説明

RFID質問器およびRFID質問器制御方法

【課題】リーダ/ライタ装置と電子タグとの間の干渉を自律的に回避する。
【解決手段】本発明のリーダ/ライタは、ICタグに対してコマンド送信を開始した後、タイムアウト時間Ttoにおいて該コマンドに対してICタグが無応答となる比率が第1の一定値より大きい場合、タイムアウト時間Ttoの最後の第2タイムアウト時間Tcheck時間におけるICタグ無応答率が第2の一定値より大きいとき、リーダ/ライタおよびICタグ間の干渉検出と判定する。干渉を検出すると、送信停止時間TsleepだけICタグに対するコマンド送信を停止し、送信停止時間Tsleep経過後に再度キャリアセンスを行う。干渉検出処理をコマンド送信開始時からタイムアウト判定継続時間Tctの間で繰り返し、タイムアウト判定継続時間Tctの間でタイムアウトしなかったリーダ/ライタは、最大連続送信時間T1を上限として継続通信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子タグへ信号を連続して信号を送信する最大連続送信時間と、該最大連続送信時間経過後に信号送信を停止する最小送信停止時間とが定められ、該最小送信停止時間において該電子タグに対する信号送信に先立って該信号送信に使用する適切な周波数を選択するキャリアセンスを行うRFID質問器およびRFID質問器制御方法に関し、特に、RFID質問器と電子タグとの間の干渉を自律的に回避することを可能とするRFID質問器およびRFID質問器制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、RFID(Radio Frequency Identification)は、ユビキタス社会で注目されている技術の一つであり、このRFIDを応用したシステムは、リーダ/ライタ装置、リーダ装置などの質問器と、電子タグ、無線ICタグ、無線タグ、RFIDタグである応答器とから構成される。例えば、物品へ取り付けた電子タグ内の情報をリーダ/ライタ装置で読み書きすることによって、物品管理を行うRFIDシステムが知られている。
【0003】
このようなRFIDシステムは、電子タグと通信を行うインターフェースである複数のリーダ/ライタ装置を有し、複数の電子タグを各リーダ/ライタ装置に対応付け、各リーダ/ライタ装置がこの応付けられた電子タグと通信することによって電子タグ内の情報を読み書きすることができるようになっている。
【0004】
ここで、複数のリーダ/ライタ装置が同一の周波数の電波で通信を行う場合に、互いに干渉しあうというリーダ/ライタ装置間の干渉問題がある。これに対して、例えば、非特許文献1に示されるように、各リーダ/ライタ装置が通信開始前にキャリアセンスを行い空きチャネル(周波数)を探索し、空きチャネルを使用することによって、リーダ/ライタ装置間の干渉を回避することが可能となる。かかるキャリアセンスを行うシステムでは、信号を連続して送信可能な最大連続送信時間と、該最大連続送信時間終了後に信号送信を停止する最小送信停止時間とが規定され、信号送信待ちのリーダ/ライタ装置は、信号送信中のリーダ/ライタ装置の送信停止時間中にチャネルを獲得する機会が得られるため、チャネルを公平に使用することができる。
【非特許文献1】European Telecommunications Standards Institute,“Electromagnetic compatibility and Radio spectrum Matters(ERM);Radio Frequency Identification Equipment operating in the band 865 MHz to 868 MHz with power levels up to 2 W;Part1:Technical requirements and methods of measurement”,ETSI EN 302 208-1,V1.1.1,P.9,10,26
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記非特許文献1に代表される従来技術では、近傍に配置された複数のリーダ/ライタ装置が同時に送信を行った場合、電子タグにおいてこれら複数のリーダ/ライタ装置からの信号が受信されることがあり、このとき電子タグは、正常にデータを受信できないという、リーダ/ライタ装置と電子タグとの間の干渉の問題がある。これは、電子タグが周波数選択性を持たないため、各リーダ/ライタ装置がキャリアセンスを行って異なる周波数を用いて送信しても、電子タグは何れのリーダ/ライタ装置からの信号であっても反応してしまうことによる。
【0006】
これに対し、例えば、これら複数のリーダ/ライタ装置の送信が時間的に重ならないように時分割動作の集中制御を行うことが有効である。しかし、事前に各リーダ/ライタ装置からの干渉の影響度を把握して制御方法を決めなければならないため、設置環境が変わるたびに煩雑な設定を行う必要があるという問題点を有する。
【0007】
本発明は、上記問題点(課題)を解消するためになされたものであって、設置環境が変わるたびに煩雑な設定を行うことを必要とせず、リーダ/ライタ装置と電子タグとの間の干渉を自律的に回避することを可能とするRFIDリーダ/ライタ装置およびRFIDリーダ/ライタ制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した問題を解決し、目的を達成するため、本発明は、電子タグへ信号を連続して信号を送信する最大連続送信時間と、該最大連続送信時間経過後に信号送信を停止する最小送信停止時間とが定められ、該最小送信停止時間において該電子タグに対する信号送信に先立って該信号送信に使用する適切な通信チャネルを選択する通信チャネル選択処理を行うRFID質問器であって、前記通信チャネル選択処理を行って信号送信を開始した後に、第一の所定時間において前記電子タグからの応答が無応答となる回数の比率が所定値を超えたか否かを判定する無応答比率判定手段と、前記無応答比率判定手段により、前記周波数選択処理を行って信号送信を開始した後に、前記第一の所定時間において前記電子タグからの応答が無応答となる回数の比率が所定値を超えたと判定された場合に、該電子タグへの信号送信を第二の所定時間だけ停止する信号送信停止手段とを備え、前記第二の所定時間経過後に、前記電子タグへの信号送信を再開するために、前記通信チャネル選択処理を行うことを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、上記発明において、前記無応答比率判定手段は、前記第一の所定時間において前記電子タグからの応答が無応答となる回数の比率が所定値を超えたと判定された場合に、該第一の所定時間の最後の一定時間において該電子タグからの応答が無応答となる回数の比率が所定値を超えたか否かをさらに判定し、前記信号送信停止手段は、前記無応答比率判定手段により前記一定時間において該電子タグからの応答が無応答となる回数の比率が所定値を超えたと判定された場合に、該電子タグへの信号送信を前記第二の所定時間だけ停止することを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、上記発明において、前記無応答比率判定手段は、前記第一の所定時間において前記電子タグからの応答が無応答となる回数の比率が所定値を超えたか否かの判定を、所定の判定時間において繰り返すことを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、上記発明において、前記信号送信停止手段により前記電子タグへの信号送信を前記第二の所定時間だけ停止した場合に連続した送信停止回数を計数する送信停止回数計数手段と、前記第一の所定時間を前記送信停止回数に応じて決定する第一の所定時間決定手段とをさらに備えたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、上記発明において、前記第二の所定時間を前記送信停止回数に応じて決定する第二の所定時間決定手段をさらに備えたことを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、上記発明において、前記所定の判定時間を前記送信停止回数に応じて決定する所定の判定時間決定手段をさらに備えたことを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、上記発明において、前記第一の所定時間決定手段は、前記第一の所定時間を前記送信停止回数とともに大きく決定することを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、上記発明において、前記第二の所定時間決定手段は、前記第二の所定時間を前記送信停止回数に反して小さく決定することを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、上記発明において、前記所定の判定時間決定手段は、前記所定の判定時間を前記送信停止回数に反して小さく決定することを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、電子タグへ信号を連続して信号を送信する最大連続送信時間と、該最大連続送信時間経過後に信号送信を停止する最小送信停止時間とが定められ、該最小送信停止時間において該電子タグに対する信号送信に先立って該信号送信に使用する適切な通信チャネルを選択する通信チャネル選択処理を行うRFID質問器制御方法であって、前記周波数選択処理を行って信号送信を開始した後に、第一の所定時間において前記電子タグからの応答が無応答となる回数の比率が所定値を超えたか否かを判定する無応答比率判定工程と、前記無応答比率判定工程により、前記周波数選択処理を行って信号送信を開始した後に、前記第一の所定時間において前記電子タグからの応答が無応答となる回数の比率が所定値を超えたと判定された場合に、該電子タグへの信号送信を第二の所定時間だけ停止する信号送信停止工程とを含み、前記第二の所定時間経過後に、前記電子タグへの信号送信を再開するために、前記通信チャネル選択処理を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、第一の所定時間において電子タグからの応答が無応答となる比率が所定値を超えた場合に一定時間信号送信を停止することにより、複数のRFID質問器と電子タグとの間の干渉を抑制することが可能となるという効果を奏する。
【0019】
また、本発明によれば、一定時間、電子タグへの信号送信を停止するか否かの判定を、第一の所定時間の最後の一定時間においてさらに行うので、第一の所定時間が長いRFID質問器の信号送信を優先して行うことが可能となるという効果を奏する。
【0020】
また、本発明によれば、所定の判定時間において第一の所定時間において電子タグからの応答が無応答となる回数の比率が所定値を超えたか否かの判定を繰り返すので、所定の判定時間が短いRFID質問器の信号送信を優先して行うことが可能となるという効果を奏する。
【0021】
また、本発明によれば、第一の所定時間を連続して第二の所定時間だけ送信を停止させられた送信停止回数に応じて決定するので、連続送信停止回数が多いほど第一の所定時間において電子タグからの応答が無応答となる比率が所定値を超える可能性を低く抑えることが可能となり、連続送信停止回数に応じて送信停止の優先制御を行うことが可能となるという効果を奏する。
【0022】
また、本発明によれば、第二の所定時間を連続送信停止回数に応じて決定するので、連続送信停止回数が多いほど第二の所定時間から早く復帰して電子タグへ信号送信を再開することが可能となり、連続送信停止回数に応じて送信再開の優先制御を行うことが可能となるという効果を奏する。
【0023】
また、本発明によれば、所定の判定時間を連続送信停止回数に応じて決定するので、連続送信停止回数が多いほど所定の判定時間を短くすることが可能となり、所定の判定時間において第一の所定時間において電子タグからの応答が無応答となる回数の比率が所定値を超えたと判定される場合を抑制することが可能となり、連続送信停止回数に応じて送信停止の優先制御を行うことが可能となるという効果を奏する。
【0024】
また、本発明によれば、連続送信停止回数が多いほど第一の所定時間において電子タグからの応答が無応答となる比率が所定値を超える可能性を低く抑えることとなり、連続送信停止回数に応じて送信停止の優先制御を行うことが可能となるという効果を奏する。
【0025】
また、本発明によれば、連続送信停止回数が多いほど第二の所定時間から早く復帰して電子タグへ信号送信を再開することとなり、連続送信停止回数に応じて送信再開の優先制御を行うことが可能となるという効果を奏する。
【0026】
また、本発明によれば、連続送信停止回数が多いほど所定の判定時間短くすることが可能となり、所定の判定時間において第一の所定時間において電子タグからの応答が無応答となる回数の比率が所定値を超えたと判定される場合を抑制することとなり、連続送信停止回数に応じて送信停止の優先制御を行うことが可能となるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下に添付図面を参照し、本発明のRFID質問器およびRFID質問器制御方法に係る実施例を詳細に説明する。なお、以下の実施例では、RFID質問器をICタグリーダ/ライタ(以下、リーダ/ライタという)とし、RFID応答器としての電子タグを、3〜4m程度の最大通信距離のパッシブ型のIC(Integrate Circuit)を埋め込んだものとして説明する。
【0028】
先ず、実施例の説明に先立って、実施例の前提となる技術について説明する。図1〜5は、実施例の前提となるRFID技術に基づく一般的なリーダ/ライタを説明するための説明図である。図1は、複数のリーダ/ライタの制御を説明するための説明図である。複数のリーダ/ライタR/W#1〜R/W#4には、それぞれ対応付けられた複数のICタグが存在している。リーダ/ライタR/W#1〜R/W#4には、それぞれ対応付けられた複数のICタグと通信を行うこととなる。複数のリーダ/ライタR/W#1〜R/W#4は、1台の制御装置によって、集中制御されることとなる。このようにして複数のリーダ/ライタが、それぞれ通信対象として定められたICと通信を行うことが可能となる。
【0029】
次に、リーダ/ライタの構成について説明する。図2は、リーダ/ライタの構成を説明する機能ブロック図である。リーダ/ライタ700は、ホスト・コンピュータに接続され、該ホスト・コンピュータとICタグとの間での情報のやり取りを仲介する装置である。同図に示すように、リーダ/ライタ700は、RF部500と、ICタグへ送信するコマンド生成およびICタグから受信したコマンドの解析を行うMPU(Micro Processing Unit)部600とを有する。RF部500は、送信部100と、受信部200と、局部発振器300と、アンテナ401を信号の送信および受信の双方に使用するための共用器400とをさらに有し、アンテナ401が接続されている。
【0030】
送信部100は、符号化部101と、AM(Amplitude Modulation)変調部102と、フィルタ部103と、アップコンバート部104と、アンプ部105とをさらに有する。符号化部101は、MPU部600から入力されたコマンド(リード・コマンド、ライト・コマンドを含む)をマンチェスター符号などによって符号化する。AM変調部102は、アナログ信号でビットデータを送信するために、搬送波の振幅に強弱をつけ、この違いにそれぞれ“0”または“1”を割り当てることで、ビットデータを転送できるようにするように、符号化部101によって符号化されたコマンドの振幅変調を行う。
【0031】
フィルタ部103は、AM変調部102によって振幅変調された搬送波の周波数選択を行う。アップコンバート部104は、フィルタ部103によって選択された周波数の搬送波の周波数を、局部発振器300によって周波数変換の目的で出力される一定または可変周波数の発振出力を合成することによって、所望の周波数の高周波に変換する。アンプ部105は、アップコンバート部104によって高周波化された搬送波の利得を増幅する。この利得が上げられた搬送波は、共用器400を介してアンテナ401から送出される。
【0032】
受信部200は、アンプ部201と、ダウンコンバート部202と、フィルタ部203と、AM復調部204と、復号化部205とを有する。共用器400を介してアンテナ401から受信した受信搬送波は、先ずアンプ部201によって、利得が増幅される。これによって、微弱な受信搬送波が増幅されることとなる。ダウンコンバート部202は、アンプ部201により帯域制限された搬送波の周波数を、局部発振器300によって出力される一定または可変周波数の発振出力と合成することによって、所望の周波数の低周波へ変換する。
【0033】
フィルタ部203は、ダウンコンバート部202によって低周波変換された搬送波の周波数選択を行う。AM復調部204は、振幅復調を行い、受信波のビットデータからアナログ信号を復調する。復号化部205は、AM復調部204によってAM復調されたベースバンド信号よりマンチェスター符号化等で符号化されたデータの復号を行う。復号化部205によって復号されたアナログ波は、MPU部600へ入力される。
【0034】
次に、複数のリーダ/ライタを設置した場合の干渉について説明する。図3は、複数のリーダ/ライタを設置した場合の干渉を説明するための説明図である。同図に示すように、他のリーダ/ライタR/WまたはICタグへ干渉を与える与干渉R/W700aがICタグとの通信を受け持つ領域は領域r1であり、この領域r1内にICタグ800aが存在している。また、他のリーダ/ライタR/Wから干渉を受ける被干渉R/W700bがICタグとの通信を受け持つ領域は領域r2であり、この領域r2内にICタグ800bが存在している。
【0035】
複数のリーダ/ライタを設置した場合の干渉は、「リーダ/ライタ間干渉」と「リーダ/ライタ・タグ間干渉」とがある。「リーダ/ライタ間干渉」は、与干渉R/W700aと被干渉R/W700bとが同一の周波数でICタグと通信するために、通信信号の識別がつかなくなる問題である。しかし、この問題は、後述するように、従来から、リーダ/ライタ毎に異なるチャネル(周波数)を使用してICタグと通信を行うことにより回避することができる。
【0036】
しかし、「リーダ/ライタ・タグ間干渉」は、与干渉R/W700aからの送信コマンドに、該与干渉R/W700aが通信対象とする領域r1以外の領域に存在するICタグが応答することによって、このICタグが本来通信を行うべきリーダ/ライタからの送信コマンドに応答しなくなるという問題である。具体的には、与干渉R/W700aからのコマンド送信に対して、領域r1内に存在するICタグ800aが応答するのみならず、被干渉R/W700bの領域r2に存在するICタグ800bまでもが応答してしまい、ICタグ800bは被干渉R/W700bからの送信コマンドに無応答となってしまう。本発明は、かかる「リーダ/ライタ・タグ間干渉」を解消するためになされた。
【0037】
ところで、前述の「リーダ/ライタ間干渉」を解消するために、従来から、リーダ/ライタからのコマンド送信時間の最大値に制限を設け(最大連続送信時間T1:T1=4秒)、さらに、コマンド送信時間の最大値が経過した後に、キャリアセンスを行うためにコマンド送信を停止する最小送信停止時間T2(T2=50ミリ秒または100ミリ秒)を設けることによって、他のリーダ/ライタが割り込んでキャリアセンスを行って他のチャネルで送信開始することを可能としている。図4は、送信デューティとキャリアセンスを説明するための説明図である。送信デューティとは、リーダ/ライタからのコマンド送信時間をいい、キャリアセンスとは、コマンド送信のチャネルを選択する処理である。
【0038】
同図に示すように、最大連続送信時間T1の間のコマンドの送信が終了後、最小送信停止時間T2だけコマンドの送信が停止される。この時間内にキャリアセンス(CS)が実施される。このキャリアセンスによってリーダ/ライタはチャネルを獲得し、再びコマンドの送信を、最大連続送信時間T1の間に亘って行う。さらに、最大連続送信時間T1の間のコマンドの送信が終了後、最小送信停止時間T2だけコマンドの送信が停止され、この時間内にキャリアセンス(CS)が実施される。このキャリアセンスによってリーダ/ライタはチャネルを獲得し、また再びコマンドの送信を、最大連続送信時間T1の間に亘って行うこととなる。
【0039】
次に、キャリアセンス処理について説明する。図5は、キャリアセンス処理手順を示すフローチャートである。同図に示すように、先ず、リーダ/ライタ700のMPU部600は、初期チャネル(周波数)を設定する(ステップS101)。続いて、MPU部600は、当該チャネルの受信電波の受信電力を測定し(ステップS102)、この受信電波の受信電力が所定のしきい値(例えば、−74dBm)以下であるか否かを判定する(ステップS103)。
【0040】
受信電力がしきい値以下であると判定された場合に(ステップS103肯定)、ステップS104へ移る。一方、受信電力がしきい値以下であると判定されなかった場合に(ステップS103否定)、ステップS109へ移る。続いて、MPU部600は、待機時間であるバックオフ時間をランダムに設定する(ステップS104)。続いて、MPU部600は、ステップS104で設定されたバックオフ時間内の受信電力を測定する(ステップS105)。
【0041】
続いて、MPU部600は、バックオフ時間内の測定電力がしきい値(例えば、−74dBm)以下であるか否かを判定し(ステップS106)、受信電力が所定のしきい値以下であると判定された場合に(ステップS106肯定)、ステップS107へ移る。一方、受信電力がしきい値以下であると判定されなかった場合に(ステップS106否定)、ステップS109へ移る。
【0042】
ステップS107では、MPU部600は、最大連続送信時間T1以下の時間に亘ってコマンドを送信する。続いて、MPU部600は、最小送信停止時間T2以上の時間に亘ってコマンド送信を停止する(ステップS108)。この処理が終了すると、ステップS101へ移る。一方、ステップS109では、チャネル(周波数)を変更する。この処理が終了すると、ステップS102へ移る。
【実施例】
【0043】
以下に図6〜9を参照して、本発明に係る実施例を説明する。先ず、実施例に係るリーダ/ライタのMPU部の構成について説明する。図6は、実施例に係るリーダ/ライタのMPU部の構成を示す機能ブロック図である。なお、実施例に係るリーダ/ライタのMPU部以外の構成は、図2に示したとおりである。
【0044】
実施例のMPU部600は、主制御部601と、送信部602と、受信部603とをさらに有する。主制御部601は、MPU部600の制御をつかさどる制御処理部であって、レベル測定部601aと、無応答検出部601bと、空きチャネル判定部601cと、チャネル設定部601dと、タイムアウト時間設定部601eと、送信休止時間設定部601fと、タイムアウト判定継続時間設定部601gと、送信制御部601hとを有する。
【0045】
レベル測定部601aは、ICタグから受信した受信信号(応答信号)のレベル(出力強度)を測定し、個の測定結果を空きチャネル判定部601cへ出力する。無応答検出部601bは、タイムアウト判定継続時間内でICタグからの応答がないことを検出し、タイムアウト時間においてICタグが無応答となる回数の比率が第1の所定値を超え、かつタイムアウト時間の最後の一定時間である第2タイムアウト判定時間においてICタグが無応答となる回数の比率が第2の所定値を超えるか否かを判定する。この判定結果がタイムアウトであると判定されたものであった場合に、タイムアウト回数に1を加算して、タイムアウト時間設定部601e、送信休止時間設定部601fおよびタイムアウト判定継続時間設定部601gへタイムアウト回数とともにタイムアウト情報を出力する。
【0046】
空きチャネル判定部601cは、未使用の周波数帯のチャネルを探索して選択する処理を行う。チャネル設定部601dは、空きチャネル判定部601cによって選択されたチャネルを、ICタグへのコマンド送信のために割り当てる設定を行う。チャネル設定部601dによって設定された設定チャネルの情報は、周波数設定のためにRF部500へ出力される。
【0047】
タイムアウト時間設定部601eは、無応答検出部601bによって出力されたタイムアウト回数およびタイムアウト情報に基づいて、タイムアウト時間を設定する。タイムアウト回数をNto(回)とすると、タイムアウト時間Tto(ミリ秒)は、次式によって求められる。タイムアウト時間設定部601eは、次式で求められたタイムアウト時間を送信制御部601hへ出力する。但し、[R]はガウス記号であり、実数Rを超えない最大の整数を表す。
【0048】
【数1】

【0049】
このように一様乱数Trnd(ミリ秒)を抽出してTtoに付加するようにすると、異なるリーダ/ライタが、同一のタイミングで最初のコマンド送信を開始した場合に、タイムアウト回数Ntoが同一となり、以後Tto、Tsleep、Tctが同一になって、半永久的に互いに干渉しあうという不都合の発生を極力抑制して回避することが可能となる。
【0050】
なお、上記(1)式の一実施態様として、Tstepを“2”、ΔTを“10〜20ミリ秒”、Tinitを“5ミリ秒”、Trnd_maxを“5ミリ秒”とすることが好適である。
【0051】
送信休止時間設定部601fは、無応答検出部601bによって出力されたタイムアウト回数およびタイムアウト情報に基づいて、送信休止時間を設定する。タイムアウト回数をNtoとすると、送信休止時間Tsleepは、次式によって求められる。タイムアウト時間設定部601eは、次式で求められた送信休止時間を送信制御部601hへ出力する。
【0052】
【数2】

【0053】
なお、上記(2)式の一実施態様として、Tsleep_initを“4秒”とすることが好適である。
【0054】
タイムアウト判定継続時間設定部601gは、無応答検出部601bによって出力されたタイムアウト回数およびタイムアウト情報に基づいて、タイムアウト判定継続時間を設定する。タイムアウト回数をNtoとすると、タイムアウト判定継続時間Tctは、次式によって求められる。タイムアウト時間設定部601eは、次式で求められたタイムアウト判定継続時間を送信制御部601hへ出力する。
【0055】
【数3】

【0056】
なお、Trndは、リーダ/ライタの優先度、即ち、タイムアウト回数Ntoに応じて異なる範囲から抽出されることとしてもよい。換言すれば、上記Trnd_maxは、タイムアウト回数Ntoに応じて異なることとしてもよい。このようにすると、タイムアウト回数Ntoが同一である異なるリーダ/ライタが、同一のタイミングで最初のコマンド送信を開始した場合に、以後Tto、Tsleep、Tctが同一になり、半永久的に互いに干渉しあうという不都合の発生をさらに抑制して回避することが可能となる。
【0057】
送信制御部601hは、外部からの制御コマンドに応じて、タイムアウト時間設定部601eによって設定されたタイムアウト時間Ttoを基準としてタイムアウトを検出し、送信休止時間設定部601fによって設定された送信休止時間Tsleepだけコマンドの送信を休止し、タイムアウト判定継続時間設定部601gによって設定されたタイムアウト判定継続時間Tctだけタイムアウトを繰り返して検出するように、コマンドの送信制御情報を送信部602へ出力する。
【0058】
上記によれば、リーダ/ライタは、キャリアセンスにより空きチャネルを検出してコマンド送信を開始した後、ICタグとの通信が出来ないことを検出した場合に、ICタグにおいて干渉が発生しているとみなしてコマンド送信を休止する。この干渉の検出を次の様に行うこととなる。先ず、タイムアウト時間Ttoにおいて、リーダ/ライタからのコマンドに対してICタグが無応答となる比率が第1の一定値より大きいか否かを評価する。この評価に基づき、ICタグが無応答となる比率が第1の一定値より大きい場合、再度確認のため、タイムアウト時間Ttoの最後の第2タイムアウト時間Tcheck時間においてICタグが無応答となる比率をさらに求め、この比率が第2の一定値より大きいときのみ干渉検出と判定する(これを干渉検出処理という)。干渉検出時は、タイムアウト処理として送信休止時間TsleepだけICタグに対するコマンド送信を休止し、送信休止時間Tsleep経過後に再度キャリアセンスを行う。干渉が検出されなかった場合は、この干渉検出処理をコマンド送信開始時点からタイムアウト判定継続時間Tctの間で繰り返す。タイムアウト判定継続時間Tct以降は干渉検出処理を行わないため、タイムアウト判定継続時間Tctの間でタイムアウトしなかったリーダ/ライタは、最大連続送信時間T1を上限として継続通信が可能となる。但し、必要が無ければT1に達する前に通信を終了することとしてもよい。
【0059】
前述の(1)式に基づく制御により、タイムアウト回数Ntoが多いリーダ/ライタはタイムアウト時間Ttoが大きくなるため、タイムアウト回数Ntoの値が小さい他のリーダ/ライタに較べてタイムアウトが起こりにくくなるとともに、これら他のリーダ/ライタはタイムアウトにより送信を休止するため、コマンド送信の機会を得る確率を大きくすることができる。また、前述の(2)および(3)式に基づく制御により、タイムアウト回数Ntoが多いリーダ/ライタはキャリアセンスの頻度を大きくするとともに、タイムアウト判定継続時間Tctを制限することによりタイムアウトを起こりにくくしている。このようにして、設置環境が変わるたびに煩雑な設定を行うことを必要とせず、リーダ/ライタとICタグとの間の干渉を自律的に回避することを可能とする。
【0060】
送信部602は、ホスト・コンピュータからICタグへ送信する送信情報としてのコマンドを、送信制御部601hからの送信制御情報に基づいて送信制御して、RF部500へ出力する。受信部603は、RF部500を介して受信したICタグからの受信信号を、受信データとしてホスト・コンピュータへ受け渡す。
【0061】
次に、実施例に係るキャリアセンス処理について説明する。図7は、実施例に係るキャリアセンス処理手順を示すフローチャートである。同図に示すように、先ず、リーダ/ライタ700のMPU部600のチャネル設定部601dは、初期チャネル(周波数)を設定する(ステップS201)。続いて、MPU部600のレベル測定部601aは、当該チャネルの受信電波の受信電力を測定し(ステップS202)、この受信電波の受信電力がしきい値(例えば、−74dBm)以下であるか否かを判定する(ステップS203)。
【0062】
受信電力がしきい値以下であると判定された場合に(ステップS203肯定)、ステップS204へ移る。一方、受信電力がしきい値以下であると判定されなかった場合に(ステップS203否定)、ステップS208へ移る。続いて、MPU部600は、待機時間であるバックオフ時間をランダムに設定する(ステップS204)。続いて、MPU部600のレベル測定部601aは、ステップS204で設定されたバックオフ時間内の受信電力を測定する(ステップS205)。
【0063】
続いて、MPU部600のレベル測定部601aは、バックオフ時間内の測定電力がしきい値(例えば、−74dBm)以下であるか否かを判定し(ステップS206)、受信電力がしきい値以下であると判定された場合に(ステップS206肯定)、ステップS207へ移る。一方、受信電力がしきい値以下であると判定されなかった場合に(ステップS206否定)、ステップS208へ移る。
【0064】
ステップS207では、MPU部600の送信制御部601hは、コマンド送信を開始する。続いて、MPU部600の無応答検出部601bは、タイムアウト判定継続時間Tctが未経過であって、タイムアウト時間TtoにおけるICタグの無応答率が第1の所定値を超え、かつ第2タイムアウト時間TcheckにおけるICタグの無応答率が第2の所定値を超えるか否かを判定する(ステップS209)。
【0065】
タイムアウト判定継続時間Tctが未経過であって、タイムアウト時間TtoにおけるICタグの無応答率が第1の所定値を超え、かつ第2タイムアウト時間TcheckにおけるICタグの無応答率が第2の所定値を超えると判定された場合に(ステップS209肯定)、ステップS210へ移り、タイムアウト判定継続時間Tctが経過、またはタイムアウト時間TtoにおけるICタグの無応答率が第1の所定値以下、または第2タイムアウト時間TcheckにおけるICタグの無応答率が第2の所定値以下と判定された場合に(ステップS209否定)、ステップS213へ移る。
【0066】
ステップS210では、タイムアウト回数Ntoに1を加算する。続いて、前述の(1)〜(3)式に基づいて、タイムアウト時間Tto、送信休止時間Tsleep、タイムアウト判定継続時間Tctを設定する(ステップS211)。続いて、送信休止時間Tsleepの時間に亘ってコマンド送信を停止する(ステップS212)。この処理が終了すると、ステップS201へ移る。
【0067】
一方、ステップS213では、MPU部600の送信制御部601hは、ステップS207でコマンド送信を開始してから最大連続送信時間T1が経過したか否かを判定し(ステップS213)、最大連続送信時間T1が経過したと判定された場合に(ステップS213肯定)、ステップS214へ移り、最大連続送信時間T1が経過したと判定されなかった場合に(ステップS213否定)、ステップS209へ移る。
【0068】
ステップS214では、タイムアウト時間Tto、送信休止時間Tsleep、タイムアウト判定継続時間Tct、タイムアウト回数Ntoの全て初期化する。続いて、最小送信停止時間T2以上の時間に亘ってコマンド送信を停止する(ステップS215)。この処理が終了すると、ステップS201へ移る。
【0069】
次に、実施例のタイムアウト時の動作を説明する。図8は、実施例のタイムアウト時の動作を説明するための説明図である。同図に示すように、キャリアセンスを行い、ICタグに対してコマンド送信を開始した後の1回目のTtoの干渉検出でタイムアウトし、Tsleepの間、コマンド送信の休止を行っている。Tsleep経過直後のキャリアセンスで2回目のコマンド送信を開始し、Tctの間で干渉検出が無かったため、最大連続送信時間T1までICタグと通信を行うこととなる。
【0070】
次に、実施例の動作例(リーダ/ライタが3台の場合)を説明する。図9は、実施例の動作例(リーダ/ライタが3台の場合)を説明するための説明図である。同図は、リーダ/ライタにおけるMtoが、1台目のリーダ/ライタでは“1”、2台目のリーダ/ライタでは“0”、3台目のリーダ/ライタでは“0”の場合を示している。なお、Mtoは、タイムアウト回数Ntoに応じて大きくなる数値であり、前述の(1)式で定義されるものである。
【0071】
1台目のリーダ/ライタおよび2台目のリーダ/ライタは、ほぼ同時にコマンド送信を開始し、互いの干渉により双方共にタイムアウトしている。一方、3台目のリーダ/ライタは、これらより少し遅れて送信を開始したため、最初の6回の干渉検出処理では干渉が検出されず、1台目のリーダ/ライタがTsleep後に再度送信を開始したために、この干渉を受けて7回目の干渉検出処理でタイムアウトしている。
【0072】
2台目のリーダ/ライタは、Tsleep後に再度コマンド送信を開始しているが、Tsleepの長さが1台目のリーダ/ライタより大きいため、1台目のリーダ/ライタは既に2回目のコマンド送信開始からTct以上経過しており、1台目のリーダ/ライタからの干渉を検出して再度タイムアウトしている。この例のように、タイムアウト回数Ntoが大きいリーダ/ライタは、これより小さいタイムアウト回数Ntoを有するリーダ/ライタよりも優先して送信が可能となる。
【0073】
上記実施例によれば、各リーダ/ライタが互いに有線ネットワークを用いて連携することなく、各リーダ/ライタの自律制御による時分割動作によりICタグにおける干渉の低減を図ることができる。また、設置環境が変化しても、自動的・自律的に環境に適応するように適応制御させることが可能となる。
【0074】
なお、上記実施例で説明した各処理は、あらかじめ用意されたプログラムをパーソナルコンピュータ、サーバ又はワークステーションなどのコンピュータシステムで実行することによって実現することができる。
【0075】
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明は、これに限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内で、更に種々の異なる実施例で実施されてもよいものである。また、実施例に記載した効果は、これに限定されるものではない。
【0076】
また、本実施例において説明した各処理のうち、自動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を手動的におこなうこともでき、あるいは、手動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的におこなうこともできる。
【0077】
この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0078】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示のように構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【0079】
さらに、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPU(もしくはMPU(Micro Processing Unit)、MCU(Micro controller Unit))にて実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0080】
(付記1)電子タグへ信号を連続して信号を送信する最大連続送信時間と、該最大連続送信時間経過後に信号送信を停止する最小送信停止時間とが定められ、該最小送信停止時間において該電子タグに対する信号送信に先立って該信号送信に使用する適切な通信チャネルを選択する通信チャネル選択処理を行うRFID質問器であって、
前記通信チャネル選択処理を行って信号送信を開始した後に、第一の所定時間において前記電子タグからの応答が無応答となる回数の比率が所定値を超えたか否かを判定する無応答比率判定手段と、
前記無応答比率判定手段により、前記周波数選択処理を行って信号送信を開始した後に、前記第一の所定時間において前記電子タグからの応答が無応答となる回数の比率が所定値を超えたと判定された場合に、該電子タグへの信号送信を第二の所定時間だけ停止する信号送信停止手段と
を備え、
前記第二の所定時間経過後に、前記電子タグへの信号送信を再開するために、前記通信チャネル選択処理を行うことを特徴とするRFID質問器。
【0081】
(付記2)前記無応答比率判定手段は、前記第一の所定時間において前記電子タグからの応答が無応答となる回数の比率が所定値を超えたと判定された場合に、該第一の所定時間の最後の一定時間において該電子タグからの応答が無応答となる回数の比率が所定値を超えたか否かをさらに判定し、
前記信号送信停止手段は、前記無応答比率判定手段により前記一定時間において該電子タグからの応答が無応答となる回数の比率が所定値を超えたと判定された場合に、該電子タグへの信号送信を前記第二の所定時間だけ停止することを特徴とする付記1に記載のRFID質問器。
【0082】
(付記3)前記無応答比率判定手段は、前記第一の所定時間において前記電子タグからの応答が無応答となる回数の比率が所定値を超えたか否かの判定を、所定の判定時間において繰り返すことを特徴とする付記1または2に記載のRFID質問器。
【0083】
(付記4)前記信号送信停止手段により前記電子タグへの信号送信を前記第二の所定時間だけ停止した場合に連続した送信停止回数を計数する送信停止回数計数手段と、
前記第一の所定時間を前記送信停止回数に応じて決定する第一の所定時間決定手段と
をさらに備えたことを特徴とする付記1〜3のいずれか一つに記載のRFID質問器。
【0084】
(付記5)前記第二の所定時間を前記送信停止回数に応じて決定する第二の所定時間決定手段をさらに備えたことを特徴とする付記3または4に記載のRFID質問器。
【0085】
(付記6)前記所定の判定時間を前記送信停止回数に応じて決定する所定の判定時間決定手段をさらに備えたことを特徴とする付記3、4または5に記載のRFID質問器。
【0086】
(付記7)前記第一の所定時間決定手段は、前記第一の所定時間を前記送信停止回数とともに大きく決定することを特徴とする付記4、5または6に記載のRFID質問器。
【0087】
(付記8)前記第二の所定時間決定手段は、前記第二の所定時間を前記送信停止回数に反して小さく決定することを特徴とする付記5、6または7に記載のRFID質問器。
【0088】
(付記9)前記所定の判定時間決定手段は、前記所定の判定時間を前記送信停止回数に反して小さく決定することを特徴とする付記6、7または8に記載のRFID質問器。
【0089】
(付記10)前記第一の所定時間決定手段は、前記第一の所定時間を次式に基づいて決定することを特徴とする付記7、8または9に記載のRFID質問器。
【0090】
【数4】

【0091】
(付記11)前記一様乱数は、前記送信停止回数に基づく信号送信の優先度に応じて異なる範囲から選択されることを特徴とする付記10に記載のRFID質問器。
【0092】
(付記12)前記第二の所定時間決定手段は、前記第二の所定時間を次式に基づいて決定することを特徴とする付記8〜11のいずれか一つに記載のRFID質問器。
【0093】
【数5】

【0094】
(付記13)前記所定の判定時間決定手段は、前記所定の判定時間を次式に基づいて決定することを特徴とする付記9〜12のいずれか一つに記載のRFID質問器。
【0095】
【数6】

【0096】
(付記14)前記無応答比率判定手段により前記第一の所定時間において前記電子タグからの応答が無応答となる回数の比率が所定値を超えたか否かの判定が、前記所定の判定時間において繰り返され、全ての該判定において該第一の所定時間において該電子タグからの応答が無応答となる回数の比率が所定値を超えなかったと判定された場合に、前記第一の所定時間決定手段により決定された該第一の所定時間、前記第二の所定時間決定手段により決定された前記第二の所定時間および前記所定の判定時間決定手段により決定された前記所定の判定時間を初期化する初期化手段をさらに備えたことを特徴とする付記6〜13のいずれか一つに記載のRFID質問器。
【0097】
(付記15)電子タグへ信号を連続して信号を送信する最大連続送信時間と、該最大連続送信時間経過後に信号送信を停止する最小送信停止時間とが定められ、該最小送信停止時間において該電子タグに対する信号送信に先立って該信号送信に使用する適切な通信チャネルを選択する通信チャネル選択処理を行うRFID質問器制御方法であって、
前記周波数選択処理を行って信号送信を開始した後に、第一の所定時間において前記電子タグからの応答が無応答となる回数の比率が所定値を超えたか否かを判定する無応答比率判定工程と、
前記無応答比率判定工程により、前記周波数選択処理を行って信号送信を開始した後に、前記第一の所定時間において前記電子タグからの応答が無応答となる回数の比率が所定値を超えたと判定された場合に、該電子タグへの信号送信を第二の所定時間だけ停止する信号送信停止工程と
を含み、
前記第二の所定時間経過後に、前記電子タグへの信号送信を再開するために、前記通信チャネル選択処理を行うことを特徴とするRFID質問器制御方法。
【0098】
(付記16)前記無応答比率判定工程は、前記第一の所定時間において前記電子タグからの応答が無応答となる回数の比率が所定値を超えたと判定された場合に、該第一の所定時間の最後の一定時間において該電子タグからの応答が無応答となる回数の比率が所定値を超えたか否かをさらに判定し、
前記信号送信停止工程は、前記無応答比率判定工程により前記一定時間において該電子タグからの応答が無応答となる回数の比率が所定値を超えたと判定された場合に、該電子タグへの信号送信を前記第二の所定時間だけ停止することを特徴とする付記15に記載のRFID質問器制御方法。
【0099】
(付記17)前記無応答比率判定工程は、前記第一の所定時間において前記電子タグからの応答が無応答となる回数の比率が所定値を超えたか否かの判定を、所定の判定時間において繰り返すことを特徴とする付記15または16に記載のRFID質問器制御方法。
【0100】
(付記18)前記信号送信停止工程により前記電子タグへの信号送信を第二の所定時間だけ停止した場合に連続した送信停止回数を計数する送信停止回数計数工程と、
前記第一の所定時間を前記送信停止回数に応じて決定する第一の所定時間決定工程と
をさらに含んだことを特徴とする付記15〜17のいずれか一つに記載のRFID質問器制御方法。
【0101】
(付記19)前記第二の所定時間を前記送信停止回数に応じて決定する第二の所定時間決定工程をさらに含んだことを特徴とする付記17または18に記載のRFID質問器制御方法。
【0102】
(付記20)前記所定の判定時間を前記送信停止回数に応じて決定する所定の判定時間決定工程をさらに含んだことを特徴とする付記17、18または19に記載のRFID質問器制御方法。
【産業上の利用可能性】
【0103】
本発明は、設置環境が変わるたびに煩雑な設定を行うことを必要とせず、リーダ/ライタ装置と電子タグとの間の干渉を自律的に回避したい場合に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】複数のリーダ/ライタの制御を説明するための説明図である。
【図2】リーダ/ライタの構成を示す機能ブロック図である。
【図3】複数のリーダ/ライタを設置した場合の干渉を説明するための説明図である。
【図4】送信デューティとキャリアセンスを説明するための説明図である。
【図5】キャリアセンス処理手順を示すフローチャートである。
【図6】実施例に係るリーダ/ライタのMPU部の構成を示す機能ブロック図である。
【図7】実施例に係るキャリアセンス処理手順を示すフローチャートである。
【図8】実施例のタイムアウト時の動作を説明するための説明図である。
【図9】実施例の動作例(リーダ/ライタが3台の場合)を説明するための説明図である。
【符号の説明】
【0105】
100 送信部
101 符号化部
102 AM変調部
103 フィルタ部
104 アップコンバート部
105 アンプ部
200 受信部
201 アンプ部
202 ダウンコンバート部
203 フィルタ部
204 AM復調部
205 復号化部
300 局部発振器
400 共用器
401 アンテナ
500 RF部
600 MPU部
601 主制御部
601a レベル測定部
601b 無応答検出部
601c 空きチャネル判定部
601d チャネル設定部
601e タイムアウト時間設定部
601f 送信休止時間設定部
601g タイムアウト判定継続時間設定部
601h 送信制御部
602 送信部
603 受信部
700 リーダ/ライタ
800a ICタグ
800b ICタグ
R/W リーダ/ライタ
700a 与干渉R/W
700b 被干渉R/W
r1、r2 領域
Nto タイムアウト回数
1 最大連続送信時間
2 最小送信停止時間
Tto タイムアウト時間
Tcheck 第2タイムアウト時間
Tct タイムアウト判定継続時間
Tsleep 送信休止時間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子タグへ信号を連続して信号を送信する最大連続送信時間と、該最大連続送信時間経過後に信号送信を停止する最小送信停止時間とが定められ、該最小送信停止時間において該電子タグに対する信号送信に先立って該信号送信に使用する適切な通信チャネルを選択する通信チャネル選択処理を行うRFID質問器であって、
前記通信チャネル選択処理を行って信号送信を開始した後に、第一の所定時間において前記電子タグからの応答が無応答となる回数の比率が所定値を超えたか否かを判定する無応答比率判定手段と、
前記無応答比率判定手段により、前記周波数選択処理を行って信号送信を開始した後に、前記第一の所定時間において前記電子タグからの応答が無応答となる回数の比率が所定値を超えたと判定された場合に、該電子タグへの信号送信を第二の所定時間だけ停止する信号送信停止手段と
を備え、
前記第二の所定時間経過後に、前記電子タグへの信号送信を再開するために、前記通信チャネル選択処理を行うことを特徴とするRFID質問器。
【請求項2】
前記無応答比率判定手段は、前記第一の所定時間において前記電子タグからの応答が無応答となる回数の比率が所定値を超えたと判定された場合に、該第一の所定時間の最後の一定時間において該電子タグからの応答が無応答となる回数の比率が所定値を超えたか否かをさらに判定し、
前記信号送信停止手段は、前記無応答比率判定手段により前記一定時間において該電子タグからの応答が無応答となる回数の比率が所定値を超えたと判定された場合に、該電子タグへの信号送信を前記第二の所定時間だけ停止することを特徴とする請求項1に記載のRFID質問器。
【請求項3】
前記無応答比率判定手段は、前記第一の所定時間において前記電子タグからの応答が無応答となる回数の比率が所定値を超えたか否かの判定を、所定の判定時間において繰り返すことを特徴とする請求項1または2に記載のRFID質問器。
【請求項4】
前記信号送信停止手段により前記電子タグへの信号送信を前記第二の所定時間だけ停止した場合に連続した送信停止回数を計数する送信停止回数計数手段と、
前記第一の所定時間を前記送信停止回数に応じて決定する第一の所定時間決定手段と
をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載のRFID質問器。
【請求項5】
前記第二の所定時間を前記送信停止回数に応じて決定する第二の所定時間決定手段をさらに備えたことを特徴とする請求項3または4に記載のRFID質問器。
【請求項6】
前記所定の判定時間を前記送信停止回数に応じて決定する所定の判定時間決定手段をさらに備えたことを特徴とする請求項3、4または5に記載のRFID質問器。
【請求項7】
前記第一の所定時間決定手段は、前記第一の所定時間を前記送信停止回数とともに大きく決定することを特徴とする請求項4、5または6に記載のRFID質問器。
【請求項8】
前記第二の所定時間決定手段は、前記第二の所定時間を前記送信停止回数に反して小さく決定することを特徴とする請求項5、6または7に記載のRFID質問器。
【請求項9】
前記所定の判定時間決定手段は、前記所定の判定時間を前記送信停止回数に反して小さく決定することを特徴とする請求項6、7または8に記載のRFID質問器。
【請求項10】
電子タグへ信号を連続して信号を送信する最大連続送信時間と、該最大連続送信時間経過後に信号送信を停止する最小送信停止時間とが定められ、該最小送信停止時間において該電子タグに対する信号送信に先立って該信号送信に使用する適切な通信チャネルを選択する通信チャネル選択処理を行うRFID質問器制御方法であって、
前記周波数選択処理を行って信号送信を開始した後に、第一の所定時間において前記電子タグからの応答が無応答となる回数の比率が所定値を超えたか否かを判定する無応答比率判定工程と、
前記無応答比率判定工程により、前記周波数選択処理を行って信号送信を開始した後に、前記第一の所定時間において前記電子タグからの応答が無応答となる回数の比率が所定値を超えたと判定された場合に、該電子タグへの信号送信を第二の所定時間だけ停止する信号送信停止工程と
を含み、
前記第二の所定時間経過後に、前記電子タグへの信号送信を再開するために、前記通信チャネル選択処理を行うことを特徴とするRFID質問器制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−72508(P2008−72508A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−249832(P2006−249832)
【出願日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】