説明

N−モノアルキル−3,5−ジブロモアニリン誘導体化合物およびその製造法

【課題】含フッ素ポリエーテル化合物の硬化剤である含フッ素ジボロン酸エステル化合物合成する際の原料物質であるN-モノアルキル-3,5-ジブロモアニリン誘導体化合物およびその製造法を提供する。
【解決手段】一般式


(R1:炭素数1〜3のアルキル基、Rf:鎖中にエーテル結合を有し得る炭素数1〜20のパーフルオロアルキル基)で表されるN-モノアルキル-3,5-ジブロモアニリン誘導体化合物が、N-モノアルキル-3,5-ジブロモアニリンに一般式RfCOX(Rf:鎖中にエーテル結合を有し得る炭素数1〜20のパーフルオロアルキル基、X:RfCOO、Cl、FまたはOH基)で表されるパーフルオロカルボン酸誘導体を反応させることにより製造される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、N-モノアルキル-3,5-ジブロモアニリン誘導体化合物およびその製造法に関する。さらに詳しくは、エラストマー性高分子材料を製造する際に、その硬化剤の原料として好適に利用することができるN-モノアルキル-3,5-ジブロモアニリン誘導体化合物およびその製造法に関する。
【背景技術】
【0002】
モノハロゲノアニリンから誘導される下記のような含フッ素アニリド化合物において、1級アニリド化合物と2級アニリド化合物とでは、水素結合の有無によってその粘度が大きく異なり、2級アニリド化合物の粘度が1級アニリド化合物のそれより著しく低いことが、本発明者の予備検討により確認されている。




【0003】
また、パラジウム触媒の存在下、ハロゲン化アリールと1級アミドとの反応によりC-N結合反応が起こり得ることが非特許文献1に記載されている。
【0004】
さらに、本発明者は、エラストマー性高分子材料の主原料として、一般式〔IV〕で表される含フッ素ポリエーテル化合物についての検討を行っている。

ここで、R2は水素原子、炭素数1〜3のアルキル基またはフェニル基であるが、含フッ素ポリエーテル化合物を低粘度化するため、ならびにC-N結合生成を回避し、ボロン酸エステル化合物硬化剤によるC-C結合生成による硬化反応を効果的に行うために、R2を炭素数1〜3のアルキル基またはフェニル基にする必要がある。
【0005】
一方、かかる含フッ素ポリエーテル化合物の硬化剤としては、一般式

(R1:炭素数1〜3のアルキル基、n:1〜7の整数、m:0〜4の整数)で表される含フッ素ジボロン酸エステル化合物を用いることができるが(非特許文献2参照)、この化合物を製造するためには、原料としてN-モノアルキル-3,5-ジブロモアニリン誘導体化合物が必要となる。しかしながら、N-モノアルキル-モノブロモアニリン(特許文献1〜3参照)や3,5-ジブロモアニリンは公知の化合物であるが、N-モノアルキル-3,5-ジブロモアニリン誘導体は知られていない化合物であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】WO 2008/126436
【特許文献2】特開2009−1709号公報
【特許文献3】特開2009−1738号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】J. Am. Chem. Soc. 125巻 6653頁 (2003)
【非特許文献2】J. Appl. Poly. Sci. 76巻 1257頁 (2000)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、含フッ素ポリエーテル化合物の硬化剤である含フッ素ジボロン酸エステル化合物合成する際の原料物質であるN-モノアルキル-3,5-ジブロモアニリン誘導体化合物およびその製造法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によって、一般式

(ここで、R1は炭素数1〜3のアルキル基であり、Rfは鎖中にエーテル結合を有し得る炭素数1〜20のパーフルオロアルキル基である)で表されるN-モノアルキル-3,5-ジブロモアニリン誘導体化合物が提供される。
【0010】
上記一般式〔I〕で表されるN-モノアルキル-3,5-ジブロモアニリン誘導体化合物において、好ましくはR1はメチル基であり、RfはCnF2n+1基またはCnF2n+1O〔CF(CF3)CF2O〕mCF(CF3)基(n:1〜7、m:0〜4)であり、かかるRf基を有する化合物

は、次のような反応によって製造することができる。
【0011】
N-モノアルキル-3,5-ジブロモアニリンに、一般式
RfCOX 〔II〕
(ここで、Rfは鎖中にエーテル結合を有し得る炭素数1〜20のパーフルオロアルキル基であり、XはRfCOO、Cl、FまたはOH基である)で表されるパーフルオロカルボン酸、その酸無水物または酸ハライド、好ましくは一般式
CnF2n+1COX 〔IIa〕
で表されるパーフルオロカルボン酸、その酸無水物または酸ハライド、あるいは一般式
CnF2n+1O〔CF(CF3)CF2O〕mCF(CF3)COF 〔IIb〕
で表されるパーフルオロアルコキシル基含有カルボン酸フルオリドを反応させる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るN-モノアルキル-3,5-ジブロモアニリン誘導体化合物は、含フッ素ポリエーテル化合物〔IV〕の硬化剤である含フッ素ジボロン酸エステル化合物を製造する際の原料物質として用いられる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明のN-モノアルキル-3,5-ジブロモアニリン誘導体化合物は、N-モノアルキル-3,5-ジブロモアニリンに、一般式
RfCOX 〔II〕
(ここで、Rfは鎖中にエーテル結合を有し得る炭素数1〜20のパーフルオロアルキル基であり、XはRfCOO、Cl、FまたはOH基である)で表されるパーフルオロカルボン酸、その酸無水物または酸ハライド、好ましくは一般式
CnF2n+1COX 〔IIa〕
で表されるパーフルオロカルボン酸、その酸無水物または酸ハライド、あるいは一般式
CnF2n+1O〔CF(CF3)CF2O〕mCF(CF3)COF 〔IIb〕
で表されるパーフルオロアルコキシル基含有カルボン酸フルオリドを反応させることにより製造される。
【0014】
N-モノアルキル-3,5-ジブロモアニリンとしては、N-モノアルキル基がメチル基、エチル基、n-プロピル基またはイソプロピル基であるものが用いられ、特にカルボン酸類〔IIa〕、〔IIb〕との反応のし易さや〔I〕の前駆体であるN-モノアルキル-3,5-ジブロモアニリンの製造のし易さの点からはメチル基であることが好ましい。
【0015】
ここで、N-モノアルキル-3,5-ジブロモアニリン化合物は、例えば3,5-ジブロモアニリンをジアルキル硫酸、ヨウ化アルキル等のアルキル化剤によりモノアルキル化反応させることにより得ることができる。ジアルキル硫酸によるモノアルキル化は、ベンゼン、トルエン、1,2-ジメトキシエタン、1,4-ジオキサン、テトラヒドロフラン等の有機溶媒中、約50〜100℃で、0.7〜1.3当量のジアルキル硫酸を反応させた後、生成したスルホメチレート塩をアルカリ加水分解することにより行われる。
【0016】
ただし、この反応では、生成物がモノアルキル化体、ジアルキル化体および未反応原料の混合物となるので、蒸留、液体クロマトグラフィー等によって、モノアルキル体を他の反応混合物から分離する操作が必要となる。この分離操作において、モノアルキル体をアセチル化した後、液体クロマトグラフィーにより分離し、次いで加水分解して、モノアルキル体を単離することもできる。なお、その原料化合物である3,5-ジブロモアニリンの製造は、例えば2,6-ジブロモ-4-ニトロアニリンを還元性化合物存在下でのジアゾ化による脱アミノ化およびニトロ基の還元により容易に行うことができる。
【0017】
また、3,5-ジブロモアニリンを、2-ニトロベンゼンスルホニルクロリドと反応させてスルホンアミド化した後、ヨウ化アルキルによりN-アルキル化し、次いで加水分解することによっても、N-モノアルキル-3,5-ジブロモアニリンを選択的に得ることもできる。
【0018】
前記一般式〔IIa〕で表されるパーフルオロカルボン酸CnF2n+1COOH、その酸無水物または酸ハライドとしては、炭素数1〜7のCnF2n+1基を有するカルボン酸、例えばトリフルオロ酢酸、ペンタフルオロプロピオン酸、ノナフルオロブタン酸、パーフルオロヘキサン酸、パーフルオロオクタン酸等が挙げられ、これらのカルボン酸の酸無水物、例えばトリフルオロ酢酸無水物、ペンタフルオロプロピオン酸無水物、ヘプタフルオロブタン酸無水物等や酸ハライド、例えばトリフルオロ酢酸クロリド、ペンタフルオロプロピオン酸クロリド、ヘプタフルオロブタン酸クロリド、ウンデカフルオロヘキサン酸クロリド、ペンタデカフルオロオクタン酸クロリド、またはこれらに対応するフルオリド等も同様に用いられる。
【0019】
また、前記一般式〔IIb〕で表されるパーフルオロアルコキシル基含有カルボン酸フルオリドとしては、たとえば次のような化合物が挙げられる。
CF3OCF(CF3)COF
C3F7OCF(CF3)COF
CF3O〔CF(CF3)CF2O〕CF(CF3)COF
CF3O〔CF(CF3)CF2O〕2CF(CF3)COF
CF3O〔CF(CF3)CF2O〕3CF(CF3)COF
CF3O〔CF(CF3)CF2O〕4CF(CF3)COF
C3F7O〔CF(CF3)CF2O〕CF(CF3)COF
C3F7O〔CF(CF3)CF2O〕2CF(CF3)COF
C3F7O〔CF(CF3)CF2O〕3CF(CF3)COF
C3F7O〔CF(CF3)CF2O〕4CF(CF3)COF
【0020】
N-モノアルキル-3,5-ジブロモアニリンとこれらのカルボン酸類〔IIa〕、〔IIb〕との反応は、脱水剤またはピリジン、トリエチルアミン等の塩基性物質の存在下で、1,2-ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、クロロホルム、ジクロロメタン等のエーテル系、含フッ素系または含塩素系有機溶媒中で行われる。
【0021】
反応生成物であるN-モノアルキル-3,5-ジブロモアニリン誘導体化合物としては、例えば次のような化合物を挙げることができる。

【0022】
得られたN-モノアルキル-3,5-ジブロモアニリン誘導体化合物は、さらに4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン等によりボリレーションし、含フッ素ジボロン酸エステル化合物〔V〕を製造することができる。この含フッ素ジボロン酸エステル化合物〔V〕は、含フッ素ポリエーテル化合物〔IV〕の硬化剤として用いることができる。

注) Ni(dppp)Cl2:〔1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン〕ジクロロニッケル
【実施例】
【0023】
次に、実施例について本発明を説明する。
【0024】
参考例
70℃で、1,2-ジメトキシエタン40ml中に3,5-ジブロモアニリン23.8g(95ミリモル)を加え、次いでジメチル硫酸14.2g(112ミリモル)を滴下し、1時間反応を行った。その後、55重量%の水酸化カリウム水溶液22.6gを加え、同温度で1時間反応させた。通常の反応処理およびn-ヘキサン-ジメチルエーテル(7/1(v/v))混合溶媒を溶出液とするカラムクロマトグラフィー(ワコーゲルC-300)により、N,N-ジメチル-3,5-ジブロモアニリンとN-メチル-3,5-ジブロモアニリンの混合物16.5gおよび反応原料である3,5-ジブロモアニリン7.5gを回収した。
【0025】
このようにして得られたN,N-ジメチル-3,5-ジブロモアニリンとN-メチル-3,5-ジブロモアニリンの混合物16.5gを、無水酢酸12.9g(125ミリモル)およびピリジン9.9g(125ミリモル)と、30mlの1,2-ジメトキシエタン中、100℃で3時間反応させた。通常の反応処理を行い、N,N-ジメチル-3,5-ジブロモアニリンとN-メチル-3,5-ジブロモアセトアニリドの混合物17gを得た。この混合物から、n-ヘキサン-ジメチルエーテル(5/1(v/v))混合溶媒を溶出液とするカラムクロマトグラフィー(ワコーゲルC-300)により、N-メチル-3,5-ジブロモアセトアニリドを10.8g得た。得られたN-メチル-3,5-ジブロモアセトアニリド10.8gを、35%塩酸50mlおよびエタノール35ml中で、90℃で15時間反応させた。通常の反応処理を行い、次いで減圧蒸留により、沸点90〜92℃(9Pa)のN-メチル-3,5-ジブロモアニリンを8.7g得た(3,5-ジブロモアニリンに基づいた収率35%)。
1H-NMR(CDCl3、300MHz)δ:2.79ppm (doublet、J=5.1Hz、3H、N-CH3)
3.84ppm (broad singlet、1H、N-H)
6.63ppm (doublet、J=1.6Hz、2H、Ar)
6.94ppm (triplet、J=1.6Hz、1H、Ar)
IR(neat)ν: 1,071cm-1
1,098cm-1
1,278cm-1
1,309cm-1
1,421cm-1
1,500cm-1
1,590cm-1
2,897cm-1
3,087cm-1
3,432cm-1
【0026】
実施例1
N-メチル-3,5-ジブロモアニリン3.0g(11ミリモル)およびピリジン1.4g(18ミリモル)を含む1,2-ジメトキシエタン溶液10ml中に、トリフルオロ酢酸無水物3.8g(18ミリモル)を滴下し、室温条件下で10分間反応を行った。通常の反応処理を行った後、粗生成物をエタノールから再結晶し、無色の固体としてN-メチル-3,5-ジブロモアニリン誘導体化合物(融点66〜67℃)を2.4g得た(N-メチル-3,5-ジブロモアニリンを基準とした収率60%)。

1H-NMR(CDCl3、300MHz)δ: 3.35ppm (singlet、3H、N-CH3)
7.38ppm (doublet、J=1.2Hz、2H、Ar)
7.73ppm (singlet、1H、Ar)
19F-NMR(CDCl3、300MHz)δ:-68.2ppm (singlet、3F、-CF3)
IR(neat)ν: 3,060cm-1
1,705cm-1
1,561cm-1
1,224cm-1
1,202cm-1
1,146cm-1
1,120cm-1
【0027】
実施例2
N-メチル-3,5-ジブロモアニリン17.5g(66ミリモル)およびトリエチルアミン9.3g(92ミリモル)を含む1,2-ジメトキシエタン溶液60ml中に、パーフルオロ(2-プロポキシプロピオニルフルオリド)CF3CF2CF2OCF(CF3)COF 26.3g(79ミリモル)を滴下し、室温条件下で45分間反応を行った。通常の反応処理を行った後、粗生成物を減圧蒸留し、無色の液体としてN-メチル-3,5-ジブロモアニリン誘導体化合物(沸点82〜83℃/20Pa)を36g得た(N-メチル-3,5-ジブロモアニリンを基準とした収率94%)。

1H-NMR(CDCl3、300MHz)δ: 3.36ppm (singlet、3H、N-CH3)
7.31ppm (doublet、J=1.8Hz、2H、Ar)
7.73ppm (singlet、1H、Ar)
19F-NMR(CDCl3、300MHz)δ:-130.7ppm (singlet、2F、-CF2CF2CF3)
-123.5ppm (doublet、J=15Hz、1F、-CF(CF3)O-)
-80.5ppm, 86.9ppm (AB、J=150Hz、2F、-CF2CF2CF3)
-82.5ppm (singlet、3F、-CF(CF3)O-)
-82.3ppm (triplet、J=7.6Hz、3F、-CF2CF2CF3)
IR(neat)ν: 3,077cm-1
1,698cm-1
1,581cm-1
1,561cm-1
1,234cm-1
1,147cm-1
1,108cm-1
1,004cm-1
988cm-1
【0028】
実施例3
N-メチル-3,5-ジブロモアニリン6.0g(23ミリモル)およびトリエチルアミン3.3g(33ミリモル)を含む1,2-ジメトキシエタン溶液40ml中に、酸フルオリドCF3CF2CF2OCF(CF3)CF2OCF(CF3)CF2OCF(CF3)COF 18g(27ミリモル)を滴下し、室温で1時間反応を行った。通常の反応処理を行った後、粗生成物を減圧蒸留し、無色の液体としてN-メチル-3,5-ジブロモアニリン誘導体化合物(沸点101〜104℃/9Pa)を17.5g得た(N-メチル-3,5-ジブロモアニリンを基準とした収率85%)。

1H-NMR(CDCl3、300MHz)δ: 3.36ppm (singlet、3H、N-CH3)
7.30ppm (singlet、2H、Ar)
7.73ppm (singlet、1H、Ar)
19F-NMR(CDCl3、300MHz)δ: -146.1ppm (multilet、2F、-CF(CF3)O-、
-OCF2CF(CF3)O-)
-130.7ppm (doublet、J=11Hz、2F、-CF2CF2CF3)
-123.1ppm (multilet、1F、-C(=O)CF(CF3)O-)
-85.5p〜-79.5ppm (18F、-CF3、-OCF2-)
IR(neat)ν: 3,079cm-1
1,705cm-1
1,692cm-1
1,582cm-1
1,562cm-1
1,241cm-1
1,162cm-1
994cm-1
【0029】
参考例
実施例2で得られたN-メチル-3,5-ジブロモアニリン誘導体化合物8.0g(14ミリモル)、〔1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン〕ジクロロニッケル0.38g(0.7ミリモル)およびトリエチルアミン8.4g(83ミリモル)を溶解させたトルエン(120ml)溶液中に、80℃で4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン5.9g(46ミリモル)を滴下し、その後100℃に昇温し、窒素雰囲気下で44時間反応させた。反応混合物を室温まで冷却後、飽和塩化アンモニウム水溶液に加え、反応を停止させた。通常の反応処理を行い、粗生成物10.3gを得た。
【0030】
粗生成物から、n-ヘキサン/ジエチルエーテル(1/1(v/v))混合溶媒を溶出液とするカラムクロマトグラフィー(ワコーゲル C-300)により生成物を単離した後、エタノールから再結晶した。このようにして、白色結晶として含フッ素ボロン酸エステル化合物(融点124〜128℃)を7.2g得た(N-メチル-3,5-ジブロモアニリン誘導体化合物を基準とした収率77%)。

1H-NMR(CDCl3、300MHz)δ:1.35ppm (singlet、24H、CH3)
3.36ppm (singlet、3H、N-CH3)
7.68ppm (singlet、2H、Ar)
8.26ppm (singlet、1H、Ar)
IR(KBr)ν: 2,981cm-1
1,698cm-1
1,336cm-1
1,450cm-1
1,243cm-1
1,142cm-1
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明に係るN-モノアルキル-3,5-ジブロモアニリン誘導体化合物は、含フッ素ポリエーテル化合物の硬化剤である含フッ素ジボロン酸エステル化合物合成の有用な原料として用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式

(ここで、R1は炭素数1〜3のアルキル基であり、Rfは鎖中にエーテル結合を有し得る炭素数1〜20のパーフルオロアルキル基である)で表されるN-モノアルキル-3,5-ジブロモアニリン誘導体化合物。
【請求項2】
一般式〔I〕において、R1がメチル基である請求項1記載のN-モノアルキル-3,5-ジブロモアニリン誘導体化合物。
【請求項3】
一般式〔I〕において、RfがCnF2n+1基またはCnF2n+1O〔CF(CF3)CF2O〕mCF(CF3)基(ここで、nは1〜7の整数であり、mは0〜4の整数である)である請求項1記載のN-モノアルキル-3,5-ジブロモアニリン誘導体化合物。
【請求項4】
N-モノアルキル-3,5-ジブロモアニリンに、一般式
RfCOX 〔II〕
(ここで、Rfは鎖中にエーテル結合を有し得る炭素数1〜20のパーフルオロアルキル基であり、XはRfCOO、Cl、FまたはOH基である)で表されるパーフルオロカルボン酸、その酸無水物または酸ハライド反応させることを特徴とする、一般式

で表されるN-モノアルキル-3,5-ジブロモアニリン誘導体化合物の製造法。
【請求項5】
パーフルオロカルボン酸、その酸無水物または酸ハライドとして、一般式
CnF2n+1COX 〔IIa〕
(ここで、XはRfCOO、Cl、FまたはOH基であり、nは1〜7の整数である)で表される化合物または一般式
CnF2n+1O〔CF(CF3)CF2O〕mCF(CF3)COF 〔IIb〕
(ここで、nは1〜7の整数であり、mは0〜4の整数である)で表される化合物が用いられる請求項4記載のN-モノアルキル-3,5-ジブロモアニリン誘導体化合物の製造法。

【公開番号】特開2010−260821(P2010−260821A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−113113(P2009−113113)
【出願日】平成21年5月8日(2009.5.8)
【出願人】(502145313)ユニマテック株式会社 (169)
【Fターム(参考)】