説明

O−アルキル化ラパマイシン誘導体

【課題】O-アルキル化ラパマイシン誘導体及び本化合物を用いた医療用具を提供する。
【解決手段】有機溶媒中でラパマイシンとアルキルトリフレートとを反応させたO-アルキル化ラパマイシン誘導体、具体的には、40−O−[(2’−エトキシ)エチル]ラパマイシンのコーティングを含む、血管の病変部に留置するようにされている、当該病変部における再狭窄を予防するためのステント。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラパマイシンとアルキルトリフレートとを反応させたO-アルキル化ラパマイシン誘導体に関する。
【背景技術】
【0002】
ラパマイシンは、ストレプトマイセス・ヒグロスコピカス(Streptomyces hygroscopicus)から産生されるマクロライド系抗生物質である。ラパマイシンは免疫抑制抑制作用を有し、さらに抗ガンおよび抗真菌性を有していることも示されている。このような有益な薬理活性を示すことよりラパマイシン誘導体の報告が数多くある(非特許文献1:Drugs of Future 1999,24(1):22-29)。
一方、ラパマイシン誘導体の合成法としては、Cottensらにより、O-アルキル化ラパマイシン誘導体の合成法が報告されており(特許文献1:WO94/09010)、この文献にはトルエン溶媒中ルチジン存在下ラパマイシンとアルキルトリフレートを反応させO-アルキル化ラパマイシン誘導体を製造する方法が開示されている。この文献では、開示されている方法についての収率が記載されていないが、本発明者ら追試を実施した(本願比較例1参照)ところ、収率23%に留まり、O-アルキル化の反応は必ずしもスムーズに進行していないことが明らかになった。また、該反応の原料であるラパマイシンは非常に高価であり、より効率のよい合成法の開発が望まれている。
【0003】
【非特許文献1】Drugs of Future 1999,24(1):22-29
【特許文献1】WO94/09010号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
すなわち、本発明者らは、上記ラパマイシン誘導体の合成にあたって、反応性をいかに高めるかが課題であると認識し、本発明は、O-アルキル化工程の反応収率を改善することにより、O-アルキル化ラパマイシン誘導体を効率よく製造する方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、かかる課題を解決すべく種々検討を重ねた結果、有機溶媒中で、ラパマイシンとアルキルトリフレートを反応させO-アルキル化ラパマイシン誘導体を製造する方法において、トリアルキルアミンを使用することにより反応収率が飛躍的に向上し、効率的にO-アルキル化ラパマイシンが製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、下記(1)〜(13)で示されるO-アルキル化ラパマイシン誘導体を効率よく製造する方法を提供する。
(1)有機溶媒中でラパマイシンとアルキルトリフレートとを反応させ下記一般式1で示されるO-アルキル化ラパマイシン誘導体を合成するにあたり、該反応をトリアルキルアミンが存在する条件下で行うものであるO-アルキル化ラパマイシン誘導体の製造法。
【0006】
【化1】


(式1中、Rが、アルキル、アリールアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アシロキシアルキル、アミノアルキル、アルキルアミノアルキル、アルコキシカルボニルアミノアルキル、アシルアミノアルキル、またはアリールである。)
(2)上記トリアルキルアミンをラパマイシンに対して30モル比以上用いる(1)に記載のO-アルキル化ラパマイシン誘導体の製造法。
(3)上記トリアルキルアミンがN,N-ジイソプロピルエチルアミンである(1)または(2)に記載のO-アルキル化ラパマイシン誘導体の製造法。
(4)上記有機溶媒が、塩素を含む有機溶媒である(1)〜(3)のいずれかに記載のO-アルキル化ラパマイシン誘導体の製造法。
(5)上記塩素を含む有機溶媒が、塩化メチレンまたはクロロホルムである(4)に記載のO-アルキル化ラパマイシン誘導体の製造法。
(6)上記有機溶媒をラパマイシンに対して2から6重量比用いる(1)〜(5)のいずれかに記載のO-アルキル化ラパマイシン誘導体の製造法。
(7)上記アルキルトリフレートをO-アルキル化ラパマイシン誘導体に対して5から20モル比用いる(1)〜(6)のいずれかに記載のO-アルキル化ラパマイシン誘導体の製造法。
(8)上記アルキルトリフレートが2-エトキシエチルトリフレートである(1)〜(7)のいずれかに記載のO-アルキル化ラパマイシン誘導体の製造法。
(9)(1)〜(8)のいずれかの方法でO-アルキル化ラパマイシン誘導体を合成した後、引き続き、得られた該誘導体を少なくとも1種類以上の水と混和可能な溶媒と水とを含む混合溶媒へ投入、あるいは少なくとも1種類以上の水と混和可能な溶媒にあらかじめ溶解させ次いで水あるいは水を含む混合溶媒へ投入し、析出させることによってO-アルキル化ラパマイシン誘導体を精製する工程を含む(1)〜(8)のいずれかに記載のO-アルキル化ラパマイシン誘導体の製造法。
(10)上記水と混和可能な溶媒をO-アルキル化ラパマイシン誘導体に対して2から10重量比用いる(9)に記載のO-アルキル化ラパマイシン誘導体の製造法。
(11)上記水をO-アルキル化ラパマイシン誘導体に対して10重量比以上用いる(9)または(10)に記載のO-アルキル化ラパマイシン誘導体の製造法。
(12)上記水と混和可能な溶媒がアルコール類である(9)〜(11)のいずれかに記載のO-アルキル化ラパマイシン誘導体の製造法。
(13)上記アルコール類がメタノールである(12)に記載のO-アルキル化ラパマイシン誘導体の製造法。
(14)上記析出は、O-アルキル化ラパマイシン誘導体を少なくとも1種類以上の水と混和する溶媒を含む溶媒にあらかじめ溶解させた後、水もしくは少なくとも1種類以上の水と混和する溶媒と水を含む混合溶媒に投入することにより行われるものである(9)〜(13)のいずれかに記載の製造法。
【発明の効果】
【0007】
本発明で提供される製造法によりO-アルキル化工程の反応収率を改善し、O-アルキル化ラパマイシン誘導体を効率よく製造することが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下に本発明をより具体的に説明する。
本発明では、有機溶媒中でラパマイシンとアルキルトリフレートとを反応させO-アルキル化ラパマイシン誘導体を製造する方法において、トリアルキルアミンが存在する条件下で反応させる下記一般式1で示されるO-アルキル化ラパマイシン誘導体の製造法を提供する。
【0009】
【化2】

【0010】
(式1中、Rが、アルキル、アリールアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アシロキシアルキル、アミノアルキル、アルキルアミノアルキル、アルコキシカルボニルアミノアルキル、アシルアミノアルキル、またはアリールである。)
【0011】
上記一般式1のO-アルキル化ラパマイシン誘導体として、R=アルコキシアルキルの具体例として、下記一般式2で示されるO-(2-エトキシエチル)-ラパマイシンなどを例示することができる。
O-(2-エトキシエチル)-ラパマイシンは、塩化メチレン中N,N-ジイソプロピルエチルアミン存在下、ラパマイシンと2-エトキシエチルトリフレートを反応させO-(2-エトキシエチル)-ラパマイシンを製造することができる。
【0012】
【化3】

【0013】
また、R=ヒドロキシアルキルの具体例としては、下記一般式3で示されるO-(2-ヒドロキシ)エチル-ラパマイシンなどを例示することができる。
O-(2-ヒドロキシエチル)-ラパマイシンは、塩化メチレン中N,N-ジイソプロピルエチルアミン存在下、ラパマイシンとt-ブチルジメチルシリロキシエチルトリフレートを反応させ、t-ブチルジメチルシリル基を脱保護することによりO-(2-ヒドロキシエチル)-ラパマイシンを製造することができる。
【0014】
【化4】

【0015】
本発明の製造法におけるO-アルキル化ラパマイシン誘導体の合成で使用されるトリアルキルアミンとしては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ-n-プロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリ-n-ブチルアミン、トリ(2-メチル-n-プロピル)アミン、トリ(3-メチル-n-プロピル)アミン、N,N-ジメチルエチルアミン、N,N-ジエチルメチルアミン、N,N-ジ-n-プロピルメチルアミン、N,N-ジイソプロピルメチルアミン、N,N-ジ-n-ブチルメチルアミン、N,N-ジ(2-メチル-n-プロピル)メチルアミン、N,N-ジ(3-メチル-n-プロピル)メチルアミン、N,N-ジ-n-プロピルエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、N,N-ジ-n-ブチルエチルアミン、N,N-ジ(2-メチル-n-プロピル)エチルアミン、N,N-ジ(3-メチル-n-プロピル)エチルアミンなどが挙げられ、より好ましくはトリエチルアミン、N,N-ジ-n-プロピルエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、N,N-ジ-n-ブチルエチルアミン、N,N-ジ(2-メチル-n-プロピル)エチルアミン、N,N-ジ(3-メチル-n-プロピル)エチルアミンであり、さらに好ましくはN,N-ジイソプロピルエチルアミンである。
また、本発明の製造法におけるO-アルキル化ラパマイシン誘導体の合成で使用されるトリアルキルアミンは、ラパマイシンに対して5モル比以上用いるのが好ましく、より好ましくは10モル比以上であり、さらに好ましくは30モル比以上である。
また、本発明の製造法におけるO-アルキル化ラパマイシン誘導体の合成で使用される有機溶媒は、原料および反応生成物に対する溶解力を有していれば特に限定されないが、好ましくは塩化メチレン、クロロホルムである。
また、本発明の製造法におけるO-アルキル化ラパマイシン誘導体の合成で使用される有機溶媒は、原料および反応生成物に対する溶解力を有していれば特に限定されないが、好ましくはハロゲンを含む有機溶媒、より好ましくは塩素を含む有機溶媒、さらに好ましくは塩化メチレン、クロロホルムである。
また、本発明の製造法におけるO-アルキル化ラパマイシン誘導体の合成で使用される有機溶媒の量は、ラパマイシンに対して1重量以上用いるのが好ましく、より好ましくは2から6重量比である。
また、本発明の製造法におけるO-アルキル化ラパマイシン誘導体の合成で使用されるアルキルトリフレートの量は、ラパマイシンに対して1モル比以上用いるのが好ましく、より好ましくは5から20モル比である。
【0016】
また、本発明の製造法において、合成されたO-アルキル化ラパマイシン誘導体の精製は、O-アルキル化ラパマイシン誘導体をアルコール等の水混和性溶媒に溶解させ、この溶液を水中に投入して析出させて行うことができる。また、O-アルキル化ラパマイシン誘導体を少なくとも1種類以上の水と混和する溶媒と水を含む混合溶媒にあらかじめ溶解させた後、放置して析出させることによっても精製することができる。
このようにして精製されたO-アルキル化ラパマイシン誘導体は粉末状である。O-アルキル化ラパマイシン誘導体を粉末状にすることによって、後述のステントへのコーティング時における取扱性が向上し、なおかつ品質安定性や保存安定性も向上する。
また、本発明の製造法における合成されたO-アルキル化ラパマイシン誘導体の精製に使用される溶媒は、水に混和すれば特に限定されないが、好ましくはアルコールであり、さらに好ましくはメタノールである。
また、本発明の製造法における合成されたO-アルキル化ラパマイシン誘導体の精製に使用される溶媒は、O-アルキル化ラパマイシンに対して3重量以上用いるのが好ましく、より好ましくは10重量以上である。
【0017】
本発明の製造法において合成されたO-アルキル化ラパマイシン誘導体は、例えばステント等の医療器具にコーティングされる。前記O-アルキル化ラパマイシン誘導体でコーティングされたステントを血管等の病変部に留置することにより、前記O-アルキル化ラパマイシンが病変部に取り込まれて再狭窄が予防される。
【実施例】
【0018】
次に実施例によって本発明を説明する。以下の実施例に示すように、本発明の製造法はO-アルキル化ラパマイシン誘導体を、効率よく製造できる。
(実施例1)
(1)2-エトキシエチルトリフレートの合成
エトキシエタノール9.0g(100mmol)を攪拌子入りの丸底フラスコの取り、窒素バブラーに接続して内部を窒素置換した。塩化メチレン160mLを加えて、さらに2,6-ルチジン23.3ml(120mmol)を加え、氷冷下、トリフルオロメタンスルフォン酸無水物20.2mL(120mmol)を20分間かけて滴下し、1時間攪拌した。反応溶液に飽和塩化アンモニウム溶液(20mL)を加え、混合物を1N塩酸(100mL)、脱イオン水(100mL)、飽和炭酸水素ナトリウム溶液(100mL)、飽和食塩水(100mL)で順次洗浄した。有機相を分離し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、硫酸ナトリウムを濾過して除いた後、減圧下に濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーに付し、20%酢酸エチル−ヘキサン溶出画分より、2-エトキシエチルトリフレート15.03g(収率67.6%)を得た。
【0019】
(2)40-O-[(2'-エトキシ)エチル]ラパマイシンの合成
ラパマイシン1.0 g (1.09 mmol)を攪拌子入りの丸底フラスコに取り、上部にコンデンサーを接続した後、窒素バブラーに接続して内部を窒素置換した。塩化メチレン3.5 mLを加えて溶解させ、さらにN,N-ジイソプロピルエチルアミン10 mL (57.5 mmol)を加え、激しく攪拌しながら上記(1)で合成した2-エトキシエチルトリフレート1.95 g (8.78 mmol)を加え、さらに60℃の油浴中で1時間20分攪拌を続けた。混合物を100 mLの酢酸エチルで希釈し、100 mLの1N 塩酸、100 mLの脱イオン水、80 mLの飽和食塩水で順次洗浄した。酢酸エチル相を分離し、無水硫酸ナトリウム5gを加えて20分間攪拌した。硫酸ナトリウムを濾過して除いた後、ロータリーエバポレーターで濃縮し、直径 4cm、高さ26 cmのシリカゲルベッドを有する、カラムクロマトグラフにて精製を行った。300 mLの酢酸エチル/n-ヘキサン(1:1, v/v)、1000 mLの酢酸エチル/n-ヘキサン (3:2, v/v)、300 mLの酢酸エチル/n-ヘキサン (7:3, v/v)を順次溶離液として流し、目的のフラクションを集めて濃縮し、さらにデシケーター内で真空乾燥した。494 mg (0.501 mmol)の目的物を収率46%で得た。
【0020】
(実施例2)
ラパマイシン1.0 g (1.09 mmol)を攪拌子入りの丸底フラスコに取り、上部にコンデンサーを接続した後、窒素バブラーに接続して内部を窒素置換した。クロロホルム3.5 mLを加えて溶解させ、さらにN,N-ジイソプロピルエチルアミン10 mL (57.5 mmol)を加え、激しく攪拌しながら上記実施例1の(1)で合成した2-エトキシエチルトリフレート1.95 g (8.78 mmol)を加え、さらに60℃の油浴中で1時間20分攪拌を続けた。混合物を100 mLの酢酸エチルで希釈し、100 mLの1N 塩酸、100 mLの脱イオン水、80 mLの飽和食塩水で順次洗浄した。酢酸エチル相を分離し、無水硫酸ナトリウム5gを加えて20分間攪拌した。硫酸ナトリウムを濾過して除いた後、ロータリーエバポレーターで濃縮し、直径 4cm、高さ26 cmのシリカゲルベッドを有する、カラムクロマトグラフにて精製を行った。300 mLの酢酸エチル/n-ヘキサン(1:1, v/v)、1000 mLの酢酸エチル/n-ヘキサン (3:2, v/v)、300 mLの酢酸エチル/n-ヘキサン (7:3, v/v)を順次溶離液として流し、目的のフラクションを集めて濃縮し、さらにデシケーター内で真空乾燥した。451 mg (0.458 mmol)の目的物を収率42%で得た。
【0021】
(実施例3)
ラパマイシン1.0 g (1.09 mmol)を攪拌子入りの丸底フラスコに取り、上部にコンデンサーを接続した後、窒素バブラーに接続して内部を窒素置換した。塩化メチレン3.5 mLを加えて溶解させ、さらにトリエチルアミン8 mL (57.4 mmol)を加え、激しく攪拌しながら上記実施例1の(1)で合成した2-エトキシエチルトリフレート1.95 g (8.78 mmol)を加え、さらに60℃の油浴中で1時間20分攪拌を続けた。混合物を100 mLの酢酸エチルで希釈し、100 mLの1N 塩酸、100 mLの脱イオン水、80 mLの飽和食塩水で順次洗浄した。酢酸エチル相を分離し、無水硫酸ナトリウム5gを加えて20分間攪拌した。硫酸ナトリウムを濾過して除いた後、ロータリーエバポレーターで濃縮し、直径 4cm、高さ26 cmのシリカゲルベッドを有する、カラムクロマトグラフにて精製を行った。300 mLの酢酸エチル/n-ヘキサン(1:1, v/v)、1000 mLの酢酸エチル/n-ヘキサン (3:2, v/v)、300 mLの酢酸エチル/n-ヘキサン (7:3, v/v)を順次溶離液として流し、目的のフラクションを集めて濃縮し、さらにデシケーター内で真空乾燥した。344mg (0.349 mmol)の目的物を収率32%で得た。
【0022】
(実施例4)
上記実施例1で得た40-O-[(2'-エトキシエチル]ラパマイシン500 mgを2 mLのメタノールに溶解し、攪拌した脱イオン水20 mL中に滴下した。析出した固体を濾過し、少量の水で洗浄した後、減圧下40℃で10時間以上乾燥した。483 mgの白色粉末を得た。
本化合物のNMRのチャートを図1に示す。このチャートは、40-O-[(2'-エトキシ)エチル]ラパマイシン(一般式4)の構造を支持している。
【0023】
【化5】

【0024】
(比較例)
WO94/09010号公報に記載の合成法に従って、40-O-[(2'-エトキシ)エチル]ラパマイシンの合成を行い、収率を求めた。
ラパマイシン1.0 g (1.09 mmol)を攪拌子入りの丸底フラスコに取り、上部にコンデンサーを接続した後、窒素バブラーに接続して内部を窒素置換した。トルエン3.5 mLを加えて溶解させ、さらに2,6-ルチジン467 mg (4.36 mmol)を加え、激しく攪拌しながら上記実施例1の(1)で合成した2−エトキシエチルトリフレート1.95 g (8.78 mmol)を加え、さらに60℃の油浴中で1時間20分攪拌を続けた。混合物を100 mLの酢酸エチルで希釈し、100 mLの1N 塩酸、100 mLの脱イオン水、80 mLの飽和食塩水で順次洗浄した。酢酸エチル相を分離し、無水硫酸ナトリウム5gを加えて20分間攪拌した。硫酸ナトリウムを濾過して除いた後、ロータリーエバポレーターで濃縮し、直径 4cm、高さ26 cmのシリカゲルベッドを有する、カラムクロマトグラフにて精製を行った。300 mLの酢酸エチル/n-ヘキサン(1:1, v/v)、1000 mLの酢酸エチル/n-ヘキサン (3:2, v/v)、300 mLの酢酸エチル/n-ヘキサン (7:3, v/v)を順次溶離液として流し、目的のフラクションを集めて濃縮し、さらにデシケーター内で真空乾燥した。247 mg (0.251 mmol)の目的物を収率23%で得た。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1は、本発明の製造法において、合成された化合物がO-(2-エトキシエチル)-ラパマイシンであることを示すNMRのチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式2で示されることを特徴とする、40-O-[(2'-エトキシ)エチル]ラパマイシン
【化1】


のコーティングを含む、血管の病変部に留置するようにされている、当該病変部における再狭窄を予防するためのステント。


【図1】
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【公開番号】特開2009−136686(P2009−136686A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−329108(P2008−329108)
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【分割の表示】特願2008−130382(P2008−130382)の分割
【原出願日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【出願人】(504395257)バイオセンサーズ インターナショナル グループ、リミテッド (16)
【Fターム(参考)】