説明

NCプログラム編集装置および加工機制御装置

【課題】 NCプログラムに対して、初品か否かの状況に応じて初品検査用の一時停止等の命令を自動挿入することができる装置を提供する。
【解決手段】 初品特定条件Aを定めた初品特定条件設定手段14と、その条件の充足判定のために確認する事項Bを設定した確認事項設定手段15とを設ける。命令を挿入する箇所を設定した命令挿入箇所設定手段16を設ける。この確認事項設定手段16に設定された事項Bを検索し、検索された事項Bが初品特定条件Aを充足するか否かを判定する初品判定手段17を設ける。条件を充足すると判定された場合に、NCプログラム8における定められた箇所に一時停止命令等の初品対処目的の命令Cを挿入する初品対処命令挿入手段18を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、パンチプレスやレーザ加工機等の板材加工機や、マシニングセンタ等の工作機械を制御するNCプログラムにつき、初品加工時の確認が行い易いように自動編集するNCプログラム編集装置、およびその編集装置を備えた加工機制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
NC制御する加工機において、新しく作成したNCプログラムを使用する場合や、加工機の金型等の工具を交換する段取りを行った場合、あるいはこれらのNCプログラム,工具等に対して初めてとなる素材を使用する場合に、プログラムミスや工具段取りのミス、工具の不適切性等により、加工不良を生じることがある。そのため、このような初品を加工したときに、運転を止めて、正しく加工されているか否かを検査することがある。特に自動搬送システムが付いている加工機の場合は、上記のミス等により多数の加工不良品が発生することの回避のために初品検査が重要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第98/10890号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
NC加工機において、初品検査を行うために、加工を停止したり、検査を行い易くするためには、NCプログラムに一時停止や原点戻しの命令を意識して作成することが必要となる。また、同じNCプログラムで2回以上加工する場合に、2回目以降に無駄な停止が発生することがある。2回目以降はブロックスキップで切替えを行うようにしても、ブロックスキップの設定を忘れたりすることがある。
【0005】
この発明の目的は、初品以外に使用する通常のNCプログラムに対して、初品か否かの状況に応じて初品検査用の一時停止等の命令を自動挿入することができて、初品加工時に確実な一時停止等が行え、初品以外の加工時に無駄な停止を発生させることのないNCプログラムに編集できるNCプログラム編集装置を提供することである。
この発明の他の目的は、初品であるか否かを特定するための条件の選択や、加工の一時停止等を行う箇所の選択がオペレータにより容易に行えるようにすることである。
この発明のさらに他の目的は、パンチプレスの制御において、初品検査用の一時停止等の命令を自動挿入する編集機能を有し、初品加工時に確実な一時停止等が行え、初品以外の加工時に無駄な停止を発生させることのない制御が行える加工機制御装置を提供することである。
この発明のさらに他の目的は、上記パンチプレスが搬送装置を備えていて、素材に対して初品となる場合の確実な一時停止等が行え、初品以外の加工時に無駄な停止を発生させることのない制御が行えるようにすることである。
この発明のさらに他の目的は、初品か否かに応じて、編集の前後のいずれのNCプログラムを使用するかの選択の必要がなく、制御系が簡素で、選択誤りの問題の生じない加工機制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の構成を実施形態に対応する図1と共に説明する。このNCプログラム編集装置(1)は、加工機(2)を制御する数値制御装置(5)により実行されるNCプログラム(8)を編集する装置であって、
編集前の前記NCプログラム(8)を前記数値制御装置(5)で実行して前記加工機(2)の現在の工具装備状態で加工を行った場合に、加工された製品が初品として特定される条件である初品特定条件(A)を定めた初品特定条件設定手段(14)と、
周辺機器を含む前記加工機(2)の持つ定められた情報記憶部および前記編集前NCプログラム(8)の中で、前記初品特定条件の充足判定のために確認する事項(B)を設定した確認事項設定手段と、
前記編集前NCプログラム(8)に対して命令を挿入する箇所を設定した命令挿入箇所設定手段(16)と、
前記確認事項設定手段(16)に設定された事項(B)を検索し、検索された事項(B)が前記初品特定条件設定手段(14)に設定された初品特定条件(A)を充足するか否かを判定する初品判定手段(17)と、
この初品判定手段(17)で初品特定条件(A)を充足すると判定された場合に、前記編集前NCプログラム(8)における前記命令挿入箇所設定手段(16)で定められた箇所に、編集処理として少なくとも一時停止命令を含む初品対処目的の命令(C)を挿入する初品対処命令挿入手段(18)とを備える。
【0007】
この構成によると、作成されたNCプログラム(8)の実行前に、初品判定手段(17)により、前記確認事項設定手段(15)に設定された確認事項(B)を検索し、検索された事項(B)が前記初品特定条件設定手段(14)に設定された初品特定条件(A)を充足するか否かを判定する。初品対処命令挿入手段(18)は、初品判定手段(17)で初品特定条件(A)を充足すると判定された場合に、前記編集前NCプログラム(8)における前記命令挿入箇所設定手段(16)で定められた箇所に、編集処理として少なくとも一時停止命令を含む初品対処目的の命令(C)を挿入する。このように、初品以外に使用する通常のNCプログラム(8)に対して、初品か否かの状況に応じて初品検査用の一時停止等の命令(C)を自動挿入することができる。そのため、初品加工時に確実な一時停止等が行え、初品以外の加工時に無駄な停止を発生させることのないNCプログラム(8)に編集することができる。
【0008】
なお、「初品」は、NCプログラム(8)を前記数値制御装置(5)で実行して前記加工機(5)の現在の工具装備状態で加工を行った場合に、この加工以前の加工に対して最初となる加工の形態や状況が生じる製品を言う。例えば、作成されたNCプログラム(8)を最初に実行して加工する場合や、加工機(2)に装備する工具の交換を行った後の最初の加工、初めての素材を用いる加工等である。何を初品とするかの条件は、初品特定条件設定手段(14)に初品特定条件(A)として任意に設定すれば良い。
【0009】
この発明において、前記初品特定条件設定手段(14)に設定する初品特定条件(A)を個別に示す表示(25)、および初品確認のために加工中に一時停止させる各箇所を個別に示す表示(26)を、それぞれ表示装置(21)の画面に選択メニュー(23)として複数表示するメニュー表示手段(19)と、入力装置(22)によって前記画面の前記選択メニュー(3)から選択が決定された個別の表示(25,26)を設定規則(R)に照らして、前記初品特定条件設定手段(14)に初品特定条件(A)を設定し、かつ前記命令挿入箇所設定手段(16)に前記命令を挿入する箇所を設定するメニュー選択入力処理手段(20)とを設けても良い。
何を初品として区別したいかは、使用者によっても、また各種の状況によっても変わる。そのため、初品特定条件(A)は種々変更して設定可能とすることが好ましい。また、加工中のどの段階で初品確認のための一時停止等を行えば効率的な確認が行えるかについても、種々の状況により変わる。このような状況の違いや使用者の希望に対して、上記のようにメニュー表示手段(19)を設け、初品特定条件(A)を個別に示す表示(25)、および初品確認のために加工中に一時停止させる各箇所を個別に示す表示(26)を、表示装置(21)の画面に選択メニュー(23)として表示し、選択させるようにしてあると、これらの初品特定条件(A)の選択や、加工の一時停止を行わせる箇所の選択を、オペレータにより容易に行うことができる。
【0010】
この発明における第1の加工機制御装置は、制御対象となる前記加工機(2)が板材加工機であって、この発明の前記いずれかの構成のNCプログラム編集装置(1)と、前記加工機(2)を制御する前記数値制御装置(5)とを備える。
板材加工機では、多品種少量生産や多彩な加工のために、種々の工具を交換して用いることがある。また、素材板材の材質や板厚を変えて加工を行うことがある。そのような板材加工機では、工具交換の間違いがないかの確認のために、工具交換後の初品を検査する機会が多く、また素材板材の変更によって初品を検査することが必要となる機械も多い。そのため、この発明のNCプログラム編集装置(1)を備えたことによる効果が、より効果的に発揮される。特に、前記板材加工機がパンチプレスである場合は、多品種少量生産や多彩な加工のために、工具として種々の金型を準備し、タレット等の工具保持手段に入れ換えて用いる。そのため、金型交換の間違いがないかの確認のために、金型交換後の初品を検査する機会が多く、この発明のNCプログラム編集装置(1)を備えたことによる効果が、より一層効果的に発揮される。
【0011】
前記加工機(2)が板材加工機である場合に、前記板材加工機に対して素材となる板材の搬入および製品となる板材の搬出を行う搬送装置(3)と、この搬送装置(3)を搬送プログラム(10)によって制御する搬送制御装置(6)とを備え、自動運転を行う加工機制御装置であっても良い。その場合に、確認事項設定手段(15)で設定する事項(B)に係る前記定められた情報記憶部の一つとして、前記搬送制御装置(6)に記憶された前記搬送プログラム(10)を含めても良い。
搬送装置(3)を備えて自動運転するパンチプレスの場合、NCプログラム(8)の作成ミスや金型交換のミスがあった場合に、初品検査無しでは多数の不良品を発生する恐れがあるため、この発明のNCプログラム編集装置(1)の採用によって初品検査が確実に行えるという利点がより効果的に発揮される。また、搬送プログラム(10)から、例えば、素材保管装置のどの棚の素材を搬入するかのなどの情報が得られるため、初品の発生に関係する素材を搬入するか否かの情報が得られる。そのため、前記定められた情報記憶部の一つとして、前記搬送制御装置(6)に記憶された前記搬送プログラム(10)を含めることで、素材に対して初品となる場合の確実な一時停止等が行え、初品以外の加工時に無駄な停止を発生させることのない制御が行える。
【0012】
この発明における他の加工機制御装置は、この発明の上記いずれかの構成のNCプログラム編集装置(1)と、前記加工機(2)を制御する前記数値制御装置(5)とを備えた加工機制御装置であって、前記数値制御装置(5)に転送するNCプログラム(8)を記憶したNCプログラム記憶手段(12)と、このNCプログラム記憶手段(12)に記憶されたNCプログラム(8)を前記数値制御装置(5)に転送する転送手段(13)とを有し、前記数値制御装置(5)は、転送されたNCプログラム(8)を1回のみ実行し、この実行後に、次に実行するNCプログラム(8)が前記転送手段(13)から転送されるものであり、前記NCプログラム編集装置(1)は、前記NCプログラム記憶手段(12)から前記数値制御装置(5)に転送するNCプログラム(8)を編集するものとしても良い。
このように、数値制御装置(5)が、NCプログラム(8)の1本の加工毎に、毎回NCプログラム(8)の転送を受けて制御する形式のものである場合に、その転送するNCプログラム(8)をこの発明のNCプログラム編集装置(1)で編集するようにすると、数値制御装置(5)に記憶したNCプログラム(8)を繰り返して実行させる形式のものと異なり、初品か否かに応じて、編集の前後のいずれのNCプログラム(8)を使用するかの選択の必要がなくなる。そのため、制御系が簡素であり、NCプログラム(8)の選択誤りの問題が発生しない。
【発明の効果】
【0013】
この発明のNCプログラム編集装置は、加工機を制御する数値制御装置により実行されるNCプログラムを編集するNCプログラム編集装置であって、編集前の前記NCプログラムを前記数値制御装置で実行して前記加工機の現在の工具装備状態で加工を行った場合に、加工された製品が初品として特定される条件である初品特定条件を定めた初品特定条件設定手段と、周辺機器を含む前記加工機の持つ定められた情報記憶部および前記編集前NCプログラムの中で、前記初品特定条件の充足判定のために確認する事項を設定した確認事項設定手段と、前記編集前NCプログラムに対して命令を挿入する箇所を設定した命令挿入箇所設定手段と、前記確認事項設定手段に設定された事項を検索し、検索された事項が前記初品特定条件設定手段に設定された初品特定条件を充足するか否かを判定する初品判定手段と、この初品判定手段で初品特定条件を充足すると判定された場合に、前記編集前NCプログラムにおける前記命令挿入箇所設定手段で定められた箇所に、編集処理として少なくとも一時停止命令を含む初品対処目的の命令を挿入する初品対処命令挿入手段とを備えるため、初品以外に使用する通常のNCプログラムに対して、初品か否かの状況に応じて初品検査用の一時停止等の命令を自動挿入することができて、初品加工時に確実な一時停止等が行え、初品以外の加工時に無駄な停止を発生させることがない。
【0014】
前記初品特定条件設定手段に設定する初品特定条件を個別に示す表示、および初品確認のために加工中に一時停止させる各箇所を個別に示す表示を、それぞれ表示装置の画面に選択メニューとして複数表示するメニュー表示手段と、入力装置によって前記画面の前記選択メニューから選択が決定された個別の表示を設定規則に照らして、前記初品特定条件設定手段に初品特定条件を設定し、かつ前記命令挿入箇所設定手段に前記命令を挿入する箇所を設定するメニュー選択入力処理手段とを設けた場合は、初品であるか否かを特定するための条件の選択や、加工の一時停止等を行う箇所の選択がオペレータにより容易に行える。
【0015】
この発明の加工機制御装置は、この発明のNCプログラム編集装置と、前記加工機を制御する前記数値制御装置とを備えた加工機制御装置であって、前記加工機が板材加工機であるため、板材加工機の制御において、初品検査用の一時停止等の命令を自動挿入する編集する機能を有し、初品加工時に確実な一時停止等が行え、初品以外の加工時に無駄な停止を発生させることがない。
【0016】
前記板材加工機に対して素材となる板材の搬入および製品となる板材の搬出を行う搬送装置と、この搬送装置を搬送プログラムによって制御する搬送制御装置とを備え、自動運転を行う加工機制御装置であって、前記定められた情報記憶部の一つとして、前記搬送制御装置に記憶された前記搬送プログラムを含む場合は、素材に対して初品となる場合の確実な一時停止等が行え、初品以外の加工時に無駄な停止を発生させることのない制御が行える。
【0017】
この発明の他の加工機制御装置は、NCプログラム編集装置と、前記加工機を制御する前記数値制御装置とを備えた加工機制御装置であって、前記数値制御装置に転送するNCプログラムを記憶したNCプログラム記憶手段と、このNCプログラム記憶手段に記憶されたNCプログラムを前記数値制御装置に転送する転送手段とを有し、前記数値制御装置は、転送されたNCプログラムを1回のみ実行し、この実行後に、次に実行するNCプログラムが前記転送手段から転送されるものであり、前記NCプログラム編集装置は、前記NCプログラム記憶手段から前記数値制御装置に転送するNCプログラムを編集するため、初品か否かに応じて、編集の前後のいずれのNCプログラムを使用するかの選択の必要がなく、制御系が簡素で、選択誤りの問題が生じない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】この発明の一実施形態に係るNCプログラム編集装置および加工機制御装置の概念構成を示すブロック図である。
【図2】同NCプログラム編集装置の選択メニュー表示画面例の説明図である。
【図3】同加工機制御装置の制御対象となる加工機および搬送装置の例を示す平面図である。
【図4】同NCプログラム編集装置で編集するNCプログラムの編集前および編集後の内容を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
この発明の一実施形態を図1ないし図4と共に説明する。図1は、NCプログラム編集装置1を含む加工機制御装置の全体の概念構成を示す。この加工機制御装置は、加工機2と搬送装置3とでなる加工設備4を制御する装置であって、加工機2を制御する数値制御装置5と、搬送装置2を制御する搬送制御装置6と、これら数値制御装置5および搬送制御装置6の上位制御手段となるスケジュール管理手段7とで構成される。
【0020】
加工機2は、工具を用いて加工を行う装置であって、パンチプレスやレーザ加工等の板材加工機と、旋盤、マシニングセンタ等の機械加工を行う工作機械とを含む。搬送装置3は、加工機2に対して素材の搬入、および製品の搬出を行う装置である。
【0021】
図3は、加工機2および搬送装置3の具体例を示す。同図の加工機2は、タレット式のパンチプレスであり、テーブル31上で素材となる板材Wを前後左右に移動させて加工位置Pに対して位置決めする板材送り機構32と、それぞれ工具である金型33を複数個搭載して任意の金型33を加工位置Pに割出可能なタレット式の工具割出機構34と、加工位置Pに割り出された金型33を昇降駆動して板材Wに加工を施すパンチ駆動機構35とを備える。工具割出機構34は、タレット34aに円周方向に沿って複数設けられた各工具設置部に金型33を交換自在に搭載し、タレット34aを割出回転させる機構(図示せず)を設けたものである。なお、タレット34aは、同心に上下に2個設けられていて(図では1個のみ図示)、上下のタレット34aは同期して割出回転させられる。上側のタレット34aにはパンチ金型が、下側のタレット34aにはダイ金型がそれぞれ搭載され、パンチ駆動機構35はパンチ金型を昇降駆動する。
【0022】
搬送装置3は、走行体36によって、素材となる板材Wを保管装置37から加工機2へ搬入する機能、および加工機2で素材板材Wから切り取り加工等の加工がなされた部品である製品板材wを保管装置37へ搬出する装置である。走行体36は、素材板材Wや製品板材wを保持する複数の真空吸着パッド等の板材保持手段(図示せず)を備えている。保管装置37は、この例では、上下複数段の棚(図示せず)に素材板材Wを種類毎に分類してパレット上に積層状態に保管し、製品板材wについても保管可能としたものであり、上下の棚の素材板材Wをパレット毎入れ換えするエレベータ37aを有している。
なお、搬送装置3は、上記の例では搬入と搬出を兼用するものとしたが、素材搬入の専用、および製品排出の専用となる2台の搬送装置を設けても良い。また、保管装置37についても、素材板材W用と製品板材w用とを別々に設置しても良い。
【0023】
図1において、数値制御装置5は、NCコードからなるNCプログラム8を実行して加工機1を制御するコンピュータ式の制御装置であり、NCプログラム8を記憶するプログラム記憶手段9と、NCプログラム8を実行する演算制御部(図示せず)とを備える。数値制御装置5は、プログラマブルコントローラ等のシーケンス制御手段(図示せず)を有するものであっても良い。数値制御装置5は、プログラム記憶手段9に1本のみのNCプログラム8を記憶し、かつその記憶されたNCプログラム8は1回のみ実行する。数値制御装置5は、NCプログラム8の実行完了か否かをフラグ等で示す実行状況記憶部(図示せず)を有してして、NCプログラム8の実行が完了すると、その記憶部の記憶を実行完了表示状態とするか、次に実行するNCプログラム8の要求信号をスケジュール管理手段7に送信する。
【0024】
搬送制御装置6は、搬送プログラム10を実行して搬送装置3を制御するコンピュータ式の制御装置であり、搬送プログラム10を記憶するプログラム記憶手段11と、搬送プログラム10を解読して実行する演算制御部(図示せず)とを備える。搬送制御装置6と数値制御装置6とは、互いに信号を送受し同期して制御を行う。
【0025】
スケジュール管理手段7は、複数のNCプログラム8を記憶するNCプログラム記憶手段12と、設定されたスケジュール(図示せず)に従ってNCプログラム記憶手段12のNCプログラム8を数値制御装置5に転送する転送手段13を有する。上記スケジュールは、どのNCプログラム8をどの順に実行させるかを定めたものである。このスケジュールは、同じ加工を複数回行わせる場合は、同じNCプログラム8を加工枚数分だけ繰り返して転送するように定められる。スケジュール管理手段7によるNCプログラム8の転送は、数値制御装置5の上記実行状況記憶部(図示せず)を監視するか、または数値制御装置5から送られる転送要求に従って行われる。
【0026】
上記数値制御装置5、搬送制御装置6、およびスケジュール管理手段7は、いずれもコンピュータとこれに実行されるプログラム(NCプログラム8,搬送プログラム10とは別に設けられるプログラムであり、以降に「アプリケーションプログラム」と称す)とでなるが、数値制御装置5、搬送制御装置6、およびスケジュール管理手段7を構成するコンピュータは、それぞれが独立した別のものであっても、また互いに共通のコンピュータに各アプリケーションプログラムを実行させるものであっても良い。共通のコンピュータを用いる場合、数値制御装置5、搬送制御装置6およびスケジュール管理手段7の任意の2つを共通としても、また3つとも共通としても良い。
【0027】
NCプログラム編集装置1は、スケジュール管理手段7から数値制御装置5にNCプログラム8を転送するときに、その転送するNCプログラム8を編集するものであり、スケジュール管理手段7のNCプログラム記憶手段12と数値制御装置5のプログラム記憶手段9との間の任意の箇所に設ければ良い。NCプログラム編集装置1は、図示の例ではスケジュール管理手段7に設けているが、数値制御装置5に設けても良く、またスケジュール管理手段7および数値制御装置5のいずれとも異なる別のコンピュータに設けても良い。
【0028】
NCプログラム編集装置1は、NCプログラム8を編集する装置であって、初品特定条件設定手段14、確認事項設定手段15、命令挿入箇所設定手段16、初品判定手段17、および初品対処命令挿入手段18を備え、さらにメニュー表示手段19、メニュー選択入力処理手段20、および非初品設定手段29を有している。NCプログラム編集装置1は、コンピュータとこれに実行されるアプリケーションプログラムとにより、上記各手段14〜20,29が構成されたものである。
【0029】
初品特定条件設定手段14は、編集前のNCプログラム8を数値制御装置5で実行して加工機2の現在の工具装備状態で加工を行った場合に、加工された製品が初品に該当するとして特定される条件、すなわち初品特定条件Aを設定した手段である。この初品特定条件Aは、固定的に設定されていても、また一部または全体を任意に選択して設定可能としても良い。この実施形態では、初品特定条件Aは、後述のメニュー選択入力処理手段20により選択し決定したものが設定される。
【0030】
初品特定条件Aを例示すると、次の各条件(1) 〜(6) が挙げられる。
条件(1) :NCプログラム8が、そのNCプログラム8の作成後に加工機2の制御として数値制御装置5により初めて実行される場合。
条件(2) :加工機2がパンチプレス等の板材加工機であって、NCプログラム8に、素材板材W(図3参照)から部品となる製品板材wを切り抜く加工を含む場合に、その部品となる製品板材wを加工する命令群が数値制御装置5により初めて実行される場合。
条件(3) :加工機2に搭載された金型33等の工具が、その加工機2で初めて使用されるものである場合。
条件(4) :素材が初めて使用される種類またはロットのものである場合。なお、ここで言う種類は、素材が板材の場合は、板厚,材質,および外形のいずれが異なるものを異なるものを言う。
条件(5) :加工機2に搭載された工具が、段取り作業による交換後の最初に使用される場合。
条件(6) :素材と工具との組み合わせが始めとなる加工を含む場合。
これらの条件(1) 〜(6) は、いずれか一つに該当すると、初品であると特定される条件であるが、これらの条件(1) 〜(6) は、全てを初品特定条件設定手段14に設定しても良く、また任意の一つまたは複数の条件(1) 〜(6) を初品特定条件設定手段14に設定しても良い。
【0031】
確認事項設定手段15は、周辺機器を含む加工機2の持つ定められた情報記憶部および編集前のNCプログラム8の中で、確認する事項Bを設定した手段である。ここで言う加工機2の周辺機器は、搬送装置3と、加工機2および搬送装置3の制御に用いる数値制御装置5や搬送制御装置6、スケジュール管理手段7、並びに加工機2の運転や管理状で用いられる情報処理機器等を言う。確認事項設定手段15に設定される事項Bには、記憶領域と、その記憶領域に記憶された情報の内容とが含まれる。この確認を希望する事項としては、例えば、NCプログラム編集装置1で今から編集しようとするNCプログラム8を記憶する記憶領域(図示せず)等におけるNCプログラム8の識別番号および内容、搬送制御装置6のプログラム記憶部11に記憶された搬送プログラム11の内容、加工機2に設けられた段取り状況記憶手段2a、非初品設定手段29等が挙げられる。また、上記事項Bには、NCプログラム8および搬送プログラム11の内容等が挙げられる。NCプログラム8の内容としては、プログラム中の、どの工具を使用するかを定めた命令である工具命令や、材質、板厚の情報等がある。また、NCプログラム8中に、部品の切り取りの命令を一つの命令群として識別する情報(図示せず)が記述されているときは、その命令群の識別情報がある。搬送プログラム11の内容としては、例えば、搬送装置3によって保管装置37のどの棚の素材を搬入するかの命令がある。
【0032】
加工機2の段取り状況記憶手段2aとしては、例えば次のものが挙げられる。加工機2には、装備された金型33(図3)が、タレット34に対して段取り作業として交換された場合に、オペレータにオン操作させる交換完了確認用のスイッチ(図示せず)が設けられていて、タレット34の工具交換する工具設置部の識別番号と共に、上記確認用のスイッチのオンによって段取り後の工具であることを示す手段が設けられている。このような工具設置部の識別番号に対応して工具交換を行ったことを示す手段が、上記段取り状況記憶手段2aとして用いられる。この段取り状況記憶手段2aの工具交換を行ったことを示す表示や記憶は、加工機2がその示された工具を使用することで消去される。
【0033】
命令挿入箇所設定手段16は、編集前のNCプログラム8に対して、一時停止命令等の初品対処目的の命令Cを何処に挿入するかの挿入箇所を設定した手段である。この挿入箇所としては、例えば、NCプログラム8における工具命令Tの前や、上記部品切取命令群(図示せず)の後や、素材1枚の加工完了の後、等が挙げられる。命令挿入箇所設定手段16に設定する挿入箇所は、固定的に設定しても良いが、この例では、後述のメニュー選択入力処理手段20で選択して設定されるようにしている。
【0034】
初品判定手段17は、前記確認事項設定手段15に設定された確認事項Bを検索し、検索された事項Bが前記初品特定条件設定手段14に設定された初品特定条件Aを充足するか否かを判定する手段である。なお、上記確認事項Bは、記憶領域とその記憶内容を含むが、上記の初品特定条件Aを充足するか否かを判定に用いる「検索された事項B」は記憶内容だけでよく、また記憶領域と記憶内容との両方を含むようにしても良い。
【0035】
初品対処命令挿入手段18は、初品判定手段17で初品特定条件Aを充足すると判定された場合に、編集前のNCプログラム8における命令挿入箇所設定手段16で定められた箇所に、編集処理として少なくとも一時停止命令Ca(図4(B))を含む初品対処目的の命令Cを挿入する手段である。
【0036】
非初品設定手段29は、初品としない事項を設定する手段であり、NCプログラム8が数値制御装置5で実行されると、数値制御装置5による実行完了の信号に応答して、そのNCプログラム8のプログラム番号、使用された金型等の工具、素材の種類、および工具と素材との組み合わせ等の各種組み合わせ内容の情報が記憶される。非初品設定手段29は、NCプログラム8が実行されたか否かを示す単なるフラグであっても良い。また、非初品設定手段29へ記憶させる処理は、数値制御装置5による実行完了の信号に応答する処理の他に、入力手段22等の入力手段からも可能とされる。
初品判定手段17は、非初品設定手段29に記憶されたプログラム番号のNCプログラム8、工具、素材、組み合わせについては、初品特定条件Aにかかわらず、初品ではないと判定する。ただし、工具と素材の組み合わせ等の組み合わせ条件については、工具のみ、または素材のみが非初品であるとして記憶されていても、その組み合わせの記憶がない場合は、組み合わせの初品判定については無視される。
【0037】
メニュー表示手段19は、初品特定条件設定手段14に設定する初品特定条件Aを個別に示す表示25、および初品確認のために加工中に一時停止させる各箇所を個別に示す表示26を、それぞれ表示装置21の画面に選択メニュー23として複数表示する手段である。表示装置21は、液晶等の画像の表示が可能な装置である。
【0038】
図2は選択メニュー23の表示画面の一例を示す。この例では、初品特定条件Aを個別に示す選択枝となる表示25を、主にNCプログラムに起因する事項と、金型すなわち工具に起因する事項とに分けて、その表題として「NCプログラム」と「金型」との文字による表示24a,24bを行うようにしている。このNCプログラムに起因する条件Aの選択枝となる表示25として、「初めての部品は確認する」との表示、および「初めてのプログラムは確認する」との表示をそれぞれ文字で行い、金型に起因する条件Aの選択枝となる表示25として、「初めての加工は確認する」、「初めての素材は確認する」、「段取り後は確認する」という文字のによる表示を行っている。各選択枝の前には、チェックボックス等の選択表示部27を表示している。この選択表示部27は、選択された場合に「レ」点を示す表示部分であり、任意の複数の選択枝の選択を可能としている。
初品確認のために加工中に一時停止させる各箇所を個別に示す表示26としては、「確認タイミング」との文字による表題の表示の下に、選択枝となる表示26として、「金型加工後」、「部品加工後(多数個取り)」、「シート加工後」との文字による各表示を行うようにしている。各選択枝の前には、円によるラジオボタン形式等の選択表示部28が設けられている。この選択表示部28は、択一的に選択した選択枝を示す表示とされ、例えば前記円内に黒丸印を表示したものである。
【0039】
図1において、メニュー選択入力処理手段20は、入力装置22によって前記画面の前記選択メニュー23から選択が決定された個別の表示25,26を設定規則Rに照らし、初品特定条件設定手段14に初品特定条件Aを設定し、かつ命令挿入箇所設定手段16に命令Cを挿入する箇所を設定する手段である。入力装置22は、例えばオペレータにより操作される装置であり、キーボードや、表示装置画面上の部位を選択するマウス等のポインティングディバイス等からなる。メニュー選択入力処理手段20は、入力装置22により、選択枝となる表示25,26が選択され、その選択が決定される入力、例えば入力装置22がマウスである場合、選択枝となる表示25,26をカーソル(図示せず)等で選択状態とし、さらにその選択状態を決定するクリック操作を行うか、またはダブルクリック等で選択と決定を同時に行う操作をすることで、その先端枝となる表示25,26が決定されたと認識する。
【0040】
メニュー選択入力処理手段20の設定規則Rは、初品特定条件Aを個別に示す各表示25のうちで、どの表示が選択されると、どのような内容の初品特定条件Aを初品特定条件設定手段14に設定するかを定めた規則、および加工中に一時停止させる各箇所を個別に示す各表示26のうちで、どの表示が選択されると、NCプログラム8のどの箇所に命令Cを挿入するかを定めた規則である。初品特定条件Aを個別に示す各表示25に対しては、選択された表示25の組み合わせによって生じる初品特定条件Aについても、設定規則Rに定められている。例えば、金型と素材のいずれもが単独では初品となるものではなくても、金型と素材の組み合わせが初品となる場合についても、設定規則Rとして定められている。また、設定する初品特定条件Aに応じて、または選択された表示25,26に応じて、確認事項設定手段15にどのような事項を確認事項Bとして設定するかの規則についても、上記設定規則Rとして定められている。
【0041】
図2の画面例に対応して設定規則Rの例を説明すると、「初めての部品は確認する」との表示25が選択されると、上記の条件(1) 「NCプログラム8が、そのNCプログラム8の実行後に加工機2の制御として数値制御装置5により初めて実行される場合」という条件を初品特定条件Aとして設定する。また、「初めてのプログラムは確認する」との表示25が選択されると上記の条件(2) を、「初めての加工は確認する」との表示25が選択されると上記の条件(3) を、「初めての素材は確認する」との表示25か選択されると上記の条件(4) を、「段取り後は確認する」との表示25が選択されると上記の条件(5) を、それぞれ初品特定条件Aとして初品特定条件設定手段14に設定する。
【0042】
次に、上記構成による処理例を説明する。NCプログラム編集装置1を起動スイッチ等により起動させると、メニュー表示手段19により、表示装置21の画面に選択メニュー23が表示される。この状態で、入力装置22から入力することで、初品特定条件Aの選択枝となる複数の表示25のうち、任意の一つまたは複数の表示25を選択して決定し、かつ加工中に一時停止させる箇所の表示26を選択して決定する。これによりメニュー選択入力処理手段20は、選択された表示25,26と設定規則Rに照らし、初品特定条件A、確認事項B、および命令挿入箇所を定め、その定めた初品特定条件A、確認事項B、および命令挿入箇所を、初品特定条件設定手段14、確認事項設定手段15、および命令挿入箇所設定手段6に設定する。
【0043】
このように準備が完了した状態で、スケジュール管理手段7によるスケジュール運転を開始する。スケジュール管理手段7により、NCプログラム12に記憶されている一つのNCプログラム8が数値制御装置5への転送のために選択されると、その選択されたNCプログラム8が転送のための一時的な記憶エリア(図示せず)に記憶される。この記憶エリアのNCプログラム8が、NCプログラム編集装置1によって編集される。
【0044】
この編集の処理では、初品判定手段17が、確認事項設定手段15に設定された事項を検索し、検索された事項が、初品特定条件設定手段17に設定された初品特定条件Aを充足するか否かを判定する。初品特定条件Aが充足されると判定されると、編集前NCプログラム8における命令挿入箇所設定手段16で定められた箇所に、編集処理として初品対処目的の命令Cを挿入する。
【0045】
図4(A),(B)は、NCプログラム8の自動編集前後の内容をそれぞれ示す。初品対処目的の命令Cは、少なくとも一時停止命令Caを含む。初品対処目的の命令Cは、一時停止命令Caだけでも良いが、この例では、初品対処目的の命令Cとして、一時停止命令Caと原点復帰命令Cbとをこの順に挿入している。一時停止命令Caは、加工機2を命令解除されるまで停止させる命令であり、手動スイッチ等の入力により命令解除される。原点復帰命令Cbは、素材板材Wを板材送り機構32により原点に戻す命令であり、図3では、素材板材Wを図示した位置で原点である。原点復帰は、加工された部位を作業者により見易くする目的で行う。実加工完了の命令Oは、ここではNCプログラム8の加工のための全ての命令よりもあとに記述されたいずれかの命令であり、例えば、NCプログラム8の終了処理の命令の前等の命令である。
【0046】
NCプログラム8は、命令の並び順に実行されるプログラムであり、命令Cの挿入箇所は、工具命令Tを含む命令行の一つ前の行、および実加工完了の命令の前の行としている。工具命令Tは、頭文字「T」とこれに続く工具番号(または工具設置部の識別番号)とでなる。図示の例では、板材送り命令F(「X−,Y−)と工具命令Tが一つの行で記述されており、この行の前に初品対処目的の命令Cが挿入されている。工具命令Tの行の前に挿入される命令Cは、金型を初めて使用する場合や、金型が段取り後に初めて使用する場合となる初品特定条件Aを充足する場合である。
【0047】
このNCプログラム編集装置1によると、上記のように、作成されたNCプログラム8の実行前に、設定された確認事項Bを検索し、検索された事項Bが初品特定条件Aを充足するか否かを判定する。初品特定条件Aを充足すると判定された場合は、編集前NCプログラム8における定められた箇所に、編集処理として少なくとも一時停止命令Caを含む初品対処目的の命令Cを挿入する。このように、初品以外に使用する通常のNCプログラム8に対して、初品か否かの状況に応じて初品検査用の一時停止等の命令Cを自動挿入することができる。そのため、初品加工時に確実な一時停止等が行える。
NCプログラム8の2回目以降の実行時には、非初品設定手段29に実行の事実等が記憶され、初品判定手段17はそのNCプログラム8自体について初品とは判定しない。そのため、同じNCプログラム8を転送手段13から繰り返して数値制御装置5に転送する場合は、他に変更がなければ、NCプログラム編集装置1による編集、つまり命令Cの自動挿入はなされない。同じNCプログラム8を繰り返し転送して実行する場合であっても、工具交換の段取りを行った場合は、段取り状況記憶手段2aの記憶内容に応じてその工具について初品と判定され、編集が行われる。段取り状況記憶手段2aは、その段取りされた工具として記憶している工具について、加工機2で1度使用されるとその記憶が消去されるため、次の使用からは初品判定手段17はその工具に関して初品として判定しない。 このNCプログラム編集装置1は、このように、初品以外に使用する通常のNCプログラム8に対して、初品か否かの状況に応じて初品検査用の一時停止等の命令を自動挿入することができて、初品加工時に確実な一時停止等が行え、また初品以外の加工時に無駄な停止を発生させることがない。
【0048】
また、メニュー表示手段19を設け、初品特定条件を個別に示す表示25、および初品確認のために一時停止させる各箇所を示す表示26を画面上に選択メニュー23として表示し、選択させるようにしたため、初品特定条件Aの選択や、加工の一時停止を行わせる箇所の選択を、オペレータにより容易に行うことができる。何を初品として区別したいかは、使用者によっても、また各種の状況によっても変わる。また、加工中のどの段階で初品確認のための一時停止等を行えば効率的な確認が行えるかについても、種々の状況により変わる。このような状況の違いや使用者の希望に対して、上記のようにメニュー表示して選択させることで、容易に対応することができる。
【0049】
また、この加工機制御装置によると、次の利点が得られる。加工機2が図3等に示すパンチプレスであると、多品種少量生産や多彩な加工のために、工具として種々の金型33を準備し、タレット34a等の工具保持手段に入れ換えて用いる。そのため、金型交換の間違いがないかの確認のために、金型交換後の初品を検査する機会が多く、この実施形態のNCプログラム編集装置1を備えたことによる上記効果が、より効果的に発揮される。 搬送装置3を備えて自動運転するパンチプレスの場合は、NCプログラム8の作成ミスや金型交換のミスがあった場合に、初品検査無しでは多数の不良品を発生する恐れがある。そのため、この実施形態のNCプログラム編集装置1の採用によって初品検査が確実に行えるという利点が、より効果的に発揮される。また、搬送プログラム10から、例えば、素材保管装置37のどの棚の素材Wを搬入するかのなどの情報が得られるため、初品の発生に関係する素材を搬入するか否かの情報が得られる。そのため、初品判定手段17で検索する情報記憶部の一つとして、前記搬送制御装置6に記憶された搬送プログラム10を含めることで、素材に対して初品となる場合の確実な一時停止等が行え、初品以外の加工時に無駄な停止を発生させることのない制御が行える。
【0050】
さらに、この加工機制御装置によると、数値制御装置5が、NCプログラム8の1本の加工毎に、毎回NCプログラム8の転送を受けて制御する形式のものであって、その転送するNCプログラム8をこのNCプログラム編集装置1で編集するため、数値制御装置5に記憶したNCプログラム8を繰り返して実行させる形式のものと異なり、初品か否かに応じて、編集の前後のいずれのNCプログラム8を使用するかの選択の必要がなくなる。そのため、制御系が簡素であり、NCプログラム8の選択誤りの問題が発生しない。
【符号の説明】
【0051】
1…NCプログラム編集装置
2…加工機
2a…段取り状況記憶手段
3…搬送装置
4…加工設備
5…数値制御装置
6…搬送制御装置
7…スケジュール管理手段
8…NCプログラム
10…搬送プログラム
12…NCプログラム記憶手段
14…初品特定条件設定手段
15…確認事項設定手段
16…命令挿入箇所設定手段
17…初品判定手段
18…初品対処命令挿入手段
19…メニュー表示手段
20…メニュー選択入力処理手段
23…段取り状況記憶手段
24a,24b…表示
25,26…表示
27,28…選択表示部
29…非初品設定手段
33…金型(工具)
37…保管装置
A…初品特定条件
B…確認事項
C…初品対処目的の命令
Ca…一時停止命令
Cb…原点復帰命令
R…設定規則
T…工具命令
W…素材板材
w…製品板材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工機を制御する数値制御装置により実行されるNCプログラムを編集するNCプログラム編集装置であって、
編集前の前記NCプログラムを前記数値制御装置で実行して前記加工機の現在の工具装備状態で加工を行った場合に、加工された製品が初品として特定される条件である初品特定条件を定めた初品特定条件設定手段と、
周辺機器を含む前記加工機の持つ定められた情報記憶部および前記編集前NCプログラムの中で、前記初品特定条件の充足判定のために確認する事項を設定した確認事項設定手段と、
前記編集前NCプログラムに対して命令を挿入する箇所を設定した命令挿入箇所設定手段と、
前記確認事項設定手段に設定された事項を検索し、検索された事項が前記初品特定条件設定手段に設定された初品特定条件を充足するか否かを判定する初品判定手段と、
この初品判定手段で初品特定条件を充足すると判定された場合に、前記編集前NCプログラムにおける前記命令挿入箇所設定手段で定められた箇所に、編集処理として少なくとも一時停止命令を含む初品対処目的の命令を挿入する初品対処命令挿入手段とを備えた、NCプログラム編集装置。
【請求項2】
前記初品特定条件設定手段に設定する初品特定条件を個別に示す表示、および初品確認のために加工中に一時停止させる各箇所を個別に示す表示を、それぞれ表示装置の画面に選択メニューとして複数表示するメニュー表示手段と、入力装置によって前記画面の前記選択メニューから選択が決定された個別の表示を設定規則に照らして、前記初品特定条件設定手段に初品特定条件を設定し、かつ前記命令挿入箇所設定手段に前記命令を挿入する箇所を設定するメニュー選択入力処理手段とを設けた請求項1記載のNCプログラム編集装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載のNCプログラム編集装置と、前記加工機を制御する前記数値制御装置とを備えた加工機制御装置であって、前記加工機が板材加工機である加工機制御装置。
【請求項4】
前記板材加工機に対して素材となる板材の搬入および製品となる板材の搬出を行う搬送装置と、この搬送装置を搬送プログラムによって制御する搬送制御装置とを備え、自動運転を行う加工機制御装置であって、前記定められた情報記憶部の一つとして、前記搬送制御装置に記憶された前記搬送プログラムを含む請求項3記載の加工機制御装置。
【請求項5】
請求項1または請求項2記載のNCプログラム編集装置と、前記加工機を制御する前記数値制御装置とを備えた加工機制御装置であって、前記数値制御装置に転送するNCプログラムを記憶したNCプログラム記憶手段と、このNCプログラム記憶手段に記憶されたNCプログラムを前記数値制御装置に転送する転送手段とを有し、前記数値制御装置は、転送されたNCプログラムを1回のみ実行し、この実行後に、次に実行するNCプログラムが前記転送手段から転送されるものであり、前記NCプログラム編集装置は、前記NCプログラム記憶手段から前記数値制御装置に転送するNCプログラムを編集するものとした加工機制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−70270(P2011−70270A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−218796(P2009−218796)
【出願日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】