RFマネジメント装置及び電子戦システム
【課題】 不要波を除去して目標対象の電波を的確に探知することができるRFマネジメント装置を提供する。
【解決手段】 僚機Bのレーダ波周波数及びその位置と自機Aで探知した電波周波数及びその位置との比較結果に基づいて、僚機Bのレーダ波諸元を除去する除去器6と、僚機Bの妨害波周波数及び僚機Bの位置と自機Aで探知した電波周波数及びその位置との比較結果に基づいて、僚機Bの妨害波諸元を除去する除去器7と、自機Aのレーダ波送信周波数及び僚機Bで探知した脅威機Cの位置と自機Aで探知した電波周波数及びその位置との比較結果に基づいて、脅威機Cから自機Aへの妨害波諸元を除去する除去器8と、僚機Bのレーダ波送信周波数及び僚機Bで探知した脅威機Cの位置と自機Aで探知した電波周波数及びその位置との比較結果に基づいて、脅威機Cから僚機Bへの妨害波諸元を除去する除去器9とを備える。
【解決手段】 僚機Bのレーダ波周波数及びその位置と自機Aで探知した電波周波数及びその位置との比較結果に基づいて、僚機Bのレーダ波諸元を除去する除去器6と、僚機Bの妨害波周波数及び僚機Bの位置と自機Aで探知した電波周波数及びその位置との比較結果に基づいて、僚機Bの妨害波諸元を除去する除去器7と、自機Aのレーダ波送信周波数及び僚機Bで探知した脅威機Cの位置と自機Aで探知した電波周波数及びその位置との比較結果に基づいて、脅威機Cから自機Aへの妨害波諸元を除去する除去器8と、僚機Bのレーダ波送信周波数及び僚機Bで探知した脅威機Cの位置と自機Aで探知した電波周波数及びその位置との比較結果に基づいて、脅威機Cから僚機Bへの妨害波諸元を除去する除去器9とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、RF(Radio Frequency ;無線周波数)を管理するRFマネジメント装置に係り、特に航空機等が目標対象としない電波を照射された時にそれら不要な電波を除去するRFマネジメント装置及びこれを用いた電子戦システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
無線通信環境における不要波を除去する従来のRFマネジメントとしては、例えば特許文献1に開示される不正信号防止方法がある。この方法は、観測装置を搭載した無人移動体により、干渉あるいは意識的誘導妨害の存在する環境下において、観測を行うに際して、地上制御装置が無人移動体を安全に指令制御するものである。その内容を簡単に説明すると、無人移動体を指令制御する地上制御装置と当該無人移動体との間での通信において、通信回線の信号列を構成する各単位信号中に予め取り決めた所定の規則に従う位置で識別信号を挿入する。
【0003】
このようにすることで、妨害波である不要波を送信する相手方が容易に識別信号を特定することができず、この識別信号が、正規の信号であることを意味する各単位信号の暗証コードとして機能することになる。一方、識別信号の挿入位置を特定するための所定の規則を知っている無人移動体では、受信した信号が、地上制御装置からの正規の信号であるのか、相手側の妨害装置からの不正信号であるかの識別判断を、明確にかつ正確に下すことができる。
【0004】
【特許文献1】特開平6−51697号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のような従来のRFマネジメント方法では、正規の信号であるか不正の信号であるかの識別判断をするためには、信号中の予め定めた所定の規則に従う位置に識別信号を挿入する必要がある。このため、航空機などに搭載したアビオニクスシステムを使用する電子戦システムでは、従来のRFマネジメント方法であっても適切に不要波を除去することができないという課題がある。
【0006】
例えば、上記電子戦システムによる組織戦闘において、自機に搭載された電子戦システムが、脅威機から送信されたレーダ波を目標として的確に探知する必要がある。ここで、電子戦システムの運用環境下において自機が受信する電波としては、僚機によって送信されたレーダ波、僚機によって脅威機に送信された妨害波、自機が送信するレーダ波に対する脅威機からの妨害波や、僚機が送信するレーダ波に対する脅威機からの妨害波などがある。このように、運用環境下において、自機の電子戦システムでは、様々な帰属の電波が探知される。
【0007】
このため、従来のRFマネジメント方法を採用する場合、自機の電子戦システムが受信するであろう各電波ごとに識別信号を設ける必要があり実効的でない。また、脅威機からの電波信号にも、自機に対するものや僚機に対するものがあり、これらに対して予め取り決めた所定の規則に従う位置で識別信号を挿入することはできない。
【0008】
従って、従来のRFマネジメント方法では、脅威機から送信されたレーダ波を目標として探知してそのレーダ送信を妨害するにあたり、少なくとも運用環境下における自機が送信したレーダ波及び妨害波を除去することは可能であるが、他の電波を明確にかつ正確に識別できず、妨害波を目標として探知してしまう可能性がある。
【0009】
これにより、目標の誤表示、誤警報が発生し、パイロットの混乱を招くだけでなく、妨害リソースを浪費して自機の生存性が低下し、電子戦システムの役割を十分に果たせなくなるという課題があった。
【0010】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、受信した様々な電波から不要波を除去して目標対象の電波を的確に探知することができるRFマネジメント装置及びこれを用いた電子戦システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明に係るRFマネジメント装置は、脅威となる電子戦システム以外の他の電子戦システムから送信されたレーダ波の送信周波数及び他の電子戦システムの位置と自システムで探知した電波周波数及びその送信元の位置との比較結果に基づいて、他の電子戦システムから送信されたレーダ波についての諸元を目標諸元から除去する第1の除去処理部と、他の電子戦システムから脅威となる電子戦システムに送信された妨害波の送信周波数及び他の電子戦システムの位置と自システムで探知した電波周波数及びその送信元の位置との比較結果に基づいて、他の電子戦システムから送信された妨害波についての諸元を目標諸元から除去する第2の除去処理部と、自システムから送信されたレーダ波の送信周波数及び他の電子戦システムで探知した脅威となる電子戦システムの位置と自システムで探知した電波周波数及びその送信元の位置との比較結果に基づいて、脅威となる電子戦システムから自システムに送信された妨害波についての諸元を目標諸元から除去する第3の除去処理部と、他の電子戦システムから送信されたレーダ波の送信周波数及び他の電子戦システムで探知した脅威となる電子戦システムの位置と自システムで探知した電波周波数及びその送信元の位置との比較結果に基づいて、脅威となる電子戦システムから他の電子戦システムに送信された妨害波についての諸元を目標諸元から除去する第4の除去処理部とを備えるものである。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、脅威となる電子戦システム以外の他の電子戦システムから送信されたレーダ波の送信周波数及び他の電子戦システムの位置と自システムで探知した電波周波数及びその送信元の位置との比較結果に基づいて、他の電子戦システムから送信されたレーダ波についての諸元を目標諸元から除去する第1の除去処理部と、他の電子戦システムから脅威となる電子戦システムに送信された妨害波の送信周波数及び他の電子戦システムの位置と自システムで探知した電波周波数及びその送信元の位置との比較結果に基づいて、他の電子戦システムから送信された妨害波についての諸元を目標諸元から除去する第2の除去処理部と、自システムから送信されたレーダ波の送信周波数及び他の電子戦システムで探知した脅威となる電子戦システムの位置と自システムで探知した電波周波数及びその送信元の位置との比較結果に基づいて、脅威となる電子戦システムから自システムに送信された妨害波についての諸元を目標諸元から除去する第3の除去処理部と、他の電子戦システムから送信されたレーダ波の送信周波数及び他の電子戦システムで探知した脅威となる電子戦システムの位置と自システムで探知した電波周波数及びその送信元の位置との比較結果に基づいて、脅威となる電子戦システムから他の電子戦システムに送信された妨害波についての諸元を目標諸元から除去する第4の除去処理部とを備えるので、探知した様々な電波から不要波を除去して目標対象の電波のみを的確に決定することができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
実施の形態1.
図1は、この発明のアビオニクス運用環境を概念的に示す図であり、航空機に搭載したアビオニクスシステムを使用する電子戦システムによる組織戦闘を示している。図において、自機Aには、後述する本実施の形態1によるRFマネジメント装置を有する電子戦システム(自システム)(以下、単に自機Aと略す)が搭載されている。また、自機Aは、脅威機Cに対してレーダ波aを送信してその反射波から脅威機Cの方位及び距離を検出する。
【0014】
同様に、僚機Bの電子戦システム(脅威となる電子戦システム以外の他の電子戦システム)(以下、単に僚機Bと略す)は、脅威機Cに対してレーダ波cを送信しその反射波から脅威機Cの方位及び距離を検出する。一方、脅威機Cの電子戦システム(脅威となる電子戦システム)(以下、単に脅威機Cと略す)は、自機A及び僚機Bに対してレーダ波g,hをそれぞれ送信しその反射波から自機A及び僚機Bの各方位及び距離を検出する。
【0015】
自機Aに受信される電波としては、脅威機Cが自機Aに送信したレーダ波gに加え、レーダ波aに対する脅威機Cからの妨害波b、僚機Bから脅威機Cへのレーダ波cの送信時に自機A側で受信されたレーダ波d(レーダ波cを自機A側で受信したものでレーダ波c,dは同一周波数)、レーダ波hに対する僚機Bからの妨害波iの送信時に自機A側で受信された妨害波j(妨害波iを自機A側で受信したもので妨害波i,jは同一周波数)、及び、脅威機Cから僚機Bへの妨害波eの送信時に自機A側で受信された妨害波f(妨害波eを自機A側で受信したもので妨害波e,fは同一周波数)がある。
【0016】
図2は、図1中のアビオニクス運用環境下で動作する、本実施の形態1による電子戦システムの構成を概略的に示すブロック図である。本実施の形態1による電子戦システム1は、受信装置(目標諸元探知部)2、RFマネジメント装置3、識別装置4及び妨害装置5を含んで構成される。受信装置2では、RF(Radio Frequency;高周波、無線周波数)の信号Iaを受信分析してその周波数などの電波諸元を検出してRFマネジメント装置3に出力する。
【0017】
RFマネジメント装置3は、受信装置2が検出した受信信号の電波諸元、入力した自機Aに関する情報Ib及び僚機Bに関する情報Icから不要波を除去する。識別装置4では、RFマネジメント装置3によって不要波諸元が除去された諸元から目標の電波諸元を識別する。妨害装置5は、識別装置4による識別結果に基づいて目標諸元に対抗する諸元IdのRF信号を妨害波として出力する。ここでは、目標からのレーダ波と同一若しくはそれに相当するほぼ同一の周波数の電波を妨害波として出力する。
【0018】
図3は、図2中のRFマネジメント装置の構成を概略的に示すブロック図である。本実施の形態1によるRFマネジメント装置3は、僚機レーダ波除去器(第1の除去処理部)6、僚機妨害波除去器(第2の除去処理部)7、自機レーダ対応脅威妨害波除去器(第3の除去処理部)8及び僚機レーダ対応脅威妨害波除去器(第4の除去処理部)9から構成される。僚機レーダ波除去器6は、受信装置2が受信した目標の電波諸元(目標から送信されるレーダ周波数及び目標位置)に対して、僚機Bのレーダ送信周波数(レーダ波cの周波数)及び僚機Bの位置を利用して僚機Bから脅威機Cへのレーダ波cの送信時に自機A側で受信されたレーダ波dによる電波諸元を特定して不要波諸元として除去する。
【0019】
僚機妨害波除去器7は、受信装置2が受信した目標の電波諸元(目標から送信されるレーダ周波数及び目標位置)に対して、僚機Bの妨害波周波数(妨害波iの周波数(=妨害波jの周波数))及び僚機Bの位置を利用して僚機Bから脅威機Cへの妨害波iの送信時に自機A側で受信された妨害波jによる電波諸元を特定して不要波諸元として除去する。
【0020】
自機レーダ対応脅威妨害波除去器8は、受信装置2が受信した目標の電波諸元(目標から送信されるレーダ周波数及び目標位置)に対して、自機Aのレーダ送信周波数(レーダ波aの周波数)及び自機Aのレーダにより特定した脅威機Cの位置を利用して自機Aが脅威機Cに送信したレーダ波aに対する脅威機Cからの妨害波bによる電波諸元を特定して不要波諸元として除去する。
【0021】
僚機レーダ対応脅威妨害波除去器9は、受信装置2が受信した目標の電波諸元(目標から送信されるレーダ周波数及び目標位置)に対して、僚機Bのレーダ送信周波数(レーダ波cの周波数)及び自機Aのレーダにより特定した脅威機Cの位置を利用して僚機Bが脅威機Cに送信したレーダ波cに対する脅威機Cから僚機Bへの妨害波eの送信時に自機A側で受信された妨害波fによる電波諸元を特定して不要波諸元として除去する。
【0022】
図4から図7までは、実施の形態1による電子戦システムの構成をより詳細に示したブロック図であり、図3中のRFマネジメント装置2の構成である、僚機レーダ波除去器6、僚機妨害波除去器7、自機レーダ対応脅威妨害波除去器8及び僚機レーダ対応脅威妨害波除去器9の動作をそれぞれ説明するための図である。
【0023】
各図において、レーダ装置(目標諸元探知部)10は、送信アンテナ14を介してレーダ波を探知対象に送信しその反射波から探知対象の方位及び距離を検出する。電波探知装置(ESM;Electric Support Measures)(目標諸元探知部)11は、受信アンテナ15を介して自機A側に送信されたレーダ波を受信してその周波数などの電波諸元を検出する。これらレーダ装置10及び電波探知装置11が、図2中の受信装置2に相当する。
なお、基本的には、レーダ装置10及び電波探知装置11を用いて自機Aの電子戦システムで算出した飛行機の方位と距離を使用する。
【0024】
データリンク装置12は、送信アンテナ17を介して自機Aの位置やレーダ送信周波数、自機Aが探知した脅威機Cの位置に関する情報をデータリンク情報D2として僚機Bに送信する一方、受信アンテナ16を介して僚機Bの位置(緯度、経度)やレーダ送信周波数、僚機Bが探知している脅威機Cの位置に関する情報をデータリンク情報D1として僚機Bのデータリンク装置から受信する。
【0025】
他アビオニクスシステム13は、RFマネジメント装置3、識別装置4、妨害装置5、レーダ装置10、電波探知装置11及びデータリンク装置12以外の自機Aに搭載されたアビオニクスシステムであって、少なくともGPS(Global Positioning System)などの自機Aの位置を検出するシステムや、脅威機Cに自機Aが送信するレーダ送信周波数を検出するシステムなどを含む。また、妨害装置5は、送信アンテナ18を介して諸元Idの妨害電波を出力する。なお、図1から図3までに示した構成要素と同一若しくはこれに相当するものには同一符号を付して重複する説明を省略している。
【0026】
次に動作について説明する。
先ず、RFマネジメント装置3の周辺構成による動作を説明する。
自機システム(電子戦システム)のレーダ装置10は、送信アンテナ14を介して僚機Bにレーダ波を送信し、当該レーダ波の僚機Bからの反射波に基づいて僚機Bを探知してその方位と距離を検出する。この僚機Bの方位と距離に関するデータは、レーダ装置10及び電波探知装置11から僚機レーダ波除去器6及び僚機妨害波除去器7に出力される。
【0027】
また、同時に、レーダ装置10は、脅威機Cがいる場合、送信アンテナ14を介して脅威機Cにレーダ波を送信し、当該レーダ波の脅威機Cからの反射波に基づいて脅威機Cを探知してその方位と距離を検出して自機レーダ対応脅威妨害波除去器8及び僚機レーダ対応脅威妨害波除去器9に出力する。なお、レーダ装置10によるレーダ波の反射波を用いた方位と距離の検出処理自体は、既存の技術を用いて行われる。
【0028】
電波探知装置11では、受信アンテナ15を介して自機A側に送信されたレーダ波を受信してその周波数などの電波諸元(周波数など)を検出する。電波探知装置11による検出結果の電波諸元に関するデータは、僚機レーダ波除去器6、僚機妨害波除去器7、自機レーダ対応脅威妨害波除去器8及び僚機レーダ対応脅威妨害波除去器9にそれぞれ出力される。
【0029】
データリンク装置12は、受信アンテナ16を介して、僚機Bの位置(緯度、経度)やレーダ送信周波数、僚機Bが探知している脅威機Cの位置に関する情報をデータリンク情報D1として僚機Bのデータリンク装置から受信する。このあと、データリンク装置12は、データリンク情報D1を僚機Bに関する情報Icとして、僚機レーダ波除去器6、僚機妨害波除去器7、自機レーダ対応脅威妨害波除去器8及び僚機レーダ対応脅威妨害波除去器9にそれぞれ出力する。
【0030】
他アビオニクスシステム13では、その構成要素の1つであるGPSシステムなどを用いて自機Aの位置(緯度、経度)を検出し、自機Aに関する情報Ibとして僚機レーダ波除去器6、僚機妨害波除去器7、自機レーダ対応脅威妨害波除去器8及び僚機レーダ対応脅威妨害波除去器9にそれぞれ出力する。また、他アビオニクスシステム13は、自機Aが脅威機Cに送信しているレーダ波aの送信周波数を検出して自機レーダ対応脅威妨害波除去器8に出力する。
【0031】
続いて、図4から図7までを用いて実施の形態1のRFマネジメント装置3による不要波の電波諸元の除去処理について説明する。
僚機レーダ波除去器6では、僚機Bから脅威機Cへのレーダ波cを送信する際に僚機Bから自機Aへ照射される意図しないレーダ波dを除去する。先ず、図4中で矢印で結んで示すように、僚機レーダ波除去器6は、レーダ装置10及び電波探知装置11が検出した僚機Bの方位と距離に関するデータと他アビオニクスシステム13が検出した自機Aの位置(緯度、経度)に関するデータとを用いて僚機Bの位置(緯度、経度)を算出する。
なお、基本的には、レーダ装置10及び電波探知装置11を用いて自機Aの電子戦システムで算出した飛行機の方位と距離を使用する。
【0032】
次に、僚機レーダ波除去器6は、レーダ装置10及び他アビオニクスシステム13により検出されたデータを用いて算出した僚機Bの位置(緯度、経度)に関するデータと、データリンク装置12を介して入力した僚機Bの位置(緯度、経度)に関するデータとを比較し、さらに電波探知装置11が検出した受信電波に基づく電波諸元(周波数)と、データリンク装置12から入力した僚機Bが送信しているレーダ波cの送信周波数に関するデータとを比較して、それぞれの一致判定を行う。
【0033】
このとき、僚機Bの位置及びレーダ送信周波数がそれぞれ一致していれば、僚機レーダ波除去器6は、電波探知装置11が検出した受信電波のうち、当該周波数に係るデータが、僚機Bから脅威機Cへのレーダ波cの送信時に自機A側で受信されたレーダ波d(レーダ波cを自機A側で受信したものでレーダ波c,dは同一周波数)によるものと判断し、当該電波諸元を不要波諸元として電波探知装置11が検出した受信電波に基づく電波諸元から除去する。
【0034】
また、僚機妨害波除去器7では、脅威機Cから僚機Bへのレーダ波hに対して僚機Bから脅威機Cへ妨害波iを送信する際に僚機Bから自機Aへ照射される意図しない妨害波jを除去する。先ず、僚機妨害波除去器7は、僚機レーダ波除去器6と同様に、図5中で矢印で結んで示すように、レーダ装置10が検出した僚機Bの方位と距離に関するデータと他アビオニクスシステム13が検出した自機Aの位置(緯度、経度)に関するデータとを用いて僚機Bの位置(緯度、経度)を算出する。
【0035】
次に、僚機妨害波除去器7は、レーダ装置10及び他アビオニクスシステム13により検出されたデータを用いて算出した僚機Bの位置(緯度、経度)に関するデータと、データリンク装置12から入力した僚機Bの位置(緯度、経度)に関するデータとを比較し、さらに電波探知装置11が検出した受信電波に基づく電波諸元(周波数)と、データリンク装置12から入力した僚機Bが送信している妨害波iの送信周波数に関するデータとを比較して、それぞれの一致判定を行う。
【0036】
このとき、僚機Bの位置及び妨害波送信周波数がそれぞれ一致していれば、僚機妨害波除去器7は、電波探知装置11が検出した受信電波のうち、当該周波数に係るデータが、僚機Bから脅威機Cへの妨害波iの送信時に自機A側で受信された妨害波j(妨害波iを自機A側で受信したもので妨害波i,jは同一周波数)によるものと判断し、当該電波諸元を不要波諸元として電波探知装置11が検出した受信電波に基づく電波諸元から除去する。
【0037】
自機レーダ対応脅威妨害波除去器8では、自機Aから脅威機Cへのレーダ波aに対する脅威機Cから自機Aへの妨害波bを除去する。先ず、図6中で矢印で結んで示すように、自機レーダ対応脅威妨害波除去器8は、レーダ装置10及び電波探知装置11が検出した脅威機Cの方位と距離に関するデータと他アビオニクスシステム13が検出した自機Aの位置に関するデータとを用いて脅威機Cの位置(緯度、経度)を算出する。
【0038】
次に、自機レーダ対応脅威妨害波除去器8は、レーダ装置10及び他アビオニクスシステム13により検出されたデータを用いて算出した脅威機Cの位置(緯度、経度)に関するデータと、データリンク装置12を介して入力した僚機Bが探知した脅威機Cの位置(緯度、経度)に関するデータとを比較し、さらに電波探知装置11が検出した受信電波に基づく電波諸元(周波数)と、他アビオニクスシステム13から入力した脅威機Cに送信しているレーダ波aの送信周波数に関するデータとを比較して、それぞれの一致判定を行う。なお、データリンク装置12を介して入力したデータを使用する例を示したが、基本的には、図6に示すように、自機システムAに搭載したレーダ装置10によって検出された脅威機Cの位置に関するデータを使用する。
【0039】
上記処理において、脅威機Cの位置及びレーダ送信周波数がそれぞれ一致していれば、自機レーダ対応脅威妨害波除去器8は、電波探知装置11が検出した受信電波のうち、当該周波数に係るデータが、自機Aから脅威機Cへ送信したレーダ波aに対する脅威機Cからの妨害波bよるものと判断し、当該電波諸元を不要波諸元として電波探知装置11が検出した受信電波に基づく電波諸元から除去する。
【0040】
なお、上記判定は、妨害波が相手側から送信されたレーダ波と同じ周波数若しくはほぼ同じ周波数であることを利用している。つまり、脅威機Cは、自機Aから脅威機Cへ送信されたレーダ波aと同じ周波数若しくはほぼ同じ周波数の妨害波bを照射することにより自機Aの電波探知を妨害する。
【0041】
また、僚機レーダ対応脅威妨害波除去器9では、僚機Bから脅威機Cへのレーダ波cに対する脅威機Cから僚機Bへの妨害波eを送信する際に脅威機Cから自機Aへ照射される意図しない妨害波fを除去する。先ず、僚機レーダ対応脅威妨害波除去器9は、図7中で矢印で結んで示すように、レーダ装置10及び電波探知装置11が検出した脅威機Cの方位と距離に関するデータと他アビオニクスシステム13が検出した自機Aの位置に関するデータとを用いて脅威機Cの位置(緯度、経度)を算出する。
【0042】
次に、僚機レーダ対応脅威妨害波除去器9は、レーダ装置10及び他アビオニクスシステム13により検出されたデータを用いて算出した脅威機Cの位置(緯度、経度)に関するデータと、データリンク装置12を介して入力した僚機Bが検出した脅威機Cの位置(緯度、経度)に関するデータとを比較すると共に、電波探知装置11が検出した受信電波に基づく電波諸元(周波数)と、データリンク装置12から入力した僚機Bが脅威機Cに送信しているレーダ波cの送信周波数に関するデータとを比較して、それぞれの一致判定を行う。
【0043】
このとき、脅威機Cの位置及びレーダ送信周波数がそれぞれ一致していれば、僚機レーダ対応脅威妨害波除去器9は、電波探知装置11が検出した受信電波のうち、当該周波数に係るデータが、レーダ波cに対する妨害波eの送信時に脅威機Cから自機Aへ照射される妨害波fよるものと判断し、当該電波諸元を不要波諸元として電波探知装置11が検出した受信電波に基づく電波諸元から除去する。
【0044】
なお、上記判定は、妨害波が相手側から送信されたレーダ波と同じ周波数若しくはほぼ同じ周波数であることを利用している。つまり、脅威機Cは、僚機Bから脅威機Cへ送信されたレーダ波cと同じ周波数の妨害波eを照射することにより僚機Bの電波探知を妨害する。
【0045】
識別装置4は、上述のようにしてRFマネジメント装置3によって不要波諸元が除去された諸元から目標の電波諸元を識別する。そして、妨害装置5は、識別装置4による識別結果に基づいて目標に帰属する電波諸元に対抗する諸元IdのRF信号を妨害波として出力する。
【0046】
以上のように、この実施の形態1によれば、僚機Bから送信されたレーダ波の送信周波数及びその位置と自機Aで探知した電波周波数及びその送信元の位置との比較結果に基づいて、僚機Bから送信されたレーダ波についての諸元を目標諸元から除去する僚機レーダ波除去器6と、僚機Bから脅威機Cに送信された妨害波の送信周波数及び僚機Bの位置と自機Aで探知した電波周波数及びその送信元の位置との比較結果に基づいて、僚機Bから送信された妨害波についての諸元を目標諸元から除去する僚機妨害波除去器7と、自機Aから送信されたレーダ波の送信周波数及び僚機Bで探知した脅威機Cの位置と自機Aで探知した電波周波数及びその送信元の位置との比較結果に基づいて、脅威機Cから自機Aに送信された妨害波についての諸元を目標諸元から除去する自機レーダ対応脅威妨害波除去器8と、僚機Bから送信されたレーダ波の送信周波数及び僚機Bで探知した脅威機Cの位置と自機Aで探知した電波周波数及びその送信元の位置との比較結果に基づいて、脅威機Cから僚機Bに送信された妨害波についての諸元を目標諸元から除去する僚機レーダ対応脅威妨害波除去器9とを備えるので、自機Aのレーダ波送信周波数や自機Aが取得した目標位置と僚機Bのレーダ波送信周波数、妨害周波数、僚機Bの位置、僚機Bが取得した目標位置を利用して自機Aの電子戦システムが目標対象とするレーダ波以外を除去することができる。
【0047】
実施の形態2.
図8から図11までは、この発明の実施の形態2による電子戦システムの構成を示したブロック図であり、実施の形態2による、僚機レーダ波除去器(第1の除去処理部)6a、僚機妨害波除去器(第2の除去処理部)7a、自機レーダ対応脅威妨害波除去器(第3の除去処理部)8a及び僚機レーダ対応脅威妨害波除去器(第4の除去処理部)9aの動作をそれぞれ説明するための図である。
【0048】
各図において、レーダ装置(目標諸元探知部)10は、送信アンテナ14を介してレーダ波を探知対象に送信しその反射波から探知対象の方位及び距離を検出する。電波探知装置(ESM;Electric Support Measures)(目標諸元探知部)11は、受信アンテナ15を介して自機A側に送信されたレーダ波を受信してその周波数などの電波諸元を検出する。
【0049】
データリンク装置12は、送信アンテナ17を介して自機Aの位置やレーダ送信周波数、自機Aが探知した脅威機Cの位置に関する情報をデータリンク情報D2として僚機Bに送信し、受信アンテナ16を介して僚機Bの位置(緯度、経度)やレーダ送信周波数、僚機Bが探知している脅威機Cの位置に関する情報をデータリンク情報D1として僚機Bのデータリンク装置から受信する。
【0050】
他アビオニクスシステム13は、RFマネジメント装置3、識別装置4、妨害装置5、レーダ装置10、電波探知装置11及びデータリンク装置12以外の自機Aに搭載されたアビオニクスシステムであって、少なくともGPS(Global Positioning System)などの自機Aの位置を検出するシステムや、脅威機Cに自機Aが送信するレーダ送信周波数を検出するシステムなどを含む。また、妨害装置5は、送信アンテナ18を介して諸元Idの妨害電波を出力する。なお、上記実施の形態1で説明した図1から図3までの構成要素と同一若しくはこれに相当するものには同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0051】
図8に示す僚機レーダ波除去器6aでは、受信装置2が受信した目標の電波諸元(目標から送信されるレーダ周波数及び目標位置)に対して、自己にプリセットしておいた僚機Bのレーダ送信周波数(レーダ波cの周波数)に関するデータ及びデータリンク情報D2からの僚機Bの位置を利用して僚機Bから脅威機Cへのレーダ波cの送信時に自機A側で受信されたレーダ波dによる電波諸元を特定して不要波諸元として除去する。
【0052】
図9に示す僚機妨害波除去器7aでは、受信装置2が受信した目標の電波諸元(目標から送信されるレーダ周波数及び目標位置)に対して、自己が探知していた既存の脅威機Cによるレーダ波送信周波数(レーダ波hの周波数)及びデータリンク情報D2からの僚機Bの位置を利用して僚機Bから脅威機Cへの妨害波iの送信時に自機A側で受信された妨害波jによる電波諸元を特定して不要波諸元として除去する。
【0053】
図10に示す自機レーダ対応脅威妨害波除去器8aでは、受信装置2が受信した目標の電波諸元(目標から送信されるレーダ周波数及び目標位置)に対して、自己にプリセットしておいた自機Aのレーダ送信周波数(レーダ波aの周波数)及び自機Aのレーダにより特定した脅威機Cの位置を利用して自機Aが脅威機Cに送信したレーダ波aに対する脅威機Cからの妨害波bによる電波諸元を特定して不要波諸元として除去する。
【0054】
図11に示す僚機レーダ対応脅威妨害波除去器9aは、受信装置2が受信した目標の電波諸元(目標から送信されるレーダ周波数及び目標位置)に対して、自己にプリセットしておいた僚機Bのレーダ送信周波数(レーダ波cの周波数)及び自機Aのレーダにより特定した脅威機Cの位置を利用して僚機Bが脅威機Cに送信したレーダ波cに対する脅威機Cから僚機Bへの妨害波eの送信時に自機A側で受信された妨害波fによる電波諸元を特定して不要波諸元として除去する。
【0055】
次に動作について説明する。
先ず、RFマネジメント装置3の周辺構成による動作を説明する。
自機システムのレーダ装置10は、送信アンテナ14を介して僚機Bにレーダ波を送信し、当該レーダ波の僚機Bからの反射波に基づいて僚機Bを探知してその方位と距離を検出する。この僚機Bの方位と距離に関するデータは、レーダ装置10及び電波探知装置11から僚機レーダ波除去器6a及び僚機妨害波除去器7aに出力される。
【0056】
また、同時に、レーダ装置10は、脅威機Cがいる場合、送信アンテナ14を介して脅威機Cにレーダ波を送信し、当該レーダ波の脅威機Cからの反射波に基づいて脅威機Cを探知してその方位と距離を検出して自機レーダ対応脅威妨害波除去器8a及び僚機レーダ対応脅威妨害波除去器9aに出力する。なお、レーダ装置10によるレーダ波の反射波を用いた方位と距離の検出処理自体は、既存の技術を用いて行われる。
【0057】
電波探知装置11では、受信アンテナ15を介して自機A側に送信されたレーダ波を受信してその周波数などの電波諸元(周波数など)を検出する。電波探知装置11による検出結果の電波諸元に関するデータは、僚機レーダ波除去器6a、僚機妨害波除去器7a、自機レーダ対応脅威妨害波除去器8a及び僚機レーダ対応脅威妨害波除去器9aにそれぞれ出力される。
【0058】
データリンク装置12は、受信アンテナ16を介して、僚機Bの位置(緯度、経度)やレーダ送信周波数、僚機Bが探知している脅威機Cの位置に関する情報をデータリンク情報D1として僚機Bのデータリンク装置から受信する。このあと、データリンク装置12は、データリンク情報D1を僚機Bに関する情報Icとして、僚機レーダ波除去器6a、僚機妨害波除去器7a、自機レーダ対応脅威妨害波除去器8a及び僚機レーダ対応脅威妨害波除去器9aにそれぞれ出力する。
【0059】
他アビオニクスシステム13では、その構成要素の1つであるGPSシステムなどを用いて自機Aの位置(緯度、経度)を検出し、自機Aに関する情報Ibとして僚機レーダ波除去器6a、僚機妨害波除去器7a、自機レーダ対応脅威妨害波除去器8a及び僚機レーダ対応脅威妨害波除去器9aにそれぞれ出力する。また、他アビオニクスシステム13は、自機Aが脅威機Cに送信しているレーダ波aの送信周波数を検出して自機レーダ対応脅威妨害波除去器8aに出力する。
【0060】
続いて、上記実施の形態1で示した図1及び図8から図11までを用いて実施の形態2のRFマネジメント装置による不要波の電波諸元の除去処理について説明する。
僚機レーダ波除去器6aは、僚機Bから脅威機Cへのレーダ波cを送信する際に僚機Bから自機Aへ照射される意図しないレーダ波dを除去する。先ず、図8中で矢印で結んで示すように、僚機レーダ波除去器6aは、レーダ装置10及び電波探知装置11が検出した僚機Bの方位と距離に関するデータと他アビオニクスシステム13が検出した自機Aの位置(緯度、経度)に関するデータとを用いて僚機Bの位置(緯度、経度)を算出する。
【0061】
次に、僚機レーダ波除去器6aは、レーダ装置10及び他アビオニクスシステム13により検出されたデータを用いて算出した僚機Bの位置(緯度、経度)に関するデータと、データリンク装置12を介して入力した僚機Bの位置(緯度、経度)に関するデータとを比較し、さらに電波探知装置11が検出した受信電波に基づく電波諸元(周波数)と、プリセットしておいた僚機Bのレーダ波送信周波数(=レーダ波cの送信周波数)に関するデータとを比較して、それぞれの一致判定を行う。
【0062】
このとき、僚機Bの位置及びレーダ送信周波数がそれぞれ一致していれば、僚機レーダ波除去器6aは、電波探知装置11が検出した受信電波のうち、当該周波数に係るデータが、僚機Bから脅威機Cへのレーダ波cの送信時に自機A側で受信されたレーダ波d(レーダ波cを自機A側で受信したものでレーダ波c,dは同一周波数)によるものと判断し、当該電波諸元を不要波諸元として電波探知装置11が検出した受信電波に基づく電波諸元から除去する。
【0063】
また、僚機妨害波除去器7aでは、脅威機Cから僚機Bへのレーダ波hに対して僚機Bから脅威機Cへ妨害波iを送信する際に僚機Bから自機Aへ照射される意図しない妨害波jを除去する。先ず、僚機妨害波除去器7aは、僚機レーダ波除去器6と同様に、図9中で矢印で結んで示すように、レーダ装置10及び電波探知装置11が検出した僚機Bの方位と距離に関するデータと他アビオニクスシステム13が検出した自機Aの位置(緯度、経度)に関するデータとを用いて僚機Bの位置(緯度、経度)を算出する。
【0064】
次に、僚機妨害波除去器7aは、レーダ装置10及び他アビオニクスシステム13により検出されたデータを用いて算出した僚機Bの位置(緯度、経度)に関するデータと、データリンク装置12を介して入力した僚機Bの位置(緯度、経度)に関するデータとを比較し、さらに電波探知装置11が検出した受信電波に基づく電波諸元(周波数)と、自己が探知していた脅威機Cのレーダ波送信周波数に関する既存探知データとを比較して、それぞれの一致判定を行う。
【0065】
このとき、僚機Bの位置及びレーダ送信周波数がそれぞれ一致していれば、僚機妨害波除去器7aは、電波探知装置11が検出した受信電波のうち、当該周波数に係るデータが、僚機Bから脅威機Cへの妨害波i(脅威機Cによるレーダ波送信周波数と同じ周波数)の送信時に自機A側で受信された妨害波j(妨害波iを自機A側で受信したもので妨害波i,jは同一周波数)によるものと判断し、当該電波諸元を不要波諸元として電波探知装置11が検出した受信電波に基づく電波諸元から除去する。
【0066】
なお、上記判定は、妨害波が相手側から送信されたレーダ波と同じ周波数若しくはほぼ同じ周波数であることを利用している。つまり、僚機Bは、脅威機Cからのレーダ波送信周波数と同じ周波数若しくはほぼ同じ周波数の妨害波iを送信することにより脅威機Cの電波探知を妨害する。
【0067】
自機レーダ対応脅威妨害波除去器8aでは、自機Aから脅威機Cへのレーダ波aに対する脅威機Cから自機Aへの妨害波bを除去する。先ず、図10中で矢印で結んで示すように、自機レーダ対応脅威妨害波除去器8aは、レーダ装置10及び電波探知装置11が検出した脅威機Cの方位と距離に関するデータと他アビオニクスシステム13が検出した自機Aの位置に関するデータとを用いて脅威機Cの位置(緯度、経度)を算出する。
【0068】
次に、自機レーダ対応脅威妨害波除去器8aは、レーダ装置10及び他アビオニクスシステム13により検出されたデータを用いて算出した脅威機Cの位置(緯度、経度)に関するデータと、データリンク装置12を介して入力した僚機Bが探知した脅威機Cの位置(緯度、経度)に関するデータとを比較し、さらに電波探知装置11が検出した受信電波に基づく電波諸元(周波数)と、自己にプリセットされている自機Aのレーダ波送信周波数(レーダ波aに対応する)に関するデータとを比較して、それぞれの一致判定を行う。なお、データリンク装置12を介して入力したデータを使用する例を示したが、基本的には、自機システムAに搭載したレーダ装置10によって検出された脅威機Cの位置に関するデータを使用する。
【0069】
このとき、脅威機Cの位置及びレーダ送信周波数がそれぞれ一致していれば、自機レーダ対応脅威妨害波除去器8aは、電波探知装置11が検出した受信電波のうち、当該周波数に係るデータが、自機Aから脅威機Cへ送信したレーダ波aに対する脅威機Cからの妨害波bよるものと判断し、当該電波諸元を不要波諸元として電波探知装置11が検出した受信電波に基づく電波諸元から除去する。
【0070】
なお、上記判定は、妨害波が相手側から送信されたレーダ波と同じ周波数若しくはほぼ同じ周波数であることを利用している。つまり、脅威機Cは、自機Aから脅威機Cへ送信したレーダ波aと同じ周波数若しくはほぼ同じ周波数の妨害波bを照射することにより自機Aの電波探知を妨害する。
【0071】
僚機レーダ対応脅威妨害波除去器9aでは、僚機Bから脅威機Cへのレーダ波cに対する脅威機Cから僚機Bへの妨害波eを送信する際に脅威機Cから自機Aへ照射される意図しない妨害波fを除去する。先ず、僚機レーダ対応脅威妨害波除去器9aは、図11中で矢印で結んで示すように、レーダ装置10及び電波探知装置11が検出した脅威機Cの方位と距離に関するデータと他アビオニクスシステム13が検出した自機Aの位置に関するデータとを用いて脅威機Cの位置(緯度、経度)を算出する。
【0072】
次に、僚機レーダ対応脅威妨害波除去器9aは、レーダ装置10及び他アビオニクスシステム13により検出されたデータを用いて算出した脅威機Cの位置(緯度、経度)に関するデータと、データリンク装置12を介して入力した僚機Bが検出した脅威機Cの位置(緯度、経度)に関するデータとを比較し、電波探知装置11が検出した受信電波に基づく電波諸元(周波数)と、自己にプリセットされている僚機Bのレーダ波送信周波数(レーダ波cに対応する)に関するデータとを比較して、それぞれの一致判定を行う。
【0073】
このとき、脅威機Cの位置及びレーダ送信周波数がそれぞれ一致していれば、僚機レーダ対応脅威妨害波除去器9aは、電波探知装置11が検出した受信電波のうち、当該周波数に係るデータが、レーダ波cに対する妨害波eの送信時に脅威機Cから自機Aへ照射される妨害波fよるものと判断し、当該電波諸元を不要波諸元として電波探知装置11が検出した受信電波に基づく電波諸元から除去する。
【0074】
なお、上記判定は、妨害波が相手側から送信されたレーダ波と同じ周波数若しくはほぼ同じ周波数であることを利用している。つまり、脅威機Cは、僚機Bから脅威機Cへ送信したレーダ波cと同じ周波数若しくはほぼ同じ周波数の妨害波eを照射することにより僚機Bの電波探知を妨害する。
【0075】
識別装置4は、上述のようにしてRFマネジメント装置3によって不要波諸元が除去された諸元から目標の電波諸元を識別する。そして、妨害装置5は、識別装置4による識別結果に基づいて、目標に帰属する電波諸元に対抗する諸元IdのRF信号を妨害波として出力する。
【0076】
以上のように、この実施の形態2によれば、僚機Bから送信されるレーダ波の送信周波数をプリセットしておき、当該プロセットデータと僚機Bのアビオニクスシステムであるデータリンク装置から取得した僚機Bが探索した目標位置とを用いて不要電波の諸元を除去する僚機レーダ波除去器6aを設けたので、僚機Bからのデータリンク情報D2に送信周波数が含まれていない場合であっても、僚機Bからのレーダ波による諸元を除去して目標情報のみを取得することができる。
【0077】
また、この実施の形態2によれば、僚機Bから送信された妨害波周波数の代わりに、既に探知された脅威機Cからのレーダ波周波数をプリセットしておき、当該プリセットデータと僚機Bのアビオニクスシステムであるデータリンク装置から取得した僚機Bが探索した目標位置と用いて不要電波の諸元を除去する僚機妨害波除去器7aを設けたので、僚機Bからのデータリンク情報D2に妨害波周波数が含まれていない場合であっても、僚機Bからの妨害波による諸元を除去して目標情報のみを取得することができる。
【0078】
さらに、この実施の形態2によれば、自機Aが送信するレーダ波の送信周波数をプリセットしておき、当該プリセットデータと自機Aの他アビオニクスシステム13から取得した自機Aが探索した目標位置と用いて不要電波の諸元を除去する自機レーダ対応脅威妨害波除去器8aを設けたので、脅威機Cから自機Aのレーダ波に対する妨害波の諸元を除去して目標情報のみを取得することができる。
【0079】
さらに、この実施の形態2によれば、僚機Bが送信するレーダ波の送信周波数をプリセットしておき、当該プリセットデータと僚機Bのアビオニクスシステムであるデータリンク装置から取得した僚機Bが探索した目標位置と用いて不要電波の諸元を除去する僚機レーダ対応脅威妨害波除去器9aを設けたので、脅威機Cから僚機Bのレーダ波に対する妨害波の諸元を除去して目標情報のみを取得することができる。
【0080】
実施の形態3.
この実施の形態3は、上記実施の形態1で示したRFマネジメント装置及びこれを用いた電子戦システムと基本的な構成は同一であるが、僚機Bのレーダ送信周波数及び位置に加えてそのレーダ波送信におけるパルス繰返し間隔及びパルス幅を利用して僚機レーダ波除去器6が不要波を除去し、僚機妨害波除去器7も僚機Bの妨害送信周波数及び位置に加えて僚機Bによる妨害波送信におけるパルス繰返し間隔及びパルス幅を利用して不要波を除去するものである。
【0081】
上記実施の形態1で示した図1、図8及び図9を用いて実施の形態3のRFマネジメント装置による不要波の電波諸元の除去処理について説明する。
先ず、データリンク装置12は、受信アンテナ16を介して、僚機Bの位置(緯度、経度)やレーダ送信周波数などのデータに加え、僚機Bのレーダ波送信におけるパルス繰返し間隔及びパルス幅、僚機Bによる妨害波送信におけるパルス繰返し間隔及びパルス幅に関する情報をデータリンク情報D1として僚機B側のデータリンク装置から受信する。このあと、データリンク装置12は、データリンク情報D1を僚機Bに関する情報Icとして、僚機レーダ波除去器6や僚機妨害波除去器7などにそれぞれ出力する。
【0082】
実施の形態3による僚機レーダ波除去器6では、僚機Bから脅威機Cへのレーダ波cを送信する際に僚機Bから自機Aへ照射される意図しないレーダ波dを除去するにあたり、レーダ装置10が検出した僚機Bの方位と距離に関するデータと他アビオニクスシステム13が検出した自機Aの位置(緯度、経度)に関するデータとを用いて僚機Bの位置(緯度、経度)を算出する。
【0083】
次に、僚機レーダ波除去器6は、レーダ装置10及び他アビオニクスシステム13により検出されたデータを用いて算出した僚機Bの位置(緯度、経度)に関するデータと、データリンク装置12を介して入力した僚機Bの位置(緯度、経度)に関するデータとを比較し、さらに電波探知装置11が検出した受信電波に基づく電波諸元(周波数、パルス繰り返し間隔及びそのパルス幅)と、データリンク装置12を介して入力した僚機Bのレーダ波送信周波数(=レーダ波cの送信周波数)、僚機Bのレーダ波送信におけるパルス繰返し間隔及びパルス幅に関するデータとを比較して、それぞれの一致判定を行う。
【0084】
このとき、僚機Bの位置、レーダ送信周波数、僚機Bのレーダ波送信におけるパルス繰返し間隔及びパルス幅がそれぞれ一致していれば、僚機レーダ波除去器6は、電波探知装置11が検出した受信電波のうち、当該周波数に係るデータが、僚機Bから脅威機Cへのレーダ波cの送信時に自機A側で受信されたレーダ波d(レーダ波cを自機A側で受信したものでレーダ波c,dは同一周波数)によるものと判断し、当該電波諸元を不要波諸元として電波探知装置11が検出した受信電波に基づく電波諸元から除去する。
【0085】
また、僚機妨害波除去器7では、脅威機Cから僚機Bへのレーダ波hに対して僚機Bから脅威機Cへ妨害波iを送信する際に僚機Bから自機Aへ照射される意図しない妨害波jを除去するにあたり、レーダ装置10及び電波探知装置11が検出した僚機Bの方位と距離に関するデータと他アビオニクスシステム13が検出した自機Aの位置(緯度、経度)に関するデータとを用いて僚機Bの位置(緯度、経度)を算出する。
【0086】
次に、僚機妨害波除去器7は、レーダ装置10及び他アビオニクスシステム13により検出されたデータを用いて算出した僚機Bの位置(緯度、経度)に関するデータと、データリンク装置12から入力した僚機Bの位置(緯度、経度)に関するデータとを比較し、さらに電波探知装置11が検出した受信電波に基づく電波諸元(周波数、パルス繰り返し間隔及びそのパルス幅)と、データリンク装置12を介して入力した僚機Bの妨害波送信周波数(=妨害波iの送信周波数)、僚機Bの妨害波送信におけるパルス繰返し間隔及びパルス幅に関するデータとを比較して、それぞれの一致判定を行う。
【0087】
このとき、僚機Bの位置、妨害波送信周波数、僚機Bの妨害波送信におけるパルス繰返し間隔及びパルス幅がそれぞれ一致していれば、僚機妨害波除去器7は、電波探知装置11が検出した受信電波のうち、当該周波数に係るデータが、僚機Bから脅威機Cへの妨害波i(脅威機Cによるレーダ波送信周波数と同じ周波数)の送信時に自機A側で受信された妨害波j(妨害波iを自機A側で受信したもので妨害波i,jは同一周波数)によるものと判断し、当該電波諸元を不要波諸元として電波探知装置11が検出した受信電波に基づく電波諸元から除去する。
【0088】
なお、上記判定は、妨害波が相手側から送信されたレーダ波と同じ周波数でことを利用している。つまり、僚機Bは、脅威機Cによるレーダ波送信周波数と同じ周波数の妨害波iを脅威機Cに送信することにより脅威機Cによる探知を妨害する。
【0089】
以上のように、この実施の形態3によれば、僚機レーダ波除去器6が、僚機Bから送信されるレーダ波の送信周波数及び僚機Bの位置に加え、僚機Bからのレーダ波送信のパルス繰返し間隔及びパルス幅を用いて不要電波の諸元を除去し、僚機妨害波除去器7が、僚機Bから送信される妨害波周波数及び僚機Bの位置に加え、僚機Bからの妨害波送信のパルス繰返し間隔及びパルス幅を用いて不要電波の諸元を除去するので、より正確に不要電波を特定することができ、的確に目標対象の情報のみを取得することができる。
【0090】
実施の形態4.
図12は、この発明の実施の形態4によるRFマネジメント装置を使用した電子戦システムの構成を示すブロック図である。なお、図2で示した構成要素と同一若しくはこれに相当する構成要素には同一符号を付して重複する説明は省略する。実施の形態4による電子戦システム1AのRFマネジメント装置3Aは、受信装置(目標諸元探知部)2Aから出力される除外対象の諸元を含むRF信号Iaに基づく目標諸元のうち、自機Aに関する情報Ib及び僚機Bに関する情報Icを利用して上記実施の形態1から3までのいずれかに示す処理により不要波の諸元を除去し、不要波除去後の目標諸元を識別装置4に出力すると共に、除外した不要波の諸元を受信装置2Aにフィードバックする。
【0091】
受信装置2Aでは、RFマネジメント装置3Aから入力した除去諸元の周波数を受信しないように制御して受信対象とする諸元のみを出力する。なお、受信装置2Aとしては、図4などに示したレーダ装置10や電波探知装置11が考えられるが、その探知周波数として設定されている値からRFマネジメント装置3Aからフィードバックされた除去諸元の周波数を除く処理を行うことで、除去諸元の周波数を受信しないように制御することができる。
【0092】
以上のように、この実施の形態4によれば、RFマネジメント装置3Aが不要電波の諸元として判定した結果を受信装置2Aにフィードバックし、受信装置2AがRFマネジメント装置3Aからフィードバックされた不要電波の諸元を探知対象から除外するので、目標対象とするレーダ波以外を受信装置2A側でも除去することができ、電子戦システムとして対象目標対処に注力することが可能となる。
【0093】
なお、上記実施の形態1から4まででは、航空機等に本発明の電子戦システムを搭載する場合を例に挙げて説明したが、船舶や車両などに対しても適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】この発明のアビオニクス運用環境を概念的に示す図である。
【図2】実施の形態1による電子戦システムの構成を概略的に示すブロック図である。
【図3】図2中のRFマネジメント装置の構成を概略的に示すブロック図である。
【図4】実施の形態1による僚機レーダ波除去器の動作を説明する図である。
【図5】実施の形態1による僚機妨害波除去器の動作を説明する図である。
【図6】実施の形態1による自機レーダ対応脅威妨害波除去器の動作を説明する図である。
【図7】実施の形態1による僚機レーダ対応脅威妨害波除去器の動作を説明する図である。
【図8】この発明の実施の形態2による僚機レーダ波除去器の動作を説明する図である。
【図9】実施の形態2による僚機妨害波除去器の動作を説明する図である。
【図10】実施の形態2による自機レーダ対応脅威妨害波除去器の動作を説明する図である。
【図11】実施の形態2による僚機レーダ対応脅威妨害波除去器の動作を説明する図である。
【図12】この発明の実施の形態4による電子戦システムの構成を概略的に示すブロック図である。
【符号の説明】
【0095】
1,1A 電子戦システム、2,2A 受信装置(目標諸元探知部)、3,3A RFマネジメント装置、4 識別装置、5 妨害装置、6,6a 僚機レーダ波除去器(第1の除去処理部)、7,7a 僚機妨害波除去器(第2の除去処理部)、8,8a 自機レーダ対応脅威妨害波除去器(第3の除去処理部)、9,9a 僚機レーダ対応脅威妨害波除去器(第4の除去処理部)、10 レーダ装置(目標諸元探知部)、11 電波探知装置(目標諸元探知部)、12 データリンク装置、13 他アビオニクスシステム、14,17,18 送信アンテナ、15,16 受信アンテナ。
【技術分野】
【0001】
この発明は、RF(Radio Frequency ;無線周波数)を管理するRFマネジメント装置に係り、特に航空機等が目標対象としない電波を照射された時にそれら不要な電波を除去するRFマネジメント装置及びこれを用いた電子戦システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
無線通信環境における不要波を除去する従来のRFマネジメントとしては、例えば特許文献1に開示される不正信号防止方法がある。この方法は、観測装置を搭載した無人移動体により、干渉あるいは意識的誘導妨害の存在する環境下において、観測を行うに際して、地上制御装置が無人移動体を安全に指令制御するものである。その内容を簡単に説明すると、無人移動体を指令制御する地上制御装置と当該無人移動体との間での通信において、通信回線の信号列を構成する各単位信号中に予め取り決めた所定の規則に従う位置で識別信号を挿入する。
【0003】
このようにすることで、妨害波である不要波を送信する相手方が容易に識別信号を特定することができず、この識別信号が、正規の信号であることを意味する各単位信号の暗証コードとして機能することになる。一方、識別信号の挿入位置を特定するための所定の規則を知っている無人移動体では、受信した信号が、地上制御装置からの正規の信号であるのか、相手側の妨害装置からの不正信号であるかの識別判断を、明確にかつ正確に下すことができる。
【0004】
【特許文献1】特開平6−51697号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のような従来のRFマネジメント方法では、正規の信号であるか不正の信号であるかの識別判断をするためには、信号中の予め定めた所定の規則に従う位置に識別信号を挿入する必要がある。このため、航空機などに搭載したアビオニクスシステムを使用する電子戦システムでは、従来のRFマネジメント方法であっても適切に不要波を除去することができないという課題がある。
【0006】
例えば、上記電子戦システムによる組織戦闘において、自機に搭載された電子戦システムが、脅威機から送信されたレーダ波を目標として的確に探知する必要がある。ここで、電子戦システムの運用環境下において自機が受信する電波としては、僚機によって送信されたレーダ波、僚機によって脅威機に送信された妨害波、自機が送信するレーダ波に対する脅威機からの妨害波や、僚機が送信するレーダ波に対する脅威機からの妨害波などがある。このように、運用環境下において、自機の電子戦システムでは、様々な帰属の電波が探知される。
【0007】
このため、従来のRFマネジメント方法を採用する場合、自機の電子戦システムが受信するであろう各電波ごとに識別信号を設ける必要があり実効的でない。また、脅威機からの電波信号にも、自機に対するものや僚機に対するものがあり、これらに対して予め取り決めた所定の規則に従う位置で識別信号を挿入することはできない。
【0008】
従って、従来のRFマネジメント方法では、脅威機から送信されたレーダ波を目標として探知してそのレーダ送信を妨害するにあたり、少なくとも運用環境下における自機が送信したレーダ波及び妨害波を除去することは可能であるが、他の電波を明確にかつ正確に識別できず、妨害波を目標として探知してしまう可能性がある。
【0009】
これにより、目標の誤表示、誤警報が発生し、パイロットの混乱を招くだけでなく、妨害リソースを浪費して自機の生存性が低下し、電子戦システムの役割を十分に果たせなくなるという課題があった。
【0010】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、受信した様々な電波から不要波を除去して目標対象の電波を的確に探知することができるRFマネジメント装置及びこれを用いた電子戦システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明に係るRFマネジメント装置は、脅威となる電子戦システム以外の他の電子戦システムから送信されたレーダ波の送信周波数及び他の電子戦システムの位置と自システムで探知した電波周波数及びその送信元の位置との比較結果に基づいて、他の電子戦システムから送信されたレーダ波についての諸元を目標諸元から除去する第1の除去処理部と、他の電子戦システムから脅威となる電子戦システムに送信された妨害波の送信周波数及び他の電子戦システムの位置と自システムで探知した電波周波数及びその送信元の位置との比較結果に基づいて、他の電子戦システムから送信された妨害波についての諸元を目標諸元から除去する第2の除去処理部と、自システムから送信されたレーダ波の送信周波数及び他の電子戦システムで探知した脅威となる電子戦システムの位置と自システムで探知した電波周波数及びその送信元の位置との比較結果に基づいて、脅威となる電子戦システムから自システムに送信された妨害波についての諸元を目標諸元から除去する第3の除去処理部と、他の電子戦システムから送信されたレーダ波の送信周波数及び他の電子戦システムで探知した脅威となる電子戦システムの位置と自システムで探知した電波周波数及びその送信元の位置との比較結果に基づいて、脅威となる電子戦システムから他の電子戦システムに送信された妨害波についての諸元を目標諸元から除去する第4の除去処理部とを備えるものである。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、脅威となる電子戦システム以外の他の電子戦システムから送信されたレーダ波の送信周波数及び他の電子戦システムの位置と自システムで探知した電波周波数及びその送信元の位置との比較結果に基づいて、他の電子戦システムから送信されたレーダ波についての諸元を目標諸元から除去する第1の除去処理部と、他の電子戦システムから脅威となる電子戦システムに送信された妨害波の送信周波数及び他の電子戦システムの位置と自システムで探知した電波周波数及びその送信元の位置との比較結果に基づいて、他の電子戦システムから送信された妨害波についての諸元を目標諸元から除去する第2の除去処理部と、自システムから送信されたレーダ波の送信周波数及び他の電子戦システムで探知した脅威となる電子戦システムの位置と自システムで探知した電波周波数及びその送信元の位置との比較結果に基づいて、脅威となる電子戦システムから自システムに送信された妨害波についての諸元を目標諸元から除去する第3の除去処理部と、他の電子戦システムから送信されたレーダ波の送信周波数及び他の電子戦システムで探知した脅威となる電子戦システムの位置と自システムで探知した電波周波数及びその送信元の位置との比較結果に基づいて、脅威となる電子戦システムから他の電子戦システムに送信された妨害波についての諸元を目標諸元から除去する第4の除去処理部とを備えるので、探知した様々な電波から不要波を除去して目標対象の電波のみを的確に決定することができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
実施の形態1.
図1は、この発明のアビオニクス運用環境を概念的に示す図であり、航空機に搭載したアビオニクスシステムを使用する電子戦システムによる組織戦闘を示している。図において、自機Aには、後述する本実施の形態1によるRFマネジメント装置を有する電子戦システム(自システム)(以下、単に自機Aと略す)が搭載されている。また、自機Aは、脅威機Cに対してレーダ波aを送信してその反射波から脅威機Cの方位及び距離を検出する。
【0014】
同様に、僚機Bの電子戦システム(脅威となる電子戦システム以外の他の電子戦システム)(以下、単に僚機Bと略す)は、脅威機Cに対してレーダ波cを送信しその反射波から脅威機Cの方位及び距離を検出する。一方、脅威機Cの電子戦システム(脅威となる電子戦システム)(以下、単に脅威機Cと略す)は、自機A及び僚機Bに対してレーダ波g,hをそれぞれ送信しその反射波から自機A及び僚機Bの各方位及び距離を検出する。
【0015】
自機Aに受信される電波としては、脅威機Cが自機Aに送信したレーダ波gに加え、レーダ波aに対する脅威機Cからの妨害波b、僚機Bから脅威機Cへのレーダ波cの送信時に自機A側で受信されたレーダ波d(レーダ波cを自機A側で受信したものでレーダ波c,dは同一周波数)、レーダ波hに対する僚機Bからの妨害波iの送信時に自機A側で受信された妨害波j(妨害波iを自機A側で受信したもので妨害波i,jは同一周波数)、及び、脅威機Cから僚機Bへの妨害波eの送信時に自機A側で受信された妨害波f(妨害波eを自機A側で受信したもので妨害波e,fは同一周波数)がある。
【0016】
図2は、図1中のアビオニクス運用環境下で動作する、本実施の形態1による電子戦システムの構成を概略的に示すブロック図である。本実施の形態1による電子戦システム1は、受信装置(目標諸元探知部)2、RFマネジメント装置3、識別装置4及び妨害装置5を含んで構成される。受信装置2では、RF(Radio Frequency;高周波、無線周波数)の信号Iaを受信分析してその周波数などの電波諸元を検出してRFマネジメント装置3に出力する。
【0017】
RFマネジメント装置3は、受信装置2が検出した受信信号の電波諸元、入力した自機Aに関する情報Ib及び僚機Bに関する情報Icから不要波を除去する。識別装置4では、RFマネジメント装置3によって不要波諸元が除去された諸元から目標の電波諸元を識別する。妨害装置5は、識別装置4による識別結果に基づいて目標諸元に対抗する諸元IdのRF信号を妨害波として出力する。ここでは、目標からのレーダ波と同一若しくはそれに相当するほぼ同一の周波数の電波を妨害波として出力する。
【0018】
図3は、図2中のRFマネジメント装置の構成を概略的に示すブロック図である。本実施の形態1によるRFマネジメント装置3は、僚機レーダ波除去器(第1の除去処理部)6、僚機妨害波除去器(第2の除去処理部)7、自機レーダ対応脅威妨害波除去器(第3の除去処理部)8及び僚機レーダ対応脅威妨害波除去器(第4の除去処理部)9から構成される。僚機レーダ波除去器6は、受信装置2が受信した目標の電波諸元(目標から送信されるレーダ周波数及び目標位置)に対して、僚機Bのレーダ送信周波数(レーダ波cの周波数)及び僚機Bの位置を利用して僚機Bから脅威機Cへのレーダ波cの送信時に自機A側で受信されたレーダ波dによる電波諸元を特定して不要波諸元として除去する。
【0019】
僚機妨害波除去器7は、受信装置2が受信した目標の電波諸元(目標から送信されるレーダ周波数及び目標位置)に対して、僚機Bの妨害波周波数(妨害波iの周波数(=妨害波jの周波数))及び僚機Bの位置を利用して僚機Bから脅威機Cへの妨害波iの送信時に自機A側で受信された妨害波jによる電波諸元を特定して不要波諸元として除去する。
【0020】
自機レーダ対応脅威妨害波除去器8は、受信装置2が受信した目標の電波諸元(目標から送信されるレーダ周波数及び目標位置)に対して、自機Aのレーダ送信周波数(レーダ波aの周波数)及び自機Aのレーダにより特定した脅威機Cの位置を利用して自機Aが脅威機Cに送信したレーダ波aに対する脅威機Cからの妨害波bによる電波諸元を特定して不要波諸元として除去する。
【0021】
僚機レーダ対応脅威妨害波除去器9は、受信装置2が受信した目標の電波諸元(目標から送信されるレーダ周波数及び目標位置)に対して、僚機Bのレーダ送信周波数(レーダ波cの周波数)及び自機Aのレーダにより特定した脅威機Cの位置を利用して僚機Bが脅威機Cに送信したレーダ波cに対する脅威機Cから僚機Bへの妨害波eの送信時に自機A側で受信された妨害波fによる電波諸元を特定して不要波諸元として除去する。
【0022】
図4から図7までは、実施の形態1による電子戦システムの構成をより詳細に示したブロック図であり、図3中のRFマネジメント装置2の構成である、僚機レーダ波除去器6、僚機妨害波除去器7、自機レーダ対応脅威妨害波除去器8及び僚機レーダ対応脅威妨害波除去器9の動作をそれぞれ説明するための図である。
【0023】
各図において、レーダ装置(目標諸元探知部)10は、送信アンテナ14を介してレーダ波を探知対象に送信しその反射波から探知対象の方位及び距離を検出する。電波探知装置(ESM;Electric Support Measures)(目標諸元探知部)11は、受信アンテナ15を介して自機A側に送信されたレーダ波を受信してその周波数などの電波諸元を検出する。これらレーダ装置10及び電波探知装置11が、図2中の受信装置2に相当する。
なお、基本的には、レーダ装置10及び電波探知装置11を用いて自機Aの電子戦システムで算出した飛行機の方位と距離を使用する。
【0024】
データリンク装置12は、送信アンテナ17を介して自機Aの位置やレーダ送信周波数、自機Aが探知した脅威機Cの位置に関する情報をデータリンク情報D2として僚機Bに送信する一方、受信アンテナ16を介して僚機Bの位置(緯度、経度)やレーダ送信周波数、僚機Bが探知している脅威機Cの位置に関する情報をデータリンク情報D1として僚機Bのデータリンク装置から受信する。
【0025】
他アビオニクスシステム13は、RFマネジメント装置3、識別装置4、妨害装置5、レーダ装置10、電波探知装置11及びデータリンク装置12以外の自機Aに搭載されたアビオニクスシステムであって、少なくともGPS(Global Positioning System)などの自機Aの位置を検出するシステムや、脅威機Cに自機Aが送信するレーダ送信周波数を検出するシステムなどを含む。また、妨害装置5は、送信アンテナ18を介して諸元Idの妨害電波を出力する。なお、図1から図3までに示した構成要素と同一若しくはこれに相当するものには同一符号を付して重複する説明を省略している。
【0026】
次に動作について説明する。
先ず、RFマネジメント装置3の周辺構成による動作を説明する。
自機システム(電子戦システム)のレーダ装置10は、送信アンテナ14を介して僚機Bにレーダ波を送信し、当該レーダ波の僚機Bからの反射波に基づいて僚機Bを探知してその方位と距離を検出する。この僚機Bの方位と距離に関するデータは、レーダ装置10及び電波探知装置11から僚機レーダ波除去器6及び僚機妨害波除去器7に出力される。
【0027】
また、同時に、レーダ装置10は、脅威機Cがいる場合、送信アンテナ14を介して脅威機Cにレーダ波を送信し、当該レーダ波の脅威機Cからの反射波に基づいて脅威機Cを探知してその方位と距離を検出して自機レーダ対応脅威妨害波除去器8及び僚機レーダ対応脅威妨害波除去器9に出力する。なお、レーダ装置10によるレーダ波の反射波を用いた方位と距離の検出処理自体は、既存の技術を用いて行われる。
【0028】
電波探知装置11では、受信アンテナ15を介して自機A側に送信されたレーダ波を受信してその周波数などの電波諸元(周波数など)を検出する。電波探知装置11による検出結果の電波諸元に関するデータは、僚機レーダ波除去器6、僚機妨害波除去器7、自機レーダ対応脅威妨害波除去器8及び僚機レーダ対応脅威妨害波除去器9にそれぞれ出力される。
【0029】
データリンク装置12は、受信アンテナ16を介して、僚機Bの位置(緯度、経度)やレーダ送信周波数、僚機Bが探知している脅威機Cの位置に関する情報をデータリンク情報D1として僚機Bのデータリンク装置から受信する。このあと、データリンク装置12は、データリンク情報D1を僚機Bに関する情報Icとして、僚機レーダ波除去器6、僚機妨害波除去器7、自機レーダ対応脅威妨害波除去器8及び僚機レーダ対応脅威妨害波除去器9にそれぞれ出力する。
【0030】
他アビオニクスシステム13では、その構成要素の1つであるGPSシステムなどを用いて自機Aの位置(緯度、経度)を検出し、自機Aに関する情報Ibとして僚機レーダ波除去器6、僚機妨害波除去器7、自機レーダ対応脅威妨害波除去器8及び僚機レーダ対応脅威妨害波除去器9にそれぞれ出力する。また、他アビオニクスシステム13は、自機Aが脅威機Cに送信しているレーダ波aの送信周波数を検出して自機レーダ対応脅威妨害波除去器8に出力する。
【0031】
続いて、図4から図7までを用いて実施の形態1のRFマネジメント装置3による不要波の電波諸元の除去処理について説明する。
僚機レーダ波除去器6では、僚機Bから脅威機Cへのレーダ波cを送信する際に僚機Bから自機Aへ照射される意図しないレーダ波dを除去する。先ず、図4中で矢印で結んで示すように、僚機レーダ波除去器6は、レーダ装置10及び電波探知装置11が検出した僚機Bの方位と距離に関するデータと他アビオニクスシステム13が検出した自機Aの位置(緯度、経度)に関するデータとを用いて僚機Bの位置(緯度、経度)を算出する。
なお、基本的には、レーダ装置10及び電波探知装置11を用いて自機Aの電子戦システムで算出した飛行機の方位と距離を使用する。
【0032】
次に、僚機レーダ波除去器6は、レーダ装置10及び他アビオニクスシステム13により検出されたデータを用いて算出した僚機Bの位置(緯度、経度)に関するデータと、データリンク装置12を介して入力した僚機Bの位置(緯度、経度)に関するデータとを比較し、さらに電波探知装置11が検出した受信電波に基づく電波諸元(周波数)と、データリンク装置12から入力した僚機Bが送信しているレーダ波cの送信周波数に関するデータとを比較して、それぞれの一致判定を行う。
【0033】
このとき、僚機Bの位置及びレーダ送信周波数がそれぞれ一致していれば、僚機レーダ波除去器6は、電波探知装置11が検出した受信電波のうち、当該周波数に係るデータが、僚機Bから脅威機Cへのレーダ波cの送信時に自機A側で受信されたレーダ波d(レーダ波cを自機A側で受信したものでレーダ波c,dは同一周波数)によるものと判断し、当該電波諸元を不要波諸元として電波探知装置11が検出した受信電波に基づく電波諸元から除去する。
【0034】
また、僚機妨害波除去器7では、脅威機Cから僚機Bへのレーダ波hに対して僚機Bから脅威機Cへ妨害波iを送信する際に僚機Bから自機Aへ照射される意図しない妨害波jを除去する。先ず、僚機妨害波除去器7は、僚機レーダ波除去器6と同様に、図5中で矢印で結んで示すように、レーダ装置10が検出した僚機Bの方位と距離に関するデータと他アビオニクスシステム13が検出した自機Aの位置(緯度、経度)に関するデータとを用いて僚機Bの位置(緯度、経度)を算出する。
【0035】
次に、僚機妨害波除去器7は、レーダ装置10及び他アビオニクスシステム13により検出されたデータを用いて算出した僚機Bの位置(緯度、経度)に関するデータと、データリンク装置12から入力した僚機Bの位置(緯度、経度)に関するデータとを比較し、さらに電波探知装置11が検出した受信電波に基づく電波諸元(周波数)と、データリンク装置12から入力した僚機Bが送信している妨害波iの送信周波数に関するデータとを比較して、それぞれの一致判定を行う。
【0036】
このとき、僚機Bの位置及び妨害波送信周波数がそれぞれ一致していれば、僚機妨害波除去器7は、電波探知装置11が検出した受信電波のうち、当該周波数に係るデータが、僚機Bから脅威機Cへの妨害波iの送信時に自機A側で受信された妨害波j(妨害波iを自機A側で受信したもので妨害波i,jは同一周波数)によるものと判断し、当該電波諸元を不要波諸元として電波探知装置11が検出した受信電波に基づく電波諸元から除去する。
【0037】
自機レーダ対応脅威妨害波除去器8では、自機Aから脅威機Cへのレーダ波aに対する脅威機Cから自機Aへの妨害波bを除去する。先ず、図6中で矢印で結んで示すように、自機レーダ対応脅威妨害波除去器8は、レーダ装置10及び電波探知装置11が検出した脅威機Cの方位と距離に関するデータと他アビオニクスシステム13が検出した自機Aの位置に関するデータとを用いて脅威機Cの位置(緯度、経度)を算出する。
【0038】
次に、自機レーダ対応脅威妨害波除去器8は、レーダ装置10及び他アビオニクスシステム13により検出されたデータを用いて算出した脅威機Cの位置(緯度、経度)に関するデータと、データリンク装置12を介して入力した僚機Bが探知した脅威機Cの位置(緯度、経度)に関するデータとを比較し、さらに電波探知装置11が検出した受信電波に基づく電波諸元(周波数)と、他アビオニクスシステム13から入力した脅威機Cに送信しているレーダ波aの送信周波数に関するデータとを比較して、それぞれの一致判定を行う。なお、データリンク装置12を介して入力したデータを使用する例を示したが、基本的には、図6に示すように、自機システムAに搭載したレーダ装置10によって検出された脅威機Cの位置に関するデータを使用する。
【0039】
上記処理において、脅威機Cの位置及びレーダ送信周波数がそれぞれ一致していれば、自機レーダ対応脅威妨害波除去器8は、電波探知装置11が検出した受信電波のうち、当該周波数に係るデータが、自機Aから脅威機Cへ送信したレーダ波aに対する脅威機Cからの妨害波bよるものと判断し、当該電波諸元を不要波諸元として電波探知装置11が検出した受信電波に基づく電波諸元から除去する。
【0040】
なお、上記判定は、妨害波が相手側から送信されたレーダ波と同じ周波数若しくはほぼ同じ周波数であることを利用している。つまり、脅威機Cは、自機Aから脅威機Cへ送信されたレーダ波aと同じ周波数若しくはほぼ同じ周波数の妨害波bを照射することにより自機Aの電波探知を妨害する。
【0041】
また、僚機レーダ対応脅威妨害波除去器9では、僚機Bから脅威機Cへのレーダ波cに対する脅威機Cから僚機Bへの妨害波eを送信する際に脅威機Cから自機Aへ照射される意図しない妨害波fを除去する。先ず、僚機レーダ対応脅威妨害波除去器9は、図7中で矢印で結んで示すように、レーダ装置10及び電波探知装置11が検出した脅威機Cの方位と距離に関するデータと他アビオニクスシステム13が検出した自機Aの位置に関するデータとを用いて脅威機Cの位置(緯度、経度)を算出する。
【0042】
次に、僚機レーダ対応脅威妨害波除去器9は、レーダ装置10及び他アビオニクスシステム13により検出されたデータを用いて算出した脅威機Cの位置(緯度、経度)に関するデータと、データリンク装置12を介して入力した僚機Bが検出した脅威機Cの位置(緯度、経度)に関するデータとを比較すると共に、電波探知装置11が検出した受信電波に基づく電波諸元(周波数)と、データリンク装置12から入力した僚機Bが脅威機Cに送信しているレーダ波cの送信周波数に関するデータとを比較して、それぞれの一致判定を行う。
【0043】
このとき、脅威機Cの位置及びレーダ送信周波数がそれぞれ一致していれば、僚機レーダ対応脅威妨害波除去器9は、電波探知装置11が検出した受信電波のうち、当該周波数に係るデータが、レーダ波cに対する妨害波eの送信時に脅威機Cから自機Aへ照射される妨害波fよるものと判断し、当該電波諸元を不要波諸元として電波探知装置11が検出した受信電波に基づく電波諸元から除去する。
【0044】
なお、上記判定は、妨害波が相手側から送信されたレーダ波と同じ周波数若しくはほぼ同じ周波数であることを利用している。つまり、脅威機Cは、僚機Bから脅威機Cへ送信されたレーダ波cと同じ周波数の妨害波eを照射することにより僚機Bの電波探知を妨害する。
【0045】
識別装置4は、上述のようにしてRFマネジメント装置3によって不要波諸元が除去された諸元から目標の電波諸元を識別する。そして、妨害装置5は、識別装置4による識別結果に基づいて目標に帰属する電波諸元に対抗する諸元IdのRF信号を妨害波として出力する。
【0046】
以上のように、この実施の形態1によれば、僚機Bから送信されたレーダ波の送信周波数及びその位置と自機Aで探知した電波周波数及びその送信元の位置との比較結果に基づいて、僚機Bから送信されたレーダ波についての諸元を目標諸元から除去する僚機レーダ波除去器6と、僚機Bから脅威機Cに送信された妨害波の送信周波数及び僚機Bの位置と自機Aで探知した電波周波数及びその送信元の位置との比較結果に基づいて、僚機Bから送信された妨害波についての諸元を目標諸元から除去する僚機妨害波除去器7と、自機Aから送信されたレーダ波の送信周波数及び僚機Bで探知した脅威機Cの位置と自機Aで探知した電波周波数及びその送信元の位置との比較結果に基づいて、脅威機Cから自機Aに送信された妨害波についての諸元を目標諸元から除去する自機レーダ対応脅威妨害波除去器8と、僚機Bから送信されたレーダ波の送信周波数及び僚機Bで探知した脅威機Cの位置と自機Aで探知した電波周波数及びその送信元の位置との比較結果に基づいて、脅威機Cから僚機Bに送信された妨害波についての諸元を目標諸元から除去する僚機レーダ対応脅威妨害波除去器9とを備えるので、自機Aのレーダ波送信周波数や自機Aが取得した目標位置と僚機Bのレーダ波送信周波数、妨害周波数、僚機Bの位置、僚機Bが取得した目標位置を利用して自機Aの電子戦システムが目標対象とするレーダ波以外を除去することができる。
【0047】
実施の形態2.
図8から図11までは、この発明の実施の形態2による電子戦システムの構成を示したブロック図であり、実施の形態2による、僚機レーダ波除去器(第1の除去処理部)6a、僚機妨害波除去器(第2の除去処理部)7a、自機レーダ対応脅威妨害波除去器(第3の除去処理部)8a及び僚機レーダ対応脅威妨害波除去器(第4の除去処理部)9aの動作をそれぞれ説明するための図である。
【0048】
各図において、レーダ装置(目標諸元探知部)10は、送信アンテナ14を介してレーダ波を探知対象に送信しその反射波から探知対象の方位及び距離を検出する。電波探知装置(ESM;Electric Support Measures)(目標諸元探知部)11は、受信アンテナ15を介して自機A側に送信されたレーダ波を受信してその周波数などの電波諸元を検出する。
【0049】
データリンク装置12は、送信アンテナ17を介して自機Aの位置やレーダ送信周波数、自機Aが探知した脅威機Cの位置に関する情報をデータリンク情報D2として僚機Bに送信し、受信アンテナ16を介して僚機Bの位置(緯度、経度)やレーダ送信周波数、僚機Bが探知している脅威機Cの位置に関する情報をデータリンク情報D1として僚機Bのデータリンク装置から受信する。
【0050】
他アビオニクスシステム13は、RFマネジメント装置3、識別装置4、妨害装置5、レーダ装置10、電波探知装置11及びデータリンク装置12以外の自機Aに搭載されたアビオニクスシステムであって、少なくともGPS(Global Positioning System)などの自機Aの位置を検出するシステムや、脅威機Cに自機Aが送信するレーダ送信周波数を検出するシステムなどを含む。また、妨害装置5は、送信アンテナ18を介して諸元Idの妨害電波を出力する。なお、上記実施の形態1で説明した図1から図3までの構成要素と同一若しくはこれに相当するものには同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0051】
図8に示す僚機レーダ波除去器6aでは、受信装置2が受信した目標の電波諸元(目標から送信されるレーダ周波数及び目標位置)に対して、自己にプリセットしておいた僚機Bのレーダ送信周波数(レーダ波cの周波数)に関するデータ及びデータリンク情報D2からの僚機Bの位置を利用して僚機Bから脅威機Cへのレーダ波cの送信時に自機A側で受信されたレーダ波dによる電波諸元を特定して不要波諸元として除去する。
【0052】
図9に示す僚機妨害波除去器7aでは、受信装置2が受信した目標の電波諸元(目標から送信されるレーダ周波数及び目標位置)に対して、自己が探知していた既存の脅威機Cによるレーダ波送信周波数(レーダ波hの周波数)及びデータリンク情報D2からの僚機Bの位置を利用して僚機Bから脅威機Cへの妨害波iの送信時に自機A側で受信された妨害波jによる電波諸元を特定して不要波諸元として除去する。
【0053】
図10に示す自機レーダ対応脅威妨害波除去器8aでは、受信装置2が受信した目標の電波諸元(目標から送信されるレーダ周波数及び目標位置)に対して、自己にプリセットしておいた自機Aのレーダ送信周波数(レーダ波aの周波数)及び自機Aのレーダにより特定した脅威機Cの位置を利用して自機Aが脅威機Cに送信したレーダ波aに対する脅威機Cからの妨害波bによる電波諸元を特定して不要波諸元として除去する。
【0054】
図11に示す僚機レーダ対応脅威妨害波除去器9aは、受信装置2が受信した目標の電波諸元(目標から送信されるレーダ周波数及び目標位置)に対して、自己にプリセットしておいた僚機Bのレーダ送信周波数(レーダ波cの周波数)及び自機Aのレーダにより特定した脅威機Cの位置を利用して僚機Bが脅威機Cに送信したレーダ波cに対する脅威機Cから僚機Bへの妨害波eの送信時に自機A側で受信された妨害波fによる電波諸元を特定して不要波諸元として除去する。
【0055】
次に動作について説明する。
先ず、RFマネジメント装置3の周辺構成による動作を説明する。
自機システムのレーダ装置10は、送信アンテナ14を介して僚機Bにレーダ波を送信し、当該レーダ波の僚機Bからの反射波に基づいて僚機Bを探知してその方位と距離を検出する。この僚機Bの方位と距離に関するデータは、レーダ装置10及び電波探知装置11から僚機レーダ波除去器6a及び僚機妨害波除去器7aに出力される。
【0056】
また、同時に、レーダ装置10は、脅威機Cがいる場合、送信アンテナ14を介して脅威機Cにレーダ波を送信し、当該レーダ波の脅威機Cからの反射波に基づいて脅威機Cを探知してその方位と距離を検出して自機レーダ対応脅威妨害波除去器8a及び僚機レーダ対応脅威妨害波除去器9aに出力する。なお、レーダ装置10によるレーダ波の反射波を用いた方位と距離の検出処理自体は、既存の技術を用いて行われる。
【0057】
電波探知装置11では、受信アンテナ15を介して自機A側に送信されたレーダ波を受信してその周波数などの電波諸元(周波数など)を検出する。電波探知装置11による検出結果の電波諸元に関するデータは、僚機レーダ波除去器6a、僚機妨害波除去器7a、自機レーダ対応脅威妨害波除去器8a及び僚機レーダ対応脅威妨害波除去器9aにそれぞれ出力される。
【0058】
データリンク装置12は、受信アンテナ16を介して、僚機Bの位置(緯度、経度)やレーダ送信周波数、僚機Bが探知している脅威機Cの位置に関する情報をデータリンク情報D1として僚機Bのデータリンク装置から受信する。このあと、データリンク装置12は、データリンク情報D1を僚機Bに関する情報Icとして、僚機レーダ波除去器6a、僚機妨害波除去器7a、自機レーダ対応脅威妨害波除去器8a及び僚機レーダ対応脅威妨害波除去器9aにそれぞれ出力する。
【0059】
他アビオニクスシステム13では、その構成要素の1つであるGPSシステムなどを用いて自機Aの位置(緯度、経度)を検出し、自機Aに関する情報Ibとして僚機レーダ波除去器6a、僚機妨害波除去器7a、自機レーダ対応脅威妨害波除去器8a及び僚機レーダ対応脅威妨害波除去器9aにそれぞれ出力する。また、他アビオニクスシステム13は、自機Aが脅威機Cに送信しているレーダ波aの送信周波数を検出して自機レーダ対応脅威妨害波除去器8aに出力する。
【0060】
続いて、上記実施の形態1で示した図1及び図8から図11までを用いて実施の形態2のRFマネジメント装置による不要波の電波諸元の除去処理について説明する。
僚機レーダ波除去器6aは、僚機Bから脅威機Cへのレーダ波cを送信する際に僚機Bから自機Aへ照射される意図しないレーダ波dを除去する。先ず、図8中で矢印で結んで示すように、僚機レーダ波除去器6aは、レーダ装置10及び電波探知装置11が検出した僚機Bの方位と距離に関するデータと他アビオニクスシステム13が検出した自機Aの位置(緯度、経度)に関するデータとを用いて僚機Bの位置(緯度、経度)を算出する。
【0061】
次に、僚機レーダ波除去器6aは、レーダ装置10及び他アビオニクスシステム13により検出されたデータを用いて算出した僚機Bの位置(緯度、経度)に関するデータと、データリンク装置12を介して入力した僚機Bの位置(緯度、経度)に関するデータとを比較し、さらに電波探知装置11が検出した受信電波に基づく電波諸元(周波数)と、プリセットしておいた僚機Bのレーダ波送信周波数(=レーダ波cの送信周波数)に関するデータとを比較して、それぞれの一致判定を行う。
【0062】
このとき、僚機Bの位置及びレーダ送信周波数がそれぞれ一致していれば、僚機レーダ波除去器6aは、電波探知装置11が検出した受信電波のうち、当該周波数に係るデータが、僚機Bから脅威機Cへのレーダ波cの送信時に自機A側で受信されたレーダ波d(レーダ波cを自機A側で受信したものでレーダ波c,dは同一周波数)によるものと判断し、当該電波諸元を不要波諸元として電波探知装置11が検出した受信電波に基づく電波諸元から除去する。
【0063】
また、僚機妨害波除去器7aでは、脅威機Cから僚機Bへのレーダ波hに対して僚機Bから脅威機Cへ妨害波iを送信する際に僚機Bから自機Aへ照射される意図しない妨害波jを除去する。先ず、僚機妨害波除去器7aは、僚機レーダ波除去器6と同様に、図9中で矢印で結んで示すように、レーダ装置10及び電波探知装置11が検出した僚機Bの方位と距離に関するデータと他アビオニクスシステム13が検出した自機Aの位置(緯度、経度)に関するデータとを用いて僚機Bの位置(緯度、経度)を算出する。
【0064】
次に、僚機妨害波除去器7aは、レーダ装置10及び他アビオニクスシステム13により検出されたデータを用いて算出した僚機Bの位置(緯度、経度)に関するデータと、データリンク装置12を介して入力した僚機Bの位置(緯度、経度)に関するデータとを比較し、さらに電波探知装置11が検出した受信電波に基づく電波諸元(周波数)と、自己が探知していた脅威機Cのレーダ波送信周波数に関する既存探知データとを比較して、それぞれの一致判定を行う。
【0065】
このとき、僚機Bの位置及びレーダ送信周波数がそれぞれ一致していれば、僚機妨害波除去器7aは、電波探知装置11が検出した受信電波のうち、当該周波数に係るデータが、僚機Bから脅威機Cへの妨害波i(脅威機Cによるレーダ波送信周波数と同じ周波数)の送信時に自機A側で受信された妨害波j(妨害波iを自機A側で受信したもので妨害波i,jは同一周波数)によるものと判断し、当該電波諸元を不要波諸元として電波探知装置11が検出した受信電波に基づく電波諸元から除去する。
【0066】
なお、上記判定は、妨害波が相手側から送信されたレーダ波と同じ周波数若しくはほぼ同じ周波数であることを利用している。つまり、僚機Bは、脅威機Cからのレーダ波送信周波数と同じ周波数若しくはほぼ同じ周波数の妨害波iを送信することにより脅威機Cの電波探知を妨害する。
【0067】
自機レーダ対応脅威妨害波除去器8aでは、自機Aから脅威機Cへのレーダ波aに対する脅威機Cから自機Aへの妨害波bを除去する。先ず、図10中で矢印で結んで示すように、自機レーダ対応脅威妨害波除去器8aは、レーダ装置10及び電波探知装置11が検出した脅威機Cの方位と距離に関するデータと他アビオニクスシステム13が検出した自機Aの位置に関するデータとを用いて脅威機Cの位置(緯度、経度)を算出する。
【0068】
次に、自機レーダ対応脅威妨害波除去器8aは、レーダ装置10及び他アビオニクスシステム13により検出されたデータを用いて算出した脅威機Cの位置(緯度、経度)に関するデータと、データリンク装置12を介して入力した僚機Bが探知した脅威機Cの位置(緯度、経度)に関するデータとを比較し、さらに電波探知装置11が検出した受信電波に基づく電波諸元(周波数)と、自己にプリセットされている自機Aのレーダ波送信周波数(レーダ波aに対応する)に関するデータとを比較して、それぞれの一致判定を行う。なお、データリンク装置12を介して入力したデータを使用する例を示したが、基本的には、自機システムAに搭載したレーダ装置10によって検出された脅威機Cの位置に関するデータを使用する。
【0069】
このとき、脅威機Cの位置及びレーダ送信周波数がそれぞれ一致していれば、自機レーダ対応脅威妨害波除去器8aは、電波探知装置11が検出した受信電波のうち、当該周波数に係るデータが、自機Aから脅威機Cへ送信したレーダ波aに対する脅威機Cからの妨害波bよるものと判断し、当該電波諸元を不要波諸元として電波探知装置11が検出した受信電波に基づく電波諸元から除去する。
【0070】
なお、上記判定は、妨害波が相手側から送信されたレーダ波と同じ周波数若しくはほぼ同じ周波数であることを利用している。つまり、脅威機Cは、自機Aから脅威機Cへ送信したレーダ波aと同じ周波数若しくはほぼ同じ周波数の妨害波bを照射することにより自機Aの電波探知を妨害する。
【0071】
僚機レーダ対応脅威妨害波除去器9aでは、僚機Bから脅威機Cへのレーダ波cに対する脅威機Cから僚機Bへの妨害波eを送信する際に脅威機Cから自機Aへ照射される意図しない妨害波fを除去する。先ず、僚機レーダ対応脅威妨害波除去器9aは、図11中で矢印で結んで示すように、レーダ装置10及び電波探知装置11が検出した脅威機Cの方位と距離に関するデータと他アビオニクスシステム13が検出した自機Aの位置に関するデータとを用いて脅威機Cの位置(緯度、経度)を算出する。
【0072】
次に、僚機レーダ対応脅威妨害波除去器9aは、レーダ装置10及び他アビオニクスシステム13により検出されたデータを用いて算出した脅威機Cの位置(緯度、経度)に関するデータと、データリンク装置12を介して入力した僚機Bが検出した脅威機Cの位置(緯度、経度)に関するデータとを比較し、電波探知装置11が検出した受信電波に基づく電波諸元(周波数)と、自己にプリセットされている僚機Bのレーダ波送信周波数(レーダ波cに対応する)に関するデータとを比較して、それぞれの一致判定を行う。
【0073】
このとき、脅威機Cの位置及びレーダ送信周波数がそれぞれ一致していれば、僚機レーダ対応脅威妨害波除去器9aは、電波探知装置11が検出した受信電波のうち、当該周波数に係るデータが、レーダ波cに対する妨害波eの送信時に脅威機Cから自機Aへ照射される妨害波fよるものと判断し、当該電波諸元を不要波諸元として電波探知装置11が検出した受信電波に基づく電波諸元から除去する。
【0074】
なお、上記判定は、妨害波が相手側から送信されたレーダ波と同じ周波数若しくはほぼ同じ周波数であることを利用している。つまり、脅威機Cは、僚機Bから脅威機Cへ送信したレーダ波cと同じ周波数若しくはほぼ同じ周波数の妨害波eを照射することにより僚機Bの電波探知を妨害する。
【0075】
識別装置4は、上述のようにしてRFマネジメント装置3によって不要波諸元が除去された諸元から目標の電波諸元を識別する。そして、妨害装置5は、識別装置4による識別結果に基づいて、目標に帰属する電波諸元に対抗する諸元IdのRF信号を妨害波として出力する。
【0076】
以上のように、この実施の形態2によれば、僚機Bから送信されるレーダ波の送信周波数をプリセットしておき、当該プロセットデータと僚機Bのアビオニクスシステムであるデータリンク装置から取得した僚機Bが探索した目標位置とを用いて不要電波の諸元を除去する僚機レーダ波除去器6aを設けたので、僚機Bからのデータリンク情報D2に送信周波数が含まれていない場合であっても、僚機Bからのレーダ波による諸元を除去して目標情報のみを取得することができる。
【0077】
また、この実施の形態2によれば、僚機Bから送信された妨害波周波数の代わりに、既に探知された脅威機Cからのレーダ波周波数をプリセットしておき、当該プリセットデータと僚機Bのアビオニクスシステムであるデータリンク装置から取得した僚機Bが探索した目標位置と用いて不要電波の諸元を除去する僚機妨害波除去器7aを設けたので、僚機Bからのデータリンク情報D2に妨害波周波数が含まれていない場合であっても、僚機Bからの妨害波による諸元を除去して目標情報のみを取得することができる。
【0078】
さらに、この実施の形態2によれば、自機Aが送信するレーダ波の送信周波数をプリセットしておき、当該プリセットデータと自機Aの他アビオニクスシステム13から取得した自機Aが探索した目標位置と用いて不要電波の諸元を除去する自機レーダ対応脅威妨害波除去器8aを設けたので、脅威機Cから自機Aのレーダ波に対する妨害波の諸元を除去して目標情報のみを取得することができる。
【0079】
さらに、この実施の形態2によれば、僚機Bが送信するレーダ波の送信周波数をプリセットしておき、当該プリセットデータと僚機Bのアビオニクスシステムであるデータリンク装置から取得した僚機Bが探索した目標位置と用いて不要電波の諸元を除去する僚機レーダ対応脅威妨害波除去器9aを設けたので、脅威機Cから僚機Bのレーダ波に対する妨害波の諸元を除去して目標情報のみを取得することができる。
【0080】
実施の形態3.
この実施の形態3は、上記実施の形態1で示したRFマネジメント装置及びこれを用いた電子戦システムと基本的な構成は同一であるが、僚機Bのレーダ送信周波数及び位置に加えてそのレーダ波送信におけるパルス繰返し間隔及びパルス幅を利用して僚機レーダ波除去器6が不要波を除去し、僚機妨害波除去器7も僚機Bの妨害送信周波数及び位置に加えて僚機Bによる妨害波送信におけるパルス繰返し間隔及びパルス幅を利用して不要波を除去するものである。
【0081】
上記実施の形態1で示した図1、図8及び図9を用いて実施の形態3のRFマネジメント装置による不要波の電波諸元の除去処理について説明する。
先ず、データリンク装置12は、受信アンテナ16を介して、僚機Bの位置(緯度、経度)やレーダ送信周波数などのデータに加え、僚機Bのレーダ波送信におけるパルス繰返し間隔及びパルス幅、僚機Bによる妨害波送信におけるパルス繰返し間隔及びパルス幅に関する情報をデータリンク情報D1として僚機B側のデータリンク装置から受信する。このあと、データリンク装置12は、データリンク情報D1を僚機Bに関する情報Icとして、僚機レーダ波除去器6や僚機妨害波除去器7などにそれぞれ出力する。
【0082】
実施の形態3による僚機レーダ波除去器6では、僚機Bから脅威機Cへのレーダ波cを送信する際に僚機Bから自機Aへ照射される意図しないレーダ波dを除去するにあたり、レーダ装置10が検出した僚機Bの方位と距離に関するデータと他アビオニクスシステム13が検出した自機Aの位置(緯度、経度)に関するデータとを用いて僚機Bの位置(緯度、経度)を算出する。
【0083】
次に、僚機レーダ波除去器6は、レーダ装置10及び他アビオニクスシステム13により検出されたデータを用いて算出した僚機Bの位置(緯度、経度)に関するデータと、データリンク装置12を介して入力した僚機Bの位置(緯度、経度)に関するデータとを比較し、さらに電波探知装置11が検出した受信電波に基づく電波諸元(周波数、パルス繰り返し間隔及びそのパルス幅)と、データリンク装置12を介して入力した僚機Bのレーダ波送信周波数(=レーダ波cの送信周波数)、僚機Bのレーダ波送信におけるパルス繰返し間隔及びパルス幅に関するデータとを比較して、それぞれの一致判定を行う。
【0084】
このとき、僚機Bの位置、レーダ送信周波数、僚機Bのレーダ波送信におけるパルス繰返し間隔及びパルス幅がそれぞれ一致していれば、僚機レーダ波除去器6は、電波探知装置11が検出した受信電波のうち、当該周波数に係るデータが、僚機Bから脅威機Cへのレーダ波cの送信時に自機A側で受信されたレーダ波d(レーダ波cを自機A側で受信したものでレーダ波c,dは同一周波数)によるものと判断し、当該電波諸元を不要波諸元として電波探知装置11が検出した受信電波に基づく電波諸元から除去する。
【0085】
また、僚機妨害波除去器7では、脅威機Cから僚機Bへのレーダ波hに対して僚機Bから脅威機Cへ妨害波iを送信する際に僚機Bから自機Aへ照射される意図しない妨害波jを除去するにあたり、レーダ装置10及び電波探知装置11が検出した僚機Bの方位と距離に関するデータと他アビオニクスシステム13が検出した自機Aの位置(緯度、経度)に関するデータとを用いて僚機Bの位置(緯度、経度)を算出する。
【0086】
次に、僚機妨害波除去器7は、レーダ装置10及び他アビオニクスシステム13により検出されたデータを用いて算出した僚機Bの位置(緯度、経度)に関するデータと、データリンク装置12から入力した僚機Bの位置(緯度、経度)に関するデータとを比較し、さらに電波探知装置11が検出した受信電波に基づく電波諸元(周波数、パルス繰り返し間隔及びそのパルス幅)と、データリンク装置12を介して入力した僚機Bの妨害波送信周波数(=妨害波iの送信周波数)、僚機Bの妨害波送信におけるパルス繰返し間隔及びパルス幅に関するデータとを比較して、それぞれの一致判定を行う。
【0087】
このとき、僚機Bの位置、妨害波送信周波数、僚機Bの妨害波送信におけるパルス繰返し間隔及びパルス幅がそれぞれ一致していれば、僚機妨害波除去器7は、電波探知装置11が検出した受信電波のうち、当該周波数に係るデータが、僚機Bから脅威機Cへの妨害波i(脅威機Cによるレーダ波送信周波数と同じ周波数)の送信時に自機A側で受信された妨害波j(妨害波iを自機A側で受信したもので妨害波i,jは同一周波数)によるものと判断し、当該電波諸元を不要波諸元として電波探知装置11が検出した受信電波に基づく電波諸元から除去する。
【0088】
なお、上記判定は、妨害波が相手側から送信されたレーダ波と同じ周波数でことを利用している。つまり、僚機Bは、脅威機Cによるレーダ波送信周波数と同じ周波数の妨害波iを脅威機Cに送信することにより脅威機Cによる探知を妨害する。
【0089】
以上のように、この実施の形態3によれば、僚機レーダ波除去器6が、僚機Bから送信されるレーダ波の送信周波数及び僚機Bの位置に加え、僚機Bからのレーダ波送信のパルス繰返し間隔及びパルス幅を用いて不要電波の諸元を除去し、僚機妨害波除去器7が、僚機Bから送信される妨害波周波数及び僚機Bの位置に加え、僚機Bからの妨害波送信のパルス繰返し間隔及びパルス幅を用いて不要電波の諸元を除去するので、より正確に不要電波を特定することができ、的確に目標対象の情報のみを取得することができる。
【0090】
実施の形態4.
図12は、この発明の実施の形態4によるRFマネジメント装置を使用した電子戦システムの構成を示すブロック図である。なお、図2で示した構成要素と同一若しくはこれに相当する構成要素には同一符号を付して重複する説明は省略する。実施の形態4による電子戦システム1AのRFマネジメント装置3Aは、受信装置(目標諸元探知部)2Aから出力される除外対象の諸元を含むRF信号Iaに基づく目標諸元のうち、自機Aに関する情報Ib及び僚機Bに関する情報Icを利用して上記実施の形態1から3までのいずれかに示す処理により不要波の諸元を除去し、不要波除去後の目標諸元を識別装置4に出力すると共に、除外した不要波の諸元を受信装置2Aにフィードバックする。
【0091】
受信装置2Aでは、RFマネジメント装置3Aから入力した除去諸元の周波数を受信しないように制御して受信対象とする諸元のみを出力する。なお、受信装置2Aとしては、図4などに示したレーダ装置10や電波探知装置11が考えられるが、その探知周波数として設定されている値からRFマネジメント装置3Aからフィードバックされた除去諸元の周波数を除く処理を行うことで、除去諸元の周波数を受信しないように制御することができる。
【0092】
以上のように、この実施の形態4によれば、RFマネジメント装置3Aが不要電波の諸元として判定した結果を受信装置2Aにフィードバックし、受信装置2AがRFマネジメント装置3Aからフィードバックされた不要電波の諸元を探知対象から除外するので、目標対象とするレーダ波以外を受信装置2A側でも除去することができ、電子戦システムとして対象目標対処に注力することが可能となる。
【0093】
なお、上記実施の形態1から4まででは、航空機等に本発明の電子戦システムを搭載する場合を例に挙げて説明したが、船舶や車両などに対しても適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】この発明のアビオニクス運用環境を概念的に示す図である。
【図2】実施の形態1による電子戦システムの構成を概略的に示すブロック図である。
【図3】図2中のRFマネジメント装置の構成を概略的に示すブロック図である。
【図4】実施の形態1による僚機レーダ波除去器の動作を説明する図である。
【図5】実施の形態1による僚機妨害波除去器の動作を説明する図である。
【図6】実施の形態1による自機レーダ対応脅威妨害波除去器の動作を説明する図である。
【図7】実施の形態1による僚機レーダ対応脅威妨害波除去器の動作を説明する図である。
【図8】この発明の実施の形態2による僚機レーダ波除去器の動作を説明する図である。
【図9】実施の形態2による僚機妨害波除去器の動作を説明する図である。
【図10】実施の形態2による自機レーダ対応脅威妨害波除去器の動作を説明する図である。
【図11】実施の形態2による僚機レーダ対応脅威妨害波除去器の動作を説明する図である。
【図12】この発明の実施の形態4による電子戦システムの構成を概略的に示すブロック図である。
【符号の説明】
【0095】
1,1A 電子戦システム、2,2A 受信装置(目標諸元探知部)、3,3A RFマネジメント装置、4 識別装置、5 妨害装置、6,6a 僚機レーダ波除去器(第1の除去処理部)、7,7a 僚機妨害波除去器(第2の除去処理部)、8,8a 自機レーダ対応脅威妨害波除去器(第3の除去処理部)、9,9a 僚機レーダ対応脅威妨害波除去器(第4の除去処理部)、10 レーダ装置(目標諸元探知部)、11 電波探知装置(目標諸元探知部)、12 データリンク装置、13 他アビオニクスシステム、14,17,18 送信アンテナ、15,16 受信アンテナ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
目標のレーダ波を捜索して探知する電波探知機能と、妨害対象からのレーダ波と同一若しくはそれに相当する周波数の妨害波を送信して電波妨害を実行する妨害機能とを有する電子戦システムに設けられ、探知した前記目標の諸元から不要な電波の諸元を除去するRFマネジメント装置において、
脅威となる前記電子戦システム以外の他の前記電子戦システムから送信されたレーダ波の送信周波数及び前記他の電子戦システムの位置と自システムで探知した電波周波数及びその送信元の位置との比較結果に基づいて、前記他の電子戦システムから送信されたレーダ波の諸元を除去する第1の除去処理部と、
前記他の電子戦システムから前記脅威となる電子戦システムに送信された妨害波の送信周波数及び前記他の電子戦システムの位置と前記自システムで探知した電波周波数及びその送信元の位置との比較結果に基づいて、前記他の電子戦システムから送信された妨害波の諸元を除去する第2の除去処理部と、
前記自システムから送信されたレーダ波の送信周波数及び前記他の電子戦システムで探知した前記脅威となる電子戦システムの位置と前記自システムで探知した電波周波数及びその送信元の位置との比較結果に基づいて、前記脅威となる電子戦システムから前記自システムに送信された妨害波の諸元を除去する第3の除去処理部と、
前記他の電子戦システムから送信されたレーダ波の送信周波数及び前記他の電子戦システムで探知した前記脅威となる電子戦システムの位置と前記自システムで探知した電波周波数及びその送信元の位置との比較結果に基づいて、前記脅威となる電子戦システムから前記他の電子戦システムに送信された妨害波の諸元を除去する第4の除去処理部と
を備えたことを特徴とするRFマネジメント装置。
【請求項2】
第1の除去処理部は、脅威となる電子戦システム以外の他の電子戦システムから送信されるレーダ波の送信周波数が予め設定されており、当該送信周波数を用いて目標諸元から不要電波の諸元を除去することを特徴とする請求項1記載のRFマネジメント装置。
【請求項3】
第2の除去処理部は、脅威となる電子戦システム以外の他の電子戦システムから送信された妨害波周波数の代わりに、従前に探知した前記脅威となる電子戦システムのレーダ波送信周波数を用いて目標諸元から不要電波の諸元を除去することを特徴とする請求項1又は請求項2記載のRFマネジメント装置。
【請求項4】
第3の除去処理部は、自システムが送信するレーダ波の送信周波数が予め設定されており、当該送信周波数を用いて目標諸元から不要電波の諸元を除去することを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載のRFマネジメント装置。
【請求項5】
第4の除去処理部は、脅威となる電子戦システム以外の他の電子戦システムから送信されるレーダ波の送信周波数が予め設定されており、当該送信周波数を用いて目標諸元から不要電波の諸元を除去することを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1項記載のRFマネジメント装置。
【請求項6】
第1の除去処理部は、脅威となる電子戦システム以外の他の電子戦システムから送信されるレーダ波の送信周波数及び前記他の電子戦システムの位置に加え、前記他の電子戦システムからのレーダ波送信のパルス繰返し間隔及びパルス幅を用いて不要電波の諸元を除去することを特徴とする請求項1から請求項5のうちのいずれか1項記載のRFマネジメント装置。
【請求項7】
第2の除去処理部は、脅威となる電子戦システム以外の他の電子戦システムから送信される妨害波周波数及び前記他の電子戦システムの位置に加え、前記他の電子戦システムからの妨害波送信のパルス繰返し間隔及びパルス幅を用いて不要電波の諸元を除去することを特徴とする請求項1から請求項6のうちのいずれか1項記載のRFマネジメント装置。
【請求項8】
目標からのレーダ波の送信周波数及び前記目標位置を探知する目標諸元探知部と、
脅威となる電子戦システム以外の他の電子戦システムとの間で情報のやり取りを行うデータリンク装置と、
前記データリンク装置を介して取得した前記他の電子戦システムから送信される電波の送信周波数及びシステム位置並びに前記脅威となる電子戦システムの位置を用いて、前記前記目標諸元探知部が探知した目標諸元から不要電波の諸元を除去する請求項1から請求項7のうちのいずれか1項記載のRFマネジメント装置と、
前記RFマネジメント装置により不要電波の諸元が除去された目標諸元に基づいて妨害対象を識別する識別装置と、
前記識別装置により識別された妨害対象に妨害波を送信して電波妨害する妨害装置と
を備えた電子戦システム。
【請求項9】
RFマネジメント装置は、不要電波の諸元として判定した結果を目標諸元探知部にフィードバックし、
前記目標諸元探知部は、前記RFマネジメント装置からフィードバックされた不要電波の諸元を探知対象から除外することを特徴とする請求項8記載の電子戦システム。
【請求項1】
目標のレーダ波を捜索して探知する電波探知機能と、妨害対象からのレーダ波と同一若しくはそれに相当する周波数の妨害波を送信して電波妨害を実行する妨害機能とを有する電子戦システムに設けられ、探知した前記目標の諸元から不要な電波の諸元を除去するRFマネジメント装置において、
脅威となる前記電子戦システム以外の他の前記電子戦システムから送信されたレーダ波の送信周波数及び前記他の電子戦システムの位置と自システムで探知した電波周波数及びその送信元の位置との比較結果に基づいて、前記他の電子戦システムから送信されたレーダ波の諸元を除去する第1の除去処理部と、
前記他の電子戦システムから前記脅威となる電子戦システムに送信された妨害波の送信周波数及び前記他の電子戦システムの位置と前記自システムで探知した電波周波数及びその送信元の位置との比較結果に基づいて、前記他の電子戦システムから送信された妨害波の諸元を除去する第2の除去処理部と、
前記自システムから送信されたレーダ波の送信周波数及び前記他の電子戦システムで探知した前記脅威となる電子戦システムの位置と前記自システムで探知した電波周波数及びその送信元の位置との比較結果に基づいて、前記脅威となる電子戦システムから前記自システムに送信された妨害波の諸元を除去する第3の除去処理部と、
前記他の電子戦システムから送信されたレーダ波の送信周波数及び前記他の電子戦システムで探知した前記脅威となる電子戦システムの位置と前記自システムで探知した電波周波数及びその送信元の位置との比較結果に基づいて、前記脅威となる電子戦システムから前記他の電子戦システムに送信された妨害波の諸元を除去する第4の除去処理部と
を備えたことを特徴とするRFマネジメント装置。
【請求項2】
第1の除去処理部は、脅威となる電子戦システム以外の他の電子戦システムから送信されるレーダ波の送信周波数が予め設定されており、当該送信周波数を用いて目標諸元から不要電波の諸元を除去することを特徴とする請求項1記載のRFマネジメント装置。
【請求項3】
第2の除去処理部は、脅威となる電子戦システム以外の他の電子戦システムから送信された妨害波周波数の代わりに、従前に探知した前記脅威となる電子戦システムのレーダ波送信周波数を用いて目標諸元から不要電波の諸元を除去することを特徴とする請求項1又は請求項2記載のRFマネジメント装置。
【請求項4】
第3の除去処理部は、自システムが送信するレーダ波の送信周波数が予め設定されており、当該送信周波数を用いて目標諸元から不要電波の諸元を除去することを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載のRFマネジメント装置。
【請求項5】
第4の除去処理部は、脅威となる電子戦システム以外の他の電子戦システムから送信されるレーダ波の送信周波数が予め設定されており、当該送信周波数を用いて目標諸元から不要電波の諸元を除去することを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1項記載のRFマネジメント装置。
【請求項6】
第1の除去処理部は、脅威となる電子戦システム以外の他の電子戦システムから送信されるレーダ波の送信周波数及び前記他の電子戦システムの位置に加え、前記他の電子戦システムからのレーダ波送信のパルス繰返し間隔及びパルス幅を用いて不要電波の諸元を除去することを特徴とする請求項1から請求項5のうちのいずれか1項記載のRFマネジメント装置。
【請求項7】
第2の除去処理部は、脅威となる電子戦システム以外の他の電子戦システムから送信される妨害波周波数及び前記他の電子戦システムの位置に加え、前記他の電子戦システムからの妨害波送信のパルス繰返し間隔及びパルス幅を用いて不要電波の諸元を除去することを特徴とする請求項1から請求項6のうちのいずれか1項記載のRFマネジメント装置。
【請求項8】
目標からのレーダ波の送信周波数及び前記目標位置を探知する目標諸元探知部と、
脅威となる電子戦システム以外の他の電子戦システムとの間で情報のやり取りを行うデータリンク装置と、
前記データリンク装置を介して取得した前記他の電子戦システムから送信される電波の送信周波数及びシステム位置並びに前記脅威となる電子戦システムの位置を用いて、前記前記目標諸元探知部が探知した目標諸元から不要電波の諸元を除去する請求項1から請求項7のうちのいずれか1項記載のRFマネジメント装置と、
前記RFマネジメント装置により不要電波の諸元が除去された目標諸元に基づいて妨害対象を識別する識別装置と、
前記識別装置により識別された妨害対象に妨害波を送信して電波妨害する妨害装置と
を備えた電子戦システム。
【請求項9】
RFマネジメント装置は、不要電波の諸元として判定した結果を目標諸元探知部にフィードバックし、
前記目標諸元探知部は、前記RFマネジメント装置からフィードバックされた不要電波の諸元を探知対象から除外することを特徴とする請求項8記載の電子戦システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
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【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−189335(P2006−189335A)
【公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−1706(P2005−1706)
【出願日】平成17年1月6日(2005.1.6)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年1月6日(2005.1.6)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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