と
を少なくとも包含する方法を有する。
【0026】
式(I)の前記窒素含有有機構造化種は、アルキルヘテロ環化合物からなり、該アルキルヘテロ環化合物は、6または7個の炭素原子を有し、かつ、第四級アンモニウムカチオンを含み、該第四級アンモニウムカチオン自体が2〜7個の炭素原子を有する2つのアルキル基R1およびR2に連結されるものであり、このものは、少なくとも1種の四価元素の少なくとも1種の源および水と混合されて、高純度のMEL構造型ゼオライトの生成につながることが見出された。任意の他の結晶化されたまたは非晶質の相は、一般的におよび非常に好ましくは、本発明の方法の終了時に得られるMEL構造型ゼオライトの結晶化固体を欠いている。さらに、本発明による方法によって調製されるこのようなMEL構造型ゼオライトは、非常に良好な結晶性で得られる。本発明の方法によって得られるMEL構造型ゼオライトは、多岐にわたるゲル組成物について優れた選択性で得られる。
【0027】
(本発明の説明)
本発明は、その目的として、MEL構造型ゼオライトの調製方法であって、
i)水性媒体中で、少なくとも1種の四価元素Xの少なくとも1種の源と、式(I):
【0028】
【化4】

【0029】
(式中、nはメチレン基(CH)の数を示し、6または7に等しく、R1およびR2は、2〜7個の炭素原子を有するアルキル基を示す)
の少なくとも1種の窒素含有有機種とを混合する段階と、
ii)前記MEL構造型ゼオライトが形成されるまで前記混合物を水熱処理する段階と
を少なくとも包含する方法を有する。
【0030】
本発明により、前記式(I)の窒素含有有機種は、本発明の方法により調製されるMEL構造型ゼオライトの構造化剤の役割を果たす。それは、アルキルヘテロ環化合物からなり、該アルキルヘテロ環化合物は、第四級アンモニウムカチオンを含み、該第四級アンモニウムカチオン自体が2〜7個の炭素原子を有する2つのアルキル基R1およびR2に連結される。前記アルキル基は、C2a+1(式中、aは2〜7である)の形で提供される。それらは、同一または異なってよいが、好ましくは同一である。それらはまた、線状(linear)または分枝状であってよいが、好ましくは線状である。有利には、前記式(I)の窒素含有有機種は、nが6に等しいカチオン種である:これは、カチオン種N,N−ジアルキルヘキサメチレンイミニウムである。非常に有利には、前記式(I)のカチオン種は、N,N−ジプロピルヘキサメチレンイミニウムカチオン(n=6およびR1=R2=C)およびN,N−ジブチルヘキサメチレンイミニウムカチオン(n=6およびR1=R2=C)の中から選択される。
【0031】
本発明の方法の前記段階(i)の実施のために用いられる前記式(I)の窒素含有有機種は、当業者に知られるあらゆる方法によって合成される。N,N−ジアルキルヘキサメチレンイミニウムカチオンの合成に関して、1モルのヘキサメチレンイミン、少なくとも2モルの1−ハロアルカン、および少なくとも1モルのCO2−アニオンが混合される。より特定的には、N,N−ジプロピルヘキサメチレンイミニウムカチオンの合成のために、1モルのヘキサメチレンイミン、少なくとも2モルの1−ハロプロパン、および少なくとも1モルのCO2−アニオンが混合される。N,N−ジブチルヘキサメチレンイミニウムカチオンの合成のために、1モルのヘキサメチレンイミン、少なくとも2モルの1−ハロブタンおよび少なくとも1モルのCO2−アニオンが混合される。一般的に、少なくともヘキサメチレンイミン、1−ハロアルカンおよびCO2−アニオンによって形成される混合物は、5〜15時間の期間にわたって還流させられる。ろ過、ジエチルエーテル等のエーテル溶液による析出、次いで、エタノール/エーテル混合物中の再結晶の後、前記式(I)の窒素含有有機種は、高純度の状態で得られる。
【0032】
MEL構造型ゼオライトの合成のための有機構造化種中に存在する第四級アンモニウムカチオンと結合されるアニオンは、アセタートアニオン、スルファートアニオン、カルボキシラートアニオン、テトラフルオロボラートアニオン、ハリドアニオン(例えば、フルオリド、クロリド、ブロミド、ヨージド)、ヒドロキシドアニオンまたはこれらの中の複数の組合せの中から選択される。好ましくは、MEL構造型ゼオライトのための構造化種中に存在する第四級アンモニウムカチオンと結合されるアニオンは、ヒドロキシドアニオンまたはブロミドアニオンである。N,N−ジアルキルヘキサメチレンイミニウムヒドロキシドは、好ましくは、室温でN,N−ジアルキルヘキサメチレンイミニウムブロミド水溶液を酸化銀により処理することによって得られる。
【0033】
本発明によると、少なくとも1種の四価元素Xの少なくとも1種の源が、調製方法の段階(i)において混合される。Xは、好ましくは、ケイ素、ゲルマニウム、チタンおよびこれらの四価元素の少なくとも2種の混合物の中から選択され、非常に好ましくは、Xはケイ素である。前記四価元素Xの単数種または複数種の源は、元素Xを含み、かつ、水溶液に活性体でこの元素を遊離させ得るあらゆる化合物であり得る。元素Xは、酸化体XOまたは任意の他の形態で混合物に混合され得る。Xがチタンである場合、有利にはTi(EtO)がチタン源として用いられる。Xがゲルマニウムである場合、有利には非晶質GeOがゲルマニウム源として用いられる。Xがケイ素である好ましい場合、ケイ素源は、ゼオライトの合成のためにここで用いられる前記源のいずれかであり得、例えば、粉体形態のシリカ、ケイ酸、コロイドシリカ、溶解シリカまたはテトラエトキシシラン(tetraethoxysilane:TEOS)である。粉体形態のシリカの中で、沈降シリカ、特に、アルカリ金属ケイ酸塩溶液からの沈降によって得られるもの、熱分解(pyrogenated)シリカ(例えば「CAB−O−SIL(登録商標)」)およびシリカゲルを用いることが可能である。種々の粒子サイズ(例えば、10〜15nmまたは40〜50nmの平均等価径)を有するコロイドシリカ、例えば、「LUDOX(登録商標)」等の登録商標の下で販売されるものを用いることが可能である。好ましくは、ケイ素源は、LUDOX(登録商標)である。
【0034】
本発明の方法の第1の好ましい実施形態によると、少なくとも1種の三価元素Yの少なくとも1種の源は、本発明による調製方法の前記段階(i)の実施用の混合物に混合される。前記三価元素Yは、好ましくは、アルミニウム、ホウ素、鉄、インジウム、ガリウムおよびこれらの三価元素の少なくとも2種の混合物の中から選択され、非常に好ましくは、Yはアルミニウムである。前記三価元素(単数種または複数種)Yの源(単数種または複数種)は、元素Yを含み、この元素を水溶液に活性体で遊離させることができるあらゆる化合物であり得る。元素Yは、酸化体YO(1≦b≦3;bは、整数または有理数である)または任意の他の形態で混合物に混合され得る。Yがアルミニウムである好ましい場合、アルミニウム源は、好ましくは、アルミン酸ナトリウムまたはアルミニウム塩(例えば、塩化物、硝酸塩、水酸化物または硫酸塩)、アルミニウムアルコキシドまたはアルミナ自体(好ましくは、水和または水和可能な形態、例えば、コロイドアルミナ、擬ベーマイト、ガンマアルミナまたはアルファ三水和物またはベータ三水和物)である。上記に挙げた源の混合物を用いることも可能である。
【0035】
本発明の方法の第2の好ましい実施形態によると、少なくとも1種のアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属Mが、本発明による調製方法の前記段階(i)の実施のための混合物に組み込まれ、リチウム、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウムおよびこれらの金属の少なくとも2種の混合物の中から選択される。好ましくは、前記金属Mは、アルカリ金属であり、非常に好ましくは、それはナトリウムである。
【0036】
本発明の方法の第3の好ましい実施形態によると、フルオリドアニオンFが、本発明による調製方法の段階(i)の実施のための混合物に混合される。フルオリドアニオン源として、フルオリド塩(例えば、NHF、NaF、KF、LiFおよびこれらの塩の少なくとも2種の混合物)またはフッ化水素酸HFが用いられる。好ましくは、フルオリドアニオン源は、フッ化水素酸HF水溶液である。
【0037】
上記に記載された本発明の方法の好ましい実施形態は、互いに同時にまたは別々に行われ得る。特に、本発明の方法の前記段階(i)は、三価元素(好ましくはアルミニウム)の源と、アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属(好ましくは、ナトリウム)との存在下に実施されること有利である。本発明の方法の前記段階(i)がフルオリドアニオン源の存在下に実施されることも有利である。
【0038】
本発明による調製方法によると、段階(i)において得られる反応混合物は、下記式によって表されるモル組成を有する:
XO:vYO:wM2/mO:xF:yHO:zR
(式中、
− vは0〜0.5、好ましくは0.005〜0.3であり
− wは0〜1、好ましくは0.05〜0.5であり
− xは0〜1、好ましくは0.1〜0.8であり
− yは1〜100、好ましくは10〜70であり
− zは0.04〜2、好ましくは0.06〜1、非常に好ましくは0.1〜0.8であり
− bは1〜3(ここで、bは、整数または有利数である)であり
− mは1または2に等しく
X、YおよびMは、上記と同じ定義を有し、すなわち、Xは、ケイ素、ゲルマニウムおよびチタンによって形成される群において選択される1種以上の四価元素、非常に好ましくはケイ素であり、Yは、アルミニウム、鉄、ホウ素、インジウムおよびガリウムによって形成される群から選択される1種以上の三価元素であり、非常に好ましくは、Yはアルミニウムであり、Mは、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムおよびこれらの金属の少なくとも2種の混合物の中から選択される1種以上のアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属であり、非常に好ましくは、Mはナトリウムであり、Rは、式(I)の窒素含有のカチオン性有機種であり、v、w、x、yおよびzは、それぞれ、YO、M2/mO、F、HOおよびRのモル数を示す)。
【0039】
本発明による方法の段階(i)は、少なくとも1種の四価元素Xの少なくとも1種の源(好ましくは、酸化物XO)、場合による少なくとも1種の三価元素Yの少なくとも1種の源(好ましくは酸化物YO)、式(I)の少なくとも1種の有機種(該有機種は、アルキルヘテロ環化合物からなり、該環は、第4級アンモニウムカチオンを含む)、場合による1種以上のアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属の少なくとも1種の源、および場合による少なくとも1種のフルオリドアニオン源を含有しゲルと呼ばれる水性の反応混合物を調製することからなる。前記試薬の量は、MEL構造型ゼオライトへの結晶化を可能にする組成をゲルに与えるように調節される。
【0040】
MEL構造型ゼオライト結晶の形成に必要である時間および/または全結晶化期間を短縮するために、本発明の方法の前記段階(i)の間に反応混合物に核を加えることが有利であり得る。前記核はまた、不純物を押しのけて前記MEL構造型ゼオライトの形成を促進する。このような核は、結晶固体、特に、MEL構造型ゼオライト結晶を含む。結晶核は、一般的に、反応混合物において用いられる元素Xの源(好ましくは酸化物XO)の重量の0.01〜10%の比で加えられる。
【0041】
本発明による方法の段階(ii)によると、ゲルは、前記MEL構造型ゼオライトが形成されるまで水熱処理(好ましくは、80〜200℃の温度で行われる)に付される。水熱条件下、ゲルは、有利には、自生反応圧力下(場合によっては、ガス、例えば、窒素が加えられる)、80〜200℃、好ましくは140〜180℃の温度に、MEL構造型ゼオライト結晶が形成されるまで置かれる。結晶体を得るために必要な期間は、一般的には1〜50日、好ましくは1〜21日、より好ましくは3〜14日にわたる。反応は、一般的には攪拌されながらまたは攪拌なしで、好ましくは攪拌しながら行われる。
【0042】
反応の終了時に、本発明の調製方法の前記段階(ii)の実施後に前記MEL構造型ゼオライトが形成された場合、MEL構造型ゼオライトから形成された固体相は、ろ過され、洗浄され、次いで、乾燥させられる。乾燥は、一般的には、20〜150℃、好ましくは70〜120℃の温度で、5〜20時間の期間にわたって行われる。乾燥させられたMEL構造型ゼオライトは、一般的に、X線回折によって分析されるが、ここで、この技術はまた、本発明の方法によって得られる前記ゼオライトの純度を測定することを可能にする。非常に有利には、本発明の方法により、任意の他の結晶化相または非晶質相が存在することなく高純度のMEL構造型ゼオライトが形成される。前記ゼオライトは、乾燥段階の後、すぐに焼成、イオン交換等の続く段階に使える状態にある。これらの段階のために、当業者に知られる全ての従来方法が用いられ得る。
【0043】
本発明の方法に従って得られるMEL構造型ゼオライトの焼成は、好ましくは、500〜700℃の温度で、5〜15時間の期間にわたって行われる。焼成段階の終了時に得られるMEL構造型ゼオライトは、あらゆる有機種、特に、式(I)の窒素含有有機種を欠いている。
【0044】
一般則として、本発明の方法によって得られるMEL構造型ゼオライトのカチオン(単数または複数)Mは、いずれか1種以上の金属カチオン、特に、第IA、IB、IIA、IIB、IIIA、IIIB(希土類元素を含む)、VIII(貴金属を含む)族のもの並びに鉛、スズおよびビスマスによって置換され得る。交換は、適切なカチオンを含有するあらゆる水溶性塩によって行われる。
【0045】
本発明の方法に従って得られるMEL構造型ゼオライトの水素型を得ることも有利である。前記水素型は、酸、特に、強鉱酸(塩酸、硫酸、硝酸等)または塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム等の化合物とイオン交換を行うことによって得られ得る。イオン交換は、1回以上前記MEL構造型ゼオライトをイオン交換溶液に懸濁させることによって行われ得る。前記ゼオライトは、イオン交換の前または後、または、2回のイオン交換段階の合間に焼成され得る。ゼオライトは、好ましくは、イオン交換前に焼成されて、ゼオライトの細孔に含まれるあらゆる有機物質が、イオン交換が促進される程度にまで除去される。
【0046】
本発明の方法によって得られるゼオライトは、イオン交換後に、精油および石油化学の分野における触媒用の酸固体として用いられ得る。それはまた、汚染のモニタリング用の吸着剤または分離用のモレキュラーシーブとして用いられ得る。
【0047】
例えば、触媒としてそれが用いられる場合、本発明の方法に従って調製されるゼオライトは、焼成され、交換され、好ましくは、水素型であり、無機マトリクスおよび金属相と結合され得る。該無機マトリクスは、不活性または触媒的に活性であり得る。無機マトリクスは、単純に、ゼオライトの小粒子を触媒の種々の既知形態(押出物、ペレット、ボール、粉体)に一緒に維持するためのバインダーとして存在し得るか、または、それがなければ早過ぎる速度で進行して、顕著なコークス形成に起因して触媒の詰まりにつながるであろう方法において転化度を課するための希釈剤として加えられ得る。典型的な無機マトリクスは、特に、触媒用の基材物質、例えば、シリカ、種々の形態のアルミナ、マグネシア、ジルコニア、チタン、ホウ素およびジルコニウムの酸化物、アルミニウムおよびチタンのリン酸塩、カオリン粘土、ベントナイト、モンモリロナイト、セピオライト、アタパルジャイト、フーラー土、合成多孔質材料(例えばSiO−Al、SiO−ZrO、SiO−ThO、SiO−BeO、SiO−TiO)、または、これらの化合物の任意の組合せである。無機マトリクスは、種々の化合物、特に、不活性相および活性相の混合物であり得る。
【0048】
本発明の方法に従って調製されるゼオライトはまた、少なくとも1種のゼオライトと結合され得、主要な活性相または添加物の役割を果たし得る。
【0049】
以下の元素の中から選択されるカチオンまたは酸化物によるイオン交換または含浸によって、ゼオライト単独、無機マトリクス単独、または、無機マトリクス−ゼオライト集合体上に金属相が導入される:Cu、Ag、Ga、Mg、Ca、Sr、Zn、Cd、B、Al、Sn、Pb、V、P、Sb、Cr、Mo、W、Mn、Re、Fe、Co、Ni、Pt、Pd、Ru、Rh、Os、Irおよび周期律表の任意の他の元素。
【0050】
金属は、全部同じ方法で、または、異なる技術によって、調製の任意の時に、成形の前または後に、あらゆる順序で、導入され得る。さらに、中間処理、例えば、焼成および/または還元が、種々の金属の担持の合間に適用され得る。
【0051】
本発明の方法に従って調製されるMEL構造型ゼオライトを含む触媒組成物は、一般的に、炭化水素の転換およびエーテル類等の有機化合物の合成反応のための主要な方法の実施に適している。
【0052】
当業者に知られるあらゆる成形方法が、MEL構造型ゼオライトを含む触媒に適している。例えば、ペレット製造、押出またはボール成形を用いることが可能であるだろう。本発明の方法に従って調製されたゼオライトを含有し、かつ、少なくとも部分的に酸型の形で提供される触媒の成形は、一般的に、触媒が好ましくはその使用の目的のために押出物またはボールの形態であるようにされる。
【0053】
本発明は、限定的な性質を決して示さない以下の実施例によって例示される。
【0054】
(実施例1:N,N−ジブチルヘキサメチレンイミニウムブロミド(構造化剤A1)の調製)
50gのヘキサメチレンイミン(0.50mol,99%,Aldrich)が、200mLのエタノール、105gの炭酸カリウム(0.76mol,99%,Aldrich)および173gの1−ブロモブタン(1.26mol,99%,Alrrich)を含む1Lフラスコに加えられる。反応媒体は攪拌され、8時間にわたって還流させられる。次いで、混合物は、室温に冷却され、次いで、ろ過される。ろ液は、300mLのジエチルエーテルに注がれ、次いで、形成された沈殿物はろ過され、100mLのジエチルエーテルにより洗浄される。得られた固体は、エタノール/エーテル混合物において再結晶させられる。得られた固体は、真空下に12時間にわたり乾燥させられる。82gの白色固体が得られる(収率56%)。
【0055】
生成物は、期待されたH NMRスペクトルを有する。1H NMR(CDCl3,ppm/TMS):0.98(6H,t);1.44(4H,sext);1.69(4H,m);1.76(4H,m);2.00(4H,m);3.43(4H,t);3.66(4H,t)。
【0056】
(実施例2:N,N−ジブチルヘキサメチレンイミニウムヒドロキシド(構造化剤A2)の調製)
29gのAgO(0.125mol,99%,Aldrich)が、30gの構造化剤A1(0.10mol)および100mLの脱イオン水を含む250mLのテフロン(登録商標)ビーカーに加えられる。反応媒体は、無光条件下に12時間にわたって攪拌される。次いで、混合物はろ過される。得られたろ液は、N,N−ジブチルヘキサメチレンイミニウムヒドロキシドの水溶液からなる。この化学種の測定は、標準としてギ酸を用いるプロトンNMRによって行われる。
【0057】
(実施例3:本発明によるケイ酸性のMEL構造型ゼオライトの調製)
Aldrichによって販売される商標名(複製権)Ludox(登録商標) AS−40の名称の下に知られるシリカのコロイド懸濁液21.27gが、23.33質量%の構造化剤A2および54.54gの脱イオン水を有する水溶液23.19gからなる溶液に混合される。混合物のモル組成は次の通りである:SiO:0.17A2:33.33HO。混合物は、30分間にわたり激しく攪拌される。次いで、混合物は、均一化の後、150mLのステンレス鋼製のオートクレーブに移される。オートクレーブは、7日間にわたり170℃で攪拌されながら(500rpm)加熱される。得られる結晶生成物は、ろ過され、(中性のpHに達するように)脱イオン水により洗浄され、次いで、100℃で終夜乾燥させられる。
【0058】
乾燥固体生成物は、X線回折によって分析された:得られた結晶固体は、高純度のMEL構造型ゼオライトである。
【0059】
(実施例4:本発明によるアルミノケイ酸性のMEL構造型ゼオライトの調製)
Aldrichによって販売される商標名(複製権)Ludox(登録商標) AS−40の下に知られるシリカのコロイド懸濁液21.27gが、23.33質量%の構造化剤A2、0.09gの水酸化アルミニウム(Aldrich)および54.48gの脱イオン水を有する水溶液23.19gからなる溶液に混合される。混合物のモル組成は次の通りである:SiO:0.0042Al:0.17A2:33.33HO。混合物は、30分間にわたって激しく攪拌される。次いで、混合物は、均一化の後に、150mLのステンレス鋼製のオートクレーブに移される。オートクレーブは、7日間にわたり170℃で攪拌されながら(500rpm)加熱される。得られた結晶生成物は、ろ過され、(中性のpHに達するように)脱イオン水により洗浄され、次いで、100℃で終夜乾燥させられる。
【0060】
乾燥固体生成物は、X線回折によって分析された:得られた結晶固体は、高純度のMEL構造型ゼオライトである。
【0061】
(実施例5:本発明によるアルミノケイ酸性のMEL構造型ゼオライトの調製)
Aldrichによって販売される商標名(複製権)Ludox(登録商標) AS−40の下に知られるシリカのコロイド懸濁液20.61gが、0.85gのアルミン酸ナトリウム(Carlo Erba)、1.62gのソーダ(Prolabo)および6.68gの構造化剤A1からなる脱イオン水溶液69.24gに混合される。混合物のモル組成は次の通りである:SiO:0.017Al:0.17NaO:0.17A1:33.33HO。混合物は、30分間にわたって激しく攪拌される。次いで、混合物は、均一化後に、150mLのステンレス鋼製のオートクレーブに移される。オートクレーブは、7日間にわたり170℃で攪拌されながら(500rpm)加熱される。得られた結晶生成物は、ろ過され、(中性のpHに達するように)脱イオン水により洗浄され、次いで、100℃で終夜乾燥させられる。
【0062】
乾燥固体生成物は、X線回折によって分析された:得られた結晶固体は、高純度のMEL構造型ゼオライトである。
【0063】
(実施例6:本発明によるゲルマノケイ酸性のMEL構造型ゼオライトの調製)
Aldrichによって販売される商標名(複製権)Ludox(登録商標) AS−40の下で知られるシリカのコロイド懸濁液9.99gが、2.97gの非晶質酸化ゲルマニウム(Aldrich)、23.33質量%の構造化剤A2を有する水溶液27.99g、および脱イオン水58.08gからなる溶液に混合される。混合物のモル組成は次の通りである:0.7SiO:0.3GeO:0.3A2:50HO。混合物は、30分間にわたって激しく攪拌される。次いで、混合物は、均一化後に、150mLのステンレス鋼製のオートクレーブに移される。オートクレーブは、7日間にわたって170℃で攪拌されながら(500rpm)加熱される。得られた結晶生成物は、ろ過され、(中性のpHに達するように)脱イオン水により洗浄され、次いで、100℃で終夜乾燥させられる。
【0064】
乾燥固体生成物は、X線回折によって分析された:得られた結晶固体は、高純度のMEL構造型ゼオライトである。
【0065】
(実施例7:本発明によるゲルマノケイ酸性のMEL構造型ゼオライトの調製)
Aldrichによって販売される商標名(複製権)Ludox(登録商標) AS−40の下に知られるシリカのコロイド懸濁液12.27gが、0.96gの非晶質酸化ゲルマニウム(Aldrich)、23.33質量%の構造化剤A2を有する水溶液44.61g、39.5質量%のHFを有する水溶液2.28gおよび脱イオン水38.88gからなる溶液に混合される。混合物のモル組成は次の通りである:0.9SiO:0.1GeO:0.5A2:0.5HF:50HO。混合物は、30分間にわたって激しく攪拌される。次いで、混合物は、均一化後に、150mLのステンレス鋼製のオートクレーブに移される。オートクレーブは、14日間にわたって170℃で攪拌されながら(500rpm)加熱される。得られた結晶生成物は、ろ過され、(中性のpHに達するように)脱イオン水により洗浄され、次いで、100℃で終夜乾燥させられる。
【0066】
乾燥固体生成物は、X線回折によって分析された:得られた結晶固体は、高純度のMEL構造型ゼオライトである。
【0067】
(実施例8:N,N−ジプロピルヘキサメチレンイミニウムブロミド(構造化剤B1)の調製)
50gのヘキサメチレンイミン(0.50mol,99%,Aldrich)が、200mLのエタノール、105gの炭酸カリウム(0.76mol,99%,Aldrich)および155gの1−ブロモプロパン(1.26mol,99%,Aldrich)を含む1Lフラスコに加えられる。反応媒体は、攪拌され、8時間にわたって還流させられる。次いで、混合物は、室温に冷却され、次いで、ろ過される。ろ液は、300mLのジエチルエーテルに注がれ、次いで、形成された沈殿物は、ろ過され、100mLのジエチルエーテルにより洗浄される。得られた固体は、エタノール/エーテル混合物中で再結晶させられる。得られた固体は、真空下に12時間にわたり乾燥させられる。93.72gの白色結晶が得られる(収率:71%)。
【0068】
生成物は、期待されたH NMRスペクトルを有する。1H NMR(CDCl3,ppm/TMS):1.00(6H,t);1.71(4H,m);1.74(4H,sext);1.96(4H,m);3.36(4H,t);3.62(4H,t)。
【0069】
(実施例9:のN,N−ジプロピルヘキサメチレンイミニウムヒドロキシド(構造化剤B2)の調製)
32gのAgO(0.14mol,99%,Aldrich)が、30gの構造化剤B1(0.11mol)および100mLの脱イオン水を含む250mLのテフロン(登録商標)ビーカーに加えられる。反応媒体は、無光下に12時間にわたり攪拌される。次いで、混合物は、ろ過される。得られたろ液は、N,N−ジプロピルヘキサメチレンイミニウムヒドロキシドの水溶液からなる。この化学種の測定は、標準としてギ酸を用いるプロトンNMRによって行われる。
【0070】
(実施例10:本発明によるケイ酸性のMEL構造型ゼオライトの調製)
Aldrichによって販売される商標名(複製権)Ludox(登録商標) AS−40の下に知られるシリカ懸濁液21.42gが、25.35質量%の構造化剤B2を有する水溶液18.87gおよび脱イオン水58.71gからなる溶液に混合される。混合物のモル組成は次の通りである:SiO:0.17B2:33.33HO。混合物は、30分間にわたって激しく攪拌される。次いで、混合物は、均一化の後に、150mLのステンレス鋼製のオートクレーブに移される。オートクレーブは、14日間にわたって170℃で攪拌されながら(500rpm)加熱される。得られた結晶生成物は、ろ過され、(中性のpHに達するように)脱イオン水により洗浄され、次いで、100℃で終夜乾燥させられる。
【0071】
乾燥固体生成物は、X線回折によって分析された:得られた結晶固体は、高純度のMEL構造型ゼオライトである。
【0072】
(実施例11:本発明によるアルミノケイ酸性のMEL構造型ゼオライトの調製)
Aldrichによって販売される商標名(複製権)Ludox(登録商標) AS−40の下で知られるシリカ懸濁液20.79gが、アルミン酸ナトリウム(Carlo Erba)0.21g、ソーダ(Prolabo)1.79gのおよび構造化剤B1 6.09gからなる脱イオン水溶液70.07gに混合される。混合物のモル組成は次の通りである:SiO:0.004Al:0.17NaO:0.17B1:33.33HO。混合物は、30分間にわたって激しく攪拌される。次いで、混合物は、均一化の後に、150mLのステンレス鋼製のオートクレーブに移される。オートクレーブは、5日間にわたって170℃で攪拌されながら(500rpm)加熱される。得られた結晶生成物は、ろ過され、(中性のpHに達するように)脱イオン水により洗浄され、次いで、100℃で終夜乾燥させられる。
【0073】
乾燥固体生成物は、X線回折によって分析された:得られた結晶固体は、高純度のMEL構造型ゼオライトである。
【0074】
(実施例12:本発明によるゲルマノケイ酸性のMEL構造型ゼオライトの調製)
Aldrichによって販売される商標名(複製権)Ludox(登録商標) AS−40の下に知られるシリカのコロイド懸濁液9.6gが、非晶質酸化ゲルマニウム(Aldrich)2.88g、22.82質量%の構造化剤B2を有する水溶液40.23g、39.5%重量/重量のHFの水溶液2.28gおよび脱イオン水44.04gからなる溶液に混合される。混合物のモル組成は次の通りである:0.7SiO:0.3GeO:0.5B2:0.5HF:50HO。混合物は、30分間にわたって激しく攪拌される。次いで、混合物は、均一化の後に、150mLのステンレス鋼製のオートクレーブに移される。オートクレーブは、6日間にわたって170℃で攪拌されながら(500rpm)加熱される。得られた結晶生成物は、ろ過され、(中性のpHに達するように)脱イオン水により洗浄され、次いで、100℃で終夜乾燥させられる。
【0075】
乾燥固体生成物は、X線回折によって分析された:得られた結晶固体は、高純度のMEL構造型ゼオライトである。
【0076】
(実施例13:Si/Al系で合成されたMEL構造型ゼオライトを含む触媒の調製)
この実施例において用いられるゼオライトは、実施例4のSi/Al系で得られる粗合成MEL構造型ゼオライトである。このゼオライトの全体的なSi/Al原子比は135である。
【0077】
このMEL構造型ゼオライトは、最初に、550℃で、空気の流れの下、8時間にわたっていわゆる乾式焼成(dry calcination)を経、窒素含有有機構造化剤種A2が除去される。次いで、得られた固体は、Z字状アーム混合機中ベーマイト(Pural SB3,Sasol)と混合し、得られたペースト状物をピストン式押出機によって押し出すことによって押出物の形態にされる。次いで、押出物は、マッフル炉中、120℃で12時間にわたり空気中で乾燥させられ、550℃で2時間にわたり空気の流れの下に焼成される。それらは、触媒の担体(substrate)を構成する。
【0078】
競争剤(塩酸)の存在下でのヘキサクロロ白金酸による陰イオン交換によってこの担体のアルミナ上に白金が担持させられる。次いで、交換された担体は、120℃で12時間にわたり空気中で乾燥させられ、550℃で乾燥空気の流れの下で1時間にわたり焼成される。
【0079】
こうして調製された触媒は、50%の水素型MEL構造型ゼオライト、49.8%のアルミナおよび0.2%の白金の重量含有量からなる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
MEL構造型ゼオライトの調製方法であって、
i)水性媒体中で、少なくとも1種の四価元素Xの少なくとも1種の源および式(I):
【化1】

(式中、nは、メチレン基(CH)の数を示し、6または7に等しく、R1およびR2は、C2a+1の形で提供されるアルキル基を示し、ここでaは2〜7である)
の少なくとも1種の窒素含有有機種を混合する段階と、
ii)前記MEL構造型ゼオライトが形成されるまで上記混合物を水熱処理する段階と
を少なくとも包含する、方法。
【請求項2】
前記式(I)の窒素含有有機種は、N,N−ジプロピルヘキサメチレンイミニウムカチオンおよびN,N−ジブチルヘキサメチレンイミニウムカチオンの中から選択される、請求項1に記載の調製方法。
【請求項3】
四価元素Xは、ケイ素、ゲルマニウム、チタンおよびこれらの四価元素の少なくとも2種の混合物の中から選択される、請求項1または2に記載の調製方法。
【請求項4】
元素Xはケイ素である、請求項3に記載の調製方法。
【請求項5】
少なくとも1種の三価元素Yの少なくとも1種の源が、前記段階i)の実施のための混合物に混合される、請求項1〜4のいずれか1つに記載の調製方法。
【請求項6】
前記元素Yはアルミニウムである、請求項5に記載の調製方法。
【請求項7】
少なくとも1種のアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属Mが、前記段階i)の実施のための混合物に混合される、請求項1〜6のいずれか1つに記載の調製方法。
【請求項8】
前記金属Mはナトリウムである、請求項7に記載の調製方法。
【請求項9】
前記段階i)の実施のための混合物にフルオリドアニオンが混合される、請求項1〜8のいずれか1つに記載の調製方法。
【請求項10】
段階(i)において得られる反応混合物は、式:XO:vYO:wM2/mO:xF:yHO:zR(式中、vは0〜0.5であり、wは0〜1であり、xは0〜1であり、yは1〜100であり、zは0.04〜2であり、bは1〜3であり(ここで、bは、整数または有理数である)、mは1または2に等しく、Rは、式(I)の窒素含有の陽イオン性の有機種であり、v、w、x、yおよびzは、それぞれ、YO、M2/mO、F、HOおよびRのモル数を示す)によって表されるモル組成を有する、請求項1〜9のいずれか1つに記載の調製方法。
【請求項11】
前記段階i)の間に、核が反応混合物に加えられる、請求項1〜10のいずれか1つに記載の調製方法。
【請求項12】
前記段階ii)による前記水熱処理は、80〜200℃の温度で行われる、請求項1〜11のいずれか1つに記載の調製方法。
【請求項13】
段階ii)の終了時に得られるMEL構造型ゼオライトによって形成される固体相は、ろ過され、洗浄され、次いで、乾燥させられる、請求項1〜12のいずれか1つに記載の調製方法。

【公開番号】特開2008−255005(P2008−255005A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−98831(P2008−98831)
【出願日】平成20年4月7日(2008.4.7)
【出願人】(591007826)イエフペ (261)
【Fターム(参考)】