説明

PEG化T1249ポリペプチド

PEG化T1249ポリペプチド化合物が提供される。PEG化T1249ポリペプチド化合物を含有する医薬組成物、および作製のプロセスも提供される。HIV感染抑制用の医薬の調製のための、医薬的に許容される賦形剤と混合して、式(I)の化合物を含む医薬組成物の使用も更に提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PEG化T1249ポリペプチド化合物、および医薬組成物および処置の治療方法などにおける、このような化合物を使用および作成する関連方法に関する。
【0002】
一部のウィルス、特にHIVは、宿主細胞に侵入して繁殖するためには、融合と呼ばれる複雑なプロセスを被る必要がある。融合の間、ウィルスの外膜は宿主細胞の膜と融合する。HIVの場合、HIVウィルスの外膜は繁殖の間に、CD4+T細胞の膜と融合する。
【0003】
T1249は、ウィルス/膜融合を阻害する抗ウィルス剤の新しい種類の一種である。HIVの場合、これは、2つの有益な効果を与える。HIVの繁殖は阻止されることと、CD4+T細胞の結果としての死は起こらないことである。
【0004】
最近承認された抗HIV薬に対するウィルス耐性は、今日、HIVの臨床管理での重大な問題である。現在承認されている薬物との併用抗ウィルス薬処置を始める多くの患者は、時間と共にこれらの薬剤の1つ以上への耐性を発現する。しかしながら研究は、T1249が、現在承認されている抗ウィルス薬のどのクラスに対する耐性によっても影響を受けないことを示唆している(2001年6月4〜8日に、アリゾナ州スコッツデールでの5th International Workshop on Drug Resistance and Treatment Strategiesで紹介されたデータ)。
【0005】
臨床試験でのT1249の用量範囲の分析は、HIV薬の承認されたすべてのクラスに対する変異を含む、従来の抗ウィルス薬処置経験でなく、T1249の1日用量が、処置経験患者の間でのウィルス負荷軽減に関する唯一の変数であることを示唆している。更なる実験は、T1249のインビトロ活性が、逆転写酵素インヒビターおよびプロテアーゼインヒビターに対する耐性に関連する変異によって影響を受けないことを示している。
【0006】
多くのポリペプチド治療剤と同様に、T1249は、一般に注射により投与する。現在の治療プロトコルでは、多くの場合、1日1回以上注射をする。
【0007】
したがって、改善された性能および薬物動態特性を有するT1249ポリペプチドおよび医薬組成物を提供することは好都合である。T1249のより少ない治療用量、より少ない投与頻度、および/または延長された作用期間を与えることは、特に好都合である。
【0008】
本発明のこれらおよび他の目的は、以下で更に詳細に説明する。
【0009】
本発明は、式I:
【0010】
【化5】

【0011】
(式中、
は、キャッピング基であり、
mは、1〜17であり、
nは、10〜1,000であり、
pは、1〜3であり、そして
NHT1249は、その末端α−アミノ基を通じて共有結合したT1249ポリペプチドである)の化合物を提供する。
【0012】
本発明の化合物の一実施態様において、Rは、メトキシであり、mは、1であり、nは、100〜750であり、そしてpは、3である。
【0013】
医薬的に許容される賦形剤と混合して、R、m、n、p、およびNHT1249が先に定義したとおりである式(I)の化合物を含む、医薬組成物も提供される。
【0014】
本発明の医薬組成物の一実施態様において、Rは、メトキシであり、mは、1であり、nは、100〜750であり、そしてpは3である。
【0015】
本発明は、更に、医薬的に許容される賦形剤と混合して、R、m、n、p、およびNHT1249が先に定義したとおりである式(I)の化合物を含む医薬組成物を投与することを含む、HIV感染を抑制する方法も提供する。本発明が「化合物を含む、HIV感染を抑制する方法」を指す場合、「HIVの抑制のための薬剤の調製のための化合物の使用」を意味する。
【0016】
HIV感染を抑制する方法の一実施態様において、Rはメトキシであり、mは1であり、nは100〜750であり、そしてpは3である。
【0017】
ポリエチレングリコールアルデヒド分子がT1249ポリペプチドのN末端アミノ基に結合している、式(I)の化合物を生成するために、T1249ポリペプチドを、式中、R、m、n、p、およびNHT1249が先に定義したとおりである、式:
【0018】
【化6】

【0019】
のポリエチレングリコールアルデヒドと反応させることを含む、PEG化T1249ポリペプチドを作成する方法も更に提供する。本発明が「作成するための方法」を指す場合、「作成するためのプロセス」を意味する。
【0020】
先に示したように、T1249は「融合インヒビター」ポリペプチドである。T1249は、39個のアミノ酸からなる。T1249のポリペプチド配列は:
WQEWEQKITALLEQAQIQQEKNEYELQKLDKWASLWEWF[配列番号:1]である。N末端(またはアミノ末端)アミノ酸はトリプトファン(W)である。C末端(またはカルボキシ末端)アミノ酸は、フェニルアラニン(F)である。
【0021】
全体を引用例として本明細書に取りこむ、米国特許第6,348,568号の表1で述べられているように(配列番号:1071)、T1249ポリペプチド配列は、そのアミノおよびカルボキシ末端の一方または両方にて封鎖/誘導体化できる。米国特許第6,348,568号で述べられているように、トリプトファンのアミノ末端はアシル基によって封鎖/誘導体化され、フェニルアラニンのカルボキシ末端は、アミノ基によって封鎖/誘導体化される(後者は−COOH→−CONHの変換を生じる)。
【0022】
本明細書で使用されるように、「T1249」は、アミノ基によりフェニルアラニンC末端にて場合により封鎖された[配列番号:1]を意味することが理解されるものとする。言い換えれば、「T1249」に言及する場合、フェニルアラニンC末端は、−COOHまたは−CONHのどちらかである。
【0023】
本発明は、以下の式のPEG化T1249化合物を提供する。
【0024】
【化7】

【0025】
式中、
は、キャッピング基であり、
mは、1〜17であり、
nは、10〜1,000であり、
pは、1〜3であり、そして
NHT1249は、その末端α−アミノ基を通じて共有結合したT1249ポリペプチドである。
【0026】
本明細書で使用されるように、R「キャッピング基」は、好みに応じて他の化学部分と一般に非反応性または一般に反応性である、適切などの化学基でもよい。上記の化合物では、ポリエチレングリコールは、T1249のα−アミノ基と共有結合する。Rキャッピング基は、二官能性、すなわち興味のある第二の化学部分への共有結合を許容または防止するように選択される。
【0027】
一般に、キャッピング基が、他の化学部分と非反応性である場合、Rは、比較的不活性であり、したがって別の化学部分と共有結合しない。適切な、一般に非反応性のRキャッピング基は、水素、ヒドロキシル、低級アルキル、低級アルコキシ、低級シクロアルキル、低級アルケニル、低級シクロアルケニル、アリール、およびヘテロアリールを含む。
【0028】
本明細書で使用されるように、「低級アルキル」という用語は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチルなどの1〜7個の、好ましくは1〜4個の炭素原子を含有する、直鎖または分岐鎖アルキル基を意味する。「低級アルキル」は、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ、低級シクロアルキル、低級アルケニル、低級シクロアルケニル、アリール、およびヘテロアリールから独立して選択される1個以上の基によって場合により置換される。
【0029】
「低級アルコキシ」という用語は、酸素原子を介して結合された、前に定義した低級アルキル基を意味し、低級アルコキシ基の例は、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、n−ペントキシなどである。「低級アルコキシ」は、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ、低級シクロアルキル、低級アルケニル、低級シクロアルケニル、アリール、およびヘテロアリールから独立して選択される1個以上の基によって場合により置換される。
【0030】
「低級シクロアルキル」という用語は、3〜7個の、好ましくは4〜6個の炭素原子を含有するシクロアルキル基、すなわちシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルまたはシクロヘプチルを意味する。「低級シクロアルキル」は、場合によりハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ、低級シクロアルキル、低級アルケニル、低級シクロアルケニル、アリール、およびヘテロアリールから独立して選択される1個以上の基によって場合により置換される。
【0031】
本明細書で使用されるように、「低級アルケニル」という用語は、2〜7個の、好ましくは2〜5個の炭素原子を含有する直鎖または分岐鎖アルケニル基、例えばエテニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニルなどを意味する。「低級アルケニル」は、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ、低級シクロアルキル、低級アルケニル、低級シクロアルケニル、アリール、およびヘテロアリールから独立して選択される1個以上の基によって場合により置換される。
【0032】
「低級シクロアルケニル」という用語は、4〜7個の炭素原子を含有するシクロアルケニル基、例えばシクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニルなどを意味する。「低級シクロアルケニル」は、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ、低級シクロアルキル、低級アルケニル、低級シクロアルケニル、アリール、およびヘテロアリールから独立して選択される1個以上の基によって場合により置換される。
【0033】
「アリール」という用語は、非置換であるか、あるいはハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、カルボン酸、カルボン酸エステル、ニトロ、アミノ、またはフェニルによって、特にハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、ニトロ、アミノおよびフェニルによって場合により一置換または多置換される、フェニルまたはナフチル基を意味する。
【0034】
「ヘテロアリール」という用語は、N、S、およびOから選択された1個以上のヘテロ原子を含有し、前に定義した「アリール」と同じ方法でベンズ融合および/または置換された、5または6員へテロ芳香族基を意味する。
【0035】
好ましい一般に非反応性のRキャッピング基は、メトキシ、ヒドロキシ、またはベンジルオキシを含む。特に好ましいRキャッピング基は、メトキシである。Rがメトキシである場合、PEG化ポリペプチド化合物は本明細書では一部、「mPEG」化合物と呼ばれ、ここで「m」はメトキシを表す。
【0036】
一般に、Rキャッピング基が、他の化学部分と反応性である場合、Rは、ペプチドおよび/またはタンパク質中のアミンおよび/またはスルフヒドリル基などの、一部の官能基と反応することが可能である官能基である。このような場合、反応するために強力な触媒または非常に非実際的な反応条件を必要とする基とは対照的に、Rは他の分子上の求電子または求核基とただちに反応することができる官能基でもよい。Rが比較的反応性である場合、ポリエチレングリコールアルデヒドは別の化学部分と共有結合できる。
【0037】
適切な一般に反応性のRキャッピング基の例は、ハロゲン、エポキシド、マレイミド、オルトピリジルジスルフィド、トシラート、イソシアナート、ヒドラジンヒドラート、シアヌル酸ハライド、N−スクシンイミジルオキシ、スルホ−N−スクシンイミジルオキシ、1−ベンゾトリアゾリルオキシ、1−イミダゾリルオキシ、p−ニトロフェニルオキシ、および
【0038】
【化8】

【0039】
を含む。
【0040】
「ハロゲン」という用語は、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素を意味する。好ましい一般に反応性のRキャッピング基は
【0041】
【化9】

【0042】
である。このRキャッピング基が存在する場合、本発明の化合物において、第一のm、n、および/またはpが、式中の第二のm、n、および/またはpと同じでも異なっていてもよいことが認識される。しかしながら両方のmが同じ値を持ち、両方のnが同じ値を持ち、そして両方のpが同じ値を持つことが好ましい。
【0043】
本発明において、mは、1〜17である。好ましい実施態様において、mは、1〜14である。更に好ましくは、mは、1〜7であり、なお更に好ましくは、mは、1〜4である。最も好ましくは、mは、1である。
【0044】
本発明において、nは、10〜1000である。本発明の好ましい実施態様において、nは、20〜1,000である。好ましくは、nは、50〜1,000であり、なお更に好ましくは、nは、75〜1,000である。最も好ましくは、nは、100〜750である。
【0045】
本発明において、pは、1〜3である。好ましくはは、pは、3である。
【0046】
好ましい実施態様において、pは、3であり、Rは、メトキシであり、mは、1であり、そしてnは、100〜750である。あるいはpは、2であり、Rは、メトキシであり、mは、1であり、そしてnは、100〜750である。あるいはpは、1であり、Rは、メトキシであり、mは、1であり、そしてnは、100〜750である。
【0047】
本発明は、Rがメトキシであり、mが1であり、nが100〜750であり、pが3であり、NHT1249が、その末端α−アミノ基を通じて共有結合したT1249ポリペプチドである、式(I)の実施態様を提供する。
【0048】
上述のように、本発明のPEG化T1249化合物は、T1249のα−アミノ基を、特定の構造を有するポリエチレングリコール誘導体に共有結合させる。これらのPEG化化合物は、所望のどの方法でも作成できるが、一般にT1249に、個別に調製したポリエチレングリコール誘導体を反応させることによって調製する。例えばT1249ポリペプチドは、すべてのリジン残基を封鎖して、この封鎖されたT1249をポリエチレングリコール誘導体と反応させることによってPEG化できる。次にT1249ポリペプチドの封鎖リジン残基を封鎖解除すると、末端PEG化T1249が生じる。
【0049】
T1249ポリペプチドは、適切などの方法でも調製できる。例えば化合物は、Boc−アミノ酸を利用した固相法を包含する古典的なメリフィールド固相合成技法を使用して(Chem.Soc., 85, 2149, 1963)、手動または自動手法を使用して、Fmoc−アミノ酸を利用した固相方法を使用して(Sheppard, R.C.ら、J.Chem.Soc.Chem.Comm., 165〜166頁(1985))を使用して、ケンタッキー州ルイビルのAdvanced Chemtechにより入手可能なAdvanced Chemtech model 200を使用して、マサチューセッツ州ベッドフォードのMilliporeより入手可能なMillipore 9050+を使用して、又は他の入手可能な機器を使用して合成できる。
【0050】
T1249は、本発明の化合物をコード化しているcDNAを機能性ウィルス性または環状プラスミドDNAベクター内に組み込むことによって生成される。ベクターまたはプラスミドは、選択した微生物を形質移入または形質転換するために使用できる。形質転換または形質移入微生物は、ベクターが持つDNA配列を発現するのに誘発性である条件下で培養可能であり、増殖培地からの所望のペプチドの分離が実施できる(例えば全体を引用例として本明細書に取りこむ、米国特許第5,955,422号を参照)。
【0051】
T1249は、当業界で周知の技術を使用して標準組換えDNA技法によっても調製できる。例えば、Sambrook らMolecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd edition, (Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, N.Y.)またはAusubel ら、Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley and Sons, New York(1995)で概説されている手法の両方を引用例として本明細書に取りこむ。
【0052】
T1249を作成する詳細な方法は、米国特許第6,258,7872号および米国特許第6,348,68号に述べられており、それぞれ全体を引用例として本明細書に取りこむ。
【0053】
開裂および脱保護の後、T1249は、適切などの手段によっても精製できる。例えば、イオン交換、ゲル濾過クロマトグラフィーおよび/または逆相カラム/HPLCシステムを用いて、全長T1249をその断片から精製することができる。N末端(例えばアシル基)および/またはC末端(例えばアミノ基)に結合した封鎖/保護基を備えたT1249前駆物質が最初に調製される場合、これらの基の一方または両方を、既知の技法で除去することができる。
【0054】
T1249のアミノ酸配列は、標準アミノ酸分析はもちろんのこと、各アミノ酸の手動および自動エドマン分解および決定を用いても確認および同定できる。HPLC分析および質量分析法も、T1249の生成を確認するために使用できる。
【0055】
T1249と反応できるポリエチレングリコールアルデヒド化合物は、どの所望の方法でも作成できる。しかしながら、ポリエチレングリコールは、全体を引用例として本明細書に取りこむ、「Polyethylene Glycol Aldehydes」という題の、2002年6月24日に出願された米国特許出願第60/398,196号に述べた方法に従って作成できることが好ましい。
【0056】
一般に、式:
【0057】
【化10】

【0058】
(式中、R、m、n、およびpは、先に定義したとおりである)のポリエチレングリコールアルデヒドを用いて、T1249をPEG化する。T1249をPEG化するのに使用されるポリエチレングリコールアルデヒドは、適切などの手段によっても調製できる。1つの好ましいポリエチレングリコールアルデヒドは、以下:
【0059】
【化11】


のように調製される。
【0060】
様々なサイズ(例えばn値を変える)のポリエチレングリコールアルデヒドは、上記の一般反応スキームに従って調製できる。
【0061】
本発明のPEG化T1249化合物は、適切などの手段によっても調製できる。しかしながら、本発明によって、式:R−(CHCHO)−CHCH−O−(CH−CO−NH−(CH−CH−NHT1249(I)(式中、ポリエチレングリコールアルデヒド分子は、T1249ポリペプチドのN末端アミノ基に結合されている)の化合物を生成するために、T1249ポリペプチド、NHT1249を、式:
【0062】
【化12】

【0063】
(式中、R、m、n、およびpは先に定義したとおりである)のポリエチレングリコールアルデヒドと反応させることを含む、T1249ポリペプチドをPEG化するための方法が更に提供される。
【0064】
PEG化T1249は、T1249およびPEG試薬を1:1〜1:100のモル比範囲で添加することによって調製される。T1249は、先に論じたように、遊離α−アミノ基(いずれかのアシル基が除去される)および遊離カルボキシ基またはアミノ保護基のどちらかを有する。反応混合物は、室温または4℃、pH範囲5.5〜7.4のホウ酸またはリン酸緩衝液に約0.5〜24時間入れる。PEG試薬のペプチド/タンパク質に対するモル比は、1:1〜100:1である。ペプチド/タンパク質の濃度は、1〜10mg/mlである。緩衝液の濃度は通例、10〜500mMである。
【0065】
PEG化T1249は、PEG化T1249の反応混合物を取って、それを平衡緩衝液(20mM Tris、pH7.5)で希釈することによって精製する。得られた混合物を次に、Q−セファロースカラムに加える。混合物をQAカラムに加えた後、それを平衡緩衝液で洗浄し、75M NaClで溶離、200mM NaClで溶離、1M NaClで溶離させ、および1M HOAC+1M NaClおよび0.5 NaOHによって再生する。
【0066】
逆相HPLCを使用することによって、N末端、モノPEG化生成物を混合物中の他の副生成物からただちに分離および単離することが可能である。例えばPEG化T−1249のクロマトグラムでは、それぞれ異なる保持時間を持つ複数のピークが生じる。第一のピークは、10.7分に未反応ペプチドを示し、第二のピークは、17.6分にモノPEG化ペプチドを示し、19分にジPEG化ペプチドが続く。各収集生成物は、マトリックス支援レーザー脱離/イオン化飛行時間型質量分析計(MALDI−TOF)によって確認した。
【0067】
本発明のPEG化T1249ポリペプチドの好ましい実施態様において、pは、3であり、Rは、メチルであり、mは、1であり、そしてnは、100〜750である。またはpは、2であり、Rは、メトキシであり、mは、1であり、そしてnは、100〜750である。またはpは、1であり、Rは、メトキシであり、mは、1であり、そしてnは、100〜750である。
【0068】
以下の式:CH−O−(CH−CH−O)−CH−CH−O−CH−CH−CH−NHT1249(III)(式中、nは10〜1,000であり、そしてNHT1249は、その末端α−アミノ基を通じて共有結合されたT1249ポリペプチドである)のPEG化T1249ポリペプチドも提供される。一実施態様において、nは、約225、例えば227である。別の実施態様において、nは、約450である。
【0069】
このPEG化T1249ポリペプチドは、いずれかの所望の方法で作成でき、好ましくは実施例7に記載した方法により作成される。
【0070】
本発明の医薬組成物は、医薬的に許容される賦形剤と混合して、R、m、n、p、およびNHT1249が先に定義した、式(I)の化合物を含む。
【0071】
PEG化T1249ポリペプチド、またはその塩を含む本発明の医薬組成物は、いずれかの所望の方法、例えば従来の混合、カプセル化、溶解、粒状化、乳化、取り込み(entrapping)、または凍結乾燥プロセスによって製造できる。これらの医薬調製物は、治療的に不活性な無機または有機賦形剤および担体を用いて調合できる。注射用の適切な賦形剤は、水、アルコール、ポリオール、グリセリン、植物油、リン脂質、および表面活性剤を含む。
【0072】
医薬調製物は、保存剤、可溶化剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、甘味剤、着色剤、着香剤、浸透圧を変化させるための塩、緩衝剤、コーティング剤、抗酸化剤も含有できる。それらは、追加の活性成分を含む、他の治療的に価値のある物質も含有できる。
【0073】
注射(腹腔内、筋肉内、皮下、静脈内注射を含む、または持続注入による)による投与に適した調合物は、単位投薬形態で好都合に与えられるか、従来の医薬技法によって調製できる。このような技法は、PEG化T1249ポリペプチドおよび医薬担体または賦形剤を結合させるステップを含む。一般に調合物は、PEG化T1249ポリペプチドを液体担体を均一および密接に結合させることによって調製する。非経口の投与に適した調合物は、調合物を抗酸化剤、緩衝剤、静菌薬および対象となるレシピエントの血液と等張性にする溶質を含有する、水性および非水性滅菌注射溶液、ならびに懸濁剤および増粘剤を含む水性および非水性滅菌懸濁液を含む。調合物は、単位用量または複数回用量容器、例えば密封アンプルおよびバイアルで与えられ、使用直前に滅菌液体担体、例えば注射用の水の添加のみを必要とする、フリーズドライ(凍結乾燥)条件で保管できる。
【0074】
好ましい単位投薬調合物は、本明細書の上で引用したように、1日用量、1日サブ用量、週用量、週サブ用量、あるいは投与成分の適切な分割を含有する調合物である。
【0075】
好ましくはPEG化T1249ポリペプチドは、単位投薬形態である。本明細書で使用されるように、「単位投薬形態」は、PEG化T1249ポリペプチドが予め測定されたおよび/または予め包装された形態である単回用量に適した量を意味する。これは投与のためのPEG化T1249ポリペプチドの好都合な調製を可能にし、患者による自己投与すら可能にする。単位投薬量は明らかに、送達されるPEG化T1249ポリペプチドの量および投与頻度に依存する。
【0076】
PEG化T1249ポリペプチドは、投与の直前に医薬的に許容される賦形剤による再構成に適した、単位投薬量の凍結乾燥粉末形態で提供することもできる。
【0077】
本発明の特定の医薬組成物は、医薬的に許容される賦形剤と混合して、Rがメトキシであり、mが1であり、nが100〜750であり、そしてpが3である、式(I)の化合物を含む。
【0078】
本発明の別の医薬組成物は、医薬的に許容される賦形剤と混合して、nが10〜1,000であり、そしてNHT1249がその末端α−アミノ基に共有結合したT1249ポリペプチドである式(III)の化合物を含む医薬組成物である。一実施態様において、nは、約225、例えば227である。別の実施態様において、nは、約450である。
【0079】
本発明は更に、医薬的に許容される賦形剤と混合して、R、m、n、p、およびNHT1249が先に定義したとおりである式(I)の化合物を含む医薬組成物を患者に投与することを含む、HIV感染を抑制する方法を提供する。
【0080】
PEG化T1249ポリペプチドは一般に、(非PEG化)T1249ポリペプチドが現在投与されている方法で投与される。しかしながら、PEG化T1249ポリペプチドの改善された薬物動態特性を利用するために、変更を行うことができる。
【0081】
HIVを抑制する本発明の方法において、医薬組成物は、いずれかの適切な方法および経路で投与できる。好ましい方法において、PEG化T1249ポリペプチドは、注射用溶液または懸濁液の形態で投与される。好ましくは注射用溶液または懸濁液は、皮下注射によって、または静脈内に投与される。
【0082】
別の好ましい方法において、PEG化T1249ポリペプチドは、経皮送達デバイス、例えば経皮パッチを通じて投与される。
【0083】
HIVを抑制する本発明の方法において、医薬組成物は、いずれかの適切な投薬量およびスケジュールで投与できる。本発明の医薬組成物は、所望の、いずれかの形態およびいずれかの経路で投与できる。一般に、しかしながら、本発明のPEG化T1249ポリペプチドは、非経口的に、例えば注射溶液の形態で投与される。
【0084】
治療的有効量の決定は、当技術分野の範囲内であり、本発明によるPEG化T1249ポリペプチド治療的有効量または投薬量は、変化することがあり、特定の各症例における個別の要件に調整される。一般に、体重約70kgの成人男性への注射による投与の場合、約50mg〜約300mg、好ましくは約50mg〜約200mgの1日投薬量が適切であるが、指示される場合は上限を超えてもよい。投薬量は、単回用量として、分割用量で、または持続注入によって投与できる。
【0085】
医薬組成物は、いずれかの好都合な投与スケジュールで投与できる。好ましくは医薬組成物は、1日1回、1日2回、1日おき、週1回、または週2回投与される。更に好ましくは、医薬組成物は週1回投与される。
【0086】
好ましくは医薬組成物は、週1回、約300mg〜約1,500mgの用量で投与される。更に好ましくは、医薬組成物は、週1回、約400mg〜約1,000mgの用量で投与される。なお更に好ましくは、医薬組成物は、週1回、約100mg〜約200mgの用量で投与される。
【0087】
本発明は、医薬的に許容される賦形剤と混合して、Rが、メトキシであり、mが、1であり、nが、100〜750であり、そしてpが、3である式(I)の化合物を含む医薬組成物を投与することを含む、HIV感染を抑制する方法も提供する。
【0088】
医薬的に許容される賦形剤と混合して、nが、10〜1,000であり、NHT1249が、その末端α−アミノ基に共有結合されたT1249ポリペプチドである式(III)の化合物を含む医薬組成物を投与することを含む、HIV感染を抑制する方法も、本発明の範囲内で考慮される。一実施態様において、nは、約225、例えば227である。別の実施態様において、nは、約450である。
【0089】
以下の実施例は、本発明の化合物、組成物、および方法を更に説明するために提供される。これらの実施例は、例示のみであり、本発明の範囲を決して制限するものではない。
【実施例1】
【0090】
mPEG10K−ブタノアルデヒドの調製
トルエン240ml中の分子量10,000のmPEG(30.0g、3mmol)を2時間還流し、それに続くトルエン120mlの除去によって共沸乾燥させた。得られた溶液は室温まで冷却し、次に無水tert−ブタノール20mlおよびトルエン20ml中のカリウムtert−ブトキシド(0.68g、6mmol)を、PEG溶液に添加した。得られた混合物をアルゴン雰囲気下、室温にて2時間攪拌した。tert−ブチルブロモアセタート(1.00mL、6.75mmol)を注射器で反応物に添加し、反応物をアルゴン雰囲気下、室温にて一晩攪拌した。次に反応溶液を回転蒸発により濃縮した。ジエチルエーテルへの添加により残留物を沈殿させた。沈殿したmPEG10Kt−ブチルカルボキシメチルエステル生成物を濾過して、真空中で乾燥させた。収量:28g。
【0091】
【表1】

【0092】
次にmPEG10Kt−ブチルカルボキシメチルエステル(26.5g)を1N 水酸化ナトリウム350ml中に溶解させ、溶液を室温にて一晩攪拌した。6N 塩酸の添加により混合物のpHを2.5に調整して、混合物をジクロロメタンで抽出した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥、濾過、濃縮させて、そしてジエチルエーテル中で沈殿させた。生成物mPEG10K−カルボキシメチル酸を濾過により収集して、真空中で乾燥させた。収量:24g。
【0093】
【表2】

【0094】
次にmPEG10K−カルボキシメチル酸(6g、0.6mmol)を無水ジクロロメタン(30mL)に溶解させ、4−アミノブチルアルデヒドジエチルアセタール(140ml、0.9mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(80mg、0.6mmol)、およびジクロロヘキシルカルボジイミド(160mg、0.78mmol)の添加が続いた。混合物をアルゴン雰囲気下、室温にて一晩攪拌した。反応混合物を濾過、濃縮し、そして、2−プロパノールおよびジエチルエーテル(1:1)の混合物によって沈殿させた。生成物mPEG10K−ブタノアセタールを真空中で一晩乾燥させた。収量:5.4g。
【0095】
【表3】

【0096】
次にmPEG10K−ブタノアセタール(2g、0.2mmol)を80%CFCOOH 20mlに溶解させ、溶液を室温にて一晩攪拌した。1N NaOH溶液の添加により、混合物のpHを6.0に調整し、塩化ナトリウム(10重量%)を添加して、次に1N NaOH溶液の添加により、溶液のpHを7.0に調整した。混合物をジクロロメタンで抽出した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥、濾過、濃縮して、そしてジエチルエーテル中に沈殿させた。生成物mPEG10K−ブタノアルデヒドを濾過により収集し、真空中で乾燥させた。収量:1.7g。
【0097】
【表4】

【実施例2】
【0098】
mPEG10K−ブタノアルデヒドによるT1249のPEG化
実施例1によって調製したPEG 10kDaのブタノアルデヒド(mPEG10K−CMAB)を、緩衝液(50mM リン酸カリウム、pH6.5)1.0ml中のT1249(純度93.7%)20mgに、T1249 1モルあたり試薬5モルのモル比で添加した。T1249ポリペプチドは、α−アミノ末端で脱アシル化したが、カルボキシル末端で−NHにより保護した。反応混合物に10%(体積/体積)の0.5M ナトリウムシアノボロヒドリド水溶液を添加し、室温にて4時間攪拌した。PEG化T−1249は、イオン交換クロマトグラフィー(QA)を使用して、反応混合物から精製した。20mM Tris、pH7.5中の、65mM〜1M NaClの上昇する塩濃度によるステップ勾配を用いて、PEG化T1249および未修飾T1249を分離した。
【実施例3】
【0099】
mPEG20K−ブタノアルデヒドの調製
トルエン800ml中の分子量20,000のmPEG(60.0g、3mmol)を2時間還流し、それに続くトルエン200mlの除去によって共沸乾燥させた。得られた溶液は室温まで冷却し、次に無水tert−ブタノール20mlおよびトルエン20ml中のカリウムtert−ブトキシド(0.68g、6mmol)を、PEG溶液に添加した。得られた混合物をアルゴン雰囲気下、室温にて2時間攪拌した。tert−ブチルブロモアセタート(1.00mL、6.75mmol)を注射器で反応物に添加し、反応物をアルゴン雰囲気下、室温にて一晩攪拌した。次に反応溶液を回転蒸発により濃縮した。ジエチルエーテルへの添加により残留物を沈殿させた。沈殿したmPEG20Kt−ブチルカルボキシメチルエステル生成物を濾過して、真空中で乾燥させた。収量:56g。
【0100】
【表5】

【0101】
次にmPEG20Kt−ブチルカルボキシメチルエステル(28g)を1N 水酸化ナトリウム750ml中に溶解させ、溶液を室温にて一晩攪拌した。6N 塩酸の添加により混合物のpHを2.5に調整して、混合物をジクロロメタンで抽出した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥、濾過、濃縮させて、そしてジエチルエーテル中で沈殿させた。生成物mPEG20K−カルボキシメチル酸を濾過により収集して、真空中で乾燥させた。収量:25g。
【0102】
【表6】

【0103】
次にmPEG20K−カルボキシメチル酸(20g、1.0mmol)を無水ジクロロメタン(100mL)に溶解させ、4−アミノブチルアルデヒドジエチルアセタール(0.77ml、4mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(270mg、2.0mmol)、およびジクロロヘキシルカルボジイミド(620mg、3.0mmol)の添加が続いた。混合物をアルゴン雰囲気下、室温にて一晩攪拌した。反応混合物を濾過、濃縮し、そして、2−プロパノールおよびジエチルエーテル(1:1)の混合物によって沈殿させた。生成物mPEG20K−ブタノアセタールを真空中で一晩乾燥させた。収量:18.6g。
【0104】
【表7】

【0105】
次にmPEG20K−ブタノアセタール(14.7g、0.73mmol)を10%CFCOOH 200mlに溶解させ、溶液を室温にて一晩攪拌した。1N NaOH溶液の添加により、混合物のpHを6.0に調整し、塩化ナトリウム(10重量%)を添加して、次に1N NaOH溶液の添加により、溶液のpHを7.0に調整した。混合物をジクロロメタンで抽出した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥、濾過、濃縮して、そしてジエチルエーテル中に沈殿させた。生成物mPEG20K−ブタノアルデヒドを濾過により収集し、真空中で乾燥させた。収量:13.1g。
【0106】
【表8】

【実施例4】
【0107】
mPEG20K−ブタノアルデヒドによるT1249のPEG化
実施例3によって調製したPEG 20kDaのブタノアルデヒドを、50mM ホウ酸緩衝液0.4ml、pH9.5に溶解させたT1249(純度93.7%)20mgに添加し、次にT1249 1モルあたり試薬10モルのモル比で、100mM リン酸カリウム、pH6.5によって10倍に希釈した。T1249ポリペプチドは、α−アミノ末端で脱アシル化したが、カルボキシル末端で−NHにより保護した。反応混合物に0.5Mナトリウムシアノボロヒドリド水溶液(NaBHCN)0.4mL(10%、体積/体積)を添加し、室温にて4時間攪拌した。次に反応混合物を平衡緩衝液(20mM Tris、pH7.5)によって10倍に希釈し、0.45μmフィルタによって濾過した。PEG化T1249は、イオン交換クロマトグラフィー(Q−セファロース)を使用して、反応混合物から精製した。平衡緩衝液中の75mM、200mM〜1M NaClの上昇する塩濃度によるステップ勾配を用いて、ジPEG化、モノPEG化および未修飾T1249を相互からそれぞれ分離した。上記の実験は、T1249 70mg、PEG20K−ブタノアルデヒドの1:10モル過剰で開始して反復し、先に記載したように精製した。両方の実験によるモノPEG化T1249(200mM NaCl溶出液)プールを合わせ、約2mg/mLに濃縮し、貯蔵緩衝液(PBS緩衝液、pH7.3)中に透析濾過し、使用するまで−20℃で保管した。物質の分割量を使用して、抗ウィルス活性についてアッセイした。
【実施例5】
【0108】
mPEG20K−ブタノアルデヒドによる%モノ−、%ジ−、および%トリ−PEG化T1249
mPEG20K−ブタノアルデヒドによる%モノ−、%ジ−、および%トリ−PEG化T1249は、T1249:PEGモル比、反応溶液のpH、および反応時間を以下の表1、2、および3に見られるように変化させた一連の実験によって決定した。これらの実験の目的は、PEG化パラメータを最適化することであった。
【0109】
例えば表1では、実施例3によって調製したPEG 20kDaのブタノアルデヒド(mPEG20K−CMAB)を、50mM リン酸カリウム、pH6.5中のT1249(純度93.7%)5mgに添加した。T1249ポリペプチドは、α−アミノ末端で脱アシル化したが、カルボキシル末端で−NHにより保護した。PEG試薬のT1249に対するモル比は、1:1、1:2、および1:5であった。反応混合物に10%(体積/体積)の0.5M ナトリウムシアノボロヒドリド水溶液を添加した。室温にて2、4、6、および24時間の所定の時間間隔で、分割量を取り除いた。
【0110】
【表9】

【0111】
表2では、実施例3によって調製したPEG 20kDaのブタノアルデヒド(mPEG20K−CMAB)を、50mM リン酸カリウム、pH6.0中のT1249(純度93.7%)5mgに、T1249 1モルあたりPEG試薬10モルのモル比で添加した。T1249ポリペプチドは、α−アミノ末端で脱アシル化したが、カルボキシル末端で−NHにより保護した。反応混合物に10%(体積/体積)の0.5M ナトリウムシアノボロヒドリド水溶液を添加した。室温にて2、4、6、および24時間の所定の時間間隔で、分割量を取り除いた。
【0112】
【表10】

【0113】
表3では、実施例3によって調製したPEG 20kDaのブタノアルデヒド(mPEG20K−CMAB)を、50mM リン酸カリウム、pH5.5中のT1249(純度93.7%)5mgに、T1249 1モルあたりPEG試薬10モルのモル比で添加した。T1249ポリペプチドは、α−アミノ末端で脱アシル化したが、カルボキシル末端で−NHにより保護した。反応混合物に10%(体積/体積)の0.5M ナトリウムシアノボロヒドリド水溶液を添加した。室温にて2、4、6、および24時間の所定の時間間隔で、分割量を取り除いた。
【0114】
【表11】

【0115】
モノ−、ジ−、およびトリ−PEG化T1249、および未反応遊離T1249のパーセンテージは、すべて反応混合物について逆相HPLCによって得た。上記の表1、2、および3に例示したデータは、モノPEG化T1249の最適量がT1249:PEGモル比、pH、および反応時間の可変条件下で達成された時を示す。例えば表1において、61%の最適モノPEG化は、1:5のT1249:PEGモル比および6時間の時点で示されている。表2では、61%の最適モノPEG化は、1:10のT1249:PEGモル比および4時間の時点で示されている。表3では、60%の最適モノPEG化は、1:10のT1249:PEGモル比および6時間の時点で示されている。
【実施例6】
【0116】
PEG化部位の決定
T1249へのPEG付加部位を評価するために、一連の実験を実施した。結果は、N末端トリプトファン残基に>95%の修飾が位置することを示す。追加の修飾部位は、わずかな程度(<5%)発生するが、その正確な同定は明らかに確立されていない。
【0117】
PEG修飾部位を決定するために、サンプルをエンドプロテイナーゼLys−Cによって消化して、ペプチドを逆相HPLCで分離した。個々のペプチドピークは、ナノスプレーESI(エレクトロスプレーイオン化)質量分析法、MALDI−TOF(マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型)質量分析法およびN末端(エドマン)配列決定を用いて更に分析した。これらの手法を以下にまとめる。
【0118】
実施例4に従って調製した20K モノPEG化ブタノアルデヒド−T1249(20k mPEG−CMAB−T1249)のサンプルおよびT1249(遊離α−アミノ末端;−NHによって保護されたカルボキシル末端)を、エンドプロテイナーゼLys−Cによってタンパク質分解により、10/1(重量/重量)のサンプル対酵素比で周囲温度にて2時間消化した。酢酸を最終濃度2%(重量/重量)まで添加して、反応を停止させた。
【0119】
タンパク質分解ペプチドの分離は、逆相HPLCによって、Phenomenex Luna逆相カラム(C−18、3μ、150×200mm)を装備したHP1100 HPLCシステムを用いて実施した。溶媒系は、水、アセトニトリルおよびトリフルオロ酢酸(0.05%)より構成された。勾配は、流速0.2ml/分にて50分間に5%〜64%有機溶媒であった。ピークを含有するペプチドは、更なる分析のために収集した。
【0120】
収集したサンプルはすべて、Finnigan LCQイオントラップ機器でナノスプレーESI質量分析法によって分析した。個々のペプチドは、実験分子量に対して同定した。PEGペプチド含有画分もMALDI−TOF質量分析法により、Bruker Reflex機器で分析した。使用したマトリックスは、トランス−3−インドールアクリル酸またはアルファ−4−ヒドロキシ桂皮酸であった。
【0121】
次にPEG含有ペプチド画分は、Perkin Elmer(ABI)精密機器で自動N末端(エドマン)配列決定を受けさせた。
【0122】
PEG化T1249のタンパク質分解断片の逆相HPLC分析の結果を、図1に示す。図1は、2つのサンプルの逆相HPLC分析から得たUVトレースを示す。対照T1249(図1BのピークHT−20)で観測されたN末端ペプチドは、PEG修飾T1249(図1A)では、ほぼ完全に存在しない。代わりに1個の新たなピークが出現した(図1AのピークPEG−34)。それはPEG修飾ペプチドを含有する。
【0123】
個々のHPLC画分の分析から得られた質量分析結果を、表4にまとめる。非修飾ペプチドのすべての実験分子量は、計算した分子量に匹敵した。
【0124】
【表12】


図1も参照; Daの計算した正確な質量; Daの測定した質量、非修飾ペプチドのナノスプレーESI MSおよびPEG修飾ペプチドのMALDI TOF MS; 自動化エドマン配列決定、n.A.=該当なし、x=同定されない; 分子量適合性および/またはエドマン配列決定に基づく。非修飾T1249サンプルのアミノ酸配列は:WQEWEQKITALLEQAQIQQEKNEYELQKLDKWASLWEWF−NHである。
【0125】
無傷PEG修飾T1249より得たMALDI−TOFマススペクトルを図2Aに示す。測定した分子量は26758Daであった。非修飾ペプチドの存在に注意する。その起源は現在未知であるが、しかしながら恐らく質量分析計自体での測定によって発生しうる。画分PEG−34(図1)から得たMALDI−TOFマススペクトルを図2Bに示す。測定した分子量は、23083Daであった。分子量はもちろんのこと、マススペクトルの外観も、このHPLC画分PEG−34をPEG修飾ペプチドを含有するものとして同定している。このHPLC画分中のPEGの存在は、ナノスプレーESI質量分析法によっても示すことができる(データは示さず)。
【0126】
自動N末端配列決定(エドマン)による結果を図3に示す。観測された主要な配列は、N末端エンドLys−CペプチドxQEWEQKであった。第一のアミノ酸残基を除いて、他のアミノ酸はすべて実質的な収量で回収された。本質的に、第一のアミノ酸位置でトリプトファンは回収できなかった(図3、サイクル3)。HPLC UVトレース、MALDI−TOFマススペクトルはもちろんのこと、N末端配列決定からの結果は、N末端トリプトファンを主要なPEG修飾部位として同定している。
【0127】
上記の結果は、ポリエチレングリコールアルデヒドとT1249のN末端トリプトファンとの間の結合の存在と一致する。トリプトファン側鎖への直接の結合は完全に排除できないが、N末端配列決定からの結果は、N末端アミノ基の「封鎖」PEG部分の存在に矛盾するように思われる。
【実施例7】
【0128】
mPEG10k−プロピオンアルデヒドによるT1249のPEG化
以下の構造を有する、PEG10kDaのプロピオンアルデヒドを使用した。
CH−O−(CH−CH−O)227−CH−CH−O−CH−CH−CHO
mPEG10k−プロピオンアルデヒド200mgを、緩衝液(50mM リン酸カリウム、pH6.5)1.0ml中のT1249(純度93.7%)20mgに、T1249 1モルあたり試薬5モルのモル比で添加した。T1249ポリペプチドは、α−アミノ末端で脱アシル化したが、カルボキシル末端で−NHにより保護した。
【0129】
反応混合物に10%(体積/体積)の0.5Mナトリウムシアノボロヒドリド水溶液を添加し、室温にて4時間攪拌した。PEG化T1249は、イオン交換クロマトグラフィー(QA)を使用して反応混合物から精製した。PEG化T1249の構造は以下:
CH−O−(CH−CH−O)−CH−CH−O−CH−CH−CH−NH−T1249(III)
のとおりである。
20mM Tris、pH7.5中の65mM〜1M NaClの上昇する塩濃度による直線勾配を使用して、PEG化T1249および非修飾T1249を分離した。次にモノPEG化T1249および未反応遊離T1249のパーセンテージを逆相HPLCによって得て、31.7%と決定した。
【実施例8】
【0130】
cMAGI/MAGI抗ウィルスアッセイ
これらのアッセイは、インジケータ細胞株MAGI(ガラクトシダーゼインジケータの多核活性化)またはCCR5発現誘導体cMAGIを利用した、感染性ウィルス力価の低下について評価した。MAGI細胞株は、アンホトロピック・レトロウィルス・ベクターによってCD4およびHIV−1 LTR駆動b−galレポーターの遺伝子を導入することによって、親HeLa細胞から得た(Kimpton J, Emerman M, J Virol 66: 2232-9, 1992)。cMAGI細胞株は、アンホトロピック・レトロウィルス・ベクター、PA317を用いたCCR5遺伝子の導入によって、MAGI細胞株から得た(Chackerian B, Long EM, Luciw PA, Overbaugh J, J Virol 71: 3932-9, 1997)。cMAGI細胞株は、初代NSI(R5)アイソレートおよび実験室適合X4ウィルスの複製を助けるが、これに対してMAGI細胞は、X4ウィルスのみの複製を助ける。どちらの細胞株も、HIV−LTRによって駆動されるb−ガラクトシダーゼ・レポーター遺伝子の発現をトランス活性化するために、HIV−1 tatの能力を利用する。b−galリポーターは、核に局在するように修飾されており、X−gal基質によって、感染の2、3日以内の強力な核染色として検出できる。それゆえ染色核の数は、染色前に1回の感染のみがある場合、チャレンジ接種での感染性ビリオンの数と等しいとして解釈できる。
【0131】
感染および細胞−細胞融合のインヒビター、例えばT1249(Wild C, Greenwell T, Matthews T, AIDS Res Hum Retrovirus 9: 1051-3, 1993)を、1回の感染を確実に示す計測値を可能にするために、感染24時間後に添加した。感染細胞は、CCD撮影機を用いて数え、初代および実験室適合アイソレートの両方が、ウィルス投入と撮影機によって描出された感染細胞数との直線関係を示した。MAGIおよびcMAGIアッセイにおいて、感染力価の50%低下(V/V=0.5)は重大であり、抗ウィルス活性を評価するための一次カットオフ値を提供する。感染力価の90%低下(V/V)を、抗ウィルス活性の評価での追加のカットオフ値として使用する。
【0132】
各試験化合物の希釈物は、48ウェルマイクロタイタープレートの約1500〜2000感染細胞/ウェルを与えるように調整されたウィルス接種に対して2回試験した。試験化合物をcMAGIまたはMAGI細胞に添加し、ウィルス接種が続き、24時間後に感染および細胞−細胞融合のインヒビター(Wild C, Greenwell T, Matthews T, AIDS Res Hum Retrovirus 9: 1051-3, 1993)を添加して、第2回の感染および細胞−細胞ウィルス蔓延を防止した。細胞を更に2日間培養し、固定して、X−gal基質によって染色し、感染細胞を検知した。各対照および試験化合物希釈物の感染細胞の数は、CCD撮影機によって決定した。IC50は、感染性ウィルス力価の50%低下を生じる試験化合物の希釈度として定義される。IC90は、感染力価の90%低下を生じる希釈度として定義される。
【実施例9】
【0133】
PEG化T1249のIC50/IC90
mPEG20k−ブタノアルデヒドによってPEG化したT1249およびT1249(実施例4)のIC50およびIC90の結果は、以下、「mPEG20k−CMAB−T1249」として、下の表5に示す。IC50およびIC90値は、実施例8に従って決定した。
【0134】
【表13】

【0135】
親T1249分子と比べてmPEG20k−CMAB−T1249では、インビトロ抗ウィルス活性の低下(バッチ1では、IC50、13.7倍およびIC90、9倍)が見られた。しかしながらインビトロ活性のこの損失は、実施例12に例示する結果によって証明されるように、インビボ生物活性を予測するものではない(図6を参照)。
【実施例10】
【0136】
mPEG20k−プロピオンアルデヒドによってPEG化したT1249の薬物動態
研究設計
オスのウィスターラット9匹(デラウェア州ウィルミントンのCharles River Laboratories)(n=3/時点)は、mPEG20k−プロピオンアルデヒドによってPEG化したT1249(実施例4)の1回皮下投与を受けた。
【0137】
mPEG20k−CMAB−T1249を水中で懸濁させ、pH6.8にするためにNaOHによって滴定した。次にmPEG20k−CMAB−T1249懸濁液を炭酸ナトリウム緩衝液の最小量に溶解させ、PBS緩衝液でpH7.3〜7.4まで希釈した。利用したPEG−T1249の量は、最終調合物1mlあたりmPEG20k−CMAB−T1249 150mgの濃度を与えるのに十分であった。ラットは、活性成分8mg/体重1kgで投薬された。
【0138】
用量投与の後、後眼窩腔から血液約1mlを各時点で収集した。時点は、用量投与の0.5、1、3、6、8、16、24、32、48、72、および96時間後であった。すべての血液サンプルは、30分まで室温に維持し、冷遠心分離によって血清を分離した。
【0139】
生分析方法
すべての血液サンプルは、0.05M 酢酸アンモニウムおよびアセトニトリルからなる直線勾配を使用して、逆相HPLC C18カラムで分離した。吸収は、280nmにて監視した。濃度は、較正基準としてのmPEG20k−CMAB−T1249混入血清抽出物を用いて、プロット(曲線v.[mPEG20k−CMAB−T1249]の下の面積)から出した。
【0140】
報告された薬物動態パラメータは、mPEG20k−CMAB−T1249、その代謝産物、および2つの組合せのプールされた血清濃度プロフィールから、市販の動力学分析ソフトウェアパッケージであるWin Nonlin, version 3.3(カリフォルニア州マウンテンビューのPharsight Corporation)による、非コンパートメント分析を用いて誘導した。
【0141】
結果
図4は、1回皮下用量投与後のラットにおける、mPEG20k−CMAB−T1249の濃度−時間プロフィールを示す。0.5時間の時点では、mPEG20k−CMAB−T1249または代謝産物のレベルは検知されず、注射部位からの遅い吸収プロセスを示す。代謝産物の場合、第一の検知可能濃度は投薬6時間後に見られ、代謝産物形成の遅い経過を表している。mPEG20k−CMAB−T1249およびその代謝産物の最低血清濃度は、投薬48時間および72時間後にそれぞれ検知された。
【0142】
全身性CI/FおよびVd/F、AUC(0〜48時間または0〜72時間)、Cmax、Tmax、および半減期を下の表6で報告する。
【0143】
【表14】

【実施例11】
【0144】
T1249の薬物動態
研究設計
各処置群は、性別ごとにスプラーグ−ドーリー・ラット9匹(デラウェア州ウィルミントンのCharles River Laboratories)からなっていた。群の各メンバーは、T1249の1回の皮下または静脈内用量を受けた(実施例9/表5で引用されたバッチ2)。ラットには、活性成分1.2または15mg/体重1kgのどちらかを投薬した。
【0145】
血液サンプルは、12時間の期間に渡って、群に付き各性別ごとに3匹のラットから、各時点において試験動物から回収した。時点は、用量投与の0.5、1、2、4、6、8、10、および12時間後であった。
【0146】
生化学方法
血液サンプルは、T1249 PcAb ECLIAアッセイを使用して分析した。T1249 PcAb ECLIAは、T1249に特異性であるウサギPcAbの2つの異なる調製物を利用する、非競合性の、2部位イムノアッセイである。このアッセイでは、T1249の決定は、ビオチン標識抗体(調製物A)およびルテニウム標識抗体(調製物B)も含有する管内で、希釈した試験サンプルを最初にインキュベートすることによって実施する。次のステップでは、形成された抗体−ペプチド−抗体免疫複合体(サンドイッチ)を捕捉するために、ストレプトアビジン被覆磁気ビーズを管に加える。次に混合物を分析器内のフローセルからポンプで汲み上げて、その後、フローセルに隣接した磁石に電流を印加する。検知用抗体と結合したルテニウム金属イオンおよびアッセイ緩衝液中に過剰に存在するトリプロピルアミンイオンの間の循環酸化−還元反応によって、光が生成する。この光エネルギーは、測定された終点である。T1249の感知可能な量を含有するサンプルは、T1249をわずかに含むか、含まないサンプルに比べて、より高い信号を呈する。
【0147】
結果
図5は、1回の皮下または静脈内用量投与後のラットにおけるT1249の濃度−時間プロフィールを示す。
【0148】
max、半減期、AUC(0〜12時間および0〜∞時間)、およびCmaxを下の表7で報告する。
【0149】
【表15】

【0150】
mPEG20k−CMAB−T1249(表6)およびT1249による15mg/kgの皮下投薬(表7)の薬物動態データを検討すると、mPEG20k−CMAB−T1249は、末端半減期において4.5倍の上昇を示す。より高いTmaxは、T1249と比較して、より遅いmPEG20k−CMAB−T1249のクリアランスを反映しているが、同様のCmaxを有する。加えて、表7によるデータを用量の差について正規化すると(実施例10と同様に、8mg/kgに正規化された15mg/kg)、mPEG20k−CMAB−T1249では、AUCにおいてT1249に対して5倍の上昇が観測された(T1249では57.1μg時/ml(正規化) 対 mPEG20k−CMAB−T1249では279μg時/ml)。
【実施例12】
【0151】
マウスのHIV−1ウィルス負荷に対するT1249およびmPEG20k−CMAB−T1249の効果
処置群あたりHuPBMC−SCIDマウス9匹(6匹のマウスを有するPEG対照を除く)を使用した。第0日に、各処置群は、HIVアイソレートによる感染後に午後の処置を受けた。その後、各処置群は、第1日から第6日まで1日2回の処置を受けた(午前および午後)。マウスは、第7日に収穫した。投薬の詳細は、表8を参照。T1249分析の血漿サンプルは、最後の用量投与の約14時間後に回収した。
【0152】
【表16】

【0153】
血漿中のHIV−1は、リアルタイム定量PCRによって決定した。血漿を、T1249化合物定量のために収穫した。次に凍結血漿サンプルは、化合物分析を受けた。
【0154】
図6は、SCIDマウスにおけるT1249およびmPEG20k−CMAB−T1249投薬のHIV−1ウィルス負荷に対する効果を示す。
【0155】
T1249およびmPEG20k−CMAB−T1249は、インビボで同様に活性である。結果は、試験した化合物の血漿濃度に対して測定されたように、インビボウィルス抑制活性の識別できる相違を示さなかった。
【0156】
上記の結果は、本発明の好都合な特性、同じ血漿濃度におけるmPEG20k−CMAB−T1249およびT1249の同等のインビボ生物活性(実施例12)、および実施例10および11の比較にによって証明される、mPEG20k−CMAB−T1249のはるかに優れた薬物動態プロフィールを示す。
【0157】
本発明を説明したが、同じ方法が多くの方法で変更できることは明らかである。このような変更は、本発明の精神および範囲からの逸脱とは見なされず、このような改変すべては、上記の請求項の範囲内に含まれるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0158】
【図1】PEG修飾および非修飾T1249の酵素消化物の比較を示す。エンドプロテイナーゼLys−Cによる消化およびそれに続く逆相HPLCによる分離が示されている。
【図2】収集したHPLC画分PEG−34(図1)のマトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間(MALDI−TOF)マススペクトルを示す。スペクトルは、マトリックスとしてトランス−3−インドールアクリル酸を用いて線形モードで得た。
【図3】収集したHPLC画分PEG−34(図1)のN末端(エドマン)配列決定を示す。
【図4】1回皮下用量投与後のラットにおける、mPEG20k−CMAB−T1249の濃度−時間プロフィールを示す。
【図5】1回皮下用量投与後のラットにおける、T1249の濃度−時間プロフィールを示す。
【図6】SCIDマウスにおけるHIV−1ウィルス負荷に対するT1249およびmPEG20k−CMAB−T1249の効果を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】


(式中
は、キャッピング基であり、
mは、1〜17であり、
nは、10〜1,000であり、
pは、1〜3であり、そして
NHT1249は、その末端α−アミノ基を通じて共有結合したT1249ポリペプチドである)の化合物。
【請求項2】
が、ハロゲン、エポキシド、マレイミド、オルトピリジルジスルフィド、トシラート、イソシアナート、ヒドラジンヒドラート、シアヌル酸ハライド、N−スクシンイミジルオキシ、スルホ−N−スクシンイミジルオキシ、1−ベンゾトリアゾリルオキシ、1−イミダゾリルオキシ、p−ニトロフェニルオキシ、および
【化2】


からなる群より選択される、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
pが、3である、請求項1記載の化合物。
【請求項4】
pが、3であり、Rが、メトキシであり、mが、1であり、そしてnが、100〜750である、請求項1記載の化合物。
【請求項5】
式:CH−O−(CH−CH−O)−CH−CH−O−CH−CH−CH−NHT1249(III)(式中、nは10〜1,000であり、そしてNHT1249は、その末端α−アミノ基を通じて共有結合されたT1249ポリペプチドである)の化合物。
【請求項6】
nが、約450である、請求項5記載の化合物。
【請求項7】
医薬的に許容される賦形剤と混合して、式:
【化3】


(式中
は、キャッピング基であり、
mは、1〜17であり、
nは、10〜1,000であり、
pは、1〜3であり、そして
NHT1249は、その末端α−アミノ基を通じて共有結合したT1249ポリペプチドである)の化合物を含む、医薬組成物。
【請求項8】
pが、3であり、Rが、メトキシであり、mが、1であり、そしてnが、100〜750である、請求項7記載の医薬組成物。
【請求項9】
凍結乾燥粉末の形態である、請求項7記載の医薬組成物。
【請求項10】
注射用溶液または懸濁液の形態である、請求項7記載の医薬組成物。
【請求項11】
HIV感染抑制用の医薬の調製のための、医薬的に許容される賦形剤と混合して、式I:
【化4】


(式中
は、キャッピング基であり、
mは、1〜17であり、
nは、10〜1,000であり、
pは、1〜3であり、そして
NHT1249は、その末端α−アミノ基を通じて共有結合したT1249ポリペプチドである)の化合物を含む医薬組成物の使用。
【請求項12】
pが、3であり、Rが、メトキシであり、mが、1であり、そしてnが、100〜750である、請求項11記載の使用。
【請求項13】
医薬組成物が、腹腔内、筋肉内、皮下内、静脈内に、または持続注入によって注射される、請求項11記載の使用。
【請求項14】
医薬組成物が、投与あたり約50mg〜約300mgの量で投与される、請求項11記載の使用。
【請求項15】
HIV感染抑制用の医薬の調製のための、医薬的に許容される賦形剤と混合して、式III:CH−O−(CH−CH−O)−CH−CH−O−CH−CH−CH−NHT1249(III)(式中、nは10〜1,000であり、そしてNHT1249はその末端α−アミノ基に共有結合したT1249ポリペプチドである)の化合物を含む医薬組成物の使用。
【請求項16】
医薬組成物が、単回用量で週あたり約300mg〜約1500mgの量で投与される、請求項15記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2006−515272(P2006−515272A)
【公表日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−525220(P2004−525220)
【出願日】平成15年7月16日(2003.7.16)
【国際出願番号】PCT/EP2003/007711
【国際公開番号】WO2004/013165
【国際公開日】平成16年2月12日(2004.2.12)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】