説明

RFエネルギを用いた生物組織加熱のための改善されたシステム及び方法

本発明により、被処置体内部の選択対象部に温熱治療を施すシステム(30)及び方法(100)が開示される。システム(30)はRFエネルギ源(10)、移相器(14)、インピーダンス整合ネットワーク(11)、共振器(13)を備える。エネルギ源(10)から発信される出力信号(17)が移相器(14)、IMN(11)、共振器(13)で処理された後、アプリケータ(3)は出力信号(17)を、生物組織(4)の表面(6)を介して所定のエネルギ放散部(5)に伝達する。脂肪細胞等に含まれる水分子が好適に加熱される。システム(30)の作動により逆温度勾配が形成され、生物組織(4)の表面(6)が所定のエネルギ放散部(5)の温度よりも低温に保たれ、冷却システムを別途用意する必要がない。本発明により、セルライト除去の手段として、セルライト体を選択的に加熱することができる。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は無線周波数(RF)エネルギを用いた生物組織加熱のための改善されたシステム及び方法に関する。より詳しくは1つの電極を利用したシステム及び方法に関する。移相やパルス幅調整により、皮膚表面の冷却する必要性がなくなり、真皮や皮下層など皮膚組織下層部への効果的な加熱が促進される。特にセルライト減少の手段としての脂肪組織の加熱と収縮が達成される。
【背景技術】
【0002】
脂肪組織、特にセルライトは通常、徹底した食事療法と運動療法でしか治療し得ない。患者は辛抱強くこれらの従来の療法を受けるとはいえない。このセルライトとは膨張した脂肪細胞が血液やリンパ液の流れを圧迫することで発生する組織である。これは体液と毒素の増量につながる。結合細胞が脂肪細胞の周囲に強固な繊維性被膜を形成して、この結果「でこぼこ」が現れる。このセルライト形成に関与する脂肪細胞は、主に第三の層、すなわち皮膚の最下層に位置し、皮下層の厚さはそこに含まれる脂肪の量により変化する。この層は通常、腹部、太腿、臀部などで厚く発達する。
【0003】
従来のセルライトの治療手段としては、熱帯療法(Tropical treatment)、紅茶カプセル(Teas and capsules)、セルライト・ラップ(Cellulite wraps)、エンダモロジー(Endermologie)、メソセラピー(Mesotherapy)、アクシダーム(Acthyderm)、超音波(Ultrasonic)等が挙げられる。これら技術は、セルライトの蓄積から現れる「でこぼこ」を減少させることに関しては、未だ臨床上の有用性が実証されていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
更に電磁波や無線周波数(radio‐frequency、RF)を利用した温熱療法(thermotherapy)が提案されている。RFを利用した温熱療法は、自己治癒力を高めながら治療する方法であるため、従来の治療法の中で最も効果的な療法であるといえる。しかしながら従来の温熱療法には共通して問題点がある。それはRFエネルギを適用して皮膚最下層の脂肪細胞を加熱すると、皮膚が火傷を起こす程に加熱してしまう恐れがあることである。
【0005】
現在普及している生物組織を加熱するRF技術は、生物組織をRF電圧に晒すものである。尚、RF電圧はRF導電性電流を創出し、RF導電性電流は、生物組織の抵抗を超えるレベルで生物組織を流れ、電流は皮膚を加熱する。この手法では外皮層の火傷を伴うため、不均一な加熱となる。したがって、この手法の実施に関してもなお課題を抱えており、冷却システムを具備して、処置時に皮膚への過度な加熱を防止する必要性がある。
【0006】
これまでに利用されてきた治療法が抱える上記の課題は、本発明により解消される。
【0007】
先行技術の一例は、Syneron Medical Ltd.に譲渡された米国特許第6662054号に開示される。この特許には、皮膚の一部分が外皮から突出した皮膚の変形部(deformer)が示され、皮膚の突出部にRFエネルギを適用することを開示している。該特許のシステムは、一以上のRF電極を備え、RF電極は導電性のRF電流を皮膚に適用するよう構成され、皮膚の変形体(deformer)つまり外皮上の皮膚の突出部が、導電性RF電流に晒され、該電流が変形体を流れる。該特許に開示された発明が抱える課題として、火傷を防止するために冷却システムをさらに備える必要性が示されている。
【0008】
冷却システムを具備して火傷を防止する機能をもつ先行技術の例としては、Thermage,Inc.に譲渡された米国特許出願第2004002705号がある。この特許出願には、電磁エネルギ源に装着された電磁エネルギ供給装置から、皮膚表面を介して電磁エネルギを供給して、組織に効果を浸透させる手法(tissue effect)が示されている。このシステムでは、電磁エネルギ供給装置又は電磁エネルギ源の少なくともどちらか一方が、メモリを備え、逆温度勾配(reverse thermal gradient)が皮膚表面にわたり形成される。これにより皮膚組織の下層部が十分に加熱されるとともに、皮膚表面の温度は下層部よりも低温となる。逆温度勾配は、冷却システムを使用して構成されるため、このシステムも、冷却システムの導入に関してはなお課題を内在する。
【0009】
更に冷却システムを具備して火傷を防止する機能をもつ先行技術の例として、Thermage,Inc.に譲渡された米国特許出願第2004030332号及び米国特許第5919219号がある。これらには、情報を収集する機能をもつメモリを使用して皮膚にRFエネルギを適用することで、皮膚表面を治療するシステム及び方法が示されている。これらのシステムもまた課題を抱えており、更に冷却液を受容する冷却管と多数のRF電極が必要となる。RF電極はRF電流を皮膚に伝導させるために使用され、電荷を蓄えるように設計された電極が皮膚表面に結合する。これにより導電性RF電流を介した加熱効果が可能となる。
【0010】
上記先行技術の内容を総合すると、従来の方法では、RFを用いた処置の最中に、皮膚表面を冷却する必要があり、冷却システムの導入が不可欠である。更に多くのこれまでに講じられた解決手段は、RF処置に関係する部分の情報を集積するメモリ・ユニットを必要とする。更に、処置前にインピーダンス整合等の調整に、多くの労力を費やすこととなる。更に多くの先行技術文献で「一以上の電極」という言葉が使用されているにも関わらず、全てのこれまでに利用されてきた手法は、組織の処置終了後RF電流を受ける逆電極(return electrode)が必要となる。この逆電極は大部分のエネルギを血管やリンパ管を介して投与して、脂肪組織(セルライト等)の体積を減少させる治療のためである。脂肪細胞は、加熱対象以外の組織の抵抗で発生した放散熱により加熱される。
【0011】
このように上記の課題を解消したRFエネルギを用いた生物組織加熱のためのシステムの必要性は広く認知されており、そのシステムを享受することは非常に有意義である。
【0012】
【特許文献1】米国特許第6662054号
【特許文献2】米国特許第5919219号
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、脂肪組織の除去及び/又はセルライトの減少を目的とする、ヒトの細胞組織の皮膚深層部(真皮、皮下組織等)に適用するRF(或いは高周波、HF)エネルギを用いた治療法を提供する。
【0014】
本システムは、RFエネルギ・アプリケータ(例として球形の形状を呈する。)を備え、該RFアプリケータは、RFエネルギ結合アンテナとして利用される。RFアプリケータは、皮膚と接触しながら接触部付近の組織と連携して機能するので、伝達ラインを備える必要がない。
【0015】
本システムは更に、RFエネルギ・アプリケータを直接接触させたヒトの生体組織の部位が処置部となり、皮下組織の下層にある部位が、前記アプリケータと伝達ラインからの負荷を放散させる。
【0016】
本システムは更に、並列共振回路(RF共振器)を備え、並列共振回路はインダクタとコンデンサを含み、インダクタとコンデンサは、前記アプリケータに、アプリケータの中心で最大限に接近するように接触する。また前記並列共振回路のメリット係数は、ある抵抗から決定される能動的損失をもたらすのに十分高い値でなければならない。尚ある抵抗とは、ヒトの皮膚組織の前記接触部のインピーダンスの少なくとも20倍に相当する。
【0017】
本システムは更に、インピーダンス整合ネットワーク(Impedance matching network、IMN)を含み、IMNはヒトの皮膚組織の処置部の電気抵抗を50オームに変換する。これによりヒトの皮膚組織からの反射率(reflected power)を最小化し、ヒトの皮膚組織を通る進行波を供給する。
【0018】
本システムは更に、IMNの入力側に移相器を備え、該移相器により、最大限のRF進行波が皮膚表面或いは皮膚表面下部の所定の深さに達する。
【0019】
本発明は更に、本システムの作動させる方法を提供する。
【0020】
本発明の好適な実施形態では、前記アプリケータは、アルミニウム又は銀又は金又は銅又は銅とアルミニウムの合金から形成され、誘電性の材質でコーティングされる。
【0021】
本発明の好適な実施形態では更に、前記アプリケータは、アルミナ・コーティングがほ施されたアルミニウムで形成される。
【0022】
本発明の好適な実施形態では更に、前記アプリケータは、処置中の皮膚表面を移動する。
【0023】
本発明の好適な実施形態では更に、供給ケーブルは、前記RFアプリケータと前記共振器をIMNに連結する。
【0024】
本発明の好適な実施形態では更に、前記供給ケーブルは、n×λ/2で定義される共振長さを有するとともに、λはケーブル材料内のRFエネルギの波長であり、nは自然数である。
【0025】
本発明の好適な実施形態では更に、IMNは、ヒトの皮膚組織の接触部のリアクタンスを補完する。
【0026】
本発明の好適な実施形態では更に、IMNは、L型又はT型又はΠ型の構造で固定される。
【0027】
本発明の好適な実施形態では更に、IMNは、広帯域インピーダンス変成器である。
【0028】
本発明の好適な実施形態では更に、IMNは、可変である。
【0029】
本発明の好適な実施形態では更に、移相器は、トロンボーン型を呈する。
【0030】
本発明の好適な実施形態では更に、移相器は、同軸ケーブルで製造される。
【0031】
本発明の好適な実施形態では更に、移相器による移相の度合いは、随時変更可能である。
【0032】
本発明の好適な実施形態では更に、インピーダンス・メータ(又はインピーダンス・センサ)が、IMNとRFアプリケータの間に挿入される。
【0033】
本発明の好適な実施形態では更に、IMNは、前記インピーダンス・メータ(又はインピーダンス・センサ)からの信号を取得するフィードバック・システムにより制御可能であり、これによりヒトの皮膚組織に適合するようにインピーダンスが整合され、且つ最大のエネルギがもたらされる。
【0034】
本発明の好適な実施形態では更に、結合エネルギは、RFエネルギ源(増幅器)から供給される。
【0035】
本発明の好適な実施形態では更に、伝達されたエネルギは、連続或いはパルス・モードで結合される。
【0036】
本発明の好適な実施形態では更に、パルス・モード(PWM制御)時のRFパワーの振幅或いはデューティ・サイクルを変化させて、ヒトの皮膚組織に結合するエネルギを制御する。
【0037】
本発明の好適な実施形態では更に、ヒトの身体の特定部分は、前記RF共振器の第二ポイント(例えば地表)に接触する。
【0038】
本発明の好適な実施形態では更に、作動時にヒトの身体に整合した共振周波数が提供される。
【0039】
本発明の好適な実施形態では更に、RFアプリケータはレーザ療法と組み合わされる。
【0040】
本発明の好適な実施形態では更に、RFアプリケータは超音波療法と組み合わされる。
【0041】
本発明の好適な実施形態では更に、RFアプリケータは紫外線療法と組み合わされる。
【0042】
本発明の好適な実施形態では更に、RFアプリケータはプラズマ療法と組み合わされる。
【0043】
本発明の好適な実施形態では更に、RFアプリケータはフラッシュ・ランプ療法と組み合わされる。
【0044】
本発明は、被処置体の選択対象部に温熱治療をするための改善されたシステムを提供する。該システムは、(a)前記被処置体内部の生物組織の表面に接触可能なアプリケータに向かう出力RFパワー信号を出すRFエネルギ源を備え、前記アプリケータが望ましい量のエネルギを前記生物組織の前記表面の下方にある所定のエネルギ放散部に供給するとともに、前記選択対象部は前記所定のエネルギ放散部内に位置するRFエネルギ源と、(b)更に前記システムは、前記出力RFパワー信号の有向進行波の移相の度合いを変化させることにより、該移相の度合いが変更されたエネルギを、主に前記生物組織の前記表面下方の望ましい深さにある前記所定のエネルギ放散部に集中させる移相器と、(c)更に前記システムは、前記被処置体内部の前記生物組織のインピーダンスを名目値から修正値に変換するインピーダンス整合ネットワーク(IMN)を備え、前記修正値は前記RF伝達ラインのインピーダンス特性に整合するとともに、前記有向進行波は定常波に変換されずに、前記生物組織の前記表面を通り、(d)更に前記システムは、前記アプリケータ内部に配されるとともに、望ましい量のエネルギの蓄積と放出を周期的に繰り返すとともに、前記望ましい量のエネルギを集中させるRF共振器を備え、前記RF共振器からのエネルギの大部分が所定のエネルギ放散部に集中され、(e)前記出力RFパワー信号が前記移相器、前記IMN、前記共振器により処理された後に、前記アプリケータは、前記RFエネルギ源からの前記出力RFパワー信号を前記生物組織の前記表面を通じて前記所定のエネルギ放散部に伝達する。前記システムの作動により逆温度勾配が形成されるとともに、前記生物組織の前記表面が所定のエネルギ放散部より低温となる。接地電極を使用しないことで、前記エネルギ放散部に前記出力RFパワー信号の前記進行波が広範に伝播される。
【0045】
本発明は更に、被処置体の選択対象部に温熱治療をするための改善された方法を提供する。該方法は、(a)前記被処置体内部の生物組織の表面に接触可能なアプリケータに向かう出力RFパワー信号を供給する段階と、(b)更に前記方法は、前記出力RFパワー信号の有向進行波の移相の度合いを変化させる移相器を使用する段階を備え、前記移相の度合いが変更されたエネルギを、主に前記生物組織の前記表面下方の望ましい深さにある前記所定のエネルギ放散部に集中させ、(c)更に前記方法は、前記被処置体内部の前記生物組織のインピーダンスを名目値から修正値に変換する段階を備え、前記修正値は前記RF伝達ラインのインピーダンス特性に整合するとともに、前記有向進行波はIMNにより定常波に変換されずに、前記生物組織の前記表面を通り、(d)更に前記方法は、前記アプリケータ内部に配されるRF共振器中で、望ましい量のエネルギの蓄積と放出を周期的に繰り返す段階を備え、(e)更に前記方法は、RF共振器中の望ましい量のエネルギを集中させる段階を備え、前記エネルギが前記RF共振器から放出される時に、前記エネルギの大部分が前記所定のエネルギ放散部に集中し、(f)前記出力RFパワー信号が前記移相器、前記IMN、前記共振器により処理された後、前記RFエネルギ源からの前記出力RFパワー信号を、前記生物組織の前記表面を通じて前記所定のエネルギ放散部にアプリケータにより伝達する段階を備える。前記段階(a)乃至(f)の実施により、逆温度勾配を形成されるとともに、前記生物組織の前記表面が所定のエネルギ放散部より低温となり、冷却装置を備える必要がなくなる。接地電極を使用しないことで、前記エネルギ放散部に前記出力RFパワー信号の前記進行波が広範に伝播される。
【0046】
本発明は更に、セルライト治療のための改善された方法を提供する。該方法は、(a)前記被処置体内部の生物組織の表面に接触可能なアプリケータに向かう出力RFパワー信号を供給する段階と、(b)更に前記方法は、前記出力RFパワー信号の有向進行波の移相の度合いを変化させる移相器を使用する段階を備え、前記移相の度合いが変更されたエネルギを、主に前記生物組織の前記表面下方の望ましい深さにある前記所定のエネルギ放散部に集中させ、(c)更に前記方法は、前記被処置体内部の前記生物組織のインピーダンスを名目値から修正値に変換する段階を備え、前記修正値は前記RF伝達ラインのインピーダンス特性に整合するとともに、前記出力信号はIMNにより定常波に変換されずに、前記生物組織の前記表面を通り、(d)更に前記方法は、前記アプリケータ内部に配されるRF共振器中で、望ましい量のエネルギの蓄積と放出を周期的に繰り返す段階を備え、(e)更に前記方法は、RF共振器中の望ましい量のエネルギを集中させる段階を備え、前記エネルギが前記RF共振器から放出される時に、前記エネルギの大部分が前記所定のエネルギ放散部に集中し、(f)前記出力RFパワー信号が前記移相器、前記IMN、前記共振器により処理された後、前記RFエネルギ源からの前記出力RFパワー信号を、前記生物組織の前記表面を通じて前記所定のエネルギ放散部にアプリケータにより伝達する段階を備える。前記段階(a)乃至(f)の実施により、逆温度勾配を形成されるとともに、前記生物組織の前記表面が所定のエネルギ放散部より低温となり、冷却装置を備える必要がなくなる。接地電極を使用しないことで、前記エネルギ放散部に前記出力RFパワー信号の前記進行波が広範に伝播される。また前記少なくとも1つのセルライト体がその付近よりも高い温度で加熱される。
【0047】
本発明の好適な実施形態では、前記システムは更に、パルス幅変調(pulse width modulation、PWM)コントローラを備える。PWMコントローラは、前記RFエネルギ源が望ましい繰り返し周波数で、所定の持続時間及び望ましい振幅を有するパルスを備えた前記出力RFパワー信号をもたらすように作用しながら、平均の出力パワーを制御する。
【0048】
本発明の好適な実施形態では、前記システムは更に、前記アプリケータと前記生物組織の前記表面の間に配置可能な、誘電性バリアを備える。この誘電性バリアは、導電性電流の伝達を防止する。
【0049】
本発明の好適な実施形態では更に、前記アプリケータは、アルミニウム、銀、金、銅、及びこれらの合金からなる群から選択される少なくとも一つの金属から形成される。
【0050】
本発明の好適な実施形態では更に、前記誘電性バリアは、前記アプリケータ表面の誘電性コーティングとして提供される。
【0051】
本発明の好適な実施形態では更に、前記アプリケータは、主にアルミニウムで製造されるとともに、及び前記誘電性バリアはアルミナ・コーティングとして提供される。
【0052】
本発明の好適な実施形態では更に、前記アプリケータを前記生物組織の前記表面を移動させることが可能であり、前記エネルギ放散部の位置を変更する。
【0053】
本発明の好適な実施形態では更に、供給ケーブルを備えるとともに、前記供給ケーブルは前記RFアプリケータと前記共振器を、前記IMNに連結する。
【0054】
本発明の好適な実施形態では更に、前記供給ケーブルは、n×λ/2で定義される共振長さを有するとともに、λはケーブル材料内のRFエネルギの波長であり、nは自然数である。
【0055】
本発明の好適な実施形態では更に、前記IMNは、L型、T型、Π型からなる群より選択される形状の構造で固定される。
【0056】
本発明の好適な実施形態では更に、前記IMNは、広帯域インピーダンス変成器を備える。
【0057】
本発明の好適な実施形態では更に、前記IMNは、可変である。
【0058】
本発明の好適な実施形態では更に、前記移相器は、トロンボーン型移相機構を備える。尚、トロンボーン型移相器は通常の知識を有する当業者の間で周知であり、www.microwaves101.com/encyclopedia/phaseshifters.cfmに詳細が記載されている。(本願の付属資料を参照のこと。)
【0059】
本発明の好適な実施形態では更に、移相器は、少なくとも一部が同軸ケーブルで製造される。
【0060】
本発明の好適な実施形態では更に、移相器による移相の度合いは、可変である。
【0061】
本発明の好適な実施形態では更に、所定のエネルギ放散部に伝達されるエネルギは、連続式或いはパルス・モードで結合される。尚、RFエネルギは、PWMコントローラにより、低周波数を伴う矩形パルスに調節されて、正弦波信号の形状で創出される。
【0062】
本発明の好適な実施形態では更に、前記RFエネルギは、所定の被処置体が有する、既知の固有振動周波数と整合した共振周波数特性を備える。
【0063】
本発明の好適な実施形態では更に、レーザ・ビーム、超音波振動子、紫外線光源、プラズマ処理装置、フラッシュ・ランプからなる群より選択される少なくとも一つの構成要素が更に追加される。
【0064】
本発明の好適な実施形態では更に、前記出力RFパワー信号を供給する段階が、望ましい周波数で、所定の持続期間と振幅を有するパルスを備えた前記出力信号をもたらす。
【0065】
本発明の好適な実施形態では、前記方法は、前記アプリケータと前記生物組織の前記表面の間に誘電性バリアを挿入する段階を備える。尚、前記誘電性バリアは、導電性電流の伝達を防止する。
【0066】
本発明の好適な実施形態では更に、前記方法は、前記アプリケータを、主にアルミニウムで製造する段階を備える。より好ましくは、前記誘電性バリアは、アルミニウム製のアプリケータ表面に、アルミナ・コーティングとして提供される。
【0067】
本発明の好適な実施形態では更に、前記方法は、前記生物組織の前記表面に対して前記アプリケータを移動させる段階を備え、これにより前記エネルギ放散部の位置を変更する。
【0068】
本発明の好適な実施形態では更に、前記方法は、前記RFアプリケータと前記共振器を前記IMNに連結せしめる供給ケーブルを使用する段階を備える。
【0069】
本発明の好適な実施形態では更に、前記方法は、前記移相器による移相の度合いを変更する段階を備える。
【発明の効果】
【0070】
本発明により、一つの電極を使用することと、皮膚の火傷を防止する冷却システムが不要であることを特徴とする、RFエネルギを使用した生物組織を加熱するための改善されたシステム及び方法を提供することで、既存の構成の抱える短所を克服することができる。
【0071】
本発明に係る方法及びシステムを実施するには、選択されたタスク或いは段階を、手動で或いは自動的に或いはその両者を組み合わせて、実施或いは完了することとなる。更に、本発明に係る方法及びシステムの好適な実施形態を、実際に実施する機械及び装置によれば、選択されたステップは、如何なるファームウェアを使用した如何なるオペレーティング・システム上のハードウェア或いはソフトウェア、或いはその両者の組み合わせを用いて、実施することができる。例えば、ハードウェアとしては、本発明の選択されたステップは、チップ或いは回路の形状で実施してもよい。ソフトウェアとしては、本発明の選択されたステップは、任意の適応したオペレーティング・システムを使用したコンピュータにより実行される、複数のソフトウェア指令として実施してもよい。如何なる場合でも、本発明による方法及び手法で選択されたステップは、複数の指令を実行するためのコンピューティング・プラットフォーム等のデータ処理装置により実行されると記載することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0072】
以下本発明を、図面を参照して説明するが、図面は本発明の一実施形態が十分に理解されるように説明するためのものに過ぎず、本発明の権利範囲を限定するものではない。よって、図面には構造の詳細な記述は避け、本発明に係る基本的な理解が可能な程度にとどめている。図面に記載された事項から、当業者は本発明の実施形態を、十分に明確に理解できる。
【0073】
本発明は、一つの電極(単極)で処置をおこなう、RFエネルギを用いた生物組織を加熱するための改善されたシステム及び方法を提供する。より詳しくは、単極を介して適用されるRFエネルギの、位相の調節とパルス幅変調制御(PWM制御)により、表皮の冷却が不要となるとともに、真皮や皮下組織等の皮膚組織下層部を効果的に加熱する。結果的に、脂肪組織が適切に加熱及び収縮される。本発明により、初めて健康な組織を害さないセルライト除去が可能となる。
【0074】
本発明に係るRFエネルギを用いた生物組織を加熱するための改善されたシステム及び方法の作動方法は、図面及び関連の記載を参考すると理解が深まる。
【0075】
本発明の一実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、後述の記載や図面に説明される、詳細な製造方法や配置形態に限定されて使用されるものではない。本発明は、他の実施形態で、様々な方法により実施されてもよい。更に本願記載の文言、専門用語は、本発明の権利範囲を限定するものではない。
【0076】
本発明は、従来使用されてきた方法に対し、有利な点を有する。
【0077】
接地電極が不要であって、一つの電極すなわちアプリケータを使用するので、RFエネルギが均質に照射される。RFエネルギは、主に双極子が回転及び振動するように照射される。尚双極子は、適用された電磁波中にある水分子にあたる。
【0078】
移相技術で、RF波の最大値の位置を変更することにより、表皮から所定の深さの部分に、RFエネルギを集中させることができる。
【0079】
皮下組織内部にエネルギを放散する仕組みを導入することで、表皮(外皮)を比較的低温に保つことができる。これにより逆温度勾配の状態となり、外部の冷却システムが不要となる。
【0080】
好ましくは、アルミナ・セラミック・コーティングが施されたアプリケータが使用される。アルミナ・セラミック・コーティングのアプリケータを使用すると、エネルギ損失が最小限に抑えられ、且つ不必要な導電性電流が人体に流れるのを防止することができる。
【0081】
アプリケータに近接して装着された並列パラレル共振器が、RFエネルギを蓄積する。これにより、アプリケータが励起状態となり、適用部表面に高いRF電圧がもたらされる。
【0082】
短パルスで、高RF波を適用することにより、比較的低いレベルの平均RFパワーでも、セルライト・カプセルが、急速且つ効果的に加熱される。
【0083】
出力RFパワーのPWM制御と簡易なIMN技術を導入することで、あらゆる種類のヒトの組織に整合したRFパワーが供給され、RFパワー反射率が低く抑えられる。またIMNとPWM制御を導入することで更に有利な点が加わり、複雑なインピーダンス整合を使用せずに、あらゆる種類のヒトの組織に適切に整合したインピーダンスを提供することができる。尚、RFアプリケータは、処置部表面を移動させることが可能である。
【0084】
脂肪組織の体積全体を処置するには、アプリケータ電極が皮膚表面から適切な距離を保つ状態で、RF波伝達方向に対して垂直面に、均質なRF波を、最大限に伝播する必要がある。RF波を均質且つ集中的に伝播することにより、セルライト・カプセル及び脂肪組織を効果的に加熱できる。これは、セルライト・カプセル及び脂肪細胞が水分子を保持しているためである。一方血液及びリンパ液では、水分子が液中を循環しており、冷却効果が伝達されるので、不必要な加熱が加わることはない。更に血液及びリンパ液は、筋肉、神経組織、結合組織等の加熱対象外の組織にも冷却効果を伝達する。
【0085】
以下、本発明によるシステムの基本構造及びその作動方法を、図面を使用してより詳しく説明する。
【0086】
本発明は、主に、図1乃至図3に示される被処置体内部の選択対象部の温熱治療に関するシステム(30)により実施される。システム(30)はRFエネルギ源(10)を備える。RFエネルギ源(10)は出力RFパワー信号(17)を発信する。RFパワー信号(17)はアプリケータ(3)方向に向かって流れる。アプリケータ(3)は、被処置体内部の生物組織(4)の表面(6)に接触可能である。アプリケータ(3)は、生物組織(4)の表面(6)下方にある所定のエネルギ放散部(5)へ、望ましい量のエネルギを伝達する。選択対象部は、所定のエネルギ放散部(5)内部にあり、図1中に水分子(1)で示される。
【0087】
システム(30)は更に移相器(例えばトロンボーン型移相器(14))を備える。移相器(14)は、出力パワー(17)の有向進行波の位相を移行する。これにより移相器(14)からのエネルギが、主に生物組織(4)の表面(6)下方の望ましい深さにある、所定のエネルギ放散部(5)に集中される。
【0088】
システム(30)は更に、インピーダンス整合ネットワーク(impedance matching network、IMN)(11)を備える。IMN(11)は被処置体に属する生物組織(4)のインピーダンスを名目値(例えば250〜350オーム)から修正値(例えば50オーム)に変換する。修正値は、RFエネルギ源及びRF伝達ラインのインピーダンス特性と整合した値である。RF伝達ラインは、移相器(14)及びケーブル(11)を備える。これにより出力RF進行波(17)は、定常波に変換されずに、生物組織(4)の表面(6)を通過する。
【0089】
システム(30)は更に、RF共振器(13)を備える。RF共振器(13)はアプリケータ(3)内に配される。RF共振器(13)は、望ましい量のエネルギの蓄積及び開放を周期的に繰り返す。RF共振器(13)は更に、望ましい量のエネルギを集中させ、エネルギ放散部にエネルギの大部分が伝達されるようにする。
【0090】
システム(30)は更に、アプリケータ(3)を備える。アプリケータ(3)は、出力パワー信号(17)が移相器(14)、IMN(11)、共振器(13)で処理された後、出力RFパワー信号(17)を、RFエネルギ源(10)から生物組織(4)の表面(6)を通じて、所定のエネルギ放散部(5)へ伝達する。
【0091】
通常、結果的にシステム(30)の作動時に出力RFパワー信号(17)からのエネルギの2〜4%を損失する。また出力信号(17)は、出力信号(17)からのエネルギの2〜4%の反射を伴う。ゆえにシステム(30)では、出力信号(17)からのエネルギの約90〜95%が、エネルギ放散部(5)へ伝達されることとなる。本発明により達成された、出力信号(17)からエネルギ放散部(5)へのエネルギ集中と同程度のエネルギ伝達効率は、従来の方法では実現されていなかった。IMN(11)は、表面(6)からの出力信号(17)の反射率を抑える。これにより、エネルギ放散部(5)へのエネルギ伝達効率が向上される。
【0092】
システム(30)特有の長所として、システム(30)が作動することにより、逆温度勾配が形成され、生物組織(4)の表面(6)がエネルギ放散部(5)より低温に保たれることによって、冷却システムが不要となることがあげられる。
【0093】
更に、システム(30)から接地電極が除去されることで、エネルギ放散部(5)の出力RFパワー信号(17)が広範に伝播される。
【0094】
これらの要因が、従来の方法でも達成されていた水分子(1)の加熱に関与して、更に加熱効率が向上する。
【0095】
上述のシステム(30)特有の長所は、図4と図5のサーモ・グラフの比較により明白に示される。図4は、システム(30)使用時のエネルギ放散部(5)のサーモ・グラフを示し、図5は、従来型二極式システム(2つの電極を使用したシステム)使用時のエネルギ放散部(5)のサーモ・グラフを示す。サーモ・グラフは左のキーと共に表示され、熱エネルギの集中度は、高度から低度へと順に、白、黄、橙、赤、緑、青、紫で示される。図4及び図5のテストでは両者とも、生物組織(4)のサンプルとしてリンゴの断片が使用されている。特筆すべき点として、システム(30)使用時には、生物組織(4)の表面(6)から離れた下方部へ、エネルギ放散部(5)が移動している。
【0096】
図4に示される如く、システム(30)のアプリケータ(3)が生物組織(4)の表面(6)に接触するとき、出力RFパワー信号(17)からのエネルギは、主にエネルギ放散部(5)に伝達される。伝達ライン(26)はエネルギ放散部(5)の中心を通過する。生物組織(4)の表面(6)の温度は、エネルギ放散部(5)の伝達ライン(26)より低い。つまりシステム(30)使用時に逆温度勾配が形成される。これにより表面(6)への過度な加熱を防止するために、冷却システムを導入する必要がなくなる。
【0097】
対照的に、図5に示される如く、従来型二極式システムのアプリケータ(3)が生物組織(4)の表面(6)に接触するとき、出力RFパワー信号(17)からのエネルギは、主にエネルギ放散部(5)に伝達されるが、エネルギ放散部(5)は生物組織(4)の表面(6)付近に位置する。つまりエネルギ放散部(5)と表面(6)を通る伝達ライン(26)の距離は短く、従来型二極システム使用時は、熱エネルギは主に表面(6)付近に伝達される。図5のサーモ・グラフは、冷却システムと共に従来型二極式システムを使用した時の、熱エネルギ分布を示す。冷却システムを使用しても、逆温度勾配は見られない。
【0098】
任意選択とするが、システム(30)は更に、PWMコントローラ(12)を備えることが好ましい。PWMコントローラ(12)は、所定の持続時間と望ましい周波数の振幅を有するパルスで、RFエネルギ源(10)を出力パワー信号(17)に伝達する。例えば、RF周波数40.68MHzで作動時、PWM周波数1〜20kHz、デューティ・サイクル10〜90%となる。
【0099】
本発明の好適な実施形態によると、アプリケータ(3)は、アルミニウム、銀、金、銅、或いはこれら金属の合金などの金属材質で形成される。代替方法として或いは追加的に、誘電性バリア(2)はアプリケータ(3)と生物組織(4)の表面の間に挿入される。誘電性バリア(2)は不必要な導電性電流が生物組織(4)へ伝導されるのを回避する。本発明の好適な実施形態によると、誘電性バリア(2)がアプリケータ(3)の誘電性コーティングとして提供される。本発明の最適な実施形態では、アプリケータ(3)は主にアルミニウムで形成され、誘電性バリア(2)はアルミナ・コーティングで提供される。
【0100】
任意選択とするが、アプリケータ(3)は、エネルギ放散部(5)の位置を変更する手段として、生物組織(4)の表面(6)を移動可能であることが好ましい。
【0101】
任意選択とするが、システム(30)は、供給ケーブル(7)を備えることが好ましい。供給ケーブル(7)は、RFアプリケータ(3)とRF共振器(13)をIMN(11)に連結する。任意選択とするが、供給ケーブル(7)は、共振長さを有する。共振長さはn×λ/2で定義される。λはケーブルに使用される材質中でのRFエネルギの波長とし、nは自然数とする。
【0102】
任意選択とするが、IMN(11)は、L型、T型、Π型等の形状で特徴づけられる構造で固定されることが好ましい。任意選択とするが、IMN(11)は、広帯域インピーダンスを備えることが好ましい。任意選択とするが、IMN(11)は、可変であることが好ましい。
【0103】
任意選択とするが、移相器(14)は、トロンボーン型の移相機構を備えることが好ましい。
【0104】
代替方法として或いは追加的に、移相器(14)は、少なくとも一部が同軸ケーブルで形成されてもよい。
【0105】
任意選択とするが、移相器(14)は、可変移相とすることが好ましい。即ち移相の度合いを変更することができる。
【0106】
任意選択とするが、RFエネルギ源(10)は結合エネルギを伝達することが好ましい。
【0107】
任意選択とするが、所定のエネルギ放散部(5)に伝達されるエネルギは、連続式或いはパルス・モードで結合されることが好ましい。RFエネルギ源(10)は、出力RFパワー信号(17)を正弦波信号の形状で創出する。尚、出力RFパワー信号(17)は、PWMコントローラ(12)により、低周波数を伴う矩形パルスに調節されてもよい。
【0108】
本発明の最適な実施形態によると、システム(30)は、選択対象部が有する既知の固有共振周波数に整合した、共振周波数特性を備えた出力RFパワー信号(17)を使用する。
【0109】
任意選択とするが、システム(30)は更に追加的な要素として、例えば、レーザ・ビーム、超音波振動子、紫外線光源、プラズマ処理装置、フラッシュ・ランプ等を含む。
【0110】
本発明は更に、被処置体内の選択対象部に温熱治療を施すための改善された方法(100)により実施される。方法(100)は、被処置体に属する生物組織(4)の表面(6)に接触可能なアプリケータ(3)に向かう、出力RFパワー信号(17)を提供する段階(102)を備える。
【0111】
方法(100)は更に、移相器(14)を使用する段階(104)を備える。移相器(14)を使用する段階(104)は、移相器(14)からのエネルギが主に所定のエネルギ放散部(5)に集中するように、出力RFパワー信号(17)の進行波を移相する。尚、エネルギ放散部(5)は、生物組織(4)の表面(6)下方の望ましい深さに位置する。選択対象部は、エネルギ放散部(5)内に位置する。
【0112】
方法(100)は更に、被処置体に属する生物組織(4)のインピーダンスを変換する段階(106)を備える。段階(106)は、被処置体に属する生物組織(4)のインピーダンスを、名目値から修正値に変換する。修正値は、RFエネルギ源(10)及びRF伝達ライン(26)のインピーダンス特性に整合する値である。RF伝達ライン(26)は、ケーブル(11)と移相器(14)を備える。これにより、出力RFパワー信号(17)の進行波は、生物組織(4)の表面(6)を通過する。このとき出力RFパワー信号(17)の進行波は、IMN(11)により定常波に変換されることはない。
【0113】
方法(100)は更に、アプリケータ(3)内に配されたRF共振器(13)中の望ましい量のエネルギを周期的に蓄積及び放出させることを繰り返す段階(108)を備える。
【0114】
方法(100)は更に、RF共振器(13)中の望ましい量のエネルギを集中させる段階(110)を備える。これにより、共振器(13)からエネルギが放出されるときに、エネルギの大部分が、所定のエネルギ放散部(5)に集中する。
【0115】
方法(100)は更に、出力RFパワー信号(17)を伝達する段階(112)を備える。段階(112)は、出力(17)を移相器(14)、IMN(11)、アプリケータ内の共振器(13)で処理した後に、出力(17)をRFエネルギ源(10)から生物組織(4)の表面(6)を通りエネルギ放散部(5)へと伝達する。
【0116】
段階(102)、段階(104)、段階(105)、段階(108)、段階(110)、段階(112)を実施することで、逆温度勾配を形成する段階(114)が生じる。これにより、生物組織(4)の表面(6)は、所定のエネルギ放散部(5)より低温に保たれる。これにより、冷却システムを導入することが不要となる。
【0117】
接地電極を使用しないので、エネルギ放散部(5)に出力RFパワー信号(17)の電磁波が広範に伝播される。
【0118】
好適な実施形態によると、段階(102)では、所定の持続時間と望ましい周波数での振幅を有するパルスでの出力RFパワー信号(17)が供給される。(段階(118))
【0119】
好ましくは、方法(100)は更に、アプリケータ(3)と生物組織(4)の表面(6)間に誘電性バリア(2)を挿入する段階(120)を備える。誘電性バリア(2)は、導電性電流の伝導を防止する。また方法(100)は、好ましくは主にアルミニウムによりアプリケータ(3)が製造される段階を備えることが好ましい。更に、誘電性バリア(2)はアルミニウム製のアプリケータ(3)上のアルミナ・コーティングとして提供されることがより好ましい。
【0120】
好ましくは、方法(100)は更に、アプリケータを移動する段階(122)を備える。段階(122)では、生物組織(4)の表面(6)上で、アプリケータを移動させることで、エネルギ放散部(5)の位置を変更することができる。
【0121】
任意選択とするが、方法(100)は更に、供給ケーブルを使用する段階(124)を備えることが好ましい。これにより、アプリケータ(3)及び共振器(13)がIMN(11)に連結される。
【0122】
任意選択とするが、方法(100)は更に、移相器(14)による移相の度合いを変化させる段階(126)を備えることが好ましい。
【0123】
方法(100)の最適な実施形態によると、処置対象となるセルライト体がその付近の組織よりも高温に加熱され、そのセルライト体を少なくとも1つ含む所定のエネルギ放散部(5)に選択的に処置を行なう。結果、セルライト体が減少する。(段階(128))
【0124】
本発明は、RF波により水分子(1)が回転し、生物組織を加熱する(図1)。水分子は双極子構造をもち、交流電磁場にある。
【0125】
導電性のHF(高周波)電流を防止するために、アプリケータ(3)と生物組織(4)の表面(6)の間に誘電性バリア(2)を挿入する。
【0126】
好ましくは、アプリケータ(3)はアルミニウム或いはアルミニウム合金で製造され、40〜50μmの厚さでアルミナ・コーティングが施される。またアプリケータ(3)で処置を行い、逆温度勾配が形成され、生物組織(4)の表面(6)が冷却されるので、冷却システムを別途用意する必要がない。
【0127】
アプリケータ(3)はまた、RF波を生物組織(4)の深部にまで照射させるアンテナ・カプラの機能も果たす。放散されるエネルギは、結合したRF波を照射したものである。
【0128】
RFエネルギが主に適用される部分(エネルギ放散部(5))は、生物組織(4)の表面(6)とアプリケータ(3)の間の接触部の位置と、照射される電磁波のパルス(出力RFパワー信号(17))の位相により決定される。表面(6)から入射して分岐したエネルギは、生物組織(4)中で効率よく放散される(5)。RFエネルギが浸透する深さは、RFパワー、アプリケータの面積、電磁波の移相によって決まる。
【0129】
移相器(14)を適用することにより、エネルギ放散部(5)の位置を調節し、選択対象部(例えばセルライト体)に合う位置に処置を行うことができる。
【0130】
RFの電磁場の振動により、全ての双極性分子(その多くが水分子(1)である)が回転および振動をする。これにより、エネルギ放散部(5)が加熱される。エネルギ放散部(5)は、RFエネルギ源(10)とアプリケータ(3)の間にある移相器(14)により調節される。主に脂肪組織内が加熱される。これは、脂肪組織内は水分を多く含むが、血管のように冷却効果が伝達されないためである。こうして、加熱により高温状態に保たれて、コラーゲン・カプセルが壊される。出力RFパワー(17)のパルス幅変調制御(PWMコントローラ(12))は、RFパワー(17)の平均のパワーを低レベルに保ちつつ、ピーク時には高レベルに到達するように、RFパワー(17)を調節する。これにより、最適にコラーゲン・カプセルが壊される。
【0131】
本発明の長所として、加熱をしても表皮層(6)の温度が皮下層(4)の温度より低いことがあげられる。Thermage社の特許には外皮の集中的な冷却効果により提供される逆温度勾配が記載されているが、本発明では深部を加熱することで自動的に実現される。
【0132】
本発明では第二の電極、すなわち接地電極が不要な構造を採用することで、RF波が生物組織(4)中に広範に伝播される。
【0133】
図2に示される如く、RFエネルギを、RFパワー源(10)から供給ケーブル(7)を介し、アプリケータ(3)まで最大限に伝達することができるように、RFエネルギを並列共振器(13)の中心点に伝達する。並列共振器(13)は並列に配列されたコンデンサ(8)とインダクタ(9)を備え、20以上の非常に高いQファクタを有する。
【0134】
振動するRF波(例えば25〜300ワット)が伝達されると、このRF波は共振器(13)に蓄積されるので、共振器(13)の能動負荷は付近の組織に限られる。
【0135】
共振器(13)の能動的損失は非常に低く、生物組織(4)内部に放散されるエネルギの1/20〜1/50程度である。コンデンサ(18)とインダクタ(19)の間欠放電は、アプリケータ(3)を介し生物組織(4)に結合される。
【0136】
RFエネルギ源(10)は、40.68MHzの周波数で作動時に、最大出力200〜400ワットを創出し、このとき50オームの負荷抵抗となり、最適性能を示す。最適性能とは、RFパワーの反射率が最小となるとともに、負荷が放散するRFパワーが最大となることを意味する。ゆえに生物組織(4)の処置部(エネルギ放散部(5))の負荷は、50オームとなる。
【0137】
図2に示される如く、インピーダンス整合ネットワーク(IMN)(11)は一定である。(即ちIMNの構成要素は操作時に変化しない。)従ってRFパワーの振幅を調節せずに、作動する。出力パワーの調節には、PWM制御が使用される。PWMはRF波より低い周波数を伴う矩形パルスに、RFパワー(17)を調節する。結合したRFパワーを低下させるために、PWMコントローラ(12)でRFパワーのデューティ・サイクルを低下させることが必要となる。PWMコントローラ(12)は2〜10kHzの範囲で周波数を調節して、矩形パルスを形成する。デューティ・サイクルは5%〜100%の範囲で変化する。RFパワー(17)のパルスの形状は、図2に示される。出力RFパワー(17)をPWMコントローラ(12)でパルス幅変調することで、エネルギ放散部(5)に放散されるRFパワー(17)が、平均のパワーは低レベルに保たれながら、ピーク時に高レベルに到達するように調節される。これにより、脂肪組織が効果的に加熱されながらも、脂肪組織以外の組織や血管へは加熱効果が波及しない。
【0138】
RFパワー(17)の反射率は1〜2%である。従って出力されたRFパワー(17)の98%がエネルギ放散部(5)に放散される。通常、エネルギは脂肪組織に集中して照射されるので、結合RFエネルギは、脂肪細胞、セルライト体、または血液、リンパ液によって拡散される。エネルギ放散部(5)に結合するエネルギのうち、脂肪細胞やセルライト体に到達して、セルライト除去に貢献するエネルギは、70〜80%である。残りのエネルギは拡散されて、表面(6)を加熱するエネルギとなるか、人体の体液に伝わる。
【0139】
アプリケータ(3)は並列共振器(13)に連結される。アプリケータ(3)と共振器(13)は、処置に使用されるハンド・ピース(手持ち型操作部)(22)内部に配される。IMNシステムは、メイン・システム(23)に配される。アプリケータ(3)とIMN(11)間で、移相の不整合が起きるのを回避するために、供給ケーブル(7)の長さは、供給ケーブルの材料内のRFエネルギの波長(λ)×自然数(n)に等しくなるように設定される。
【0140】
生物組織(4)の表面(6)下方に必要な振幅を伝達するために、移相システム(例えばトロンボーン型システム(14))がRFエネルギ源(10)出力側とIMN(11)の入力側の間に挿入される。エネルギ放散部(5)に放散されるエネルギが最大となる位置は、この移相システムで制御されて、生物組織(4)の表面(6)の下方に位置することとなる。RFエネルギが浸透する深さを制御するには、トロンボーン型移相器の長さを短縮して、移相し、生物組織内部に放散された電磁波の位置すなわち、最大レベルのRFエネルギの電圧が浸透する位置を変更する。結果的に、最大レベルのRFエネルギの電圧に近い状態で、RFエネルギが最も効率よくエネルギ放散部(5)に浸透する。
【0141】
移相器(14)は例えばモータ(15)によって、自動的に制御される。位相の移行は直線的に行われるか或いは周期的に行われる。これにより、組織内部の最も高温に加熱された部分の位置を変えて、最も高温に加熱された部分を変位させて、走査する。
【0142】
図3は、インピーダンス整合システム(11)の実施形態を説明する図である。RFエネルギ源(10)から伝達されたRFパワーは、同軸ケーブル(16)を伝って矩形パルス(17)に変調される。RFエネルギ源は50オームに設定され、人体は約300オームのインピーダンスをもつので、50オームから300オームに変換して生物組織(4)のインピーダンスに合うように補完する必要がある。これは、インピーダンス整合ネットワーク(IMN)(11)が行う。図3に示される如く、L型の簡易式IMNは、RFコンデンサ(18)とRFインデューサ(19)を備える。半波ケーブル(供給ケーブル)(7)は、RFパワーを、移送器システムにより制御される移相を行わずに、IMN(11)からRFアプリケータ(3)に伝達する。地点(20)でインピーダンスを測定すると50オームを示す。また地点(21)でインピーダンスを測定すると300オームを示す。様々な形式のIMNを使用しても、本発明の実施に大きな支障をきたすことはない。使用されるIMN形式に関わらず、IMN(11)は可変的に及び/又は自動的に制御され、インピーダンスを変更する。
【0143】
本発明では、簡潔に説明するために、実施形態を個別に記載したが、実施形態を組み合わせて実施することができる。逆に、個別に記載した実施形態をそのまま個別に実施したり、更に細かく分割して実施したりすることも可能である。
【0144】
本発明では特定の実施形態を記載したが、多くの代替、調整、応用のパターンが存在することは当業者の目に明らかである。従って本発明に係る代替、調整、応用は、本発明の請求の範囲内に含まれる。記載されたあらゆる刊行物、特許、特許出願は、この明細書内で参考文献として使用されている。更にこれらの参考文献は、本発明の先行技術として利用されている。
【図面の簡単な説明】
【0145】
【図1】本発明に係る処置部の組織に結合するRFパワーを示す概略図である。
【図2】本発明に係るRFシステムの好適な実施形態を示す概略図である。PWMで出力パワーを制御するとともに、処置部に入射するRF波の移相を行う。
【図3】本発明に係るインピーダンス整合システムを示す図である。
【図4】本発明に係るシステムをリンゴの断片を被処置体に使用して作動したときの、熱分布の結果をサーモ・グラフで示す図である。一つの電極を使用したシステムで加熱し、8秒間放置したときのサーモ・グラフである。
【図5】従来技術に係るシステムをリンゴの断片を被処置体に使用して作動したときの、熱分布の結果をサーモ・グラフで示す図である。二極式システムで加熱して、10秒間冷却したときのサーモ・グラムである。
【図6】本発明に係る方法の実施形態における流れを示すフロー・チャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処置体の選択対象部に温熱治療をするための改善されたシステムであって、該システムは、
(a)前記被処置体内部の生物組織の表面に接触可能なアプリケータに向かう出力RFパワー信号を出すRFエネルギ源を備え、前記アプリケータが望ましい量のエネルギを前記生物組織の前記表面の下方にある所定のエネルギ放散部に供給するとともに、前記選択対象部は前記所定のエネルギ放散部内に位置するRFエネルギ源と、
(b)更に前記システムは、前記出力RFパワー信号の有向進行波の移相の度合いを変化させることにより、該移相の度合いが変更されたエネルギを、主に前記生物組織の前記表面下方の望ましい深さにある前記所定のエネルギ放散部に集中させる移相器と、
(c)更に前記システムは、前記被処置体内部の前記生物組織のインピーダンスを名目値から修正値に変換するインピーダンス整合ネットワーク(IMN)を備え、前記修正値は前記RFエネルギ源と前記移相器のインピーダンス特性に整合するとともに、前記出力進行波は定常波に変換されずに、前記生物組織の前記表面を通り、
(d)更に前記システムは、前記アプリケータ内部に配されるとともに、望ましい量のエネルギの蓄積と放出を周期的に繰り返すとともに、前記望ましい量のエネルギを集中させるRF共振器を備え、前記RF共振器からのエネルギの大部分が所定のエネルギ放散部に集中され、
(e)前記出力RFパワー信号が前記移相器、前記IMN、前記共振器により処理された後に、前記アプリケータは、前記RFエネルギ源からの前記出力RFパワー信号を前記生物組織の前記表面を通じて前記所定のエネルギ放散部に伝達し、
前記システムの作動により逆温度勾配が形成されるとともに、冷却装置を備えることなしに、前記生物組織の前記表面が所定のエネルギ放散部より低温となるとともに、
接地電極を使用しないことで、前記エネルギ放散部に前記出力RFパワー信号の前記進行波が広範に伝播されることを特徴とするシステム。
【請求項2】
パルス幅変調コントローラを備えるとともに、該パルス幅変調コントローラは、前記RFエネルギ源が望ましい周波数で、所定の持続時間及び振幅を有するパルスを備えた前記出力RFパワー信号をもたらすように作用することを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記アプリケータと前記生物組織の前記表面の間に配置可能な、誘電性バリアを備えるとともに、前記誘電性バリアは、導電性電流の伝達を防止することを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項4】
前記アプリケータは、アルミニウム、銀、金、銅、アルミニウム合金からなる群から選択される少なくとも一つの金属から形成されることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項5】
前記誘電性バリアは、前記アプリケータ表面の誘電性コーティングとして提供されることを特徴とする請求項3記載のシステム。
【請求項6】
前記アプリケータは、主にアルミニウムで製造されるとともに、前記誘電性バリアはアルミナ・コーティングとして提供されることを特徴とする請求項5記載のシステム。
【請求項7】
前記アプリケータは、前記エネルギ放散部の位置を変更する手段として、前記生物組織の前記表面を移動可能であることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項8】
供給ケーブルを備えるとともに、前記供給ケーブルは前記RFアプリケータと前記共振器を前記IMNに連結することを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項9】
前記供給ケーブルは、n×λ/2で定義される共振長さを有するとともに、λはケーブル材料内のRFエネルギの波長であり、nは自然数であることを特徴とする請求項8記載のシステム。
【請求項10】
前記IMNは、L型、T型、Π型からなる群より選択される形状を呈することに特徴付けられる固定構造を備えることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項11】
前記IMNは、広帯域インピーダンス変成器を備えることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項12】
前記IMNは、可変であることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項13】
前記移相器は、トロンボーン型を呈することを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項14】
前記移相器は、少なくとも一部は同軸ケーブルで製造されることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項15】
前記移相器による移相量は、可変であることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項16】
結合エネルギは、RFエネルギ源(増幅器)から供給されることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項17】
所定のエネルギ放散部に伝達されるエネルギは、連続或いはパルス・モードで結合されることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項18】
前記RFエネルギは、共振周波数で特徴づけられ、該共振周波数は選択対象部の既知の固有振動周波数と整合することを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項19】
レーザ・ビーム、超音波振動子、紫外線光源、プラズマ処理装置、フラッシュ・ランプからなる群より選択される少なくとも一つの構成要素が更に追加されることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項20】
被処置体の選択対象部に温熱治療をするための改善された方法であって、該方法は、
(a)前記被処置体内部の生物組織の表面に接触可能なアプリケータに向かう出力RFパワー信号を供給する段階と、
(b)更に前記方法は、前記出力RFパワー信号の有向進行波の移相の度合いを変化させる移相器を使用する段階を備え、前記移相の度合いが変更されたエネルギを、主に前記生物組織の前記表面下方の望ましい深さにある前記所定のエネルギ放散部に集中させ、
(c)更に前記方法は、前記被処置体内部の前記生物組織のインピーダンスを名目値から修正値に変換する段階を備え、前記修正値は前記RFエネルギ源と前記移相器のインピーダンス特性に整合するとともに、前記出力進行波はIMNにより定常波に変換されずに、前記生物組織の前記表面を通り、
(d)更に前記方法は、前記アプリケータ内部に配されるRF共振器中で、望ましい量のエネルギの蓄積と放出を周期的に繰り返す段階を備え、
(e)更に前記方法は、RF共振器中の望ましい量のエネルギを集中させる段階を備え、前記エネルギが前記RF共振器から放出される時に、前記エネルギの大部分が前記所定のエネルギ放散部に集中し、
(f)前記出力RFパワー信号が前記移相器、前記IMN、前記共振器により処理された後、前記RFエネルギ源からの前記出力RFパワー信号を、前記生物組織の前記表面を通じて前記所定のエネルギ放散部にアプリケータにより伝達する段階を備え、
前記段階(a)乃至(f)の実施により、逆温度勾配を形成されるとともに、前記生物組織の前記表面が所定のエネルギ放散部より低温となり、冷却装置を備える必要がなくなり、
接地電極を使用しないことで、前記エネルギ放散部に前記出力RFパワー信号の前記進行波が広範に伝播されることを特徴とする方法。
【請求項21】
前記出力RFパワー信号を供給する段階が、望ましい周波数で、所定の持続期間と振幅を有するパルスを備えた前記出力信号をもたらすことを特徴とする請求項20記載の方法。
【請求項22】
前記アプリケータと前記生物組織の前記表面の間に誘電性バリアを挿入する段階を備え、前記誘電性バリアは、導電性電流が伝達するのを防止することを特徴とする請求項20記載の方法。
【請求項23】
前記アプリケータは、アルミニウム、銀、金、銅、及びこれらの合金から選択される少なくとも一つの金属から形成する段階を備えることを特徴とする請求項20記載の方法。
【請求項24】
前記誘電性バリアは、前記アプリケータ表面の誘電性コーティングとして供給されることを特徴とする請求項20記載の方法。
【請求項25】
前記アプリケータを、主にアルミニウムで製造する段階を備え、前記誘電性バリアはアルミナ・コーティングとして供給されることを特徴とする請求項20記載の方法。
【請求項26】
前記生物組織の前記表面に対して前記アプリケータを移動させる段階を備え、これにより前記エネルギ放散部の位置を変更することを特徴とする請求項20記載の方法。
【請求項27】
前記RFアプリケータと前記共振器を前記IMNに連結せしめる供給ケーブルを使用する段階を備えることを特徴とする請求項20記載の方法。
【請求項28】
前記供給ケーブルは、n×λ/2で定義される共振長さを有するとともに、λはケーブルを形成する材料中のRFエネルギの波長であり、nは自然数であることを特徴とする請求項20記載の方法。
【請求項29】
前記IMNは、L型、T型、Π型からなる群より選択される形状を呈することに特徴付けられる固定構造を備えることを特徴とする請求項20記載の方法。
【請求項30】
前記IMNは、広帯域インピーダンス変成器を備えることを特徴とする請求項20記載の方法。
【請求項31】
前記IMNは、可変であることを特徴とする請求項20記載の方法。
【請求項32】
前記移相器は、トロンボーン型を呈することを特徴とする請求項20記載の方法。
【請求項33】
前記移相器は、少なくとも一部は同軸ケーブルで製造されることを特徴とする請求項20記載の方法。
【請求項34】
前記移相器による移相量は、一定でないことを特徴とする請求項20記載の方法。
【請求項35】
前記RFパワー信号を供給する段階は、結合エネルギをもたらすことを特徴とする請求項20記載の方法。
【請求項36】
所定のエネルギ放散部に供給されるエネルギは、連続或いはパルス・モードで結合されることを特徴とする請求項20記載の方法。
【請求項37】
前記RF共振器により放出される前記望ましい量のエネルギは、共振周波数で特徴づけられ、該共振周波数は選択対象部の既知の固有周波数と整合することを特徴とする請求項20記載の方法。
【請求項38】
レーザ・ビーム、超音波振動子、紫外線光源、プラズマ処理装置、フラッシュランプからなる群より選択される少なくとも一つの構成が更に追加されることを特徴とする請求項20記載の方法。
【請求項39】
前記段階(a)乃至(f)は、記載された順番に従って実施されることを特徴とする請求項20記載の方法。
【請求項40】
セルライト治療のための改善された方法であって、該方法は、
(a)前記被処置体内部の生物組織の表面に接触可能なアプリケータに向かう出力RFパワー信号を供給する段階と、
(b)更に前記方法は、前記出力RFパワー信号の有向進行波の移相の度合いを変化させる移相器を使用する段階を備え、前記移相の度合いが変更されたエネルギを、主に前記生物組織の前記表面下方の望ましい深さにある前記所定のエネルギ放散部に集中させ、
(c)更に前記方法は、前記被処置体内部の前記生物組織のインピーダンスを名目値から修正値に変換する段階を備え、前記修正値は前記RFエネルギ源と前記移相器のインピーダンス特性に整合するとともに、前記出力進行波はIMNにより定常波に変換されずに、前記生物組織の前記表面を通り、
(d)更に前記方法は、前記アプリケータ内部に配されるRF共振器中で、望ましい量のエネルギの蓄積と放出を周期的に繰り返す段階を備え、
(e)更に前記方法は、RF共振器中の望ましい量のエネルギを集中させる段階を備え、前記エネルギが前記RF共振器から放出される時に、前記エネルギの大部分が前記所定のエネルギ放散部に集中し、
(f)前記出力RFパワー信号が前記移相器、前記IMN、前記共振器により処理された後、前記RFエネルギ源からの前記出力RFパワー信号を、前記生物組織の前記表面を通じて前記所定のエネルギ放散部にアプリケータにより伝達する段階を備え、
前記段階(a)乃至(f)の実施により、逆温度勾配を形成されるとともに、前記生物組織の前記表面が所定のエネルギ放散部より低温となり、冷却装置を備える必要がなくなり、
接地電極を使用しないことで、前記エネルギ放散部に前記出力RFパワー信号の前記進行波が広範に伝播され、
前記少なくとも1つのセルライト体がその付近よりも高い温度で加熱されることを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2008−526421(P2008−526421A)
【公表日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−550931(P2007−550931)
【出願日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【国際出願番号】PCT/IL2005/000314
【国際公開番号】WO2006/077567
【国際公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【出願人】(506031591)アルマ レーザーズ エルティディ. (2)
【Fターム(参考)】