説明

PTPシート搬送装置

【課題】ライン全体の生産能力を極力低下させることなく、多様な包装形態に対応することのできるPTPシート搬送装置を提供する。
【解決手段】搬送装置12は、PTPシート集積体15を保持する複数のチャック21が順次ポジションを移動させながら巡回するチェーンコンベア22を備え、各チャック21を1ポジション送って1回停止するのを1サイクルとした1個送り搬送と、各チャック21を4ポジション送って1回停止するのを1サイクルとした4個送り搬送とを、包装形態に応じて切換え可能に構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PTPシートを搬送するためのPTPシート搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、PTPシートは、錠剤等が収容される複数のポケット部を備えている。かかるPTPシートは、ポケット部が形成された長尺状のフィルムを移送させつつポケット部に錠剤を投入する工程、アルミニウム等よりなるカバーフィルムを貼着する工程、PTPシート単位に打ち抜く工程等を経て製造される。
【0003】
そして、このように製造されたPTPシートは、例えば2枚一組の抱き合せ状態とされた上で所定の集積装置において所定枚数ずつ集積された後、所定の搬送装置によって所定の包装機まで順次搬送され、包装される。
【0004】
包装形態としては、PTPシートの集積体をバンドで結束するバンド方式や、PTPシートの集積体をまとめてピロー包装するピロー方式などが挙げられる。
【0005】
このような多様な包装形態に対応すべく、近年では、バンド機やピロー包装機など各種包装機をそれぞれ配置し、搬送装置によってPTPシート集積体の受渡し先を換えることで、包装形態の切換えを行う技術も提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−91724号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、切換える包装形態の種類によっては、ライン全体の生産能力を低下させてしまうおそれもあった。
【0008】
例えば10枚のPTPシートからなる集積体をバンド機にてバンド掛けする包装形態から、2枚のPTPシートからなる集積体をピロー包装機にてピロー包装する包装形態に切換えた場合、集積装置におけるPTPシートの集積完了までに要する時間が5分の1に短縮されることから、それを受取り搬送する搬送装置の搬送速度も5倍にする必要がある。
【0009】
しかしながら、搬送装置の速度を極端に速くすることは、PTPシート集積体の搬送、受取り、受渡し等の各種作業に支障が生じるおそれがあり、現実的には難しい。
【0010】
逆に、集積装置におけるPTPシートの集積速度を搬送装置の搬送速度に合せて遅くしてしまうと、上流側のPTPシート製造装置の生産速度も遅くせざるを得ないなど、ライン全体の生産能力を低下させてしまうこととなる。
【0011】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、ライン全体の生産能力を極力低下させることなく、多様な包装形態に対応することのできるPTPシート搬送装置を提供することを主たる目的の一つとしている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
以下、上記課題を解決するのに適した各手段につき項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果を付記する。
【0013】
手段1.ポケット部に内容物を収容してなるPTPシートを所定枚数ずつ集積したPTPシート集積体を所定の集積装置から受取り、所定の包装装置へ搬送するPTPシート搬送装置であって、
前記PTPシート集積体を保持可能な複数の保持手段が所定間隔で環状配列され、当該各保持手段が順次ポジションを移動させながら巡回するように設けられた巡回搬送手段を備え、
前記各保持手段を1ポジション送って1回停止するのを1サイクルとし、
Nサイクル(Nは2以上の自然数)に1回の停止中、隣接したN箇所の受取りポジションに位置するN個の前記保持手段がそれぞれ前記集積装置から前記PTPシート集積体を受取り、
1サイクル毎の停止中、第1の受渡しポジションに位置する1個の前記保持手段が、自身の保持している前記PTPシート集積体を第1の包装装置用の受取り口へ受渡す第1の搬送形態(1個送り搬送形態)と、
前記各保持手段をNポジション送って1回停止するのを1サイクルとし、
1サイクル毎の停止中、隣接したN箇所の受取りポジションに位置するN個の前記保持手段がそれぞれ前記集積装置から前記PTPシート集積体を受取り、
1サイクル毎の停止中、第2の受渡しポジションに位置する隣接したN個の前記保持手段が、それぞれ保持している前記PTPシート集積体を第2の包装装置用の受取り口へ受渡す第2の搬送形態(N個送り搬送形態)と
を切換え可能としたことを特徴とするPTPシート搬送装置。
【0014】
上記手段1によれば、搬送形態を切換えることにより、ライン全体の生産能力を極力低下させることなく、多様な包装形態に対応することができる。
【0015】
第2の搬送形態では、第1の搬送形態に比べ搬送効率が高くなるため、PTPシート集積体の集積枚数が比較的少なく、集積装置におけるPTPシートの集積完了までに要する時間が比較的短い場合であっても、巡回搬送手段の搬送速度を第1の搬送形態に比べ極端に速くする必要がない。
【0016】
例えば、上記「N」を「5」とすれば、第2の搬送形態によって2枚のPTPシートからなるPTPシート集積体を搬送する場合の搬送速度を、第1の搬送形態によって10枚のPTPシートからなるPTPシート集積体を搬送する場合の搬送速度と等しくすることができる。
【0017】
結果として、PTPシート集積体の搬送、受取り、受渡し等の各種作業を適切に行うことができる。さらに、集積装置におけるPTPシートの集積速度や、上流側のPTPシート製造装置の生産速度を搬送装置の搬送速度に合せて遅くする必要もなく、ライン全体の生産能力を低下させないようにすることができる。
【0018】
手段2.前記第1の包装装置は、前記PTPシート集積体をバンドで結束するバンド機であり、
前記第2の包装装置は、前記PTPシート集積体をまとめてピロー包装するピロー包装機であることを特徴とする手段1に記載のPTPシート搬送装置。
【0019】
一般にバンド機によりバンド掛けされるPTPシート集積体の集積枚数は、10枚程度と比較的多い一方、ピロー包装機によりピロー包装されるPTPシート集積体の集積枚数は、2枚、4枚、6枚、8枚、10枚など比較的少ないものから多いものまで多様である。
【0020】
上記手段2によれば、第2の搬送形態によってピロー包装機へPTPシート集積体を搬送できるため、上記手段1の作用効果がより奏功するとともに、ピロー方式における多様な包装形態の違い、すなわちピロー包装されるPTPシート集積体の集積枚数の違いに対しても、ライン全体の生産能力を低下させることなく、適切に対応することができる。
【0021】
手段3.前記第2の包装装置用の受取り口には、前記PTPシート集積体を直線搬送可能な取入れコンベアを備え、
前記第2の受渡しポジションに位置するN個の保持手段が、前記取入れコンベアに並行して直列に配置されるようにしたことを特徴とする手段1又は2に記載のPTPシート搬送装置。
【0022】
上記手段3によれば、N個のPTPシート集積体の受渡しを同時に行うなど比較的短時間でスムーズに行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】(a)はPTPシートを示す斜視図であり、(b)はPTPシートの部分拡大断面図である。
【図2】PTPシート搬送装置の概略構成を示す平面模式図である。
【図3】1個送り搬送の手順について説明するための模式図である。
【図4】1個送り搬送の手順について説明するための模式図である。
【図5】1個送り搬送の手順について説明するための模式図である。
【図6】1個送り搬送の手順について説明するための模式図である。
【図7】4個送り搬送の手順について説明するための模式図である。
【図8】4個送り搬送の手順について説明するための模式図である。
【図9】4個送り搬送の手順について説明するための模式図である。
【図10】4個送り搬送の手順について説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。
【0025】
図1(a),(b)に示すように、本実施形態におけるPTPシート1は、複数のポケット部2を備えた容器フィルム3と、ポケット部2を塞ぐようにして容器フィルム3に取着されたカバーフィルム4とを有している。容器フィルム3はPP(ポロプロピレン)等の樹脂材料により構成され、カバーフィルム4はアルミニウムによって構成されている。各ポケット部2には内容物としての錠剤5が1つずつ収容されている。
【0026】
PTPシート1は、従来同様、PTPシート製造装置(図示略)において、容器フィルム3にポケット部2を成形するポケット成形工程、ポケット部2に錠剤5を充填する充填工程、ポケット部2を塞ぐように容器フィルム3にカバーフィルム4を取着するカバーフィルム取着工程、シート状に打ち抜く打抜工程等を経て製造される。そして、このように製造されたPTPシート1は、PTPシート製造装置の下流側に設けられた集積装置11において集積された後、搬送装置12によって、包装装置としてのバンド機13又はピロー包装機14まで順次搬送され、包装されることとなる(図2参照)。搬送装置12が本実施形態におけるPTPシート搬送装置に相当する。また、バンド機13が本実施形態における第1の包装装置に相当し、ピロー包装機14が第2の包装装置に相当する。
【0027】
集積装置11は、上流側のPTPシート製造装置から順次搬送されてくるPTPシート1を所定枚数ずつ集積して、下流側の搬送装置12へ受渡し可能に構成された公知のものである。本実施形態における集積装置11は、集積レーンを4列備えており、各レーンにおいてそれぞれ、PTPシート1を2枚一組の抱き合せ状態とする抱き合せ機構と、抱き合わせたPTPシート1を所定組数ずつ積み上げる積み上げ機構とを備えている。なお、積み上げ機構により積み上げられるPTPシート1の集積枚数は適宜、変更可能に構成されている。例えば、本実施形態では2枚、4枚、6枚、8枚、10枚といったように、抱き合せ1組単位で変更することができる。
【0028】
搬送装置12は、集積装置11により集積されたPTPシート1の束(以下、「PTPシート集積体」という)15を集積装置11から受取り、下流側のバンド機13又はピロー包装機14へ搬送する機能を有する。
【0029】
バンド機13は、PTPシート集積体15をバンドで結束するように構成されている。一方、ピロー包装機14は、PTPシート集積体15をまとめてピロー包装するよう構成されている。
【0030】
ここで、搬送装置12について図2等を参照して詳しく説明する。
【0031】
搬送装置12は、PTPシート集積体15を保持するための複数のチャック21が所定間隔で環状配列されたチェーンコンベア22を有しており、該チェーンコンベア22が所定の経路に沿って巡回することにより、各チャック21が順次ポジションを移動させながら巡回移動するように構成されている。チェーンコンベア22が本実施形態における巡回搬送手段を構成し、チャック21が保持手段を構成する。
【0032】
各チャック21には、図示しない押出手段としてのプッシャが設けられている。当該プッシャは、チャック21が保持しているPTPシート集積体15の受渡しに際し、当該PTPシート集積体15をチャック21から押し出す役割を果たす。
【0033】
チェーンコンベア22は略矩形状の経路に沿って巡回するように構成されており、その上流側辺部(図2の上側)には集積装置11の排出口が隣接配置され、下流側辺部(図2の下側)にはバンド機13用の受取り口17が隣接配置されている。
【0034】
また、チャック21の進行方向(図2の時計回り方向)に対して集積装置11とバンド機13用の受取り口17との間に位置し、チェーンコンベア22の上流側辺部及び下流側辺部と略直交する方向に沿って延びる右側辺部(図2の右側)には、ピロー包装機14用の受取り口として、ピロー包装機14まで直線状に延びる取入れコンベア18が隣接配置されている。
【0035】
取入れコンベア18は、その周囲に複数の支持ピン19が所定間隔をあけて突出形成されており、当該支持ピン19により、搬送装置12から受取ったPTPシート集積体15を引っ掛けつつピロー包装機14まで搬送可能に構成されている。
【0036】
次に搬送装置12の搬送動作について詳しく説明する。本実施形態における搬送装置12は、その搬送形態を、少なくともバンド機13に対応して行われる第1の搬送形態としての1個送り搬送と、ピロー包装機14に対応して行われる第2の搬送形態としての4個送り搬送とに切換え可能となっている。
【0037】
1個送り搬送では、各チャック21を1ポジション送って1回停止するのを1サイクルとした動作が繰り返し行われる。そして、4サイクルに1回の停止中、集積装置11の各レーンに対応した4つの受取りポジションP1〜P4に位置する4つのチャック21がそれぞれ集積装置11の各レーンからPTPシート集積体15を受取る。一方、1サイクル毎の停止中、バンド機13用の受取り口17に対応した第1の受渡しポジションXに位置する1個のチャック21が、自身の保持しているPTPシート集積体15をバンド機13用の受取り口17へ受渡す。
【0038】
以下、1個送り搬送について、5組10枚のPTPシート1からなるPTPシート集積体15をバンド機13にてバンド掛けする場合を例に詳しく説明する。
【0039】
集積装置11では、搬送装置12の各チャック21が4ポジション移動する動作(4サイクル)に同期するように、5回の抱き合せ作業及び積み上げ作業を完了させ、5組10枚のPTPシート1からなるPTPシート集積体15を各レーンの排出口へ送出す(図3参照)。
【0040】
集積装置11の各レーンの排出口にPTPシート集積体15が案内されてくると、受取りポジションP1〜P4に位置した4つのチャック21はそれぞれ集積装置11からPTPシート集積体15を受取る(図4参照)。
【0041】
搬送装置12では、PTPシート集積体15の受取りが完了すると、各チャック21が1ポジション送られる(図5参照)。そして、PTPシート集積体15を受取ることなく4サイクル進み、各チャック21が4ポジション移動すると、受取りポジションP1〜P4では再び上記同様に集積装置11からPTPシート集積体15を受取ることとなる。
【0042】
一方、PTPシート集積体15を保持したチャック21が第1の受渡しポジションXまで移動してくると、当該チャック21は自身の保持したPTPシート集積体15をプッシャにより押し出し、バンド機13用の受取り口17へ受渡す(図6参照)。そして、当該PTPシート集積体15に対しバンド機13にてバンド掛けが行われる。
【0043】
このような動作が繰り返し行われることにより、バンド掛けされたPTPシート集積体15が順次、生産されていくこととなる。
【0044】
これに対し、4個送り搬送では、各チャック21を4ポジション送って1回停止するのを1サイクルとした動作が繰り返し行われる。そして、1サイクルに1回の停止中、集積装置11の各レーンに対応した4つの受取りポジションP1〜P4に位置する4つのチャック21がそれぞれ集積装置11の各レーンからPTPシート集積体15を受取る。一方、1サイクル毎の停止中、取入れコンベア18(ピロー包装機14用の受取り口)に対応した第2の受渡しポジションY1〜Y4に位置する4つのチャック21が、それぞれ保持しているPTPシート集積体15を取入れコンベア18へ受渡す。
【0045】
以下、4個送り搬送について、1組2枚のPTPシート1からなるPTPシート集積体15をピロー包装機14にてピロー包装する場合を例に詳しく説明する。
【0046】
集積装置11では、搬送装置12の各チャック21が4ポジション移動する動作(1サイクル)に同期するように、1回の抱き合せ作業及び積み上げ作業を完了させ、1組2枚のPTPシート1からなるPTPシート集積体15を各レーンの排出口へ送出す(図7参照)。
【0047】
集積装置11の各レーンの排出口にPTPシート集積体15が案内されてくると、受取りポジションP1〜P4に位置した4つのチャック21はそれぞれ集積装置11からPTPシート集積体15を受取る(図8参照)。
【0048】
搬送装置12では、PTPシート集積体15の受取りが完了すると、各チャック21が4ポジション送られる(図9参照)。そして、各チャック21が4ポジション移動すると、受取りポジションP1〜P4では、再び上記同様に集積装置11からPTPシート集積体15を受取ることとなる。
【0049】
一方、PTPシート集積体15を保持したチャック21が第2の受渡しポジションY1〜Y4まで移動してくると、当該第2の受渡しポジションY1〜Y4に位置する4つのチャック21はそれぞれ自身の保持したPTPシート集積体15をプッシャにより押し出し、取入れコンベア18へ受渡す(図10参照)。
【0050】
この際、取入れコンベア18における支持ピン19の形成ピッチが、PTPシート集積体15の長さよりもある程度ゆとりをもって設計されていることに加え、取入れコンベア18は一旦停止することなく連続搬送されている。従って、各チャック21は、それぞれ個別のタイミング(支持ピン19に衝突しないタイミング)で所定の支持ピン19間に対しPTPシート集積体15を受渡すように、自身が保持しているPTPシート集積体15を押し出すこととなる。
【0051】
そして、PTPシート集積体15は取入れコンベア18によりピロー包装機14へ搬送され、それぞれピロー包装される。
【0052】
このような動作が繰り返し行われることにより、ピロー包装されたPTPシート集積体15が順次、生産されていくこととなる。
【0053】
以上詳述したように、本実施形態では、バンド方式による包装形態に対応して、10枚のPTPシート1からなるPTPシート集積体15を搬送する場合には、1個送り搬送を用い、ピロー方式による包装形態に対応して、2枚のPTPシート1からなるPTPシート集積体15を搬送する場合には、4個送り搬送を用いるといったように、搬送装置12の搬送形態を切換可能な構成となっている。
【0054】
集積装置11において、PTPシート集積体15の集積枚数を10枚から2枚に切換えた場合、PTPシート集積体15の集積完了までに要する時間は5分の1に短縮されるが、それを受取り搬送する搬送装置12では、その搬送態様が1個送り搬送から4個送り搬送に切換えられるため、その搬送速度を1個送り搬送の5倍とする必要はなく、1.25倍(5/4倍)だけ速度アップすればよい。
【0055】
また、ピロー包装されるPTPシート集積体15の集積枚数を例えば4枚とした場合には、搬送装置12の搬送速度を1個送り搬送の5/8倍に速度低下させることができる。同様に、6枚の場合には5/12倍、8枚の場合には5/16倍、10枚の倍には1/4倍とすることができる。
【0056】
結果として、搬送装置12の速度を極端に速くする必要がなく、PTPシート集積体15の搬送、受取り、受渡し等の各種作業を適切に行うことができる。
【0057】
また、集積装置11におけるPTPシート1の集積速度や、上流側のPTPシート製造装置の生産速度を搬送装置12の搬送速度に合せて遅くする必要もなく、ライン全体の生産能力を低下させなくともよい。なお、PTPシート製造装置の生産速度を遅くした場合には、容器フィルム3にポケット部2を加熱成形する際のフィルム収縮率も変化してしまうため、型の交換等が必要となるが、本実施形態によれば、このような型交換も不要となる。
【0058】
結果として、ライン全体の生産能力を極力低下させることなく、多様な包装形態に対応することができる。
【0059】
また、本実施形態では、取入れコンベア18に対するPTPシート集積体15の受渡しが、取入れコンベア18を一旦停止することなく連続搬送させた状態で行われる。結果として、生産性の向上を図ることができる。
【0060】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0061】
(a)上記実施形態では、内容物が錠剤5である場合について具体化しているが、内容物の種別、形状等については特に限定されるものではなく、例えば食品や電子部品等が内容物として充填される構成であってもよい。
【0062】
(b)各フィルム3,4の素材、ポケット部2の数や形状など、PTPシート1の構成は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、容器フィルム3をアルミニウムなど他の材質で形成してもよい。
【0063】
(c)PTPシート集積体15の集積枚数及び集積態様は、上記実施形態に例示されたものに限定されるものではない。例えば、PTPシート集積体15の集積枚数が12枚であってもよい。特にピロー方式の場合には、集積枚数が1枚であってもよい。
【0064】
また、PTPシート1を2枚一組の抱き合せ状態とせず、PTPシート1を同じ向きに所定枚数ずつ積み上げる集積形態としてもよい。
【0065】
(d)上記実施形態では、ピロー方式により、10枚のPTPシート1からなるPTPシート集積体15を包装する場合には、2枚の場合と同様、4個送り搬送により搬送する構成となっているが、これに代えて、1個送り搬送を用いる構成としてもよい。
【0066】
(e)上記実施形態では、集積装置11の集積レーン数、搬送装置12における受取りポジションP1〜P4の数、第2の受渡しポジションY1〜Y4の数、及び、ピロー方式に対応した搬送形態(第2の搬送形態)において1サイクル中のチャック21が送られるポジション数が、それぞれ対応して4つ(N=4)に設定されているが、これに限らず、2以上であればよい。但し、第1の搬送形態により搬送され得るPTPシート集積体15に含まれるPTPシート1の最大枚数(上記実施形態では10枚)を、第2の搬送形態により搬送され得るPTPシート集積体15に含まれるPTPシート1の最小枚数(上記実施形態では2枚)で割った数(上記実施形態ではN=5)以下に設定されることが、ライン全体のバランスをとる上で好ましい。
【0067】
(f)搬送装置12や取入れコンベア18等の構成は、上記実施形態に限定されるものではない。
【0068】
例えば、上記実施形態では、搬送装置12のチェーンコンベア22が略矩形状の経路に沿って巡回するように構成されており、その上流側辺部に集積装置11の排出口が隣接配置され、下流側辺部にバンド機13用の受取り口17が隣接配置され、右側辺部にピロー包装機14用の取入れコンベア18が隣接配置されている。これに限らず、例えばピロー包装機14用の受取り口をチェーンコンベア22の下流側辺部に隣接配置した構成としてもよい。また、巡回搬送手段はチェーンコンベア22に限定されるものではなく、PTPシート集積体15を保持する複数の保持手段が順次ポジションを移動させながら巡回する構成であれば、他の構成を採用してもよい。
【0069】
また、上記実施形態では、取入れコンベア18が連続搬送された状態でPTPシート集積体15を受取る構成となっているが、これに限らず、PTPシート集積体15の受取りに際し、取入れコンベア18を一旦停止させ、第2の受渡しポジションY1〜Y4に位置する4つのチャック21から同時にPTPシート集積体15を受取る構成としてもよい。
【0070】
(g)上記実施形態では、第1の包装装置としてバンド機13を採用し、第2の包装装置としてピロー包装機14を採用し、包装形態をバンド方式とピロー方式とに切換える構成となっているが、各包装装置は上記実施形態に限定されるものではない。
【0071】
例えば、第1の包装装置として、10枚のPTPシート1からなるPTPシート集積体15をピロー包装する第1のピロー包装機を採用し、第2の包装装置として、2枚のPTPシート1からなるPTPシート集積体15をピロー包装する第2のピロー包装機を採用し、ピロー方式における異なる包装形態に対応するようにしてもよい。
【0072】
また、第1の包装装置として、PTPシート集積体15をバンド結束する機構と、当該バンド結束されたPTPシート集積体15をピロー包装する機構とを備えた包装装置を採用してもよい。
【符号の説明】
【0073】
1…PTPシート、2…ポケット部、3…容器フィルム、4…カバーフィルム、5…錠剤、11…集積装置、12…搬送装置、13…バンド機、14…ピロー包装機、15…PTPシート集積体、21…チャック、22…チェーンコンベア、17…バンド機用の受取り口、18…取入れコンベア、19…支持ピン、P1〜P4…受取りポジション、X…第1の受渡しポジション、Y1〜Y4…第2の受渡しポジション。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポケット部に内容物を収容してなるPTPシートを所定枚数ずつ集積したPTPシート集積体を所定の集積装置から受取り、所定の包装装置へ搬送するPTPシート搬送装置であって、
前記PTPシート集積体を保持可能な複数の保持手段が所定間隔で環状配列され、当該各保持手段が順次ポジションを移動させながら巡回するように設けられた巡回搬送手段を備え、
前記各保持手段を1ポジション送って1回停止するのを1サイクルとし、
Nサイクル(Nは2以上の自然数)に1回の停止中、隣接したN箇所の受取りポジションに位置するN個の前記保持手段がそれぞれ前記集積装置から前記PTPシート集積体を受取り、
1サイクル毎の停止中、第1の受渡しポジションに位置する1個の前記保持手段が、自身の保持している前記PTPシート集積体を第1の包装装置用の受取り口へ受渡す第1の搬送形態と、
前記各保持手段をNポジション送って1回停止するのを1サイクルとし、
1サイクル毎の停止中、隣接したN箇所の受取りポジションに位置するN個の前記保持手段がそれぞれ前記集積装置から前記PTPシート集積体を受取り、
1サイクル毎の停止中、第2の受渡しポジションに位置する隣接したN個の前記保持手段が、それぞれ保持している前記PTPシート集積体を第2の包装装置用の受取り口へ受渡す第2の搬送形態と
を切換え可能としたことを特徴とするPTPシート搬送装置。
【請求項2】
前記第1の包装装置は、前記PTPシート集積体をバンドで結束するバンド機であり、
前記第2の包装装置は、前記PTPシート集積体をまとめてピロー包装するピロー包装機であることを特徴とする請求項1に記載のPTPシート搬送装置。
【請求項3】
前記第2の包装装置用の受取り口には、前記PTPシート集積体を直線搬送可能な取入れコンベアを備え、
前記第2の受渡しポジションに位置するN個の保持手段が、前記取入れコンベアに並行して直列に配置されるようにしたことを特徴とする請求項1又は2に記載のPTPシート搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−30883(P2012−30883A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−174207(P2010−174207)
【出願日】平成22年8月3日(2010.8.3)
【出願人】(000106760)シーケーディ株式会社 (627)
【Fターム(参考)】