説明

OSD機能を有する電子機器

【課題】電子機器に対するユーザの習熟度、すなわちユーザの操作状況をある程度考慮して、該当頁の表示の有無を決定する。
【解決手段】マイコン21は、TV信号処理部24のOSD回路24aを制御して、表示部26に当該装置の機能や操作方法等のメニュー画面を表示する。この場合、マイコン21は、表示部26に表示しているメニュー画面上の任意の項目が一定時間(例えば5〜10秒等)以上選択されなかった場合には、一定時間経過時にメニュー画面上のカーソルが位置している項目について取扱説明書の該当箇所を表示する。または、メニュー画面上の全項目について取扱説明書の該当箇所をそれぞれ表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、OSD(オンスクリーンディスプレイ)機能を有する電子機器に係り、より詳細には、メニュー画面の各項目に取扱説明書の該当頁を最適なタイミングで表示する電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、テレビジョン受信装置を初め、ビデオテープレコーダ、DVDレコーダ、ハードディスク(HD)レコーダ等の電子機器には、文字や映像情報等を画面上に表示するOSD(オンスクリーンディスプレイ)機能が搭載されている。ユーザは、電子機器の各種機能の設定等を行う場合、このOSD機能を利用して電子機器の表示部にメニュー画面を表示し、そのメニュー画面に表示された各項目を選択しながら、各種設定を行うことになる。この場合、設定する各項目は多岐にわたるため、これらの設定を何の知識もなく行うことは至難の技である。そのため、これらの電子機器には取扱説明書が用意されており、機器の設定に際しユーザは、この取扱説明書を読みながら各種の設定を行うことになる。
【0003】
この場合、従来は、メニュー画面に表示された項目から調べたい項目を選ぶと、取扱説明書を開いて、その項目の説明が記載されている頁を目次欄から探し出すことになるが、多機能化が進む現在の電子機器では取扱説明書に記載されている項目数や頁数も増加しているため、知りたい項目の頁を即座に探し出すことが難しい状況となっている。
【0004】
そこで、このような状況に鑑み、メニュー画面の制御内容に対応した取扱説明書の該当頁を、そのメニュー画面に表示するようにした装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
この特許文献1に記載の装置は、入力部によって機器設定の操作が行われると、画面上に機器設定するためのメニュー画面を表示するのであるが、このとき、メニュー画面に表示された全項目に対応した取扱説明書の該当頁を同時に表示するようになっている。従ってユーザは、全ての項目にそれぞれの該当頁が表示されているので、ある項目について取扱説明書を読みたい場合には、その項目の横に表示されている取扱説明書の該当頁を開くことで、その項目の設定操作等を容易に認識することができるようになっている。
【特許文献1】特開平10−51708号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記したように、特許文献1のものでは、メニュー画面に表示された全項目についてそれぞれ該当頁が表示されるようになっている。しかし、ユーザによってはその電子機器の操作に精通している者もおり、このように機器に精通している者にとっては、メニュー画面の全項目の横にいちいち該当頁が表示されるのは、煩わしい場合もある。また、該当頁を常に表示することで、そのメニュー画面全体が見ずらくなったり、また、該当頁を表示することで他の情報が表示できなくなってしまうといった問題もあった。
【0007】
一方、メニュー画面の全項目の横に該当頁を常に表示することは、不慣れなユーザにとっては便利なものである。
【0008】
本発明はかかる実情に鑑みて創案されたもので、その目的は、電子機器に対するユーザの習熟度、すなわちユーザの操作状況をある程度考慮して、該当頁の表示の有無を決定するようにしたOSD機能を有する電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明のOSD機能を有する電子機器は、OSD機能を制御して表示手段に当該装置の機能や操作方法等のメニュー画面を表示する表示制御手段を備えた電子機器において、前記表示制御手段は、前記表示手段に表示しているメニュー画面上の任意の項目が一定時間以上選択されなかった場合には、一定時間経過時にメニュー画面上のカーソルが位置している項目について取扱説明書の該当箇所を表示することを特徴とする。
【0010】
このような特徴を有する本発明によれば、ユーザが機器に精通している場合には、一定時間(例えば5〜10秒等)が経過する前に決定キーを押す等して次の画面に進むので、該当箇所(例えば、該当頁)が表示されることはない。一方、機器に不慣れな者にとっては、メニュー画面を見て迷っていると、一定時間経過時に取扱説明書の該当頁が表示されるので、ユーザは、取扱説明書の該当頁を開くことで、その項目の内容を知ることが可能となる。すなわち、本発明によれば、電子機器に対するユーザの習熟度、すなわちユーザの操作状況を考慮して、該当頁の表示をすることが可能となる。つまり、ユーザが項目の選択に本当に迷ったときだけ、取扱説明書の該当頁を表示できるようになっている。
【0011】
この場合前記表示制御手段は、前記一定時間の間、カーソルが1つの項目位置にある場合にのみ、そのカーソルが位置している項目について取扱説明書の該当箇所を表示する構成としてもよい。一定時間の間、カーソルが1つの項目位置にあるということは、ユーザがその項目でよいかどうかを迷っていると考えられるので、この場合には、その迷っている項目のみ取扱説明書の該当頁を表示する。これにより、ユーザの操作状況に合わせた該当頁の表示が可能となる。
【0012】
また、前記表示制御手段は、前記一定時間の間にカーソルが移動していた場合には、メニュー画面上の全項目について取扱説明書の該当箇所をそれぞれ表示する構成としてもよい。一定時間の間にカーソルが移動しているということは、ユーザがメニュー画面上のどの項目を選択したらよいかを迷っていると考えられるので、この場合には、メニュー画面上の全項目について取扱説明書の該当箇所をそれぞれ表示する。これにより、ユーザの操作状況に合わせた該当頁の表示が可能となる。
【0013】
また、本発明のOSD機能を有する電子機器は、OSD機能を制御して表示手段に当該装置の機能や操作方法等のメニュー画面を表示する表示制御手段を備えた電子機器において、前記表示制御手段は、前記表示手段に表示しているメニュー画面上の任意の項目が一定時間以上選択されなかった場合には、一定時間経過時にメニュー画面上の全項目について取扱説明書の該当箇所をそれぞれ表示することを特徴とする。
【0014】
このような特徴を有する本発明によれば、ユーザが機器に精通している場合には、一定時間(例えば5〜10秒等)が経過する前に決定キーを押す等して次の画面に進むので、該当箇所(例えば、該当頁)が表示されることはない。一方、機器に不慣れな者にとっては、メニュー画面を見て迷っていると、一定時間経過時に取扱説明書の該当頁が表示されるので、ユーザは、取扱説明書の該当頁を開くことで、その項目の内容を知ることが可能となる。すなわち、本発明によれば、電子機器に対するユーザの習熟度、すなわちユーザの操作状況を考慮して、該当頁の表示をすることが可能となる。つまり、ユーザが項目の選択に本当に迷ったときだけ、取扱説明書の該当頁を表示できるようになっている。
【0015】
この場合、前記表示制御手段は、全項目について取扱説明書の該当箇所をそれぞれ表示する場合において、カーソルが位置している項目については他の項目と表示色を異ならせて表示する構成としてもよい。カーソルが1つの項目位置にあるということは、ユーザがその項目でよいかどうかを迷っていると考えられるので、この場合には、その迷っている項目のみ取扱説明書の該当頁の表示色を異ならせる。例えば、他の項目は黒色表示とし、カーソルが位置している項目は赤色表示とする。これにより、ユーザの操作状況に合わせて該当頁を強調表示することが可能となる。
【0016】
また、本発明によれば、前記表示制御手段は、表示している該当箇所(該当頁)を参照するか否かの問い合わせ画面を表示し、参照することが選択された場合には、当該メニュー画面の表示状態を通常設定されている所定時間より長い時間確保するように制御する構成としてもよい。メニュー画面等は、通常、何ら操作されることなく所定時間(例えば1分等)が経過すると、その表示を停止(画面上から消去)するようになっている。しかし、取扱説明書の該当頁を参照することを選択した場合には、当然にその頁を読む時間が必要であり、その間、ユーザはメニュー画面を操作することはない。このような場合に、所定時間が経過したからといってその表示を画面上から消去したのでは、ユーザが説明書を読み終わって次の操作に進もうとしたとき、再度メニュー画面の表示から行わなければならなくなる。そこで、本発明では、このような手間を省くため、取扱説明書の該当頁を参照することを選択した場合には、メニュー画面の表示継続時間を通常の所定時間(例えば、1分等)より長い例えば3分等とし、この3分間は何ら操作されなくてもメニュー画面を表示するように構成している。これにより、ユーザの操作状況に応じた画面表示が可能となる。
【0017】
また、本発明によれば、前記表示制御手段は、該当箇所が表示されている項目が選択された場合には、選択された次の画面上にも前記該当箇所を表示する構成としてもよい。このように、次の画面に進んだ場合にも、取扱説明書の該当箇所(該当頁)を続けて表示することで、ユーザがその時点で取扱説明書を読もうとしたときに、わざわざ画面を一つ元に戻すといった操作が不要となる。
【0018】
なお、上記一定時間は、ユーザによって任意に設定可能としてもよい。これにより、個々のユーザ自身の使い方に応じて、取扱説明書の該当頁を表示することが可能となる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、表示手段に表示しているメニュー画面上の任意の項目が一定時間以上選択されなかった場合には、一定時間経過時にメニュー画面上のカーソルが位置している項目または全項目について、取扱説明書の該当箇所を表示する構成としたので、電子機器に対するユーザの習熟度、すなわちユーザの操作状況を考慮して、最適なタイミングで該当頁を表示することができる。すなわち、ユーザが項目の選択に本当に迷ったときだけ、取扱説明書の該当頁を表示することができる。
【0020】
この場合、一定時間の間、カーソルが1つの項目位置にある場合にのみ、そのカーソルが位置している項目について取扱説明書の該当箇所を表示する構成とすることで、ユーザの操作状況に合わせた該当頁の表示が可能となる。また、一定時間の間にカーソルが移動していた場合には、メニュー画面上の全項目について取扱説明書の該当箇所をそれぞれ表示する構成とすることで、ユーザの操作状況に合わせた該当頁の表示が可能となる。
【0021】
さらに、全項目について取扱説明書の該当箇所をそれぞれ表示する場合において、カーソルが位置している項目については他の項目と表示色を異ならせて表示する構成としたので、ユーザの操作状況に合わせて該当頁のみを強調表示することができる。さらにまた、一定時間は、ユーザによって任意に設定可能とすることで、個々のユーザ自身の使い方に応じて、取扱説明書の該当頁を表示することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0023】
図1は、本発明のOSD機能を有する電子機器の一実施形態であるテレビジョン受信装置の要部の電気的構成を示す機能ブロック図である。ただし、本実施形態では、テレビジョン受信装置による映像及び音声の信号処理については従来周知の処理であるので、ここではTV信号処理部として簡単な機能ブロックで示している。
【0024】
すなわち、本実施形態のテレビジョン受信装置は、TV制御系20の全体を制御するマイコン21を備えている。そして、デジタル/アナログ放送のテレビジョン信号を受信するチューナ回路22の出力は、TV信号処理部24に接続されており、TV信号処理部24の出力は、CRTまたはディスプレイ等の表示部26に接続されている。また、TV信号処理部24の出力は、増幅器27を介して内部スピーカ28に接続されている。TV信号処理部24は、テレビジョン受信装置側の各種設定を行うためのセットアップ画面を含む各種設定画面をメニュー画面として表示するためのOSD回路24aを備えている。
【0025】
マイコン21は、TV信号処理部24と双方向に接続されており、チューナ回路22を介して受信したテレビジョン信号を映像信号や音声信号に復号し、映像信号を表示部26に表示するとともに音声信号を内部スピーカ28から出力するように、TV信号処理部24を制御する。
【0026】
また、マイコン21には、後述する一定時間や所定時間を計測するタイマー回路25が接続されている。さらに、マイコン21には、リモコン送信機41からの各種操作信号を受信する受信部31の出力が接続されている。マイコン21は、このリモコン送信機41から送信されてくる各種操作信号に基づいて、TV制御系20の動作制御を行うようになっている。
【0027】
また、マイコン21は、TV信号処理部24のOSD回路24aを制御して、TV側の各種設定を行うためのメニュー画面をOSD表示するようになっている。
【0028】
以下、マイコン21によるメニュー画面のOSD表示処理について、具体的に実施例を挙げて説明する。
【実施例1】
【0029】
本実施例1は、メニュー画面のOSD表示の基本的な処理の実施例であり、一定時間経過時にカーソル位置の項目の取扱説明書の該当頁を表示する実施例である。以下、図2(a),(b)に示す表示画面例及び図3に示すフローチャートを参照して説明する。
【0030】
ユーザが、リモコン送信機41の図示しないメニューキーを操作すると、マイコン21は、表示部26に図2(a)に示すようなセットアップメニュー画面(以下、単に「メニュー画面」という。)を表示する(ステップS1)。すなわち、このときのメニュー画面は、当該装置の機能設定や操作方法等の各項目のみが表示されており、これに対応する取扱説明書の該当頁はまだ表示されていない。
【0031】
これと同時に、マイコン21は、タイマー回路25を起動して、一定時間(例えば、5秒等)の計測を開始する(ステップS2)。そして、この計測中に、マイコン21は、リモコン送信機41の図示しない決定キーが操作されてメニュー画面中の任意の項目が選択されたか否か(ステップS3)、またはその選択前に一定時間が経過したか否か(ステップS4)を監視する。
【0032】
その結果、一定時間が経過する前に決定キーが押された場合(ステップS3でYesと判断された場合)には、従来通り、その決定キーによって選択されたメニュー画面上の所定の項目を実行するために、表示部26に次の操作画面が表示されることになる(ステップS6)。すなわち、ユーザが当該装置に精通している場合には、一定時間が経過する前に決定キーを押す等して次の画面に進むので、その項目に関する取扱説明書の該当頁が表示されることはない。
【0033】
一方、決定キーが押されることなく一定時間が経過した場合(ステップS3でNo、ステップS4でYesと判断された場合)には、図2(b)に示すように、一定時間経過時にメニュー画面上のカーソル51が位置している項目の横に、その項目の取扱説明書の該当頁を表示する(ステップS5)。すなわち、機器に不慣れな者にとっては、メニュー画面を見て迷っていると、一定時間経過時に取扱説明書の該当頁が表示されるので、ユーザは、取扱説明書の該当頁を開くことで、その項目の内容を知ることが可能となる。
【0034】
すなわち、本実施例1によれば、当該装置に対するユーザの習熟度、すなわちユーザの操作状況を考慮して、該当頁の表示をすることが可能となる。つまり、ユーザが項目の選択に本当に迷ったときだけ、取扱説明書の該当頁を表示するようになっている。
【実施例2】
【0035】
本実施例2は、上記実施例1の変形実施例であり、一定時間の間のカーソルの動作状態によって該当頁の表示形態を変える実施例である。以下、図4に示すフローチャート及び図2(a)〜(c)に示す表示画面例を参照して説明する。
【0036】
ユーザが、リモコン送信機41の図示しないメニューキーを操作すると、マイコン21は、表示部26に図2(a)に示すようなメニュー画面を表示する(ステップS11)。すなわち、このときのメニュー画面は、当該装置の機能設定や操作方法等の各項目のみが表示されており、これに対応する取扱説明書の該当頁はまだ表示されていない。
【0037】
これと同時に、マイコン21は、タイマー回路25を起動して、一定時間(例えば、5秒等)の計測を開始する(ステップS12)。そして、この計測中に、マイコン21は、リモコン送信機41の図示しない決定キーが操作されてメニュー画面中の任意の項目が選択されたか否か(ステップS13)、またはその選択前に一定時間が経過したか否か(ステップS14)を監視する。
【0038】
その結果、一定時間が経過する前に決定キーが押された場合(ステップS13でYesと判断された場合)には、従来通り、その決定キーによって選択されたメニュー画面上の所定の項目を実行するために、表示部26に次の操作画面が表示されることになる(ステップS18)。すなわち、ユーザが当該装置に精通している場合には、一定時間が経過する前に決定キーを押す等して次の画面に進むので、その項目に関する取扱説明書の該当頁が表示されることはない。
【0039】
一方、決定キーが押されることなく一定時間が経過した場合(ステップS13でNo、ステップS14でYesと判断された場合)には、次に、その一定時間の間、カーソル51がメニュー画面上を移動したか(すなわち、項目間を移動したか)否かを確認する(ステップS15)。その結果、一定時間の間、カーソル51が1つの項目位置にあった場合(ステップS15でNoと判断された場合)には、図2(b)に示すように、一定時間経過時にメニュー画面上のカーソル51が位置している項目のみの横に、その項目の取扱説明書の該当頁を表示する(ステップS16)。一定時間の間、カーソル51が1つの項目位置にあるということは、ユーザがその項目でよいかどうかを迷っていると考えられるので、この場合には、その迷っている項目のみ取扱説明書の該当頁を表示する。これにより、ユーザの操作状況に合わせた該当頁の表示が可能となる。
【0040】
一方、一定時間の間にカーソル51が項目間を移動していた場合(ステップS15でYesと判断された場合)には、図2(c)に示すように、メニュー画面上の全項目について取扱説明書の該当箇所をそれぞれ表示する(ステップS17)。一定時間の間にカーソル51が移動しているということは、ユーザがメニュー画面上のどの項目を選択したらよいかを迷っていると考えられるので、この場合には、メニュー画面上の全項目について取扱説明書の該当箇所をそれぞれ表示する。
【0041】
このように、機器に不慣れな者にとっては、メニュー画面を見て迷っていると、一定時間経過時に取扱説明書の該当頁が表示されるので、ユーザは、取扱説明書の該当頁を開くことで、その項目の内容を知ることが可能となる。
【0042】
すなわち、本実施例2によれば、当該装置に対するユーザの操作状況を考慮して、該当頁の表示をすることが可能となる。つまり、ユーザが項目の選択に本当に迷ったときだけ、取扱説明書の該当頁を表示するようになっている。
【実施例3】
【0043】
本実施例3は、メニュー画面のOSD表示の他の実施例であり、一定時間経過時に全項目の取扱説明書の該当頁を表示する実施例である。以下、図5に示すフローチャート及び図2(a),(c)に示す表示画面例を参照して説明する。
【0044】
ユーザが、リモコン送信機41の図示しないメニューキーを操作すると、マイコン21は、表示部26に図2(a)に示すようなメニュー画面を表示する(ステップS21)。すなわち、このときのメニュー画面は、当該装置の機能設定や操作方法等の各項目のみが表示されており、これに対応する取扱説明書の該当頁はまだ表示されていない。
【0045】
これと同時に、マイコン21は、タイマー回路25を起動して、一定時間(例えば、5秒等)の計測を開始する(ステップS22)。そして、この計測中に、マイコン21は、リモコン送信機41の図示しない決定キーが操作されてメニュー画面中の任意の項目が選択されたか否か(ステップS23)、またはその選択前に一定時間が経過したか否か(ステップS24)を監視する。
【0046】
その結果、一定時間が経過する前に決定キーが押された場合(ステップS23でYesと判断された場合)には、従来通り、その決定キーによって選択されたメニュー画面上の所定の項目を実行するために、表示部26に次の操作画面が表示されることになる(ステップS26)。すなわち、ユーザが当該装置に精通している場合には、一定時間が経過する前に決定キーを押す等して次の画面に進むので、その項目に関する取扱説明書の該当頁が表示されることはない。
【0047】
一方、決定キーが押されることなく一定時間が経過した場合(ステップS23でNo、ステップS24でYesと判断された場合)には、図2(c)に示すように、一定時間経過時にメニュー画面上の全項目のそれぞれの横に、その項目の取扱説明書の該当頁を表示する(ステップS25)。すなわち、機器に不慣れな者にとっては、メニュー画面を見て迷っていると、一定時間経過時に取扱説明書の該当頁が表示されるので、ユーザは、取扱説明書の該当頁を開くことで、その項目の内容を知ることが可能となる。
【0048】
すなわち、本実施例3によれば、当該装置に対するユーザの操作状況を考慮して、該当頁の表示をすることが可能となる。つまり、ユーザが項目の選択に本当に迷ったときだけ、取扱説明書の該当頁を表示するようになっている。
【実施例4】
【0049】
本実施例4は、上記実施例3の変形実施例である。
【0050】
すなわち、上記実施例3では、決定キーが押されることなく一定時間が経過した場合(ステップS23でNo、ステップS24でYesと判断された場合)には、図2(c)に示すように、一定時間経過時にメニュー画面上の全項目のそれぞれの横に、その項目の取扱説明書の該当頁を表示するようになっているが、このとき、本実施例4では、カーソルが位置している項目については他の項目と表示色を異ならせて表示する。すなわち、図2(c)に示す例では、カーソル51は「PICTURE」の項目に位置しているので、この「PICTURE」の横に表示している該当頁の「page 12」を例えば赤色で表示し、他の項目「CH SETUP」と「TIMER」の項目の横に表示している該当頁の「page 9」と「page 23」を例えば黒色表示とする。これにより、ユーザが選択に迷っていると考えられる項目の該当頁を強調表示することが可能となる。
【実施例5】
【0051】
本実施例5は、上記各実施例1〜4で表示した該当頁を参照することをメニュー画面上でユーザが選択した場合の実施例である。通常、メニュー画面等は、何ら操作されることなく所定時間(例えば1分等)が経過すると、その表示を停止(画面上から消去)するように予め設定されている。本実施例5は、この所定時間の扱いに関する実施例である。ただし、本実施例5は上記実施例1の表示例に適用した場合について説明する。
【0052】
すなわち、メニュー画面を表示後、決定キーが押されることなく一定時間が経過した場合(図2のステップS4でYesと判断された場合)、マイコン21は、図6に示すように、一定時間経過時にメニュー画面上のカーソル51が位置している項目の横に、その項目の取扱説明書の該当頁を表示するとともに、その該当頁を参照するか否かを確認するための「参照」と記載された確認ボタンを合わせて表示する。この例では、カーソル51が位置している「PICTURE」(page 12)の横に表示されている。
【0053】
ここで、ユーザが、リモコン送信機41を操作してこの「参照」ボタンを選択すると、マイコン21は、メニュー画面の表示時間(すなわち、メニューオフ時間)のデフォルト値である所定時間(例えば1分等)を、より長い例えば3分等に変更する。すなわち、その後3分間は、メニュー画面上で何ら操作されなくても、そのメニュー画面の表示状態を維持するようになっている。なお、この時間変更は、当該メニュー画面上で任意の項目が選択された場合には、再び通常のデフォルト値(1分等)に戻るようになっている。
【0054】
取扱説明書の該当頁を参照することを選択した場合には、当然にその頁を読む時間が必要であり、その間、ユーザはメニュー画面を操作することはない。このような場合に、デフォルト値である所定時間(例えば1分等)が経過したからといってその表示を画面上から消去したのでは、ユーザが取扱説明書を読み終わって次の操作に進もうとしたとき、再度メニュー画面の表示から行わなければならなくなる。本実施例5はこのようなユーザの手間を省くため、取扱説明書の該当頁を参照することを選択した場合には、メニュー画面の表示継続時間を通常の所定時間(例えば1分等)より長い例えば3分等とするものである。これにより、ユーザの操作状況に応じた画面表示が可能となる。
【実施例6】
【0055】
本実施例6は、上記各実施例1〜4で該当頁を表示した後、その該当頁を表示した項目が選択された場合の実施例である。ただし、本実施例6は上記実施例1の表示例に適用した場合について説明する。
【0056】
すなわち、図2(b)に示すようにカーソル51位置の項目の横に該当頁が表示された状態において、ユーザが該当頁が表示された項目(この例では、「PICTURE」)を選択すると、マイコン21は、OSD回路24aを制御して、図7に示すような「TINT(色合い)」、「COLOR(色彩)」、「BRIGHT(明るさ)」といった項目の画質調整画面に進むことになる。この場合、図2(b)に示すように、メニュー画面の「PICTURE」の横に該当頁が表示されていた場合には、この画質調整画面に進んだとき、図7(a)に示すように、各項目の横にそれぞれの該当頁を同時に表示するようにしてもよい。すなわち、一つ前の画面の表示状態に合わせて、その後の画面表示を順次行うように構成してもよい。
【0057】
一方、図7(b)に示すように、次の画質調整画面に進んだときも、その時点では該当頁を表示せず、図2の処理を再度実行するようにしてもよい。すなわち、一定時間経過しても決定キーが押されない場合にのみ、図7(c)に示すように、該当頁を表示するようにしてもよい。なお、この例ではカーソル51が位置している「COLOR(色彩)」の項目の横にのみ該当頁を表示しているが、これは上記実施例2に合わせた表示例であり、全項目の横に該当頁を表示してもよい。
【0058】
また、この画質調整画面から一つ前のメニュー画面に戻ったときも、2つの表示形態が考えられる。一つは、図2(b)に示すように、該当頁を表示した状態のままの画面に戻る場合であり、もう一つは、図2(a)に示すように、該当頁は表示せず、従来通りのメニュー画面に戻る場合である。
【0059】
なお、上記各実施例1〜6では、一定時間については予め設定されているものとして説明しているが、この一定時間はユーザによって任意に設定可能としてもよい。これにより、個々のユーザ自身の使い方に応じて、取扱説明書の該当頁を表示することが可能となる。
【0060】
また、上記各実施例1〜6では、メニュー画面の各項目に対応した該当箇所として、冊子である取扱説明書の該当頁を表示する構成として説明しているが、この取扱説明書がメモリ部29に電子データとして保存されており、表示部26に表示して参照するようになっている場合には、図8(a),(b)に示すように、メニュー画面の各項目に対応した該当箇所として電子データ内の該当チャプタ番号を表示することになる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明のOSD機能を有する電子機器は、テレビジョン受信装置を初め、ビデオテープレコーダ、DVDレコーダ、ハードディスク(HD)レコーダ等の、文字や映像情報等を画面上に表示するOSD機能が搭載されている電子機器全般に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明のOSD機能を有する電子機器の一実施形態であるテレビジョン受信装置の要部の電気的構成を示す機能ブロック図である。
【図2】表示画面例を示す説明図である。
【図3】メニュー画面のOSD表示処理の実施例1を示すフローチャートである。
【図4】メニュー画面のOSD表示処理の実施例2を示すフローチャートである。
【図5】メニュー画面のOSD表示処理の実施例3を示すフローチャートである。
【図6】実施例5の表示画面例を示す説明図である。
【図7】実施例6の表示画面例を示す説明図である。
【図8】該当箇所の他の表示例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0063】
20 TV制御系
21 マイコン
22 チューナ回路
24 TV信号処理部
24a OSD回路
25 タイマー回路
26 表示部
27 増幅器
28 スピーカ
29 メモリ部
30 受信部
41 リモコン送信機



【特許請求の範囲】
【請求項1】
OSD(オンスクリーンディスプレイ)機能を制御して表示手段に当該装置の機能や操作方法等のメニュー画面を表示する表示制御手段を備えた電子機器において、
前記表示制御手段は、前記表示手段に表示しているメニュー画面上の任意の項目を選択する決定キーが一定時間以上押されなかった場合であって、前記一定時間の間、カーソルが1つの項目位置にのみある場合には、そのカーソルが位置している項目について取扱説明書の該当箇所を表示する一方、前記一定時間の間にカーソルが移動していた場合には、メニュー画面上の全項目について取扱説明書の該当箇所をそれぞれ表示することを特徴とするOSD機能を有する電子機器。
【請求項2】
OSD(オンスクリーンディスプレイ)機能を制御して表示手段に当該装置の機能や操作方法等のメニュー画面を表示する表示制御手段を備えた電子機器において、
前記表示制御手段は、前記表示手段に表示しているメニュー画面上の任意の項目が一定時間以上選択されなかった場合には、一定時間経過時にメニュー画面上のカーソルが位置している項目について取扱説明書の該当箇所を表示することを特徴とするOSD機能を有する電子機器。
【請求項3】
前記表示制御手段は、前記一定時間の間、カーソルが1つの項目位置にある場合にのみ、そのカーソルが位置している項目について取扱説明書の該当箇所を表示することを特徴とする請求項2に記載のOSD機能を有する電子機器。
【請求項4】
前記表示制御手段は、前記一定時間の間にカーソルが移動していた場合には、メニュー画面上の全項目について取扱説明書の該当箇所をそれぞれ表示することを特徴とする請求項2または請求項3に記載のOSD機能を有する電子機器。
【請求項5】
OSD(オンスクリーンディスプレイ)機能を制御して表示手段に当該装置の機能や操作方法等のメニュー画面を表示する表示制御手段を備えた電子機器において、
前記表示制御手段は、前記表示手段に表示しているメニュー画面上の任意の項目が一定時間以上選択されなかった場合には、一定時間経過時にメニュー画面上の全項目について取扱説明書の該当箇所をそれぞれ表示することを特徴とするOSD機能を有する電子機器。
【請求項6】
前記表示制御手段は、全項目について取扱説明書の該当箇所をそれぞれ表示する場合において、カーソルが位置している項目については他の項目と表示色を異ならせて表示することを特徴とする請求項5に記載のOSD機能を有する電子機器。
【請求項7】
前記表示制御手段は、表示している該当箇所を参照するか否かの問い合わせ画面を表示し、参照することが選択された場合には、当該メニュー画面の表示状態を通常設定されている所定時間より長い時間確保するように制御することを特徴とする請求項2ないし請求項6のいずれかに記載のOSD機能を有する電子機器。
【請求項8】
前記表示制御手段は、該当箇所が表示されている項目が選択された場合には、選択された次の画面上にも前記該当箇所を表示することを特徴とする請求項2ないし請求項6のいずれかに記載のOSD機能を有する電子機器。
【請求項9】
前記一定時間はユーザによって任意に設定可能であることを特徴とする請求項2または請求項5に記載のOSD機能を有する電子機器。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−279994(P2007−279994A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−104762(P2006−104762)
【出願日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】