説明

Mo含有触媒、製造方法およびメチルメルカプタンの製造方法

本発明は、TeO2を活性助触媒として含むMo含有担持触媒の製造方法、および前記触媒の存在下でのメタンチオールの製造方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、好ましくは多量のH2Sを含有する合成ガスからのメタンチオールの合成に有用なMoおよびTe含有触媒の製造方法、および触媒それ自身に関する。
【0002】
先行技術
メチオニン、殺虫剤、および医薬品製造のための重要な化学的出発物質として、メタンチオールは主に硫化水素とメタノールとの反応によって製造される。例えば、米国出願856232号は硫化水素とメチルアルコールあるいはジエチルエーテルとの反応に基づくメタンチオールの合成方法を開示する。FR出願93112491号はメチルチオエーテルと水素との遷移金属触媒上での反応に基づく製造方法を開示する。EP167354号は二酸化チタン担持に基づき且つ硫化水素と一酸化炭素との反応のための活性成分としてNiOあるいはMoO3を含有する触媒を用いた合成経路を開示する。中国特許出願CN1207957号およびCN98118187.2号は多量のH2Sを含有する合成ガスからのメチルメルカプタン合成のための2つの触媒を開示し、そこでは活性成分Mo−S−Kが前駆体K2MoS4あるいは(NH42MoS4に1つのカリウム塩を加えたものから形成される。WO2005/040082号はメタンチオール合成のための2つのMo−O−K/SiO2触媒を開示し、ここで助触媒はCo、Ni、Fe、MnあるいはLaおよびCeの酸化物からなる群から選択され、そこで活性成分Mo−O−Kは前駆体としてのK2MoO4あるいは(NH46Mo724・4H2Oにカリウム塩を加えたものから形成される。
【0003】
発明の要約
本発明の課題は、好ましくは多量のH2Sを含有する合成ガスからの、一段階でのメタンチオール合成のための、高い活性および選択性を有する触媒の製造である。これは好ましくは50〜80容量%の範囲のH2Sの含有率を意味する。
【0004】
発明の詳細な記載
本発明による触媒は、活性成分、活性助触媒および担持材料を含む。それは担持された触媒に関し、
a)活性成分としてMoを含有し、且つKを含有する化合物、ここでMoおよびKは同一の化合物の成分であってよく、
b)助触媒、ここで該助触媒はTeO2を含み、且つ
c)酸化物担体
を含む。
【0005】
前記の活性成分は好ましくはMo−O−Kベースの活性中心である。MoおよびK含有化合物の前駆体は、
a)K2MoO4、あるいは
b)MoO3によって示される(NH46Mo724・4H2OにK2O前駆体として示されるカリウム塩を加えたもの、あるいは
c)MoO3に一種類のカリウム塩を加えたものであり、前記のカリウム化合物は少なくとも1つがK2CO3、KOHおよびCH3COOKあるいはK2O前駆体として知られる任意の他のカリウム含有化合物を含む群から選択されるもの
である。
【0006】
前記の助触媒はTeO2によって示されるTe含有化合物であり、ここでH6TeO6(H2TeO4×2H2O)あるいはTeO2前駆体として適している任意の他のTe含有塩あるいは化合物が使用され、また前記のテルル酸H6TeO6のカリウム塩も使用される。
【0007】
前記の担持材は好ましくはSiO2あるいは酸化物担体、例えばTiO2、ZrO2、Al23、Al23−SiO2、ゼオライト、前記の金属酸化物の担体あるいは混合物である。
【0008】
触媒TeO2−K2MoO4/SiO2(K2MoO4から製造)のための質量比は、TeO2/K2MoO4/SiO2=(1〜20)/(1〜50)/100、より好ましくは(3〜12)/(15〜30)/100であり、触媒TeO2−MoO3−K2O/SiO2(例えば(NH46Mo724・4H2Oおよびカリウム含有塩から製造)のための質量比は、TeO2/MoO3/K2O/SiO2=(1〜20)/(1〜50)/(1〜50)/100、より好ましくは(3〜12)/(15〜30)/(8〜20)/100である。
【0009】
本発明はまた請求項1に記載の触媒の製造方法において、
a)前記の担体を、一つより多い段階において、TeO2前駆体としてはたらくTe含有化合物およびK2O前駆体としてはたらくK含有化合物およびMo含有化合物としての(NH46Mo724あるいはMoO3を含む1つあるいはそれより多くの水溶液で含浸させる段階、あるいは
b)前記の担体材料を、1つより多い段階において、TeO2前駆体としてはたらくTe含有化合物およびK2MoO4を含む1つあるいはそれより多くの水溶液で含浸させる段階、
c)受容した含浸された担体を乾燥させる段階、および
d)随意に前記の含浸された担体をH2あるいは合成ガス(CO+H2)あるいは合成ガスおよびH2Sで、高温、好ましくは200〜450℃で処理する段階
を含む。
【0010】
前記のガスで前処理されていない製品もまた本発明の一部である。
【0011】
製造された触媒の化学式はTeO2/K2MoO4/担体あるいはTeO2/MoO3/K2O/担体として表現される。
【0012】
硫化水素を含有する雰囲気にさらすことによって、触媒中に含まれるMo、K、Teの酸化物化合物を完全あるいは部分的に硫化物に変換させる。それは酸化物あるいは硫化物あるいは両方の混合物が触媒担体上に含有されることを意味する。
【0013】
種々の量のTeO2によって改質した前記の硫化触媒のXPSスペクトルは、K2MoO4/担体(特にSiO2)と比較して、TeO2助触媒の表面上により高い相対濃度のMo4+およびMo5+があることを示し、同時にMo6+のより低い濃度を伴う。該触媒は触媒の全質量に対してTeO2を5〜20、特に7〜12質量%の範囲で含有する。
【0014】
担体表面上での活性成分および助触媒のより良い分布を実現するために、少なくとも1つのキレート試薬が好ましくは含浸工程中に存在する。前記のキレート試薬は、カルボン酸、例えばクエン酸、クエン酸三アンモニウム、L−グルタミン酸、酒石酸および錯化剤、例えばエチレンジアミン四酢酸(EDTA)から選択される一方、選択されたキレート剤の添加される量は担体の質量の0.1〜0.6倍の質量であり、より好ましくは0.3〜0.6倍の質量である。アンモニアを添加して含浸液体のpH値を8〜10に調整するべきであり、好ましい操作工程は少なくとも2段階の含浸方法であり、以下の段階を含む。
【0015】
(1)K2MoO4を活性化合物の前駆体として選択する場合、所望の質量比による特定の量のH6TeO6を特定の量の蒸留水中で溶解し、水溶液を製造し、該水溶液で相応の量の担体を8〜10時間含浸させ、その後100〜135℃で4〜6時間乾燥させて中間生成物を製造し、その後、特定の量の少なくとも1つのキレート試薬およびK2MoO4を特定の量の蒸留水中で溶解して水溶液を製造し、その中に適した量のアンモニア水を添加してpH値を8〜10に調整する。上記で製造された中間生成物を前記の溶液に8〜10時間含浸させ、最後に前記の含浸された材料を高温、特に110〜135℃で4〜6時間乾燥させる。
【0016】
(2)(NH46Mo724・4H2Oに上述の1つのカリウム化合物を加えたものを活性成分の前駆体として選択する場合、製造の順番は好ましくは以下の通りである:
初めにMoおよびTeの所望の質量比に従って選択した量のカリウム化合物および特定の量のH6TeO6を特定の量の蒸留水中で溶解して水溶液を生成する。相応の量の担体を前記の溶液で8〜10時間含浸させ、その後、高温、特に100〜130℃で4〜6時間乾燥させてH6TeO6−K/SiO2中間生成物を形成し、その後、選択された量のキレート試薬および(NH46Mo724・4H2Oを規定された量の蒸留水中で溶解して水溶液を製造し、該水溶液のpH値は適した量のアンモニア水の添加によって8〜10に調整されている。前記の中間生成物をその後、前記の溶液で8〜10時間含浸させ、その後、高温、特に110〜135℃で4〜6時間乾燥させる。
【0017】
工程の順番を変更することも可能であり、
(3)特定の量の(NH46Mo724・4H2Oおよび特定の量のH6TeO6を特定の量の蒸留水中で溶解して水溶液を生成する。特定の量のSiO2を前記の溶液で8〜10時間含浸させ、その後高温、特に100〜130℃で4〜6時間乾燥させてMo−O−Te/SiO2中間生成物を形成し、特定の量のカリウム化合物を特定の量の蒸留水中で溶解して水溶液を製造し、その中に特定の量の選択されたキレート剤およびアンモニア水を添加して該溶液のpH値を8〜10に調整し、それとともに上記で製造されたMo−O−Te/SiO2を8〜10時間含浸させ、その後、110〜135℃で4〜6時間乾燥させる。
【0018】
メチルメルカプタン製造の連続的な工程は、炭素酸化物、硫黄あるいは硫化水素および水素の混合物を高温および高圧で上述の触媒の存在下で反応させることによって効果的に実施される。
【0019】
供給ガスは好ましくは50〜80容量%の範囲の硫化水素含有率を有する。
【0020】
作用物質である炭素酸化物、硫黄、硫化水素および水素を、反応器に1/0/1/0から1/10/10/10まで、好ましくは1/0/2/2から1/0/10/10までのモル比で供給することが好ましい。
【0021】
反応条件並びに生成物の精製および未反応化合物の再利用が一般に知られている(US4665245号/EP−A−104507号、WO2005/040082号)。
【0022】
触媒をH2あるいは合成ガス(CO+H2)で8〜10時間前処理するべきであり、好ましくはその後、一酸化炭素、水素および硫化水素のメタンチオールへの触媒的変換に先だってH2Sで硫化して助触媒のTeO2成分を得る。
【0023】
本発明の触媒の触媒性能の評価を1パスあたり0.5mlの触媒を有する固定床管形反応器内で実施した。その試験を、CO/H2/H2S=1/1/2、300℃、0.2MpaおよびGHSV=2000h-1の反応条件の下で実施した。その生成物をGCによって分析した。安定な条件に達した後、全てのデータを採取した。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】触媒TeO2−K2MoO4/SiO2および比較試料のX線回折パターンを示す図である。
【0025】
以下の実施例によって本発明を説明する。
【0026】
実施例1
攪拌の下で0.648gのH6TeO6を10.0mlの蒸留水中に完全に溶解し、そのように製造されたH6TeO6水溶液のpH値が4.1であることを測定し、その後、5.000gのSiO2をH6TeO6水溶液で室温で8時間含浸させ、その後、120℃で5時間乾燥させて乾燥した中間生成物を生成させた。
【0027】
攪拌の下で2.068gのK2MoO4を5.0mlの蒸留水中で完全に溶解させてK2MoO4水溶液を生成させ、その中に5mlのNH3・H2Oを添加し、該水溶液のpH値が11.40であることを測定し、その後、攪拌の下で3.000gのクエン酸をK2MoO4にNH3・H2Oを加えた水溶液に添加し、該K2MoO4にNH3・H2Oを加えた溶液のpH値が9.26であることを測定した。最後に、段階(1)で製造された中間生成物をクエン酸、K2MoO4にNH3・H2Oを加えたものを含有する溶液に室温で10時間含浸させ、その後、120℃で5時間乾燥させてTeO2/K2MoO4/SiO2を含み9/25/100の質量比を示す触媒を生成した。そのように製造した触媒の評価結果を表1に示す。
【0028】
実施例2
(1)素早い攪拌の下で、1.468gのK2CO3および0.648gのH6TeO6を10mlの蒸留水中で完全に溶解させて水溶液を形成し、該水溶液で5.000gのSiO2を室温で9時間含浸させ、そして最後に125℃で4時間乾燥させて中間生成物を生成させた。
【0029】
(2)1.534gの(NH46Mo724・4H2Oを5.0mlの蒸留水中で攪拌の下で完全に溶解させて水溶液を形成し、それに2.000gのクエン酸三アンモニウムを添加した。続いて、適した量のNH3・H2Oを添加して該溶液のpHを9.05に調整した。段階(1)で製造した中間生成物を前記の溶液で室温で9時間含浸させ、そして最後に125℃で4時間乾燥させて20/25/9/100の質量比を示す触媒K2O/MoO3/TeO2/SiO2を生成させる。そのように製造された触媒の評価結果を表1に示す。
【0030】
実施例3
実施例1に記載された方法によって触媒を製造したが、2.000gの酒石酸をキレート試薬として使用し、且つ担体SiO2をγ−Al23によって置き換えた。そのように製造された触媒の評価結果を表1に示す。
【0031】
実施例4および5
実施例1に記載された方法によって触媒を製造したが、H6TeO6の量を0.486gおよび0.432gにそれぞれ変更し、且つ両方の場合において使用されたキレート試薬はEDTAであり、そのように製造された最終的な触媒の質量比はそれぞれTeO2/K2MoO4/SiO2=6.75/25/100およびTeO2/K2MoO4/SiO2=6/25/100であった。そのように製造された触媒の評価結果を表1に示す。
【0032】
実施例6
実施例1に記載された方法によって触媒を製造するが、担体として5.000gのTiO2を使用した。H6TeO6の量およびK2MoO4の量をそれぞれ0.142gおよび0.827gで置き換えた。製造された最終的な触媒は、TeO2/K2MoO4/TiO2=2/10/100であった。そのように製造された触媒の評価結果を表1に示す。
【0033】
実施例7
実施例6に記載された方法によって触媒を製造したが、担体として5.000gのZrO2を使用した。且つ、H6TeO6およびK2MoO4の量をそれぞれ0.071gおよび0.414gで置き換えた。製造された最終的な触媒は、TeO2/K2MoO4/ZrO2=1/5/100であった。そのように製造された触媒の評価結果を表1に示す。
【0034】
実施例8
実施例2に記載された方法によって触媒を製造したが、担体として5.000gのメソ孔性分子ふるいMCM−41を使用し、且つK2CO3、H6TeO6および(NH46Mo724・4H2Oの量をそれぞれ1.835g、1.080gおよび2.454gで置き換えた。製造された最終的な触媒は、K2O/MoO3/TeO2/MCM−41=25/40/15/100であった。
【0035】
高H2S含有供給ガスからのメタンチオール合成のために種々の量のTeO2で改質した触媒の評価結果を表1に示す。
【0036】
TeO2のK2MoO4/SiO2触媒への添加が明らかに触媒の活性を増加させることが認められ、COの変換およびCH3SHの収率の著しい変化の表れを見出すことができる。COの変換率は61.5%の最大値に達し、且つメタンチオールの収率は0.39g/ml触媒-1・h-1に達する。明らかに、COの変換率およびメタンチオールの収率の両方が、添加されたTeO2の量の関数として線形あるいは規則的に対応しない。
【0037】
【表1】

【0038】
実施例9
図1は該触媒を150℃で乾燥させ、且つ400℃で焼成することによって製造した触媒TeO2−K2MoO4/SiO2を出発材料および触媒K2MoO4/SiO2およびCoO−K2MoO4/SiO2と比較したX線回折パターンを示す[A)担体SiO2、B)H6TeO6、C)K2MoO4/SiO2、D)TeO2−K2MoO4/SiO2(クエン酸を用いて製造、150℃で乾燥)、E)TeO2−K2MoO4/SiO2(HNO3を用いて製造且つキレート試薬なし)、F)CoO−K2MoO4/SiO2、G)TeO2−K2MoO4/SiO2(400℃で焼成)、H)CoO−K2MoO4/SiO2(500℃で焼成)]。該回折パターンは、K2MoO4/SiO2系に基づいて製造された他の触媒と比べて、Te含有触媒の際立った性質を明らかに実証する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
担持された触媒において、
a)活性成分としてのMoおよびK化合物、ここでMoおよびKは同一の化合物の成分であってよく、
b)助触媒、ここで該助触媒はTeO2を含み、且つ
c)酸化物担体
を含む触媒。
【請求項2】
成分の質量比が、
TeO2/KMoO4/担体=(1〜20)/(1〜50)/100、あるいは
TeO2/MoO3/K2O/担体=(1〜20)/(1〜50)/(1〜50)/100
であることを特徴とする、請求項1に記載の触媒。
【請求項3】
成分の質量比が、
(1)TeO2/KMoO4/担体=(3〜12)/(15〜30)/100、あるいは
(2)TeO2/MoO3/K2O/担体=(3〜12)/(15〜30)/(8〜20)/100であることを特徴とする、請求項2に記載の触媒。
【請求項4】
担体が、SiO2、Al23、TiO2、Al23−SiO2、ZrO2、ゼオライト、炭素含有材料あるいはそれらの混合物を含む群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の触媒。
【請求項5】
触媒が、活性Mo−O−K中心を含有することを特徴とする、請求項1に記載の触媒。
【請求項6】
触媒を、硫化水素を含有する雰囲気にさらすことによって硫化することを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載の触媒。
【請求項7】
TeO2含有率が1〜20質量%の範囲であることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項に記載の触媒。
【請求項8】
請求項1から7までのいずれか1項に記載の触媒の製造方法において、
a)担体を、一つより多い段階において、TeO2前駆体としてはたらくTe含有化合物およびK2O前駆体としてはたらくK含有化合物およびMo含有化合物としての(NH46Mo724あるいはMoO3を含む1つあるいはそれより多くの水溶液で含浸させる段階、あるいは
b)担体を、1つより多い段階において、TeO2前駆体としてはたらくTe含有化合物およびK2MoO4を含む1つあるいはそれより多くの水溶液で含浸させる段階
を含む方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法において、
a1)担体を、TeO2前駆体であるTe含有化合物の水溶液で含浸させ、前記の含浸された担体を高温で乾燥させて中間生成物(a)を生成させる段階、
a2)前記の生成物(a)をK2MoO4水溶液で含浸させて、比(1)TeO2/KMoO4/担体=(3〜12)/(15〜30)/100による成分の質量比を有する生成物(b)を生成させ、そして前記の生成物(b)を高温で乾燥させる段階、あるいは
b1)担体を、TeO2前駆体であるTe含有化合物の水溶液およびK2O前駆体であるK含有化合物の水溶液で含浸させ、前記の含浸された担体を高温で乾燥させて中間生成物(c)を生成させる段階、および
b2)前記の中間生成物(c)を、(NH46Mo724・4H2O水溶液で含浸させて比(2)TeO2/MoO3/K2O/担体=(3〜12)/(15〜30)/(8〜20)/100による成分の質量比を有する触媒を生成させ、そして前記の含浸された生成物(d)を乾燥させる段階を含み、
第二の含浸段階a2)およびb2)の間のpH値が8〜10の範囲に調整されていることを特徴とする方法。
【請求項10】
適した量のアンモニア水あるいはアンモニアの添加によってpH値の調整が達成されることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
Mo含有化合物での含浸の間に少なくとも1つのキレート試薬を添加することを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
キレート試薬を、担体の質量1に対して0.1〜0.6の質量で添加することを特徴とする、請求項9から11までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
キレート試薬がクエン酸、クエン酸三アンモニウム、L−グルタミン酸および酒石酸あるいはエチレンジアミン四酢酸(EDTA)の群から選択されることを特徴とする、請求項9から12までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
触媒を、硫化水素を含有する雰囲気にさらすことによって硫化することを特徴とする、請求項8から13までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
炭素酸化物、例えばCO、CO2あるいはそれらの組み合わせ、硫黄および/または硫化水素、および水素を反応させることによる触媒工程中のメチルメルカプタンの製造方法において、反応を
a)活性成分としてのMoおよびK化合物、ここでMoおよびKは同一の化合物の成分であってよい
b)助触媒、ここで該助触媒はTeO2を含む
c)酸化物担体
を含む担持された触媒の存在下で行うことを特徴とする方法。
【請求項16】
成分の質量比が、
TeO2/K2MoO4/担体=(3〜12)/(15〜30)/100、あるいは
TeO2/MoO3/K2O/担体=(3〜12)/(15〜30)/(8〜20)/100であることを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
担体が、SiO2、TiO2、Al23、Al23−SiO2、ゼオライト、炭素含有材料あるいはそれらの混合物を含む群から選択されることを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
作用物質である炭素酸化物、例えばCO、CO2あるいはそれらの組み合わせ、硫黄、硫化水素、および水素を、1:0:1:0から1:10:10:10までのモル比でその反応に供給することを特徴とする、請求項15から17までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
作用物質である炭素酸化物、例えばCO、CO2あるいはそれらの組み合わせ、硫黄、硫化水素、および水素のモル比が1:0:2:2から1:0:10:10までに及ぶことを特徴とする、請求項15から17までのいずれか1項に記載の方法。

【図1】
image rotate


【公表番号】特表2010−502440(P2010−502440A)
【公表日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−527755(P2009−527755)
【出願日】平成19年5月25日(2007.5.25)
【国際出願番号】PCT/EP2007/055078
【国際公開番号】WO2008/031637
【国際公開日】平成20年3月20日(2008.3.20)
【出願人】(501073862)エボニック デグサ ゲーエムベーハー (837)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Degussa GmbH
【住所又は居所原語表記】Rellinghauser Strasse 1−11, D−45128 Essen, Germany
【Fターム(参考)】