説明

PCRによるマグロ属メバチの種および種内系統判別法

【課題】メバチのβ型に特異的な増幅バンド、及び、α型に特異的な増幅バンドの有無を同時に検出できる、より精度の高いマルチプレックスPCRを用いた種内系統判別法の開発を課題とする。
【解決手段】メバチのミトコンドリア・ゲノム上の多数の領域についてDNA配列を新たに決定し、メバチα型集団内での出現頻度が十分に高く、かつ、β型集団内での出現頻度が無視できるほど低い一塩基置換をND1領域に見出した。更に、当該一塩基置換を利用した具体的な一揃いのプライマーを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件発明はマグロ属メバチの種及び種内2系統の判別法の分野に属する。また、本件発明は被検体のミトコンドリアDNA(mtDNA)の当該2系統における塩基配列差異に基づく当該種内2系統の判別法の分野に属する。更に、本件発明は複数の部位における塩基配列差異を利用したマルチプレックスPCRを行うことによる、迅速かつ精度の高い当該種内2系統の判別法の分野に属する。
【背景技術】
【0002】
近年、世界的な人口増加や食料需要動向の変化などの様々な要因により、水産資源の乱獲が問題となっている。持続可能な水産資源の利用を実現するためには、乱獲を防止し、水産資源管理を有効に行う必要があるが、そのためには漁獲海域を正確に把握することが不可欠である。一方で、近年、食品の産地偽装が社会的問題になっているが、海上における漁獲物の積み替えや漁獲海域の虚偽報告が問題化しており、実際、大西洋で漁獲したメバチをインド洋産と偽って日本に水揚げされる例が報告されている。これは将来的にはメバチ水産資源の枯渇を招き、また、メバチ資源評価に悪影響を及ぼす恐れがある。そこで、メバチ水揚げ産物について種及び漁獲海域を判別する必要性が認識されており、そのための簡便、迅速、かつ、正確な判別法の開発が待たれている。
【0003】
メバチ(英名:bigeye tuna, 学名:Thunnus obesus)は、世界の温帯から熱帯域の海洋に分布し、寿命は10〜15歳程度である。産卵は、周年・分離浮性卵であることを特徴とする。食用としての利用は、刺身・寿司ネタなどが一般的である。
【0004】
メバチには種内に遺伝的に大きく分化した2系統(α及びβ型)が存在し(非特許文献1参照)、それらはミトコンドリアDNA(mtDNA)のATPase6〜COIII遺伝子領域(ATCO領域)のPCR-RFLP分析により判別が可能である(非特許文献2、非特許文献3参照)。この2系統の出現頻度は海域間で明瞭に異なり(例えば、大西洋では集団の中に7割から8割程度の割合でα型が存在するのに対し、インド・太平洋ではほぼβ型でありα型は殆ど見られない。図1参照。)、この明瞭な遺伝子頻度差を利用して産地判別を行うことが可能である。即ち、検査対象のメバチ水揚げ産物から一定数の個体サンプルを抽出し、その遺伝子型の比率(α型:β型)を求めることにより産地を判別できる。
【0005】
上述のように、従来、当該2系統の判別にはPCR-RFLP法が用いられてきたが、当該方法は作業が煩雑なため、結果を得るまでの時間、労力、コストの面で必ずしも満足の行くものではなかった。そこで本発明者らは、以前に、メバチ産地判別の簡便化及び迅速化を目標にマルチプレックスPCR(Multiplex PCR; MP-PCR)の応用可能性を検討した(非特許文献4)。しかし、この方法は2系統の内のβ型に特異的な増幅バンドの有無により判別を行っていたため、PCRプライマーを設定した部位に変異(β型集団内の遺伝的バリエーションによる一塩基置換)があると誤判定が生じることが明らかになった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Genetic divergence between Atlantic and Indo-Pacific stocks of bigeye tuna (Thunnus obesus) and admixture around South Africa. Chow S, Okamoto H, Miyabe N, Hiramatsu K, Barut N. Mol Ecol. 2000 Feb;9(2):221-7.
【非特許文献2】Mitochondrial DNA sequence variation within and between tuna Thunnus species and its application to species identification. H. Takeyama, S. Chow, H. Tsuzuki, T. Matunaga, Journal of Fish Biology Volume 58 Issue 6, Pages 1646-1657 Published Online: 19 Apr 2005
【非特許文献3】マグロ属魚類の魚種判別マニュアル 平成17年4月27日(平成18年12月14日一部修正) 独立行政法人農林水産消費技術センター 独立行政法人水産総合研究センター
【非特許文献4】マルチプレックスPCRを用いたメバチ産地判別迅速化の試み 野原健司 (水研セ 遠洋水研)、仙波靖子 (水研セ 遠洋水研)、鈴木伸明 (水研セ 西海区水研)、張成年 (水研セ 中央水研)、岡本浩明 (水研セ 遠洋水研) 日本水産学会大会講演要旨集 巻:2008 頁:244 特殊号:春季
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記背景を鑑み、本研究者らは、メバチのβ型に特異的な増幅バンドの有無だけでなく、α型に特異的な増幅バンドの有無も同時に検出できる、より精度の高い判別法の開発を試みた。この目的を達成するためには、α型集団内での出現頻度が十分に高く(遺伝的バリエーションが極めて少なく)、かつ、β型集団内での出現頻度が無視できるほど低い一塩基置換をメバチのゲノム配列上に見出すことが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、メバチのミトコンドリア・ゲノム上の多数の領域についてDNA配列を新たに決定し、α型集団内での出現頻度が十分に高く、かつ、β型集団内での出現頻度が無視できるほど低い一塩基置換をND1領域に見出した。なお、クロマグロ(太平洋)(Thunnus orientalis)のミトコンドリアDNAは全ゲノム配列が決定されており(GenBank: AB185022.1)、今回新たに決定されたメバチα型のND1領域との同一性は約94%である。
【0009】
マグロ属のクロマグロ(太平洋)(PNBT)、タイセイヨウクロマグロ(ANBT)、ミナミマグロ(SBT)、メバチα型(BETa)、メバチβ型(BETb)、キハダ(YFT)、ビンナガ(ALB)、コシナガ(LTT)、のND1領域の配列をアライメント(align, alignment)した結果を図2に示す。当該図においては、PNBTの配列を基準として、塩基が同一の場合は「.」で、塩基が異なる場合はA、T、G、C、R (= A or G)、Y (= C or T)、K (=G or T)、で表した。右端の [ ] 内の数字は各配列における塩基の相対的な位置を表し、左側の ( ) 内の数字はアライメントに用いたそれぞれの種の配列の個数を表す。当該図から明らかなように、グレーの中空き四角形で囲んだ2箇所のC(シトシン)が、メバチのα型のみにおいてT(チミン)となっていた。
【発明の効果】
【0010】
従って、検体内ミトコンドリアDNAのND1領域に位置する当該2箇所の塩基配列の少なくとも何れか一方について調べ、それがT(チミン)である場合には当該検体がメバチα型由来のものであると判定することが出来る。また、検体がメバチ由来の検体であることが既に分かっている場合には、検体内ミトコンドリアDNAのND1領域に位置する当該2箇所の塩基配列の少なくとも何れか一方について調べ、それがT(チミン)である場合には当該検体がメバチα型由来のものであると判定し、それがC(シトシン)である場合には当該検体がメバチβ型由来のものであると判定することができる。
【0011】
検体内ミトコンドリアDNAのND1領域に位置する当該2箇所の塩基配列の少なくとも何れか一方がT(チミン)であるか否かを調べるための方法としては、塩基配列決定法(sequencing)の他に、相補的配列を持つオリゴヌクレオチドが当該部位にアニールするか否か、あるいは、当該アニールしたオリゴヌクレオチド(プライマー)から伸長反応が進むか否かを判定する方法が便利である。当該方法としては、PCR法、5’ ヌクレアーゼ・アッセイ(5’ nuclease assay)、などが便利である。
【0012】
本件発明の方法によってメバチα型か否かを判定するのと併せて、例えば、マグロ属であるか否かを判定する方法、メバチであるか否かを判定する方法、メバチβ型であるか否かを判定する方法などを組み合わせて使用することが出来る。これらの方法を組み合わせて使用する方法としては、迅速性、簡便性、正確性の点でマルチプレックスPCRやマルチプレックス5’ ヌクレアーゼ・アッセイなどが優れている。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】メバチ2型遺伝子型(α型とβ型)の地理的分布を示す図である。
【図2】マグロ属のクロマグロ(太平洋)(PNBT)、タイセイヨウクロマグロ(ANBT)、ミナミマグロ(SBT)、メバチα型(BETa)、メバチβ型(BETb)、キハダ(YFT)、ビンナガ(ALB)、コシナガ(LTT)、のND1領域の配列をアライメントした図である。
【図3】メバチのα型及びβ型の検体を用いてマルチプレックスPCRを行った場合の増幅パターンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[定義]
メバチ検体:本明細書で「メバチ検体」というときは、実際にメバチ由来の検体である場合だけでなく、メバチ由来の検体であると推定される場合及びメバチ由来の検体ではないと疑われる場合を含むものとする。ただし、メバチ検体が、信頼できる主体の管理下においてメバチ個体から採取された場合には、実際にメバチ由来の検体であるということに疑いを挟まないこととする。
【実施例】
【0015】
[実験材料及び方法]
<メバチ検体>
メバチ検体には、冷凍保存または70%エタノールで固定された筋肉片を用いた。
【0016】
<プライマー設計>
プライマーは、オリゴヌクレオチド合成会社である(株)ベックスから購入し、脱塩処理したものを用いた。各プライマーのTm値はそれぞれ、L8562 (52.3℃)、H9432 (50.3℃)、L8772 (45.5℃)、L8859 (53.7℃)、ND1L (45.5℃)、ND1H (49.6℃)、である。
本件発明に使用したプライマーの配列を表1に示す。
【0017】
【表1】

【0018】
プライマーセットI(L8562及びH9432)は、マグロ属(Thunnus属)であるか否かを判定するためのものである。プライマーセットII(L8772及びH9432)は、マグロ属メバチであるか否かを判定するためのものである。プライマーセットIII(L8859及びH9432)は、メバチのβ型であるか否かを判定するためのものである。プライマーセットIV(ND1L及びND1H)は、メバチのα型であるか否かを判定するためのものである。プライマーセットI、II、及びIIIはATCO領域の公知の配列に基づいて設計されたプライマーであり、それぞれ、915、706、及び615塩基対(bp)の断片(それぞれ、アンプリコンI、II、及びIIIと呼ぶことがある)を増幅する。プライマーセットIVは、新たに配列決定されたND1領域の配列に基づいて設計されたプライマーであり、330塩基対の断片(アンプリコンIVと呼ぶことがある)を増幅する。
【0019】
<ミトコンドリアDNAの抽出>
エタノール固定標本および生鮮試料から少量の筋肉片を切り出し、市販のDNA抽出キットであるGentra Puregene Tissue Kit (QIAGEN社製 Cat.No.158667) を用いて、付属のマニュアルに従い粗全DNAを抽出した。回収したDNAは70%エタノールで洗浄した後、乾燥させTE緩衝液(10 mM Tris-HCl、1 mM EDTA、 pH 8.0)100μlで溶解した。溶解したDNAはPCR反応に供するまで冷蔵保存(4℃)した。
【0020】
<PCR反応及び泳動条件>
1)反応液組成
PCR反応はPCR Thermal Cycler Dice (TaKaRa社製)またはPCR Thermal Cycler SP (TaKaRa社製)を用いて行った。プライマーは、10 μMのストックプライマーをL8562 : L8772 : L8859 : H9432 : ND1L : ND1H = 15 : 5 : 1 : 21 : 2 : 2の比率で混合したミックスプライマーを用い、Taqには校正活性のないAmpliTaq DNA polymerase (ABI社製)またはTaKaRa Taq DNA polymerase (TaKaRa社製)を用いた。PCR反応液は全量10 μlとし、DW 4.95 μl、10×PCR buffer (contains 1.5 mM MgCl2) 1.0 μl、2.5 mM each dNTP 1.0 μl、ミックスプライマー2.0 μl、Taq DNA polymerase 0.25 U、DNA 1.0 μlの反応液組成で行った。
2)PCR反応サイクル
PCRサイクルは、94℃2分の熱変性後、94℃30秒の熱変性、52℃30秒のアニーリング、72℃1分の伸長反応を26回繰り返し、その後72℃を5分維持する工程により行った。
3)電気泳動条件
PCR産物は、2%アガロースゲル(GIBCO,BRL)を用いて、エチジウムブロマイドを含む0.5×TBE緩衝液中で100V定電圧、40分間泳動した。分子マーカーには100塩基対刻みの100 bp ラダーマーカー(ベックス社製)を用いた。
【0021】
[結果及び考察]
メバチのα型及びβ型の検体を用いてマルチプレックスPCRを行った場合の増幅パターンを図3に示す。図3のAで示された3レーンは、メバチα型の検体由来ミトコンドリアDNAを鋳型としてマルチプレックスPCRを行った場合の電気泳動結果である。期待通り、プライマーセットI、II、及びIVによる915、706、330塩基対のバンドが観察された。一方、Bで示された3レーンは、メバチβ型の場合の結果である。この場合も、期待通りプライマーセットI、II、及びIIIによる915、706、615塩基対の大きさのバンドが観察された。増幅断片の塩基配列分析を行った結果、確かに当該位置の増幅産物であることが確認された(データを示さず)。
【0022】
マルチプレックスPCRによる標的バンドの増幅が再現性良く行われることは、図3からも明らかであるが、本発明者らは総数で千以上のメバチ検体についてマルチプレックスPCRを行って、当該方法による判別の精度を検証した。その結果を表2に示す。
【0023】
【表2】

【0024】
総計1109のメバチ検体についてマルチプレックスPCRを行ったところ、427検体がAパターン(プライマーセットI、II、及びIVが増幅する)を示し、630検体がBパターン(プライマーセットI、II、及びIIIが増幅する)を示した。52検体についてはその他の増幅パターンを示し、判別が出来なかった。
【0025】
Aパターンを示した427検体の全てについて従来法のPCR-RFLP法(非特許文献2、非特許文献3参照)を用いて検証したところ、427検体の全てが大西洋産メバチα型(AT_a type)であることが確認された。また、Bパターンを示した630検体の全てについてPCR-RFLP法を用いて検証したところ、148検体が大西洋産メバチβ型(AT_b type)であり、482検体がインド・太平洋産メバチβ型(Ind-Pac b type)であることが確認された。更に、その他の増幅パターンを示した52検体の全てについてND1領域の塩基配列を決定したところ、1検体が大西洋産メバチα型、11検体が大西洋産メバチβ型、40検体がインド・太平洋産メバチβ型であることが判明した。判別不能な増幅パターンを示した検体は、何れかのプライマーの結合部位において一塩基置換(集団内における遺伝的バリエーション)を有していた。即ち、Aパターン又はBパターンを示すメバチ検体を、それぞれ、α型又はβ型と判定した場合の誤判定率は共に0%であり、判別の漏れはα型については0.23%(=1/428)、β型については7.17%(=(11+40)/(159+522))であった。
【0026】
同じ1109個のメバチ検体について、プライマーセットIVのバンドの有無のみで判定した場合は、α型又はβ型と判定される検体は、それぞれ、436検体又は673検体であった(その他のバンドパターンの内訳データを示さず)。誤判定率は、α型又はβ型それぞれ、2.06%又は0.15%であり、判別の漏れは、α型については0.23%、β型については1.32%であった。
【0027】
以上より、プライマーセットI、II、III、及びIVを用いたマルチプレックスPCR、並びに、プライマーセットIVのみを用いたPCRの何れの場合も、高い信頼性を持ってメバチのα型とβ型とを判別できることが明らかになった。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本件発明によれば、メバチのα型とβ型とを判別するための迅速、簡便、正確、かつ、安価な方法を提供することができ、当該方法を実施するために用いられるプライマー、プライマーセット、又は、キットを提供することができる。また、当該方法を実施して得られた結果から、メバチ検体集団におけるα型及びβ型の割合(遺伝子頻度)を計算することにより、当該メバチ検体集団の産地判別を行う方法を提供することができる。更に、当該産地判別方法を行うためのプライマー、プライマーセット、又は、キットを提供することができる。
【符号の説明】
【0029】
PNBT クロマグロ(太平洋) (Thunnus orientalis)
ANBT タイセイヨウクロマグロ(Thunnus thynnus)
SBT ミナミマグロ (Thunnus maccoyii)
BETa メバチα型 (Thunnus obesus)
BETb メバチβ型 (Thunnus obesus)
YFT キハダ (Thunnus albacares)
ALB ビンナガ (Thunnus alalunga)
LTT コシナガ (Thunnus tonggol)
ND1L ND1Lプライマー
ND1H ND1Hプライマー
L8562 L8562プライマー
L8772 L8772プライマー
L8859 L8859プライマー
H9432 H9432プライマー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メバチ検体由来のミトコンドリアDNA、並びに、
配列番号9に記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド(L8562プライマー)、
配列番号10に記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド(H9432プライマー)、
配列番号11に記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド(L8772プライマー)、
配列番号12に記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド(L8859プライマー)、
配列番号13に記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド(ND1Lプライマー)、及び、
配列番号14に記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド(ND1Hプライマー)、
を共存させてPCRを行い、
L8562プライマー及びH9432プライマーによる増幅断片(アンプリコンI)、
L8772プライマー及びH9432プライマーによる増幅断片(アンプリコンII)、
L8859プライマー及びH9432プライマーによる増幅断片(アンプリコンIII)、及び、
ND1Lプライマー及びND1Hプライマーによる増幅断片(アンプリコンIV)、
の有無を調べることにより、
当該メバチ検体がα型もしくはβ型のいずれの個体由来の検体であるかを判別する方法。
【請求項2】
メバチの集団から複数のメバチ検体を採取し、
それぞれのメバチ検体由来のミトコンドリアDNA、並びに、
配列番号9に記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド(L8562プライマー)、
配列番号10に記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド(H9432プライマー)、
配列番号11に記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド(L8772プライマー)、
配列番号12に記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド(L8859プライマー)、
配列番号13に記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド(ND1Lプライマー)、及び、
配列番号14に記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド(ND1Hプライマー)、
を共存させてPCRを行い、
L8562プライマー及びH9432プライマーによる増幅断片(アンプリコンI)、
L8772プライマー及びH9432プライマーによる増幅断片(アンプリコンII)、
L8859プライマー及びH9432プライマーによる増幅断片(アンプリコンIII)、及び、
ND1Lプライマー及びND1Hプライマーによる増幅断片(アンプリコンIV)、
の有無を調べることにより、
それぞれのメバチ検体がα型もしくはβ型のいずれの個体由来の検体であるかを判別し、
当該メバチの集団におけるα型個体及びβ型個体の比率を求め、
産地ごとの既知の比率と比較することにより、
当該メバチの集団の産地を判別する方法。
【請求項3】
配列番号9に記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド(L8562プライマー)、
配列番号10に記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド(H9432プライマー)、
配列番号11に記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド(L8772プライマー)、
配列番号12に記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド(L8859プライマー)、
配列番号13に記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド(ND1Lプライマー)、及び、
配列番号14に記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド(ND1Hプライマー)、
からなる、メバチ検体がα型もしくはβ型のいずれの個体由来の検体であるかを判別するためのプライマーのセット。
【請求項4】
配列番号9に記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド(L8562プライマー)、
配列番号10に記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド(H9432プライマー)、
配列番号11に記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド(L8772プライマー)、
配列番号12に記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド(L8859プライマー)、
配列番号13に記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド(ND1Lプライマー)、及び、
配列番号14に記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド(ND1Hプライマー)、
を含む、メバチの集団の産地を判別するためのキット。
【請求項5】
メバチ検体由来のミトコンドリアDNAのND1領域について、配列番号3及び配列番号4の第441位に相当する塩基がT(チミン)である場合に、当該メバチ検体がα型の個体由来の検体であると判定する方法。
【請求項6】
メバチ検体由来のミトコンドリアDNAのND1領域について、配列番号3及び配列番号4の第436位に相当する塩基がT(チミン)である場合に、当該メバチ検体がα型の個体由来の検体であると判定する方法。
【請求項7】
メバチの集団から複数のメバチ検体を採取し、
それぞれのメバチ検体由来のミトコンドリアDNAのND1領域について、配列番号3及び配列番号4の第436位又は第441位のいずれかに相当する塩基がT(チミン)であるかC(シトシン)であるかを調べることにより、
それぞれのメバチ検体がα型もしくはβ型のいずれの個体由来の検体であるかを判別し、
当該メバチの集団におけるα型個体及びβ型個体の比率を求め、
産地ごとの既知の比率と比較することにより、
当該メバチの集団の産地を判別する方法。

【図1】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【図2−3】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−45276(P2011−45276A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−195647(P2009−195647)
【出願日】平成21年8月26日(2009.8.26)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成20年度遠洋漁業管理推進委託事業のうちDNA検査分析事業「まぐろ類の生息域判別の高度化技術開発」(産業技術力強化法第19条の適用を受けるもの)
【出願人】(501168814)独立行政法人水産総合研究センター (103)
【Fターム(参考)】