説明

RFIDタグ及びその駆動方法

【課題】リーダ/ライタの搬送波の電力が大きい無線通信システムの構築が想定される無線タグには、過剰な電力を受信する環境に無線タグが存在する場合に、内部で過剰な電力を生成しないようにする、保護回路が設けられているものがあるが、保護回路の動作によって雑音が生じ、動作を不安定にする原因となっていた。
【解決手段】外部から交流信号を受信し、包絡線を検出する回路と、外部から供給される電力の大きさを検知し、検知した前記電力に応じた電位を出力する検出回路と、前記検出回路から出力される前記電位に応じて、前記電力を受信する回路のインピーダンスを変化させる保護回路と、前記包絡線の入力によって制御され、前記検出回路から出力される前記電位を、前記保護回路に入力するか否かを選択する選択回路部とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信を用いてデータの送受信を行う半導体装置、RFIDタグに関する。特に無線通信に於いて過剰な電力の信号を受信した場合に、無線通信回路の破壊、又は回路を構成する素子の劣化、破壊を防止する保護回路の構成に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、無線通信を利用した個体識別技術(以下、無線通信システムと表記する)が注目を集めている。特に、無線通信によりデータの送受信を行うデータキャリアとして、RFID(Radio Frequency Identification)技術を利用したタグ(以下、カード型、チップ型等の形状を問わず、総称してRFIDタグと表記する)による無線通信システムが注目を集めている。RFIDタグは、ICタグ、無線タグ、電子タグとも呼ばれる。
【0003】
RFIDタグを用いた無線通信システムは、製造、流通の分野において、従来のバーコード管理に代わり、多数多量の物品の管理等に用いられている。また個人認証へ応用されている。
【0004】
ここで言う無線通信システムとは、リーダ/ライタ(以下、R/Wと表記する)等の送受信機(質問器とも言う)と、RFIDタグとの間のデータの送受信を無線にて行う方法である。このような無線通信においては、R/Wから発せられる搬送波に、送受信すべきデータが重畳される。
【0005】
RFIDタグにはパッシブ型とアクティブ型がある。パッシブ型RFIDタグはバッテリーを有していない。RFIDタグ内部の回路の駆動電力は、R/Wから発せられる搬送波、又は搬送波に変調波を重畳して生成された振幅変調波から、RFIDタグ内部で駆動用の直流電圧を生成して供給する。一方、アクティブ型RFIDタグはバッテリーを有し、そのバッテリーが動作に必要な電力を供給する。
【0006】
パッシブ型RFIDタグは、バッテリーを持たないことから小型軽量化が可能であるが、R/Wから発せられる搬送波を受信することで駆動電力を生成するため、搬送波の受信が不十分であると、回路動作に必要な電力を生成できない。
【0007】
このような無線通信システムには、(1)最大通信距離が長いこと、(2)特定の領域に多数のRFIDタグが存在する場合、その全てのRFIDタグを認識できること、が要求される。
【0008】
(1)、(2)ともに、R/Wの搬送波の電力を大きくすることで実現できる。従って、R/Wのごく近傍にRFIDタグが存在する場合や、R/W近傍にあるRFIDタグの個数が少ない場合等においては、RFIDタグはかなりの大電力の信号を受信する。
【0009】
RFIDタグが過剰な電力の信号を受信した場合、RFIDタグの内部にて生成される直流電圧も過剰なものとなる。RFIDタグの内部回路に高電圧が印加されることで、内部の素子が破壊される。そのため、R/Wの搬送波の電力が大きい無線通信システムに用いられるRFIDタグには、過剰な電力の信号を受信する環境にRFIDタグが存在する場合に、内部で過剰な電力を生成しないようにする保護回路が設けられている(特許文献1及び特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2006−180073号公報
【特許文献2】特開2007−183790号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、R/Wから送信されるのは、搬送波の他に前述の振幅変調波もある。振幅変調波は重畳されている信号によって変調されており、振幅が一定でない。このためRFIDタグのアンテナが受信する電力が常に変動する。従ってRFIDタグ内部で搬送波又は振幅変調波を整流して生成されている直流電圧も、電圧値が常に変動する。
【0012】
上記変動が、保護回路の動作開始電圧のしきい値近傍で発生した場合、電位の変動に伴って保護回路が動作、停止を繰り返すため、RFIDタグ内部で雑音が生じる。またRFIDタグ内部の電源電位が不安定になる。
【0013】
本発明の一態様は上記課題に鑑み、RFIDタグとR/Wとの通信距離や通信環境が変化しても、あるいは振幅変調波を受信した際、RFIDタグ内部で生成される電源電位に変動が生じても、動作が安定した保護回路(電圧リミッター回路(voltage limiter circuit)ともいう)を提供し、通信品質の向上を図る。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前述の課題を解決するために、本発明の一態様においては、以下のような手段を講じた。
【0015】
本発明の一態様のRFIDタグは、交流信号の送受信を行うアンテナ回路と、前記交流信号から直流電圧を生成する整流回路と、前記直流電圧によって駆動される論理回路と、前記交流信号から包絡線を検出する包絡線検出回路と、前記直流電圧と、基準電圧との電位差を検出し、前記電位差に応じた電位を出力する比較回路と、前記電位に応じて、前記アンテナ回路のインピーダンスを変化させる保護回路部 と、前記包絡線によって制御され、前記比較回路から出力される前記電位を、前記保護回路部に入力するか否かを選択する選択回路部 と、を有する。
【0016】
本発明の一態様のRFIDタグは、交流信号の送受信を行うアンテナ回路と、前記交流信号から直流電圧を生成する整流回路と、前記直流電圧によって駆動される論理回路と、前記交流信号から包絡線を検出する包絡線検出回路と、前記包絡線を整形して、パルス信号を出力するバッファ回路と、前記直流電圧と、基準電圧との電位差を検出し、前記電位差に応じた電位を出力する比較回路と、前記電位に応じて、前記アンテナ回路のインピーダンスを変化させる保護回路部と、前記パルス信号によって制御され、前記比較回路から出力される前記電位を、前記保護回路部に入力するか否かを選択する選択回路部と、を有する。
【0017】
前記保護回路部は、前記交流信号を受信する回路のインピーダンスを変化させる手段として容量を有していても良いし、前記交流信号を受信する回路のインピーダンスを変化させる手段として抵抗を有していても良い。
【0018】
本発明の一態様のRFIDタグの駆動方法は、交流信号をアンテナ回路で受信する工程と、前記交流信号を整形して直流電圧を生成する工程と、前記直流電圧によって論理回路を駆動させる工程と、前記交流信号から包絡線を検出する工程と、前記直流電圧と、基準電圧との電位差を検出し、前記電位差に応じた電位を出力する工程と、前記包絡線によって制御された前記電位によって、前記アンテナ回路のインピーダンスを変化させる工程と、を有する。
【0019】
本発明の一態様のRFIDタグの駆動方法は、交流信号をアンテナ回路で受信する工程と、前記交流信号を整形して直流電圧を生成する工程と、前記直流電圧によって論理回路を駆動させる工程と、前記交流信号から包絡線を検出する工程と、前記包絡線を整形して、パルス信号を生成する工程と、前記直流電圧と、基準電圧との電位差を検出し、前記電位差に応じた電位を出力する工程と、前記パルス信号によって制御された前記電位によって、前記アンテナ回路のインピーダンスを変化させる工程と、を有する。
【発明の効果】
【0020】
本発明の一態様のRFIDタグ及びその駆動方法は、アンテナで受信される搬送波又は振幅変調波を整流して生成される直流電圧の値によって保護回路の動作開始、停止を制御するのみならず、振幅変調波から命令信号を取り出す際の包絡線検出を利用し、当該包絡線検出によって得られた信号を基に生成された制御信号を用いて、保護回路の動作開始、停止を制御することが出来る。つまり、電源電位の変動の要因となる振幅変調波の振幅変動そのものを利用して保護回路の動作開始、停止を制御するため、前述の不安定動作の要因を効果的に取り除くことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一態様の保護回路を用いたRFIDタグの構成例を示す図。
【図2】本発明の一態様の保護回路の一構成例を示す図。
【図3】本発明の一態様の保護回路の回路レイアウト例を示す図。
【図4】搬送波、振幅変調波、および包絡線検出について説明する図。
【図5】RFIDタグの作製工程例を示す図。
【図6】RFIDタグの作製工程例を示す図。
【図7】RFIDタグの作製工程例を示す図。
【図8】本発明の一態様の保護回路を用いたRFIDタグの応用例を示す図。
【図9】RFIDタグの作製工程例を示す図。
【図10】RFIDタグの作製工程例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施の形態について、以下に図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し適用し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、いかに説明する本発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には、異なる図面において同一の符号を共通して用い、繰り返しの説明を省略することがある。
【0023】
(実施の形態1)
RFIDタグ100は、論理回路101、整流回路102、比較回路103、保護回路104、包絡線検出回路107、アンテナ回路110を有する(図1)。保護回路104は、スイッチ(トランジスタともいう) 121と容量122とを有する選択回路部120、及びスイッチ(トランジスタともいう) 131と負荷132とを有する保護回路部130を有する。
【0024】
アンテナ回路110においては、R/Wから出力される搬送波又は振幅変調波を受信し、又はR/Wから出力される搬送波に、RFIDタグ100の内部からの応答信号を重畳して振幅変調波とし、その振幅変調波を 送信する。アンテナ回路110が最も良く送受信を行うことの出来る搬送波又は振幅変調波の周波数帯は、アンテナ111と容量112とで決定されるインピーダンスに依る。
【0025】
整流回路102は、アンテナ回路110において受信された搬送波又は振幅変調波を整流し、直流電圧Vinを得る。特に図1には図示していないが、整流回路102が出力する直流電圧Vinを安定化するためにレギュレータ等を設けても良い。
【0026】
包絡線検出回路107は、アンテナ回路110において受信された振幅変調波の包絡線を検出する。特に図1には図示していないが、包絡線を整形して、R/Wからの命令信号をパルス信号として取り出す復調回路を設けても良い。例えば、振幅変調波の包絡線検出を行うと、振幅の小さいところからローレベル、振幅の大きいところからハイレベルの信号を取り出すことが出来る。
【0027】
図4を用いて簡単に説明する。RFIDタグ100においては、R/Wとの間で通信を行う際、搬送波に命令信号又は応答信号を重畳することによって信号の送受信を行う。搬送波401は、図4(A)に示すように、一定の振幅を有し、ある周波数をもって振動している交流波であり、通信規格によって周波数帯が異なる。命令信号又は応答信号を搬送波401に重畳するには、図4(B)に示すように、搬送波401の振幅に変調を加えて振幅変調波402とすることで行っている。一例としては、振幅の大きい領域が、命令信号又は応答信号において、ハイレベルを示しており、振幅の小さい領域が、命令信号又は応答信号において、ローレベルを示している。
【0028】
包絡線検出について説明する。RFIDタグ100が、命令信号が重畳された振幅変調波402を受信すると、包絡線検出回路107は、振幅変調波402から、振幅の頂点に接する接線として包絡線403を取り出す(図4(C))。包絡線403は、波形歪みが生じているが、バッファ等を介して図4(D)に示すように、ハイレベル(1)とローレベル(0)を示す、パルス状の信号404に整形される。
【0029】
包絡線検出回路107又は復調回路から出力されるR/Wからの命令信号は、論理回路101に入力され、命令に従って応答信号を出力する。特に図1では図示していないが、論理回路101から出力される応答信号を用いて、変調回路にてR/Wから出力されている搬送波の変調を行って振幅変調波とし、その振幅変調波を アンテナ回路110を介して出力することで、RFIDタグ100はR/Wに対して応答を行っている。
【0030】
比較回路103は、整流回路102により生成された、−V端子とVinとの間の電位差を監視する。比較回路103で規定してある電位とVinの電位とを 比較しており、Vinの電位がしきい値を上回ると、保護回路104の有するスイッチ131をオンにする信号を出力する。一方、Vinの電位がしきい値を下回ると、保護回路104の有するスイッチ131をオフにする信号を出力する。
【0031】
保護回路部130は、スイッチ131と+V端子との間に、アンテナ回路110の入力インピーダンスを変化させるような負荷132を有する。負荷132は、スイッチ131と−V端子との間に設けても良い。ただしアンテナ回路110の入力インピーダンスの変化を、スイッチ131に寄生する容量等を利用出来る場合には、負荷132は設けなくとも良い。
【0032】
図1において、保護回路104が動作していない場合の、アンテナ回路110における入力インピーダンスがZ1であったとする。スイッチ131がオンとなり保護回路104が動作すると、保護回路部130のスイッチ131と負荷132とによるインピーダンスZ2が付加され、合成インピーダンスZは、Z={(1/Z1)+(1/Z2)}−1となる。
【0033】
アンテナ回路110における入力インピーダンスが前述のとおり保護回路104の動作によって変化すると、R/Wとアンテナ回路110とのインピーダンス整合が変化するため、アンテナ回路110が受信する電力が低下する。これにより整流回路102が生成する直流電圧も低下するため、RFIDタグ内部に過電圧が印加されるのを防ぐ。
【0034】
本発明の一態様の特徴として、比較回路103がスイッチ131のオン、オフを制御するための信号を出力する経路上に、すなわち比較回路103とスイッチ131との間に、選択回路部120を設ける。選択回路部120は、前述のとおり包絡線検出回路107によって検出された信号を基に、スイッチ121を制御する。具体的には、振幅変調波の振幅が大きい部分を受信しているときには、包絡線検出回路107がハイレベルを出力し、このときスイッチ121をオンにするように信号が出力される。一方、振幅変調波の振幅が小さい部分を受信しているときには、包絡線検出回路107がローレベルを出力し、このときスイッチ121をオフにするように信号が出力される。
【0035】
スイッチ121がオフになる場合、つまり振幅変調波の振幅が小さくなり、整流回路102の出力する直流電圧が小さくなり始めると、前述のとおり保護回路104の動作開始電圧近傍に電圧が変動することになるため、比較回路103はスイッチ131をオンにする信号を出力する状態と、スイッチ131をオフにする信号を出力する状態とで変動する。しかしながらその信号出力の変動は、スイッチ121をオフにすることで、スイッチ131には直接伝わらないため、保護回路部130が不安定な動作をすることが無くなる。このとき、容量122によって、スイッチ121がオフになる前に比較回路103から出力された信号の電荷が保持されるため、スイッチ131のゲート電位は、容量122が電荷を保持している間はその電荷によって保持される。
【0036】
保護回路104の動作開始電圧近傍で、整流回路102の出力する直流電圧が変動するような場合、従来は保護回路104が変動に合わせて動作、停止を繰り返すことで雑音の要因となったり、電源電圧が不安定になったりという不具合があった。しかし本発明の一態様により、このような電圧域での保護回路104をより安定に動作させることが出来る。したがって大電力を受信するような環境では保護回路104の動作によって、RFIDタグ100内部の回路に過電圧が印加されるのを良好に抑止し、かつ保護回路104を安定に動作させる。これにより安定した通信動作が実現する。
【0037】
なお、本実施の形態においては、選択回路部120が有するスイッチ121を、包絡線検出回路107からの出力信号で制御したが、図4を用いて説明したように、バッファを介して得られるパルス状の信号を用いて制御しても良い。
【0038】
(実施の形態2)
図2に、実施の形態1にて説明した構成の詳細を示す。
【0039】
整流回路102は、ダイオード接続されたトランジスタ201及び202と、容量203及び204を用いた半波倍圧整流回路としている。204は平滑容量であり、整流回路の出力変動や、後段の負荷である論理回路101の消費電流の変化に伴うVinの電位変動を緩和する。
【0040】
選択回路部120は、スイッチ121をトランジスタで形成している。また、保護回路部130におけるスイッチ131もトランジスタで形成している。インピーダンス変化を生ずるための負荷には、容量133を用いた例を示した。
【0041】
比較回路103は、抵抗211と、ダイオード接続されたトランジスタ212〜215と、トランジスタ216及び217を用いて形成している。ダイオード接続されたトランジスタ212〜215は各々しきい値電圧を有するので、Vinと−V端子間の電位差が大きくないときにはオフしており、抵抗211の端子間には電位差が発生しない。したがってトランジスタ216はオフしている。一方、トランジスタ216とトランジスタ217で分圧された電位は、選択回路部120を経由して保護回路部130のトランジスタ131のゲートに入力されるが、トランジスタ216がオフしているときは、トランジスタ131のゲートはローレベル、つまりほぼ−V端子の電位が入力されてオフする。
【0042】
inと−V端子間の電位差が次第に大きくなると、ダイオード接続されたトランジスタ212〜215がオンし、抵抗211の端子間に電位差が生ずる。抵抗211の端子間に生ずる電位差は、つまりトランジスタ216のゲート・ソース間電圧に該当し、トランジスタ216のしきい値の絶対値を上回ったところでトランジスタ216が次第にオンする。これによりトランジスタ217とトランジスタ216で分圧された電位が上昇し、トランジスタ131がオンすると保護回路部130によってアンテナ回路110の入力インピーダンスを変化させる。
【0043】
選択回路部120のトランジスタ121は、包絡線検出回路107からの出力によって制御され、前述のとおり、振幅変調波の振幅が小さくなるとローレベルを出力してトランジスタ121をオフさせる。これによりトランジスタ216とトランジスタ217で分圧された電位がトランジスタ131に入力される経路が遮断され、トランジスタ131のゲートの電位は、容量122に蓄積されている電荷によって保持される。なお包絡線検出回路107は図示していないが、既存の検出回路や復調回路を用いる。
【0044】
本実施の形態では、一例として回路構成を示したが、とくに図2の構成に限定するものではない。例えばインピーダンス変化を生ずるための負荷として、容量132を用いているが、抵抗を用いても良い。また、ダイオード接続されたトランジスタ212〜215は、PIN接合ダイオードを用いても良い。
【0045】
(実施の形態3)
本実施の形態においては、実施の形態1で説明した、本発明の一態様のRFIDタグ における、整流回路、比較回路、保護回路を構成するトランジスタ、抵抗、配線群を実際に基板上に形成するレイアウト例を示す。
【0046】
図3に、素子レイアウトの一例を示す。図3において各部に付した符号は、それぞれ図2に付した符号に対応する。
【0047】
抵抗211は、ここでは特に図示していないが、レイアウトの段階でサイズの小さい単位抵抗素子を複数並列、あるいは直列に配置しておき、設計値に合わせた抵抗値となるように、上層の配線レイヤを用いて、各々の抵抗素子の接続を変更して調整することが出来るようにレイアウトしても良い。
【0048】
また、131、121、201〜202、212〜217等で示されるトランジスタについては、サイズの小さいトランジスタを複数並列接続してサイズの大きいトランジスタを形成するなどして、ばらつきの影響を抑えると良い。
【0049】
容量として形成した122、133、203、204は、ここではトランジスタと同じ形状で、半導体層、ゲート電極層、配線層を用いて、MOS(Metal Oxide Silicon)容量として形成している。このようにトランジスタを形成する工程と同時に形成出来るようにすると、工程を追加することなく素子を作りこめるため、好適である。また、容量は、サイズの小さい単位容量素子を複数個並列接続としておき、設計値に合わせた容量値となるように、上層の配線レイヤを用いて、各々の容量素子の接続を変更して調整することが出来るようにレイアウトしても良い。
【0050】
もちろん、容量としては前述のようなMOS容量に限らず、例えばゲート電極層と配線層、及び両者の間の絶縁膜を用いたMIM(Metal Insulator Metal)容量として形成しても構わない。トランジスタを形成する工程で形成される導電層および絶縁層を好適に組み合わせて、容量を形成すれば良い。
【0051】
(実施の形態4)
本実施の形態では、上記実施の形態で示したRFIDタグを得るための一作製方法を説明する。
【0052】
まず、基板1201の一表面に剥離層1202を形成し、続けて下地となる絶縁膜1203および半導体膜1204(例えば非晶質珪素を含む膜)を形成する(図5(A))。剥離層1202、絶縁膜1203および半導体膜1204は、連続して形成することができる。連続して形成することにより、大気に曝されないため不純物の混入を防ぐことができる。
【0053】
基板1201は、ガラス基板、石英基板、金属基板、ステンレス基板、本工程の処理温度に耐えうる耐熱性があるプラスチック基板等を用いるとよい。このような基板であれば、その面積や形状に大きな制限はないため、例えば、1辺が1メートル以上であって、矩形状のものを用いれば、生産性を格段に向上させることができる。このような利点は、円形のシリコン基板を用いる場合と比較すると、大きな優位点である。従って、回路部を大きく形成した場合であっても、シリコン基板を用いる場合と比較して低コスト化を実現することができる。
【0054】
なお、本工程では、剥離層1202を基板1201の全面に設けているが、必要に応じて、基板1201の全面に剥離層を設けた後に、フォトリソグラフィ法により剥離層1202を選択的に設けてもよい。また、基板1201に接するように剥離層1202を形成しているが、必要に応じて、基板1201に接するように酸化珪素膜、酸化窒化珪素膜、窒化珪素膜、窒化酸化珪素膜等の絶縁膜を形成し、当該絶縁膜に接するように剥離層1202を形成してもよい。
【0055】
ここで、酸化窒化物とは、その組成として、窒素よりも酸素の含有量が多い物質であり、また、窒化酸化物とは、その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多い物質をいう。例えば、酸化窒化珪素とは、酸素が50原子%以上70原子%以下、窒素が0.5原子%以上15原子%以下、珪素が25原子%以上35原子%以下、水素が0.1原子%以上10原子%以下の範囲で含まれる物質とすることができる。また、窒化酸化珪素とは、酸素が5原子%以上30原子%以下、窒素が20原子%以上55原子%以下、珪素が25原子%以上35原子%以下、水素が10原子%以上30原子%以下の範囲で含まれる物質とすることができる。但し、上記組成の範囲は、ラザフォード後方散乱法(RBS:Rutherford Backscattering Spectrometry)や、水素前方散乱法(HFS:Hydrogen Forward Scattering)を用いて測定した場合のものである。また、構成元素の含有比率は、その合計が100原子%を超えない値をとる。
【0056】
剥離層1202は、金属膜や金属膜と金属酸化膜の積層構造等を用いることができる。金属膜としては、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、ジルコニウム(Zr)、亜鉛(Zn)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)から選択された元素、前記元素を主成分とする合金材料、前記元素を主成分とする化合物材料からなる膜を単層構造又は積層構造で形成する。また、これらの材料は、スパッタ法やプラズマCVD法等の各種CVD法等を用いて形成することができる。金属膜と金属酸化膜の積層構造としては、上述した金属膜を形成した後に、酸素雰囲気化またはNO雰囲気下におけるプラズマ処理、酸素雰囲気化またはNO雰囲気下における加熱処理を行うことによって、金属膜表面に当該金属膜の酸化物または酸化窒化物を設けることができる。また、金属膜を形成した後に、オゾン水等の酸化力の強い溶液で表面を処理することにより、金属膜表面に当該金属膜の酸化物又は酸化窒化物を設けることができる。
【0057】
絶縁膜1203は、スパッタ法やプラズマCVD法等により、珪素の酸化物または珪素の窒化物を含む膜を、単層構造又は積層構造で形成する。下地となる絶縁膜が2層構造の場合、例えば、1層目として窒化酸化珪素膜を形成し、2層目として酸化窒化珪素膜を形成するとよい。下地となる絶縁膜が3層構造の場合、1層目の絶縁膜として酸化珪素膜を形成し、2層目の絶縁膜として窒化酸化珪素膜を形成し、3層目の絶縁膜として酸化窒化珪素膜を形成するとよい。または、1層目の絶縁膜として酸化窒化珪素膜を形成し、2層目の絶縁膜として窒化酸化珪素膜を形成し、3層目の絶縁膜として酸化窒化珪素膜を形成するとよい。下地となる絶縁膜1203は、基板1201からの不純物の侵入を防止するブロッキング膜として機能する。
【0058】
半導体膜1204は、スパッタ法、LPCVD法、プラズマCVD法等により、25nm以上200nm以下程度、好ましくは50nm以上70nm以下程度、具体的には66nmの厚さで形成する。半導体膜1204としては、例えば、非晶質珪素膜を形成すればよい。
【0059】
次に、半導体膜1204にレーザ光を照射して結晶化を行う。なお、レーザ光の照射と、RTA又はファーネスアニール炉を用いる熱結晶化法、結晶化を助長する金属元素を用いる熱結晶化法とを組み合わせた方法等により半導体膜1204の結晶化を行ってもよい。その後、得られた結晶質半導体膜を所望の形状にエッチングして、半導体膜1204a、半導体膜1204bを形成し、これらを覆うようにゲート絶縁膜1205を形成する(図5(B))。
【0060】
半導体膜1204a、半導体膜1204bの作製工程の一例を以下に簡単に説明する。まず、プラズマCVD法を用いて、非晶質半導体膜(例えば、非晶質珪素膜)を形成する。次に、結晶化を助長する金属元素であるニッケルを含む溶液を非晶質半導体膜上に保持させた後、非晶質半導体膜に脱水素化の処理(500℃、1時間)と、熱結晶化の処理(550℃、4時間)を行って結晶質半導体膜を形成する。その後、結晶化の程度に基づき、必要に応じて、レーザ発振器からレーザ光を照射し、フォトリソグラフィ法を用いることよって半導体膜1204a 、半導体膜1204bを形成する。なお、結晶化を助長する金属元素を用いる熱結晶化を行わずに、レーザ光の照射だけで非晶質半導体膜の結晶化を行ってもよい。
【0061】
また、半導体膜に対し、連続発振レーザ光又は10MHz以上の周波数で発振するレーザ光を照射しながら一方向に走査して結晶化させて得られた半導体膜1204a、半導体膜1204bを形成することができる。このような結晶化の場合、そのレーザ光の走査方向に結晶が成長する特性がある。その走査方向をチャネル長方向(チャネル形成領域が形成されたときにキャリアが流れる方向)に合わせてトランジスタを配置するとよい。
【0062】
次に、半導体膜1204a、半導体膜1204bを覆うゲート絶縁膜1205を形成する。ゲート絶縁膜1205は、CVD法やスパッタ法等により、珪素の酸化物又は珪素の窒化物を含む膜を、単層構造又は積層構造で形成する。具体的には、酸化珪素膜、酸化窒化珪素膜、窒化酸化珪素膜を、単層構造又は積層構造で形成する。
【0063】
また、ゲート絶縁膜1205は、半導体膜1204a、半導体膜1204bに対しプラズマ処理を行い、表面を酸化又は窒化することで形成しても良い。例えば、He、Ar、Kr、Xeなどの希ガスと、酸素、二酸化窒素 (NO)、アンモニア、窒素、水素などの混合ガスを導入したプラズマ処理で形成する。この場合のプラズマの励起は、マイクロ波を用いて行うと、低電子温度で高密度のプラズマを生成することができる。この高密度プラズマで生成された酸素ラジカル(OHラジカルを含む場合もある)や窒素ラジカル(NHラジカルを含む場合もある)によって、半導体膜の表面を酸化又は窒化することができる。
【0064】
このような高密度プラズマを用いた処理により、1nm以上20nm以下程度、代表的には5nm以上10nm以下程度の絶縁膜が半導体膜に形成される。この場合の反応は、固相反応であるため、当該絶縁膜と半導体膜との界面準位密度をきわめて低くすることができる。このような、プラズマ処理は、半導体膜(結晶性シリコン、或いは多結晶シリコン)を直接酸化(又は窒化)するため、形成される絶縁膜の膜厚のばらつきをきわめて小さくすることができる。加えて、結晶性シリコンの結晶粒界近傍 でも酸化が進行するということがないため、非常に好ましい状態となる。すなわち、ここで示す高密度プラズマ処理で半導体膜の表面を固相酸化することにより、結晶粒界近傍において異常に酸化反応をさせることなく、均一性が良く、界面準位密度が低い絶縁膜を形成することができる。
【0065】
ゲート絶縁膜1205は、プラズマ処理によって形成される絶縁膜のみを用いても良いし、それに加えてプラズマや熱反応を利用したCVD法で酸化シリコン、酸窒化シリコン、窒化シリコンなどの絶縁膜を堆積し、積層させても良い。いずれにしても、プラズマ処理により形成した絶縁膜をゲート絶縁膜の一部又は全部に含んで形成されるトランジスタは、特性のばらつきを小さくすることができ、好ましい。
【0066】
また、半導体膜に対し、連続発振レーザ光又は10MHz以上の周波数で発振するレーザ光を照射しながら一方向に走査して結晶化させて得られた半導体膜1204a、半導体膜1204bを形成する場合は、上記プラズマ処理を行ったゲート絶縁膜を組み合わせることで、特性ばらつきが小さく、しかも電界効果移動度が高い薄膜トランジスタ(TFT)を得ることができる。
【0067】
次に、ゲート絶縁膜1205上に、導電膜を形成する。ここでは、100nm以上500nm以下程度の厚さの導電膜を単層で形成する。用いる材料としては、タンタル(Ta)、タングステン(W)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、クロム(Cr)、ニオブ(Nb)等から選択された元素を含む材料、これらの元素を主成分とする合金材料、又はこれらの元素を主成分とする化合物材料を用いることができる。リン等の不純物元素を添加した多結晶珪素に代表される半導体材料を用いても良い。導電膜を積層構造で形成する場合には、例えば、窒化タンタル膜とタングステン膜の積層構造、窒化タングステン膜とタングステン膜の積層構造、窒化モリブデン膜とモリブデン膜の積層構造を用いることができる。例えば、窒化タンタル30nmと、タングステン150nmとの積層構造を用いることができる。タングステンや窒化タンタルは、耐熱性が高いため、導電膜を形成した後に、熱活性化を目的とした加熱処理を行うことができる。また、導電膜を3層以上の積層構造としても良く、例えば、モリブデン膜とアルミニウム膜とモリブデン膜の積層構造を採用することができる。
【0068】
次に、上記の導電膜上に、フォトリソグラフィ法を用いてレジストからなるマスクを形成し、ゲート電極とゲート配線を形成するためのエッチング処理を行って、半導体膜1204a、半導体膜1204bの上方にゲート電極1207を形成する。
【0069】
次に、フォトリソグラフィ法により、レジストからなるマスクを形成して、半導体膜1204a、半導体膜1204bに、イオンドープ法またはイオン注入法により、n型又はp型を付与する不純物元素を低濃度に添加する。本実施の形態においては、半導体膜1204a、半導体膜1204bに、n型を付与する不純物元素を低濃度に添加する。n型を付与する不純物元素は、15族に属する元素を用いれば良く、リン(P)、砒素(As)などを用いることができる。また、p型を付与する不純物元素としては、13族に属する元素を用いれば良く、硼素(B)などを用いることができる。
【0070】
なお、本実施の形態においては簡単のため、n型TFTについてのみ示しているが、本発明はこれに限定して解釈されない。p型TFTのみを用いる構成としても良い。また、n型TFTとp型TFTを併せて形成しても良い。n型TFTとp型TFTを併せて形成する場合、後にp型TFTとなる半導体層を覆うマスクを形成してn型を付与する不純物元素を添加し、後にn型TFTとなる半導体層を覆うマスクを形成してp型を付与する不純物元素を添加することで、n型を付与する不純物元素とp型を付与する不純物元素を選択的に添加することができる。
【0071】
次に、ゲート絶縁膜1205とゲート電極1207を覆うように、絶縁膜を形成する。これら絶縁膜は、プラズマCVD法やスパッタ法等により、珪素、珪素の酸化物又は珪素の窒化物の無機材料を含む膜や、有機樹脂などの有機材料を含む膜を、単層又は積層して形成する。絶縁膜を、垂直方向を主体とした異方性エッチングにより選択的にエッチングして、ゲート電極1207の側面に接する絶縁膜1208(サイドウォールともよばれる)を形成する。絶縁膜1208は、後にLDD(Lightly Doped drain)領域を形成する際の不純物元素を添加するためのマスクとして用いる。
【0072】
次に、フォトリソグラフィ法により形成したレジストからなるマスクと、ゲート電極1207および絶縁膜1208をマスクとして用いて、半導体膜1204a、半導体膜1204bにn型を付与する不純物元素を添加する。これにより、チャネル形成領域1206a、第1の不純物領域1206b、第2の不純物領域1206cが形成される(図5(C))。第1の不純物領域1206bは薄膜トランジスタのソース領域又はドレイン領域として機能し、第2の不純物領域1206cはLDD領域として機能する。第2の不純物領域1206cが含む不純物元素の濃度は、第1の不純物領域1206bが含む不純物元素の濃度よりも低い。
【0073】
続いて、ゲート電極1207、絶縁膜1208等を覆うように、絶縁膜を単層構造又は積層構造で形成する。本実施の形態では、絶縁膜1209、1210、1211を3層構造とする場合を例示する。これら絶縁膜はCVD法により形成することができ、絶縁膜1209は酸化窒化珪素膜50nm、絶縁膜1210は窒化酸化珪素膜200nm、絶縁膜1211は酸化窒化珪素膜400nmとして形成することができる。これら絶縁膜の表面は、その膜厚にもよるが、下層に設けられた層の表面形状に沿って形成される。すなわち、絶縁膜1209は膜厚が薄いため、その表面はゲート電極1207の表面形状に大きく沿っている。膜厚が厚くなるにつれ表面形状は平坦に近づくため、3層構造のうち膜厚が最も厚い絶縁膜1211の表面形状は平坦に近い。しかし有機材料とは異なるため、平坦な表面形状とは異なっている。すなわち、表面形状を平坦にしたいのであれば、ポリイミド、ポリアミド、ベンゾシクロブテン、アクリル、エポキシ等の有機材料やシロキサン材料等を用いればよい。またこれら絶縁膜の作製方法は、CVD法以外に、スパッタ法、SOG法、液滴吐出法、スクリーン印刷法等を採用することができる。
【0074】
そして、フォトリソグラフィ法を用いて絶縁膜1209、1210、1211等をエッチングして、第1の不純物領域1206bに達するコンタクトホールを形成した後、薄膜トランジスタのソース電極又はドレイン電極として機能する導電膜1231a、及び接続配線として機能する導電膜1231bを形成する。導電膜1231a、1231bは、コンタクトホールを充填するように導電膜を形成し、当該導電膜を選択的にエッチングすることで形成することができる。なお、導電膜を形成する前に、コンタクトホールにおいて露出した半導体膜1204a、半導体膜1204bの表面にシリサイドを形成して、抵抗を低くしてもよい。導電膜1231a、1231bは、低抵抗材料を用いて形成すると信号遅延を生じることがなく、好ましい。低抵抗材料は耐熱性が低い場合も多くあるため、低抵抗材料の上下には耐熱性の高い材料を設けるとよい。例えば、低抵抗材料としてアルミニウムを300nm形成し、アルミニウムの上下にチタンを100nmずつ設ける構成がよい。また導電膜1231bは、接続配線として機能しているが、導電膜1231aと同じ積層構造で形成することで、接続配線の低抵抗化と耐熱性の向上を図ることができる。導電膜1231a、1231bは、その他の導電性材料、例えば、タングステン(W)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、銅(Cu)、金(Au)、銀(Ag)、マンガン(Mn)、ネオジム(Nd)、炭素(C)、シリコン(Si)から選択された元素を含む材料、これらの元素を主成分とする合金材料、これらの元素を主成分とする化合物材料を用いて、単層構造又は積層構造で形成することができる。アルミニウムを主成分とする合金材料とは、例えば、アルミニウムを主成分としてニッケルを含む材料、又は、アルミニウムを主成分として、ニッケルと、炭素又は珪素の一方あるいは両方を含む合金材料に相当する。また導電膜1231a、1231bは、CVD法やスパッタリング法等により形成することができる。
【0075】
以上により、薄膜トランジスタ1230a、薄膜トランジスタ1230bを含む素子層1249が得られる(図6(A))。
【0076】
なお、絶縁膜1209、1210、1211を形成する前、または絶縁膜1209を形成した後、又は絶縁膜1209、1210を形成した後に、半導体膜1204の結晶性の回復や半導体膜1204に添加された不純物元素の活性化、半導体膜1204の水素化を目的とした加熱処理を行うとよい。加熱処理には、熱アニール法、レーザアニール法、RTA法などを適用するとよい。
【0077】
次に、導電膜1231a、1231bを覆うように、絶縁膜1212、1213を形成する(図6(B))。絶縁膜1212には100nmの膜厚を有する窒化珪素膜を用い、絶縁膜1213には1500nmの膜厚を有するポリイミドを用いる場合を例示する。絶縁膜1213の表面形状は平坦性が高いと好ましい。そのため、ポリイミドである有機材料の特徴に加えて、厚膜化する構成、例えば750nm以上3000nm以下の膜厚(具体的には1500nm)によっても、絶縁膜1213の平面形状の平坦性を高めている。当該絶縁膜1212、1213に対しては、開口部を形成する。本実施の形態では、導電膜 1231bが露出する開口部1214を形成する場合を例示する。このような開口部1214において(詳しくは点線で囲まれた領域1215において)、絶縁膜1212の端部は、絶縁膜1213で覆われている。上層の絶縁膜1213で下層の絶縁膜1212の端部を覆うことで、その後開口部1214に形成される配線の段切れを防止することができる。本実施の形態では、絶縁膜1213が有機材料であるポリイミドを用いているため、開口部1214において、絶縁膜1213 はなだらかなテーパを有することができ、効率的に段切れを防止することができる。このような段切れ防止効果を得ることのできる絶縁膜1213の材料は、ポリイミド以外に、ポリアミド、ベンゾシクロブテン、アクリル、エポキシ等の有機材料やシロキサン材料等が挙げられる。また絶縁膜1212 には、窒化珪素膜の代わりに、酸化窒化珪素膜や窒化酸化珪素膜を用いてもよい。また絶縁膜1212、1213の作製方法は、CVD法、スパッタ法、SOG法、液滴吐出法またはスクリーン印刷法等を用いることができる。
【0078】
次に、絶縁膜1213上に導電膜1217を形成し、当該導電膜1217上に絶縁膜1218を形成する(図6(C))。導電膜1217は、導電膜1231a、1231bと同じ材料で形成することができ、例えばチタン100nm、アルミニウム200nm、チタン100nmの積層構造を採用することができる。導電膜1217は、開口部1214で導電膜1213bと接続するため、チタン同士が接触することでコンタクト抵抗を抑えることができる。また導電膜1217は、薄膜トランジスタと、アンテナ(おって形成される)との間の信号に基づく電流が流れるため、配線抵抗が低い方が好ましい。そのため、アルミニウム等の低抵抗材料を用いるとよい。また導電膜1217は、その他の導電性材料、例えば、タングステン(W)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、銅(Cu)、金(Au)、銀(Ag)、マンガン(Mn)、ネオジム(Nd)、炭素(C)、シリコン(Si)から選択された元素を含む材料、これらの元素を主成分とする合金材料、これらの元素を主成分とする化合物材料を用いて、単層構造又は積層構造で形成することができる。アルミニウムを主成分とする合金材料とは、例えば、アルミニウムを主成分としてニッケルを含む材料、又は、アルミニウムを主成分として、ニッケルと、炭素又は珪素の一方あるいは両方を含む合金材料に相当する。また導電膜1217は、CVD法やスパッタリング法等により形成することができる。絶縁膜1218は、その表面形状に平坦性を要求されるため、有機材料で形成するとよく、2000nmのポリイミドを用いる場合を例示する。絶縁膜1218は、1500nmの膜厚で形成された絶縁膜1213の開口部1214、及び開口部1214に形成された導電膜1217の表面の凹凸を平坦にする必要があり、絶縁膜1213の膜厚よりも厚い2000nmの膜厚で形成されている。そのため、絶縁膜1218は絶縁膜1213の1.1倍〜2倍以上、好ましくは1.2〜1.5倍の膜厚を有するとよく、絶縁膜1213が750nm以上3000nm以下の膜厚を有するのであれば、900nm以上4500nm以下の膜厚とすると好ましい。絶縁膜1218には、膜厚を考慮しつつ、さらに平坦性の高い材料を用いるとよい。平坦性の高い材料として絶縁膜1218に用いられる材料は、ポリイミド以外に、ポリアミド、ベンゾシクロブテン、アクリル、エポキシ等の有機材料やシロキサン材料等が挙げられる。絶縁膜1218上にアンテナを形成する場合、このように絶縁膜1218の表面形状の平坦性を考慮する必要がある。
【0079】
また、絶縁膜1218は、回路部におけるアンテナの外側(図示せず)で、絶縁膜1213の端部を覆うと好ましい。絶縁膜1213の覆う際、絶縁膜1218は、絶縁膜1213の膜厚と、絶縁膜1218の膜厚との合計より、外側から2倍以上の長さでマージンをもって覆うとよい。本実施の形態では、絶縁膜1213は1500nm、絶縁膜1218は2000nmで形成したため、絶縁膜1213の端から距離d=7000nmの外側から、絶縁膜1218は絶縁膜1213の端部を覆う。このような構成によって、プロセスのマージンを確保することができ、また水分や酸素の侵入を防止することも期待できる。
【0080】
次に、絶縁膜1218上にアンテナ1220を形成する(図7)。そして、アンテナ1220と導電膜1217とを開口部を介して電気的に接続させる。開口部はアンテナ1220の下方に設け、集積化を図る。なおアンテナ1220は、導電膜1231aに直接接続させてもよいが、本実施の形態のように導電膜1217を設けることにより、アンテナ1220との接続のための開口部の形成にマージンを持たせることができ、高集積化を図ることができ好ましい。そのため、導電膜1217の上にさらなる導電膜を設けて、アンテナ1220を接続してもよい。すなわちアンテナ1220は、薄膜トランジスタを構成する導電膜1231aと電気的に接続されればよく、複数の導電膜を介した接続構造によって高集積化を図ることができる。このような導電膜1217をはじめとする複数の導電膜は、膜厚が厚くなるとRFIDタグにも厚みが出てしまうため、薄い方が好ましい。そのため、導電膜1231aと比較すると、導電膜1217等はその膜厚を薄くすることが好ましい。
【0081】
アンテナ1220は、第1の導電膜1221、第2の導電膜1222の積層構造を採用することができ、本実施の形態ではチタン100nm、アルミニウム5000nmの積層構造の場合を例示する。チタンは、アンテナの耐湿性を高めることができ、絶縁膜1218とアンテナ1220との密着性を高めることもできる。さらにチタンは、導電膜1217との接触抵抗を低くすることができる。これは導電膜1217の最上層には、チタンが形成されているため、アンテナのチタンと同一材料同士が接触していることによる。このようなチタンはドライエッチングを用いて形成されるため、端部が切り立った状態となることが多い。アルミニウムは低抵抗材料であるため、アンテナに好適である。アルミニウムを厚膜化していることにより、抵抗をより低くすることができる。アンテナの抵抗が低くなることで、通信距離を伸ばすことができ、好ましい。このようなアルミニウムはウェットエッチングを用いて形成されるため、端部における側面にテーパが付くことが多い。本実施の形態におけるテーパは、アルミニウム側に凸部が形成された、つまり内側に凹んだ形で形成されている。また、アルミニウムをウェットエッチングする際、チタンの端部より、アルミニウムの端部が内側となる(領域1242)。例えば、アルミニウムの端部は、アルミニウムの膜厚の1/6〜1/2程度の範囲で内側(距離L分内側)に設けるとよく、本実施の形態ではチタン端部から距離L=0.8μm以上2μm以下の範囲で内側となるようにするとよい。チタン端部がアルミニウム端部より突出していることで、その後に形成される絶縁膜の段切れを防止することができ、アンテナの耐性を高めることができる。
【0082】
アンテナはチタンやアルミニウム以外に、銀(Ag)、銅(Cu)、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo) 等の金属元素を含む材料、当該金属元素を含む合金材料、当該金属元素を含む化合物材料を導電性材料として用いることができ、CVD法、スパッタ法、スクリーン印刷やグラビア印刷等の印刷法、液滴吐出法、ディスペンサ法、メッキ法等を用いて形成することができる。また本実施の形態では、積層構造を例示したが、上述したいずれの材料の単層構造で形成してもよい。
【0083】
アンテナ1220を覆って、絶縁膜1223を形成する。本実施の形態では、絶縁膜1223を200nmの窒化珪素膜で形成する。絶縁膜1223により、アンテナの耐湿性をより高めることができ、好ましい。絶縁膜1223はチタン端部がアルミニウム端部より突出しているため、段切れすることなく形成できる。このような絶縁膜1223は窒化珪素膜以外に、酸化窒化珪素膜、窒化酸化珪素膜、その他の無機材料から形成することができる。
【0084】
このようにして絶縁基板を用いて形成されたRFIDタグを完成することができる。
【0085】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて用いることができる。
【0086】
(実施の形態5)
本実施の形態では、RFIDタグを、より信頼性を高く、かつ歩留まり良く作製する方法について、図9を用いて説明する。本実施の形態では、一例としてCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)に関して説明する。
【0087】
基板900上に剥離層901を介して、トランジスタ902、903、容量904、絶縁層905が設けられ、半導体集積回路910が形成されている(図9(A))。
【0088】
トランジスタ902、903は薄膜トランジスタであり、それぞれソース領域又はドレイン領域、低濃度不純物領域、チャネル形成領域、ゲート絶縁層、ゲート電極、ソース電極又はドレイン電極 を有する。ソース領域又はドレイン領域は、ソース電極又はドレイン電極として機能する配線と接し、電気的に接続されている。
【0089】
トランジスタ902はNチャネル型トランジスタであり、ソース領域又はドレイン領域、及び低濃度不純物領域には、N型を付与する不純物元素(例えばリン(P)やヒ素(As)等)を含む。トランジスタ903はPチャネル型トランジスタであり、ソース領域又はドレイン領域、及び低濃度不純物領域には、P型を付与する不純物元素(例えばボロン(B)やアルミニウム(Al)やガリウム(Ga)等)を含む。
【0090】
容量904は、トランジスタ902、903と同様の工程で形成され、一方の電極は半導体層、他方の電極はゲート電極層で形成されている。このとき、容量値を効率よく確保するため、ゲート電極層を形成する前に、容量904を形成する半導体層に不純物元素を添加しておいても良い。この工程によると、ゲート電極層の下層の領域に配置された半導体層にも不純物元素が添加されるため、効率よく容量として機能することができる。
【0091】
次に、絶縁層905上に、導電膜でなるアンテナ911を形成し、アンテナ911上に保護膜912を形成する。アンテナ911は、半導体集積回路と電気的に接続される。図9(A)では、容量904の一方の電極と電気的に接続されている。
【0092】
続いて、保護膜912上に、絶縁体920を形成する。絶縁体920としては、例えば繊維体921に有機樹脂922を含浸させた構造体を用いても良い。
【0093】
保護膜912と絶縁体920を接着した後、剥離層901を界面として、半導体集積回路910、アンテナ911、及び保護膜912を基板900より分離する。よって半導体集積回路910、アンテナ911、及び保護膜912は、絶縁体920側に設けられる(図9(B))。
【0094】
保護膜912と絶縁体920の接着については、特に図示しないが接着剤を用いても良いし、圧着、もしくは加熱圧着によって接着しても良い。
【0095】
その後、半導体集積回路910が、剥離層901を介して露出している剥離面の側に絶縁体930を接着し、半導体集積回路910、アンテナ911、及び保護膜912を、絶縁体920及び絶縁体930に挟持する(図9(C))。
【0096】
絶縁体930も、絶縁体920と同様、例えば繊維体931に有機樹脂932を含浸させた構造体を用いても良い。
【0097】
特に図示していないが、絶縁体920及び絶縁体930は、平面方向に多数配列するように複数の半導体集積回路910、アンテナ911、保護膜912が形成された構造体を挟持しており、個々に分断することによって、それぞれ半導体集積回路910、アンテナ911、及び保護膜912が絶縁体920及び絶縁体930に挟持された構造を有する半導体集積回路チップを作製する。分断の手段としては物理的に分断することができれば特に限定しないが、好ましい一例として、本実施の形態では分断線に沿ってレーザ光を照射することによって分断する。
【0098】
レーザ光を照射して分断することによって、半導体集積回路チップの分断面941、942において、絶縁体920及び絶縁体930が溶融し、互いに融着することで、個々の半導体集積回路チップは、半導体集積回路910、アンテナ911、及び保護膜912を絶縁体920及び絶縁体930によって全面を封止する構造となる(図9(D))。
【0099】
ここでは特に図示しないが、半導体集積回路910、アンテナ911、及び保護膜912の全面をより良好に覆うために、絶縁体920及び絶縁体930の外側又は内側に、さらに絶縁体を設けても良い。
【0100】
このように形成することにより、半導体集積回路を挟持して絶縁体を設けているため、作製工程においても、外部ストレスや応力による半導体集積回路の破損や特性不良などの悪影響を防止することができる。よって信頼性を高く、かつ歩留まり良くRFIDタグを作製することができる。
【0101】
なお、本実施の形態で作製したRFIDタグは、可撓性を有する絶縁体を用いることで、可撓性を有するRFIDタグとすることができる。
【0102】
トランジスタ902、903、及び容量904が有する半導体層を形成する材料は、シランやゲルマンに代表される半導体材料ガスを用いて気相成長法やスパッタリング法で作製される非晶質(アモルファス、以下「AS」ともいう。)半導体、該非晶質半導体を光エネルギーや熱エネルギーを利用して結晶化させた多結晶半導体、或いは微結晶(セミアモルファス若しくはマイクロクリスタルとも呼ばれる。以下「SAS」ともいう。)半導体などを用いることができる。半導体層はスパッタ法、LPCVD法、またはプラズマCVD法等により成膜することができる。
【0103】
微結晶半導体膜は、ギブスの自由エネルギーを考慮すれば非晶質と単結晶の中間的な準安定状態に属するものである。すなわち、自由エネルギー的に安定な第3の状態を有する半導体であって、短距離秩序を持ち格子歪みを有する。柱状または針状結晶が基板表面に対して法線方向に成長している。微結晶半導体の代表例である微結晶シリコンは、そのラマンスペクトルが単結晶シリコンを示す520cm−1よりも低波数側に、シフトしている。即ち、単結晶シリコンを示す520cm−1とアモルファスシリコンを示す480cm−1の間に微結晶シリコンのラマンスペクトルのピークがある。また、未結合手(ダングリングボンド)を終端するため水素またはハロゲンを少なくとも1原子%またはそれ以上含ませている。さらに、ヘリウム、アルゴン、クリプトン、ネオンなどの希ガス元素を含ませて格子歪みをさらに助長させることで、安定性が増し良好な微結晶半導体膜が得られる。
【0104】
この微結晶半導体膜は、周波数が数十MHz〜数百MHzの高周波プラズマCVD法、または周波数が1GHz以上のマイクロ波プラズマCVD法 により形成することができる。代表的には、SiH、Si、SiHCl、SiHCl、SiCl、SiFなどの水素化珪素を水素で希釈して形成することができる。また、水素化珪素及び水素に加え、ヘリウム、アルゴン、クリプトン、ネオンから選ばれた一種または複数種の希ガス元素で希釈して微結晶半導体膜を形成することができる。これらのときの水素化珪素に対して水素の流量比を5倍以上200倍以下、好ましくは50倍以上150倍以下、更に好ましくは100倍とする。
【0105】
アモルファス半導体としては、代表的には水素化アモルファスシリコン、結晶性半導体としては代表的にはポリシリコン(多結晶シリコン)などがあげられる。ポリシリコンには、800℃以上のプロセス温度を経て形成されるポリシリコンを主材料として用いた所謂高温ポリシリコンや、600℃以下のプロセス温度で形成されるポリシリコンを主材料として用いた所謂低温ポリシリコン、また結晶化を促進する元素などを用いて、非晶質シリコンを結晶化させたポリシリコンなどを含んでいる。もちろん、前述したように、微結晶半導体又は半導体層の一部に結晶相を含む半導体を用いることもできる。
【0106】
また、半導体の材料としてはシリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)などの単体のほかGaAs、InP、SiC、ZnSe、GaN、SiGeなどのような化合物半導体も用いることができる。また酸化物半導体である酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO)、酸化マグネシウム亜鉛、酸化ガリウム、インジウム酸化物、及び上記酸化物半導体の複数より構成される酸化物半導体などを用いることができる。例えば、酸化亜鉛とインジウム酸化物と酸化ガリウムとから構成される酸化物半導体なども用いることができる。なお、酸化亜鉛を半導体層に用いる場合、ゲート絶縁層をY、Al、TiO、それらの積層などを用いると良く、ゲート電極層、ソース電極層、ドレイン電極層としては、インジウム錫酸化物(ITO)、Au、Tiなどを用いると良い。また、ZnOにInやGaなどを添加することもできる。
【0107】
半導体層に、結晶性半導体層を用いる場合、その結晶性半導体層の作製方法は、種々の方法(レーザ結晶化法、熱結晶化法、またはニッケルなどの結晶化を助長する元素を用いた熱結晶化法等)を用いれば良い。また、SASである微結晶半導体をレーザ照射して結晶化し、結晶性を高めることもできる。結晶化を助長する元素を導入しない場合は、非晶質珪素膜にレーザ光を照射する前に、窒素雰囲気下500−550℃で1−2時間加熱することによって非晶質珪素膜の含有水素濃度を1×1020atoms/cm以下にまで放出させる。これは水素を多く含んだ非晶質珪素膜にレーザ光を照射すると非晶質珪素膜が破壊されてしまうからである。
【0108】
非晶質半導体層への金属元素の導入の仕方としては、当該金属元素を非晶質半導体層の表面又はその内部に存在させ得る手法であれば特に限定はなく、例えばスパッタ法、CVD法、プラズマ処理法(プラズマCVD法も含む)、吸着法、金属塩の溶液を塗布する方法を使用することができる。このうち溶液を用いる方法は簡便であり、金属元素の濃度調整が容易であるという点で有用である。また、このとき非晶質半導体層の表面の濡れ性を改善し、非晶質半導体層の表面全体に水溶液を行き渡らせるため、酸素雰囲気中でのUV光の照射、熱酸化法、ヒドロキシラジカルを含むオゾン水又は過酸化水素による処理等により、酸化膜を成膜することが望ましい。
【0109】
また、非晶質半導体層を結晶化し、結晶性半導体層を形成する結晶化工程で、非晶質半導体層に結晶化を促進する元素(触媒元素、金属元素とも示す)を添加し、熱処理(550℃〜750℃で3分〜24時間)により結晶化を行っても良い。結晶化を助長(促進)する元素としては、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、銅(Cu)及び金(Au)から選ばれた一種又は複数種類を用いることができる。
【0110】
結晶化を助長する元素を結晶性半導体層から除去、又は軽減するため、結晶性半導体層に接して、不純物元素を含む半導体層を形成し、ゲッタリングシンクとして機能させる。不純物元素としては、N型を付与する不純物元素、P型を付与する不純物元素や希ガス元素などを用いることができ、例えばリン(P)、窒素(N)、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)、ボロン(B)、ヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)、Kr(クリプトン)、Xe(キセノン)から選ばれた一種または複数種を用いることができる。結晶化を促進する元素を含む結晶性半導体層に、希ガス元素を含む半導体層を形成し、熱処理(550℃〜750℃で3分〜24時間)を行う。結晶性半導体層中に含まれる結晶化を促進する元素は、希ガス元素を含む半導体層中に移動し、結晶性半導体層中の結晶化を促進する元素は除去、又は軽減される。その後、ゲッタリングシンクとなった希ガス元素を含む半導体層を除去する。
【0111】
非晶質半導体層の結晶化は、熱処理とレーザ光照射による結晶化を組み合わせても良く、熱処理やレーザ光照射を単独で、複数回行っても良い。
【0112】
また、結晶性半導体層を、直接基板にプラズマ法により形成しても良い。また、プラズマ法を用いて、結晶性半導体層を選択的に基板に形成しても良い。
【0113】
ゲート絶縁層は酸化珪素、若しくは酸化珪素と窒化珪素の積層構造で形成すれば良い。ゲート絶縁層は、プラズマCVD法や減圧CVD法により絶縁膜を堆積することで形成しても良いし、プラズマ処理による固相酸化若しくは固相窒化で形成すると良い。単結晶半導体層を、プラズマ処理により酸化又は窒化することにより形成するゲート絶縁層は、緻密で絶縁耐圧が高く信頼性に優れているためである。例えば、亜酸化窒素(NO)をArで1〜3倍(流量比)に希釈して、10〜30Paの圧力にて3〜5kWのマイクロ波(2.45GHz)電力を印加して半導体層の表面を酸化若しくは窒化させる。この処理により1nm〜10nm(好ましくは2nm〜6nm)の絶縁膜を形成する。さらに亜酸化窒素(NO)とシラン(SiH)を導入し、10〜30Paの圧力にて3〜5kWのマイクロ波(2.45GHz)電力を印加して気相成長法により酸化窒化シリコン膜を形成してゲート絶縁層を形成する。固相反応と気相成長法による反応を組み合わせることにより界面準位密度が低く絶縁耐圧の優れたゲート絶縁層を形成することができる。
【0114】
また、ゲート絶縁層として、二酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、二酸化チタン、五酸化タンタルなどの高誘電率材料を用いても良い。ゲート絶縁層に高誘電率材料を用いることにより、ゲートリーク電流を低減することができる。
【0115】
ゲート電極層は、CVD法やスパッタ法、液滴吐出法などを用いて形成することができる。ゲート電極層は、Ag、Au、Cu、Ni、Pt、Pd、Ir、Rh、W、Al、Ta、Mo、Cd、Zn、Fe、Ti、Si、Ge、Zr、Baから選ばれた元素、又は前記元素を主成分とする合金材料もしくは化合物材料で形成すれば良い。また、リン等の不純物元素をドーピングした多結晶シリコン膜に代表される半導体膜や、AgPdCu合金を用いても良い。また、単層構造でも複数層の構造でも良く、例えば、窒化タングステン膜とモリブデン膜との2層構造としても良い。し、膜厚50nmのタングステン膜、膜厚500nmのアルミニウムとシリコンの合金(Al−Si)膜、膜厚30nmの窒化チタン膜を順次積層した3層構造としても良い。また、3層構造とする場合、第1の導電膜のタングステンに代えて窒化タングステンを用いても良い。第2の導電膜のアルミニウムとシリコンの合金(Al−Si)膜に代えてアルミニウムとチタンの合金膜(Al−Ti)を用いても良い。第3の導電膜の窒化チタン膜に代えてチタン膜を用いても良い。
【0116】
ゲート電極層に可視光に対して透光性を有する透光性の材料を用いることもできる。透光性の導電材料としては、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(ITSO)、有機インジウム、有機スズ、酸化亜鉛等を用いることができる。また、酸化亜鉛(ZnO)を含むインジウム亜鉛酸化物(IZO(Indium Zinc Oxide))、酸化亜鉛(ZnO)、ZnOにガリウム(Ga)をドープしたもの、酸化スズ(SnO)、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物なども用いても良い。
【0117】
ゲート電極層を形成するのにエッチングにより加工が必要な場合、マスクを形成し、ドライエッチングまたはドライエッチングにより加工すれば良い。ICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合型プラズマ)エッチング法を用い、エッチング条件(コイル型の電極に印加される電力量、基板側の電極に印加される電力量、基板側の電極温度等)を適宜調節することにより、ゲート電極層をテーパー形状にエッチングすることができる。なお、エッチング用ガスとしては、Cl、BCl、SiClもしくはCClなどを代表とする塩素系ガス、CF、SFもしくはNFなどを代表とするフッ素系ガス又はOを適宜用いることができる。
【0118】
本実施の形態では、トランジスタの構造としてはシングルゲート構造を説明したが、ダブルゲート構造などのマルチゲート構造でも良い。この場合、半導体層の上方、下方にゲート電極層を設ける構造でも良く、半導体層の片側(上方又は下方)にのみ複数ゲート電極層を設ける構造でも良い。
【0119】
また、トランジスタのソース領域及びドレイン領域にシリサイドを設ける構造としても良い。シリサイドは半導体層のソース領域及びドレイン領域上に導電膜を形成し、加熱処理、GRTA法、LRTA法等により、露出されたソース領域及びドレイン領域の半導体層中の珪素と導電膜とを反応させて形成する。レーザ照射やランプによる光照射によってシリサイドを形成しても良い。シリサイドを形成する導電膜の材料としては、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、コバルト(Co)、ジルコニウム(Zr)、Ha(ハフニウム)、タンタル(Ta)、バナジウム(V)、ネオジム(Nb)、クロム(Cr)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)等を用いることができる。
【0120】
ソース電極層又はドレイン電極層として機能する配線層は、PVD法、CVD法、蒸着法等により導電膜を成膜した後、所望の形状にエッチングして形成することができる。また、印刷法、電解メッキ法等により、所定の場所に選択的に配線層を形成することができる。更にはリフロー法、ダマシン法を用いても良い。配線層の材料は、Ag、Au、Cu、Ni、Pt、Pd、Ir、Rh、W、Al、Ta、Mo、Cd、Zn、Fe、Ti、Zr、Ba等の金属、Si、Ge等の半導体又はその合金、若しくはその窒化物を用いて形成すれば良い。また透光性の材料も用いることができる。
【0121】
また、透光性の導電性材料であれば、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(ITSO)、酸化亜鉛(ZnO)を含むインジウム亜鉛酸化物(IZO(indium zinc oxide))、酸化亜鉛(ZnO)、ZnOにガリウム(Ga)をドープしたもの、酸化スズ(SnO)、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物などを用いることができる。
【0122】
(実施の形態6)
RFIDタグは、微小な半導体素子を多数用いて形成した半導体集積回路を有するため、外部からの静電気放電(Electrostatic Discharge:ESD)による回路の誤動作や半導体素子の損傷を生じやすい。特に無線タグ等のように、表面積の大きい導電体を有するアンテナ等は、静電気放電が生ずる可能性が高い。本実施の形態においては、そのような静電気放電から半導体集積回路を保護する構成の一例について述べる。
【0123】
図10(A)〜(D)に構成例を示す。本実施の形態においては、導電性材料を有する遮蔽体を半導体集積回路の近傍に設けることにより、半導体集積回路を保護している。
【0124】
図10(A)は、遮蔽体1001を半導体集積回路チップの外側全体を覆うように形成した例を示している。遮蔽体1001は、アンテナにおいてR/Wから発せられる搬送波、又は振幅変調波の受信を極力妨げない程度の膜厚で形成すれば良い。
【0125】
なお、図10(A)では、遮蔽体1001は半導体集積回路チップの上面、下面、側面を覆うように形成されているが、形成の方法としては、上面及び側面の一部に遮蔽体を形成した後、半導体集積回路を裏返して下面及び側面の一部に遮蔽体を形成し、全面を覆うように形成すれば良い。
【0126】
図10(B)は、遮蔽体1002は絶縁体の内側に設けられ、半導体集積回路の全面を覆うように形成した例である。このように半導体集積回路の全面を覆うように遮蔽体1002を形成するには、半導体集積回路を絶縁体で挟持、接着する前に、個々の半導体集積回路チップに分断し、遮蔽体1002を形成する必要があるが、特にこの形態に限定するものではない。例えば、半導体集積回路チップを絶縁体で挟持、接着する前に、半導体集積回路の上面、下面に遮蔽体を形成しておき、絶縁体で挟持、接着した後、レーザ光を照射して分断すると、分断面において遮蔽体が溶融し、半導体集積回路の側面を上下から溶着して覆うように形成しても良い。
【0127】
図10(C)は、遮蔽体1003は絶縁体の内側に設けられ、半導体集積回路の片面のみに形成した例である。本例では、遮蔽体1003はアンテナ側に形成されているが、剥離面側に形成しても良い。
【0128】
遮蔽体を半導体集積回路の片面のみに形成することにより、遮蔽体がアンテナにおいてR/Wから発せられる搬送波、又は振幅変調波の受信を妨げず、良好な通信精度を確保することができる。
【0129】
図10(A)〜(C)においては、遮蔽体は導電性の材料を用いて、膜状に形成した例を示したが、図10(D)に示すように、遮蔽体1004a〜1004gのように島状に形成しても良い。遮蔽体1004a〜1004gの各々は、導電性材料で形成されているために導電性を有するが、半導体集積回路上に点在して形成されており、例えば1004aと1004b、1004cと1004g等の間では導通していないため、導電性材料を用いていながら、全体としては絶縁体に等しい膜とすることができる。このような構成で遮蔽体を形成すると、島状の遮蔽体1004a〜1004gの各々は導電性材料を用いて形成されるため、静電気放電に対して良好に半導体集積回路を保護し、かつ全体としては導電膜としての形状を成していないため、遮蔽体がアンテナにおいてR/Wから発せられる搬送波、又は振幅変調波の受信を妨げず、良好な通信精度を確保することができる。
【0130】
遮蔽体1001を形成する材料としては、導電体又は半導体が好ましく、例えば金属膜、金属酸化物膜、半導体膜、又は金属窒化物膜等が挙げられる。具体的な材料としては、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)、ロジウム(Rh)、タンタル(Ta)、カドミウム(Cd)、亜鉛(Zn)、鉄(Fe)、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、ジルコニウム(Zr)、バリウム(Ba)から選ばれた元素、又は前記元素を主成分とする合金材料、化合物材料、窒化物材料、酸化物材料等を用いることができる。
【0131】
窒化物材料としては、窒化タンタル、窒化チタンなどを用いることができる。
【0132】
酸化物材料としては、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(ITSO)、有機インジウム、有機スズ、酸化亜鉛等を用いることができる。また、酸化亜鉛(ZnO)を含むインジウム亜鉛酸化物(IZO(Indium Zinc Oxide))、酸化亜鉛(ZnO)、ガリウム(Ga)を含む酸化亜鉛、酸化スズ(SnO)、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物(ITO(Indium Tin Oxide))なども用いても良い。
【0133】
また、半導体に不純物元素などを添加して導電性を付与した半導体膜などを用いることができる。例えばリン等の不純物元素をドーピングした多結晶シリコン膜などを用いることができる。
【0134】
さらに、遮蔽体として、導電性高分子(導電性ポリマーともいう)を用いても良い。導電性高分子としては、いわゆるπ電子共役系導電性高分子が用いることができる。例えば、ポリアニリン及び又はその誘導体、ポリピロール及び又はその誘導体、ポリチオフェン及び又はその誘導体、これらの2種以上の共重合体などが挙げられる。
【0135】
共役導電性高分子の具体例としては、ポリピロ−ル、ポリ(3−メチルピロ−ル)、ポリ(3−ブチルピロ−ル)、ポリ(3−オクチルピロ−ル)、ポリ(3−デシルピロ−ル)、ポリ(3,4−ジメチルピロ−ル)、ポリ(3,4−ジブチルピロ−ル)、ポリ(3−ヒドロキシピロ−ル)、ポリ(3−メチル−4−ヒドロキシピロ−ル)、ポリ(3−メトキシピロ−ル)、ポリ(3−エトキシピロ−ル)、ポリ(3−オクトキシピロ−ル)、ポリ(3−カルボキシルピロ−ル)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシルピロ−ル)、ポリN−メチルピロール、ポリチオフェン、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリ(3−ブチルチオフェン)、ポリ(3−オクチルチオフェン)、ポリ(3−デシルチオフェン)、ポリ(3−ドデシルチオフェン)、ポリ(3−メトキシチオフェン)、ポリ(3−エトキシチオフェン)、ポリ(3−オクトキシチオフェン)、ポリ(3−カルボキシルチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシルチオフェン)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)、ポリアニリン、ポリ(2−メチルアニリン)、ポリ(2−オクチルアニリン)、ポリ(2−イソブチルアニリン)、ポリ(3−イソブチルアニリン)、ポリ(2−アニリンスルホン酸)、ポリ(3−アニリンスルホン酸)等が挙げられる。
【0136】
導電性高分子を含む遮蔽体には、有機樹脂やドーパント(ハロゲン類、ルイス酸、無機酸、有機酸、遷移金属ハロゲン化物、有機シアノ化合物、非イオン性界面活性剤等)を含ませても良い。
【0137】
遮蔽体は、スパッタリング法、プラズマCVD法、蒸着法などの各種乾式法、塗布法、印刷法、液滴吐出法(インクジェット法)などの各種湿式法により形成することができる。
【0138】
(実施の形態7)
本発明の一態様のRFIDタグの用途は広範にわたり、非接触で対象物の履歴等の情報を明確にし、生産・管理等に役立てる商品であればどのようなものにも適用することができる。例えば、紙幣、硬貨、有価証券類、証書類、無記名債券類、包装用容器類、書籍類、記録媒体、身の回り品、乗物類、食品類、衣類、保健用品類、生活用品類、薬品類及び電子機器等に設けて使用することができる。これらの例に関して図8を用いて説明する。
【0139】
紙幣、硬貨とは、市場に流通する金銭であり、特定の地域で貨幣と同じように通用するもの(金券)、記念コイン等を含む。有価証券類とは、小切手、証券、約束手形等を指し、プロセッサ回路を有するRFIDタグ801を設けることができる(図8(A))。証書類とは、運転免許証、住民票等を指し、プロセッサ回路を有するRFIDタグ802を設けることができる(図8(B))。身の回り品とは、鞄、眼鏡等を指し、プロセッサ回路を有するRFIDタグ803を設けることができる(図8(C))。無記名債券類とは、切手、おこめ券、各種ギフト券等を指す。包装用容器類とは、お弁当等の包装紙、ペットボトル等を指し、プロセッサ回路を有するRFIDタグ804を設けることができる(図8(D))。書籍類とは、書物、本等を指し、プロセッサ回路を有するRFIDタグ805を設けることができる(図8(E))。記録媒体とは、DVDソフト、ビデオテープ等を指、プロセッサ回路を有するRFIDタグ806を設けることができる(図8(F))。乗物類とは、自転車等の車両、船舶等を指し、プロセッサ回路を有するRFIDタグ807を設けることができる(図8(G))。食品類とは、食料品、飲料等を指す。衣類とは、衣服、履物等を指す。保健用品類とは、医療器具、健康器具等を指す。生活用品類とは、家具、照明器具等を指す。薬品類とは、医薬品、農薬等を指す。電子機器とは、液晶表示装置、EL表示装置、テレビジョン装置(テレビ受像機、薄型テレビ受像機)、携帯電話等を指す。
【0140】
RFIDタグの設け方としては、物品の表面に貼る、或いは物品に埋め込んで設ける。例えば、本の場合は紙に埋め込めばよく、有機樹脂からなるパッケージであれば有機樹脂に埋め込めばよい。
【0141】
このように、包装用容器類、記録媒体、身の回り品、食品類、衣類、生活用品類、電子機器等にRFIDタグを設けることにより、検品システムやレンタル店のシステムなどの効率化を図ることができる。また乗物類にRFIDタグを設けることにより、偽造や盗難を防止することができる。また、動物等の生き物に埋め込むことによって、個々の生き物の識別を容易に行うことができる。例えば、家畜等の生き物にセンサーを備えたRFIDタグを埋め込む又は取り付けることによって、生まれた年や性別または種類等はもちろん体温等の健康状態を容易に管理することが可能となる。
【0142】
なお、本実施の形態は、本明細書に記載されている他の実施形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【符号の説明】
【0143】
100 RFIDタグ
101 論理回路
102 整流回路
103 比較回路
104 過電圧保護回路
107 包絡線検出回路
110 アンテナ回路
111 アンテナ
112 容量
120 選択回路部
121 スイッチ
122 容量
130 保護回路部
131 スイッチ
132 負荷
133 容量

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流信号の送受信を行うアンテナ回路と、
前記交流信号から直流電圧を生成する整流回路と、
前記直流電圧によって駆動される論理回路と、
前記交流信号から包絡線を検出する包絡線検出回路と、
前記直流電圧と、基準電圧との電位差を検出し、前記電位差に応じた電位を出力する比較回路と、
前記電位に応じて、前記アンテナ回路のインピーダンスを変化させる保護回路部と、
前記包絡線によって制御され、前記比較回路から出力される前記電位を、前記保護回路部に入力するか否かを選択する選択回路部と、を有することを特徴とするRFIDタグ。
【請求項2】
交流信号の送受信を行うアンテナ回路と、
前記交流信号から直流電圧を生成する整流回路と、
前記直流電圧によって駆動される論理回路と、
前記交流信号から包絡線を検出する包絡線検出回路と、
前記包絡線を整形して、パルス信号を出力するバッファ回路と、
前記直流電圧と、基準電圧との電位差を検出し、前記電位差に応じた電位を出力する比較回路と、
前記電位に応じて、前記アンテナ回路のインピーダンスを変化させる保護回路部と、
前記パルス信号によって制御され、前記比較回路から出力される前記電位を、前記保護回路部に入力するか否かを選択する選択回路部と、を有することを特徴とするRFIDタグ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2において、
前記保護回路部は、前記交流信号を受信する回路のインピーダンスを変化させる手段として容量を有することを特徴とするRFIDタグ。
【請求項4】
請求項1又は請求項2において、
前記保護回路部は、前記交流信号を受信する回路のインピーダンスを変化させる手段として抵抗を有することを特徴とするRFIDタグ。
【請求項5】
交流信号をアンテナ回路で受信する工程と、
前記交流信号を整形して直流電圧を生成する工程と、
前記直流電圧によって論理回路を駆動させる工程と、
前記交流信号から包絡線を検出する工程と、
前記直流電圧と、基準電圧との電位差を検出し、前記電位差に応じた電位を出力する工程と、
前記包絡線によって制御された前記電位によって、前記アンテナ回路のインピーダンスを変化させる工程と、を有することを特徴とするRFIDの駆動方法。
【請求項6】
交流信号をアンテナ回路で受信する工程と、
前記交流信号を整形して直流電圧を生成する工程と、
前記直流電圧によって論理回路を駆動させる工程と、
前記交流信号から包絡線を検出する工程と、
前記包絡線を整形して、パルス信号を生成する工程と、
前記直流電圧と、基準電圧との電位差を検出し、前記電位差に応じた電位を出力する工程と、
前記パルス信号によって制御された前記電位によって、前記アンテナ回路のインピーダンスを変化させる工程と、を有することを特徴とするRFIDの駆動方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−108485(P2010−108485A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−218276(P2009−218276)
【出願日】平成21年9月22日(2009.9.22)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】