説明

PSI/SI生成装置

【課題】映像・音声・データ放送サービスと番組情報(PSI/SI)をそれぞれ別の装置から入力して多重化する場合、同期を取る為に、2装置において厳密な時間管理が必要であり、その為に番組情報を送信する装置には時間管理の精度が高い、リアルタイムOS等を搭載した高価な専用装置が必要であった。
【解決手段】PSI/SI生成装置1は多重化装置2から送出するセクション202を予め送出することにより、PSI/SI生成装置1から厳密な時間管理を行う必要をなくす。代わってPSI/SI生成装置1にセクション202に送出開始時間を付加する機能と、周期グループごとに多重化装置2に送信する機能を具備する。これにより多重化装置2は送出するセクションの切り替えを容易に可能となる。これらにより装置間での時間連携が不要となり、簡単な機器構成で番組情報を付けたサービスのTS出力が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、番組配信システムの多重化に関するものであり、特にCATV(ケーブルテレビ)の自主放送等でテレビサービス、音声サービス、データサービス等の複数のサービスを一つのサービスのTS(トランスポートストリーム)としてPSI/SI(番組特定情報/番組配列情報)を付加して多重化するシステムに適用できる。
【背景技術】
【0002】
デジタルCATVシステムにおいて、視聴者へのサービスとしてEPG(番組情報)が提供されている。この番組情報はPSI/SIを構成するテーブルを一定の周期に従い、繰り返し番組とともに送信することで提供されている。
【0003】
PSIはMPEG2 Systems(ISO/IEC13818−1,ITU−T H.222.0)で規格化されており、所要の番組を選択するために必要な情報でPAT(Program Association Table)、PMT(Program Map Table)、NIT(Network Information Table)、CAT(Conditional Access Table)の4つのテーブルからなる。
【0004】
SIはARIB STD−B10で規定されており、番組選択の利便性のために規定された各種情報でSDT(Service Description Table)、EIT(Event Information Table)、BIT(Broadcaster Information Table)、TOT(Time Ofset Table)等のテーブルからなる。
【0005】
番組情報を番組に付加し、TSとして多重化し送出する技術は以前からあったが(例えば、特許文献1を参照)、多重化装置は入力された情報を多重化する機能のみを有する装置であり、別々の装置から入力する番組のトランスポートストリーム(TS)とPSI/SIの送出タイミングを合わせて多重化するには、PSI/SIを送出する装置が、厳密に時間管理を行いながら周期遅れのないように多重化装置へ情報を入力する必要があった。
【特許文献1】特開2001−186481号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
デジタルCATVシステムの自主放送システムにおいて、番組とPSI/SIを多重化して送出するには図4のようにPSI/SI生成装置5とPSI/SI送出装置4と多重化装置6の3台の装置を必要とする。
【0007】
PSI/SI生成装置5は入力されたPSI/SI情報101を基にセクション202を生成し、PSI/SI送出装置4はセクション202をTS204として、厳密に時間管理を行いながら周期通りに送出し、多重化装置6は番組のTS201とPSI/SIのTS204を多重化する。
【0008】
PSI/SI送出装置4は時間管理を行う為にリアルタイムOSを搭載した高価な専用装置が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、前記課題を解決するために図1のPSI/SI生成装置1で生成されたセクション202を、従来のPSI/SI送出装置4は介さずに直接、多重化装置2に入力する。
【0010】
その為に、PSI/SI生成装置1はセクション202に送出開始時間を付与し、セクション202は常に今、送出されるものと次ぎに送出されるものだけが周期グループ別に多重化装置2に入力されることで、多重化装置2のPSI/SIの時間管理を行う処理負荷を軽減する。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、デジタルCATVシステムの自主放送において、PSI/SIを送出する専用装置をなくすことが可能となり、機器構成を簡略化し、自主放送送信システムの導入、運用、保守費用を削減することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下本発明の実施の例について、デジタルCATVシステムのPSI/SI生成を例にとり、図面を参照しながら説明する。
【0013】
(実施の形態1)
図1は、番組とPSI/SIを多重化するシステム構成の一例である。
【0014】
ENC(エンコーダ)3は入力された自主放送、コミュニティチャンネル等のアナログコンテンツの入力301をTS(Transport Stream)201にエンコードし多重化装置2へ出力する。
【0015】
PSI/SI生成装置1は入力された、PSI/SI情報101と多重化装置情報102と周期情報103を基にセクション202を生成し多重化装置2へ出力する。多重化装置情報102は多重化装置の動作設定値の情報であり、周期情報103はPSI/SIテーブルの送出周期間隔の値である。
【0016】
多重化装置2はTS201とセクション202を多重化し、64QAM変調後、RF信号203として出力する。
【0017】
図2はPSI/SI生成装置1の構成の一例である。
【0018】
PSI/SI生成装置1は、PSI/SI情報入力部11に入力されるPSI/SI情報101を記憶するPSI/SI情報記憶部14と、多重化装置情報入力部12に入力される多重化装置情報102を記憶する多重化装置情報記憶部15と、周期情報入力部13に入力される周期情報103を記憶する周期情報記憶部16と、内部時計17を監視しながら送出タイミングを管理するスケジュール管理部18と、スケジュール管理部の指示によりセクション202を生成し多重化装置2に送信するセクション情報生成・送信部19から構成される。
【0019】
ここで、スケジュール管理部18は、内部時計17を監視しながら、PSI/SI情報記憶部14に記憶されたPSI/SI情報101を管理し、切り替え時間がくるとセクション情報生成・送信部19にセクション202の生成・送信指示を出す。切り替え時間には、セグメント単位に行なわれる、決められた3時間毎の定期切り替え時間と、番組と番組の変わり目による切り替え時間が存在し、番組と番組切り替え時間はPSI/SI情報101の中のEITに記載されている番組開始時間を切り替え時間としている。
【0020】
スケジュール管理部18はPSI/SI情報記憶部14が記憶するSI情報のEITテーブルから番組の放送開始時間を抜き出し、これをセクション情報生成・送信部19がセクション情報に組み込んで多重化装置2に送信する。
【0021】
図5はセクション202の一例であり、PSI/SIの本来のセクション情報38に、多重化装置を制御する送出開始時間37や、通信を行なう為のコマンドID33、データ長34、CRC39等を付加したものを合わせてセクション202を構成している。
【0022】
セクション情報生成・送信部19は予め、次に送信するセクション202に送出開始時刻を付与して生成・送信する。但し初回等で現在送出するセクション202が未送信の場合は、現在送出するセクション202と次に送出されるセクション202に送出開始時刻を付与して生成・送信する。
【0023】
図3は多重化装置2の構成の一例である。
【0024】
多重化装置2は、セクション202が入力されるセクション情報入力部21と、入力されたセクション202をTSパケット化するTSP生成部22と、TSパケット化された情報を記憶するTSP記憶部23と、内部時計25を監視しながら送出タイミングを管理するスケジュール管理部26と、TS201を入力するTS入力部24とスケジュール管理部26の指示によりTSP記憶部23に記憶された情報とTS入力部24に入力されたTS201を多重化する多重化部27と、多重化部27で多重された情報を64QAM変調しRF203として出力する64QAM変調部28で構成される。
【0025】
ここで、TSP記憶部23は、現在送出するセクション202のほかに常に、次のセクション202をバッファしている。
【0026】
スケジュール管理部26は内部時計25を監視するとともに、TSP記憶部23が記憶するセクション情報に付与された送出開始時刻と内部時計を比較し、両者が一致すると送出するTSパケットの切り替えを行う。また、過去のセクション202はPSI/SI生成装置1から次のセクション202を受信するタイミングで削除され、TSP記憶部23が更新される。次のセクション202が存在しない場合は、PSI/SI生成装置1からの削除指示によりTSP記憶部23から削除される。
【0027】
多重化部27は切り替えられたTSパケットを多重化する。
【0028】
このように、PSI/SI生成装置1は予め次に送出されるセクション202を多重化装置2に送信しておくことができるので、従来のように番組の変わり目や時間経過によるセクションの切り替え時に即時にセクション202の切り替えを行うことが不要となり、厳密に時間管理する必要がなく余裕を持ってセクション202を生成・送出することが可能となる。これにより、セクション202の送出タイミングを管理するPSI/SI送出装置が不要となるのでCATVヘッドエンド設備のコストダウンが可能となる。
【0029】
(実施の形態2)
実施の形態2ではさらに、PSI/SI生成装置1のセクション情報生成・送信部19が周期情報記憶部16よりセクション202の送出周期情報103を取得し、ARIBで規定されたPSI/SIを構成する各テーブルの送出周期が同じものを集めた周期グループに分けてセクション202を送出するようにした。
【0030】
多重化装置2のTSP記憶部23は、周期グループ別にTSパケットを記憶しており、スケジュール管理部26は内部時計25を監視し、セクション202に付与された送出開始時刻になると、送出するTSパケットの切り替えを行うとともに、切り替えられたTSパケットを定められた周期に従って多重化する。
【0031】
これにより、多重化装置2側で必要であったテーブルの選択とそれぞれの送出周期の管理が不要となり、多重化装置の負担を軽減することが可能となる。
【0032】
以上、実施の形態1、2においては各機能が個々の要素となって本発明を実現する例を用いて説明したが、これら各機能を実現する各手段が1つまたは複数のチップ上で動作する構成とすることも可能である。また、これらの各手段をコンピュータで読み取り可能なプログラムまたはプログラムに順ずるものとして構成し、電子番組ガイド生成装置やこれと同等の機能を実現可能な装置にソフトウェアとして組み込むことも可能である。さらに、これらプログラム等をCD−ROM等の記録媒体に格納することも可能である。これにより、上記各機能を実現する各手段をPSI/SI生成装置やこれと同等の機能を実現可能な様々な装置で実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
CATV会社において、コミュニティチェンネル等の自主放送に電子番組表(EPG)をつけて配信するサービスを、従来の機器構成よりも簡素化された機器構成での導入・運用が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】番組とPSI/SIを多重化するシステムの構成図
【図2】PSI/SI生成装置の構成を示すブロック図
【図3】多重化装置の構成を示すブロック図
【図4】従来の番組とPSI/SIを多重化するシステムの構成図
【図5】セクション情報構成図
【符号の説明】
【0035】
1 PSI/SI生成装置
2 多重化装置
3 ENC(エンコーダ)
4 PSI/SI送出装置
5 従来PSI/SI生成装置
6 従来多重化装置
11 PSI/SI情報入力部
12 多重化装置情報入力部
13 周期情報入力部
14 PSI/SI情報記憶部
15 多重化装置情報記憶部
16 周期情報記憶部
17 内部時計
18 スケジュール管理部
19 セクション情報生成・送信部
21 セクション情報入力部
22 TSP生成部
23 TSP記憶部
24 TS入力部
25 内部時計
26 スケジュール管理部
27 多重化部
28 64QAM変調部
31 start
32 アドレス
33 コマンドID
34 データ長
35 サービスID
36 管理番号
37 送出開始時間
38 セクション情報
39 CRC
101 PSI/SI情報
102 多重化装置情報
103 周期情報
201 TS
202 セクション情報
203 RF
204 TS
205 TS
301 自主放送、コミュニティチャンネル等のアナログコンテンツの入力

【特許請求の範囲】
【請求項1】
番組特定情報と番組配列情報を構成するテーブルのセクション情報を生成するPSI/SI生成装置において、セクション単位に送出開始時間を付加する手段と、現在とその次に送出すべきセクションを多重化装置に送信する手段と、セクションを周期グループ別に多重化装置に送信する手段を持つことを特徴とするPSI/SI生成装置。
【請求項2】
複数の映像、音声、データサービスと番組特定情報、番組配列情報を多重化する多重化装置において、請求項1記載のPSI/SI生成装置より送信されたセクションをトランスポートストリームパケット化し多重化する手段と、セクションごとに付加された送出開始時間に合わせてTSパケットを切り替えて送出する手段を持つことを特徴とする多重化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−157495(P2006−157495A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−345357(P2004−345357)
【出願日】平成16年11月30日(2004.11.30)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】