説明

R−ゴシポールL−フェニルアラニノールジエナミンを調製するための方法

本発明は、クロマトグラフィーではない精製方法を使用してR-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンを調製するための方法に関する。特に、本発明は結晶化によるR-およびS-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンの分割に向けられる。R-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンは、R-(-)-ゴシポールおよびR-(-)-ゴシポール酢酸共結晶の調製に有用な中間体である。R-(-)-ゴシポール酢酸およびその共結晶は、細胞におけるアポトーシスの誘導、およびアポトーシス細胞死の誘導に対する細胞の高感受性化に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
発明の分野
本発明は、クロマトグラフィーではない精製方法を使用してR-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンを調製するための方法に関する。特に、本発明は結晶化によるR-およびS-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンの分割に向けられる。R-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンは、R-(-)-ゴシポールおよびR-(-)-ゴシポール酢酸共結晶の調製に有用な中間体である。R-(-)-ゴシポール酢酸およびその共結晶は、細胞におけるアポトーシスの誘導、およびアポトーシス細胞死の誘導に対する細胞の高感受性化に有用である。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
米国特許出願公開第2005/0234135 A1号では、酢酸共結晶の形態でのR-(-)-ゴシポール、および抗アポトーシスBcl-2ファミリータンパク質阻害剤としてのその使用が開示されている。抗アポトーシスBcl-2ファミリータンパク質を阻害することで、R-(-)-ゴシポールは、アポトーシス誘導因子に対して細胞を高感受性化し、またいくつかの場合ではそれ自体アポトーシスを誘導する。がんおよび他の疾患の処置におけるR-(-)-ゴシポールおよびその酢酸共結晶の潜在的な有用性を理由として、相当な量のこの原薬を製造するための実用的な合成経路を開発する必要性が存在する。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、R-(-)-ゴシポールおよびその酢酸共結晶を高純度で得るための方法を提供するという問題に直面する。
【0004】
本発明は、アセトニトリルおよび水を含む溶媒系でR-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンを高ジアステレオマー純度で単離できるという予期しない発見に基づいている。このことは、クロマトグラフィー分割を不要にし、またR-ゴシポールL-フェニルアラニノールジイミン、および最終的にはR-(-)-ゴシポールおよびその酢酸共結晶の大規模製造により適している。
【発明を実施するための形態】
【0005】
発明の詳細な説明
本発明は、クロマトグラフィーではない精製方法を使用してR-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンを調製するための方法に関する。特に、本発明は、アセトニトリルおよび水を含む溶媒系中での結晶化によるR-およびS-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンの分割に向けられる。
【0006】
本出願人らは、S-異性体を実質的に含まないR-異性体を与えるための、R-およびS-ゴシポールシッフ塩基ならびにその互変異性体の混合物の結晶化が困難かつ予測不可能であったことを見出した。この目的で、R-およびS-ゴシポールL-フェニルアラニンジイミンの分割に有用な溶媒系を同定するために、各種の溶媒系を調査した。これらの試験は、S-ゴシポールL-フェニルアラニンジイミンを実質的に含まないR-ゴシポールL-フェニルアラニンジイミンを製造するために好適な条件の同定に成功しなかった。1:2ジクロロメタン:イソプロピルアルコール、1:1ジクロロメタン:イソプロピルアルコール、1:2ジクロロメタン:メタノール、1:5:1.5ジクロロメタン:ヘキサン:ヘプタン、2:1メタノール:ヘキサン、2:1エタノール:ヘキサン、トルエン、1:1トルエン:ヘプタン、アセトニトリル、10:1アセトニトリル:水、tert-ブチルメチルエーテル、およびtert-ブチルメチルエーテル:ヘプタンなどの溶媒系は、R-ゴシポールL-フェニルアラニンジイミンに有利な中程度のジアステレオマー濃縮を導いた。1:2ジクロロメタン:エタノールおよび2:1メタノール:水などの溶媒系はジアステレオマー濃縮を導かなかった。2:1ジクロロメタン:イソプロピルアルコールおよび2:1水:テトラヒドロフラン中では結晶形成は観察されなかった。1:2ジクロロメタン:イソプロパノール中での3回の連続的結晶化ではジアステレオマー比を著しく向上させることはなかった。これらのデータは実施例2で提示する。
【0007】
R-およびS-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンの分割を目的とする実験も調査した。メチルアルコール、イソプロピルアルコール、アセトン、トルエン、アセトニトリル、1:1トルエン:ヘプタン、2:1 tert-ブチルメチルエーテル:ヘプタン、2:1メタノール:ヘキサン、1:1ジクロロメタン:ヘキサン、5:1テトラヒドロフラン:水、および1:1メタノール:水などの溶媒系中での結晶化の試みではジアステレオマー純度の増大または結晶形成のいずれも得られなかった。対照的に、5:1アセトニトリル:水での結晶化により、R-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンに有利なジアステレオマー純度の著しい向上が得られた。この予期しない発見を改善することで、R-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンの調製のための新規の再現可能な方法を生み出した。これらのデータは実施例4〜8で提示する。
【0008】
一態様では、R-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンを、R-およびS-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンの混合物から、アセトニトリルおよび水を含む溶媒系で該混合物を結晶化する工程、ならびに該S-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンを実質的に含まない結晶性R-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンを単離する工程を含む方法を経由して調製する。一態様では、結晶性R-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンを濾過により単離する。別の態様では、結晶性R-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンを遠心分離により単離する。
【0009】
一態様では、S-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンを実質的に含まないR-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンの結晶化に使用する溶媒系は、アセトニトリルおよび水を約10:1〜約5:2の比で含む。別の態様では、S-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンを実質的に含まないR-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンの結晶化に使用する溶媒系は、アセトニトリルおよび水を約5:1の比で含む。別の態様では、S-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンを実質的に含まないR-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンの結晶化に使用する溶媒系は、アセトニトリルおよび水を約5:1.5の比で含む。別の態様では、S-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンを実質的に含まないR-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンの結晶化に使用する溶媒系は、アセトニトリルおよび水を約5:2の比で含む。さらなる態様では、S-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンを実質的に含まないR-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンの結晶化に使用する溶媒系は、アセトニトリルおよび水を5:1の比で含む。
【0010】
一態様では、所望のレベルの純度を実現するまで結晶性R-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンを1回または複数回再結晶させる。さらなる態様では、アセトニトリルおよび水を含む溶媒系において結晶性R-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンを再結晶させる。
【0011】
一態様では、アセトニトリルおよび水を含む溶媒系で、単離した結晶性R-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンを1回または複数回洗浄する。一態様では、アセトニトリルおよび水を約10:1〜約5:2の比で含む溶媒系で、単離した結晶性R-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンを洗浄する。さらなる態様では、アセトニトリルおよび水を約5:1の比で含む溶媒系で、単離した結晶性R-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンを洗浄する。さらなる態様では、アセトニトリルおよび水を5:1の比で含む溶媒系で、単離した結晶性R-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンを洗浄する。さらなる態様では、結晶性R-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンを減圧乾燥させる。
【0012】
一態様では、結晶性R-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンは約89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または99.5%の純度を有する。
【0013】
一態様では、結晶性R-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンは約11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%もしくは0.5%またはそれ以下のS-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンを含む。
【0014】
一態様では、R-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンを、a) ゴシポールとL-フェニルアラニノールとをアセトニトリル中で縮合することでR-およびS-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンの混合物を与える工程; b) ゴシポールとL-フェニルアラニノールとの反応の完了時に水を反応混合物に加えることで結晶性R-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンを得る工程; ならびにc) S-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンを実質的に含まない結晶性R-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンを単離する工程により調製する。さらなる態様では、水の添加前に反応混合物を約50℃に加熱する。さらなる態様では、水の添加後に反応混合物を約5℃に冷却する。さらなる態様では、結晶性R-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンを濾過または遠心分離により単離する。
【0015】
本明細書で使用する「ゴシポール」という用語は、以下の構造の化合物またはその互変異性体を含む組成物を意味する。

【0016】
ゴシポールは、ワタなどのいくつかの源のうちいずれか1つ、例えば綿実または他の植物部分から得ることができる。ワタの種は、ゴシポールの全含有量とゴシポールの光学活性との両方において広く異なる。ワタの多くの種は約50%のR-ゴシポールおよび50%のS-ゴシポールであるゴシポールを含有するが、高レベルの(S)-ゴシポール(例えばゴシピウム・ヒルストゥム(Gossypium hirsutum)、G.アルボレウム(G. arboreum)、G.ムステリヌム(G. mustelinum)、G.アノマルム(G. anomalum)、G.ゴシピオイデス(G. gossypioides)、G.カパティス-ビリジス(G. capatis-viridis)(最大約97%の(S)-ゴシポール))または高レベルの(R)-ゴシポール(例えばG.バルバデンセ(G. barbadense)、G.ダルウィニイ(G. darwinii)、G.ストゥルチアニム(G. sturtianjm)、G.アレイシアヌム(G. areysianum)、G.ロンギカリックス(G. longicalyx)、G.ハルクネッシイ(G. harknessii)、G.コストゥラトゥム(G. costulatum)(最大約65%の(R)-ゴシポール))のいずれかを含有するいくつかの種が同定された。例えばHua et al., Contraception 37:239 (1988); Cass et al., J. Agric. Food Chem. 52:5822 (2004); Stipanovic et al., J. Agric. Food Chem. 53:6266 (2005); Stipanovic et al., 2005 Beltwide Cotton Conferences, New Orleans, Louisiana, January 4-7, 2005, p. 900を参照。ゴシポールのエナンチオマー比は、ワタの異なる部分においても異なる。例えば、G.バルバデンセにおいて、種子は過剰の(R)-ゴシポールを典型的に有するが、根および花は過剰の(S)-ゴシポールを含有し得る(Cass et al., J. Agric. Food Chem. 52:5822 (2004))。したがって、(R)-ゴシポールが高濃度のワタの系統またはその一部を、本発明でのゴシポールの源として有利に使用することができる。
【0017】
一態様では、ゴシポールはほぼラセミであり、すなわち、それは約50%のR-ゴシポールおよび約50%のS-ゴシポールを含有する。別の態様では、ゴシポールはR-ゴシポールが高濃度である。別の態様では、ゴシポールはS-ゴシポールが高濃度である。
【0018】
本明細書で使用する「R-ゴシポール」または「R-(-)-ゴシポール」という用語は、以下の構造の化合物またはその互変異性体を含む組成物を意味する。

【0019】
本明細書で使用する「S-ゴシポール」または「S-(+)-ゴシポール」という用語は、以下の構造の化合物またはその互変異性体を含む組成物を意味する。

【0020】
本明細書で使用する「ゴシポール酢酸」という用語は、共結晶の形態でゴシポールおよび酢酸を含む組成物を意味する。
【0021】
一態様では、R-およびS-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンの混合物からのR-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンの結晶化を、結晶性R-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンのシード添加により誘導する。さらなる態様では、反応混合物を約5℃以下に冷却して結晶化を容易にする。
【0022】
一態様では、結晶性R-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンを加水分解することで粗R-ゴシポールまたはR-ゴシポール酢酸共結晶を与える。さらなる態様では、R-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンの加水分解を約52℃で行う。さらなる態様では、R-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンの加水分解をテトラヒドロフランの非存在下で行う。さらなる態様では、R-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンの加水分解を酢酸、塩酸および水の存在下で行う。
【0023】
一態様では、R-ゴシポールまたはR-ゴシポール酢酸共結晶を濾過または遠心分離により単離する。さらなる態様では、酢酸および水を含む溶媒系でR-ゴシポールまたはR-ゴシポール酢酸共結晶を洗浄する。さらなる態様では、水でR-ゴシポールまたはR-ゴシポール酢酸共結晶を洗浄する。さらなる態様では、R-ゴシポールまたはR-ゴシポール酢酸共結晶を減圧乾燥させる。
【0024】
一態様では、所望のレベルの純度を実現するまで1つまたは複数の溶媒系中での結晶化を経由してR-ゴシポール酢酸共結晶を精製する。さらなる態様では、R-ゴシポール酢酸共結晶を濾過または遠心分離により単離する。さらなる態様では、R-ゴシポール酢酸共結晶を溶媒混合物で洗浄する。さらなる態様では、R-ゴシポール酢酸共結晶を減圧乾燥させる。
【0025】
一態様では、酢酸エチル、エタノール、酢酸および水を含む溶媒系中でR-ゴシポール酢酸共結晶の結晶化を行う。さらなる態様では、酢酸エチル、エタノール、酢酸および水を含む溶媒系でR-ゴシポール酢酸共結晶を洗浄する。さらなる態様では、R-ゴシポール酢酸共結晶を減圧乾燥させる。
【0026】
一態様では、アセトン、酢酸および水を含む溶媒系中でR-ゴシポール酢酸共結晶の結晶化を行う。
【0027】
一態様では、酢酸および水を含む溶媒系中でR-ゴシポール酢酸共結晶の結晶化を行う。さらなる態様では、酢酸および水を含む溶媒系でR-ゴシポール酢酸共結晶を洗浄する。さらなる態様では、R-ゴシポール酢酸共結晶を減圧乾燥させる。
【0028】
一態様では、所望のレベルの純度を実現するまで1つまたは複数の溶媒系中でR-ゴシポール酢酸共結晶を1回または複数回再結晶させる。
【0029】
一態様では、R-(-)-ゴシポール酢酸共結晶を調製するための方法において、アセトニトリルおよび水を含む溶媒系でR-およびS-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンの混合物を結晶化する工程、ならびに該S-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンを実質的に含まない結晶性R-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンを単離する工程; ならびにR-(-)-ゴシポール酢酸共結晶を調製する工程を含む方法が提供される。
【0030】
一態様では、R-(-)-ゴシポール酢酸共結晶を調製するための方法において、以下の工程を含む方法が提供される: a) ゴシポールとL-フェニルアラニノールとをアセトニトリル中で縮合することでR-およびS-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンの混合物を与える工程; b) a)の完了時に水を反応混合物に加えることで結晶化R-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンを得る工程; ならびにc) 該S-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンを実質的に含まない該結晶性R-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンを単離する工程; ならびにR-(-)-ゴシポール酢酸共結晶を調製する工程。
【0031】
本明細書で使用する「約」という用語は、列挙した数±10%を含む。したがって、「約10」とは9〜11を意味する。
【0032】
本明細書で使用する「純度」という用語は、特記なき限り、化学純度および/または立体異性体(すなわちジアステレオマーもしくは鏡像異性体)純度を意味する。本明細書で使用する「鏡像異性体純度」という用語は、キラル物質の鏡像異性体過剰率またはeeの尺度を意味する。「鏡像異性体過剰率」または「ee」という用語は、一方の鏡像異性体が他方に比べてどの程度多く存在するかの尺度を意味する。RおよびS鏡像異性体の混合物では、鏡像異性体過剰率パーセントは│R - S│*100として定義され、式中、RおよびSは、R+S=1とする混合物中での鏡像異性体のそれぞれのモル分率または重量分率である。キラル物質の旋光度に関する知識により、鏡像異性体過剰率パーセントは([α]obs/[α]max)*100として定義され、式中、[α]obsは鏡像異性体混合物の旋光度であり、[α]maxは純粋鏡像異性体の旋光度である。本明細書で使用する「ジアステレオマー純度」という用語は鏡像異性体純度と類似して定義される。ジアステレオマー過剰率または鏡像異性体過剰率の決定は、NMR分光法、キラルカラムクロマトグラフィーまたは旋光分析を含む種々の分析技術を使用することで可能になる。
【0033】
一態様では、R-(-)-ゴシポール酢酸共結晶は約95%、96%、97%、98%、99%もしくは99.5%またはそれ以上の純度を有する。
【0034】
本明細書で使用する「実質的に含まない」という用語は、対応する立体異性体に対して少なくとも約89重量%の一方の立体異性体(すなわち鏡像異性体またはジアステレオマー)を含む組成物を意味する。別の態様では、組成物は少なくとも約95重量%、96重量%、97重量%、98重量%、99重量%または99.5重量%の好ましい立体異性体を含む。したがって、本明細書で使用する「S-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンを実質的に含まないR-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミン」という用語は、少なくとも約89重量%のR-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンおよび多くとも約11重量%のS-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンを含むR-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンの組成物を意味する。
【0035】
一態様では、R-(-)-ゴシポール酢酸共結晶は約5%、4%、3%、2%、1%もしくは0.5%またはそれ以下の(S)-(+)-ゴシポールを含む。
【0036】
本明細書で使用する「シード添加」という用語は、溶液からの純粋化合物の結晶化の開始を促進するために溶液に少量のその化合物を加えることを意味する。例えば、アセトニトリルおよび水を含む溶媒系中のR-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンおよびS-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンの溶液に対する結晶性R-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンの添加により、溶液に対するシード添加を行いかつ結晶化を開始することで、結晶性R-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンを与える。
【0037】
本明細書で使用する「R-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミン」または「R-ゴシポールL-フェニルアラニノールエナミン-エナミン」という用語は、以下の構造のR-ゴシポールから誘導される化合物またはそのジエナミン互変異性体を含む組成物を意味する。

【0038】
本明細書で使用する「S-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミン」または「S-ゴシポールL-フェニルアラニノールエナミン-エナミン」という用語は、以下の構造のS-ゴシポールから誘導される化合物またはそのジエナミン互変異性体を含む組成物を意味する。

【0039】
本明細書で使用する「ジエナミン互変異性体」という用語は、ビスオキサゾリジン互変異性体1、ジイミン(すなわちイミン-イミン)互変異性体2およびイミン-エナミン互変異性体3を含むがそれに限定されない、L-フェニルアラニノールとゴシポールとの間の縮合物のすべての互変異性形を意味する。

【0040】
一態様では、本発明は、約95%以上の純度を有する約1:1のモル比のR-(-)-ゴシポールおよび酢酸の共結晶から本質的になる組成物を提供する。別の態様では、組成物は約96%、97%、98%、99%もしくは99.5%またはそれ以上のR-(-)-ゴシポール酢酸共結晶を含む。
【0041】
以下の実施例は、本発明のプロセスおよび方法を例示するものであるが、限定するものではない。合成有機化学およびプロセス化学において通常遭遇しかつ当業者に自明である、種々の反応条件および反応パラメータの他の好適な修正および適応は、本発明の精神および範囲内である。
【0042】
実施例1
R-およびS-ゴシポールL-フェニルアラニンジイミンの混合物の調製

【0043】
工程1
L-フェニルアラニンメチルエステル塩酸塩(4.9g)を100mL丸底フラスコ中で水(25mL)に溶解させ、室温で攪拌した。水(12.5mL)中炭酸ナトリウム(3.1g)を3分間で加えた。反応混合物を室温で5分間攪拌した。ジクロロメタン(25mL)を加え、反応混合物を5分間攪拌した。水溶液を125mL分液漏斗に移した。有機層を収集した。有機層をジクロロメタン12.5mLで2回抽出した。3つの有機抽出物を一緒にし、硫酸マグネシウム(6g)で乾燥させ、濾過して硫酸マグネシウムを除去し、濃縮してL-フェニルアラニンメチルエステル遊離塩基を得た。
【0044】
工程2
温度計を備えかつ窒素下の250mLフラスコ中で、ラセミゴシポール酢酸(5g)をジクロロメタン(50mL)に懸濁させた。ジクロロメタン中の工程1のL-フェニルアラニンメチルエステルの遊離塩基をラセミゴシポール酢酸懸濁液に5分間かけて加えた。反応混合物を室温で15分間攪拌し、硫酸マグネシウム(8.2g)を加えた。攪拌をさらに17時間続けた。反応混合物を濾過して硫酸マグネシウムを除去し、濃縮し、乾燥させてR-およびS-ゴシポールL-フェニルアラニンジイミンのジアステレオマー混合物を得た。
【0045】
実施例2
R-およびS-ゴシポールL-フェニルアラニンジイミンの結晶化試験
一般的プロトコール
25mL(一つ口)丸底フラスコ中に、R-およびS-ゴシポールL-フェニルアラニンジイミンのジアステレオマー混合物0.2〜0.6gを窒素雰囲気下で導入した。次に、溶媒1mLを加え、反応混合物を50℃で加熱した。適量の溶媒を導入して透明溶液を得た。室温にて2時間後、形成された黄色析出物を濾過し、結晶生成物をHPLCで分析した。結果を表1に提示する。略して、「R」はR-ゴシポールL-フェニルアラニンジイミンを意味し、「S」はS-ゴシポールL-フェニルアラニンジイミンを意味する。DCM = ジクロロメタン; iPrOH = イソプロパノール; MeOH = メタノール; THF = テトラヒドロフラン; TBME = tert-ブチルメチルエーテル; MeCN = アセトニトリル。
【0046】
(表1)

【0047】
したがって、最善で1:1 DCM:iPrOHによって約65:35のR:S比が得られた。1:2 DCM:iPrOH中でのR-およびS-ゴシポールL-フェニルアラニンジイミンの混合物の3回の連続的結晶化はR:S比の著しい向上を導かなかった(表2)。
【0048】
(表2)

【0049】
実施例3
R-およびS-ゴシポール-L-フェニルアラニノールジエナミンの調製

ラセミゴシポール酢酸(0.276g)をジクロロメタン(1.05mL)、続いてL-フェニルアラニノール(0.1515g)で処理し、25℃で17時間攪拌した。反応混合物を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮乾固させてR-およびS-ゴシポール-L-フェニルアラニノールジエナミン0.352gを褐色固体として得た。
【0050】
実施例4
R-およびS-ゴシポールフェニルアラニノールジエナミンの結晶化試験
一般的プロトコール
25mL(一つ口)丸底フラスコ中に、R-およびS-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンのジアステレオマー混合物0.2〜1.1gを窒素雰囲気下で導入した。次に、溶媒1mLを加え、反応混合物を50℃で加熱した。適量の溶媒を導入して透明溶液を得た。室温にて2時間後、形成された黄色析出物を濾過し、結晶生成物をHPLCで分析した。結果を表3に提示する。略して、「R」はR-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンを意味し、「S」はS-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンを意味する。DCM = ジクロロメタン; iPrOH = イソプロパノール; MeOH = メタノール; THF = テトラヒドロフラン; TBME = tert-ブチルメチルエーテル; MeCN = アセトニトリル。
【0051】
(表3)

(a)この実験ではR-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンのシード添加を試みた。
(b)析出物を5:1アセトニトリル:水で2回洗浄した。この試験を2回行い、同一の結果が得られた。
【0052】
したがって、アセトニトリルおよび水を含む溶媒系は、約89:11のR:S比を有する、S-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンを実質的に含まないR-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンを与えた。他の溶媒系ではジアステレオマー純度の増大または結晶形成が得られなかった。
【0053】
実施例5
アセトニトリル:水混合物における結晶化試験
一般的プロトコール
表4を参照すると、R-およびS-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンの混合物(ゴシポールジエナミン; 量)をアセトニトリル中21℃〜25℃で可溶化し、a)に示す時間をかけて水を滴下して所望のアセトニトリル:水の比を得た。b)に示す時間および温度の後で、R-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンを結晶化し、焼結漏斗を通じて濾過した。単離した結晶性R-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンを、c)に示す比と同一比の結晶化に使用した溶媒で洗浄し、減圧乾燥させた。
【0054】
(表4)

【0055】
5:1〜5:2のアセトニトリル:水中、25〜26℃でのR-およびS-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンの結晶化により、97.4%〜98.8%の純度を有するR-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンを得た。これらの条件下で、より大きい割合の水によって収率は61%に向上した。5℃でR-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンを良好な純度およびより高い収率で得た。R-およびS-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミン4.55gにプロセスを有効にスケールアップしてR-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンを収率71%および純度98.4%で得た。これらの実験は、アセトニトリルおよび水を含む溶媒混合物を使用して、S-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンを実質的に含まずにR-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンを単離できることを確認した。
【0056】
実施例6
アセトニトリル中でのワンポット合成/結晶化プロトコールの開発

表5のエントリー3の実験の詳細により例示されるプロトコール:
ラセミゴシポール酢酸(79.7g、137.7mmol)およびL-フェニルアラニノール(43.7g、289.3mmol、2.1当量)を、窒素充填した2Lガラス反応器に導入した。アセトニトリル(1.08L)を粉末上に注ぎ、混合物を30℃で2.6時間加熱した。溶液を25℃に冷却し、水(217mL)を滴下した。水の添加中に黄褐色結晶が出現した。懸濁液を5℃に冷却し、1時間攪拌した。懸濁液を焼結漏斗を通じて濾過し、5℃で1:1アセトニトリル:水(160mL)により2回洗浄した。固体を25℃で24時間減圧乾燥させてR-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミン45.0gを黄褐色粉末として得た。HPLC純度は99.2%である。
【0057】
(表5)

【0058】
したがって、ワンポット合成/結晶化プロトコールは、S-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンを実質的に含まないR-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンを単離する有効な手段を与えた。ゴシポール酢酸約80gから出発して、R-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンを収率83%および純度99.2%で得た。
【0059】
実施例7
R-ゴシポールフェニルアラニノールジエナミン結晶化の再現性
一般的プロトコール
表6を参照すると、ラセミゴシポール酢酸(量)およびL-フェニルアラニノール(2.1当量)をアセトニトリル中30℃で一緒にし、指示された時間攪拌した。各実験において、アセトニトリル:水の比は約5:1であり、指示された温度で結晶性R-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンのシード添加を行った。単離した結晶性R-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンを約5:1アセトニトリル:水で洗浄した。純度をHPLCで決定する。
【0060】
(表6)


(a)空気および光に対する保護なし、室温で数日間の貯蔵後。
【0061】
したがって、約5:1アセトニトリル:水を含む溶媒系でのR-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンの結晶化は、純粋なR-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンのシード添加の際に再現可能であった。いずれの場合でも、良好なジアステレオマー純度および化学純度が得られた。
【0062】
実施例8
R-ゴシポール-L-フェニルアラニノールジエナミンの大規模調製
ラセミゴシポール酢酸(152.8g、1.0当量)およびL-フェニルアラニノール(83.9g、2.1当量)をアセトニトリル(1039mL)に溶解させ、窒素下30℃で2.5時間加熱した。次に混合物を50℃に加熱し、水(208mL、1.4当量w/w)を加えた。溶液を37℃に冷却し、純粋なR-ゴシポール-L-フェニルアラニノール(0.518g、0.5% w/w)をシード添加した。混合物を5℃に冷却した。懸濁液を濾過し、アセトニトリル:水(5:1、208mL)により5℃で洗浄し、30℃で減圧乾燥させて結晶性R-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンを褐橙色固体(90.5g、87%)として得た。HPLC分析は98.5:1.5のジアステレオマーR:S比を示した。
【0063】
さらなる精製を望む場合、実施例8の方法(上記)に従って得たR-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミン(59.0g)を5:1アセトニトリル:水(563mL)中に60℃で可溶化する。溶液を47℃に冷却し、純粋なR-ゴシポール-L-フェニルアラニノール(0.087g)をシード添加し、5℃に冷却する。得られた懸濁液を濾過し、5:1アセトニトリル:水(94mL)により5℃で2回洗浄し、30℃で減圧乾燥させて結晶性R-ゴシポール-L-フェニルアラニノールジエナミンを褐橙色固体(34.1g、73%)として得る。HPLC分析は99.2%の純度を示した。
【0064】
さらなる精製を望む場合、さらなる結晶化を行うことができる。
【0065】
実施例9
R-ゴシポール酢酸の調製

【0066】
工程1
加水分解
R-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミン(100g、1.0当量)を氷酢酸(850mL)に52℃で溶解させた。水(212.5mL、2.1当量w/w)に続いて濃HCl(41.0mL、8当量)を加えた。混合物を52℃で3.5時間攪拌した時点で、水(425mL、4.2当量w/w)を混合物にゆっくりと加えた。懸濁液を20℃に冷却し、濾過し、酢酸:水(1:1、100mL)および水(100mL)で洗浄し、20℃で減圧乾燥させてR-ゴシポール酢酸共結晶を黄色固体(104.7g)として得た。HPLC純度は97.23%である。
【0067】
工程2
精製
R-ゴシポール酢酸共結晶(73.71g、1.0当量)を酢酸エチル(287mL)およびエタノール(59mL)に20℃で溶解させた。溶液を濾過し、酢酸エチル(96mL)、酢酸(260mL)および水(64mL)ですすいだ。溶液を30℃未満で減圧濃縮して酢酸エチルおよびエタノールの全体積の少なくとも80%を除去した。酢酸:水(1:1、147 mL)を加え、懸濁液を20℃で30分間攪拌し、濾過し、酢酸:水(1:1、74mL)で3回洗浄した。R-ゴシポール酢酸共結晶を黄色固体(179.4g)として得て、次の工程に直接使用した。
【0068】
さらなる精製を望む場合、実施例9、工程2の方法(上記)により得たR-ゴシポール酢酸共結晶(73.71g)、酢酸エチル(383mL)、エタノール(59mL)および酢酸(260mL)を20℃で攪拌する。水(64mL)を加え、懸濁液を30℃未満で減圧濃縮して酢酸エチルおよびエタノールの全体積の少なくとも80%を除去する。酢酸:水(1:1、147mL)を加え、懸濁液を20℃で30分間攪拌し、濾過し、酢酸:水(1:1、74mL)により20℃で洗浄する。R-ゴシポール酢酸共結晶を黄色固体(119.1g)として得る。
【0069】
さらなる精製を望む場合、さらなる結晶化を行うことができる。
【0070】
工程3
溶媒交換
R-(-)-ゴシポール酢酸共結晶(73.71g、1.0当量)をアセトン(590mL)に懸濁させ、酢酸(295mL)で処理し、20℃で攪拌した。水(295mL)を加え、溶液を30℃未満で減圧濃縮してアセトンの体積の80%超を除去した。懸濁液を20℃で攪拌し、濾過し、酢酸:水(1:1、100mL)で洗浄した。R-ゴシポール酢酸共結晶を黄色固体(80.0 g)として得て、次の工程に直接使用した。
【0071】
実施例10
R-ゴシポール酢酸共結晶の調製

R-ゴシポール酢酸共結晶(73.71g、1.0当量)を酢酸(295mL)に部分的に溶解させ、20℃で3時間攪拌し、その時点で水(295mL)を加えた。得られた懸濁液を濾過し、酢酸:水(1:1、100mL)で洗浄した。単離した材料を20℃で減圧乾燥させてR-ゴシポール酢酸共結晶を黄色固体(54.2g、収率73%、純度98.82%)として得た。
【0072】
さらなる精製を望む場合、さらなる結晶化を行うことができる。
【0073】
上述の実施例は、R-(-)-ゴシポールおよびその酢酸共結晶を得るための方法を開発する上で遭遇する困難を実証するものである。2つのジアステレオマーを結晶化により分離するために2つの異なるジアステレオマーゴシポール誘導体を調製した。実施例2で例示するように、結晶化によりR-およびS-ゴシポールL-フェニルアラニンジイミンの混合物を分割する試みは成功しなかった。この試験では、種々の溶媒系を試験した。中程度のジアステレオマー濃縮がいくつかの場合で観察された。
【0074】
実施例4で例示するように、アセトニトリルおよび水を含む溶媒系における結晶化を経由して、R-およびS-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンの混合物からR-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンを高ジアステレオマー純度で単離できることが予期せず発見された。すべての他の溶媒系は不満足な結果を与えた。大部分の溶媒系では結晶形成が得られなかった。この発見に基づいて、結晶性R-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンを単離する再現可能なワンポットプロセスが開発された(実施例5〜7)。これにより、実施例8〜10で実証したR-(-)-ゴシポール酢酸共結晶の大規模調製が容易になった。
【0075】
本発明を今や十分に説明したが、本発明の範囲またはその任意の態様に影響を与えることなく、条件および他の反応パラメータの広範かつ等価な範囲内でそれを行うことができることを、当業者は理解するであろう。本明細書において引用されるすべての特許、特許出願および刊行物は、その全体が参照により本明細書に完全に組み入れられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
R-およびS-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンの混合物からR-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンを調製するための方法であって、アセトニトリルおよび水を含む溶媒系で該混合物を結晶化する工程、ならびに該S-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンを実質的に含まない結晶性R-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンを単離する工程を含む方法。
【請求項2】
結晶性R-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンを濾過により単離する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
アセトニトリル:水の比が約5:1である、請求項1記載の方法。
【請求項4】
アセトニトリル:水の比が5:1である、請求項3記載の方法。
【請求項5】
以下の工程をさらに含む、請求項1記載の方法:
(a) アセトニトリルおよび水を含む溶媒系で前記結晶性R-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンを洗浄する工程; ならびに
(b) 該結晶性R-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンを減圧乾燥させる工程。
【請求項6】
R-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンを調製するための方法であって、以下の工程を含む方法:
(a) ゴシポールとL-フェニルアラニノールとをアセトニトリル中で縮合することでR-およびS-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンの混合物を与える工程;
(b) (a)の完了時に水を反応混合物に加えることで結晶化R-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンを得る工程; ならびに
(c) 該S-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンを実質的に含まない該結晶性R-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンを単離する工程。
【請求項7】
結晶性R-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンを濾過により単離する、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記(b)におけるアセトニトリル:水の比が約5:1である、請求項6記載の方法。
【請求項9】
アセトニトリル:水の比が5:1である、請求項8記載の方法。
【請求項10】
以下の工程をさらに含む、請求項6記載の方法:
(a) アセトニトリルおよび水を含む溶媒系で前記結晶性R-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンを洗浄する工程; ならびに
(b) 該結晶性R-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンを減圧乾燥させる工程。
【請求項11】
結晶化を結晶性R-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンのシード添加により誘導する、請求項1または6記載の方法。
【請求項12】
結晶性R-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンが約90%以上の純度を有する、請求項1または6記載の方法。
【請求項13】
純度が約95%以上である、請求項12記載の方法。
【請求項14】
純度が約98%以上である、請求項13記載の方法。
【請求項15】
純度が約99%以上である、請求項12記載の方法。
【請求項16】
R-(-)-ゴシポール酢酸共結晶を調製するための方法において、アセトニトリルおよび水を含む溶媒系でR-およびS-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンの混合物を結晶化する工程、ならびに該S-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンを実質的に含まない結晶性R-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンを単離する工程; ならびにR-(-)-ゴシポール酢酸共結晶を調製する工程を含む方法。
【請求項17】
結晶性R-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンを濾過により単離する工程をさらに含む、請求項16記載の方法。
【請求項18】
アセトニトリル:水の比が約5:1である、請求項16記載の方法。
【請求項19】
アセトニトリル:水の比が5:1である、請求項18記載の方法。
【請求項20】
以下の工程をさらに含む、請求項16記載の方法:
(a) アセトニトリルおよび水を含む溶媒系で前記結晶性R-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンを洗浄する工程; ならびに
(b) 該結晶性R-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンを減圧乾燥させる工程。
【請求項21】
R-(-)-ゴシポール酢酸共結晶を調製するための方法において、以下の工程を含む方法:
(a) ゴシポールとL-フェニルアラニノールとをアセトニトリル中で縮合することでR-およびS-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンの混合物を与える工程;
(b) (a)の完了時に水を反応混合物に加えることで結晶化R-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンを得る工程; ならびに
(c) 該S-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンを実質的に含まない該結晶性R-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンを単離する工程; ならびに
R-(-)-ゴシポール酢酸共結晶を調製する工程。
【請求項22】
結晶性R-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンを濾過により単離する工程をさらに含む、請求項21記載の方法。
【請求項23】
アセトニトリル:水の比が約5:1である、請求項21記載の方法。
【請求項24】
アセトニトリル:水の比が5:1である、請求項23記載の方法。
【請求項25】
以下の工程をさらに含む、請求項21記載の方法:
(a) アセトニトリルおよび水を含む溶媒系で前記結晶性R-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンを洗浄する工程; ならびに
(b) 該結晶性R-ゴシポールL-フェニルアラニノールジエナミンを減圧乾燥させる工程。

【公表番号】特表2010−540632(P2010−540632A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−527968(P2010−527968)
【出願日】平成20年10月1日(2008.10.1)
【国際出願番号】PCT/US2008/011327
【国際公開番号】WO2009/045410
【国際公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(509327862)アセンタ セラピューティックス インコーポレイティッド (2)
【Fターム(参考)】