説明

RFIDによるパッチパネル接続監視方法及びRFID監視制御装置

【課題】予期せぬ構成変更が発生した場合には、ファイバ・ケーブルの構成変更を検知し、この変更をパッチパネルを管理している上位システム側へ通知する。
【解決手段】RFID監視制御装置内のスイッチを用いて、前記アンテナ部の中のアンテナを選択して、該アンテナに切り替え、選択されたアンテナに対応するパッチパネルのポートに挿入されたRFID付きケーブルのRFIDから個体識別可能なキーを含む情報を取得し、前記情報とRFID監視制御装置内のデータベースに保存されている情報とを比較し、不一致があった場合、上位システムに不一致を通知し、前記情報でデータベースを更新することを全てのアンテナに対して繰り返し行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RFIDによるパッチパネル接続監視方法及び該方法を実行するRFID監視制御装置に関する。より詳細には、RFID付きケーブルの新規挿入や抜去が行われた場合に、運用管理システムがその接続状態変更情報を瞬時に検知できる方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パッチパネルのケーブル・ファイバの管理として、接続先、接続元等を記載した丸札(手書き)による管理がなされてきた。しかしながら、その情報の不一致により、たびたび接続違いによる障害が発生している。その問題を解決するために、特許文献1では、パッチパネル(UTPケーブル)の空きピンを利用して接続異常検出を行っていた。また、特許文献2では、RFIDを用いた光ファイバケーブルの管理方法が提案された。
【0003】
また、図1に示すように、ICタグ付きのコネクタを有するケーブルを用いることにより、光ファイバ用のパッチパネルとクライアント装置及びファイバの接続情報管理を連携して管理可能な運用管理システムの提案もなされている。これにより、情報の不一致が発生せず、不一致による誤接続を防止可能となる。
【0004】
【特許文献1】特開2004−320090号公報
【特許文献2】特開2004−349184号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の方法では予期せぬ光ファイバやケーブルの挿入及び抜去が発生した場合、パッチパネルを管理している運用管理システムがその情報状態の変化を瞬時に検知することはできないという課題があった。
【0006】
したがって、本発明は、RFID付きファイバ・ケーブルを用い、予期せぬ構成変更が発生した場合には、このファイバ・ケーブルの構成変更を検知し、この変更を上位システム側へ通知することが可能なRFIDによるパッチパネル接続監視方法及びRFID監視制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、ネットワーク装置間に配置され両者の間の配線を中継するパッチパネルと、前記ネットワーク装置と前記パッチパネルの間を接続するRFID付きケーブルと、前記RFIDから情報を読み取るアンテナ部と、前記RFIDを監視制御するRFID監視制御装置とを備えているシステムにおいて、前記RFID監視制御装置内のスイッチを用いて、前記アンテナ部の中のアンテナを選択して、該アンテナに切り替えを行う第1のステップと、前記選択されたアンテナに対応する前記パッチパネルのポートに挿入された前記RFID付きケーブルのRFIDから個体識別可能なキーを含む情報を取得する第2のステップと、前記情報と前記RFID監視制御装置内のデータベースに保存されている情報とを比較する第3のステップと、前記第3のステップで不一致があった場合、上位システムに不一致を通知する第4のステップと、前記第1から第4のステップを全てのアンテナに対して行う第5のステップとを備えているRFIDによるパッチパネル接続監視方法が提供される。
【0008】
また、前記第4のステップは、前記第3のステップで不一致があった場合、前記情報で前記データベースを更新する機能をさらに有し、前記第5のステップは、全てのアンテナに対して繰り返し行われることも好ましい。
【0009】
本発明によれば、ネットワーク装置間に配置され両者の間の配線を中継するパッチパネルと、前記ネットワーク装置と前記パッチパネルの間を接続するRFID付きケーブルと、前記RFIDから情報を読み取るアンテナ部と、前記RFIDを監視制御するRFID監視制御装置とを備えているシステムにおいて、前記RFIDの情報を保存することができるデータベース部と、上位システムに対する通知機能を有する外部インターフェース部と、前記アンテナ部の中のアンテナを選択して、該アンテナに切り替えを行うスイッチと、前記スイッチを用いて、前記アンテナ部の中のアンテナを選択して、該アンテナに切り替え、前記選択されたアンテナに対応する前記パッチパネルのポートに挿入された前記RFID付きケーブルのRFIDから個体識別可能なキーを含む情報を取得し、該情報と前記データベースに保存されている情報と比較し、不一致があった場合、前記外部インターフェース部を用いて、上位システムに不一致を通知するRFID監視を全てのアンテナに対して行う制御部とを備えているRFID監視制御装置が提供される。
【0010】
また、前記制御部は、前記不一致があった場合、前記情報で前記データベースを更新する機能をさらに有すること、及び前記RFID監視を全てのアンテナに対して繰り返し行うことも好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本方法により、RFID監視制御装置により管理されるファイバ・ケーブルの接続状態が変更(挿入・抜去)された場合に、瞬時にその状態が上位の運用管理システムへ通知される。このため、運用者は運用管理システムを通じてRFIDで管理されているファイバ・ケーブルの接続状態変更及び誤接続をオンタイムで確認することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明を説明する。図2に本発明によるパッチパネル管理システムの構成概要を示す。本実施形態では、光ファイバ用パッチパネルを管理するシステムを示している。
【0013】
図2によると本システムは、複数のパッチパネルポートから構成される光ファイバ用パッチパネル1、RFID付き光ファイバ2、このRFIDの情報を書き込み及び読み取りが可能なリーダー・ライターを有するアンテナ部3、複数のアンテナを制御可能で、さらにRFIDの状態を常に監視するRFID監視制御装置4、及び運用管理システム5から構成される。
【0014】
光ファイバ用パッチパネル1は、L2スイッチやルータなどのネットワーク機器を光ファイバにより、接続する装置であり、また、パッチパネル1は、光クロスコネクト装置からなり、ネットワーク機器間の接続をクロスコネクト機能により実現する。本パッチパネル1に接続されるRFID付きファイバは、コネクタにRFID(ICタグ)を有している。このRFIDは、内部に個体識別可能な機器固有のキー(RFIDキー)を有し、近距離から無線通信によりこのキーを読み出すことが可能である。また、近距離からの無線通信により内部に情報を記録したり、記録した情報を無線通信により外部に送信する機能を有することもできる。アンテナ部3は、パッチパネル1のポート毎にアンテナを有しており、パッチパネルに挿入された光ファイバのRFIDの情報を読み取る及び書き込むことができる。運用管理システム5は、ネットワークを構成するネットワーク機器を管理する装置であり、SNMP等を用いて、対象とする装置の装置情報を取得し、ネットワーク運用者に通知及び表示する機能を有する。
【0015】
RFID監視制御装置4は常にRFIDの状態を監視し、変更時に上位システム(本実施形態では運用管理システム5)へ警報伝播する機能を持つ。図3に、本発明によるRFID監視制御装置4のブロック構成図を示す。
【0016】
図3によると、RFID監視制御装置4は、制御部41、データベース(DB)部42、スイッチ(SW)部43、外部インターフェース(I/F)部44から構成されている。制御部41は、上位運用管理システム5からの読込要求・書き込み要求を処理する機能、RFIDの情報を常に制御(読取)し、その情報をDB部42へ保存要求を出す機能、RFIDから読み取った情報でDB部42に検索要求を行う機能、及びRFIDから読み取った情報とDB部42に保存されている情報とを比較して、異なっていた場合は外部インターフェース部44に警報通知送信を要求する機能を有する。DB部42は制御部41からの要求により対象の情報を保存及び検索する機能を有する。スイッチ部43は制御部41からの要求をもとに、要求に応じたアンテナを選択して、該アンテナに切り替えを行う機能を有する。外部インターフェース部44は上位運用管理システム5からの要求の受付及びSNMPのトラップ等で上位運用管理システム5へ警報を送信する機能を有する。
【0017】
図4及び図5に、本発明によるRFID監視制御装置4の障害検知取得フローを示す。RFID監視制御装置4は、下記のフローをアンテナ1からアンテナN(Nは最大アンテナ数)まで行い、アンテナNに達した後アンテナ1から再度繰り繰り返しすることにより、複数のRFID情報を常時に監視することが可能になる。
[1]制御部41はアンテナXに対応するポートに挿入された光ファイバのRFIDの情報を取得するため、情報収集要求をSW部43へ送信する。
[2]SW部43は要求情報をもとに、アンテナXに切り替えを行い、要求コマンドをアンテナXに送信する。
[3]アンテナXが要求を受け取り、RFIDへ情報取得要求を行う。
[4]RFIDは要求をもとに、情報をアンテナXに返送する。
[5]アンテナXは情報を制御部41に返送する。
[6]制御部41は受信した情報のRFIDキーをもとにデータベース部42に検索要求を送出する。
[7]データベース部42は受信したRFIDキーをもとに、データベース内の情報を検索する。
[8]検索情報があった場合は、データベース内の情報を制御部41に返送し、なかった場合はその旨を返送する。
[9]制御部41はデータベース内の情報が返送された場合、RFIDから取得した情報と、データベース部42から取得した情報を比較する。変更がない場合は、[1]に戻り、次のアンテナの情報取得へ移行する。変更があった場合、次の[10]及び[13]に移行する。情報がなかった場合も同様に次の[10]及び[13]に移行する。
[10]変更情報をデータベース部42の反映させるため、データベース部42に情報変更要求を送出する。また、データベース内に情報がなかった場合も同様に処理する。
[11]データベース部は情報変更要求をもとに更新または新規登録を行う。
[12]制御部41は更新または登録情報を確認し、[1]に戻り、次のアンテナの情報取得へ移行する。
[13]制御部41は情報が更新されていることを上位の運用管理システム5に通知するため、外部インターフェース部44に警報通知要求を行う。
[14]外部インターフェース部44は受信した警報情報を運用管理システム5に転送する。
【0018】
以上のように、RFID監視制御装置4から警報が転送されるため、運用管理システム5は光ファイバ接続状態の変更が検知でき、運用者はオンタイムで接続状態の変更を確認することができる。なお、データベース部42に最初、光ファイバのRFIDの情報を記憶しておく必要はない。この場合、光ファイバが新たに接続された時、運用管理システム5に警報情報が通知される。逆にデータベース部42にパッチパネルの各ポートに接続される光ファイバのRFIDの情報を事前に記憶しておくこともできる。この場合、運用管理システム5に警報情報が転送されることにより、ケーブルの誤接続をオンタイムで確認することができる。
【0019】
なお、ケーブルの誤接続をオンタイムで確認することのみを目的にする場合、RFID監視制御装置4は、データベース部42の内容を変更する機能は不要であり、またアンテナ1からアンテナN(Nは最大アンテナ数)まで行うだけでよく、アンテナNに達した後アンテナ1から再度繰り返すことは必要としない。
【0020】
また、以上述べた実施形態は全て本発明を例示的に示すものであって限定的に示すものではなく、本発明は他の種々の変形態様及び変更態様で実施することができる。従って本発明の範囲は特許請求の範囲及びその均等範囲によってのみ規定されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】光ファイバ用パッチパネル管理システムの構成概要をを示す。
【図2】本発明によるパッチパネル管理システムの構成概要を示す。
【図3】本発明によるRFID監視制御装置のブロック構成図を示す。
【図4】本発明によるRFID監視制御装置の障害検知取得フローを示す。
【図5】本発明によるRFID監視制御装置の障害検知取得フロー(続き)を示す。
【符号の説明】
【0022】
1 光ファイバ用パッチパネル
2 RFID付き光ファイバ
3 アンテナ部
4 RFID監視制御装置
5 運用管理システム
41 制御部
42 データベース(DB)部
43 スイッチ(SW)部
44 外部インターフェース(I/F)部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワーク装置間に配置され両者の間の配線を中継するパッチパネルと、前記ネットワーク装置と前記パッチパネルの間を接続するRFID付きケーブルと、前記RFIDから情報を読み取るアンテナ部と、前記RFIDを監視制御するRFID監視制御装置とを備えているシステムにおいて、
前記RFID監視制御装置内のスイッチを用いて、前記アンテナ部の中のアンテナを選択して、該アンテナに切り替えを行う第1のステップと、
前記選択されたアンテナに対応する前記パッチパネルのポートに挿入された前記RFID付きケーブルのRFIDから個体識別可能なキーを含む情報を取得する第2のステップと、
前記情報と前記RFID監視制御装置内のデータベースに保存されている情報とを比較する第3のステップと、
前記第3のステップで不一致があった場合、上位システムに不一致を通知する第4のステップと、
前記第1から第4のステップを全てのアンテナに対して行う第5のステップと、
を備えていることを特徴とするRFIDによるパッチパネル接続監視方法。
【請求項2】
前記第4のステップは、前記第3のステップで不一致があった場合、前記情報で前記データベースを更新する機能をさらに有し、
前記第5のステップは、全てのアンテナに対して繰り返し行われることを特徴とする請求項1に記載のRFIDによるパッチパネル接続監視方法。
【請求項3】
ネットワーク装置間に配置され両者の間の配線を中継するパッチパネルと、前記ネットワーク装置と前記パッチパネルの間を接続するRFID付きケーブルと、前記RFIDから情報を読み取るアンテナ部と、前記RFIDを監視制御するRFID監視制御装置とを備えているシステムにおいて、
前記RFIDの情報を保存することができるデータベース部と、
上位システムに対する通知機能を有する外部インターフェース部と、
前記アンテナ部の中のアンテナを選択して、該アンテナに切り替えを行うスイッチと、
前記スイッチを用いて、前記アンテナ部の中のアンテナを選択して、該アンテナに切り替え、前記選択されたアンテナに対応する前記パッチパネルのポートに挿入された前記RFID付きケーブルのRFIDから個体識別可能なキーを含む情報を取得し、該情報と前記データベースに保存されている情報とを比較し、不一致があった場合、前記外部インターフェース部を用いて、上位システムに不一致を通知するRFID監視を全てのアンテナに対して行う制御部と、
を備えていることを特徴とするRFID監視制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記不一致があった場合、前記情報で前記データベースを更新する機能をさらに有すること、及び前記RFID監視を全てのアンテナに対して繰り返し行うことを特徴とする請求項3に記載のRFID監視制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−188708(P2009−188708A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−26133(P2008−26133)
【出願日】平成20年2月6日(2008.2.6)
【出願人】(000208891)KDDI株式会社 (2,700)
【Fターム(参考)】