P2Pトラヒック量推定方法と装置およびプログラム
【課題】ネットワークにおいてP2P規制や帯域制御を行っている場合でも、本来のP2Pトラヒックの需要を把握可能とする。
【解決手段】実際に測定されたP2Pトラヒック測定データから、仮に帯域制御を行わなかった場合にはどれくらいのP2Pトラヒックが流通するかを試算することで、本来のP2Pトラヒックの需要を把握する。まず、集計したフロー情報からP2Pフローを特定し、P2Pフローが、帯域制御をしているネットワークを通過する制御P2Pフローと、そうでない非制御P2Pフローに分類し、これらのP2Pフローを一定期間収集して各フローサイズを集計し、制御P2Pフローおよび非制御P2Pフローのフローサイズ分布を各々求め、制御P2Pフローサイズ分布を非制御P2Pフローサイズ分布に置き換えることによって、仮に制御P2Pフローが非制御P2PフローになったとしたときにP2Pトラヒックがどれくらい増加するかを算出する。
【解決手段】実際に測定されたP2Pトラヒック測定データから、仮に帯域制御を行わなかった場合にはどれくらいのP2Pトラヒックが流通するかを試算することで、本来のP2Pトラヒックの需要を把握する。まず、集計したフロー情報からP2Pフローを特定し、P2Pフローが、帯域制御をしているネットワークを通過する制御P2Pフローと、そうでない非制御P2Pフローに分類し、これらのP2Pフローを一定期間収集して各フローサイズを集計し、制御P2Pフローおよび非制御P2Pフローのフローサイズ分布を各々求め、制御P2Pフローサイズ分布を非制御P2Pフローサイズ分布に置き換えることによって、仮に制御P2Pフローが非制御P2PフローになったとしたときにP2Pトラヒックがどれくらい増加するかを算出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、IP(Internet Protocol)ネットワークの通信トラヒックを把握・管理する技術に係り、特に、コンピュータ装置に実装されたP2P(peer-to-peer)アプリケーションによるトラヒック量を効率的に算出するのに好適な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
IPネットワークが広く利用されてくるに伴って、利用形態も多様化してきている。それに伴い、ネットワークを流れるトラヒックを測定して現在の通信トラヒック状況を把握することが重要になってきている。
【0003】
特に、P2Pアプリケーションによるトラヒックがネットワークの帯域を占有することが近年指摘されている。
【0004】
P2Pトラヒックを測定する従来技術はいくつか存在する。例えば、特許文献1においては、IPアドレスおよびポート番号で識別される監視対象のノード間のトラヒック量を積算し、所定の基準トラヒック量を超えた監視対象のP2Pコネクションを選別する技術が記載されている。この技術においては、トラヒック量は、当該P2Pコネクションを流れるパケットのデータ量を求め、テーブル上で積算される。
【0005】
また、非特許文献1に記載のCisco(登録商標)社のSCE(Service Control Engine)という製品では、deep packet inspection(DPI)と呼ばれる技術を用い、ペイロードまで解析することで、アプリケーションレベルの動作を分析してP2Pトラヒックを識別する。
【0006】
また、非特許文献2,3では、P2Pアプリケーションを端末で起動させて、P2P通信をしているユーザのIPアドレスを収集することで、P2Pフローの識別を行う技術が記載されている。これら識別されたフロー情報と、ネットワーク内で観測されたフロー毎のトラヒック量(フローのバイト数やパケット数)を突合することで、P2Pフロー全体でのトラヒック量を把握することが可能となる。
【0007】
尚、フローとは、5つの属性である{発信元IPアドレス(srcIP),着信先IPアドレス(dstIP),発信元ポート番号(srcPort),着信先ポート番号(dstPort),プロトコル(Protocol)}を同じくするパケット群であり、非特許文献4に記載の「NetFlow」(登録商標)、非特許文献5に記載の「sFlow」(登録商標)といったフロー測定技術を用いることにより、測定可能である。
【0008】
これらの技術を用いることにより、現状、P2Pトラヒックがどれくらい流れているかを把握することが可能となる。
【0009】
しかしながら、ネットワーク(ISP:Internet Service Provider)によっては、P2P規制や帯域制御を行っている場合があるため、従来技術において測定されるトラヒック量は、制御後のP2Pトラヒックとなり、今後のネットワークアーキテクチャやネットワーク設計を考える上で必要となる、本来のP2Pトラヒックの需要を把握することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2005−202589号公報
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】「NetOneSystems ネットワンシステムズ:製品情報:ネットワーク:帯域制御:Service Control Engine(SCE)シリーズ」、[online]、[平成21年10月16日検索]、インターネット<URL:http://www.netone.co.jp/product/cat_network/band-control/tfa9q10000002m6s3.html>
【非特許文献2】Satoshi Ohzahata,Yoichi Hagiwara,Matsuaki Terada and Konosuke Kawashima, "A Traffic Identification Method and Evaluations for a Pure P2P Application," Proc. of the 2005 Passive and Active Measurement(PAM'05)work shop.
【非特許文献3】亀井他,"複数レイヤでの部分測定を用いたP2Pファイル共有アプリケーションの規模推定",信学会和文論文誌 Vol.J88-B No.11 pp.2171-2180.
【非特許文献4】NetFlow,[online]、[平成21年10月16日検索]、インターネット<URL:http://en.wikipedia.org/wiki/Netflow>.
【非特許文献5】InMon sFlow Probe,[online]、[平成21年10月16日検索]、インターネット<URL:http://www.inmon.com/products/probes.php>.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
解決しようとする問題点は、従来の技術では、ネットワークにおいてP2P規制や帯域制御を行っている場合があり、今後のネットワークアーキテクチャやネットワーク設計を考える上で必要となる、本来のP2Pトラヒックの需要を把握することができない点である。
【0013】
本発明の目的は、これら従来技術の課題を解決し、ネットワークアーキテクチャやネットワーク設計を適切に行うことを可能とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するため、本発明では、実際に測定されたP2Pトラヒック測定データから、仮に帯域制御を行わなかった場合にはどれくらいのP2Pトラヒックが流通するかを試算することを特徴とする。例えば、まず、NetFlowやsFlowといった測定技術を用いて対象のネットワーク(NW)内の監視ポイントを流れるフロー情報を集計し、あるいは、パケットキャプチャ装置を用いてパケットを収集してからフロー情報を集計し、次に、集計したフロー情報に基づきP2Pフローを特定し、特定したP2Pフローが、帯域制御をしているネットワーク(あるいはISP)を通過するフローであるか否かを判別し、帯域制御をしているネットワークを通過するP2Pフローを制御P2Pフロー、そうでないP2Pフローを非制御P2Pフローとして分類し、さらに、一定期間フローを収集し、フローサイズ(フロー当りの送出バイト数またはパケット数)を集計し、制御P2Pフローのフローサイズ分布と非制御P2Pフローのフローサイズ分布を求め、そして、制御P2Pフローサイズ分布を非制御P2Pフローサイズ分布に置き換えることによって、仮に制御P2Pフローが非制御P2PフローになったとしたときにP2Pトラヒックがどれくらい増加するかを算出する。例えば、制御P2Pフローサイズ分布をP[制御P2Pフローサイズ=x]=SPc(x)とし、非制御P2Pフローサイズ分布をP[非制御P2Pフローサイズ=x]=SPu(x)とし、また、観測された制御P2Pフロー数、非制御P2Pフロー数をそれぞれNPc、NPuとするとき、制御P2Pフローが非制御P2PフローになったときのP2Pトラヒック量を「NPu×ΣxSPu(x)×x+NPc×ΣxSPu(x)×x」により求める。尚、制御P2Pフローがそのまま制御P2Pフローである場合のP2Pトラヒック量は、「NPu×ΣxSPu(x)×x+NPc×ΣxSPc(x)×x」であり、前者から後者を差し引いたものが、非制御化を前提としたときのP2Pトラヒック量増加分として求められる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ネットワークにおける非制御化を前提としたときにP2Pトラヒック量がどれくらい増加するかを試算することができ、本来のP2Pトラヒックの需要をより正確に把握することができ、今後のネットワークアーキテクチャやネットワーク設計をより適切に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係るP2Pトラヒック量推定装置で用いるフロー情報例を示す説明図である。
【図2】本発明に係るP2Pトラヒック量推定装置で用いるフローサイズ分布例を示す説明図である。
【図3】本発明に係るP2Pトラヒック量推定装置を設ける着目ネットワークに流れるフロー状況例を示す説明図である。
【図4】本発明に係るP2Pトラヒック量推定装置を設ける着目ネットワークに流れるフローの属性例を示す説明図である。
【図5】本発明に係るP2Pトラヒック量推定装置の第1の設置構成例を示すブロック図である。
【図6】本発明に係るP2Pトラヒック量推定装置の第2の設置構成例を示すブロック図である。
【図7】本発明に係るP2Pトラヒック量推定装置の内部構成例を示すブロック図である。
【図8】図7の本発明に係るP2Pトラヒック量推定装置において用いるフロー管理テーブルの構成例を示す説明図である。
【図9】図7の本発明に係るP2Pトラヒック量推定装置において用いるフロー属性情報例を示す説明図である。
【図10】図7の本発明に係るP2Pトラヒック量推定装置において用いる統計情報例を示す説明図である。
【図11】図7の本発明に係るP2Pトラヒック量推定装置のP2Pトラヒック量推定方法による処理動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図を用いて本発明を実施するための形態例を説明する。図7において示す本発明に係るP2Pトラヒック量推定装置1は、CPU(Central Processing Unit)や主メモリ、表示装置、入力装置、外部記憶装置等を具備したコンピュータ構成からなり、光ディスク駆動装置等を介してCD−ROM等の記憶媒体に記録されたプログラムやデータを外部記憶装置内にインストールした後、この外部記憶装置から主メモリに読み込みCPUで処理することにより、各処理部の機能を実行する。
【0018】
すなわち、本例のP2Pトラヒック量推定装置1は、プログラムされたコンピュータ処理を実行する手段として、パケットヘッダ解析部2、フロー管理部3、フロー情報分析部4、フロー統計算出部5、P2Pトラヒック量推定部6を有している。
【0019】
このような構成からなるP2Pトラヒック量推定装置1は、図5のP2Pトラヒック量推定装置501として示すように、ネットワークにおけるノード502,503(ルータやスイッチ)間のリンクに挿入される形態で利用されても良いし、あるいは、ノード502,503において、パケットをポートへミラーして、そのポートの先にP2Pトラヒック量推定装置を設置しても良い。
【0020】
あるいは、図6のP2Pトラヒック量推定装置601として示すように、ネットワーク602内の各ルータ603a〜gからNetFlowやsFlowのようなフロー情報をexportさせて、それらを収集しても良い。
【0021】
以下、図7に示す構成からなるP2Pトラヒック量推定装置1による、本発明に係るP2Pトラヒック量の試算技術について、<第1〜第8の試算技術>を例に説明する。
【0022】
まず、<第1の試算技術>について説明する。
【0023】
図7に示す構成からなるP2Pトラヒック量推定装置1では、実際に測定されたP2Pトラヒック測定データから、仮に帯域制御を行わなかった場合にはどれくらいのP2Pトラヒックが流通するかを試算する。
【0024】
すなわち、NetFlowやsFlowといった測定技術を用いて対象のネットワーク(NW)内の監視ポイントを流れるフロー情報を集計する。あるいは、パケットキャプチャ装置を用いてパケットを収集してからフロー情報を集計する。そして、集計したフロー情報に基づきP2Pフローを特定し、特定したP2Pフローが、帯域制御をしているネットワーク(あるいはISP)を通過するフローであるか否かを判別し、帯域制御をしているネットワークを通過するP2Pフローを制御P2Pフロー、そうでないP2Pフローを非制御P2Pフローとして分類する。
【0025】
さらに、一定期間フローを収集し、フローサイズ(フロー当りの送出バイト数またはパケット数)を集計し、制御P2Pフローのフローサイズ分布と非制御P2Pフローのフローサイズ分布を求め、そして、制御P2Pフローサイズ分布を非制御P2Pフローサイズ分布に置き換えることによって、仮に制御P2Pフローが非制御P2PフローになったとしたときにP2Pトラヒックがどれくらい増加するかを算出する。
【0026】
例えば、制御P2Pフローサイズ分布をP[制御P2Pフローサイズ=x]=SPc(x)とし、非制御P2Pフローサイズ分布をP[非制御P2Pフローサイズ=x]=SPu(x)とし、また、観測された制御P2Pフロー数、非制御P2Pフロー数をそれぞれNPc、NPuとするとき、制御P2Pフローが非制御P2PフローになったときのP2Pトラヒック量をNPu×ΣxSPu(x)×x+NPc×ΣxSPu(x)×xにより求める。
【0027】
尚、制御P2Pフローがそのまま制御P2Pフローである場合のP2Pトラヒック量は、NPu×ΣxSPu(x)×x+NPc×ΣxSPc(x)×xであり、前者から後者を差し引いたものが非制御化を前提としたときのP2Pトラヒック量増加分として求める。
【0028】
本例のP2Pトラヒック量推定装置1で用いるフロー情報は、図1においてフロー情報テーブル(図中「フロー情報」と記載)101として示すように、フローID{srcIP,dstIP,srcPort,dstPort,protocol}毎の、バイト数、パケット数を指す。
【0029】
また、P2Pトラヒック量推定装置1において、どれがP2Pフローか否かを判別する技術として、上述の非特許文献1〜3に記載の技術を用いる。
【0030】
さらに、それらP2Pフローを、帯域制御をしているネットワーク(あるいはISP)を通過するフローか否かを判別する際、srcIPまたはdstIPアドレスが帯域制御をしているネットワークからあるいは当該ネットワークへ向かうフローか否かを調べることで判別する。ここでは、帯域制御NWを通過するP2Pフローを制御P2Pフロー、そうでないP2Pフローを非制御P2Pフローとして分類する。
【0031】
そして、P2Pトラヒック量推定装置1では、一定期間フローを収集し、フローサイズ(フロー当りの送出バイト数またはパケット数)を集計し、制御P2Pフローのフローサイズ分布および非制御P2Pフローのフローサイズ分布を求める。
【0032】
このフローサイズ分布について図2を用いて説明する。
【0033】
図2において、x軸はフローサイズx[byte]であり、Y軸のP[フローサイズ>x]とは、フローサイズがx[byte]を超えるフロー数の割合を意味する。
【0034】
図2の例では、非制御P2Pフローについては、0.1、つまり10%のフローがフローサイズ100Mbyteを超えていることを意味している。一方、制御P2Pフローは、10%のフローが10Mbyteを超えている。
【0035】
インターネットトラヒック測定データにより、一般に、フローサイズは、図2における非制御P2Pフローで示すように、直線(両対数軸の場合)になることが知られている。つまり、裾の長い分布(パレート分布など)に従うことが知られている(例えば、「N.Duffield, C.Lund, and M.Thorup,"Estimating Flow Distributions from Sampled Flow Statistics," ACM SIGCOMM, pp.325-336,2003.」,「T.Mori, M.Uchida, R.Kawahara, J.Pan, and S.Goto,"Identifying elephant flows through periodically sampled packets," ACM SIGCOMM Internet Measurement Conference,2004.」参照)。
【0036】
一方、帯域制御されると、バイト数の大きいフローは制御がかかるため、分布の形状は、図2における制御P2Pフローで示すように、裾が打ち切られたような形状になる。
【0037】
本例では、このような制御P2Pフローサイズ分布を、非制御P2Pフローサイズ分布に置き換えることによって、仮に、制御P2Pフローが非制御P2Pフローになったとしたときに、P2Pトラヒックがどれくらい増加するかを試算する。
【0038】
このような<第1の試算技術>の具体的な計算技術を、<第2〜第8の試算技術>で説明する。
【0039】
まず、<第2の試算技術>においては、制御P2Pフローサイズ分布を、P[制御P2Pフローサイズ=x]=SPc(x)とし、非制御P2Pフローサイズ分布を、P[非制御P2Pフローサイズ=x]=SPu(x)とする。
【0040】
また、観測された制御P2Pフロー数をNPc、観測された非制御P2Pフロー数をNPuとする。
【0041】
このとき、制御P2Pフローが非制御P2PフローになったときのP2Pトラヒック量を、「NPu×ΣxSPu(x)×x+NPc×ΣxSPu(x)×x」の式(1)により推定する。
【0042】
尚、制御P2Pフローがそのまま制御P2Pフローである場合のP2Pトラヒック量は、「NPu×ΣxSPu(x)×x+NPc×ΣxSPc(x)×x」の式(2)となり、式(1)の値から式(2)の値を差し引いたものが、非制御化を前提としたときのP2Pトラヒック量増加分として推定する。
【0043】
次に、<第3の試算技術>について説明する。
【0044】
上述の第2の試算技術においては、監視ポイント(302,402)を通過するトラヒックが、非制御化を前提としたときに、どれだけ増加するかを推定していたのに対し、第2の試算技術では、着目するNW(この中に監視ポイントが存在する)全体でのP2Pトラヒック量を推定する。
【0045】
具体的には、図3に示すように、着目するネットワーク(図中「着目するNW」と記載)301全体の中で黒丸部分の監視ポイント302でのみフロー測定を実施しているとすると、フロー(1)とフロー(2)は観測されるが、フロー(3)とフロー(4)は観測されない。
【0046】
第3の試算技術では、これら観測されない領域も含めてP2Pトラヒック量を推定するため、以下の手順で分析を行う。
【0047】
監視ポイントを流れるフローのうち、ユーザからインターネットへ向かう方向を上り方向、逆方向を下り方向と定義して、方向別にフローを集計する。具体的には、フロー情報にフラグyをつけて、y=upならば上り、dnならば下り、とする。
【0048】
さらに、監視ポイントを上り(下り)方向に通過するフローのうち、着目ネットワーク(NW)内のユーザへ向かう(から送信された)フローであるか否かを区別するフラグzをつける。z=inならばそうであるとし、z=outならば着目ネットワーク外との通信フローとする。つまり、図4に示すように、着目するネットワーク(図中「着目するNW」と記載)401における監視ポイント402を通過するフローを、「up,out」、「dn,out」、「up,in」、「dn,in」の4種類のフローに分類する。
【0049】
また、Xというフラグも導入し、X=cならば制御フロー、X=uならば非制御フローとして分類する。
【0050】
これら分類を行って、図10に示す「入力」に関する各統計情報(N(t)X,y,Nf(t)X,y,b(t)X,y,rp(t)X,y,z,FP(t)X,y,z,NP(t)X,y,in,NP(t)X,y,out,NP(t)X,y)を収集する。
【0051】
尚、一定周期毎にフロー統計収集を行っているとし、図10に示す各統計情報のうち、tという添え字があるものは、t番目の周期に集計された値を表す。
【0052】
図10において、平均フローサイズ(FP(t)X,y,z)は、フローサイズ分布より算出する。具体的には、測定区間t、種別X、方向y、NW内外フラグzのP2Pフローサイズ分布をSP(t){X,y,z}(x)とすると、「FP(t)X,y,z=ΣxSP(t){X,y,z}(x)×x」と算出する。
【0053】
また、NW全体でのトラヒック量をNtot、NW全体を流れるフローのうち、帯域制御ネットワークを通過するフローの占める割合を制御フロー比率cとする。
【0054】
これらは予め定めておくパラメータである。尚、NW全体でのトラヒック量Ntotについては、NW内の各リンクを流れるトラヒック測定値から算出しておいても良い。また、制御フロー比率cについては、想定される範囲内で振らせるか、外部条件から予め定めておく。
【0055】
尚、パラメータc(NW全体を流れるフローのうち、帯域制御ネットワークを通過するフローの占める割合としての制御フロー比率)を導入した理由は、監視ポイントを通過する制御フロー数、非制御フロー数の比率が、必ずしもNW全体でみたときのそれと一致しているとは限らないためである。
【0056】
以上の準備のもと、以下に示す数1と数2に示す計算式を用いて、図10に示す「出力」に関する各統計情報(NW外とやり取りされるP2Pトラヒック量Npout,NW内P2Pトラヒック量Npin)を推定(算出)する。
【0057】
まず、種別X=c(帯域制御あり)のトラヒック、およびX=u(帯域制御なし)のトラヒックをそれぞれα倍、β倍してNtotと一致するように、αとβを決める。ここでは、非P2Pトラヒック量は、帯域制御の影響に依らず、制御フロー比率に比例していると仮定して、数1に示す式を満たすα、βを計算する。尚、AVG[A(t)]=ΣtA(t)/T(t=1,2,...,T:Tは測定区間数)と定義する。
【0058】
【数1】
【0059】
次に、このようにして計算したα、βを用いて、制御P2Pフローはそのまま制御されているとしたときのP2Pトラヒック量(Npout,Npin)を、以下の数2に示す式を用いて推定(算出)する。
【0060】
【数2】
【0061】
尚、Npin(NW内P2Pトラヒック量)は、着目NWのユーザから(同NWユーザへ向けて)流入されるP2Pトラヒック量(つまり上り方向)を意味し、同時に、(着目NWユーザから)着目NWユーザへ向けて流出されるP2Pトラヒック量(つまり下り方向)を意味する。
【0062】
監視ポイントにおいては、up,inのP2Pトラヒック量は必ずしもdn,inのそれと一致していない場合があるが、NW全体でみた場合には、流入するinトラヒックと流出するinトラヒックは一致する必要があり、そうなるように、上述の数2における式(4)では推定している。
【0063】
また、Npout(NW外とやり取りされるP2Pトラヒック量)については、上述の数2に示す式(3)における第1項と第2項の和が、NW外へ流出されるP2Pトラヒック量を意味し、第3項と第4項がNW外から流入されるP2Pトラヒック量に対応する。
【0064】
次に、<第4の試算技術>について説明する。
【0065】
上述の第3の試算技術においては、制御P2Pフローはそのまま制御されているとしていたのに対し、本例の第4の試算技術では、制御P2Pフローが非制御化されたときのP2Pトラヒック量を、下記の数3における式(7)に示すように、制御P2Pフローサイズを非制御P2Pフローサイズで置き換えることによって、同数3の式を用いて試算する。
【0066】
【数3】
【0067】
次に、<第5の試算技術>について説明する。
【0068】
第5の試算技術においては、上述の第1の試算技術のように、フローを5つ組{発信元IPアドレス(srcIP),着信先IPアドレス(dstIP),発信元ポート番号(srcPort),着信先ポート番号(dstPort),プロトコル(Protocol)}で定義する代わりに、2つ組{発信元IPアドレス(srcIP),着信先IPアドレス(dstIP)}で定義する。
【0069】
次に、<第6の試算技術>について説明する。
【0070】
第6の試算技術においては、フローの定義として、上り方向については発信元IPアドレス(srcIP)、下り方向については着信先IPアドレス(dstIP)の1つ組で定義する。
【0071】
これは、帯域制御の仕方によっては、5つ組のフロー単位での制御ではなく、2つ組の単位、あるいは1つ組の単位で制御している場合があるため、それらの条件に対応するためである。
【0072】
次に、<第7の試算技術>について説明する。
【0073】
第7の試算技術においては、上述の第3の試算技術または第4の試算技術のように、P2Pフローサイズの平均をFP(t)X,y,z=ΣxSP(t){X,y,z}(x)×xと計算する代わりに、P2Pフローのうち、予め定めた閾値th以上のサイズのフローのみをP2Pフローと再定義し、このときのP2Pフローサイズ分布SP'{t,X,y,z}(x)を「SP'{t,X,y,z}(x)=SP(t){X,y,z}/[1-Σx=1〜thSP(t){X,y,z}]」として、P2Pフローサイズの平均FP(t)X,y,zを、「FP(t)X,y,z=ΣxSP'{t,X,y,z}(x)×x」で計算し、また、P2Pフロー比率rp'(t)X,y,zも「rp'(t)X,y,z=rp(t)X,y,z×[1-Σx=1〜thSP'{t,X,y,z}(x)]」として、第3の試算技術または第4の試算技術における計算式(数1〜3)に適用する。
【0074】
第7の試算技術では、サイズの小さいフローというのは、実際のデータ転送を行っているフローではなく、制御パケットのみを送っているフローであることが考えられるため、ある閾値th以下のフローについては、それを除くことによって、実際のデータ転送によるP2Pトラヒック量を試算することを可能にする。
【0075】
また、サイズの小さいフローは、スキャントラヒックなどの異常トラヒックの影響により、実際のユーザ動作によるトラヒック以外が含まれる可能性があるため、閾値以下を除くことで、それら異常トラヒックを除去する。
【0076】
次に、<第8の試算技術>について説明する。
【0077】
第8の試算技術においては、第4の試算技術のように、制御P2Pフローサイズ分布が非制御化になったときに非制御P2Pフローサイズ分布になると仮定する代わりに、制御P2Pフローのうち、γの割合で非制御P2Pフローサイズ分布に従ってフローを送出すると仮定して、非制御化後の、測定区間t、種別X、方向y、NW内外フラグzのP2Pフローサイズ分布SP''{t,c,y,z}(x)を「SP''{t,c,y,z}(x)=(1-γ)SP(t){c,y,z}+γSP(t){u,y,z}」とし、平均フローサイズFP'(t)c,y,zを「FP'(t)c,y,z=ΣxSP''{t,c,y,z}(x)×x」とし、第4の試算技術に示す数3における式(7)の代わりに、この平均フローサイズFP'(t)c,y,zを用いる。
【0078】
以下、図7に示すP2Pトラヒック量推定装置1を構成する各処理部の処理動作(上述の<第3の試算技術>に相当)を説明する。
【0079】
図7に示すP2Pトラヒック量推定装置1は、前段ノードからパケットが到着すると、パケットヘッダ解析部2において、ノードAからノードB方向のパケットであるかノードBからノードA方向のパケットかを判別する。ここでは、ノードAからノードB方向がユーザからの上り方向、ノードBからノードA方向が下り方向だとして説明を進める。
【0080】
そして、パケットヘッダ解析部2は、パケットのフローID={発信元IPアドレス(srcIP),着信先IPアドレス(dstIP),発信元ポート番号(srcPort),着信先ポート番号(dstPort),プロトコル(Protocol)}を読み出し、これらの情報を含むヘッダ情報を、フロー管理部3に通知する。
【0081】
フロー管理部3では、図8に示すフロー管理テーブル801を保持している。この図8に示すフロー管理テーブル801においては、フローIDごとにパケット数、バイト数、方向を管理している。
【0082】
フロー管理部3は、パケットヘッダが到着すると、当該パケットが、既にフロー管理テーブル801においてエントリされているフローからのパケットであるか否かを調べ、もし、エントリ済みであれば、フロー管理テーブル801内の該当フローIDのパケット数を1つカウントアップし、バイト数は、当該パケットサイズ分カウントアップする。
【0083】
また、新規フローからのパケットであれば、フロー管理部3は、フロー管理テーブル801において、当該フローIDを新規にエントリし、パケット数を1に、バイト数を当該パケットサイズに設定する。
【0084】
そして、予め定められた一定期間が経過した後、フロー管理部3は、フロー管理テーブル801の情報をフロー情報分析部4へ通知する。
【0085】
フロー情報分析部4では、フロー管理部3からフロー情報を受け取ると、各フローについて、以下のようにして、図9においてフロー属性情報テーブル(図中「フロー属性情報」と記載)901に示すように、各属性を付与する。
【0086】
まず、フロー情報分析部4は、P2Pフローか否かの識別を行う。この識別は、例えば上述した非特許文献1〜3のいずれかの既存の技術を用いて行う。
【0087】
次に、フロー情報分析部4は、帯域制御をしているネットワーク(あるいはISP)を通過するフローか否かを判別する属性Xを付与する。この判別は、srcIPアドレスまたはdstIPアドレスが帯域制御をしているネットワークからあるいは当該ネットワークへ向かうフローであるか否かを調べることで行い、帯域制御NWを通過するフローを制御フロー、そうでないフローを非制御フローとして分類する。制御フローであればX=c、非制御フローであればX=uとする。
【0088】
さらに、フロー情報分析部4は、通信方向を上り方向、逆方向を下り方向と定義して、方向別にフローを集計する。具体的には、フロー情報にフラグyをつけて、y=upならば上り、dnならば下り、とする。
【0089】
そして、フロー情報分析部4は、監視ポイントを上り(下り)方向に通過するフローのうち、着目ネットワーク(NW)内のユーザへ向かう(から送信された)フローであるか否かを区別するフラグzをつける。z=inならばそうであるとし、z=outならば着目ネットワーク外との通信フローとする。
【0090】
これは、例えば上りフローであれば、そのdstIPをみて、dstIPが着目NW内ネットワークアドレスに含まれていれば、in、そうでなければoutとする。以上の処理が終わると、フロー情報分析部4は、その結果をフロー統計計算部5に通知する。
【0091】
フロー統計計算部5では、フロー情報分析部4から通知された図9のフロー属性情報テーブル901における情報を用いて、前述の図10における「入力」で示す各統計(N(t)X,y,Nf(t)X,y,b(t)X,y,rp(t)X,y,z,FP(t)X,y,z,NP(t)X,y,in,NP(t)X,y,out,NP(t)X,y)を計算する。尚、各統計のtという添え字は、t番目の周期に集計された値を表す。
【0092】
ここで、平均フローサイズ(FP(t)X,y,z)は、フローサイズ分布より算出する。具体的には、測定区間t、種別X、方向y、NW内外フラグzのP2Pフローサイズ分布をSP(t){X,y,z}(x)とすると、「FP(t)X,y,z=ΣxSP(t){X,y,z}(x)×x」と算出する。
【0093】
以上の計算後、フロー統計計算部5は、算出したフロー統計を、P2Pトラヒック量推定部6に通知する。
【0094】
P2Pトラヒック量推定部6は、一定周期毎に計算され通知されるフロー統計計算部5からのフロー統計情報を図示していない記憶装置に蓄積し、測定区間t=1からTまでのデータが蓄積されたら、以下の手順で、P2Pトラヒック量を推定する。
【0095】
具体的には、P2Pトラヒック量推定部6は、図10における「出力」で示す、NW外とやり取りされるP2Pトラヒック量Npoutと、NW内P2Pトラヒック量Npinを推定(算出)する。
【0096】
その際、NW全体でのトラヒック量をNtotとし、NW全体を流れるフローのうち、帯域制御ネットワークを通過するフローの占める割合を制御フロー比率cとする。これらは予め定めておくパラメータである。尚、Ntot(NW全体でのトラヒック量)については、NW内の各リンクを流れるトラヒック測定値から算出しておいても良い。c(制御フロー比率:帯域制御ネットワークを通過するフローの占める割合)については、想定される範囲内で振らせるか、外部条件から予め定めておく。
【0097】
計算式は、上述の数1と数2で示した通りである。尚、種別X=c(帯域制御あり)のトラヒック、およびX=u(帯域制御なし)のトラヒックをそれぞれα倍、β倍してNtot(NW全体でのトラヒック量)と一致するように、αとβを決める。
【0098】
ここでは、非P2Pトラヒック量は、帯域制御の影響に依らず、制御フロー比率に比例していると仮定して、上述の数1を満たすα、βを計算する。尚、AVG[A(t)]=ΣtA(t)/T(t=1,2,...,T:Tは測定区間数)と定義する。
【0099】
そして、P2Pトラヒック量推定部6は、このように計算したα、βを用いて、制御P2Pフローはそのまま制御されているとしたときのP2Pトラヒック量(NW外とやり取りされるP2Pトラヒック量Npout、NW内P2Pトラヒック量Npin)を、上述の数2の式を用いて推定(算出)する。
【0100】
さらに、P2Pトラヒック量推定部6は、上述の数3の式で示す通りに、制御P2Pフローが非制御化されたときのP2Pトラヒック量を、制御P2Pフローサイズを非制御P2Pフローサイズで置き換えることによって試算する。
【0101】
尚、数3における式(6)のNpinから数2における式(4)のNpinの値を差し引いたものが、非制御化によって増加すると想定されるP2Pトラヒック量(NW内)に相当し、数3における式(5)のNpoutから数2における式(3)のNpoutを差し引いたものが、非制御化によって増加すると想定されるP2Pトラヒック量(NW外)に相当する。
【0102】
以上の例(<第3の試算技術>に相当)では、監視ポイント以外のNW全体としてのP2Pトラヒック量を推定していたが、監視ポイントを通過するトラヒックのうち、P2Pトラヒック量がどれくらい非制御化を前提としたときに増加するかを計算するには、上述の<第2の試算技術>を用いる。
【0103】
すなわち、制御P2Pフローサイズ分布をP[制御P2Pフローサイズ=x]=SPc(x)とし、非制御P2Pフローサイズ分布をP[非制御P2Pフローサイズ=x]=SPu(x)とする。また、観測された制御P2Pフロー数、非制御P2Pフロー数をそれぞれNPc、NPuとする。
【0104】
このとき、制御P2Pフローが非制御P2PフローになったときのP2Pトラヒック量をNPu×ΣxSPu(x)×x+NPc×ΣxSPu(x)×xにより推定する。また、制御P2Pフローがそのまま制御P2Pフローである場合のP2Pトラヒック量は、NPu×ΣxSPu(x)×x+NPc×ΣxSPc(x)×xであり、前者から後者を差し引いたものが非制御化を前提としたときのP2Pトラヒック量増加分として推定する。
【0105】
また、上述の例(<第3の試算技術>に相当)では、フローを5つ組{発信元IPアドレス(srcIP),着信先IPアドレス(dstIP),発信元ポート番号(srcPort),着信先ポート番号(dstPort),プロトコル(Protocol)}で定義しているが、上述の<第5の試算技術>で説明したように、フローを、2つ組{発信元IPアドレス(srcIP),着信先IPアドレス(dstIP)}で定義しても良い。
【0106】
あるいは、上述の<第6の試算技術>で説明したように、フローを、上り方向については発信元IPアドレス(srcIP)、下り方向については着信先IPアドレス(dstIP)の1つ組で定義しても良い。
【0107】
さらに、上述の例(<第3の試算技術>に相当)では、P2Pフローサイズの平均をFP(t)X,y,z=ΣxSP(t){X,y,z}(x)×xと計算しているが、その代わりに、上述の<第7の試算技術>で説明したように、P2Pフローのうち、予め定めた閾値th以上のサイズのフローのみをP2Pフローと再定義し、このときのP2Pフローサイズ分布SP'{t,X,y,z}(x)を「SP'{t,X,y,z}(x)=SP(t){X,y,z}/[1-Σx=1〜thSP(t){X,y,z}]」として、P2Pフローサイズの平均FP(t)X,y,zを「FP(t)X,y,z=ΣxSP'{t,X,y,z}(x)×x」で計算し、また、P2Pフロー比率rp'(t)X,y,zも「rp'(t)X,y,z=rp(t)X,y,z×[1-Σx=1〜thSP'{t,X,y,z}(x)]」として、上述の第1の試算技術における計算式に適用することでも良い。
【0108】
また、上述の例(<第3の試算技術>に相当)では、制御P2Pフローサイズ分布が非制御化になったときに非制御P2Pフローサイズ分布になると仮定しているが、その代わりに、上述の<第8の試算技術>で説明したように、制御P2Pフローのうち、γの割合で非制御P2Pフローサイズ分布に従ってフローを送出すると仮定して、非制御化後の、測定区間t、種別X、方向y、NW内外フラグzのP2Pフローサイズ分布SP''{t,c,y,z}(x)を「SP''{t,c,y,z}(x)=(1-γ)SP(t){c,y,z}+γSP(t){u,y,z}」とし、平均フローサイズFP'(t)c,y,zを「FP'(t)c,y,z=ΣxSP''{t,c,y,z}(x)×x」とし、式(7)の代わりにこのFP'(t)c,y,zを用いることでも良い。
【0109】
以上、各図を用いて説明したように、本例では、実際に測定されたP2Pトラヒック測定データから、仮に帯域制御を行わなかった場合にはどれくらいのP2Pトラヒックが流通するかを試算する。
【0110】
例えば、まず、NetFlowやsFlowといった測定技術を用いて対象のネットワーク(NW)内の監視ポイントを流れるフロー情報を集計し、あるいは、パケットキャプチャ装置を用いてパケットを収集してからフロー情報を集計し、次に、集計したフロー情報に基づきP2Pフローを特定し、特定したP2Pフローが、帯域制御をしているネットワーク(あるいはISP)を通過するフローであるか否かを判別し、帯域制御をしているネットワークを通過するP2Pフローを制御P2Pフロー、そうでないP2Pフローを非制御P2Pフローとして分類する。
【0111】
そして、一定期間フローを収集し、フローサイズ(フロー当りの送出バイト数またはパケット数)を集計し、制御P2Pフローのフローサイズ分布と非制御P2Pフローのフローサイズ分布を求め、さらに、制御P2Pフローサイズ分布を非制御P2Pフローサイズ分布に置き換えることによって、仮に制御P2Pフローが非制御P2PフローになったとしたときにP2Pトラヒックがどれくらい増加するかを算出する。
【0112】
例えば、制御P2Pフローサイズ分布をP[制御P2Pフローサイズ=x]=SPc(x)とし、非制御P2Pフローサイズ分布をP[非制御P2Pフローサイズ=x]=SPu(x)とし、また、観測された制御P2Pフロー数、非制御P2Pフロー数をそれぞれNPc、NPuとするとき、制御P2Pフローが非制御P2PフローになったときのP2Pトラヒック量を「NPu×ΣxSPu(x)×x+NPc×ΣxSPu(x)×x」により求める。制御P2Pフローがそのまま制御P2Pフローである場合のP2Pトラヒック量は、「NPu×ΣxSPu(x)×x+NPc×ΣxSPc(x)×x」であり、前者から後者を差し引いたものが、非制御化を前提としたときのP2Pトラヒック量増加分として求められる。
【0113】
より具体的には、図7に示す構成のP2Pトラヒック量推定装置1は、図11に示す手順により、通信網内に流れるP2Pトラヒック量を算出する。
【0114】
まず、パケットヘッダ解析部2において、到着したパケットのヘッダ情報における5つの属性{発信元IPアドレス(srcIP),着信先IPアドレス(dstIP),発信元ポート番号(srcPort),着信先ポート番号(dstPort),プロトコル(Protocol)}を同じくするパケット群を同じフローとして特定し(ステップS1101)、フロー管理部3において、パケットヘッダ解析部2が特定したフロー毎に、当該フローのフローサイズを集計して図8に示すフロー管理テーブル801を生成して記憶装置に登録する(ステップS1102)
【0115】
次にフロー情報分析部4において、フロー管理テーブル801に登録された各フローからP2Pフローを判別すると共に、各P2Pフローを、帯域制御をしているネットワークを通過する制御P2Pフローと、帯域制御をしていないネットワークを通過する非制御P2Pフローに分類する(ステップS1103)。
【0116】
そして、フロー統計算出部5において、フロー管理部3が予め定められた期間、集計したフロー管理テーブル801を参照して、制御P2Pフローのフローサイズ分布と非制御P2Pフローのフローサイズ分布を求め(ステップS1104)、P2Pトラヒック量推定部6において、フロー統計算出部5が求めた制御P2Pフローのフローサイズ分布を非制御P2Pフローのフローサイズ分布に置き換えることによって、制御P2Pフローが非制御P2PフローになったとしたときにP2Pアプリケーションによるトラヒックがどれくらい増加するかを算出する(ステップS1105)。
【0117】
尚、パケットヘッダ解析部2においては、到着したパケットのヘッダ情報における2つの属性{発信元IPアドレス(srcIP),着信先IPアドレス(dstIP)}を同じくするパケット群を同じフローとして特定することでも良く、あるいは、到着した上り方向のパケットについては、当該パケットのヘッダ情報における属性である発信元IPアドレス(srcIP)を同じくするパケット群を同じフローとして特定し、到着した下り方向のパケットについては、当該パケットのヘッダ情報における属性である着信先IPアドレス(dstIP)を同じくするパケット群を同じフローとして特定することでも良い。
【0118】
また、P2Pトラヒック量推定部6は、制御P2Pフローのフローサイズ分布をP[制御P2Pフローサイズ=x]=SPc(x)、非制御P2Pフローのフローサイズ分布をP[非制御P2Pフローサイズ=x]=SPu(x)、フロー管理テーブル801において集計された制御P2Pフローの数および非制御P2Pフローの数をそれぞれNPc、NPuとし、制御P2Pフローが非制御P2PフローになったときのP2Pトラヒック量を「NPu×ΣxSPu(x)×x+NPc×ΣxSPu(x)×x」により算出し、算出したP2Pトラヒック量(NPu×ΣxSPu(x)×x+NPc×ΣxSPu(x)×x)から、制御P2Pフローが制御P2Pフローのままである場合のP2Pトラヒック量(NPu×ΣxSPu(x)×x+NPc×ΣxSPc(x)×x)を差し引くことで、監視ポイントを通過する制御P2Pフローが非制御P2PフローになったとしたときのP2Pアプリケーションによるトラヒック量の増加分を算出する。
【0119】
また、フロー情報分析部4は、フロー管理テーブル801に登録された各フローからP2Pフローと共に非P2Pフローを判別し、P2Pフローと非P2Pフロー毎に、当該フローが制御フローと非制御フローの何れの種別であるかを示すフラグX(制御フローがX=c、非制御フローがX=u)と、当該フローが上りと下りの何れの方向であるかを示すフラグy(上り方向がy=up、下り方向がy=dn)と、当該フローが通信網内のユーザへ向かうフローであるか通信網外のユーザへ向かうフローであるかを示すフラグz(通信網内のユーザへ向かうフローがz=in、通信網外のユーザへ向かうフローがz=out)とを付与した、図9に示すフロー属性情報テーブル901を生成して記憶装置に記憶し、フロー統計計算部5は、一定周期t毎に、フロー情報分析部4が生成したフロー属性情報テーブル901における情報を用いて、種別X(=cもしくはu),方向y(=upもしくはdn)のトラヒック量N(t)X,yと、種別X,方向yのフロー数Nf(t)X,yと、種別X,方向yの着目NW外フロー数比率b(t)X,y(全フロー数のうち、通信網の外へのフローもしくは通信網の外からのフローの数の占める割合)と、種別X,方向y,z(=inもしくはout)のP2Pフロー数比率rp(t)X,y,z(通信網内もしくは外のフローの数うち、P2Pフローの数が占める割合)と、測定区間t、種別X、方向y、NW内外フラグzのP2Pフローサイズ分布SP(t){X,y,z}(x)を用いた式「FP(t)X,y,z=ΣxSP(t){X,y,z}(x)×x」により求められ、種別X,方向y,zのP2Pフローの平均フローサイズFP(t)X,y,zと、フロー数Nf(t)X,yと着目NW外フロー数比率b(t)X,yおよびP2Pフロー数比率rp(t)X,y,zと平均フローサイズFP(t)X,y,zとを用いた式「NP(t)X,y,in=FP(t)X,y,in×(1−b(t)X,y)×rp(t)X,y,in×Nf(t)X,y」により求められる、種別X,方向yのNW内P2Pトラヒック量NP(t)X,y,inと、フロー数Nf(t)X,yと着目NW外フロー数比率b(t)X,yおよびP2Pフロー数比率rp(t)X,y,zと平均フローサイズFP(t)X,y,zとを用いた式「NP(t)X,y,out=FP(t)X,y,out×b(t)X,y×rp(t)X,y,out×Nf(t)X,y」により求められる、種別X,方向yのNW外P2Pトラヒック量NP(t)X,y,outと、NW内P2Pトラヒック量NP(t)X,y,inおよびNW外P2Pトラヒック量NP(t)X,y,outとを用いた式「NP(t)X,y=NP(t)X,y,in+NP(t)X,y,out」により求められる、種別X,方向yのP2Pトラヒック量NP(t)X,yとを算出し、P2Pトラヒック量推定部6は、それぞれ予め定められる通信網全体でのトラヒック量Ntotと、通信網全体を流れるフローのうち帯域制御ネットワークを通過するフローの占める割合である制御フロー比率c、ならびに、トラヒック量N(t)X,yの平均AVG[N(t)X,y]=ΣtN(t)X,y/T(t=1,2,...,T:Tは測定区間数)を含む上述の数1に示す式(1)と式(2)を用いて、種別X=c(帯域制御あり)のトラヒックと種別X=u(帯域制御なし)のトラヒックをそれぞれα倍、β倍して通信網全体でのトラヒック量Ntotと一致するように、αとβを求め、求めたαとβおよびフロー統計計算部5による算出結果を用いて、上述の数2に示す計算式から、制御P2Pフローはそのまま制御されているとしたときの、NW外とやり取りされるP2Pトラヒック量Npoutと、NW内P2Pトラヒック量Npinを算出する。
【0120】
また、P2Pトラヒック量推定部6は、上述の数3に示す式(5)〜(7)により、フロー情報分析部4が分類した制御P2Pフローサイズを非制御P2Pフローサイズで置き換えることによって、制御P2Pフローが非制御化されたときのP2Pトラヒック量を算出する。
【0121】
また、P2Pトラヒック量推定部6は、フロー情報分析部4が分類した制御P2Pフローのうち、γの割合で非制御P2Pフローサイズ分布に従ってフローを送出すると仮定して、非制御化後の、測定区間t、種別X、方向y、NW内外フラグzのP2Pフローサイズ分布SP''{t,c,y,z}(x)を、式「SP''{t,c,y,z}(x)=(1-γ)SP(t){c,y,z}+γSP(t){u,y,z}」により求めると共に、平均フローサイズFP'(t)c,y,zを、式「FP'(t)c,y,z=ΣxSP''{t,c,y,z}(x)×x」により求め、求めたFP'(t)c,y,z(=ΣxSP''(t){X,y,z}(x)×x」)を、上述の数3における式(7)におけるFP'(t)c,y,zの代わりに用いて、同数3に示す式(5)〜(6)により、制御P2Pフローが非制御化されたときのP2Pトラヒック量を算出する。
【0122】
すなわち、P2Pトラヒック量推定部6は、下記の数4に示す式(8)〜(10)により、フロー情報分析部4が分類した制御P2Pフローサイズを非制御P2Pフローサイズで置き換えることによって、制御P2Pフローが非制御化されたときのP2Pトラヒック量を算出する。
【0123】
【数4】
【0124】
また、フロー統計計算部5は、種別X,方向y,zのP2Pフローの平均フローサイズFP(t)X,y,zを、測定区間t、種別X、方向y、NW内外フラグzのP2Pフローサイズ分布SP(t){X,y,z}(x)を用いた式「FP(t)X,y,z=ΣxSP(t){X,y,z}(x)×x」により求める。
【0125】
あるいは、フロー統計計算部5は、P2Pフローのうち、予め定めた閾値th以上のサイズのフローのみを特定P2Pフローとして抽出し、この特定P2Pフローのフローサイズ分布SP'{t,X,y,z}(x)を、式「SP'{t,X,y,z}(x)=SP(t){X,y,z}/[1-Σx=1〜thSP(t){X,y,z}]により求め、種別X,方向y,zのP2Pフローの平均フローサイズFP(t)X,y,zを、式「FP(t)X,y,z=ΣxSP'{t,X,y,z}(x)×x」により算出すると共に、P2Pフロー比率rp'(t)X,y,zを、式「rp'(t)X,y,z=rp(t)X,y,z×[1-Σx=1〜thSP'{t,X,y,z}(x)]」により算出する。
【0126】
このように、本例では、ネットワークにおける非制御化を前提としたときにP2Pトラヒック量がどれくらい増加するかを試算することができ、本来のP2Pトラヒックの需要をより正確に把握することができ、今後のネットワークアーキテクチャやネットワーク設計をより適切に行うことが可能となる。
【0127】
尚、本発明は、各図を用いて説明した例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。例えば、図7においては、1台のコンピュータ装置に、本発明に係るP2Pトラヒック量推定装置1の各処理部(パケットヘッダ解析部2、フロー管理部3、フロー情報分析部4、フロー統計計算部5、P2Pトラヒック量推定部6)を設けた構成としているが、複数のコンピュータ装置に各処理部の機能を適宜に分散して設けた構成としても良い。
【0128】
また、本例のコンピュータ構成に関しても、キーボードや光ディスクの駆動装置の無いコンピュータ構成としても良い。また、本例では、光ディスクを記録媒体として用いているが、FD(Flexible Disk)等を記録媒体として用いることでも良い。また、プログラムのインストールに関しても、通信装置を介してネットワーク経由でプログラムをダウンロードしてインストールすることでも良い。
【符号の説明】
【0129】
1:P2Pトラヒック量推定装置、2:パケットヘッダ解析部、3:フロー管理部、4:フロー情報分析部、5:フロー統計算出部、6:P2Pトラヒック量推定部、101:フロー情報テーブル、301,401:ネットワーク、501:P2Pトラヒック量推定装置、502:ノードA、503:ノードB、601:P2Pトラヒック量推定装置、602:ネットワーク、603a〜603g:ルータ、801:フロー管理テーブル、901:フロー属性情報テーブル。
【技術分野】
【0001】
本発明は、IP(Internet Protocol)ネットワークの通信トラヒックを把握・管理する技術に係り、特に、コンピュータ装置に実装されたP2P(peer-to-peer)アプリケーションによるトラヒック量を効率的に算出するのに好適な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
IPネットワークが広く利用されてくるに伴って、利用形態も多様化してきている。それに伴い、ネットワークを流れるトラヒックを測定して現在の通信トラヒック状況を把握することが重要になってきている。
【0003】
特に、P2Pアプリケーションによるトラヒックがネットワークの帯域を占有することが近年指摘されている。
【0004】
P2Pトラヒックを測定する従来技術はいくつか存在する。例えば、特許文献1においては、IPアドレスおよびポート番号で識別される監視対象のノード間のトラヒック量を積算し、所定の基準トラヒック量を超えた監視対象のP2Pコネクションを選別する技術が記載されている。この技術においては、トラヒック量は、当該P2Pコネクションを流れるパケットのデータ量を求め、テーブル上で積算される。
【0005】
また、非特許文献1に記載のCisco(登録商標)社のSCE(Service Control Engine)という製品では、deep packet inspection(DPI)と呼ばれる技術を用い、ペイロードまで解析することで、アプリケーションレベルの動作を分析してP2Pトラヒックを識別する。
【0006】
また、非特許文献2,3では、P2Pアプリケーションを端末で起動させて、P2P通信をしているユーザのIPアドレスを収集することで、P2Pフローの識別を行う技術が記載されている。これら識別されたフロー情報と、ネットワーク内で観測されたフロー毎のトラヒック量(フローのバイト数やパケット数)を突合することで、P2Pフロー全体でのトラヒック量を把握することが可能となる。
【0007】
尚、フローとは、5つの属性である{発信元IPアドレス(srcIP),着信先IPアドレス(dstIP),発信元ポート番号(srcPort),着信先ポート番号(dstPort),プロトコル(Protocol)}を同じくするパケット群であり、非特許文献4に記載の「NetFlow」(登録商標)、非特許文献5に記載の「sFlow」(登録商標)といったフロー測定技術を用いることにより、測定可能である。
【0008】
これらの技術を用いることにより、現状、P2Pトラヒックがどれくらい流れているかを把握することが可能となる。
【0009】
しかしながら、ネットワーク(ISP:Internet Service Provider)によっては、P2P規制や帯域制御を行っている場合があるため、従来技術において測定されるトラヒック量は、制御後のP2Pトラヒックとなり、今後のネットワークアーキテクチャやネットワーク設計を考える上で必要となる、本来のP2Pトラヒックの需要を把握することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2005−202589号公報
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】「NetOneSystems ネットワンシステムズ:製品情報:ネットワーク:帯域制御:Service Control Engine(SCE)シリーズ」、[online]、[平成21年10月16日検索]、インターネット<URL:http://www.netone.co.jp/product/cat_network/band-control/tfa9q10000002m6s3.html>
【非特許文献2】Satoshi Ohzahata,Yoichi Hagiwara,Matsuaki Terada and Konosuke Kawashima, "A Traffic Identification Method and Evaluations for a Pure P2P Application," Proc. of the 2005 Passive and Active Measurement(PAM'05)work shop.
【非特許文献3】亀井他,"複数レイヤでの部分測定を用いたP2Pファイル共有アプリケーションの規模推定",信学会和文論文誌 Vol.J88-B No.11 pp.2171-2180.
【非特許文献4】NetFlow,[online]、[平成21年10月16日検索]、インターネット<URL:http://en.wikipedia.org/wiki/Netflow>.
【非特許文献5】InMon sFlow Probe,[online]、[平成21年10月16日検索]、インターネット<URL:http://www.inmon.com/products/probes.php>.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
解決しようとする問題点は、従来の技術では、ネットワークにおいてP2P規制や帯域制御を行っている場合があり、今後のネットワークアーキテクチャやネットワーク設計を考える上で必要となる、本来のP2Pトラヒックの需要を把握することができない点である。
【0013】
本発明の目的は、これら従来技術の課題を解決し、ネットワークアーキテクチャやネットワーク設計を適切に行うことを可能とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するため、本発明では、実際に測定されたP2Pトラヒック測定データから、仮に帯域制御を行わなかった場合にはどれくらいのP2Pトラヒックが流通するかを試算することを特徴とする。例えば、まず、NetFlowやsFlowといった測定技術を用いて対象のネットワーク(NW)内の監視ポイントを流れるフロー情報を集計し、あるいは、パケットキャプチャ装置を用いてパケットを収集してからフロー情報を集計し、次に、集計したフロー情報に基づきP2Pフローを特定し、特定したP2Pフローが、帯域制御をしているネットワーク(あるいはISP)を通過するフローであるか否かを判別し、帯域制御をしているネットワークを通過するP2Pフローを制御P2Pフロー、そうでないP2Pフローを非制御P2Pフローとして分類し、さらに、一定期間フローを収集し、フローサイズ(フロー当りの送出バイト数またはパケット数)を集計し、制御P2Pフローのフローサイズ分布と非制御P2Pフローのフローサイズ分布を求め、そして、制御P2Pフローサイズ分布を非制御P2Pフローサイズ分布に置き換えることによって、仮に制御P2Pフローが非制御P2PフローになったとしたときにP2Pトラヒックがどれくらい増加するかを算出する。例えば、制御P2Pフローサイズ分布をP[制御P2Pフローサイズ=x]=SPc(x)とし、非制御P2Pフローサイズ分布をP[非制御P2Pフローサイズ=x]=SPu(x)とし、また、観測された制御P2Pフロー数、非制御P2Pフロー数をそれぞれNPc、NPuとするとき、制御P2Pフローが非制御P2PフローになったときのP2Pトラヒック量を「NPu×ΣxSPu(x)×x+NPc×ΣxSPu(x)×x」により求める。尚、制御P2Pフローがそのまま制御P2Pフローである場合のP2Pトラヒック量は、「NPu×ΣxSPu(x)×x+NPc×ΣxSPc(x)×x」であり、前者から後者を差し引いたものが、非制御化を前提としたときのP2Pトラヒック量増加分として求められる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ネットワークにおける非制御化を前提としたときにP2Pトラヒック量がどれくらい増加するかを試算することができ、本来のP2Pトラヒックの需要をより正確に把握することができ、今後のネットワークアーキテクチャやネットワーク設計をより適切に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係るP2Pトラヒック量推定装置で用いるフロー情報例を示す説明図である。
【図2】本発明に係るP2Pトラヒック量推定装置で用いるフローサイズ分布例を示す説明図である。
【図3】本発明に係るP2Pトラヒック量推定装置を設ける着目ネットワークに流れるフロー状況例を示す説明図である。
【図4】本発明に係るP2Pトラヒック量推定装置を設ける着目ネットワークに流れるフローの属性例を示す説明図である。
【図5】本発明に係るP2Pトラヒック量推定装置の第1の設置構成例を示すブロック図である。
【図6】本発明に係るP2Pトラヒック量推定装置の第2の設置構成例を示すブロック図である。
【図7】本発明に係るP2Pトラヒック量推定装置の内部構成例を示すブロック図である。
【図8】図7の本発明に係るP2Pトラヒック量推定装置において用いるフロー管理テーブルの構成例を示す説明図である。
【図9】図7の本発明に係るP2Pトラヒック量推定装置において用いるフロー属性情報例を示す説明図である。
【図10】図7の本発明に係るP2Pトラヒック量推定装置において用いる統計情報例を示す説明図である。
【図11】図7の本発明に係るP2Pトラヒック量推定装置のP2Pトラヒック量推定方法による処理動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図を用いて本発明を実施するための形態例を説明する。図7において示す本発明に係るP2Pトラヒック量推定装置1は、CPU(Central Processing Unit)や主メモリ、表示装置、入力装置、外部記憶装置等を具備したコンピュータ構成からなり、光ディスク駆動装置等を介してCD−ROM等の記憶媒体に記録されたプログラムやデータを外部記憶装置内にインストールした後、この外部記憶装置から主メモリに読み込みCPUで処理することにより、各処理部の機能を実行する。
【0018】
すなわち、本例のP2Pトラヒック量推定装置1は、プログラムされたコンピュータ処理を実行する手段として、パケットヘッダ解析部2、フロー管理部3、フロー情報分析部4、フロー統計算出部5、P2Pトラヒック量推定部6を有している。
【0019】
このような構成からなるP2Pトラヒック量推定装置1は、図5のP2Pトラヒック量推定装置501として示すように、ネットワークにおけるノード502,503(ルータやスイッチ)間のリンクに挿入される形態で利用されても良いし、あるいは、ノード502,503において、パケットをポートへミラーして、そのポートの先にP2Pトラヒック量推定装置を設置しても良い。
【0020】
あるいは、図6のP2Pトラヒック量推定装置601として示すように、ネットワーク602内の各ルータ603a〜gからNetFlowやsFlowのようなフロー情報をexportさせて、それらを収集しても良い。
【0021】
以下、図7に示す構成からなるP2Pトラヒック量推定装置1による、本発明に係るP2Pトラヒック量の試算技術について、<第1〜第8の試算技術>を例に説明する。
【0022】
まず、<第1の試算技術>について説明する。
【0023】
図7に示す構成からなるP2Pトラヒック量推定装置1では、実際に測定されたP2Pトラヒック測定データから、仮に帯域制御を行わなかった場合にはどれくらいのP2Pトラヒックが流通するかを試算する。
【0024】
すなわち、NetFlowやsFlowといった測定技術を用いて対象のネットワーク(NW)内の監視ポイントを流れるフロー情報を集計する。あるいは、パケットキャプチャ装置を用いてパケットを収集してからフロー情報を集計する。そして、集計したフロー情報に基づきP2Pフローを特定し、特定したP2Pフローが、帯域制御をしているネットワーク(あるいはISP)を通過するフローであるか否かを判別し、帯域制御をしているネットワークを通過するP2Pフローを制御P2Pフロー、そうでないP2Pフローを非制御P2Pフローとして分類する。
【0025】
さらに、一定期間フローを収集し、フローサイズ(フロー当りの送出バイト数またはパケット数)を集計し、制御P2Pフローのフローサイズ分布と非制御P2Pフローのフローサイズ分布を求め、そして、制御P2Pフローサイズ分布を非制御P2Pフローサイズ分布に置き換えることによって、仮に制御P2Pフローが非制御P2PフローになったとしたときにP2Pトラヒックがどれくらい増加するかを算出する。
【0026】
例えば、制御P2Pフローサイズ分布をP[制御P2Pフローサイズ=x]=SPc(x)とし、非制御P2Pフローサイズ分布をP[非制御P2Pフローサイズ=x]=SPu(x)とし、また、観測された制御P2Pフロー数、非制御P2Pフロー数をそれぞれNPc、NPuとするとき、制御P2Pフローが非制御P2PフローになったときのP2Pトラヒック量をNPu×ΣxSPu(x)×x+NPc×ΣxSPu(x)×xにより求める。
【0027】
尚、制御P2Pフローがそのまま制御P2Pフローである場合のP2Pトラヒック量は、NPu×ΣxSPu(x)×x+NPc×ΣxSPc(x)×xであり、前者から後者を差し引いたものが非制御化を前提としたときのP2Pトラヒック量増加分として求める。
【0028】
本例のP2Pトラヒック量推定装置1で用いるフロー情報は、図1においてフロー情報テーブル(図中「フロー情報」と記載)101として示すように、フローID{srcIP,dstIP,srcPort,dstPort,protocol}毎の、バイト数、パケット数を指す。
【0029】
また、P2Pトラヒック量推定装置1において、どれがP2Pフローか否かを判別する技術として、上述の非特許文献1〜3に記載の技術を用いる。
【0030】
さらに、それらP2Pフローを、帯域制御をしているネットワーク(あるいはISP)を通過するフローか否かを判別する際、srcIPまたはdstIPアドレスが帯域制御をしているネットワークからあるいは当該ネットワークへ向かうフローか否かを調べることで判別する。ここでは、帯域制御NWを通過するP2Pフローを制御P2Pフロー、そうでないP2Pフローを非制御P2Pフローとして分類する。
【0031】
そして、P2Pトラヒック量推定装置1では、一定期間フローを収集し、フローサイズ(フロー当りの送出バイト数またはパケット数)を集計し、制御P2Pフローのフローサイズ分布および非制御P2Pフローのフローサイズ分布を求める。
【0032】
このフローサイズ分布について図2を用いて説明する。
【0033】
図2において、x軸はフローサイズx[byte]であり、Y軸のP[フローサイズ>x]とは、フローサイズがx[byte]を超えるフロー数の割合を意味する。
【0034】
図2の例では、非制御P2Pフローについては、0.1、つまり10%のフローがフローサイズ100Mbyteを超えていることを意味している。一方、制御P2Pフローは、10%のフローが10Mbyteを超えている。
【0035】
インターネットトラヒック測定データにより、一般に、フローサイズは、図2における非制御P2Pフローで示すように、直線(両対数軸の場合)になることが知られている。つまり、裾の長い分布(パレート分布など)に従うことが知られている(例えば、「N.Duffield, C.Lund, and M.Thorup,"Estimating Flow Distributions from Sampled Flow Statistics," ACM SIGCOMM, pp.325-336,2003.」,「T.Mori, M.Uchida, R.Kawahara, J.Pan, and S.Goto,"Identifying elephant flows through periodically sampled packets," ACM SIGCOMM Internet Measurement Conference,2004.」参照)。
【0036】
一方、帯域制御されると、バイト数の大きいフローは制御がかかるため、分布の形状は、図2における制御P2Pフローで示すように、裾が打ち切られたような形状になる。
【0037】
本例では、このような制御P2Pフローサイズ分布を、非制御P2Pフローサイズ分布に置き換えることによって、仮に、制御P2Pフローが非制御P2Pフローになったとしたときに、P2Pトラヒックがどれくらい増加するかを試算する。
【0038】
このような<第1の試算技術>の具体的な計算技術を、<第2〜第8の試算技術>で説明する。
【0039】
まず、<第2の試算技術>においては、制御P2Pフローサイズ分布を、P[制御P2Pフローサイズ=x]=SPc(x)とし、非制御P2Pフローサイズ分布を、P[非制御P2Pフローサイズ=x]=SPu(x)とする。
【0040】
また、観測された制御P2Pフロー数をNPc、観測された非制御P2Pフロー数をNPuとする。
【0041】
このとき、制御P2Pフローが非制御P2PフローになったときのP2Pトラヒック量を、「NPu×ΣxSPu(x)×x+NPc×ΣxSPu(x)×x」の式(1)により推定する。
【0042】
尚、制御P2Pフローがそのまま制御P2Pフローである場合のP2Pトラヒック量は、「NPu×ΣxSPu(x)×x+NPc×ΣxSPc(x)×x」の式(2)となり、式(1)の値から式(2)の値を差し引いたものが、非制御化を前提としたときのP2Pトラヒック量増加分として推定する。
【0043】
次に、<第3の試算技術>について説明する。
【0044】
上述の第2の試算技術においては、監視ポイント(302,402)を通過するトラヒックが、非制御化を前提としたときに、どれだけ増加するかを推定していたのに対し、第2の試算技術では、着目するNW(この中に監視ポイントが存在する)全体でのP2Pトラヒック量を推定する。
【0045】
具体的には、図3に示すように、着目するネットワーク(図中「着目するNW」と記載)301全体の中で黒丸部分の監視ポイント302でのみフロー測定を実施しているとすると、フロー(1)とフロー(2)は観測されるが、フロー(3)とフロー(4)は観測されない。
【0046】
第3の試算技術では、これら観測されない領域も含めてP2Pトラヒック量を推定するため、以下の手順で分析を行う。
【0047】
監視ポイントを流れるフローのうち、ユーザからインターネットへ向かう方向を上り方向、逆方向を下り方向と定義して、方向別にフローを集計する。具体的には、フロー情報にフラグyをつけて、y=upならば上り、dnならば下り、とする。
【0048】
さらに、監視ポイントを上り(下り)方向に通過するフローのうち、着目ネットワーク(NW)内のユーザへ向かう(から送信された)フローであるか否かを区別するフラグzをつける。z=inならばそうであるとし、z=outならば着目ネットワーク外との通信フローとする。つまり、図4に示すように、着目するネットワーク(図中「着目するNW」と記載)401における監視ポイント402を通過するフローを、「up,out」、「dn,out」、「up,in」、「dn,in」の4種類のフローに分類する。
【0049】
また、Xというフラグも導入し、X=cならば制御フロー、X=uならば非制御フローとして分類する。
【0050】
これら分類を行って、図10に示す「入力」に関する各統計情報(N(t)X,y,Nf(t)X,y,b(t)X,y,rp(t)X,y,z,FP(t)X,y,z,NP(t)X,y,in,NP(t)X,y,out,NP(t)X,y)を収集する。
【0051】
尚、一定周期毎にフロー統計収集を行っているとし、図10に示す各統計情報のうち、tという添え字があるものは、t番目の周期に集計された値を表す。
【0052】
図10において、平均フローサイズ(FP(t)X,y,z)は、フローサイズ分布より算出する。具体的には、測定区間t、種別X、方向y、NW内外フラグzのP2Pフローサイズ分布をSP(t){X,y,z}(x)とすると、「FP(t)X,y,z=ΣxSP(t){X,y,z}(x)×x」と算出する。
【0053】
また、NW全体でのトラヒック量をNtot、NW全体を流れるフローのうち、帯域制御ネットワークを通過するフローの占める割合を制御フロー比率cとする。
【0054】
これらは予め定めておくパラメータである。尚、NW全体でのトラヒック量Ntotについては、NW内の各リンクを流れるトラヒック測定値から算出しておいても良い。また、制御フロー比率cについては、想定される範囲内で振らせるか、外部条件から予め定めておく。
【0055】
尚、パラメータc(NW全体を流れるフローのうち、帯域制御ネットワークを通過するフローの占める割合としての制御フロー比率)を導入した理由は、監視ポイントを通過する制御フロー数、非制御フロー数の比率が、必ずしもNW全体でみたときのそれと一致しているとは限らないためである。
【0056】
以上の準備のもと、以下に示す数1と数2に示す計算式を用いて、図10に示す「出力」に関する各統計情報(NW外とやり取りされるP2Pトラヒック量Npout,NW内P2Pトラヒック量Npin)を推定(算出)する。
【0057】
まず、種別X=c(帯域制御あり)のトラヒック、およびX=u(帯域制御なし)のトラヒックをそれぞれα倍、β倍してNtotと一致するように、αとβを決める。ここでは、非P2Pトラヒック量は、帯域制御の影響に依らず、制御フロー比率に比例していると仮定して、数1に示す式を満たすα、βを計算する。尚、AVG[A(t)]=ΣtA(t)/T(t=1,2,...,T:Tは測定区間数)と定義する。
【0058】
【数1】
【0059】
次に、このようにして計算したα、βを用いて、制御P2Pフローはそのまま制御されているとしたときのP2Pトラヒック量(Npout,Npin)を、以下の数2に示す式を用いて推定(算出)する。
【0060】
【数2】
【0061】
尚、Npin(NW内P2Pトラヒック量)は、着目NWのユーザから(同NWユーザへ向けて)流入されるP2Pトラヒック量(つまり上り方向)を意味し、同時に、(着目NWユーザから)着目NWユーザへ向けて流出されるP2Pトラヒック量(つまり下り方向)を意味する。
【0062】
監視ポイントにおいては、up,inのP2Pトラヒック量は必ずしもdn,inのそれと一致していない場合があるが、NW全体でみた場合には、流入するinトラヒックと流出するinトラヒックは一致する必要があり、そうなるように、上述の数2における式(4)では推定している。
【0063】
また、Npout(NW外とやり取りされるP2Pトラヒック量)については、上述の数2に示す式(3)における第1項と第2項の和が、NW外へ流出されるP2Pトラヒック量を意味し、第3項と第4項がNW外から流入されるP2Pトラヒック量に対応する。
【0064】
次に、<第4の試算技術>について説明する。
【0065】
上述の第3の試算技術においては、制御P2Pフローはそのまま制御されているとしていたのに対し、本例の第4の試算技術では、制御P2Pフローが非制御化されたときのP2Pトラヒック量を、下記の数3における式(7)に示すように、制御P2Pフローサイズを非制御P2Pフローサイズで置き換えることによって、同数3の式を用いて試算する。
【0066】
【数3】
【0067】
次に、<第5の試算技術>について説明する。
【0068】
第5の試算技術においては、上述の第1の試算技術のように、フローを5つ組{発信元IPアドレス(srcIP),着信先IPアドレス(dstIP),発信元ポート番号(srcPort),着信先ポート番号(dstPort),プロトコル(Protocol)}で定義する代わりに、2つ組{発信元IPアドレス(srcIP),着信先IPアドレス(dstIP)}で定義する。
【0069】
次に、<第6の試算技術>について説明する。
【0070】
第6の試算技術においては、フローの定義として、上り方向については発信元IPアドレス(srcIP)、下り方向については着信先IPアドレス(dstIP)の1つ組で定義する。
【0071】
これは、帯域制御の仕方によっては、5つ組のフロー単位での制御ではなく、2つ組の単位、あるいは1つ組の単位で制御している場合があるため、それらの条件に対応するためである。
【0072】
次に、<第7の試算技術>について説明する。
【0073】
第7の試算技術においては、上述の第3の試算技術または第4の試算技術のように、P2Pフローサイズの平均をFP(t)X,y,z=ΣxSP(t){X,y,z}(x)×xと計算する代わりに、P2Pフローのうち、予め定めた閾値th以上のサイズのフローのみをP2Pフローと再定義し、このときのP2Pフローサイズ分布SP'{t,X,y,z}(x)を「SP'{t,X,y,z}(x)=SP(t){X,y,z}/[1-Σx=1〜thSP(t){X,y,z}]」として、P2Pフローサイズの平均FP(t)X,y,zを、「FP(t)X,y,z=ΣxSP'{t,X,y,z}(x)×x」で計算し、また、P2Pフロー比率rp'(t)X,y,zも「rp'(t)X,y,z=rp(t)X,y,z×[1-Σx=1〜thSP'{t,X,y,z}(x)]」として、第3の試算技術または第4の試算技術における計算式(数1〜3)に適用する。
【0074】
第7の試算技術では、サイズの小さいフローというのは、実際のデータ転送を行っているフローではなく、制御パケットのみを送っているフローであることが考えられるため、ある閾値th以下のフローについては、それを除くことによって、実際のデータ転送によるP2Pトラヒック量を試算することを可能にする。
【0075】
また、サイズの小さいフローは、スキャントラヒックなどの異常トラヒックの影響により、実際のユーザ動作によるトラヒック以外が含まれる可能性があるため、閾値以下を除くことで、それら異常トラヒックを除去する。
【0076】
次に、<第8の試算技術>について説明する。
【0077】
第8の試算技術においては、第4の試算技術のように、制御P2Pフローサイズ分布が非制御化になったときに非制御P2Pフローサイズ分布になると仮定する代わりに、制御P2Pフローのうち、γの割合で非制御P2Pフローサイズ分布に従ってフローを送出すると仮定して、非制御化後の、測定区間t、種別X、方向y、NW内外フラグzのP2Pフローサイズ分布SP''{t,c,y,z}(x)を「SP''{t,c,y,z}(x)=(1-γ)SP(t){c,y,z}+γSP(t){u,y,z}」とし、平均フローサイズFP'(t)c,y,zを「FP'(t)c,y,z=ΣxSP''{t,c,y,z}(x)×x」とし、第4の試算技術に示す数3における式(7)の代わりに、この平均フローサイズFP'(t)c,y,zを用いる。
【0078】
以下、図7に示すP2Pトラヒック量推定装置1を構成する各処理部の処理動作(上述の<第3の試算技術>に相当)を説明する。
【0079】
図7に示すP2Pトラヒック量推定装置1は、前段ノードからパケットが到着すると、パケットヘッダ解析部2において、ノードAからノードB方向のパケットであるかノードBからノードA方向のパケットかを判別する。ここでは、ノードAからノードB方向がユーザからの上り方向、ノードBからノードA方向が下り方向だとして説明を進める。
【0080】
そして、パケットヘッダ解析部2は、パケットのフローID={発信元IPアドレス(srcIP),着信先IPアドレス(dstIP),発信元ポート番号(srcPort),着信先ポート番号(dstPort),プロトコル(Protocol)}を読み出し、これらの情報を含むヘッダ情報を、フロー管理部3に通知する。
【0081】
フロー管理部3では、図8に示すフロー管理テーブル801を保持している。この図8に示すフロー管理テーブル801においては、フローIDごとにパケット数、バイト数、方向を管理している。
【0082】
フロー管理部3は、パケットヘッダが到着すると、当該パケットが、既にフロー管理テーブル801においてエントリされているフローからのパケットであるか否かを調べ、もし、エントリ済みであれば、フロー管理テーブル801内の該当フローIDのパケット数を1つカウントアップし、バイト数は、当該パケットサイズ分カウントアップする。
【0083】
また、新規フローからのパケットであれば、フロー管理部3は、フロー管理テーブル801において、当該フローIDを新規にエントリし、パケット数を1に、バイト数を当該パケットサイズに設定する。
【0084】
そして、予め定められた一定期間が経過した後、フロー管理部3は、フロー管理テーブル801の情報をフロー情報分析部4へ通知する。
【0085】
フロー情報分析部4では、フロー管理部3からフロー情報を受け取ると、各フローについて、以下のようにして、図9においてフロー属性情報テーブル(図中「フロー属性情報」と記載)901に示すように、各属性を付与する。
【0086】
まず、フロー情報分析部4は、P2Pフローか否かの識別を行う。この識別は、例えば上述した非特許文献1〜3のいずれかの既存の技術を用いて行う。
【0087】
次に、フロー情報分析部4は、帯域制御をしているネットワーク(あるいはISP)を通過するフローか否かを判別する属性Xを付与する。この判別は、srcIPアドレスまたはdstIPアドレスが帯域制御をしているネットワークからあるいは当該ネットワークへ向かうフローであるか否かを調べることで行い、帯域制御NWを通過するフローを制御フロー、そうでないフローを非制御フローとして分類する。制御フローであればX=c、非制御フローであればX=uとする。
【0088】
さらに、フロー情報分析部4は、通信方向を上り方向、逆方向を下り方向と定義して、方向別にフローを集計する。具体的には、フロー情報にフラグyをつけて、y=upならば上り、dnならば下り、とする。
【0089】
そして、フロー情報分析部4は、監視ポイントを上り(下り)方向に通過するフローのうち、着目ネットワーク(NW)内のユーザへ向かう(から送信された)フローであるか否かを区別するフラグzをつける。z=inならばそうであるとし、z=outならば着目ネットワーク外との通信フローとする。
【0090】
これは、例えば上りフローであれば、そのdstIPをみて、dstIPが着目NW内ネットワークアドレスに含まれていれば、in、そうでなければoutとする。以上の処理が終わると、フロー情報分析部4は、その結果をフロー統計計算部5に通知する。
【0091】
フロー統計計算部5では、フロー情報分析部4から通知された図9のフロー属性情報テーブル901における情報を用いて、前述の図10における「入力」で示す各統計(N(t)X,y,Nf(t)X,y,b(t)X,y,rp(t)X,y,z,FP(t)X,y,z,NP(t)X,y,in,NP(t)X,y,out,NP(t)X,y)を計算する。尚、各統計のtという添え字は、t番目の周期に集計された値を表す。
【0092】
ここで、平均フローサイズ(FP(t)X,y,z)は、フローサイズ分布より算出する。具体的には、測定区間t、種別X、方向y、NW内外フラグzのP2Pフローサイズ分布をSP(t){X,y,z}(x)とすると、「FP(t)X,y,z=ΣxSP(t){X,y,z}(x)×x」と算出する。
【0093】
以上の計算後、フロー統計計算部5は、算出したフロー統計を、P2Pトラヒック量推定部6に通知する。
【0094】
P2Pトラヒック量推定部6は、一定周期毎に計算され通知されるフロー統計計算部5からのフロー統計情報を図示していない記憶装置に蓄積し、測定区間t=1からTまでのデータが蓄積されたら、以下の手順で、P2Pトラヒック量を推定する。
【0095】
具体的には、P2Pトラヒック量推定部6は、図10における「出力」で示す、NW外とやり取りされるP2Pトラヒック量Npoutと、NW内P2Pトラヒック量Npinを推定(算出)する。
【0096】
その際、NW全体でのトラヒック量をNtotとし、NW全体を流れるフローのうち、帯域制御ネットワークを通過するフローの占める割合を制御フロー比率cとする。これらは予め定めておくパラメータである。尚、Ntot(NW全体でのトラヒック量)については、NW内の各リンクを流れるトラヒック測定値から算出しておいても良い。c(制御フロー比率:帯域制御ネットワークを通過するフローの占める割合)については、想定される範囲内で振らせるか、外部条件から予め定めておく。
【0097】
計算式は、上述の数1と数2で示した通りである。尚、種別X=c(帯域制御あり)のトラヒック、およびX=u(帯域制御なし)のトラヒックをそれぞれα倍、β倍してNtot(NW全体でのトラヒック量)と一致するように、αとβを決める。
【0098】
ここでは、非P2Pトラヒック量は、帯域制御の影響に依らず、制御フロー比率に比例していると仮定して、上述の数1を満たすα、βを計算する。尚、AVG[A(t)]=ΣtA(t)/T(t=1,2,...,T:Tは測定区間数)と定義する。
【0099】
そして、P2Pトラヒック量推定部6は、このように計算したα、βを用いて、制御P2Pフローはそのまま制御されているとしたときのP2Pトラヒック量(NW外とやり取りされるP2Pトラヒック量Npout、NW内P2Pトラヒック量Npin)を、上述の数2の式を用いて推定(算出)する。
【0100】
さらに、P2Pトラヒック量推定部6は、上述の数3の式で示す通りに、制御P2Pフローが非制御化されたときのP2Pトラヒック量を、制御P2Pフローサイズを非制御P2Pフローサイズで置き換えることによって試算する。
【0101】
尚、数3における式(6)のNpinから数2における式(4)のNpinの値を差し引いたものが、非制御化によって増加すると想定されるP2Pトラヒック量(NW内)に相当し、数3における式(5)のNpoutから数2における式(3)のNpoutを差し引いたものが、非制御化によって増加すると想定されるP2Pトラヒック量(NW外)に相当する。
【0102】
以上の例(<第3の試算技術>に相当)では、監視ポイント以外のNW全体としてのP2Pトラヒック量を推定していたが、監視ポイントを通過するトラヒックのうち、P2Pトラヒック量がどれくらい非制御化を前提としたときに増加するかを計算するには、上述の<第2の試算技術>を用いる。
【0103】
すなわち、制御P2Pフローサイズ分布をP[制御P2Pフローサイズ=x]=SPc(x)とし、非制御P2Pフローサイズ分布をP[非制御P2Pフローサイズ=x]=SPu(x)とする。また、観測された制御P2Pフロー数、非制御P2Pフロー数をそれぞれNPc、NPuとする。
【0104】
このとき、制御P2Pフローが非制御P2PフローになったときのP2Pトラヒック量をNPu×ΣxSPu(x)×x+NPc×ΣxSPu(x)×xにより推定する。また、制御P2Pフローがそのまま制御P2Pフローである場合のP2Pトラヒック量は、NPu×ΣxSPu(x)×x+NPc×ΣxSPc(x)×xであり、前者から後者を差し引いたものが非制御化を前提としたときのP2Pトラヒック量増加分として推定する。
【0105】
また、上述の例(<第3の試算技術>に相当)では、フローを5つ組{発信元IPアドレス(srcIP),着信先IPアドレス(dstIP),発信元ポート番号(srcPort),着信先ポート番号(dstPort),プロトコル(Protocol)}で定義しているが、上述の<第5の試算技術>で説明したように、フローを、2つ組{発信元IPアドレス(srcIP),着信先IPアドレス(dstIP)}で定義しても良い。
【0106】
あるいは、上述の<第6の試算技術>で説明したように、フローを、上り方向については発信元IPアドレス(srcIP)、下り方向については着信先IPアドレス(dstIP)の1つ組で定義しても良い。
【0107】
さらに、上述の例(<第3の試算技術>に相当)では、P2Pフローサイズの平均をFP(t)X,y,z=ΣxSP(t){X,y,z}(x)×xと計算しているが、その代わりに、上述の<第7の試算技術>で説明したように、P2Pフローのうち、予め定めた閾値th以上のサイズのフローのみをP2Pフローと再定義し、このときのP2Pフローサイズ分布SP'{t,X,y,z}(x)を「SP'{t,X,y,z}(x)=SP(t){X,y,z}/[1-Σx=1〜thSP(t){X,y,z}]」として、P2Pフローサイズの平均FP(t)X,y,zを「FP(t)X,y,z=ΣxSP'{t,X,y,z}(x)×x」で計算し、また、P2Pフロー比率rp'(t)X,y,zも「rp'(t)X,y,z=rp(t)X,y,z×[1-Σx=1〜thSP'{t,X,y,z}(x)]」として、上述の第1の試算技術における計算式に適用することでも良い。
【0108】
また、上述の例(<第3の試算技術>に相当)では、制御P2Pフローサイズ分布が非制御化になったときに非制御P2Pフローサイズ分布になると仮定しているが、その代わりに、上述の<第8の試算技術>で説明したように、制御P2Pフローのうち、γの割合で非制御P2Pフローサイズ分布に従ってフローを送出すると仮定して、非制御化後の、測定区間t、種別X、方向y、NW内外フラグzのP2Pフローサイズ分布SP''{t,c,y,z}(x)を「SP''{t,c,y,z}(x)=(1-γ)SP(t){c,y,z}+γSP(t){u,y,z}」とし、平均フローサイズFP'(t)c,y,zを「FP'(t)c,y,z=ΣxSP''{t,c,y,z}(x)×x」とし、式(7)の代わりにこのFP'(t)c,y,zを用いることでも良い。
【0109】
以上、各図を用いて説明したように、本例では、実際に測定されたP2Pトラヒック測定データから、仮に帯域制御を行わなかった場合にはどれくらいのP2Pトラヒックが流通するかを試算する。
【0110】
例えば、まず、NetFlowやsFlowといった測定技術を用いて対象のネットワーク(NW)内の監視ポイントを流れるフロー情報を集計し、あるいは、パケットキャプチャ装置を用いてパケットを収集してからフロー情報を集計し、次に、集計したフロー情報に基づきP2Pフローを特定し、特定したP2Pフローが、帯域制御をしているネットワーク(あるいはISP)を通過するフローであるか否かを判別し、帯域制御をしているネットワークを通過するP2Pフローを制御P2Pフロー、そうでないP2Pフローを非制御P2Pフローとして分類する。
【0111】
そして、一定期間フローを収集し、フローサイズ(フロー当りの送出バイト数またはパケット数)を集計し、制御P2Pフローのフローサイズ分布と非制御P2Pフローのフローサイズ分布を求め、さらに、制御P2Pフローサイズ分布を非制御P2Pフローサイズ分布に置き換えることによって、仮に制御P2Pフローが非制御P2PフローになったとしたときにP2Pトラヒックがどれくらい増加するかを算出する。
【0112】
例えば、制御P2Pフローサイズ分布をP[制御P2Pフローサイズ=x]=SPc(x)とし、非制御P2Pフローサイズ分布をP[非制御P2Pフローサイズ=x]=SPu(x)とし、また、観測された制御P2Pフロー数、非制御P2Pフロー数をそれぞれNPc、NPuとするとき、制御P2Pフローが非制御P2PフローになったときのP2Pトラヒック量を「NPu×ΣxSPu(x)×x+NPc×ΣxSPu(x)×x」により求める。制御P2Pフローがそのまま制御P2Pフローである場合のP2Pトラヒック量は、「NPu×ΣxSPu(x)×x+NPc×ΣxSPc(x)×x」であり、前者から後者を差し引いたものが、非制御化を前提としたときのP2Pトラヒック量増加分として求められる。
【0113】
より具体的には、図7に示す構成のP2Pトラヒック量推定装置1は、図11に示す手順により、通信網内に流れるP2Pトラヒック量を算出する。
【0114】
まず、パケットヘッダ解析部2において、到着したパケットのヘッダ情報における5つの属性{発信元IPアドレス(srcIP),着信先IPアドレス(dstIP),発信元ポート番号(srcPort),着信先ポート番号(dstPort),プロトコル(Protocol)}を同じくするパケット群を同じフローとして特定し(ステップS1101)、フロー管理部3において、パケットヘッダ解析部2が特定したフロー毎に、当該フローのフローサイズを集計して図8に示すフロー管理テーブル801を生成して記憶装置に登録する(ステップS1102)
【0115】
次にフロー情報分析部4において、フロー管理テーブル801に登録された各フローからP2Pフローを判別すると共に、各P2Pフローを、帯域制御をしているネットワークを通過する制御P2Pフローと、帯域制御をしていないネットワークを通過する非制御P2Pフローに分類する(ステップS1103)。
【0116】
そして、フロー統計算出部5において、フロー管理部3が予め定められた期間、集計したフロー管理テーブル801を参照して、制御P2Pフローのフローサイズ分布と非制御P2Pフローのフローサイズ分布を求め(ステップS1104)、P2Pトラヒック量推定部6において、フロー統計算出部5が求めた制御P2Pフローのフローサイズ分布を非制御P2Pフローのフローサイズ分布に置き換えることによって、制御P2Pフローが非制御P2PフローになったとしたときにP2Pアプリケーションによるトラヒックがどれくらい増加するかを算出する(ステップS1105)。
【0117】
尚、パケットヘッダ解析部2においては、到着したパケットのヘッダ情報における2つの属性{発信元IPアドレス(srcIP),着信先IPアドレス(dstIP)}を同じくするパケット群を同じフローとして特定することでも良く、あるいは、到着した上り方向のパケットについては、当該パケットのヘッダ情報における属性である発信元IPアドレス(srcIP)を同じくするパケット群を同じフローとして特定し、到着した下り方向のパケットについては、当該パケットのヘッダ情報における属性である着信先IPアドレス(dstIP)を同じくするパケット群を同じフローとして特定することでも良い。
【0118】
また、P2Pトラヒック量推定部6は、制御P2Pフローのフローサイズ分布をP[制御P2Pフローサイズ=x]=SPc(x)、非制御P2Pフローのフローサイズ分布をP[非制御P2Pフローサイズ=x]=SPu(x)、フロー管理テーブル801において集計された制御P2Pフローの数および非制御P2Pフローの数をそれぞれNPc、NPuとし、制御P2Pフローが非制御P2PフローになったときのP2Pトラヒック量を「NPu×ΣxSPu(x)×x+NPc×ΣxSPu(x)×x」により算出し、算出したP2Pトラヒック量(NPu×ΣxSPu(x)×x+NPc×ΣxSPu(x)×x)から、制御P2Pフローが制御P2Pフローのままである場合のP2Pトラヒック量(NPu×ΣxSPu(x)×x+NPc×ΣxSPc(x)×x)を差し引くことで、監視ポイントを通過する制御P2Pフローが非制御P2PフローになったとしたときのP2Pアプリケーションによるトラヒック量の増加分を算出する。
【0119】
また、フロー情報分析部4は、フロー管理テーブル801に登録された各フローからP2Pフローと共に非P2Pフローを判別し、P2Pフローと非P2Pフロー毎に、当該フローが制御フローと非制御フローの何れの種別であるかを示すフラグX(制御フローがX=c、非制御フローがX=u)と、当該フローが上りと下りの何れの方向であるかを示すフラグy(上り方向がy=up、下り方向がy=dn)と、当該フローが通信網内のユーザへ向かうフローであるか通信網外のユーザへ向かうフローであるかを示すフラグz(通信網内のユーザへ向かうフローがz=in、通信網外のユーザへ向かうフローがz=out)とを付与した、図9に示すフロー属性情報テーブル901を生成して記憶装置に記憶し、フロー統計計算部5は、一定周期t毎に、フロー情報分析部4が生成したフロー属性情報テーブル901における情報を用いて、種別X(=cもしくはu),方向y(=upもしくはdn)のトラヒック量N(t)X,yと、種別X,方向yのフロー数Nf(t)X,yと、種別X,方向yの着目NW外フロー数比率b(t)X,y(全フロー数のうち、通信網の外へのフローもしくは通信網の外からのフローの数の占める割合)と、種別X,方向y,z(=inもしくはout)のP2Pフロー数比率rp(t)X,y,z(通信網内もしくは外のフローの数うち、P2Pフローの数が占める割合)と、測定区間t、種別X、方向y、NW内外フラグzのP2Pフローサイズ分布SP(t){X,y,z}(x)を用いた式「FP(t)X,y,z=ΣxSP(t){X,y,z}(x)×x」により求められ、種別X,方向y,zのP2Pフローの平均フローサイズFP(t)X,y,zと、フロー数Nf(t)X,yと着目NW外フロー数比率b(t)X,yおよびP2Pフロー数比率rp(t)X,y,zと平均フローサイズFP(t)X,y,zとを用いた式「NP(t)X,y,in=FP(t)X,y,in×(1−b(t)X,y)×rp(t)X,y,in×Nf(t)X,y」により求められる、種別X,方向yのNW内P2Pトラヒック量NP(t)X,y,inと、フロー数Nf(t)X,yと着目NW外フロー数比率b(t)X,yおよびP2Pフロー数比率rp(t)X,y,zと平均フローサイズFP(t)X,y,zとを用いた式「NP(t)X,y,out=FP(t)X,y,out×b(t)X,y×rp(t)X,y,out×Nf(t)X,y」により求められる、種別X,方向yのNW外P2Pトラヒック量NP(t)X,y,outと、NW内P2Pトラヒック量NP(t)X,y,inおよびNW外P2Pトラヒック量NP(t)X,y,outとを用いた式「NP(t)X,y=NP(t)X,y,in+NP(t)X,y,out」により求められる、種別X,方向yのP2Pトラヒック量NP(t)X,yとを算出し、P2Pトラヒック量推定部6は、それぞれ予め定められる通信網全体でのトラヒック量Ntotと、通信網全体を流れるフローのうち帯域制御ネットワークを通過するフローの占める割合である制御フロー比率c、ならびに、トラヒック量N(t)X,yの平均AVG[N(t)X,y]=ΣtN(t)X,y/T(t=1,2,...,T:Tは測定区間数)を含む上述の数1に示す式(1)と式(2)を用いて、種別X=c(帯域制御あり)のトラヒックと種別X=u(帯域制御なし)のトラヒックをそれぞれα倍、β倍して通信網全体でのトラヒック量Ntotと一致するように、αとβを求め、求めたαとβおよびフロー統計計算部5による算出結果を用いて、上述の数2に示す計算式から、制御P2Pフローはそのまま制御されているとしたときの、NW外とやり取りされるP2Pトラヒック量Npoutと、NW内P2Pトラヒック量Npinを算出する。
【0120】
また、P2Pトラヒック量推定部6は、上述の数3に示す式(5)〜(7)により、フロー情報分析部4が分類した制御P2Pフローサイズを非制御P2Pフローサイズで置き換えることによって、制御P2Pフローが非制御化されたときのP2Pトラヒック量を算出する。
【0121】
また、P2Pトラヒック量推定部6は、フロー情報分析部4が分類した制御P2Pフローのうち、γの割合で非制御P2Pフローサイズ分布に従ってフローを送出すると仮定して、非制御化後の、測定区間t、種別X、方向y、NW内外フラグzのP2Pフローサイズ分布SP''{t,c,y,z}(x)を、式「SP''{t,c,y,z}(x)=(1-γ)SP(t){c,y,z}+γSP(t){u,y,z}」により求めると共に、平均フローサイズFP'(t)c,y,zを、式「FP'(t)c,y,z=ΣxSP''{t,c,y,z}(x)×x」により求め、求めたFP'(t)c,y,z(=ΣxSP''(t){X,y,z}(x)×x」)を、上述の数3における式(7)におけるFP'(t)c,y,zの代わりに用いて、同数3に示す式(5)〜(6)により、制御P2Pフローが非制御化されたときのP2Pトラヒック量を算出する。
【0122】
すなわち、P2Pトラヒック量推定部6は、下記の数4に示す式(8)〜(10)により、フロー情報分析部4が分類した制御P2Pフローサイズを非制御P2Pフローサイズで置き換えることによって、制御P2Pフローが非制御化されたときのP2Pトラヒック量を算出する。
【0123】
【数4】
【0124】
また、フロー統計計算部5は、種別X,方向y,zのP2Pフローの平均フローサイズFP(t)X,y,zを、測定区間t、種別X、方向y、NW内外フラグzのP2Pフローサイズ分布SP(t){X,y,z}(x)を用いた式「FP(t)X,y,z=ΣxSP(t){X,y,z}(x)×x」により求める。
【0125】
あるいは、フロー統計計算部5は、P2Pフローのうち、予め定めた閾値th以上のサイズのフローのみを特定P2Pフローとして抽出し、この特定P2Pフローのフローサイズ分布SP'{t,X,y,z}(x)を、式「SP'{t,X,y,z}(x)=SP(t){X,y,z}/[1-Σx=1〜thSP(t){X,y,z}]により求め、種別X,方向y,zのP2Pフローの平均フローサイズFP(t)X,y,zを、式「FP(t)X,y,z=ΣxSP'{t,X,y,z}(x)×x」により算出すると共に、P2Pフロー比率rp'(t)X,y,zを、式「rp'(t)X,y,z=rp(t)X,y,z×[1-Σx=1〜thSP'{t,X,y,z}(x)]」により算出する。
【0126】
このように、本例では、ネットワークにおける非制御化を前提としたときにP2Pトラヒック量がどれくらい増加するかを試算することができ、本来のP2Pトラヒックの需要をより正確に把握することができ、今後のネットワークアーキテクチャやネットワーク設計をより適切に行うことが可能となる。
【0127】
尚、本発明は、各図を用いて説明した例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。例えば、図7においては、1台のコンピュータ装置に、本発明に係るP2Pトラヒック量推定装置1の各処理部(パケットヘッダ解析部2、フロー管理部3、フロー情報分析部4、フロー統計計算部5、P2Pトラヒック量推定部6)を設けた構成としているが、複数のコンピュータ装置に各処理部の機能を適宜に分散して設けた構成としても良い。
【0128】
また、本例のコンピュータ構成に関しても、キーボードや光ディスクの駆動装置の無いコンピュータ構成としても良い。また、本例では、光ディスクを記録媒体として用いているが、FD(Flexible Disk)等を記録媒体として用いることでも良い。また、プログラムのインストールに関しても、通信装置を介してネットワーク経由でプログラムをダウンロードしてインストールすることでも良い。
【符号の説明】
【0129】
1:P2Pトラヒック量推定装置、2:パケットヘッダ解析部、3:フロー管理部、4:フロー情報分析部、5:フロー統計算出部、6:P2Pトラヒック量推定部、101:フロー情報テーブル、301,401:ネットワーク、501:P2Pトラヒック量推定装置、502:ノードA、503:ノードB、601:P2Pトラヒック量推定装置、602:ネットワーク、603a〜603g:ルータ、801:フロー管理テーブル、901:フロー属性情報テーブル。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信網内を流れるP2Pアプリケーションによるトラヒックの量をコンピュータ装置により算出するP2Pトラヒック量推定方法であって、
上記コンピュータ装置は、プログラムされたコンピュータ処理を実行する手段として、パケットヘッダ解析手段と、フロー管理手段、フロー情報分析手段、フロー統計算出手段、P2Pトラヒック量推定手段とを具備し、
上記パケットヘッダ解析手段は、
到着したパケットのヘッダ情報における5つの属性{発信元IPアドレス(srcIP),着信先IPアドレス(dstIP),発信元ポート番号(srcPort),着信先ポート番号(dstPort),プロトコル(Protocol)}を同じくするパケット群を同じフローとして特定し、
上記フロー管理手段は、
上記パケットヘッダ解析手段が特定したフロー毎に、当該フローのフローサイズを集計してフロー管理テーブルとして記憶装置に登録し、
上記フロー情報分析手段は、
上記フロー管理テーブルに登録された各フローからP2Pフローを判別すると共に、
各P2Pフローを、帯域制御をしているネットワークを通過する制御P2Pフローと、帯域制御をしていないネットワークを通過する非制御P2Pフローに分類し、
上記フロー統計算出手段は、
予め定められた期間上記フロー管理手段が集計した上記フロー管理テーブルを参照して、
上記制御P2Pフローのフローサイズ分布と上記非制御P2Pフローのフローサイズ分布を求め、
上記P2Pトラヒック量推定手段は、
上記フロー統計算出手段が求めた上記制御P2Pフローのフローサイズ分布を上記非制御P2Pフローのフローサイズ分布に置き換えることによって、上記制御P2Pフローが上記非制御P2Pフローになったとしたときに上記P2Pアプリケーションによるトラヒックがどれくらい増加するかを算出する
ことを特徴とするP2Pトラヒック量推定方法。
【請求項2】
通信網内を流れるP2Pアプリケーションによるトラヒックの量をコンピュータ装置により算出するP2Pトラヒック量推定方法であって、
上記コンピュータ装置は、プログラムされたコンピュータ処理を実行する手段として、パケットヘッダ解析手段と、フロー管理手段、フロー情報分析手段、フロー統計算出手段、P2Pトラヒック量推定手段とを具備し、
上記パケットヘッダ解析手段は、
到着したパケットのヘッダ情報における2つの属性{発信元IPアドレス(srcIP),着信先IPアドレス(dstIP)}を同じくするパケット群を同じフローとして特定し、
上記フロー管理手段は、
上記パケットヘッダ解析手段が特定したフロー毎に、当該フローのフローサイズを集計してフロー管理テーブルとして記憶装置に登録し、
上記フロー情報分析手段は、
上記フロー管理テーブルに登録された各フローからP2Pフローを判別すると共に、
各P2Pフローを、帯域制御をしているネットワークを通過する制御P2Pフローと、帯域制御をしていないネットワークを通過する非制御P2Pフローに分類し、
上記フロー統計算出手段は、
予め定められた期間上記フロー管理手段が集計した上記フロー管理テーブルを参照して、
上記制御P2Pフローのフローサイズ分布と上記非制御P2Pフローのフローサイズ分布を求め、
上記P2Pトラヒック量推定手段は、
上記フロー統計算出手段が求めた上記制御P2Pフローのフローサイズ分布を上記非制御P2Pフローのフローサイズ分布に置き換えることによって、上記制御P2Pフローが上記非制御P2Pフローになったとしたときに上記P2Pアプリケーションによるトラヒックがどれくらい増加するかを算出する
ことを特徴とするP2Pトラヒック量推定方法。
【請求項3】
通信網内を流れるP2Pアプリケーションによるトラヒックの量をコンピュータ装置により算出するP2Pトラヒック量推定方法であって、
上記コンピュータ装置は、プログラムされたコンピュータ処理を実行する手段として、パケットヘッダ解析手段と、フロー管理手段、フロー情報分析手段、フロー統計算出手段、P2Pトラヒック量推定手段とを具備し、
上記パケットヘッダ解析手段は、
到着した上り方向のパケットについては、当該パケットのヘッダ情報における属性である発信元IPアドレス(srcIP)を同じくするパケット群を同じフローとして特定し、
到着した下り方向のパケットについては、当該パケットのヘッダ情報における属性である着信先IPアドレス(dstIP)を同じくするパケット群を同じフローとして特定し、
上記フロー管理手段は、
上記パケットヘッダ解析手段が特定したフロー毎に、当該フローのフローサイズを集計してフロー管理テーブルとして記憶装置に登録し、
上記フロー情報分析手段は、
上記フロー管理テーブルに登録された各フローからP2Pフローを判別すると共に、
各P2Pフローを、帯域制御をしているネットワークを通過する制御P2Pフローと、帯域制御をしていないネットワークを通過する非制御P2Pフローに分類し、
上記フロー統計算出手段は、
予め定められた期間上記フロー管理手段が集計した上記フロー管理テーブルを参照して、
上記制御P2Pフローのフローサイズ分布と上記非制御P2Pフローのフローサイズ分布を求め、
上記P2Pトラヒック量推定手段は、
上記フロー統計算出手段が求めた上記制御P2Pフローのフローサイズ分布を上記非制御P2Pフローのフローサイズ分布に置き換えることによって、上記制御P2Pフローが上記非制御P2Pフローになったとしたときに上記P2Pアプリケーションによるトラヒックがどれくらい増加するかを算出する
ことを特徴とするP2Pトラヒック量推定方法。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載のP2Pトラヒック量推定方法であって、
上記P2Pトラヒック量推定手段は、
上記制御P2Pフローのフローサイズ分布をP[制御P2Pフローサイズ=x]=SPc(x)、上記非制御P2Pフローのフローサイズ分布をP[非制御P2Pフローサイズ=x]=SPu(x)、上記フロー管理テーブルにおいて集計された上記制御P2Pフローの数および上記非制御P2Pフローの数をそれぞれNPc、NPuとし、
上記制御P2Pフローが上記非制御P2PフローになったときのP2Pトラヒック量を「NPu×ΣxSPu(x)×x+NPc×ΣxSPu(x)×x」により算出し、
該算出したP2Pトラヒック量(NPu×ΣxSPu(x)×x+NPc×ΣxSPu(x)×x)から、上記制御P2Pフローが制御P2Pフローのままである場合のP2Pトラヒック量(NPu×ΣxSPu(x)×x+NPc×ΣxSPc(x)×x)を差し引くことで、
上記コンピュータ装置を通過する上記制御P2Pフローが上記非制御P2Pフローになったとしたときの上記P2Pアプリケーションによるトラヒック量の増加分を算出する
ことを特徴とするP2Pトラヒック量推定方法。
【請求項5】
請求項1から請求項3のいずれかに記載のP2Pトラヒック量推定方法であって、
上記フロー情報分析手段は、
上記フロー管理テーブルに登録された各フローから上記P2Pフローと共に非P2Pフローを判別し、
上記P2Pフローと上記非P2Pフロー毎に、
当該フローが制御フローと非制御フローの何れの種別であるかを示すフラグX(制御フローがX=c、非制御フローがX=u)と、
当該フローが上りと下りの何れの方向であるかを示すフラグy(上り方向がy=up、下り方向がy=dn)と、
当該フローが通信網内のユーザへ向かうフローであるか通信網外のユーザへ向かうフローであるかを示すフラグz(通信網内のユーザへ向かうフローがz=in、通信網外のユーザへ向かうフローがz=out)とを付与した、フロー属性情報テーブルを生成して記憶装置に記憶し、
上記フロー統計計算手段は、
一定周期t毎に、
上記フロー情報分析手段が生成した上記フロー属性情報テーブルにおける情報を用いて、
種別X(=cもしくはu),方向y(=upもしくはdn)のトラヒック量N(t)X,yと、
種別X,方向yのフロー数Nf(t)X,yと、
種別X,方向yの着目NW外フロー数比率b(t)X,y(全フロー数のうち、上記通信網の外へのフローもしくは上記通信網の外からのフローの数の占める割合)と、
種別X,方向y,z(=inもしくはout)のP2Pフロー数比率rp(t)X,y,z(上記通信網内もしくは外のフローの数うち、P2Pフローの数が占める割合)と、
種別X,方向y,zのP2Pフローの平均フローサイズFP(t)X,y,zと、
上記フロー数Nf(t)X,yと上記着目NW外フロー数比率b(t)X,yおよび上記P2Pフロー数比率rp(t)X,y,zと上記平均フローサイズFP(t)X,y,zとを用いた式「NP(t)X,y,in=FP(t)X,y,in×(1−b(t)X,y)×rp(t)X,y,in×Nf(t)X,y」により求められる、種別X,方向yのNW内P2Pトラヒック量NP(t)X,y,inと、
上記フロー数Nf(t)X,yと上記着目NW外フロー数比率b(t)X,yおよび上記P2Pフロー数比率rp(t)X,y,zと上記平均フローサイズFP(t)X,y,zとを用いた式「NP(t)X,y,out=FP(t)X,y,out×b(t)X,y×rp(t)X,y,out×Nf(t)X,y」により求められる、種別X,方向yのNW外P2Pトラヒック量NP(t)X,y,outと、
上記NW内P2Pトラヒック量NP(t)X,y,inおよび上記NW外P2Pトラヒック量NP(t)X,y,outとを用いた式「NP(t)X,y=NP(t)X,y,in+NP(t)X,y,out」により求められる、種別X,方向yのP2Pトラヒック量NP(t)X,yと
を算出し、
上記P2Pトラヒック量推定手段は、
それぞれ予め定められる上記通信網全体でのトラヒック量Ntotと、通信網全体を流れるフローのうち帯域制御ネットワークを通過するフローの占める割合である制御フロー比率c、ならびに、上記トラヒック量N(t)X,yの平均AVG[N(t)X,y]=ΣtN(t)X,y/T(t=1,2,...,T:Tは測定区間数)を含む下記の数1に示す式(1)と式(2)を用いて、
種別X=c(帯域制御あり)のトラヒックと種別X=u(帯域制御なし)のトラヒックをそれぞれα倍、β倍して上記通信網全体でのトラヒック量Ntotと一致するように、αとβを求め、
求めたαとβおよび上記フロー統計計算手段による算出結果を用いて、下記の数2に示す式(3)と式(4)を用いて、
制御P2Pフローはそのまま制御されているとしたときの、NW外とやり取りされるP2Pトラヒック量Npoutと、NW内P2Pトラヒック量Npinを算出する
ことを特徴とするP2Pトラヒック推定方法。
【数1】
【数2】
【請求項6】
請求項5に記載のP2Pトラヒック量推定方法であって、
上記P2Pトラヒック量推定手段は、
下記の数3に示す式(5)〜(7)により、
上記フロー情報分析手段が分類した上記制御P2Pフローサイズを非制御P2Pフローサイズで置き換えることによって、
制御P2Pフローが非制御化されたときのP2Pトラヒック量を算出する
ことを特徴とするP2Pトラヒック量推定方法。
【数3】
【請求項7】
請求項5に記載のP2Pトラヒック量推定方法であって、
上記P2Pトラヒック量推定手段は、
上記フロー情報分析手段が分類した上記制御P2Pフローのうち、γの割合で非制御P2Pフローサイズ分布に従ってフローを送出すると仮定して、
非制御化後の、測定区間t、種別X、方向y、NW内外フラグzのP2Pフローサイズ分布SP''{t,c,y,z}(x)を、式「SP''{t,c,y,z}(x)=(1-γ)SP(t){c,y,z}+γSP(t){u,y,z}」により求めると共に、
平均フローサイズFP'(t)c,y,zを、式「FP'(t)c,y,z=ΣxSP''{t,c,y,z}(x)×x」により求め、
下記の数4に示す式(8)〜(10)により、制御P2Pフローが非制御化されたときのP2Pトラヒック量を算出する
ことを特徴とするP2Pトラヒック量推定方法。
【数4】
【請求項8】
請求項5から請求項7のいずれかに記載のP2Pトラヒック量推定方法であって、
上記フロー統計計算手段は、
上記種別X,方向y,zのP2Pフローの平均フローサイズFP(t)X,y,zを、
測定区間t、種別X、方向y、NW内外フラグzのP2Pフローサイズ分布SP(t){X,y,z}(x)を用いた式「FP(t)X,y,z=ΣxSP(t){X,y,z}(x)×x」により求める
ことを特徴とするP2Pトラヒック量推定方法。
【請求項9】
請求項5から請求項7のいずれかに記載のP2Pトラヒック量推定方法であって、
上記フロー統計計算手段は、
上記P2Pフローのうち、予め定めた閾値th以上のサイズのフローのみを特定P2Pフローとして抽出し、
該特定P2Pフローのフローサイズ分布SP'{t,X,y,z}(x)を、式「SP'{t,X,y,z}(x)=SP(t){X,y,z}/[1-Σx=1〜thSP(t){X,y,z}]により求め、
上記種別X,方向y,zのP2Pフローの平均フローサイズFP(t)X,y,zを、式「FP(t)X,y,z=ΣxSP'{t,X,y,z}(x)×x」により算出すると共に、
上記P2Pフロー比率rp'(t)X,y,zを、式「rp'(t)X,y,z=rp(t)X,y,z×[1-Σx=1〜thSP'{t,X,y,z}(x)]」により算出する
ことを特徴とするP2Pトラヒック量推定方法。
【請求項10】
通信網内を流れるP2Pアプリケーションによるトラヒックの量をコンピュータ処理により算出するP2Pトラヒック量推定装置であって、
プログラムされたコンピュータ処理を実行する手段として、請求項1から請求項9のいずれかに記載のP2Pトラヒック量推定方法におけるパケットヘッダ解析手段と、フロー管理手段、フロー情報分析手段、フロー統計算出手段、P2Pトラヒック量推定手段とを具備したことを特徴とするP2Pトラヒック量推定装置。
【請求項11】
コンピュータに、請求項1から請求項9のいずれかに記載のP2Pトラヒック量推定方法におけるパケットヘッダ解析手段と、フロー管理手段、フロー情報分析手段、フロー統計算出手段、P2Pトラヒック量推定手段による各処理を実行させるためのプログラム。
【請求項1】
通信網内を流れるP2Pアプリケーションによるトラヒックの量をコンピュータ装置により算出するP2Pトラヒック量推定方法であって、
上記コンピュータ装置は、プログラムされたコンピュータ処理を実行する手段として、パケットヘッダ解析手段と、フロー管理手段、フロー情報分析手段、フロー統計算出手段、P2Pトラヒック量推定手段とを具備し、
上記パケットヘッダ解析手段は、
到着したパケットのヘッダ情報における5つの属性{発信元IPアドレス(srcIP),着信先IPアドレス(dstIP),発信元ポート番号(srcPort),着信先ポート番号(dstPort),プロトコル(Protocol)}を同じくするパケット群を同じフローとして特定し、
上記フロー管理手段は、
上記パケットヘッダ解析手段が特定したフロー毎に、当該フローのフローサイズを集計してフロー管理テーブルとして記憶装置に登録し、
上記フロー情報分析手段は、
上記フロー管理テーブルに登録された各フローからP2Pフローを判別すると共に、
各P2Pフローを、帯域制御をしているネットワークを通過する制御P2Pフローと、帯域制御をしていないネットワークを通過する非制御P2Pフローに分類し、
上記フロー統計算出手段は、
予め定められた期間上記フロー管理手段が集計した上記フロー管理テーブルを参照して、
上記制御P2Pフローのフローサイズ分布と上記非制御P2Pフローのフローサイズ分布を求め、
上記P2Pトラヒック量推定手段は、
上記フロー統計算出手段が求めた上記制御P2Pフローのフローサイズ分布を上記非制御P2Pフローのフローサイズ分布に置き換えることによって、上記制御P2Pフローが上記非制御P2Pフローになったとしたときに上記P2Pアプリケーションによるトラヒックがどれくらい増加するかを算出する
ことを特徴とするP2Pトラヒック量推定方法。
【請求項2】
通信網内を流れるP2Pアプリケーションによるトラヒックの量をコンピュータ装置により算出するP2Pトラヒック量推定方法であって、
上記コンピュータ装置は、プログラムされたコンピュータ処理を実行する手段として、パケットヘッダ解析手段と、フロー管理手段、フロー情報分析手段、フロー統計算出手段、P2Pトラヒック量推定手段とを具備し、
上記パケットヘッダ解析手段は、
到着したパケットのヘッダ情報における2つの属性{発信元IPアドレス(srcIP),着信先IPアドレス(dstIP)}を同じくするパケット群を同じフローとして特定し、
上記フロー管理手段は、
上記パケットヘッダ解析手段が特定したフロー毎に、当該フローのフローサイズを集計してフロー管理テーブルとして記憶装置に登録し、
上記フロー情報分析手段は、
上記フロー管理テーブルに登録された各フローからP2Pフローを判別すると共に、
各P2Pフローを、帯域制御をしているネットワークを通過する制御P2Pフローと、帯域制御をしていないネットワークを通過する非制御P2Pフローに分類し、
上記フロー統計算出手段は、
予め定められた期間上記フロー管理手段が集計した上記フロー管理テーブルを参照して、
上記制御P2Pフローのフローサイズ分布と上記非制御P2Pフローのフローサイズ分布を求め、
上記P2Pトラヒック量推定手段は、
上記フロー統計算出手段が求めた上記制御P2Pフローのフローサイズ分布を上記非制御P2Pフローのフローサイズ分布に置き換えることによって、上記制御P2Pフローが上記非制御P2Pフローになったとしたときに上記P2Pアプリケーションによるトラヒックがどれくらい増加するかを算出する
ことを特徴とするP2Pトラヒック量推定方法。
【請求項3】
通信網内を流れるP2Pアプリケーションによるトラヒックの量をコンピュータ装置により算出するP2Pトラヒック量推定方法であって、
上記コンピュータ装置は、プログラムされたコンピュータ処理を実行する手段として、パケットヘッダ解析手段と、フロー管理手段、フロー情報分析手段、フロー統計算出手段、P2Pトラヒック量推定手段とを具備し、
上記パケットヘッダ解析手段は、
到着した上り方向のパケットについては、当該パケットのヘッダ情報における属性である発信元IPアドレス(srcIP)を同じくするパケット群を同じフローとして特定し、
到着した下り方向のパケットについては、当該パケットのヘッダ情報における属性である着信先IPアドレス(dstIP)を同じくするパケット群を同じフローとして特定し、
上記フロー管理手段は、
上記パケットヘッダ解析手段が特定したフロー毎に、当該フローのフローサイズを集計してフロー管理テーブルとして記憶装置に登録し、
上記フロー情報分析手段は、
上記フロー管理テーブルに登録された各フローからP2Pフローを判別すると共に、
各P2Pフローを、帯域制御をしているネットワークを通過する制御P2Pフローと、帯域制御をしていないネットワークを通過する非制御P2Pフローに分類し、
上記フロー統計算出手段は、
予め定められた期間上記フロー管理手段が集計した上記フロー管理テーブルを参照して、
上記制御P2Pフローのフローサイズ分布と上記非制御P2Pフローのフローサイズ分布を求め、
上記P2Pトラヒック量推定手段は、
上記フロー統計算出手段が求めた上記制御P2Pフローのフローサイズ分布を上記非制御P2Pフローのフローサイズ分布に置き換えることによって、上記制御P2Pフローが上記非制御P2Pフローになったとしたときに上記P2Pアプリケーションによるトラヒックがどれくらい増加するかを算出する
ことを特徴とするP2Pトラヒック量推定方法。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載のP2Pトラヒック量推定方法であって、
上記P2Pトラヒック量推定手段は、
上記制御P2Pフローのフローサイズ分布をP[制御P2Pフローサイズ=x]=SPc(x)、上記非制御P2Pフローのフローサイズ分布をP[非制御P2Pフローサイズ=x]=SPu(x)、上記フロー管理テーブルにおいて集計された上記制御P2Pフローの数および上記非制御P2Pフローの数をそれぞれNPc、NPuとし、
上記制御P2Pフローが上記非制御P2PフローになったときのP2Pトラヒック量を「NPu×ΣxSPu(x)×x+NPc×ΣxSPu(x)×x」により算出し、
該算出したP2Pトラヒック量(NPu×ΣxSPu(x)×x+NPc×ΣxSPu(x)×x)から、上記制御P2Pフローが制御P2Pフローのままである場合のP2Pトラヒック量(NPu×ΣxSPu(x)×x+NPc×ΣxSPc(x)×x)を差し引くことで、
上記コンピュータ装置を通過する上記制御P2Pフローが上記非制御P2Pフローになったとしたときの上記P2Pアプリケーションによるトラヒック量の増加分を算出する
ことを特徴とするP2Pトラヒック量推定方法。
【請求項5】
請求項1から請求項3のいずれかに記載のP2Pトラヒック量推定方法であって、
上記フロー情報分析手段は、
上記フロー管理テーブルに登録された各フローから上記P2Pフローと共に非P2Pフローを判別し、
上記P2Pフローと上記非P2Pフロー毎に、
当該フローが制御フローと非制御フローの何れの種別であるかを示すフラグX(制御フローがX=c、非制御フローがX=u)と、
当該フローが上りと下りの何れの方向であるかを示すフラグy(上り方向がy=up、下り方向がy=dn)と、
当該フローが通信網内のユーザへ向かうフローであるか通信網外のユーザへ向かうフローであるかを示すフラグz(通信網内のユーザへ向かうフローがz=in、通信網外のユーザへ向かうフローがz=out)とを付与した、フロー属性情報テーブルを生成して記憶装置に記憶し、
上記フロー統計計算手段は、
一定周期t毎に、
上記フロー情報分析手段が生成した上記フロー属性情報テーブルにおける情報を用いて、
種別X(=cもしくはu),方向y(=upもしくはdn)のトラヒック量N(t)X,yと、
種別X,方向yのフロー数Nf(t)X,yと、
種別X,方向yの着目NW外フロー数比率b(t)X,y(全フロー数のうち、上記通信網の外へのフローもしくは上記通信網の外からのフローの数の占める割合)と、
種別X,方向y,z(=inもしくはout)のP2Pフロー数比率rp(t)X,y,z(上記通信網内もしくは外のフローの数うち、P2Pフローの数が占める割合)と、
種別X,方向y,zのP2Pフローの平均フローサイズFP(t)X,y,zと、
上記フロー数Nf(t)X,yと上記着目NW外フロー数比率b(t)X,yおよび上記P2Pフロー数比率rp(t)X,y,zと上記平均フローサイズFP(t)X,y,zとを用いた式「NP(t)X,y,in=FP(t)X,y,in×(1−b(t)X,y)×rp(t)X,y,in×Nf(t)X,y」により求められる、種別X,方向yのNW内P2Pトラヒック量NP(t)X,y,inと、
上記フロー数Nf(t)X,yと上記着目NW外フロー数比率b(t)X,yおよび上記P2Pフロー数比率rp(t)X,y,zと上記平均フローサイズFP(t)X,y,zとを用いた式「NP(t)X,y,out=FP(t)X,y,out×b(t)X,y×rp(t)X,y,out×Nf(t)X,y」により求められる、種別X,方向yのNW外P2Pトラヒック量NP(t)X,y,outと、
上記NW内P2Pトラヒック量NP(t)X,y,inおよび上記NW外P2Pトラヒック量NP(t)X,y,outとを用いた式「NP(t)X,y=NP(t)X,y,in+NP(t)X,y,out」により求められる、種別X,方向yのP2Pトラヒック量NP(t)X,yと
を算出し、
上記P2Pトラヒック量推定手段は、
それぞれ予め定められる上記通信網全体でのトラヒック量Ntotと、通信網全体を流れるフローのうち帯域制御ネットワークを通過するフローの占める割合である制御フロー比率c、ならびに、上記トラヒック量N(t)X,yの平均AVG[N(t)X,y]=ΣtN(t)X,y/T(t=1,2,...,T:Tは測定区間数)を含む下記の数1に示す式(1)と式(2)を用いて、
種別X=c(帯域制御あり)のトラヒックと種別X=u(帯域制御なし)のトラヒックをそれぞれα倍、β倍して上記通信網全体でのトラヒック量Ntotと一致するように、αとβを求め、
求めたαとβおよび上記フロー統計計算手段による算出結果を用いて、下記の数2に示す式(3)と式(4)を用いて、
制御P2Pフローはそのまま制御されているとしたときの、NW外とやり取りされるP2Pトラヒック量Npoutと、NW内P2Pトラヒック量Npinを算出する
ことを特徴とするP2Pトラヒック推定方法。
【数1】
【数2】
【請求項6】
請求項5に記載のP2Pトラヒック量推定方法であって、
上記P2Pトラヒック量推定手段は、
下記の数3に示す式(5)〜(7)により、
上記フロー情報分析手段が分類した上記制御P2Pフローサイズを非制御P2Pフローサイズで置き換えることによって、
制御P2Pフローが非制御化されたときのP2Pトラヒック量を算出する
ことを特徴とするP2Pトラヒック量推定方法。
【数3】
【請求項7】
請求項5に記載のP2Pトラヒック量推定方法であって、
上記P2Pトラヒック量推定手段は、
上記フロー情報分析手段が分類した上記制御P2Pフローのうち、γの割合で非制御P2Pフローサイズ分布に従ってフローを送出すると仮定して、
非制御化後の、測定区間t、種別X、方向y、NW内外フラグzのP2Pフローサイズ分布SP''{t,c,y,z}(x)を、式「SP''{t,c,y,z}(x)=(1-γ)SP(t){c,y,z}+γSP(t){u,y,z}」により求めると共に、
平均フローサイズFP'(t)c,y,zを、式「FP'(t)c,y,z=ΣxSP''{t,c,y,z}(x)×x」により求め、
下記の数4に示す式(8)〜(10)により、制御P2Pフローが非制御化されたときのP2Pトラヒック量を算出する
ことを特徴とするP2Pトラヒック量推定方法。
【数4】
【請求項8】
請求項5から請求項7のいずれかに記載のP2Pトラヒック量推定方法であって、
上記フロー統計計算手段は、
上記種別X,方向y,zのP2Pフローの平均フローサイズFP(t)X,y,zを、
測定区間t、種別X、方向y、NW内外フラグzのP2Pフローサイズ分布SP(t){X,y,z}(x)を用いた式「FP(t)X,y,z=ΣxSP(t){X,y,z}(x)×x」により求める
ことを特徴とするP2Pトラヒック量推定方法。
【請求項9】
請求項5から請求項7のいずれかに記載のP2Pトラヒック量推定方法であって、
上記フロー統計計算手段は、
上記P2Pフローのうち、予め定めた閾値th以上のサイズのフローのみを特定P2Pフローとして抽出し、
該特定P2Pフローのフローサイズ分布SP'{t,X,y,z}(x)を、式「SP'{t,X,y,z}(x)=SP(t){X,y,z}/[1-Σx=1〜thSP(t){X,y,z}]により求め、
上記種別X,方向y,zのP2Pフローの平均フローサイズFP(t)X,y,zを、式「FP(t)X,y,z=ΣxSP'{t,X,y,z}(x)×x」により算出すると共に、
上記P2Pフロー比率rp'(t)X,y,zを、式「rp'(t)X,y,z=rp(t)X,y,z×[1-Σx=1〜thSP'{t,X,y,z}(x)]」により算出する
ことを特徴とするP2Pトラヒック量推定方法。
【請求項10】
通信網内を流れるP2Pアプリケーションによるトラヒックの量をコンピュータ処理により算出するP2Pトラヒック量推定装置であって、
プログラムされたコンピュータ処理を実行する手段として、請求項1から請求項9のいずれかに記載のP2Pトラヒック量推定方法におけるパケットヘッダ解析手段と、フロー管理手段、フロー情報分析手段、フロー統計算出手段、P2Pトラヒック量推定手段とを具備したことを特徴とするP2Pトラヒック量推定装置。
【請求項11】
コンピュータに、請求項1から請求項9のいずれかに記載のP2Pトラヒック量推定方法におけるパケットヘッダ解析手段と、フロー管理手段、フロー情報分析手段、フロー統計算出手段、P2Pトラヒック量推定手段による各処理を実行させるためのプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−114656(P2011−114656A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−270014(P2009−270014)
【出願日】平成21年11月27日(2009.11.27)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月27日(2009.11.27)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】
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