説明

N−(ベンゾイル)アミノ酸誘導体を有効成分とする呼吸器疾患治療剤

【解決手段】 下記式(I)で表される化合物もしくはその光学活性体、またはこれらの製薬学的に許容される塩を有効成分として含有することを特徴とする呼吸器疾患の予防・治療剤。
【化1】


(式中、Zは−C(CH32−、−CH(CH(CH32)−;nは0〜2; R1はC1−4アルキル、ヒドロキシル、トリフルオロメチル、アセトキシ;R2は、H、C1−4アルキル。)
【効果】鎮咳効果を目的として、肺癌、かぜ症候群、肺結核、肺炎、急性気管支炎、慢性気管支炎等の呼吸器疾患の予防・治療剤として優れた効果を示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、N−(ベンゾイル)アミノ酸誘導体もしくはその光学活性体、またはそれらの製薬学的に許容される塩を有効成分として含有することを特徴とする呼吸器疾患の予防及び/または治療剤、とりわけ鎮咳剤に関する。また、本発明は、クエン酸誘発モルモット咳嗽モデルにおいて、クエン酸吸入前にチオルファンを投与したモルモットを用いることを特徴とする咳抑制物質のスクリーニング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
呼吸器とは、呼吸に関係している臓器及び組織の総称であり、必要な酸素を取り入れ、物質代謝の結果生じた炭酸ガスを排出するという生命維持のために重要な働きを行っている。
呼吸器疾患のうち、咳嗽症状を呈する代表的な疾患として、例えば肺癌、癌性リンパ管症、肋骨骨折、自然気胸、かぜ症候群、肺結核、間質性肺炎、胸膜炎、肺炎、急性気管支炎、慢性気管支炎、肺気腫症、塵肺、気管支拡張症、びまん性汎細気管支炎、気管支喘息、肺塞栓、肺梗塞症などが挙げられる。
【0003】
咳は、深い吸気によって肺が拡張し、喉門が閉じ、次いで呼吸筋の強い収縮により肺内圧が高まり、突然喉頭筋が弛緩して喉門が開き空気が急速に呼出される現象をいう。このとき気道内の分泌物が吐き出される。気道粘膜に分泌物、異物がたまったり、胸膜、肺、横隔膜などに異常があると、そこからの刺激が延髄の後側部にある咳中枢に達し、反射的に咳発作が起こる(最新薬理学、10.3鎮咳薬、藤野澄子、1990年、講談社)。
咳の原因の主なものは、気道粘膜からの分泌過剰、煙及びガスなどの化学的刺激、異物、気道の炎症、アレルギー反応、胸腔内腫瘍などによる気管支の圧迫、心因性などである。この咳症状の悪化及び慢性化は、呼吸筋のエネルギーを消費させて体力を消耗させ、基礎疾患の回復を妨げる結果となる。
【0004】
鎮咳薬には、咳中枢を遮断することにより鎮咳作用を発揮する中枢性鎮咳薬と末梢の咳受容体への刺激を軽減することにより鎮咳作用を発揮する末梢性鎮咳薬がある。リン酸コデインを代表とする中枢性鎮咳薬は、一般的に切れ味は良いが、副作用として呼吸抑制、便秘、悪心、嘔吐、頭痛、眠気、発疹などが起こる。また、反復使用により耐性、依存性が生じることも知られている。メチルエフェドリンを代表とする末梢性鎮咳薬は、軽度の鎮咳作用しか発揮できない。近年、オピオイドδ受容体に選択的な拮抗薬が鎮咳薬として開発されているようであるが、δ受容体は精神及び情動行動に深く関わっていることが示唆されており、副作用が懸念される(ネーチャー・ジェネティックス(Nat.Genet.)25巻、2号、195頁、2000年)。従って、より効果が高く副作用の少ない鎮咳薬が求められている。
【0005】
従来技術としては、特許文献1に、神経網膜変性疾患の治療剤として有用なアミド誘導体が知られている。また、特許文献2に、抗アンドロゲン薬として有用な新規アシルアミノ置換アシルアニリド誘導体の合成中間体として、2−メチル−N−(4−トリフルオロメチルベンゾイル)アラニンが製造されたことが知られている。また、特許文献3に、抗痙攣薬の合成中間体として、N−ベンゾイル−2−メチルアラニンが製造されたことが知られている。また、レイナード(Reinaud)らが、論文(非特許文献1)に、安息香酸誘導体からサリチル酸誘導体への変換反応の中間物として、N−4−メチルベンゾイル−2−メチルアラニンが製造されたことが知られている。また、特許文献4には、鎮痛作用を有するサリチルアミド誘導体が開示されている。しかしながら、これら従来技術には呼吸器疾患の予防及びまたは治療剤、あるいは鎮咳剤に対する開示は全くない。また、
これら化合物が医薬品として開発に成功したことの報告もない。
【0006】
医薬品開発においては、目的とする薬理活性のみでなく、長期にわたる安全性が要求される。さらに吸収、分布、代謝、排泄等の各種の面で厳しいクライテリアを満たすことが要求される。例えば、薬物相互作用、脱感受性ないし耐性、経口投与時の消化管吸収、小腸内への移行速度、吸収速度と初回通過効果、臓器バリアー、蛋白結合、薬物代謝酵素の誘導、排泄経路や体内クリアランス、適用方法(適用部位、方法、目的)等において種々の検討課題が要求され、これらを満たすものは容易に見出し難い。安全域がより広く、薬物動態学的特性により優れた薬剤が望まれている。
【0007】
また、近年、医薬品による催不整脈作用、特に心電図におけるQT間隔延長作用が注目を集めている。QT間隔延長作用を予測する評価方法として、HERG(human ether-a-go-go related gene)チャネルに対する作用を検討する方法が知られている。心臓副作用における重要性が認識されているHERG電流に対する作用のない薬物を見出すことは医薬品開発において重要な課題のひとつである。
呼吸器疾患治療薬についてもこれら医薬品開発上の総合的課題は常にある。そして、呼吸器疾患治療薬、例えば、鎮咳薬については、加えて、先述した現在用いられている中枢性鎮咳薬、末梢性鎮咳薬或いはオピオイドδ受容体に選択的な拮抗薬などよりもさらに副作用が少なく、且つ有用性の高い鎮咳薬が求められている。
また、咳抑制物質をスクリーニングする方法において、従来評価に用いられていた咳誘発モデルについては、例えば、1)3回のクエン酸吸入を必要とし、試験期間が2〜3週間と長く、数回クエン酸を吸入させるために脱感作現象が生じ、コントロール群の咳の回数が著しく減少する場合があること、2)咳発生の動物間によるばらつきが大きく、予め咳を十分行う動物を前もって選別する必要があること、その為多数の動物を購入する必要がある等の問題点が一般的に知られており、再現性及び感度良い試験が行えない場合も少なくない。短期間で再現性及び感度良く安定した薬理評価を行うことは医薬開発にあたって重要な課題のひとつである(非特許文献2)。
【0008】
【特許文献1】国際公開WO99/21543号公報
【特許文献2】国際公開WO98/22432号公報
【特許文献3】英国公開GB752692号公報
【特許文献4】仏国公開FR M2137号公報
【特許文献5】国際公開WO01/001983号公報
【特許文献6】国際公開WO00/53225号公報
【非特許文献1】Synthsis 612−614頁、1990年
【非特許文献2】日本薬理学雑誌、120巻、237−243頁、2002年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、優れた鎮咳作用を有し、副作用の少ない安全性の高い優れた呼吸器疾患の予防及び/または治療剤、とりわけ鎮咳剤を提供することである。特に、前述のような従来技術における問題点、より具体的に言えば、中枢性鎮咳薬が有する呼吸抑制、便秘、悪心、嘔吐、頭痛、眠気、発疹などの副作用或いは反復使用による耐性や依存性等、オピオイドδ受容体に選択的な拮抗薬に懸念される精神及び情動行動に関わる副作用等においても、少なくとも一つ以上克服したヒトを含む哺乳動物に対して投与可能な薬剤、特に、呼吸器疾患の予防及び/または治療剤、とりわけ鎮咳剤を提供することである。
また、本発明の課題は、多数回のクエン酸吸入による脱感作現象や咳発生の動物間のばらつきがなく、短期間で再現性及び感度よく薬理評価が可能な咳抑制物質のスクリーニング方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく、優れた鎮咳作用を有し、安全性が高い薬剤を得るべく、鋭意研究を重ねてきた結果、式(I)で表される特定のN−(ベンゾイル)アミノ酸誘導体及びその光学活性体、並びにそれらの製薬学的に許容される塩が、(1)クエン酸誘発モルモット咳嗽モデルにおいて鎮咳作用を有すること、(2)副作用が少なく安全性が高いこと、(3)HERGチャネル阻害作用がないこと、(4)良好な薬物動態学的特性を有すること等の特徴を一つ以上有することを見出した。
また、クエン酸吸入前にチオルファンを投与したクエン酸誘発モルモット咳嗽モデルを用いることにより、1回のクエン酸吸入で全てのモルモットに十分な咳を発生させることができ、短期間で再現性及び感度よく薬理評価が可能であることを見出し、本発明を完成した。
【0011】
本発明の第一の態様は、下記式(I)で表される化合物もしくはその光学活性体、またはそれらの製薬学的に許容される塩、またはそれらの溶媒和物を有効成分として含有することを特徴とする呼吸器疾患の予防及び/または治療剤である。
【化1】

(式中、Zは、−C(CH32−、または−CH(CH(CH32)−を表し;
nは、0〜2の整数を表し;
1は、C1−4アルキル基、ヒドロキシル基、トリフルオロメチル基またはアセトキシ基を表し、nが2である場合には、R1は同一であっても異なっていても良く;
2は、水素原子またはC1−4アルキル基を表す。)
【0012】
前記式(I)中のR1は、メチル基、ヒドロキシル基、トリフルロメチル基またはアセトキシ基であることが好ましく、メチル基、ヒドロキシル基またはトリフルオロメチル基であることがより好ましい。R1の置換位置は、−CONH−が結合しているベンゼン環の炭素原子を1位として表現される。n=0の化合物が好ましく、n=1の場合には4位であることが好ましく、n=2の場合には、2位及び3位、2位及び4位、2位及び5位、2位及び6位、3位及び4位、3位及び5位、3位及び6位などが挙げられ、3位及び5位であることが好ましい。
前記式(I)中のR2は、水素原子であることが好ましい。
前記式(I)中のZは、−C(CH32−であることが好ましい。
【0013】
前記式(I)で表される化合物、その光学活性体、及びそれらの製薬学的に許容される塩、並びにこれらの溶媒和物の好ましい例として、以下のものが挙げられる。
N−(4−アセトキシベンゾイル)−2−メチルアラニン エチルエステル、その製薬学的に許容される塩、及びこれらの溶媒和物;
N−(4−ヒドロキシベンゾイル)−2−メチルアラニン、その製薬学的に許容される塩、及びこれらの溶媒和物;
N−(4−アセトキシベンゾイル)−2−メチルアラニン、その製薬学的に許容される塩、及びこれらの溶媒和物;
N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾイル]−2−メチルアラニン、その製薬学的に許容される塩、及びこれらの溶媒和物;
N−[4−(トリフルオロメチル)ベンゾイル]−D−バリン、その製薬学的に許容され
る塩、及びこれらの溶媒和物;
N−[4−(トリフルオロメチル)ベンゾイル]−2−メチルアラニン、その製薬学的に許容される塩、及びこれらの溶媒和物;
N−ベンゾイル−2−メチルアラニン、その製薬学的に許容される塩、及びこれらの溶媒和物;
N−(p−トルオイル)−2−メチルアラニン、その製薬学的に許容される塩、及びこれらの溶媒和物;
N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾイル]−バリン、その製薬学的に許容される塩、及びこれらの溶媒和物。
【0014】
本発明の第2の態様は、前記式(I)で表される化合物もしくはその光学活性体、またはそれらの製薬学的に許容される塩、またはこれらの溶媒和物を有効成分として含有することを特徴とする鎮咳剤である。
本発明の第3の態様は、前記式(I)で表される化合物もしくはその光学活性体、またはそれらの製薬学的に許容される塩、またはこれらの溶媒和物を有効成分として含有することを特徴とする乾性咳嗽改善剤である。
第2及び第3の態様において、上記式(I)で表される化合物において好ましい置換基、またはそれらの組み合わせは、第1の態様と同じである。
【0015】
本発明の第4の態様は、クエン酸誘発モルモット咳嗽モデルにおいて、クエン酸吸入前にチオルファンを投与したモルモットを用いることを特徴とする、咳抑制物質のスクリーニング方法である。この態様における具体的な工程には、
(1)モルモットにチオルファン投与する工程、
(2)モルモットに試験物質を投与する工程、
(3)クエン酸を吸入させて咳を誘発する工程、
(4)咳嗽反応の発現回数を観測し、計測する工程、
(5)試験物質の咳抑制率を求める工程、
が挙げられる。
本発明のスクリーニング方法に用いられる動物としては、咳を観察できる動物であれば、動物種に制限はないが、モルモットであることが好ましい。
【0016】
本発明においてチオルファン(Thiorphan)とは、N−[2−(メルカプトメチル)−1−オキソ−3−フェニルプロピル]グリシンを表す。チオルファンの投与経路は、特に制限はないが、腹腔内投与が好ましい。チオルファンの投与タイミングは、咳の誘発に用いられるクエン酸の吸入前であれば、特に制限はないが、クエン酸吸入の30分前以内であることが好ましい。
試験物質はクエン酸吸入前に投与するが、そのタイミングは、投与経路、該物質の動態等により適宜設定できる。試験物質は、概ねクエン酸投与の1時間前以内に投与することが好ましい。
咳嗽反応については、プレスチモグラフで検出されたピークおよび聴覚的に咳と判断されるものを計測し、試験化合物のクエン酸誘発による咳嗽反応に対する抑制率を次式により求めることができる。
〔(A−B)/(A)〕× 100 (%)
A:対照群の咳嗽反応発現数
B:被験化合物投与群の咳嗽反応発現数
【0017】
本発明において、「C1−4アルキル基」とは、炭素原子数1ないし4のアルキル基を意味し、直鎖構造であっても分枝構造であっても良く、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基等が挙げられ
、メチル基またはエチル基であることが好ましく、メチル基であることがより好ましい。
【0018】
本発明に用いられる式(I)で表される化合物は、塩基との塩を形成する場合がある。かかる塩基の例としては、製薬学的に許容される塩であれば特に制限されないが、具体的には、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム等の金属の塩基、メチルアミン、エチルアミン、エタノールアミン、ピリジン、リジン、アルギニン、オルニチン等の有機塩基との塩や、アンモニウム塩等が挙げられる。
これらの塩は、常法、例えば、当量の本発明の化合物と所望の塩基を含む溶液を混合し、所望の塩をろ取するか溶媒を留去して集めることにより得ることができる。
また、本発明の化合物またはその塩は、水、エタノール、グリセロール等の溶媒と溶媒和物を形成しうる。本発明の化合物またはその塩にはこれら溶媒和物も含まれる。
【0019】
本発明の化合物は、結晶であっても非結晶であってもよい。すなわち、本発明の前記式(I)で表される化合物、もしくはその光学活性体、またはそれらの塩またはこれらの溶媒和物に、結晶、非結晶、それらの溶媒和物の態様も含まれる。また、この結晶には、結晶多形のものも含まれる。
また、本発明には、前記式(I)の化合物またはその塩、それらの溶媒和物の結晶多形も含まれる。
式(I)で表される化合物には、不斉炭素を有する場合があり、光学活性なすべての異性体(エナンチオマー等)など各種混合物や単離された物質が存在しうるが、本発明においてはこれらすべてが包含される。かかる光学異性体の単離、精製は、優先晶出やカラムクロマトグラフィーを用いた光学分割あるいは不斉合成を通じてもなし得ることができる。
【0020】
[製造法]
次に、本発明の化合物の製造方法について説明する。本発明における式(I)で表される化合物は、特願2003−292918に記載の方法、またはそれに準ずる方法を用いることで、製造することができる。
例えば、式(I)の右側の部分に相当する式(II):H2N−Z−COOR2で表されるアミノ酸誘導体またはその塩と、左側部分に相当する安息香酸誘導体とを、例えば、アミド合成やペプチド合成に一般に用いられる方法で縮合させてアミド結合を形成することにより両者が結合した化合物を得、必要に応じて置換基を変換することにより式(I)の化合物を得ることができる。
【0021】
[実験例]
以下に実験例を挙げて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。
【0022】
実験例1−1 [クエン酸誘発モルモット咳嗽モデルに対する抑制効果]
一晩絶食したモルモットをプレスチモグラフに固定し、プレスチモグラフ(モルモットの体部側)内圧の変化を差圧トランスデューサ(日本光電工業、TP−602T)及び呼吸用アンプ(日本光電工業、AR−601G)を介してインク書き記録紙(日本光電工業、WI−642G)に咳嗽反応を記録できる状態にし、20 W/V%クエン酸水溶液をネブライザー(オムロン、NE−U12)を用いてプレスチモグラフ(頭部側)内に2分間(約1mL/min)噴霧し、噴霧開始から15分間のモルモットの咳嗽反応の発現回数を観測、計測した。
被験化合物経口投与の3時間前及び1時間後に咳嗽反応の測定を実施した。なお、投与前の測定で咳嗽反応の発現回数が5回以下の個体には投与を行わなかった。そして、投与前後の咳嗽反応発現比(Post/Pre × 100)を算出し、被験化合物のクエン酸誘発による咳反射に対する抑制率(Y1)を次式により求めた。

Y1=〔(CRRcontrol−CRRtest)/(CRRcontrol)〕× 100 (%)
CRRcontrol:対照群の咳嗽反応発現比(%)
CRRtest :被験化合物投与群の咳嗽反応発現比(%)

対照としてVehicleを用い、被験化合物は実施例9の化合物を用いた。結果を表1に示す。
【0023】
【表1】

薬物投与群の咳嗽反応発現比をDunnettによる多重比較検定法により溶媒投与群の咳嗽反応発現比と比較し、統計的有意差を*:p<0.05,**:p<0.01,***:p<0.001で表した。

以上により、実施例9に代表される本発明化合物は、経口投与によりクエン酸誘発による咳嗽を抑制することが認められた。同時に、一般症状に何ら異常が認められなかったことから、本発明化合物の低い毒性が示された。
【0024】
実験例1−2 [クエン酸誘発モルモット咳嗽モデルに対する抑制効果]
一晩絶食したモルモットにThiorphanを1mg/kgの用量で腹腔内投与し、その30分後にモルモットをプレスチモグラフに固定し、プレスチモグラフ(体部側)内圧の変化を差圧トランスデューサ(日本光電工業、TP−602T)及び呼吸用アンプ(日本光電工業、AR−601G)を介してインク書き記録紙(日本光電工業 WR7200)に咳嗽反応を記録できる状態にし、小動物用鼻吸入曝露装置(株式会社M・I・P・S)を用いてプレスチモグラフ(頭部側)内に0.9mol/Lクエン酸水溶液を20分間噴霧し、噴霧20分間の咳嗽反応の発現回数を観測、計測した。咳嗽反応はプレスチモグラフで検出されたピーク及び聴覚的に咳と判断されるものを計測した。被験化合物はクエン酸吸入30分前に経口投与した。被験化合物のクエン酸誘発による咳嗽反応に対する抑制率(Y2)を次式により求めた。

Y2=〔(A−B)/(A)〕× 100 (%)
A:対照群の咳嗽反応発現数
B:被験化合物投与群の咳嗽反応発現数

結果を表2に示す。
【0025】
【表2】

薬物投与群の咳嗽反応発現比をDunnettによる多重比較検定法により溶媒投与群の咳嗽反応発現比と比較し、統計的有意差を*:p<0.05,**:p<0.01,***:p<0.001で表した。

以上により、実施例2に代表される本発明化合物は、経口投与によりクエン酸誘発による咳嗽の抑制が認められた。また、実施例7及び実施例8の化合物も咳嗽反応を抑制した。同時に、一般症状に何ら異常が認められなかったことから、本発明化合物の低い毒性が示された。
【0026】
実験例2 [毒性試験]
6週齢のWistar Hannover系の雌性ラットに実施例2、実施例4、実施例5及び実施例6の化合物を1000mg/kgの用量で経口投与したところ、一般症状に異常は認められず、死亡例も認められなかった。
6週齢のWistar Hannover系の雌性ラットに実施例2、実施例4、実施例5及び実施例6の化合物を250、500及び1000mg/kg/日の用量で1日1回14日間強制経口投与したところ、いずれの用量においても最終回投与終了後24時間まで死亡例はなく、一般症状観察、体重及び摂餌量測定においても異常は認められなかった。また、血液学的検査、血液生化学的検査、主要器官の重量測定及び病理組成学的検査においてめだった毒性的所見は観察されなかった。
【0027】
実験例3 [HERG K+チャネルに対する影響]
実施例2(300μmol/L)、実施例5(300μmol/L)及び実施例6(100μmol/L)の化合物を、それぞれ表記の濃度においてCHO−K1/HREG細胞株を用いたパッチクランプ(patch−clamp)法により検討した結果、 HERG K+チャネルに対する阻害は認められなかった。
【0028】
実験例4 [ファーマコキネティクス]
8週齢のWistar Hannover系の雌性ラット,及び2または3年齢の雄性ビーグル犬を用いて、実施例2、実施例4、実施例5及び実施例6の化合物の経口単回投与後の血漿中濃度の推移を検討したところ、いずれの化合物もバイオアベイラビリティは良好であった。また、いずれの化合物もヒト薬物代謝酵素に対する阻害作用は認められなかった。従って、薬物相互作用は起きにくいと考えられる。さらに、ヒト、サル、イヌ及びラットの肝ミクロソームにおいて代謝を受けにくかった。従って、肝臓における代謝を受けにくいと考えられる。
【0029】
以上の実験結果から、本発明化合物は、クエン酸誘発モルモット咳嗽モデルにおいて抑制効果を有することが認められた。また、毒性試験において何ら異常が認められかったことから、本発明化合物は極めて低い毒性のものであると判断された。また、本発明化合物は、HERGチャネルに対する阻害作用が認められなかった。また、本発明化合物は良好な薬物動態学的特性を有することが示された。
従って、本発明の化合物は、動物の咳嗽モデルで優れた鎮咳効果を有すること、また安
全性が高く、良好な薬物動態学的特性も有することから優れた鎮咳剤として期待できる。
また、本発明のスクリーニング方法は、クエン酸吸入前にチオルファンを投与したクエン酸誘発モルモット咳嗽モデルを用いることにより、多数回のクエン酸吸入による脱感作現象や動物による咳発生の動物間のばらつきがなく、1回のクエン酸吸入で安定して全ての動物に咳を発生させられることから、予め咳をする動物を選別すること必要もなく、3日間と短期間で再現性及び感度よく薬理評価が可能であることから、咳抑制物質評価の動物モデルとして期待できる。
【0030】
本発明化合物は、鎮咳効果を目的として以下の呼吸器疾患、例えば、肺癌、癌性リンパ管症、肋骨骨折、自然気胸、かぜ症候群、肺結核、間質性肺炎、胸膜炎、肺炎、急性気管支炎、慢性気管支炎、肺気腫症、塵肺、気管支拡張症、びまん性汎細気管支炎、気管支喘息、肺塞栓、肺梗塞症などに使用できる。これらの呼吸器疾患において、咳症状の悪化及び慢性化は、呼吸筋のエネルギーを消費させて体力を消耗させ、基礎疾患の回復を妨げる結果となることから、咳症状を軽減させることでこれら疾患の治療を促進することが可能である。従って、本発明の化合物は、呼吸器疾患の予防及び/または治療剤として使用することが可能である。しかしながら、それらに限定されることなく類似の病態,症状に適用できる。
【0031】
咳は、湿性咳嗽と乾性咳嗽に分類されている。湿性咳嗽は、気道で増加した分泌物が気道を刺激し、痰を喀出するために生じる咳である。また、乾性咳嗽は、喀痰を伴わない、気道の過敏によって起こる咳であり、コンコンと乾いた咳がみられることから「空咳」とも呼ばれている。本発明に用いられる化合物は、いずれの咳にも有効であるが、とりわけ乾性咳嗽に用いるとその症状を改善でき、前記呼吸器疾患を治療することも可能である。
【0032】
本発明の医薬は、医薬組成物の形態で投与される。
本発明の医薬組成物は、本発明の式(I)で表される化合物の少なくとも一つ以上を含んでいればよく、医薬上許容される添加剤と組み合わせてつくられる。より詳細には、賦形剤(例;乳糖、白糖、マンニット、結晶セルロース、ケイ酸、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン)、結合剤(例;セルロース類(ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC))、結晶セルロース、糖類(乳糖、マンニット、白糖、ソルビトール、エリスリトール、キシリトール)、デンプン類(トウモロコシデンプン、バレイショデンプン)、α化デンプン、デキストリン、ポリビニルピロリドン(PVP)、マクロゴール、ポリビニルアルコール(PVA))、滑沢剤(例;ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、カルボキシメチルセルロース)、崩壊剤(例;デンプン類(トウモロコシデンプン、バレイショデンプン)、カルボキシメチルスターチナトリウム、カルメロース、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポピドン)、被膜剤(例;セルロース類(ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE、メタクリル酸コポリマーLD)、可塑剤(例;クエン酸トリエチル、マクロゴール)、隠蔽剤(例;酸化チタン)、着色剤、香味剤、防腐剤(例;塩化ベンザルコニウム、パラオキシ安息香酸エステル)、等張化剤(例;グリセリン、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、マンニトール、ブドウ糖)、pH調節剤(例;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、塩酸、硫酸、リン酸緩衝液などの緩衝液)、安定化剤(例;糖、糖アルコール、キサンタンガム)、分散剤、酸化防止剤(例;アスコルビン酸、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、没食子酸プロピル、dl−α−トコフェロール)、緩衝剤、保存剤(例;パラベン、ベンジルアルコール、塩化ベンザルコニウム)、芳香剤(例;バニリン、l−メントール、ローズ油)、溶解補助剤(例;ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリソルベート80、ポリエチレングリコール、リン脂質コレステロール、トリエタノールアミン)、吸収促進剤(例;グリコール酸ナトリウム、エデト酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム、アシルカルニチン類、リモネ
ン)、ゲル化剤、懸濁化剤、または乳化剤、一般的に用いられる適当な添加剤または溶媒の類を、本発明の化合物と適宜組み合わせて種々の剤形とすることが出来る。
【0033】
種々の剤形とは、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、丸剤、エアゾール剤、吸入剤、軟膏剤、貼付剤、坐剤、注射剤、トローチ剤、液剤、酒精剤、懸濁剤、エキス剤、エリキシル剤等があげられる。また、経口、皮下投与、筋肉内投与、鼻腔内投与、経皮投与、静脈内投与、動脈内投与、神経周囲投与、硬膜外投与、硬膜下腔内投与、脳室内投与、直腸内投与、吸入等により患者に投与し得る。
本発明の化合物を粉末吸入剤として投与する際には、10μm以下の粒子に微細化して用いることが望ましい。微細化にあたっては、一般的に用いられる装置、例えば、ジェットミル、ローラーミル、高速回転ミル、容器駆動媒体ミル、媒体攪拌ミルなどの乾式粉砕機を用いて粉砕して得ることができる。具体的には、ジェットミル、ハンマーミル、ピンミル、ターボミル、スーパーミクロンミル、転動ボールミル、振動ボールミル、遊星ミル、遠心流動化ミル等が挙げられる。粉末吸入剤の担体としては、マンニトール、アラビノース、キシリトール及びデキストロースなどの単糖類及びそれらの一水和物、ラクト−ス、マルト−ス及びスクロース等の二糖類、並びにデンプン、デキストリンまたはデキストランなどの多糖類が挙げられる。
本発明化合物の投与量は、通常成人1日当たり0.05mg〜30.0g、好ましくは0.5mg〜25g、より好ましくは1mg〜15gであるが、症状あるいは投与経路に応じて適宜増減できる。
全量を1回あるいは2−6回に分割して経口または非経口投与することや、点滴静注等、連続投与することも可能である。
【実施例】
【0034】
以下に、本発明を更に詳細に説明するために実施例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。これら実施例化合物の製造例及び物性は、特願2003−292918に記載されている。下記において、Acはアセチル基、Etはエチル基を示す。
実施例1〜9に示す化合物は、いずれも常法の製剤方法によって所要の剤形に製剤することができ、上記試験例に示すとおり良好な結果が得られた。製剤形態の表示を省略して化合物のみを示す。
【0035】
[実施例1]N−(4−アセトキシベンゾイル)−2−メチルアラニン エチルエステル
【化2】

m.p.:101.2〜102.2℃
[実施例2]N−(4−ヒドロキシベンゾイル)−2−メチルアラニン
【化3】

m.p.:225.8〜227.9℃
【0036】
[実施例3]N−(4−アセトキシベンゾイル)−2−メチルアラニン
【化4】

m.p.:171.0〜173.8℃
[実施例4]N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾイル]−2−メチルアラニン
【化5】

m.p.:180.4〜184.7℃
【0037】
[実施例5]N−[4−(トリフルオロメチル)ベンゾイル]−D−バリン
【化6】

m.p.:122.6〜124.8℃
[実施例6]N−[4−(トリフルオロメチル)ベンゾイル]−2−メチルアラニン
【化7】

m.p.:215.4〜219.3℃
【0038】
[実施例7]N−ベンゾイル−2−メチルアラニン
【化8】

m.p.:192.3〜195.8℃
[実施例8]N−(p−トルオイル)−2−メチルアラニン
【化9】

m.p.:200.1〜203.0℃
[実施例9]N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾイル]−バリン
【化10】

m.p.:175〜176℃
【0039】
[製剤例]
次に、本発明の化合物を含有する製剤例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
製剤例1 錠剤
実施例2の化合物 100g
乳糖 137g
結晶セルロース 30g
ヒドロキシプロピルセルロース 15g
カルボキシメチルスターチナトリウム 15g
ステアリン酸マグネシウム 3g
上記成分を秤量した後,均一に混合する。この混合物を打錠して重量150mgの錠剤とする。
【0040】
製剤例2 フィルムコーティング
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 9g
マクロゴール6000 1g
酸化チタン 2g
上記成分を秤量した後,ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マクロゴール6000を水に溶解、酸化チタンを分散させる。この液を、製剤例1の錠剤300gにフィルムコーティングし、フィルムコート錠を得る。
【0041】
製剤例3 カプセル剤
実施例4の化合物 50g
乳糖 435g
ステアリン酸マグネシウム 15g
上記成分を秤量した後、均一に混合する。混合物をカプセル封入器にて適当なハードカプセルに重量300mgずつ充填し、カプセル剤とする。
【0042】
製剤例4 カプセル剤
実施例2の化合物 100g
乳糖 63g
トウモロコシデンプン 25g
ヒドロキシプロピルセルロース 10g
タルク 2g
上記成分を秤量した後、実施例2の化合物、乳糖、トウモロコシデンプンを均一に混合し、ヒドロキシプロピルセルロースの水溶液を加え、湿式造粒法により顆粒を製造する。この顆粒にタルクを均一に混合し,適当なハードカプセルに重量200mgずつ充填し,カプセル剤とする。
【0043】
製剤例5 散剤
実施例1の化合物 200g
乳糖 790g
ステアリン酸マグネシウム 10g
上記成分をそれぞれ秤量した後、均一に混合し、20%散剤とする。
製剤例6 顆粒剤、細粒剤
実施例3の化合物 100g
乳糖 200g
結晶セルロース 100g
部分α化デンプン 50g
ヒドロキシプロピルセルロース 50g
上記成分を秤量した後、実施例3の化合物、乳糖、結晶セルロース,部分α化デンプンを加えて均一に混合し、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)の水溶液を加え、湿式造粒法により顆粒又は細粒を製造する。この顆粒又は細粒を乾燥し、顆粒剤又は細粒剤とする。
【0044】
製剤例7 注射剤
実施例2の化合物 2g
プロピレングリコール 200g
注射用蒸留水 適量
上記成分を秤量した後、実施例2の化合物をプロピレングリコールに溶解する。注射用滅菌水を加えて全量を1,000mLとし、濾過滅菌後10mLアンプルに5mLずつ分注し、熔封して注射剤とする。
製剤例8 乾燥粉末吸入剤
実施例7の化合物 5g
ラクト−ス 95g
実施例7の化合物を常法により粒径10μm以下に微粉砕しラクトースと均一に混合した後に、この混合物を乾燥粉末吸入器に加える。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明に用いられる化合物は、クエン酸誘発モルモット咳嗽モデルにおいて優れた抑制効果を示し、毒性試験において何ら異常が認められかった。また、HERGチャネルに対する阻害作用が認められなかったことから、既存の薬剤とは異なり、優れた鎮咳効果を有するだけでなく、良好な薬物動態学的特性を有し、安全性にも優れた副作用の少ない薬剤として使用できる。
本発明の医薬組成物は、鎮咳効果を目的として以下の呼吸器疾患、例えば、肺癌、癌性リンパ管症、肋骨骨折、自然気胸、かぜ症候群、肺結核、間質性肺炎胸膜炎、肺炎、急性気管支炎、慢性気管支炎、肺気腫症、塵肺、気管支拡張症、びまん性汎細気管支炎、気管支喘息、肺塞栓、肺梗塞症などに使用でき、優れた呼吸器疾患の予防及び/または治療剤として有用である。




【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I)で表される化合物もしくはその光学活性体、またはそれらの製薬学的に許容される塩を有効成分として含有することを特徴とする呼吸器疾患の予防及び/または
治療剤。
【化1】

(式中、Zは、−C(CH32−、または−CH(CH(CH32)−を表し;
nは、0〜2の整数を表し;
1は、C1−4アルキル基、ヒドロキシル基、トリフルオロメチル基またはアセトキシ基を表し、nが2である場合には、R1は同一であっても異なっていても良く;
2は、水素原子またはC1−4アルキル基を表す。)
【請求項2】
式(I)で表される化合物が、
N−(4−アセトキシベンゾイル)−2−メチルアラニン エチルエステル;
N−(4−ヒドロキシベンゾイル)−2−メチルアラニン;
N−(4−アセトキシベンゾイル)−2−メチルアラニン;
N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾイル]−2−メチルアラニン;
N−[4−(トリフルオロメチル)ベンゾイル]−D−バリン;
N−[4−(トリフルオロメチル)ベンゾイル]−2−メチルアラニン;
N−ベンゾイル−2−メチルアラニン;
N−(p−トルオイル)−2−メチルアラニン;及び
N−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾイル]−バリン;
から選ばれる化合物である請求項1に記載の呼吸器疾患の予防及び/または治療剤。
【請求項3】
請求項1に記載の式(I)で表される化合物もしくはその光学活性体、またはそれらの製薬学的に許容される塩を有効成分として含有することを特徴とする鎮咳剤。
【請求項4】
クエン酸誘発モルモット咳嗽モデルにおいて、クエン酸吸入前にチオルファンを投与したモルモットを用いることを特徴とする、咳抑制物質のスクリーニング方法。



【公開番号】特開2007−8815(P2007−8815A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−346135(P2003−346135)
【出願日】平成15年10月3日(2003.10.3)
【出願人】(000181147)持田製薬株式会社 (62)
【Fターム(参考)】