説明

PPARγのベンズイミダゾール誘導体作動薬で神経因性疼痛を治療する方法

本発明の実施形態は、哺乳動物の神経因性疼痛の治療に関する。本発明の実施形態は、PPARγ作動薬活性を有するベンズイミダゾール誘導体で神経因性疼痛を治療するための方法、ならびに哺乳動物の疼痛のそのような治療で使用される薬品を調製するための方法を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、哺乳動物における、神経因性疼痛を含めた疼痛の治療に関する。
【背景技術】
【0002】
神経因性疼痛
疼痛は、患者が医療救済を求める最も一般的な症状であり、急性または慢性のどちらかに分類することができる。急性疼痛は、直接的な組織損傷(例えば、火傷または切り傷)によって誘発され、通常は自己限定的である。この形の疼痛は、直接的な組織損傷に応答した自然の防御メカニズムであり、損傷を受けた身体部分のさらなる使用を防止し、有痛性刺激が解消される。これは、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)およびオピオイドを含めた伝統的な疼痛治療に適している。対照的に、慢性疼痛は長期間、例えば3カ月以上存在し、損傷が回復した後も持続して、患者の生活(例えば、機能的能力および生活の質)に著しい変化をもたらす可能性がある(Foley、Pain: Cecil Textbook of Medicine、100〜107頁、BennettおよびPlum編、20版、1996)。
【0003】
慢性的な消耗性疼痛は、著しい医学的ジレンマをもたらす。疼痛は、「侵害受容性」または「神経因性」のいずれかに分類することができる。「侵害受容性疼痛」は、疼痛を感じる神経線維、体性または内臓のいずれかの活性化から生じる。神経受容性疼痛は、一般に、直接的な組織損傷に対する応答である。「神経因性疼痛」という用語は、中枢または末梢神経系の損傷または疾患に起因した疼痛を指す。組織損傷によって引き起こされた直接的な疼痛とは対照的に、神経因性疼痛は、外傷性損傷から数日または数カ月後に発症する可能性がある。さらに、組織損傷によって引き起こされた疼痛は、その持続期間が通常は組織修復期間に限定されるが、神経因性疼痛はしばしば長く継続し、または慢性になる。さらに神経因性疼痛は、自然発生的に生じまたは通常なら疼痛のない刺激の結果として生じる可能性がある。神経因性疼痛は、下記の状態、すなわち、帯状疱疹後神経痛、三叉神経痛、AIDS関連ニューロパシー、灼熱痛、糖尿病性ニューロパシー、慢性腰痛、神経因性的関与による背頸部痛、幻肢痛、非定型顔面痛、および癌ニューロパシーでは一般的である(Bergerら、2004、J.Pain 5:143〜149頁)。
【0004】
残念ながら神経因性疼痛は、利用可能な薬物療法に対してしばしば抵抗性があり、神経因性疼痛の顕著な特徴は、その難治性にある。アスピリン、インドメタシン、およびイブプロフェンなどの典型的な非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)は、神経因性疼痛を軽減しない。ヒト臨床成績を予測する動物モデルで観察された神経因性疼痛は、NSAIDに応答しない。神経因性疼痛の治療薬には、オピオイド、抗癲癇薬、NMDA拮抗薬、局所リドカイン、局所カプサイシン、および三環系抗うつ薬が含まれる。現行の治療は、限られた効力しか発揮せず、乱用の可能性や認知変化、鎮静、および吐き気などの重篤な副作用を有する可能性がある。神経因性疼痛に罹患している多くの患者は、そのような副作用に対して限られた耐性しか持たない。したがって、追加の神経因性疼痛療法が求められている。
【0005】
PPARγシグナル伝達経路およびそのモジュレーター
ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR:αβ/δおよびγ)は、ある範囲の生理学的プロセスおよび疾患状態において役割を有するリガンド誘導性核内ホルモン転写因子のサブファミリーである。PPARγは、特に、脂肪組織、骨格筋、および肝臓などのインスリン作用に重要な組織で、広く発現する。糖尿病の治療では、PPARγの活性化は、グルコースの産生、輸送、および利用の制御に関与する遺伝子の活性化を介してインスリン感受性を改善することによって、血糖コントロールを改善する。
【0006】
PPARαは、心臓、肝臓、および筋肉の組織内に局在化しており、細胞遊離脂肪酸代謝およびコレステロール輸送に関連する遺伝子を制御することによって、脂質代謝に重要な役割を演ずる。PPARα活性化は、血清トリグリセリド(TG)を低下させ、血清高密度リポタンパク質(HDL)-コレステロールのレベルを上昇させる。高トリグリセリド血症および低血清HDL-コレステロールは、糖尿病性異脂肪血症およびインスリン抵抗症候群の療法の特徴を示している。
【0007】
PPARγは、神経因性疼痛療法の潜在的標的であることが確認されたが、PPARγのモジュレーションを通した神経因性疼痛治療のメカニズムは明らかでなく、理解されていない。本発明者の以前公開されたPCT特許出願WO2008/063842は、神経因性疼痛を治療するための治療薬として、PPARγ作動薬を教示している。その他の文献は、神経因性疼痛療法のPPARγの拮抗作用を示唆している。文献PCT特許出願WO2006085686、Remedy for Neurogenic Pain、Tanabe & Tsutomu、東京医科歯科大学には、「...活性成分としてPPARγ拮抗薬(2-クロロ-5-ニトロ-N-フェニルベンズアミドなど)を含有する神経性疼痛の治療薬を提供するものであり…活性成分としてPPAR拮抗薬を含有する神経性疼痛を治療するための医薬組成物を提供するものである…」と記載されている。TanabeおよびTsutomuは、GW9662、PPARγ拮抗薬が、神経性疼痛モデルで活性を示すことを実証している。したがって、PPARγの作動性または拮抗作用が神経因性疼痛に対して治療効果を発揮するか否かは明らかでない。
【0008】
公開されたPCT特許出願WO2008/063842に特に教示されているPPARγ作動薬の中においても(テサグリタザル、ムラグリタザル、ペリグリタザル、ファルグリタザル、レグリタザル、ナベグリタザル、オキセグリタザル、エダグリタゾン、イミグリタザル、およびシポグリタザル)、他の動物モデル試験によって多様な結果をもたらすことが明らかにされた。例えば、ムラグリタザルもテサグリタザルも、以下に記述されるBennett神経因性疼痛動物モデルにおいて、ビヒクル対照との統計的に有意な差を全く示さなかった。結果に関しては図1を参照されたい。したがって、任意の特定の作動薬または拮抗薬が神経因性疼痛を治療的に低減させるのか否か予測することができない。
【0009】
Noritsugu Yamasakiらによる公開されたPCT出願WO97/24334およびWO00/29383と、関連する米国特許第6,166,219号、同第6,352,985号、同第6,703,410号、およびEP特許0882718B1は、低血糖またはPPARγ作動薬活性を有するベンズミダゾール誘導体について教示している。これらの特許および特許出願のそれぞれは、参照により本明細書に組み込まれる。Yamasakiらは、式IのPPARγ作動薬ベンズイミダゾール誘導体、または薬学的に許容されるその塩について教示している:
【0010】
【化1】

【0011】
(式中、
R1は、水素原子、アリールスルホニル基、または低級アルキル基を表し、前記低級アルキル基は、アリール基によって、または、ハロゲン原子、ハロアリール基、低級アルキル基、ハロ-低級アルキル基、低級アルコキシ基、ニトロ基、アミノ基、シアノ基、アリール基、アリール-低級アルキルオキシ基、アリールスルホニル-低級アルキル基、アリール-低級アルキル基、ハロアリール-低級アルキルオキシ基、アリールスルホニルアミノ基、アリールカルボニルアミノ基、アリールカルボニル基、アリールアルケニル基、シアノアリール基、および複素環基から選択された1個または2個の置換基で置換されたアリール基によって、または、複素環基によって置換されていてもよく、
R2は、水素原子、低級シクロアルキル基、ヒドロキシル基、ヒドロキシ-低級アルキル基、低級アルコキシ基、メルカプト基、低級アルキルチオ基、アミノ基、低級アルキルアミノ基、カルボキシル基、アリール基、または低級アルキル基を表し、前記低級アルキル基は、ハロゲン原子、低級アルコキシ基、シアノ基、ハロカルボニル基、アリール基、または複素環基によって置換されていてもよく、
R25は、最大で8個の炭素原子を有するアルキル基、低級シクロアルキル基、ハロ-低級アルキル基、トリ-低級アルキルシリル-低級アルキル基、低級アルコキシ-低級アルキル基、低級アルキルチオ-低級アルキル基、アリール基、複素環基、アリール-低級アルキル基、またはヒドロキシ-低級アルキル基を表し、前記アリール基は、ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ-低級アルキル基、低級アルコキシ基、またはニトロ基によって置換されていてもよく、
R26は、水素原子または低級アルキル基を表し、但し、R25およびR26が共に低級アルキル基である場合には、これらが一緒に結合されて環を形成してもよく、
Yは、カルボニル基または低級アルキレン基を表し、
Aは、単結合、または低級アルキレンもしくはアルケニレン基を表し、
R4'は、炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基を表し、および
nは、0から3の整数を意味し、
ここで、
アリールスルホニル基は、ベンゼンスルホニル基、トルエンスルホニル基、およびナフタレンスルホニル基から選択され、
「低級」という用語は、他に特に指示しない限り、1から6個の炭素原子を有する基を示し、
アリール基は、ハロゲン原子、低級アルキル基、シアノ基、ニトロ基、およびトリフルオロメチル基から選択された1個または複数の置換基によって場合により置換されていてもよい、フェニル基およびナフチル基から選択され、
ハロ-低級アルキル基は、1個または複数のハロゲン原子で置換された、最大で8個の炭素原子を有する直鎖状または分枝状アルキル基であり、
複素環基は、ハロゲン原子および低級アルキル基の1個または複数の置換基によって場合により置換されていてもよい、ピリジル基、キノリル基、イソキノリル基、チアゾリル基、チアジアゾリル基、ベンゾフラニル基、ジベンゾフラニル基、チアナフタレニル基、1H-1,2,3-トリアゾリル基、1,2,4-トリアゾリル基、テトラゾリル基、フリル基、チエニル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピリミジニル基、インドリル基、ベンズイミダゾリル基から選択され、
低級シクロアルキル基は、3から7個の炭素原子を有するシクロアルキル基である)。
【0012】
Yamasakiらは、式IIのPPARγ作動薬ベンズイミダゾール誘導体、または薬学的に許容されるその塩について、さらに教示している:
【0013】
【化2】

【0014】
(式中、
R27は、水素原子、低級アルキル基、アリールスルホニル基、またはアリール-低級アルキル基を表し、前記アリール-低級アルキル基の芳香環部分は、ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ-低級アルキル基、シアノアリール基、アミノ基、低級アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、アリール基、ハロアリール基、アリールスルホニル-低級アルキル基、アリールスルホニルアミノ基、アリール-低級アルキルオキシ基、アリール-低級アルキル基、複素環基、アリールカルボニル基、アリールカルボニルアミノ基、および1個または2個のハロゲン原子により置換されたアリール-低級アルキルオキシ基から選択された1個または2個の置換基で置換されていてもよく、
R28は、水素原子、低級アルキル基、ハロ-低級アルキル基、低級アルコキシ-低級アルキル基、低級シクロアルキル基、アリール基、アリール-低級アルキル基、低級アルキルアミノ基、低級アルコキシ基、低級アルキルチオ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、アミノ基、またはカルボキシル基を表し、
R25は、最大で8個の炭素原子を有するアルキル基、ハロ-低級アルキル基、トリ-低級アルキルシリル-低級アルキル基、低級アルコキシ-低級アルキル基、低級アルキルチオ-低級アルキル基、アリール基、複素環基、アリール-低級アルキル基、またはヒドロキシ-低級アルキル基を表し、前記アリール基は、ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ-低級アルキル基、低級アルコキシ基、またはニトロ基によって置換されていてもよく、
R26は、水素原子または低級アルキル基を表し、但し、R25およびR26が共に低級アルキル基である場合には、これらが一緒に結合されて環を形成してもよく、
Yは、カルボニル基または低級アルキレン基を表し、
Aは、単結合、または低級アルキレンもしくはアルケニレン基を表し、
R29は、水素原子または低級アルキル基を表す)。
【0015】
Yamasakiらは、式IIのPPARγ作動薬ベンズイミダゾール誘導体であって、
R27は、そのアリール部分が、ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ-低級アルキル基、シアノアリール基、アミノ基、低級アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、アリール基、ハロアリール基、アリールスルホニル-低級アルキル基、アリールスルホニルアミノ基、アリール-低級アルキルオキシ基、アリール-低級アルキル基、複素環基、アリールカルボニル基、アリールカルボニルアミノ基、および1個または2個のハロゲン原子により置換されたアリール-低級アルキルオキシ基からなる群から選択された、1個または2個の置換基によって置換されていてもよい、アリール低級アルキル基を表し、
Yは、カルボニル基を表し、
Aは、単結合を表す
こと以外、全ての基は既に述べた通りであるものについて、さらに教示している。
【0016】
Yamasakiらは、式IIのPPARγ作動薬ベンズイミダゾール誘導体であって、
R27は、アリール部分がハロゲン原子またはアリール基から選択された1個または2個の置換基により置換されていてもよい、アリール低級アルキル基を表し、
R28は、低級アルキル基または低級シクロアルキル基を表し、
R25は、最大で8個の炭素原子を有するアルキル基またはアリール基を表し、
Yは、カルボニル基を表し、
Aは、単結合を表す
こと以外、全ての基は既に述べた通りであるものについて、さらに教示している。
【0017】
本明細書に列挙される全ての化学基は、EP0882718B1においてYamasakiらの開示により定義される。
【0018】
Yamasakiらにより教示された、特定のPPARγ作動薬ベンズイミダゾール誘導体には、3-(2,4-ジクロロベンジル)-2-メチル-N-(ペンチルスルホニル)-3H-ベンゾイミダゾール-5-カルボキサミド、6-ベンゼンスルホニルカルバモイル-1-(2-クロロベンジル)-2-メチルベンゾイミダゾール、1-(ビフェニル-4-イルメチル)-6-(1-ブタンスルホニルカルバモイル)-2-メチルベンゾイミダゾール、1-(ビフェニル-4-イルメチル)-6-(1-ブタンスルホニルカルバモイル)-2-エチルベンゾイミダゾール、6-ベンゼンスルホニルカルバモイル-2-シクロプロピル-1-(2-フルオロベンジル)-ベンゾイミダゾール、6-ベンゼンスルホニルカルバモイル-1-(2,4-ジクロロベンジル)-2-メチルベンゾイミダゾール、6-ベンゼンスルホニルカルバモイル-1-(2,4-ジフルオロベンジル)-2-メチルベンゾイミダゾール、6-(1-ブタンスルホニルカルバモイル)-1-[(3-フルオロビフェニル-4-イル)メチル]-2-メチルベンゾイミダゾール、1-(2,4-ジクロロベンジル)-2-メチル-6-(1-ペンタンスルホニルカルバモイル)ベンゾイミダゾール、1-(4-ビフェニルメチル)-2-エチル-6-(1-ペンタンスルホニルカルバモイル)ベンゾイミダゾール、および薬学的に許容されるこれらの塩が含まれる。
【0019】
Yamasakiらは、上記PPARγ作動薬ベンズイミダゾール誘導体を作製し、それを医薬組成物に調合し、それを0.1から100mg/kgの用量で1日1回から4回投与する方法についても教示している。
【0020】
ベンズイミダゾール誘導体3-(2,4-ジクロロベンジル)-2-メチル-N-(ペンチルスルホニル)-3H-ベンズイミダゾール-5-カルボキサミドは、Astellas Pharma Inc.の第1相臨床試験を終了し、2型糖尿病の第2相臨床試験に入った(clinicaltrials.gov, trial identifier NCT00036192参照)。「While [3-(2,4-dichlorobenzyl)-2-methyl-N-(pentylsulfonyl)-3H-benzimidazole-5-carboxamide] advanced to Phase II clinical trials, its development was recently discontinued when no advantage [for type 2 diabetes] was demonstrated in clinical trials」、Meinke,Peter T.ら、「Nuclear Hormone Receptor Modulators for the Treatment of Diabetes and Dyslipidemia」、Annual Reports in Medicinal Chemistry (2006) 141:99〜126、109頁。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】PCT特許出願WO2008/063842
【特許文献2】PCT特許出願WO2006085686
【特許文献3】PCT出願WO97/24334
【特許文献4】PCT出願WO00/29383
【特許文献5】米国特許第6,166,219号
【特許文献6】米国特許第6,352,985号
【特許文献7】米国特許第6,703,410号
【特許文献8】EP特許0882718B1
【非特許文献】
【0022】
【非特許文献1】Foley、Pain: Cecil Textbook of Medicine、100〜107頁、BennettおよびPlum編、20版、1996
【非特許文献2】Bergerら、2004、J.Pain 5:143〜149頁
【非特許文献3】clinicaltrials.gov, trial identifier NCT00036192、「While [3-(2,4-dichlorobenzyl)-2-methyl-N-(pentylsulfonyl)-3H-benzimidazole-5-carboxamide] advanced to Phase II clinical trials, its development was recently discontinued when no advantage [for type 2 diabetes] was demonstrated in clinical trials」、Meinke,Peter T.ら、「Nuclear Hormone Receptor Modulators for the Treatment of Diabetes and Dyslipidemia」、Annual Reports in Medicinal Chemistry (2006) 141:99〜126、109頁
【非特許文献4】Kim,S.およびJ.Chung、An experimental model for peripheral neuropathy produced by segmental spinal nerve ligation in the rat. Pain、1992、50: 355〜363頁
【非特許文献5】Seltzer,Z.、R.Dubner、およびY.Shir、A novel behavioral model of neuropathic pain disorders produced in rats by partial sciatic nerve injury.Pain、1990、43: 205〜218頁
【非特許文献6】Bennett,G.およびY.Xie、A peripheral mononeuropathy in rat that produces disorders of pain sensation like those seen in man. Pain、1988、33: 87〜107頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
哺乳動物の神経因性疼痛は、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γ(PPARγ)の作動薬を治療有効量で投与することによって治療され、なおこの作動薬は、式Iまたは式IIの化合物である。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明の実施形態は、薬学的に許容される補助薬、添加物、希釈剤、または担体組成物に組み込まれた、PPARγの少なくとも1種の作動薬、またはその塩、エステル、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、もしくは多形体を含み、この作動薬が式または式IIの化合物であるものを含む、神経因性疼痛を治療するための組成物である。
【0025】
本発明の実施形態は、PPARγの作動薬、またはその塩、エステル、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、もしくは多形体を治療有効量で投与するステップであって、この作動薬が式Iまたは式IIの化合物であるステップを含む、そのような治療の必要がある哺乳動物の神経因性疼痛を治療する方法である。
【0026】
本発明の実施形態は、3-(2,4-ジクロロベンジル)-2-メチル-N-(ペンチルスルホニル)-3H-ベンゾイミダゾール-5-カルボキサミド、6-ベンゼンスルホニルカルバモイル-1-(2-クロロベンジル)-2-メチルベンゾイミダゾール、1-(ビフェニル-4-イルメチル)-6-(1-ブタンスルホニルカルバモイル)-2-メチルベンゾイミダゾール、1-(ビフェニル-4-イルメチル)-6-(1-ブタンスルホニルカルバモイル)-2-エチルベンゾイミダゾール、6-ベンゼンスルホニルカルバモイル-2-シクロプロピル-1-(2-フルオロベンジル)-ベンゾイミダゾール、6-ベンゼンスルホニルカルバモイル-1-(2,4-ジクロロベンジル)-2-メチルベンゾイミダゾール、6-ベンゼンスルホニルカルバモイル-1-(2,4-ジフルオロベンジル)-2-メチルベンゾイミダゾール、6-(1-ブタンスルホニルカルバモイル)-1-[(3-フルオロビフェニル-4-イル)メチル]-2-メチルベンゾイミダゾール、1-(2,4-ジクロロベンジル)-2-メチル-6-(1-ペンタンスルホニルカルバモイル)ベンゾイミダゾール、1-(4-ビフェニルメチル)-2-エチル-6-(1-ペンタンスルホニルカルバモイル)ベンゾイミダゾールからなる群から選択された化合物と、それらの塩、水和物、溶媒和物、エステル、プロドラッグ、および多形体を、治療有効量で投与するステップを含む、そのような治療の必要がある哺乳動物の神経因性疼痛を治療する方法である。
【0027】
本発明の別の実施形態は、薬学的に許容される補助薬、添加物、希釈剤、または担体組成物に組み込まれた、3-(2,4-ジクロロベンジル)-2-メチル-N-(ペンチルスルホニル)-3H-ベンゾイミダゾール-5-カルボキサミド、6-ベンゼンスルホニルカルバモイル-1-(2-クロロベンジル)-2-メチルベンゾイミダゾール、1-(ビフェニル-4-イルメチル)-6-(1-ブタンスルホニルカルバモイル)-2-メチルベンゾイミダゾール、1-(ビフェニル-4-イルメチル)-6-(1-ブタンスルホニルカルバモイル)-2-エチルベンゾイミダゾール、6-ベンゼンスルホニルカルバモイル-2-シクロプロピル-1-(2-フルオロベンジル)-ベンゾイミダゾール、6-ベンゼンスルホニルカルバモイル-1-(2,4-ジクロロベンジル)-2-メチルベンゾイミダゾール、6-ベンゼンスルホニルカルバモイル-1-(2,4-ジフルオロベンジル)-2-メチルベンゾイミダゾール、6-(1-ブタンスルホニルカルバモイル)-1-[(3-フルオロビフェニル-4-イル)メチル]-2-メチルベンゾイミダゾール、1-(2,4-ジクロロベンジル)-2-メチル-6-(1-ペンタンスルホニルカルバモイル)ベンゾイミダゾール、1-(4-ビフェニルメチル)-2-エチル-6-(1-ペンタンスルホニルカルバモイル)ベンゾイミダゾールおよびそれらの塩、水和物、溶媒和物、エステル、プロドラッグ、および多形体からなる群から選択された少なくとも1種の化合物を含む、神経因性疼痛の治療に使用される組成物を含む。
【0028】
本発明によるベンズイミダゾール誘導体を適用するには、有機または無機の固体または液体のビヒクルなどの薬学的に許容される担体と共に誘導体のいずれかを活性成分として含み、かつ経口投与、非経口投与、または外用に適切な、通常の形態の医薬組成物に調合してもよい。医薬組成物は、錠剤、顆粒、粉末、カプセルなどの任意の固体形態のものであってもよく、または溶液、懸濁液、シロップ、エマルジョン、レモネードなどの任意の液体形態のものであってもよい。
【0029】
望みに応じて、医薬組成物は、医薬品助剤、安定化剤、湿潤剤、および任意の通常の添加剤、例えばラクトース、クエン酸、酒石酸、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、白陶土、スクロース、コーンスターチ、タルク、ゼラチン、寒天、ペクチン、落花生油、オリーブ油、カカオバター、エチレングリコールなども、さらに含有していてもよい。
【0030】
使用される本発明の上述の誘導体の量は、患者の年齢および状態、疾患または障害のタイプおよび状態、使用される誘導体のタイプに応じて変わることになる。一般に、経口投与の場合、誘導体の用量は0.01から1mg/kgにすることができ、筋肉内注射または静脈内注射の場合、1から100μg/kgにすることができる。そのような単位用量は、1日1から4回患者に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】神経因性疼痛に関するBennett動物モデルでの、PPARγ作動薬ムラグリチザルおよびテサグリチザルの効力を示す図である。PPAR作動薬化合物および陽性対照カルバマゼピンを100mg/kgで経口投与し、罹患した足が冷却板から外れるまでの潜時として、冷感異痛症試験により疼痛行動を1時間後に測定した。生のデータの統計分析を分散分析(ANOVA)によって行い、有意閾値をp<0.05に設定した。鎮痛作用は、ビヒクルで処理した動物に比べて治療がなされた動物では、足を引っ込めるまでの潜時が統計的に有意に増大するとして決定した。潜時の統計的有意差の比較は、PPAR作動薬化合物で治療した動物とビヒクル対照との間、カルバマゼピンで治療した動物とビヒクル対照との間、同じ実験からのPPAR作動薬化合物で治療した動物とカルバマゼピンで治療した動物との間で行った。比較群同士での全ての統計的有意差は、括弧で括って示されており、*=p<0.05、および**=p<0.001である。
【図2】Bennettモデルで100mg/kg POを投与した後の異なる時点での、冷却板から足を持ち上げるまでの待ち時間(latency)に対するカルバマゼピン(+対照)および3-(2,4-ジクロロベンジル)-2-メチル-N-(ペンチルスルホニル)-3H-ベンズイミダゾール-5-カルボキサミド(図中、「Atx」)の影響を示す図である。図1の場合と同様に、データの統計分析; *=p<0.05および〜=p<0.1 ビヒクル対照との比較。
【図3】神経因性疼痛のBennettモデルのラットで、化合物を注射してから60分後、冷却板から足を持ち上げるまでの待ち時間に対するカルバマゼピン(+対照)および3-(2,4-ジクロロベンジル)-2-メチル-N-(ペンチルスルホニル)-3H-ベンズイミダゾール-5-カルボキサミド(図中、「Atx」)の影響を示す図である。データは平均±SEMを表す。図1の場合と同様に、統計分析; *=p<0.05。Atxで治療された動物は、ビヒクル単独よりも著しく大きい鎮静作用を示し、カルバマゼピンとはそれほど異なっていない鎮静作用を示すことに留意されたい。
【図4】Bennett神経因性疼痛モデルのラットで、冷却板から足を持ち上げるまでの待ち時間に対する、3-(2,4-ジクロロベンジル)-2-メチル-N-(ペンチルスルホニル)-3H-ベンズイミダゾール-5-カルボキサミド(図中、「Atx」)およびカルバマゼピン(+対照)の用量応答を示す図である。足の潜時は、異なる用量POで化合物を投与してから1時間で測定した。図1の場合と同様に、データの統計分析;*=p<0.05。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明の実施形態は、式Iまたは式IIのPPARγの作動薬を治療有効量で投与することによって、神経因性疼痛を治療するための方法を提供する。
【0033】
本発明の実施形態によれば、治療有効量の、PPARγを作動する式Iまたは式IIの化合物は、神経因性疼痛を治療するために対象に投与される。本発明の一実施形態では、PPARγを作動する、治療有効量の式Iまたは式IIの化合物は、帯状疱疹後神経痛、三叉神経痛、AIDS関連ニューロパシー、糖尿病性ニューロパシー、慢性腰痛、または癌ニューロパシーに罹患している患者の疼痛を治療するために、対象に投与される。本発明の別の実施形態では、PPARγを作動する、治療有効量の式Iまたは式IIの化合物は、帯状疱疹後神経痛、三叉神経数、AIDS関連ニューロパシー、慢性腰痛、または癌ニューロパシーに罹患している対象の疼痛を治療するために、対象に投与される。本発明の別の実施形態では、PPARγを作動する、治療有効量の式Iまたは式IIの化合物は、神経因性疼痛を治療するために、糖尿病性ニューロパシーに罹患していない対象に投与される。本発明の治療方法の実施形態を実施するのに有用な化合物は、薬学的に許容される担体と組み合わせて医薬組成物に有利に調合される。医薬組成物中の化合物の量は、所望の投薬量および投与経路に依存する。一実施形態では、活性成分の適切な用量範囲は、必要な間隔で摂取される(例えば、毎日、12時間ごとなど)、約1μg/kgから約100mg/kg体重である。別の実施形態では、活性成分の適切な用量範囲は、必要な間隔で摂取される約2μg/kgから約200mg/kg体重である。別の実施形態では、活性成分の適切な用量範囲は、必要な間隔で摂取される約20μg/kgから約125μg/kg体重である。
【0034】
神経因性疼痛を治療する方法の一実施形態では、投薬量および投与は、許容されないいかなる悪影響も回避されるように、部分的にしかPPARγが阻害されないものである。
【0035】
治療上有効な化合物は、添加物、潤滑剤、希釈剤、着香剤、着色剤、緩衝剤、および崩壊剤など、1種または複数の薬学的に許容される添加剤を含む標準的な製剤として、対象に提供することができる。製剤は、経口、非経口、経粘膜、鼻内、直腸、膣、または経皮経路によって投与するための単位剤形に生成してもよい。非経口経路には、静脈内、動脈内、筋肉内、皮内皮下、腹腔内、心室内、くも膜下内、および頭蓋内投与が含まれる。
【0036】
医薬組成物は、血液や滑液などの保存された生理液に添加することができる。一実施形態において、例えば末梢神経系(PNS)を標的とするために、医薬組成物は、血液脳関門を横断するのに限りある能力を有し、当技術分野で公知の技法を使用して投与することができる。
【0037】
神経因性疼痛を治療する方法の別の実施形態では、PPARγの作動薬は、小胞、特にリポソームで送達される。一実施形態では、PPARγの作動薬は、非標的細胞または組織でPPARγを作動する全身作用を回避するために、疼痛(または関連する障害)の部位に局所的に(例えば、クリームで)送達される。
【0038】
神経因性疼痛を治療する方法の別の実施形態では、治療剤は制御された放出方法で送達される。例えば、治療剤は、連続ポンプでの静脈内注入を用いて、またはポリ乳酸/グルタミン酸(PLGA)において、またはコレステロールおよび活性成分の混合物を含有するペレット剤において、または皮下埋め込みによって、あるいは経皮パッチによって投与することができる。
【0039】
本発明による神経因性疼痛を治療する方法の特定の例は、6-ベンゼンスルホニルカルバモイル-1-(2-クロロベンジル)-2-メチルベンゾイミダゾール、6-ベンゼンスルホニルカルバモイル-1-(ビフェニル-4-イルメチル)-2-エチルベンゾイミダゾール、5-ベンゼンスルホニルカルバモイル-1-(2-クロロベンジル)-2-メチルベンゾイミダゾール、5-(4-クロロベンゼンスルホニル-カルバモイル)-1-(2-クロロベンジル)-2-メチルベンゾイミダゾール、1-(2-クロロベンジル)-2-メチル-5-(2-ナフタレンスルホニルカルバモイル)-ベンゾイミダゾール、1-(2-クロロベンジル)-6-メタンスルホニルカルバモイル-2-メチルベンゾイミダゾール、6-(1-ブタンスルホニルカルバモイル)-1-(2-クロロベンジル)-2-メチルベンゾイミダゾール、1-(2-クロロベンジル)-2-メチル-6-(1-オクタンスルホニルカルバモイル)ベンゾイミダゾール、1-(2-クロロベンジル)-2-メチル-6-(2-プロパンスルホニルカルバモイル)ベンゾイミダゾール、1-(ビフェニル-4-イルメチル)-6-(1-ブタンスルホニルカルバモイル)-2-メチルベンゾイミダゾール、6-(1-ブタンスルホニルカルバモイル)-1-(2,4-ジクロロベンジル)-2-メチルベンゾイミダゾール、1-(ビフェニル-4-イルメチル)-6-(1-ブタンスルホニルカルバモイル)-2-エチルベンゾイミダゾール、6-ベンゼンスルホニルカルバモイル-1-(ビフェニル-4-イルメチル)-2-トリフルオロメチルベンゾイミダゾール、5-ベンゼンスルホニルカルバモイル-1-(ビフェニル-4-イルメチル)-2-トリフルオロメチルベンゾイミダゾール、6-ベンゼンスルホニルカルバモイル-2-シクロプロピル-1-(2-フルオロベンジル)ベンゾイミダゾール、N-ベンゼンスルホニル-3-[1-(2-クロロベンジル)-2-メチルベンゾイミダゾール-6-イル]アクリルアミド、N-ベンゼンスルホニル-2-[1-(2-クロロベンジル)-2-メチルベンゾイミダゾール-6-イル]アセトアミド、1-(2-クロロベンジル)-2-メチル-6-(2-ナフタレンスルホニルカルバモイル)ベンゾイミダゾール、1-(2-クロロベンジル)-2-メチル-6-(1-ナフタレンスルホニルカルバモイル)ベンゾイミダゾール、6-(4-クロロベンゼンスルホニルカルバモイル)-1-(2-クロロベンジル)-2-メチルベンゾイミダゾール、6-(3-クロロベンゼンスルホニルカルバモイル)-1-(2-クロロベンジル)-2-メチルベンゾイミダゾール、5-ベンゼンスルホニルカルバモイル-2-ベンジル-1-(2-クロロベンジル)ベンゾイミダゾール、6-ベンゼンスルホニルカルバモイル-2-ベンジル-1-(2-クロロベンジル)ベンゾイミダゾール、6-ベンゼンスルホニルカルバモイル-1-(ビフェニル-4-イルメチル)-2-メチルベンゾイミダゾール、1-(2-クロロベンジル)-2-メチル-6-トリフルオロメタンスルホニルカルバモイルベンゾイミダゾール、6-ベンゼンスルホニルカルバモイル-1-(2,4-ジクロロベンジル)-2-メチルベンゾイミダゾール、1-(2-クロロベンジル)-6-(4-メトキシベンゼンスルホニルカルバモイル)-2-メチルベンゾイミダゾール、1-(2-クロロベンジル)-2-メチル-6-(a-トルエンスルホニルカルバモイル)ベンゾイミダゾール、1-(2-クロロベンジル)-6-(2,5-ジメチルベンゼンスルホニルカルバモイル)-2-メチルベンゾイミダゾール、1-(2-クロロベンジル)-2-メチル-6-(4-ニトロベンゼンスルホニルカルバモイル)-ベンゾイミダゾール、1-(2-クロロベンジル)-2-メチル-6-[4-(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホニルカルバモイル]ベンゾイミダゾール、6-(2-クロロベンゼンスルホニルカルバモイル)-1-(2-クロロベンジル)-2-メチルベンゾイミダゾール、6-ベンゼンスルホニルカルバモイル-2-ベンジル-1-(2,4-ジクロロベンジル)ベンゾイミダゾール、5-ベンゼンスルホニルカルバモイル-2-ベンジル-1-(2,4-ジクロロベンジル)ベンゾイミダゾール、6-ベンゼンスルホニルカルバモイル-1-(ビフェニル-4-イルメチル)-2-ヒドロキシベンゾイミダゾール、6-ベンゼンスルホニルカルバモイル-1-(ビフェニル-4-イルメチル)-2-メルカプトベンゾイミダゾール、6-ベンゼンスルホニルカルバモイル-1-(ビフェニル-4-イルメチル)-2-メトキシベンゾイミダゾール、6-ベンゼンスルホニルカルバモイル-1-(ビフェニル-4-イルメチル)-2-カルボキシベンゾイミダゾール、6-ベンゼンスルホニルカルバモイル-1-(ビフェニル-4-イルメチル)-2-メチルアミノベンゾイミダゾール、2-アミノ-6-ベンゼンスルホニルカルバモイル-1-(ビフェニル-4-イルメチル)-ベンゾイミダゾール、6-ベンゼンスルホニルカルバモイル-1-(ビフェニル-4-イルメチル)-2-n-プロピルベンゾイミダゾール、6-ベンゼンスルホニルカルバモイル-1-(ビフェニル-4-イルメチル)-2-n-ヘプチルベンゾイミダゾール、6-ベンゼンスルホニルカルバモイル-1-(ビフェニル-4-イルメチル)-2-クロロメチルベンゾイミダゾール、6-ベンゼンスルホニルカルバモイル-1-(ビフェニル-4-イルメチル)-2-メトキシメチルベンゾイミダゾール、6-ベンゼンスルホニルカルバモイル-1-(ビフェニル-4-イルメチル)-2-i-プロピルベンゾイミダゾール、6-ベンゼンスルホニルカルバモイル-1-(ビフェニル-4-イルメチル)-2-メチルチオベンゾイミダゾール、6-ベンゼンスルホニルカルバモイル-1-(ビフェニル-4-イルメチル)-2-エチルチオベンゾイミダゾール、6-ベンゼンスルホニルカルバモイル-1-(ビフェニル-4-イルメチル)-2-n-プロピルチオベンゾイミダゾール、6-ベンゼンスルホニルカルバモイル-1-(ビフェニル-4-イルメチル)-2-n-ヘキシルチオベンゾイミダゾール、6-ベンゼンスルホニルカルバモイル-1-(ビフェニル-4-イルメチル)ベンゾイミダゾール、6-ベンゼンスルホニルカルバモイル-1-(2,4-ジフルオロベンジル)-2-メチルベンゾイミダゾール、6-ベンゼンスルホニルカルバモイル-1-(ビフェニル-4-イルメチル)-2-フェニルベンゾイミダゾール、6-ベンゼンスルホニルカルバモイル-2-メチル-1-(2-ニトロベンジル)-ベンゾイミダゾール、6-ベンゼンスルホニルカルバモイル-2-メチル-1-ベンジルベンゾイミダゾール、6-ベンゼンスルホニルカルバモイル-2-メチル-1-(4-ニトロベンジル)ベンゾイミダゾール、6-ベンゼンスルホニルカルバモイル-1-(4-ベンジルオキシベンジル)-2-メチルベンゾイミダゾール、6-ベンゼンスルホニルアミノ-メチル-1-(2-クロロベンジル)-2-メチルベンゾイミダゾール、N-ベンゼンスルホニル-3-[1-(2-クロロベンジル)-2-メチルベンゾイミダゾール-6-イル]プロピオンアミド、6-ベンゼンスルホニルカルバモイル-2-メチル-1-[4-(1,2,3-チアジアゾール-4-イル)ベンジル]ベンゾイミダゾール、1-(2-クロロベンジル)-2-メチル-6-(8-キノリンスルホニルカルバモイル)ベンゾイミダゾール、6-(4-t-ブチルベンゼンスルホニルカルバモイル)-1-(2-クロロベンジル)-2-メチルベンゾイミダゾール、6-ベンゼンスルホニルカルバモイル-2-メチル-1-[4-(トリフルオロメチル)ベンジル]ベンゾイミダゾール、5-ベンゼンスルホニルカルバモイル-2-メチルベンゾイミダゾール、1-(ビフェニル-4-イルメチル)-6-(1-ブタンスルホニルカルバモイル)-2-メトキシメチルベンゾイミダゾール、1-(4-ベンジルオキシベンジル)-6-(1-ブタンスルホニルカルバモイル)-2-メトキシメチルベンゾイミダゾール、6-(1-ブタンスルホニルカルバモイル)-1-(2,4-ジクロロベンジル)-2-メトキシメチルベンゾイミダゾール、1-(2-クロロベンジル)-2-メチル-6-(1-プロパンスルホニルカルバモイル)ベンゾイミダゾール、6-エタンスルホニルカルバモイル-1-(2-クロロベンジル)-2-メチルベンゾイミダゾール、6-(プロパンスルタム-1-イルカルボニル)-1-(2-クロロベンジル)-2-メチルベンゾイミダゾール、6-ベンゼンスルホニルカルバモイル-1-(ビフェニル-4-イルメチル)-2-シクロプロピルベンゾイミダゾール、1-(2-クロロベンジル)-2-メチル-6-(1-ペンタンスルホニルカルバモイル)ベンゾイミダゾール、1-(2-クロロベンジル)-2-メチル-6-[(3-メチルブタン)スルホニルカルバモイル]-ベンゾイミダゾール、1-(2-クロロベンジル)-6-(1-ヘキサンスルホニルカルバモイル)-2-メチルベンゾイミダゾール、7-(1-ブタンスルホニルカルバモイル)-1-(2,4-ジクロロベンジル)-2-メチルベンゾイミダゾール、1-(2-クロロベンジル)-2-メチル-6-[1-[3-(トリメチルシリル)プロパン]スルホニルカルバモイル]-ベンゾイミダゾール、4-(1-ブタンスルホニルカルバモイル)-1-(2,4-ジクロロベンジル)-2-メチルベンゾイミダゾール、1-(4-ベンジルオキシベンジル)-6-(1-ブタンスルホニルカルバモイル)-2-メチルベンゾイミダゾール、6-(1-ブタンスルホニルカルバモイル)-1-[(2'-シアノビフェニル-4-イル)メチル]-2-メチルベンゾイミダゾール、6-(1-エタンスルホニルカルバモイル)-1-[(2'-フルオロビフェニル-4-イル)メチル]-2-メチルベンゾイミダゾール、6-(1-ブタンスルホニルカルバモイル)-1-[(3-フルオロビフェニル-4-イル)メチル]-2-メチルベンゾイミダゾール、1-(2-クロロベンジル)-6-[(2-メトキシエタン)-スルホニルカルバモイル]-2-メチルベンゾイミダゾール、1-(2-クロロベンジル)-6-(1-ヘキサンスルホニルカルバモイル)-2-メチルベンゾイミダゾール、1-(2,4-ジクロロベンジル)-2-メチル(1-ペンタンスルホニルカルバモイル)-ベンゾイミダゾール、1-(ビフェニル-4-イルメチル)-2-エチル-6-[1-[3-(メチルチオ)プロパン]スルホニルカルバモイル]ベンゾイミダゾール、1-(4-ビフェニルメチル)-2-エチル-6-(1-ペンタンスルホニルカルバモイル)ベンゾイミダゾール、6-(1-ブタンスルホニルカルバモイル)-1-(2,4-ジクロロベンジル)-2-エチルベンゾイミダゾール、1-(4-ビフェニルメチル)-2-エチル-6-[1-(3-メチル)-ブタンスルホニルカルバモイル]ベンゾイミダゾール、5-(1-ブタンスルホニルカルバモイル)-1-(2,4-ジクロロベンジル)-2-メチルベンゾイミダゾール、1-(4-ビフェニルメチル)-5-(1-ブタンスルホニルカルバモイル)-2-エチルベンゾイミダゾール、1-(4-ビフェニルメチル)-2-エチル-6-(2-メトキシ-エタンスルホニルカルバモイル)ベンゾイミダゾール、6-(1-ブタンスルホニルカルバモイル)-2-エチル-1-[4-(4-フルオロベンジルオキシ)ベンジル]ベンゾイミダゾール、6-(1-ブタンスルホニルカルバモイル)-1-[4-(3,4-ジクロロベンジルオキシ)-ベンジル]-2-エチルベンゾイミダゾール、6-(1-ブタンスルホニルカルバモイル)-1-[sec-(2,4-ジクロロフェネチル)]-2-メチルベンゾイミダゾール、6-(1-ブタンスルホニルカルバモイル)-1-[4-(2-ピリジル)ベンジル]-2-メチルベンゾイミダゾール、6-(1-ブタンスルホニルカルバモイル)-1-(2,4-ジクロロベンジル)-2,4-ジメチルベンゾイミダゾール、6-(1-ブタンスルホニルカルバモイル)-2-メチル-1-(4-フェノキシベンジル)ベンゾイミダゾール、6-(ブタンスルホニルカルバモイル)-2-メチル-1-(2-ピリジルメチル)ベンゾイミダゾール、1-[(4-ベンゾイルアミノ)ベンジル]-6-(1-ブタンスルホニルカルバモイル)-2-メチルベンゾイミダゾール、6-(1-ブタンスルホニルカルバモイル)-2-メチル-[4-(2-フェニルエチル)ベンジル]ベンゾイミダゾール、1-[(4-ベンゾイル)ベンジル]-6-(1-ブタンスルホニルカルバモイル)-2-メチルベンゾイミダゾール、6-(1-ブタンスルホニルカルバモイル)-2-メチル-[4-(2-フェニルエテニル)ベンジル]-ベンゾイミダゾール、1-(ジベンゾフラン-2-イルメチル)-6-(1-ブタンスルホニルカルバモイル)-2-メチルベンゾイミダゾール、6-(1-ブタンスルホニルカルバモイル)-1-(2,4-ジクロロベンジル)-2-ヒドロキシベンゾイミダゾール、6-(1-ブタンスルホニルカルバモイル)-2-メチル-1-(2-キノリルメチル)ベンゾイミダゾール、および6-(1-ブタンスルホニルカルバモイル)-2-メチル-1-[3-(4-ブロモイソキノリル)メチル]ベンゾイミダゾールからなる群から選択された式IIのPPARγ作動薬を、治療有効量で投与するステップを含む。
【実施例】
【0040】
実験プロトコール
ラットにおける3つの神経因性疼痛モデルは、活性(ガバペンチン、プレガバリン、アミトリプチリン、カルバマゼピン、およびN型Ca++遮断薬)および不活性(SSRIおよびNSAID)物質の順序に対して共に臨床成績に十分相関しており、実験用量と有効治療用量との間でもあることを示した。これらのモデルは、3つの外科的処置、すなわち、(i)脊髄神経結さつ(SNL)[Kim,S.およびJ.Chung、An experimental model for peripheral neuropathy produced by segmental spinal nerve ligation in the rat. Pain、1992、50: 355〜363頁];(ii)部分坐骨神経障害(Seltzer)[Seltzer,Z.、R.Dubner、およびY.Shir、A novel behavioral model of neuropathic pain disorders produced in rats by partial sciatic nerve injury.Pain、1990、43: 205〜218頁];および(iii)慢性狭窄損傷[Bennett,G.およびY.Xie、A peripheral mononeuropathy in rat that produces disorders of pain sensation like those seen in man. Pain、1988、33: 87〜107頁]に基づく。Bennettモデルは、以下に述べるように使用した。
【0041】
動物:Harlanからの若齢成体オスSprague Dawleyラット(200〜250g)を使用した。受け取った後、動物に固有番号を割り当て(尾にマークした)、1つのケージに2〜3匹ずつ、濾紙で覆われたメッシュシェルフを備えた、吊下げられたポリカーボネートラットケージに収容した。ラットを、手術前に7日間順化させた。順化期間中、ラットを定期的に検査し、取り扱い、計量して、適切な健康状態であり適合性があることを確認した。動物を、12/12明/暗サイクルで維持した。室温は、20から23℃の間に維持し、かつ相対湿度は30%から70%の間に維持した。餌および水を、研究期間中随時供給した。各試験において、動物をいくつかの治療群にランダムに割り当てた。各治療群は、少なくとも10匹の動物を含んでいた。全ての動物を、研究完了後安楽死させた。
【0042】
薬物:全ての化合物を、5%Tween80、5%PEGを生理食塩液に溶かした溶液に懸濁し、1ml/kgの用量体積で経口投与した。全ての実験において、カルバマゼピンを経口ごとに陽性対照として使用した。
【0043】
装置:装置は、厚さ10cmのアルミニウムの円板を備えた、25(W)×37(d)×16(h)cmの寸法の冷却板(Ugo Basile Hot/Cold Plate)からなる。さらに、20(d)×25(h)cmの寸法の透明なPlexiglasシリンダーが、板の最上部に配置される。神経因性ラット(外科的坐骨神経結さつ後7〜8日)を、少なくとも1時間、試験室に慣らした。ベースライン応答を、薬物投与前日に測定した。各動物を、冷却板(4℃に設定)上に配置することによって試験し、足を引っ込めるまでの待ち時間を記録した。
【0044】
手術:坐骨神経の慢性狭窄神経損傷を、BennettおよびXie(1988)に従い行った。具体的には、イソフルラン(空気中2%)を用いてラットに麻酔をかけた。左後方腹部を剃毛し、消毒し、ラットを横たえた。骨盤骨の隆線に触れて、脊椎の長軸に直角に縦切開部を作った。第1筋層を切断して坐骨神経を露出させた。開創器を使用して切開部を拡げ、結さつする坐骨神経の部分を中心に置いた。露出した神経を、第2筋層から慎重に引き剥がし、筋膜層を除去した。神経を遊離したら、長さ5cmの4.0クロムガット縫合糸を神経の下に通すために(縫合糸は、確実に軟質にするために生理食塩液に事前に浸漬した)、引っ掛けた鉗子を神経の下に慎重に通した。縫合糸を、神経が分岐する点よりも上位に位置決めした。縫合糸のそれぞれの長さを使用して、神経の周りに緩い結さつを作った(引っ張るのに十分な緊密性があればよい)。全ての縫合糸は、互いに0.5cmの範囲内にあった。切開部を、4.0絹縫合糸を使用して層状に閉じ、皮膚を、滅菌オートクリップを使用して閉じた。局所抗生剤軟膏を、縫合した切開部に塗った。全ての対象に、手術の直前および直後にブプレノルフィン(1ml/kgの体積中0.05mg/kg、腹腔内)を与えた。各対象を、覚醒して回復チャンバー内を自由に動くことができるまでモニターした。次いで動物を、研究継続中は1匹ずつ収容した。
【0045】
実験結果
式Iおよび式IIの代表的な化合物、3-(2,4-ジクロロベンジル)-2-メチル-N-(ペンチルスルホニル)-3H-ベンズイミダゾール-5-カルボキサミドの実験結果を、図1〜4に示す。
【0046】
本明細書に列挙される全ての化学基は、YamasakiらのEP0882718B1における開示に従い定義される。
【0047】
本明細書に記述される化合物のいずれかは、選択された化合物の活性、バイオアベイラビリティー、安定性を増大させるために、または選択された化合物の性質をその他の方法で変化させるために、プロドラッグとして投与することができる。いくつかのプロドラッグリガンドが公知である。
【0048】
「薬品」という用語は、その必要のある対象を治療および/または予防する方法で使用される物質であって、式Iまたは式IIの化合物を含む組成物、製剤、および剤形などを含むがそれらに限定されない物質を意味する。本明細書に開示される状態のいずれかを治療するための薬品の製造における、本発明の方法の化合物の使用は、単独でまたは本発明の方法のその他の化合物と組み合わせた、本発明の態様のいずれかで企図される化合物のいずれかにすることができると企図される。
【0049】
本明細書で使用される「治療有効量」という用語は、個体における神経因性疼痛の症状を低減するのに必要とされる量を意味する。用量は、それぞれの特定の場合における個々の要件に合わせて調節されることになる。投薬量は、治療がなされる状態の重症度、患者の年齢および全身の健康状態、患者を治療するためのその他の薬品、投与経路および形態、関与する医師の選択および経験など、数多くの因子に応じて広い範囲で変えることができる。経口投与の場合、約0.1から約10mgの間であってその間の全ての値を含めた日用量または1日2回の投薬量、例えば1日当たり0.25、0.5、0.75、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、および9.5など値が、単剤療法および/または併用療法に適切であるべきである。ある1日2回の投薬量の実施形態は、1日当たり約0.5から約7.5mgの間を2回である。別の1日2回の投薬量の実施形態は、1日当たり1.0から約6.0mgの間を2回である。本明細書に記述される状態を治療する当業者は、過度な実験をせずにかつ個人の知識、経験、および本出願の開示を信頼して、所与の状態および患者に対する、本発明の方法の化合物の治療有効量を確実にすることができるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
神経因性疼痛の治療を必要とする哺乳動物に、治療有効量の式IのPPARγの作動薬または薬学的に許容されるその塩を含む医薬組成物を投与するステップを含む、そのような神経因性疼痛を治療する方法:
【化1】

(式中、
R1は、水素原子、アリールスルホニル基、または低級アルキル基を表し、前記低級アルキル基は、アリール基によって、または、ハロゲン原子、ハロアリール基、低級アルキル基、ハロ-低級アルキル基、低級アルコキシ基、ニトロ基、アミノ基、シアノ基、アリール基、アリール-低級アルキルオキシ基、アリールスルホニル-低級アルキル基、アリール-低級アルキル基、ハロアリール-低級アルキルオキシ基、アリールスルホニルアミノ基、アリールカルボニルアミノ基、アリールカルボニル基、アリールアルケニル基、シアノアリール基、および複素環基から選択された1個または2個の置換基で置換されたアリール基によって、または、複素環基によって置換されていてもよく、
R2は、水素原子、低級シクロアルキル基、ヒドロキシル基、ヒドロキシ-低級アルキル基、低級アルコキシ基、メルカプト基、低級アルキルチオ基、アミノ基、低級アルキルアミノ基、カルボキシル基、アリール基、または低級アルキル基を表し、前記低級アルキル基は、ハロゲン原子、低級アルコキシ基、シアノ基、ハロカルボニル基、アリール基、または複素環基によって置換されていてもよく、
R25は、最大で8個の炭素原子を有するアルキル基、低級シクロアルキル基、ハロ-低級アルキル基、トリ-低級アルキルシリル-低級アルキル基、低級アルコキシ-低級アルキル基、低級アルキルチオ-低級アルキル基、アリール基、複素環基、アリール-低級アルキル基、またはヒドロキシ-低級アルキル基を表し、前記アリール基は、ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ-低級アルキル基、低級アルコキシ基、またはニトロ基によって置換されていてもよく、
R26は、水素原子または低級アルキル基を表し、但し、R25およびR26が共に低級アルキル基である場合には、これらが一緒に結合されて環を形成してもよく、
Yは、カルボニル基または低級アルキレン基を表し、
Aは、単結合、または低級アルキレンもしくはアルケニレン基を表し、
R4'は、炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基を表し、および
nは、0から3の整数を意味し、
ここで、
アリールスルホニル基は、ベンゼンスルホニル基、トルエンスルホニル基、およびナフタレンスルホニル基から選択され、
「低級」という用語は、他に特に指示しない限り、1から6個の炭素原子を有する基を示し、
アリール基は、ハロゲン原子、低級アルキル基、シアノ基、ニトロ基、およびトリフルオロメチル基から選択された1個または複数の置換基によって場合により置換されていてもよい、フェニル基およびナフチル基から選択され、
ハロ-低級アルキル基は、1個または複数のハロゲン原子で置換された、最大で8個の炭素原子を有する直鎖状または分枝状アルキル基であり、
複素環基は、ハロゲン原子および低級アルキル基の1個または複数の置換基によって場合により置換されていてもよい、ピリジル基、キノリル基、イソキノリル基、チアゾリル基、チアジアゾリル基、ベンゾフラニル基、ジベンゾフラニル基、チアナフタレニル基、1H-1,2,3-トリアゾリル基、1,2,4-トリアゾリル基、テトラゾリル基、フリル基、チエニル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピリミジニル基、インドリル基、ベンズイミダゾリル基から選択され、および
低級シクロアルキル基は、3から7個の炭素原子を有するシクロアルキル基である)。
【請求項2】
前記哺乳動物がヒトである、請求項1に記載の神経因性疼痛を治療する方法。
【請求項3】
前記PPARγの作動薬が、3-(2,4-ジクロロベンジル)-2-メチル-N-(ペンチルスルホニル)-3H-ベンズイミダゾール-5-カルボキサミド、または薬学的に許容されるその塩である、請求項2に記載の神経因性疼痛を治療する方法。
【請求項4】
前記PPARγの作動薬が、式IIの化合物または薬学的に許容されるその塩である、請求項2に記載の神経因性疼痛を治療する方法:
【化2】

(式中、
R27は、水素原子、低級アルキル基、アリールスルホニル基、またはアリール-低級アルキル基を表し、前記アリール-低級アルキル基の芳香環部分は、ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ-低級アルキル基、シアノアリール基、アミノ基、低級アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、アリール基、ハロアリール基、アリールスルホニル-低級アルキル基、アリールスルホニルアミノ基、アリール-低級アルキルオキシ基、アリール-低級アルキル基、複素環基、アリールカルボニル基、アリールカルボニルアミノ基、および1個または2個のハロゲン原子により置換されたアリール-低級アルキルオキシ基から選択された1個または2個の置換基で置換されていてもよく、
R28は、水素原子、低級アルキル基、ハロ-低級アルキル基、低級アルコキシ-低級アルキル基、低級シクロアルキル基、アリール基、アリール-低級アルキル基、低級アルキルアミノ基、低級アルコキシ基、低級アルキルチオ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、アミノ基、またはカルボキシル基を表し、
R25は、最大で8個の炭素原子を有するアルキル基、ハロ-低級アルキル基、トリ-低級アルキルシリル-低級アルキル基、低級アルコキシ-低級アルキル基、低級アルキルチオ-低級アルキル基、アリール基、複素環基、アリール-低級アルキル基、またはヒドロキシ-低級アルキル基を表し、前記アリール基は、ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ-低級アルキル基、低級アルコキシ基、またはニトロ基によって置換されていてもよく、
R26は、水素原子または低級アルキル基を表し、但し、R25およびR26が共に低級アルキル基である場合には、これらが一緒に結合されて環を形成してもよく、
Yは、カルボニル基または低級アルキレン基を表し、
Aは、単結合、または低級アルキレンもしくはアルケニレン基を表し、および
R29は、水素原子または低級アルキル基を表す)。
【請求項5】
R27が、そのアリール部分が、ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ-低級アルキル基、シアノアリール基、アミノ基、低級アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、アリール基、ハロアリール基、アリールスルホニル-低級アルキル基、アリールスルホニルアミノ基、アリール-低級アルキルオキシ基、アリール-低級アルキル基、複素環基、アリールカルボニル基、アリールカルボニルアミノ基、および1個または2個のハロゲン原子によって置換されたアリール-低級アルキルオキシ基からなる群から選択された1個または2個の置換基によって置換されていてもよい、アリール低級アルキル基を表し、
Yが、カルボニル基を表し、および
Aが、単結合を表す、
請求項4に記載の神経因性疼痛を治療する方法。
【請求項6】
R27が、アリール部分がハロゲン原子またはアリール基から選択された1個または2個の置換基によって置換されていてもよい、アリール低級アルキル基を表し、
R28が、低級アルキル基または低級シクロアルキル基を表し、
R25が、最大で8個の炭素原子を有するアルキル基またはアリール基を表し、
Yが、カルボニル基を表し、および
Aが、単結合を表す、
請求項5に記載の神経因性疼痛を治療する方法。
【請求項7】
前記PPARγの作動薬が、6-ベンゼンスルホニルカルバモイル-1-(2-クロロベンジル)-2-メチルベンゾイミダゾール、1-(ビフェニル-4-イルメチル)-6-(1-ブタンスルホニルカルバモイル)-2-メチルベンゾイミダゾール、1-(ビフェニル-4-イルメチル)-6-(1-ブタンスルホニルカルバモイル)-2-エチルベンゾイミダゾール、6-ベンゼンスルホニルカルバモイル-2-シクロプロピル-1-(2-フルオロベンジル)-ベンゾイミダゾール、6-ベンゼンスルホニルカルバモイル-1-(2,4-ジクロロベンジル)-2-メチルベンゾイミダゾール、6-ベンゼンスルホニルカルバモイル-1-(2,4-ジフルオロベンジル)-2-メチルベンゾイミダゾール、6-(1-ブタンスルホニルカルバモイル)-1-[(3-フルオロビフェニル-4-イル)メチル]-2-メチルベンゾイミダゾール、1-(2,4-ジクロロベンジル)-2-メチル-6-(1-ペンタンスルホニルカルバモイル)ベンゾイミダゾール、1-(4-ビフェニルメチル)-2-エチル-6-(1-ペンタンスルホニルカルバモイル)ベンゾイミダゾール、および薬学的に許容されるそれらの塩からなる群から選択される、請求項2に記載の神経因性疼痛を治療する方法。
【請求項8】
帯状疱疹後神経痛、三叉神経痛、AIDS関連ニューロパシー、灼熱痛、糖尿病性ニューロパシー、慢性腰痛、神経因性的関与による背頸部痛、幻肢痛、非定型顔面痛、または癌ニューロパシーに関連した疼痛を治療する方法であって、そのような治療を必要とする哺乳動物に、治療有効量の式IのPPARγの作動薬または薬学的に許容されるその塩を含む医薬組成物を投与するステップを含む方法:
【化3】

(式中、
R1は、水素原子、アリールスルホニル基、または低級アルキル基を表し、前記低級アルキル基は、アリール基によって、または、ハロゲン原子、ハロアリール基、低級アルキル基、ハロ-低級アルキル基、低級アルコキシ基、ニトロ基、アミノ基、シアノ基、アリール基、アリール-低級アルキルオキシ基、アリールスルホニル-低級アルキル基、アリール-低級アルキル基、ハロアリール-低級アルキルオキシ基、アリールスルホニルアミノ基、アリールカルボニルアミノ基、アリールカルボニル基、アリールアルケニル基、シアノアリール基、および複素環基から選択された1個または2個の置換基で置換されたアリール基によって、または複素環基によって置換されていてもよく、
R2は、水素原子、低級シクロアルキル基、ヒドロキシル基、ヒドロキシ-低級アルキル基、低級アルコキシ基、メルカプト基、低級アルキルチオ基、アミノ基、低級アルキルアミノ基、カルボキシル基、アリール基、または低級アルキル基を表し、前記低級アルキル基は、ハロゲン原子、低級アルコキシ基、シアノ基、ハロカルボニル基、アリール基、または複素環基によって置換されていてもよく、
R25は、最大で8個の炭素原子を有するアルキル基、低級シクロアルキル基、ハロ-低級アルキル基、トリ-低級アルキルシリル-低級アルキル基、低級アルコキシ-低級アルキル基、低級アルキルチオ-低級アルキル基、アリール基、複素環基、アリール-低級アルキル基、またはヒドロキシ-低級アルキル基を表し、前記アリール基は、ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ-低級アルキル基、低級アルコキシ基、またはニトロ基によって置換されていてもよく、
R26は、水素原子または低級アルキル基を表し、但し、R25およびR26が共に低級アルキル基である場合には、これらが一緒に結合されて環を形成してもよく、
Yは、カルボニル基または低級アルキレン基を表し、
Aは、単結合、または低級アルキレンもしくはアルケニレン基を表し、
R4'は、炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基を表し、および
nは、0から3の整数を意味し、
ここで、
アリールスルホニル基は、ベンゼンスルホニル基、トルエンスルホニル基、およびナフタレンスルホニル基から選択され、
「低級」という用語は、他に特に指示しない限り、1から6個の炭素原子を有する基を示し、
アリール基は、ハロゲン原子、低級アルキル基、シアノ基、ニトロ基、およびトリフルオロメチル基から選択された1個または複数の置換基によって場合により置換されていてもよい、フェニル基およびナフチル基から選択され、
ハロ-低級アルキル基は、1個または複数のハロゲン原子で置換された、最大で8個の炭素原子を有する直鎖状または分枝状アルキル基であり、
複素環基は、ハロゲン原子および低級アルキル基の1個または複数の置換基によって場合により置換されていてもよい、ピリジル基、キノリル基、イソキノリル基、チアゾリル基、チアジアゾリル基、ベンゾフラニル基、ジベンゾフラニル基、チアナフタレニル基、1H-1,2,3-トリアゾリル基、1,2,4-トリアゾリル基、テトラゾリル基、フリル基、チエニル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピリミジニル基、インドリル基、ベンズイミダゾリル基から選択され、および
低級シクロアルキル基は、3から7個の炭素原子を有するシクロアルキル基である)。
【請求項9】
前記哺乳動物がヒトである、請求項8に記載の疼痛を治療する方法。
【請求項10】
前記PPARγ作動薬が、3-(2,4-ジクロロベンジル)-2-メチル-N-(ペンチルスルホニル)-3H-ベンズイミダゾール-5-カルボキサミド、または薬学的に許容されるその塩である、請求項9に記載の疼痛を治療する方法。
【請求項11】
前記PPARγの作動薬が、式IIの化合物または薬学的に許容されるその塩である、請求項9に記載の疼痛を治療する方法:
【化4】

(式中、
R27は、水素原子、低級アルキル基、アリールスルホニル基、またはアリール-低級アルキル基を表し、前記アリール-低級アルキル基の芳香環部分は、ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ-低級アルキル基、シアノアリール基、アミノ基、低級アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、アリール基、ハロアリール基、アリールスルホニル-低級アルキル基、アリールスルホニルアミノ基、アリール-低級アルキルオキシ基、アリール-低級アルキル基、複素環基、アリールカルボニル基、アリールカルボニルアミノ基、および1個または2個のハロゲン原子により置換されたアリール-低級アルキルオキシ基から選択された1個または2個の置換基で置換されていてもよく、
R28は、水素原子、低級アルキル基、ハロ-低級アルキル基、低級アルコキシ-低級アルキル基、低級シクロアルキル基、アリール基、アリール-低級アルキル基、低級アルキルアミノ基、低級アルコキシ基、低級アルキルチオ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、アミノ基、またはカルボキシル基を表し、
R25は、最大で8個の炭素原子を有するアルキル基、ハロ-低級アルキル基、トリ-低級アルキルシリル-低級アルキル基、低級アルコキシ-低級アルキル基、低級アルキルチオ-低級アルキル基、アリール基、複素環基、アリール-低級アルキル基、またはヒドロキシ-低級アルキル基を表し、前記アリール基は、ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ-低級アルキル基、低級アルコキシ基、またはニトロ基によって置換されていてもよく、
R26は、水素原子または低級アルキル基を表し、但し、R25およびR26が共に低級アルキル基である場合には、これらが一緒に結合されて環を形成してもよく、
Yは、カルボニル基または低級アルキレン基を表し、
Aは、単結合、または低級アルキレンもしくはアルケニレン基を表し、および
R29は、水素原子または低級アルキル基を表す)。
【請求項12】
R27が、アリール部分がハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ-低級アルキル基、シアノアリール基、アミノ基、低級アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、アリール基、ハロアリール基、アリールスルホニル-低級アルキル基、アリールスルホニルアミノ基、アリール-低級アルキルオキシ基、アリール-低級アルキル基、複素環基、アリールカルボニル基、アリールカルボニルアミノ基、および1個または2個のハロゲン原子によって置換されたアリール-低級アルキルオキシ基からなる群から選択された1個または2個の置換基によって置換されていてもよい、アリール低級アルキル基を表し、
Yが、カルボニル基を表し、および
Aが、単結合を表す、
請求項11に記載の疼痛を治療する方法。
【請求項13】
R27が、アリール部分がハロゲン原子またはアリール基から選択された1個または2個の置換基によって置換されていてもよい、アリール低級アルキル基を表し、
R28が、低級アルキル基または低級シクロアルキル基を表し、
R25が、最大で8個の炭素原子を有するアルキル基またはアリール基を表し、
Yが、カルボニル基を表し、および
Aが、単結合を表す、
請求項12に記載の神経因性疼痛を治療する方法。
【請求項14】
前記PPARγの作動薬が、6-ベンゼンスルホニルカルバモイル-1-(2-クロロベンジル)-2-メチルベンゾイミダゾール、1-(ビフェニル-4-イルメチル)-6-(1-ブタンスルホニルカルバモイル)-2-メチルベンゾイミダゾール、1-(ビフェニル-4-イルメチル)-6-(1-ブタンスルホニルカルバモイル)-2-エチルベンゾイミダゾール、6-ベンゼンスルホニルカルバモイル-2-シクロプロピル-1-(2-フルオロベンジル)-ベンゾイミダゾール、6-ベンゼンスルホニルカルバモイル-1-(2,4-ジクロロベンジル)-2-メチルベンゾイミダゾール、6-ベンゼンスルホニルカルバモイル-1-(2,4-ジフルオロベンジル)-2-メチルベンゾイミダゾール、6-(1-ブタンスルホニルカルバモイル)-1-[(3-フルオロビフェニル-4-イル)メチル]-2-メチルベンゾイミダゾール、1-(2,4-ジクロロベンジル)-2-メチル-6-(1-ペンタンスルホニルカルバモイル)ベンゾイミダゾール、1-(4-ビフェニルメチル)-2-エチル-6-(1-ペンタンスルホニルカルバモイル)ベンゾイミダゾール、および薬学的に許容されるそれらの塩からなる群から選択される、請求項9に記載の神経因性疼痛を治療する方法。
【請求項15】
神経因性疼痛を治療するための、治療有効量の式IのPPARγの作動薬または薬学的に許容されるその塩:
【化5】

(式中、
R1は、水素原子、アリールスルホニル基、または低級アルキル基を表し、前記低級アルキル基は、アリール基によって、または、ハロゲン原子、ハロアリール基、低級アルキル基、ハロ-低級アルキル基、低級アルコキシ基、ニトロ基、アミノ基、シアノ基、アリール基、アリール-低級アルキルオキシ基、アリールスルホニル-低級アルキル基、アリール-低級アルキル基、ハロアリール-低級アルキルオキシ基、アリールスルホニルアミノ基、アリールカルボニルアミノ基、アリールカルボニル基、アリールアルケニル基、シアノアリール基、および複素環基から選択された1個または2個の置換基で置換されたアリール基によって、または複素環基によって置換されていてもよく、
R2は、水素原子、低級シクロアルキル基、ヒドロキシル基、ヒドロキシ-低級アルキル基、低級アルコキシ基、メルカプト基、低級アルキルチオ基、アミノ基、低級アルキルアミノ基、カルボキシル基、アリール基、または低級アルキル基を表し、前記低級アルキル基は、ハロゲン原子、低級アルコキシ基、シアノ基、ハロカルボニル基、アリール基、または複素環基によって置換されていてもよく、
R25は、最大で8個の炭素原子を有するアルキル基、低級シクロアルキル基、ハロ-低級アルキル基、トリ-低級アルキルシリル-低級アルキル基、低級アルコキシ-低級アルキル基、低級アルキルチオ-低級アルキル基、アリール基、複素環基、アリール-低級アルキル基、またはヒドロキシ-低級アルキル基を表し、前記アリール基は、ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ-低級アルキル基、低級アルコキシ基、またはニトロ基によって置換されていてもよく、
R26は、水素原子または低級アルキル基を表し、但し、R25およびR26が共に低級アルキル基である場合には、これらが一緒に結合されて環を形成してもよく、
Yは、カルボニル基または低級アルキレン基を表し、
Aは、単結合、または低級アルキレンもしくはアルケニレン基を表し、
R4'は、炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基を表し、および
nは、0から3の整数を意味し、
ここで、
アリールスルホニル基は、ベンゼンスルホニル基、トルエンスルホニル基、およびナフタレンスルホニル基から選択され、
「低級」という用語は、他に特に指示しない限り、1から6個の炭素原子を有する基を示し、
アリール基は、ハロゲン原子、低級アルキル基、シアノ基、ニトロ基、およびトリフルオロメチル基から選択された1個または複数の置換基によって場合により置換されていてもよい、フェニル基およびナフチル基から選択され、
ハロ-低級アルキル基は、1個または複数のハロゲン原子で置換された、最大で8個の炭素原子を有する直鎖状または分枝状アルキル基であり、
複素環基は、ハロゲン原子および低級アルキル基の1個または複数の置換基によって場合により置換されていてもよい、ピリジル基、キノリル基、イソキノリル基、チアゾリル基、チアジアゾリル基、ベンゾフラニル基、ジベンゾフラニル基、チアナフタレニル基、1H-1,2,3-トリアゾリル基、1,2,4-トリアゾリル基、テトラゾリル基、フリル基、チエニル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピリミジニル基、インドリル基、ベンズイミダゾリル基から選択され、および
低級シクロアルキル基は、3から7個の炭素原子を有するシクロアルキル基である)。
【請求項16】
ヒトの神経因性疼痛を治療するための、請求項15に記載の治療有効量のPPARγの作動薬。
【請求項17】
3-(2,4-ジクロロベンジル)-2-メチル-N-(ペンチルスルホニル)-3H-ベンズイミダゾール-5-カルボキサミド、または薬学的に許容されるその塩である、請求項16に記載の治療有効量のPPARγの作動薬。
【請求項18】
式IIの化合物または薬学的に許容されるその塩である、請求項16に記載の治療有効量のPPARγの作動薬:
【化6】

(式中、
R27は、水素原子、低級アルキル基、アリールスルホニル基、またはアリール-低級アルキル基を表し、前記アリール-低級アルキル基の芳香環部分は、ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ-低級アルキル基、シアノアリール基、アミノ基、低級アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、アリール基、ハロアリール基、アリールスルホニル-低級アルキル基、アリールスルホニルアミノ基、アリール-低級アルキルオキシ基、アリール-低級アルキル基、複素環基、アリールカルボニル基、アリールカルボニルアミノ基、および1個または2個のハロゲン原子により置換されたアリール-低級アルキルオキシ基から選択された1個または2個の置換基で置換されていてもよく、
R28は、水素原子、低級アルキル基、ハロ-低級アルキル基、低級アルコキシ-低級アルキル基、低級シクロアルキル基、アリール基、アリール-低級アルキル基、低級アルキルアミノ基、低級アルコキシ基、低級アルキルチオ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、アミノ基、またはカルボキシル基を表し、
R25は、最大で8個の炭素原子を有するアルキル基、ハロ-低級アルキル基、トリ-低級アルキルシリル-低級アルキル基、低級アルコキシ-低級アルキル基、低級アルキルチオ-低級アルキル基、アリール基、複素環基、アリール-低級アルキル基、またはヒドロキシ-低級アルキル基を表し、前記アリール基は、ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ-低級アルキル基、低級アルコキシ基、またはニトロ基によって置換されていてもよく、
R26は、水素原子または低級アルキル基を表し、但し、R25およびR26が共に低級アルキル基である場合には、これらが一緒に結合されて環を形成してもよく、
Yは、カルボニル基または低級アルキレン基を表し、
Aは、単結合、または低級アルキレンもしくはアルケニレン基を表し、および
R29は、水素原子または低級アルキル基を表す)。
【請求項19】
R27が、アリール部分がハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ-低級アルキル基、シアノアリール基、アミノ基、低級アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、アリール基、ハロアリール基、アリールスルホニル-低級アルキル基、アリールスルホニルアミノ基、アリール-低級アルキルオキシ基、アリール-低級アルキル基、複素環基、アリールカルボニル基、アリールカルボニルアミノ基、および1個または2個のハロゲン原子によって置換されたアリール-低級アルキルオキシ基からなる群から選択された1個または2個の置換基によって置換されていてもよい、アリール低級アルキル基を表し、
Yが、カルボニル基を表し、および
Aが、単結合を表す、
請求項18に記載の治療有効量のPPARγの作動薬。
【請求項20】
R27が、アリール部分がハロゲン原子またはアリール基から選択された1個または2個の置換基によって置換されていてもよい、アリール低級アルキル基を表し、
R28が、低級アルキル基または低級シクロアルキル基を表し、
R25が、最大で8個の炭素原子を有するアルキル基またはアリール基を表し、
Yが、カルボニル基を表し、および
Aが、単結合を表す、
請求項19に記載の治療有効量のPPARγの作動薬。
【請求項21】
6-ベンゼンスルホニルカルバモイル-1-(2-クロロベンジル)-2-メチルベンゾイミダゾール、1-(ビフェニル-4-イルメチル)-6-(1-ブタンスルホニルカルバモイル)-2-メチルベンゾイミダゾール、1-(ビフェニル-4-イルメチル)-6-(1-ブタンスルホニルカルバモイル)-2-エチルベンゾイミダゾール、6-ベンゼンスルホニルカルバモイル-2-シクロプロピル-1-(2-フルオロベンジル)-ベンゾイミダゾール、6-ベンゼンスルホニルカルバモイル-1-(2,4-ジクロロベンジル)-2-メチルベンゾイミダゾール、6-ベンゼンスルホニルカルバモイル-1-(2,4-ジフルオロベンジル)-2-メチルベンゾイミダゾール、6-(1-ブタンスルホニルカルバモイル)-1-[(3-フルオロビフェニル-4-イル)メチル]-2-メチルベンゾイミダゾール、1-(2,4-ジクロロベンジル)-2-メチル-6-(1-ペンタンスルホニルカルバモイル)ベンゾイミダゾール、1-(4-ビフェニルメチル)-2-エチル-6-(1-ペンタンスルホニルカルバモイル)ベンゾイミダゾール、および薬学的に許容されるそれらの塩からなる群から選択される、請求項16に記載の治療有効量のPPARγの作動薬。
【請求項22】
帯状疱疹後神経痛、三叉神経痛、AIDS関連ニューロパシー、灼熱痛、糖尿病性ニューロパシー、慢性腰痛、神経因性的関与による背頸部痛、幻肢痛、非定型顔面痛、または癌ニューロパシーに関連した疼痛を治療するための、式Iの治療有効量のPPARγの作動薬または薬学的に許容されるその塩:
【化7】

(式中、
R1は、水素原子、アリールスルホニル基、または低級アルキル基を表し、前記低級アルキル基は、アリール基によって、または、ハロゲン原子、ハロアリール基、低級アルキル基、ハロ-低級アルキル基、低級アルコキシ基、ニトロ基、アミノ基、シアノ基、アリール基、アリール-低級アルキルオキシ基、アリールスルホニル-低級アルキル基、アリール-低級アルキル基、ハロアリール-低級アルキルオキシ基、アリールスルホニルアミノ基、アリールカルボニルアミノ基、アリールカルボニル基、アリールアルケニル基、シアノアリール基、および複素環基から選択された1個または2個の置換基で置換されたアリール基によって、または複素環基によって置換されていてもよく、
R2は、水素原子、低級シクロアルキル基、ヒドロキシル基、ヒドロキシ-低級アルキル基、低級アルコキシ基、メルカプト基、低級アルキルチオ基、アミノ基、低級アルキルアミノ基、カルボキシル基、アリール基、または低級アルキル基を表し、前記低級アルキル基は、ハロゲン原子、低級アルコキシ基、シアノ基、ハロカルボニル基、アリール基、または複素環基によって置換されていてもよく、
R25は、最大で8個の炭素原子を有するアルキル基、低級シクロアルキル基、ハロ-低級アルキル基、トリ-低級アルキルシリル-低級アルキル基、低級アルコキシ-低級アルキル基、低級アルキルチオ-低級アルキル基、アリール基、複素環基、アリール-低級アルキル基、またはヒドロキシ-低級アルキル基を表し、前記アリール基は、ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ-低級アルキル基、低級アルコキシ基、またはニトロ基によって置換されていてもよく、
R26は、水素原子または低級アルキル基を表し、但し、R25およびR26が共に低級アルキル基である場合には、これらが一緒に結合されて環を形成してもよく、
Yは、カルボニル基または低級アルキレン基を表し、
Aは、単結合、または低級アルキレンもしくはアルケニレン基を表し、
R4'は、炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基を表し、および
nは、0から3の整数を意味し、
ここで、
アリールスルホニル基は、ベンゼンスルホニル基、トルエンスルホニル基、およびナフタレンスルホニル基から選択され、
「低級」という用語は、他に特に指示しない限り、1から6個の炭素原子を有する基を示し、
アリール基は、ハロゲン原子、低級アルキル基、シアノ基、ニトロ基、およびトリフルオロメチル基から選択された1個または複数の置換基によって場合により置換されていてもよい、フェニル基およびナフチル基から選択され、
ハロ-低級アルキル基は、1個または複数のハロゲン原子で置換された、最大で8個の炭素原子を有する直鎖状または分枝状アルキル基であり、
複素環基は、ハロゲン原子および低級アルキル基の1個または複数の置換基によって場合により置換されていてもよい、ピリジル基、キノリル基、イソキノリル基、チアゾリル基、チアジアゾリル基、ベンゾフラニル基、ジベンゾフラニル基、チアナフタレニル基、1H-1,2,3-トリアゾリル基、1,2,4-トリアゾリル基、テトラゾリル基、フリル基、チエニル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピリミジニル基、インドリル基、ベンズイミダゾリル基から選択され、
低級シクロアルキル基は、3から7個の炭素原子を有するシクロアルキル基である)。
【請求項23】
ヒトの帯状疱疹後神経痛、三叉神経痛、AIDS関連ニューロパシー、灼熱痛、糖尿病性ニューロパシー、慢性腰痛、神経因性的関与による背頸部痛、幻肢痛、非定型顔面痛、または癌ニューロパシーに関連した疼痛を治療するための、請求項22に記載の治療有効量のPPARγの作動薬。
【請求項24】
3-(2,4-ジクロロベンジル)-2-メチル-N-(ペンチルスルホニル)-3H-ベンズイミダゾール-5-カルボキサミド、または薬学的に許容されるその塩である、請求項23に記載の治療有効量のPPARγの作動薬。
【請求項25】
式IIの化合物または薬学的に許容されるその塩である、請求項23に記載の治療有効量のPPARγの作動薬:
【化8】

(式中、
R27は、水素原子、低級アルキル基、アリールスルホニル基、またはアリール-低級アルキル基を表し、前記アリール-低級アルキル基の芳香環部分は、ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ-低級アルキル基、シアノアリール基、アミノ基、低級アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、アリール基、ハロアリール基、アリールスルホニル-低級アルキル基、アリールスルホニルアミノ基、アリール-低級アルキルオキシ基、アリール-低級アルキル基、複素環基、アリールカルボニル基、アリールカルボニルアミノ基、および1個または2個のハロゲン原子により置換されたアリール-低級アルキルオキシ基から選択された1個または2個の置換基で置換されていてもよく、
R28は、水素原子、低級アルキル基、ハロ-低級アルキル基、低級アルコキシ-低級アルキル基、低級シクロアルキル基、アリール基、アリール-低級アルキル基、低級アルキルアミノ基、低級アルコキシ基、低級アルキルチオ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、アミノ基、またはカルボキシル基を表し、
R25は、最大で8個の炭素原子を有するアルキル基、ハロ-低級アルキル基、トリ-低級アルキルシリル-低級アルキル基、低級アルコキシ-低級アルキル基、低級アルキルチオ-低級アルキル基、アリール基、複素環基、アリール-低級アルキル基、またはヒドロキシ-低級アルキル基を表し、前記アリール基は、ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ-低級アルキル基、低級アルコキシ基、またはニトロ基によって置換されていてもよく、
R26は、水素原子または低級アルキル基を表し、但し、R25およびR26が共に低級アルキル基である場合には、これらが一緒に結合されて環を形成してもよく、
Yは、カルボニル基または低級アルキレン基を表し、
Aは、単結合、または低級アルキレンもしくはアルケニレン基を表し、および
R29は、水素原子または低級アルキル基を表す)。
【請求項26】
R27が、アリール部分がハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ-低級アルキル基、シアノアリール基、アミノ基、低級アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、アリール基、ハロアリール基、アリールスルホニル-低級アルキル基、アリールスルホニルアミノ基、アリール-低級アルキルオキシ基、アリール-低級アルキル基、複素環基、アリールカルボニル基、アリールカルボニルアミノ基、および1個または2個のハロゲン原子によって置換されたアリール-低級アルキルオキシ基からなる群から選択された1個または2個の置換基によって置換されていてもよい、アリール低級アルキル基を表し、
Yが、カルボニル基を表し、および
Aが、単結合を表す、
請求項25に記載の治療有効量のPPARγの作動薬。
【請求項27】
R27が、アリール部分がハロゲン原子またはアリール基から選択された1個または2個の置換基によって置換されていてもよい、アリール低級アルキル基を表し、
R28が、低級アルキル基または低級シクロアルキル基を表し、
R25が、最大で8個の炭素原子を有するアルキル基またはアリール基を表し、
Yが、カルボニル基を表し、および
Aが、単結合を表す、
請求項26に記載の治療有効量のPPARγの作動薬。
【請求項28】
6-ベンゼンスルホニルカルバモイル-1-(2-クロロベンジル)-2-メチルベンゾイミダゾール、1-(ビフェニル-4-イルメチル)-6-(1-ブタンスルホニルカルバモイル)-2-メチルベンゾイミダゾール、1-(ビフェニル-4-イルメチル)-6-(1-ブタンスルホニルカルバモイル)-2-エチルベンゾイミダゾール、6-ベンゼンスルホニルカルバモイル-2-シクロプロピル-1-(2-フルオロベンジル)-ベンゾイミダゾール、6-ベンゼンスルホニルカルバモイル-1-(2,4-ジクロロベンジル)-2-メチルベンゾイミダゾール、6-ベンゼンスルホニルカルバモイル-1-(2,4-ジフルオロベンジル)-2-メチルベンゾイミダゾール、6-(1-ブタンスルホニルカルバモイル)-1-[(3-フルオロビフェニル-4-イル)メチル]-2-メチルベンゾイミダゾール、1-(2,4-ジクロロベンジル)-2-メチル-6-(1-ペンタンスルホニルカルバモイル)ベンゾイミダゾール、1-(4-ビフェニルメチル)-2-エチル-6-(1-ペンタンスルホニルカルバモイル)ベンゾイミダゾール、および薬学的に許容されるそれらの塩からなる群から選択される、請求項23に記載の治療有効量のPPARγの作動薬。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2013−500982(P2013−500982A)
【公表日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−523019(P2012−523019)
【出願日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際出願番号】PCT/US2010/043617
【国際公開番号】WO2011/014600
【国際公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【出願人】(512022871)エスタス・セラピューティクス・インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】