説明

RFIDシステム及びその送信漏洩信号除去方法

【課題】衝突防止期間にもRF環境の変化に応じて漏洩信号相殺機を再調整して、送信漏洩信号を効率的に除去する。
【解決手段】RFIDシステム3は、RFIDタグ5に送信信号を送出し、前記RFIDタグ5から送信された受信信号を読み取るコントローラ部120、前記送信信号の一部及び前記受信信号を受信し、前記送信信号の一部と送信漏洩信号を除去するための調整値に応じて相殺信号を生成して、前記受信信号に含まれている送信漏洩信号を除去する調整作業を行う漏洩信号相殺部140、予め設定された周期に応じて、前記受信信号の強度を用いて、前記RFIDタグ5が取り付けられているRF環境に変化があるか否かを判断し、前記RF環境の変化に応じて、前記漏洩信号相殺部の動作を制御し、前記RFIDタグ5から送信された受信信号を読み取る前記コントローラ部120の動作を制御するリーダ制御部110、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線周波数識別(Radio Frequency Identification:以下、「RFID」という)システムにおいて、受信信号に含まれている送信漏洩信号を除去することができるRFIDシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、RFIDシステムは、決済管理、文書管理、物流管理、身元確認、及び無線認証などのように、様々な情報を送受信するシステムにおいて広く活用されており、タグ情報が記録されている複数のタグ(tag)及びタグが有するタグ情報を読み取るリーダ(reader)を含む。
【0003】
このようなRFIDシステムにおいて、同一の無線周波数フィールド内に存在する複数のタグ(tag)がリーダ(reader)によって活性化されると、各タグでは、自分のタグ情報をリーダに送信することにより、複数のタグ情報間に衝突(collision)を引き起こす。
【0004】
したがって、前述の問題点を解決するために、リーダでは、各タグでタグ情報を送出できる時間である衝突防止(anti−collision)期間を周期的に転送して、複数のタグ情報間に発生する衝突を防止している。
【0005】
一方、無線信号の送信と受信が共に行われるRFIDシステムでは、送信信号と受信信号を隔離するために、アイソレータ(isolator)などのような別途の隔離装置を用いる。
ところが、リーダでは、送信信号の送出及び受信信号の受信が行われている間、送信信号の一部が漏れて受信信号に混入される問題により、受信信号を正常に受けることができない現象が発生するため、このような送信漏洩信号を相殺するために、別途の漏洩信号相殺機(Leakage Canceller)を備えて、相殺信号を生成する調整作業が行われている。
【0006】
しかし、タグが取り付けられているRF環境が変化する場合、RF環境に応じて変化する送信漏洩信号を相殺するために漏洩信号相殺機の調整条件を変更する必要があるが、従来のRFIDシステムにおけるリーダを制御するリーダ制御部は、衝突防止期間にタグの読み取りのみに集中するため、RF環境の変化に応じて調整条件を変更することができない問題が発生する。
【0007】
また、従来、漏洩信号相殺部に調整条件を一度設定すると、衝突防止期間が終了するまで一定に維持されているため、RF環境の変化に伴う市場のニーズに適切に対応できない限界があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記の従来技術の問題点を解決するためのものであり、本発明のRFIDシステムにおいて、RFタグを読み取る機能はコントローラ部で行い、リーダ制御部では、従来のRFタグを読み取る時間に送信漏洩信号を除去する機能を行って、送信漏洩信号を連続的に除去することができるRFIDシステムを提供することに目的がある。
【0009】
また、本発明は、衝突防止(anti−collision)期間にも、RF環境の変化に応じて漏洩信号相殺機を再調整して、送信漏洩信号を除去することができるRFIDシステムを提供することに他の目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このため、本発明による一実施例であるRFIDシステムは、RFIDタグに送信信号を送出し、前記RFIDタグから送信された受信信号を受信するアンテナと、前記送信信号と受信信号を隔離するアイソレータとを含み、前記RFIDタグに送信する送信信号を出力し、前記RFIDタグから送信された受信信号を読み取るコントローラ部、前記送信信号の一部及び前記受信信号を受信し、前記送信信号の一部と送信漏洩信号を除去するための調整値に応じて相殺信号を生成して、前記受信信号に含まれている送信漏洩信号を除去する調整作業を行う漏洩信号相殺部、及び、予め設定された周期に応じて、前記受信信号の強度を用いて、前記RFIDタグが取り付けられているRF環境に変化があるか否かを判断し、前記RF環境の変化に応じて前記漏洩信号相殺部の動作を制御し、前記RFIDタグから送信された受信信号を読み取る前記コントローラ部の動作を制御するリーダ制御部を含む。
【0011】
本発明に係る一実施例の一態様によると、前記コントローラ部は、前記リーダ制御部から送信命令信号が送信されると、前記RFIDタグに送信する送信信号を出力し、前記RFIDタグから送信された受信信号を読み取り、前記読み取ったタグ情報を前記リーダ制御部に送信する。
【0012】
本発明に係る一実施例の一態様によると、前記リーダ制御部は、予め設定された周期に応じて、前記受信信号の強度を基準値と比較して、前記受信信号の強度が基準値以上であると、前記RF環境に変化があると判断する。
【0013】
本発明に係る一実施例の一態様によると、前記リーダ制御部は、前記RF環境に変化があると判断される場合、前記受信信号の強度が基準値未満になるようにする前記調整値を検出して、前記漏洩信号相殺部に伝達し、前記漏洩信号相殺部は、前記調整値に応じて相殺信号を生成して、前記受信信号に含まれている送信漏洩信号を除去する調整作業を行う。
【0014】
本発明に係る一実施例の一態様によると、前記相殺信号は、前記送信漏洩信号と大きさが同一であり、位相が反対である。
【0015】
本発明に係る一実施例の一態様によると、前記リーダ制御部は、前記衝突防止(anti−collision)期間の間にも、前記受信信号の強度を用いて、RFIDタグが取り付けられているRF環境に変化があるか否かを判断し、RF環境の変化があると、前記RF環境の変化に応じて前記調整値を検出して前記相殺信号を生成するように、前記漏洩信号相殺部を制御する。
本発明に係る一実施例の一態様によると、前記漏洩信号相殺部は、前記調整値に応じて相殺信号を生成して、前記受信信号に含まれている送信漏洩信号を相殺する調整作業を行う第1の漏洩信号相殺部と、前記調整値に応じて相殺信号を生成して、前記受信信号に含まれている送信漏洩信号を相殺する調整作業を行った後、前記受信信号を前記リーダ制御部に出力する第2の漏洩信号相殺部とを含む。
【0016】
本発明に係る一実施例の一態様によると、前記リーダ制御部は、予め設定された周期に応じて前記受信信号の強度が基準値以上であるか否かを判断し、前記受信信号の強度が基準値以上であると、前記調整値を再検出して前記第2の漏洩信号相殺部に適用し、前記受信信号の強度が基準値未満になるまで、前記判断及び前記適用過程を繰り返し行い、前記受信信号の強度が基準値未満になると、これに相応する調整値を前記第1の漏洩信号相殺部に適用する。
本発明に係る他の実施例であるRFIDシステムの送信漏洩信号除去方法は、(a)予め設定された周期に応じてRFIDタグから送信される受信信号の強度を用いてRF環境の変化を判断するステップ、及び、(b)前記(a)ステップの判断結果、RF環境の変化がある場合、送信漏洩信号を除去するための調整値を検出し、前記受信信号に含まれている前記送信漏洩信号を除去するステップを含む。
【0017】
本発明に係る他の実施例の一態様によると、前記(a)ステップは、(e)予め設定された周期に応じて、前記受信信号の強度を基準値と比較するステップ、及び(f)前記(e)ステップの比較結果、前記受信信号の強度が基準値以上であると、RF環境の変化があると判断するステップを含む。
【0018】
本発明に係る他の実施例の一態様によると、前記(b)ステップは、(i)前記(a)ステップの判断結果、RF環境の変化がある場合、送信漏洩信号を除去するための調整値を検出するステップ、及び、(j)前記調整値に応じて相殺信号を生成して、前記受信信号に含まれている前記送信漏洩信号を除去するステップを含む。
【0019】
本発明に係る他の実施例の一態様によると、前記(i)ステップは、前記受信信号の強度が基準値未満になるようにする前記調整値を検出する。
本発明に係る他の実施例の一態様によると、前記(b)ステップは、(m)前記(a)ステップの判断結果、RF環境の変化がある場合、送信漏洩信号を除去するための調整値を検出するステップ、(n)第2の漏洩信号相殺部が、前記(m)ステップで検出した調整値に応じて相殺信号を生成して、前記受信信号に含まれている送信漏洩信号を除去するステップ、(o)前記受信信号の強度が基準値未満になるまで、前記(m)ステップ及び前記(n)ステップを繰り返し行うステップ、及び(p)前記(o)ステップの繰り返し実行の結果、前記受信信号の強度が基準値未満になると、これに相応する調整値に応じて、第1の漏洩信号相殺部が相殺信号を生成して、前記受信信号に含まれている送信漏洩信号を除去するステップを含む。
【発明の効果】
【0020】
上述のように、本発明の一実施例によるRFIDシステムによると、RFIDシステムにおいて送信と受信が共に行われるとき、受信信号に含まれている送信信号の漏洩信号をより効率的に除去して、受信信号の受信感度を向上させることができ、より精密なタグの読み取りが可能な長所がある。
【0021】
また、リーダを制御するリーダ制御部は、コントローラ部を制御してRFIDタグを読み取る機能を行い、従来のRFIDタグを読み取る時間(余分の時間)に、漏洩信号相殺部を直接制御して、連続的に送信漏洩信号を除去することができる長所がある。
【0022】
その上、RFIDシステムにおいて、衝突防止(anti−collision)期間にも、RF環境の変化に応じて漏洩信号相殺機を再調整して、送信漏洩信号を効率的に除去することができる長所がある。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施例によるRFIDシステムの構成図である。
【図2】本発明の他の実施例によるRFIDシステムの構成図である。
【図3】本発明の一実施例によるRFIDシステムにおける漏洩信号の除去を説明するためのタイムチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下で、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施例について説明する。また、本発明を説明するにおいて、関連する公知の機能または構成に対する具体的な説明が本発明の要旨を不要に不明にする可能性があると判断される場合には、その詳細な説明を省略する。
【0025】
図1は、本発明の一実施例によるRFIDシステムの構成図である。
【0026】
図1に示すように、RFIDシステム1の送信漏洩信号除去装置100は、リーダ制御部110、コントローラ部120、信号分岐部130、及び漏洩信号相殺部140を含んで構成される。
【0027】
RFIDシステム1は、概ね、RFIDリーダ(reader)3とRFIDタグ(tag)5とから構成される。RFIDリーダ3は、送信漏洩信号除去装置100を含み、RFIDタグ5と無線(RF)信号を送受信して、RFIDタグ5に格納されたタグ情報を識別する。
【0028】
このために、RFIDリーダ3は、送信信号(S1)を出力してRFIDタグ5に送出し、RFIDタグ5から送出された受信信号(S2)を受信して、RFIDタグ5のタグ情報を読み取る。
【0029】
リーダ制御部(CPU)110は、RFIDリーダ3を全般的に制御するマイクロコンピュータであって、RFIDタグ5のタグ情報を読み取るコントローラ部120の動作を制御し、送信漏洩信号を除去するために調整作業を行う漏洩信号相殺部140の動作を制御する。
【0030】
より具体的に説明すると、リーダ制御部110でコントローラ部120に送信命令信号を送信すると、コントローラ部120は送信命令信号を受信し、前記送信命令信号に応じて、RFIDタグ5に送出する送信信号(S1)を出力する。
このような送信信号(S1)は送信アンプ10によって増幅された後、信号分岐部130とアイソレータ(isolator:20)を経て、アンテナ30を介して外部に送出される。
【0031】
また、リーダ制御部110は、コントローラ部120で読み取ったRFIDタグ5のタグ情報を受信し、受信したRFIDタグ5のタグ情報に応じてRFIDリーダ3を制御する。
【0032】
そして、リーダ制御部110は、複数のタグ情報(つまり、複数のRFIDタグ5から送出される複数の受信信号(S2))の間で発生する衝突を防止するために、各RFIDタグ5で該当受信信号(S2)を送出できる時間である衝突防止(anti−collision)期間を周期的に設定する。
【0033】
すると、各RFIDタグ5では、衝突防止(anti−collision)期間に合わせて受信信号(S2)を送出する。
【0034】
コントローラ部120は、リーダ制御部110の制御に応じて、RFIDタグ5に送出する送信信号(S1)を出力し、アンテナ30を介して受信信号(S2)を受信して、RFIDタグ5のタグ情報を読み取った後、読み取ったRFIDタグ5のタグ情報をリーダ制御部110に転送する。
【0035】
この際、アンテナ30を介して受信される受信信号(S2)は、アイソレータ20によって受信アンプ40に伝達され、受信アンプ40は、その受信信号(S2)を増幅した後、コントローラ部120に転送する。
【0036】
一方、送信信号(S1)の送出及び受信信号(S2)の受信が行われる間、送信信号(S1)の一部が漏れ、受信信号(S2)に送信漏洩信号(S3)が混入される現象が発生する。
【0037】
このように、受信信号(S2)に混入した送信漏洩信号(S3)を相殺するために、信号分岐部130は、送信信号(S1)の一部を分岐した分岐信号(S4)を漏洩信号相殺部140に出力する。
【0038】
一方、漏洩信号相殺部140は、信号分岐部130から出力される分岐信号(S4)及び受信信号(S2)を受信し、リーダ制御部110の制御に応じて、受信信号(S2)に含まれている送信漏洩信号(S3)を相殺するために、相殺信号を生成して、受信信号(S2)(送信漏洩信号(S3)が混入されている)と結合する。
【0039】
これにより、受信信号(S2)に含まれている送信漏洩信号(S3)が相殺信号によって相殺され、純粋な受信信号(S2)だけが受信アンプ40に伝達される。
【0040】
ここで、受信信号(S2)に含まれている送信漏洩信号(S3)は、送信信号(S1)と同一の大きさ(振幅)及び位相を有するため、送信信号(S1)から分岐された分岐信号(S4)を基にして、相殺信号を生成する。この際、相殺信号は、送信漏洩信号(S3)と大きさは同一であり、位相が反対である信号である。
【0041】
上述の内容をより詳しく説明すると、漏洩信号相殺部140に送信漏洩信号(S3)を除去するための調整条件が既設定された状態で、漏洩信号相殺部140は分岐信号(S4)及び受信信号(S2)を受信し、リーダ制御部110から調整値が伝達されると、伝達された調整値に応じて調整条件を再設定し、再設定された調整条件に応じて相殺信号を生成して、送信漏洩信号(S3)を除去するための調整作業を行う。
このために、リーダ制御部110は、複数の調整値の中で、送信信号(S1)が受信信号(S2)に混入されることを最大限に防止できる調整値を探索して検出する動作を行う。
【0042】
ここで、調整値とは、受信信号(S2)に混入した送信漏洩信号(S3)を除去するために、漏洩信号相殺部140に設定される値であって、送信信号(S1)が受信信号(S2)に混入されることを最大限に防止できるように(つまり、送信信号(S1)が受信信号(S2)に最小限の影響を及ぼすことができるように)、受信信号の強度を最小にすることができる値を言う。
【0043】
以下では、RF環境の変化による送信漏洩信号を除去できるように、リーダ制御部110で漏洩信号相殺部140を制御する動作を説明する。
【0044】
リーダ制御部110は、RF環境内にあるRFIDタグ5から受信信号(S2)を受信し、受信信号(S2)の強度を用いて、RFIDタグ5に対するRF環境の変化があるか否かを確認する。
【0045】
ここで、RF環境の変化とは、RFIDタグ5の数が変化したり、またはRFIDタグ5の位置が変化することを言う。
【0046】
そして、RF環境の変化がある場合、リーダ制御部110は、RF環境の変化による送信漏洩信号(S3)を除去するために調整値を再検出し、再検出された調整値を漏洩信号相殺部140に適用して調整条件を再設定することによって、漏洩信号相殺部140で相殺信号を生成するための調整作業を再び行うことができるように制御する。
一方、リーダ制御部110は、受信信号(S2)の強度、つまり、受信信号(S2)の量が最小値であるゼロ(0)の値を見つける方法によって調整値を検出する。
【0047】
より具体的に説明すると、リーダ制御部110に入力される受信信号(S2)は、漏洩信号相殺部140を経て、既に送信漏洩信号(S3)が除去された状態であるため、受信信号(S2)の強度が最小値であるゼロ(0)の値に近くなければならないが、RF環境が変わると、漏洩信号相殺部140を経ても、受信信号(S2)の強度が大きくなるため(つまり、受信信号の強度が基準値以上になるため)、リーダ制御部110では、RF環境の変化に応じて、これを調整する作業を行わなければならない。
【0048】
したがって、リーダ制御部110では、受信信号(S2)の強度を最小値に作るために調整値を再検出し、再検出された調整値を漏洩信号相殺部140に適用して調整条件を変更することで、RF環境が変わっても、受信信号(S2)の強度が最小値(つまり、受信信号の強度がの基準値未満)を有するようにする。
【0049】
ここで、再検出された調整値とは、リーダ制御部110に既格納されている複数の調整値のうち、受信信号の強度が最小値に出るように調整値を探索した結果、検出される調整値をいう。
【0050】
前記調整値を検出するために、RFIDリーダ3の動作時に受信信号の強度は、常に、チェックされなければならない。
一方、リーダ制御部110は、衝突防止(anti−collision)期間であっても、RF環境の変化がある場合は、漏洩信号相殺部140で再調整作業を行うことができるようにする。
【0051】
上述のように、リーダ制御部110では、コントローラ部120を制御してRFIDタグの読み取り機能を行い、この時に生じられる余分の時間の間には、漏洩信号相殺部140を直接制御して、連続的に送信漏洩信号を除去する動作を具現できるようにする。
【0052】
図2は、本発明の他の実施例によるRFIDシステムの構成図である。
【0053】
図2に示すように、RFIDシステム1の送信漏洩信号除去装置100は、リーダ制御部110、コントローラ部120、信号分岐部130、第1の漏洩信号相殺部142及び第2の漏洩信号相殺部144を含んで構成される。
【0054】
以下、機能が同一の構成は、第1の実施例で説明したので、省略する。
【0055】
第1の漏洩信号相殺部142は、調整条件が既設定された状態で分岐信号(S4)及び受信信号(S2)を受信し、リーダ制御部110から伝達された調整値に応じて調整条件を再設定して、再設定された調整条件に応じて相殺信号を生成することにより、送信漏洩信号(S3)を除去するための調整作業を再び行うことになる。
【0056】
第2の漏洩信号相殺部144は、リーダ制御部110から伝達された調整値を適用して調整条件を設定し、設定された調整条件に応じて受信信号(S2)に含まれている送信漏洩信号(S3)を相殺するための相殺信号を生成し、相殺信号を用いて、送信漏洩信号(S3)を除去するための調整作業を行った後、送信漏洩信号(S3)が除去された受信信号(S2)をリーダ制御部110に出力する。
リーダ制御部110は、第2の漏洩信号相殺部144から出力された受信信号(S2)を用いて、送信漏洩信号(S3)の相殺のための調整作業が正常に行われたか否かを判断し(つまり、受信信号(S2)の強度が最小値であるか否かを判断し)、調整作業が正常に行われた場合は、該当調整値を第1の漏洩信号相殺部142に適用して、第1の漏洩信号相殺部142に、送信漏洩信号(S3)を除去する調整作業を行うことができるようにする。
【0057】
もし、送信漏洩信号(S3)の相殺のための調整作業が正常に行われていない場合は、リーダ制御部110では、調整値を再検出して第2の漏洩信号相殺部144に適用し、第2の漏洩信号相殺部144では、再検出された調整値を用いて調整作業を再び行った後、実行結果である受信信号(S2)をリーダ制御部110に再出力する過程を繰り返すことによって、最適な調整値を検出するための作業を行う。
【0058】
このように、第2の漏洩信号相殺部144は、受信信号(S2)の強度を最小値にすることができる調整値を検出するために用いられ、一つの漏洩信号相殺部140を用いる時よりも調整値を検出して動作する時間を低減することができる。
【0059】
そして、リーダ制御部110は、衝突防止(anti−collision)期間であっても、RF環境の変化がある場合は、漏洩信号相殺部140の再調整作業を行うことになる。
図3は、本発明の一実施例によるRFIDシステムにおいて漏洩信号の除去を説明するためのタイムチャート図である。
【0060】
図3を参照すると、本発明によるRFIDシステムでは、リーダ制御部110は、衝突防止(anti−collision)期間210を予め設定された周期に応じて設定し、設定された衝突防止期間210をコントローラ部120を介して、各RFIDタグ5に転送する。
【0061】
それぞれのRFIDタグ5は、このように設定されたそれぞれの衝突防止(anti−collision)期間内に受信信号(S2)をRFIDリーダ3に送出することにより、複数の受信信号(S2)の間の衝突を防止する。
【0062】
この際、リーダ制御部110は、それぞれの衝突防止(anti−collision)期間の間であっても、複数のRFIDタグ5から受信信号を受信するためのRF環境の変化230があるか否かを継続的に確認する。
【0063】
これは、RF環境の変化230がある場合、そのRF環境の変化に合わせて調整値を検出し、漏洩信号相殺部140で再調整作業220を行うためのものである。
【0064】
ここで、漏洩信号相殺部140の再調整作業は、RFIDリーダに受信されるタグ信号に含まれている送信漏洩信号(S3)を相殺させる作業であって、変化されたRF環境内にあるタグからタグ信号を受信し、そのタグ信号に含まれている送信漏洩信号(S3)を相殺するための相殺信号を生成した後、これを、前記受信したタグ信号と結合することをいう。
【0065】
このような結合によって、タグ信号に含まれている送信漏洩信号(S3)は除去され、純粋なタグ信号のみ伝達される。
【0066】
この際、衝突防止期間は数ミリ秒から数十秒の時間を有し、衝突防止期間の間に漏洩信号相殺部140で再調整作業を行わず、RF環境の変化が起こる時にRF環境の変化後のタグ信号をリーダが受信できない状況がある場合もある。
このように、同一の衝突防止(anti−collision)期間の間であっても、タグ周囲のRF環境が変化すると、その変化されたRF環境内にあるタグからタグ信号を受信するようにすることで、RF環境が変更しても、タグ情報を正確に識別することができる。
【0067】
このように、RF環境の変化を既に設定された周期に応じて確認し、そのRF環境の変化に応じて、漏洩信号相殺部140の再調整作業を連続的に実行させ、変化したRF環境内にあるタグからタグ信号を正確に受信することができる。
【0068】
以上で説明した本発明は、好ましい実施例により詳細に説明したが、本発明は、これら実施例の内容に限定されるのではない。本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、たとえ実施例には提示されていないが、添付された特許請求の範囲内で様々な本発明に対する模倣や改良が可能であり、これら全てが本発明の技術的範囲に属することは自明である。したがって、本発明の真の技術的保護範囲は、添付の特許請求の範囲の技術的思想によって定めなければならない。
【符号の説明】
【0069】
100 RFIDシステムの送信漏洩信号除去装置
110 リーダ制御部
120 コントローラ部
130 信号分岐部
140 漏洩信号相殺部
142 第1の漏洩信号相殺部
144 第2の漏洩信号相殺部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
RFIDタグに送信信号を送出し、前記RFIDタグから送信された受信信号を受信するアンテナと、前記送信信号と受信信号を隔離するアイソレータとを含むRFIDシステムであって、
前記RFIDタグに送信する送信信号を出力し、前記RFIDタグから送信された受信信号を読み取るコントローラ部、
前記送信信号の一部及び前記受信信号を受信し、前記送信信号の一部と送信漏洩信号を除去するための調整値に応じて相殺信号を生成して、前記受信信号に含まれている送信漏洩信号を除去する調整作業を行う漏洩信号相殺部、及び
予め設定された周期に応じて、前記受信信号の強度を用いて、前記RFIDタグが取り付けられているRF環境に変化があるか否かを判断し、前記RF環境の変化に応じて前記漏洩信号相殺部の動作を制御し、前記RFIDタグから送信された受信信号を読み取る前記コントローラ部の動作を制御するリーダ制御部を含むことを特徴とするRFIDシステム。
【請求項2】
前記コントローラ部は、
前記リーダ制御部から送信命令信号が送信されると、前記RFIDタグに送信する送信信号を出力し、
前記RFIDタグから送信された受信信号を読み取り、前記読み取ったタグ情報を前記リーダ制御部に送信することを特徴とする請求項1に記載のRFIDシステム。
【請求項3】
前記リーダ制御部は、
予め設定された周期に応じて、前記受信信号の強度を基準値と比較して、前記受信信号の強度が基準値以上であると、前記RF環境に変化があると判断することを特徴とする請求項1に記載のRFIDシステム。
【請求項4】
前記リーダ制御部は、
前記RF環境に変化があると判断される場合、前記受信信号の強度が基準値未満になるようにする調整値を検出して、前記漏洩信号相殺部に伝達し、
前記漏洩信号相殺部は、
前記調整値に応じて相殺信号を生成して、前記受信信号に含まれている送信漏洩信号を除去する調整作業を行うことを特徴とする請求項3に記載のRFIDシステム。
【請求項5】
前記相殺信号は、
前記送信漏洩信号と大きさが同一であり、位相が反対であることを特徴とする請求項4に記載のRFIDシステム。
【請求項6】
前記リーダ制御部は、
前記衝突防止(anti−collision)期間の間にも、前記受信信号の強度を用いて、RFIDタグが取り付けられているRF環境に変化があるか否かを判断し、RF環境の変化があると、前記RF環境の変化に応じて前記調整値を検出して前記相殺信号を生成するように、前記漏洩信号相殺部を制御することを特徴とする請求項1に記載のRFIDシステム。
【請求項7】
前記漏洩信号相殺部は、
前記調整値に応じて相殺信号を生成して、前記受信信号に含まれている送信漏洩信号を相殺する調整作業を行う第1の漏洩信号相殺部、及び
前記調整値に応じて相殺信号を生成して、前記受信信号に含まれている送信漏洩信号を相殺する調整作業を行った後、前記受信信号を前記リーダ制御部に出力する第2の漏洩信号相殺部を含むことを特徴とする請求項4に記載のRFIDシステム。
【請求項8】
前記リーダ制御部は、
前記第2の漏洩信号相殺部から伝達された前記受信信号の強度が基準値以上であるか否かを判断し、前記受信信号の強度が基準値以上であると、前記調整値を再検出して、前記第2の漏洩信号相殺部に適用し、
前記受信信号の強度が基準値未満になるまで、前記判断及び前記適用過程を繰り返し行い、
前記受信信号の強度が基準値未満になると、これに相応する調整値を前記第1の漏洩信号相殺部に適用することを特徴とする請求項7に記載のRFIDシステム。
【請求項9】
RFIDタグに送信信号を送出し、前記RFIDタグから送信された受信信号を受信するアンテナと、前記送信信号と受信信号を隔離するアイソレータとを含むRFIDシステムの送信漏洩信号除去方法であって、
(a)予め設定された周期に応じて、RFIDタグから送信される受信信号の強度を用いてRF環境の変化を判断するステップ、及び
(b)前記(a)ステップの判断結果、RF環境の変化がある場合、送信漏洩信号を除去するための調整値を検出し、前記受信信号に含まれている前記送信漏洩信号を除去するステップを含むことを特徴とするRFIDシステムの送信漏洩信号除去方法。
【請求項10】
前記(a)ステップは、
(e)予め設定された周期に応じて、前記受信信号の強度を基準値と比較するステップ、及び
(f)前記(e)ステップの比較結果、前記受信信号の強度が基準値以上であると、RF環境の変化があると判断するステップを含むことを特徴とする請求項9に記載のRFIDシステムの送信漏洩信号除去方法。
【請求項11】
前記(b)ステップは、
(i)前記(a)ステップの判断結果、RF環境の変化がある場合、送信漏洩信号を除去するための調整値を検出するステップ、及び
(j)前記調整値に応じて相殺信号を生成して、前記受信信号に含まれている前記送信漏洩信号を除去するステップを含むことを特徴とする請求項9に記載のRFIDシステムの送信漏洩信号除去方法。
【請求項12】
前記(i)ステップは、
前記受信信号の強度が基準値未満になるようにする前記調整値を検出することを特徴とする請求項11に記載のRFIDシステムの送信漏洩信号除去方法。
【請求項13】
前記(b)ステップは、
(m)前記(a)ステップの判断結果、RF環境の変化がある場合、送信漏洩信号を除去するための調整値を検出するステップ、
(n)第2の漏洩信号相殺部が、前記(m)ステップで検出した調整値に応じて相殺信号を生成して、前記受信信号に含まれている送信漏洩信号を除去するステップ、
(o)前記受信信号の強度が基準値未満になるまで、前記(m)ステップ及び前記(n)ステップを繰り返し行うステップ、及び
(p)前記(o)ステップの繰り返し実行の結果、前記受信信号の強度が基準値未満になると、これに相応する調整値に応じて、第1の漏洩信号相殺部が相殺信号を生成して、前記受信信号に含まれている送信漏洩信号を除去するステップを含むことを特徴とする請求項9に記載のRFIDシステムの送信漏洩信号除去方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−244453(P2011−244453A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−110536(P2011−110536)
【出願日】平成23年5月17日(2011.5.17)
【出願人】(593121379)エルエス産電株式会社 (221)
【氏名又は名称原語表記】LSIS CO., LTD
【Fターム(参考)】