説明

POS装置、プリンタ、クレジット処理端末およびPOS処理方法

【課題】 プリンタの重複設置を解消したPOS装置、プリンタ、クレジット処理端末およびPOS処理方法を提供する
【解決手段】 POS装置1は、販売商品の決済情報の処理と売上印刷データの生成を行うPOS端末2と、POS端末2に接続されクレジット決済機能を有するプリンタ7とを備えている。プリンタ7は、与信照会機関13へ与信照会をするためにクレジットカード9が有する与信情報をICカード読出/書込機構部10または磁気カード読出機構部11で読み出し、決済情報に基づいて売上伝票を印刷するための売上印刷データと、決済情報および与信情報に基づいてクレジット決済伝票を印刷するためのクレジット印刷データとを作成する。作成したデータを基に、両方の伝票8を一括してプリンタ7で印刷することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クレジットカードなどの決済をするためのPOS装置、クレジット決済機能を有するプリンタおよびクレジット処理端末並びにこれらを用いてクレジットカードなどの決済をするためのPOS処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、販売時点情報管理をするPOS(Point of Sales)処理を行うために、図9に示すようなPOS装置50が使用されている。POS装置50は、現金決済用のPOS端末51と、クレジット処理端末であるCAT(Credit Authorization Terminal)端末56とを備えている。POS端末51は、商品に付されているバーコード等の情報を読み取るバーコードリーダなどの入力装置52と、読み取った情報を元に商品名、値段等を取得し決済処理などを行う処理装置と売上伝票54を発行するプリンタ55とを備え、商品の在庫管理、販売管理をするために用いられる。
【0003】
近年、支払方法が多様化し、現金決済に加えクレジットカード58による支払いが増えているが、それに伴いクレジットカード58の不正使用も増加している。クレジットカード58による支払いには、不正使用の防止のためクレジットカード会社62との間で、都度、認証(与信照会)が行われているが、さらに、よりセキュリティを高めるためICクレジットカード化が進められている。そのため、特許文献1に示すように、CPUやメモリ等のICが内蔵されているクレジットカード(ICクレジットカード)を含むクレジットカード58による取引を可能にするCAT端末56を、POS端末51に接続して処理する方法が用いられるようになっている。
【0004】
このCAT端末56は、特許文献2に示すように、単体でクレジットカード58の処理を行うことが可能である。CAT端末56をPOS端末51に接続すれば、各種のクレジットカード58や現金支払い方法など多様な支払い方法に対応可能なPOS装置50の構成が可能である。
【0005】
【特許文献1】特開2003−67844号公報
【特許文献2】特開平11−215255号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1の従来の技術では、売上処理をするPOS端末51およびクレジット処理をするCAT端末56とが、もともと独立して個別の処理が可能な端末であり、POS端末51とCAT端末56とを接続しても、売上伝票54の発行は、POS端末51のプリンタ55で行い、クレジット決済伝票60の発行は、CAT端末56のプリンタ部61で行わなければならない。支払い方法によって伝票を発行するプリンタが異なり、オペレータにとっては煩わしい対応を強いられている。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために、プリンタの重複設置を解消したPOS装置、プリンタ、クレジット処理端末およびPOS処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のPOS装置は、販売商品の決済情報の処理と売上印刷データの生成を行うPOS端末と、POS端末に接続されクレジット決済機能を有するプリンタとを備え、プリンタは、与信照会をするためにクレジットカードが有する与信情報を読み出す情報取得機構部と、決済情報および与信情報に基づいてクレジット決済伝票を印刷するためのクレジット印刷データを作成するカード処理部と、売上印刷データおよびクレジットカード印刷データに基づき、売上伝票およびクレジット決済伝票を印刷する印刷機構部と、を有することを特徴とする。
【0009】
このPOS装置によれば、POS端末とプリンタとを有しており、POS端末によって販売した商品の価格等の商品情報を入力し、決済情報の処理と売上印刷データの生成を行い、POS端末と接続されクレジットカードを処理するための情報取得機構部およびカード処理部を有するプリンタによってクレジット決済をする。クレジット決済後、プリンタは、売上伝票およびクレジット決済伝票を印刷する。このように、POS端末にクレジット決済機能付のプリンタを接続するだけで、クレジットカードでの決済と、売上伝票およびクレジット決済伝票の一括印刷とが可能になる。従って、従来と異なり、売上伝票とクレジット決済伝票とをそれぞれ印刷する2台のプリンタを使うことなく1台のプリンタで両伝票の印刷が可能となる。また、このPOS装置は、POS端末、売上伝票用プリンタ、クレジット処理用の端末およびクレジット決済伝票用プリンタなどを個別に接続して個々の設定調整をする手数が不要である。
【0010】
この場合、プリンタは、オンラインによって決済情報および与信情報のデータを送受信してクレジットカードの与信照会をする際に、データの暗号化および復号化を実行するセキュリティ制御部と、与信照会をオンラインで実行する与信照会処理部と、を有することが好ましい。
【0011】
この構成によれば、プリンタの有するセキュリティ制御部と与信照会処理部とによってクレジットカードの与信照会が暗号を用いて実行されるため、決済情報および与信情報の漏洩を防止可能である。顧客の個人情報が保護され、顧客は、安心してクレジットカードによる商品購入を行うことが可能である。暗号化および復号化の方法としては、公開鍵暗号方式、電子署名、秘密鍵暗号方式などで、可能である。
【0012】
また、プリンタは、POS端末を接続するための通信インタフェースをさらに有しており、通信インタフェースは、プリンタの拡張スロットに着脱可能な構成であり、通信インタフェースの交換により仕様が異なるPOS端末との接続を可能にすることが好ましい。
【0013】
この構成によれば、プリンタは拡張スロットを有しており、拡張スロットに装着する通信インタフェースを交換することによって、仕様の異なるPOS端末であってもプリンタとの接続が可能である。このように、プリンタの本体装置自体を変更せずにPOS端末と接続ができ、POS端末をクレジットカードの処理可能な端末へ機能向上させることが容易になる。
【0014】
本発明のPOS装置は、販売商品の決済情報の処理と売上印刷データの生成を行うPOS端末と、POS端末に接続されクレジット決済機能を有するクレジット処理端末とを備え、クレジット処理端末は、与信照会をするためにクレジットカードが有する与信情報を読み出す情報取得機構部と、決済情報および与信情報に基づいてクレジット決済伝票を印刷するためのクレジット印刷データを作成するカード処理部と、クレジット処理端末に接続され、売上印刷データおよびクレジットカード印刷データに基づき、売上伝票およびクレジット決済伝票を印刷するプリンタを制御する印刷制御部と、を有することを特徴とする。
【0015】
このPOS装置によれば、POS端末と、クレジット処理端末と、プリンタとを有しており、POS端末によって販売した商品の価格等の商品情報を入力し、決済情報の処理と売上印刷データの生成を行い、POS端末と接続されクレジットカードを処理するための情報取得機構部およびカード処理部を有するクレジット処理端末によってクレジット決済をする。クレジット決済後、クレジット処理端末に接続されているプリンタによって、売上伝票およびクレジット決済伝票を印刷する。従って、従来と異なり、売上伝票とクレジット決済伝票とをそれぞれ印刷する2台のプリンタを使うことなく1台のプリンタで両伝票の印刷が可能となる。このように、POS端末にクレジット処理端末を接続し、さらに、売上伝票を印刷するプリンタをクレジット処理端末に接続することにより、このプリンタによって売上伝票およびクレジット決済伝票の一括印刷が可能になる。プリンタは、従来POS端末に接続して売上伝票を印刷していたものを使用可能であり、従って、このPOS装置は、クレジットカードの処理をするクレジット処理端末を新たにPOS端末に接続するだけでよく、クレジット処理端末に対応するために、POS端末およびプリンタの設定を変更する必要がない。
【0016】
この場合、クレジット処理端末は、オンラインによって決済情報および与信情報のデータを送受信してクレジットカードの与信照会をする際にデータの暗号化および復号化を実行するセキュリティ制御部と、与信照会をオンラインで実行する与信照会処理部と、を有することが好ましい。
【0017】
この構成によれば、クレジット処理端末の有するセキュリティ制御部と与信照会処理部とによってクレジットカードの与信照会が暗号を用いて実行されるため、決済情報および与信情報の漏洩を防止可能である。顧客の個人情報が保護され、顧客は、安心してクレジットカードによる商品購入を行うことが可能である。
【0018】
また、クレジット処理端末は、POS端末を接続するための通信インタフェースをさらに有しており、通信インタフェースは、クレジット処理端末の拡張スロットに着脱可能な構成であり、通信インタフェースの交換により仕様が異なるPOS端末との接続を可能にすることが好ましい。
【0019】
この構成によれば、クレジット処理端末は拡張スロットを有しており、拡張スロットに装着する通信インタフェースを交換することによって、仕様の異なるPOS端末であってもクレジット処理端末との接続が可能である。このように、クレジット処理端末の本体装置自体を変更せずにPOS端末と接続ができ、POS端末をクレジットカードの処理可能な端末へ機能向上させることが容易になる。
【0020】
本発明のプリンタは、販売商品の決済情報の処理と売上印刷データの生成を行うPOS端末を接続するための通信インタフェースと、与信照会をするためにクレジットカードが有する与信情報を読み出す情報取得機構部と、オンラインによって決済情報および与信情報のデータを送受信してクレジットカードの与信照会をする際にデータの暗号化および復号化を実行するセキュリティ制御部と、与信照会をオンラインで実行する与信照会処理部と、商品情報および与信情報に基づいてクレジット決済伝票を印刷するためのクレジット印刷データを作成するカード処理部と、売上印刷データおよびクレジットカード印刷データに基づき、売上伝票およびクレジット決済伝票を印刷する印刷機構部と、を有することを特徴とする。
【0021】
このプリンタによれば、POS端末と接続するための通信インタフェースと、クレジットカードを処理するための情報取得機構部、セキュリティ制御部および与信照会処理部と、売上伝票およびクレジット決済伝票を印刷する印刷機構部とを有している。プリンタが通信インタフェースを有することにより、POS端末から入力される販売した商品の価格等の決済情報と、プリンタが処理するクレジットカードの与信情報とが互いに送受信可能となる。従って、クレジットカードによる決済後、POS端末からの情報に基づく売上伝票およびプリンタからの情報に基づくクレジット決済伝票を、従来のようにそれぞれ個別のプリンタで印刷することなく、一括して印刷機構部で印刷することが可能となる。また、クレジットカードの与信照会が暗号を用いて実行され、決済情報および与信情報の漏洩を防止可能である。
【0022】
本発明のクレジット処理端末は、販売商品の決済情報の処理と売上印刷データの生成を行うPOS端末を接続するための通信インタフェースと、与信照会をするためにクレジットカードが有する与信情報を読み出す情報取得機構部と、オンラインによって商品情報および与信情報のデータを送受信してクレジットカードの与信照会をする際にデータの暗号化および復号化を実行するセキュリティ制御部と、与信照会をオンラインで実行する与信照会処理部と、決済情報および与信情報に基づいてクレジット決済伝票を印刷するためのクレジット印刷データを作成するカード処理部と、売上印刷データおよびクレジットカード印刷データに基づき、売上伝票およびクレジット決済伝票を印刷するプリンタを制御する印刷制御部と、を有することを特徴とする。
【0023】
このクレジット処理端末によれば、POS端末と接続するための通信インタフェースと、プリンタを接続するための印刷制御部と、クレジットカードを処理するための情報取得機構部、セキュリティ制御部、与信照会処理部とを有している。クレジット処理端末が通信インタフェースを有することにより、POS端末から入力される販売した商品価格等の決済情報と、クレジット処理端末が処理するクレジットカードの与信情報とが互いに送受信可能となる。従って、クレジットカードによる決済後、POS端末からの情報に基づく売上伝票およびクレジット処理端末からの情報に基づくクレジット決済伝票を、従来のように個別のプリンタで印刷することなく、クレジット処理端末に接続されているプリンタによって一括して印刷することが可能である。また、クレジットカードの与信照会が暗号を用いて実行され、決済情報および与信情報の漏洩を防止可能である。
【0024】
本発明のPOS処理方法は、販売商品の価格を含む商品情報を入力し、決済情報の処理と売上印刷データの生成を行う入力ステップと、与信照会をするためにクレジットカードが有する与信情報を読み出す情報取得ステップと、決済情報および与信情報の暗号化および復号化による送受信によりクレジットカードの与信照会をオンラインで実行する照会ステップと、決済情報および与信情報に基づいてクレジット決済伝票を印刷するためのクレジット印刷データを作成する印刷データ作成ステップと、売上印刷データおよびクレジットカード印刷データに基づき、売上伝票およびクレジット決済伝票を印刷する印刷ステップと、を有することを特徴とする。
【0025】
このPOS処理方法によれば、印刷データ作成ステップにおいて、入力ステップで入力された商品情報と情報取得ステップで読み出されたクレジットカードの与信情報とから、売上伝票およびクレジット決済伝票の印刷データを一括して作成する。作成した印刷データに基づき印刷ステップで両伝票を一括して印刷する。こうして、従来のように売上伝票およびクレジット決済伝票を個別のプリンタでそれぞれ印刷するような手数を省くことが可能となる。さらに、照会ステップにおいて、クレジットカードの与信照会が暗号を用いて実行されることにより、商品情報および与信情報の漏洩を防止可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明を具体化した実施形態について図面に従って説明する。実施形態のPOS装置は、従来から用いられている現金決済用のPOS端末にクレジットカードの決済機能を有するプリンタまたはクレジット処理端末を接続することにより、現金およびクレジットカード決済に対応が可能なものである。また、クレジットカードの一種であるICクレジットカードの規格であるEMVなどの新しい仕様等にも準拠するPOS装置である。
(実施形態1)
【0027】
図1は、実施形態1のPOS装置を示す模式図である。POS装置1は、現金決済用のPOS端末2を有する。POS端末2は、商品に取り付けられているバーコードの情報を読み取るバーコードリーダ3と、入力操作用のキーボード4と、入力内容を表示する表示部5とを有している。POS端末2は、バーコードリーダ3から読み取った情報を元に、商品名や価格等を取得し、決済処理などを行う。そして、POS端末2は、複数のPOS端末2からの情報を管理可能で販売時点管理を集中的に行うホストコンピュータ6に接続されている。
【0028】
また、POS装置1は、POS端末2に接続されているプリンタ7を有する。プリンタ7は、伝票8の印刷を実行し、印刷する伝票8は、商品名や価格等を印刷した図9に示す現金決済の売上伝票54と、クレジット決済の場合にクレジット決済内容を印刷した図9に示すクレジット決済伝票60とである。プリンタ7は、さらにクレジットカード9によるクレジット決済機能とクレジットカード9に関する与信照会機能とを有している。
【0029】
プリンタ7が対応可能なクレジットカード9は、接触(端子接続)または非接触(無線通信)により読み出しおよび書き込み自在なICクレジットカードおよび読み出し専用の磁気クレジットカード(磁気ストライプ搭載クレジットカード)である。そのためプリンタ7は、情報取得機構部14として、ICクレジットカードに対応するためのICカード読出/書込機構部10と、磁気クレジットカードに対応するための磁気カード読出機構部11とを有する。
【0030】
そして、プリンタ7には、クレジット決済の際に、顧客確認のために顧客に予め設定してある暗証番号を入力してもらうためのピンパッド12がケーブル接続されている。また、クレジットカード9の有効期間や過去の使用履歴、トラブルの有無、偽造品でないかなどの与信情報をチェックして、クレジットカード9の有効性を確認するいわゆる与信照会のために、プリンタ7と与信照会機関13とがオンラインで接続されている。
【0031】
与信照会機関13は、クレジットカード9を発行したクレジットカード会社や金融機関などが独自に運営している機関と、クレジットカード会社や金融機関などから委託を受け、それぞれの代行として与信照会をしている情報処理センタ等とがある。一般に、情報処理センタ等の代行機関が与信照会を行うようになってきている。
【0032】
次に、このPOS装置1の構成についてさらに詳細に説明する。図2は、POS装置の構成を示すブロック図である。POS装置1は、POS端末2と、プリンタ7と、ピンパッド12を有する。プリンタ7は、POS端末2、ピンパッド12、与信照会機関13との接続制御およびプリンタ7の有する各機構部を制御するための制御部15を有する。
【0033】
制御部15は、プリンタ7とPOS端末2およびピンパッド12とを接続するための通信インタフェース16と、与信照会機関13と接続してオンライン通信をするための与信照会処理部17とを有する。この与信照会処理部17を介して与信照会機関13とオンライン通信をする際に、与信情報の漏洩を防ぐ目的で与信情報の暗号化および暗号化された与信情報の復号化を行うため、カード発行元の各クレジットカード9に対応する暗号化および復号化用の鍵を保存しているセキュリティモジュール18を制御するセキュリティ制御部19を有する。
【0034】
また、クレジットカード9の一種であるICクレジットカードからの情報の読み出しおよびICクレジットカードへの情報の書き込みをするためのICカード読出/書込機構部10を制御するためのICカード制御部20と、磁気カードからの情報の読み出しをするための磁気カード読出機構部11を制御する磁気カード制御部21とを有する。ICクレジットカードと通信をする際には、与信照会機関13とオンライン通信をする場合と同様に、ICクレジットカードの有する暗号処理機能に対応して、ICカード読出/書込機構部10を介して、ICクレジットカードとICカード制御部20との間で暗号による通信が行われる。
【0035】
そして、伝票8を印刷する印刷機構部22を制御する印刷制御部23と、POS端末2からの印刷データ等を一時的に保存しておくRAM(Random Access Memory)24と、クレジットカード9による決済処理のためのアプリケーションなどを保存しておくフラッシュROM(Read Only Memory)25と、フラッシュROM25に保存されているアプリケーションなどに従ってプリンタ7を制御するCPU(Central Processing Unit)29とを有する。
【0036】
フラッシュROM25は、ICクレジットカードによる決済情報の履歴を一時的に保存しておくクレジット取引記録ファイル26と、与信照会機関13から配信されるダウンロードデータを保存しておくダウンロードデータファイル27と、クレジット処理等を実行するためのアプリケーションを保存しておくアプリケーションファイル28とを有する。さらに、フラッシュROM25は、図2に記載していないが、電源投入時のプリンタ7の初期化などに必要な最小限のプログラムの集合体であるブート領域と、プリンタ7を制御するファームプログラムを保存するためのファームウエア領域と、印刷する文字のフォント等を保存するデータ領域とを有している。このフラッシュROM25は、不揮発性メモリであって、保存している内容を自在に書き換えでき、電源が遮断されても記憶内容を保持することが可能である。
【0037】
CPU29は、クレジットカード9での決済をするためのアプリケーションを、フラッシュROM25のアプリケーションファイル28から選択して実行するためのアプリケーション選択実行部30と、選択されたアプリケーションに基づいて磁気クレジットカードによる決済処理をする磁気カード処理部(カード処理部)31と、ICクレジットカードによる決済処理をするICカード処理部(カード処理部)32として機能し、プリンタ7を制御する。
【0038】
これら通信インタフェース16、与信照会処理部17、セキュリティ制御部19、ICカード制御部20、磁気カード制御部21、印刷制御部23、RAM24、フラッシュROM25、CPU29とがバス33を介して相互に接続されている。
【0039】
このPOS装置1において、通信インタフェース16は、POS端末2を介してホストコンピュータ6と接続されているインタフェースであって、プリンタ7の図示していない拡張スロットに脱着可能な構成で装着され、制御部15の一機能として機能する。通信インタフェース16は、POS端末2とプリンタ7とピンパッド12とにそれぞれ接続するためのコネクタ部を有している。コネクタ部は、RS−232規格などのシリアルデータ転送、セントロニクス規格などのパラレルデータ転送、イーサネット(登録商標)の10Base−T、100Base−Tなどのネットワーク接続、USBなどのデータ転送規格に対応したものを採用可能である。また、接続する装置にそれぞれ準拠してインタフェースとしての機能を果たすためにCPU、ROM、RAMを有している。
【0040】
また、通信インタフェース16は、POS端末2からの印刷データ等をRAM24のバッファ領域に一旦保存し、プリンタ7のRAM24の空き状態に応じて印刷データ等をRAM24へ送信することができるため、多量のデータであってもPOS端末2からプリンタ7へスムーズに且つ高速に送信可能である。
【0041】
さらに、POS端末2とプリンタ7とのTTL(Transistor Transistor Logic)とCMOSなどの駆動電圧が異なる場合に、駆動電圧のレベル変換を行うドライバ回路を備えて信号レベルを容易に変換することなどが可能である。このようなインタフェース機能を機能させるためのプログラムは、通信インタフェース16のROMに保存され、これらのプログラムをCPUが実行することによってインタフェースとしての機能を発揮する。従って、プリンタ7に通信インタフェース16を装着することにより、プリンタ7本体の装置等を変更することなく種々のPOS端末2をプリンタ7へ接続することが可能となる。
【0042】
以上のようなPOS装置1によるクレジット決済方法についてフローチャートに基づいて説明する。最初に、POS装置1のPOS端末2が行う決済処理の方法について説明する。図3は、POS端末での決済処理を示すフローチャートである。フローチャートでは、売上伝票を現金支払用のレシート、また、クレジット決済伝票をクレジット支払用のレシートと記載してある。
【0043】
ステップS1において、販売した商品に添付されているバーコードタグからバーコードリーダ3で商品コードを入力し、POS端末2で商品名および商品価格を読み取る。バーコードタグを用いない場合は、キーボード4からオペレータによって商品コードが入力される。入力された後、ステップS2へ進む。
【0044】
ステップS2において、顧客の支払い(決済)方法が現金支払いであることの入力を受信したか否かを判断する。入力は、オペレータによってキーボード4から行われる。入力結果が現金支払いであれば、ステップS3へ進み、一方、現金支払いではなくクレジットカード9での支払いであれば、ステップS4へ進む。
【0045】
そして、ステップS3において、現金支払い処理の終了の入力を受信したか否かを判断する。入力は、オペレータによってキーボード4から行われる。処理が終了していなければ、ステップS3で終了を待ち、一方、終了すれば、ステップS4へ進む。
【0046】
ステップS4において、プリンタ7へ支払い方法および支払い金額のデータを送信する。送信後、ステップS5へ進む。
【0047】
ステップS5において、現金支払用のレシート(売上伝票)を印刷するためのデータを作成するか否かを判断する。支払い方法が現金であれば、ステップS6へ進み、一方、現金支払いではなくクレジットカード9での支払いであれば、ステップS7へ進む。
【0048】
次に、ステップS6においては、支払いが現金であるため、現金支払用のレシートを印刷するための売上印刷データを作成しプリンタ7へ送信する。送信後、フローを終了する。
【0049】
また、ステップS7においては、支払い方法がクレジットカード9による支払いであるため、プリンタ7によるクレジット支払い処理が終了した通知をプリンタ7から受信したか否かを判断する。通知には、クレジットカード9による支払いに関するデータも含まれる。このデータには、クレジットカード9の発行カード会社、カード番号、分割支払いの有無などが含まれている。そして、通知を受信していなければ、受信するまでステップS7で待ち、一方、受信すれば、ステップS8へ進む。
【0050】
ステップS8において、クレジットカード9による支払い処理の終了通知を受けて、クレジット支払用のレシート(クレジット決済伝票)を印刷するためのクレジット印刷データを作成しプリンタ7へ送信する。印刷データは、支払い処理の終了通知と合わせて送信されて来るクレジットカード9による支払いに関するデータを基に作成される。印刷データの送信後、フローを終了する。
【0051】
次に、POS端末2の決済処理に対応してプリンタ7が実行する処理についてフローチャートに基づいて説明する。図4は、プリンタによるクレジット処理およびレシート印刷処理を示すフローチャートである。
【0052】
まず、ステップS10において、POS端末2から支払い方法および金額のデータを受信したか否かをアプリケーション選択実行部30が判断する。該当データは、ステップS4においてPOS端末2がプリンタ7へ送信してくるデータである。受信していなければ、ステップS10で受信を待ち、一方、受信すれば、ステップS11へ進む。
【0053】
ステップS11において、ステップS10で受信したデータによる支払い方法がクレジットカード9での支払いであるか否かをアプリケーション選択実行部30が判断する。クレジットカード9での支払いであれば、ステップS12へ進み、一方、クレジットカード9での支払いではなく現金による支払いであれば、ステップS13へ進む。
【0054】
次に、ステップS12において、クレジットカード9での支払いのために、クレジットカード9が情報取得機構部14へ挿入されたか否かを判断する。クレジットカード9が挿入されると、クレジットカード9がICクレジットカードであれば、ICカード制御部20がICカード読出/書込機構部10を介してICクレジットカードであることを検出する。同様に、クレジットカード9が磁気クレジットカードであれば磁気カード制御部21が磁気カード読出機構部11を介して磁気クレジットカードであることを検出する。クレジットカード9が挿入されていないと、ステップS12でクレジットカード9が挿入されるのを待ち、一方、クレジットカード9の挿入が確認されるとステップS14へ進む。
【0055】
また、ステップS13においては、現金による支払いの場合であり、現金支払い用のレシートを印刷するための売上印刷データをPOS端末2から受信したか否かをアプリケーション選択実行部30が判断する。該当データは、ステップS6においてPOS端末2がプリンタ7へ送信してくるデータである。受信していなければ、ステップS13で受信を待ち、一方、受信すれば、ステップS15へ進む。
【0056】
ステップS15において、アプリケーション選択実行部30による受信判断を受け、印刷制御部23が印刷機構部22を制御して現金支払用レシートの印刷を実行する。印刷の実行により現金による支払い処理が完了し、フローを終了する。
【0057】
クレジットカード9による支払いの場合は、ステップS14において、情報取得機構部14へ挿入されたクレジットカード9に対応するアプリケーションが選択される。具体的には、アプリケーション選択実行部30が情報取得機構部14によるクレジットカード9の検出結果を受け、フラッシュROM25のアプリケーションファイル28の中から該当するアプリケーションを選択してRAM24へ保存する。保存後、ステップS16へ進む。
【0058】
ステップS16において、既に判明しているクレジットカード9の種類による次ステップの選択のために、クレジットカード9がICクレジットカードか否かをアプリケーション選択実行部30が判断する。ICクレジットカードであれば、ステップS17へ進み、一方、ICクレジットカードではなく磁気クレジットカードであれば、ステップS18へ進む。
【0059】
次に、ステップS17において、アプリケーション選択実行部30、ICカード処理部32、ICカード制御部20および与信照会処理部17がICクレジットカードでの支払い処理を実行する。処理の詳細は、図5を参照して後述する。支払い処理の実行後、ステップS19へ進む。
【0060】
また、ステップS18において、アプリケーション選択実行部30、磁気カード処理部31、磁気カード制御部21および与信照会処理部17が磁気クレジットカードでの支払い処理を実行する。処理の詳細は、図6を参照して後述する。支払い処理の実行後、ステップS19へ進む。
【0061】
そして、ステップS19において、クレジットカード9による支払い処理の終了の通知をPOS端末2へアプリケーション選択実行部30が送信する。このとき、支払い処理のデータも合わせて送信する。このデータは、既に述べたステップS7において、POS端末2によって受信される。送信後、ステップS20へ進む。
【0062】
ステップS20において、クレジット支払用のレシートを印刷するためのクレジット印刷データをPOS端末2から受信したか否かをアプリケーション選択実行部30が判断する。印刷データは、ステップS8においてPOS端末2が送信する。印刷データを受信していなければ、ステップS20で受信を待ち、一方、印刷データを受信すれば、ステップS21へ進む。
【0063】
ステップS21において、印刷制御部23が印刷機構部22を制御してクレジット支払用レシートの印刷を実行する。以上で、クレジットカード9による支払い処理が完了し、フローを終了する。
【0064】
続いて、ステップS17におけるICクレジットカードでの支払い処理について、詳細に説明する。図5は、ICクレジットカードでの決済処理の詳細を示すフローチャートである。ステップS30において、ICカード読出/書込機構部10がICクレジットカードの有するICからカード固有のデータを読み取る。固有のデータは、発行カード会社、カード番号、有効期限、使用限度金額、分割支払いの可否、過去の決済履歴などである。データの読み取り後、ステップS31へ進む。
【0065】
ステップS31において、ICクレジットカードが、ICクレジットカードから読み取ったデータ上、決済可能なものであるか否かをICカード処理部32が判断する。決済不可であれば、ステップS32へ進み、一方、決済可能であれば、ステップS33へ進む。ステップS31において決済不可の判断がなされる場合とは、ICカード処理部32が未対応なICクレジットカードである場合、ICクレジットカードの有効期限が切れている場合、ICクレジットカードが対応していない支払い方法が選択されている場合、偽造ICクレジットカードである場合などである。
【0066】
決済不可と判断されると、ステップS32において、取引(決済)を中止してフローを終了する。
【0067】
決済可能と判断されると、ステップS33において、暗証番号が顧客によって入力されたか否かをICカード処理部32が判断する。入力されていなければ、ステップS33で入力を待ち、一方、入力されるとステップS34へ進む。
【0068】
ステップS34において、入力された暗証番号が正しいか否かをICカード処理部32が判断する。この場合、暗証番号は、ICクレジットカードのICに保存されており、照合の結果、正しくなければステップS32へ進み、一方、正しければ、ステップS35へ進む。
【0069】
ステップS35において、オンラインにて与信照会が必要か否かをICカード処理部32が判断する。必要と判断されれば、ステップS36へ進み、一方、不必要と判断されれば、ステップS37へ進む。与信照会が必要と判断される場合とは、アプリケーションによる設定が照会必要と成っている場合、与信照会機関13による与信照会を行わないオフラインによる決済が続いている場合、決済金額が使用限度金額を超えている場合、決済履歴に不審な点がある場合などである。
【0070】
ICクレジットカードは、内部にコンピュータと同様に、決済処理、暗号による通信処理、決済内容の保存などが可能なアプリケーションを有し、磁気クレジットカードのように都度オンラインによる与信照会をせずにいわゆるオフラインによる決済も可能である。このオフラインによる決済が続いている場合には、オンラインによる与信照会を経る決済が必要と判断される。ICクレジットカードによる決済履歴は、ICクレジットカードのICに保存されており、オンラインで与信照会を行えばオフラインによる過去の決済の照合ができ、不審点の有無を確認可能である。
【0071】
また、プリンタ7のクレジット取引記録ファイル26には、プリンタ7によるICクレジットカードの決済履歴が保存されている。ダウンロードデータファイル27には、例えば暗証番号なしでも所定期間ならば決済可能な処置を設定するピンバイパス処理や不正使用されたICクレジットカードの番号等のデータが与信照会機関13から送信されて保存されている。これらのファイルとICクレジットカードとを照合すれば、不審点のチェックが可能である。
【0072】
そして、与信照会が必要な場合に、ステップS36において、与信照会処理部17を介して与信照会機関13へ与信照会を行う。与信照会において、オンラインで送受信されるデータ等は、セキュリティ制御部19によって暗号化され、外部への漏洩を防止するようになっており、ステップS35において与信照会が必要と判断された事項を含めて照会がなされる。照会処理後、ステップS38へ進む。
【0073】
ステップS38において、ICクレジットカードが決済可能なカードであると確定したか否かを、ICカード処理部32が判断する。判断は、与信照会の結果に基づいて判断される。決済可能と判断されなければ、ステップS32へ進み、一方、決済可能と判断されれば、ステップS39へ進む。
【0074】
ステップS39において、オンラインにてICクレジットカードでの支払い処理を実行する。実行後、ステップS40へ進む。
【0075】
また、ステップS35でオンラインにて与信照会が不必要と判断されれば、ステップS37において、オフラインにてICクレジットカードでの支払い処理を実行する。実行後、ステップS40へ進む。
【0076】
ステップS40において、ICカード読出/書込機構部10がICカード制御部20の指示によって、ICクレジットカードのICへ支払い結果を書き込む。今回の商品購入がICクレジットカードに決済履歴として保存され、フローが終了する。
【0077】
次に、ステップS18における磁気クレジットカードでの支払い処理について説明する。磁気クレジットカードは、ICクレジットカードと異なり、読み取り専用であって決済結果等の保存はできない。図6は、磁気クレジットカードでの決済処理の詳細を示すフローチャートである。ステップS50において、磁気カード読出機構部11が、磁気クレジットカードの情報を保存している磁気帯からカード固有のデータを読み取る。固有のデータは、発行カード会社、カード番号、有効期限、使用限度金額などであって、ICクレジットカードに比べて決済履歴などが無く極めて少ない。データの読み取り後、ステップS51へ進む。
【0078】
ステップS51において、磁気クレジットカードが、磁気クレジットカードから読み取ったデータ上、決済可能なものであるか否かを磁気カード処理部31が判断する。決済不可であれば、ステップS52へ進み、一方、決済可能であれば、ステップS53へ進む。ステップS51において決済不可の判断がなされる場合とは、磁気カード処理部31が未対応な磁気クレジットカードである場合、磁気クレジットカードの有効期限が切れている場合、偽造磁気クレジットカードである場合などである。
【0079】
決済不可と判断されると、ステップS52において、取引を中止してフローを終了する。
【0080】
また、決済可能と判断されると、ステップS53において、与信照会処理部17を介して与信照会機関13へ与信照会を行う。与信照会において、オンラインで送受信されるデータ等は、セキュリティ制御部19によって暗号化され、外部への漏洩を防止するように成っており、磁気クレジットカードの固有データに基づいて照会がなされる。照会処理後、ステップS54へ進む。
【0081】
ステップS54において、磁気クレジットカードが決済可能なカードであると確定したか否かを、磁気カード処理部31が判断する。判断は、与信照会の結果に基づいて判断される。決済可能と判断されなければ、ステップS52へ進み、一方、決済可能と判断されれば、ステップS55へ進む。
【0082】
ステップS55において、磁気クレジットカードでの支払い処理を実行する。実行後、フローを終了する。
【0083】
なお、ステップS1が入力ステップに該当し、ステップS30およびS50が情報取得ステップに該当し、ステップS6およびS8が印刷データ作成ステップに該当し、ステップS15およびS21が印刷ステップに該当する。
【0084】
以上、本発明を具体化した実施形態1について説明した。実施形態1の効果をまとめて記載する。
【0085】
(1)本発明のPOS装置1は、POS端末2にクレジットカード9と情報の授受をする情報取得機構部14を有するプリンタ7を接続するだけで、従来のように売上伝票54の印刷を現金決済用のPOS端末51のプリンタ55で行い、クレジット決済伝票60の印刷をCAT端末56のプリンタ61でそれぞれ行うようなことではなく、一台のプリンタ7によって両伝票の印刷が可能となる。従って、POS装置1は、プリンタ55、61の重複設置を排除し、トータル的に設置場所の節減が図れる。
【0086】
(2)また、POS装置1は、従来使用していた現金決済用のPOS端末51をそのままPOS端末2として使用可能である。情報取得機構部14を有するプリンタ7を新たにPOS端末2へ接続するだけで、POS端末51の機能向上を図ることが容易に可能である。
【0087】
(3)プリンタ7の与信照会処理部17によるクレジットカード9の与信照会が暗号を用いて実行され、商品情報および与信情報の漏洩を防止可能である。顧客の個人情報が保護され、顧客は、安心してクレジットカード9による商品購入を行うことが可能となる。
【0088】
(4)プリンタ7は、通信インタフェース16を交換することができ、適切な通信インタフェース16を選択することにより、仕様の異なるPOS端末2との接続が可能である。このように、プリンタ7の本体装置自体を変更せずに各種のPOS端末2と接続ができ、現金決済用のPOS端末51をクレジットカード9の処理可能な端末へ機能向上させることが容易である。
(実施形態2)
【0089】
次に、本発明の実施形態2としてクレジット処理端末を用いたPOS装置1について説明する。以下の説明では、実施形態1の説明との重複を避け、異なる部分について重点的に説明する。
【0090】
図7は、実施形態2のPOS装置を示す模式図である。POS装置1は、現金決済用のPOS端末2を有し、複数のPOS端末2からの情報を管理可能で販売時点管理を集中的に行うホストコンピュータ6に接続されている。また、POS装置1は、POS端末2を接続しているクレジット処理端末35を有する。クレジット処理端末35が対応可能なクレジットカード9はICクレジットカードおよび磁気クレジットカードであり、クレジット処理端末35は、情報取得機構部14としてのICクレジットカードに対応するためのICカード読出/書込機構部10と、磁気クレジットカードに対応するための磁気カード読出機構部11とを有する。
【0091】
そして、クレジット処理端末35は、クレジットカード9によるクレジット決済機能と、クレジットカード9に関して与信照会機関13とオンライン接続して与信照会する機能と、暗証番号を入力するピンパッド12とをさらに有している。また、クレジット処理端末35には、伝票8を印刷するプリンタ36が接続されており、これらクレジット処理端末35とクレジット処理端末35に接続されているプリンタ36とが実行する機能は、実施形態1における情報取得機構部14を有するプリンタ7が実行する機能と同様である。つまり、プリンタ36により、現金支払用のレシート(売上伝票)とクレジット支払用のレシート(クレジット決済伝票)とを一括して印刷可能である。
【0092】
次に、このPOS装置1の構成について簡単に説明する。図8は、POS装置の構成を示すブロック図である。POS装置1は、POS端末2と、クレジット処理端末35と、プリンタ36とを有する。クレジット処理端末35は、POS端末2、与信照会機関13、プリンタ36との接続制御およびクレジット処理端末35の有する各機構部を制御するための制御部37を有する。
【0093】
制御部37は、POS端末2を接続するための通信インタフェース38と、与信照会処理部17と、セキュリティモジュール18を制御するセキュリティ制御部19と、ICカード読出/書込機構部10を制御するためのICカード制御部20と、磁気カード読出機構部11を制御する磁気カード制御部21と、プリンタ36を制御する印刷制御部23と、RAM24と、フラッシュROM25と、CPU29とを有する。
【0094】
これら通信インタフェース38、与信照会処理部17、セキュリティ制御部19、ICカード制御部20、磁気カード制御部21、印刷制御部23、RAM24、フラッシュROM25、CPU29とがバス39を介して相互に接続されている。
【0095】
このようなクレジット処理端末35の構成において、図2に示す実施形態1のプリンタ7と比較して説明すると、外部端子としてプリンタ7に接続されていたピンパッド12は、クレジット処理端末35では、クレジット処理端末35に内蔵される構成になっている。また、プリンタ7の印刷機構部22は、クレジット処理端末35では、クレジット処理端末35に外部装置として接続されているプリンタ36が該当する構成になっている。
【0096】
そして、POS装置1において、通信インタフェース38は、POS端末2を介してホストコンピュータ6と接続されているインタフェースであって、クレジット処理端末35の図示していない拡張スロットに脱着可能な構成で装着され、制御部37の一機能として機能する。つまり、実施形態1におけるプリンタ7が有する通信インタフェース16と同等な機能を果たすものである。従って、クレジット処理端末35に通信インタフェース38を装着することにより、クレジット処理端末35本体の装置等を変更することなく種々のPOS端末2およびプリンタ36を、クレジット処理端末35へ接続することが可能となる。
【0097】
以下、実施形態2の効果をまとめて記載する。
【0098】
(1)本発明のPOS装置1は、POS端末2に情報取得機構部14を有するクレジット処理端末35を接続するだけで、従来のように売上伝票54の印刷を現金決済用のPOS端末51のプリンタ55で行い、クレジット決済伝票60の印刷をCAT端末56のプリンタ61でそれぞれ行うようなことではなく、一台のプリンタ36によって両伝票の印刷が可能となる。
【0099】
(2)また、POS装置1は、従来使用していた現金決済用のPOS端末51をそのままPOS端末2として使用可能であり、POS端末51に接続されていたプリンタ55もそのまま使用可能である。クレジット処理端末35を新たにPOS端末2へ接続するだけで、POS端末51の機能向上を図ることが容易に可能である。
【0100】
(3)クレジット処理端末35は、通信インタフェース38を交換することができ、適切な通信インタフェース38を選択することにより、特定のPOS端末2だけでなく仕様の異なるPOS端末2との接続が可能である。プリンタ36についても同様である。このように、クレジット処理端末35の本体装置自体を変更せずに各種のPOS端末2およびプリンタ36と接続が可能である。従って、現金決済用のPOS端末51をクレジットカード9の処理可能な端末へ機能向上させることが容易である。
【0101】
また、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、次のような変形例が挙げられる。
【0102】
(変形例1)POS装置1は、プリンタ7またはクレジット処理端末35に、現金とクレジットカード9の決済機能のほかに、小切手、デビットカードなどの決済機能をさらに有していても良い。POS装置1がより多様な支払いに対応でき、店舗にとって小切手、デビットカードなどを用いる新たな顧客層を増やすことが可能である。この場合でも、各種の伝票8の印刷が一台のプリンタで対応可能である。
【0103】
(変形例2)プリンタ7にピンパッド12がケーブル接続されているが、ピンパッド12は、クレジット処理端末35のように、プリンタ7と一体であっても良い。これにより、POS装置1の設置面積の節減がさらに図れる。
【0104】
(変形例3)ステップS12,14,16は、ICカード制御部20または磁気カード制御部21がそれぞれ判断してフローを進めているが、オペレータがクレジットカード9を確認して判断し、キーボード4等から入力する方法でもよい。この方法では、顧客と確認対話をしながらクレジットカード9の処理ができ、セキュリティをより強化することが可能である。
【0105】
(変形例4)ステップS34で検証する暗証番号は、ピンパッド12から入力された暗証番号とICクレジットカードに保存されている暗証番号とを比較する方法ではなく、ピンパッド12から入力された暗証番号をオンラインで与信照会機関13へ送信し、与信照会機関13に保存されている該当ICクレジットカードの暗証番号とを比較する方法でも良い。この方法では、ICクレジットカードに暗証番号を保存する必要が無いため、ICクレジットカードの盗難、スキミング等に対するセキュリティの向上が大幅に図れる。
【0106】
(変形例5)ステップS35においてオンラインによる与信照会が不要と判断されても、オペレータの判断で要と変更して与信照会をしても良い。ICクレジットカードに保存されている決済履歴による判断に加え、オペレータの判断を加味できるため、さらにセキュリティの向上が図れる。
【0107】
(変形例6)POS装置1のPOS端末2は、現金決済用の従来のPOS端末51に限られず、現金決済および磁気クレジットカードの決済等が可能な従来のPOS端末であっても良い。これにより、従来からある多様なPOS端末をICクレジットカード対応のPOS端末2に機能向上させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】実施形態1のPOS装置を示す模式図。
【図2】POS装置の構成を示すブロック図。
【図3】POS端末での決済処理を示すフローチャート。
【図4】プリンタによるクレジット処理およびレシート印刷処理を示すフローチャート。
【図5】ICクレジットカードでの決済処理の詳細を示すフローチャート。
【図6】磁気クレジットカードでの決済処理の詳細を示すフローチャート。
【図7】実施形態2のPOS装置を示す模式図。
【図8】POS装置の構成を示すブロック図。
【図9】従来のPOS装置を示す模式図。
【符号の説明】
【0109】
1…POS装置、2…POS端末、7…プリンタ、8…伝票、9…クレジットカード、10…ICカード読出/書込機構部、11…磁気カード読出機構部、12…ピンパッド、13…与信照会機関、14…情報取得機構部、15…制御部、16…通信インタフェース、17…与信照会処理部、19…セキュリティ制御部、20…ICカード制御部、21…磁気カード制御部、22…印刷機構部、23…印刷制御部、24…RAM、25…フラッシュROM、26…クレジット取引記録ファイル、27…ダウンロードデータファイル、28…アプリケーションファイル、29…CPU、30…アプリケーション選択実行部、31…カード処理部としての磁気カード処理部、32…カード処理部としてのICカード処理部、35…クレジット処理端末、36…プリンタ、37…制御部、38…通信インタフェース。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
販売商品の決済情報の処理と売上印刷データの生成を行うPOS端末と、前記POS端末に接続されクレジット決済機能を有するプリンタとを備え、
前記プリンタは、クレジットカードが有する与信情報を読み出す情報取得機構部と、
前記決済情報および前記与信情報に基づいてクレジット印刷データを作成するカード処理部と、
前記売上印刷データおよび前記クレジットカード印刷データに基づき前記売上伝票および前記クレジット決済伝票を印刷する印刷機構部と、を有することを特徴とするPOS装置。
【請求項2】
請求項1に記載のPOS装置において、
前記プリンタは、オンラインによって前記決済情報および前記与信情報のデータを送受信して前記クレジットカードの与信照会をする際に、前記データの暗号化および復号化を実行するセキュリティ制御部と、
前記与信照会を前記オンラインで実行する与信照会処理部と、を有することを特徴とするPOS装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のPOS装置において、
前記プリンタは、前記POS端末を接続するための通信インタフェースをさらに有しており、
前記通信インタフェースは、前記プリンタの拡張スロットに着脱可能な構成であり、前記通信インタフェースの交換により仕様が異なるPOS端末との接続を可能にすることを特徴とするPOS装置。
【請求項4】
販売商品の決済情報の処理と売上印刷データの生成を行うPOS端末と、前記POS端末に接続されクレジット決済機能を有するクレジット処理端末とを備え、
前記クレジット処理端末は、クレジットカードが有する与信情報を読み出す情報取得機構部と、
前記決済情報および前記与信情報に基づいてクレジット印刷データを作成するカード処理部と、
前記クレジット処理端末に接続され、前記売上印刷データおよび前記クレジットカード印刷データに基づき前記売上伝票および前記クレジット決済伝票を印刷するプリンタを制御する印刷制御部と、を有することを特徴とするPOS装置。
【請求項5】
請求項4に記載のPOS装置において、
前記クレジット処理端末は、オンラインによって前記決済情報および前記与信情報のデータを送受信して前記クレジットカードの与信照会をする際に前記データの暗号化および復号化を実行するセキュリティ制御部と、
前記与信照会を前記オンラインで実行する与信照会処理部と、を有することを特徴とするPOS装置。
【請求項6】
請求項4または5に記載のPOS装置において、
前記クレジット処理端末は、前記POS端末を接続するための通信インタフェースをさらに有しており、
前記通信インタフェースは、前記クレジット処理端末の拡張スロットに着脱可能な構成であり、前記通信インタフェースの交換により仕様が異なるPOS端末との接続を可能にすることを特徴とするPOS装置。
【請求項7】
販売商品の決済情報の処理と売上印刷データの生成を行うPOS端末を接続するための通信インタフェースと、
与信照会をするためにクレジットカードが有する与信情報を読み出す情報取得機構部と、
オンラインによって前記決済情報および前記与信情報のデータを送受信して前記クレジットカードの前記与信照会をする際に前記データの暗号化および復号化を実行するセキュリティ制御部と、
前記与信照会を前記オンラインで実行する与信照会処理部と、
前記商品情報および前記与信情報に基づいてクレジット決済伝票を印刷するためのクレジット印刷データを作成するカード処理部と、
前記売上印刷データおよび前記クレジットカード印刷データに基づき、前記売上伝票および前記クレジット決済伝票を印刷する印刷機構部と、を有することを特徴とするプリンタ。
【請求項8】
販売商品の決済情報の処理と売上印刷データの生成を行うPOS端末を接続するための通信インタフェースと、
与信照会をするためにクレジットカードが有する与信情報を読み出す情報取得機構部と、
オンラインによって前記決済情報および前記与信情報のデータを送受信して前記クレジットカードの前記与信照会をする際に前記データの暗号化および復号化を実行するセキュリティ制御部と、
前記与信照会を前記オンラインで実行する与信照会処理部と、
前記商品情報および前記与信情報に基づいてクレジット決済伝票を印刷するためのクレジット印刷データを作成するカード処理部と、
前記売上印刷データおよび前記クレジットカード印刷データに基づき、前記売上伝票および前記クレジット決済伝票を印刷するプリンタを制御する印刷制御部と、を有することを特徴とするクレジット処理端末。
【請求項9】
販売商品の価格を含む商品情報を入力し、決済情報の処理と売上印刷データの生成を行う入力ステップと、
与信照会をするためにクレジットカードが有する与信情報を読み出す情報取得ステップと、
前記決済情報および前記与信情報の暗号化および復号化による送受信により前記クレジットカードの与信照会をオンラインで実行する照会ステップと、
前記決済情報および前記与信情報に基づいてクレジット決済伝票を印刷するためのクレジット印刷データを作成する印刷データ作成ステップと、
前記売上印刷データおよび前記クレジットカード印刷データに基づき、前記売上伝票および前記クレジット決済伝票を印刷する印刷ステップと、を有することを特徴とするPOS処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−350687(P2006−350687A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−176033(P2005−176033)
【出願日】平成17年6月16日(2005.6.16)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】