説明

N−置換マレイミド類の製造方法

【課題】工程を単純化して収率が高く、副反応を最小化し、高価の原料投入と難しい反応液処理を排除し、原料と無水マレイン酸の投入時間を顕著に短縮させる、N−置換マレイミド類の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明に係るN−置換マレイミド類の製造方法は、従来のN−置換マレアミド酸を製造した後、N−置換マレイミド類を製造する方法とは異なり、N−置換マレアミド酸を別途に製造せず、反応器に有機溶剤、酸触媒、脱水助触媒、及び安定剤を投入した後、第一級アミンを投入してアミン塩を形成し、無水マレイン酸を投入して脱水閉環反応させ、生成された水を、有機溶剤と共に共沸蒸留して、効果的にマレイミド重合体の形成を抑制することにより、高純度と高収率を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、N−置換マレイミド類の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
N−置換マレイミド類は、医薬品、農薬、染料、高分子化合物などの製造ための出発物質または中間体として効果的である。特に、最近ではスチレン系樹脂の耐熱性向上のために大量使用されており、さらに、樹脂の改質用や重合体配合用の共重合体などに広く用いられている。
【0003】
従来のN−置換マレイミド類の製造法として、幾つかの方法が知られている。一般的な製造方法は、無水マレイン酸をアミン類と反応させてN−置換マレアミド酸を形成し、その後これを脱水閉環(イミド化)する。公知の方法の一例として、無水マレイン酸とアミン類を180℃で加熱して得られたN−置換マレアミド酸を脱水閉環する方法がある[L.E.Coleman et al.、J.Org.Chem.、24、135〜136(1959)]。しかし、この方法によれば、目的とするN−置換マレイミドの収率として15〜50%程度しか得ることができないので、経済的ではない。
【0004】
比較的収率の良いN−置換マレイミド類を製造する方法として、N−置換マレアミド酸を脱水閉環するために、脱水剤または脱水触媒を使用する方法がある。
【0005】
脱水剤を使用する方法の一例は、米国特許第2,444,536号に開示されており、酢酸ナトリウム触媒存在下で無水酢酸のような脱水剤を使用してN−置換マレアミド酸を脱水閉環する方法がよく知られている。この方法は、比較的高い反応収率を提供するが、脱水剤を大量使用し、反応後、生成物の分離処理が煩わしく生産コストが高いので、経済的な量産方法ではない。
【0006】
工業的に有利な方法として、脱水剤の代りに効果的な脱水触媒を用いて、穏和な条件下でN−置換マレアミド酸を脱水閉環する方法がある。この方法は高価な副原料を使用しないため、経済的に効果的である。
米国特許第3,431,276号には化学的脱水剤を使用せず、好適な沸点を有する溶媒下で三酸化硫黄、硫酸、オルトリン酸のような酸触媒を用いてN−置換マレアミド酸を加熱、脱水閉環し、生成された水を共沸蒸留によって反応系外に除去することによりN−置換マレイミド類を製造する方法が記載されている。この方法は、高価な脱水剤を多量使用しないことと、N−置換マレイミド類を容易に分離できるという長所があるが、反応収率が低く、副反応が発生しやすいという問題がある。この反応収率を改善するために、特開昭53−68770号及び特開昭57−42043号はN−置換マレアミド酸を生成し、ジメチルホルムアミドまたはジメチルスルホキシドのような非プロトン性極性溶媒を用いてN−置換マレアミド酸の溶解性を高めた後、酸触媒存在下で脱水閉環することによるN−置換マレイミド類の製造方法を開示している。
【0007】
このような非プロトン性極性溶媒の使用により収率は大幅に向上したが、この触媒は高価で毒性が高く、多量に使用するので製造コストが上昇する。また、この非プロトン性極性溶媒が反応中に酸触媒により劣化するので、多量の溶媒が必要になる。さらに、この溶媒は高沸点を有するので、N−置換マレイミド類を分離するためには多くのエネルギーを必要とする。
【0008】
米国特許第4,623,734号、第4,780,546号及び第4,786,738号は、無水マレイン酸をアミン類と非極性有機溶剤の中で反応させてN−置換マレアミド酸を製造した後、酸触媒と金属安定剤、その他の安定剤の存在下で共沸蒸留して脱水閉環する方法を開示している。しかし、前述の方法では、高度精製されたN−置換マレイミド類を製造できず、反応中に生成された副産物により、反応の完了後の反応溶液と触媒の分離がとても難しい。触媒の分離ができたとしても、触媒の活量が急激に低下して効果的に再使用できない。このような理由により、経済的な観点からは有益な方法とはいえない。
【0009】
米国特許第4,851,547号は、このような触媒の分離を容易にするために、触媒を固体担持体を用いて担持する方法を開示している。この方法は、経済的な観点から好ましいように見えるが、最初に無水マレイン酸とアミン類を反応させてN−置換マレアミド酸を製造し、製造されたN−置換マレアミド酸に、別に用意した酸処理したアミン塩を触媒として使用するため、反応器を別途運用しなければならない。さらに、スラリー状にしたN−置換マレアミド酸、またはアミン塩を搬送しなければならない問題がある。また、反応中、過量のアミン類を使用するため、2−アミノ−N−置換スクシンイミドが副産物として多量生成される問題がある。さらに、触媒として使用するアミン類が、実際には反応に加わるため、高純度のN−置換マレイミド類の製造に不適である。
【0010】
米国特許第4,980,483号は、主要副産物である2−アミノ−N−置換スクシンイミドが無水マレイン酸と反応して選択的にN−置換マレイミド類に転換する現象を用いて、2段階の反応を使用している。この開示によれば、第1段階では2−アミノ−N−置換スクシンイミドが生成されるように過量のアミン類を用いて反応を行い、第2段階で過量の無水マレイン酸を加え、高い収率と純度を有するN−置換マレイミド類が得られる。しかし、多量の2−アミノ−N−置換スクシンイミドは、過量の無水マレイン酸という条件下だけでN−置換マレイミド類に転換するので、転換できなかった2−アミノ−N−置換スクシンイミドは、製品の最終状態まで不純物として存在する。このため、高精製を必要とする分野では、このような方法は不適である。また、高分子化合物に含まれる2−アミノ−N−置換スクシンイミドは、高分子化合物の表面を炭化させるか、最終製品の表面を不規則にするので、除去しなければならない。
【0011】
米国特許第5,973,166号は、従来のマレイミド製造法で、反応物及び中間体、生成物の溶解度を増加させるために、非プロトン性極性溶媒の代わりに、多量のアミン塩を用いる方法を開示している。しかし、他の製造法と同様に、この方法は最初にN−置換マレアミド酸を製造することにより発生する問題を有する。また、全般的に低い収率、及び再結晶を使用する精製過程が複雑であるという問題がある。
また、高価なアミン塩を大量に使用するので、経済的な観点から有益ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第2,444,536号公報
【特許文献2】米国特許第3,431,276号公報
【特許文献3】特開昭53−68770号公報
【特許文献4】特開昭57−42043号公報
【特許文献5】米国特許第4,623,734号公報
【特許文献6】米国特許第4,780,546号公報
【特許文献7】米国特許第4,786,738号公報
【特許文献8】米国特許第4,851,547号公報
【特許文献9】米国特許第4,980,483号公報
【特許文献10】米国特許第5,973,166号公報
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】L.E.Coleman et al. J.Org.Chem.24、135〜136(1959)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
こうした従来技術の問題点を克服するために、本発明者らはN−置換マレイミド類を製造するに当たって、従来の方法よりも反応が簡単で高収率を提供し、副反応を最小化するための製造方法を研究した。その結果、N−置換マレアミド酸を最初に製造する従来方法とは異なり、有機溶剤に酸触媒、脱水助触媒、及び安定剤を投入した後、第一級アミンを加えてアミン塩を形成し、その後無水マレイン酸を投入してできた混合物に脱水閉環反応を行って従来方法の問題点である高価な原料投入及び反応液の複雑な処理を排除し、また、高沸点の非プロトン性極性溶媒を使用せず、精製過程が簡単で、触媒分離及び再使用が容易な、N−置換マレイミド類を製造する方法を開発して本発明を完成した。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、反応器に有機溶剤、酸触媒、脱水助触媒、及び安定剤を投入した後、第一級アミンを投入してアミン塩化し、無水マレイン酸を投入して脱水閉環反応させ、生成される水を有機溶剤と共に共沸蒸留することにより、高純度、高収率のN−置換マレイミド類を製造する方法を提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明の、アミン塩を反応物を兼ねた触媒として用いるN−置換マレイミド製造方法が、従来のN−置換マレアミド酸を製造した後にN−置換マレイミドを製造する方法よりも、高い収率と純度を有することを確認した。また、適当量の第三級アミンがさらに高い収率と純度を与えることが分かった。さらに、無水マレイン酸を適当に加えることにより、さらに高い収率となる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明をより詳しく説明する。
【0018】
本発明は、従来のN−置換マレアミド酸を製造した後にN−置換マレイミド類を製造する方法とは異なり、N−置換マレアミド酸を別に製造せず、反応器に有機溶剤、酸触媒、脱水助触媒、及び安定剤を投入した後、第一級アミンを投入してアミン塩を形成し、混合物に無水マレイン酸を投入して脱水閉環反応させ、反応中に生成された水を有機溶剤と共に共沸蒸留してマレイミド重合体の形成を効果的に抑制することで、高純度で高収率のN−置換マレイミド類を製造することができる。
【0019】
先ず、本発明に係るN−置換マレイミド類を製造するための組成成分について説明する。
【0020】
本発明に用いられるマレイミドの原料として特に効果的な第一級アミンの例は、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、i−プロピルアミン、s−プロピルアミン、n−ブチルアミン、s−ブチルアミン、i−ブチルアミン、t−ブチルアミン、n−ヘキシルアミン、n−ドデシルアミン、アリルアミン、ベンジルアミン、シクロヘキシルアミン、アニリン、エチルアニリン、トルイジン、ヒドロキシアニリン、ニトロアニリン、またはエチレンジアミンなどが使用可能である。
【0021】
本発明に用いられる有機溶剤は、N−置換マレアミド酸の脱水閉環反応により生成された水を共沸蒸留により反応系外に放出するために、水に不溶性であるか、不混性であって、反応に関与してはならない。
【0022】
また、反応を適切に行うために、有機溶剤の沸点は少なくとも50℃であり、生成されたN−置換マレイミドの安定性のためには、沸点は170℃未満であることが好ましい。本反応に適する有機溶剤の例は、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメン、クロロベンゼン、イソプロピルベンゼン、メシチレン、t−ブチルベンゼン、トリメチルヘキサン、オクタンなどがある。上記反応を円滑に、かつ経済的に行う観点から、反応に用いられる有機溶剤の量は、原料として投入される第一級アミンの重量の約1〜20倍、より好ましくは第一級アミンの重量の約2〜10倍が適当である。
【0023】
また、有機溶剤は、環境要因と、原料及び生成物に対する溶解度と、価格及び取り扱いの容易さを考慮して決定しなければならず、選択した溶媒は反応後の除去が容易であって、再使用に適していなければならない。また、上記有機溶剤は、単独または混合して使用してもよく、混合比は上記目的に適するように決定する。
【0024】
本発明に用いられる酸触媒としては、無水硫酸、p−トルエンスルホン酸、オルトリン酸、メタリン酸、ピロリン酸、ベンゼンスルホン酸、及びトリクロロ酢酸のような無機または有機一塩基酸及び多塩基酸が好ましい。このような触媒の使用量は反応に適用する第一級アミン100モル部に対して約10〜200モル部、より好ましくは20〜100モル部の範囲が適当である。触媒が10モル部未満である場合は、反応を円滑に行うことができず、200モル部を超える場合は収率が低下し、副反応が形成されるという問題がある。
【0025】
一方、上記触媒は担持体に担持して使用してもよい。触媒を担持する担持体は、例えば、活性炭、シリカ、シリカ−アルミナ、二酸化チタン、及び酸化ジルコニウムのような合成鉱物材料、粘土、滑石、硅藻土、ベントナイト、モンモリロナイトのような天然鉱物材料などがある。このような無機担体は、粉末か、関連物質とのペレット化及び分級によリ得られた顆粒の形態で用いられる。坦体が、硅藻土、シリカゲル、または活性炭のような多孔性物質からなる場合に、触媒はとりわけ好ましい結果をもたらす。上述した担持体の量は触媒を投入した重量の0.2〜4倍、好ましくは0.5〜2倍である。
【0026】
また、触媒バインダーを触媒と共に使用すると、触媒の反応性を向上させ、再使用を可能にする。触媒バインダーは、有機溶剤に対する溶解度が低く、触媒と分離しないように物理的に結合または化学的に結合していなければならず、反応時に反応物質との混合が容易でなければならない。このような触媒バインダーとしては、分子量1000〜10000を有するポリアルキレングリコール、ポリビニールアルコールなどが使用できる。好ましくはポリエチレングリコール(PEG)またはポリプロピルレングリコール(PPG)を使用する。触媒バインダーの量は、触媒を投入する重量の0.2〜4倍、好ましくは0.5〜2倍である。
【0027】
脱水助触媒として金属含有化合物と安定剤の存在下で反応を行うと、より良い結果となる。金属含有化合物は、亜鉛(Zn)、クロム(Cr)、パラジウム(Pd)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、及びアルミニウム(Al)からなる群から選択される少なくとも1つの金属の酸化物、アセテート、マレエート、スクシネート、塩化物から選択される。言うまでもなく、酢酸亜鉛が特に効果的である。金属含有化合物の使用量は第一級アミン100モル部に対して0.005〜5モル部、好ましくは0.01〜4モル部の範囲で使用される。脱水助触媒の量が0.005モル部未満の場合は反応時間が増加する問題があり、5モル部を超える場合は副反応が行われて触媒活性が低下する問題がある。
【0028】
本発明の、好ましい安定剤は、メトキシベンゾキノン、2,6−t−ブチル−4−メチルフェノール(BHT)、p−メトキシフェノール、フェノチアジン、ヒドロキノン、アルキル化ジフェニルアミン、メチレンブルー、t−ブチルカテコール、t−ブチルヒドロキノン、亜鉛ジメチルジチオカルバメート、銅ジメチルジチオカルバメート、アルキルフェノール類、及びアルキルビスフェノール類から選択される1種以上がある。前記安定剤の添加量は、最少量では安定化の効果が不充分であり、添加し過ぎると最終製品、特に高分子化合物の生成に影響を及ぼすため好ましくない。安定剤の好ましい投入量は、第一級アミン100モル部に対して0.005〜5モル部、さらに好ましくは0.05〜3モル部の範囲である。安定剤が0.005モル部未満の場合はマレイミド重合体の形成を引き起こし、5モル部を超える場合は、重合に対して触媒毒として作用し、最終製品に過度に影響する虞がある。
【0029】
上述したように、本発明では、反応器に有機溶剤、酸触媒、脱水助触媒、及び安定剤を投入した後、第一級アミンを投入して、最初にアミン塩を形成する点に特徴がある。特に、上記第一級アミンの投入前に、第三級アミンが助触媒として作用することにより、反応状態を穏和な条件に制御することができる。すなわち、脱水閉環反応の助触媒として第三級アミンを使用でき、適切な第三級アミンは反応系の酸性度を調節して過度な反応を調節できるので、N−置換マレイミドから形成された重合体の生成を効果的に抑制することができる。本発明に使用される第三級アミンの例は、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリオクチルアミン、トリベンジルアミンなどがあり、これら第三級アミンの使用量は第一級アミン100モル部に対して0.05〜50モル部、好ましくは0.01〜20モル部の範囲である。第三級アミンが0.05モル部未満である場合は副反応を効果的に抑制できなくなり、50モル部を超える場合は収率低下及び洗浄工程が難しくなる。
【0030】
本発明では、無水マレイン酸はアミン塩の形成後に投入され、第一級アミン100モル部に対して100〜150モル部を用いることが好ましい。また、上記のようにアミン塩の形成後に投入することに加えて、さらに高い純度と収率を獲得するために、反応の中間段階で付加的に無水マレイン酸を投入してもよい。付加的に投入される無水マレイン酸の量は、無水マレイン酸全体の使用量の0.1〜30モル%である。
【0031】
本発明の製造方法において、反応温度は通常50〜200℃であり、好ましくは70〜160℃である。本発明では、圧力は特に制限されることはなく、減圧、常圧、及び加圧から選択される。反応時間は溶媒の種類、原料の投入量、及び反応温度などの条件に応じて異なるが、通常1〜16時間程度であり、好ましくは1〜10時間である。
【0032】
本発明では、反応器に有機溶剤を投入し、酸触媒と必要に応じて担持体を投入し、脱水助触媒と安定剤を投入し、第三級アミンと、N−置換マレイミド類を生成するための第一級アミンを投入して、部分または全体をアミン化し、無水マレイン酸を一回投入し、または分割投入して脱水閉環反応させ、反応系内に生成された水を有機溶剤と共に共沸蒸留して反応系から除外することにより、高純度、高収率のN−置換マレイミドを製造することができる。反応に用いられた溶媒及び触媒は、容易に分離して別の反応に改質することなく使用することができる。
【0033】
本発明は、従来の方式とは異なり、別途にN−置換マレアミド酸を製造する過程を省略する。したがって、反応器を1つだけ使用し、スラリー状のN−置換マレアミド酸を搬送する過程を省略できるため、工程が簡単になる。また、N−置換マレアミド酸スラリーを搬送する煩わしさがなく、別の反応器を使用することなく一つの反応器内で反応を完了できる長所がある。さらに、本発明に係る方法は、N−置換マレアミド酸を製造した後にN−置換マレイミドを製造する方法よりも、高い収率及び純度を提供することができる。詳細は以下の実験例により明らかにする。
【0034】
反応に作用するアミンと同じ種類のアミンであって、触媒として使用するアミン塩を別途形成する従来方法とは異なり、本発明は反応に作用するアミンからアミン塩を形成するので、反応系で使用されるアミンの量が過度になることを防止する。主要副産物である2−アミノ−N−置換スクシンイミドを形成することなく、従って、当量だけ使用するので経済性の面に優れる。また、従来の方法ではN−置換マレイミドの形成時に副反応を避けるために、アミン類の投入に少なくとも30分から1時間以上の時間を必要としたが、本発明では10分以内に投入するので、反応時間が短くなる。
【0035】
従来方法では、有機溶剤に無水マレイン酸を先ず投入したため、無水マレイン酸が系内の水分により容易にマレイン酸に変質したが、本発明では、用意された反応系内で短時間内に無水マレイン酸を投入するので、無水マレイン酸の変質を防止できる。従って、無水マレイン酸からのマレイン酸の生成、または再配列反応による無水マレイン酸からのフマル酸の生成を抑制して、従来の方法よりも高い収率及び純度を提供する。
【0036】
以下、本発明の実施例を参照してより詳しく説明するが、本発明がこれに限定されることはない。
【0037】
<実施例1>
温度計、水分離器を有する冷却器及び攪拌器を備えた容量300mlの反応器に、キシレンとトルエンを1:1で混合した溶媒88gを投入した。次に、85%オルトリン酸8g(69.4mmol)を投入して攪拌しながら、還流させてリン酸中の水分を除去した。
【0038】
次に、酢酸亜鉛1.2g(6.54mmol)とBHT1g(4.54mmol)を投入した。反応液を攪拌しながら、アニリン20g(214.8mmol)を5分間かけて投入してアミン塩を形成し、無水マレイン酸22g(224.3mol)を反応器に5分間かけて投入した。その後、反応器の温度を125℃に昇温して内容物を還流し、生成された水を、混合溶媒と共に共沸蒸留して、水分離器を介して反応器から除去した。その温度を維持しながら3時間反応を行った後、無水マレイン酸1.4gをさらに投入して2時間反応させた。反応器を静置し、30℃に冷却して層分離により触媒層を除去した。キシレン及びトルエン溶液層を別の中和槽に移し、5%炭酸ナトリウム水溶液50gを投入して20分間攪拌し、20分静置した。上記溶液は、有機層と水の層にきれいに分離され、水の層は分離して除去した。50gの水を有機層に投入した後、20分間攪拌し、20分間静置した。形成された水の層は分離して除去した。このように分離された有機層を濃縮槽に移し、50〜100℃、20〜130mmHgの減圧下で蒸留してキシレン及びトルエンを除去した。その結果、濃縮槽内に27.0gの明るい黄色の固形物を得た。この固形物を液体クロマトグラフィで分析した結果、N−フェニルマレイミドの純度は98%であり、アニリンを基準としたN−フェニルマレイミドの収率は87%であった。副産物としては2−アミノ−N−置換スクシンイミドが0.2%、N−フェニルマレイミド二量体が1.2%観察された。
【0039】
<実施例2>
温度計、水分離器を有する冷却器及び攪拌器を備えた容量100Lの反応器に、キシレン40kgを投入した。次に、担持体としてシリカゲル2kgを投入し、オルトリン酸2kg(17.3mol)を加えた。
【0040】
次に、酢酸亜鉛30g(0.19mol)と2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノールを30g(0.14mol)投入した。トリエチルアミン100g(0.98mol)を投入して溶液を中和した後、アニリン4kg(43.0mol)を反応器に5分間かけて投入してアミン塩を形成した。次に、無水マレイン酸4.6kg(47.3mol)を反応器に5分間かけて投入し、攪拌しながら反応器温度を140℃に維持し、生成された水を、キシレンと共に共沸蒸留して、水分離器を介して反応器から除去した。温度を維持しながら6時間反応を行った後、反応器を静置し、30℃に冷却して層分離により触媒層を除去した。キシレン溶液層を別の中和槽に移し、5%炭酸ナトリウム水溶液500gを投入した。この溶液を20分間攪拌し、その後20分静置した。前記溶液は有機層と水の層にきれいに分離され、水の層は分離して除去した。500gの水を投入した後、20分間攪拌し、20分間静置した。このように生成した水の層を分離して除去した。分離された有機層を濃縮槽に移し、50〜100℃、20〜130mmHgの減圧下で蒸留して、キシレンを除去した。溶媒を除去した後、濃縮槽内に7.2kgの明るい黄色の固形物を得た。この固形物を液体クロマトグラフィで分析した結果、N−フェニルマレイミドの純度は98%であり、アニリンを基準としたN−フェニルマレイミドの収率は97%であった。
【0041】
<実施例3>
温度計、水分離器を有する冷却器及び攪拌器を備えた容量100Lの反応器に、キシレン40kgを投入した。次に、担持体としてシリカゲル2kgを投入し、オルトリン酸2kg(17.3mol)を投入した。次に、酢酸亜鉛30g(0.19mol)と2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール30g(0.14mol)を投入した。トリエチルアミン200g(0.98mol)を投入して溶液を中和した後、アニリン4kg(43.0mol)を反応器に5分間かけて投入してアミン塩を形成した。次に、無水マレイン酸4.6kg(47.3mol)を反応器に5分間かけて投入した。その後、撹拌しながら反応器の温度を140℃に維持し、生成された水を、キシレンと共に共沸蒸留して、水分離器を介して反応器から除去した。温度を維持しながら3時間反応を行った後、無水マレイン酸200gをさらに投入して3時間反応させた。その後、反応器を静置し、30℃に冷却して、層分離により触媒層を除去した。キシレン溶液層を別の中和槽に移し、5%炭酸ナトリウム水溶液500gを投入した。前記溶液を20分間攪拌し、20分静置した。前記溶液は有機層と水の層にきれいに分離され、水の層を分離して除去した。500gの水を有機層に加えた後、20分間攪拌し、20分間静置した。形成された水の層は分離して除去した。分離された有機層を濃縮槽に移し、50〜100℃、20〜130mmHgの減圧下で蒸留してキシレンを除去した。溶媒を除去した後、濃縮槽内に7.3kgの明るい黄色固形物を得た。この固形物を液体クロマトグラフィで分析した結果、N−フェニルマレイミドの純度は99%であり、アニリンを基準としたN−フェニルマレイミドの収率は97%であった。
【0042】
<実施例4>
トリエチルアミンを300g(2.94mol)投入したことを除いては、上記実施例3と同じ条件で実験を行った(第一級アミンの投入時間:5分、無水マレイン酸の投入時間:5分)。その結果として、濃縮槽内に7.3kgの明るい黄色固形物を得た。この固形物を液体クロマトグラフィで分析した結果、N−フェニルマレイミドの純度は99%であり、アニリンを基準としたN−フェニルマレイミドの収率は98%であった。
【0043】
<実施例5>
触媒としてオルトリン酸を3kg(26.0mol)投入したことを除いては、上記実施例2と同じ条件で実験を行った(第一級アミンの投入時間:5分、無水マレイン酸の投入時間:5分)。その結果として、濃縮槽内に7.1kgの黄褐色の固形物を得た。この固形物を液体クロマトグラフィで分析した結果、N−フェニルマレイミドの純度は97%であり、アニリンを基準としたN−フェニルマレイミドの収率は96%であった。
【0044】
<実施例6>
触媒としてオルトリン酸を1kg(8.7mol)投入したことを除いては、上記実施例2と同じ条件で実験を行った(第一級アミンの投入時間:5分、無水マレイン酸の投入時間:5分)。その結果として、濃縮槽内に7.1kgの黄褐色の固形物を得た。この固形物を液体クロマトグラフィで分析した結果、N−フェニルマレイミドの純度は97%であり、アニリンを基準としたN−フェニルマレイミドの収率は96%であった。
【0045】
<実施例7>
溶媒としてキシレンを30kg投入したことを除いては、上記実施例2と同じ条件で実験を行った(第一級アミンの投入時間:5分、無水マレイン酸の投入時間:5分)。その結果として、濃縮槽内に7.1kgの黄褐色の固形物を得た。この固形物を液体クロマトグラフィで分析した結果、N−フェニルマレイミドの純度は97%であり、アニリンを基準としたN−フェニルマレイミドの収率は96%であった。
【0046】
<実施例8>
安定剤として、2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノールに代えてt−ブチルカテコール20g(0.12mol)を投入したことを除いては、上記実施例2と同じ条件で実験を行った(第一級アミンの投入時間:5分、無水マレイン酸の投入時間:5分)。その結果として、濃縮槽内に7.2kgの黄褐色の固形物を得た。この固形物を液体クロマトグラフィで分析した結果、N−フェニルマレイミドの純度は97%であり、アニリンを基準としたN−フェニルマレイミドの収率は97%であった。
【0047】
<実施例9>
3時間反応させた後に、無水マレイン酸400gをさらに投入したことを除いては、上記実施例3と同じ条件で実験を行った(第一級アミンの投入時間:5分、無水マレイン酸の投入時間:5分、追加の無水マレイン酸の投入時間:1分)。その結果として、濃縮槽内に7.3kgの明るい黄色の固形物を得た。この固形物を液体クロマトグラフィで分析した結果、N−フェニルマレイミドの純度は99%であり、アニリンを基準としたN−フェニルマレイミドの収率は98%であった。
【0048】
<実施例10>
3時間反応させた後に、無水マレイン酸800gをさらに投入したことを除いては、上記実施例3と同じ条件で実験を行った(第一級アミンの投入時間:5分、無水マレイン酸の投入時間:5分、追加の無水マレイン酸の投入時間:1分)。その結果として、濃縮槽内に7.2kgの黄褐色の固形物を得た。この固形物を液体クロマトグラフィで分析した結果、N−フェニルマレイミドの純度は97%であり、アニリンを基準としたN−フェニルマレイミドの収率は97%であった。
【0049】
<実施例11>
温度計、水分離器を有する冷却器及び攪拌器を備えた容量100Lの反応器に、キシレン40kgを投入した。次に、担持体としてシリカゲル2kgを投入し、オルトリン酸2kg(17.3mol)を投入した。次に、酢酸亜鉛30g(0.19mol)と2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノールを30g(0.14mol)投入した。トリエチルアミン200g(1.96mol)を投入して溶液を中和した後、シクロヘキシルアミン4kg(40.3mol)を反応器に5分間かけて投入してアミン塩を形成した。
【0050】
次に、無水マレイン酸4.4kgを反応器に5分間かけて投入した。その後、反応器の温度を140℃に維持しながら、生成された水を、キシレンと共に共沸蒸留して、水分離器を介して反応器から除去した。3時間反応を行った後、無水マレイン酸200gをさらに投入して3時間反応させた。反応器を静置し、30℃に冷却して、層分離により触媒層を除去した。キシレン溶液層を別の中和槽に移し、5%炭酸ナトリウム水溶液500gを投入して20分間攪拌後、20分静置した。上記溶液は有機層と水の層にきれいに分離され、水の層は分離して除去した。500gの水を残った材料に投入して20分間攪拌し、20分間静置した。形成された水の層は分離して除去した。分離された有機層を濃縮槽に移し、50〜100℃、20〜130mmHgの減圧下で蒸留して、キシレンを除去した。溶媒を除去した後、濃縮槽内に7.1kgの明るい白色固形物を得た。この固形物を液体クロマトグラフィで分析した結果、N−フェニルマレイミドの純度は98%であり、アニリンを基準としたN−フェニルマレイミドの収率は97%であった。
【0051】
<実施例12〜17>
表1に示した条件で実施例2と同様の方法で実験を行った。各例の結果を次の表1に示す。
【0052】
【表1】

【0053】
<実施例18>
温度計、水分離器を有する冷却器及び攪拌器を備えた容量300mlの反応器に、キシレンとトルエンを重量比1:1で混合した溶媒88gを投入した。次に、触媒バインダーとしてPEG−4000を6.4g投入し、85%オルトリン酸8g(69.4mmol)を投入して、攪拌しながら還流させ水分を除去した。
【0054】
次に、酢酸亜鉛1.2g(6.54mmol)とBHTを1g(4.54mmol)投入した。反応液を攪拌しながら、アニリン20g(214.8mmol)を5分間かけて投入してアミン塩を形成し、無水マレイン酸22g(224.3mol)を反応器に5分間かけて投入した。その後、反応器温度を125℃に昇温して、反応器の内容物を還流し、生成された水を混合溶媒と共に共沸蒸留して、水分離器を介して反応器から除去した。温度を維持しながら3時間反応を行った後、無水マレイン酸1.4gをさらに投入して2時間反応させた。反応器を静置し、30℃に冷却して層分離により触媒層を除去した。キシレン及びトルエン溶液層を別の中和槽に移し、5%炭酸ナトリウム水溶液50gを投入して20分間攪拌し、20分静置した。上記溶液は有機層と水の層にきれいに分離され、水の層は分離して除去した。50gの水を有機層に投入した後、溶液を20分間攪拌し、20分間静置した。形成された水の層は分離して除去した。分離された有機層を濃縮槽に移し、50〜100℃、20〜130mmHgの減圧下で蒸留して、キシレン及びトルエンを除去した。溶媒を除去した後、濃縮槽内に33.2gの明るい黄色の固形物を得た。この固形物を液体クロマトグラフィで分析した結果、N−フェニルマレイミドの純度は99%であり、アニリンを基準としたN−フェニルマレイミドの収率は90%であった。副産物としては、2−アミノ−N−置換スクシンイミドが1%観察された。
【0055】
<実施例19>
上記実施例18で分離した触媒を用いた。BHTを1g反応器に投入し、キシレンとトルエンが重量比1:1で混合された溶媒88gを投入した。反応器の温度を100℃に昇温して、内容物を攪拌すると、PEG層が溶融して溶媒と混合される。この時、アニリン20gを5分間かけて投入してアミン塩を形成する。反応温度を50℃に冷却し、無水マレイン酸22gを5分間かけて投入した。その後、反応器の温度を125℃に昇温して、反応器の内容物を還流させた。生成された水を、混合溶媒と共に共沸蒸留して、水分離器を介して反応器から除去した。温度を維持しながら3時間反応を行った後、無水マレイン酸1.4gをさらに投入して2時間反応させた。反応器を静置し、30℃に冷却して、層分離により触媒層を除去した。キシレン及びトルエン溶液層を別の中和槽に移し、5%炭酸ナトリウム水溶液50gを投入した。前記溶液を20分間攪拌し、20分静置した。上記溶液は有機層と水の層にきれいに分離され、水の層は分離して除去した。50gの水を前記有機層に投入した後、20分間攪拌し、20分間静置した。形成された水の層は分離して除去した。分離された有機層を濃縮槽に移し、50〜100℃、20〜130mmHgの減圧下で蒸留して、キシレン及びトルエンを除去した。溶媒を除去した後、濃縮槽内に34.6gの明るい黄色の固形物を得た。この固形物を液体クロマトグラフィで分析した結果、N−フェニルマレイミドの純度は99%であり、アニリンを基準としたN−フェニルマレイミドの収率は94%であった。副産物としては、2−アミノ−N−置換スクシンイミドが3%観察された。
【0056】
<実施例20>
上記実施例18におけるPEG−4000の代りに、PPG−2000を触媒バインダーとして投入したことを除いては、同じ条件で実験を行った。その結果、濃縮槽内に32.1gの明るい黄色の固形物を得た。この固形物を液体クロマトグラフィで分析した結果、N−フェニルマレイミドの純度は98%であり、アニリンを基準としたN−フェニルマレイミドの収率は88%であった。副産物としては2−アミノ−N−置換スクシンイミドが1.2%観察され、さらに未知の副産物が少量観察された。
【0057】
<実施例21>
実施例20で分離された触媒を用いることを除いては、上記実施例19と同じ条件で実験を行った。その結果、濃縮槽内に33.7gの黄色の固形物を得た。この固形物を液体クロマトグラフィで分析した結果、N−フェニルマレイミドの純度は98%であり、アニリンを基準としたN−フェニルマレイミドの収率は93%であった。副産物としては2−アミノ−N−置換スクシンイミドが1.2%観察され、さらに未知の副産物が少量観察された。
【0058】
<比較例1>
温度計、水分離器を有する冷却器及び攪拌器を備えた容量100Lの反応器に、キシレン20kgを投入した。次に、担持体としてシリカゲル2kgを投入した後、オルトリン酸2kg(17.3mol)を投入した。次に、酢酸亜鉛30g(0.19mol)と2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノールを30g(0.14mol)投入した。別の100Lの反応器にキシレン20kgを投入し、無水マレイン酸4.6kg(47.3mol)を5分間かけて投入した後、反応器の温度を80℃に調整して、アニリン4kg(43.0mol)を反応器に30分かけて滴下した。このように生成されたN−フェニルマレアミド酸を触媒存在下の反応器に移した。反応器の温度を140℃に維持し、生成された水をキシレンと共に共沸蒸留して、水分離器を介して反応器から除去した。温度を維持しながら6時間反応を行った後、反応器を静置し、30℃に冷却して、層分離により触媒層を除去した。キシレン溶液層を別の中和槽に移し、5%炭酸ナトリウム水溶液500gを投入した。前記溶液を20分間攪拌し、20分静置した。上記溶液は有機層と水の層にきれいに分離され、水の層は分離して除去した。その後、500gの水を投入し、20分間攪拌し、20分間静置した。形成された水の層は分離して除去した。分離された有機層を濃縮槽に移し、50〜100℃、20〜130mmHgの減圧下で蒸留して、キシレンを除去した。溶媒を除去した後、濃縮槽内に6.2kgの明るい黄色の固形物を得た。この固形物を液体クロマトグラフィで分析した結果、N−フェニルマレイミドの純度は88%であり、アニリンを基準としたN−フェニルマレイミドの収率は80%であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応器に有機溶剤、酸触媒、脱水助触媒、及び安定剤を投入し、
第一級アミンを投入してアミン塩を形成した後、
無水マレイン酸を投入して脱水閉環反応させ、
前記脱水閉環反応で生成された水と前記有機溶剤とを共沸蒸留して、
高純度、高収率のN−置換マレイミド類を製造することを特徴とするN−置換マレイミド類の製造方法。
【請求項2】
前記有機溶剤は、第一級アミンの重量に対して1〜20倍であることを特徴とする請求項1に記載のN−置換マレイミド類の製造方法。
【請求項3】
前記有機溶剤は、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメン、クロロベンゼン、イソプロピルベンゼン、メシチレン、t−ブチルベンゼン、トリメチルヘキサン及びオクタンから選択される1種類以上であることを特徴とする請求項2に記載のN−置換マレイミド類の製造方法。
【請求項4】
前記酸触媒は、無水硫酸、p−トルエンスルホン酸、オルトリン酸、メタリン酸、ピロリン酸、ベンゼンスルホン酸、及びトリクロロ酢酸から選択される1種類以上であることを特徴とする請求項1に記載のN−置換マレイミド類の製造方法。
【請求項5】
前記酸触媒の使用量は、第一級アミン100モル部に対して10〜200モル部であることを特徴とする請求項1に記載のN−置換マレイミド類の製造方法。
【請求項6】
前記酸触媒は、担持体に担持させて加えることを特徴とする請求項1に記載のN−置換マレイミド類の製造方法。
【請求項7】
前記担持体は、酸触媒の重量に対して0.2〜2倍であることを特徴とする請求項6に記載のN−置換マレイミド類の製造方法。
【請求項8】
前記担持体は、粘土、滑石、硅藻土、ベントナイト、またはモンモリロナイトが含まれる天然鉱物材料、活性炭素、シリカ、シリカ−アルミナ、二酸化チタンまたは酸化ジルコニウム、から選択される1種類以上であることを特徴とする請求項6に記載のN−置換マレイミド類の製造方法。
【請求項9】
前記酸触媒は、触媒バインダーと共に使用することを特徴とする請求項1に記載のN−置換マレイミド類の製造方法。
【請求項10】
前記触媒バインダーは、分子量1000〜10000のポリアルキレングリコールであることを特徴とする請求項9に記載のN−置換マレイミド類の製造方法。
【請求項11】
前記ポリアルキレングリコールは、ポリエチレングリコールまたはポリプロピレングリコールであることを特徴とする請求項10に記載のN−置換マレイミド類の製造方法。
【請求項12】
前記触媒バインダーの重量は、酸触媒重量に対して0.2〜2倍であることを特徴とする請求項9に記載のN−置換マレイミド類の製造方法。
【請求項13】
前記脱水助触媒は、亜鉛(Zn)、クロム(Cr)、パラジウム(Pd)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、及びアルミニウム(Al)からなる群から選択される少なくとも1つの金属の酸化物、アセテート、マレエート、スクシネート、及び塩化物から選択される1種以上の金属含有化合物であることを特徴とする請求項1に記載のN−置換マレイミド類の製造方法。
【請求項14】
前記脱水助触媒は、第一級アミン100モル部に対して、0.005〜5モル部であることを特徴とする請求項1に記載のN−置換マレイミド類の製造方法。
【請求項15】
前記安定剤は、メトキシベンゾキノン、2,6−t−ブチル−4−メチルフェノール(BHT)、p−メトキシフェノール、フェノチアジン、ヒドロキノン、アルキル化ジフェニルアミン、メチレンブルー、t−ブチルカテコール、t−ブチルヒドロキノン、亜鉛ジメチルジチオカルバメート、銅ジメチルジチオカルバメート、アルキルフェノール類、及びアルキルビスフェノール類からなる群から選択される1種以上であることを特徴とする請求項1に記載のN−置換マレイミド類の製造方法。
【請求項16】
前記安定剤は、第一級アミン100モル部に対して0.005〜5モル部であることを特徴とする請求項1に記載のN−置換マレイミド類の製造方法。
【請求項17】
前記第一級アミンは、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、i−プロピルアミン、s−プロピルアミン、n−ブチルアミン、s−ブチルアミン、i−ブチルアミン、t−ブチルアミン、n−ヘキシルアミン、n−ドデシルアミン、アリルアミン、ベンジルアミン、シクロヘキシルアミン、アニリン、エチルアニリン、トルイジン、ヒドロキシアニリン、ニトロアニリン及びエチレンジアミンからなる群から選択される少なくとも1種類以上であることを特徴とする請求項1に記載のN−置換マレイミド類の製造方法。
【請求項18】
前記第一級アミンの投入前に第三級アミンをさらに投入することを特徴とする請求項1に記載のN−置換マレイミド類の製造方法。
【請求項19】
前記第三級アミンの量は、第一級アミン100モル部に対して0.05〜50モル部加えることを特徴とする請求項18に記載のN−置換マレイミド類の製造方法。
【請求項20】
前記第三級アミンは、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリオクチルアミン、及びトリベンジルアミンからなる群から選択される1種以上であることを特徴とする請求項18に記載のN−置換マレイミド類の製造方法。
【請求項21】
前記無水マレイン酸の量は、第一級アミン100モル部に対して100〜150モル部加えることを特徴とする請求項1に記載のN−置換マレイミド類の製造方法。
【請求項22】
前記無水マレイン酸を、反応中に必要に応じてさらに投入することを特徴とする請求項1に記載のN−置換マレイミド類の製造方法。
【請求項23】
前記反応は、50〜200℃で行うことを特徴とする請求項1に記載のN−置換マレイミド類の製造方法。

【公表番号】特表2011−530582(P2011−530582A)
【公表日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−522893(P2011−522893)
【出願日】平成21年6月24日(2009.6.24)
【国際出願番号】PCT/KR2009/003405
【国際公開番号】WO2010/018926
【国際公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【出願人】(509001445)コリア クンホ ペトロケミカル カンパニー リミテッド (14)
【Fターム(参考)】