説明

N−[[4−フルオロ−2−(5−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)フェニル]メチル]−4,6,7,9−テトラヒドロ−3−ヒドロキシ−9,9−ジメチル−4−オキソ−ピリミド[2,1−c][1,4]オキサジン−2−カルボキシアミド,ナトリウム塩一水和物の結晶形

N−[[4−フルオロ−2−(5−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)フェニル]メチル]−4,6,7,9−テトラヒドロ−3−ヒドロキシ−9,9−ジメチル−4−オキソ−ピリミド[2,1−c][1,4]オキサジン−2−カルボキシアミド,ナトリウム塩一水和物の結晶形が開示される。N−[[4−フルオロ−2−(5−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)フェニル]メチル]−4,6,7,9−テトラヒドロ−3−ヒドロキシ−9,9−ジメチル−4−オキソ−ピリミド[2,1−c][1,4]オキサジン−2−カルボキシアミド,ナトリウム塩一水和物の少なくとも1つの結晶形を含む少なくとも1つの医薬組成物、およびAIDSもしくはHIV感染を治療するための、N−[[4−フルオロ−2−(5−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)フェニル]メチル]−4,6,7,9−テトラヒドロ−3−ヒドロキシ−9,9−ジメチル−4−オキソ−ピリミド[2,1−c][1,4]オキサジン−2−カルボキシアミド,ナトリウム塩一水和物の少なくとも1つの結晶形の少なくとも1つの使用方法もまた開示される。




【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2008年3月27日に出願された米国仮特許出願第61/039,989号の利益を主張する。
【0002】
(発明の背景)
N−[[4−フルオロ−2−(5−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)フェニル]メチル]−4,6,7,9−テトラヒドロ−3−ヒドロキシ−9,9−ジメチル−4−オキソ−ピリミド[2,1−c][1,4]オキサジン−2−カルボキシアミド,ナトリウム塩一水和物の結晶形が開示される。N−[[4−フルオロ−2−(5−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)フェニル]メチル]−4,6,7,9−テトラヒドロ−3−ヒドロキシ−9,9−ジメチル−4−オキソ−ピリミド[2,1−c][1,4]オキサジン−2−カルボキシアミド,ナトリウム塩一水和物の結晶形を含む少なくとも1つの医薬組成物、およびAIDSもしくはHIV感染を治療するためのその結晶形の少なくとも1つの使用方法もまた開示される。
【0003】
[[4−フルオロ−2−(5−メチル−1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)フェニル]メチル]−4,6,7,9−テトラヒドロ−3−ヒドロキシ−9,9−ジメチル−4−オキソ−ピリミド[2,1−c][1,4]オキサジン−2−カルボキシアミド,ナトリウム塩一水和物(本明細書で「化合物(I)」と呼ばれる、式(I):
【化1】

(I)
の構造を有する)は、AIDSまたはHIV感染の治療に有効でありうる。少なくとも1つの例において、化合物(I)はHIVインテグラーゼに強く結合し、HIVインテグラーゼに対する拮抗薬として作用することが分かった。化合物(I)は米国特許第7,176,196号に開示されており、ここで、前記開示は本明細書に引用される。
【0004】
典型的には、医薬組成物の製造において、取扱い時に安定性を有する形態の活性成分が求められる。化合物(I)の遊離酸についての難点は、点火に対する感受性が高く、かつ爆発の危険性を有することである。本発明は、化合物(I)の製造に有用でありうるより安全な一連の特性を驚くほど与える化合物(I)の形態を提供する。
【0005】
(発明の概要)
H−1型を含む、化合物(I):
【化2】

(I)
の形態が本明細書に記載される。
【0006】
化合物(I)の結晶形、少なくとも1つの医薬的に許容される担体および/または希釈剤を含み;並びにAIDSまたはHIV感染の治療に有用な少なくとも1つの他の薬剤を適宜含む、少なくとも1つの医薬組成物が本明細書にさらに記載される。
【0007】
治療有効量の化合物(I)(化合物(I)はH−1型を含む結晶形で提供される)を治療が必要な患者に投与することを特徴とし;AIDSまたはHIV感染の治療に有用な少なくとも1つの他の薬剤を同時にまたは連続して適宜投与してもよいことを特徴とする、AIDSまたはHIV感染の少なくとも1つの治療方法が本明細書にさらに記載される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本発明は、下記の添付図面を引用して説明される。
【図1】図1は、H−1型の化合物(I)の(室温(r.t.)で)観測および(約22℃の温度(T)で)シミュレーションされた粉末X線回折(PXRD)パターン(CuKα λ=1.5418Å)を示す。
【図2】図2は、H−1型の化合物(I)の示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを示す。
【図3】図3は、H−1型の化合物(I)の熱重量分析(TGA)サーモグラムを示す。
【0009】
(発明の詳細な説明)
本発明の特徴および利点は、以下の詳細な説明を読むことで、当業者により容易に理解されるであろう。明瞭にするために上記および下記で別々の実施形態のコンテキストで記載した本発明の特定の特徴は、組み合わせて単一の実施形態を形成してもよいことを理解されよう。逆に、簡潔にするために単一の実施形態のコンテキストで記載した本発明の様々な特徴は、組み合わせてその部分的な組合せを形成してもよい。
【0010】
特定の形態を評価するのに本明細書で用いられる名前(例えば「H−1」など)は、類似または同一の物理的および化学的特性を有するいずれの他の物質も排除するように限定されるべきではなく、むしろこのような名前は、本明細書に与えられる評価情報に従って解釈されるべき単なる識別子として用いられる。
【0011】
本明細書中に記載する定義は、本明細書中に組み込まれている任意の特許、特許出願、および/または特許出願公開に記載の定義よりも優先される。
【0012】
用語「約」が前に付いた、成分、重量パーセント、温度などの量を表すすべての数は、近似としてのみ理解されるべきであるので、記載された数より上および下のわずかな変化は、記載された数と実質的に同じ結果を達成するのに用いられうる。したがって、特に断りがなければ、用語「約」の前に付いた多数のパラメータは近似であり、それは得ようとしている目的の特性に応じて変化しうる。少なくとも、特許請求の範囲への均等論の適用を限定する試みとしてではなく、各数値パラメータは、少なくとも、報告された有効数字の数を考慮し、通常の丸め方を適用することによって解釈されるべきである。
【0013】
すべての測定は実験誤差を生じることがあるが、それは本発明の精神の範囲内である。
本明細書中で用いられるように、「多形」とは、同一の化学構造を有するが、結晶を形成する分子および/またはイオンの異なった空間配置を有する結晶形をいう。
【0014】
本明細書で用いられるように、「非結晶の」とは、結晶性ではない固体の形態の分子および/またはイオンをいう。非結晶固形物は、鋭い極大を有する明確な(definitive)X線回折パターンを示さない。
【0015】
本明細書で用いられるように、用語「実質的に純粋」は、このような結晶形の重量に基づいて、少なくとも約90重量%を含有すると言及された化合物(I)の結晶形を意味する。特許請求の範囲への均等論の適用を限定する意図はないが、用語「少なくとも約90重量%」には、言及された結晶形の重量に基づいて、これらに限らないが、例えば、約90、90、約91、91、約92、92、約93、93、約94、94、約95、95、約96、96、約97、97、約98、98、約99、99、および約100重量%が含まれる。化合物(I)の結晶形の残渣には、例えば、該結晶形が製造される際に生じる、他の形態の化合物(I)および/または反応不純物および/または製造不純物が含まれうる。
【0016】
例えば、現時点で知られており、当該技術分野で一般に受け入れられている手段によって測定して、該結晶形に少なくとも90重量%(このような結晶形の重量に基づく)が含まれ、並びに他の形態の化合物(I)および/または反応不純物および/または製造不純物を含む約10重量%未満(このような結晶形の重量に基づく)の物質が含まれる場合、化合物(I)の結晶形は実質的に純粋であるとみなされうる。
【0017】
反応不純物および/または製造不純物の存在は、当該技術分野で知られている分析技術、例えば、クロマトグラフィー、核磁気共鳴法、質量分析、および/または赤外分光法によって決定されうる。
本明細書中で用いられるように、パラメータ「分子/非対称単位」とは、非対称単位中の化合物(I)の分子数をいう。
本明細書中で用いられるように、単位格子パラメータ「分子/単位格子」とは、単位格子中の化合物(I)の分子数をいう。
【0018】
溶解する場合、化合物(I)の結晶形はその結晶構造を失い、それゆえ化合物(I)の溶液と呼ばれる。本明細書で開示される少なくとも1つの化合物(I)の結晶形は、少なくとも1つの化合物(I)の結晶形が溶解および/または懸濁される少なくとも1つの液体製剤を製造するのに用いられうる。
【0019】
「治療有効量」によって、単独でまたは別の治療剤と組み合わせて投与される場合、疾患および/または症状、および/または疾患および/または症状の進行を、予防し、抑制し、および/または回復させるのに有効な量が意図される。
化合物(I)の結晶形が本明細書に開示される。
化合物(I)の結晶形には、本明細書で「H−1型(Form H-1またはH-1 Form)」と呼ばれるナトリウム塩一水和物結晶形が含まれる。
【0020】
一つの態様において、H−1型は、H−1型の単位格子パラメータの測定が約25℃の温度において、下表:

におおよそ等しい単位格子パラメータの特徴を有する。
【0021】
別の態様において、H−1型は、実質的に図1に示されたパターンに従うシミュレーションされた粉末X線回折(PXRD)パターン、および/または実質的に図1に示されたパターンに従う観測されたPXRDパターンの特徴を有する。
【0022】
さらに別の態様において、H−1型は、H−1型のPXRDパターンの測定が約25℃の温度において、3.3±0.2;6.7±0.2;10.0±0.2;11.8±0.2;13.3±0.2;14.7±0.2;15.8±0.2;16.6±0.2;21.2±0.2;および22.1±0.2から選択される4つ以上、好ましくは5つ以上の2θ値を含むPXRDパターン(約25℃の温度でCuKα λ=1.5418Å)の特徴を有する。
【0023】
よりさらなる態様において、H−1型は、実質的に表1に列挙した部分原子座標(fractional atomic coordinate)の特徴を有する。
表1.H−1型についての原子座標(×104)および等価等方性変位(Equivalent Isotropic Displacement)パラメータ,Ueq(×103
【表1−1】

【表1−2】

【0024】
よりさらなる態様において、H−1型は、実質的に図2に示されたものに従う示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムの特徴を有する。
よりさらなる態様において、H−1型は、約210℃の温度に加熱して、H−1型のサンプルの重量に基づいて、約3.9〜4.4重量%の範囲で重量減少を有する熱重量分析(TGA)サーモグラムの特徴を有する。
【0025】
さらに別の態様において、H−1型は、実質的に図3に示されるものと同じTGAサーモグラムを示す。
よりさらなる態様において、H−1型の化合物(I)は実質的に純粋である。
さらにいっそう別の態様において、H−1型の化合物(I)には、最初の結晶形であるH−1型の重量に基づいて、少なくとも約90重量%、好ましくは少なくとも約95重量%、より好ましくは少なくとも約99重量%が含まれる。
【0026】
さらに別の態様において、実質的に純粋な形態のH−1は、シミュレーションされたPXRDパターンにはないピークから生じる実験で測定されたPXRDパターンの全ピーク面積の約10%未満、好ましくは約5%未満、より好ましくは約2%未満で、実質的に純粋な相均一性を有する。より好ましくは、実質的に純粋な形態のH−1は、シミュレーションされたPXRDパターンにはないピークから生じる実験で測定されたPXRDパターンの全ピーク面積の約1%未満で、実質的に純粋な相均一性を有する。
【0027】
別の態様において、H−1型の化合物(I)は、本質的にH−1型からなる。この態様の形態には、H−1型の重量に基づいて、少なくとも約90重量%、好ましくは少なくとも約95重量%、より好ましくは少なくとも約99重量%が含まれうる。
【0028】
さらに別の態様において、医薬組成物には、H−1型;並びに少なくとも1つの医薬的に許容される担体および/または希釈剤が含まれる。
さらに別の態様において、医薬組成物には、実質的に純粋な形態のH−1;並びに少なくとも1つの医薬的に許容される担体および/または希釈剤が含まれる。
よりさらなる態様において、治療有効量のH−1型を、少なくとも1つの医薬的に許容される担体および/または希釈剤と混合して、少なくとも1つの医薬組成物が得られる。
【0029】
よりさらなる態様によって、H−1型を含む形態で与えられる化合物(I)を治療が必要な患者に投与することを特徴とする、AIDSまたはHIV感染の治療方法が提供される。治療有効量の化合物(I)は、この態様の方法で投与されうる。一つの態様において、患者はヒトである。
【0030】
一つの態様によって、化合物(I)がH−1型を含む結晶形で与えられる、増殖性疾患の治療剤の製造における化合物(I)の使用が提供される。該薬剤には、H−1型を含む結晶形で与えられる化合物(I)の治療有効量が含まれていてもよい。
【0031】
一つの態様によって、化合物(I)がH−1型を含む結晶形で与えられる、AIDSまたはHIV感染の治療に使用するための化合物(I)が提供される。
【0032】
医薬組成物および使用方法
2007年に、レルタグラビル(Reltagravir)(HIVインテグラーゼ阻害剤)は、AIDSおよびHIV感染の治療についてUS FDAによって承認された。化合物Iは、HIVインテグラーゼの阻害が実証された(米国特許第7,176,196号を参照)。
【0033】
従って、本発明の別の態様は、治療有効量のH−1型の化合物(I)を医薬的に許容される担体とともに投与することを特徴とする、ヒトの患者におけるAIDSまたはHIV感染の治療方法である。
【0034】
本発明の別の態様は、治療有効量のH−1型の化合物(I)を、AIDSまたはHIV感染症の治療のために使用される治療有効量の少なくとも1つの他の薬剤とともに投与することを特徴とする、ヒト患者におけるAIDSまたはHIV感染症の治療方法であって、該他の薬剤は、ヌクレオシドHIV逆転写酵素阻害剤、非ヌクレオシドHIV逆転写酵素阻害剤、HIVプロテアーゼ阻害剤、HIV融合阻害剤、HIV接着阻害剤、CCR5阻害剤、CXCR4阻害剤、HIV出芽もしくは成熟阻害剤、およびHIVインテグラーゼ阻害剤からなる群から選択される方法である。
【0035】
本発明の別の態様は、ヌクレオシドHIV逆転写酵素阻害剤である方法である。
本発明の別の態様は、HIV逆転写酵素阻害剤が、アバカビル、ジダノシン、エムトリシタビン、ラミブジン、スタブジン、テノフォビル、ザルシタビンおよびジドブジン、またはその医薬的に許容される塩もしくは溶媒和物からなる群から選択される方法である。
【0036】
本発明の別の態様は、薬剤が非ヌクレオシドHIV逆転写酵素阻害剤である方法である。
本発明の別の態様は、非ヌクレオシドHIV逆転写酵素阻害剤がデラビルジン、エファビレンツおよびネビラピン、またはその医薬的に許容される塩もしくは溶媒和物からなる群から選択される方法である。
【0037】
本発明の別の態様は、薬剤がHIVプロテアーゼ阻害剤である方法である。
本発明の別の態様は、HIVプロテアーゼ阻害剤がアンプレナビル、アタザナビル、インジナビル、ロピナビル、ネルフィナビル、リトナビル、サキナビルおよびホスアンプレナビル、またはその医薬的に許容される塩もしくは溶媒和物からなる群から選択される方法である。
【0038】
本発明の別の態様は、薬剤がHIV融合阻害剤である方法である。
本発明の別の態様は、HIV融合阻害剤がエンフュービルタイドもしくはT−1249、またはその医薬的に許容される塩もしくは溶媒和物である方法である。
本発明の別の態様は、薬剤がHIV接着阻害剤である方法である。
【0039】
本発明の別の態様は、薬剤がCCR5阻害剤である方法である。
本発明の別の態様は、CCR5阻害剤がSch−C、Sch−D、TAK−220、PRO−140、およびUK−427,857、またはその医薬的に許容される塩もしくは溶媒和物からなる群から選択される方法である。
本発明の別の態様は、薬剤がCXCR4阻害剤である方法である。
【0040】
本発明の別の態様は、CXCR4阻害剤がAMD−3100、またはその医薬的に許容される塩もしくは溶媒和物である方法である。
本発明の別の態様は、薬剤がHIV出芽もしくは成熟阻害剤である方法である。
本発明の別の態様は、HIV出芽もしくは成熟阻害剤がPA−457、またはその医薬的に許容される塩もしくは溶媒和物である方法である。
【0041】
本発明の別の態様は、薬剤がHIVインテグラーゼ阻害剤である方法である。
本発明の別の態様は、インテグラーゼ阻害剤がラルテグラビルである方法である。
本発明の別の態様は、治療有効量のH−1型の化合物(I)、並びに少なくとも1つの医薬的に許容される担体および/または希釈剤を含む医薬組成物である。
【0042】
本発明の別の態様は、治療有効量のH−1型の化合物(I)を、AIDSまたはHIV感染症の治療のために使用される少なくとも1つの他の薬剤、並びに医薬的に許容される担体とともに含有する医薬組成物であって、該他の薬剤は、ヌクレオシドHIV逆転写酵素阻害剤、非ヌクレオシドHIV逆転写酵素阻害剤、HIVプロテアーゼ阻害剤、HIV融合阻害剤、HIV接着阻害剤、CCR5阻害剤、CXCR4阻害剤、HIV出芽もしくは成熟阻害剤、およびHIVインテグラーゼ阻害剤からなる群から選択される組成物である。
【0043】
本発明の別の態様は、薬剤がヌクレオシドHIV逆転写酵素阻害剤である組成物である。
本発明の別の態様は、ヌクレオシドHIV逆転写酵素阻害剤がアバカビル、ジダノシン、エムトリシタビン、ラミブジン、スタブジン、テノフォビル、ザルシタビンおよびジドブジン、またはその医薬的に許容される塩もしくは溶媒和物からなる群から選択される組成物である。
【0044】
本発明の別の態様は、薬剤が非ヌクレオシドHIV逆転写酵素阻害剤である組成物である。
本発明の別の態様は、非ヌクレオシドHIV逆転写酵素阻害剤がデラビルジン、エファビレンツおよびネビラピン、またはその医薬的に許容される塩もしくは溶媒和物からなる群から選択される組成物である。
【0045】
本発明の別の態様は、薬剤がHIVプロテアーゼ阻害剤である組成物である。
本発明の別の態様は、HIVプロテアーゼ阻害剤がアンプレナビル、アタザナビル、インジナビル、ロピナビル、ネルフィナビル、リトナビル、サキナビルおよびホスアンプレナビル、またはその医薬的に許容される塩もしくは溶媒和物からなる群から選択される組成物である。
【0046】
本発明の別の態様は、薬剤がHIV融合阻害剤である組成物である。
本発明の別の態様は、HIV融合阻害剤がエンフュービルタイドもしくはT−1249、またはその医薬的に許容される塩もしくは溶媒和物である組成物である。
【0047】
本発明の別の態様は、薬剤がHIV接着阻害剤である組成物である。
本発明の別の態様は、薬剤がCCR5阻害剤である組成物である。
【0048】
本発明の別の態様は、CCR5阻害剤がSch−C、Sch−D、TAK−220、PRO−140およびUK−427,857、またはその医薬的に許容される塩もしくは溶媒和物からなる群から選択される組成物である。
本発明の別の態様は、薬剤がCXCR4阻害剤である組成物である。
【0049】
本発明の別の態様は、CXCR4阻害剤がAMD−3100またはその医薬的に許容される塩もしくは溶媒和物である組成物である。
本発明の別の態様は、薬剤がHIV出芽もしくは成熟阻害剤である組成物である。
【0050】
本発明の別の態様は、出芽もしくは成熟阻害剤がPA−457またはその医薬的に許容される塩もしくは溶媒和物である組成物である。
本発明の別の態様は、薬剤がHIVインテグラーゼ阻害剤である組成物である。
本発明の別の態様は、HIVインテグラーゼ阻害剤がラルテグラビルである組成物である。
【0051】
化合物Iの形態を少なくとも1つの抗HIV剤とともに投与することを意味する「組み合わせ」、「同時投与」、「併用]および同様な用語とは、AIDSおよびHIV感染症の分野における当業者によって理解されている通り、該成分が併用抗レトロウイルス療法または非常に活性な抗レトロウイルス療法(HAART)の部分であることを意味する。
【0052】
「治療有効」とは、AIDSおよびHIV感染症の分野における当業者によって理解されている通り、意味ある患者に利点を供するのに必要とされる剤の量を意味する。通常、治療の目標は、ウイルス量(viral load)の抑制、免疫機能の回復および保存、生活の質の改善、並びにHIV関連の罹患率および死亡率の低下である。
【0053】
「患者」とは、HIVウイルスによって感染され、そしてAIDSおよびHIV感染症の分野における当業者によって理解されている通り療法に適当であるヒトを意味する。
「治療」、「療法」、「レジメ」、「HIV感染症」、「ARC」、「AIDS」および関連用語は、AIDSおよびHIV感染症の分野における当業者によって理解されている通り使用される。
【0054】
化合物(I)は通常、治療有効量の化合物Iを含む医薬組成物として提供され、そして通常の賦形剤を含み得る。治療有効量とは、意味ある患者に利点を供するのに必要とされる量である。医薬的に許容し得る担体とは、許容し得る安全性プロファイルを有する慣習的に知られる担体である。組成物は、全ての通常の固体および液体の形態(例えば、カプセル剤、錠剤、トローチ剤、および散剤を含む)、並びに液体懸濁剤、シロップ剤、エリキシル剤、および液剤を包含する。組成物は通常の製剤技術を用いて製造され、そして通常の賦形剤(例えば、結合剤および湿潤剤)およびベヒクル(例えば、水およびアルコール)は一般的に、組成物のために使用される。
【0055】
固体組成物は通常、投与形態で製剤化され、そして用量当たり活性成分の約1〜1000mgを供する組成物が好ましい。ある用量の例としては、1mg、10mg、100mg、250mg、500mg、および1000mgが挙げられる。通常、他の抗レトロウイルス剤が、臨床的に使用される該クラスの剤と同様な単位レンジで存在する。典型的には、これは0.25〜1000mg/単位である。
【0056】
液体組成物は通常、用量単位レンジである。通常、該液体組成物は、1〜100mg/mLの単位用量レンジである。用量の例は、1mg/mL、10mg/mL、25mg/mL、50mg/mL、および100mg/mLである。通常、他の抗レトロウイルス剤は、臨床的に使用されるクラスの剤と同様な単位レンジで存在する。典型的には、これは、1〜100mg/mLである。
【0057】
本発明は、全ての通常の投与様式を包含し;経口および非経口の方法が好ましい。通常、該投与レジメは、臨床的に使用される他の抗レトロウイルス剤と同様である。典型的には、該1日用量は、1日当たり1〜100mg/体重kgである。通常、経口的にはより多くの化合物が必要とされ、そして非経口的にはより少ない。しかしながら、該具体的な用量レジメは、正常な医学的な判断を用いて医師によって決定される。
【0058】
本発明はまた、化合物Iが組み合わせ療法として与えられる方法をも包含する。すなわち、化合物Iの形態は、AIDSおよびHIV感染症を治療するのに有用な他の薬剤と組み合わせて(但し、別々にする)使用することができる。これらの薬剤のいくつかは、HIV接着阻害剤、CCR5阻害剤、CXCR4阻害剤、HIV細胞融合阻害剤、HIVインテグラーゼ阻害剤、HIVヌクレオシド逆転写酵素阻害剤、HIV非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤、HIVプロテアーゼ阻害剤、発芽および成熟阻害剤、免疫調節剤、および抗感染症剤を含む。これらの併用方法において、化合物Iは通常、他の薬物と組み合わせて毎日、1〜100mg/体重kgの1日用量を与える。該他の薬剤は通常、治療学的に使用される量で与える。しかしながら、該具体的な投与レジメは、正常な医学的な判断を用いて医師によって決定される。
【0059】
実験方法
結晶形は様々な方法によって製造されうるが、それには、例えば、これらに限らないが、適当な溶媒混合物からの結晶化または再結晶化;昇華;融解からの成長;別の相から固体への状態変換;超臨界流体からの結晶化;および噴射スプレーが含まれる。溶媒混合物からの結晶形の結晶化または再結晶化のための技術には、例えば、これらに限らないが、溶媒の蒸発;溶媒混合物の温度の低下;化合物および/またはその塩の過飽和溶媒混合物への種晶の付加;溶媒混合物の凍結乾燥;および溶媒混合物への貧溶媒(対溶媒(countersolvent))の付加が含まれる。ハイスループット結晶化技術は、多形を含む結晶形の製造に用いられうる。
【0060】
多形を含む薬物の結晶、製造方法、および薬物の結晶の評価は、Solid-State Chemistry of Drugs, S. R. Byrn, R.R. Pfeiffer, and J.G. Stowell, 2nd Edition, SSCI, West Lafayette, Indiana (1999)において議論される。
【0061】
溶媒を用いる結晶化技術において、溶媒は、典型的には、一つ以上の因子、例えば、これらに限らないが、化合物の溶解度;利用される結晶化技術;および溶媒の蒸気圧に基づいて選択される。溶媒は組み合わせて用いてもよい。例えば、化合物を第1の溶媒中で可溶化して、溶液を得て、次いでそれに貧溶媒を加えて、溶液中の化合物の溶解度を減少させ、結晶形成を沈澱させてもよい。貧溶媒は、化合物が低溶解度を有する溶媒である。
【0062】
結晶を製造する際に用いられうる一つの方法において、化合物は適当な溶媒の中で懸濁および/または撹拌されてスラリーを得るが、それは加熱されて溶解を促進しうる。用語「スラリー」は、本明細書中で用いられるように、化合物の飽和溶液を意味し、その中で、かかる溶液には追加量の化合物が含まれて、所定の温度で化合物および溶媒の不均一な混合物を得てもよい。
【0063】
種晶はいずれの結晶化混合物にも加えられ、結晶化を促進しうる。種晶の添加は、特定の多形の成長を調節し、および/または結晶性生成物の粒径分布を調節するのに用いられうる。したがって、必要な種晶の量の計算は、利用できる種晶のサイズおよび平均的な生成物粒子の目的のサイズに依存し、これは例えば、「Programmed Cooling of Batch Crystallizers」, J. W. Mullin and J. Nyvlt, Chemical Engineering Science, 1971, 26, 369-377に記載されている。一般に、小さなサイズの種晶は、バッチにおける結晶の成長を効果的に調節するのに必要である。小さなサイズの種晶は、大きな結晶のふるい分け、粉砕、もしくは微粉化、または溶液の微結晶化によって生成されうる。結晶の粉砕または微粉化において、目的の結晶形から結晶化度が変化(すなわち、アモルファスまたは他の多形への変化)しないように注意を払うべきである。
【0064】
冷却された結晶化混合物を減圧濾過してもよく、単離した固体の生成物を適当な溶媒、例えば冷却した再結晶溶媒で洗浄してもよい。洗浄した後、生成物を窒素パージ下で乾燥して、目的の結晶形を得てもよい。生成物を適当な分光学的技術または分析技術、例えば、これらに限らないが、固体核磁気共鳴法;示差走査熱量測定(DSC);および粉末X線回折(PXRD)によって分析して、化合物の好ましい結晶形が形成されたことを確認してもよい。結晶化手順において当初用いられた化合物の重量に基づいて、生じた結晶形を単離収率約70重量%超、好ましくは単離収率約90重量%超の量で製造してもよい。適宜、生成物を一緒に粉砕する(comilled)かまたは網目スクリーンに通過させることによって、塊でなくしてもよい。
【0065】
化合物(I)の結晶形、例えば、これらに限らないが、本明細書に記載した形態は、化合物(I)を製造する際に用いられる最終工程段階によって製造される反応媒体から直接製造されうる。例えば、化合物(I)の結晶形は、化合物(I)を製造する際に用いられる最終工程段階における溶媒または溶媒の混合物を用いることによって製造されうる。あるいは、化合物(I)の結晶形を蒸留または溶媒付加技術によって得てもよい。この目的に適した溶媒には、これらに限らないが、例えば、前述の非極性溶媒および極性溶媒が含まれ、その中で、極性溶媒には、これらに限らないが、例えば、プロトン性極性溶媒(例えば、アルコール類)および非プロトン性極性溶媒(例えば、ケトン類)が含まれる。
【0066】
サンプル中の一つより多い結晶形および/または多形の存在は、これらに限らないが、例えば、PXRDおよび固体核磁気共鳴法などの技術によって決定されうる。例えば、実験で測定されたPXRDパターンをシミュレーションされたPXRDパターンと比較する場合、余分なピークの存在によって、サンプル中の一つより多くの結晶形および/または多形が示されうる。シミュレーションされたPXRDを単結晶X線データから計算してもよい。例えば、Smith, D.K., 「A FORTRAN Program for Calculating X-Ray Powder Diffraction Patterns」, Lawrence Radiation Laboratory, Livermore, California, UCRL-7196 (April 1963)を参照。
【0067】
本発明に従った化合物(I)の結晶形、例えば、これらに限らないが、本明細書に記載さいたものを、当業者によく知られている様々な技術を用いて評価してもよい。例えば、単一のX線回折法は、標準化された操作条件下および温度下で、化合物(I)の結晶形を評価および識別するのに用いられうる。かかる評価は、例えば、一定の分析温度での目的の形態の単結晶の単位格子測定に基づいていてもよい。オングストローム(Å)でのおおよその単位格子定数、並びに結晶格子の体積、空間群、格子あたりの分子、および結晶密度を、例えば25℃のサンプル温度で測定してもよい。単位格子の詳細な記載は、Stout & Jensen, X-Ray Structure Determination: A Practical Guide, Macmillan Co., New York (1968), Chapter 3に与えられ、それは本明細書に引用される。
【0068】
また、結晶格子における原子の固有の空間配置を、このような原子の観測された部分原子座標に従って評価してもよい。
【0069】
対象となる形態の結晶構造を評価する別の方法はPXRD分析によるものであり、かかる形態の実際の回折プロファイルが、純粋な粉末物質を表すシミュレーションされたプロファイルと比較される。好ましくは、実際のプロファイルおよびシミュレーションされたプロファイルは、両方とも同じ分析温度で実行され、その後の測定は、一連の2θ値(通常は4つ以上)としての特徴を有する。
【0070】
用いられうる結晶形を評価する他の方法には、これらに限らないが、例えば、固体核磁気共鳴(NMR);DSC;サーモグラフィ;結晶もしくは非結晶の形態の肉眼的検査;およびそれらの組合せが含まれる。
本明細書に記載した少なくとも1つの化合物(I)の結晶形を、少なくとも1つの下記の試験方法を用いて解析した。
【0071】
単結晶X線測定
ブルカー−ノニウスCAD4連続回折計(Bruker-Nonius CAD4 serial diffractometer)(Bruker AXS, Inc. Madison, WI)を用いてデータを収集した。25高角反射の実験用回折計の調節の最小二乗解析を通して、単位格子パラメータを得た。θ−2θ可変走査法による恒温でのCuKα照射(λ=1.5418Å)を用いて強度を測定し、ローレンツ偏光因子についてのみ補正した。バックグラウンド計数を、走査時間の半分について走査の先端で収集した。あるいは、CuKα照射(λ=1.5418Å)を用いたブルカー−ノニウスカッパCCD2000システム(Bruker-Nonius Kappa CCD 2000 system)を用いて単結晶データを収集した。測定した強度データの索引付けおよび加工を、集積プログラムスイート(Collect program suite)(Collect: Data collection software, R. Hooft, Nonius B.V., 1998)におけるHKL2000ソフトウェアパッケージ(Otwinowski, Z. and Minor, W., in Macromolecular Crystallography, eds. Carter, W.C. Jr and Sweet, R.M., Academic Press, NY, 1997)で行った。必要であれば、データ収集の間、オックスフォード クライオシステムズ クライオストリーム冷却器(Oxford Cryosystems Cryostream Cooler)(Oxford Cryosystems, Inc., Devens, MA)の冷却流の中で結晶を冷却した。
【0072】
構造を直接的な方法によって解析し、マイナー部分の改良を施したSDPソフトウェアパッケージ(SDP Strucuture Determination Package, Enraf-Nonius, Bohemia, NY)または結晶学パッケージのmaXus(maXus Solution and Refinement Software Suite: S. Mackay, CJ. Gilmore, C. Edwards, M. Tremayne, N. Stewart, and K. Shankland.)を用いて、実測した反射に基づいて精密化した。maXusは、回折データから結晶構造を解析し、精密化するためのコンピュータプログラムである。
【0073】
導かれた原子パラメータ(座標および温度因子)を、完全行列最小二乗法を通して精密化した。精密化において最小化した関数は、Σw(|Fo|−|Fc|)2であった。RをΣ||Fo|−|Fc||/Σ|Fo|として定義し、一方、Rw=[Σw(|Fo|−|Fc|)2/Σw|Fo21/2であり、ここでwは実測強度における誤差に基づく適当な重み関数である。距離マップを、精密化の全段階で調査した。水素原子を、等方性温度因子を用いて理想的な位置に導入したが、水素パラメータは変えなかった。
【0074】
特に断りがなければ、シミュレーションされたPXRDパターンを、データ収集温度での単結晶原子パラメータから生成した(Yin. S.; Scaringe, R. P.; DiMarco, J.; Galella, M. and Gougoutas, J. Z., American Pharmaceutical Review, 2003, 6, 2, 80)。
【0075】
粉末X線回折(PXRD)測定−方法A
バックローディング法(backloading method)によって、約200mgのサンプルをフィリップスPXRDサンプルホルダーの中に詰めた。サンプルホルダーをフィリップスMPDユニット(45KV、40mA、Cu Kα)に移し、続いてデータを室温で2〜32の2θの範囲で収集した(連続走査モード、走査速度0.03度/秒、オートダイバージェンス(auto divergence)および散乱防止スリット(anti scatter slit)、受光スリット(receiving slit):0.2mm、サンプルスピナー(sample spinner):ON)。
【0076】
粉末X線回折測定−方法B
ブルカー C2 GADDSを用いてPXRDデータを得た。照射はCu Kα(40KV、50mA)であった。サンプル−検出器距離は15cmであった。粉末サンプルを直径1mm以下の密封したガラスキャピラリーの中に入れ、データ収集の間、キャピラリーを回転させた。少なくとも約2000秒のサンプル露出時間(sample exposure time)で、3≦2θ≦35°についてデータを収集した。3〜35度の2θの範囲で、0.02度の2θのステップサイズで、生じた2次元回折円弧(two-dimensional diffraction arc)を合わせて(integrated)、通常の1次元PXRDパターンを作成した。
【0077】
示差走査熱量測定(DSC)(密封皿)
DSC実験を、TAインスツルメンツ(登録商標)モデルQ1000または2920において行った。針で刺した(pinpricked)密封アルミニウム皿でサンプル(約2〜6mg)を秤量し、100分の1ミリグラムまで正確に記録した後、DSCに移した。窒素ガスを用いて50mL/分で装置をパージした。約10℃/分の加熱速度で、室温と約350℃の間でデータを収集した。下向きの吸熱ピークでプロットを作成した。
【0078】
熱重量分析(TGA)(密封皿)
TGA実験を、TAインスツルメンツ(登録商標)モデルQ500または2950において行った。サンプル(約10〜30mg)を、白金皿の上の針で刺した密封アルミニウム皿に置いた(両方ともあらかじめ風袋を量った)。サンプルの重量を正確に測定し、装置によって1000分の1ミリグラムまで記録した。窒素ガスを用いて100mL/分で炉(furnace)をパージした。約10℃/分の加熱速度で、室温と約350℃の間でデータを収集した。
【0079】
実施例1
化合物Iの製造。該遊離酸の合成はスキーム1に説明され、米国特許第7,176,196号に記載されている。
スキーム1.
【化3】

【0080】
該ナトリウム塩一水和物の合成はスキーム2に説明されている。
スキーム2.
【化4】

【0081】
該遊離酸(34g;1.00当量;79.36mmol)をフラスコに加えた。ジメチルアセトアミド(340mL)を加え、撹拌し始めた。溶液が形成されたときに、混合液を撹拌しながら60℃に加熱した。溶液を60℃で30分間撹拌した。溶液に、2N 水酸化ナトリウム(44.00mL;45.75g;87.99mmol;1.10当量)を60℃で加えた。混合液を60℃で30分間撹拌した。1% 種晶負荷(seed load)の該ナトリウム塩一水和物(0.34g、0.79mmol)を用いて混合液に種晶を加え、60℃で1時間撹拌した。イソプロピルアルコール(374mL)を60℃で2時間かけて混合液に加えた。混合液を60℃で30分間撹拌し、次いで冷却勾配(cooling ramp)によって2時間かけて20℃に冷却した。濾過の前に混合液を20℃で少なくとも3時間撹拌した。混合液を濾過した。固形物を90:10 イソプロピルアルコール−水の混合液で4回洗浄した(各洗浄は150mL)。固体の生成物を真空オーブン中、終夜≦60℃で乾燥した。白色固形物として、生成物(33.72g;0.91当量;71.99mmol;収率90.71%)を得た。HPLC純度は>99.6APであった。C2022FN6NaO5についての元素分析:C,51.28、H,4.73、N,17.94。実測値:C,51.38、H,4.48、N,17.91;mp:298℃。
【0082】
粉塵障害(Dust hazard)データ
「μm」は、マイクロメートルを意味する。「gm」は、グラムを意味する。「cc」は、立方センチメートルを意味する。「gm/cc」は、グラム/立方センチメートルを意味する。「Kst」は、バール−メートル/秒で表される粉塵の爆燃指数(deflagration index)である。「bar−m/s」は、バールメートル/秒を意味する。「bar/s」は、バール/秒を意味する。「mJ」は、ミリジュールを意味する。「St」は、爆発性の粉塵についての一般的な分類表示である:「St−2」は、強い爆発表示として分類されており、Kst>200bar−m/sを有し;「St−1」は、強い爆発として分類されておらず、Kst<200bar−m/sを有する。
【0083】
粒子分析
エアロサイザー(Aerosizer)装置(TSI社、アマースト、MA)を用いて、該遊離酸を粒径について試験し、平均値16.3μmで、95% <32.9μmが含まれることが分かった。かさ密度および真密度は、それぞれ、0.34gm/ccおよび1.40g/ccであることが分かった。5gmを真空オーブン中60℃で6時間置き、重量減少をチェックすることによって、サンプルを含水量について調べた。該遊離酸は、その最初の重量の0.22%を失っていた。
【0084】
エアロサイザー装置を用いて、該ナトリウム塩一水和物を粒径について試験し、平均値14.8μmで、95% <33.6μmが含まれることが分かった。かさ密度および真密度は、それぞれ、0.42gm/ccおよび1.53gm/ccであることが分かった。5gmを真空オーブン中60℃で6時間置き、重量減少をチェックすることによって、サンプルを含水量について調べた。該塩一水和物は、その最初の重量の0.18%を失っていた。
【0085】
粉塵障害分析
両形態についての粉塵障害分析結果を表2にまとめる。
表2.

【0086】
該遊離酸は、低い最小点火エネルギーのため、特定条件下で粉塵雲として極めて点火しやすかった。20リットル球試験(twenty liter sphere testing)(Proust, C.; Accorsi, A.; Dupont, L. Journal of Loss prevention in the Process Industries, vol. 20, 2007を参照)によって、該サンプルは、238bar−m/sのKst値で、St−2(強い爆発)クラスに入る。
【0087】
該ナトリウム塩は、粉塵雲としての点火に対する感受性が低かった。したがって、20リットル球試験は必要なかった。該データによって、該塩が弱いか穏やかな爆発特性を表すことが示され、St表示はSt−1であると考えられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)結晶形の粉末X線回折パターンの測定が約25℃の温度において、3.3±0.2;6.7±0.2;10.0±0.2;11.8±0.2;13.3±0.2;14.7±0.2;15.8±0.2;16.6±0.2;21.2±0.2;および22.1±0.2から選択される5つ以上の2θ値(CuKα λ=1.5418Å)を含む粉末X線回折パターン;
b)結晶形の単位格子パラメータの測定が約25℃の温度において、下表:

に実質的に等しい単位格子パラメータ;
c)約298℃の範囲の融点;および/または
d)約210℃の温度に加熱して、約3.9〜約4.4重量%の範囲で重量減少を有する熱重量分析サーモグラム;
の特徴を有するH−1型を含む、化合物(I):
【化1】

(I)
の結晶形。
【請求項2】
実質的に図1に示されたシミュレーションされた粉末X線回折パターン;および/または実質的に図1に示された観測された粉末X線回折パターンの特徴を有するH−1型を含む、化合物(I):
【化2】

(I)
の結晶形。
【請求項3】
本質的に前記H−1型からなる、請求項1または2の結晶形。
【請求項4】
実質的に純粋である、請求項1または2の結晶形。
【請求項5】
少なくとも約90重量%の前記結晶形がH−1型で構成されている、請求項1または2の結晶形。
【請求項6】
化合物(I):
【化3】

(I)
の結晶形H−1、並びに少なくとも1つの医薬的に許容される担体および/または希釈剤を含む医薬組成物。
【請求項7】
前記結晶形が実質的に純粋な形態である、請求項6の医薬組成物。
【請求項8】
ヌクレオシドHIV逆転写酵素阻害剤、非ヌクレオシドHIV逆転写酵素阻害剤、HIVプロテアーゼ阻害剤、HIV融合阻害剤、HIV結合阻害剤、CCR5阻害剤、CXCR4阻害剤、HIV出芽もしくは成熟阻害剤、およびHIVインテグラーゼ阻害剤からなる群から選択される、AIDSまたはHIV感染の治療に用いられる治療有効量の少なくとも1つの他の薬剤、並びに医薬的に許容される担体をさらに含む、請求項6の組成物。
【請求項9】
治療有効量の化合物(I):
【化4】

(I)
の結晶形H−1を投与することを特徴とする、患者におけるHIV感染の治療方法。
【請求項10】
該結晶形が実質的に純粋な形態である、請求項9の方法。
【請求項11】
ヌクレオシドHIV逆転写酵素阻害剤、非ヌクレオシドHIV逆転写酵素阻害剤、HIVプロテアーゼ阻害剤、HIV融合阻害剤、HIV結合阻害剤、CCR5阻害剤、CXCR4阻害剤、HIV出芽もしくは成熟阻害剤、およびHIVインテグラーゼ阻害剤からなる群から選択される、AIDSまたはHIV感染の治療に用いられる治療有効量の少なくとも1つの他の薬剤を投与することをさらに特徴とする、請求項9の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2011−515491(P2011−515491A)
【公表日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−502043(P2011−502043)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際出願番号】PCT/US2009/038362
【国際公開番号】WO2009/120841
【国際公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【出願人】(391015708)ブリストル−マイヤーズ スクイブ カンパニー (494)
【氏名又は名称原語表記】BRISTOL−MYERS SQUIBB COMPANY
【Fターム(参考)】